説明

高分子カップリング剤

本発明は、当該技術に関連した問題を克服する能力をもつカップリング剤を提供する。本発明は粒子状固体、プラスチック材料および化合物を含む組成物に関連する。本発明はさらに新規化合物、およびカップリング剤の利用に関連する。一つの実施形態において、本発明は粒子状固体、プラスチック材料ならびにカップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレートおよびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物から形成される化合物を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子状固体、プラスチック材料および化合物を含む組成物に関連する。本発明はさらに新規化合物、およびカップリング剤の利用に関連する。
【背景技術】
【0002】
カップリング剤は高分子材料で公知であり、ならびに高分子材料と粒子状固体(一般的に無機充填剤粒子(inorganic filler particle))の表面との間に相互作用を引き起こすことに有用である。一般的なカップリング剤は有機ケイ素化合物、またはカルボン酸を含む分散剤を含む。
【0003】
カルボン酸を含むカップリング剤は非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3
文献を含む論文中に記述されている。三つの参考文献すべてが無水物の環が開環し、それからカルボン酸基が直接粒子状固体と結合をする無水マレイン酸共重合体を開示している。カルボン酸を含むカップリング剤は一般的に大量で用いられることが要求される。大量のカップリング剤は一般的にプラスチック材料の変性劣化(modified degradation)および/またはプラスチック材料とカップリング剤との間の両立性問題という結果に終わる副反応を含む有害な性能につながる。
【0004】
特許文献1は末端エチレン性不飽和化合物および遊離の酸無水物の官能性を持つことにより特徴づけられた無水マレイン酸の塗膜形成する放射線硬化性低分子量部分エステル共重合体組成物を開示している。共重合体は一価アルコールでのヒドロキシアルキルアクリイル化合物のエステル化により生産される。
【0005】
特許文献2はポリイソブチレンコハク酸のセミ−エステルを開示している。セミ−エステルはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから調製される。
【0006】
特許文献3は分子内に少なくとも一つのアクリル基を含むポリブチレンポリマーまたはポリブチレンオリゴマーを開示し、ポリブチレンポリマーは酸無水物官能性のポリブチレンポリマーまたはその誘導体を、少なくとも一つのヒドロキシルを含む基、塩素、イソシアネート基、エポキシ基、またはアミン基を持つアクリル官能性の化合物と反応させることで調製される。
【0007】
特許文献4は光硬化性のラッカーおよび接着剤において有用なポリイソブテニル(メタ)アクリレートを開示している。
【0008】
有機ケイ素化合物カップリング剤は一般的に複合プロセスによって形成され、多くのものはさらに広範囲の粒子状固体との相互作用においてより効果的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,722,947号明細書
【特許文献2】米国特許第4,533,723号明細書
【特許文献3】米国特許第5,665,828号明細書
【特許文献4】国際公開第04/092227
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A.Tabtiang.ら、Composite Interfaces.、1999年、6,p.65
【非特許文献2】C.M.Liauw.ら、Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications、1995年、24、p.211
【非特許文献3】C.M.Liauw.ら、J,Adhesion Sci. and Tech.、2001年、15、p.889
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ゆえに、当該技術に関連した問題を克服する能力をもつカップリング剤の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの実施形態において、本発明は粒子状固体、プラスチック材料および式(1a)および/または(1b)で表される化合物;ならびにその塩を含む組成物:
【0013】
【化1】

ここで
は6個以上の炭素原子を含む親油性基である;
は重合末端基である;
pは1〜500まで変化する;
tは2〜10,000、または5〜5000、または10〜2500、または15〜1000を含む範囲の繰り返しの単位である;
uは1〜500、または1〜250まで変化する;
vは1〜500、または1〜250まで変化する;
Yは式(2)により表される1%〜100%のY基、および(3)〜(7)から選択される式の少なくとも一つの基によって表される0%〜99%のY基を含む;
【0014】
【化2】

Zは−[OACO]−[OCHRCRH]−R、または−[OACO]−[O−(CH−Rである;
AはC1−20アルキレン、C2−20アルケニレン基、またはそれらの混合物である;
eは1または2である;
mは0〜50まで変化する;
nは1〜50まで変化する;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキル(メチル、エチルまたはそれらの混合物)である。ただし、RおよびRの少なくとも一つはHである;
はエチレン性不飽和基である;および
,R,RおよびRは独立してヒドロカルビル(hydrocarbyl)基である、
を提供する。
【0015】
式(1b)の化合物は代表的にはランダム共重合体または交互共重合体または[(R−(Y)の繰り返し単位で表されるインターポリマー(interpolymer)を含む。
【0016】
代表的には、式(1a)で表される化合物では、eは1である。
【0017】
代表的には、式(1b)で表される化合物では、式(2)〜(7)で表されるY基がRと直接結合しているとき、eは1である。代表的には、式(1b)で表される化合物では、式(2)〜(7)で表されるY基がR以外の基と結合しているときeは2である。
【0018】
一つの実施形態において、本発明は上記に定義した式(1a)および/または(1b)によって表される化合物;およびそれらの塩を提供する。
【0019】
一つの実施形態において、本明細書中式(1b)で開示される化合物は、20,000より大きい〜1,000,000、または22,500〜500,000、または25,000〜300,000を含む範囲の親油性基の重量平均分子量を持つ。
【0020】
一つの実施形態において、本明細書中式(1a)で開示される化合物は、6〜30個、または6〜28個の炭素原子を含む親油性基Rを持つ。
【0021】
一つの実施形態において、本明細書中式(1a)および/または(1b)で開示される化合物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレンビニルアセテート、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体,およびそれらの混合物よりなる群から選択される、親油性基Rを持つ。
【0022】
一つの実施形態において、本発明は粒子状固体、プラスチック材料ならびにカップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレートおよびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物から形成される化合物を含む組成物を提供する。
【0023】
一つの実施形態において、本発明は粒子状個体、プラスチック材料ならびにカップリング剤を形成するための、(a)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、(b)モノ−またはジ−またはポリ−置換酸無水物を含む部分、ならびに任意に(i)水(ii)アルコールおよび(iii)アミンよりなる群から選択される少なくとも一つの化合物の反応生成物から形成される化合物、を含む組成物を提供する。
【0024】
一つの実施形態において、本発明はカップリング剤として、式(1a)または(1b)で表される化合物;およびその塩を提供する。一つの実施形態において、カップリング剤はプラスチック剤に対して適切である。
【0025】
一つの実施形態において、本発明は(a)式(1a)および/または(1b)およびその塩;ならびに(b)式(1a)および/または式(1b)以外のマレイン酸化した(maleinised)重合体、シラン、チタン酸塩、およびジルコニウム酸塩よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含む組成物を提供する。
【0026】
一つの実施形態において、本発明は粒子状固体、プラスチック材料、式(1a)および/または(1b)で表される化合物、およびその塩;ならびに式(1a)および/または式(1b)以外のマレイン酸化した重合体、シラン、チタン酸塩、およびジルコニウム酸塩よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明は本明細書上に開示した組成物を提供する。
【0028】
本明細書で用いた、用語「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを含み、例えば、(メタ)アクリレートはアクリレートおよびメタアクリレートを含む。
【0029】
本明細書以下に記述したように、カップリング剤の分子量はポリスチレン標準(standard)を用いたGPC分析のような公知の方法を用い決定され得る。
【0030】
式(1a)において、pは1〜500または2〜500の整数を含む。一つの実施形態においては、式(1a)のpは1と等しい。一つの実施形態において、式(1a)のpは2〜500である。
【0031】
式(1a)において、p=1またはp=2のとき、式(2)で表されるY基の百分率は、25%〜100%、または50%〜100%、または75%〜100%を含む。
【0032】
一つの実施形態において、式(2)で表されるY基の百分率は、20%〜100%を含み;および式(3)〜(7)から選択される少なくとも一つの式で表されるY基の百分率は、0%〜20%を含む。
【0033】
一つの実施形態において、Yはコハク酸基またはそのコハク酸無水物基から誘導され得る。
【0034】
式(1a)または(1b)の化合物のYはまたセミ−エステルおよび/またはセミ−酸−エステル(semi−acid−ester)として示され得る。
【0035】
p=1のとき、式(1a)の化合物の重量平均分子量は200〜10,000、または300〜7500、または300〜5000の範囲を含む。
【0036】
pが2〜500のとき、式(1a)の化合物の重量平均分子量は500〜1,000,000、または1000〜500,000、または1500〜300,000の範囲を含む。
【0037】
p=1のとき、親油性基Rは、代表的には少なくとも6個または少なくとも10個の炭素原子を含む。Rで炭素原子数の上限は、300、400、または500を含む。
【0038】
一つの実施形態において、Rを含む式(1a)の化合物はC6−500、またはC10−400、またはC10−300のアルキル(アルケニル)基を含む。
【0039】
40−500アルキル(アルケニル)基は代表的には、ポリイソブテニル基を含む。ポリイソブテニル基は350〜5000、450〜5000または550〜5000、または750〜3000、または900〜2500の数平均分子量を持ち得る。異なる実施形態において、ポリイソブテニル基の数平均分子量は350〜750、または950〜1000、または2200〜2300の範囲を含む。
【0040】
p=1のとき、代表的には式(1a)のY−R基はアルキル(アルケニル)置換コハク酸、その無水物、またはその部分エステルから誘導され得る。適切な無水コハク酸の例としては無水ドデシルコハク酸、無水ヘキサデシルコハク酸、無水オクタデシルコハク酸、無水エイコシルコハク酸、C24−28−無水アルキルコハク酸、無水ドデセニルコハク酸、無水ヘキサデセニルコハク酸、無水オクタデセニルコハク酸、無水エイコセニルコハク酸、C24−28−無水アルケニルコハク酸、または無水ポリイソブチレンコハク酸、あるいはそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
p=2〜500のとき、代表的には親油性基RはY基がグラフトした高分子骨格である。適切な高分子骨格の例としては(ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、またはエチレン−プロピレン共重合体のような)ポリオレフィン、エチレンビニルアセテート、ポリ(スチレン−ブタジエン)、エチレンビニルアセテート、エチレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。
【0042】
重合末端基(R)は水素、ヒドロキシル、直鎖もしくは分枝アルキル、アリール、アルコキシ、アミノ、モノ−もしくはジ−アルキルアミノ、またはそれらの混合物を含む。式(1b)において重合末端基は同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
A(またはZの−OACO−基)に誘導し得るヒドロキシカルボン酸はヒドロキシ−C2−20−アルケニレンカルボン酸またはヒドロキシ−C1−20アルキレンカルボン酸が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸の具体的な例としては、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシ吉草酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸、4−ヒドロキシデカン酸、10−ヒドロキシウンデカン酸、乳酸、グリコール酸、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0044】
A(またはZの−OACO−基)はまたβ−プロピオラクトン、任意にC1−6−アルキル置換されたε−カプロラクトン、または任意にC1−6−アルキル置換されたδ−バレロラクトンのようなラクトンから誘導される。具体的な例としては、ε−カプロラクトンならびに7−メチル−、3−メチル−、5−メチル−、6−メチル−、4−メチル−、5−テトラブチル−、4,4,6−トリメチル−、および4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
一つの実施形態において、RおよびRはどちらも水素である。代表的には、エトキシ化する化学作用(ethoxylate chemistry)が用いられるとき、RおよびRはどちらも水素である。
【0046】
一つの実施形態において、nが1または2と等しいとき、RまたはRのいずれかはCである。プロポキシ化する化学作用(propoxylate chemistry)が用いられる場合、RまたはRはCである。
【0047】
一つの実施形態において、nが3〜50までの整数と等しいとき、RはC−Cであり、およびRはHである。代表的には、ポリプロピレングリコール、またはポリブチレングリコールが用いられる場合、RはC−Cであり、およびRはHである。
【0048】
一つの実施形態において、Rはアクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの混合物より誘導される。
【0049】
一つの実施形態において、Zは、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレートから誘導される。適切なヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート(Z基がそれから誘導され得る)の例としては、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、2−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート、またはそれらの混合物が挙げられる。一つの実施形態において、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレートとしては2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
一つの実施形態において、R、RおよびRはアミンから誘導され得る。異なる実施形態において、R、RおよびRは独立して1〜40個、または1〜30個、または1〜24個、または1〜20個の炭素原子を含む。
【0051】
適切なアミンの例としてはメチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジ−ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジ−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ノニルアミン、ジ−ノニルアニン、ドデシルアミン、ジ−ドデシルアミン、ペンタデシルアミン、ジ−ペンタデシルアミン、オクタデシルアミン、ジ−オクタデシルアミン、3−(ジメチルアミノ)−n−プロピルアミン、ジ(3−(ジメチルアミノ)−n−プロピル]アミン、モルホリン、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
一つの実施形態において、Rはアルコールから誘導され得る。異なる実施形態において、Rは1〜40個、または1〜30個、または1〜24個、または1〜20個の炭素原子を含む。
【0053】
適切なアルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−オクタノール、2−ブトキシエタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール(eicosanol)、イソプロパノール、イソブタノール、tert−ブタノール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、3−ヘプタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、3,7−ジメチルオクタノールおよび通称Guerbetアルコール、例えば商標名Isofol(例えば、Condea GmbH)のもとに市販されているもの、またはそれらの混合物が挙げられる。Guerbetアルコールの具体的な例としては、Isofol12、14T、16、18T、18E、20、24、28、32、32Tおよび36である。
【0054】
式(1b)の化合物としては代表的にはランダム共重合体、または交互共重合体、または[(R−(Y)の繰り返し単位で表されるインターポリマーが挙げられる。一つの実施形態において、式(1b)の化合物は、不飽和カルボン酸(代表的には、無水マレイン酸)と共重合したα−オレフィンの共重合体またはインターポリマーから誘導される。
【0055】
α−オレフィンとしては、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−メチル−1−ヘプテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン(1−eicosene)、1−テトラエイコセン、1−ヘキサエイコセン、1−オクタエイコセン、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0056】
交互共重合体またはインターポリマーの例としては、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、エチレンエチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレンブチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、イソプレン−無水マレイン酸共重合体、オクタデセン−無水マレイン酸共重合体、ドデセン−無水マレイン酸共重合体、C24−28アルキレン−無水マレイン酸共重合体、またはそれらの混合物が挙げられる。交互共重合体またはインターポリマーの調製法のさらに詳細な説明は米国特許第4,526,950号明細書に記述されている。
【0057】
異なる実施形態において、交互共重合体またはインターポリマーの重量平均分子量は1000〜1,000,000、または1000〜1,000,000、または1000〜500,000、または1000〜300,000を含む。
【0058】
代表的には、(a)カップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、およびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物;または(b)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分、ならびに任意に(c)カップリング剤を形成するための、(i)水、(ii)アルコールおよび(iii)アミンよりなる群から選択される少なくとも一つの化合物、の反応生成物は50℃〜175℃、または60℃〜150℃を含む高温および1〜24時間、または2〜10時間を含む時間で調製される。
【0059】
(a)カップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、およびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物;または(b)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分およびアミンの反応生成物は、Y基が式(2)と式(3)および(4)のうち少なくとも1つとの混合物を含む、式(1a)および/または式(1b)と同様の構造を有するカップリング剤である。
【0060】
(a)カップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、およびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物;または(b)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分およびアルコールの反応生成物は、Y基が式(2)および(5)の混合物を含む、式(1a)および/または式(1b)と同様の構造を有するカップリング剤である。
【0061】
(a)カップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、およびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物;または(b)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分および水の反応生成物は、Y基が式(2)および(6)の混合物を含む、式(1a)および/または式(1b)と同様の構造を有するカップリング剤である。
【0062】
(a)カップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、およびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物;または(b)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物、ならびに任意に(i)水、(ii)アルコールおよび(iii)アミンよりなる群から選択される少なくとも一つの化合物、の反応生成物は、モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分が未反応のままであるときの、式7と同様のY基を有し、式(1a)および/または式(1b)と同様の構造を有するカップリング剤である。
【0063】
一つの実施形態において、(a)カップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、およびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物;または(b)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分、ならびに任意に(i)水、(ii)アルコールおよび(iii)アミンよりなる群から選択される少なくとも一つの化合物、の反応生成物は、式(2)および式(3)〜(7)のうち少なくとも2つと同様のY基を持つ生成物を形成する。
【0064】
反応生成物は不活性雰囲気中または空気雰囲気中で調製され得る。不活性雰囲気を用いた場合、反応の間重合防止剤が存在する。反応生成物が空気雰囲気中で調製される場合、重合防止剤はなお存在し得る。
【0065】
モノ−置換酸無水物を含む部分は、式(1a)で表される化合物の代表的なものである。
【0066】
ジ−置換酸無水物を含む部分は、上記に定義した交互共重合体、ランダム共重合体、またはインターポリマーに見られる基の代表的なものである。
【0067】
一つの実施形態において、本発明のカップリング剤は、式(1a)および/または式(1b)以外のマレイン酸化した重合体、シラン、チタン酸塩、およびジルコニウム酸塩、またはそれらの混合物中にある。
【0068】
適切なシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)(3−アミノプロピル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)トリエトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(3−イソシアナートプロピル)トリメトキシシラン、(3−イソシアナートプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、無水3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸、(イソシアナートメチル)メチルジメトキシシラン、(イソシアナートメチル)トリメトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシランおよびビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(Bis(3−(triethoxysilyl)propyl)tetrasulphide)が挙げられる。
【0069】
一つの実施形態において、マレイン酸化された重合体はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレンビニルアセテート、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0070】
適切なチタン酸塩、およびジルコニウム塩の例はS.J.Monteにより「Neoalkoxy Titanate and Zirconate Coupling Agent Additives in Thermoplastics」と題された雑誌の記事に記述され、および「Polymers and Polymer Composites,2002年、10巻、1刷、p.1−52」に公開されている。
【0071】
一つの実施形態において、カップリング剤は組成物中に分散されている。一つの実施形態において、カップリング剤は組成物の中に均一に分散されている。
【0072】
無機の粒子状固体は高分子材料とともに使用される任意の固体物質であり得、および特に充填剤として使用される固体が含まれる。固体は顆粒状物質の形態または粉末の形態であり得、しばしば茶色の粉末であり得る。例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム(calcium sulphate)、酸化カルシウム、硫酸バリウム(barium sulphate)、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化鉄、ケイ酸カルシウムおよびケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、カオリン、雲母、タルク、チョーク、金属繊維および金属粉、亜鉛、アルミニウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、耐熱繊維(refractory fibres)、レインフォーシングカーボンブラック(reinforcing carbon black)およびノン−レインフォーシングカーボンブラック(non−reinforcing carbon black)を含むカーボンブラック、アルミナ、石英、木粉、パウダードペイパー/繊維(powdered paper/fibre)、石綿、結晶子、直閃石(anthophylite)、青石綿(crocidolite)、珪灰石、アタパルジャイト(attapulgite)など、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ミックスドシリコン−アルミニウムニトリド(mixed silicon−aluminium nitrides)、および金属のチタン酸塩のような粒子状セラミック材料;遷移金属、しばしば鉄、クロムの磁性酸化物(magnetic oxide)、例えばガンマ−Fe、Fe、およびコバルト添加酸化鉄(cobalt−doped iron oxides)、フェライト、例えばバリウムフェライトのような粒子の磁性材料(particulate magnetic materials);ならびに金属粒子、例えば金属の鉄、ニッケル、コバルト、銅およびそれらの合金が挙げられる。
【0073】
複合材の調製において、任意の都合の良い段階でも、カップリング剤は粒子状固体の表面で被膜され得る。したがって、粒子状固体はカップリング剤でプレコート(pre−coat)され得るか、またはカップリング剤は複合材の調製の間、粒子状固体および高分子材料の混合物に加えられ得る。
【0074】
粒子状固体がカップリング剤でプレコートされるとき、無水条件下で2つの成分の混合により調製され得る。この混合は粒子状固体の粒径を減らすための摩擦プロセス(attrition process)によって達成され得る。あるいは、カップリング剤は極性もしくは非極性有機溶媒または水性乳剤であり得る液体キャリア中で粒子状固体に加えられ得る。粒子状固体とカップリング剤を含むキャリアの接触には、浸漬または吹きつけのような当該技術に公知のどのような方法も含み得る。被膜された粒子状固体はそれからろ過のような任意の適切な方法で有機溶媒から分離され得、それから所望の場合、適切な有機溶媒を用いて洗浄することで、過剰のカップリング剤が除去され得る。さらに異なる方法として、被膜された粒子状固体は有機溶媒のエバポレーションにより得られ得る。適切な溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、デカリン、テトラリン、塩化メチレン、およびクロロホルムが挙げられる。
【0075】
粒子状固体とカップリング剤の混合は一般的に20℃〜カップリング剤の分解温度までで行われる。混合は標準大気圧下で行われ得るが、粒子状固体の表面上のカップリング剤の分布を促進する場合はより高い圧力でもより低い圧力でもまた可能である。
【0076】
粒子状固体とカップリング剤が無水条件下で混合されるとき、空気または酸素存在下での被膜加工は、カップリング剤が重合を経る可能性を減少させるので、粒子状固体の表面の被膜加工は代表的には空気または酸素存在下で行われる。
【0077】
キャリア中、粒子状固体がカップリング剤で被膜されるとき、代表的には、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノンまたはtert−ブチルカテコール、あるいはヒンダードフェノール(hindered phenols)、例えば2,6−ジ−tertブチルフェノールのようなの重合防止剤を含む。ヒンダードフェノールはIrganox(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals)のもとで、市販されている。
【0078】
重合防止剤の量はカップリング剤の重量に対して、10%以下または5%以下、あるいは0.2%以下を含む。代表的には、重合防止剤の量はカップリング剤の重量に対して、0.05%以上、または0.1%以上である。
【0079】
粒子状固体の表面上で被膜されたカップリング剤の量は、主として固体およびその表面領域の性質に依存している。代表的には、カップリング剤の量は粒子状固体上にカップリング剤の少なくとも単分子層を提供するのに十分である。異なる実施形態において、カップリング剤の量は粒子状固体の重量に対して、20%以下、または6%以下、または2%以下である。カップリング剤の量はまた粒子状固体の重量に対して、0.01%以上、または0.2%以上、または0.3%以上であるのが代表的である。
【0080】
熱可塑性高分子材料、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、ポリブテン、およびポリ−4−メチルペント−1−エンのようなポリオレフィン;ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート;ポリアミド;ポリアセタール、鎖状ポリエステル、ポリウレタン、ABSポリマー(それらの混合物を含む)ならびにそれらのエラストマーとの混合と用いたとき、カップリング剤で被膜されている粒子状固体は特に効果的であることが見い出されている。
【0081】
熱可塑性高分子の場合は、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルキシ)ヘキサン、アゾビスイソブチロニトリル、ジブチルチンオキシド、およびジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンのようなフリーラジカル発生剤の存在下で熱可塑性高分子、粒子状固体およびカップリング剤をメルトミックス(melt−mix)するのが一般的である。高分子材料が既にフリーラジカル発生剤を含んでいる場合、さらなる量のフリーラジカル発生剤を追加する必要はないかもしれない。フリーラジカル発生剤によって、カップリング剤のエチレン結合とエチレン結合自身および/または高分子材料とが重合すると考えられる。
【0082】
あるいは、フリーラジカル発生剤がまた高分子材料中に既に存在し得る。
【0083】
フリーラジカル発生剤の量は変化し得る。異なる実施形態において、フリーラジカルの量はカップリング剤の重量に対して1〜100%、または70%以下、または50%以下の量で存在する。
【0084】
粒子状固体とカップリング剤を含む高分子材料が固体表面への被膜として用いられるとき、複合材がまた適切な光開始剤を含む場合、重合は電子線または化学放射(actinic radiation)のような他の適切な方法によって開始され得る。
【0085】
プラスチック材料、粒子状固体、およびカップリング剤を含む複合材中の粒子状固体の量は幅広い範囲にわたり変化し得、ならびに粒子状固体の性質および複合材の意図される用途に依存する。代表的には、粒子状固体の量は複合材の量に対し20%〜80%または20%〜60%を含む範囲で存在する。
【0086】
通常粒子状固体をカップリング剤で被膜するのが一般的であるが、カップリング剤および高分子材料の混合物を前調製し、それから粒子状固体を被膜するためにそのような混合物を利用することがより都合のよいときもある。これは特にカップリング剤の量が最終複合材に対して比較的少ない成分の場合である。
【0087】
したがって、本発明のさらなる側面として、カップリング剤および高分子材料を含む組成物が提供される。一つの実施形態において、カップリング剤の量は高分子材料の量に対して1〜30重量%である。混合はカップリング剤および高分子材料の物理的状態にふさわしい任意の適切な装置で行われ得る。カップリング剤の重合の前または後のいずれにおいて、調製された混合物を粒子状固体に加えることが望ましいかに依存して、カップリング材料および高分子材料の調製された混合物は重合防止剤または重合触媒を含み得る。
【0088】
カップリング剤および高分子材料を含む組成物は、カップリング剤および粒子状固体に関して本明細書中以前に記述されている同様の方法で、粒子状固体とともに調製され得る。この組成物はそれから「マスターバッチ(master batch)」として処理され、それから製造物(fabricated material)が形成するときに、追加の高分子材料へ添加され得る。追加の高分子材料と混合される「マスターバッチ」の量は、高分子材料および粒子状固体の性質に依存した幅広い制限にわたり変化し得る。異なる実施形態において、「マスターバッチ」の量の範囲は最終複合材の全重量に対して0.5%〜50%、または10%〜50%、または20%〜50%を含む。「マスターバッチ」を調製するのに用いられる高分子材料は追加の高分子材料と異なり得るが、しかし代表的には同じである。高分子材料がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン/ポリプロピレンジエン、エチルビニルアセテート、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン(chlorosulphonated polyethylene)、ポリビニルクロリド、ブタジエンを主成分としたエラストマー(例えば、ブタジエン−スチレン、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリブタジエン)のような天然ゴムおよび合成ゴム、ポリイソプレン、または天然ゴムを含む場合、「マスターバッチ」の利用は特に有用である。
【0089】
複合材は安定剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤、架橋剤、架橋促進剤、色素、防火剤、帯電防止剤、増粘剤、膨張剤および離型剤のような複合材へ一般的に加えられる他の添加物を含み得る。
【0090】
プラスチック材料、マスターバッチ中でカップリング剤が均一に分布するのに役立つので、または充填剤の被膜層として役立つので、カップリング剤が液体のとき、多孔性固体へモディファイヤー(modifier)を吸収することは都合がよい。多孔性固体の例としては、ケイ酸カルシウムおよびケイ酸アルミニウム、珪藻土、ならびにベントナイトクレーのような茶色の粉末がある。カップリング剤は多孔性固体自身と混合され得、またはカップリング剤は有機液体、水または乳剤の形態中で多孔性固体へ添加され得る。一つの実施形態において、カップリング剤の量は多孔性固体の重量に対して20%〜80%である。カップリング剤を含む多孔性固体は、カップリング剤と同様の方法でプラスチック材料または充填剤に添加され得る。カップリング剤および多孔性固体を含む組成物はまた一般的に最終複合材に含まれる他の添加物を含み得る。
【0091】
下記の実施例は本発明の実例を提供する。これらの実施例は網羅的ではなく、本発明の範囲を制限する意図はない。
【実施例】
【0092】
(調製例1(PREP1))
無水ヘキサデセニルコハク酸(50部、155mmol)を2−ヒドロキシエチルアクリレート(17.98部、155mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.2部)とともに空気雰囲気中100℃、8時間撹拌する。コハク色の液体(57部)が得られる。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。これはカップリング剤1である。
【0093】
(調製例2(PREP2))
無水オクタデセニルコハク酸および無水ヘキサデセニルコハク酸の混合物(50部、145mmol)(無水オクタデセニルコハク酸および無水ヘキサデセニルコハク酸のそれぞれ50:50モル%)を2−ヒドロキシエチルアクリレート(16.79部、145mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中100℃、18時間撹拌する。コハク色の液体(55部)が得られる。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。これはカップリング剤2である。
【0094】
(調製例3(PREP3))
無水ドデセニルコハク酸(51.5部、193mmol)を2−ヒドロキシエチルアクリレート(21.8部、188mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中100℃、24時間撹拌した。コハク色の液体(70部)が得られる。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。これはカップリング剤3である。
【0095】
(調製例4(PREP4))
無水ポリイソブテニルコハク酸(550の数平均分子量を持つポリイソブチレン由来)(50部、92mmol)を2−ヒドロキシエチルアクリレート(10.66部、92mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中100℃、18時間撹拌する。コハク色の液体(60部)が得られる。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。これはカップリング剤4である。
【0096】
(調製例5(PREP5))
無水ポリイソブテニルコハク酸(750の数平均分子量を持つポリイソブチレン由来)(50部、70mmol)を2−ヒドロキシエチルアクリレート(8.14部、70mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中100℃、18時間撹拌する。コハク色の液体(60部)が得られる。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。これはカップリング剤5である。
【0097】
(調製例6(PREP6))
スチレン無水マレイン酸共重合体(Aldrich製)(25部、13.2mmol)を酢酸エチル(200ml)中で2−ヒドロキシエチルアクリレート(6.88部、59.2mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中150℃、6時間撹拌する。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。溶媒を100℃で除去し、それから冷却した状態で白色固体(30部)が得られる。これはカップリング剤6である。
【0098】
(調製例7(PREP7))
スチレン無水マレイン酸共重合体(Aldrich製)(25部、13.2mmol)を酢酸エチル(200ml)中で2−ヒドロキシエチルアクリレート(5.21部、44.9mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中150℃、6時間撹拌する。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。溶媒を100℃で除去し、それから冷却した状態で白色固体(29部)が得られた。これはカップリング剤7である。
【0099】
(調製例8(PREP8))
スチレン無水マレイン酸共重合体(Aldrich製)(25部、13.2mmol)を酢酸エチル(200ml)中で2−ヒドロキシエチルアクリレート(3.44部、29.6mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中150℃、6時間撹拌する。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。溶媒を100℃で除去し、それから冷却した状態で白色固体(27部)が得られる。これはカップリング剤8である。
【0100】
(調製例9(PREP9))
スチレン無水マレイン酸共重合体(Aldrich製)(25部、13.2mmol)を酢酸エチル(200ml)中で2−ヒドロキシエチルアクリレート(1.75部、15mmol)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.1部)とともに空気雰囲気中150℃、6時間撹拌する。生成物のIRスペクトルは無水物のカルボニルのピークの消失を示す。NMR分析はアクリレート基由来のオレフィンプロトンの存在を示す。溶媒を100℃で除去し、それから冷却した状態で白色固体(25部)が得られる。これはカップリング剤9である。
【0101】
(調製例10(PREP10))
実施例2で調製したカップリング剤(5部)をシリカ(5部、Ineos silicas)に加え、それから混合物を白色の細粉が生成するまで高速グラインダーで共に混ぜ合わせる。これはカップリング剤10である。
【0102】
(調製例11(PREP11))
実施例4で調製したカップリング剤(5部)をシリカ(5部、Ineos silicas)に加え、それから混合物を白色の細粉が生成するまで高速グラインダーで共に混ぜ合わせる。これはカップリング剤11である。
【0103】
(プラスチック組成物1および2)
一連のプラスチック組成物は1重量%(木質繊維の重量にたいして)のカップリング剤(それぞれカップリング剤2および4)と50%のFibretron(登録商標)40木質繊維(wood fibre)を混合することにより調製する。
【0104】
(プラスチック組成物3および4)
一連のプラスチック組成物は2重量%(木質繊維の重量にたいして)のカップリング剤(それぞれカップリング剤10および11)と50%のFibretron(登録商標)40木質繊維(wood fibre)を混合することにより調製する。
【0105】
プラスチック組成剤1〜4のカップリング剤をペルオキシド(Perkadox(登録商標)1440B、Akzo Nobelから市販)と反応させる。
【0106】
150℃、10分間、60rpmでHaake(登録商標)Polydriveを用いてプラスチック組成物を調製する。木材は前乾燥しない。HDPE(高密度ポリエチレン)に入れて撹拌し、それからHaake(登録商標)Polydriveに入れる前に、添加物を混合機を用いて予混合する。試料をそれから以下の手順により160℃で圧縮成形しおよそ2mmの厚さのシートにする。その手順は成形プレートを2分間予熱し、それから両方のプレートで2分間成形する前に、試料とプレートを1分間予熱することを含む。型をそれから4分間冷却する。それから帯のこを用いて、型をシートに切り出す。14枚のシートの試験片(11mm幅)およびその長い縁を試験前に水を用いずに磨いた。調製されたプラスチック組成物は表1にまとめられている。
【0107】
【表1】

(プラスチックの評価)
プラスチック組成物のシートを試験前に室温で磨いた後、2日間放置する。
【0108】
プラスチック組成物の曲げの性質およびCharpy衝撃(切欠きのない)の性質を、それぞれHounsfield(商標登録)HTE10およびZwick(商標登録)5102を用いて決定する(決定された性質は5つの試験片に基づく)。試料は試験前に重さを量る。曲げ試験は40mmの長さおよび5mm/minの試験速度を用いて行う。曲げ強さおよび曲げ率は各々の組成物に関して決定する。衝撃試験はまた40mmの長さを用いて行い、および運動エネルギーの損失は試験前に決定する。1Jの打撃を用い、その結果をジュール/単位破壊面積(kJ/m2)を用いて表現した。得られた結果を表2に示す。
【0109】
【表2】

上記に触れられている各々の文書は本明細書中において参考として援用される。実施例中を除いて、またははっきりと指示がない場合、本記述が明確に記している材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などのすべての数的な量は、単語「およそ」で修飾されるものとして解釈される。指示がない限り、本明細書で触れられている各々の化学製品または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および通常市販の等級で存在すると解釈されるような他の材料を含み得る市販の等級の材料であるものとして解釈されるべきである。しかしながら、各々の化学成分の量は、特に指示のない限り慣例的に市販の材料中に存在し得る任意の溶媒または希釈油を除いて示されている。本明細書中で説明されている最大限および最低限の量、範囲および比率は独立して組み合わされ得ると解釈される。同様に、本発明の各々の要素の範囲および量は、任意の他の要素の範囲または量とともに用いられ得る。
【0110】
本発明は好ましい実施形態に関連して説明してきたが、それらの様々な変更は本明細書を読む当業者に対して明らかになると解釈される。したがって、本明細書に開示した本発明は添付された特許請求の範囲内にあたるような変更を含むことを意図すると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状固体、プラスチック材料および式(1a)または(1b)
【化3】

で表される化合物ならびにその塩を含む組成物であって、
[(R−(Y)の繰り返し単位はランダム共重合体、または交互共重合体、またはインターポリマーを表し;
は6個以上の炭素原子を含む親油性基であり;
は重合末端基であり;
pは1〜500まで変化し;
tは2〜10,000の範囲の繰り返し単位の数であり;
uは1〜500まで変化し;
vは1〜500まで変化し;
Yは式(2)で表される1%〜100%のY基、および式(3)〜(7)から選択される式の少なくとも一つの基で表される0%〜99%のY基を含み;
【化4】

Zは−[OACO]−[OCHRCRH]−R、または−[OACO]−[O−(CH−Rであり;
AはC1−20アルキレン、C2−20アルケニレン基、またはそれらの混合物であり;
eは1または2であり;
mは0〜50まで変化し;
nは1〜50まで変化し;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキルであり、ただし、RおよびRの少なくとも一つはHであり;
はエチレン性不飽和基であり;および
,R,RおよびRは独立してヒドロカルビル基である、組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、pが2〜500であり、および前記式(1a)の化合物が500〜1,000,000、または1000〜500,000、または1500〜300,000の該式(1a)の化合物の重量平均分子量を持つ、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、Rがポリオレフィンである組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物であって、前記ポリオレフィンがポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、ポリ(スチレン−ブタジエン)、エチレンビニルアセテート、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物であって、p=1、および前記式(1a)の化合物が200〜10,000、または300〜7500、または300〜5000の重量平均分子量を持つ、組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物であって、Rがポリイソブテニル基である組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、前記ポリイソブテニル基が350〜750、または950〜1000、または2200〜2300の数平均分子量を持つ、組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物であって、式(1a)中のR−Yがポリイソブテニルコハク酸または無水ポリイソブテニルコハク酸から誘導し得る、組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物であって、Rがアクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの混合物から誘導し得る、組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物であって、Zがポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、2−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、またはそれらの混合物から誘導し得る、組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物であって、前記式(1b)の化合物が交互共重合体、またはインターポリマーである、組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の組成物であって、前記交互共重合体またはインターポリマーが、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、エチレンエチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレンブチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、イソプレン−無水マレイン酸共重合体、オクタデセン−無水マレイン酸共重合体、ドデセン−無水マレイン酸共重合体、C24−28アルキレン−無水マレイン酸共重合体およびそれらの混合物よりなる群から選択される、組成物。
【請求項13】
式(1a)および/または(1b)で表される化合物およびそれらの塩であって、
【化5】

[(R−(Y)の繰り返し単位はランダム共重合体、または交互共重合体、またはインターポリマーを表し;
は6個以上の炭素原子を含む親油性基であり;
は重合末端基であり;
tは2〜10,000の範囲の繰り返し単位の数であり;
pは1〜500まで変化し;
uは1〜500まで変化し;
vは1〜500まで変化し;
Yは式(2)で表される1%〜100%のY基、および式(3)〜(7)から選択される式の少なくとも一つの基で表される0%〜99%のY基を含み;
【化6】

Zは−[OACO]−[OCHRCRH]−R、または−[OACO]−[O−(CH−Rであり;
AはC1−20アルキレン、C2−20アルケニレン基、またはそれらの混合物であり;
eは1または2であり;
mは0〜50まで変化し;
nは1〜50まで変化し;
およびRは独立してHまたはC−Cアルキルであり、ただし、RおよびRの少なくとも一つはHであり;
はエチレン性不飽和基であり;および
,R,RおよびRは独立してヒドロカルビル基である、化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物であって、前記式(1b)の化合物の重量平均分子量が20,000より大きい〜1,000,000の範囲である、化合物。
【請求項15】
請求項13に記載の化合物であって、Rが6〜30、または6〜28個の炭素原子を含む親油性基である、化合物。
【請求項16】
請求項13に記載の化合物であって、Rがポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレンビニルアセテート、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体およびそれらの混合物よりなる群から選択される親油性基である、化合物。
【請求項17】
(a)式(1a)および/または(1b)およびそれらの塩;ならびに(b)式(1a)または式(1b)以外のマレイン酸化した重合体、シラン、チタン酸塩、およびジルコニウム酸塩よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含む組成物。
【請求項18】
粒子状固体、プラスチック材料ならびにカップリング剤を形成するための、ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレートおよびモノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分の反応生成物から形成される化合物を含む組成物。
【請求項19】
粒子状個体、プラスチック材料ならびにカップリング剤を形成するための、(a)ヒドロキシ−アルキル(メタ)アクリレート、(b)モノ−またはジ−置換酸無水物を含む部分、ならびに(c)(i)水、(ii)アルコールおよび(iii)アミンよりなる群から選択される少なくとも一つの化合物の反応生成物から形成される化合物を含む組成物。
【請求項20】
請求項13に記載の、カップリング剤としての、式(1a)または(1b)で表される化合物;およびそれらの塩の使用。

【公表番号】特表2010−507705(P2010−507705A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533812(P2009−533812)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061349
【国際公開番号】WO2008/049840
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(507370530)ルブリゾル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】