説明

高温シート取扱システムおよび方法

本発明の方法および装置は、材料シートに均衡した吸込みおよび反発ガス流を提供するために少なくとも1つのベルヌーイチャックへのガスの供給を制御すること;並びに材料シートへのガス流が高温で提供されるように、少なくとも1つのベルヌーイチャックへのガスの供給温度を上昇させること、ドナー半導体ウエハーからの剥離層の分離を促進するために、絶縁体基板にガス流を提供すること、および絶縁体基板と支持構造との分離を促進するために、絶縁体基板と任意の支持構造の接合部にガス流を提供すること、の内の少なくとも1つを提供する。

【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、「高温シート取扱システムおよび方法」と題する、2008年10月23日に出願された米国特許出願第12/256865号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、絶縁体上半導体(SOI)構造などの、材料および/または構造の比較的大きなシートの製造および取扱いに関する。
【背景技術】
【0003】
絶縁体上半導体デバイスは、市場の需要が引き続き増すのにつれて、より価値が増してきた。SOI技術は、高性能薄膜トランジスタ(TFT)、太陽電池、アクティブ・マトリクス・ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、集積回路、光起電装置などにとって次第に重要になってきている。SOI構造は、絶縁材料上に、シリコンなどの半導体材料の薄層を備えているであろう。
【0004】
SOI構造を得るための様々な様式には、格子整合した基板上のシリコン(Si)のエピタキシャル成長、および単結晶シリコンウエハーの別のシリコンウエハーへの接合がある。さらに別の方法には、酸素イオン注入の場合のように、Siが上に設けられたシリコンウエハーに埋込酸化膜を形成するため、または水素イオン注入の場合のように、薄いSi層を分離(剥離)して、酸化膜を備えた別のSiウエハーに接合させるため、酸素または水素のいずれかのイオンが注入されるイオン注入技法がある。
【0005】
特許文献1には、SOG(ガラス上半導体)構造を製造するプロセスが開示されている。そのプロセスは、(i)シリコンウエハーの表面に水素イオン注入を行って、接合表面を形成し、(ii)ウエハーの接合表面をガラス基板と接触させ、(iii)ウエハーとガラス基板に圧力、温度および電圧を印加して、それらの間の接合を促進させ、(iv)ガラス基板とシリコンの薄層をシリコンウエハーから分離する、各工程を有してなる。
【0006】
上述した製造プロセス、並びに追加の予備接合と後接合のプロセスには、半導体ウエハー、中間構造、初期SOI構造、および特定最終用途向けの構造(ディスプレイなどの)を、数多くの製造ステーションおよび/または機械の間で動かす必要がある。ある場合には、前記構造を高温で移送するまたは他の様式で物理的に動かすことが要求されるか、そのことが望ましい。SOI構造を、特に高温で、動かす場合、半導体材料および絶縁体基板(例えば、ガラスまたはガラスセラミック)が、例えば、反り、垂れ下がり、および/またはガラスの破損によって、損傷したり、汚染されたりしないことを確実にするために、多大な注意を払わなければならない。SOI構造の注意深い取扱いに関連する難題は、ガラス基板の大型シートに、傾けた状態で多数の半導体層を被覆するときに経験するような、SOI構造のサイズが増加するにつれて、より難しくなる。(大面積のSOI構造は、例えば、ここにその開示の全てが引用される特許文献2に、より詳しく記載されている。)
【0007】
ローラ、吸引カップ、金属グリッパなどの機械式移送装置は、汚染の可能性とそれに伴う高温のために、SOI構造を移送するのには適していないので、ベルヌーイワンド(Bernoulli wands)として知られている種類の持上げ装置が、非常に高温の半導体ウエハーを移送するのに使用されてきた。ベルヌーイワンド(例えば、石英から形成された)は、高温チャンバ間で半導体ウエハーを移送するのに有用である。ベルヌーイワンドにより提供される利点は、おそらく、ワンドの裏面においてウエハーの縁の外側に位置する1つ以上の小さなロケータ(locators)での接触を除いて、高温の半導体ウエハーは一般に持上げワンドと接触せず、それによって、ワンドにより生じるウエハーへの接触損傷が最小になることである。高温ウエハーの取扱いのためのベルヌーイワンドが、特許文献3から5に開示されており、それらの全ての開示をここに引用する。
【0008】
ベルヌーイワンドは、半導体ウエハー上に配置されたときに、半導体ウエハーのすぐ上の圧力を半導体ウエハーのすぐ下の圧力より低くするガス流パターンを半導体ウエハー上に形成するための気体噴出を使用する。その結果、圧力の不均衡により、半導体ウエハーが上方への「揚」力を経験する。さらに、半導体ウエハーがワンドに向けて上方に引き付けられたときに、揚力を生じたのと同じ気体噴出が、半導体ウエハーがベルヌーイワンドと接触するのを防ぐ次第に大きくなる斥力を生じる。その結果、半導体ウエハーをワンドの下に実質的に非接触様式で吊り下げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7176528号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0117354号明細書
【特許文献3】米国特許第5080549号明細書
【特許文献4】米国特許第6242718号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0025835号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ベルヌーイワンドの使用は、比較的小さなサイズの半導体ウエハー(例えば、200〜300mmの直径範囲)を移送するのには役立っていたが、このベルヌーイワンドの従来の使用法は、大面積SOI構造の取扱いと移送には適していない。実際に、SOI構造の面積が増加しているので、従来のベルヌーイワンド技術を使用しても、まだ、過剰な反り、垂れ下がり、および/またはガラスの破損が生じるであろう。比較的小さい面積のSOI構造さえ、高温のSOI構造が従来のベルヌーイワンドのガス流パターンに曝されたときに生じる著しい温度勾配のために、不必要に大きいカールおよび/または反りを経験するであろう。それゆえ、SOI構造を形成するための上述した陽極接合プロセスなどの、ある製造プロセスにおいて、作業者は、SOI構造をベルヌーイワンドにより移送する前に、その構造がかなり冷却されるのを待たなければならない。
【0011】
したがって、シート材料(SOI構造などの)を、特に高温で、取扱うための新規の方法および装置が当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
プレゼンテーションを容易にするために、以下の議論は、折に触れて、SOI構造について説明されている。SOI構造のこの特定のタイプへの言及は、本発明の説明を容易にするために行ったものであり、本発明の範囲を決して制限することを意図しておらず、またそのように解釈すべきではない。SOIの略語は、ここでは、以下に限られないが、絶縁体上シリコン構造を含む、絶縁体上半導体構造全般を称するために使用される。同様に、SiOGの略語は、以下に限られないが、ガラス上シリコン構造を含む、ガラス上半導体構造全般を称するために使用される。略語SOIは、SiOG構造を包含する。
【0013】
本発明の1つ以上の実施の形態によれば、シート材取扱装置は、制御されたガスの供給に応答してシート材に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように操作可能なベルヌーイチャックを少なくとも1つ備えている。例えば、この少なくとも1つのベルヌーイチャックは、絶縁体上半導体構造のドナー半導体ウエハーの第1の表面に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように動作可能であってよく、ここで、ドナー半導体ウエハーの第2の表面は、絶縁体基板に接合され、ドナー半導体ウエハーは、弱化領域(weakened region)と第2の表面との間に剥離層を画成する弱化領域を含む。
【0014】
1つ以上の実施の形態によれば、シート材取扱装置は、少なくとも1つのベルヌーイチャックに連結され、そこへのガスの供給が高温で行われるように構成されたガス温度調節装置をさらに備えてもよい。例えば、ガス温度調節装置は、約100から1000℃の間、約500から700℃の間の温度で、および/またはガス流を供給する前にシート材の温度に実質的に一致する温度で、少なくとも1つのベルヌーイチャックにガスを供給してもよい。シート材取扱装置は、少なくとも1つのベルヌーイチャックに高温でガスを供給するようにガス温度調節装置をプログラムするように動作可能な制御装置を備えてもよい。
【0015】
シート材は、絶縁体基板に接合された複数の半導体タイルを含む絶縁体上半導体構造であってよく、少なくとも1つのベルヌーイチャックは、半導体タイルの各々に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように配置されてよい。
【0016】
シート材取扱装置は、代わりにまたは追加に、ドナー半導体ウエハーと絶縁体基板の接合部に近接して配置された少なくとも1つのガス噴出器を備えてもよく、ここで、少なくとも1つのガス噴出器は、ドナー半導体ウエハーからの剥離層の分離を促進するように絶縁体基板にガス流を与えるように動作可能である。例えば、少なくとも1つのガス噴出器は、絶縁体上半導体構造の角部に位置していてもよい。絶縁体上半導体構造が、絶縁体基板に接合された複数の半導体タイルを含む場合、少なくとも1つのガス噴出器は、半導体タイルの各々と絶縁体基板との接合部に近接して配置されているであろう。シート材取扱装置は、少なくとも1つのベルヌーイチャックへの制御されたガスの供給をプログラムし、少なくとも1つのガス噴出器へのガスの供給源をプログラムするように動作可能な制御装置をさらに備えてもよい。
【0017】
シート材取扱装置は、代わりにまたは追加に、絶縁体基板と任意の支持構造との接合部に近接して配置されたさらに別のガス噴出器を少なくとも1つ備えてもよく、この少なくとも1つのさらに別のガス噴出器は、絶縁体基板と支持構造の分離を促進するように接合部にガス流を与えるように動作可能であってよい。一例として、少なくとも1つのさらに別のガス噴出器は、絶縁体基板の角部に位置していてもよい。
【0018】
上述したシート材(例えば、絶縁体上半導体構造)などの工作物を取り扱う方法は、上述した装置にしたがう。
【0019】
他の態様、特徴、利点などは、本発明のここでの記載を添付の図面と共に解釈したときに、当業者に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の様々な態様を例示する目的のために、図面には、現在好ましい形態が示されているが、本発明は、図示された正確な構成および手段に制限されるものではないことが理解されよう。
【図1】本発明の1つ以上の実施の形態による一般化されたSOI製造プロセスとその取扱機構を示すブロック図
【図2】基本SOI構造を製造するための陽極接合プロセスを使用して形成された中間SOI構造を示す概略図
【図3】基本SOI構造を製造するための陽極接合プロセスを使用して形成された中間SOI構造を示す概略図
【図4】基本SOI構造を製造するための陽極接合プロセスを使用して形成された中間SOI構造を示す概略図
【図5】絶縁体基板に接合された多数の半導体タイルを使用したSOI構造の平面図
【図6】絶縁体基板に接合された多数の半導体タイルを使用したSOI構造の側面図
【図7A】図2のSOI構造などのSOI構造を取り扱うのに適したベルヌーイチャックのアレイの平面図
【図7B】図2のSOI構造などのSOI構造を取り扱うのに適したベルヌーイチャックのアレイの側面図
【図8A】本発明の1つ以上の実施の形態と共に使用するのに適したベルヌーイチャックの背面斜視図
【図8B】本発明の1つ以上の実施の形態と共に使用するのに適したベルヌーイチャックの正面斜視図
【図9】本発明の1つ以上の実施の形態による少なくとも1つのベルヌーイチャックへのガス流の供給源を提供するための制御システムのブロック図
【図10】本発明の1つ以上の実施の形態による分離噴射器へのガス流のさらに別の供給源を提供するための代わりの制御システムを示すブロック図
【図11A】SOI構造の取扱いを支援するためのさらに別の特徴を使用したベルヌーイチャックのアレイの側面図
【図11B】SOI構造の取扱いを支援するためのさらに別の特徴を使用したベルヌーイチャックのアレイの側面図
【図12】本発明の1つ以上の実施の形態を実施するのに適した制御システムのより詳しいブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
同様の番号が同様の要素を示している図面を参照すると、取扱機構100を使用した、数多くのプロセスを行うステーション10,20,30の中で、SOI構造などのシート材を取扱い、移送するためのシステムが図1に示されている。必ずしも制限の目的ではなく、例示の目的のために、プロセスは、SOI構造(図示せず)の製造に関連する、予備接合プロセス10、最終接合プロセス20、および後接合プロセス30である。
【0022】
取扱機構100は、製造プロセス中に、ことによるとSOI構造が高温(例えば、600℃辺りまたはそれより高い温度)にある間に、ステーション/プロセス10,20,30(およびことによると他のものも)の間でSOI構造を動かさなければならない。取扱機構100は、半導体材料および絶縁体基板(例えば、ガラスまたはガラスセラミック)が、例えば、反り、垂れ下がり、引掻き傷および/またはガラスの破損によって損傷したり汚染されたりしないことを確実にしながら、移動/移送機能を提供しなければならない。
【0023】
SOI構造の取扱いに関連する難題の複雑さを認識するために、本発明の実施の形態は、特定のSOIタイプおよび特定の製造プロセスに照らして説明される。しかしながら、本発明は、ここに論じたSOIの特定のタイプの取扱いにも、さらにはSOIにも制限されず、本発明には材料の取扱い全般への用途があることが理解されよう。以下に論じる特定のSOI構造は、ガラス上半導体(SOG)品種のものであり、ここで、半導体(シリコンなどの)は、陽極接合によってガラスまたはガラスセラミック基板に接合されている。接合プロセス自体が高温を必要とし、それゆえ、SOG構造および中間構造を移送する上での難題が生じるので、議論の目的のために、この例を選択した。
【0024】
ここで、図1および2〜4を参照すると、SOI素子がそれから形成される基本SOI構造101(図4)を製造するために、形成されるであろう中間構造、および実施されるであろうプロセスが示されている。より詳しくは、一旦製造されたら、基本SOG構造101は、薄膜トランジスタ(TFT)素子、太陽電池、アクティブ・マトリクス・ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、集積回路、光起電装置などの特定用途向け素子を製造するために使用してよい。
【0025】
予備接合プロセス10(図1)は、図2に関するイオン注入を含む数多くのサブプロセスを含んでもよい。ガラス基板102への接合に適した比較的平らで均一な注入表面121を製造するために、ドナー半導体ウエハー120の注入表面121は、研磨、洗浄などによって調製される。議論の目的のために、半導体ウエハー120は実質的に単結晶シリコンウエハーであってよいが、上述したように、任意の他の適切な半導体の導体材料を使用してもよい。ドナー半導体ウエハー120の注入表面121下の弱化領域を形成するために、注入表面121に1つ以上のイオン注入プロセス(例えば、水素イオン注入)を行うことによって、剥離層122を形成する。注入エネルギーは、約300〜500mmの間などの、剥離層122の一般的な厚さを達成するための従来の技法を使用して、調節してよい。
【0026】
図3を参照すると、予備接合プロセス10は、ガラス基板102および剥離層122の適切な表面洗浄を行う工程を含んでもよい。その後、中間構造(ガラス基板102および剥離層122)を直接的または間接的に接触させて、図3に示される構成を得る。
【0027】
ある場合には、予備接合プロセス10は、最終的な陽極接合プロセス20の前に、ガラス基板102と剥離層122との間のシード接合(seed bond)を形成する工程を含んでもよい。この点に関して、半導体ウエハー120とガラス基板102に予荷重圧力、温度および電圧を印加して、半導体ウエハー120とガラス基板102との間の界面の局部区域(好ましくは中央区域)において陽極接合を開始する。
【0028】
予備接合プロセス10に関して、また予備接合プロセス10と最終接合プロセス20との間の移行に関して、取扱機構100により行われる取扱工程が1つ以上あってもよいことに留意されたい。重ねて、取扱機構100の特殊性は、本開示において以下に論じる。
【0029】
図3〜4を参照すると、ガラス基板102は、電気分解プロセスを使用して、剥離層122に陽極接合してもよい。適切な電気分解接合プロセスが特許文献1に記載されており、その開示の全てがここに引用される。このプロセスの一部を以下に論じる。ドナー半導体ウエハー120、剥離層122、およびガラス基板102は、ガラス基板102がドナー半導体ウエハー120および剥離層122よりも高い温度に加熱される温度勾配の下などで加熱される。ガラス基板102およびドナー半導体ウエハー120は、ガラス基板102の歪み点の約±150℃内の温度にしてもよい。この温度は、ある種のガラス基板102については、約700℃より高くてもよい。
【0030】
ガラス基板102とドナー半導体ウエハー120の間の温度差が一旦安定化したら、中間集成体に機械的圧力を印加する(例えば、約1〜約50psi(約6.9〜340kPa))。次に、例えば、ドナー半導体ウエハー120を正電極にし、ガラス基板102を負電極にして、中間集成体に亘り電圧を印加する。中間集成体は、ある期間に亘り(例えば、約1時間以下)上記の条件下に保持される。ドナー半導体ウエハー120の半導体材料から形成された比較的薄い剥離層122が接合されたガラス基板102を得るために、ドナー半導体ウエハー120およびガラス基板102を分離しなければならない。分離プロセスは、この説明において後でより詳しく記載する。
【0031】
重ねて、最終接合プロセス20の実施に関して、また最終接合プロセス20と後接合プロセス30との間の移行に関して、取扱機構100により行われる取扱工程が1つ以上あってもよいことに留意されたい。重ねて、取扱機構100の特殊性は、本開示において以下に論じる。
【0032】
ここで、図5および6を参照すると、ガラスまたはガラスセラミック基板102などの絶縁体基板に接合された多数の半導体タイル120を使用した、SOI構造101Aの、それぞれ、平面図と側面図が示されている。SOI構造101Aは、基本SOI構造101の製造に関して上述したのと同様のプロセスを使用して形成してよい。タイルが形成されたSOI構造101Aの製造に関するさらなる詳細は特許文献2に見られ、その開示の全てがここに引用される。
【0033】
図7Aおよび7Bを参照すると、取扱機構100は、少なくとも1つの、好ましくはアレイ状に構成された複数のベルヌーイチャック150A,105B,150C,150Dを備えている。各ベルヌーイチャック150は、そこへの制御されたガスの供給に応答して、SOI構造101Aに均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように動作可能である。SOI構造101(図4)などの比較的小さなSOI構造を取り扱う場合、比較的少ないまたはたった1つのベルヌーイチャック150を使用する必要しかない。タイルの形成されたSOI構造101A(図5)については、反り、垂れ下がり、および/またはガラスの破損を避けるのを確実にするために、タイル120の1つ当たりに1つのチャック150など、複数のベルヌーイチャック150A,105B,150C,150Dが望ましいであろう。複数のベルヌーイチャック150A,105B,150C,150Dが、SOI構造101Aに均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるために良好な位置にあることを確実にするために、剛性枠152を使用してもよい。好ましい実施の形態において、ベルヌーイチャック150A,105B,150C,150Dからのガス流は、半導体タイル120の上面に係合する。
【0034】
図8Aおよび8Bを参照すると、各ベルヌーイチャック150は、1つ以上のガス入口154、1つ以上のガス出口(排気口)156、および環状ガス流開口158を備えている。ベルヌーイチャック150は、半導体ウエハー120上に配置されたときに、半導体ウエハー120の直ぐ上の圧力をガラス基板102の直ぐ下の圧力より小さくするガス流パターンを半導体ウエハー120の上に生じるさせために、ガス噴出を形成する。圧力の不均衡により、半導体ウエハー120(およびそれゆえ、SOI構造101A全体)が上方の「揚」力を経験する。1つ以上のベルヌーイチャック150は、SOI構造101Aが水平に、垂直に、および/またはそれらの間の方向に、向けられるように動作可能である。実際的な素子に実施するのに適したベルヌーイチャック150は、部品番号WA−4Cとして、日本国大阪府豊中市所在のソーラーリサーチ研究所から得られる。ベルヌーイチャック150の構造と制御は、約600g重の保持力で約300μm〜800μmの間の保持距離が達成されるように制御されるであろう。
【0035】
図9を参照すると、取扱機構100は、制御装置160;ガスの供給源(図示せず)からのガス流163を受け取り、調節するためのガス圧・ガス流調節装置162;および1×Nのマニホールド166;の内の1つ以上をさらに備えてもよい。制御装置160は、取扱機構100の1つ以上の要素をプログラムするように動作可能である。制御装置160は、適切なマイクロプロセッサシステムを使用して、または公知のまたは後に開発される技術のいずれを使用して、実施してもよい。例えば、制御装置160をガス圧・ガス流調節装置162に連結してもよい。ガス圧・ガス流調節装置162は、制御されたガスの供給を1つ以上のベルヌーイチャック150に提供しすることによって、制御装置160からの電気指令に応答し、よってチャック150がSOI構造101,101Aに対応する均衡した吸込みおよび反発ガス流を提供するように動作可能である。ガス圧・ガス流調節装置162は、公知のまたは後に開発される技法のいずれを使用して実施してもよい。
【0036】
1つ以上の実施の形態において、ガス温度調節装置164は、そこへのガスの供給が高温で提供されるように1つ以上のベルヌーイチャック150に連結されている。一例として、ガス温度調節装置164は、マニホールド166を通じてベルヌーイチャック150に供給されるガス163の温度を上昇させるヒータを備えてもよい。このヒータは、ガスヒータまたは抵抗加熱ヒータであってよく、もしくはどのような適切な公知のまたは後に開発される技術であってもよい。SOI構造101上またはその内部の温度勾配が生じるのを防ぐために、ガス温度調節装置164は、ガス流を与える前に、SOI構造101,101Aの温度に実質的に一致する温度で少なくとも1つのベルヌーイチャック150にガスの供給を与えるようにプログラムされていてもよい。例えば、製造中のSOI構造101,101Aの任意の特定の移送または再方向付けの最中に、SOI構造101,101Aを、ある接合工程の場合における約600℃以上のような、比較的高温に上昇させてもよい。ガス温度調節装置164は、SOI構造101,101Aのそのような温度で少なくとも1つのベルヌーイチャック150にガスの供給を与え、よって、SOI構造101,101Aの温度が、1つ以上のベルヌーイチャック150からのガス流の結果として実質的に変化しないようにプログラムされていてもよい。これにより、ベルヌーイチャック150に係合する前に、SOI構造101,101Aが冷却されるのを待つ必要がなくなり、それによって、製造速度が増し、製造コストが低下する。一例として、ガス温度調節装置164は、約300から1000℃の温度で、より詳しくは約500から700℃の温度で、ベルヌーイチャック150にガスの供給を与えてもよい。
【0037】
1×Nマニホールド166を使用して、ガスを1つ以上のベルヌーイチャック150に供給してもよい。それゆえ、ある実施例において、4つのシリコンタイルを有するSOI構造101Aに実施する場合には、Nは4であり、1×4マニホールド166が、ガスを高温で、4つのベルヌーイチャック150A,105B,150C,150Dの各々に提供するであろう(図9にはその内の2つしか見えない)。
【0038】
図10を参照すると、代わりのまたは追加の特徴が取扱機構100により利用されている。この実施の形態において、取扱機構100は、上述した制御装置160、ガス圧・ガス流調節装置162、ガス温度調節装置164、および1×Nマニホールド166を備えても備えていなくてもよい。この実施の形態がこれらの要素のいずれを使用しても、それらは、前述したのと同様な様式で動作するであろう。この実施の形態において、取扱機構100は、ドナー半導体ウエハー120とガラス基板102との接合部に近接して配置された少なくとも1つのガス噴出器170Aを備えている。この少なくとも1つのガス噴出器170Aは、ガラス基板102に接合され剥離された、例えば、分離された剥離層122からドナー半導体ウエハー120を除去するのを促進するために、ガラス基板102にガス流を与えるように動作可能である。ある場合には、ドナー半導体ウエハー120に対する比較的平らな剥離層122の接触によりこの接合部で真空条件が生じ、そのため、ベルヌーイチャック150からの均衡した吸込みおよび反発ガス流のみを使用しただけでは、剥離層からドナー半導体ウエハーを持ち上げることは難しくなる。実際に、ガラス基板102に施されるガスの噴出は、ドナー半導体ウエハー120をガラス基板102(およびそこに接合された剥離層122)から押し離し、よってドナー半導体ウエハー120は、ベルヌーイチャック150により持ち上げられ、SOI構造から除去される傾向にある。ある実施の形態において、一例において、少なくとも1つのガス噴出器170Aは、絶縁体上半導体構造101,101Aの1つ以上の角部に位置してもよい。絶縁体上半導体構造101Aが、ガラス基板102に接合された複数の半導体タイル120を備える場合、少なくとも1つのガス噴出器170Aは、ガラスに結合した剥離層からの先に分離されたドナー半導体ウエハーの除去を促進するために、半導体タイル120の各々とガラス基板102との接合部に近接して配置されてもよい。
【0039】
この実施の形態において、1×Nマニホールド166は、ガスの供給源を1つ以上のベルヌーイチャック150と、1つ以上のガス噴出器170Aに方向付けるために、使用してもよい。1つ以上のガス噴出器170Aへのガスの供給は、1×Nマニホールド166をプログラミングする制御装置160によって促進してもよい。1つ以上のガス噴出器170Aに供給されるガスの供給源は、約100℃から約1000℃、より詳しくは約500℃から約700℃などの高温で、もしくは絶縁体上半導体構造101,101Aの温度に一致する温度で、提供してもよい。
【0040】
あるいは、またはそれに加え、取扱機構100は、ガラス基板102と、1つ以上のプロセスステーション10,20,30において使用されるテーブルまたは他の構造などの、任意の支持構造との接合部に近接して配置された少なくとも1つのガス噴出器170Bを備えてもよい。1つ以上のガス噴出器170Bは、ガラス基板102と支持構造の分離を促進するためにその接合部にガス流を与えるように動作可能である。実際に、ある場合には、比較的平らな支持表面に対する比較的平らなガラス基板102の接触によりこの接合部で真空条件が生じ、そのため、ベルヌーイチャック150からの均衡した吸込みおよび反発ガス流のみを使用しただけでは、支持構造から絶縁体上半導体構造101,101Aを持ち上げることは難しくなる。ガラス基板102と支持構造の接合部に施されるガスの噴出は、ガラス基板102を支持構造から押し離し、真空を破壊し、ベルヌーイチャック150が絶縁体上半導体構造101,101Aを持ち上げ、支持構造から除去する傾向にある。一例において、少なくとも1つのガス噴出器170Bは、絶縁体上半導体構造101,101Aの1つ以上の角部に位置してもよい。
【0041】
重ねて、1×Nマニホールド166は、ことによると制御装置160のプログラムされた支援により、ガスの供給源を1つ以上のベルヌーイチャック150と、1つ以上のガス噴出器170Bに方向付けるために使用してもよい。それに加え、または代わりに、1つ以上のガス噴出器170Bに供給されるガスの供給源は、上述した高温の1つ以上で提供してもよい。
【0042】
ここで、図11A,11Bを参照するが、これらは、図5の構造101Aなどの、SOI構造を取り扱うのを支援するためにさらに別の特徴を使用したベルヌーイチャック150のアレイの側面図である。詳しくは、図11Aは、特にガラス基板102に接合される前の移送中の、多数の半導体タイル120の分離箇所を維持するように動作可能なスペーサ構造153の使用を示している。このスペーサ構造153は、剛性枠152から懸下されていてよく、ガラス基板102に突き当りそれを損傷させることなく、所望の深さまでタイル120間の空間に貫通するように、垂直方向に調節可能であることが好ましい。スペーサ構造153の機能には、タイル120が互いに触れるのを防ぎ、SOI構造101Aのいくつかまたは全てが、ガラス基板上に配置される前にベルヌーイチャック150に対して横に(例えば、左右に)動くのを防ぐことがある。図11Aは、タイル120の内の2つのみの間の空間に入るものとしてスペーサ構造153を示している。しかしながら、スペーサ構造153は、スペーサ構造153がタイル120の4つ全ての間の空間に入るように、「交差」構造に設計され、4つ全てのタイル120の間の両空間が合流する(図5参照)中央位置に配置されてもよいことが認識されよう。4より多いタイル120のアレイ、例えば、2×4,3×3,3×4のアレイ、もしくは他のアレイの場合、スペーサ構造は、それによって格子の一部分がタイルの縁の各隣接する/面する対の間に位置する、「格子」構造に形成されてよい。上述したスペーサ構造は、外側のタイルが隣接したタイルから離れるように動くのを防ぐために、各タイルの間だけでなく、外側のタイルの外縁に沿った「スペーサ」を含んでもよい。スペーサ構造153は、連続した格子またはT字構造を形成してもよく、もしくは部分的な壁の形状または所望のT形状または格子構造に沿った複数のピンの形状でもよい。
【0043】
図11Bは、それぞれ、タイル120およびガラスの横の動きを防ぐように動作する、保持構造180,182の使用を示している。保持構造180,182は、剛性枠152から懸下されていてもよく、それらが下方に所望の程度まで延在するように垂直方向に調節可能であることが好ましい。詳しくは、保持構造180,180は、対180Aと180Bで配置されていてよく、各対の1つの保持構造が、タイル120が関連するベルヌーイチャック150に対して横に動くのを防ぐように所定のタイル120の角部のいずれかの側に配置されている。保持構造180A,180Bは1つのタイル120の1つの角部のみに示されているが、保持構造180A,180Bはタイル120の対応する縁に沿って中央に配置されていてもよく、もしくはさらに別の保持構造180が、移送中の安定性を改善するために他のタイル120の角部に配置されてもよい。保持構造182,182は、同様に、対182Aと182Bで配置されていてよく、各対の1つの保持構造は、SOI構造101Aが移送中に横に動くのを防ぐために、基板102の角部のいずれかの側に配置されている。保持構造182A,182Bは、基板102の1つの角部のみに示されているが、保持構造182A,182Bはガラス基板102の対応する縁に沿って中央に配置されていてもよく、もしくはさらに別の保持構造182が、安定性を改善するために基板102の他の角部に配置されてもよい。
【0044】
ここで図12を参照すると、上述した本発明の1つ以上の実施の形態を実施するのに適した制御システムのより詳しいブロック図が示されている。図示された実施例には、作業片(例えば、SOI101,101A)の加工および取扱いを清浄な環境で行うべき場合に特別な適用性がある。この制御システムは、制御装置160に関して上述した1つ以上の機能を含む中央コンピュータを備えてもよい。中央コンピュータ160に出入りする信号線は点線で示され、それらが電気信号であることを表している。クリーンガスなどのガスの供給源が要素40で提供される。1つ以上のガス・インライン・フィルタ42,44を供給源40と1×Nマニホールド166との間に設けてもよい。ガス圧・ガス流調節装置162およびガス温度調節装置164は、上述したように、中央コンピュータ160により制御される。
【0045】
1×Nマニホールド166は、上述したように、ガス流を、1つ以上のベルヌーイチャック150、1つ以上のガス噴出器170A、および/または1つ以上のガス噴出器170Bに向けるために使用される。ガス圧センサシステム48を、ベルヌーイチャック150により作業片(例えば、SOI101,101A)の係合を検出するために使用してよい。代わりにまたは加えて、支持構造に対して作業片(例えば、SOI101,101A)の係合を検出するために、1つ以上の質量センサ50を使用してもよい。中央コンピュータ160が噴出器とチャックの機能性をプログラムするように、1つ以上の電子制御式ガス栓172A,172B,172Cを、1×Nマニホールド166と、それぞれのガス噴出器170A,170Bおよびそれぞれのベルヌーイチャック150との間のインラインに使用してもよい。電子制御式カートリッジ・ヒータ54を代わりにまたは追加に使用してもよい。カートリッジ・ヒータ54をベルヌーイチャックに連結し、それを加熱して、ベルヌーイチャック150と作業片(例えば、SOI101,101A)との間の温度差を最小にするおよび/またはそれらの温度を実質的に一致させてもよい。実際に、ある条件下で、カートリッジ・ヒータ54はベルヌーイチャック150(作業片よりずっと冷たい)の吸熱効果を減少させる。カートリッジ・ヒータ54のない場合、作業片は熱応力または反りを経験するかもしれない。
【0046】
ベルヌーイチャック150からの排ガスは、チャック排気口46(ベンチュリ/ブロワおよび/または電子制御式流動制御装置も備えていてもよい)を通じて方向付けられ、排ガスがベルヌーイチャック150から排気管58に送られ、清浄環境から排出されるであろう。あるいは、または代わりに、1×Nマニホールド166からにの排ガスは、ヒータからの排ガスがベルヌーイチャックから迂回され(例えば、バイパス)、排気口を通じて清浄環境から排出されるように、バイパス排気口52(電子制御式流動制御装置を備えてもよい)に向けられてもよい。バイパス排気口52と共にチャック排気口46を使用することは、高温動作、例えば、300℃を超える動作にとって有益である。1×Nマニホールド166(またはヒータ164)から排気管58へのバイパス排気口52がない場合、ベルヌーイチャックを通るガス流を遮断することにより、ヒータを通るガス流を遮断する。次いで、ヒータ164が、ヒータを通るガス流のないために過熱されるのを防ぐために、ベルヌーイチャックが停止されたときはいつでも、ヒータ164を停止しなければならない。その結果、ヒータ164は、ベルヌーイチャックが停止され、チャックから排出される空気/ガスの温度が変動するときはいつでも、冷める。相当な休止時間後、ヒータとベルヌーイチャック150が再び稼働するときに、周囲の環境を乱し、SOI構造またはドナーウエハーを反らせるかもしれない。比較的冷たい空気がベルヌーイチャックのジャケット孔から排出される。この温度サイクルおよび行過ぎ(overshooting)により、加熱要素の寿命が短くなるかもしれない。バイパス排気口52と共にチャック排気口を使用すると、ヒータ164が一定のオン状態を維持し、動作中に非常に安定な定常状態の目標設定点温度を示すことができる。予熱工程において、ヒータ164およびヒータを通るガス/空気流、マニホールド166、およびベルヌーイチャック150を稼働させて、チャックから排出されているガスの所望の定常状態温度が達成されるまで、ヒータ164、マニホールド166およびベルヌーイチャック150を予熱してもよい。ベルヌーイチャックを停止すると、空気またはガスがヒータおよびマニホールドを通って流れ続けるように、バイパス排気口が開かれる。このようにして、ヒータとマニホールドは、ベルヌーイチャックが停止されている間に所定の温度に維持され、チャックがオン・オフされるときにチャックから排出されるガスの温度の変動が大幅に減少する。チャックから排出されるガスの温度の温度変動は、停止されたときにベルヌーイチャックの温度を維持するためのベルヌーイチャック内またはその上に随意的なヒータ(カートリッジ・ヒータなどの)を使用することによって、さらに減少させることができる。ベルヌーイチャック内にヒータを使用すると、システムを予熱するのにかかる時間が短くなる。マニホールドにおけるバイパス排気口の孔の開口は、ベルヌーイチャック150中の噴出孔よりもずっと大きくてよい。このようにして、ベルヌーイチャック150がオンにされたときに、1×Nマニホールド166が約60psi(約610kPa)に到達するまで、バイパス排気口52を閉じた位置に維持してもよい。この時点で、バイパス排気口は、マニホールド内の圧力を60psi(約610kPa)の定常状態に維持するために、部分的に開けてもよい。反対に、ベルヌーイチャック150を停止するときに、1×Nマニホールド166がずっと低い圧力に到達するまで、排気口流動制御装置を開いた位置52にして、空気をバイパス排気口52に通して流動させる。
【0047】
本発明を特定の実施の形態を参照して記載してきたが、これらの実施の形態は、本発明の原理および用途を示しているに過ぎないことが理解されよう。したがって、様々な改変を例示の実施の形態に行ってよく、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱せずに、他の構成も考えられることが理解されよう。
【符号の説明】
【0048】
100 取扱機構
101 基本SOG構造
102 ガラス基板
120 ドナー半導体ウエハー
122 剥離層
150 ベルヌーイチャック
153 スペーサ構造
166 1×Nマニホールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材取扱装置において、
制御されたガスの供給に応答してシート材に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように動作可能な少なくとも1つのベルヌーイチャック、
前記ガスの供給が、前記ガス流を与える前に前記シート材の温度に実質的に一致する高温で提供されるように、前記少なくとも1つのベルヌーイチャックに連結されたガス温度調節装置、および
前記シート材と任意の支持構造との接合部に近接して配置されたガス噴出器であって、前記シート材と前記支持構造の分離を促進するために前記接合部にガスの流れを与えるガス噴出器、
を備えたシート材取扱装置。
【請求項2】
前記シート材が、絶縁体基板に接合されたドナー半導体ウエハーを含む絶縁体上半導体構造であり、前記ドナー半導体ウエハーが、弱化領域と前記絶縁体基板との間に剥離層を画成する該弱化領域を含み、前記ベルヌーイチャックが、前記ドナー半導体ウエハーのそれぞれの表面に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように配置されており、
前記弱化領域に沿った前記剥離層の前記ドナー半導体ウエハーからの分離を促進するために該ドナー半導体ウエハーの縁にガスの流れを与えるように該ドナー半導体ウエハーと前記絶縁体基板との接合部に近接して配置されたガス噴出器をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のシート材取扱装置。
【請求項3】
前記シート材が、前記絶縁体基板に接合された複数のドナー半導体ウエハーを含み、各ドナー半導体ウエハーが、弱化領域と前記絶縁体基板との間に剥離層を画成する該弱化領域を含み、
前記ベルヌーイチャックのアレイを支持する枠であって、該ベルヌーイチャックの対応するものが、前記ドナー半導体ウエハーの各々のそれぞれの表面に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように配置されている枠、
前記枠により支持されるガス噴出器のアレイであって、該ガス噴出器の対応するものが、前記弱化領域に沿った前記剥離層の前記ドナー半導体ウエハーからの分離を促進するために該ドナー半導体ウエハーの縁にガスの流れを与えるように該ドナー半導体ウエハーと前記絶縁体基板との接合部に近接して配置されているガス噴出器のアレイ、および
前記少なくとも1つのベルヌーイチャックの均衡した吸込みおよび反発ガス流により係合したときに、前記シート材の横の動きを防ぐために、該シート材の少なくとも1つの縁に係合し、該少なくとも1つのベルヌーイチャックの均衡した吸込みおよび反発ガス流の方向に前記枠から延在する少なくとも1つの保持構造、
をさらに備えることを特徴とする請求項2記載のシート材取扱装置。
【請求項4】
前記枠から延在し、前記少なくとも1つのベルヌーイチャックの均衡した吸込みおよび反発ガス流により係合したときに、前記複数のドナー半導体ウエハーの間の分離箇所を維持する少なくとも1つのスペーサ部材をさらに備えることを特徴とする請求項3記載のシート材取扱装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのベルヌーイチャックによる前記シート祭の移動中に、該シート材に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるために、該少なくとも1つのベルヌーイチャックへのガスの供給を制御する制御装置をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のシート材取扱装置。
【請求項6】
絶縁体上半導体取扱装置において、
制御されたガスの供給に応答して、絶縁体上半導体構造の矩形のドナー半導体タイルの第1の表面に、均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えるように動作可能な少なくとも1つのベルヌーイチャックであって、前記半導体タイルの第2の表面が絶縁体基板に接合されており、該半導体タイルが、弱化領域と前記第2の表面との間に剥離層を画成する該弱化領域を含むものであるベルヌーイチャック、
前記弱化領域に沿った前記剥離層の前記半導体タイルからの分離を促進するために前記絶縁体基板にガスの流れを与えるように、前記半導体タイルと前記絶縁体基板との接合部に近接して配置された少なくとも1つのガス噴出器、および
前記絶縁体基板と任意の支持構造との接合部に近接して配置された少なくとも1つのガス噴出器であって、前記絶縁体基板と前記支持構造の分離を促進するために前記接合部にガスの流れを与えるガス噴出器、
を備えた絶縁体上半導体取扱装置。
【請求項7】
制御されたガスの供給を複数のベルヌーイチャックに提供して、シート材の第1の表面に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与える工程であって、前記シート材が、絶縁体基板上に複数のドナー半導体ウエハーを備えた絶縁体上半導体構造であり、該ドナー半導体ウエハーの第2の表面が前記絶縁体基板に接合されており、該ドナー半導体ウエハーの各々が、弱化領域と前記第2の表面との間に剥離層を画成する該弱化領域を含むものである工程、
前記シート材へのガス流が、該ガス流を与える前に該シート材の温度に実質的に一致する高温で提供されるように、前記ベルヌーイチャックへの前記ガスの供給の温度を上昇させる工程、
前記絶縁体基板の縁のガスの流れを向けて、前記弱化領域に沿った前記剥離層の前記ドナー半導体ウエハーの分離を促進する工程、
前記ベルヌーイチャックにより前記半導体ウエハーの第1の表面に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えて、該半導体ウエハーを前記絶縁体基板上の前記剥離層から離して持ち上げる工程、
前記絶縁体基板と任意の支持構造の接合部にガスの流れを向けて、該絶縁体基板と該支持構造の分離を促進する工程、および
前記ベルヌーイチャックにより前記絶縁体基板に均衡した吸込みおよび反発ガス流を与えて、該絶縁体基板を前記支持構造から持ち上げる工程、
を有してなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−507147(P2012−507147A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533289(P2011−533289)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/061431
【国際公開番号】WO2010/048254
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】