説明

高架道特定装置、高架道特定方法及び高架道特定プログラム

【課題】高架道をより正確に特定し、高架道を抽出し得る高架道特定装置を提供する。
【解決手段】高架道特定装置は、移動体に備えられた撮影装置を用いて移動体の前方及び後方を移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得手段と、複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得手段と、配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定手段と、高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影に関する情報から高架道の有無を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮影装置及びナビゲーション装置を搭載し、道路及び道路周辺の地物等を含む道路風景を撮影により道路画像として取得し、複数の道路画像を収集するために用いられる走行調査用車両がある。収集された道路画像は、例えば地図データや道路データ等の整備に用いることが可能である。上記走行調査用車両では、一般的に、撮影装置はナビゲーション装置に接続されており、撮影により道路画像を取得したときの車両位置をナビゲーション装置からの車両位置情報に基づいて特定し、この特定された車両位置を撮影位置とみなして、撮影により取得された道路画像と撮影位置とを対応付けて保存し、取得された道路画像から地図オブジェクトとなり得る情報(例えば道路標識等)を抽出する。このような特定、みなし、対応付け、保存、抽出等の各処理機能は、例えば、撮影装置やナビゲーション装置等に備えられている。
【0003】
例えば道路標識のように比較的寸法が小さく定まった特定の形状を有する場合、道路標識全体を上記撮影装置により撮影することができる。形状や色彩等からいずれの道路標識であるかを特定するための道路標識テンプレートを予め用意しておく機能を例えば上記ナビゲーション装置に備えておけば、当該ナビゲーション装置により、当該道路標識テンプレートに含まれるいずれかの道路標識の形状や色彩等に合致する形状物が、撮影により収集された道路画像に含まれているか否かを判断することができる。これにより、一つの道路画像であってもその道路画像内に含まれる道路標識を適切に特定し、道路標識を道路画像から抽出することができる。
【0004】
しかし、高架道路や高架鉄道等の高架道のように長さにおいて寸法が大きいために高架道の全体は撮影されず、撮影により取得された道路画像中において定まった特定の形状を有していないものとして現される場合、そのような地物を道路画像において特定して道路画像から抽出することが可能なテンプレートを予め用意することは困難である。
【0005】
そこで、例えば高架道路及び当該高架道路下の一般道路のように高架道路と一般道路とが上下に平行して設けられている場合、車両が走行している道路が、高架道路及び一般道路のいずれの道路であるかを知るために、車両周辺の状況を撮影した周辺画像を解析し、その解析の結果、周辺画像内上方の低輝度領域が所定のパターンをなしている場合、当該低輝度領域が、高架道路を示す領域であると判断し、車両は高架道路下の一般道路を走行していると判断する車載ナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−71539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の車載ナビゲーション装置は、走行方向が上下に平行するように設けられた高架道路及び一般道路のいずれかの道路を車両が走行している場合において得られる周辺画像内上方の所定のパターンをなしている低輝度領域を高架道路と判断しているので、上下に平行して設けられた高架道路及び一般道路のいずれかの道路を車両が走行している場合において高架道路を特定して高架道路を抽出することが可能である。
【0008】
しかし、例えば高架道路と一般道路とが立体交差する等のように高架道路と一般道路との空間関係が上下に平行する関係でない場合に、高架道路を検出することができない可能性があるという問題点があり、道路周辺の建物等の形状や色彩等が高架道路の形状や色彩等に比較的近い場合に、建物等を誤って高架道路として検出してしまう可能性があるという問題点がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが例として挙げられる。本発明の目的は、高架道路や高架鉄道等の高架道の特性を考慮し、高架道路や高架鉄道等の高架道をより正確に特定し、高架道を抽出し得る高架道特定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、高架道特定装置であって、移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得手段と、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得手段と、前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定手段と、高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載の発明は、高架道特定方法であって、移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得工程と、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得工程と、前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定工程と、高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項9に記載の発明は、コンピュータ上で実行される高架道特定プログラムであって、移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得手段と、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得手段と、前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定手段と、高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力手段と、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】撮影装置の配置例を示す図である。
【図3】サーバ装置の構成図である。
【図4】高架道特定ユニットの機能構成を示すブロック図である。
【図5】画像環境情報のデータ構造を示す図である。
【図6】第1フェーズの方法を説明する図である。
【図7】高架道の下を通過した場合の撮影画像の例である。
【図8】高架道候補領域の重心位置の変化を示すグラフ(1)である。
【図9】雲を高架道候補領域とした場合の撮影画像の例である。
【図10】高架道候補領域の重心位置の変化を示すグラフ(2)である。
【図11】地平線を含む領域を高架道候補領域とした場合の撮影画像の例である。
【図12】高架道候補領域の重心位置の変化を示すグラフ(3)である。
【図13】画像解析対象外とする撮影画像を選択する方法を示す図である。
【図14】高架道特定処理のフローチャートである。
【図15】撮影方向の角度情報を用いて高架道の有無を判定する例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施形態では、高架道特定装置は、移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得手段と、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得手段と、前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定手段と、高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力手段と、を備える。
【0015】
上記の高架道特定装置は、具体的に例えばサーバ装置やナビゲーション装置等に適用することができる。ここで、高架道として、例えば高架道路や高架鉄道等を挙げることができる。撮影関連情報取得手段は、移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する。ここで、撮影することの例として、道路及び道路周辺の地物等を含む道路風景をアナログ又はデジタル式のスチルカメラ等により静止画像として個々に撮影する、道路及び道路周辺の地物等を含む道路風景をアナログ又はデジタル式のビデオカメラ等により移動体の走行に伴って一連の道路画像として撮影する、アナログ又はデジタル式のビデオカメラ等による撮影により取得された一連の道路画像から任意の道路画像を静止画像として抽出する等を挙げることができる。ここで、前方撮影関連情報及び後方撮影関連情報として、具体的に例えば、前方を撮影して得られる前方撮影画像及び後方を撮影して得られる後方撮影画像において高架道である可能性を有する領域としての高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報や、撮影における撮影装置の撮影方向を示す角度情報等を挙げることができる。上記移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することの例として、具体的に、移動体の走行に伴って連続的に撮影する、間欠的に撮影する、一定の走行距離間隔で撮影する、一定の走行時間間隔で撮影する、継続的に撮影する等を挙げることができる。
【0016】
撮影環境情報取得手段は、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する。ここで、撮影環境情報に含むことができる情報として、上記配列順序情報以外に、例えば、撮影がなされた際の移動体の位置を示す撮影位置情報、撮影がなされた際の時刻を示す撮影時刻情報、移動体が旋回走行したことを示す旋回情報、走行領域内の位置を示す走行領域情報との関連付けが可能な地図情報(例えば道路ネットワーク情報)等を挙げることができる。
【0017】
高架道判定手段は、前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する。そして、判定結果出力手段は、高架道判定手段の判定により得られた、高架道の有無を示す判定結果を出力する。
【0018】
移動体に備えられた撮影装置を用いて移動体の走行に伴って前方及び後方を例えば連続的に撮影しながら、走行中の道路と立体交差する高架道の下を通過する場合、撮影条件として撮影装置の撮影方向を固定した場合と、移動体の走行に伴う撮影において撮影方向が例えば高架道に向いているように撮影方向を調整する場合とでは、以下の特徴がある。
【0019】
撮影装置の撮影方向を固定した場合、例えば水平方向に固定した場合については、移動体が高架道の下を通過する前は移動体が高架道下へ近づいていくことになるので、移動体が高架道下へ近づくにつれて、移動体の前方を撮影して得られる前方撮影画像内において高架道を示す領域は、前方撮影画像内の上部においてさらに上部へ徐々に移動することとなる。即ち、前方撮影画像内において高架道を示す領域の重心は、前方撮影画像内の上端側へ徐々に変位することになる。そして、移動体が高架道の下を通過した後は、移動体が高架道下から遠のいていくことになるので、移動体が高架道下から遠のくにつれて、移動体の後方を撮影して得られる後方撮影画像において高架道を示す領域は、後方撮影画像内の上端側から再び下方へ徐々に移動することとなる。即ち、後方撮影画像内において高架道を示す領域の重心は、後方撮影画像内の上端側から再び下方へ徐々に変位することになる。
【0020】
撮影装置の撮影方向が高架道に向くように撮影方向を調整する場合については、移動体が高架道の下を通過する前は、移動体が高架道下へ近づくことになるので、撮影方向を示す角度は、当該角度を例えば撮影方向と水平方向とのなす角度とすれば、当該角度が徐々に大きくなるように変化する。そして、移動体が高架道の下を通過した後は、移動体が高架道の下から遠のいていくことになるので、撮影方向を示す角度は徐々に小さくなるように変化する。
【0021】
従って、高架道特定装置は、移動体の走行に伴う連続的な撮影により得られる配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定することができる。これによれば、高架道特定装置は、高架道の下を通過することにより得られる通過前後の複数の前方撮影関連情報の変化及び複数の後方撮影関連情報の変化に基づいて高架道の有無を判定するので、現に走行中の道路と立体交差する高架道の有無の判定に関して判定の確度を向上させることができる。
【0022】
上記高架道特定装置の一態様では、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報は、前記移動体の前記走行領域内の走行に伴って前記走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られ、前記配列順序情報は、前記複数の位置でされた前記撮影の順序を示す撮影順序情報と、前記撮影がされた前記複数の位置の各位置を撮影位置として示す撮影位置情報とを含み、前記高架道判定手段は、前記撮影関連情報グループの2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報の少なくとも一方の変化量が所定量より少ない場合、前記複数の撮影位置のうち前記撮影関連情報グループに関連付けられる複数の前記撮影位置に基づき特定される前記走行領域内の区間には高架道がないと判定する。この場合、高架道特定装置は、雲や地平線等のように前方撮影関連情報及び後方撮影関連情報の変化量が微少又は実質的に無い場合には高架道として検出せず、誤検出を回避することができる。
【0023】
上記高架道特定装置の他の一態様では、前記高架道判定手段は、前記撮影関連情報グループの2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報を前記配列順序情報に基づきソートした場合、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化が上昇傾向にあり、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化が下降傾向にあるときに、前記撮影関連情報グループに関連付けられる複数の前記撮影位置に基づき特定される前記走行領域内の区間に高架道があると判定する。この場合、高架道特定装置は、撮影関連情報グループ内の複数の撮影関連情報を撮影位置に基づき移動体の走行順にソートした場合、前方撮影画像及び後方撮影画像内の高架道候補領域の重心位置や撮影方向を示す角度について、移動体が高架道の下を通過するときの複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の変化傾向特性に基づいて高架道の有無を判定するので、正確に高架道の有無を判定することができる。
【0024】
上記高架道特定装置の他の一態様では、前記移動体の前方を撮影した前方撮影画像及び前記移動体の後方を撮影した後方撮影画像を取得する画像取得手段と、前記前方撮影画像及び前記後方撮影画像の各撮影画像内の特定領域の輝度値を解析により求め、所定値より低い輝度値を有する低輝度領域を高架道候補領域として抽出し、抽出された前記高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報を、前記撮影関連情報として出力する画像解析手段と、をさらに備える。この場合、高架道特定装置は、複数の前方撮影画像及び複数の後方撮影画像を取得し、これら前方撮影画像及び後方撮影画像の各撮影画像内の特定領域の輝度値を解析により求め、所定値より低い輝度値を有する低輝度領域を高架道候補領域として抽出し、抽出された高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報を撮影関連情報として出力するので、当該撮影関連情報を用いて、高架道の有無を判定することができる。
【0025】
上記高架道特定装置の他の一態様では、前記画像解析手段は、前記特定領域内に複数の前記低輝度領域が抽出された場合、前記低輝度領域から抽出される線分の内、最も長い線分を有する前記低輝度領域の重心位置情報を、前記撮影関連情報として出力する。一般的に、前方撮影画像及び後方撮影画像において高架道は撮影画像内の左端から右端までを占める領域として現れることが多い。従って、前方撮影画像及び後方撮影画像内における高架道を示す領域からは、当該撮影画像の横方向に長い線分が抽出される可能性が高いことになる。このことを考慮すると、高架道特定装置は、画像解析した結果、1つの前方撮影画像又は後方撮影画像に複数の低輝度領域が含まれる場合に、低輝度領域から抽出される線分の内、横方向の長さが最も長い線分を有する低輝度領域を高架道候補領域とすれば、高架道候補領域を正確に決定することができる。
【0026】
上記高架道特定装置の他の一態様では、前記撮影環境情報は、前記移動体が前記走行領域内で旋回走行中であるか否かを示す旋回情報を含み、前記画像解析手段は、前記旋回情報に基づいて、前記移動体の前記走行領域内での旋回走行中に取得された前記前方撮影画像又は前記後方撮影画像を画像解析の対象から除外する。この場合、高架道特定装置は、旋回走行のときに移動体周辺の建物等を高架道候補領域として誤抽出してしまう可能性を考慮して、移動体が旋回走行しているときの前方撮影画像又は後方撮影画像を画像解析対象外としているので、高架道でないにも関わらず、誤って高架道として検出してしまうことを回避することができる。
【0027】
上記高架道特定装置の他の一態様では、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報は、前記撮影装置の撮影方向を示す角度情報である。前方用撮影装置及び後方用撮影装置が、移動体の高架道下への接近に追従して撮影装置の撮影方向を高架道に向くように変化させる機能を有する場合、移動体が高架道の下へ向かっていくと、前方用撮影装置の撮影方向はより前方上方へ変化するので、前方用撮影装置の撮影方向を示す角度が徐々に大きくなっていく。そして、移動体が高架道の下を通過すると、後方用撮影装置の撮影方向を示す角度が徐々に小さくなっていく。高架道特定装置は、上述の撮影方向を示す角度の変化特性に基づいて高架道の有無を判定するので、正確に高架道の有無を判定することができる。
【0028】
本発明の他の実施形態では、高架道特定方法であって、移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得工程と、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得工程と、前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定工程と、高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力工程と、を備える。このような、高架道特定方法においても、移動体の走行に伴う連続的な撮影により得られる配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定することができる。これによれば、高架道特定方法は、高架道の下を通過することにより得られる通過前後の前方撮影関連情報及び後方撮影関連情報の変化に基づいて高架道の有無を判定するので、走行中の道路と立体交差する高架道の有無の判定に関して確度を向上させることができる。
【0029】
本発明のさらに他の観点では、コンピュータ上で実行される高架道特定プログラムであって、移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得手段と、前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得手段と、前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定手段と、高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力手段と、として前記コンピュータを機能させる。このような、高架道特定プログラムを、各種装置上で実行することにより、本発明の高架道特定装置を実現することができる。なお、この高架道特定プログラムは記録媒体に記録した状態で好適に取り扱うことができる。
【実施例】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0031】
[概要]
本発明の好適な実施例として以下に説明する高架道特定装置は、具体的には、当該高架道特定装置が備える後述の機能を組み込んだサーバ装置である。このサーバ装置は、車両の走行に伴って車両の前方及び後方の道路及び道路周辺の地物等を含む道路風景を撮影した複数の前方撮影画像及び複数の後方撮影画像を取得し、これら複数の前方撮影画像及び複数の後方撮影画像から高架道の候補として抽出された領域(以下、「高架道候補領域」ともいう。)に関する情報(以下、「高架道候補領域情報」ともいう。)を取得し、当該情報が取得された複数の撮影画像についての高架道候補領域情報のうち撮影順序に基づいて1つのグループと見なすことができる複数の高架道候補領域情報について当該情報の変化を調べ、この変化に基づいて、当該グループの高架道候補領域が高架道であるか否かを判定し、これにより、高架道の有無を判定する。ここでいう高架道とは、高架道路や高架鉄道等をいう。
【0032】
ここで、道路及び道路周辺の地物等を含む道路風景を撮影した撮影画像とは、ナビゲーション装置及びこれに接続された撮影装置を搭載した車両(例えば現地調査用車両)の走行に伴い車両の前方及び後方を撮影装置により撮影した前方撮影画像や後方撮影画像をいう。以下に、撮影装置が接続されたナビゲーション装置について説明する。
【0033】
[ナビゲーション装置]
図1に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置300の構成を示す。この実施例においては、ナビゲーション装置300に車外撮影用の撮影装置が含まれるものとして説明する。図1に示すように、この実施例においては、ナビゲーション装置300は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、入力装置60、前方用撮影装置71、及び後方用撮影装置72を備える。
【0034】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0035】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0036】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置300全体の制御を行う。
【0037】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20へ入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して利用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0038】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブ等のディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0039】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データ等のコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としても良いし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしても良く、また、テレビチューナを内蔵したハードディスクレコーダでも良い。
【0040】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDD等により構成され、地図データや施設データ等のナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
【0041】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カード等により構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報等の道路交通情報を受信したり、所定のサーバからの種々の情報(例えば、天気情報等)を受信したりする。
【0042】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイ等の表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイ等の表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像に基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0043】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、ディスクドライブ31、又はRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0044】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0045】
さらに、入力装置60は、音声ユニットも含める。音声ユニットは、音声認識部及びマイクを備える。利用者が発生した音声は、マイクにより集音され、音声認識部へ入力される。音声認識部は、利用者による音声指示を認識処理し、認識結果をシステムコントローラ20へ供給する。これにより、利用者は、リモコンやタッチパネルの代わりに、音声により指示等を入力することができる。
【0046】
前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72は、車両へ例えば取り付けられ、システムコントローラ20の制御に応じて、一定走行距離間隔(例えば5m毎)で前方撮影画像及び後方撮影画像を取得する。システムコントローラ20は、前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72により撮影された各撮影画像と、GPS受信機18を介して得られた各撮影時の位置情報とを対応付ける。これにより、ナビゲーション装置300は、車両の走行に伴って当該走行に係る道路内の複数の位置で撮影した前方撮影画像及び後方撮影画像を、撮影時の位置情報に対応付けて保持することができる。
【0047】
前方用撮影装置71は、車両の前方を撮影するための装置であり、後方用撮影装置72は、車両の後方を撮影するための装置である。そして、本実施例では、前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72は、車両へ取り付けられているものとする。ここで、上記前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72を車両へ取り付ける際の配置例を図2に示す。上記前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72を車両へ取り付ける際の配置は、図2に示す例に限られず、前方用撮影装置71については、車両の前方上方を含む前方を撮影可能な箇所であれば良く、後方用撮影装置72については、車両の後方上方を含む後方を撮影可能な箇所であれば良い。
【0048】
ナビゲーション装置300は、上記の前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72が撮影した結果得られた撮影画像をデータ記憶ユニット36へ保存したり、通信装置38を介して高架道の有無を判定するサーバ装置へ送信したりする。なお、上記撮影装置により取得される撮影画像サイズは一定とする(例えば、1280ピクセル×960ピクセル)。
【0049】
[高架道特定装置]
図3は、本発明の実施例に係る高架道特定装置100の概略構成を示す図である。本実施例において、高架道特定装置100は、上述の通り、道路及び道路周辺の地物等を含む道路風景を撮影した複数の撮影画像を取得し、取得された複数の撮影画像を画像解析し、画像解析結果に基づき高架道候補領域を抽出し、抽出された高架道候補領域が高架道であるか否かを判定する。
【0050】
高架道特定装置100は、本実施例では、ナビゲーション装置300と通信するサーバ装置により構成され、システムバス111と、CPU(Central Processing Unit)112と、メモリ113と、キーボード114と、マウス等の座標指示デバイス115と、ディスプレイ116と、通信装置117と、データ記憶部118と、地図情報データベース119とを備える。ここで、キーボード114及び座標指示デバイス115は、入力装置である。また、ディスプレイ116は、出力装置である。通信装置117は、他の装置とデータを授受する所定の通信装置である。データ記憶部118は、各種データを記憶する。具体的には、データ記憶部118はハードディスク等である。また、データ記憶部118は、地図情報データベース119を保持する。地図情報データベース119は、高架道を含む道路情報等、種々の地図情報を管理するデータベースである。CPU112は、高架道特定装置100全体を制御し、入出力装置の制御を行う。
【0051】
CPU112、メモリ113、データ記憶部118は、システムバス111に接続される。キーボード114、座標指示デバイス115、ディスプレイ116、通信装置117も図示しないインタフェースを介してシステムバス111に接続される。メモリ113は、作業メモリとしても使用される。
【0052】
[高架道特定ユニット]
図4は、高架道特定ユニット200の機能ブロック図である。高架道特定ユニット200は、実体的には、高架道特定装置100の構成要素により構成される。図4に示すように、高架道特定ユニット200は、データ記憶部118、画像取得部201、画像環境情報取得部202、画像解析処理部203、解析結果情報取得部204、高架道判定部205、及び判定結果出力部206を備える。そして、データ記憶部118は、地図情報データベース119や各種情報を保持する。
【0053】
画像取得部201は、通信装置117を介して、ナビゲーション装置300に備えられた前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72から前方撮影画像及び後方撮影画像を取得する。
【0054】
画像環境情報取得部202は、通信装置117を介して、ナビゲーション装置300から、前方用撮影装置71又は後方用撮影装置72により前方撮影画像及び後方撮影画像を取得する処理によって確定される画像環境情報を取得する。本実施例における画像環境情報のデータ構造を概念的に示した図を図5に示す。図5に示すように、画像環境情報250は、撮影インデックス251、撮影装置方向252、撮影位置253、撮影時刻254、及び旋回情報255を有する。
【0055】
撮影インデックス251は、撮影画像を一意に識別し得る情報である。撮影装置方向252は、画像環境情報250に対応する撮影画像が前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72のいずれによって撮影されたものであるかを示す情報である。上記撮影インデックス251と撮影装置方向252とにより、撮影画像を一意に識別することができる。
【0056】
撮影位置253は、撮影がなされた際の車両の位置を示す位置情報であり、緯度経度情報等で示される。本実施例では、GPS受信機18を介して得られた撮影時の位置情報が用いられる。撮影時刻254は、撮影がなされた時刻を示す時刻情報である。旋回情報255は、ナビゲーション装置300を搭載した車両が、撮影時に旋回走行していたか否かを示す情報であり、角速度センサ12や上記車両のステアリングの角度に基づく情報である。高架道特定ユニット200は、当該旋回情報255を参照することにより、撮影画像が、車両の旋回走行中に撮影された撮影画像であるか否かを判断する。
【0057】
画像解析処理部203は、画像取得部201が取得した撮影画像に対して、画像解析処理を行い、画像解析処理の結果を出力する。画像解析方法の詳細については、後述する。
【0058】
解析結果情報取得部204は、画像解析処理の結果を取得する。高架道判定部205は、画像解析処理の結果から高架道の有無を特定する。高架道を特定する方法の詳細については、後述する。
【0059】
判定結果出力部206は、高架道判定部205が判定した結果を、各種のデータ形式で出力する。出力された判定結果の情報は、データ記憶部118へ登録される。
【0060】
高架道特定ユニット200は、出力した判定結果の情報を用いて、地図情報データベース119に対して高架道に関する情報を反映することができる。本実施例では、解析結果情報取得部204が撮影関連情報取得手段として機能する。
【0061】
[高架道特定方法]
次に、高架道特定方法について説明する。高架道特定方法とは、複数の撮影画像に対して画像解析を行い、撮影画像内の上部で低い輝度を示す低輝度領域を高架道候補領域として抽出し、当該高架道候補領域に関する情報を出力し、当該高架道候補に関する情報を参照し、複数の前方撮影画像及び複数の後方撮影画像についての高架道候補領域に関する情報の特性に基づいて高架道の有無を特定する方法をいう。
【0062】
ここで、高架道特定ユニット200が高架道候補領域に関する情報を出力する処理を第1フェーズとし、高架道候補領域に関する情報を取得し、当該高架道候補領域に関する情報を用いて高架道を特定する処理を第2フェーズとして、以下に説明する。
【0063】
(第1フェーズ)
最初に第1フェーズについて説明する。画像取得部201は、ナビゲーション装置300から撮影画像を取得する。そして、画像環境情報取得部202は、取得された撮影画像に対応する画像環境情報250を取得する。撮影画像の例を図6(A)に示す。図示した撮影画像内の上部351に高架道がある。
【0064】
画像解析処理部203は、画像取得部201が取得した撮影画像に対して画像解析をし、撮影画像内の上部(例えば、撮影画像の上半分等)において所定値以下の輝度を有する領域を抽出する。例えば、画像解析処理部203は、図6(B)に示す低輝度領域501を抽出する。従って、撮影画像内の上部において所定値を越える輝度を有する領域のみを含む撮影画像については、低輝度領域501を含まない撮影画像として処理される。
【0065】
次に画像解析処理部203は、上記の低輝度領域501から線分を抽出し、抽出した線分(以下、「輪郭線」とも呼ぶ)を囲む矩形を生成する。輪郭線の例を、図6(C)に輪郭線502A〜輪郭線502Dとして示す。画像解析処理部203は、図6(B)に示したような低輝度領域501を高架道候補領域とする。なお、撮影画像内に複数の低輝度領域501が含まれる場合、当該撮影画像において横方向に最も長い輪郭線502を有する低輝度領域501を高架道候補領域とする。
【0066】
一般的に、撮影画像中に含まれる高架道は、撮影画像内において左端から右端まで占める領域として現れていることが多い。従って、撮影画像内において高架道を示す領域からは、横方向に長い線分が抽出される可能性が高いことになる。このことを考慮すると、高架道特定ユニット200は、画像解析した結果、1つの撮影画像内に複数の低輝度領域501が含まれる場合に、高架道を示す領域中から抽出される線分のうち、横方向の長さが最も長い線分を有する領域を高架道候補領域とすれば、高架道候補領域として正確に決定することができる。
【0067】
なお、ここでいう低輝度とは、暗闇のような低輝度ではなく、高輝度な領域(空や雲)と比較した場合に相対的に低い輝度の領域をいう。
【0068】
そして、画像解析処理部203は、高架道候補領域における情報である解析結果情報を出力し、当該解析結果情報をデータ記憶部118へ登録する。ここでいう解析結果情報の内容として、図6(D)に示すように、高架道候補領域に対応する撮影画像の撮影インデックスや撮影装置方向、高架道候補領域の輝度値(例えば、高架道候補領域内の平均輝度値、高架道候補領域の重心位置における輝度値等)、高架道候補領域の面積、高架道候補領域を画定又は特定する座標情報、及び高架道候補領域中の輪郭線502の情報(傾きや長さ)等がある。
【0069】
解析結果情報の「撮影インデックス」及び「撮影装置方向」は、画像環境情報250の撮影インデックス251及び撮影装置方向252にそれぞれ対応し、それぞれが撮影環境情報として用いられる。解析結果情報の「高架道候補領域の輝度値」は、画像解析処理部203が解析して特定した高架道候補領域の輝度値に関する情報である。解析結果情報の高架道候補領域の輝度値の具体例として、高架道候補領域中の画素の輝度値の平均値等がある。解析結果情報の「高架道候補領域の面積」は、高架道候補領域の面積値である。解析結果情報の「高架道候補領域を画定又は特定する座標情報」は、高架道候補領域を形成する矩形を画定又は特定する座標値である。解析結果情報の「高架道候補領域中の直線情報」は、画像解析処理部203が解析した輪郭線502の属性情報(傾きや長さ)である。
【0070】
(高架下を通過時の撮影画像の傾向について)
次に、フェーズ2について説明する前に、車両の走行に伴って一定の走行距離間隔で高架道を含む道路風景を連続して撮影する前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72を搭載した車両が高架道の下を通過した場合における、前方用撮影装置71で撮影した前方撮影画像及び後方用撮影装置72で撮影した後方撮影画像の変化傾向を図7及び図8(A)を用いて考察する。
【0071】
図7では、車両が高架道の下を通過する前から通過した後までの間における撮影画像の変化を示す。撮影インデックス1〜6に対応する画像は、移動体が高架道の下を通過する前に前方用撮影装置71で撮影された撮影画像であり、撮影インデックス7〜12に対応する画像は、移動体が高架道の下を通過する際に、後方用撮影装置72で撮影された撮影画像である。そして、撮影インデックス1〜12の順に撮影がなされたものとする。そして、各撮影画像中に高架道候補領域の重心位置J1〜J12を示す。
【0072】
図7に示すように、車両が高架道の下を通過する前は、前方用撮影装置71で撮影した撮影画像内の高架道候補領域の重心位置J1〜J6は、当該撮影画像内において徐々に上方へと上がっていく。一方、車両が高架道の下を通過した後は、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像内の高架道候補領域の重心位置J7〜J12は、当該撮影画像内において徐々に下方へと下がっていく。
【0073】
車両が高架道の下を通過する前に前方用撮影装置71で撮影した撮影画像の高架道候補領域の重心位置の高さの変化と、車両が高架道の下を通過した後に後方用撮影装置72で撮影した撮影画像の高架道候補領域の重心位置の高さの変化を示したグラフを図8(A)に示す。
【0074】
図8(A)において、縦軸は、撮影画像の左上を原点とした高架道候補領域の重心位置のY座標の値、即ち当該撮影画像内における高架道候補領域の重心位置の高さを示し、横軸は、撮影インデックス251を示す。グラフ505は、重心位置J1〜J6の高さの変化を示す。グラフ506は、重心位置J7〜J12の高さの変化を示す。グラフ505に示すように、前方用撮影装置71で撮影した撮影画像における高架道候補領域の重心位置は、略右肩上がりとなっており、時間の経過とともに上昇する傾向にある。一方、グラフ506に示すように、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像における高架道候補領域の重心位置は、略右肩下がりとなっており、時間の経過とともに下降する傾向にある。従って、グラフ505とグラフ506とで「ハ」の字の形状を形成する。
【0075】
これは、車両が高架道下へ近づいていくと、前方用撮影装置71で撮影した撮影画像内における高架道候補領域が徐々に撮影画像内の上端部側へと移動し、車両が高架道の下を通過して高架道下から遠ざかると、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像内における高架道候補領域が徐々に撮影画像内の上端側から下方へ移動するためである。
【0076】
このことから、高架道特定ユニット200は、所定の区間に対応する撮影画像について、撮影インデックス251の順に高架道候補領域の重心位置の変化を参照した結果、前方用撮影装置71で撮影した撮影画像内における高架道候補領域の重心位置が上昇(即ち上端側に移動)し、その後、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像内における高架道候補領域の重心位置が下降(即ち上端側から下方へ移動)した場合、上記区間内に高架道があると判定することができる。
【0077】
なお、仮に車両の前方にある地物が高架道ではなく建物である場合は、車両が当該建物をくぐるということはないので、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像内で、高架道候補領域を抽出することはない。従って、前方用撮影装置71で車両の前方を撮影した撮影画像中の建物部分を高架道候補領域とした場合、図8(B)で示すグラフ507のように前方方向用撮影装置71が撮影した撮影画像の高架道候補領域の重心位置は上昇するが、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像からは、高架道候補領域を抽出しないので、高架道候補領域の重心位置の変化を示すグラフが全体として「ハ」の字の形状を形成することはない。
【0078】
また、高架道特定ユニット200が、撮影画像中の雲部分を高架道候補領域として抽出した場合において、図9に示すように撮影インデックス21〜24の順に各撮影画像を取得していた時、各撮影画像の高架道候補領域の重心位置J21〜J24は、撮影画像内の高い箇所(即ち上端側)に位置し続けている。撮影画像中の雲部分を高架道候補領域とした場合における前方用撮影装置71で撮影した撮影画像の高架道候補領域の重心位置J21〜J24の高さの変化を示したグラフを図10に示す。
【0079】
図10において、縦軸は、撮影画像内の左上の端点を原点とした場合の重心位置のY座標の値を示し、横軸は、撮影インデックス251を示す。グラフ508に示すように、高架道特定ユニット200が撮影画像中の雲部分を高架道候補領域として抽出した場合、高架道候補領域の重心位置は、変化量が少ない傾向にある。この傾向は、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像中の雲部分を高架道領域として抽出した場合も同様の結果となる。
【0080】
そして、高架道特定ユニット200が、地平線部分を高架道候補領域として抽出した場合、図11に示すように、当該高架道候補領域の重心位置は、撮影画像内の中央部周辺に位置し続けている。地平線部分を高架道候補領域として抽出した場合における前方撮影装置で撮影した撮影画像の高架道候補領域の重心位置J31〜J34の高さの変化を示したグラフを図12に示す。
【0081】
図12において、縦軸は、撮影画像内の左上の端点を原点とした場合の重心位置のY座標の値を示し、横軸は、撮影インデックス251を示す。グラフ509に示すように、高架道特定ユニット200が撮影画像中の地平線部分を高架道候補領域として抽出した場合、高架道候補領域の重心位置は、変化量が少ない傾向にある。この傾向は、後方用撮影装置72で撮影した撮影画像中の地平線部分を高架道領域として抽出した場合も同様の結果となる。
【0082】
従って、高架道特定ユニット200は、所定区間の高架道候補領域の重心位置に変化を生じていない場合、当該区間に高架道がないと判定することができる。なお、本実施例における「高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報」が、本発明における「撮影関連情報」として機能する。
【0083】
(第2フェーズ)
次に第2フェーズについて説明する。解析結果情報取得部204は、画像解析処理部203が出力した解析結果情報をデータ記憶部118から取得する。具体的には、複数の撮影環境情報である複数の撮影インデックスを取得する。これら複数の撮影インデックスによって示される配列順序に従って、収集された複数の撮影画像を配列する。
【0084】
上述したように、高架道候補領域が抽出された撮影画像については当該撮影画像の高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報(即ち撮影関連情報)が得られ、高架道候補領域が抽出されなかった撮影画像については当該撮影画像の高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報(即ち撮影関連情報)が得られない。また、上述したように、高架道候補領域が、実際に、高架道、雲部分、地平線部分等である場合には、複数の撮影画像が、高架道候補領域が抽出された撮影画像として撮影インデックスに従って連なって並んでいる状況を呈することになる。そして、当該複数の撮影画像に関して、それらの配列順序としての前後の両撮影画像が、高架道候補領域が抽出されなかった撮影画像である場合には、前記連なって並んでいる状況を呈する複数の撮影画像を1つのグループと見なすことができる。
【0085】
これらのことを考慮することにより、複数の撮影環境情報である複数の撮影インデックスに従って連なって並んでいる複数の撮影関連情報である複数の高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報を、複数の撮影インデックスが示す配列順序に基づいて、複数の撮影関連情報である複数の高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報を1つのグループとして見なすことができ、撮影画像をグルーピングすることができる。
【0086】
次に、高架道判定部205は、1つのグループと見なすことができる複数の解析結果情報を参照し、前方用撮影装置71又は後方用撮影装置72による複数の撮影画像における高架道候補領域の重心位置に所定量(例えば、撮影画像の高さの5パーセント等)以上の変化がない場合は、高架道がないと判定する。これにより、高架道特定ユニット200は、雲や地平線等を高架道候補領域として抽出した場合でも、誤って当該高架道候補領域に高架道があると判定してしまうことを回避することができる。なお、高架道判定部205は、解析結果情報に含まれている「高架道候補領域を画定又は特定する座標情報」を用いて高架道候補領域の重心位置を算出する。
【0087】
そして、高架道判定部205は、1つのグループと見なすことができる複数の解析結果情報を参照し、図8(A)に例示するように、前方用撮影装置71で撮影した複数の撮影画像における高架道候補領域の重心位置が上昇傾向にあり、後方用撮影装置72で撮影した複数の撮影画像における高架道候補領域の重心位置が下降傾向にある場合、1つのグループと見なすことができる複数の撮影画像によって定められる走行領域区間内に高架道があると判定する。
【0088】
そして、判定結果出力部206は、高架道判定部205が、1つのグループと見なすことができる走行領域区間について高架道があるか否かについての結果を判定結果として出力する。判定結果出力部206が出力する出力結果の方式として、テキストファイル等がある。
【0089】
このように、高架道特定ユニット200は、車両の前方及び後方の複数の撮影画像を取得し、各撮影画像に対して画像解析をし、輝度値等に基づき高架道候補領域を抽出し、高架道候補領域の重心位置情報を解析結果情報として用いて、高架道の有無を判定することができる。
【0090】
また、高架道特定ユニット200は、撮影インデックス251に基づいて1つのグループと見なすことができる範囲で、複数の前方撮影画像についての高架道候補領域の重心位置変化、及び、複数の後方撮影画像についての高架道候補領域の重心位置変化に基づいて高架道があるか否かを判定している。即ち、高架道特定ユニット200は、車両が高架道の下を通過することにより得られる通過前後の複数の前方撮影画像についての重心位置の変化及び複数の後方撮影画像についての重心位置の変化に基づいて高架道の有無を判定するので、現に走行中の道路と立体交差する高架道の有無の判定に関して判定の確度を向上させることができる。
【0091】
(車両が旋回走行している場合の処理)
上述では、特に記載していなかったが、画像解析処理部203は、画像取得部201が取得した撮影画像に対して画像解析処理を行う前に、撮影画像に対応する画像環境情報250の旋回情報255を参照し、車両が旋回走行している時の撮影画像等を画像解析処理対象から除外することが好ましい。
【0092】
図13(A)及び図13(B)を用いて、車両が旋回走行しているときにおける撮影された撮影画像の内、画像解析処理対象から除外する方法について説明する。なお、図13(A)を用いて、高架道特定ユニット200が前方用撮影装置71で撮影された撮影画像を画像解析処理対象から除外する例について説明し、図13(B)を用いて、高架道特定ユニット200が後方用撮影装置72で撮影された撮影画像を画像解析処理対象から除外する例について説明する。
【0093】
図13(A)に示すように車両がT字路で旋回走行する場合、画像解析処理部203は、旋回走行中に該当する撮影位置P107及びP108に対応する前方用撮影装置71で撮影された撮影画像を画像解析処理対象から除外すると共に、旋回走行直前の位置である撮影位置P104〜P106に対応する前方用撮影装置71で撮影された撮影画像も画像解析処理対象から除外する。
【0094】
図13(B)に示すように車両がT字路で旋回走行する場合、画像解析処理部203は、旋回走行中に該当する撮影位置P107及びP108に対応する後方用撮影装置72で撮影された撮影画像を画像解析処理対象から除外すると共に、旋回走行後の位置である撮影位置P109及びP110に対応する後方用撮影装置72で撮影された撮影画像を画像解析処理対象から除外する。
【0095】
これにより、高架道特定ユニット200が、撮影位置P104〜P106の前方の撮影画像から建物Xを高架道候補と判定し、撮影位置P107及びP108の後方の撮影画像から建物Y又は建物Zを高架道候補と判断し、最終的に撮影位置P104〜P108の間に高架道があると誤判断してしまうことを回避することができる。
【0096】
このように、高架道特定ユニット200は、予め旋回走行中の画像及び旋回走行前後の撮影画像を画像解析処理対象から除外することにより、高架道特定精度を向上させると共に、高架道特定処理負荷の軽減を図ることができる。なお、画像解析処理部203は、後方の撮影画像については、車両が旋回走行する前の撮影画像を除外対象としない。これは、車両が旋回走行する前の走行方向の逆方向に高架道がある可能性があるためである。
【0097】
[高架道特定処理]
次に、本実施例による高架道特定処理について、図14を用いて説明する。図14は、本実施例による高架道特定処理のフローチャートである。高架道特定処理は、図3に示す高架道特定装置100のCPU112がメモリ113に記憶されたプログラムを実行し、高架道特定ユニット200として動作することにより実現される。
【0098】
まず、画像取得部201が、車両の前方及び後方の連続した複数の撮影画像をナビゲーション装置300から取得し、画像環境情報取得部202が、当該撮影画像に対応する画像環境情報250をナビゲーション装置300から取得する(ステップS1)。
【0099】
画像解析処理部203は、画像取得部201が取得した画像に対応する画像環境情報250の旋回情報255を参照し、車両が旋回走行している最中に撮影された複数の撮影画像を特定し、当該旋回走行中の撮影画像、及び、当該旋回走行中の撮影画像の撮影位置周辺に対応する撮影画像を画像解析処理対象から除外する(ステップS2)。
【0100】
画像解析処理部203は、画像解析処理対象の撮影画像を解析し、輝度値が所定の輝度値よりも低い領域501を特定する(ステップS3)。
【0101】
そして、画像解析処理部203は、上記の輝度値の低い領域501から輪郭線抽出を行う。画像解析処理部203は、撮影画像内に輝度値の低い領域501が1つだけ含まれる場合、当該輝度値の低い領域501を高架道候補領域とし、撮影画像内に輝度値の低い領域501が複数含まれる場合、抽出した輪郭線502の内、最も長い輪郭線502を有する領域501を高架道候補領域とする(ステップS4)。そして、画像解析処理部203は、高架道候補領域についての情報である解析結果情報を撮影画像毎に出力し、データ記憶部118へ登録する(ステップS5)。
【0102】
次に、解析結果情報取得部204は、画像解析処理部203が出力した解析結果情報をデータ記憶部118から取得し、所定の位置周辺で撮影された複数の撮影画像の解析結果情報を撮影位置253に基づいて1つのグループと見なすことができるものとしてグルーピングする(ステップS6)。
【0103】
高架道判定部205は、1つのグループと見なすことができる複数の撮影画像の解析結果情報に基づいて、1つのグループと見なすことができる複数の解析結果情報に対応する撮影位置範囲に高架道があるか否かを判定する(ステップS7)。そして、判定結果出力部206は、高架道の有無を示す判定結果を出力し(ステップS8)、処理を終了する。
【0104】
以上述べたように、高架道特定ユニット200は、1つのグループと見なすことができる範囲で、前方の撮影関連情報の変化、及び、後方の撮影関連情報の変化の傾向に基づいて、正確に高架道の有無を判定することができる。
【0105】
[他の実施例]
上述の実施例では、高架道特定ユニット200は、移動体が走行時に前方及び後方の両方向を同時に撮影した撮影画像を用いて、撮影画像内に高架道を有するか否かを判定する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、前方と後方を別々の時期に撮影した撮影画像を用いて高架道の有無を判定するようにしても良い。
【0106】
上述の実施例では、高架道特定ユニット200が画像解析した結果得られた高架道候補領域の重心位置情報を用いて高架道の有無を判定する場合について述べたが、本発明の適用はこれには限られない。前方用撮影装置71又は後方用撮影装置72が、高架道等各種撮影対象に合わせて撮影方向を変化させながら撮影する場合、上記の前方用撮影装置71又は後方用撮影装置72の撮影方向を示す角度情報を用いて、高架道の有無を判定するようにしても良い。ここでいう、角度情報とは、車両の走行方向と平行な直線と、撮影装置(前方用撮影装置71又は後方用撮影装置72)から撮影対象(例えば高架道路等)までを結ぶ直線とがなす角度情報をいう。
【0107】
いま具体的に、前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72が、撮影対象物に追従して自身の方向を変化させる機能を有するものとする。例えば、図15(A)及び(B)に示すように、車両が高架道下に近づくにつれて、前方用撮影装置71の角度(仰角)Ang1が大きくなる。また、図示しないが、車両が高架道をくぐった後は、車両が高架道下から遠ざかるにつれて、後方用撮影装置72の角度Ang1が小さくなる。従って、高架道特定ユニット200は、高架道候補となる地物の下を通過する前後において、前方用撮影装置71の角度が上昇傾向になった後に、後方用撮影装置72の角度が下降傾向になる場合に、当該高架道候補が高架道であると判定することができる。なお、本実施例では、当該角度Ang1が「角度情報」に相当する。
【0108】
上述の実施例では、高架道特定ユニット200は、サーバ装置に適用する場合について述べたが、ナビゲーション装置等、種々のコンピュータ装置に適用するようにしても良い。
【0109】
上述の実施例では、高架道特定ユニット200は、ナビゲーション装置300から取得した撮影画像に対して画像解析し、画像解析結果から解析結果情報を出力する場合について述べたが本発明は、これに限られず、他の装置から解析結果情報を取得するようにしても良い。
【0110】
上述の実施例では、複数の高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報が撮影インデックスに従って連なって並んでいる場合、撮影インデックスが示す配列順序に基づいて、複数の高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報を1つのグループとして見なすことができ、高架道の有無を判定する場合について述べたが、本発明の適用はこれには限らない。高架道判定部205は、高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報が、撮影インデックスに従った連なり並んでいる状況にはない場合、解析結果情報の高架道候補領域の面積や輪郭線の長さ等の情報を用いて高架道の有無を判定するようにしても良い。
【0111】
上述の実施例では、高架道特定ユニット200が、解析結果情報中の情報(例えば高架道候補領域を画定又は特定する座標情報)を用いて高架道候補領域の重心位置を算出する場合について、述べたが、本発明は、これに限られず、高架道候補領域の重心位置情報を予め解析結果情報として含めておくようにしても良い。
【0112】
上述の実施例では、撮影位置、即ち撮影した際の撮影装置の位置を示す位置情報として、GPS受信機18を介して得られた撮影時の位置情報が用いられる場合について述べたが、本発明は、これに限られない。前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72の一方又は両方の装置がGPS受信機を備えている場合、撮影装置のGPS受信機を介して得られた撮影時の位置情報を、撮影した際の撮影装置の位置を示す位置情報として用いるようにしても良い。
【0113】
上述の実施例では、ナビゲーション装置300の前方用撮影装置71及び後方用撮影装置72が、一定走行距離間隔で撮影する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、一定の時間間隔で撮影するようにしても良い。
【符号の説明】
【0114】
100 高架道特定装置
111 システムバス
112 CPU
113 メモリ
114 キーボード
115 座標指示デバイス
116 ディスプレイ
117 通信装置
118 データ記憶部
119 地図情報データベース
200 高架道特定ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得手段と、
前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得手段と、
前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定手段と、
高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力手段と、
を備えることを特徴とする高架道特定装置。
【請求項2】
前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報は、前記移動体の前記走行領域内の走行に伴って前記走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られ、
前記配列順序情報は、前記複数の位置でされた前記撮影の順序を示す撮影順序情報と、前記撮影がされた前記複数の位置の各位置を撮影位置として示す撮影位置情報とを含み、
前記高架道判定手段は、前記撮影関連情報グループの2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報の少なくとも一方の変化量が所定量より少ない場合、前記複数の撮影位置のうち前記撮影関連情報グループに関連付けられる複数の前記撮影位置に基づき特定される前記走行領域内の区間には高架道がないと判定することを特徴とする請求項1に記載の高架道特定装置。
【請求項3】
前記高架道判定手段は、前記撮影関連情報グループの2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報を前記配列順序情報に基づきソートした場合、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化が上昇傾向にあり、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化が下降傾向にあるときに、前記撮影関連情報グループに関連付けられる複数の前記撮影位置に基づき特定される前記走行領域内の区間に高架道があると判定することを特徴とする請求項2に記載の高架道特定装置。
【請求項4】
前記移動体の前方を撮影した前方撮影画像及び前記移動体の後方を撮影した後方撮影画像を取得する画像取得手段と、
前記前方撮影画像及び前記後方撮影画像の各撮影画像内の特定領域の輝度値を解析により求め、所定値より低い輝度値を有する低輝度領域を高架道候補領域として抽出し、抽出された前記高架道候補領域の重心位置を示す重心位置情報を、前記撮影関連情報として出力する画像解析手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高架道特定装置。
【請求項5】
前記画像解析手段は、前記特定領域内に複数の前記低輝度領域が抽出された場合、前記低輝度領域から抽出される線分の内、最も長い線分を有する前記低輝度領域の重心位置情報を、前記撮影関連情報として出力することを特徴とする請求項4に記載の高架道特定装置。
【請求項6】
前記撮影環境情報は、前記移動体が前記走行領域内で旋回走行中であるか否かを示す旋回情報を含み、
前記画像解析手段は、前記旋回情報に基づいて、前記移動体の前記走行領域内での旋回走行中に取得された前記前方撮影画像又は前記後方撮影画像を画像解析の対象から除外することを特徴とする請求項4又は5に記載の高架道特定装置。
【請求項7】
前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報は、前記撮影装置の撮影方向を示す角度情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高架道特定装置。
【請求項8】
移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得工程と、
前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得工程と、
前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定工程と、
高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力工程と、
を備えることを特徴とする高架道特定方法。
【請求項9】
コンピュータ上で実行される高架道特定プログラムであって、
移動体に備えられた撮影装置を用いて前記移動体の前方及び後方を前記移動体の走行領域内の複数の位置で撮影することにより得られる複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報を取得する撮影関連情報取得手段と、
前記複数の前方撮影関連情報及び複数の後方撮影関連情報の配列順序を示す配列順序情報を含む撮影環境情報を取得する撮影環境情報取得手段と、
前記配列順序情報に基づき1つのグループと見なすことができる2以上の連なる前方撮影関連情報及び2以上の連なる後方撮影関連情報からなる撮影関連情報グループの、前記2以上の連なる前方撮影関連情報の変化と、前記2以上の連なる後方撮影関連情報の変化とに基づいて、高架道の有無を判定する高架道判定手段と、
高架道の有無を示す判定結果を出力する判定結果出力手段と、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする高架道特定プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の高架道特定プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−53024(P2011−53024A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200728(P2009−200728)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】