説明

高分子化合物及びそれを用いた有機トランジスタ

【課題】有機トランジスタの活性層の構成材料として用いる高分子化合物を提供する。
【解決手段】式


〔式中、Eは、−O−、−S−又は−Se−を表す。〕で表される構造単位と、式(1)で表される構造単位とは異なる式


〔式中、Arは、2価の芳香族基、−CR=CR−で表される基又は−C≡C−で表される基を表す。〕で表される構造単位とを含む高分子化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物及びそれを用いた有機トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体材料は、有機トランジスタの構成材料として利用した場合、従来の無機半導体材料を利用する無機トランジスタと比較して、デバイスの軽量化、製造コストの低下及び製造温度の低下が期待されるため、盛んに研究開発が行われている。
【0003】
有機半導体材料の中でも、化学的安定性に優れ、溶媒に可溶性を示すものは、塗布法によって容易かつ安価に薄膜化することが可能になり、有機トランジスタの製造コスト及び製造温度の低下に特に寄与する。そのため、分子設計に自由度が大きく、溶媒に溶解するものを提供し易い高分子化合物が特に注目されている。
【0004】
しかしながら、有機トランジスタには、無機トランジスタと比較して電界効果移動度が低いという問題がある。有機トランジスタの電界効果移動度は、活性層に含まれる有機半導体材料の電界効果移動度に依存する。それゆえ、有機トランジスタの電界効果移動度を向上させるために、電荷移動度が高い有機半導体材料が望まれている。
【0005】
有機半導体材料は、一般に、分子内にπ共役系を持つ化合物群であり、電荷はπ共役系を通じて移動する。従って、π共役結合を有する各種縮合環化合物を構造単位として選択し、組み合わせて、有機半導体材料中のπ共役結合の配置を最適化することによって、有機半導体材料の電化移動度を高めることが可能になる。
【0006】
例えば、非特許文献1には、電界効果移動度が高い有機半導体材料として、N−アルキルジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(N−アルキルDTP)を構造単位とする共重合体が記載されている。
【0007】
しかしながら、N−アルキルDTPは化学的安定性に劣る。つまり、酸素が存在する雰囲気下において、N−アルキルDTPは容易に単独重合してしまう。したがって、N−アルキルDTPを製造したり、別の構造単位と共重合させるための単量体として臭素化又はアルキル金属化したりするためには、反応条件を厳密に制御する高度な技術及び設備が必要であり、N−アルキルDTPを構造単位とする共重合体を工業的に低コストで量産することは困難である。
【0008】
N−アルキルDTPの欠点を改良した化合物として、非特許文献2には、N−アシルDTPが記載されている。N−アルキル基をN−アシル基に変更することによって、DTPのπ共役系のHOMO及びLUMOエネルギーが安定化される。また、非特許文献2では、有機半導体材料として、下記高分子化合物が提案されている。
【0009】
【化1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of American Chemical Society)、2008年、第130巻、第13167〜13176頁
【非特許文献2】オーガニック・レターズ(Organic Letters)、2010年、第12巻、第4054〜4057頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記高分子化合物を活性層に含む有機トランジスタは、電界効果移動度が十分ではないという課題がある。
【0012】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、有機トランジスタの活性層の構成材料として用いた場合に、優れた電界効果移動度を発揮することができる高分子化合物を提供することを目的とする。
【0013】
本発明はまた、このような高分子化合物を含む有機半導体材料、この有機半導体材料を用いた有機半導体素子及び有機トランジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、本発明は、式
【0015】
【化2】

【0016】
〔式中、Eは、それぞれ独立に、−O−、−S−又は−Se−を表す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。〕
で表される構造単位と、式(1)で表される構造単位とは異なる式
【0017】
【化3】

【0018】
〔式中、Arは、2価の芳香族基、−CR=CR−で表される基又は−C≡C−で表される基を表す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシアノ基を表す。〕
で表される構造単位とを含む高分子化合物を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記高分子化合物を含む有機半導体材料を提供する。
【0020】
また、本発明は、前記有機半導体材料を含む有機層を有する有機半導体素子を提供する。
【0021】
また、本発明は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極及び活性層を有し、該活性層に前記有機半導体材料を含む有機トランジスタを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の高分子化合物を活性層に含む有機トランジスタは、高い電界効果移動度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の有機トランジスタの一例を示す模式断面図である。
【図2】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図3】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図4】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図5】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図6】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図7】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図8】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【図9】本発明の有機トランジスタの他の例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、必要に応じて図面を参照することにより、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
本明細書中、「構造単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位構造を意味する。「構造単位」は、「繰返し単位」(即ち、高分子化合物中に2個以上存在する単位構造)として高分子化合物中に含まれることが好ましい。
【0026】
<高分子化合物>
(第1構造単位)
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位(以下、「第1構造単位」という場合がある。)を含む。第1構造単位は、高分子化合物中に一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0027】
式(1)中、Eは、それぞれ独立に、−O−、−S−又は−Se−を表す。
【0028】
Eは、本発明の高分子化合物の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、−S−が好ましい。
【0029】
式(1)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。
【0030】
ここで、アルキル基は、直鎖、分岐のいずれでもよく、シクロアルキル基であってもよい。アルキル基が有する炭素数は、通常1〜60であり、1〜20であることが好ましい。アルキル基の中でも、直鎖アルキル基、分岐アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基等の分岐アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
アルキル基は置換基を有していてもよく、アルキル基が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。置換基を有しているアルキル基の具体例としては、メトキシエチル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
【0031】
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、置換基を除いたアルコキシ基の炭素数は、通常1〜20である。アルコキシ基は、直鎖、分岐いずれでもよく、シクロアルコキシ基であってもよい。
アルコキシ基の具体例としては、n−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基が有していてもよい置換基としては、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルコキシ基の中でも、n−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等の直鎖アルキルオキシ基が好ましい。
【0032】
アルキルチオ基は、置換基を有していてもよく、置換基を除いたアルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20である。アルキルチオ基は、直鎖、分岐いずれでもよく、シクロアルキルチオ基であってもよい。
アルキルチオ基の具体例としては、n−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、n−ドデシルチオ基等が挙げられる。
アルキルチオ基が有していてもよい置換基としては、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキルチオ基の中でも、n−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ドデシルチオ基等の直鎖アルキルチオ基が好ましい。
【0033】
アリール基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素化合物から芳香環に直接結合する水素原子1個を除いた原子団であり、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基、独立した芳香族環又は縮合環2個以上が直接結合した基を含む。アリール基が有する炭素数は、通常6〜60であり、6〜20であることが好ましい。アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、4−フェニルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基等が挙げられる。
【0034】
芳香族炭化水素化合物が有していてもよい置換基としては、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの基を含むアリール基としては、3,5−ジメトキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。芳香族炭化水素化合物が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基が好ましい。
【0035】
ヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい芳香族性を有する複素環式化合物から、芳香環に直接結合する水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環を有する基、独立した複素芳香族環又は縮合環2個以上が直接結合した基を含む。ヘテロアリール基が有する炭素数は、通常2〜60であり、3〜20であることが好ましい。ヘテロアリール基としては、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−チエノチエニル基等が挙げられる。
複素環式化合物が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの基を含むヘテロアリール基としては、5−オクチル−2−チエニル基、5−フェニル−2−フリル基等が挙げられる。複素環式化合物が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基が好ましい。
【0036】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0037】
は、本発明の高分子化合物の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、水素原子が好ましい。
【0038】
は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
【0039】
で表される、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0040】
は、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基がより好ましい。
【0041】
第1構造単位としては、例えば、式(1−1)〜式(1−8)で表される構造単位が挙げられる。中でも、本発明の高分子化合物の原料となるモノマーの合成の容易さの観点からは、式(1−1)で表される構造単位が好ましい。
【0042】
【化4】

【0043】
〔式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。〕
【0044】
で表される、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0045】
で表される、アルキル基及びアルコキシ基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基及びアルコキシ基の定義、具体例と同じである。
【0046】
(第2構造単位)
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構造単位とは異なる式(2)で表される構造単位(以下、「第2構造単位」という場合がある。)を含む。第2構造単位は、高分子化合物中に一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0047】
式中、Arは、2価の芳香族基、−CR=CR−で表される基又は−C≡C−で表される基を表す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシアノ基を表す。
【0048】
2価の芳香族基は、置換基を有していてもよい芳香族化合物から芳香環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた原子団であり、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基、独立した芳香族環又は縮合環2個以上が直接結合した基を含む。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子が挙げられる。アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例は、Rで表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例と同じである。2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、テトラセンジイル基、ピレンジイル基、ペンタセンジイル基、ペリレンジイル基、フルオレンジイル基、オキサジアゾールジイル基、チアジアゾールジイル基、オキサゾールジイル基、チアゾールジイル基、チオフェンジイル基、ビチオフェンジイル基、テルチオフェンジイル基、クアテルチオフェンジイル基、ピロールジイル基、フランジイル基、セレノフェンジイル基、ピリジンジイル基、ピラジンジイル基、ピリミジンジイル基、トリアジンジイル基、ベンゾチオフェンジイル基、ベンゾピロールジイル基、ベンゾフランジイル基、キノリンジイル基、イソキノリンジイル基、チエノチオフェンジイル基、ベンゾジチオフェンジイル基、ベンゾチアジアゾールジイル基、キノキサリンジイル基等が挙げられる。
【0049】
で表される、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0050】
Arは、高分子化合物の電界効果移動度を向上させる観点からは、2価の芳香族基が好ましく、式(3−1)〜式(3−8)で表される構造単位がより好ましく、式(3−1)〜式(3−6)で表される構造単位がさらに好ましい。
【0051】
【化5】

【0052】
〔式中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。〕
【0053】
で表される、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0054】
本発明の高分子化合物の溶媒への溶解性を高め、該高分子化合物を含む薄膜の作製を容易にする観点からは、式(3−1)〜式(3−8)で表される構造単位において、少なくともひとつのRが、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基であることが好ましい。
【0055】
第2構造単位を二個以上含む高分子化合物の例として、式(4−1)〜式(4−9)で表される構造単位を含む高分子化合物が挙げられる。これらの高分子化合物の中でも、高分子化合物の電界効果移動度を向上させる観点からは、式(4−1)〜式(4−7)で表される構造単位を含む高分子化合物が好ましい。
【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
〔式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。〕
【0059】
で表される、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0060】
本発明の高分子化合物の溶媒への溶解性を高め、該高分子化合物を含む薄膜の作製を容易にする観点からは、式(4−1)〜式(4−9)で表される構造単位において、少なくともひとつのRが置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基であることが好ましい。
【0061】
第1構造単位は、第2構造単位と比較して、相対的に正孔をより供与する又は受容する構造である。そのため、第1構造単位と第2構造単位とを有する高分子化合物において、第1構造単位が正孔を供与する場合は、第2構造単位は比較的正に分極し、第1構造単位は比較的負に分極する。一方、第1構造単位が正孔を受容する場合は、第2構造単位は比較的負に分極し、第1構造単位は比較的正に分極する。どちらの場合でも、高分子化合物間で静電的な引力が生じ、分子間のキャリア移動が促進されると推測される。
第2構造単位として式(3−1)〜式(3−8)で表される構造単位を含む高分子化合物は、高分子化合物間に生じる引力がより強くなり、分子間のキャリア移動がより促進されると推測される。
【0062】
(他の構造単位)
本発明の高分子化合物は、第1構造単位、第2構造単位以外の構造単位(以下、「他の構造単位」という場合がある。)を含んでいてもよい。他の構造単位は、高分子化合物中に一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0063】
他の構造単位としては、例えば、式−CR−で表される基、式−C(=O)−で表される基、式−C(=O)O−で表される基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。
で表される、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0064】
(高分子化合物の具体例)
本発明の高分子化合物は、高分子化合物の電界効果移動度を向上させる観点からは、共役高分子化合物であることが好ましい。
【0065】
本発明の高分子化合物が第1構造単位と第2構造単位と他の構造単位からなる場合、高分子化合物のキャリア移動度を高める観点からは、高分子化合物が有する構造単位の合計に対して、第1構造単位と第2構造単位の合計が、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。
【0066】
本発明の高分子化合物の具体例としては、第1構造単位と第2構造単位とを含む式(5−1)〜式(5−12)で表される高分子化合物が挙げられる。高分子化合物の電界効果移動度を向上させる観点からは、式(5−1)〜式(5−9)で表される高分子化合物が好ましく、式(5−1)〜式(5−6)で表される高分子化合物がより好ましい。
【0067】
【化8】

【0068】
【化9】

【0069】
【化10】

【0070】
〔式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表す。Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を表す。nは、3以上の整数を表す。〕
【0071】
で表される、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン原子の定義、具体例と同じである。
【0072】
で表される、アルキル基及びアルコキシ基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基及びアルコキシ基の定義、具体例と同じである。
【0073】
で表される、アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例は、前述のRで表されるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の定義、具体例と同じである。
【0074】
本発明の高分子化合物は、分子鎖末端に重合反応に活性である基が残っていると、該高分子化合物の電界効果移動度が低下する可能性がある。そのため、分子鎖末端は、アリール基、ヘテロアリール基等の安定な基であることが好ましい。
【0075】
本発明の高分子化合物は、いかなる種類の共重合体であってもよく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体等のいずれであってもよい。
【0076】
本発明の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と言う。)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常、1×10〜1×10である。
薄膜作製時に良好な薄膜を形成する観点から、数平均分子量は2×10以上が好ましい。
溶媒への溶解性を高め、薄膜作製を容易にする観点から、数平均分子量は1×10以下であることが好ましい。
【0077】
(高分子化合物の製造方法)
本発明の高分子化合物は、第1構造単位の原料になる単量体と、第2構造単位の原料になる単量体と、要すれば他の構造単位の原料になる単量体とを共重合することにより製造される。
【0078】
第1構造単位の原料になる単量体は、例えば、式(1)で表される構造単位の結合手に臭素が結合した化合物である。この単量体は、式
【0079】
【化11】

【0080】
[式中、R、R及びEは上記と同意義である。]
で表される化合物を臭素化して製造される。
【0081】
式(6)で表される化合物の臭素化は、式(6)で表される化合物を適当な溶媒に溶解し、臭素化剤を反応させて行えばよい。溶媒としては、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド、酢酸等を用いることができ、臭素化剤としては、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、臭素等を用いることができる。
【0082】
この場合、第2構造単位の原料になる単量体は、上記式(2)で表される構造単位の結合手にアルキル金属基が結合した化合物である。この単量体は、上記式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物をアルキル金属化して製造される。ここで、アルキル金属基とは、金属原子にアルキル基が結合した構造を有する1価の基をいう。アルキル金属基としては、例えば、アルキル基で置換されたスタンニル基、及び、アルキル基で置換されたボリル基が挙げられる。
【0083】
式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物のアルキル金属化は、式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物を適当な溶媒に溶解し、塩基の存在下にアルキル金属化剤を反応させて行えばよい。溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等を用いることができ、塩基としては、tert−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等を用いることができ、アルキル金属化剤としては、塩化トリブチルスズ、塩化トリメチルスズ等を用いることができる。
【0084】
他の構造単位の原料になる単量体は、例えば、他の構造単位として例示した基の結合手に臭素原子又はアルキル金属基が結合した化合物である。これらの化合物は、上記と同様の方法を用いて、他の構造単位として例示した基の結合手に水素原子が結合した化合物を臭素化又はアルキル金属化することにより製造される。
【0085】
次いで、式(1)で表される構造単位の結合手に臭素が結合した化合物、式(2)で表される構造単位の結合手にアルキル金属基が結合した化合物、及び要すれば、他の構造単位として例示した基の結合手に臭素又はアルキル金属基が結合した化合物を適当な溶媒に溶解し、遷移金属錯体、及び要すればホスフィン化合物の存在下で加熱して、反応させる。
【0086】
その際、第1構造単位の原料になる単量体と第2構造単位の原料になる単量体の反応量は、モル比において、30/70〜70/30、好ましくは40/60〜60/40、より好ましくは45/55〜55/45になるように調整される。両単量体の反応量の割合が30モル%未満であると、高分子化合物の分子量が低く、電界効果移動度が低くなる場合がある。
【0087】
上記反応の際に、他の構造単位の原料になる単量体も使用する場合は、その使用量は、上記の通り、単量体の合計に対して50モル%以下、好ましくは30モル%以下になる量である。
【0088】
溶媒としては、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル溶媒、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒等を用いることができ、遷移金属錯体としては、Pd(dba)(ここでdbaは、トランス、トランス−ジベンジリデンアセトンを表す。)、Pd(dba)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)等を用いることができ、ホスフィン化合物としては、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリストリルホスフィン(化合物中のトリル基は、オルトトリル基でも、メタトリル基でも、パラトリル基でもよい)、トリス(メトキシフェニル)ホスフィン(化合物中のメトキシフェニル基は、オルトメトキシフェニル基でも、メタメトキシフェニル基でも、パラメトキシフェニル基でもよい)、(2−ビフェニリル)ジ−tert−ブチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等を用いることができる。反応温度は、化合物の安定性及び反応時間を考慮して、0〜200℃に調整される。この場合、反応時間は30分〜100時間である。
【0089】
その後、再沈殿、ソックスレー洗浄、抽出、シリカゲルカラム精製、ゲルパーミッションクロマト精製等の精製操作を行って、本発明の高分子化合物が得られる。この本発明の高分子化合物の製造方法を、第一の方法という。
【0090】
第一の方法とは異なる第二の方法によって、本発明の高分子化合物を製造してもよい。第2の方法では、第1構造単位の原料になる単量体は、式(1)で表される構造単位の結合手にアルキル金属基が結合した化合物である。この単量体は、上記式(6)で表される化合物をアルキル金属化して製造される。式(6)で表される化合物のアルキル金属化は、式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物の代わりに式(6)で表される化合物を使用すること以外は実質的に上記の式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物をアルキル金属化する反応と同様にして行うことができる。
【0091】
この場合、第2構造単位の原料になる単量体は、上記式(2)で表される構造単位の結合手に臭素原子が結合した化合物である。この単量体は、上記式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物を臭素化して製造される。式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物の臭素化は、式(6)で表される化合物の代わりに式(2)で表される構造単位の結合手に水素原子が結合した化合物を使用すること以外は実質的に上記の式(6)で表される化合物の臭素化反応と同様にして行うことができる。
【0092】
次いで、上記と同様にして、式(1)で表される構造単位の結合手にアルキル金属基が結合した化合物、式(2)で表される構造単位の結合手に臭素が結合した化合物、及び要すれば、他の構造単位として例示した基の結合手に臭素又はアルキル金属基が結合した化合物を適当な溶媒に溶解し、遷移金属錯体、及び要すればホスフィン化合物の存在下で加熱して、反応させて、本発明の高分子化合物が得られる。
【0093】
<有機半導体素子>
本発明の高分子化合物は、電界効果移動度が高いことから、有機半導体材料として、例えば、有機半導体素子の有機層に含ませて用いることができる。有機半導体素子としては、有機トランジスタ、有機太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス素子等が挙げられる。本発明の高分子化合物は、中でも、有機トランジスタの電荷輸送材料として特に有用である。
【0094】
<有機半導体材料>
有機半導体材料は、本発明の高分子化合物の1種類を単独で含むものであってもよく、また2種類以上を含むものであってもよい。また、有機半導体材料は、キャリア輸送性を高めるため、本発明の高分子化合物に加え、キャリア輸送性を有する低分子化合物又は高分子化合物を更に含んでいてもよい。有機半導体材料が、本発明の高分子化合物以外の成分を含む場合は、本発明の高分子化合物を30重量%以上含むことが好ましく、50重量%以上含むことがより好ましい。本発明の高分子化合物の含有量が30重量%未満である場合、薄膜化が困難となったり、良好な電荷移動度が得られ難くなったりする場合がある。
【0095】
キャリア輸送性を有する化合物としては、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、オキサジアゾール誘導体、フラーレン類及びその誘導体等の低分子化合物、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等の高分子化合物が例示できる。
【0096】
有機半導体材料は、その特性を向上させるために、高分子化合物材料を高分子バインダーとして含有していてもよい。高分子バインダーとしては、キャリア輸送性を過度に低下させないものが好ましい。
【0097】
高分子バインダーの例としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
【0098】
<有機トランジスタ>
有機トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられる。このような構成を有する有機トランジスタとしては、電界効果型有機トランジスタ、静電誘導型有機トランジスタ等が挙げられる。
【0099】
電界効果型有機トランジスタは、通常、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極と、活性層とゲート電極との間に配置される絶縁層とを有する有機トランジスタである。特に、ソース電極及びドレイン電極が、活性層に接して設けられており、さらに活性層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられている有機トランジスタが好ましい。
【0100】
静電誘導型有機トランジスタは、通常、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となり、本発明の高分子化合物を含む活性層と、該電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを有し、該ゲート電極が活性層中に設けられている有機トランジスタである。特に、ソース電極、ドレイン電極、及び前記ゲート電極が、前記活性層に接して設けられている有機トランジスタが好ましい。
【0101】
ゲート電極は、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成でき、かつ、ゲート電極に印加した電圧で該電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし型電極である。
【0102】
図1は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の一例を示す模式断面図である。図1に示す有機トランジスタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を覆うようにして基板1上に形成された活性層2と、活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間の領域上の絶縁層3を覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
【0103】
図2は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図2に示す有機トランジスタ110は、基板1と基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5を覆うようにして基板1上に形成された活性層2と、ソース電極5と所定の間隔を持って活性層2上に形成されたドレイン電極6と、活性層2及びドレイン電極6上に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレイン電極6との間の領域上の絶縁層3を覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
【0104】
図3は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図3に示す有機トランジスタ120は、基板1と基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように、絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6の一部を覆うように絶縁層3上に形成された活性層2とを備えるものである。
【0105】
図4は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図4に示す有機トランジスタ130は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域の一部を覆うように絶縁層3上に形成されたソース電極5と、ソース電極5の一部を覆うようにして絶縁層3上に形成された活性層2と、活性層2の一部を覆うように、ソース電極5と所定の間隔を持って絶縁層3上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
【0106】
図5は、本発明の有機トランジスタ(静電誘導型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図5に示す有機トランジスタ140は、基板1と、基板1上に形成されたソース電極5と、ソース電極5上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って複数形成されたゲート電極4と、ゲート電極4の全てを覆うようにして活性層2上に形成された活性層2a(活性層2aを構成する材料は、活性層2と同一であっても異なっていてもよい)と、活性層2a上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
【0107】
図6は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図6に示す有機トランジスタ150は、基板1と、基板1上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6の一部を覆うようにして活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電極5が下部に形成されている絶縁層3の領域とドレイン電極6が下部に形成されている絶縁層3の領域とをそれぞれ一部覆うように、絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備えるものである。
【0108】
図7は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図7に示す有機トランジスタ160は、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が下部に形成されている絶縁層3の領域を覆うように形成された活性層2と、活性層2の一部を覆うように活性層2上に形成されたソース電極5と、活性層2の一部を覆うように、ソース電極5と所定の間隔を持って活性層2上に形成されたドレイン電極6とを備えるものである。
【0109】
図8は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図8に示す有機トランジスタ170は、ゲート電極4と、ゲート電極4上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に形成された活性層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、を備えるものである。この場合、ゲート電極4は基板1を兼ねる構成となっている。
【0110】
図9は、本発明の有機トランジスタ(電界効果型有機トランジスタ)の他の例を示す模式断面図である。図9に示す有機トランジスタ180は、ゲート電極4と、ゲート電極4上に形成された絶縁層3と、絶縁層3上に所定の間隔を持って形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6の一部を覆うように絶縁層3上に形成された活性層2とを備えるものである。
【0111】
上述した本発明の有機トランジスタにおいては、活性層2及び/又は活性層2aは、本発明の高分子化合物を含有する膜によって構成され、ソース電極5とドレイン電極6との間の電流通路(チャネル)となる。また、ゲート電極4は、電圧を印加することにより電流通路(チャネル)を通る電流量を制御する。
【0112】
このような電界効果型有機トランジスタは、公知の方法、例えば特開平5−110069号公報記載の方法により製造することができる。また、静電誘導型有機トランジスタは、特開2004−006476号に公報記載の方法等の公知の方法により製造することができる。
【0113】
基板1の材料は、有機トランジスタの特性を阻害しない材料であればよい。基板としては、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板、プラスチック基板を用いることができる。
【0114】
絶縁層3の材料は、電気の絶縁性が高い材料であればよく、SiOx、SiNx、Ta25、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、有機ガラス、フォトレジスト等を用いることができるが、低電圧化の観点からは、誘電率の高い材料を用いることが好ましい。
【0115】
絶縁層3の上に活性層2を形成する場合は、絶縁層3と活性層2の界面特性を改善するため、シランカップリング剤等の表面処理剤で絶縁層3の表面を処理して表面改質した後に活性層2を形成することも可能である。
【0116】
有機電界効果トランジスタの場合、電子やホール等の電荷は、一般に絶縁層と活性層の界面付近を通過する。従って、この界面の状態がトランジスタの移動度に大きな影響を与える。そこで、界面状態を改良して特性を向上させる方法として、シランカップリング剤による界面の制御が提案されている(例えば、表面化学、2007年、第28巻、第5号、p.242−248)。
【0117】
シランカップリング剤の例としては、アルキルクロロシラン類(オクチルトリクロロシラン(OTS)、オクタデシルトリクロロシラン(ODTS)、フェニルエチルトリクロロシラン等)、アルキルアルコキシしラン類、フッ素化アルキルクロロシラン類、フッ素化アルキルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシリルアミン化合物が挙げられる。また、表面処理剤で処理する前に、絶縁層表面をオゾンUV処理、Oプラズマ処理してもよい。
【0118】
このような処理によって、絶縁層として用いられるシリコン酸化膜等の表面エネルギーを制御することができる。また、表面処理により、活性層を構成している膜の絶縁層上での配向性が向上し、高い電荷輸送性(移動度)が得られる。
【0119】
ゲート電極4には、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属や、錫酸化物、酸化インジウム、インジウム・錫酸化物(ITO)等の材料を用いることができる。これらの材料は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、ゲート電極4としては、高濃度にドープされたシリコン基板を用いることも可能である。高濃度にドープされたシリコン基板は、ゲート電極としての性能とともに、基板としての性能も併有する。このような基板としての性能も有するゲート電極4を用いる場合には、基板1とゲート電極4とが接している有機トランジスタにおいて、基板1を省略してもよい。
【0120】
ソース電極5及びドレイン電極6は、低抵抗の材料から構成されることが好ましく、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン等から構成されることが特に好ましい。これらの材料は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0121】
前記有機トランジスタにおいて、ソース電極5及びドレイン電極6と、活性層2との間には、更に他の化合物から構成された層が介在していてもよい。このような層としては、電子輸送性を有する低分子化合物、ホール輸送性を有する低分子化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、これらの金属と有機化合物との錯体、ヨウ素、臭素、塩素、塩化ヨウ素等のハロゲン、硫酸、無水硫酸、二酸化硫黄、硫酸塩等の酸化硫黄化合物、硝酸、二酸化窒素、硝酸塩等の酸化窒素化合物、過塩素酸、次亜塩素酸等のハロゲン化化合物、アルキルチオール化合物、芳香族チオール類、フッ素化アルキル芳香族チオール類等の芳香族チオール化合物等からなる層が挙げられる。
【0122】
また、上述したような有機トランジスタを作製した後には、素子を保護するため、有機トランジスタ上に保護膜を形成することが好ましい。これにより、有機トランジスタが大気から遮断され、有機トランジスタの特性の低下を抑制することができる。また、有機トランジスタの上に駆動する表示デバイスを形成する場合、その形成工程における有機トランジスタへの影響も該保護膜により低減することができる。
【0123】
保護膜を形成する方法としては、有機トランジスタを、UV硬化樹脂、熱硬化樹脂や無機のSiONx膜等で覆う方法等が挙げられる。大気との遮断を効果的に行うため、有機トランジスタを作製後、有機トランジスタを大気にさらすことなく(例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中等で)保護膜を形成することが好ましい。
【0124】
このように構成された有機トランジスタの一種である有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子等として適用できる。そして、上述した実施形態の有機電界効果トランジスタは、活性層として、本発明の高分子化合物を含有し、そのことにより電荷輸送性が向上した活性層とを備えているため、その電界効果移動度が高いものとなる。したがって、十分な応答速度を持つディスプレイの製造等に有用である。
【実施例】
【0125】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0126】
(NMR分析)
NMR測定は、化合物を重クロロホルムに溶解させ、NMR装置(Varian社製、INOVA300)を用いて行った。
【0127】
(質量分析)
質量分析は、質量分析装置(AccuTOF TLC JMS−T100TD、日本電子製)により求めた。
【0128】
(分子量分析)
高分子化合物の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC、Waters社製、商品名:Alliance GPC 2000)を用いて求めた。測定する高分子化合物は、オルトジクロロベンゼンに溶解させ、GPCに注入した。GPCの移動相にはオルトジクロロベンゼンを用いた。カラムは、TSKgel GMHHR−H(S)HT(2本連結、東ソー製)を用いた。検出器にはUV検出器を用いた。
【0129】
合成例1
(化合物2の合成)
【0130】
【化12】

【0131】
フラスコに、化合物1を54.0g(0.167mol)、n−オクタデカンアミドを56.7g(0.200mol)、ヨウ化銅(I)を31.7g(0.167mol)、ヨウ化カリウムを83.0g(0.500mol)、N,N’−ジメチルエチレンジアミンを14.7g(0.167mol)、トルエンを500mL入れて40時間還流した。トルエン溶液である反応液を水に注ぎ、水で洗浄した。その後、トルエン溶液中の溶媒をエバポレーターで蒸発させた。得られた固体を、展開溶媒としてヘキサンとクロロホルムとをヘキサンの容積に対するクロロホルムの容積比が1となるよう混合した混合溶液を用いたシリカゲルカラムで精製を行い、分離した化合物2を乾燥させた。化合物2の得量は13.0gであり、収率は18%であった。
【0132】
H−NMR(300MHz,CDCl)δ7.52(br,2H),7.24(m,2H),3.02(t、2H),1.88(m,2H),1.00〜1.60(m、28H),0.88(m,3H)
【0133】
合成例2
(化合物3の合成)
【0134】
【化13】

【0135】
フラスコに、化合物2を13.0g(29.2mmol)、N−ブロモスクシンイミドを10.9g(61.3mmol)、クロロホルム500mLを入れて2時間撹拌した。クロロホルム溶液である反応液を水に注ぎ、水で洗浄した。続いて、反応液をチオ硫酸ナトリウム水溶液、及び、水で洗浄した。その後、クロロホルム溶液中の溶媒をエバポレーターで蒸発させた。得られた固体を、展開溶媒としてヘキサンとクロロホルムとをヘキサンの容積に対するクロロホルムの容積比が1となるよう混合した混合溶液を用いたシリカゲルカラムで精製を行い、分離した化合物3を乾燥させた。化合物3の得量は16.6gであり、収率は94%であった。
【0136】
H−NMR(300MHz,CDCl)δ7.54(br,2H),2.94(t、2H),1.85(m,2H),1.10〜1.60(m、28H),0.88(m,3H)
【0137】
実施例1
(高分子化合物Aの合成)
【0138】
【化14】

【0139】
フラスコ内の気体を窒素で置換したフラスコに、化合物3を0.181g(0.299mmol)、5,5’−ビス(トリブチルスタンニル)−4,4’−ジ−n−ヘキサデシル−2,2’−ビチオフェン(化合物4)を0.400g(0.315mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを4.3mg、トリスオルトトリルホスフィンを8.6mg、及び、トルエンを50mL入れ、5時間還流した。その後、反応液にブロモベンゼンを1.0g加え、30分還流した。その後、反応液をメタノールに注いだ。析出物を濾取し、濾物をソックスレー洗浄器により、メタノールで4時間、アセトンで4時間洗浄した。洗浄後の固体をトルエンに溶解させ、得られたトルエン溶液に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物を1.0g、及び、水を加えて3時間還流した。その後、得られた溶液をメタノールに注ぎ、析出物を濾取した。析出物をトルエンに溶解させ、得られたトルエン溶液を展開溶媒として用いたシリカゲルカラムで精製を行った。得られたトルエン溶液をメタノールに注いだ。析出物を濾取し、高分子化合物Aを0.290g得た。高分子化合物Aのポリスチレン換算の数平均分子量は5.1×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は8.5×10であった。
【0140】
実施例2
(高分子化合物Bの合成)
【0141】
【化15】

【0142】
フラスコ内の気体を窒素で置換したフラスコに、化合物3を0.300g(0.497mmol)、化合物5を0.193g(0.497mmol)、トルエンを50mL、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを9.1mg、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレートを12mg入れて撹拌した。得られた溶液に、2mol/Lの炭酸カリウム水溶液を2.5mL滴下し、5時間還流させた。その後、反応液に、フェニルボロン酸を12mg加えて、1時間還流させた。次に、反応液にN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物を0.1g加えて、3時間還流させた。その後、反応液を水に注ぎ、トルエンを加え、トルエン層を抽出した。トルエン溶液を酢酸水溶液及び水で洗浄した後、トルエン溶液をアセトンに滴下し、析出物を得た。該析出物を、アセトンを溶媒として用いてソックスレー洗浄し、高分子化合物Bを得た。高分子化合物Bの得量は0.25gであり、ポリスチレン換算の数平均分子量は2.2×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.6×10であった。
【0143】
合成例3
(高分子化合物Cの合成)
【0144】
【化16】

【0145】
フラスコ内の気体を窒素で置換したフラスコに、化合物3を0.500g(0.828mmol)、2,2’−ビピリジルを0.285g(1.82mmol)、テトラヒドロフランを50mL、ビス(シクロオクタジエン)ニッケルを0.501g(1.82mmol)入れて、5時間還流させた。反応液をアセトンに滴下し、析出物を得た。その後、析出物をろ取した。析出物に、トルエンと水とN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物を加えて、3時間還流させた。その後、反応液のトルエン層を抽出した。トルエン溶液を酢酸水溶液及び水で洗浄した後、トルエン溶液をアセトンに滴下し、析出物を得た。析出物を、アセトンを溶媒として用いてソックスレー洗浄し、高分子化合物Cを得た。高分子化合物Cの得量は0.27gであり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.5×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は9.5×10であった。
【0146】
実施例3
(有機トランジスタ1の作製及び評価)
高分子化合物Aを含む溶液を用いて、図9に示す構造を有する有機トランジスタ1を作製した。
ゲート電極となる高濃度にドーピングされたn−型シリコン基板の表面を熱酸化し、シリコン酸化膜(以下、「熱酸化膜」という。)を形成した。熱酸化膜は絶縁層として機能する。次に、フォトリソ工程により熱酸化膜上にソース電極及びドレイン電極を作製した。該ソース電極及び該ドレイン電極は、熱酸化膜側からクロム(Cr)層と金(Au)層とを有し、チャネル長が20μm、チャネル幅が2mmであった。こうして得られた熱酸化膜、ソース電極及びドレイン電極を形成した基板をアセトンで超音波洗浄を行ない、オゾンUVクリーナーでUVオゾン処理を行なった。その後、β−フェネチルトリクロロシランで熱酸化膜の表面を修飾した。次に、上記表面処理した熱酸化膜、ソース電極及びドレイン電極上に、0.5重量%の高分子化合物Aのオルトジクロロベンゼン溶液を1000rpmの回転速度でスピンコートし、有機半導体層(活性層)を形成した。その後、有機半導体層を120℃で30分間加熱し、有機トランジスタ1を製造した。
【0147】
得られた有機トランジスタ1のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、トランジスタ特性を測定した。電界効果移動度は、1.5×10−3cm/Vsであった。
【0148】
比較例1
(有機トランジスタ2の作製及び評価)
高分子化合物Aにかえて高分子化合物Cを用いた以外は実施例3と同様に有機トランジスタ2を作製した。
【0149】
得られた有機トランジスタ2のゲート電圧Vg、ソース・ドレイン間電圧Vsdを変化させ、トランジスタ特性を測定した。電界効果移動度は、1.2×10−5cm/Vsであった。
【符号の説明】
【0150】
1…基板、
2、2a…活性層、
3…絶縁層、
4…ゲート電極、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
100、110、120、130、140、150、160、170…有機トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔式中、Eは、それぞれ独立に、−O−、−S−又は−Se−を表す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。〕
で表される構造単位と、式(1)で表される構造単位とは異なる式
【化2】

〔式中、Arは、2価の芳香族基、−CR=CR−で表される基又は−C≡C−で表される基を表す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシアノ基を表す。〕
で表される構造単位とを含む高分子化合物。
【請求項2】
Eが、−S−である請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項3】
が、水素原子である請求項1又は2に記載の高分子化合物。
【請求項4】
が、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項5】
式(2)で表される構造単位が、式(3−1)〜式(3−8)で表される構造単位である請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化3】

〔式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基又はハロゲン原子を表す。〕
【請求項6】
共役高分子化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む有機半導体材料。
【請求項8】
請求項7に記載の有機半導体材料を含む有機層を有する有機半導体素子。
【請求項9】
ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極及び活性層を有し、該活性層に請求項7に記載の有機半導体材料を含む有機トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−28750(P2013−28750A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166832(P2011−166832)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】