高所作業車
【課題】路面の傾斜によらず作業台の許容作業範囲を十分に確保することにより使い勝手を向上させた高所作業車を提供する。
【解決手段】旋回台20は、走行体10の進行方向に対して直交する面内において、旋回台20を揺動させるとともに左右側方へ旋回台20を移動させる揺動スライド機構40を介して走行体10上に設けられ、揺動スライド機構40は、旋回台支持部41と走行体10とに枢結されて、旋回台支持部41を揺動可能となるように接続する後部左側リンク部材42、後部右側リンク部材43と、後部左側リンク部材42および後部右側リンク部材43を、走行体10との枢結部分を中心として揺動させる揺動スライドシリンダ45とを有して構成される。
【解決手段】旋回台20は、走行体10の進行方向に対して直交する面内において、旋回台20を揺動させるとともに左右側方へ旋回台20を移動させる揺動スライド機構40を介して走行体10上に設けられ、揺動スライド機構40は、旋回台支持部41と走行体10とに枢結されて、旋回台支持部41を揺動可能となるように接続する後部左側リンク部材42、後部右側リンク部材43と、後部左側リンク部材42および後部右側リンク部材43を、走行体10との枢結部分を中心として揺動させる揺動スライドシリンダ45とを有して構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置を所望の高所に移動させて作業を行うように構成された高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような高所作業車の一例として、走行可能な走行体に対して伸縮、起伏および旋回可能に設けられたブームの先端部に、作業装置としての作業者搭乗用の作業台を有した高所作業車が従来知られている。このように構成される高所作業車は、ブームを起伏、伸縮および旋回作動させることにより、作業台を所望の位置に移動させて高所作業を行うことができるようになっている。作業場所によっては、高所作業車を傾斜路面に位置させた状態で高所作業が行われる場合もあるが、この場合高所作業車には、作業台の移動位置に応じたモーメントが作用するばかりでなく、路面傾斜によって当該モーメントが増大されて作用することがある。このため、高所作業車の転倒を防止するためには、作業台の移動を許容作業範囲(走行体が転倒することなく安全に移動できる範囲)内に規制することに加えて、路面傾斜も考慮した規制を行うことが求められている。
【0003】
例えば鉄道軌道のコーナ部分には、鉄道車両が安定走行できるように傾斜(カント)が設けられているが、この鉄道軌道を走行しながら高所作業を行えるように構成された高所作業車(軌陸車)においては、カントによる影響を抑えて走行体を安定支持することが重要となる。そこで、路面やカントの傾きに応じてブーム(ブームを支持する旋回台)の傾きを制御する傾き補正機構を備えた高所作業車が開発されている。
【0004】
図11には、従来の傾き補正機構を備えた高所作業車500を、後方から見た図を示している。この高所作業車500は、走行体510に対して固定板520および一対の揺動シリンダ530,530が固定され、固定板510に対して揺動板540が支点521で枢結されて上下に揺動自在となっている。揺動板540の上面には、ブーム570(支柱560)を支持する旋回台550が回転自在に取り付けられている。
【0005】
図11(a)に示すように、水平路面に高所作業車500が位置する場合には、一対の揺動シリンダ530を互いに等しく伸長させ、旋回台550が路面と平行(水平)になるように揺動板540を揺動させる。一方、図11(b)に示すように、傾斜路面に高所作業車500が位置する場合には、一方の揺動シリンダ530を伸長させるとともに他方の揺動シリンダ530を縮小させることで、旋回台550が水平になるように揺動板540を揺動させ、路面傾斜によって高所作業車500に作用するモーメント増加を抑えて、走行体510の安定支持できるようになっている。例えば特許文献1の図1には、図11のような傾き補正機構を備えた軌道用作業車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−292234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11に示した傾き補正機構は、単に支点521を中心にして揺動板540を上下に揺動させる構成となっているため、路面傾斜に応じて旋回台550を水平に位置させたとしても、そのことによる高所作業車500に作用するモーメント増加の抑制効果は限られたものであった。すなわち、作業台の許容作業範囲に対する傾き補正機構の寄与度合いはそれほど大きくなく、転倒を防止するためには、例えば水平路面に位置した場合と傾斜路面に位置した場合とで、別々の作業台の許容作業範囲を設定する必要があった。そのため、路面の傾斜に応じて作業台の許容作業範囲が縮小されて作業台の移動範囲が狭く制限されてしまうために、作業者の使い勝手が低下するという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、路面の傾斜によらず作業台の許容作業範囲を十分に確保することにより使い勝手を向上させた高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的達成のため、本発明に係る高所作業車は、車輪(例えば、実施形態における前輪11a、後輪11b)を有して走行可能な車体(例えば、実施形態における走行体10)と、前記車体上に設けられた支持テーブル(例えば、実施形態における旋回台20)に基端部が取り付けられた昇降装置(例えば、実施形態におけるブーム30)と、前記昇降装置の先端部に取り付けられて、前記昇降装置により昇降移動される作業装置(例えば、実施形態における作業台70)とを有した高所作業車であって、前記支持テーブルは、前記車体の進行方向に対して直交する面内において前記支持テーブルを揺動可能且つ前記車体の側方へ移動可能に支持する揺動スライド機構を介して前記車体上に設けられており、前記揺動スライド機構が、前記支持テーブルと前記車体とに枢結されて、前記車体に対して前記支持テーブルを前記面内において揺動可能に接続する複数のリンク部材(例えば、実施形態における後部左側リンク部材42、後部右側リンク部材43、前部左側リンク部材47、前部右側リンク部材48)と、前記リンク部材を、前記車体との枢結部分を中心として揺動させるテーブル用アクチュエータ(例えば、実施形態における揺動スライドシリンダ45)とを有して構成され、前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方一方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方一方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方一方側に移動され、前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方他方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方他方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方他方側に移動される。
【0010】
なお、後方からの側面視において、前記複数のリンク部材は、逆ハの字となって前記支持テーブルと前記車体とに枢結されたことが好ましい。
【0011】
また、前記揺動スライド機構は、前記テーブル用アクチュエータの駆動制御を行うアクチュエータ制御部(例えば、実施形態におけるコントローラ60)を備えて構成され、前記アクチュエータ制御部は、前記車体が位置する路面の傾斜によって前記車体に作用するモーメントの増加を抑えるように、前記テーブル用アクチュエータにより前記リンク部材を前記側方一方側および前記側方他方側へ揺動させることが好ましい。
【0012】
上述の高所作業車において、前記支持テーブルには、前記面内において前記支持テーブルが水平面に対してなす絶対角度を検出するテーブル側絶対角度検出手段(例えば、実施形態における旋回台傾き角度検出器20a)が備えられ、前記アクチュエータ制御部は、前記テーブル側絶対角度検出手段において検出された検出結果に基づいて、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることが好ましい。
【0013】
また、前記車体には、前記面内において前記車体が水平面に対してなす絶対角度を検出する車体側絶対角度検出手段が備えられ、前記揺動スライド機構には、前記車体に対して前記リンク部材のなす角度または前記支持テーブルに対して前記リンク部材のなす角度であるリンク作動角度を検出するリンク作動角度検出手段が備えられ、前記アクチュエータ制御部は、前記車体側絶対角度検出手段において検出された絶対角度に対応した前記リンク作動角度となるように前記テーブル用アクチュエータを駆動させることにより、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る高所作業車は、車体に対して支持テーブルを揺動させるとともに、車体の側方へ支持テーブルを移動させる揺動スライド機構を有して構成される。そのため、走行体が位置する路面の傾斜に応じてテーブル用アクチュエータを駆動させて、揺動スライド機構により支持テーブルを揺動および移動させることにより、路面の傾斜によらず作業台の許容作業範囲を十分に確保することが可能となる。よって、高所作業車が傾斜路面に位置する場合であっても、水平路面に位置する場合と同程度の作業台の許容作業範囲を確保でき、使い勝手を向上させることが可能となる。
【0015】
なお、複数のリンク部材は、逆ハの字となって支持テーブルと車体とに枢結されたことが好ましい。このように構成した場合には、テーブル用アクチュエータを駆動させることにより、車体に対する支持テーブルの角度を制御できるようになる。そのため、高所作業車が位置する路面の傾斜に関らず支持テーブルを水平に位置させて、作業台の許容作業範囲を十分に確保することが可能となる。
【0016】
また、アクチュエータ制御部により、前記車体が位置する路面の傾斜によって前記車体に作用するモーメントの増加を抑えるように、前記リンク部材を前記側方一方側および前記側方他方側へ揺動させる構成が好ましい。このように構成した場合、アクチュエータ制御部によって、走行体が位置する路面の傾斜に起因して車体に作用するモーメントの増加を抑えるように揺動スライド機構を駆動させることができる。そのため、高所作業車が位置する路面の傾斜に関らず、作業台の許容作業範囲を十分に確保でき、使い勝手を向上させることができる。
【0017】
上述の高所作業車において、支持テーブルに、支持テーブルが水平面に対してなす絶対角度を検出するテーブル側絶対角度検出手段を備え、このテーブル側絶対角度検出手段での検出結果に基づいてテーブル用アクチュエータを駆動させる構成が好ましい。この構成の場合、路面の傾斜に応じて自動でテーブル用アクチュエータの駆動制御が可能となる。
【0018】
また、車体に、車体が水平面に対してなす絶対角度を検出する車体側絶対角度検出手段を備え、揺動スライド機構が、車体に対してリンク部材のなす角度または支持テーブルに対してリンク部材のなす角度を検出するリンク作動角度検出手段を備えた構成も好ましい。この構成の場合にも、路面の傾斜に応じて自動でテーブル用アクチュエータの駆動制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る揺動スライド機構を適用した高所作業車の側面図である。
【図2】上記揺動スライド機構の側面図である。
【図3】上記揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図4】上記高所作業車の制御系統図である。
【図5】水平路面に位置した上記高所作業車を後方から見た図である。
【図6】傾斜路面に位置した上記高所作業車を後方から見た図である。
【図7】傾斜路面に位置した上記高所作業車を後方から見た図である。
【図8】別の実施例に係る揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図9】別の実施例に係る揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図10】別の実施例に係る揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図11】従来の高所作業車を後方から見た図であって、(a)は水平路面に位置した状態を、(b)は傾斜路面に位置した状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。以下の説明では、本発明の一実施形態に係る揺動スライド機構40を、ローラ13bを接地させて安定支持した状態で前後に走行させながら高所作業(例えば、トンネル内での高所作業)を行うことが可能となった高所作業車1に適用した場合を例示している。本発明に係る揺動スライド機構40の説明をする前に、まず図1を参照しながら高所作業車1の全体構成について説明する。なお、説明の便宜上、各図面において矢印方向で高所作業車1の前後、左右および上下方向を示し、以下この方向を用いて説明を行う。
【0021】
高所作業車1は走行用の前輪11aおよび後輪11bを備えて、運転キャブ12から走行運転が可能なトラック式の走行体10と、走行体10上に揺動スライド機構40を介して設けられた旋回台20と、この旋回台20から上方に延びて設けられた支柱21の上部にフートピン22を介して基端部が支持されたブーム30と、このブーム30の先端部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台70とを有して構成される。なお、支柱21におけるブーム30が延びる側の反対側には、ブーム30との重量バランスを取るためのウエイト21aが取り付けられている。
【0022】
前輪11aの後方で走行体10の左右側方、後輪11bの後方で走行体10の左右側方には、一対のローラジャッキ13が取り付けられている。このローラジャッキ13は、上下方向に伸縮自在なジャッキ13aと、このジャッキ13aの下端部に取り付けられて前後方向に転動自在なローラ13bとを有して構成される。なお、図1にはジャッキ13aを縮小させた状態を示しているが、一方、図5に示すように、ジャッキ13aを下方に伸長させることにより、ローラ13bを路面に接地させて走行体10(高所作業車1)に作用するモーメントに抗して、走行体10を安定支持した状態で高所作業車1を前後に走行させることができる。
【0023】
旋回台20は、走行体10の略中央部に上下軸まわり360度回動自在に取り付けられている。揺動スライド機構40の内部には、ブーム旋回モータ(油圧モータ)23が設けられており、このブーム旋回モータ23を回転作動させることにより、図示しないギヤを介して旋回台20を水平旋回動させることができる。ブーム30は、基端ブーム30a、中間ブーム30bおよび先端ブーム30cが入れ子式に構成されており、内部に設けられたブーム伸縮シリンダ(油圧シリンダ)31の伸縮作動により各ブーム30a,30b,30cを相対的に移動させてブーム30全体を軸方向に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと支柱21との間にはブーム起伏シリンダ(油圧シリンダ)24が跨設されており、このブーム起伏シリンダ24を伸縮作動させることによりブーム30全体を上下に起伏動させることができる。
【0024】
先端ブーム30cの先端部には垂直ポスト保持金具32が取り付けられており、この垂直ポスト保持金具32には垂直ポスト33の下端部が枢支されている。垂直ポスト33の上端部には作業台支持プレート34が固定されており、作業台70はこの作業台支持プレート34の上面側に設けられている。垂直ポスト33の内部にはレベリングシリンダ(油圧シリンダ)35が配設されており、このレベリングシリンダ35を伸縮作動させることにより垂直ポスト33(作業台70)を上下に揺動させることができる。
【0025】
このため、ブーム30の起伏作動(ブーム起伏シリンダ24の伸縮作動)、伸縮作動(ブーム伸縮シリンダ31の伸縮作動)若しくは旋回作動(ブーム旋回モータ23の回転作動)に合わせてレベリングシリンダ35を伸縮作動させることにより、ブーム30の姿勢によらず、垂直ポスト33を常に垂直姿勢にして作業台70(作業台70の床面)を常時水平に保持することが可能である。
【0026】
作業台70は、作業台支持プレート34の上面に上下軸まわり回動自在に取り付けられており、作業台支持プレート34内に設けられた作業台旋回モータ(油圧モータ)36を回転作動させることにより、図示しないギヤを介して作業台70を垂直ポスト33まわりに水平旋回させることができる。また、作業台70には、作業台傾き角度検出器62が取り付けられており、作業台70(作業台70の床面)の水平面に対する傾き角度(絶対角度)を検出して、その検出情報を走行体10内に設置されたコントローラ60に出力する(図4参照)。
【0027】
作業台70には上部操作装置71が設けられており、この上部操作装置71にはブーム30の起伏、伸縮、旋回操作を行うためのブーム操作レバー72、作業台70の水平旋回操作を行うための作業台操作レバー73、および揺動スライド機構40を作動させるための揺動スライド機構作動スイッチ74等が設けられている。ブーム操作レバー72の操作により出力されたブーム操作信号、作業台操作レバー73の操作により出力された作業台操作信号、および揺動スライド機構作動スイッチ74の操作により出力された揺動スライド機構作動信号は、それぞれコントローラ60に入力される(図4参照)。
【0028】
コントローラ60には、図1および図4に示すように、ブーム30の基端部に設けられてブーム30の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器61a、ブーム30内に設けられてブーム30の長さを検出するブーム長さ検出器61b、および揺動スライド機構40の内部に設けられてブーム30(旋回台20)の走行体10に対する旋回角度を検出するブーム旋回角度検出器61cからの検出情報が入力されるようになっている。また、揺動スライド機構40の内部には、旋回台傾き角度検出器20aが取り付けられており、水平面に対する旋回台20の傾き角度(絶対角度)を検出して、その検出情報をコントローラ60に出力する。
【0029】
コントローラ60は、ブーム操作レバー72の操作により出力されるブーム操作信号に基づいて、ブーム起伏シリンダ24に対応する第1制御バルブ51、ブーム伸縮シリンダ31に対応する第2制御バルブ52およびブーム旋回モータ23に対応する第3制御バルブ53の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。また、コントローラ60は、作業台操作レバー73の操作により出力される作業台操作信号に基づいて、作業台旋回モータ36に対応する第4制御バルブ54のスプール(図示せず)を電磁駆動する。
【0030】
コントローラ60は、上記のようにブーム操作レバー72によるブーム30の操作入力が行われたときには、ブーム起伏シリンダ24、ブーム伸縮シリンダ31およびブーム旋回モータ23を作動させて、ブーム30を起伏、伸縮、旋回作動させるとともに、レベリングシリンダ35を伸縮作動させることにより、作業台70の水平姿勢を保持する。すなわち、ブーム30の作動に合わせて作業台70のレベリング(平衡取り)を行う。具体的には、コントローラ60は、作業台傾き角度検出器62からの検出情報に基づいて第5制御バルブ55を電磁駆動してレベリングシリンダ35を伸縮作動させ、これにより、作業台傾き角度検出器62により検出される作業台70の傾き角度がほぼ零になるように(水平になるように)する。
【0031】
なお、詳細については後述するが、コントローラ60は、旋回台傾き角度検出器20aからの検出情報に基づいて第6制御バルブ56を電磁駆動して揺動スライドシリンダ45を伸縮作動させ、これにより、旋回台傾き角度検出器20aにより検出される旋回台20の傾き角度がほぼ零(水平)になるように制御を行う。
【0032】
走行体10の内部には、図4に示すように、エンジンE(あるいは電動モータ等でもよい)により回転駆動される油圧ポンプPが搭載されており、上記第1〜第6制御バルブ51〜56経由でブーム起伏シリンダ24、ブーム伸縮シリンダ31、ブーム旋回モータ23、作業台旋回モータ36、レベリングシリンダ35および揺動スライドシリンダ45に圧油を供給する。このように構成される高所作業車1において、作業台70に搭乗した作業者は、ブーム操作レバー72および作業台操作レバー73の操作により、作業台70を移動させて任意の高所位置で作業を行うことが可能である。
【0033】
上記のようにして作業台70を移動させるとき、作業台70の移動位置によっては走行体10に大きなモーメントが作用して転倒の虞があるため、コントローラ60においては、入力された各検出情報に基づいて走行体10の基準位置に対するブーム30の先端部の位置(作業台70の位置)を算出し、このブーム30先端部の位置がコントローラ60において予め設定されている許容作業範囲内に収まるように第1〜第3制御バルブ51,52,53のスプール動作をコントロールする。このように、コントローラ60は、ブーム30の先端部が走行体10を転倒させる虞がある位置に移動しないように、すなわちブーム30を伸長等させることにより発生したモーメントにより走行体10が転倒することがないように規制を働かせつつブーム30の作動制御を行う。
【0034】
以上ここまでは、高所作業車1の全体構成について説明した。以下においては、本発明に係る揺動スライド機構40の構成部材および組立構成ついて、図2および図3を追加参照しながら詳しく説明する。
【0035】
揺動スライド機構40は、図2および図3に示すように、旋回台20を回転自在に支持する略板状の旋回台支持部41と、作業台70を含めたブーム30全体を支持可能な強度を有した後部左側リンク部材42、後部右側リンク部材43、前部左側リンク部材47、前部右側リンク部材48、および揺動スライドシリンダ(油圧シリンダ)45から構成される。
【0036】
旋回台支持部41の内部には、上述したブーム旋回モータ23、旋回台傾き角度検出器20aおよびブーム旋回角度検出器61cが配設されている。旋回台20は、この旋回台支持部41の上面に対して平行に支持されており、旋回台傾き角度検出器20aにより旋回台20の傾き角度(絶対角度)が検出される。
【0037】
後部左側リンク部材42は上下に延びた棒状に形成されており、上下端部には枢結ピン42a,42bが挿入されて旋回台支持部41および走行体10に対して枢結されるピン孔(図示せず)が開口形成されている。また、後部右側リンク部材43、前部左側リンク部材47および前部右側リンク部材48も、後部左側リンク部材42と同様に上下に延びた棒状に形成され、上下端部には枢結ピンが挿入されて枢結されるピン孔(図示せず)が形成されている。
【0038】
このような構成部材からなる揺動スライド機構40の組立構成について説明すると、後部左側リンク部材42は、その下端部が走行体10に固定された後側取付板44に対して前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン42bが挿入されて走行体10に枢結される。一方、後部左側リンク部材42の上端部は、旋回台支持部41の後部左側部分により前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン42aが挿入されて旋回台支持部41に枢結される。後部右側リンク部材43も同様にして、前後に枢結ピン43bが挿入されて走行体10に枢結され、旋回台支持部41の後部右側部分に対して枢結ピン43aによって枢結される。そうすることにより、図3から分かるように、後方から見たときに逆ハの字になるように(枢結ピン42bと枢結ピン43bとの左右間隔よりも、枢結ピン42aと枢結ピン43aとの左右間隔の方が大きくなるように)、後部左側リンク部材42および後部右側リンク部材43が取り付けられる。
【0039】
なお、前部左側リンク部材47は、後部左側リンク部材42と同様にして、その下端部が走行体10に固定された前側取付板49に対して前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン47bが挿入されて走行体10に枢結される。一方、前部左側リンク部材47の上端部は、旋回台支持部41の前部左側部分により前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン47aが挿入されて旋回台支持部41に枢結される。また、前部右側リンク部材48も同様にして、前後に枢結ピン48bが挿入されて走行体10に枢結され、旋回台支持部41の前部右側部分に対して枢結ピン48aによって枢結される。そうすることで、後部左側リンク部材42および後部右側リンク部材43と同様に、後方から見たときに逆ハの字となって枢結される。
【0040】
揺動スライドシリンダ45は、揺動スライド機構40の前後中央部分に左右に伸縮可能な向きで配設され、先端部分が旋回台支持部41に前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン45aが挿入されて旋回台支持部41に枢結される。一方、揺動スライドシリンダ45の基端部分は、走行体10に固定された中央取付板46に対して前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン45bが挿入されて走行体10に枢結される。
【0041】
上述のように構成される揺動スライド機構40は、揺動スライドシリンダ45が例えば中立位置の状態では、旋回台支持部41(旋回台20)と走行体10とが略平行な位置関係となるように設定されている。そして、この中立位置から揺動スライドシリンダ45を縮小させると、枢結ピン42a(47a)に対して枢結ピン43a(48a)を下げるように(右下がりになるように)旋回台支持部41が揺動されながら、旋回台支持部41全体が右方へ移動される(図6参照)。一方、中立位置から揺動スライドシリンダ45を伸長させると、枢結ピン42aに対して枢結ピン43aを上げるように(右上がりになるように)旋回台支持部41が揺動されながら、旋回台支持部41全体が左方へ移動される。
【0042】
すなわち、この揺動スライド機構40においては、枢結ピン42bと枢結ピン43bとの左右間隔よりも、枢結ピン42aと枢結ピン43aとの左右間隔の方が大きくなるように枢結位置が設定されているので、揺動スライドシリンダ45を伸縮動させることで旋回台支持部41を揺動させると同時に、旋回台支持部41を左右へ移動させることができるようになっている。
【0043】
以上、本発明に係る揺動スライド機構40の構成部材および組立構成ついて説明した。ところで、本発明に係る揺動スライド機構40を搭載していない従来のローラジャッキ式の高所作業車では、ローラを路面に接地させて走行体を安定支持させていても、作業台70の移動位置や路面の傾斜等によっては大きなモーメントが作用して転倒する虞があった。そのため、例えば路面の傾斜に応じて、コントローラ60内に設定された作業台70の許容作業範囲を切り換える必要があり、作業者にとっては路面傾斜に応じて許容作業範囲が異なって使い勝手が悪かった。このような従来構成に対し、本発明に係る揺動スライド機構40を適用した高所作業車1においては、路面の傾斜に応じて揺動スライド機構40を駆動させることにより、傾斜路面に位置した場合であっても水平路面に位置した場合と同程度の作業台70の許容作業範囲を確保できる構成となっている。
【0044】
それでは、本発明に係る揺動スライド機構40の作動に関し、高所作業車1を用いてローラ13bを路面に接地させて前後に走行させながら高所作業を行う場合について、図5〜図7を追加参照しながら以下に説明する。
【0045】
この高所作業に先立って作業台70に搭乗した作業者は、揺動スライド機構作動スイッチ74をオンにして、路面の傾斜に応じて揺動スライド機構40が自動で駆動する状態にしておく。そして、作業台70に作業者が搭乗したまま、必要に応じて高所作業車1を前後に走行させて高所作業を行う。このような高所作業の途中で、例えば水平路面に高所作業車1が位置した場合を示したものが、図5である。図5に示すように、高所作業車1が水平路面に位置した場合には、旋回台傾き角度検出器20aにより旋回台20の傾き角度(絶対角度)がほぼ零度であることが検出され、この検出情報がコントローラ60に出力される。コントローラ60は、上記検出情報を基にして揺動スライドシリンダ45が中立位置に位置するように第6制御バルブ56を電磁駆動し、旋回台20が水平路面に対して略平行となるように揺動される。
【0046】
一方、高所作業の途中で、例えば左下がりの傾斜路面に高所作業車1が位置した場合を示したものが、図6である。このような傾斜路面に高所作業車1がさしかかると、まず、旋回台傾き角度検出器20aにより旋回台20の傾き角度(絶対角度)が検出され、この検出情報がコントローラ60に出力される。コントローラ60では上記検出情報を基にして、旋回台傾き角度検出器20aにより検出された旋回台20の傾き角度を零度とするためには、揺動スライドシリンダ45を伸長動させるか縮小動させるかの判断が行われるとともに、そのときの伸長量または縮小量が演算される。そして、コントローラ60は、その演算結果に基づいて揺動スライドシリンダ45を駆動させる。例えば、図6に示す左下がりの傾斜路面の場合には、揺動スライドシリンダ45を縮小動させることで、旋回台20を右下がり(路面傾斜によるモーメントの増加が抑制される方向)に揺動させるとともに、旋回台20を右方(路面傾斜によるモーメントの増加が抑制される方向)に移動させる駆動が行われる。そして、図6に示すように、旋回台20が水平面に対して略平行に位置するまで揺動スライドシリンダ45が縮小動される。
【0047】
このように、揺動および移動が行われて旋回台20が水平面に対して略平行に位置した状態では、作業台70の許容作業範囲が、例えば図7に実線で示す傾斜時許容作業範囲48に設定される。一方、水平路面に位置した場合(揺動スライドシリンダ45が中立位置に位置した場合)の作業台70の許容作業範囲は、例えば図7に点線で示す水平時許容作業範囲49に設定される。図7に示す傾斜時許容作業範囲48と水平時許容作業範囲49とを比較すると分かるように、走行体10が位置する路面の傾斜に応じて旋回台20が揺動および移動されることで、傾斜路面に位置した場合であっても水平路面に位置した場合と同程度の許容作業範囲を確保できるようになる。そのため、本発明に係る揺動スライド機構40を適用した高所作業車1においては、路面傾斜に応じて異なった作業台70の許容作業範囲を設定することなく、路面傾斜に関わらず1つの許容作業範囲を用いることで高所作業車1の転倒を未然に防止できる。
【0048】
よって、作業者は、傾斜路面に位置した場合においても、水平路面に位置した場合と同様の広い許容作業範囲内において作業台70を移動させて高所作業を行うことが可能となり、使い勝手が良く作業効率を向上させることができる。また、従来構成のように、水平路面に位置した場合と傾斜路面に位置した場合とで、許容作業範囲を切り換える必要がないので、制御構成をシンプルにすることができる。
【0049】
ところで、図11に示す従来構成においては、ブームを含めた旋回台の荷重を揺動シリンダ530が直接受け止める構成であったため、この荷重に抗して伸縮動させるために比較的大型の揺動シリンダ530を用いる必要があった。一方、本発明に係る揺動スライド機構40においては、ブーム30を含めた旋回台20の荷重を4つのリンク部材が直接受け止める構成となっており、揺動スライドシリンダ45は枢結されて揺動可能となった揺動スライド機構40を単に揺動させるのみなので、比較的小型で駆動力の小さな揺動スライドシリンダ45を用いることが可能である。さらに、旋回台20(支柱21)が、路面の傾斜に応じてモーメント増加を抑制させる方向に移動される構成となっているので、小さなウエイト21aを搭載してもブーム30との重量バランスを十分に取ることができる。
【0050】
なお、上記においては、高所作業車1を用いてローラ13bを路面に接地させて走行体10を安定支持した状態で高所作業を行う場合を例示した。なお、このローラ13bを接地させないで高所作業を行う場合にも、揺動スライド機構40により旋回台20を揺動および移動させることで、路面の傾斜に関らず作業台70の許容作業範囲を確保できる。
【0051】
以下においては、図8〜10を参照しながら、揺動スライド機構40の変形例である揺動スライド機構140,240,340について説明する。なお、以下に説明する揺動スライド機構140,240,340は、揺動スライド機構40に対して揺動スライドシリンダ45の配置を変更した構成となっている。
【0052】
まず、図8を参照しながら、揺動スライド機構140について説明する。上述した揺動スライド機構40と同一部材には同一番号を付しており、ここでは揺動スライド機構40とは異なる部分を中心に説明する。揺動スライド機構140は、揺動スライドシリンダ45の下端部が、後部右側リンク部材43と前部右側リンク部材48とに挟持されて前後に延びる支持軸45cに挿通されて、支持軸45cを中心に回転自在となっている。この揺動スライド機構140は、揺動スライド機構40と同様に、揺動スライドシリンダ45を縮小させると、右下がりになるように旋回台支持部41が揺動されながら旋回台支持部41全体が右方へ移動され、一方、揺動スライドシリンダ45を伸長させると、右上がりになるように旋回台支持部41が揺動されながら旋回台支持部41全体が左方へ移動されるようになっている。この揺動スライド機構140の構成においては、揺動スライド機構40と比較して中央取付板46が不要となり(図3参照)、部品点数を削減することができる。
【0053】
続いて、図9を参照しながら、揺動スライド機構240について説明する。揺動スライド機構240は、揺動スライドシリンダ45の下端部45dが、中央取付板46を用いることなく直接走行体10に枢結された構成となっている。この揺動スライド機構240は、揺動スライド機構40と同様に、揺動スライドシリンダ45の伸縮動に応じて旋回台支持部41が揺動および移動されるようになっている。この揺動スライド機構240の構成においては、上記揺動スライド機構140と同様に中央取付板46が不要となり、部品点数を削減することができる。
【0054】
次に、図10を参照しながら、揺動スライド機構340について説明する。揺動スライド機構340は、略くの字に形成された後部右側リンク部材343の下端左側部分45eが走行体10に枢結されるとともに、後部右側リンク部材343の下端右側部分45fが揺動スライドシリンダ45の上端部と枢結されて構成される。また、揺動スライドシリンダ45は走行体10に入り込んで配設されており、その揺動スライドシリンダ45の下端部分45gが走行体10に枢結されている。そして、この揺動スライドシリンダ45を伸長させると、後部右側リンク部材343が下端左側部分45eを中心に揺動され、これにより旋回台支持部41が左下がりに揺動され且つ左方へ移動される。一方、揺動スライドシリンダ45を縮小させると、旋回台支持部41が右下がりに揺動され且つ右方へ移動される。この揺動スライド機構340の場合、揺動スライドシリンダ45が旋回台支持部41の下方空間ではなく走行体10内に入り込んで配設されているため、旋回台支持部41の揺動範囲および移動範囲を広く設定できる。
【0055】
上述の実施形態においては、旋回台傾き角度検出器20aにより検出された旋回台20の傾き角度(絶対角度)を基にして揺動を制御する構成を例示して説明したが、揺動スライド機構40の制御構成はこれに限定されない。例えば旋回台傾き角度検出器20aに代えて、水平面に対する走行体10の傾き角度(絶対角度)を検出する走行体傾き角度検出器を走行体10に搭載するとともに、走行体10に対するリンク部材の揺動角度(または、旋回台支持部41に対するリンク部材の揺動角度)を検出するリンク部材揺動角度検出器を揺動スライド機構40に搭載しておく。コントローラにおいて、走行体傾き角度検出器において検出された検出情報に基づき、旋回台20を水平に位置するための走行体10に対するリンク部材の揺動角度(または、旋回台支持部41に対するリンク部材の揺動角度)を算出し、その算出された揺動角度がリンク部材揺動角度検出器において検出されるように揺動スライドシリンダ45の伸縮動を制御する構成でも良い。
【0056】
上述の実施形態において、揺動スライド機構作動スイッチ74をオンにしておくことで、旋回台傾き角度検出器20aにおける検出情報に基づいて自動で揺動スライドシリンダ45の駆動が制御される構成を例示して説明したが、本発明はこの制御構成に限定されない。例えば、手動操作用スイッチを搭載しておき、この手動操作用スイッチを操作したときにのみ、旋回台傾き角度検出器20aにおける検出情報に基づいて揺動スライドシリンダ45を駆動させる構成でも良い。また、手動レバー(図示せず)を搭載しておき、作業者が手動で揺動スライドシリンダ45を伸縮動させる構成でも良い。さらには、これらのうちの2つ以上を併設し、作業者が作業状態に応じて任意に選択して操作できる構成としても良い。
【0057】
上述の実施形態においては、ローラジャッキ13を搭載した高所作業車1に揺動スライド機構40を適用した構成例について説明したが、本発明は他の種類の高所作業車にも適用可能である。例えば、軌道走行用の鉄輪を搭載して路面および鉄道軌道を走行可能に構成された軌陸車にも、本発明の揺動スライド機構40を適用可能である。そうすることにより、軌道に設けられたカントを走行する際に走行体はカントに応じて傾斜することとなるが、揺動スライド機構40により揺動および移動されるので、カントに関らず作業台の許容作業範囲を十分に確保できる。また、ローラジャッキ13に代えて、路面に接地されて走行体10を持ち上げて支持するアウトリガジャッキを搭載した高所作業車等にも、本発明を適用可能である。この構成の場合には、走行体が位置する路面の傾斜に関らず、作業台の許容作業範囲を十分に確保できる。
【0058】
上述の実施形態においては、伸縮動可能なブーム30により作業台を所望の高所に昇降移動させる構成の高所作業車1に本発明を適用した例を説明したが、例えば走行体に対して垂直昇降式のシザースリンク機構を設け、このシザースリンク機構により作業台を昇降移動させる構成の高所作業車にも本発明に係る揺動スライド機構40を適用可能である。この構成の場合、走行体が位置する路面の傾斜に関らず、作業台を鉛直方向に昇降移動させることが可能となる。
【0059】
また、上述の実施形態において、走行体10の進行方向(前後方向)に対して直交する面内において、旋回台20を揺動および移動させる揺動スライド機構40について説明したが、この揺動スライド機構40に加えて、左右方向に対して直交する面内において旋回台20を揺動および移動させる別の揺動スライド機構(前後に揺動および移動させる機構)を設けた構成も可能である。この構成の場合には、左右への傾斜のみならず前後への傾斜をも考慮した旋回台20の揺動および移動制御が可能となり、走行体10を一層安定支持した状態で高所作業を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 高所作業車
10 走行体(車体)
11a,11b 前輪、後輪(車輪)
20 旋回台(支持テーブル)
20a 旋回台傾き角度検出器(テーブル側絶対角度検出手段)
30 ブーム(昇降装置)
40 揺動スライド機構
42,43,47,48 後部左側リンク部材、後部右側リンク部材、前部左側リンク部材、前部右側リンク部材(リンク部材)
45 揺動スライドシリンダ(テーブル用アクチュエータ)
60 コントローラ(アクチュエータ制御部)
70 作業台(作業装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置を所望の高所に移動させて作業を行うように構成された高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような高所作業車の一例として、走行可能な走行体に対して伸縮、起伏および旋回可能に設けられたブームの先端部に、作業装置としての作業者搭乗用の作業台を有した高所作業車が従来知られている。このように構成される高所作業車は、ブームを起伏、伸縮および旋回作動させることにより、作業台を所望の位置に移動させて高所作業を行うことができるようになっている。作業場所によっては、高所作業車を傾斜路面に位置させた状態で高所作業が行われる場合もあるが、この場合高所作業車には、作業台の移動位置に応じたモーメントが作用するばかりでなく、路面傾斜によって当該モーメントが増大されて作用することがある。このため、高所作業車の転倒を防止するためには、作業台の移動を許容作業範囲(走行体が転倒することなく安全に移動できる範囲)内に規制することに加えて、路面傾斜も考慮した規制を行うことが求められている。
【0003】
例えば鉄道軌道のコーナ部分には、鉄道車両が安定走行できるように傾斜(カント)が設けられているが、この鉄道軌道を走行しながら高所作業を行えるように構成された高所作業車(軌陸車)においては、カントによる影響を抑えて走行体を安定支持することが重要となる。そこで、路面やカントの傾きに応じてブーム(ブームを支持する旋回台)の傾きを制御する傾き補正機構を備えた高所作業車が開発されている。
【0004】
図11には、従来の傾き補正機構を備えた高所作業車500を、後方から見た図を示している。この高所作業車500は、走行体510に対して固定板520および一対の揺動シリンダ530,530が固定され、固定板510に対して揺動板540が支点521で枢結されて上下に揺動自在となっている。揺動板540の上面には、ブーム570(支柱560)を支持する旋回台550が回転自在に取り付けられている。
【0005】
図11(a)に示すように、水平路面に高所作業車500が位置する場合には、一対の揺動シリンダ530を互いに等しく伸長させ、旋回台550が路面と平行(水平)になるように揺動板540を揺動させる。一方、図11(b)に示すように、傾斜路面に高所作業車500が位置する場合には、一方の揺動シリンダ530を伸長させるとともに他方の揺動シリンダ530を縮小させることで、旋回台550が水平になるように揺動板540を揺動させ、路面傾斜によって高所作業車500に作用するモーメント増加を抑えて、走行体510の安定支持できるようになっている。例えば特許文献1の図1には、図11のような傾き補正機構を備えた軌道用作業車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−292234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11に示した傾き補正機構は、単に支点521を中心にして揺動板540を上下に揺動させる構成となっているため、路面傾斜に応じて旋回台550を水平に位置させたとしても、そのことによる高所作業車500に作用するモーメント増加の抑制効果は限られたものであった。すなわち、作業台の許容作業範囲に対する傾き補正機構の寄与度合いはそれほど大きくなく、転倒を防止するためには、例えば水平路面に位置した場合と傾斜路面に位置した場合とで、別々の作業台の許容作業範囲を設定する必要があった。そのため、路面の傾斜に応じて作業台の許容作業範囲が縮小されて作業台の移動範囲が狭く制限されてしまうために、作業者の使い勝手が低下するという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、路面の傾斜によらず作業台の許容作業範囲を十分に確保することにより使い勝手を向上させた高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的達成のため、本発明に係る高所作業車は、車輪(例えば、実施形態における前輪11a、後輪11b)を有して走行可能な車体(例えば、実施形態における走行体10)と、前記車体上に設けられた支持テーブル(例えば、実施形態における旋回台20)に基端部が取り付けられた昇降装置(例えば、実施形態におけるブーム30)と、前記昇降装置の先端部に取り付けられて、前記昇降装置により昇降移動される作業装置(例えば、実施形態における作業台70)とを有した高所作業車であって、前記支持テーブルは、前記車体の進行方向に対して直交する面内において前記支持テーブルを揺動可能且つ前記車体の側方へ移動可能に支持する揺動スライド機構を介して前記車体上に設けられており、前記揺動スライド機構が、前記支持テーブルと前記車体とに枢結されて、前記車体に対して前記支持テーブルを前記面内において揺動可能に接続する複数のリンク部材(例えば、実施形態における後部左側リンク部材42、後部右側リンク部材43、前部左側リンク部材47、前部右側リンク部材48)と、前記リンク部材を、前記車体との枢結部分を中心として揺動させるテーブル用アクチュエータ(例えば、実施形態における揺動スライドシリンダ45)とを有して構成され、前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方一方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方一方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方一方側に移動され、前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方他方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方他方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方他方側に移動される。
【0010】
なお、後方からの側面視において、前記複数のリンク部材は、逆ハの字となって前記支持テーブルと前記車体とに枢結されたことが好ましい。
【0011】
また、前記揺動スライド機構は、前記テーブル用アクチュエータの駆動制御を行うアクチュエータ制御部(例えば、実施形態におけるコントローラ60)を備えて構成され、前記アクチュエータ制御部は、前記車体が位置する路面の傾斜によって前記車体に作用するモーメントの増加を抑えるように、前記テーブル用アクチュエータにより前記リンク部材を前記側方一方側および前記側方他方側へ揺動させることが好ましい。
【0012】
上述の高所作業車において、前記支持テーブルには、前記面内において前記支持テーブルが水平面に対してなす絶対角度を検出するテーブル側絶対角度検出手段(例えば、実施形態における旋回台傾き角度検出器20a)が備えられ、前記アクチュエータ制御部は、前記テーブル側絶対角度検出手段において検出された検出結果に基づいて、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることが好ましい。
【0013】
また、前記車体には、前記面内において前記車体が水平面に対してなす絶対角度を検出する車体側絶対角度検出手段が備えられ、前記揺動スライド機構には、前記車体に対して前記リンク部材のなす角度または前記支持テーブルに対して前記リンク部材のなす角度であるリンク作動角度を検出するリンク作動角度検出手段が備えられ、前記アクチュエータ制御部は、前記車体側絶対角度検出手段において検出された絶対角度に対応した前記リンク作動角度となるように前記テーブル用アクチュエータを駆動させることにより、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る高所作業車は、車体に対して支持テーブルを揺動させるとともに、車体の側方へ支持テーブルを移動させる揺動スライド機構を有して構成される。そのため、走行体が位置する路面の傾斜に応じてテーブル用アクチュエータを駆動させて、揺動スライド機構により支持テーブルを揺動および移動させることにより、路面の傾斜によらず作業台の許容作業範囲を十分に確保することが可能となる。よって、高所作業車が傾斜路面に位置する場合であっても、水平路面に位置する場合と同程度の作業台の許容作業範囲を確保でき、使い勝手を向上させることが可能となる。
【0015】
なお、複数のリンク部材は、逆ハの字となって支持テーブルと車体とに枢結されたことが好ましい。このように構成した場合には、テーブル用アクチュエータを駆動させることにより、車体に対する支持テーブルの角度を制御できるようになる。そのため、高所作業車が位置する路面の傾斜に関らず支持テーブルを水平に位置させて、作業台の許容作業範囲を十分に確保することが可能となる。
【0016】
また、アクチュエータ制御部により、前記車体が位置する路面の傾斜によって前記車体に作用するモーメントの増加を抑えるように、前記リンク部材を前記側方一方側および前記側方他方側へ揺動させる構成が好ましい。このように構成した場合、アクチュエータ制御部によって、走行体が位置する路面の傾斜に起因して車体に作用するモーメントの増加を抑えるように揺動スライド機構を駆動させることができる。そのため、高所作業車が位置する路面の傾斜に関らず、作業台の許容作業範囲を十分に確保でき、使い勝手を向上させることができる。
【0017】
上述の高所作業車において、支持テーブルに、支持テーブルが水平面に対してなす絶対角度を検出するテーブル側絶対角度検出手段を備え、このテーブル側絶対角度検出手段での検出結果に基づいてテーブル用アクチュエータを駆動させる構成が好ましい。この構成の場合、路面の傾斜に応じて自動でテーブル用アクチュエータの駆動制御が可能となる。
【0018】
また、車体に、車体が水平面に対してなす絶対角度を検出する車体側絶対角度検出手段を備え、揺動スライド機構が、車体に対してリンク部材のなす角度または支持テーブルに対してリンク部材のなす角度を検出するリンク作動角度検出手段を備えた構成も好ましい。この構成の場合にも、路面の傾斜に応じて自動でテーブル用アクチュエータの駆動制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る揺動スライド機構を適用した高所作業車の側面図である。
【図2】上記揺動スライド機構の側面図である。
【図3】上記揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図4】上記高所作業車の制御系統図である。
【図5】水平路面に位置した上記高所作業車を後方から見た図である。
【図6】傾斜路面に位置した上記高所作業車を後方から見た図である。
【図7】傾斜路面に位置した上記高所作業車を後方から見た図である。
【図8】別の実施例に係る揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図9】別の実施例に係る揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図10】別の実施例に係る揺動スライド機構を後方から見た図である。
【図11】従来の高所作業車を後方から見た図であって、(a)は水平路面に位置した状態を、(b)は傾斜路面に位置した状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。以下の説明では、本発明の一実施形態に係る揺動スライド機構40を、ローラ13bを接地させて安定支持した状態で前後に走行させながら高所作業(例えば、トンネル内での高所作業)を行うことが可能となった高所作業車1に適用した場合を例示している。本発明に係る揺動スライド機構40の説明をする前に、まず図1を参照しながら高所作業車1の全体構成について説明する。なお、説明の便宜上、各図面において矢印方向で高所作業車1の前後、左右および上下方向を示し、以下この方向を用いて説明を行う。
【0021】
高所作業車1は走行用の前輪11aおよび後輪11bを備えて、運転キャブ12から走行運転が可能なトラック式の走行体10と、走行体10上に揺動スライド機構40を介して設けられた旋回台20と、この旋回台20から上方に延びて設けられた支柱21の上部にフートピン22を介して基端部が支持されたブーム30と、このブーム30の先端部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台70とを有して構成される。なお、支柱21におけるブーム30が延びる側の反対側には、ブーム30との重量バランスを取るためのウエイト21aが取り付けられている。
【0022】
前輪11aの後方で走行体10の左右側方、後輪11bの後方で走行体10の左右側方には、一対のローラジャッキ13が取り付けられている。このローラジャッキ13は、上下方向に伸縮自在なジャッキ13aと、このジャッキ13aの下端部に取り付けられて前後方向に転動自在なローラ13bとを有して構成される。なお、図1にはジャッキ13aを縮小させた状態を示しているが、一方、図5に示すように、ジャッキ13aを下方に伸長させることにより、ローラ13bを路面に接地させて走行体10(高所作業車1)に作用するモーメントに抗して、走行体10を安定支持した状態で高所作業車1を前後に走行させることができる。
【0023】
旋回台20は、走行体10の略中央部に上下軸まわり360度回動自在に取り付けられている。揺動スライド機構40の内部には、ブーム旋回モータ(油圧モータ)23が設けられており、このブーム旋回モータ23を回転作動させることにより、図示しないギヤを介して旋回台20を水平旋回動させることができる。ブーム30は、基端ブーム30a、中間ブーム30bおよび先端ブーム30cが入れ子式に構成されており、内部に設けられたブーム伸縮シリンダ(油圧シリンダ)31の伸縮作動により各ブーム30a,30b,30cを相対的に移動させてブーム30全体を軸方向に伸縮動させることができる。また、基端ブーム30aと支柱21との間にはブーム起伏シリンダ(油圧シリンダ)24が跨設されており、このブーム起伏シリンダ24を伸縮作動させることによりブーム30全体を上下に起伏動させることができる。
【0024】
先端ブーム30cの先端部には垂直ポスト保持金具32が取り付けられており、この垂直ポスト保持金具32には垂直ポスト33の下端部が枢支されている。垂直ポスト33の上端部には作業台支持プレート34が固定されており、作業台70はこの作業台支持プレート34の上面側に設けられている。垂直ポスト33の内部にはレベリングシリンダ(油圧シリンダ)35が配設されており、このレベリングシリンダ35を伸縮作動させることにより垂直ポスト33(作業台70)を上下に揺動させることができる。
【0025】
このため、ブーム30の起伏作動(ブーム起伏シリンダ24の伸縮作動)、伸縮作動(ブーム伸縮シリンダ31の伸縮作動)若しくは旋回作動(ブーム旋回モータ23の回転作動)に合わせてレベリングシリンダ35を伸縮作動させることにより、ブーム30の姿勢によらず、垂直ポスト33を常に垂直姿勢にして作業台70(作業台70の床面)を常時水平に保持することが可能である。
【0026】
作業台70は、作業台支持プレート34の上面に上下軸まわり回動自在に取り付けられており、作業台支持プレート34内に設けられた作業台旋回モータ(油圧モータ)36を回転作動させることにより、図示しないギヤを介して作業台70を垂直ポスト33まわりに水平旋回させることができる。また、作業台70には、作業台傾き角度検出器62が取り付けられており、作業台70(作業台70の床面)の水平面に対する傾き角度(絶対角度)を検出して、その検出情報を走行体10内に設置されたコントローラ60に出力する(図4参照)。
【0027】
作業台70には上部操作装置71が設けられており、この上部操作装置71にはブーム30の起伏、伸縮、旋回操作を行うためのブーム操作レバー72、作業台70の水平旋回操作を行うための作業台操作レバー73、および揺動スライド機構40を作動させるための揺動スライド機構作動スイッチ74等が設けられている。ブーム操作レバー72の操作により出力されたブーム操作信号、作業台操作レバー73の操作により出力された作業台操作信号、および揺動スライド機構作動スイッチ74の操作により出力された揺動スライド機構作動信号は、それぞれコントローラ60に入力される(図4参照)。
【0028】
コントローラ60には、図1および図4に示すように、ブーム30の基端部に設けられてブーム30の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器61a、ブーム30内に設けられてブーム30の長さを検出するブーム長さ検出器61b、および揺動スライド機構40の内部に設けられてブーム30(旋回台20)の走行体10に対する旋回角度を検出するブーム旋回角度検出器61cからの検出情報が入力されるようになっている。また、揺動スライド機構40の内部には、旋回台傾き角度検出器20aが取り付けられており、水平面に対する旋回台20の傾き角度(絶対角度)を検出して、その検出情報をコントローラ60に出力する。
【0029】
コントローラ60は、ブーム操作レバー72の操作により出力されるブーム操作信号に基づいて、ブーム起伏シリンダ24に対応する第1制御バルブ51、ブーム伸縮シリンダ31に対応する第2制御バルブ52およびブーム旋回モータ23に対応する第3制御バルブ53の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。また、コントローラ60は、作業台操作レバー73の操作により出力される作業台操作信号に基づいて、作業台旋回モータ36に対応する第4制御バルブ54のスプール(図示せず)を電磁駆動する。
【0030】
コントローラ60は、上記のようにブーム操作レバー72によるブーム30の操作入力が行われたときには、ブーム起伏シリンダ24、ブーム伸縮シリンダ31およびブーム旋回モータ23を作動させて、ブーム30を起伏、伸縮、旋回作動させるとともに、レベリングシリンダ35を伸縮作動させることにより、作業台70の水平姿勢を保持する。すなわち、ブーム30の作動に合わせて作業台70のレベリング(平衡取り)を行う。具体的には、コントローラ60は、作業台傾き角度検出器62からの検出情報に基づいて第5制御バルブ55を電磁駆動してレベリングシリンダ35を伸縮作動させ、これにより、作業台傾き角度検出器62により検出される作業台70の傾き角度がほぼ零になるように(水平になるように)する。
【0031】
なお、詳細については後述するが、コントローラ60は、旋回台傾き角度検出器20aからの検出情報に基づいて第6制御バルブ56を電磁駆動して揺動スライドシリンダ45を伸縮作動させ、これにより、旋回台傾き角度検出器20aにより検出される旋回台20の傾き角度がほぼ零(水平)になるように制御を行う。
【0032】
走行体10の内部には、図4に示すように、エンジンE(あるいは電動モータ等でもよい)により回転駆動される油圧ポンプPが搭載されており、上記第1〜第6制御バルブ51〜56経由でブーム起伏シリンダ24、ブーム伸縮シリンダ31、ブーム旋回モータ23、作業台旋回モータ36、レベリングシリンダ35および揺動スライドシリンダ45に圧油を供給する。このように構成される高所作業車1において、作業台70に搭乗した作業者は、ブーム操作レバー72および作業台操作レバー73の操作により、作業台70を移動させて任意の高所位置で作業を行うことが可能である。
【0033】
上記のようにして作業台70を移動させるとき、作業台70の移動位置によっては走行体10に大きなモーメントが作用して転倒の虞があるため、コントローラ60においては、入力された各検出情報に基づいて走行体10の基準位置に対するブーム30の先端部の位置(作業台70の位置)を算出し、このブーム30先端部の位置がコントローラ60において予め設定されている許容作業範囲内に収まるように第1〜第3制御バルブ51,52,53のスプール動作をコントロールする。このように、コントローラ60は、ブーム30の先端部が走行体10を転倒させる虞がある位置に移動しないように、すなわちブーム30を伸長等させることにより発生したモーメントにより走行体10が転倒することがないように規制を働かせつつブーム30の作動制御を行う。
【0034】
以上ここまでは、高所作業車1の全体構成について説明した。以下においては、本発明に係る揺動スライド機構40の構成部材および組立構成ついて、図2および図3を追加参照しながら詳しく説明する。
【0035】
揺動スライド機構40は、図2および図3に示すように、旋回台20を回転自在に支持する略板状の旋回台支持部41と、作業台70を含めたブーム30全体を支持可能な強度を有した後部左側リンク部材42、後部右側リンク部材43、前部左側リンク部材47、前部右側リンク部材48、および揺動スライドシリンダ(油圧シリンダ)45から構成される。
【0036】
旋回台支持部41の内部には、上述したブーム旋回モータ23、旋回台傾き角度検出器20aおよびブーム旋回角度検出器61cが配設されている。旋回台20は、この旋回台支持部41の上面に対して平行に支持されており、旋回台傾き角度検出器20aにより旋回台20の傾き角度(絶対角度)が検出される。
【0037】
後部左側リンク部材42は上下に延びた棒状に形成されており、上下端部には枢結ピン42a,42bが挿入されて旋回台支持部41および走行体10に対して枢結されるピン孔(図示せず)が開口形成されている。また、後部右側リンク部材43、前部左側リンク部材47および前部右側リンク部材48も、後部左側リンク部材42と同様に上下に延びた棒状に形成され、上下端部には枢結ピンが挿入されて枢結されるピン孔(図示せず)が形成されている。
【0038】
このような構成部材からなる揺動スライド機構40の組立構成について説明すると、後部左側リンク部材42は、その下端部が走行体10に固定された後側取付板44に対して前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン42bが挿入されて走行体10に枢結される。一方、後部左側リンク部材42の上端部は、旋回台支持部41の後部左側部分により前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン42aが挿入されて旋回台支持部41に枢結される。後部右側リンク部材43も同様にして、前後に枢結ピン43bが挿入されて走行体10に枢結され、旋回台支持部41の後部右側部分に対して枢結ピン43aによって枢結される。そうすることにより、図3から分かるように、後方から見たときに逆ハの字になるように(枢結ピン42bと枢結ピン43bとの左右間隔よりも、枢結ピン42aと枢結ピン43aとの左右間隔の方が大きくなるように)、後部左側リンク部材42および後部右側リンク部材43が取り付けられる。
【0039】
なお、前部左側リンク部材47は、後部左側リンク部材42と同様にして、その下端部が走行体10に固定された前側取付板49に対して前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン47bが挿入されて走行体10に枢結される。一方、前部左側リンク部材47の上端部は、旋回台支持部41の前部左側部分により前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン47aが挿入されて旋回台支持部41に枢結される。また、前部右側リンク部材48も同様にして、前後に枢結ピン48bが挿入されて走行体10に枢結され、旋回台支持部41の前部右側部分に対して枢結ピン48aによって枢結される。そうすることで、後部左側リンク部材42および後部右側リンク部材43と同様に、後方から見たときに逆ハの字となって枢結される。
【0040】
揺動スライドシリンダ45は、揺動スライド機構40の前後中央部分に左右に伸縮可能な向きで配設され、先端部分が旋回台支持部41に前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン45aが挿入されて旋回台支持部41に枢結される。一方、揺動スライドシリンダ45の基端部分は、走行体10に固定された中央取付板46に対して前後に挟持された状態で、前後に枢結ピン45bが挿入されて走行体10に枢結される。
【0041】
上述のように構成される揺動スライド機構40は、揺動スライドシリンダ45が例えば中立位置の状態では、旋回台支持部41(旋回台20)と走行体10とが略平行な位置関係となるように設定されている。そして、この中立位置から揺動スライドシリンダ45を縮小させると、枢結ピン42a(47a)に対して枢結ピン43a(48a)を下げるように(右下がりになるように)旋回台支持部41が揺動されながら、旋回台支持部41全体が右方へ移動される(図6参照)。一方、中立位置から揺動スライドシリンダ45を伸長させると、枢結ピン42aに対して枢結ピン43aを上げるように(右上がりになるように)旋回台支持部41が揺動されながら、旋回台支持部41全体が左方へ移動される。
【0042】
すなわち、この揺動スライド機構40においては、枢結ピン42bと枢結ピン43bとの左右間隔よりも、枢結ピン42aと枢結ピン43aとの左右間隔の方が大きくなるように枢結位置が設定されているので、揺動スライドシリンダ45を伸縮動させることで旋回台支持部41を揺動させると同時に、旋回台支持部41を左右へ移動させることができるようになっている。
【0043】
以上、本発明に係る揺動スライド機構40の構成部材および組立構成ついて説明した。ところで、本発明に係る揺動スライド機構40を搭載していない従来のローラジャッキ式の高所作業車では、ローラを路面に接地させて走行体を安定支持させていても、作業台70の移動位置や路面の傾斜等によっては大きなモーメントが作用して転倒する虞があった。そのため、例えば路面の傾斜に応じて、コントローラ60内に設定された作業台70の許容作業範囲を切り換える必要があり、作業者にとっては路面傾斜に応じて許容作業範囲が異なって使い勝手が悪かった。このような従来構成に対し、本発明に係る揺動スライド機構40を適用した高所作業車1においては、路面の傾斜に応じて揺動スライド機構40を駆動させることにより、傾斜路面に位置した場合であっても水平路面に位置した場合と同程度の作業台70の許容作業範囲を確保できる構成となっている。
【0044】
それでは、本発明に係る揺動スライド機構40の作動に関し、高所作業車1を用いてローラ13bを路面に接地させて前後に走行させながら高所作業を行う場合について、図5〜図7を追加参照しながら以下に説明する。
【0045】
この高所作業に先立って作業台70に搭乗した作業者は、揺動スライド機構作動スイッチ74をオンにして、路面の傾斜に応じて揺動スライド機構40が自動で駆動する状態にしておく。そして、作業台70に作業者が搭乗したまま、必要に応じて高所作業車1を前後に走行させて高所作業を行う。このような高所作業の途中で、例えば水平路面に高所作業車1が位置した場合を示したものが、図5である。図5に示すように、高所作業車1が水平路面に位置した場合には、旋回台傾き角度検出器20aにより旋回台20の傾き角度(絶対角度)がほぼ零度であることが検出され、この検出情報がコントローラ60に出力される。コントローラ60は、上記検出情報を基にして揺動スライドシリンダ45が中立位置に位置するように第6制御バルブ56を電磁駆動し、旋回台20が水平路面に対して略平行となるように揺動される。
【0046】
一方、高所作業の途中で、例えば左下がりの傾斜路面に高所作業車1が位置した場合を示したものが、図6である。このような傾斜路面に高所作業車1がさしかかると、まず、旋回台傾き角度検出器20aにより旋回台20の傾き角度(絶対角度)が検出され、この検出情報がコントローラ60に出力される。コントローラ60では上記検出情報を基にして、旋回台傾き角度検出器20aにより検出された旋回台20の傾き角度を零度とするためには、揺動スライドシリンダ45を伸長動させるか縮小動させるかの判断が行われるとともに、そのときの伸長量または縮小量が演算される。そして、コントローラ60は、その演算結果に基づいて揺動スライドシリンダ45を駆動させる。例えば、図6に示す左下がりの傾斜路面の場合には、揺動スライドシリンダ45を縮小動させることで、旋回台20を右下がり(路面傾斜によるモーメントの増加が抑制される方向)に揺動させるとともに、旋回台20を右方(路面傾斜によるモーメントの増加が抑制される方向)に移動させる駆動が行われる。そして、図6に示すように、旋回台20が水平面に対して略平行に位置するまで揺動スライドシリンダ45が縮小動される。
【0047】
このように、揺動および移動が行われて旋回台20が水平面に対して略平行に位置した状態では、作業台70の許容作業範囲が、例えば図7に実線で示す傾斜時許容作業範囲48に設定される。一方、水平路面に位置した場合(揺動スライドシリンダ45が中立位置に位置した場合)の作業台70の許容作業範囲は、例えば図7に点線で示す水平時許容作業範囲49に設定される。図7に示す傾斜時許容作業範囲48と水平時許容作業範囲49とを比較すると分かるように、走行体10が位置する路面の傾斜に応じて旋回台20が揺動および移動されることで、傾斜路面に位置した場合であっても水平路面に位置した場合と同程度の許容作業範囲を確保できるようになる。そのため、本発明に係る揺動スライド機構40を適用した高所作業車1においては、路面傾斜に応じて異なった作業台70の許容作業範囲を設定することなく、路面傾斜に関わらず1つの許容作業範囲を用いることで高所作業車1の転倒を未然に防止できる。
【0048】
よって、作業者は、傾斜路面に位置した場合においても、水平路面に位置した場合と同様の広い許容作業範囲内において作業台70を移動させて高所作業を行うことが可能となり、使い勝手が良く作業効率を向上させることができる。また、従来構成のように、水平路面に位置した場合と傾斜路面に位置した場合とで、許容作業範囲を切り換える必要がないので、制御構成をシンプルにすることができる。
【0049】
ところで、図11に示す従来構成においては、ブームを含めた旋回台の荷重を揺動シリンダ530が直接受け止める構成であったため、この荷重に抗して伸縮動させるために比較的大型の揺動シリンダ530を用いる必要があった。一方、本発明に係る揺動スライド機構40においては、ブーム30を含めた旋回台20の荷重を4つのリンク部材が直接受け止める構成となっており、揺動スライドシリンダ45は枢結されて揺動可能となった揺動スライド機構40を単に揺動させるのみなので、比較的小型で駆動力の小さな揺動スライドシリンダ45を用いることが可能である。さらに、旋回台20(支柱21)が、路面の傾斜に応じてモーメント増加を抑制させる方向に移動される構成となっているので、小さなウエイト21aを搭載してもブーム30との重量バランスを十分に取ることができる。
【0050】
なお、上記においては、高所作業車1を用いてローラ13bを路面に接地させて走行体10を安定支持した状態で高所作業を行う場合を例示した。なお、このローラ13bを接地させないで高所作業を行う場合にも、揺動スライド機構40により旋回台20を揺動および移動させることで、路面の傾斜に関らず作業台70の許容作業範囲を確保できる。
【0051】
以下においては、図8〜10を参照しながら、揺動スライド機構40の変形例である揺動スライド機構140,240,340について説明する。なお、以下に説明する揺動スライド機構140,240,340は、揺動スライド機構40に対して揺動スライドシリンダ45の配置を変更した構成となっている。
【0052】
まず、図8を参照しながら、揺動スライド機構140について説明する。上述した揺動スライド機構40と同一部材には同一番号を付しており、ここでは揺動スライド機構40とは異なる部分を中心に説明する。揺動スライド機構140は、揺動スライドシリンダ45の下端部が、後部右側リンク部材43と前部右側リンク部材48とに挟持されて前後に延びる支持軸45cに挿通されて、支持軸45cを中心に回転自在となっている。この揺動スライド機構140は、揺動スライド機構40と同様に、揺動スライドシリンダ45を縮小させると、右下がりになるように旋回台支持部41が揺動されながら旋回台支持部41全体が右方へ移動され、一方、揺動スライドシリンダ45を伸長させると、右上がりになるように旋回台支持部41が揺動されながら旋回台支持部41全体が左方へ移動されるようになっている。この揺動スライド機構140の構成においては、揺動スライド機構40と比較して中央取付板46が不要となり(図3参照)、部品点数を削減することができる。
【0053】
続いて、図9を参照しながら、揺動スライド機構240について説明する。揺動スライド機構240は、揺動スライドシリンダ45の下端部45dが、中央取付板46を用いることなく直接走行体10に枢結された構成となっている。この揺動スライド機構240は、揺動スライド機構40と同様に、揺動スライドシリンダ45の伸縮動に応じて旋回台支持部41が揺動および移動されるようになっている。この揺動スライド機構240の構成においては、上記揺動スライド機構140と同様に中央取付板46が不要となり、部品点数を削減することができる。
【0054】
次に、図10を参照しながら、揺動スライド機構340について説明する。揺動スライド機構340は、略くの字に形成された後部右側リンク部材343の下端左側部分45eが走行体10に枢結されるとともに、後部右側リンク部材343の下端右側部分45fが揺動スライドシリンダ45の上端部と枢結されて構成される。また、揺動スライドシリンダ45は走行体10に入り込んで配設されており、その揺動スライドシリンダ45の下端部分45gが走行体10に枢結されている。そして、この揺動スライドシリンダ45を伸長させると、後部右側リンク部材343が下端左側部分45eを中心に揺動され、これにより旋回台支持部41が左下がりに揺動され且つ左方へ移動される。一方、揺動スライドシリンダ45を縮小させると、旋回台支持部41が右下がりに揺動され且つ右方へ移動される。この揺動スライド機構340の場合、揺動スライドシリンダ45が旋回台支持部41の下方空間ではなく走行体10内に入り込んで配設されているため、旋回台支持部41の揺動範囲および移動範囲を広く設定できる。
【0055】
上述の実施形態においては、旋回台傾き角度検出器20aにより検出された旋回台20の傾き角度(絶対角度)を基にして揺動を制御する構成を例示して説明したが、揺動スライド機構40の制御構成はこれに限定されない。例えば旋回台傾き角度検出器20aに代えて、水平面に対する走行体10の傾き角度(絶対角度)を検出する走行体傾き角度検出器を走行体10に搭載するとともに、走行体10に対するリンク部材の揺動角度(または、旋回台支持部41に対するリンク部材の揺動角度)を検出するリンク部材揺動角度検出器を揺動スライド機構40に搭載しておく。コントローラにおいて、走行体傾き角度検出器において検出された検出情報に基づき、旋回台20を水平に位置するための走行体10に対するリンク部材の揺動角度(または、旋回台支持部41に対するリンク部材の揺動角度)を算出し、その算出された揺動角度がリンク部材揺動角度検出器において検出されるように揺動スライドシリンダ45の伸縮動を制御する構成でも良い。
【0056】
上述の実施形態において、揺動スライド機構作動スイッチ74をオンにしておくことで、旋回台傾き角度検出器20aにおける検出情報に基づいて自動で揺動スライドシリンダ45の駆動が制御される構成を例示して説明したが、本発明はこの制御構成に限定されない。例えば、手動操作用スイッチを搭載しておき、この手動操作用スイッチを操作したときにのみ、旋回台傾き角度検出器20aにおける検出情報に基づいて揺動スライドシリンダ45を駆動させる構成でも良い。また、手動レバー(図示せず)を搭載しておき、作業者が手動で揺動スライドシリンダ45を伸縮動させる構成でも良い。さらには、これらのうちの2つ以上を併設し、作業者が作業状態に応じて任意に選択して操作できる構成としても良い。
【0057】
上述の実施形態においては、ローラジャッキ13を搭載した高所作業車1に揺動スライド機構40を適用した構成例について説明したが、本発明は他の種類の高所作業車にも適用可能である。例えば、軌道走行用の鉄輪を搭載して路面および鉄道軌道を走行可能に構成された軌陸車にも、本発明の揺動スライド機構40を適用可能である。そうすることにより、軌道に設けられたカントを走行する際に走行体はカントに応じて傾斜することとなるが、揺動スライド機構40により揺動および移動されるので、カントに関らず作業台の許容作業範囲を十分に確保できる。また、ローラジャッキ13に代えて、路面に接地されて走行体10を持ち上げて支持するアウトリガジャッキを搭載した高所作業車等にも、本発明を適用可能である。この構成の場合には、走行体が位置する路面の傾斜に関らず、作業台の許容作業範囲を十分に確保できる。
【0058】
上述の実施形態においては、伸縮動可能なブーム30により作業台を所望の高所に昇降移動させる構成の高所作業車1に本発明を適用した例を説明したが、例えば走行体に対して垂直昇降式のシザースリンク機構を設け、このシザースリンク機構により作業台を昇降移動させる構成の高所作業車にも本発明に係る揺動スライド機構40を適用可能である。この構成の場合、走行体が位置する路面の傾斜に関らず、作業台を鉛直方向に昇降移動させることが可能となる。
【0059】
また、上述の実施形態において、走行体10の進行方向(前後方向)に対して直交する面内において、旋回台20を揺動および移動させる揺動スライド機構40について説明したが、この揺動スライド機構40に加えて、左右方向に対して直交する面内において旋回台20を揺動および移動させる別の揺動スライド機構(前後に揺動および移動させる機構)を設けた構成も可能である。この構成の場合には、左右への傾斜のみならず前後への傾斜をも考慮した旋回台20の揺動および移動制御が可能となり、走行体10を一層安定支持した状態で高所作業を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 高所作業車
10 走行体(車体)
11a,11b 前輪、後輪(車輪)
20 旋回台(支持テーブル)
20a 旋回台傾き角度検出器(テーブル側絶対角度検出手段)
30 ブーム(昇降装置)
40 揺動スライド機構
42,43,47,48 後部左側リンク部材、後部右側リンク部材、前部左側リンク部材、前部右側リンク部材(リンク部材)
45 揺動スライドシリンダ(テーブル用アクチュエータ)
60 コントローラ(アクチュエータ制御部)
70 作業台(作業装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有して走行可能な車体と、
前記車体上に設けられた支持テーブルに基端部が取り付けられた昇降装置と、
前記昇降装置の先端部に取り付けられて、前記昇降装置により昇降移動される作業装置とを有した高所作業車であって、
前記支持テーブルは、前記車体の進行方向に対して直交する面内において前記支持テーブルを揺動可能且つ前記車体の側方へ移動可能に支持する揺動スライド機構を介して前記車体上に設けられており、
前記揺動スライド機構が、
前記支持テーブルと前記車体とに枢結されて、前記車体に対して前記支持テーブルを前記面内において揺動可能に接続する複数のリンク部材と、
前記リンク部材を、前記車体との枢結部分を中心として揺動させるテーブル用アクチュエータとを有して構成され、
前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方一方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方一方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方一方側に移動され、
前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方他方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方他方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方他方側に移動されることを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
後方からの側面視において、
前記複数のリンク部材は、逆ハの字となって前記支持テーブルと前記車体とに枢結されたことを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
前記揺動スライド機構は、前記テーブル用アクチュエータの駆動制御を行うアクチュエータ制御部を備えて構成され、
前記アクチュエータ制御部は、前記車体が位置する路面の傾斜によって前記車体に作用するモーメントの増加を抑えるように、前記テーブル用アクチュエータにより前記リンク部材を前記側方一方側および前記側方他方側へ揺動させることを特徴とする請求項1または2に記載の高所作業車。
【請求項4】
前記支持テーブルには、前記面内において前記支持テーブルが水平面に対してなす絶対角度を検出するテーブル側絶対角度検出手段が備えられ、
前記アクチュエータ制御部は、前記テーブル側絶対角度検出手段において検出された検出結果に基づいて、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高所作業車。
【請求項5】
前記車体には、前記面内において前記車体が水平面に対してなす絶対角度を検出する車体側絶対角度検出手段が備えられ、
前記揺動スライド機構には、前記車体に対して前記リンク部材のなす角度または前記支持テーブルに対して前記リンク部材のなす角度であるリンク作動角度を検出するリンク作動角度検出手段が備えられ、
前記アクチュエータ制御部は、前記車体側絶対角度検出手段において検出された絶対角度に対応した前記リンク作動角度となるように前記テーブル用アクチュエータを駆動させることにより、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高所作業車。
【請求項1】
車輪を有して走行可能な車体と、
前記車体上に設けられた支持テーブルに基端部が取り付けられた昇降装置と、
前記昇降装置の先端部に取り付けられて、前記昇降装置により昇降移動される作業装置とを有した高所作業車であって、
前記支持テーブルは、前記車体の進行方向に対して直交する面内において前記支持テーブルを揺動可能且つ前記車体の側方へ移動可能に支持する揺動スライド機構を介して前記車体上に設けられており、
前記揺動スライド機構が、
前記支持テーブルと前記車体とに枢結されて、前記車体に対して前記支持テーブルを前記面内において揺動可能に接続する複数のリンク部材と、
前記リンク部材を、前記車体との枢結部分を中心として揺動させるテーブル用アクチュエータとを有して構成され、
前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方一方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方一方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方一方側に移動され、
前記リンク部材が前記テーブル用アクチュエータにより前記側方他方側へ揺動されることで、前記車体に対して前記支持テーブルが前記側方他方側下がりに傾斜する方向に揺動されるとともに前記側方他方側に移動されることを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
後方からの側面視において、
前記複数のリンク部材は、逆ハの字となって前記支持テーブルと前記車体とに枢結されたことを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
前記揺動スライド機構は、前記テーブル用アクチュエータの駆動制御を行うアクチュエータ制御部を備えて構成され、
前記アクチュエータ制御部は、前記車体が位置する路面の傾斜によって前記車体に作用するモーメントの増加を抑えるように、前記テーブル用アクチュエータにより前記リンク部材を前記側方一方側および前記側方他方側へ揺動させることを特徴とする請求項1または2に記載の高所作業車。
【請求項4】
前記支持テーブルには、前記面内において前記支持テーブルが水平面に対してなす絶対角度を検出するテーブル側絶対角度検出手段が備えられ、
前記アクチュエータ制御部は、前記テーブル側絶対角度検出手段において検出された検出結果に基づいて、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高所作業車。
【請求項5】
前記車体には、前記面内において前記車体が水平面に対してなす絶対角度を検出する車体側絶対角度検出手段が備えられ、
前記揺動スライド機構には、前記車体に対して前記リンク部材のなす角度または前記支持テーブルに対して前記リンク部材のなす角度であるリンク作動角度を検出するリンク作動角度検出手段が備えられ、
前記アクチュエータ制御部は、前記車体側絶対角度検出手段において検出された絶対角度に対応した前記リンク作動角度となるように前記テーブル用アクチュエータを駆動させることにより、前記水平面に対して前記支持テーブルが平行となる方向に前記支持テーブルを揺動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高所作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−51687(P2012−51687A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195566(P2010−195566)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】
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