説明

駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システム

【課題】格納される充電式移動体を充電装置に接続して充電を行いつつ、充電式移動体の充電状況や故障の有無を確実に把握し得、迅速な対応を行い得る駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムを提供する。
【解決手段】駐車装置Pに充電装置11を装備し、該駐車装置Pに充電式移動体としての電気自動車Mを格納した状態で、該電気自動車Mを充電装置11に接続して充電を行うよう構成し、前記駐車装置Pには、前記充電装置11に接続される電気自動車Mの充電状況を含む保守診断情報及び故障情報を、駐車装置Pの主制御盤12を介して取り込んで送信する駐車場情報端末13を設け、該駐車場情報端末13から送信される前記保守診断情報及び故障情報を管理センター14で受信して電気自動車Mの利用者Uへ伝える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、限られた敷地に効率良く車両を駐車させる装置として、垂直循環式のタワーパーキングやエレベータパーキング等の機械式の駐車装置が用いられている。
【0003】
前記駐車装置としての垂直循環式のタワーパーキングは、図2に示される如く、建屋(図示せず)の上部に設置された上フレーム1に一対の上スプロケット2をその回転軸方向へ所要間隔をあけて回転自在に配設すると共に、前記建屋の下部に設置された下フレーム1´に一対の下スプロケット3をその回転軸方向へ所要間隔をあけて回転自在に配設し、前記上スプロケット2と下スプロケット3間に主務チェーン4を無端状に掛け回し、該二条の主務チェーン4によって多数のケージ5を支持してなる構成を有している。
【0004】
前記上スプロケット2には、回転駆動系統6としてブレーキ7を備えたモータ8が減速機9を介して接続されており、該モータ8による上スプロケット2の回転駆動によって主務チェーン4を周回させ、前記ケージ5を循環させるようになっている。尚、図2には上下端に位置する二基のケージ5のみ示してあり、他のケージ5は省略してある。
【0005】
前記ケージ5は、水平方向へ延びるケージ吊軸5aの両端部に、リング状のハンガー5bを吊り下げるように設け、該ハンガー5bの下辺間に車載用のパレット5cを掛け渡すように取り付けてなる構成を有し、前記ケージ吊軸5aの両端部を、主務チェーン4に取り付けられたアタッチメント10間に掛け渡すように連結してある。
【0006】
尚、前述の如き駐車装置では、昇降駆動装置やチェーン等の各部の保守点検を行う必要があるが、この種の駐車装置の作動状態を定量的に監視し、その情報に基づいて管理センターで保守の必要を判断することで定量的な機器の管理が遠隔でできるようにした駐車装置の遠隔保守システムを示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3996492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年の地球温暖化の大きな原因の一つと考えられている二酸化炭素削減の観点から、有害排出物が無く(ゼロエミッション)且つ音も静かな環境にやさしい乗り物である充電式移動体としての電気自動車の需要が高まっているが、前述の如き従来の駐車装置は、そのほとんどが現行のエンジンを搭載した自動車を対象としたものであり、電気自動車等の充電式移動体を想定したものではないため、当然のことながら、充電装置等は装備されていないのが現状であった。
【0009】
そこで、前記駐車装置に充電装置を装備し、該駐車装置に充電式移動体を格納した状態で、該充電式移動体を充電装置に接続して充電を行うようにすることが、本発明者によって提案されている。
【0010】
しかしながら、前述の如く、駐車装置に充電装置を単に装備しただけでは、万一、充電がうまく行われていなかったり、故障が発生していた場合に、その状況を把握することは困難となっていた。
【0011】
尚、特許文献1に開示されているシステムは、あくまでも駐車装置自体の保守管理に関するものであり、電気自動車等の充電式移動体については何ら考慮されていないものである。
【0012】
本発明は、斯かる実情に鑑み、格納される充電式移動体を充電装置に接続して充電を行いつつ、充電式移動体の充電状況や故障の有無を確実に把握し得、迅速な対応を行い得る駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、駐車装置に格納される充電式移動体を充電装置に接続して充電を行うようにした駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムであって、
前記充電装置に接続される充電式移動体の充電状況を含む保守診断情報及び故障情報を、駐車装置の主制御盤を介して取り込んで送信する駐車場情報端末と、
該駐車場情報端末から送信される前記保守診断情報及び故障情報を受信して充電式移動体の利用者へ伝える管理センターと
を備えたことを特徴とする駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムにかかるものである。
【0014】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0015】
前記駐車装置に充電式移動体を格納した状態で、該充電式移動体を充電装置に接続して充電を行うと、該充電装置に接続される充電式移動体の充電状況を含む保守診断情報及び故障情報が、駐車装置の主制御盤を介して駐車場情報端末に取り込まれ、該駐車場情報端末から送信される前記保守診断情報及び故障情報が管理センターに受信されて、該管理センターから充電式移動体の利用者へ伝えられる。
【0016】
この結果、前記駐車装置に電気自動車を格納したときに、利用者は保守診断情報に基づいて電気自動車のバッテリーの状態並びに走行モータ等の機器やその他の構成部品の劣化の度合い等を確認して、点検時期や交換時期等を把握できると共に、万一、何らかのトラブルで電気自動車への充電がうまく行われていなかったり、故障が発生していた場合には、必要に応じて電気自動車のメーカーへの連絡を取ることも可能となる。
【0017】
前記駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムにおいては、緊急を要する故障情報は、前記管理センターから駐車装置の最寄のサービスセンター又は直接サービスエンジニアへ通報し、該サービスセンターのサービスエンジニア又は直接通報を受けたサービスエンジニアを現場へ急行させて対応処置を行わせることが有効となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムによれば、格納される充電式移動体を充電装置に接続して充電を行いつつ、充電式移動体の充電状況や故障の有無を確実に把握し得、迅速な対応を行い得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示す全体概要構成図である。
【図2】従来における駐車装置としての垂直循環式タワーパーキングの一例を示す概要斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明の実施例であって、駐車装置Pに充電装置11を装備し、該駐車装置Pに充電式移動体としての電気自動車Mを格納した状態で、該電気自動車Mを充電装置11に接続して充電を行うよう構成する。
【0022】
尚、前記電気自動車Mと充電装置11との接続は、該充電装置11に設けられた図示していないコンセントに対し、電気自動車Mから延びる充電ケーブルのプラグ(図示せず)を差し込むことによって行うようにしてある。
【0023】
そして、前記駐車装置Pには、前記充電装置11に接続される電気自動車Mの充電状況を含む保守診断情報及び故障情報を、駐車装置Pの主制御盤12を介して取り込んで送信する駐車場情報端末13を設け、該駐車場情報端末13から送信される前記保守診断情報及び故障情報を管理センター14で受信して電気自動車Mの利用者Uへ伝えるよう構成してある。
【0024】
ここで、前記保守診断情報及び故障情報は、電気自動車Mの自己診断結果に基づいて得られる情報であって、前記保守診断情報としては、例えば、バッテリーの状態並びに走行モータ等の機器やその他の構成部品(ベアリング、ブレーキパッド、ギア、シール等)の劣化の度合い等を挙げることができ、該構成部品の劣化の度合いに関しては、走行距離や新品からの経過年月(或いは交換時からの経過年月)等を積算することによって割り出され、データとして記憶されるようになっている。
【0025】
前記駐車場情報端末13から管理センター14への保守診断情報及び故障情報の信号データ送信は、有線でも無線でも可能であり、又、前記管理センター14から電気自動車Mの利用者Uへの情報伝達は、該利用者Uの自宅或いは勤務先の電話や本人の携帯電話を利用した音声及び電子メール等での通知や、インターネット上において閲覧することが可能である。
【0026】
更に、緊急を要する故障情報は、前記管理センター14から駐車装置Pの最寄のサービスセンターSC又は直接サービスエンジニアSEへ通報して故障時対応出動要請を行い、該サービスセンターSCのサービスエンジニアSE又は直接通報を受けたサービスエンジニアSEを現場へ急行させて対応処置を行わせるようにしてある。
【0027】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0028】
前記駐車装置Pに電気自動車Mを格納した状態で、該電気自動車Mを充電装置11に接続して充電を行うと、該充電装置11に接続される電気自動車Mの充電状況を含む保守診断情報及び故障情報が、駐車装置Pの主制御盤12を介して駐車場情報端末13に取り込まれ、該駐車場情報端末13から送信される前記保守診断情報及び故障情報が管理センター14に受信されて、該管理センター14から電気自動車Mの利用者Uへ伝えられる。
【0029】
この結果、前記駐車装置Pに電気自動車Mを格納したときに、利用者Uは保守診断情報に基づいて電気自動車Mのバッテリーの状態並びに走行モータ等の機器やその他の構成部品の劣化の度合い等を確認して、点検時期や交換時期等を把握できると共に、万一、何らかのトラブルで電気自動車Mへの充電がうまく行われていなかったり、故障が発生していた場合には、必要に応じて電気自動車Mのメーカーへの連絡を取ることも可能となる。
【0030】
又、前記故障情報が緊急を要する場合には、前記管理センター14から駐車装置Pの最寄のサービスセンターSC又は直接サービスエンジニアSEへ通報されて故障時対応出動要請が行われ、該サービスセンターSCのサービスエンジニアSE又は直接通報を受けたサービスエンジニアSEが現場へ急行して対応処置を行うため、極めて迅速な対応が可能となる。
【0031】
こうして、格納される電気自動車Mを充電装置11に接続して充電を行いつつ、電気自動車Mの充電状況や故障の有無を確実に把握し得、迅速な対応を行い得る。
【0032】
尚、本発明の駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、充電式移動体としては、乗用車タイプの電気自動車に限らず、一人乗りの充電式移動体にも適用可能なこと、又、駐車装置としては、タワーパーキング(垂直循環式)に限らず、エレベータパーキング(エレベータ方式)、コンベイパーキング(円形循環方式)、ボックスコンベイパーキング(箱形循環方式)、スクエアパーキング(水平循環方式)、シャトルパーキング(平面往復方式)、二多段式パーキングといった駐車装置にも適用可能なこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
11 充電装置
12 主制御盤
13 駐車場情報端末
14 管理センター
P 駐車装置
M 電気自動車(充電式移動体)
U 利用者
SC サービスセンター
SE サービスエンジニア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車装置に格納される充電式移動体を充電装置に接続して充電を行うようにした駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システムであって、
前記充電装置に接続される充電式移動体の充電状況を含む保守診断情報及び故障情報を、駐車装置の主制御盤を介して取り込んで送信する駐車場情報端末と、
該駐車場情報端末から送信される前記保守診断情報及び故障情報を受信して充電式移動体の利用者へ伝える管理センターと
を備えたことを特徴とする駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システム。
【請求項2】
緊急を要する故障情報は、前記管理センターから駐車装置の最寄のサービスセンター又は直接サービスエンジニアへ通報し、該サービスセンターのサービスエンジニア又は直接通報を受けたサービスエンジニアを現場へ急行させて対応処置を行わせる請求項1記載の駐車装置における充電式移動体の情報自動通報システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−48430(P2011−48430A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193948(P2009−193948)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】