説明

高安定圧電発振器用ヒータユニット、及び高安定圧電発振器

【課題】圧電振動子の金属ケースの一方の面にマザープリント基板に搭載した発振回路部品を密着させる一方で、圧電振動子の金属ケースの他方の面にフレキシブルプリント基板に搭載したヒータ抵抗を密着させた高安定圧電発振器の組立性を改善した。
【解決手段】絶縁性のフレキシブルシート41、及びフレキシブルシート上に形成した配線パターンを備えたフレキシブルプリント基板7と、フレキシブルシートの片面の配線パターンに搭載したヒータ抵抗8、及び温度センサ9と、フレキシブルシートの他面に形成した広面積の金属パターン42と、金属パターンから延びてフレキシブルシートを貫通するビアホール43を配線パターンが存在しない領域に配置した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数制御デバイス等として使用される圧電発振器に使用するヒータユニットに関し、特に圧電振動子をヒータにより加熱するとともに、温度制御回路によってヒータ温度を制御する構成を備えた圧電発振器において、金属ブロック等の恒温槽を用いることなく、極限に近い薄型化を達成すると共に、発振周波数の安定化、低消費電力化、組立性の向上、及び低コスト化という各種要請を同時に満足することができるヒータユニット、及び薄型高安定圧電発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信機器や伝送通信機器に用いる周波数制御デバイスである水晶発振器等の圧電発振器として、外部の温度変化に影響されることなく高安定な周波数を出力することができる恒温槽型圧電発振器が従来から知られている。更に、近年これらの分野では、各種機器に対して、小型、軽量で携帯可能であることが求められてきているため、それに対応して恒温槽型圧電発振器についても小型、軽量化が市場から求められている。即ち、従来の恒温槽型圧電発振器の高さ寸法は、通常20mm以上であり、場合によっては50mm程度の高さ寸法まで大型化したものも多用されていた。しかし、近年、各種機器の小型化に対応して、恒温槽型圧電発振器についても他の大型部品と同等の高さ寸法まで低背化することが強く求められている。現在、本出願人が開発している恒温槽型圧電発振器の内で最も薄型化されているものの高さ寸法は9.2mmであるが、これよりも更に薄型化した恒温槽型圧電発振器が市場から求められている。ところで、従来の恒温槽型圧電発振器は、高安定な周波数を得る為に、熱容量が大きい金属ブロック等の恒温槽(oven)の凹所内に圧電振動子を収容し、更に金属ブロックをヒータにより所定の温度に加熱していた。しかし、大型の金属ブロックを用いると、発振器全体の嵩が増大するため、小型、軽量化という要請を満たすことができなかった。また、金属ブロックを介して圧電振動子内部の圧電振動素子を加熱する構成であったため、ヒータからの熱が圧電振動素子に達して、所望周波数に達するまでに長い時間を要するという問題があった。
【0003】
例えば、図6に示した従来の表面実装型の恒温槽型圧電発振器は、水晶振動子等の圧電振動子100及び発振器側プリント基板101を横向きにした状態で金属ブロック(オーブン)102内に収容し、この金属ブロック102の外面にヒータ線103を巻付けている。この金属ブロック102は、上面に発振回路部品105を搭載したマザープリント基板104上に所定のギャップを隔てて固定され、金属ブロック102とマザープリント基板104を、ベース106と金属ケース107内に収容している。ベース106の底部から突出したリード部材108を利用して、機器本体側のプリント基板上に実装される。このリード部材108からマザープリント基板104上の配線パターンを介して回路部品105に対して電流が供給され、更に圧電振動子100やヒータ線103に対して電流が供給される。しかし、このタイプの恒温槽型圧電発振器にあっては、使用する金属ブロック自体の高さが大きく、しかもこの金属ブロック102をマザープリント基板104の上面から浮上させた状態で固定しているため、圧電振動子100の厚さに比して恒温槽型圧電発振器本体の厚さが大幅に厚くなる。このため、発振器全体の高さが大きくなる。
更に、マザープリント基板104上に搭載した温度制御用回路を構成するパワートランジスタ109の発熱部(本体)を金属ブロック102の外面に当接させることにより、加熱の補助手段としている。また、温度センサ110を金属ブロック102の上面に位置するヒータ線103と接する位置に配置している。
しかし、ヒータ線103と、パワートランジスタ109と、温度センサ110を金属ブロック102の外面の別々の場所に夫々配置する必要があるため、発振器の小型化が図りにくいばかりでなく、組付け手数が増大するという問題があった。
【0004】
次に、ヒータ線を用いることなく更なる薄型化を図った恒温槽型圧電発振器として、図7に示した如く、下面に回路部品105を搭載したマザープリント基板104の上面に搭載したヒータ抵抗111と接するように圧電振動子100を横臥状態で配置し、この圧電振動子100に対して下面が開放した金属ブロック102をかぶせ、更にこれらの構成要素をベース106と金属ケース107にて包囲したものが提案されている。パワートランジスタ109と温度センサ110は、マザープリント基板104上に搭載されている。
このタイプの恒温槽型圧電発振器は、圧電振動子100の厚さを恒温槽型圧電発振器本体の厚さに近づけることができるが、この程度の薄型化では発振器全体の高さ寸法を9.2mmとするのが限界であり、それ以下に抑えることは不可能である。また、圧電振動子を加熱する為に依然としてアルミ合金等から成る厚肉の金属ブロック102を必要とする為、これが小型化、低背化を阻害する大きな要因となっていた。また、マザープリント基板104の下面に発振回路部品105を搭載することになる為、発振回路部品がヒータ抵抗111から離間するばかりでなく、底部ベース106と近接することになり、放熱量が大きくなって発振回路部品の温度変化が大きくなる為、発振器の温度特性に悪影響を及ぼしていた。発振器の温度特性の安定化のためには、圧電振動子のみならず、発振回路部品の温度の一定化が重要であるにも拘わらず、このような要請を満たし得る構造ではなかった。
これらの問題を解決して更なる薄型化を図るために、本出願人は特許文献1において、マザープリント基板に形成した切欠き内に圧電振動子を嵌合してマザープリント基板の肉厚分だけ薄型化を図ると共に、これらの構成要素を表裏両側から夫々フレキシブルプリント基板により包囲し、さらにフレキシブルプリント基板に搭載したヒータ抵抗を圧電振動子の表裏両面に密着させ、更にこれらの構成要素をケースにより包囲した構造の表面実装型薄型高安定圧電発振器を提案した。この圧電発振器は、6.2mmまでの薄型化を達成することに成功している。
【特許文献1】特開2001−274626公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された圧電発振器にあっては、フレキシブルプリント基板上に搭載したヒータ抵抗を圧電発振器の表裏両面と密着させているため、マザープリント基板上に搭載した発振回路部品とヒータ抵抗とは離間した位置関係にあり、発振回路部品の加熱温度の安定性に支障が生じ得る。また、表裏両面側を夫々フレキシブルプリント基板により塞がれたマザープリント基板上に調整回路部品としてのコンデンサ等が搭載されているため、組付け完了後に調整回路部品を調整することが不可能となる。
本発明が解決しようとする課題は、温度制御回路によってヒータ温度を制御する構成を備えた圧電発振器において、大型化の原因となる金属ブロック等の恒温槽を用いることなく、極限に近い薄型化を達成すると共に、発振周波数の安定化、低消費電力化、組立性の向上、及び低コスト化という各種要請を同時に満足することができる薄型高安定圧電発振器、及びそれに用いるヒータユニットを提供することにある。
更に、圧電振動子のみならず、発振回路部品をもヒータ抵抗によって十分に加熱して特性を安定化させるとともに、調整回路部品については外部に露出させることにより任意に調整作業を実施することを可能とするヒータユニット、及びそれを用いた薄型高安定圧電発振器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、絶縁性のフレキシブルシート、及びフレキシブルシート上に形成した配線パターンを備えたフレキシブルプリント基板と、フレキシブルシートの片面の配線パターンに搭載したヒータ抵抗、及び温度センサと、該フレキシブルシートの他面に形成した広面積の金属パターンと、該金属パターンから延びてフレキシブルシートを貫通するビアホールを前記配線パターンが存在しない領域に配置したことを特徴とする。
圧電振動子を加熱するためのヒータ抵抗、温度センサをフレキシブルシートの片面に搭載すると共に、他の面には広い面積に亘ってベタ状の金属パターンを形成し、更にビアホールを介してヒータ抵抗からの熱が金属パターンに伝導するようにしたので、フレキシブルシートをはさんでヒータ抵抗とは反対側に設けた金属パターンに対しても十分な加熱が行われることとなり、フレキシブルプリント基板の両側に配置した被加熱対象物を効率よく加熱することができる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記ヒータ抵抗を、カーボン抵抗、その他の印刷抵抗としたことを特徴とする。
ヒータ抵抗としては、チップ抵抗器の如きタイプであっても、印刷による抵抗であってもよい。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記フレキシブルプリント基板の配線パターンにパワートランジスタを搭載し、前記フレキシブルシートをパワートランジスタの絶縁手段としたことを特徴とする。
加熱手段として、パワートランジスタを併用することが有効であるが、このパワートランジスタをもヒータユニットに組み込むことが更に有効である。
【0007】
請求項4の発明は、圧電振動子、発振回路部品、及び温度制御回路部品を備えた高安定圧電発振器において、前記ヒータ抵抗、温度センサ、又は/及び、パワートランジスタが圧電振動子、或いは圧電振動子を包囲する金属ブロックと密着するように請求項1、2又は3に記載の高安定圧電発振器用ヒータユニットを圧電振動子に組み付けたことを特徴とする。
本発明のヒータユニットは、高安定圧電発振器を構成する圧電振動子に直接当接しても良いし、圧電振動子や発振回路を収容した金属ブロックに当接させるようにしてもよい。
請求項5の発明は、金属ケース内に圧電振動素子を気密封止した圧電振動子本体、及び該圧電振動子本体の底部から突出したリード端子を備えた圧電振動子と、該圧電振動子本体を片面に支持すると共に該リード端子を配線パターンに接続するマザープリント基板と、該マザープリント基板の片面上に搭載されて該圧電振動子本体の片面と密着配置される発振回路部品と、該マザープリント基板の他面上に搭載される調整回路部品と、該圧電振動子本体の他面に添設されると共にマザープリント基板の片面にまで延在した請求項1、2又は3に記載の安定圧電発振器用ヒータユニットと、を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5において、前記フレキシブルプリント基板の一部を含む前記圧電振動子本体の外面を包囲するように、前記マザープリント基板に対して板金製箱体を組み付けた構造を備えたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の高安定圧電発振器を、表面実装用のベースプリント基板上に搭載し、該高安定圧電発振器を含む該ベースプリント基板上の空間を金属製発振器ケースにて包囲したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した形態例に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る薄型高安定圧電発振器の実現に不可欠な構成要素となるヒータユニットの一構成例を示す平面図、及び正面図である。
このヒータユニット40は、絶縁性のフレキシブルシート41(例えば、厚さ0.1mm)上に配線パターンを形成した構成を備えたフレキシブルプリント基板7と、フレキシブルシート41の片面の配線パターン44に半田接続により固定したチップ抵抗としてのヒータ抵抗8と、配線パターン45に接続され且つヒータ抵抗8に近接配置されたサーミスタ等の温度センサ9と、フレキシブルシート41の他面に形成した広面積の熱伝導用の金属パターン42と、金属パターン42から延びてフレキシブルシート41を貫通する熱伝導用のビアホール43と、を備えている。金属パターン42は、配線パターンと導通しないため通常は電気的には機能しないが、フレキシブルシート上の図示しないアースパターンと接続してもよい。ビアホール43は、フレキシブルシート41の配線パターンと干渉しない領域に配置されてヒータ抵抗の熱を金属パターン42に伝導するように構成されている。
ヒータ抵抗8は、チップ部品としての抵抗器としてもよいし、カーボン抵抗、その他の印刷抵抗としてもよい。
【0009】
次に、図2(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るヒータユニット40を用いて組み立てられた薄型高安定圧電発振器の内部構造を示す縦断面図、(b)は横断面平面図である。
この薄型高安定圧電発振器1は、金属ケース内に圧電振動素子を気密封止した圧電振動子本体2a、及び圧電振動子本体2aの底部から突出したリード端子2bを備えた水晶振動子等の圧電振動子2と、この圧電振動子2を横臥した状態で下面に搭載すると共にリード端子2bを配線パターンに対して電気的に接続したマザープリント基板3と、マザープリント基板3の下面に搭載されて圧電振動子本体2aの上面と密着配置される発振回路部品5と、マザープリント基板3の上面に搭載されるコンデンサ等の調整回路部品6と、圧電振動子本体2aの下面側に添設されると共にマザープリント基板3の下面にまで延在したヒータユニット40と、を備えている。
ヒータユニット40を構成するフレキシブルプリント基板7の一端は、マザープリント基板3の端縁寄りの下面に添設された状態で、マザープリント基板3と共に導通ピン10によって貫通されることによって、夫々の配線パターン間の電気的な接続が確保される。また、組立作業が容易化し、生産性を高めることができる。
更に、フレキシブルプリント基板7の一部(主として圧電振動子本体2aの下面に添設された部分)を含む圧電振動子本体2aの外面を包囲するように、マザープリント基板3に対して板金製箱体(オーブンケース)11を組み付け固定する。
板金製箱体11は、薄肉且つ低廉な板金を単に箱状に成型したものであり、図示のように組み付けることによって、フレキシブルプリント基板7上の金属パターン42と発振回路部品5を圧電振動子本体2aの両面に夫々密着させつつ、圧電振動子2をマザープリント基板3に対して固定一体化する。金属パターン42の反対面に位置するヒータ抵抗8は、板金製箱体11と接着剤等により密着させて接合する。
このようにヒータ抵抗8を板金製箱体11に密着させて両者の熱結合を密にすることによって、立ち上げ時における板金製箱体11の昇温時間を短縮化し、さらに所定温度に昇温した後の保温性を高めることができる。また、ヒータ8は熱伝導性の良好な金属材料から成るビアホール43を介して金属パターン42と接続されているため、金属パターン42も効率よく加熱され、圧電振動子2を効率的に加熱し、昇温、保温させることができる。
【0010】
周知のように、圧電発振器に使用する回路部品としては、発振回路部品5、温度制御回路部品等を備えている。温度制御回路は、サーミスタ9等の温度検知素子からの検知温度に基づいてヒータ抵抗8の発熱を制御して、圧電振動子2の温度を一定に保持する。
調整回路部品6としてのコンデンサは、例えば、発振周波数の調整や、温度制御用の調整部品として使用される。
圧電振動子2は、金属ケース2a’内に図示しない圧電振動素子(圧電基板上に励振電極を形成した素子)を気密封止した構造の圧電振動子本体2aと、該金属ケース2a’と絶縁した状態でその内部に気密貫通して圧電振動素子の励振電極と導通するリード端子2bと、を備えている。
圧電振動素子本体2の金属ケース2a’を間に挟んで、上下位置に発振回路部品5と金属パターン42を密着配置しているので、発振回路部品5は金属ケース2a’を介した熱伝導によって十分に加熱されてその温度を安定させることができる。
更に、フレキシブルプリント基板7と板金製箱体11によって包囲することにより内部の圧電振動素子や回路部品の保温性を高めることができる。
このように板金製箱体11によって、圧電振動子2、回路部品5、6を搭載したマザープリント基板3、ヒータ抵抗8を搭載したフレキシブルプリント基板7を一体化した高安定圧電発振器1は、表面実装用のベースプリント基板21上に搭載し、高安定圧電発振器1を含むベースプリント基板21上の空間を金属製発振器ケース22にて包囲することにより表面実装型高安定圧電発振器23とすることができる。
即ち、ベースプリント基板21の上面には予め金属製発振器ケース22の裾部を着座して半田接続するためのアースパターン25を形成し、更にベースプリント基板21の周縁には機器本体側のプリント基板上に表面実装するための外部電極26が形成されている。
高安定圧電発振器1は、金属ケース2a’の一部を固定用部品30を介してベースプリント基板21上のアースパターン等に浮いた状態で固定されると共に、マザープリント基板3とフレキシブルプリント基板7を貫通する導通ピン10がベースプリント基板21上の配線パターンに接続される。
このように金属ケース2a’がベースプリント基板21、及び金属製発振器ケース22と非接触の状態を維持しているため、発振器内部の熱が外部へ漏れ出ることが防止される。
なお、図2に示した実施形態では、ヒータユニット40のヒータ抵抗8を板金製箱体11に密着させる一方、金属パターン42を圧電振動子2と接触させる構成を採用したが、これとは逆に図3に示すようにヒータ抵抗8を圧電振動子に密着させ、金属パターン42を板金製箱体11と密着させるようにしてもよい。
なお、図3に示した例では、マザープリント基板3上に搭載したパワートランジスタ50を圧電振動子2の金属ケース2a’に密着(接着)させることによってヒータ抵抗8による加熱を補助するようにしている。
【0011】
次に、図4は本発明のヒータユニットの他の構成例を示す平面図であり、この実施形態に係るヒータユニット40は、フレキシブルプリント基板7の配線パターンにパワートランジスタ50を接続して搭載し、フレキシブルシート41をパワートランジスタ50の絶縁手段として利用している。
図5(a)及び(b)は図4に示したヒータユニット40を使用して構成した大型の高安定圧電発振器1を示す縦断面図、及び分解斜視図であり、内部に圧電振動子と発振回路部品を収容した金属ブロックの側面にヒータユニット40を添設固定した例を示している。
即ち、この実施形態に係る高安定圧電発振器1は、上記実施形態のように、圧電振動子に対してヒータユニットを取り付けるのではなく、圧電振動子と発振回路部品を収容した金属ブロック60の外面適所(例えば側面)に、図4に示したヒータユニット40をネジ止め、或いは接着等によって固定する。
この際、図示のように金属パターン42側を金属ブロック60の外面に接触させてもよいし、ヒータ抵抗8を金属ブロック60の外面に接触させるようにしてもよい。
金属ブロック60の底部から延びる端子61をマザープリント基板62上に固定し、これらの構成要素60、62を、ベース63と、上側金属ケース64によって包囲する。マザープリント基板62から延びる外部接続用のリード端子65はベース63を貫通して固定される。
この実施形態のヒータユニット40は、ヒータ抵抗8の他にパワートランジスタ50を用いて金属ブロック60を加熱するようにしているので、加熱効率、保温効率を高めることができる。
【0012】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、温度制御回路によってヒータ温度を制御する構成を備えた圧電発振器において、大型化の原因となる金属ブロック等の恒温槽を用いることなく、極限に近い薄型化を達成すると共に、発振周波数の安定化、低消費電力化、組立性の向上、及び低コスト化という各種要請を同時に満足することができる薄型高安定圧電発振器、及びそれに用いるヒータユニットを提供することができる。
即ち、本発明では、フレキシブルプリント基板の片面にヒータ抵抗を搭載すると共に、他面にヒータ抵抗からの熱により加熱され易く構成した金属パターンを配置したヒータユニットを用いて圧電発振器を構築するようにしたので、組付け工程を簡略化することができる。更に、圧電振動子の金属ケースの一方の面にマザープリント基板に搭載した発振回路部品を密着させる一方で、圧電振動子の金属ケースの他方の面にヒータユニットのフレキシブルプリント基板に搭載したヒータ抵抗(或いは、金属パターン)を密着させるようにしたので、ヒータ抵抗は圧電振動子を加熱するだけでなく、間接的に発振回路部品をも効率的に加熱することができる。しかも、マザープリント基板、フレキシブルプリント基板、及び板金製箱体によって包囲された弊所内に発振回路部品は収容されるので保温性も高くなり、温度特性が改善される。
また、調整回路部品は、マザープリント基板の外側面に露出配置されるので、任意の時点での調整が可能となる。
また、ヒータユニット上に、ヒータ抵抗の他にパワートランジスタを搭載することにより、更に効率的な加熱、保温を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るヒータユニットの構成を示す平面図、及び正面図。
【図2】(a)及び(b)は図1のヒータユニットを用いて構成した表面実装型薄型高安定圧電発振器の正面縦断面図、及び平面図。
【図3】本発明のヒータユニットを用いて構成した表面実装型薄型高安定圧電発振器の他の形態例を示す縦断面図。
【図4】本発明のヒータユニットの他の構成例を示す平面図。
【図5】(a)及び(b)は図4のヒータユニットを用いて構成した表面実装型薄型高安定圧電発振器の縦断面図、及び分解斜視図。
【図6】第1の従来例に係る高安定圧電発振器の縦断面図。
【図7】第2の従来例に係る高安定圧電発振器の縦断面図。
【符号の説明】
1 薄型高安定圧電発振器、2 圧電振動子、2a 圧電振動子本体、2a’金属ケース、2b リード端子、3 マザープリント基板、5 発振回路部品、6 調整回路部品、7 フレキシブルプリント基板、8 ヒータ抵抗、9 サーミスタ、10 導通ピン、11 板金製箱体、21 ベースプリント基板、22 金属製発振器ケース、25 アースパターン、26 外部電極、30 固定用部品、40 ヒータユニット、41 フレキシブルシート、42 金属パターン、43 ビアホール、44、45 配線パターン、50 パワートランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のフレキシブルシート、及びフレキシブルシート上に形成した配線パターンを備えたフレキシブルプリント基板と、
フレキシブルシートの片面の配線パターンに搭載したヒータ抵抗、及び温度センサと、該フレキシブルシートの他面に形成した広面積の金属パターンと、該金属パターンから延びてフレキシブルシートを貫通するビアホールを前記配線パターンが存在しない領域に配置したことを特徴とする高安定圧電発振器用ヒータユニット。
【請求項2】
前記ヒータ抵抗を、カーボン抵抗、その他の印刷抵抗としたことを特徴とする請求項1に記載の高安定圧電発振器用ヒータユニット。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板の配線パターンにパワートランジスタを搭載し、前記フレキシブルシートをパワートランジスタの絶縁手段としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の高安定圧電発振器用ヒータユニット。
【請求項4】
圧電振動子、発振回路部品、及び温度制御回路部品を備えた高安定圧電発振器において、
前記ヒータ抵抗、温度センサ、又は/及び、パワートランジスタが圧電振動子、或いは圧電振動子を包囲する金属ブロックと密着するように請求項1、2又は3に記載の高安定圧電発振器用ヒータユニットを圧電振動子に組み付けたことを特徴とする高安定圧電発振器。
【請求項5】
金属ケース内に圧電振動素子を気密封止した圧電振動子本体、及び該圧電振動子本体の底部から突出したリード端子を備えた圧電振動子と、
該圧電振動子本体を片面に支持すると共に該リード端子を配線パターンに接続するマザープリント基板と、
該マザープリント基板の片面上に搭載されて該圧電振動子本体の片面と密着配置される発振回路部品と、
該マザープリント基板の他面上に搭載される調整回路部品と、
該圧電振動子本体の他面に添設されると共にマザープリント基板の片面にまで延在した請求項1、2又は3に記載の安定圧電発振器用ヒータユニットと、を備えたことを特徴とする高安定圧電発振器。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板の一部を含む前記圧電振動子本体の外面を包囲するように、前記マザープリント基板に対して板金製箱体を組み付けた構造を備えたことを特徴とする請求項5に記載の高安定圧電発振器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の高安定圧電発振器を、表面実装用のベースプリント基板上に搭載し、該高安定圧電発振器を含む該ベースプリント基板上の空間を金属製発振器ケースにて包囲したことを特徴とする表面実装型高安定圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2005−45502(P2005−45502A)
【公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−202543(P2003−202543)
【出願日】平成15年7月28日(2003.7.28)
【出願人】(000003104)東洋通信機株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】