説明

高分子膜およびその製造方法

【課題】 より低い誘電率の膜を形成しうる高分子膜の製造方法および低誘電率の高分子膜を提供すること。
【解決手段】 気相成長法によって成膜する高分子膜の製造方法であって、少なくとも2種の有機モノマーを原料とし、それらの有機モノマーに基づく構造を骨格とした共重合高分子膜を基板表面上に形成する工程と、その後、該共重合高分子膜を形成させた温度よりも高い温度で、該共重合高分子膜を熱処理する工程を含む高分子膜の製造方法。該製造方法により得られる高分子膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子膜およびその製造方法に関する。具体的には半導体集積回路の多層配線間を絶縁する低誘電率層間絶縁膜として利用される高分子膜およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の設計ルールは回路サイズの縮小を続けており、それに伴い隣接する配線間の間隙も小さくなっている。その結果、配線間の寄生容量に起因する遅延が相対的に増大し、この遅延による高速動作性能の劣化が顕在化している。この問題に対し、配線間容量の低減が要求されている。
配線間容量の低減のためには、より誘電率の低い絶縁膜材料の採用が検討されている。有機高分子膜は、材料自体の比誘電率が低いことから、誘電率の低い絶縁材料として有利である。
【0003】
例えば、特許文献1には、プラズマ重合法、即ち、原料の有機化合物を直接気化させて、原料蒸気をキャリアガスを用いて輸送し、減圧反応室中に形成されているプラズマを介して、原料蒸気を加熱基板表面に吹き付けることで、基板表面上に有機高分子膜を製造する方法が記載されている。
上記プラズマ重合法では、原料化合物がプラズマを通過する際に励起され、反応性を増した状態になって基板表面に到達する。この励起された原料化合物自体が基板上で重合反応を起こすため、基板上に製造される高分子膜は、原料化合物の構造を骨格とした膜である。従って、原料化合物を別のものに変更することで、得られる高分子膜の化学構造自体を異なったものにすることができる。そして、低誘電率層間絶縁膜に要求される物性を実現できる化学構造を製造し得る原料化合物を選択し、プラズマ重合法に適用することで、大幅な物性の向上を図ることが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2000−012532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低誘電率層間絶縁膜に要求される物性は、低い誘電率、高い耐熱性、高い機械強度、他の半導体材料との優れた密着性など、多岐にわたっており、最近の半導体技術の進歩に伴って、その要求も高度化してきている。特に、主な要求物性である誘電率について、更なる改良が求められていた。かかる状況下、本発明の目的は、より低い誘電率の膜を形成しうる高分子膜の製造方法および低誘電率の高分子膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち本発明は、気相成長法によって成膜する高分子膜の製造方法であって、少なくとも2種の有機モノマーを原料とし、それらの有機モノマーに基づく構造を骨格とした共重合高分子膜を基板表面上に形成する工程と、その後、該共重合高分子膜を形成させた温度よりも高い温度で、該共重合高分子膜を熱処理する工程を含む高分子膜の製造方法を提供するものである。さらに本発明は、該製造方法により得られる高分子膜を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本方法によれば、気相成長法によって内部に空孔を有する有機高分子膜を形成することが可能であり、用いる原料の割合を任意に変えることで、それら原料の含有量を制御することができ、空孔率の制御が容易となる。従って、気相成長法によって製造する有機高分子膜において、誘電率の制御が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の高分子膜の製造方法では有機モノマーを原料とする。かかる有機モノマーとしては特に限定されないが、気相成長法で重合して有機高分子膜を形成するものが好ましい。中でも、不飽和結合(二重結合や三重結合)を有する化合物は反応性に富み、高分子膜を効率的に製造できるため、有利である。中でも炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する有機化合物は、重合した時に主として炭化水素からなる架橋構造を形成するため、低誘電率層間絶縁膜の原料モノマーとして好適であり、即ち、本発明の製造方法に用いる有機モノマーとして特に好ましい。
【0009】
本発明の高分子膜の製造方法で用いられる少なくとも2種の有機モノマーは、それぞれ単独で気相成長法により有機高分子膜を形成した場合、形成される有機高分子膜の耐熱性が大幅に異なるものであることが好ましい。有機高分子膜の耐熱性は、主として膜中の化学構造によって支配されるが、有機高分子膜の耐熱性が大幅に異なることは、それぞれ単独の有機モノマーから形成される有機高分子膜中の化学構造が大幅に異なることを意味する。従って、かかる膜中の化学構造の相違を形成しうるだけの化学構造の相違が、原料である少なくとも2種の有機モノマーに存在していることが好ましく、即ち、少なくとも2種の有機モノマーとしては、有機高分子膜とした時に化学構造が大幅に異なるようなものが好ましく、それらを原料として基材表面上に形成した共重合高分子膜が、後に行う熱処理工程で分解する構造と分解しない構造とを有する共重合高分子膜を形成する少なくとも2種の有機モノマーであることが、より好ましい。
【0010】
本発明の高分子膜の製造方法では、少なくとも2種の有機モノマーに基づく構造を骨格とした共重合高分子膜を基板表面上に形成し、かかる共重合高分子膜には、原料として用いる各々の有機モノマーに基づく構造の骨格が含まれるが、低誘電率層間絶縁膜には高度な膜の均一性が要求されるため、上記熱処理工程で分解する構造と分解しない構造が膜中に均一に含まれることが好ましく、かかる構造を効率的に形成するには、用いる少なくとも2種の有機モノマー自体が、互いに共重合することが好ましい。即ち、少なくとも2種の有機モノマーとしては、気相成長する際互いに共重合するものが好ましい。
【0011】
さらに、少なくとも2種の有機モノマーに基づく構造を骨格とした共重合高分子膜中には、前記の少なくとも2種の、耐熱性の異なる化学構造からなる部分が含まれていることが好ましい。かかる化学構造は原料として用いられる少なくとも2種の有機モノマーに由来するものであり、かかる膜中の構造の耐熱性が大幅に異なることが特に好ましい。即ち、本発明でまず形成する共重合高分子膜は、後に行う熱処理工程で分解する構造と分解しない構造とを有することが、特に好ましい。
【0012】
耐熱性の高い化学構造としては、例えば、芳香族炭化水素構造を例示することができる。かかる芳香族炭化水素構造を与える有機モノマーとしては、芳香族化合物、または、炭素−炭素三重結合を持つ有機珪素化合物等を例示することができる。
耐熱性の低い化学構造としては、例えば、脂肪族炭化水素構造を例示することができる。かかる脂肪族炭化水素構造を与える有機モノマーとしては、脂肪族炭化水素化合物等を例示することができる。
さらに、有機モノマーの1種として芳香族化合物、または、炭素−炭素三重結合を持つ有機珪素化合物を用い、有機モノマーの別の1種として脂肪族炭化水素化合物を用いる場合が特に好ましい。
【0013】
かかる芳香族化合物、または、炭素−炭素三重結合を持つ有機珪素化合物としては、特に限定されないが、式(1)、式(2)または式(3)で示される化合物が特に好ましい。

(式中、aは0〜3の整数を表わす。bは1〜4の整数を表わす。cは0〜3の整数を表わす。b+c=4である。Aは1価〜4価の芳香族炭化水素基または1価〜4価の芳香族複素環基を表わす。R1はそれぞれ独立に水素原子または置換されていてもよいシリル基を表わし、一分子中にR1が複数存在する場合はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルケニル基、炭素原子数1〜4のアルキニル基、または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表わす。Bは、二価の芳香族炭化水素基または式(4)で示される二価の基を表わす。二つのR3は互いに独立に水素原子または炭化水素基を表わす。R4〜R7は互いに独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を表わす。四つのR8は互いに独立に水素原子またはメチル基を表す。)
【0014】
式(1)のAにおける1価〜4価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレンから誘導される1価〜4価の基等を挙げることができる。式(1)のAにおける1価〜4価の芳香族複素環基としては、例えば、ピリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、イミダゾール、ピロリジン、ピロール、ジアジン、トリアジン、ピリミジン、プリン等の窒素含有複素環、フラン、モルホリン、チオフェン等の酸素または硫黄含有複素環から誘導される1価〜4価の基等を挙げることができる。
これらの、芳香族炭化水素基や芳香族複素環基は、さらに、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数6〜20のアリール基、および炭素原子数6〜20のアリールオキシ基よりなる群より選ばれる1つまたは2つ以上の置換基によって置換されていてもよい。かかる置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基が特に好ましい。
【0015】
aは0〜3の整数を表すが、中でも、0または1の場合が好ましい。その場合、Aは1価または2価の有機基であるが、Aとしては、芳香族炭化水素基であるのが好ましく、特に、ベンゼンまたはナフタレン環から誘導される1価または2価の基(具体的にはフェニル基、ナフチル基、フェニレン基、ナフチレン基)が好ましい。
【0016】
式(1)のR1における置換されていてもよいシリル基としては、例えば、飽和または不飽和炭化水素基で置換されたシリル基を挙げることができ、具体的には、トリメチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチルジビニルシリル基、トリビニルシリル基、トリアリールシリル基等を挙げることができる。
1としては、水素原子、トリメチルシリル基またはトリビニルシリル基が好ましく、中でも、水素原子、またはトリメチルシリル基が好ましい。
式(1)におけるaが1〜3の整数であるとき、複数存在するR1は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0017】
式(1)で示される化合物としては、例えば、フェニルアセチレン、(メチルフェニル)アセチレン、(エチルフェニル)アセチレン、(プロピルフェニル)アセチレン、(ブチルフェニル)アセチレン、トリメチルシリルエチニルベンゼン、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、メチルジエチニルベンゼン、エチルジエチニルベンゼン、プロピルジエチニルベンゼン、ブチルジエチニルベンゼン、1,2−ジ(tert−ブチルエチニル)ベンゼン、1,3−ジ(tert−ブチルエチニル)ベンゼン、1,4−ジ(tert−ブチルエチニル)ベンゼン、1,2−ジ(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、1,3−ジ(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、1,4−ジ(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン等を挙げることができる。中でも、式(1)で示される化合物としては、フェニルアセチレン、トリメチルシリルエチニルベンゼン、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、1,2−ジ(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、1,3−ジ(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン、または1,4−ジ(トリメチルシリルエチニル)ベンゼンが好ましく用いられる。
【0018】
式(2)におけるbは1〜4の整数を表し、cは0〜3の整数を表すが、b+c=4である。bとしては1または2であるのが好ましい。
式(2)におけるR1は式(1)におけるR1と同様である。式(2)におけるbが2〜4の整数であるとき、複数存在するR1は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0019】
式(2)におけるは炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルケニル基、炭素原子数1〜4のアルキニル基、または、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。炭素原子数1〜4のアルケニル基は、例えば、ビニル基、アリル基を挙げることができる。炭素原子数1〜4のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基等を挙げることができる。炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基を挙げることができる。R2としては、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基、メトキシ基、またはエトキシ基が好ましい。
【0020】
式(2)で示される化合物としては、例えば、トリメチルシリルアセチレン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、トリエチルシリルアセチレン、ビス(トリエチルシリル)アセチレン、ジエチニルジメチルシラン、ジエチニルジエチルシラン、ジエチニルジメトキシシラン、ジエチニルジエトキシシラン等を挙げることができる。式(2)で示される化合物としては、トリメチルシリルアセチレン、またはジエチニルジメチルシランが好ましく用いられる。
【0021】
式(3)におけるBは、二価の芳香族炭化水素基または式(4)で示される基を表わす。

(式中、四つのR8は互いに独立に水素原子またはメチル基を表す。)
【0022】
Bにおける2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレンの骨格を有する二価の基等を挙げることができる。具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フルオレニレン基を挙げることができ、これらのいずれかであることが好ましい。
【0023】
かかる二価の芳香族炭化水素基は、さらに、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数1〜10のアシル基、炭素原子数6〜20のアリール基、および炭素原子数6〜20のアリールオキシ基よりなる群より選ばれる1つまたは2つ以上の置換基によって置換されていてもよい。かかる置換基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基が特に好ましい。
Bとしては、特に、フェニレン基、ナフチレン基または式(4)で示される基が好ましく、中でも、全てのR8がメチル基である式(4)で示される基またはフェニレン基である場合が特に好ましい。
【0024】
3における炭化水素基としては、例えば、式(5)または式(6)で示される基が好ましい。

3としては、式(5)で示される基が好ましい。
【0025】
4〜R7における脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜6の飽和または不飽和炭化水素基等を挙げることができ、直鎖状でも分岐していてもよく、不飽和結合の位置も特に限定されない。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリール基、エチニル基、プロパルギル基等を挙げることができる。
4〜R7としては、水素原子が特に好ましい。
【0026】
式(3)で示される化合物としては、例えば、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、メチルジビニルベンゼン、エチルジビニルベンゼン、プロピルジビニルベンゼン、ブチルジビニルベンゼン、式(7)で示される化合物等を挙げることができる。中でも、式(7)で示される化合物が特に好ましい。

式(1)、式(2)または式(3)で示される化合物のうち、式(3)で示される化合物が特に好ましく用いられる。
【0027】
本発明では、有機モノマーの1種として芳香族化合物、または、炭素−炭素三重結合を持つ有機珪素化合物を用い、有機モノマーの別の1種として脂肪族炭化水素化合物を用いる場合が特に好ましく、かかる脂肪族炭化水素化合物としては特に限定されないが、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有する脂肪族炭化水素が好ましい。
かかる脂肪族炭化水素は鎖状でも環状でもよく、鎖状の場合は直鎖状でも分岐していてもよく、環状の場合は単環でも多環でもよく、また炭素原子の数も特に限定されないが、好ましくは、炭素原子数2〜20のものである。炭素−炭素不飽和結合は炭素−炭素二重結合でも炭素−炭素三重結合でもよく、分子内の位置も特に制限されない。
【0028】
かかる脂肪族炭化水素としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ペプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、2−ブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、2−ノネン、3−ノネン、4−ノネン、5−デセン、7−テトラデセン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチルプロペン、2−メチル−1−ブテン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−ウンデセン、4−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘプテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、2,3,4−トリメチル−2−ペンテン、アレン、3−メチル−1,2−ブタジエン、テトラメチルアレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ピペリレン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,3,5−ヘキサトリエン、2,6−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン、ミルセン、1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、3−メチル−1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,5,9−デカトリエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、1−メチル−1−シクロペンテン、1−メチル−1−シクロヘキセン、4−メチル−1−シクロヘキセン、1−イソプロピル−1−シクロヘキセン、1−tert−ブチル−1−シクロヘキセン、1,4−ジイソプロピル−1−シクロヘキセン、1,3,5−トリメチル−1−シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,2,3,4−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エチルテトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル−1,4−シクロヘキサジエン、α−テルピネン、γ−テルピネン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、シクロヘプタトリエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、シクロオクタテトラエン、メチレンシクロブタン、メチレンシクロペンタン、メチレンシクロヘキサン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、アリルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、ジペンテン、リモネン、2−カレン、3−カレン、α−ピネン、ノルボルネン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクラヒドロナフタレン、ノルボルナジエン、ビシクロ[4.3.0]ノナ−3,6−ジエン、ジシクロペンンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、ヘキサヒドロナフタセン、β−ピネン、カンフェン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、6,6−ジメチルフルバレン、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、3−メチル−1−ブチン、2−メチル−1−ブテン−3−イン、1−ペンチン、2−ペンチン、3,3−ジメチル−1−ブチン、3−メチル−1−ペンチン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、1,6−ヘプタジイン、1−ヘプチン、2−ヘプチン、1,7−オクタジイン、1,8−ノナジイン、1−デシン、4−メチル−1−ペンチン、3,3−ジメチル−1−ペンチン、3,4−ジメチル−1−ペンチン、4,4−ジメチル−1−ペンチン、1−ブテン−3−イン、1,3−ブタジイン、1−ペンテン−4−イン、シクロペンチルアセチレン、シクロヘキシルアセチレン、1,4−ペンタジイン、3−メチル−1,4−ペンタジイン、3,3−ジメチル−1,4−ペンタジイン、1,5−ヘキサジイン、3−メチル−1,5−ヘキサジイン、3,3−ジメチル−1,5−ヘキサジイン、3,4−ジメチル−1,5−ヘキサジイン、4,4−ジメチル−1,5−ヘキサジイン、1,3−ジエチニルシクロペンタン、1,3−ジエチニルシクロヘキサン、1,4−ジエチニルシクロヘキサン等が挙げられる。該脂肪族炭化水素としては、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、カンフェン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、1−ヘキシン、または1−ヘプチンが好ましく用いられる。
【0029】
本発明の方法によって得られる高分子膜は、高分子膜内部に多くの微細な空孔を形成することが可能であり、低誘電率層間絶縁膜として要求される誘電率のさらなる低減が可能となる。
【0030】
本発明の高分子膜の製造方法には、少なくとも2種の有機モノマーに基づく構造を骨格とした共重合高分子膜を基板表面上に形成する工程と、その後、該共重合高分子膜を形成させた温度よりも高い温度(熱処理温度)で、該共重合高分子膜を熱処理する工程が含まれるが、かかる熱処理工程において、耐熱性の低い構造からなる部分は無くなって、耐熱性の高い構造からなる部分が膜中に残ることが好ましい。この時に、無くなった部分は空孔になるため、熱処理する前よりも誘電率を下げることができる。さらに、原料の有機モノマーを適切に選択することで、低誘電率と高い機械強度の両立を図ることも可能である。
【0031】
さらに、原料として用いる少なくとも2種の原料モノマーの比率を制御することで、共重合高分子膜における2つの材料の含有量を制御することが出来、結果的に、空孔率の制御が容易となる。これによって、比誘電率制御の自由度が広がる。
【0032】
本発明の方法を実施する際に利用される成長装置の一例について、その概要を模式的に示す図1を用いて説明する。なお、ここでは2種類の原料を用いて有機高分子膜を製造する方法について説明するが、2種類以上の原料を用いる場合であっても、同様の方法で実施可能である。
反応室1は、真空ポンプ8により減圧されており、反応室1の内部には基板加熱部6が設けられる。共重合高分子膜をその上に作製する下地として、半導体基板5が基板加熱部6上に固定される。原料とする、有機化合物Aと有機化合物Bは、それぞれ気化供給システム61、62内において気化され、その蒸気はキャリアガスとともに気化原料供給配管38A、38B、バルブ18A、18Bを介して反応室1へ供給される。反応室1に達するまで、気化原料供給配管38A、38Bの管壁は、備えられているヒータ3により加熱され、配管内を通過する有機化合物A、有機化合物Bの分圧が、その配管壁の温度における各平衡蒸気圧よりも、常に低くなる温度に維持されている。それぞれがキャリアガスとともに輸送された、有機化合物Aと有機化合物Bの蒸気は、反応室1内のシャワーヘッド7へ供給されて混合された後、基板4の表面に吹き付けられる。一方、シャワーヘッド7と基板加熱部6との間には、RF電源9からRF電力が印加され、プラズマが誘起されている。従って、有機化合物Aと有機化合物Bの分子は、ともに、発生しているプラズマ空間を通過する際、励起を受け、活性化がなされた状態で基板表面に到達する。その後、基板加熱部6により加熱されている基板5の表面に吸着し、予め活性化がなされている有機化合物Aと有機化合物Bの分子は、さらに熱エネルギーが付与される結果、速やかに共重合反応を起こし、半導体基板5表面上に、有機化合物Aと有機化合物Bから成る共重合有機高分子絶縁膜4が成長する。その後、基板加熱部6の温度を、共重合高分子絶縁膜4を成長させる時よりも高くし、所定の時間、共重合有機高分子絶縁膜4を熱処理する。
【0033】
プラズマにより活性化がなされている有機化合物Aと有機化合物Bの分子は、基板表面に付着した後、その一部は再離脱する。しかし、「再離脱」と「重合反応」は、互いに競争関係にあるため、この「再離脱」の確率は、熱的過程だけを用いる場合においては、より顕著になり、複数の原料を用いる際、各原料の再離脱確率が異なるため、共重合高分子内における含有比率の制御は、各モノマーの再離脱確率をも考慮した上で、供給量比率をより広い範囲内で制御することで可能となる。それに対して、「プラズマ重合法」では、予め活性化がなされている有機化合物Aと有機化合物Bの分子は、吸着すると、速やかに共重合反応を起こすことが可能となっている。従って、「プラズマ重合法」では、「再離脱」の影響は僅かとなり、共重合高分子内における含有比率の制御は、より容易なものとなる。
【0034】
さらに、場合によっては、プラズマによる活性化を行う間に、一部の活性化された原料化合物どうしが気相で重合し、ダイマーやトリマーとなり、基板の表面に吸着することもある。この場合でも、各気体分子のモビリティの大きい減圧下で原料化合物Aと原料化合物Bとの混合がなされており、生成するダイマーやトリマーも、その混合比率に比例したものとなるので、結果的には、原料化合物Aと原料化合物Bとが均一に配合された共重合高分子絶縁膜が得られる。あるいは、平衡蒸気圧(飽和蒸気圧)が桁違いに異なる複数の原料化合物を用いる際には、上記の再離脱確率の差違の影響をより被り易いが、意図的にプラズマ中で一部共重合反応を生じさせてダイマーやトリマーを形成させると、これらダイマーやトリマーの平衡蒸気圧(飽和蒸気圧)はモノマーより格段に小さなものとなり、再離脱の影響を排除することも可能となる。例えば、各原料化合物の平衡蒸気圧(飽和蒸気圧)間に、3桁程度の差違がある場合であっても、前記の手段を応用すると、再離脱確率の差違を実質上無いものとでき、その際、表面上で形成される共重合高分子絶縁膜自体の面内の組成分布(バラツキ)も実用上の問題が無いものとできる。
【0035】
なお、2種類の原料は、基板表面に混合ガスとして吹き付けるが、その際、基板表面のいずれの部分でも、吹き付けられる混合ガス中に含有される2種類の有機化合物複の比率は同じとすることが必要である。その均一混合は、上記のように、反応室内に設けるシャワーヘッド7における混合など、反応室内において均一混合を行うこともでき、また、反応室内に導入されるまでに、その流路途中で、予め均一混合を終えた後、反応室内に導入することもできる。この流路途中で、予め均一混合を行う手段としては、図1に示す配管流路を合流させる方法の他、ミキシングチャンバーを設け、そのチャンバー内にガスが滞留する間に混合を果す方法を採用することもできる。
【0036】
未反応の原料は、反応室1は真空ポンプ8により減圧されており、また、その壁面も気化原料供給配管38A、38Bと同様に保温されているので、壁面上に付着・凝集することなく、気体状態のまま、ヒーターにより加熱されている配管排気配管16を経て冷却トラップ14へ到達する。冷却トラップ14内では、トラップ面の温度が十分に低いため、気体状の原料A、Bはともに、そのトラップ面上に凝集し、冷却トラップ14内で液化あるいは固化を起こす。その結果、未反応の原料は、冷却トラップ14内で回収・除去され、排気ポンプ8には、原料が除去されたキャリアガス、プラズマ生成に利用されたガスのみが送られる。
【0037】
図2は、本発明に利用する有機化合物が常温で液体である場合、液体状の有機化合物を気化し、キャリアガスとともに供給する気化供給システムの構成を模式的に示図である。有機化合物Aタンク23Aから、気化制御器において気化され、反応室へ供給される直前までを示す。有機化合物A 22Aは、バルブ46A、液体流量指示器A 28A、バルブ43Aを介して気化制御器A 30Aに供給される。さらに、有機化合物A用液体流量指示器28Aからフィードバック制御されている気化制御バルブA 35Aと気化制御機A内バルブ37Aを介し、気化室A 32Aに供給される。一方、キャリアガスA 26Aはバルブ45Aを経て,気化制御器30Aへ供給される。したがって、気化室A 32Aの直前で液体原料化合物A 22AとキャリアガスA 26Aは混合される。キャリアガスAと混合状態で気化室A 32Aへ供給される液体原料化合物A 22Aは、ヒーター34Aにより受ける熱エネルギーにより加熱され、また、気化室32Aは減圧されているので、連続的に気化する。すなわち、気化熱として消費される熱エネルギー、ならびに、急激な圧力減少によるキャリアガスの体積膨張による冷却作用は、ヒーター34Aによる加熱で供給される熱エネルギーにより補完がなされている。従って、気化された原料化合物Aは、そのガス温度は上昇された上で、ヒーター3で保温されている気化原料供給配管38A、バルブ18Aを介して反応室1へ供給される。
【0038】
本発明に利用する有機化合物が常温で固体である場合も、液体と同様に、適切な気化供給システムを選択することが可能である。
以上のように、原料に用いる有機化合物は、常温で液体でも、固体であっても、それに応じて、適切な気化供給システムを選択することで、反応室へ、気体状態の有機化合物を、目的とする供給量に速やかに変化させつつ、供給することが可能である。なお、仮に、常温で既に気体状態となっている有機化合物を利用できる場合には、通常の気体原料ガスと同様の供給形態をとればよい。なお、本発明において、有機化合物の供給に用いられるキャリアガスには、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス等、混入する有機化合物に対して不活性なガスを適宜使用することができる。
さらに、有機高分子膜の製造を制御するため、必要に応じて、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロペン、アセチレン、アレン等のガスを添加することも可能である。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明が実施例により限定されるものではないことは言うまでもない。
【0040】
実施例1
式(7)で示される化合物を有機化合物A、トリビニルシクロヘキサンを有機化合物Bとする。原料としてこれら有機化合物Aと有機化合物Bを用い、この気化モノマーの混合物から有機高分子膜の製造に至る一連のプロセスを説明する。
高分子膜成膜装置の気化制御器(図1及び図2)の初期状態では、バルブ37、バルブ41及びバルブ49を「開」とし、排気ポンプ14で、反応室1、排気配管16、廃液配管15、気化室32、気化原料供給配管38を真空引きする。気化温度は、有機化合物Aおよび有機化合物Bの必要供給量を確保するために必要な温度が望ましいが、気化させる有機化合物Aおよび有機化合物Bを気化室へ供給する配管部において、有機化合物A自体および有機化合物B自体の分解や重合等の変質、それに起因する配管の閉塞等を伴わない温度であることが必要である。また、ヒーター3により加熱される気化原料供給配管38などの配管部材は、それらの加熱温度に耐えられるものとすること、あるいは、加熱温度を用いる配管部材の耐熱温度範囲に設定することの可能な条件を選択することが必要である。また、加熱されている配管の温度は、配管各所に設置された熱電対によりモニターし、常に設定温度となるよう配管加熱ヒーターの出力を制御する。図2に示す、気化供給システムのバルブ45を「開」とし、キャリアガス供給配管40よりキャリアガス(He)26を気体流量制御器31を介して気化制御器30に供給し、さらに気化原料供給配管38、18を介して反応室1に流し、排気配管16を介して排気ポンプ14で装置外に排気する。ここの工程では、気化温度を80℃に加熱する。また、Heキャリアガス流量500sccmとする。この条件では、気化制御器の全圧Pは、7Torrであり、反応室1内圧は2.0Torrである。また、反応室1内に設置された基板加熱部6により、半導体集積回路が形成されたシリコン基板(半導体基板)5を250℃に加熱する。なお、成膜時の基板加熱温度は、200℃〜350℃の範囲に選択するのが適当である。
【0041】
図2に示すような有機モノマー気化供給システム61により、気化した有機化合物Aおよび有機化合物BはHeキャリアガスとともに、気化原料供給配管38を介し反応室1へ供給される。反応室1内のシャワーヘッド7において、気化した有機化合物Aおよび有機化合物Bを含む混合ガスを分散させて、基板5表面に吹き付ける。このシャワーヘッド6には、接地されている基板加熱部6表面に対して、13.56MHzのRFパワーが印加されており、シャワーヘッド7下に、キャリアガスに用いているHeのプラズマを発生させる。その際RFパワーは、有機化合物Aおよび有機化合物Bの活性化のみを行う程度のプラズマエネルギーに留めることが肝要である。気化した有機化合物Aおよび有機化合物BはかかるHeプラズマを通して半導体基板5上に吹き付ける間に、含まれる有機化合物Aおよび有機化合物Bの活性化がなされる。250℃に加熱された基板表面上で、予め活性化されている有機化合物Aおよび有機化合物Bは重合反応を起こし、共重合高分子膜(有機絶縁膜)が製造される。この際、排気配管16には、未反応の有機化合物Aおよび有機化合物Bが含まれているキャリアガスが達するが、排気ポンプの前に挿入されている、冷却により20℃程度に冷やされた冷却トラップ14にて、含有されていた有機化合物Aは再液化され、排気ポンプ8には入り込まない。延べ供給量が所定量に達するまで、有機化合物Aおよび有機化合物Bを供給して、成膜を継続した後、供給を停止する。
その後、反応室内の半導体基板5を400℃で15分間処理し、半導体基板5を取り出す。
【0042】
式(7)で示される化合物とトリビニルシクロヘキサンの共重合反応は、式(7)で示される化合物中のベンゾシクロブテン骨格が開環して1,2−ジビニリデン骨格となり、これとトリビニルヘキサンのビニル基とがDiels-Alder反応することによって進行すると考えられるが、これらの混合気化モノマーを基板に吹き付ける直前にプラズマ中を通過させ、プラズマエネルギーで活性化を行うことにより反応を行うため、速やかに進行する。トリビニルシクロヘキサン由来の部分構造は主として脂肪族炭化水素であり、式(7)で示される化合物に由来する部分構造は主として芳香族炭化水素であるため、これらは耐熱性が大きく異なる。従って、共重合膜を形成した後に熱処理することにより、トリビニルシクロヘキサン由来の構造部分が無くなって空孔となり、誘電率の低い高分子膜を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の有機高分子膜の製造方法の実施に利用可能な高分子膜成膜装置構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の有機高分子膜の製造方法の実施に利用される、液体状の原料の気化供給に利用可能な気化制御器の構成の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 反応室
2 反応室加熱ヒータ
3 配管加熱ヒータ
4 共重合高分子膜
5 半導体基板
6 基板加熱部
7 シャワーヘッド
8 真空ポンプ
9 RF電源
10 マッチングボックス
11 RFケーブル
12a、12b アース線
13 気体流量制御器
14 冷却トラップ
15 廃液配管
16 排気配管
17 バルブ
18A、18B バルブ
19A 気化モノマーA
20A 排気気化モノマーA
21 クリーニングガス
22A 有機モノマーA
23A 有機モノマーAタンク
24A 洗浄溶剤A
25A 洗浄溶剤Aタンク
26A キャリアガスA
27 圧力送出ガス
28A 有機化合物A用液体流量指示器
29A 洗浄溶剤A用液体流量指示器
30A 気化制御器A
31A 気体流量制御器A
32A 気化室
34 ヒータ
35A 気化制御バルブA
36A 洗浄溶剤制御バルブA
37A 気化制御器A内バルブ
38A 気化原料A供給配管
38B 気化原料B供給配管
39A 気化原料A排気配管
40A キャリアガスA供給配管
41A〜48A バルブ
50 排気ポンプ
51 反応室
52 有機絶縁膜
53 半導体基板
54 基板加熱部
55 タンク
56 気化原料配管
61 気化モノマーA供給システム
62 気化モノマーB供給システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相成長法によって成膜する高分子膜の製造方法であって、少なくとも2種の有機モノマーを原料とし、それらの有機モノマーに基づく構造を骨格とした共重合高分子膜を基板表面上に形成する工程と、その後、該共重合高分子膜を形成させた温度よりも高い温度で、該共重合高分子膜を熱処理する工程を含む高分子膜の製造方法。
【請求項2】
有機モノマーの1種として、式(1)、式(2)または式(3)で示される化合物の少なくともいずれか1つを用い、有機モノマーの別の1種として、脂肪族炭化水素化合物を用いる請求項1記載の製造方法。

(式中、aは0〜3の整数を表わす。bは1〜4の整数を表わす。cは0〜3の整数を表わす。b+c=4である。Aは1価〜4価の芳香族炭化水素基または1価〜4価の芳香族複素環基を表わす。R1はそれぞれ独立に水素原子または置換されていてもよいシリル基を表わし、一分子中にR1が複数存在する場合はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルケニル基、炭素原子数1〜4のアルキニル基、または炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表わす。Bは、二価の芳香族炭化水素基または式(4)で示される二価の基を表わす。二つのR3は互いに独立に水素原子または炭化水素基を表わす。R4〜R7は互いに独立に、水素原子または脂肪族炭化水素基を表わす。四つのR8は互いに独立に水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項3】
Aが、芳香族炭化水素基である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
1が、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基またはトリメチルシリル基であり、R2がメチル基である請求項2または3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
aが0または1であり、bが1または2である請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
式(3)で示される化合物が、式(7)で示される化合物である請求項2記載の製造方法。

【請求項7】
脂肪族炭化水素化合物が、炭素−炭素不飽和結合を1つ以上有する脂肪族炭化水素である請求項2〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
共重合高分子膜を形成する工程が、少なくとも2種の有機モノマーを含む混合ガスを減圧下の反応室に供給する工程と、反応室内に形成されたプラズマ中を通過させることにより反応室内に設置された基板表面に前記ガスを吹き付けて、前記有機モノマーに基づく構造を骨格とした共重合高分子膜を基板表面上に形成させる工程とを含む請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
共重合高分子膜を形成する工程の温度と共重合高分子膜を熱処理する工程の温度差が100℃以上である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
基板が半導体基板である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により得られる高分子膜。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−37131(P2006−37131A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215394(P2004−215394)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000227973)日本エー・エス・エム株式会社 (68)
【Fターム(参考)】