説明

骨インプラント及びその製造方法

【課題】細長い骨粒子に由来する骨インプラント、その製造方法およびこれらを用いた骨欠陥治療方法を提供する。
【解決手段】生体適合性流体担体と混合した、絡み合った細長い骨粒子の凝集性の集合体を含む骨インプラント10であって、前記骨インプラント10は、0.5〜2.0g/cm3の密度を有し、少なくとも一端に、他のインプラントとの組み合わせを容易にするタブ11を有するストリップとして形成される可撓性の骨インプラント10が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い骨粒子の凝集性の集合体から構成される骨由来のインプラント、すなわち骨インプラント、及びその製造方法に関する。多くの適用例のなかで、本明細書における骨インプラントは、例えば、脊椎固定術に使用するためのストリップ、特に後側方固定(PLF)術に有用な溝形のインプラント、並びに、部位に流し込んで成型し、骨折した骨片の間、骨突起の間、又は大きな内腔の内部に封じ込めることのできるパテ様の材料など、骨欠陥の修復に使用するために様々な構造及びサイズに作成することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明は2003年6月11日に出願された米国特許仮出願第60/478,130号の利益を主張し、その全体を参照によって援用する。
骨由来のインプラントは、人間及び動物の整形外科的治療におけるさまざまな医療上の困難に対処するために幅広く使用されてきた。そのようなインプラントの使用は既に、例えば、美容及び、再建外科、歯科再建外科、足病学、整形外科、神経外科、並びに硬組織を含む他の医療分野へも普及している。(患者から移植源が提供される)自家骨、(同種間の他の個体から移植源が提供される)同種骨又は(異種間の他の個体から移植源が提供される)異種骨の使用は、人間医学及び獣医学の両方で周知である。特に、移植された骨を使用して、支持し、治癒を促進し、骨の空間を充填し、骨要素(椎体など)を隔離し、固定を促進する(骨同士が互いに成長して単一の密な単位になるように誘導する)又は骨折部位を安定させることが周知である。最近では、処理した骨を、新しい外科的適用に使用するための形状にする、又は以前は非生体由来材料を使用していたインプラントのための新材料とする、などの開発が進められている。
【0003】
骨伝導材料とは、骨の成長を刺激せずに導く材料である。例として骨片及びセラミックがある。骨誘導材料は実際に骨を形成させ、その結果より早く確実な治癒を可能にする。骨誘導材料の例には、海綿骨、脱無機質化骨及び様々な成長因子がある。最も一般的な骨誘導材料源は患者自身の骨である。一般に脊椎手術では、腸骨稜から骨片及び骨髄の形で採取される。これは効果的であるが、(採取部位に)2次損傷を引き起こすことがあり、使用前の準備を必要とする。更に、定位置に維持することは半流動的な性質のためにある程度の困難を伴う。
【0004】
脱無機質化骨は骨誘導材料として骨片及び骨髄に代わるものである。脱無機質化骨を含む成分は、ゲル、ペースト、繊維、シートなど、様々な形態をとる。骨粉を使用して作られたものなど、より流動的な成分は、修復部位に移植することは容易であるが、定位置に維持することは難しい。骨粉から作られたものとは対照的に、細長い骨粒子を使用した骨インプラントは、移植された形状及び塊を維持し、体液及び灌注液による腐食を防ぎ、又は遅らせることがより可能である。細長い骨粒子及びその製造方法は、特に米国特許第5,314,476号、5,507,813号、5,607,269号、及び6,436138号、2002年5月2日出願の係属中の米国特許出願第10/137,862号(代理人整理番号285〜158 PCT CIP)、及びWO03/082159号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、細長い骨粒子に由来する骨インプラントを提供することである。
本発明の目的は特に、細長い骨粒子の凝集性の集合体から構成される所定の形状及び寸法の骨インプラントを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、骨インプラントが血液などの流体を容易に吸収しながらも原形を維持できるようにする開口性の細孔構造を有する低密度の骨インプラントを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、水分を除去したときに可撓性であり乾燥状態で移植することのできる細長い骨粒子から作製された骨インプラントを提供することである。
本発明の更に別の目的は、上述の特徴を有する骨インプラントの製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の更に別の目的は、上述の特徴を有する骨インプラントを使用する骨欠陥治療方法を提供することである。
本発明の他の特定の目的は、例えば側湾症を治療するための固定術などの脊椎固定術において、ストリップの形態の骨インプラントの提供、及びストリップの使用を含む。
【0009】
更に本発明の別の特定の目的は、外科医が術中に骨修復部位に一致させるように成型することが容易である、パテ様材料の形での骨インプラントの提供である。
更に本発明の別の特定の目的は、溝形の骨インプラントの製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で使用される用語「骨インプラント」は、骨形成又は治癒を助け又は補強する、移植のための任意のデバイス又は材料のことをいう。骨インプラントは、例えば、損傷、術中にもたらされた欠損、感染、悪性腫瘍、又は発育性変形などによる骨欠陥部位にしばしば適用される。本明細書における骨インプラントは、例えば、単純及び複雑骨折及び癒合不全の修復、創外固定及び内固定、関節固定術などの関節再建、一般的な関節形成、欠損部充填、椎間板切除、椎弓切除、前方頚椎及び胸椎手術、脊椎固定など、様々な整形外科、神経外科、並びに口腔及び顎顔面外科手術のいずれかでの使用に必要とされる適切なサイズ及び形状にすることができる。したがって、本明細書における骨インプラントは、骨部位に移植するためのものとし、例えば、骨又は骨粒子、生体適合性合成材料、それらの組合せなど生体適合性材料(1つ又は複数)から作製し、動物及び人間のいずれかに使用するように設計することができる。特に、本開示による使用に適した骨インプラントは、骨インプラントを作製する特定の材料、或いは内腔のサイズ又は形状によって制限されない、任意の骨インプラントとする。
【0011】
用語「生体適合性」及び移入と同様の表現は、インプラントへの望まない生体反応の刺激がないことを意味し、生体内にほとんどの異物を移植することに伴って起こる可能性があり、正常な治癒反応にも関連する軽度の一過性炎症、及び/又は造粒反応とは区別されるものであると理解される。本発明に有用な材料は、移植時に上述の条件を満たすように十分に小さく凝縮される場合、生体適合性とする。
【0012】
本明細書で使用される用語「粒子」は、例えば繊維、撚糸、細いストラップ、薄いシート、細片、破片、粉末などの、規則的、不規則的、又はランダムな形状を有するあらゆる形状、サイズ、厚さ、及び構造の骨片を含むものとする。本発明による粒子の製造において、ある程度の寸法の差異が生じること、及びそのような寸法の差異を有する粒子は本発明の範囲内であることを理解されたい。ここで有用な粒子とは同種起源、異種起源とすることができ、ヒト、異種及び/又は遺伝子組替え材料の混合を含むことができる。
【0013】
本明細書で使用される用語「ヒト」は、適切な移植可能材料源に関して、被移植者の少なくとも1部位から採取され、被移植者の別の部位に移植される自家骨、並びに被移植者以外のドナーから採取された骨である同種骨のことをいう。
【0014】
本明細書で使用される用語「自家移植」は、移植の対象となる被移植者から抽出した組織のことをいう。
本明細書で使用される用語「同種移植」は、対象となる被移植者と同種の別の個人から採取した、移植を目的とする組織のことを言う。
【0015】
本明細書で使用される用語「異種移植」は、対象となる被移植者とは異種のドナー源から採取した、移植を目的とする材料のことを言う。例えば、インプラントがウマなどの動物での使用を目的とするとき、例えばウシ、ブタ、ヤギなどの異種組織源が適切となり得る。
【0016】
本明細書で使用される用語「遺伝子組換え」は、異なる種類のゲノムから採取したある遺伝子配列をゲノム内に含むように遺伝子的に改変された生体から採取される移植を目的とする組織のことをいう。異なる種類は、通常、移植対象の被移植者と同じ種類であるが、そのような制限は例において使用されているのみに過ぎず、本開示をどのようにも制限するものではない。
【0017】
表現「全骨」及び「ほぼ完全に無機質化した骨」は、完全な、又はほぼ完全な本来の無機質含有量を含む骨のことをいう。
表現「脱無機質化骨」は、部分的、全体的、区画的、又は表面的(表面)に脱無機質化した骨を含む。
【0018】
本明細書で使用される表現「ほぼ完全に脱無機質化した骨」は、本来の無機質含有量の約8%未満を含む骨のことをいう。
骨プラグ及び/又はその細長い骨粒子成分に適用される用語「骨原性」は、骨インプラントが、例えば骨形成、骨伝導及び/又は骨誘導など、1つ又は複数のメカニズムによって、新しい骨組織の成長を容易にし、又は促進する能力のことをいうものであると理解される。
【0019】
用語「骨誘導性」は、新しい骨を形成し骨組織を修復する可能性のある宿主から細胞を補充する物質のメカニズムのことをいうものであると理解される。ほとんどの骨誘導材料は、軟組織で異所性の骨の形成を刺激できる。
【0020】
用語「骨伝導性」は、非骨誘導的な物質が適切なテンプレート又は基板として働き、それに沿って骨が成長することのできる、骨誘導メカニズムのことをいうものであると理解される。
【0021】
用語「骨形成」は細胞性の骨形成のことをいうものであると理解される。
本明細書で使用される用語「デバイス」は、主に非骨材料から作製される任意の骨インプラントのことをいうものである。このようなデバイスは一般に、例えば外科用バイオグラス(Bioglass)(登録商標)などの生体適合性金属、例えば生体適合性ポリマー材料、例えばポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレンなど、又は他の適切な生体適合性非骨材料など、生体適合性インプラントの製造に広く使用されている材料から作製される。
【0022】
本明細書で細長い骨粒子の集合体に適用される用語「成形された」は、(塊又は他の特定の形態を持たない固体マトリクスの場合のように)不明確又はあいまいな形状又は構造と対照的に、明確な又は一定の形状又は構造のことをいい、シート、プレートディスク、コーン、ピン、ねじ、管、歯、骨、骨部分、ウェッジ、シリンダ、ねじ込み式シリンダなど、及び他のより複雑な形状構造などの材料を特徴とする。
【0023】
細長い骨粒子の集合体に適用される用語「凝集性の(coherent)」は、例えば絡み合いによって、又は生体適合性結合剤もしくは接着剤を使用して、骨粒子が互いに接着する能力のことをいう。
【0024】
用語「3次元の」は、細長い骨粒子の凝集性の集合体が所望の形状及びサイズを呈することのできる能力のことをいう。
骨インプラントの一実施形態を構成する細長い骨粒子の凝集性の集合体に適用される用語「開口性の細孔構造」は、集合体の全容積を通して見られる出入り可能な複数の孔又は開口を有する骨インプラントの、低密度、吸収性、スポンジ様の性質のことをいうものと理解されたい。
【0025】
本明細書で使用される用語「一体化」は、宿主組織が徐々に、本発明の骨インプラントを未処理の宿主骨組織に代替する生体的メカニズムのことをいう。この現象は「骨リモデリング」又は「細胞のリモデリング」及び「創傷治癒反応」という科学用語としても知られている。したがって、本明細書で使用される用語「一体化」は、上述の表現によって当業者が思いつくものを包含すると理解されたい。
【0026】
本明細書で使用される用語「さらなる処置」は、例えば、凍結乾燥、相互連結処置、再無機質化、安定化など、骨インプラントを作製する段階の前、最中、又は後のいずれかで行う処置、並びに例えば機械加工、レーザーエッチング、溶接、部品組立て、切断、切削、反応性エッチングなどの後処理処置のことをいう。
【0027】
特に有用な本発明の別の実施形態は、開口性の細孔構造及び低かさ密度を有する細長い骨粒子の凝集性の集合体、又はマトリクスとして提供される。集合体の開口性の細孔構造によって骨インプラントは周囲の液体に高い吸収性を示す。集合体から形成される骨インプラントは乾燥状態のとき(6重量パーセント未満の水分を含むとき)可撓性であり、移植前に時間を要する再水和の必要がない。どのような所望の形状及び/又は構造をとることも可能であり、集合体が流体を吸収する前及び/又は後で、例えば外科用はさみなどで所望の寸法に切断することができる。湿潤/水和状態であっても骨インプラントは本来の形状及び密集性を維持し、医師はそれを容易に扱うことができる。
【0028】
骨誘導性は、無胸腺ヌードラットの異所性の部位に形成された骨量として簡便に定量化することができる。スコアは0〜4で評価される。本発明の骨インプラントは、Edwards JT、Diegmann MH、Scarborough NL、Osteoinduction of Human demineralized Bone: Characterization in an Animal Model、Clin.Orthop.Rel.Res.357:219 228(1998年)に記載されているように、無胸腺ラットの試験で測定すると少なくとも約2、一般には少なくとも約3の骨誘導性を示す。
【0029】
本発明の骨インプラントは、骨インプラントの多孔性マトリクス内部及び/又は骨インプラントに形成された大きな内腔、陥凹部などの内部に導入することのできる、多種多様な生体適合性物質と組み合わせることができる。したがって、インプラントは骨成長誘導物質及び/又は他の医療的に有用な物質のための非常に効果的な担体及び/又は送達伝播体として機能する。
【0030】
更に、多量の細長い脱無機質化した骨粒子を提供することと、好ましくは約5〜約40体積パーセントの膨張し、水和した骨粒子を含む流体混合物を得るために細長い脱無機質化した骨粒子を水性の湿潤剤と混合することと、液体混合物をモールド内に置くことと、
好ましくは開口性の細孔構造の1つであり、例えば約3.0g/cm未満、好ましくは約2.5g/cm未満、より好ましくは約1.5g/cm未満の低かさ密度を有する、細長い骨粒子の有形の凝集性の集合体又はマトリクスを含む骨インプラントを得るために、例えば高温で圧力をほとんど加えずに流体混合物を加熱することによって、十分な量の水性の湿潤剤を取り除くこととを含む、骨インプラントの製造方法が本明細書において提供される。
【0031】
更に、本発明によれば、骨修復部位に、好ましくは開口性の細孔構造の1つであり、例えば約3.0g/cm未満程度、好ましくは約2.5g/cm未満、より好ましくは約1.5g/cm未満の低かさ密度を有する、細長い骨粒子の形状及び寸法の凝集性の集合体を含む骨インプラントを移植することを含む、骨の修復及び/又は治療方法が提供される。
【0032】
本発明の骨インプラントは実質的に体内のどのような骨修復部位にも容易に適用することができ、単独で又は1つ又は複数の補助的な医療デバイス及び/又は処置と組み合わせて使用することができる。本発明の骨インプラントは特に、例えば唾液及び/又は血液など大量の体液に接触し、又は自家骨(例えば部分骨、骨髄、又は腸骨稜など)が骨インプラントと一体化する、歯科再建術及び脊椎固定の領域での有用性が見出されている。体液を吸収し、その後も原形を維持するという骨インプラントの独自の能力は、医療分野で重大な進歩を示している。更に、生体インプラントの吸収性質により、骨形成に不可欠な細胞の吸着(wicking up)及び補充が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
骨インプラントの成分は、約5〜約100重量パーセントの完全に脱無機質化された及び/又は脱無機質化された細長い骨粒子で構成することができる。本明細書の骨インプラントに見られる少なくとも約50重量パーセント、好ましくは少なくとも約60重量パーセント、より好ましくは少なくとも約90重量パーセントの骨粒子は様々な細長形である。骨インプラントに任意で含むことのできる細長形でない骨粒子は、例えば粉末、チップなどの多種多様な寸法を有することができる。細長い骨粒子は、骨インプラントに多孔性及び吸収性を与える凝集性の集合体又はマトリクスを形成している。
【0034】
骨インプラントの骨成分は、皮質、海綿、及び/又は皮質海綿性同種組織、異種組織、又は遺伝子組換え骨組織から採取することができる。一般に、骨成分源としては同種骨組織が好ましい。骨成分は完全に無機質化する、又は部分的に又は完全に脱無機質化することができる。ブタ及びウシ骨は、骨粒子源として個別に、又は組み合わせて使用することのできる特に異種骨組織の好適な種類であるが、もちろん他の異種又は遺伝子組換え骨組織も使用することができる。完全に無機質化した骨と脱無機質化した骨の組合せも使用することができる。
【0035】
本発明の骨インプラントの製造に使用される骨粒子は一般に「細長い」、すなわち平均長さ対平均厚さの比率が比較的高いことが特徴付けられる。全体的な外観では、細長い骨粒子は、フィラメント、繊維、撚糸、細長い又は狭いストリップなどにすることができる。したがって、例えば細長い骨粒子は、約0.05〜約400mm、好ましくは約1〜約100mmの平均長さ、約0.05〜約2mm、好ましくは約0.08〜約1.5mmの平均幅、及び約10:1〜約2000:1、好ましくは約20:1〜約600:1の平均長さ対平均幅の比率を有することができる。所望であれば、細長い骨粒子を様々なサイズに格付けし、存在する可能性のある、より望ましくないサイズの粒子を減らす、又は除外することができる。
【0036】
細長い骨粒子は、例えば骨全体の表面又は骨の比較的大部分を切削又は薄削するなど、
様々な数種類の方法のいずれか1つによって、容易に得ることができる。切削技術を利用して、上述の寸法範囲内の少なくとも1つに相当する、少なくとも約20重量パーセントの骨粒子を含む細長い骨粒子の塊を得ることができる。
【0037】
特に長さ約100mmまでの骨片又は骨部分に有用な、細長い骨粒子を得る別の方法は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,607,269号に記載されている骨処理ミルである。この骨処理ミルを使用することにより、長さ方向に素早く屈曲し筒様の細長い骨粒子を提供する、長く細いストリップを製造することができる。次いで、これらの細長い骨粒子を任意で粉砕し、破砕し、細断し、又は断片化し、より細かい粒子を得ることができる。これは磨り潰しデバイス、すり鉢及びすりこ木、又は材料細断又は磨潰し用の他の従来の方法を使用して行うことができる。細長い骨粒子又は細断された断片は、無機無機質含有量を低減するために既知の従来の方法に従って任意で脱無機質化を行う。このような脱無機質化は細長い粒子を形成する前又は後に行うことができる。脱無機質化方法では、酸溶液を使用することによって骨の無機無機質成分を除去する。そのような方法は、当技術分野では周知であり、例えば、参照によって援用する、Reddiら、Proc.Nat.Acad.Sci.69、pp1601〜1605(1972年)を参照されたい。酸溶液の強度、骨粒子の形状、及び脱無機質化処理の時間長さによって、脱無機質化の程度が決定される。この点に関して、Lewandrowskiら、J.Biomed Materials Res、31、pp.365〜372(1996年)を参照することができ、これを参照により援用する。
【0038】
本明細書で使用される表現「表面的に脱無機質化した」は、表面を脱無機質化し、その結果表面にコラーゲンが露出した1つ又は複数の領域を有する骨粒子のことをいう。表現「部分的に脱無機質化した骨」は、本来の無機質含有量より少ないが本来の無機質含有量の約8重量パーセント以上を有する骨のことをいう。前述したように、「ほぼ完全に脱無機質化した骨」は、本来の無機質含有量の約8重量パーセント未満、通常は約3重量パーセント未満を含有する骨のこという。前述の種類の脱無機質化した骨粒子の、1つ又は複数の混合を使用することができる。更に、1つ又は複数の前述の種類の脱無機質化した骨粒子を、脱無機質化してない骨粒子、すなわち脱無機質化をされていない骨粒子と組み合わせて使用することもできる。完全に脱無機質化した骨粒子は、全骨又は表面的に脱無機質化した骨粒子に比べて、より多孔性の塊を生じることを、当業者であれば理解するであろう。
【0039】
表面的に脱無機質化した、又は脱無機質化してない骨粒子のみから全部又は一部を準備すると、骨インプラントは、例えば天然骨に近い圧縮強度など、かなり高い圧縮強度を有する傾向がある。したがって、例えば約5〜約200MPa、好ましくは約20〜約100MPa、より好ましくは約25〜約75MPa程度の圧縮強度の剛性を示す骨インプラントが所望されるとき、表面的に脱無機質化した骨粒子及び/又は非脱無機質化した骨粒子が有利に利用される。
【0040】
好ましい脱無機質化方法では、脱無機質化した骨粒子を後に採取する無機質化した比較的大きい骨片(1つ又は複数)、又はそのような無機質化した比較的大きい骨片(1つ又は複数)から採取された完全無機質化した骨粒子に、脱脂/消毒工程、次いで、酸脱無機質化工程を行う。好ましい脱脂/消毒溶液はエタノール水溶液であり、エタノールは優れた脂肪溶剤であり、水は溶液が骨粒子内により深く浸透することを可能にする、優れた親水性担体である。エタノール水溶液はまた、微生物及び細菌を殺すことによって骨を消毒する。最適な脂肪除去及び消毒を最短時間で行うために、通常、脱脂消毒液には少なくとも約10〜約40パーセントの水重量(すなわち、約60〜約90重量パーセントのアルコールなどの脱脂剤)が存在する。脱脂溶液の好ましい濃度範囲は、約60〜約85重量パーセントアルコール、及び最も好ましくは約70重量パーセントアルコールである。脱
脂の後、骨粒子を酸に長時間浸漬し、脱無機質化を行う。この工程で使用することのできる酸には、例えば塩化水素酸などの無機酸、及び例えば過酢酸などの有機酸がある。酸処置の後、酸の残余量を除去するために無菌水を注入して脱無機質化した骨粒子を洗浄し、それによりpHが上昇する。プラグを製造する際に使用される細長い骨粒子は、製紙工程に類似しており、自然に絡まり合い、又は例えばウェットレイ法を使用して機械的に絡まり合うものであり、前述のDowdらの米国特許第5,507,813号に、シート様の骨粒子の凝集性の塊をもたらすように記載されているが、これは乾燥及び/又は他の処理によって本発明の骨プラグに所望される構造に対応するものにする前又は後に、例えば切断や成型などによって後で成形することができるものである。
【0041】
所望であれば、骨粒子を凝集性の集合体にするために集合させる前又は後に、例えば、参照によってその内容を援用する、米国特許第4,743,259号及び4,902,296号に記載されているように、タンパク質含有量を増強又は改変するなど、1つ又は複数の方法で改変することができる。細長い骨粒子はまた、細長い骨粒子を所望の構造又はサイズにするように成形する前、間、又は後に、結合剤/充填剤、可塑剤、生物静力学/殺菌剤(biostatic/biocidal agents)、界面活性剤、薬物、DNAベクターなど、1つ又は複数の物質と混合することができる。細長い骨粒子を所望の物質の溶液又は拡散に浸透又は浸漬させることによって、細長い骨粒子と所望の物質、物質と粒子などの共押出し物を物理的に混合することによって、1つ又は複数の物質を骨粒子と結合することができる。
【0042】
適切な結合剤/充填剤には、シアノアクリレート、エポキシ系化合物、歯科レジン封止剤、歯科レジン接着剤、リン酸カルシウム及び硫酸カルシウム自己接着剤、グラスアイオノマー接着剤、ポリメチルメタクリレート、ゼラチン−レゾシノール−ホルムアルデヒド接着剤、タンパク質及びコラーゲン系接着剤、アクリルレジン、セルロース、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、グリコリド−ラクチドコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリアミノ酸、ポリアリレート、ポリシアノアクリレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリホスファゼン、及びポリビニルピロリドンのような生体吸収性ポリマー、炭水化物ポリマー、ポリイミノカーボネート、ポリプロピレンフマレート、ポリアンヒドリドエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサクリル、ヒアルロン酸、フィブリン、フィブリン−コラーゲン、ポリエチレングリコール接着剤、ムコ多糖体、イガイ接着タンパク質、脂肪酸及び脂肪酸誘導体などがある。
【0043】
他の適切な結合剤/充填剤には、骨粉、脱無機質化した骨粉、多孔性リン酸カルシウムセラミクス、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、バイオガラス(Bioglass)(登録商標)及び他のリン酸カルシウム材料、硫酸カルシウム、又はカルシウムカーボネート粒子などがある。
【0044】
適切な可塑剤には、グリセロールなどの液体ポリヒドロキシ化合物、モノアセチン、ジアセチン、ヒドロゲルなどがある。
適切な生物静力学剤/殺菌剤には、抗生物質、ポビドン、糖、ムコ多糖体などがある。
【0045】
適切な界面活性剤には、生体適合性非イオン、陽イオン、陰イオン、及び両性界面活性剤がある。上記の一覧は網羅的なものではなく、参照によってその内容を援用する米国特許第5,073,373号に開示されているように、本開示の実施の範囲内で他の材料を骨粒子と混合することもできることを、当業者であれば理解するであろう。
【0046】
様々な生体活性物質のいずれも、骨インプラント製造の前、間、又は後に、骨粒子と一体化し、又は関連付けることができる。したがって、1つ又は複数のそのような物質を、
所望の物質の溶液又は拡散に浸透又は浸漬させることによって、細長い骨粒子と組み合わせることができる。生体活性物質は、宿主に局所的又は全身的に作用する生理学的又は薬理学的な活性物質を含む。
【0047】
骨粒子と容易に結合することができる生体活性因子の代表的な分類には、例えば、栄養因子、鎮痛剤、抗がん剤、ワクチン、補助剤、抗体、神経弛緩剤、遺伝子治療のためのウイルスベクターを含む形質移入のための遺伝子及び遺伝要素、細胞又は細胞成分などがある。したがって、より具体的な例は以下のものを含む。すなわち、に例を挙げると、コラーゲン、不溶性コラーゲン誘導体など、並びに例えば特にHIV及び肝炎に有効な殺ウイルス剤など可溶性固体及び/又はその溶解液;例えばエリスロマイシン、バシトラシン、ネオマイシン、ペニシリン、ポリマイシンB、テトラサイクリン、バイオマイシン、クロロマイセチン及びストレプトマイシン、セファロスポリン、アンピシリン、アザクタム、トブラマイシン、クリンダマイシン及びゲンタマイシンなどの抗菌物質及び/又は抗生物質;例えばデキストラン、グルコースなどの糖などの殺菌剤/生物静力学剤;アミノ酸、ペプチド、ビタミン、無機要素、タンパク質合成の補助因子;ホルモン;内分泌組織又は組織片、合成剤(synthesizers);コラゲナーゼ、ペプチダーゼ、オキシダーゼなどの酵素;実質細胞のポリマー細胞骨格、脈管形成薬及びそのような薬物を含む高分子担体;コラーゲン格子;抗原剤;細胞骨格剤;軟骨片、軟骨細胞などの改変した生体細胞、骨髄細胞、間葉幹細胞、天然抽出物、プラスミド又はウイルスベクターによってDNA運搬された、遺伝子工学による生体細胞又はその他の改変した生体細胞、遺伝子又は遺伝要素、組織移植物、脱無機質化した骨粉、血液、漿液、軟組織、骨髄などの同種組織;生体接着剤;オステオポンチン、オステオネクチン、骨シアロタンパク質、ラミニン、フィブリノゲン、ビトロネクチン、トロンボスポンジン、プロテオグリカン、デコリン、ベータグリカン、バイグリカン、アグリカン、バーシカン、テネイシン、マトリックス・glaタンパク質(matrix gla protein)、ヒアルロン酸、アミノ酸、アミノ酸残基、ペプチド、骨形成タンパク質(BMP)などの非コラーゲン性タンパク質;骨誘導因子(OIF);フィブロネクチン(FN);内皮細胞成長因子(ECGF);セメント質接着抽出物(CAE);ケタンセリン;ヒト成長ホルモン(HGH)、動物成長ホルモン;上皮成長因子(EGF);インターロイキン−1(IL−1);ヒトアルファトロンビン;トランスフォーミング成長因子(TGF−beta);インシュリン様成長因子(IGF−1)(IGF−2);血小板由来成長因子(PDGF);繊維芽細胞成長因子(FGF、aFGF、bFGFなど);歯周靭帯走行性因子(PDLGF);成長ホルモン;骨ダイジェスター;抗腫瘍薬;免疫抑制剤;脂肪酸(極性及び非極性脂肪酸を含む);例えば、ポリエチレングリコールのラウリン酸、ミリスチン酸及びステアリン酸モノエステルのような脂肪酸エステル、エナミン誘導体、α−ケト−アルデヒド等の浸透促進剤;並びに核酸;無機要素、無機化合物、タンパク質合成の補助因子、ホルモン、免疫系の可溶性及び不溶性化合物;切断型を含む可溶性及び不溶性受容体;切断型を含む可溶性、不溶性及び細胞表面結合リガンド;ケモカイン、形質膜陥入した生体活性化合物;内分泌組織又は組織片、インシュリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP−2)(IGFBP−4)(IGFBP−5)(IGFBP−6)などの成長因子結合タンパク質;脈管形成剤、造骨促進因子、サイトカイン、インターロイキン、遺伝子材料、造骨促進作用符号化遺伝子、造骨促進作用符号化遺伝子を含む細胞;ソマトトロピンなどの成長ホルモン;骨ダイジェスター;抗腫瘍薬;細胞誘引及び付着剤;免疫抑制剤;骨再吸収阻害剤及び刺激剤;脈管形成及び分裂促進因子;2次メッセンジャー分子を阻害及び刺激する生体活性因子;細胞マトリクス及び細胞間接着分子などの細胞接着分子;2次メッセンジャー、間葉幹細胞の細胞表面決定要因に特異的なモノクローナル抗体、凝固因子;外側に拡張した自家又は異種細胞、核酸並びにそれらの組合せなどである。任意で追加されるこれらの物質の量及びタイプは、日常的な実験法によって特定のケースにおいて容易に決定することのできる最適なレベル及び組合せで、幅広く変化させることができる。
【0048】
押出成形又は射出成形技術、圧縮成形、材料を最終形状が得られるように置くことのできるプリフォーム成形、又はプリフォーム材料から所望の形状を切断するように使用することのできるプリフォーム形状を使用して、骨インプラントの様々な形状を作製することができる。この他に、成形デバイス内に様々な薬剤を注入することができ又は様々な形状の成形を補助するようにモールドを処置することができるデバイスを使用することができる。それは例えば、限定はされないが、相互連結剤であり、或いはモールドの加熱又は冷却であり、及び/又は成形工程中である。このような方法を使用すると、図1a〜hに示すように様々なサイズ及び形状の骨インプラントを提供することができる。
【0049】
一実施形態では、上述の骨インプラントは、脱無機質化した細長い骨粒子を凝集性の集合体へと形成し、その後骨インプラントを集合体から切断する、又は好ましくは、廃棄物を減らすために、集合体を所望のサイズ及び構造の骨インプラントへと成形することによって製造される。細長い骨粒子の密な塊を作製するために、多量の細長い骨粒子を1つ又は複数の任意の材料を使用して、又は使用せずに、例えば水、有機タンパク質溶剤、生理食塩水、濃縮生理食塩水、任意の種類のイオン溶液、水性糖液、例えばグリセロール又はグリセロールエステル、ヒドロゲルなど、或いはそれらの組合せによるポリヒドロキシ化合物の液体などの適切な生体適合性流体成分と混合する。適切な生体適合性流体は上述のように結合剤、充填剤、可塑剤、生物静力学剤/殺菌剤、界面活性剤、生体活性物質など、1つ又は複数の物質を任意で含み、上述のようにスラリー又はペーストを形成することができる。次いで例えばスラリー又はペーストをメッシュ又はスクリーンに作用させて、余剰流体を排出することにより、スラリー又はペーストから余剰流体を取り除く。機能的には、生体適合性流体は、その一貫性は形状維持的であるが容易に変形可能、すなわちパテ様の細長い骨粒子の凝集性の集合体を提供する。
【0050】
所望であれば、細長い骨粒子を、例えば約30℃〜約80℃、より好ましくは約40℃〜約50℃で、約1〜約3時間乾燥し、次に、例えばマイナス約20℃〜マイナス約35℃の温度の棚、約150〜約100mTorrの真空、及び約4〜約48時間の時間範囲など、当業者には周知の条件で凍結乾燥することができる。乾燥及び凍結乾燥工程によって、乾燥時に比較的強度があり、湿潤又は水和時に可撓性である、細長い骨粒子の密な塊を製造することができる。
【0051】
上述の一般的な方法の別の実施形態では、細長い骨粒子の凝集性の集合体に、余剰液体を除去する工程の間及び/又は後、及び/又は排水後にまだ湿っている骨粒子を乾燥させる間、例えば最大約100,000psiの圧縮力を加えることもできる。所望であれば、圧縮された密な塊を凍結乾燥し、特に強度のある剛性の塊にすることができる。
【0052】
開示された更に他の実施形態では、無機質化した及び脱無機質化した骨粉及び骨片など、他の形状を有する骨粒子と組み合わせた細長い骨粒子を、上述のように湿潤剤と組み合わせて、約5〜約100%、好ましくは約20〜約60%の体積パーセントのあらゆるタイプの骨粒子を含み、残りの成分が湿潤剤を含む流動可能な成分を製造することができる。湿潤剤は上述のように任意で1つ又は複数の生体適合性成分を含むことができる。湿潤剤は脱無機質化した細長い骨粒子を膨張させ、可撓性を向上させる。流体の成分は、使用する湿潤剤の量によって、スラリー又はペーストから湿り気のある生地までの範囲に一致している。重要な態様は、細長い骨粒子が流体成分全体に懸濁し均一に分布していることである。これは米国特許第5,507,813号の「ウェットレイ」法で湿潤剤をほとんど除去し骨粒子が密集したマットを製造するのと対照的である。
【0053】
この実施形態では、液体スラリーが形成されるように骨粒子と湿潤剤を混合し、湿潤剤が脱無機質化した細長い骨粒子に浸透するようにスラリーを十分適切な時間の間攪拌し、例えばふるいを通して排出することによって、約5〜約25、好ましくは約10〜約15
の体積パーセントの骨粒子を含む流体成分をもたらすのに十分な湿潤剤を除去することによって、流体成分を形成する。細長い骨粒子には十分な量の機械的な絡み合いが起こる。適切な湿潤剤には、上述の生体適合性液及び/又はヒドロゲルがある。任意で、湿潤剤は上述の1つ又は複数の生体適合性物質を溶解させ、又は混合させることができる。
【0054】
骨粒子の湿った塊を形成するための好ましい湿潤剤には、水、ポリヒドロキシ化合物及びそのエステルの液体、並びに水及び/又は界面活性剤と組み合わせたポリヒドロキシ化合物がある。上述のタイプの特定のポリヒドロキシ化合物は、グリセロール、並びに例えばモノアセチン及びジアセチンなど低分子量カルボキシル酸から派生したモノエステル及びジエステル(それぞれ、グリセロールモノアセテート及びグリセロールジアセテート)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパネジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、例えばプルロニクス(Pluronics)(登録商標)などのポリオキシアルキレンを含む。好ましいポリヒドロキシ化合物は、最大約12炭素原子を有し、そのエステルに関する限り、好ましくはモノエステル及びジエステルである。これらの中でも、グリセロールは、ともに湿らせた骨粒子の取扱特性を向上させ、生体適合性であり、代謝しやすいことから特に好ましい。最も好ましいのは、ポリヒドロキシ化合物の水溶液であり、グリセロール/水溶液の重量比率は、特に好ましくは、それぞれ約40:60から約5:95までの範囲内である。例えばソルビトールのグリセロール溶液などのポリヒドロキシ化合物又はエステル、モノアセチン及び/又はジアセチンなどと組み合わせたグリセロールの混合もまた有用である。
【0055】
骨粒子がすばやくもしくは早期に分離し、又は流体化合物から沈降する傾向があり、湿潤剤中での骨粒子の同種懸濁が困難である場合、化合物内に懸濁補助剤を含むことが有利となり得る。したがって、例えば湿潤剤が水及び/又はグリセロールであり特定の適用に関して骨粒子の分離が過剰に起こるとき、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの溶液、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、キサンタンガム、食用加工剤、ゼラチン、デキストラン、コラーゲン、スターチ、加水分解ポリアクロニトリル、加水分解ポリアクリルアミドなどのセルロースエステル、ポリアクリル酸塩、ヒドロゲル、キトサンなどの高分子電解質、粒子を懸濁させることのできる他の材料、などの増粘剤を、成分の懸濁維持特性を大幅に改善させるのに十分な量の湿潤剤と組み合わせることができる。更に、流体成分内に気泡を生じさせる懸濁補助剤を使用することもできる。気泡によって、骨粒子が沈降し過酸化物及び炭酸水素塩を含む傾向が抑制される。
【0056】
前述したように、流体成分は好ましくは、任意で、少なくとも部分的に最終的な骨インプラントの形状とする構造及び寸法のモールド内に置かれる。細長い骨粒子の圧縮に影響する、最小限の圧力(ある場合)をモールド内の成分に加えるように十分な注意を払う必要がある。これは米国特許第5,507,813号に記載されたウェットレイ法とは対照的である。次に、水分の除去及び材料の成形に効果を及ぼすように、約30℃〜約80℃、好ましくは約30℃〜約40℃の温度で成分を乾燥させる。乾燥工程の後、成形した材料を、例えばマイナス約20度〜マイナス約35度の温度の棚、約150〜約100mTorrの真空を約4〜約48時間使用して、凍結乾燥などで乾燥させる。結果として形成された材料は多孔性及び吸収性があり、流体を吸収するとその形状と凝集性を維持する。インプラントは、はさみ、又は他の切断具によって、乾燥状態でも再水和状態でも容易に切断することができる。
【0057】
或いは、脱無機質化した細長い骨粒子のスラリーを多孔性の管に注入することもできる。骨粒子を管の中で乾燥及び冷凍乾燥させることができ、次いで取り外し長さを切断することができる。適切な多孔性の管の例は、透析管、ソーセージのケーシング、及び一連の
小孔(一般に孔は数本の繊維が逃れるのに十分に小さく、好ましくは0.2mm未満)が穿孔された剛性金属又はプラスチックの管、などである。また、大きな孔を有する剛性の管、及び骨粒子スラリーを含む可撓性の透析管などの別の管をラインとともに使用することも可能である。スラリーは、例えば使い捨てのプラスチックシリンジ又はスラリーポンプなどの任意の適切な手段を使用して、管内に注入することができる。細い可撓性の管を使用して骨インプラントを形成する場合、(乾燥後に)管及び内部の材料の両方を切断することによって、骨インプラントが管のなかにあるままで長さを切断することができる。或いは、乾燥した集合体の細長い骨粒子を(好ましくは管を切断することによって)可撓性の管から取り外し、又は(好ましくは材料を管から押し出すことによって)剛性の管から取り外し、切断することができる。切断は、切断冶具もしくはシガーカッターのようなガイドを使用することによって、又は小さな2枚刃のギロチン式のデバイスで刃の間隔を所望のプラグ長さと等しくしたものを使用することによって容易になる。多孔性の管内で乾燥された骨インプラントは、外周面が内部よりも急激に水分が失われたため、より頑丈な外皮を有する。この骨インプラントは挿入及び加えられる力により耐えることができるので、これは有利である。表面の厚さ及び頑丈さは、乾燥条件と管の多孔性の組合せによって影響を受けることがある。
【0058】
任意的に、本明細書にそのコピーを含み本仮出願の一体化された一部であるとみなす、米国特許第6,294,187号に開示された方法を使用して、骨インプラントで相互接触する骨粒子の表面に露出したコラーゲンを化学的に結合することができる。相互連結方法によって、自然に又は機械的に絡み合った細長い骨粒子の集合体を構成し又はそれに含まれる、表面的に脱無機質化した及び/又はほぼ完全に脱無機質化した相互接触する細長い骨粒子の表面に露出したコラーゲンの間で、化学結合の組成が可能になる。
【0059】
本発明の骨インプラント内に骨粒子の密な塊を形成するためにモールドを使用する場合、モールドの壁面を、部分的に及び/又は完全に脱無機質化した骨粒子を含むスラリー又はペーストで覆い、次に脱無機質化してない及び/又は表面的に脱無機質化した骨粒子を含むスラリー又はペーストを追加することができる(又はその逆も可)。その結果成形された骨インプランは、部分的に及び/又は完全に脱無機質化した骨粒子から構成される、例えば外面などの少なくとも1領域、並びに脱無機質化してない及び/又は表面的に脱無機質化した骨粒子から構成される、例えばコアなどの少なくとも1領域を含む。このように、一方では部分的に及び/又は完全に脱無機質化した骨粒子と、他方では脱無機質化してない及び/又は表面的に脱無機質化した骨粒子との間の圧縮強度、多孔性、骨形成性、及び他の特質に関する差異を利用することができる。例えば、骨インプラントを荷重支持環境で使用するとき、移植部位に負荷を受ける骨インプラントのその領域に脱無機質化してない及び/又は表面的に脱無機質化した骨粒子を集中させることができる。
【0060】
本発明の骨インプラントの密度は、例えば約0.1g/cm〜約10g/cmまで幅広く変えることができる。例えば約3.0g/cmを超えない、低密度が好ましい。より好ましい密度は、約0.5〜約2.0g/cmであり、より好ましくは約0.8〜約1.2g/cmである。
【0061】
骨インプラントの密度(及びボイド容量)は、所与のモールド容量内で成形される骨繊維の重量(一般にグラムで表記される)によって制御することができる。実際は、特定の容積のモールド内で追加の繊維を使用してより高密度の骨インプラントを製造するには、より高い圧力を加える必要がある。更に、加圧前に余剰の液体が除去されていないと、より高圧で成形するとき、より多くの液体を押し出さなければならない。本発明の好ましい1実施形態は、固定された矩形のモールド(モールド本体)にカバー(モールド蓋)が嵌合され、モールド内に突き出た表面を備える蓋が密接に接近することを特徴とする。モールド蓋を使用すると、突出面がモールド本体内へと挿入され、モールドの内部上面として
働く。蓋が定位置にあると、モールドの内部容量(及び生体インプラントの最終容量)が規定される。モールド本体の高さは、脱無機質化した骨繊維を成形するのに必要な容量に対処するように設計されている。蓋の突出面の深さは、使用及び加圧後に所望の内部容量が製造されるように設計されている。或いは、タブ、リップ、フランジ又は他の最終的な生体インプラントの反対形状を形成するために、リッジ又は他の突起をモールド本体に配置することもできる。
【0062】
次いで特定の密度の骨インプラントを次のように作製する。脱無機質化の後、細長い骨粒子を、水性媒体を使用してスラリー形態中に懸濁させる。スラリーのサンプルを、遊離した残留液を除去するために真空フィルタ処理し、次いで凍結乾燥する。凍結乾燥重量を生じる湿ったスラリーの重量が確定される。この変換を使用して、所与のモールド容量内で所望の密度の骨インプラントを製造するのに必要な骨粒子の重量を確定する。適切な量の骨粒子をモールド本体内に置き、軽度の真空にして遊離した残留溶液を除去する。次いで蓋を使用し適切な加熱量を加えながら指定された時間の加圧成形を行う。モールドから取り出した後、骨インプラントを凍結乾燥する。
【0063】
一般に本発明の凍結乾燥した骨インプラントは、パテ様の成形可能な形を含むが、約0.6〜約6.0重量パーセントの残留水分(水)含有量を有する。液体など、他の非揮発性の生体適合性材料と結合している、この残留水分によって、図1に示すストリップの凍結乾燥した骨インプラントは、重なり合ったタブに例えば指でわずかな圧力を加えるだけで、図2及び3に示す構造物又は組合せを形成することが可能である。
【0064】
以上、本発明の原理及びその実際の適用を最も良く説明するために、上記の説明及び実施形態を選択し述べた。これにより、当業者は本発明を様々な実施形態及び企図された特定の使用に適切な様々な修正において、最大に利用することができる。したがって、本開示の上記の好ましい実施形態の説明は、図示及び説明のために示してきたものであり、開示された詳細な形態に対して、本発明を網羅的とするものでも限定するものではない。上記の教示に照らして、明らかに他の多くの修正及び改変が可能である。
【0065】
以下の例は本発明の実施例を示し、添付の特許請求の範囲をどのようにも制限するものではない。
【実施例1】
【0066】
本実施例は、図1に示すストリップの形態の、全体的に矩形である本発明の骨インプラントの作製を示す。骨インプラント10は、図2及び3に示す同様のストリップとの組合せを容易にする階段状の構造のタブ11を有する。タブ11は、第1の面12、平面13、及び第2の面14を含む。一般に、骨インプラントは、長さ(タブ11を含む)が約2cm〜約50cm、より好ましくは約5cm〜約20cm、幅が約0.2cm〜約5cm、より好ましくは約0.5cm〜約3cm、及び深さが約0.2cm〜約2.0cm、より好ましくは約0.5cm〜約1.0cmであり、幅に対する長さの比率が約1から約5、好ましくは約1から約10、もっとも好ましくは約1から約20である。骨インプラント10の特定の寸法は、長さ(タブ11を含む)が10cm又は20cm、幅が約1.0cm、高さが0.8cm、面12及び14のそれぞれの高さが0.4cm、及び平面13の長さが1.5cmである。
【0067】
骨インプラントを最初に、約0.4cm〜約1.2cmなど所定の厚さの単一のシートとして形成し、次に凍結乾燥した後、所望の形状及び寸法のストリップに切断する。シートは好ましくは、約250g〜約350gの細長い脱無機質化した骨粒子を、約250ml〜約1750mlのグリセロール及び約250ml〜約3500mlの蒸留脱イオン水と均一に結合し、スラリーを作製する。骨粒子1グラムあたりに加えるグリセロールの量
は、骨1グラムあたりに対しグリセロール約1ml〜約5mlの間で変化させることができる。骨粒子1グラムあたりに加える水の量は、骨1グラムあたりに対し約1ml〜約10mlの間で変化させることができる。細長い骨粒子は、平均長さが約1〜約100mm、平均幅が約0.08〜約1.5mm、及び平均長さ対平均幅の比率が約20:1〜約600:1である。次に、矩形のカセット(モールド)内にスラリーを導入する。カセットは、1つ又は2つの面に、結果として作製されたシートがストリップに切断された後にタブを特徴付ける、2つの隆起したリッジを有する。隆起したリッジは、高さが約0.2cm〜約1.0cm、好ましくは0.3cm〜約0.6cmであり、幅が約0.2cm〜約5.0cm、好ましくは約0.5cm〜約2.0cmである。骨粒子の膨張及び水和を約1〜8時間させた後、従来の凍結乾燥条件でシートを凍結乾燥し、個々のストリップに切断し、保存及び/又は出荷のために無菌包装する。好ましい一実施形態では、寸法及び重量に基づいたストリップの密度を計算すると、約0.952g/cm〜約0.966g/cmである。
【0068】
タブによって特徴付けられるために、いくつかのストリップは図2及び3に示すように、同じ深さ寸法を維持しながら互いに接着し相互固定することができる。ストリップは互いに、縫合、グルー接着、セメント接着、クリップ固定、ピン固定、ねじ固定、又は他の方法によって互いを締結し、実質的にどのような所望の長さにすることもできる。ストリップの長さによって、外科医は、脊椎の棘突起の近くに、また脊椎の溝内に、ストリップを長く、連続的及び凝集的に置くことができる。ストリップは、脊椎を固定させるために後方要素のいずれか又は全部の周りに巻きつけることもできる。多くの脊椎固定術で椎骨に固定される器具(金属棒、ねじ、及びフックなど)は骨誘導的又は骨伝導的ではないので、このことは有利である。本明細書のストリップは骨形成性、骨誘導性、及び骨伝導性をもたらし、棘突起、上関節突起、横突起、乳頭突起(実質的には脊椎のすべての後方要素)などの固定を促進する。ストリップはより小さい患者、又は椎骨同士の間隔がより狭い、どのような適応においても後側方固定術に使用することができる。ストリップは、その寸法のおかげで、ねじ又はフックと椎体との間に容易に移植することができ、脊椎固定を促進することができる。
【実施例2】
【0069】
本実施例は、本発明によるパテ様の容易に成形可能な骨インプラント成分の作製を示す。
実施例1のストリップ形状の骨インプラントの作製に使用する細長い骨粒子の約200g〜約300gを、細長い骨粒子1グラムあたり約5ml〜約15mlのグリセロール、細長い骨粒子1グラムあたり約5ml〜約20mlの蒸留脱イオン水と均一に混合し、1〜8時間膨張及び水和させてスラリーを形成する。任意で、グリセロール、水の一方又は両方を加える前に、細長い繊維を摩砕又は細断し、全体的な寸法の1つ又は複数を減少させることができる。更に任意の処置として、グリセロール、水の一方又は両方を加えた後で、細長い繊維を練合し、混合し、粉砕し、又は細断する。スラリー及び混合物から余剰液体を排出し、その後従来の凍結乾燥条件下で凍結乾燥する。結果として生じたパテ様の骨インプラント材料を保存及び/又は出荷のために無菌包装する。
【実施例3】
【0070】
本実施例は、図4に示す溝状の骨インプラント20の作製を示す。
骨インプラント20は一般に矩形の形状を有し溝状の矩形陥凹部21で特徴付けられる。多量のこのような骨インプラントを、図5に示す型30、図6に示すカセット40、及び図7に示す蓋50を使用して簡便に形成することができる。
【0071】
実施例2で説明した通り作製した、グリセロール及び水で膨張、水和した脱無機質化した細長い骨粒子を図6のカセット40に導入する。カセットの穿孔した基部によってスラ
リーから余剰液体が排出される。次いで、スラリーへの接着性を全く或いはほとんど持たず陥凹部31を有する図5のシート30の形のモールド面を、モールド面の陥凹部に一致する陥凹部を有する、ほぼ均一の厚さ(約0.5cm〜約1.0cm)のシートを成形するように、スラリーの露出した面に軽い圧力を加えて押し付ける。一般に良好な結果をもたらす、本明細書で使用することのできる適切なモールド面の1つは、所望の数、形状及びサイズの陥凹部31を有する、熱成形された透明なポリプロピレンシートである。シート30を定位置に置き、図7の蓋50をカセットシートアセンブリの上面に置く。蓋50は非穿孔型とすることができ、所望であれば図に示すように穿孔型とすることもできる。
【0072】
次いで、成形、排水したスラリーを含有するカセット−シート−蓋アセンブリを、約35〜約50℃で約4〜約6時間加熱し、その後成形した材料を実施例1のように凍結乾燥し、蓋50及びシート30を取り外し、成形した材料をカセットから取り外し、切断して図4に示す個々の溝形のインプラント20にする。次いで、個々のインプラントを保存及び/又は出荷のために無菌包装する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】側湾症などの脊椎固定術の使用に特に適合させたストリップの形態の、本発明の骨インプラントを示す図である。
【図2】図1のストリップの様々な組合せを示す図である。
【図3】図1のストリップの様々な組合せを示す図である。
【図4】本発明の方法によって製造された溝形の骨インプラントを示す図である。
【図5】図4の溝形の骨インプラントを製造する際に使用することのできるモールド面を示す図である。
【図6】図4の溝形の骨インプラントを製造する際に使用することのできる穿孔カセットを示す図である。
【図7】図4の溝形の骨インプラントを製造する際に使用することのできる蓋を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性流体担体と混合した、絡み合った細長い骨粒子の凝集性の集合体を含む骨インプラントであって、
前記骨インプラントは、0.5〜2.0g/cmの密度を有し、少なくとも一端に、他のインプラントとの組み合わせを容易にするタブを有するストリップとして形成される可撓性の骨インプラント。
【請求項2】
前記ストリップが全体的に矩形であり、長さ2cm〜50cm、幅0.2cm〜5cm、深さ0.2〜2cm、幅に対する長さの比率が1.0〜20を有する、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項3】
少なくとも1つの他のそのような骨インプラントと組み合わせて、1つの骨インプラントのストリップのタブが、別の骨インプラントのストリップのタブに接触してその上に重なっている、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項4】
相互接触する細長い骨粒子が互いに付加的に接合している、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項5】
前記細長い骨粒子が前記集合体の少なくとも50重量パーセントを示す、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項6】
前記細長い骨粒子が前記集合体の少なくとも60重量パーセントを示す、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項7】
前記細長い骨粒子が前記集合体の少なくとも90重量パーセントを示す、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項8】
前記集合体が非細長形の骨粒子を更に含む、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項9】
前記細長い骨粒子が、皮質、海綿、皮質海綿同種、異種、又は遺伝子組換え骨組織から採取される、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項10】
前記細長い骨粒子が、骨形成、骨伝導、骨誘導の少なくとも1つによって、新しい骨の成長を容易にし、又は促進する能力を有する、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項11】
前記細長い骨粒子の平均長さが0.05〜400mmであり、前記細長い骨粒子の平均幅が0.05〜2mmであり、平均長さ対平均幅の比率が10:1〜2000:1である、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項12】
前記細長い骨粒子の平均長さが1〜100mmであり、前記細長い粒子の平均幅が0.08〜1.5mmであり、平均長さ対平均幅の比率が20:1〜600:1である、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項13】
前記細長い骨粒子の少なくとも一部が、ほぼ完全に無機質化、ほぼ完全に脱無機質化、一部が脱無機質化、又は表面的に脱無機質化された、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項14】
前記非細長形の骨粒子の少なくとも一部が、ほぼ完全に無機質化、ほぼ完全に脱無機質化、一部が脱無機質化、又は表面的に脱無機質化された、請求項8に記載の骨インプラント。
【請求項15】
前記集合体を前記骨インプラントへと形成する前、間及び/又は後に、細長い骨粒子を、結合剤/充填剤、可塑剤、生物静力学剤/殺菌剤、生体活性物質、界面活性剤からなる群のうち1つ又は複数と混合する、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項16】
前記結合剤/充填剤が、シアノアクリレート、エポキシ系化合物、歯科レジン封止剤、歯科レジン接着剤、リン酸カルシウム及び硫酸カルシウム自己硬化接着剤、グラスアイオノマー接着剤、ポリメチルメタクリレート、ゼラチン−レゾシノール−ホルムアルデヒド接着剤、タンパク質及びコラーゲン系接着剤、アクリルレジン、セルロース、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、グリコリド−ラクチドコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリアンヒドリド、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、ポリアミノ酸、ポリアリレート、ポリシアノアクリレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリホスファゼン、ポリビニルピロリドンのような生体吸収性ポリマー、ポリアリレート、チロシン系ポリカーボネート及びポリアリレート、炭水化物ポリマー、ポリイミノカーボネート、ポリプロピレンフマレート、ポリアンヒドリドエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサクリル、ヒアルロン酸、フィブリン、フィブリン−コラーゲン、ポリエチレングリコール接着剤、ムコ多糖体及びイガイ接着タンパク質、脂肪酸及び脂肪酸誘導体など、からなる群から選択される、請求項15に記載の骨インプラント。
【請求項17】
前記結合剤/充填剤が、骨粉、脱無機質化した骨粉、多孔性リン酸カルシウムセラミクス、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、Bioglass(登録商標)及び他のリン酸カルシウム材料、硫酸カルシウム、又はカルシウムカーボネート粒子からなる群から選択される、請求項15に記載の骨インプラント。
【請求項18】
前記可塑剤が、ポリヒドロキシ化合物の液体群から選択される、請求項15に記載の骨インプラント。
【請求項19】
前記ポリヒドロキシ化合物の液体がグリセロールである、請求項18に記載の骨インプラント。
【請求項20】
前記生物静力学剤/殺菌剤が、抗生物質、ポリビドン、糖、及びムコ多糖体からなる群から選択される、請求項15に記載の骨インプラント。
【請求項21】
前記界面活性剤が、生体適合性非イオン、陽イオン、陰イオン、及び両性界面活性剤からなる群から選択される、請求項15に記載の骨インプラント。
【請求項22】
前記生体活性物質が、栄養因子、鎮痛剤、抗がん剤、ワクチン、補助剤、抗体、神経弛緩剤、形質移入のための遺伝子及び遺伝要素、細胞又は細胞成分、コラーゲン、不溶性コラーゲン誘導体、並びに可溶性固体及び/又はその溶解液、特にHIV及び肝炎に有効な殺ウイルス剤;例えばエリスロマイシン、バシトラシン、ネオマイシン、ペニシリン、ポリマイシンB、テトラサイクリン、バイオマイシン、クロロマイセチン及びストレプトマイシン、セファロスポリン、アンピシリン、アザクタム、トブラマイシン、クリンダマイシン及びゲンタマイシンなどの抗菌物質及び/又は抗生物質;例えばデキストラン、グルコースなどの糖の殺菌剤/生物静力学剤;アミノ酸、ペプチド、ビタミン、無機要素、タンパク質合成の補助因子;ホルモン;内分泌組織又は組織片、合成剤;コラゲナーゼ、ペプチダーゼ、オキシダーゼなどの酵素、実質細胞のポリマー細胞足場、脈管形成薬及びそのような薬物を含む高分子担体;コラーゲン格子;抗原剤;細胞骨格剤;軟骨片、軟骨細胞などの改変した生体細胞、骨髄細胞、間葉幹細胞、天然抽出物、プラスミド又はウイルスベクターによってDNA運搬された、遺伝子工学による生体細胞又はその他の改変した生体細胞、遺伝子又は遺伝要素、組織移植物、脱無機質化した骨粉、同種組織、血液、漿液、軟組織、骨髄、生体接着剤;非コラーゲン性タンパク質、オステオポンチン、オステオネクチン、骨シアロタンパク質、ラミニン、フィブリノゲン、ビトロネクチン、トロンボスポンジン、プロテオグリカン、デコリン、ベータグリカン、バイグリカン、アグリカン、バーシカン、テネイシン、マトリックス・glaタンパク質、ヒアルロン酸、アミノ酸、アミノ酸残基、ペプチド、骨形成タンパク質(BMP);骨誘導因子(OIF);フィブロネクチン(FN);内皮細胞成長因子(ECGF);セメント質接着抽出物(CAE);ケタンセリン;ヒト成長ホルモン(HGH);動物成長ホルモン;上皮成長因子(EGF);インターロイキン−1(IL−1);ヒトアルファトロンビン;トランスフォーミング成長因子(TGF−beta);インシュリン様成長因子(IGF−1)(IGF−2);血小板由来成長因子(PDGF);繊維芽細胞成長因子(FGF、aFGF、bFGFなど);歯周靭帯走行性因子(PDLGF);成長ホルモン;骨ダイジェスター;抗腫瘍薬;免疫抑制剤;脂肪酸(極性及び非極性脂肪酸を含む);浸透促進剤、脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールのラウリン酸、ミリスチン酸及びステアリン酸モノエステル、エナミン誘導体、α−ケト−アルデヒド、並びに核酸;無機要素、無機化合物、タンパク質合成の補助因子、ホルモン、免疫系の可溶性及び不溶性化合物;切断型を含む可溶性及び不溶性受容体;切断型を含む可溶性、不溶性及び細胞表面結合リガンド;ケモカイン、形質膜陥入した生体活性化合物;内分泌組織又は組織片、成長因子結合タンパク質、インシュリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP−2)(IGFBP−4)(IGFBP−5)(IGFBP−6);脈管形成剤、造骨促進因子、サイトカイン、インターロイキン、遺伝子材料、造骨促進作用符号化遺伝子、造骨促進作用符号化遺伝子を含む細胞;ソマトトロピンなどの成長ホルモン;骨ダイジェスター;抗腫瘍薬;細胞誘引及び付着剤;免疫抑制剤;骨再吸収阻害剤及び刺激剤;脈管形成及び分裂促進因子;2次メッセンジャー分子を阻害及び刺激する生体活性因子;細胞マトリクス及び細胞間接着分子などの細胞接着分子;2次メッセンジャー、間葉幹細胞の細胞表面決定要因に特異的なモノクローナル抗体、凝固因子;外側に拡張した自家又は異種細胞、核酸並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の骨インプラント。
【請求項23】
前記骨インプラントは凍結乾燥されている、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項24】
前記細長い骨粒子の集合体に最大100,000psiの圧縮力が加えられた、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項25】
前記骨インプラントは凍結乾燥されている、請求項24に記載の骨インプラント。
【請求項26】
前記細長い骨粒子の接触面の露出したコラーゲンが化学的に互いに付加的に結合している、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項27】
脱無機質化した細長い骨粒子の少なくとも1つの領域、及び脱無機質化してない細長い骨粒子の少なくとも1つの領域を有する、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項28】
前記脱無機質化した細長い骨粒子の領域が前記骨インプラントの外面の少なくとも一部を画成し、前記無機質化した細長い骨粒子の領域が前記骨インプラントの内面の少なくとも一部を画成する、請求項27に記載の骨インプラント。
【請求項29】
体内及び/又は灌流液に接触すると膨張可能である、請求項1に記載の骨インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−120900(P2011−120900A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269900(P2010−269900)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2006−533729(P2006−533729)の分割
【原出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(500121850)オステオテック インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】