説明

高眼圧症を治療するための眼用組成物

本発明は、緑内障または患者の眼における眼内圧の上昇につながる他の状態を治療するための、構造式Iの強力なカリウムチャンネルブロッカー化合物またはこれらの処方に関する。本発明は、哺乳動物種、特に、ヒトの眼に神経保護効果をもたらすためのこのような化合物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年9月4日出願の米国仮出願第60/500,090号の35U.S.C119(e)の下での利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、眼内圧が正常な眼の機能を可能とするには高すぎる眼の変性疾患である。結果として、視神経乳頭に対する損傷が生じ、視覚機能の不可逆的な喪失を生じることがある。治療せずにいると、緑内障は最終的に盲目につながる可能性がある。高眼圧、すなわち、視神経乳頭損傷または特徴的な緑内障の視野欠陥を伴わない高眼内圧の状態は、今や、大部分の眼科学者が、完全に緑内障の発症の最初期相を表すものと信じている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
緑内障および高眼内圧を治療するための幾つかの治療が存在するが、これらの薬剤の効力および副作用プロフィールは理想的ではない。近年、カリウムチャンネルブロッカーが眼内圧を低下させることが見出され、したがって、高眼圧症およびこれらに関連する変性性眼状態の治療に対するもう1つのアプローチを提供する。カリウムチャンネルのブロッカーは流体分泌を減少させることができ、幾つかの環境下では、平滑筋収縮を増加させ、並びにIOPを低下させ、および眼における神経保護効果を有することが期待される(米国特許第5,573,758号および第5,925,342号;Moore,ら, Invest Ophthalmol. Vis. Sci 38, 1997;WO89/10757、WO94/28900、およびWO96/33719を参照)。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要約
本発明は、緑内障および患者の眼における高眼内圧に関連する他の疾患の治療における強力なカリウムチャンネルブロッカーまたはこれらの処方の使用に関する。本発明は、このような化合物を用いて哺乳動物種、特に、ヒトの眼に神経保護効果をもたらすことにも関する。特に、本発明は、構造式Iを有する新規ホスフェート含有インダゾール化合物またはその医薬適合性の塩、生体内加水分解性エステル、鏡像異性体、ジアステレオマー、またはこれらの混合物を用いる緑内障および/または高眼圧症(高眼内圧)の治療に関する:
【0005】
【化6】

(式中、
Rは水素、もしくはC1−6アルキルを表し;
およびRは、独立して、水素またはハロを表し;
はNもしくはOを表し;
Xは−(CHR−、−(CHRCO−を表し;
Yは−CO(CH−、CH、または−CH(OR)−を表し;
QはN、もしくはOを表し、ここで、QがOであるときRは存在せず;
はH、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキル、−C(O)OC1−6アルキル、−SON(R)、−SO1−6アルキル、−SO6−10アリール、NO、CNまたは−C(O)N(R)を表し;
は水素、C1−10アルキル、OH、C2−6アルケニル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−N(R)、−COOR、または−(CH6−10アリールを表し、前記アルキル、ヘテロシクリルもしくはアリールはRから選択される1−3個の基で場合により置換され;
は水素,C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CHCOOR、−(CH6−10アリール、−(CHNHR、−(CHN(R)、−(CHN(R、−(CHNHCOOR、−(CHN(R)COR、−(CHN(R)COR、−(CHNHCOR、−(CHCONH(R)、アリール、−(CH1−6アルコキシ、CF、−(CHSOR、−(CHSON(R)、−(CHCON(R)、−(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CHCOR8、ニトロ、シアノもしくはハロゲンを表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルもしくはアリールは1−3個のRの基で場合により置換され;
または、RおよびRは間にあるQと共に、1−2原子のO、S、C(O)もしくはNRが場合により挟まり、および1−4の二重結合を場合により有し、およびRから選択される1−3個の基で場合により置換される3−10員の炭環式もしくは複素環式炭素環を形成し;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルコキシ、OH、C1−6アルキル、COOR、SOH、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、OCF、−N(R)、ニトロ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、またはハロゲンを表し;
【0006】
【化7】

はC6−10アリールもしくはC3−10複素環を表し、前記アリールもしくは複素環はRから選択される1−3個の基で場合により置換され;
Zは(CHPO(OR)(OR)を表し;
は水素、もしくはC1−6アルキルを表し;
は水素、C1−6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し;
は−(CH3−8シクロアルキル、−(CHn3−10ヘテロシクリル、C1−6アルコキシまたは−(CH5−10ヘテロアリール、−(CH6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリル、アリールもしくはヘテロアリールはRから選択される1−3個の基で場合により置換され;
はF、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−COR、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−Z−C(=Z)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−Z−C(=Z)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C3−10ヘテロシクリル、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキルを表し、前記アルキル、アルケニル、アルコキシ、ヘテロシクリルおよびアリールはC−Cアルキル、CN、NO、OH、CON(R)およびCOORから選択される1−3個の基で場合により置換され;
およびZは、独立して、NR、O、CH、もしくはSを表し;
gは0−1であり;
mは0−3であり;
nは0−3であり;並びに
pは0−3である)。
【0007】
本発明のこの側面および他の側面は本発明を全体として精査することで明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は式Iの新規カリウムチャンネルブロッカーに関する。ここで上述される式Iのカリウムチャンネルブロッカーおよび医薬適合性の担体を含有する組成物の投与、好ましくは、局所またはカマル内(intra−camaral)投与によって高眼内圧を低下させ、または緑内障を治療するための方法にも関する。本発明は、高眼圧または緑内障の治療のための医薬の製造のための式Iの化合物の使用にも関する。
【0009】
pが1−3である化合物が本発明の化合物の一実施態様のうちにある。
【0010】
本発明の一実施態様は、QがNであり、および他のすべての変数が初めに記載される通りであるときに実現される。
【0011】
本発明の別の実施態様は、QがOであり、Rが存在せず、および他のすべての変数が初めに記載される通りであるときに実現される。
【0012】
本発明の別の実施態様は、Yが−CO(CHであり、および他のすべての変数が初めに記載されるとおりであるときに実現される。本発明の下位実施態様はnが0であるときに実現される。
【0013】
本発明の別の実施態様は、YがCH(OR)であり、および他のすべての変数が初めに記載される通りであるときに実現される。
【0014】
本発明の別の実施態様は、ZがPO(OR)(OR)であり、並びにRおよびRがHであるときに実現される。本発明の下位実施態様は、RおよびRがC1−6アルキルであるときに実現される。
【0015】
別の実施態様において、RはH、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキルおよび−C(O)N(R)から選択され、並びに他のすべての変数は初めに記載される通りである。
【0016】
別の実施態様において、Xは−(CHR−であり、pは1−3であり、および他のすべての変数は初めに記載される通りである。
【0017】
別の実施態様において、Xは−(CHRCO−であり、pは1−3であり、および他のすべての変数は初めに記載される通りである。
【0018】
別の実施態様において、
【0019】
【化8】

は、Rから選択される1−3個の基で場合により置換される6員のヘテロアリールまたはフェニルである。本発明の下位実施態様は、ヘテロアリールがピリジルであるときに実現される。
【0020】
本発明のさらに別の実施態様は、Rが水素またはC1−6アルキルであり、および他のすべての変数が初めに記載される通りであるときに実現される。
【0021】
本発明のさらに別の実施態様は、ZがPO(OR)(OR)であり、RおよびRが独立して水素、C1−10アルキルまたはC1−6アルキルOHであり、並びにYが−CO(CHであるときに実現される。
【0022】
本発明の別の実施態様は、RがF、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、−(CHPO(OR)、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキルから選択されるときに実現され、該アルキルおよびアルケニルはC−Cアルキル、およびCOORから選択される1−3個の基で場合により置換される。
【0023】
構造式Iの化合物の例は表1に見出される:
【0024】
【化9】

またはこれらの医薬適合性の塩、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくは混合物。本発明の下位実施態様は、これらの化合物が一ナトリウムまたは二ナトリウム塩の形態にあるときに実現される。
【0025】
本発明を、他に指定されない限り以下に定義される用語を用いて、ここで詳細に説明する。
【0026】
本発明の化合物は不斉中心、キラル軸およびキラル面を有することができ、ラセミ化合物、ラセミ混合物、および個々のジアステレオマーとして生じることができ、光学異性体を含むすべての可能な異性体が本発明に含まれる(E.L. ElielおよびS.H. Wilen Stereochemistry of Carbon Compounds (John Wiley and Sons, New York 1994)、特に、1119−1190頁を参照)。
【0027】
いかなる変数(例えば、アリール、複素環、R、R等)がいかなる構成要素において2回以上現れるときも、各々の出現に対するこの定義は他のすべての出現からは独立している。この上、置換基/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
【0028】
「アルキル」という用語は、他に定義されない限り、1から10個の炭素原子を含む一価アルカン(炭化水素)由来基を指す。これは直鎖であっても、分岐鎖であっても、または環状であってもよい。好ましいアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。アルキル基がアルキル基で置換されると言われる場合、これは「分岐アルキル基」と交換可能に用いられる。
【0029】
シクロアルキルは、他に定義されない限り、炭素原子間の交互または共鳴二重結合を伴うことなしに、3から15個の炭素原子を含むアルキルの種である。これは融合する1から4の環を含むことができる。このようなシクロアルキル要素の例には、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。
【0030】
アルケニルはC−Cアルケニルである。
【0031】
アルコキシは、酸素架橋を介して結合する、示された数の炭素原子のアルキル基を指し、このアルキル基はここで説明されるように場合により置換される。これらの基は直鎖または分岐鎖配置のいずれかであり、指定された長さの基であり、長さが炭素原子2個以上である場合、二重または三重結合を含むことができる。このようなアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、三級ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシ等である。
【0032】
ハロゲン(ハロ)は塩素、フッ素、ヨウ素または臭素を指す。
【0033】
アリールは、芳香族環、例えば、フェニル、置換フェニル等に加えて、融合している環、例えば、ナフチル、フェナントレニル等を指す。したがって、アリール基は少なくとも6個の原子を有する環を少なくとも1つ含み、5つまでのこのような環が存在し、そこには22個までの原子が含まれ、隣接する炭素原子または適切なヘテロ原子間に交互(共鳴)二重結合を有する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルおよびフェナントレニル、好ましくは、フェニル、ナフチルまたはフェナントレニルである。アリール基は、同様に、定義されるように置換されていてもよい。好ましい置換アリールにはフェニルおよびナフチルが含まれる。
【0034】
ヘテロシクリルまたは複素環という用語は、ここで用いられる場合、上述の複素環のいずれかがベンゼン環に融合するあらゆる二環式基を含めて、飽和もしくは不飽和であり、N、O、およびSからなる群より選択される1から4個のヘテロ原子と炭素原子からなる、安定な3から7員単環式または安定な8から11員二環式複素環を表す。複素環は、安定な構造の創出を生じるいかなるヘテロ原子または炭素原子でも結合することができる。融合複素環系は炭素環式環を含むことができ、唯1つの複素環を含む必要がある。ヘテロシクリルまたは複素環という用語はヘテロアリール部分を含む。このような複素環要素の例には、これらに限定されるものではないが、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロピロリル、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、およびチエニルが含まれる。好ましくは、複素環は2−アゼピノニル、ベンズイミダゾリル、2−ジアザピノニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、2−イミダゾリジノニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノニル、2−ピリミジノニル、2−ピロリジノニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、およびチエニルから選択される。
【0035】
「ヘテロ原子」という用語はO、SまたはNを意味し、これらは独立して選択される。
【0036】
「ヘテロアリール」という用語は、5もしくは6個の環原子を有する単環式芳香族炭化水素基、または少なくとも1つのヘテロ原子、O、SもしくはNを含む8から10個の原子を有し、炭素もしくは窒素原子が結合点であり、および1もしくは2個のさらなる炭素原子がOもしくはSから選択されるヘテロ原子で場合により置換され、および1から3個のさらなる炭素原子が窒素ヘテロ原子で場合により置換される二環式芳香族基を指し、該ヘテロアリール基はここで説明されるように場合により置換される。このような複素環要素の例には、これらに限定されるものではないが、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが含まれる。さらなる窒素原子が第1窒素および酸素またはイオウと共に存在していてもよく、これは、例えば、チアジアゾールをもたらす。
【0037】
本発明は、高眼圧症または緑内障を治療する組成物および、これらを必要とする患者に式Iの化合物のうちの1種類を単独で、または以下の活性成分のうちの1種類以上と組み合わせて、β−アドレナリン遮断剤、例えば、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、副交感神経作動薬、例えば、エピネフリン、アイオピジン、ブリモニジン、クロニジン、パラ−アミノクロニジン、炭酸脱水酵素阻害剤、例えば、ドルゾラアミド、アセタゾラアミド、メタゾラアミドもしくはブリンゾラアミド、EP4アゴニスト(例えば、WO02/24647、WO02/42268、EP 1114816、WO01/46140、PCT出願CA2004000471、およびWO01/72268に記載されるもの)、プロスタグランジン、例えば、ラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン、レスクラ、S1033(米国特許第5,889,052号;第5,296,504号;第5,422,368号;および第5,151,444号に記載される化合物);降圧性脂質、例えば、ルミガンおよび米国特許第5,352,708号に記載される化合物;米国特許第4,690,931号に開示される神経保護物質、特に、メマンチンを含む、WO94/13275に記載されるエリプロジルおよびR−エリプロジル;PCT/US00/31247に記載される5−HT2受容体のアゴニスト、特に、1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−インダゾル−6−オールフマレートおよび2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾル−1−イル)−1−メチル−エチルアミンもしくはこれらの混合物と組み合わせて投与することによる方法にも関する。降圧性脂質(基本プロスタグランジン構造のα−鎖連結上のカルボン酸基が電気化学的に中性の置換基で置換されている)の例は、カルボン酸基がC1−6アルコキシ基、例えば、OCHで置換されているもの(PGF2a1−OCH)またはヒドロキシ基で置換されているもの(PGF2a1−OH)である。
【0038】
好ましいカリウムチャンネルブロッカーはカルシウム活性化カリウムチャンネルブロッカーである。より好ましいカリウムチャンネルブロッカーは高伝導性カルシウム活性化カリウム(Maxi−K)チャンネルブロッカーである。Maxi−Kチャンネルは、ニューロン、平滑筋および上皮組織に一般的であり、膜タンパク質および細胞内Ca2+によって開閉するイオンチャンネルの一ファミリーである。
【0039】
本発明は、maxi−Kチャンネルが、ブロックされている場合、正味の溶質およびHO流出を阻害することによって水性体液の産生を阻害し、したがって、IOPを低下させるという発見に基づく。この発見は、maxi−Kチャンネルブロッカーが他の眼科学的機能不全、例えば、黄斑浮腫および黄斑変性の治療に有用であることを示唆する。IOPの低下が網膜および視神経への血流を促進することは公知である。したがって、本発明の化合物は黄斑浮腫および/または黄斑変性の治療に有用である。本発明は、黄斑浮腫および/または黄斑変性を治療するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用にも関する。
【0040】
IOPを低下させるmaxi−Kチャンネルブロッカーは神経保護効果をもたらすことに有用であるものと信じられる。この上、これらは、IOPを低下させることによって網膜および視神経乳頭血液速度の増加並びに網膜および視神経酸素の増加に有効であるものと信じられ、これらは、合わされたとき、視神経の健康に役立つ。結果として、本発明は、さらに、網膜および視神経乳頭血液速度を増加させ、網膜および視神経酸素圧を増加させることに加えて、神経保護効果またはこれらの組み合わせを提供するための方法に関する。本発明は、これらの疾患を治療するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用にも関する。
【0041】
多くの市販薬物はカリウムチャンネルアンタゴニストとして機能する。これらのうち最も重要なものには化合物グリブリド、グリピジドおよびトルブタミドが含まれる。これらのカリウムチャンネルアンタゴニストは抗糖尿病薬として有用である。本発明の化合物はこれらの化合物の1種類以上と組み合わせて糖尿病を治療することができる。
【0042】
カリウムチャンネルアンタゴニストは、クラス3抗不整脈薬として、ヒトにおける急性梗塞の治療にも用いられる。アパミン、イベリオトキシン、キャリブドトキシン、ノキシウストキシン、カロトキシン、デンドロトキシン(類)、肥満細胞脱顆粒化(MCD)ペプチド、およびβ−ブンガロトキシン(β−BTX)を含む多くの天然毒素はカリウムチャンネルをブロックすることが公知である。本発明の化合物はこれらの化合物の1種類以上と組み合わせて不整脈を治療することができる。本発明は、不整脈を治療するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用にも関する。
【0043】
うつ病は神経伝達物質放出の減少に関連する。うつ病の現在の治療には、神経伝達物質取込のブロッカーおよび、神経伝達物質の存続期間を長期化するように作用する、神経伝達物質分解に関与する酵素の阻害剤が含まれる。
【0044】
アルツハイマー病も神経伝達物質放出の減少を特徴とする。3つのクラスの薬物、コリン作動性増強剤、例えば、抗コリンエステラーゼ薬(例えば、フィソスチグミン(エセリン)、およびタクリン(テトラヒドロアミノクリジン));ニューロン代謝に影響を及ぼし他所での効果はほとんどない向知性薬(例えば、ピラセタム、オキシラセタム);並びに脳脈管構造に影響を及ぼす薬物、例えば、エルゴロイドメシレートと、ニモジピンを含むカルシウムチャンネルブロック薬との混合物がアルツハイマー病の治療について研究されている。伝えられるところによると、セレギリン、脳のドーパミンおよびノルエピネフリンを増加させるモノアミンオキシダーゼB阻害剤が幾人かのアルツハイマー患者において穏やかな改善を生じている。アルツハイマー病がアルミニウムの毒性によるものであると信じる者にはアルミニウムキレート剤が関心の的になっている。神経遮断薬を含む挙動に影響を及ぼす薬物および抗不安薬が用いられている。マイルドトランキライザーである抗不安薬は神経遮断薬よりも有効性に劣る。本発明はカリウムチャンネルアンタゴニストとして有用である新規化合物に関する。本発明は、うつ病および/またはアルツハイマー病を治療するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用にも関する。
【0045】
本発明の化合物は、アルツハイマー病の治療において、抗コリンエステラーゼ薬、例えば、フィソスチグミン(エセリン)およびタクリン(テトラヒドロアミノクリジン)、向知性薬、例えば、ピラセタム、オキシラセタム、エルゴロイドメシレート、選択的カルシウムチャンネルブロッカー、例えば、ニモジピン、またはモノアミンオキシダーゼB阻害剤、例えば、セレギリンと組み合わせることができる。本発明の化合物は、不整脈の治療において、アパミン、イベリオトキシン、キャリブドトキシン、ノキシウストキシン、カリオトキシン、デンドロトキシン(類)、肥満細胞脱顆粒化(MCD)ペプチド、β−ブンガロトキシン(β−BTX)またはこれらの組み合わせと組み合わせることもできる。本発明の化合物は、さらに、グリブリド、グリピジド、トルブタミドまたはこれらの組み合わせと組み合わせて糖尿病を治療することができる。本発明は糖尿病を治療するための医薬の製造のための式Iの化合物の使用にも関する。
【0046】
ここでの例は請求される発明を説明するが、これらを限定するものではない。請求される化合物の各々はカリウムチャンネルアンタゴニストであり、したがって、細胞を脱分極状態に維持して最大神経伝達物質放出を達成することが望ましい、記載される神経学的障害において有用である。本発明において生成される化合物は、ヒトを含む哺乳動物に投与して有効なカリウムチャンネル遮断を達成することができる組成物を生成するため、適切で公知の医薬適合性の賦形剤と容易に組み合わせることができる。
【0047】
医薬において用いるには、式Iの化合物の塩は医薬適合性の塩である。しかしながら、他の塩が本発明による化合物またはこれらの医薬適合性の塩の調製において有用であり得る。本発明の化合物が酸性であるとき、適切な「医薬適合性の塩」は、無機塩基および有機塩基を含む医薬適合性の非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。特に好ましいものはアンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬適合性の有機非毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級および三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。好ましい医薬適合性の塩はナトリウムおよびカリウム塩である。しかしながら、調製中の塩の単離を促進するため、医薬適合性のものであろうとなかろうと、選択される溶媒中での可溶性に劣る塩が好ましいものであり得る。
【0048】
本発明の化合物が塩基性であるとき、無機および有機酸を含む医薬適合性の非毒性酸から塩を調製することができる。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。特に好ましいものはクエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0049】
上述の医薬適合性の塩および他の典型的な医薬適合性の塩の調製は、Bergら, 「Pharmaceutical Salts,」 J. Pharm. Sci., 1977:66: 1−19によってより十分に記載されている。
【0050】
生体内加水分解性エステルは、ヒト体内で加水分解して親化合物を生成する医薬適合性のエステルである。このようなエステルは、試験動物に試験中の化合物を例えば、静脈内投与した後、この試験動物の体液を検査することによって同定することができる。
【0051】
ここで用いられる場合、「組成物」という用語は、指定された成分を指定された量で含有する生成物に加えて、指定された量の指定された成分の組み合わせから直接または間接的に生じるあらゆる生成物を包含しようとするものである。
【0052】
本発明による化合物がヒト被験者に投与されるとき、1日投与量は、通常、処方医によって決定され、この投与量は、一般には、個々の患者の年齢、体重、性別および応答の他に患者の症状の重症度に従って変化する。
【0053】
用いられるmaxi−Kチャンネルブロッカーは、治療上有効な量で、静脈内、皮下、局所、経皮、非経口または当業者に公知の他のあらゆる方法で投与することができる。
【0054】
眼用医薬組成物は、好ましくは、溶液、懸濁液、軟膏、クリームの形態での、または固体挿入物としての眼への局所投与に適合する。この化合物の眼用処方は0.01ppmから1%、特に、0.1ppmから1%の医薬を含有することができる。眼内圧の低下、緑内障の治療、血流速度または酸素圧の増加において有効であるならば、例えば、約10%のような高投薬量または低投薬量を用いることができる。1回の投与について、0.1ngから5000ug、好ましくは、1ngから500ug、特に、10ngから100ugの化合物をヒトの眼に適用することができる。
【0055】
この化合物を含有する医薬調製品は非毒性の医薬有機担体、または非毒性の医薬無機担体と都合よく混合することができる。医薬適合性の担体の典型は、例えば、水、水および水混和性溶媒、例えば、低級アルカノールもしくはアラルカノールの混合液、植物油、ポリアルキレングリコール、石油ベースのゼリー、エチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチル−セルロース、ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸イソプロピルおよび他の通常用いられる許容し得る担体である。医薬調製品は非毒性の補助物質、例えば、乳化剤、保存剤、湿潤剤、粘度付与剤等、例えば、ポリエチレングリコール200、300、400および600、カルボワックス1,000、1,500、4,000、6,000および10,000、抗菌性成分、例えば、四級アンモニウム化合物、低温滅菌特性を有することが公知であり、および使用上非傷害性であるフェニル第二水銀塩、チメロサール、メチルおよびプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、緩衝成分、例えば、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸緩衝剤、並びに他の通常の成分、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、オレエート、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、モノチオグリセロール、チオソルビトール、エチレンジアミン四酢酸等を含有することもできる。加えて、通常のリン酸バッファビヒクル系、等張性ホウ酸ビヒクル、等張性塩化ナトリウムビヒクル、等張性ホウ酸ナトリウムビヒクル等を含む適切な眼用ビヒクルを本目的のための担体媒体として用いることができる。医薬調製品は微粒子処方の形態であってもよい。医薬調製品は固体挿入物の形態であってもよい。例えば、固体水溶性ポリマーを医薬の担体として用いることができる。挿入物の形成に用いられるポリマーはあらゆる水溶性非毒性ポリマー、例えば、セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、(ヒドロキシ低級アルキルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;アクリレート、例えば、ポリアクリル酸塩、エチルアクリレート、ポリアクチルアミド;天然生成物、例えば、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカントゴム、カラヤゴム、カラギーナン(chondrus)、寒天、アラビアゴム;デンプン誘導体、例えば、酢酸デンプン、ヒドロキシメチルデンプンエーテル、ヒドロキシプロピルデンプンに加えて、他の合成誘導体、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、中和カルボポールおよびキサンタンガム、ゲランガム、および該ポリマーの混合物であり得る。
【0056】
本発明の処方の投与に適する被検体には、霊長類、ヒトおよび他の動物、特に、ヒトおよび家庭内動物、例えば、ネコおよびイヌが含まれる。
【0057】
医薬調製品は非毒性の補助物質、例えば、使用時に非傷害性である抗菌成分、例えば、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、メチルおよびプロピルパラベン、臭化ベンジルドデシニウム、ベンジルアルコール、またはフェニルエタノール;緩衝成分、例えば、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、またはグルコン酸バッファ;並びに他の通常の成分、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、エチレンジアミン四酢酸等を含有することができる。
【0058】
眼用溶液または懸濁液は、眼において許容し得るIOPレベルを維持するのに必要な限り何度でも投与することができる。哺乳動物の眼への投与は1日約1回または2回であることが意図される。
【0059】
局所的な眼への投与には、本発明の新規処方は、単位投薬量が治療上有効な量の活性成分または、組み合わせ療法の場合には、これらの数倍を含むように処方される、溶液、ゲル、軟膏、懸濁液または固体挿入物の形態をとることができる。
【0060】
説明の目的で示される以下の例は本発明の実証である。
【0061】
これらの例において用いられる用語の定義は以下の通りである:
SM − 出発物質、
DMSO − ジメチルスルホキシド、
TLC − 簿層クロマトグラフィー、
SGC − シリカゲルクロマトグラフィー、
PhMgBr − 臭化フェニルマグネシウム、
h = hr = 時間、
THF − テトラヒドロフラン、
DMF − ジメチルホルムアミド、
min − 分、
LC/MS − 液体クロマトグラフィー/質量分析、
HPLC − 高速液体クロマトグラフィー、
PyBOP − ベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、
equiv = eq = 当量、
NBS − N−ブロモスクシンアミドおよび
AIBN − 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル。
【0062】
本発明の化合物は、適切である場合には修正を施して、スキーム1から3に従って作製することができる。
【0063】
【化10】

【0064】
【化11】

【0065】
【化12】

【0066】
中間体1
【0067】
【化13】

【0068】
工程A
【0069】
【化14】

【0070】
酢酸中の二臭化塩(23.2g、実施例1、工程−3の副生物)の溶液に酢酸ナトリウム(22.5g)を添加した。この混合物を油浴に入れ、反応が完了するまで2時間還流させた。混合物を室温に冷却した後、氷/水に注ぎ入れて所望の化合物をオフホワイトの固体として得た。この固体を濾過によって単離し、窒素雰囲気で乾燥させた。
【0071】
H NMR(CDCl):δ10.23(1H,s);8.19(1H,d);7.02(1H,dd);6.96(1H,d);3.90(3H,s)。
【0072】
工程B:
【0073】
【化15】

【0074】
工程Aからの中間体にトリエチルオルトホルメート(40ml)を添加し、130℃に2時間加熱した。生じる混合物を濃縮乾燥させ、表題の化合物を褐色固体として得た(11.9g)。
【0075】
H NMR(DMSO):δ10.08(1H,s);7.98(1H,d);7.25(1H,d);7.02(1H,dd);6.81(1H,s);3.82(3H,s);3.52(4H,q);1.11(6H,t)。
【0076】
中間体2
【0077】
【化16】

【0078】
20mlのCHCl中1.99g(10mmol)の臭化ブロモ酢酸の溶液を−78℃に冷却し、TEA(1.21g、12mmol)を滴下により添加した。この反応混合物を20分間攪拌した後、ジブチルアミン(1.54g、12mmol)を滴下により添加した。反応が完了した後、混合物を1N HCl、HO、ブラインで洗浄してMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して褐色油を得た。この物質をさらなる精製なしで用いた。
【0079】
H NMR(CDCl)δ:0.95(6H,m),1.35(4H,m),1.55(4H,m),3.30(4H,m),3.85(2H,s)。
【0080】
中間体3
【0081】
【化17】

【0082】
この中間体は中間体2において説明されるように調製したが、ジブチルアミンの代わりにジプロピルアミンを用いた。
【0083】
H NMR(CDCl)δ:0.95(6H,m),1.60(4H,m),3.25(4H,m),3.82(2H,s)。
【0084】
中間体4
【0085】
【化18】

【0086】
この中間体は中間体2において説明されるように合成したが、ジブチルアミンの代わりにジイソアミルアミンを用いた。
【0087】
H NMR(CDCl)δ:0.95(12H,m),1.40(2H,m),1.60(4H,m),3.30(4H,m),3.82(2H,s)。
【0088】
中間体5
【0089】
【化19】

【0090】
この中間体は中間体2において説明されるように合成したが、ジブチルアミンの代わりにN,N−エチルブチルアミンを用いた。
【0091】
H NMR(CDCl)δ:0.95−0.99(3H,m),1.15−1.26(3H,m),1.35(2H,m),3.59(2H,m),3.30−3.40(4H,m),3.86(2H,s)。
【0092】
中間体6
【0093】
【化20】

【0094】
THF(10mL)中の5−ヨード−2−クロロピリジン(2.56g、10.78mmol)の溶液にiPrMgBrを滴下により−78℃で添加した。この反応物を1時間攪拌した後、中間体1(1.71g、6.10mmol)をTHF(5mL)中の溶液として添加した。2時間後、1N NaOHで反応を停止させ、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄してMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。この粗製生成物のトルエン(50mL)中の溶液にMnO(2.173g、25.0mmol)を添加し、反応混合物を130℃に加熱した。1時間後、反応が完了し、セライトパッドを通して濾過し、真空中で濃縮した。この粗製生成物をTHF(10mL)に溶解し、4mLの1N HClを滴下により添加した。この反応物をTLC分析が完了を示すまでRTで攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、固体沈殿を集めた(1.131g、64%)。H NMR(CDOD)δ3.900(3H,s),7.013(1H,d),7.062(1H,s),7.627(1H,d),8.672(1H,d),9.306(1H,s)。
【0095】
中間体7
【0096】
【化21】

【0097】
THF(15mL)中の5−ブロモ−2−メチルピリジン(736mg、4.31mmol)の溶液にnBuLi(2.156mL、5.39mmol、ヘキサン中2.5M)を滴下により−78℃で添加した。反応物を1h攪拌した後、中間体1(1.00g、3.59mmol)をTHF(5mL)中の溶液として添加した。出発物質は2時間後に消費され、1N NaOHで反応を停止させてEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄してMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。この粗製生成物のトルエン(20mL)中の溶液にMnO(0.414g、4.77mmol)を添加し、反応混合物を130℃に加熱した。1時間後、反応が完了し、セライトパッドを通して濾過し、真空中で濃縮した。この粗製生成物をTHFに溶解し、4mLの1N HClを滴下により添加した。1時間後、反応混合物を0℃に冷却し、固体沈殿を集めた(380mg、40.0%)。
【0098】
H NMR(DMSO)δ:2.553(3H,s),3.832(3H,s),7.000(1H,d),7.089(1H,s),7.451(1H,d),8.100(1H,d),8.430(1H,d),9.220(1H,s)。
【0099】
中間体8
【0100】
【化22】

【0101】
工程A:
【0102】
【化23】

【0103】
エタノール中の2−ピリジン酢酸、5−ブロモ−α,α−ジフルオロ−、エチルエステル(13.4g;「Ero, H.; Haneko, Y.; Sakamoto, T. Chem Pharm. Bull. 2000, 48, 982.」に従って調製)の溶液に水素化ホウ素ナトリウム(2.3g)を少しずつ0℃で添加した。0℃で1時間攪拌した後、この混合物を水に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N NaOHaq、ブラインで洗浄して乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮して粗製アルコールを得た。塩化メチレン中の粗製アルコールにイミダゾール(4.1g)およびTBS−Cl(8.3g)を0℃で添加した。この混合物を1時間攪拌した。反応物を0.1N HClaqに注ぎ入れ、塩化メチレンで抽出した。有機層をブラインで洗浄して乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。この残滓をシリカゲル(100%塩化メチレン)によって精製し、所望の化合物を無色の油として得た(13.5g)。
【0104】
H NMR(CDCl):δ8.75(1H,d);7.95(1H,dd);7.57(1H,d);4.20(2H,t);0.82(9H,s);0.02(6H,s)。
【0105】
工程B:
【0106】
【化24】

【0107】
中間体7について説明されるものに類似する手順によって所望の化合物を調製した。
【0108】
H NMR(DMSO):δ9.35(1H,d);8.65(1H,dd);8.14(1H,d);7.88(1H,d);7.10(1H,d);7.03(1H,dd);4.05(2H,t);3.85(3H,s)。
LC−MS(M+H)=334.2。
【0109】
工程C:
【0110】
【化25】

【0111】
DMF(4mL)中の工程Bからの中間体(200mg、0.602mmol)およびCsCO(586mg、1.806mmol)の溶液にブロモ酢酸エチル(0.134mL、1.204mmol)を添加した。40分後、反応が完了し、HOで反応を停止させた。この反応混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をHO、ブラインで洗浄してMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。この物質をさらに精製することなしに用いた。
【0112】
H NMR(CDCl)δ:1.286(3H,m),3.915(3H,s),4.296(4H,m),5.209(2H,s),6.738(1H,s),7.063(1H,d),7.871(1H,d),8.310(1H,d),8.708(1H,d),9.527(1H,s)。
【0113】
工程D:
【0114】
【化26】

【0115】
工程Cからの中間体の溶液に12mLのTHF/EtOH/HO(1:1:1)を添加した後、150mgのNaOHを添加した。1時間後、反応が完了し、THFおよびEtOAcを真空中で除去した。水層をエーテルで抽出し、pH2に酸性化し、EtOAcで希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。この粗製生成物をさらに精製することなしに用いた。
【0116】
H NMR(CDOD)δ:3.909(3H,s),4.157(2H,t),5.374(2H,s),7.027(1H,d),7.103(1H,s),7.881(1H,d),8.201(1H,d),8.764(1H,d),9.462(1H,s)。
【0117】
中間体9
【0118】
【化27】

【0119】
CHN中の中間体7(275mg、1.02mmol)の攪拌溶液にTEA(0.169mL、1.22mmol)、DMAP(12mg、0.102mmol)、および無水tert−ブトキシカルボニル(265mg、1.22mmol)を添加した。30分後、反応物をEtOAcで希釈してHO、ブラインで抽出し、MgSOで乾燥させて真空中で濃縮した。この粗製物質に過酢酸(0.159mL、1.278mmol)を0℃で添加した。1.5時間後にTLCが反応の完了を示し、反応混合物を真空中で濃縮した。この粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。このN−オキシドをCHClに溶解し、TFAAを滴下により0℃で添加した。反応物をRTまで暖め、一晩攪拌した。完了した反応物をHOおよびEtOAcで希釈し、1N NaOHでpHを13−14に調整した。水層をEtOAcで洗浄し、合わせた有機層をHO、ブラインで洗浄してMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮して所望の生成物を得た(52mg、18%)。
【0120】
H NMR(CDCl)δ:3.90(3H,s),4.95(2H,s),6.85(1H,s),7.05(1H,d),7.50(1H,d),8.30(1H,d),8.68(1H,d),9.64(1H,s)。
【0121】
中間体10
【0122】
【化28】

【0123】
工程A:
【0124】
【化29】

【0125】
トルエン中の2,5−ジブロモピリジン(2.4g)の溶液にトリブチルアリルスズ(3.4ml)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.7g)を窒素雰囲気下で添加した。この混合物を2時間還流し、減圧下で濃縮した。残滓を「湿潤エーテル」に再溶解し、DBU(3ml)を徐々に添加して濁った溶液を得た。この混合物をシリカゲルのパッドで濾過し、濃縮した。この残滓を塩化メチレン/メタノール=1/1溶液に溶解し、−78℃に冷却した。この溶液を反応混合物が青色になるまでオゾンで泡立てた。反応物を0℃に暖め、水素化ホウ素ナトリウム(0.5g)を少しずつ添加した。0℃で1時間攪拌した後、混合物を水に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N NaOHaq、ブラインで洗浄して乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮して粗製アルコールをえた。このアルコールをシリカゲル(塩化メチレン/酢酸エチル=1/1)によって精製して所望のアルコールを得た。塩化メチレン中のアルコールの溶液にイミダゾール(0.4g)およびTBS−Cl(0.8g)を0℃で添加した。この混合物を1時間攪拌した。反応物を0.1N HClaqに注ぎ入れ、塩化メチレンで抽出した。有機層をブラインで洗浄して乾燥させ(MgSO)、蒸発させた。この残滓をシリカゲル(100%塩化メチレン)によって精製し、所望の化合物を得た(1.05g)。
【0126】
H NMR(CDCl):δ8.61(1H,d);7.73(1H,dd);7.14(1H,d);3.97(2H,t);2.96(2H,t);0.86(9H,s);−0.02(6H,s)。
【0127】
工程B:
【0128】
【化30】

【0129】
中間体7について説明されるものに類似する手順によって中間体10を調製した。所望の中間体10はpH>10で沈殿させた。
【0130】
H NMR(DMSO):δ9.23(1H,d);8.43(1H,dd);8.11(1H,d);7.46(1H,d);7.04(1H,dd);6.99(1H,d);4.85(2H,t);3.83(3H,s);2.97(2H,t)。
【0131】
LC−MS(M+H)=298.4
【実施例1】
【0132】
【化31】

【0133】
工程A:
【0134】
【化32】

【0135】
DMF(14mL)中の中間体6(600mg、2.08mmol)およびCsCO(2.028g、6.24mmol)の溶液に中間体2(809mg、3.24mmol)を添加した。35分後、反応が完了し、氷水に注ぎ入れた。固体沈殿を集め、950mgの所望の生成物を得た(定量的)。
【0136】
H NMR(CDCl)δ:0.919(3H,t),0.975(3H,t),1.327(4H,m),1.596(4H,m),3.408(4H,m),3.926(3H,s),5.275(2H,s),6.864(1H,s),7.053(1H,d),7.491(1H,d),8.321(1H,d),8.563(1H,d),9.425(1H,d)。
【0137】
工程B:
【0138】
【化33】

【0139】
800mg(20.0mmol)のNaH(鉱物油中の60%分散液)をヘキサンで3×洗浄し、窒素の下で乾燥させた。エチレングリコール(14mL)を乾燥NaHに添加し、この反応物を50℃で20分間攪拌した。この反応混合物に前行程からの中間体(916mg、2.0mmol)をTHF(12mL)中の溶液として添加した。反応物を50℃で一晩攪拌した。この反応混合物を氷水に注ぎ入れ、固体沈殿を集めた。この粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物を得た(688mg、71.1%)。
【0140】
H NMR(CDCl)δ:0.903(3H,m),0.987(3H,m),1.372(4H,m),1.584(4H,m),3.405(4H,m),3.922(3H,s),4.028(2H,m),4.640(2H,m),5.288(2H,s),6.858(1H,s),6.953(1H,d),7.050(1H,d),8.302(1H,d),8.579(1H,d),9.360(1H,s)。
【実施例2】
【0141】
【化34】

【0142】
CHCl(10mL)中の実施例1、工程Bからの中間体(438mg、0.908mmol)の溶液にテトラゾール(3.02mL、1.362mmol、0.45M/CHCN)およびジ−tert−ブチルジエチルホスホラミダイト(0.302mL、1.09mmol)をRTで添加した。0.5時間後、反応が完了し、過酢酸(0.227mL、1.816mmol)を0℃で0.5h添加した。この反応混合物を飽和亜硫酸水素ナトリウムで反応停止し、EtOAcで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム、HO、および飽和NaClで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空中で乾燥するまで蒸発させた。この粗製残滓をSiOでクロマトグラフィー処理し、398mgの純粋生成物を得た。EtOAcに溶解したこのリン酸エステルを0℃で飽和するまで99%HCl(g)で泡立てた。固体沈殿を集め、170mgの最終生成物を得た。MeOH/EtOAc/ヘキサンからの母液のさらなる再結晶化でさらに140mgの最終生成物を得た。310mgが集められた(收率82%)。
【0143】
H NMR(CDOD)δ:0.922(3H,t),1.004(3H,t),1.312(2H,m),1.408(2H,m)1.554(2H,m),1.651(2H,m),3.386(2H,t),3.516(2H,t),3.904(3H,s),4.335(2H,m),4.629(2H,m),5.487(2H,s),6.933(1H,d),6.998(1H,d),7.040(1H,s),8.196(1H,d),8.566(1H,d),9.215(1H,s)。
【実施例3】
【0144】
【化35】

【0145】
工程A:
【0146】
【化36】

【0147】
表題の化合物を実施例1の工程Aにおいて説明されるように調製したが、中間体2の代わりに中間体3を用いた。
【0148】
H NMR(CDCl)δ:0.832(3H,t),0.992(3H,t),1.667(4H,m),3.384(4H,m),3.866(3H,s),5.218(2H,s),6.777(1H,s),6.937(1H,d),7.365(1H,m),8.178(1H,d),8.495(1H,d),9.377(1H,s)。
【0149】
工程B:
【0150】
【化37】

【0151】
この化合物は実施例1の工程Bにおいて説明されるように調製した。SiO調製用プレート(1:2 ヘキサン/EtOAc)で精製。
【0152】
H NMR(CDCl)δ:0.843(3H,t),0.975(3H,t),1.619(4H,m),3.400(4H,m),3.917(3H,s),4.010(2H,m),4.109(2H,m),5.291(2H,s),6.858(1H,s),6.927(1H,d),7.046(1H,d),8.318(1H,d),8.569(1H,d),9.330(1H,s)。
【実施例4】
【0153】
【化38】

【0154】
この化合物は実施例2において説明されるように調製した。逆相クロマトグラフィー(HO中の10−90%アセトニトリル)で精製。
【0155】
H NMR(CDOD)δ:0.876(3H,m),1.003(3H,m),1.599(2H,m),1.705(2H,m),3.028(2H,bs),3.460(2H,bs),3.882(3H,s),4.286(2H,bs),4.585(2H,bs),5.441(2H,s),6.990(3H,m),8.143(1H,d),8.520(1H,d),9.146(1H,s)。
【実施例5】
【0156】
【化39】

【0157】
工程A:
【0158】
【化40】

【0159】
この化合物は実施例1の工程Aにおいて説明されるように調製したが、中間体2の代わりに中間体4を用いた。
【0160】
H NMR(CDCl)δ:0.857(6H,d),0.943(6H,d),1.380−1.604(6H,m),3.338(4H,m),3.834(3H,s),5.196(2H,s),6.748(1H,s),6.974(1H,d),7.400(1H,d),8.208(1H,d),8.503(1H,d),9.336(1H,s)。
【0161】
工程B:
【0162】
【化41】

【0163】
この化合物は実施例1の工程Bにおいて説明されるように調製した。SiO調製用プレート(1:1 ヘキサン/EtOAc)で精製。
【0164】
H NMR(CDCl)δ:0.909(6H,d),0.975(6H,d),1.503−1.624(6H,m),3.441(4H,m),3.925(3H,s),4.032(2H,m),4.610(2H,m),5.282(2H,s),6.863(1H,s),6.954(1H,d),7.054(1H,d),8.324(1H,d),8.585(1H,d),9.354(1H,s)。
【実施例6】
【0165】
【化42】

【0166】
この化合物は実施例2において説明されるように調製した。逆相クロマトグラフィー(HO中の10−90%アセトニトリル)で精製。
【0167】
H NMR(CDOD)δ:0.922(6H,d),0.971(6H,d),1.462(2H,m),1.563(4H,m),3.414(2H,m),3.503(2H,m),3.907(3H,s),4.340(2H,bs),4.629(2H,bs),5.474(2H,s),6.952(1H,d),7.000(1H,d),7.058(1H,s),8.197(1H,d),8.546(1H,d),9.211(1H,s)。
【実施例7】
【0168】
【化43】

【0169】
工程A:
【0170】
【化44】

この化合物は実施例1の工程Aにおいて説明されるように調製したが、中間体2の代わりに中間体4を用いた。
【0171】
工程B:
【0172】
【化45】

【0173】
この化合物は実施例1の工程Bにおいて説明されるように調製した。SiO調製用プレート(1:1 ヘキサン/EtOAc)で精製。
【0174】
H NMR(CDCl)δ:0.919(m,3H),1.148−1.370(5H,m),1.572(2H,m),3.445(4H,m),3.914(3H,s),4.008(2H,m),4.603(2H,m),5.275(2H,s),6.848(1H,d),6.916(1H,d),7.019(1H,d),8.290(1H,d),8.542(1H,m),9.316(1H,s)。
【実施例8】
【0175】
【化46】

【0176】
中間体9を用いて、この化合物を実施例1の工程Aにおいて説明されるように調製したが、中間体2の代わりに中間体5を用いた。SiO調製用プレートクロマトグラフィーで精製。
【0177】
H NMR(CDCl)δ:0.924(3H,m),1.158−1.440(7H,m),3.442(4H,m),3.932(3H,s),4.956(2H,s),5.310(2H,s),6.871(1H,s),7.081(1H,d),7.559(1H,d),8.314(1H,d),8.712(1H,d),9.673(1H,s)。
【実施例9】
【0178】
【化47】

【0179】
中間体9を用いて、この化合物を実施例1の工程Aにおいて説明されるように調製したが、中間体2の代わりに中間体3を用いた。SiO調製用プレートクロマトグラフィーで精製。
【0180】
H NMR(CDCl)δ:0.895(3H,t),0.993(3H,t),1.653(4H,m),3.335(4H,m),3.926(3H,s),4.942(s,2H),5.310(2H,s),6.859(1H,s),7.077(1H,d),7.519(1H,d),8.312(1H,d),8.694(1H,d),9.651(1H,s)。
【実施例10】
【0181】
【化48】

【0182】
中間体9を用いて、この化合物を実施例1の工程Aにおいて説明されるように調製した。SiO調製用プレートクロマトグラフィーで精製。
【0183】
H NMR(CDCl)δ:0.916(3H,t),0.965(3H,t),1.379(4H,m),1.589(4H,m),3.414(4H,m),3.925(3H,s),4.896(2H,m),5.285(2H,s),6.865(1H,s),7.045(1H,d),7.443(1H,d),8.311(1H,d),8.615(1H,d),9.578(1H,s)。
【実施例11】
【0184】
【化49】

【0185】
中間体9を用いて、この化合物を実施例1の工程Aにおいて説明されるように調製したが、中間体2の代わりに中間体4を用いた。SiO調製用プレートクロマトグラフィーで精製。
【0186】
H NMR(CDCl)δ:0.910(6H,d),0.992(6H,d),1.450−1.700(6H,m),3.411(4H,m),3.933(3H,s),4.973(2H,s),5.297(2H,s),6.847(1H,s),7.082(1H,d),7.568(1H,bs),8.332(1H,d),8.744(1H,bs),9.701(1H,s)。
【実施例12】
【0187】
【化50】

【0188】
中間体8(21mg、0.053mmol)、HOBt(14.3mg、0.106mmol)、およびEDC(30.3mg、0.159mmol)にNMP(1mL)およびDIPEA(0.027mL、0.159mmol)を添加した。10分後、ジプロピルアミン(0.014mL、0.106mmol)を反応物に添加し、この混合物をRTで一晩攪拌した。完了後直ちに、反応物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を1N HCl、水、ブラインで洗浄してMgSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。最終生成物を逆相液体クロマトグラフィー(HO中の25−100%アセトニトリル)によって精製した。
【0189】
H NMR(CDCl)δ:0.882(3H,t),1.01(3H,t),1.654(4H,m),3.368(4H,m),3.925(3H,s),4.311(2H,t),5.292(2H,s),6.858(1H,s),7.068(1H,d),7.866(1H,d),8.318(1H,d),8.724(1H,d),9.539(1H,s)。
【実施例13】
【0190】
【化51】

【0191】
この化合物は実施例12において説明されるように作製したが、ジプロピルアミンの代わりにN−N−エチルブチルアミンを用いた。生成物はシリカゲル調製用プレートクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/1)で精製した。
【0192】
H NMR(CDCl)δ:0.924(3H,m),1.152−1.593(7H,m),3.451(4H,m),3.928(3H,s),4.306(2H,t),5.277(2H,s),6.877(1H,d),7.081(1H,d),7.881(1H,d),8.316(1H,d),8.732(1H,d),9.539(1H,s)。
【実施例14】
【0193】
【化52】

【0194】
この化合物は実施例12において説明されるように作製したが、ジプロピルアミンの代わりにジブチルアミンを用いた。生成物はシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/1)で精製した。
【0195】
H NMR(CHCl):δ9.55(1H,d);8.73(1H,dd);8.32(1H,d);7.88(1H,d);7.07(1H,dd);6.86(1H,d);5.29(2H,s);4.32(2H,t);3.93(3H,s);3.38(4H,m);1.60(4H,m);1.40−1.28(4H,m);0.97(3H,t);0.92(3H,t)。
【0196】
LC−MS(M+H)=503.7。
【実施例15】
【0197】
【化53】

【0198】
この化合物は実施例12において説明されるように作製したが、ジプロピルアミンの代わりにジイソアミルアミンを用いた。生成物はシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/1)で精製した。
【0199】
H NMR(CHCl):δ9.55(1H,d);8.73(1H,dd);8.33(1H,d);7.88(1H,d);7.07(1H,dd);6.87(1H,d);5.27(2H,s);4.32(2H,t);3.94(3H,s);3.40(4H,m);1.67−1.43(6H,m);0.97(6H,d);0.92(6H,d)。
【0200】
LC−MS(M+H)=531.3。
【実施例16】
【0201】
【化54】

【0202】
DMF中の中間体10(150mg)およびCsCO(500mg)の溶液に中間体3(150mg)を添加した。反応が完了した後、この混合物を氷/水に注ぎ入れて沈殿を得た。この化合物をシリカゲル(塩化メチレン/酢酸エチル=1/1)によって精製した。
【0203】
H NMR(CHCl):δ9.53(1H,d);8.54(1H,dd);8.31(1H,d);7.36(1H,d);7.05(1H,dd);6.86(1H,d);5.30(2H,s);4.11(2H,t);3.92(3H,s);3.40(2H,t);3.35(2H,t);3.17(2H,m);1.61(4H,m);0.98(3H,t);0.89(3H,t)。
【0204】
LC−MS(M+H)=439.2。
【実施例17】
【0205】
【化55】

【0206】
所望の化合物を、実施例16において説明される手順により、中間体3の代わりに中間体2を用いて調製した。この化合物はシリカゲル(塩化メチレン/酢酸エチル=1/1)によって精製した。
【0207】
H NMR(CHCl):δ9.57(1H,d);8.57(1H,dd);8.32(1H,d);7.39(1H,d);7.06(1H,dd);6.86(1H,d);5.30(2H,s);4.11(2H,t);3.93(3H,s);3.42(2H,t);3.38(2H,t);3.20(2H,m);1.57(4H,m);1.40−1.28(4H,m);0.98(3H,t);0.92(3H,t)。
【0208】
LC−MS(M+H)=467.4。
【実施例18】
【0209】
【化56】

【0210】
所望の化合物を、実施例16において説明される手順により、中間体3の代わりに中間体4を用いて調製した。この化合物はシリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル=1/3)によって精製した。
【0211】
H NMR(CHCl):δ9.58(1H,d);8.58(1H,dd);8.32(1H,d);7.41(1H,d);7.06(1H,dd);6.86(1H,d);5.29(2H,s);4.11(2H,t);3.93(3H,s);3.40(4H,m);3.22(2H,m);1.74−1.40(6H,m);0.98(6H,t);0.92(6H,t)。
【0212】
LC−MS(M+H)=495.4。
【実施例19】
【0213】
【化57】

【0214】
所望の化合物を、実施例16において説明される手順により、中間体3の代わりに中間体5を用いて調製した。この化合物はシリカゲル(塩化メチレン/酢酸エチル=3/5)によって精製した。
【0215】
H NMR(CHCl):δ9.51(1H,d);8.51(1H,dd);8.32(1H,d);7.33(1H,d);7.05(1H,dd);6.86(1H,d);5.29(2H,s);4.11(2H,t);3.93(3H,s);3.53−3.36(4H,m);3.14(2H,m);1.56(2H,m);1.32(2H,m);1.22(3/2H,t);1.17(3/2H,t);0.96(3/2H,t);0.92(3/2H,t)。LC−MS(M+H)=439.4。
【実施例20】
【0216】
【化58】

【0217】
この化合物は、実施例18において合成された化合物から、実施例2において説明されるように調製した。この化合物はイソプロパノールから再結晶化した。
【0218】
H NMR(CDOD)δ:0.909(6H,d),0.998(6H,d),1.477(2H,m),1.591(4H,m),3.383(2H,m),3.487(2H,m),3.520(2H,m),3.915(3H,s),4.386(2H,m),5.516(2H,s),7.033(2H,m),7.761(1H,d),8.211(1H,d),8.824(1H,d),9.470(1H,s)。
【実施例21】
【0219】
【化59】

【0220】
この化合物は、実施例17において合成された化合物から、実施例2において説明されるように調製した。この化合物はイソプロパノールから再結晶化した。
【0221】
H NMR(CDOD)δ:0.910(3H,t),1.000(3H,t),1.345(2H,m),1.431(2H,m),1.584(2H,m),1.708(2H,m),3.403(4H,m),3.519(2H,t),3.914(3H,s),4.402(2H,m),5.544(2H,s),7.065(2H,m),7.971(1H,d),8.232(1H,d),9.079(1H,d),9.555(1H,s)。
【0222】
機能アッセイ
A.Maxi−Kチャンネル
これらの化合物の活性は以下のアッセイによって定量することができる。
【0223】
maxi−Kチャンネルの阻害の同定は、HEK−293細胞におけるこのチャンネルのアルファおよびベータ1サブユニットの両方のトランスフェクション並びにHEK−293細胞の内因性カリウム伝導を選択的に排除するカリウムチャンネルブロッカーとのインキュベーションの後、細胞静止電位を設定する発現したmaxi−Kチャンネルの能力に基づく。maxi−Kチャンネル阻害剤が存在しない状態で、トランスフェクトしたHEK−293細胞はE(−80mV)に近い、内部が負の、過分極膜電位を示し、これはmaxi−Kチャンネルの能力の結果である。maxi−Kチャンネルブロッカーとのインキュベーションによるmaxi−Kチャンネルの遮断は細胞脱分極を生じる。膜電位の変化は、2種類の成分、供与体クマリン(CCDMPE)および受容体オキサノール(DiSBAC(3))を用いる電位感受性蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素対で決定することができる。
【0224】
オキサノールは親油性アニオンであり、膜電位に従って膜全体に分布する。正常条件下で、細胞の内側が外側に対して負であるとき、オキサノールは膜の外部小葉部に蓄積され、クマリンの励起がFRETを生じさせる。膜脱分極につながる条件はオキサノールを細胞の内側に再分布させ、結果として、FRETを減少させる。したがって、膜脱分極の後に変化率(供与体/受容体)が増加し、これが、試験化合物がmaxi−Kチャンネルを活発にブロックするかどうかを決定する。
【0225】
HEK−293細胞はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)、12301 Parklawn Drive、Rockville、Maryland、20852から受付番号ATCC CRL−1573で得ることができる。微生物への公的接近に関するあらゆる制限は特許発行後直ちに不可逆的に除去される。
【0226】
HEK−293細胞におけるmaxi−Kチャンネルのアルファおよびベータ1サブユニットのトランスフェクションは以下のように行った:HEK−293細胞を100mm組織培養処理皿に皿当たり3×10細胞の密度で入れ、合計で5皿を調製した。細胞を、10%ウシ胎児血清、1×L−グルタミン、および1×ペニシリン/ストレプトマイシンを補足したダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)からなる培地において37℃、10%COで成長させた。Maxi−Kをトランスフェクトするため、hoc(pCIneo)およびMaxi−K hβ1(pIRESpuro)DNA、150μl FuGENE6(商標)を10mlの血清非含有/フェノールレッド非含有DMEMに滴下により添加し、室温で5分間インキュベートした。この後、FuGENE6(商標)溶液を、25μgの各プラスミドDNAを含有するDNA溶液に滴下により添加し、室温で30分間インキュベートした。このインキュベーション期間の後、2mlのFuGENE6(商標)/DNA溶液を細胞の各プレートに滴下により添加し、上述のものと同じ条件下で細胞を2日間成長させた。第2日の終わりに、600μg/ml G418および0.75μg/mlプロマイシンの両者を補足したDMEMからなる選択培地の下に細胞を置いた。別々のコロニーが形成されるまで細胞を成長させた。5つのコロニーを集め、これらを6ウェル組織培養処理皿に移した。合計で75のコロニーが集められた。集密単層が得られるまで細胞を成長させた。この後、125I−イベリオトキシン−D19Y/Y36Fのチャンネルへの結合を監視するアッセイを用いて、細胞をmaxi−Kチャンネルアルファおよびベータ1サブユニットの存在について試験した。次に、125I−イベリオトキシン−D19Y/Y36F結合活性を発現する細胞を、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ABS技術をVIPR装置で用いてトランスフェクトしたHEK−293細胞の膜電位を制御するmaxi−Kチャンネルの能力を監視する機能アッセイにおいて評価した。最も大きい信号対雑音比を示すコロニーに制限希釈を施した。このため、細胞を約5細胞/mlで再懸濁させ、ウェル当たり約1細胞が加わるように200μlを96ウェル組織培養処理プレートの個々のウェルに入れた。合計で2つの96ウェルプレートを作製した。集密単層が形成されたとき、細胞を6ウェル組織培養処理プレートに移した。合計で62ウェルを移した。集密単層が得られたとき、FRET−機能アッセイを用いて細胞を試験した。最良の信号対雑音比を示すトランスフェクトした細胞を同定し、次の機能アッセイにおいて用いた。
【0227】
機能アッセイについて:
次に、トランスフェクトした細胞(2E+06細胞/mL)を96ウェルポリ−D−リジンプレートに約100,000細胞/ウェルの密度で塗布し、約16から約24時間インキュベートする。培地を吸引して細胞を残し、細胞を100μlのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS)で1回洗浄する。ウェル当たり100マイクロリットルのD−PBS中約9μMのクマリン(CCDMPE)−0.02% pluronic−127を添加し、ウェルを暗所で約30分間インキュベートする。細胞を100μlのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、100μlの(mM)140NaCl、0.1KCl、2CaCl、1MgCl、20ヘペス−NaOH、pH7.4、10グルコース中約4.5μMのオキサノール(DiSBAC(3))を添加する。HEK−293細胞の内因性カリウム伝導の阻害剤3マイクロモルを添加する。maxi−Kチャンネルブロッカーを添加し(約0.01マイクロモルから約10マイクロモル)、細胞を室温、暗所で約30分間インキュベートする。
【0228】
これらのプレートを電位/イオンプローブ・リーダー(VIPR)装置に装填し、CCDMPEおよびDiSBAC(3)の両者の蛍光放射を10秒間記録する。この時点で、100μlの高カリウム溶液(mM):140KCl、2CaCl、1MgCl、20ヘペス−KOH、pH7.4、10グルコースを添加し、両色素の蛍光放射をさらに10秒間記録する。高カリウム溶液を添加する前のCCDMPE/DiSBAC(3)比は1に等しい。maxi−Kチャンネル阻害剤が存在しない状態で、高カリウム溶液を添加した後の比は1.65−2.0の間を変化する。maxi−Kチャンネルが公知標準または試験化合物のいずれかによって完全に阻害されるとき、この比は1の間まである。したがって、この蛍光比の濃度依存性の変化を監視することにより、maxi−Kチャンネル阻害剤の活性を滴定することができる。
【0229】
本発明の化合物は、この蛍光比の濃度依存性の阻害を、約1nMから約20μM、より好ましくは、約10nMから約500nMの範囲のIC50で生じることが見出された。
【0230】
B.高伝導性カルシウム活性化カリウムチャンネルに影響を及ぼす化合物の電気生理学的アッセイ
方法:
高伝導性カルシウム活性化カリウム(maxi−K)チャンネルを流れる電流のパッチクランプ記録を、maxi−Kチャンネルのα−サブユニットを恒常的に発現するCHO細胞またはα−およびβ−サブユニットを恒常的に発現するHEK293細胞から切除した膜パッチから、通常の技術(Hamillら, 1981, Pflugers Archiv. 391, 85−100)を用いて室温で行った。ガラスキャピラリ管(Garner #7052またはDrummondカスタムホウケイ酸ガラス1−014−1320)を2段階で引き、直径が約1−2ミクロンのマイクロピペットを得た。ピペットに、典型的には、(mM):150KCl、10ヘペス(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンメタンスルホン酸)、1Mg、0.01Caを含有し、KOHでpH7.20に調整した溶液を充填した。原形質膜とピペットの間に高抵抗(>10オーム)シールを形成した後、ピペットを細胞から引き抜き、切除された裏返しの膜パッチを形成した。このパッチを、(mM):150KCl、10ヘペス、5EGTA(エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸)、1−5μMの遊離Ca濃度を得るのに十分なCaを含有し、pHをKOHで7.2に調整した浴溶液中に切り出した。例えば、4.193mM Caを添加して22℃で1μMの遊離濃度を得た。EPC9増幅器(HEKA Elektronic、Lambrect、ドイツ)を電位の制御および膜パッチを横切って流れる電流の測定に用いた。ヘッドステージへの入力はAg/AgClワイヤでピペット溶液に接続し、増幅器アース端子は、0.2M KClに溶解した寒天を充填した管で覆われたAg/AgClワイヤで、浴溶液に接続した。maxi−K電流の素性は膜電位および細胞内カルシウム濃度に対するチャンネル開放可能性の感受性によって確認した。
【0231】
データ収集はPULSEソフトウェア(HEKA Elektronic)によって制御し、PULSEFIT(HEKA Elektronic)およびIgor(Wavemetrics、Oswego、OR)ソフトウェアを用いる後の分析のため、MacIntoshコンピュータ(Apple Computers)のハードドライブに保存した。
【0232】
結果:
本発明の化合物のmaxi−Kチャンネルに対する効果を、切除された裏返し膜パッチにおいて、浴溶液を一定灌流させて試験した。膜電位は−80mVで保持し、正膜電位(典型的には、+50mV)への短時間の(100−200ms)電位段差を15秒毎に1回印加してmaxi−Kチャンネルを一時的に開放させた。各実験における陽性対照として、カルシウムを添加しない標準浴溶液に1mM EGTAを添加することによって作製した低濃度のカルシウム(<10nM)にパッチを一時的に晒した後、maxi−Kチャンネルをパルス電位で排除した。各実験において遮断されたチャンネルの割合を、膜パッチの内側に指定された化合物を適用することによって生じるピーク電流の減少から算出した。化合物は遮断の定常状態レベルが達成されるまで適用した。チャンネル遮断のK値は、各化合物濃度で得られた遮断割合をHill式でフィットさせることによって算出した。本発明において説明される化合物によるチャンネル遮断のK値は0.01nMから10μMを上回るまでの範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

(式中、
Rは水素、もしくはC1−6アルキルを表し;
およびRは、独立して、水素またはハロを表し;
はNもしくはOを表し;
Xは−(CHR−、−(CHRCO−を表し;
Yは−CO(CH−、CH、または−CH(OR)−を表し;
QはN、もしくはOを表し、ここで、QがOであるときRは存在せず;
はH、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキル、−C(O)OC1−6アルキル、−SON(R)、−SO1−6アルキル、−SO6−10アリール、NO、CNまたは−C(O)N(R)を表し;
は水素、C1−10アルキル、OH、C2−6アルケニル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−N(R)、−COOR、または−(CH6−10アリールを表し、前記アルキル、ヘテロシクリルもしくはアリールはRから選択される1−3個の基で場合により置換され;
は水素,C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CHCOOR、−(CH6−10アリール、−(CHNHR、−(CHN(R)、−(CHN(R、−(CHNHCOOR、−(CHN(R)COR、−(CHN(R)COR、−(CHNHCOR、−(CHCONH(R)、アリール、−(CH1−6アルコキシ、CF、−(CHSOR、−(CHSON(R)、−(CHCON(R)、−(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CHCOR8、ニトロ、シアノもしくはハロゲンを表し、前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルもしくはアリールは1−3個のRの基で場合により置換され;
または、RおよびRは間にあるQと共に、1−2原子のO、S、C(O)もしくはNRが場合により挟まり、および1−4の二重結合を場合により有し、およびRから選択される1−3個の基で場合により置換される3−10員の炭環式もしくは複素環式炭素環を形成し;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルコキシ、OH、C1−6アルキル、COOR、SOH、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、OCF、−N(R)、ニトロ、シアノ、C1−6アルキルアミノ、またはハロゲンを表し;
【化2】

はC6−10アリールもしくはC3−10複素環を表し、前記アリールもしくは複素環はRから選択される1−3個の基で場合により置換され;
Zは(CHPO(OR)(OR)を表し;
は水素、もしくはC1−6アルキルを表し;
は水素、C1−6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し;
は−(CH3−8シクロアルキル、−(CHn3−10ヘテロシクリル、C1−6アルコキシまたは−(CH5−10ヘテロアリール、−(CH6−10アリールを表し、前記ヘテロシクリル、アリールもしくはヘテロアリールはRから選択される1−3個の基で場合により置換され;
はF、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−COR、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−Z−C(=Z)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−Z−C(=Z)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C3−10ヘテロシクリル、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキルを表し、前記アルキル、アルケニル、アルコキシ、ヘテロシクリルおよびアリールはC−Cアルキル、CN、NO、OH、CON(R)およびCOORから選択される1−3個の基で場合により置換され;
およびZは、独立して、NR、O、CH、もしくはSを表し;
gは0−1であり;
mは0−3であり;
nは0−3であり;並びに
pは0−3である)
の化合物またはこれらの医薬適合性の塩、生体内加水分解性エステル、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくは混合物。
【請求項2】
pが1−3であり、Yが−CO(CHであり、QがNであり、Xが−(CHR−、または−(CHRCO−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
QがOであり、およびRが存在しない、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
ZがPO(OR)(OR)であり、RがC1−10アルキルまたはC1−6アルキルOHであり、Yが−CO(CHであり、およびRが(CH3−10ヘテロシクリルであり、前記へテロシクリルおよびアルキルが1から3個のRの基で場合により置換される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
【化3】

がRから選択される1−3個の基で場合により置換される6員のヘテロアリールまたはフェニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
【化4】

がRから選択される1−3個の基で場合により置換されるピリジルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
ナトリウムまたは二ナトリウム塩の形態にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
【化5】

で表される化合物またはこれらの医薬適合性の塩、生体内加水分解性エステル、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくは混合物。
【請求項9】
高眼圧または緑内障を治療するための医薬の製造のための請求項1における式Iの化合物の使用。
【請求項10】
黄斑浮腫、黄斑変性、網膜および視神経乳頭血液速度の増加、網膜および視神経酸素圧の増加の治療、並びに/または神経保護効果のための医薬の製造のための請求項1における式Iの化合物の使用。
【請求項11】
カリウムチャンネルを含む哺乳動物細胞の再分極もしくは過分極を防止するための、またはアルツハイマー病、うつ病、認知障害、および/または不整脈障害を治療するための医薬の製造のための請求項1における式Iの化合物の使用。
【請求項12】
糖尿病を治療するための医薬の製造のための請求項1における式Iの化合物の使用。
【請求項13】
請求項1における式Iの化合物および医薬適合性の担体を含有する組成物。
【請求項14】
式Iの化合物が局所処方として適用される、請求項13に記載の組成物であって、前記局所処方が溶液または懸濁液として投与され、並びにキサンタンガムおよびゲランガムを場合により含む組成物。
【請求項15】
β−アドレナリン遮断剤、副交感神経作動性薬剤、交感神経作動性薬剤、炭酸脱水酵素阻害剤、EP4アゴニスト、プロスタグランジンもしくはこれらの誘導体、降圧性脂質、神経保護剤、および/または5−HT2受容体アゴニストからなる群に属する1種類以上の活性成分が場合により添加される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
β−アドレナリン遮断剤がチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、もしくはレボブノロールであり;副交感神経作動性薬剤がピロカルピンであり;交感神経作動性薬剤がエピネフリン、ブリモニジン、イオピジン、クロニジン、もしくはパラ−アミノクロニジンであり、炭酸脱水酵素阻害剤がドルゾールアミド、アセタゾラアミド、メタゾラアミドもしくはブリンゾラアミドであり;プロスタグランジンがラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン、レスクラ、もしくはS1033であり、降圧性脂質がルミガンであり、神経保護剤がエリプロジル、R−エリプロジルもしくはメマンチンであり;および5−HT2受容体アゴニストが1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−イミダゾル−6−オールフマレートもしくは2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾル−1−イル)−1−メチル−エチルアミンである、請求項15に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−504236(P2007−504236A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525401(P2006−525401)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/028351
【国際公開番号】WO2005/025568
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】