説明

駐車検出装置、駐車検出方法および駐車検出プログラム

【課題】高速道路のサービスエリアなど、多数の駐車マスを持つ駐車場の各駐車マスの駐車状況を正確に検出することができる駐車検出装置、駐車検出方法および駐車検出プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の駐車検出装置1は、複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影する撮影手段(カメラ10)と、所定の画像処理を施す画像処理手段(エッジ抽出処理部24)と、駐車検出対象エリアの画像に所定の画像処理を施した判定対象データ(エッジ抽出処理画像データ23c)と、予め駐車マス毎に設定された判定の基準となる判定基準データ23dと、を比較して車両の有無を判定する判定手段(相関率算出部25、相関率判定処理部26)と、を備え、判定基準データは、表示パターンが撮影された駐車検出対象エリアの画像から取得した表示パターンを含む画像領域に所定の画像処理を施したデータであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車検出装置、駐車検出方法および駐車検出プログラムに関する。さらに詳しくは、高速道路のサービスエリアなど、多数の駐車マスを持つ駐車場の各駐車マスの駐車状況を正確に検出することができる駐車検出装置、駐車検出方法および駐車検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両検出方法として、車両検出対象領域を俯瞰撮影した画像の各駐車マスに対応する画像領域からエッジ成分を抽出し、そのエッジ量の大小に基づいて当該駐車マスにおける駐車と空車とを判定することが知られている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、空車状態の駐車マスと、複雑な形状を有する車両が駐車した状態の駐車マスと、では、検出されるエッジ量に差が生じることに基づいて駐車状況を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−66490号公報
【0004】
しかしながら、エッジ量の大小に基づいて駐車と空車とを判定する場合、駐車マスに「バス」、「トラック」などの文字や、車椅子の図形で知られる国際シンボルマークなどの図形等の表示パターンが表示されていると、これら表示パターンのエッジ成分も検出されてしまう。その結果、車両駐車時と空車時のエッジ量の差が小さくなり、誤判定してしまう可能性があるといった問題があった。
また、上記特許文献1のように多数の駐車マスを撮影するためにカメラを比較的高い位置に配置して俯瞰撮影する場合、車両の高さによっては、そのエッジ成分が検出対象駐車マスに隣接する駐車マスで検出されてしまうことがあり、正確な駐車状態を検出することが難しいといった問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題を解決せんとするもので、撮影画像における位置および形状の変化が車両と比較して少ない表示パターンに基づいて駐車と空車とを判定することにより、正確に駐車検出することができる駐車検出装置、駐車検出方法および駐車検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.表示パターンを有する複数の駐車マスを撮影した画像に基づいて、当該複数の駐車マスのそれぞれについての駐車の有無を検出する駐車検出装置であって、
前記複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影する撮影手段と、
前記画像に所定の画像処理を施す画像処理手段と、
前記駐車検出対象エリアの画像に前記所定の画像処理を施した判定対象データと、予め前記複数の駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となる判定基準データと、を比較して前記複数の駐車マス毎の車両の有無を判定する判定手段と、を備え、
前記判定基準データは、前記複数の駐車マスにそれぞれ対応する前記表示パターンが撮影された前記駐車検出対象エリアの画像から取得した前記表示パターンを含む画像領域に前記所定の画像処理を施したデータであることを特徴とする駐車検出装置。
2.上記請求項1.において、前記判定基準データを更新する更新手段を更に備えることを特徴とする。
3.上記1.または2.において、前記所定の画像処理は、前記画像からエッジ情報を取得する画像処理であり、
前記判定手段は、前記判定基準データと、前記判定対象データの前記判定基準データに対応する領域のデータと、の前記エッジ情報の相関率を算出し、当該相関率に基づいて前記駐車マスの車両の有無を判定することを特徴とする。
4.表示パターンを有する複数の駐車マスを撮影した画像に基づいて、当該複数の駐車マスのそれぞれについての駐車の有無を検出する駐車検出方法であって、
前記複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影する撮影工程と、
前記画像に所定の画像処理を施す画像処理工程と、
前記駐車検出対象エリアの画像に前記所定の画像処理を施した判定対象データと、予め前記複数の駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となる判定基準データと、を比較して前記複数の駐車マス毎の車両の有無を判定する判定工程と、を備え、
前記判定基準データは、前記複数の駐車マスにそれぞれ対応する前記表示パターンが撮影された前記駐車検出対象エリアの画像から取得した前記表示パターンを含む画像領域に前記所定の画像処理を施したデータであることを特徴とする駐車検出方法。
5.上記4.において、前記判定基準データを更新する更新工程を更に備えることを特徴とする。
6.上記4.または5.において、前記所定の画像処理は、前記画像からエッジ情報を取得する画像処理であり、
前記判定工程は、前記判定基準データと、前記判定対象データの前記判定基準データに対応する領域のデータと、の前記エッジ情報の相関率を算出し、当該相関率に基づいて前記駐車マスの車両の有無を判定することを特徴とする。
7.表示パターンを有する複数の駐車マスを撮影した画像に基づいて、当該複数の駐車マスのそれぞれについての駐車の有無を検出する駐車検出プログラムであって、
前記複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影する撮影機能と、
前記画像に所定の画像処理を施す画像処理機能と、
前記駐車検出対象エリアの画像に前記所定の画像処理を施した判定対象データと、予め前記複数の駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となる判定基準データと、を比較して前記複数の駐車マス毎の車両の有無を判定する判定機能と、をコンピュータに実現させ、
前記判定基準データは、前記複数の駐車マスにそれぞれ対応する前記表示パターンが撮影された前記駐車検出対象エリアの画像から取得した前記表示パターンを含む画像領域に前記所定の画像処理を施したデータであることを特徴とする駐車検出プログラム。
8.上記7.において、前記判定基準データを更新する更新機能を更に実現させることを特徴とする。
9.上記7.または8.において、前記所定の画像処理は、前記画像からエッジ情報を取得する画像処理であり、
前記判定機能は、前記判定基準データと、前記判定対象データの前記判定基準データに対応する領域のデータと、の前記エッジ情報の相関率を算出し、当該相関率に基づいて前記駐車マスの車両の有無を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の駐車検出装置によると、「バス」、「トラック」などの表示パターンを有する複数の駐車マスを撮影した画像に基づいて当該複数の駐車マスのそれぞれについての駐車の有無を検出するに際し、複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影し、この画像に対して、所定の画像処理を施した判定対象データを作成する。そして、この判定対象データと、予め複数の駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となるデータであり、表示パターンが撮影された駐車検出対象エリアの画像から取得したデータであって、表示パターンを含む画像領域に所定の画像処理を施したデータである判定基準データと、を比較することにより駐車マス毎の車両の有無を判定するようにしている。このように、撮影画像における位置および形状の変化が比較的少ない表示パターンに基づいて駐車と空車とを判定することにより、従来のように車両に基づいて駐車検出する場合と比較して、正確に駐車検出することができる。
【0008】
また、前記判定基準データを更新する更新手段を更に備える場合は、表示パターンの劣化等による形状の変化の状態に応じた判定基準データが新たに作成されるので、所望の判定精度を維持することができ、正確に駐車検出することができる。表示パターンは、通常、路面に描かれているものであり、車両の通行により摩耗するなど、次第に劣化してその形状が変化する。このため、表示パターンの形状が変化する前に作成した判定基準データと、形状が変化した後の表示パターンを撮影した画像から作成した判定対象データと、を比較した場合、変化の度合によっては、空車と判定される相関率の数値が算出されなくなる可能性がある。したがって、更新手段により表示パターン判定基準データを更新することにより、判定精度を維持することができる。
【0009】
さらに、前記所定の画像処理が前記画像からエッジ情報を取得する画像処理であり、前記判定手段は、前記判定基準データと、前記判定対象データの前記判定基準データに対応する領域のデータと、の前記エッジ情報の相関率を算出し、当該相関率に基づいて前記駐車マスの車両の有無を判定する場合は、抽出されるエッジ情報の変動が比較的少ない表示パターンに基づいて駐車と空車とを判定することにより、正確に駐車検出することができる。
【0010】
以上は、本発明が装置として実現される場合について説明したが、かかる装置を実現する方法やプログラム、当該プログラムを記録した媒体としても発明は実現可能である。また、以上のような駐車検出装置は単独で実現される場合もあるし、ある方法に適用され、あるいは同方法が他の機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、上記に示す駐車検出装置に限らず、各種の態様を含むものである。したがって、本発明思想は、プログラム、ソフトウェアであったり、ハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
発明の思想の具現化例として上記装置を制御するためのソフトウェアとなる場合には、かかるプログラム、ソフトウェア、あるいはソフトウェアを記録した記録媒体上においても存在し、利用される。
【0011】
また、プログラム、ソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。一次複製品、二次複製品などの複製段階についても同等である。その他、供給装置として通信回線を利用して行う場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態にかかる駐車検出装置を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態にかかる駐車検出処理のフローチャートを示す図である。
【図3】駐車検出対象エリアとカメラの配置を模式的に示す平面図である。
【図4】駐車検出対象エリアの画像の例を模式的に示す図である。
【図5】駐車検出対象エリアのエッジ抽出処理画像の例を模式的に示す図である。
【図6】判定基準データを説明するための説明図である。
【図7】相関率の算出を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)駐車検出装置の構成:
(2)駐車検出処理:
【0014】
(1)駐車検出装置の構成:
図1は、本実施形態にかかる駐車検出装置の概略構成を示している。同図において、駐車検出装置1は、カメラ10と制御部20とから構成されている。カメラ10は、所定の表示パターンを有する複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアを撮影した画像を制御部20に出力する。制御部20は画像を入力し、同画像に基づいて画像内の各駐車マスの駐車の有無を検出する。
【0015】
制御部20は、主要な構成として、インターフェース(I/F)21と、CPU22と、記憶部23と、エッジ抽出処理部24と、相関率算出部25と、相関率判定処理部26と、出力部27と、を備えている。
I/F21には、カメラ10が接続されており、カメラ10で撮影された駐車検出対象エリアの画像信号を制御部20に取り込む。
CPU22は、記憶部23に記憶された駐車検出プログラム23aを実行し、各部を制御するとともに所定の演算処理を実行する。
【0016】
記憶部23は、データを蓄積可能な記憶媒体であり、駐車検出処理を実行するための駐車検出プログラム23aと、駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となる判定基準データ23dと、判定の対象となるエッジ成分が抽出された画像データと判定基準データ23dとの相関率と比較される基準相関率データ23eとが予め記憶されている。判定基準データ23dは、各駐車マスにそれぞれ対応する表示パターンが撮影された駐車検出対象エリアの画像から取得した表示パターンを含む画像領域に、後述するエッジ抽出処理を施した複数のデータであり、各表示パターンのエッジ抽出処理画像データである。基準相関率データ23eは、後述する相関率算出部により算出される相関率と比較されるデータであって、駐車と空車との判定の基準となるデータである。
【0017】
また、記憶部23は、駐車検出処理の過程で生成される各種データを記憶可能で、撮影画像データ23bとエッジ抽出処理画像データ23cとが記憶される。なお、記憶部23は、データを蓄積可能であればよく、RAM、HDD等の種々の記憶媒体を採用可能であるとともに、これら種々の記憶媒体を組み合わせた記憶部とすることも可能である。
【0018】
エッジ抽出処理部24は、記憶部23に記憶された撮影画像データ23bに対してエッジ抽出処理を実施し、画像中のエッジ成分を抽出する。すなわち、本実施形態では、本発明にかかる所定の画像処理として、エッジ抽出処理を実行する。そして、このエッジ成分が抽出された画像が判定対象データであり、エッジ抽出処理画像データ23cとして記憶部23に記憶される。なお、このエッジ抽出については、公知の手法、例えば、ハイパスフィルタ、ソーベルフィルタ、ラプラシアンフィルタ、キャニーフィルタなどの種々のフィルタを用いた手法を採用可能である。また、所定の画像処理としては、上記エッジ抽出処理のように、エッジに着目した画像処理に限られず、例えば、表示パターンの輝度分布や、表示パターンが文字である場合にはその書体的特徴等、表示パターンの特徴を示す特徴量を抽出することができる画像処理であればよい。
【0019】
相関率算出部25は、エッジ抽出処理画像データ23cと判定基準データ23dとの相関率を算出する。上述のように、判定基準データ23dは、各表示パターンのエッジ抽出処理画像データである。そして、相関率は、エッジ抽出処理画像データ23cに対する各判定基準データ23dの2次元相互相関を実行することにより算出される。本実施形態において、2次元相互相関は、各判定基準データ23dを取得した位置の近傍の画像領域に対してのみ実施するようにしているが、エッジ抽出処理画像データ23cの全体の画像領域に対して実施するようにしてもよい。
【0020】
相関率判定処理部26は、相関率算出部25にて算出された相関率と記憶部23に記憶されている基準相関率データ23eとを比較することにより、各駐車マスに車両が駐車されているか否かを判定する。なお、相関率判定処理部26による判定結果を判定結果データとして記憶部23に記憶させるようにしてもよい。
なお、本発明にかかる判定手段は、本実施形態においては、相関率算出部25および相関率判定処理部26により構成されているといえる。
【0021】
出力部27は、相関率判定処理部26による判定結果等を出力する。出力された判定結果データは、駐車場管理システム等に送られて管理されたり、駐車場の駐車状況を示す表示板等に反映されたりする。
【0022】
(2)駐車検出処理:
本実施形態においては、上述の構成において図2に示すフローチャートに従って駐車検出処理を実行する。同図において、最初に、カメラ10によって駐車検出対象エリアとなる駐車場を所定の高さの位置から俯瞰撮影する(ステップS100)。この撮影画像は、I/F21を介して制御部20に取り込まれ、撮影画像データ23bとして記憶部23に記憶される。図3は、このようにして撮影される駐車検出対象エリアの例を模式的に示す図であり、図4は、撮影した画像の例を模式的に示す図である。本実施形態においては、図3および4に示すように、駐車検出対象エリアとして複数(図3中5つ)の駐車マスPS1〜PS5が含まれており、各駐車マスPS1〜PS5には、表示パターンとして、「バス」という文字がそれぞれ表示されている場合を例示する。
【0023】
次に、ステップS110において、変数nを"1"に初期化する。この変数nは、最大値をNとする整数であり、Nは駐車検出処理にて駐車と空車とが判定される駐車マスの数である。また、本実施形態においては、変数nの値は各駐車マスにそれぞれ対応しており、変数nの値に応じて、これに対応する駐車マス毎に後述の各処理が実施される。
ステップS120では、エッジ抽出処理部24により撮影画像データ23bに対してエッジ抽出処理が実行される。このエッジ抽出処理が施されたデータが判定対象データであり、エッジ抽出処理画像データ23cとして記憶部23に記憶される。図5は、このようにして作成されるエッジ抽出処理画像の例を模式的に示す図である。同図において、駐車マスPS4には車両Vが駐車されており、「バス」の文字は画像上には現れていない。なお、このエッジ抽出処理は、上述のように公知の方法を利用することができる。
【0024】
ステップS130にて、相関率算出部25により、ステップS120において作成したエッジ抽出処理画像データ23cと判定基準データ23dとの相関率が算出される。すなわち、相関率算出部25は、エッジ抽出処理画像データ23cに対して、駐車検出対象の駐車マスの1つに対応する判定基準データ23dの2次元相互相関を実行して相関率を算出する。本実施形態において、判定基準データ23dは、図6に示すように、予め各駐車マスPS1〜PS5が空車の状態で撮影された画像から作成されたデータであり、各駐車マスPS1〜PS5の表示パターンである「バス」という文字が含まれる画像領域にエッジ抽出処理を施した画像データである。
【0025】
図7に示すようなエッジ抽出処理画像データ23cにおいて、駐車マスPS1のように、検出対象の駐車マスが空車状態である場合、この駐車マスPS1に対応する判定基準データ23dとの2次元相互相関を実施すると比較的大きな値の相関率が算出される。一方、駐車マスPS4のように、検出対象の駐車マスに車両Vが駐車している場合は、車両Vにより表示パターンが隠されているので、当該駐車マスに対応する判定基準データ23dとの相関率は小さな値が算出される。このように、車両が駐車している場合と空車の場合とでは算出される相関率の値の大きさに明確な差が表れる。
【0026】
なお、本実施形態において、2次元相互相関は、判定基準データ23dと、エッジ抽出処理画像データ23c上の各判定基準データ23dを取得した位置座標と同じ位置座標の画像領域の近傍と、により実施するようにしている。すなわち、判定基準データ23dを、エッジ抽出処理画像データ23c上の判定基準データ23dの位置座標と同じ位置座標の近傍に対して走査させて実施するようにしている。これにより、俯瞰撮影するために比較的高所に設置されたカメラ20が風の影響等により揺れた際に撮影された画像に基づいて作成されたエッジ抽出処理画像データ23cに対して2次元相互相関を実施する場合であっても、正確な相関率を算出することができる。
【0027】
ステップS140では、相関率判定処理部26により、ステップS130において算出された相関率と、記憶部23に予め記憶されている基準相関率データ23eと、を比較して、検出対象駐車マスの駐車の有無を判定する。すなわち、この基準相関率データ23eに基づいて、相関率が所定の値よりも高い場合は空車であると判定し、そうでない場合は当該駐車マスに車両が駐車されていると判定する。この判定結果は、ステップS150にて記憶部23に記憶される。また、上述のように、この判定結果データを出力部27を介して外部に出力し、駐車場の駐車状況を表示する表示板等の表示に反映するようにしたり、駐車場管理システム等に送って管理するようにしたりしてもよい。
【0028】
なお、本発明にかかる判定工程は、本実施形態においては、ステップS130の相関率算出処理およびステップS140の相関率判定処理からなるといえる。
【0029】
ステップS160においては、変数nが最大値Nに達しているか否か、すなわち、すべての駐車マスについての駐車の有無を判別したか否かを判別する。変数nが最大値Nに達していると判別されなければ、ステップS170において変数nをインクリメントし、ステップS120以降の処理を繰り返して他の駐車マスについての駐車の有無を判別する。変数nが最大値Nに達していると判別されれば、駐車判別処理を終了する。なお、通常、駐車場の駐車状況は常時監視されていることが好ましく、したがって、この駐車判別処理を繰り返し実行することが好ましい。
【0030】
このように、本実施形態においては、撮影画像における位置および形状の変化や抽出されるエッジ情報の変動が比較的少ない表示パターンから、駐車と空車との判定の基準となる判定基準データ23dを作成し、これに基づいて駐車と空車とを判定するようにしている。これにより、従来のように車両から抽出されるエッジ情報に基づいて駐車検出する場合と比較して、正確に駐車検出することができる。
【0031】
なお、上述のステップS130における2次元相互相関による相関率の算出は、各判定基準データ23dを取得した位置の近傍の画像領域に対してのみ実施するようにしたが、エッジ抽出処理画像データ23cの全体の画像領域に対して実施してもよい。エッジ抽出処理画像データ23cの全体の画像領域に対して実施する場合には、ステップS140の相関率判定処理における相関率の比較と併せて、画像上の検出対象駐車マスに対応する表示パターンの位置と相関率算出位置の座標とを比較し、これらに基づいて駐車と空車とを判定するようにすればよい。
【0032】
また、上記構成に加えて、判定基準データを更新する更新手段を備えるようにしてもよい。これにより、表示パターンの劣化等による形状の変化の状態に応じた判定基準データが新たに作成されるので、所望の判定精度を維持することができ、より正確に駐車検出することができる。この更新手段により判定基準データを更新する形態としては、例えば、目視により劣化状態を確認して必要に応じて更新する形態や、定期的に更新する形態、相関率の数値が所定値に満たなくなった際に更新するなど、駐車検出処理時に算出される相関率の数値に基づいて更新する形態等とすることができる。
【0033】
さらに、上述の実施形態においては、駐車検出対象エリアに含まれる駐車マスが5つである例を示したが、これに限定されず、6以上の駐車マスを含むようにしてもよいし、4以下の駐車マスが含まれるようにしてもよい。この場合、駐車検出対象エリアに含まれる駐車マスの数と処理速度を勘案して、複数の制御部を用いて並列処理を実行するようにしてもよい。また、より広大な駐車場の駐車検出をする際には、複数のカメラにより複数の駐車検出対象エリアを撮影した画像について、順次駐車検出処理を実施するようにしたり、複数の駐車検出装置により複数の駐車検出対象エリアの駐車検出をするようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1;駐車検出装置、10;カメラ、20;制御部、21;インターフェース(I/F)、22;CPU、23;記憶部、23a;駐車検出プログラム、23b;撮影画像データ、23c;エッジ抽出処理画像データ、23d;判定基準データ、23e;基準相関率データ、24;エッジ抽出処理部、25;相関率算出部、26;相関率判定処理部、27;出力部、PS1〜PS5;駐車マス、V;車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パターンを有する複数の駐車マスを撮影した画像に基づいて、当該複数の駐車マスのそれぞれについての駐車の有無を検出する駐車検出装置であって、
前記複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影する撮影手段と、
前記画像に所定の画像処理を施す画像処理手段と、
前記駐車検出対象エリアの画像に前記所定の画像処理を施した判定対象データと、予め前記複数の駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となる判定基準データと、を比較して前記複数の駐車マス毎の車両の有無を判定する判定手段と、を備え、
前記判定基準データは、前記複数の駐車マスにそれぞれ対応する前記表示パターンが撮影された前記駐車検出対象エリアの画像から取得した前記表示パターンを含む画像領域に前記所定の画像処理を施したデータであることを特徴とする駐車検出装置。
【請求項2】
前記判定基準データを更新する更新手段を更に備える請求項1記載の駐車検出装置。
【請求項3】
前記所定の画像処理は、前記画像からエッジ情報を取得する画像処理であり、
前記判定手段は、前記判定基準データと、前記判定対象データの前記判定基準データに対応する領域のデータと、の前記エッジ情報の相関率を算出し、当該相関率に基づいて前記駐車マスの車両の有無を判定する請求項1または2記載の駐車検出装置。
【請求項4】
表示パターンを有する複数の駐車マスを撮影した画像に基づいて、当該複数の駐車マスのそれぞれについての駐車の有無を検出する駐車検出方法であって、
前記複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影する撮影工程と、
前記画像に所定の画像処理を施す画像処理工程と、
前記駐車検出対象エリアの画像に前記所定の画像処理を施した判定対象データと、予め前記複数の駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となる判定基準データと、を比較して前記複数の駐車マス毎の車両の有無を判定する判定工程と、を備え、
前記判定基準データは、前記複数の駐車マスにそれぞれ対応する前記表示パターンが撮影された前記駐車検出対象エリアの画像から取得した前記表示パターンを含む画像領域に前記所定の画像処理を施したデータであることを特徴とする駐車検出方法。
【請求項5】
前記判定基準データを更新する更新工程を更に備える請求項4記載の駐車検出方法。
【請求項6】
前記所定の画像処理は、前記画像からエッジ情報を取得する画像処理であり、
前記判定工程は、前記判定基準データと、前記判定対象データの前記判定基準データに対応する領域のデータと、の前記エッジ情報の相関率を算出し、当該相関率に基づいて前記駐車マスの車両の有無を判定する請求項4または5記載の駐車検出方法。
【請求項7】
表示パターンを有する複数の駐車マスを撮影した画像に基づいて、当該複数の駐車マスのそれぞれについての駐車の有無を検出する駐車検出プログラムであって、
前記複数の駐車マスを含む駐車検出対象エリアの画像を撮影する撮影機能と、
前記画像に所定の画像処理を施す画像処理機能と、
前記駐車検出対象エリアの画像に前記所定の画像処理を施した判定対象データと、予め前記複数の駐車マス毎に設定された車両の有無の判定の基準となる判定基準データと、を比較して前記複数の駐車マス毎の車両の有無を判定する判定機能と、をコンピュータに実現させ、
前記判定基準データは、前記複数の駐車マスにそれぞれ対応する前記表示パターンが撮影された前記駐車検出対象エリアの画像から取得した前記表示パターンを含む画像領域に前記所定の画像処理を施したデータであることを特徴とする駐車検出プログラム。
【請求項8】
前記判定基準データを更新する更新機能を更に実現させる請求項7記載の駐車検出プログラム。
【請求項9】
前記所定の画像処理は、前記画像からエッジ情報を取得する画像処理であり、
前記判定機能は、前記判定基準データと、前記判定対象データの前記判定基準データに対応する領域のデータと、の前記エッジ情報の相関率を算出し、当該相関率に基づいて前記駐車マスの車両の有無を判定する請求項7または8記載の駐車検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−170812(P2011−170812A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36606(P2010−36606)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】