説明

駐車場管理システム

【課題】ユーザ利便性を向上させた駐車場管理システムを提供すること。
【解決手段】特定の車両に専用の駐車区域を備えた駐車場の管理システムが、車両に搭載された車載機と、駐車場に備えられた駐車場側装置とを含み、車載機は、無線通信を利用して、駐車場側装置へ車両情報を送信し、駐車場側装置は、車両情報の送信元車両が上記特定の車両でない場合であっても、車両情報に基づいて緊急性があると判断されたときには、送信元車両の専用駐車区域への駐車を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、特定の車両に専用の駐車区域を備えた駐車場の管理システムに係り、特に、ユーザ利便性を向上させた駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の車両に専用の駐車区域を備えた駐車場の管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、「一般公衆駐車場における身体障害者専用の専用駐車区域において、身体障害者が搭乗している車両である場合には駐車可能とし、身体障害者の車両でない場合は駐車できないようにする」ために、「許可されない車両が専用駐車区域に入庫しようとすると警告音のみならず駐車標識により物理的に入庫させ」ない「駐車標識装置」が開示されている(段落番号0001及び0005参照)。
【特許文献1】特開2005−171741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の従来装置によれば、身体障害者の車両以外のすべての車両は、一律に且つ常に、身体障害者専用駐車区域への駐車が物理的に妨げられることになる。
【0005】
しかしながら、駐車場利用者の間には、例えば、車両乗員に急病が発生した場合などの緊急時には、たとえ当該車両が身体障害者用車両でなくても、人道上、専用駐車区域への駐車が例外的に許可/許容されるべきである、という潜在的ニーズが存在するものと考えられる。
【0006】
上記特許文献1記載の従来装置では、上記のような状況に応じた臨機応変な対応ができないため、ユーザにとって利便性の良い駐車場管理は実現されない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ユーザ利便性を向上させた駐車場管理システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の第一の態様は、特定の車両に専用の駐車区域を備えた駐車場の管理システムであって、車両に搭載された車載機と、上記駐車場に備えられた駐車場側装置とを含み、上記車載機は、無線通信を利用して、上記駐車場側装置へ車両情報を送信し、上記駐車場側装置は、上記車両情報の送信元車両が上記特定の車両でない場合であっても、上記車両情報に基づいて緊急性があると判断されたときには、当該送信元車両の上記専用駐車区域への駐車を許可する、駐車場管理システムである。
【0009】
上記第一の態様において、「特定の車両」とは、例えば、身体障害者対応車両(例えば、車椅子のまま乗車できるように改造された車両、など)である。
【0010】
また、上記第一の態様において、「車両情報」には、例えば、119番通報などの緊急通報が発せられたか否かの情報が含まれる。この場合、車両情報が緊急通報が発せられたことを示していれば、駐車場側装置は緊急性があると判断する。
【0011】
上記第一の態様によれば、専用駐車区域への駐車が本来的に許可された特定の車両でなくても、緊急時には当該専用駐車区域への駐車が許可されるため、特定の車両以外は常に駐車が許可されないシステムと比べて、ユーザ利便性が向上する。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の第二の態様は、上記第一の態様に係る駐車場管理システムにおいて、上記車載機が自車両の車室内を撮像する第一の撮像手段を有するものとし、また、上記車載機が上記第一の撮像手段により撮像された第一の映像を上記車両情報の一部として上記駐車場側装置へ送信するように構成され、上記駐車場側装置が、上記車両情報に基づいて上記緊急性がないと判断されたときであっても、上記第一の映像に基づいて必要性があると判断されたときには、当該映像の送信元車両の上記専用駐車区域への駐車を許可するものとした、駐車場管理システムである。
【0013】
上記第二の態様において、上記駐車場側装置は、例えば、上記第一の映像に当該車両乗員の少なくとも一人が身体障害者、高齢者、又は疾病者であることを示す映像が含まれていたときなどに、当該送信元車両の上記専用駐車区域への駐車を許可する必要性があると判断するものとする。
【0014】
上記第二の態様によれば、車両乗員に身体障害者や高齢者がいることが上記車両情報として駐車場側装置へ送信されるように予め登録しておく処理が適切に行われていなかった場合や登録し忘れた場合であっても、車室内の映像により乗員の様子や持ち物を確認し、必要な場合には専用駐車区域への駐車が許可されるため、ユーザ利便性が向上する。
【0015】
上記目的を達成するための本発明の第三の態様は、上記第一又は第二の態様に係る駐車場管理システムにおいて、上記駐車場側装置が、上記専用駐車区域を撮像する第二の撮像手段を有するようにするとともに、上記車両情報に基づいて上記緊急性がないと判断されたときであっても、上記第二の撮像手段により撮像された第二の映像に基づいて必要性があると判断されたときには、上記専用駐車区域に駐車中の車両の当該専用駐車区域における駐車を許可するものとした、駐車場管理システムである。
【0016】
上記第三の態様において、上記駐車場側装置は、例えば、上記第二の映像に上記専用駐車区域に駐車中の車両から降車してきた当該車両乗員の少なくとも一人が身体障害者、高齢者、又は疾病者であることを示す映像が含まれていたときなどに、当該駐車車両の上記専用駐車区域における駐車を許可する必要性があると判断するものとする。
【0017】
上記第三の態様によれば、上述の車両情報が車載機から駐車場側装置へ適切に送信されなかった場合であっても、上記専用駐車区域に駐車中の車両からの乗員降車の様子や降車乗員の持ち物を確認し、必要な場合には専用駐車区域への駐車が許可されるため、ユーザ利便性が向上する。
【0018】
なお、上記第一乃至第三の態様に係る駐車場管理システムにおいては、上記駐車場側装置が、上記特定の車両でない車両の上記専用駐車区域への駐車を許可したときに、その旨を表示する表示手段、及び/又は、その旨を示す音声メッセージを出力する音声出力手段を有するようにすることが好ましい。これにより、当該専用駐車区域の周囲にいる人々に駐車中の車両には例外的に駐車が許容されるべき事情があることが通知されるため、上記特定の車両ではないが上記専用駐車区域への駐車が許可された車両の乗員が周囲の人々から「マナーが悪い」といった趣旨の批判や注意や視線を浴びずに済む。
【0019】
さらに、この場合、上記表示手段及び上記音声出力手段が、上記特定の車両でない車両の上記専用駐車区域への駐車が上記緊急性を理由に許可されたときには、急病人介護の観点から、当該駐車が正当な駐車である旨の表示及び音声メッセージに加えて、当該車両の乗員への支援を要請する旨の表示及び音声メッセージもそれぞれ表示及び出力することがより好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザ利便性を向上させた駐車場管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0022】
以下、添付の図1〜4を参照して、本発明の一実施例に係る駐車場管理システムについて説明する。
【0023】
図1は、本実施例に係る駐車場管理システム100のシステム全体の概略構成図を示している。
【0024】
図1は、一例として、駐車場管理システム100に対応した駐車場Pに車両Vが駐車しようとしている様子を示している。ここで、駐車場Pは、駐車区域P1、P2、及び、P3を含み、そのうち駐車区域P3が身体障害者専用の駐車区域に設定されているものとする。
【0025】
駐車場管理システム100は、駐車しようとする車両Vに搭載された車載機101と、駐車場P側(特に、専用駐車区域P3)に設置された駐車場側装置102と、から構成される。
【0026】
車載機101と駐車場側装置102は、少なくとも車載機101が送信した情報を駐車場側装置102が受信できるように、無線通信接続される。車載機101と駐車場側装置102との間で送受信される情報については後に詳述する。
【0027】
図2は、本実施例に係る駐車場管理システム100において同システムに対応した車両Vに搭載される車載機101の概略構成図を示している。
【0028】
車載機101は、自車両の車室内の様子を撮像する車室内カメラ201と、ユーザが操作しやすいように自車両車室内に設けられたユーザ入力部202と、所定の情報を記憶保持する、任意形式の記憶媒体である記憶部203と、駐車場側装置102と無線通信接続し、少なくとも所定の情報を駐車場側装置102へ無線送信する通信部204と、これら構成要素を統括的に制御するとともに、各種の演算処理等を実行する制御ECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)205と、を有する。
【0029】
ユーザは、ユーザ入力部202を通じて、予め、当該車両が身体障害者対応車両(例えば、車椅子のまま乗車できるように改造された車両、など)であることや、もっぱら高齢者が運転することが予定された車両である(例えば、高齢者である運転者に限定された保険に入っている、など)ことなど、自車両が専用駐車区域への駐車が本来的に許可された車両であることの根拠を示す登録情報を、記憶部203に登録しておく。
【0030】
ユーザ入力部202は、ユーザによる上記登録情報の登録処理をより簡易に行えるようにしてユーザの利便性を向上させるために、例えば、ユーザが障害者手帳や保険証などを読み取るためのスキャナ機能を備えていることが好ましい。
【0031】
また、本実施例において、車載機101は、自車両に装備された緊急通報システム(図示せず)により119番通報などの緊急通報が発信されたときには、制御ECU205にその旨伝達されるように構成される。携帯電話によるハンズフリー通話による119番発信の場合にもそれを認識して緊急通報が発信されたと判断できるように構成されることが好ましい。
【0032】
さらに、制御EUC205は、通信部204に指示して、自車両の車両情報を駐車場側装置102へ送信させる。ここで、車両情報とは、駐車場側装置102において、当該車両の専用駐車区域への駐車を許可又は許容すべきであるか否かを判断するための情報である。
【0033】
制御ECU205は、通信部204に指示して、少なくとも、車室内カメラ201により撮像された車室内の映像を、上記車両情報として駐車場側装置102へ送信させる。記憶部203に情報が予め登録されている場合、当該登録情報も上記車両情報の一部として駐車場側装置102へ送信させる。また、緊急通報が発信されたときには、その旨も上記車両情報の一部として駐車場側装置102へ送信させる。
【0034】
図3は、本実施例に係る駐車場管理システム100において駐車場側に設置される駐車場側装置102の概略構成図を示している。
【0035】
駐車場側装置102は、車載機101と無線通信接続し、少なくとも所定の情報を車載機101から受信する通信部301と、専用駐車区域を撮像する監視カメラ302と、専用駐車区域への駐車を許可する旨又は警告する旨の音声メッセージを出力する音声出力部303と、専用駐車区域への駐車を許可する旨又は警告する旨を表示する表示部304と、これら構成要素を統括的に制御するとともに各種の演算処理等を実行する制御ECU305と、を有する。
【0036】
ところで、図1では、あたかも単体の駐車場側装置102全体が専用駐車区域P3のすぐ近くに設置されるかの如く記載しているが、これは単なる例示に過ぎない。駐車場側装置102の構成要素のうち、少なくとも音声出力部303と表示部304とが専用駐車区域P3の周囲にいる人から認識可能に設けられていれば、他の構成要素は通信接続の上、遠隔地に設置されてもよい。また、専用駐車区域が複数ある場合、各区域にそれぞれ1つずつ駐車場側装置102が設置されてもよく、或いは、1台の駐車場側装置102で複数の専用駐車区域を担当するようにしてもよい。
【0037】
制御ECU305は、通信部301を通じて車載機101から取得した、専用駐車区域へ駐車しようとしている車両Vの車両情報と、監視カメラ302により撮像された専用駐車区域の映像とに基づいて、当該車両による専用駐車区域への駐車を許可すべきと判断したときには、音声出力部303に駐車が許可された旨の音声メッセージを出力させるとともに、表示部304に駐車が許可された旨を表示させる。他方、車両情報と専用駐車区域の映像とから駐車が許可されるべきでないと判断したときには、音声出力部303に駐車が許可されなかった旨の警告メッセージを出力させるとともに、表示部304に駐車が許可されていない旨の警告を表示させる。
【0038】
表示部304は、例えば、1)ランプ又はLED(発光ダイオード)を用いて、例えば駐車が許可された場合にはOKを表す特定の一色(例えば緑色や青色など)を、駐車が許可されなかった場合にはNGを表す特定の別の一色(例えば赤色や黄色など)をそれぞれ発光させるように構成されてもよく、或いは、2)LCD(液晶ディスプレイ)などのディスプレイ装置を用いて、駐車が許可された旨(及び/又は、正当な理由のある駐車である旨)を示す文字メッセージ又は駐車が許可されなかった旨(及び/又は、正当な理由のない駐車である旨)を示す文字メッセージを画面表示させるように構成されてもよい。
【0039】
加えて、制御ECU305は、通信部301を通じて車載機101から取得した車両情報が送信元の車両において緊急通報が発信されたことを示している場合には、駐車を許可すべきと判断するとともに、周囲への支援要請が必要な場合であるものと判断する。より具体的には、制御ECU305は、単に、許容されるべき正当事由のある駐車である旨の音声メッセージ及び表示を出力するだけでなく、専用駐車区域に駐車中の車両内に急病人等の他者からの支援を必要とする人が存在する旨の音声メッセージを音声出力部303に出力させるとともに、表示部304にも、例えば、赤色の回転灯を点灯させたり、救護を要請する文字メッセージを表示させたりといった、通常の駐車許可を表す表示とは異なる支援要請用の表示を出力させる。
【0040】
次いで、図4のフローチャートを参照して、駐車場側装置102による駐車許可/不許可判断処理の流れを説明する。
【0041】
まず、制御ECU305は、通信部301を通じて、専用駐車区域へ駐車しようとしている車両Vの車載機101(の通信部201)から車両情報が取得されたか否かを判断する(S401)。
【0042】
車両情報が取得された場合(S401の「YES」)、次いで、制御ECU305は、取得した車両情報が送信元車両において緊急通報が発信されたことを示しているか否かを判断する(S402)。
【0043】
取得された車両情報が送信元車両において緊急通報が発信されたことを示していると判断された場合(S402の「YES」)、制御ECU305は、送信元車両において乗員の中に急病人が発生するなどの緊急事態が発生しているものと判断して、当該車両の専用駐車区域への駐車を直ちに許可されるべきものであると判断するとともに、上述のような緊急時用の音声出力処理及び表示処理を音声出力部303及び表示部304にそれぞれ実行させる(S405)。
【0044】
他方、取得された車両情報が送信元車両において緊急通報が発信されたことを示していないと判断された場合(S402の「NO」)、次いで、制御ECU305は、取得された車両情報に送信元車両が専用駐車区域への駐車が許可された属性の車両であることを示す登録情報が含まれているか否かを判断する(S403)。
【0045】
取得した車両情報に上記のような登録情報が含まれていると判断された場合(S403の「YES」)、制御ECU305は、送信元車両は本来的に専用駐車区域への駐車が許可された特定種類の車両であるものと判断して、当該車両の専用駐車区域への駐車を直ちに許可されるべきものであると判断して、既述のような駐車許可時用の音声出力処理及び表示処理を音声出力部303及び表示部304にそれぞれ実行させる(S406)。
【0046】
他方、取得した車両情報に登録情報が含まれていないと判断された場合(S403の「NO」)、次いで、制御ECU305は、取得した車両情報に含まれる、車室内カメラ201により撮像された送信元車両の車室内映像と、監視カメラ302により撮像された専用駐車区域の映像とに基づいて、当該車両の専用駐車区域への駐車を許可/許容すべきであるか否かを判断する(S404)。
【0047】
より具体的には、例えば、撮像された乗員の顔や、骨折などの外傷、行動/振る舞い/動作スピード、持ち物(杖、障害者手帳、等)、車椅子の有無、などから、乗員が身体障害者、高齢者、急病人、又は疾病者であるか否かを判断する。
【0048】
これにより、例えば、身体障害者用車両ではない車両の乗員が、例えば、障害者手帳や、骨折治療のために脚に巻かれた包帯などを車室内カメラ201に写るようにすることによって、簡易に、当該車両の専用駐車区域への駐車が許容されることになる。
【0049】
車室内カメラ201又は監視カメラ302により撮像されたカメラ映像から専用駐車区域への駐車しようとしている又は駐車した車両の乗員が身体障害者、高齢者、急病人、又は疾病者であると判断された場合には(S404の「YES」)、制御ECU305は、当該車両の専用駐車区域への駐車を許可/許容されるべきものであると判断して、既述のような駐車許可時用の音声出力処理及び表示処理を音声出力部303及び表示部304にそれぞれ実行させる(S406)。
【0050】
他方、車室内カメラ201又は監視カメラ302により撮像されたカメラ映像から専用駐車区域への駐車しようとしている又は駐車した車両の乗員が身体障害者でも、高齢者でも、急病人でも、或いは疾病者でもないと判断された場合(S404の「NO」)、制御ECU305は、当該車両の専用駐車区域への駐車は許容されるべきものではない態様のものであると判断して、既述のような駐車不許可時用の音声出力処理及び表示処理を音声出力部303及び表示部304にそれぞれ実行させる(S407)。
【0051】
ところで、例えば通信の不具合などにより、専用駐車区域へ駐車しようとしている車両から車両情報が取得できなかった場合(S401の「NO」)、制御ECU305は、監視カメラ302により撮像された専用駐車区域の映像のみに基づいて、当該車両の専用駐車区域への駐車を許可/許容すべきであるか否かを判断する(S404)。
【0052】
そして、監視カメラ302のカメラ映像から専用駐車区域への駐車を許可/許容すべき場合であると判断された場合には(S404の「YES」)、駐車許可時用の音声出力処理及び表示処理を(S406)、許可/許容すべきでない場合であると判断された場合には(S404の「NO」)、駐車不許可時用の音声出力処理及び表示処理を(S407)、音声出力部303及び表示部304にそれぞれ実行させる。
【0053】
このように、本実施例によれば、専用駐車区域へ駐車しようとしている又は駐車した車両の乗員に急病等の緊急事態が発生していると判断された場合や、予め登録はしていないものの身体障害者や高齢者や疾病者が乗車していると判断された場合などには、障害者車両として予め登録していない車両であっても身体障害者専用の駐車区域への駐車が許可/許容されるため、障害者車両として予め登録していない車両については常に専用駐車区域への駐車が許容されない場合と比べて、ユーザ利便性が向上する。
【0054】
また、本実施例によれば、身体障害者が乗車しているにもかかわらず、身体障害者用車両である旨の登録が行われていない場合や、急病人がいるにもかかわらず緊急通報が行われなかった場合や、無線通信の状態が良好でなかった場合などにおいても、専用駐車区域へ駐車しようとしている車両の車室内を撮像するカメラ又は専用駐車区域を撮像する監視カメラの映像から、車両乗員中に身体障害者、高齢者、急病人、又は疾病者がいると判断されたときには、当該車両の専用駐車区域への駐車が許可/許容されるため、ユーザ利便性に優れている。
【0055】
さらに、本実施例によれば、障害者車両として予め登録していない車両について上記のような理由により身体障害者専用の駐車区域への駐車が例外的に許可/許容された場合には、その駐車が正当な理由のある許可/許容されるべき駐車である旨が音声や表示により周囲の人々に通知されるため、専用駐車区域周囲の事情を知らない人々から駐車を許可された車両の乗員が「マナーが悪い」といった趣旨の批判や注意や視線を浴びてしまう事態の発生を大幅に低減することができる。
【0056】
なお、上記一実施例においては、一例として、専用駐車区域へ駐車しようとしている車両Vの車載機101から駐車場側装置102へ、車室内カメラ映像、登録情報が記憶保持されていれば当該情報、及び、緊急通報が発信されたときにはその旨、が車両情報として送信されるものとしたが、当業者には明らかなように、本発明に係る駐車場管理システムはこのような実施形態に限定されるものではない。
【0057】
例えば、一変形例として、登録情報、緊急通報の有無、及び/又は、車室内カメラ映像から、車載機101の側で専用駐車区域への駐車が許可/許容されるべきであるか否かを判断し、許可/許容されるべきであると判断された場合にのみ許可信号が車載機101から駐車場側装置102へ無線送信され、当該許可信号が受信されたときには駐車場側装置102は常に当該車両の専用駐車区域への駐車を許可するものとして音声出力処理及び表示処理を行うものとしてシステムが構成されてもよい。
【0058】
あるいは、更に別の一変形例として、車室内カメラ201により撮像された映像から身体障害者、高齢者、急病人、又は疾病者が車室内に存在するか否かの判断を車載機101側で行うようにし、映像自体ではなく、その判断結果のみを車両情報の一部として駐車場側装置102へ送信するようにしてもよい。
【0059】
あるいは、更に別の一変形例として、上記のような車両情報の種類ごとに優先順位を付けて、一部のみが送信されるようにしてもよい。例えば、1)身体障害者用車両としての登録が確認されれば常に専用駐車区域への駐車が許可されるという構成を採ることを前提として、車載機101に登録情報が記憶保持されている場合には、緊急通報の有無を確認することなく、車室内カメラにより車室内を撮像することもなく、登録情報が存在する旨のみを車両情報として駐車場側装置102へ送信するようにシステムが構成されてもよく、或いは、2)緊急通報が発信されたことが確認されれば常に専用駐車区域への駐車が許可されるという構成を採ることを前提として、緊急通報が発信されたことが車載機101において確認されたときには、登録情報が記憶保持されているか否かを確認することなく、車室内カメラにより車室内を撮像することもなく、緊急通報が発信された旨のみを車両情報として駐車場側装置102へ送信するようにシステムが構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、特定の車両に専用の駐車区域を備えた駐車場の管理システムにおいて利用できる。対象となる車両の動力源種類、燃料種類、外観デザイン、重量、サイズ、走行性能等はいずれも不問である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例に係る駐車場管理システム全体の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係る駐車場管理システムにおいて車両に搭載される車載機の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施例に係る駐車場管理システムにおいて駐車場側に設置される駐車場側装置の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施例に係る駐車場管理システムにおいて駐車場側に設置される駐車場側装置による駐車許可/不許可判断処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
100 駐車場管理システム
101 車載機
102 駐車場側装置
201 車室内カメラ
202 ユーザ入力部
203 記憶部
204、301 通信部
205、305 制御ECU
302 監視カメラ
303 音声出力部
304 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の車両に専用の駐車区域を備えた駐車場の管理システムであって、
車両に搭載された車載機と、
前記駐車場に備えられた駐車場側装置と、を含み、
前記車載機は、無線通信を利用して、前記駐車場側装置へ車両情報を送信し、
前記駐車場側装置は、前記車両情報の送信元車両が前記特定の車両でない場合であっても、前記車両情報に基づいて緊急性があると判断されたときには、当該送信元車両の前記専用駐車区域への駐車を許可する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の駐車場管理システムであって、
前記車載機は、
自車両の車室内を撮像する第一の撮像手段を有し、
前記第一の撮像手段により撮像された第一の映像を前記車両情報の一部として前記駐車場側装置へ送信し、
前記駐車場側装置は、前記車両情報に基づいて前記緊急性がないと判断されたときであっても、前記第一の映像に基づいて必要性があると判断されたときには、当該映像の送信元車両の前記専用駐車区域への駐車を許可する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の駐車場管理システムであって、
前記駐車場側装置は、
前記専用駐車区域を撮像する第二の撮像手段を有し、
前記車両情報に基づいて前記緊急性がないと判断されたときであっても、前記第二の撮像手段により撮像された第二の映像に基づいて必要性があると判断されたときには、前記専用駐車区域に駐車中の車両の当該専用駐車区域における駐車を許可する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の駐車場管理システムであって、
前記駐車場側装置は、前記特定の車両でない車両の前記専用駐車区域への駐車を許可したときに、当該駐車が正当な駐車である旨を表示する表示手段を有する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項5】
請求項4記載の駐車場管理システムであって、
前記表示手段は、前記特定の車両でない車両の前記専用駐車区域への駐車が前記緊急性を理由に許可されたときには、当該駐車が正当な駐車である旨の表示に加えて、当該車両の乗員への支援を要請する旨の表示も表示する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載の駐車場管理システムであって、
前記駐車場側装置は、前記特定の車両でない車両の前記専用駐車区域への駐車を許可したときに、当該駐車が正当な駐車である旨を示す音声メッセージを出力する音声出力手段を有する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項7】
請求項6記載の駐車場管理システムであって、
前記音声出力手段は、前記特定の車両でない車両の前記専用駐車区域への駐車が前記緊急性を理由に許可されたときには、当該駐車が正当な駐車である旨の音声メッセージに加えて、当該車両の乗員への支援を要請する旨の音声メッセージも出力する、
ことを特徴とする駐車場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−110446(P2009−110446A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284297(P2007−284297)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】