説明

高純度スタチンナトリウム

【課題】プラバスタチンラクトンなどの不純物を実質的に伴わないプラバスタチンナトリウムの提供。
【解決手段】例えば、随伴する全不純物の含量が、約0.5%重量かそれに満たない、あるいは、随伴する全不純物の含量が、約0.2%重量かそれに満たないプラバスタチンナトリウムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラバスタチンラクトンなどの不純物を実質的に伴わないプラバスタチンナトリウムに関する。例えば、随伴する全不純物の含量が、約0.5%重量かそれに満たない、あるいは、随伴する全不純物の含量が、約0.2%重量かそれに満たないプラバスタチンナトリウムに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋閉塞、発作および抹消血管症など心臓血管の合併症が米国内の死者の半数を占めている。高レベルな血流中の低密度リポタンパク質(LDL)は、血流を阻害し、破裂する場合もあり、血栓症を促進する冠状動脈疾患の形成に結びついてきた。Goodman and Gilman,The PHarmacological Basis of Therapeutics 879(9thed.1996)を参照。血漿のLDLレベルの減少は、心臓血管症を有する患者、および心臓血管症を有しないが高コレストロール症を有する患者の臨床状態となる危険性を減少することを示してきた。Scandinavian Simvastain Survial Study Group,1994;Lipid Reserch Clinics Program,1984a,1984bを参照。
【0003】
スタチン薬品は、心臓血管症の危険性のある患者における血流LDLレベルの減少に利用できる現段階で最も治療に有効な薬品である。とりわけ、この種の薬品には、コンパクチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、およびフラバスタチンを含んでいる。スタチンの作用機構は、ある程度詳細に明示されてきた。これらは、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−補酵素A還元酵素(「HMG-CoA還元酵素」)を競合的に抑止することによって、肝臓内のコレステロールや他のステロールの合成を阻害する。HMG-CoA還元酵素は、それは、コレステロールの生物的な合成速度の決定ステップであるHMG-CoAのメバロン酸への転化することを触媒としている。
したがって、その抑制化は、肝臓内のコレステロール形成速度の低減に導く。
【0004】
プラバスタチンは、化学化合物[1S−[1α(β',δ’)2α,6α,8β(R'),8aα]]−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−β,δ,6−トリヒドロキシ−2−メチル−8−(2−メチル−1−オキソブトキシ)−1−ナフタレン−ヘプタン酸(CAS Registry No.81093-370.)の一般的な医薬名である。遊離酸形状におけるプラバスタチンの分子構造は、R=OHである化学式(Ia)で表される。ラクトンの形状は、化学式(Ib)で表わされ、各原子を符号化して番号付けを明示している。
【0005】
【化1】

【0006】
プラバスタチン、コンパクチン(化学式Ib,R=H),ロバスタチン(化学式Ib,R=CH3),シンバスタチン、およびフルバスタチンそれぞれは、ラクトンで閉鎖されたカルボン酸を末端に有し、そしてカルボン酸基に対してβ位、とδ位に2つの水酸基を有するアルキル鎖を有する。このアルキル鎖は、HMG-CoA還元酵素に結合する上記部分の分子である。δ位置のカルボン酸基や水酸基は、化学式(Ib)に示すようにラクトン化する傾向がある。
【0007】
ラクトン化可能なスタチン様化合物は、遊離酸形状、またはラクトン形状、または両形状の混合する平衡体として存在する。ラクトン化は、化合物の遊離酸やラクトンの形状の違う極性を有することから、スタチン薬品を製造する際にむずかしい処理を生ずる。従って、ラクトン可能化合物を取り扱う場合、これらを高収率で単離するために、通常は取り扱いに非常に慎重に行う必要がある。
【0008】
プラバスタチンは、他のスタチンよりも治療的に顕著な利点を示している。
プラバスタチンは、肝臓および小腸内のコレステロールの合成を選択的に抑制するが、抹消細胞中のコレステロールの合成に対して実質的に影響しない。Koga,T.et al.Biochim.BiopHys.Acta,1990,1045,115-120を参照。
【0009】
この選択性は、ヘキサヒドロナフタレン核のC-6の位置で水酸基のあることが、ある程度要因とされると見受けられる。C-6の位置は、コンパクチンの水素原子、ロバスタチンのメチル基で占められている。プラバスタチンは、他のより脂肪親和性の高い類似体(congeners)より末梢細胞の脂肪親和性膜を浸透する可能性が少なく、Serajuddin et al.,J.PHarm.Sci.,1991,80,830-34を参照、そして、肝臓や腸内で有為的に局在化した作用として説明するために、限定されるがプラバスタチンの移動性が考えられる。
【0010】
本明細に引用として組み入れられた米国特許第4,346,227によれば、プラバスタチンは、コンパクチン代謝の研究中にM.Tanaka らによってコンパクチンの代謝として最初に単離されたと記載されている。‘227特許によれば、プラバスタチンを、種々の微生物、すなわちアブシデア・コエルレア(Absidia coerulea)IFO4423 spores 、カニングハメラ・エキヌラタ(Cunninghamella echinulata IFO4445,ストレプトミセス・ロソクロモゲヌス(Streptomyces rosochromogenus)NRRL1233,シンセファラストラム・ラセモスム(SyncepHalastrum racemosum)IFO4814およびシンセファラストラム・ラセモスム(SyncepHalastrum racemosum)IFO4828を用いてコンパクチンの醗酵で得ることができる。醗酵後、プラバスタチンは、上記ブロスをpH3に酸性化することによって醗酵ブロスから分離され、プラバスタチンおよび他の非親水性有機物を酢酸エチルで抽出して、その後塩水で洗浄した。
【0011】
プラバスタチンの遊離酸を、トリフルオロ酢酸の触媒量を付加することによりラクトン化し、次いで希釈された炭酸水素ナトリウムで中和し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発乾固した。残留物を逆相液化クロマトグラフィ(“HPLC”)によって精製した。当業者は、逆相HPLCが、化学化合物の大規模な調製の経済的な精製方法でないことを理解できるはずである。
【0012】
米国特許第5,942,423は、アクチノマドラ(actinomadura)菌株を用いて微生物によるコンパクチンのプラバスタチンへの水酸化に関する。上記例に提示された単離のみの方法は、醗酵ブロスHPLC分析の分析規模に付随した最少量の単離である。ブロスからプラバスタチンの単離に関するより一般的な記載によれば、単離の好ましい方法はHPLCである。
【0013】
PCT出願番号PCT/US00/19384(commonly-assigned,co-pending PCT Application Serial No.PCT/US00/19384)は、コンパクチンの抗菌性効果に通常抵抗性のないミクロモノスポラ・マクラタ(Micromonospora maculata)の菌株を用いて、コンパクチンのプラバスタチンへの微生物による水酸化に関する。
【0014】
米国特許第5,202,029は、HPLCを用いたHMG-CoA還元酵素抑制剤を精製する方法に関するものである。HPLCカラム上の不純物の分離に従い、HMG-CoA還元酵素抑制剤が、溶離液に溶解される溶質としてHPLCカラムから溶離する。溶離液は、1部蒸発され、それでHMG-CoA還元酵素抑制剤の結晶化を誘発するために水が加えられる。
【0015】
米国特許第5,616,595は、接線方向のろ過による醗酵ブロスから水に不溶な化合物を回収するための連続処理方法に関するものである。醗酵ブロスが、ろ過器を通して循環される。上記ブロスが、ろ過器を介して水を失うことから、各循環で徐々に濃度を増してくる。いったん所望の濃度に達すると、次に濃縮ブロスを、所望の化合物が可溶な溶媒でスラリー状にする。そのスラリーは、ろ過器を通して循環される。所望の化合物の溶液を、ロ液として集め、次いで所望の化合物をロ液から単離し、所望によりさらに精製処理にかける。上記方法は、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンを含んでいる広範囲な化合物に適用できると言われている。
【0016】
ラクトンの形状におけるロバスタチンを単離するための方法は、米国特許番号5,712,130に記載されている。この方法において、ロバスタチンは、酢酸ブチルにより醗酵ブロスから抽出される。次に得られた溶液が遠心分離にかけられ、外側に分離された水溶液相は廃棄される。有機相は、40℃を超える温度で真空蒸留され、溶液を濃縮することに加えて、水を除去することによってラクトン化を促進する。ロバスタチンラクトンの結晶は、冷却により結晶化され、90%以上の純度で再結晶される。この方法は、遊離カルボン酸またはスタチンのカルボン酸塩の形状を単離することにあまり適切でないことが当業者には理解されよう。
【0017】
現段階で、プラバスタチンを作成する最も経済的で可能性のある方法は、C−6の位置でコンパクチンの酵素的な水酸化によることである。しかしながら、醗酵ブロスからスタチンを単離する周知の方法は、そのナトリウム塩としてプラバスタチンの単離に適切でなく、薬理的に受入れ可能なレベルの純度に達成されないか、または高純度を実現するために、クロマトグラフで分離する必要がある。本発明は、調製規模で、高純度、高収率、且つクロマトグラフの精製を必要とせず醗酵ブロスからプラバスタチンを単離する有効な方法を技術的に満たしている。
【発明の開示】
【0018】
本発明は、プラバスタチンラクトンなどの不純物を実質的に伴わないプラバスタチンナトリウムを提供する。例えば、本発明は、随伴する全不純物の含量が、約0.5%重量かそれに満たない、あるいは、随伴する全不純物の含量が、約0.2%重量かそれに満たないプラバスタチンナトリウムを提供する。
上記のプラバスタチンナトリウムは、例えば、水溶性醗酵ブロスからスタチン化合物を単離する有効な方法により得られる。具体的において本発明のプラバスタチンナトリウムは、クロマトグラフによる分離を必要とせずにプラバスタチンを精製するための工業的製造規模の方法により得られる。
【0019】
即ち、本発明は、プラバスタチンナトリウムを実質的に伴わないプラバスタチンラクトンを提供する。
より具体的には、本発明は、全不純物の含量が、約0.5%重量かそれに満たないプラバスタチンナトリウムを提供する。
より好ましくは、本発明は、全不純物の含量が、約0.2%重量かそれに満たないプラバスタチンナトリウムを提供する。
【0020】
さらに本発明の目的は、微生物の形質転換の顕著な立体選択性および位置選択性が有為的な収率とより優れた経済性と同様に、達成できるような高純度の形状と高い収率でプラバスタチンを得ることである。上記プラバスタチンを、溶媒の消費量を最小にしてブロスから分離し、高収率で精製し、薬理的に受け入れ可能なナトリウム塩に形質転換させる。
【0021】
上記方法は、水溶性醗酵ブロスからプラバスタチンの抽出、塩基性水溶液にプラバスタチンの逆抽出、そして所望による有機溶媒中で再抽出、または水溶液を濃縮に関与しており、その結果、醗酵ブロス中のプラバスタチンの初期濃度に対してプラバスタチンの濃縮された水溶液か有機溶液のいずれかとなる。プラバスタチンは、濃縮溶液から、その金属塩、またはアンモニウム塩の析出によって得られ、次いでプラバスタチンの再結晶で精製される。次に再結晶された塩は、塩転換処理され、プラバスタチンのナトリウム塩を形成し、そして、過剰ないずれのかナトリウムイオンも、イオン交換樹脂で除去される。上記プラバスタチンのナトリウム塩を、再結晶化、凍結乾燥、または他の手段によって溶液から単離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、水溶性醗酵ブロスからプラバスタチン、コンパクチン、およびロバスタチンを単離するための方法である。本発明は、醗酵ブロスからプラバスタチンナトリウムの単離することで示される。しかしながら、上記方法を、微生物または酵素による方法で作成される他の化合物を精製するために使用できることが理解されよう。
【0023】
コンパクチンの酵素による水酸化
プラバスタチンナトリウムは、米国特許第5,942,423および4,346,227で記載のようにコンパクチンの酵素による水酸化で合成される。プラバスタチンを単離できる水酸化されたブロスは、コンパクチンの工業的規模の醗酵として知られる任意水溶性ブロスでよい。上記ブロスは、醗酵の競合による中性または塩基性である場合、ブロスを約1と6の間のpH、好ましくは1と5.5の間、より好ましくは2と4の間のpHとなるように、酸が加えられる。使用できる酸は、塩酸、硫酸、トリフロロ酢酸、または他の任意のプロトン性酸、好ましくは水中1M溶液として1以下のpHを有するものを含んでいる。醗酵ブロスの酸性化は、ブロス中のプラバスタチンのカルボキシル塩を遊離酸におよび/またはラクトンに転換させる。
【0024】
プラバスタチンナトリウムの単離
本発明の方法は、プラバスタチンの濃縮溶液を形成するステップ、上記濃縮溶液からプラバスタチンの塩を得るステップ、上記プラバスタチンの塩を精製するステップ、プラバスタチン塩をプラバスタチンナトリウム塩に塩転換させるステップ、およびプラバスタチンナトリウム塩を単離するステップを含んでいる。
【0025】
第1のステップにおいて、プラバスタチンは、一連の抽出、逆抽出の操作によって、水溶性醗酵ブロスから比較的濃く濃縮された溶液で得られる。醗酵は、通常非常に高い希釈状態で行われる。希釈にかかわらず上記ブロスは、有為的な最大酵素性能(maxium enzyme potential)を達成する。高い希釈性による欠点は、所望の生成物が有為的に濃縮された形状で得られるまで、大容量の醗酵媒体を維持しなければならないことである。上記大容量が、単離方法のストリジェントな要件に置いている。クロマトグラフィ法は、こうした大容量の分離、特に溶媒が水の場合に一般的に実用的でない。
【0026】
上記単離処理が抽出で行われると、有機抽出溶媒は、実質的に水中に溶けるほどの極性をまだない生成物の適した分画のため水と競争的に十分な極性を有しなければならない。抽出が不十分な場合、醗酵施設の内部、または周辺でヒトの健康と安全の危険性に伴い、大容量の有機溶媒が、所望の生成物を高収率で単離するために必要とされる。C2−C4アルキル・フォルメイトおよびC2−C4カルボン酸のC1からC4のアルキルエステルは、高効率で水溶性醗酵ブロスからプラバスタチンの抽出で可能であることを、本発明当事者が見出した。プラバスタチン、ラクトンの分画係数は、通常1000:1またはそれより高く、そして遊離酸の分画係数は、通常10:1またはそれより高い。アルキル基は、直鎖、分岐、または環状でもよい。
【0027】
好ましいエステルは、エチルフォルメイト、n−プロピルフォルメイト、i−プロピルフォルメイト、n−ブチルフォルメイト、s−ブチルフォルメイト、i−ブチルフォルメイト、t−ブチルフォルメイト、酢酸メチル、酢酸エチル、n−プロピルアセテート、i−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、s−ブチルアセテート、i−ブチルアセテート、t−ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、n−プロピルプロピオネート、i−プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルブチレート、n−プロピルブチレート、i−プロピルブチレート、ブチルブチレート、メチルイソブチレート、エチルイソブチレート、プロピルイソブチレート、およびブチルイソブチレートを含んでいる。
【0028】
これら好ましい有機溶媒のうち、酢酸エチル、i−ブチルアセテートおよびギ酸エチルが有為的に十分に適したものであることを見出した。最も好ましい抽出溶媒は、i−ブチルアセテートである。他の有機溶媒を、エステルと置き換えることができる。ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、ブチルメチルケトン、ジエチルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテルなど、ハロゲン化されたハロゲン化炭化水素、アロマテック化合物、ケトンおよびエーテルが使用される。
【0029】
本発明の濃縮ステップにおいて、有機抽出物は、好ましくは上記一覧から選択された有機抽出溶媒に、醗酵ブロスを接触することで形成される。上記醗酵ブロスのpHは、pH約1からpH約6の間のpHであり、好ましくは、上記pHは、pH約2からpH約4の間である。
【0030】
大容量の液体をバッチ処理か連続処理のいずれかで混合するため使用される任意の装置を使用することができる。醗酵が通常バッチ処理として行われるから、バッチによる単離処理は自然の選択である。したがって、従来の高容量の混合機、および混合や相分離の両方に適合した設定タンクまたは装置を使用することができる。本発明の本観点の好ましい形態において、最小部、好ましくは50%(v/v)より低い抽出溶媒を、好ましくはゆっくりと機械的に振動させて醗酵ブロスに接触させる。接触処理および相分離した後、プラバスタチンを含んでいる抽出溶媒は、プラバスタチンの減少した醗酵ブロスから分離される。次に上記ブロスは、1回または複数回有機抽出溶媒に接触させて、そして得られたそれぞれの有機抽出物を組み合わせできる。
【0031】
プラバスタチンの得られた有機抽出物の容量は、醗酵ブロスの容量より有為的に多い場合、または有為的に少ない場合いずれも可能である。
【0032】
プラバスタチンの濃縮溶液の形成に向けた第二の操作は、プラバスタチンの塩基性水溶液への逆抽出である。逆抽出は、一部非極性または、全体の非極性有機不純物を除去し、そしてプラバスタチンラクトンが存在する場合、プラバスタチンラクトン環の再開環を促進する。特に化学的理論または機構によるいずれかの方法にも限定を意図するものでないが、十分に確立された化学的理論によれば、プラバスタチンは、塩基性水溶性抽出液内のカルボン酸アニオンの形状である。
【0033】
逆抽出は、有機抽出物の容量より少ない特定容量の水溶性塩基物を使用することにより、プラバスタチンを濃縮するために使用することができる。上記塩基は、好ましくはNaOH,NH4OHまたはKOH、最も好ましくはNH4OHまたはNaOHであり、そして塩基性水溶液は、好ましくは約7.0と約13.7の間のpH,より好ましくは約7と約13の間、最も好ましくは約7.5と約11の間のpHを有する。抽出を完了するために十分な接触が起っていたとする主観的な判断を含くめて、薄相クロマトグラフや他の任意の方法により決定されるように有機相のプラバスタチンの量が、実質的に消失されるまで抽出溶媒を、塩基性水溶液に接触させる。複数の逆抽出を最適な回収のために行うことができる。しかしながら、1回の逆抽出は、有機相が酢酸ブチルである場合効率が高い。
【0034】
好ましくは、逆抽出は、有機抽出量の1/3未満、より好ましくは1/4未満、最も好ましくは有機抽出量の約1/5である特定量の塩基性水溶液で行なわれる。プラバスタチンがこの処理の後で得られる濃縮水溶液の好ましい濃度範囲は、約2から約50g/L、より好ましくは約5から約15g/Lである。
【0035】
水溶性抽出液は、溶液の濃度を増大するために。蒸留により、好ましくは真空蒸留により、さらに濃縮することができる。蒸留による水溶性抽出液をさらに濃縮する前に、pHを、pH約7とpH約13.7の間、好ましくはpH約7.5とpH約11の間、およびより好ましくは、pH約8とpH約10の間で調整すべきである。真空蒸留を、絶対圧5-120mmHg下で水溶性抽出液を約30℃から約80℃に加熱することによって行うことができる。他の真空蒸留条件の選択は、本方法に関する当業者の能力の十分範囲内である。
【0036】
本処理の後濃縮水溶液からプラバスタチンを得ることに対する他の選択肢として、プラバスタチンを、濃縮有機溶液から得ることができる。水溶性抽出液を、酸で、好ましくはトリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、酢酸またはリン酸、より好ましくは硫酸またはリン酸で、pH約1からpH約6.5、より好ましくはpH約2.0からpH約4.0のpHにして再酸性化した後、プラバスタチンを有機溶媒で再抽出することによってプラバスタチンの濃縮有機溶液が形成される。条件により、プラバスタチンのカルボキシレートアニオンがプラバスタチン遊離酸にプロトン化される場合があり、それがカルボキシレートより低い極性か、またはまだ低い極性の形態にラクトン化されているかである。
【0037】
プラバスタチンは、醗酵ブロスからプラバスタチンを抽出するために適切であるとして前に前記載されている有機溶媒から選択される再抽出溶媒に再抽出される。有機溶媒は、醗酵ブロスからプラバスタチンの抽出に使用される溶媒と同一でもよいが、同一にする必要もない。この再抽出する際、さらにプラバスタチンの濃縮処理は、水溶性抽出液の約50%(v/v)より少なく、水溶性抽出液の容量に対してより好ましくは約33%(v/v)から約29%(v/v),さらにより好ましくは約25%(v/v)である有機溶媒量で再抽出することによって達成される。
【0038】
したがって、さらに実施例1の実験により、プラバスタチンを、醗酵ブロス100Lから濃縮有機溶液8Lに、開始有機抽出液から89%の収率で濃縮することができる。有為的に収率の高い精製プラバスタチンを、単一の抽出だけが、本発明を実施するため、本好ましい形態として記載されている抽出を複数行うことによって実現できることが、当業者によって理解されよう。この好ましい形態は、溶媒の経済性と生成物の高収率の均衡を実現している。
【0039】
単一抽出だけが上に記載されている抽出を繰り返すことにより、さらに収率を促進するという本好ましい形態を離れることは、本発明の精神から必ずしも逸脱するものではない。「塩析」により濃縮有機溶液からプラバスタチンを得るための処理をする前に、濃縮有機溶液を乾燥することが好ましく、それは、MgSO4,Na2SO4,CaSO4,シリカ、パーライトなどの従来の乾燥剤を用いて行うことができ、所望により活性炭を用いて脱色することもできる。次に乾燥、および/または脱色された濃縮有機溶液は、たとえばろ過または傾斜分離処理により都合よく分離される。
【0040】
本方法の次の段階でプラバスタチンの塩は、可能な例として、濃縮水溶液または有機溶液から得られる。上記塩は、濃縮溶液から析出によって得られる。上記析出は、濃縮溶液に金属塩、アンモニア、アミン、アンモニアの塩またはアミンの塩を加えることによって誘発される。
【0041】
使用可能な金属塩は、ヒドロオキサイド、アルコオキサイド、ハライド、カーボネート、ボレイト、ホスフェート、チオシアネート、アセテート、ニトレート、サルフェート、チオサルフェート、および水中で高い溶解性のある他の任意の塩を含んでいる。金属塩の金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、スズ、およびアルミニウムを含んでいる。好ましい塩は、以下の金属カチオン:Li+,Na+,K+,Ca2+,Mg2+,Cu2+,Fe2+,Fe3+,Ni2+,Mn2+,Sn2+,Zn2+およびAl3+イオンの塩である。プラバスタチンの金属塩の析出を誘発するための塩の最も好ましい金属カチオンは、Na+および K+である。
【0042】
アンモニアまたはアミンを加えることによりアンモニウムまたはアミン塩として、プラバスタチンを析出することができる。アミンは、一級、2級、3級アミンでよい。プラバスタチンのアミン、ニトロゲンおよびカルボキシル基の間のイオン相互作用を防止するために立体障害にならない任意のアルキルアミンやアリルアミンを使用することができる。上記アミンは、メチル、ジメチル、トリメチル、エチル、ジエチル、トリエチルおよび他のC1−C6の1級、2級および3級アミンを含んでいるが限定されず、さらにモルホリン、N−メチルモルホリン、イソプロピル・シクロヘキシル・アミン、ピペリジンなどを含んでいる。窒素上で置換のない場合、ある場合または多重にある場合に関係なく、アンモニアまたはアミンの反応で形成される塩は、以後アンモニウム塩として明示される。その意味は、アミンの塩およびアンモニアの塩を包含することを意図されたものである。
【0043】
プラバスタチンのアンモニウム塩の析出を、単独、またはアンモニア、アミン、または金属塩と組み合わせのいずれかのアンモニア塩の付加によっても誘発させることができる。好ましいアンモニウム塩は、以下のようなアンモニアの塩、すなわちNH4Cl,NH4Br,NH4I,(NH4)2SO4,NH4NO3,(NH4)3PO4,(NH4)2S2O4,NH4OAcおよびNH4SCNであり、最も好ましくはNH4Clである。
【0044】
金属塩、アンモニウム塩、および高沸点の液体および固体アミンを、水溶性溶媒または有機溶媒中に固体、混合のない液体か水溶性のいずれかで、従来の手段により、好ましくは換気性の良い場所で加えることができる。気体アンモニアを加えるには、腐食性気体を取り扱うための特別な装置を必要とする。圧力容器、調節器、弁、および配管を含むこうした装置は、広く入手可能である。上記アンモニアを、常圧で、あるいは圧力容器を用いる場合、昇圧された圧力で、濃縮溶液上にある空隙部分に導入できる。選択肢として上記アンモニアを、溶液に通して泡立たせ、好ましくは攪拌することで、管導入口において析出されたプラバスタチンアンモニウム塩によって閉塞になることを減少させる。
【0045】
本発明の方法の好ましい例において、プラバスタチンは、アンモニアまたはアミンの付加によるアンモニウム塩として濃縮溶液から得られる。より好ましい例において、プラバスタチンは、濃縮アンモニアに気体アンモニアを加えることでアンモニアのプラバスタチンの塩として濃縮溶液から得られる。アンモニアは、プラバスタチンの極性高いアンモニウム塩を生成し、それが、抗溶媒から高い収率で容易に析出される。最も好ましい例において、プラバスタチンは、気体状アンモニアおよびアンモニウム塩を加えることで、アンモニウムのプラバスタチン塩として得られる。最も好ましいアンモニウム塩は、NH44CLで、それは、濃縮された有機溶液の乾燥が完全でない場合、濃縮された塩化アンモニウム水溶液を形成するという利点を有する。
【0046】
金属塩、アンモニア、アミンおよび/またはアンモニウム塩を付加する必要のある温度は、小規模な反応を行い、そしてその反応の発熱を監視することによって、定式化した実験で決定される。好ましくは、溶液の温度は、40℃を越えてはならない。80℃程度の高温度は、プラバスタチンを有為的に分解することなく実験できたとしても、本発明の多くの有機溶媒は、低温度で煮沸されることになる。好ましい温度範囲は、約-10℃から約40℃である。
【0047】
いったん析出が停止したと見られ、またはいったんプラバスタチンの消費が、他の手段で実質質的に完了されたと決定されると、付加処理を停止しなければならない。アンモニアまたは揮発性アミンが用いられると、容器内に過剰な発煙を分散するために換気する必要がある。次に結晶は、溶媒のろ過、傾斜分離、溶媒の蒸発乾固または他のこうした方法、好ましくはろ過により単離される。
【0048】
所望による析出された結晶を洗浄した後、プラバスタチン塩は、1回かまたは複数回の再結晶により精製される。プラバスタチン塩を精製するために、上記塩を最初水に溶かす。好ましくは水の量を最小限にして使用する。一般的に溶解するには、金属塩やアンモニア塩の代わりにアミン塩が得られる場合、水をより多く必要とする。
【0049】
いったんプラバスタチン塩が完全に溶解すると、上記溶液の極性は、抗溶媒を加えることで減少せれる。抗溶媒は、水溶性有機溶媒かプラバスタチン塩があまり溶解しない溶媒の混合液である。適当な水溶性有機溶媒は、アセトン、アセトニトリル、アルキルアセテート、イソブタノール、およびエタノールを含んでいる。
【0050】
プラバスタチン塩を、自然発生的に再結晶させてやるか、または共通イオンの付加、冷却または種結晶を加えるなどさらなるステップを取ることによって再結晶化を誘発させる。共通イオンを加えることでさらに再結晶誘発するために、プラバスタチン塩と同じ金属イオンまたはアンモニウムイオンを有する塩が上記混合物に加えられる。プラバスタチン塩の再結晶化を誘発するための適切な塩は、濃縮溶液からプラバスタチン塩を析出するために使用できる塩と同じ金属塩またはアンモニウム塩である。好ましい方法によれば、プラバスタチンは、アンモニウム塩、アンモニアの塩素化塩として得られ、またプラバスタチン塩を得るために前に使用されるアミンは、プラバスタチン塩の再結晶を誘発させるために加えられる。アンモニアのプラバスタチン塩が得られる最も好ましい例において、付加塩は、最も好ましくはNH4Clである。
【0051】
再結晶化は、約-10℃と約60℃の間で、好ましくは約0℃と約50℃の間で、そして最も好ましくは約0℃と約40℃の間で行なわれる。プラバスタチン塩が上記溶液から実質的に再結晶された後、上記結晶を単離して、そしてたとえばイソブチルアセテートとアセトンを1:1の混合液で洗浄し、その後乾燥することができる。乾燥処理を、周囲温度で行うことができるが、好ましくは45℃未満の温度か好ましくは約40℃に穏やかに上げた温度で行なわれる。所望により再結晶は、実施例7および8に示すように良好な結果を得るために繰り返される。それぞれの繰り返しでは、収率が約92-96%である。
【0052】
再結晶後でさえ、プラバスタチンは、HPLC上で相対保持時間(RRT)0.9である有機不純物を含んでいる。有機不純物は、UV検出で得られたHPLCクロマトグラムに基づいて、全組成物の内で約0.2%であると推定される。有機不純物を、以下のように除去することができる。
【0053】
プラバスタチン塩を水中に溶かして、その後、好ましくは最小限の、または約6mlg-1および約0.2%(v/v)のイソブタノールを加える。PHを、約pH8から約pH14,好ましくは約pH10から約pH13.7に、水酸化ナトリウムを加えることにより高くし、そしてその混合液は、約10℃から約50℃の温度で、10-200分、好ましくは約20℃から約30℃の温度で、60-100分保持される。次に上記溶液は、鉱酸または有機酸、好ましくは塩酸または硫酸、約pH4から約pH9,より好ましくは約pH5から約pH9、最も好ましくは約pH6から約pH7.5で再酸性化される。pHを調節した後、次に塩化アンモニウムが、上記プラバスタチンを塩析するために上記溶液に加えられる。使用される水量が、約6mlg-1の場合、プラバスタチン塩のグラム当り塩化アンモニウム2.0-2.3gの使用が推奨される。好ましくは塩化アンモニウムは、4時間から6時間にわたって部分的位置(portionwise)に加えられる。
【0054】
塩化アンモニウムを加えた後、プラバスタチンアンモニウム塩は、自然的発生的に結晶化される。その他の点において、再結晶を、冷却、種付け、またはその他従来の手段によって誘発させることができる。再結晶を、共通イオンの付加を介して、たとえば、塩化アンモニウムを加えることによって誘発させることが好ましいが、前に記載された再結晶ステップにおいて適宜行われた同様の抗溶媒で希釈することによる誘発も可能である。しかしながら、この操作において、プラバスタチン塩の不注意による析出のないよう、慎重に行う必要がある。実施例1により詳細に示されているように、RRT=0.9である有機不純物の量を、検出できる限界を越えて減少して、プラバスタチンアンモニウムは、約99.3%の純度で得られ、薬理的使用を受けることのできるレベルの純度に近づいている。本発明のこの段階で、プラバスタチンアンモニウム塩を、0.7%未満である有機不純物で得ることができる。
【0055】
再結晶により有機不純物を除去した後、プラバスタチン塩を、プラバスタチンナトリウムで塩転換(trans-salifing)する。本明細書に用いられている塩転換(trans-salifing)は、有機塩分子のカチオンが別のカチオンに交換されるどのような過程に対しても言及される。
【0056】
塩転換(trans-salifing)において、最初プラバスタチンを、水溶性溶媒に上記塩を溶解することによってその金属塩、またはアンモニウム塩から遊離して、水溶性溶液に対して塩酸、硫酸、りん酸トリフロロ酢酸、または酢酸などのプロトン性の酸を加えて、そして水溶性溶液から有機溶媒でプラバスタチンを抽出する。プロトン性酸(protic acid)が、それを中性または酸性に、好ましくは約1から6、より好ましくは約2から約4のpHに酸性化する量で水溶性溶液に加えられる。上記水溶性溶液にプロトン性酸(protic acid)を加える前か後のいずれかで、水溶性溶液を、イソブチルアセテート(i-butyl acetate)や他の水に混和しない有機溶媒などの水に混和しない有機溶媒に接触させる。
【0057】
水溶性溶液に水に混和しない有機溶媒の接触、およびプロトン性酸(protic acid)で処理した後、得られたプラバスタチンを含む有機相が、水溶性相から分離され、そして所望によりアンモニウム残基を除去するために水で洗浄された後、上記プラバスタチンが、水溶性水酸化ナトリウムで逆抽出される。プラバスタチン量よりわずか控えめなモル過剰である、好ましくはその1.1未満に等しく、より好ましくはその1.02等量に未たないNaOHの量を用いることが好ましい。
【0058】
水溶性水酸化ナトリウムに抽出した後、過剰なナトリウムカチオンを、破棄してナトリウムカチオンとプラバスタチンの比をほぼ1:1に等しくなるようにする。破棄処理は、水に不溶なイオン交換樹脂を用いて行なわれる。適当なイオン交換樹脂は、カチオン、およびキレート型樹脂であり、好ましくは、強酸、および弱酸の交換樹脂である。
【0059】
強酸の中で使用可能なカチオン交換樹脂は、スルホン酸(SO3-H+)を有するものである。これらには、Amberlite(商標)IR-118,IR-120,252H;Amberlyst(商標)15,36;Amberjet(商標)1200(H)(Rohm and Haas),Dowex(商標)50WXシリーズ、Dowex(商標)HCR-W2,Dowex(商標)650C,Dowex(商標)Marathon C,Dowex(商標)DR-2030,および Dowex(商標)HCR-S,イオン交換樹脂(DowChemical Co.);Diaion(商標)SK 102 to 116に一連に樹脂(Mitsubishi Chemical Corp.),Lewatit SP 120(Bayer)を含んでいる。好ましい強酸カチオン交換樹脂は、Amberlite(商標)120, Dowex(商標)50WX、および一連のDiaion(商標)SKである。
【0060】
弱酸カチオン交換樹脂は、ペンダントカルボン酸基(pendant carboxylic acid)を有するものを含んでいる。弱酸カチオン交換樹脂は、市販製品、Amberlite(商標)CG-50,IRP-64,IRC50およびC67,Dowex(商標)CCRシリーズ、Lewatit(商標)CNPシリーズおよび、Diaion(商標)シリーズを含んでおりそのうち最も好ましいものはAmberlite(商標)IRC50,Lewatit(商標)CNP80およびDiaion(商標)WK10である。キレート型交換樹脂はあまり好ましくない。利用可能な市販品種の幾つかは、Duolite(商標)C-718、およびC-467(Rohm & Haas)を含んでいる。
【0061】
プラバスタチンナトリウム塩および過剰なナトリウムカチオンの含む溶液を、上記樹脂のカラム又はベッドを通る溶液の通路を含む技術的に周知の方法により、または溶液でフラスコ内に十分な量の樹脂を攪拌することによりイオン交換樹脂で接触することができる。接触の形態は重要ではない。過剰なナトリウムイオンを除去処理した後、pHが希釈で変化するが、プラバスタチンナトリウム溶液のpHは、約pH6.5から約pH10,好ましくは約pH7.4から約pH7.8の範囲とすべきである。より高いpHからより低いpHに平坦化することは、過剰なNa+イオンの破棄が実質的に完了したことを示している。破棄が完了した後、プラバスタチンナトリウム溶液を、従来の方法で樹脂から分離する。カラムか、ベッドからの溶出液としていずれかで収集可能であり、またろ過、傾斜分離などによって分離することができる。
【0062】
プラバスタチンナトリウムを、結晶化によって、プラバスタチンナトリウムは溶液から単離することができる。有効な結晶化は、真空蒸留またはナノろ過で行なわれる。好ましくは、水溶性プラバスタチンナトリウム塩溶液が、結晶化する前に約20から約50w/v%に濃縮される。もし必要であれば濃縮の後、プラバスタチンナトリウム水溶液を、H+形状のイオン交換樹脂で約7と約10の間のpHに調整することができる。
【0063】
プラバスタチンナトリウム溶液に水溶性有機溶媒または有機溶媒の混合液を付加する処理は、再結晶を支援する。特に、アセトン、アセトン/アセトニトリル、エタノール/アセトニトリル、およびエタノール/酢酸エチルの混合物を言及することができる。プラバスタチンナトリウムを再結晶するための最も好ましい溶媒系の1つは、プラバスタチンナトリウム水溶液を約30w/v%に濃縮することによって形成される1/3/12の水/アセトン/アセトニトリルの混合比である。他の最も好ましい結晶化溶媒の混合液は、水−アセトン(1:15)である。
【0064】
プラバスタチンナトリウムを、水溶性プラバスタチンナトリウム溶液の凍結乾燥によって単離することもできる。
【0065】
上記生成物の純度を改良する結晶化によって単離されるか、または他の手段で単離されるかは、本発明を実施する際単離されたプラバスタチンナトリウムが、プラバスタチンラクトンを実質的に伴わないことである。以下の実験で実証されているように、プラバスタチンナトリウムが、全不純物の含量を0.5%(w/w)未満で単離される。さらにプラバスタチンナトリウムを、本発明の好ましい実施態様を遵守することによって、全不純物含量0.2%(w/w)以下で単離することができ、その2つを、実施例1と15で例示的に示している。全不純物含量の一部である主な不純物は、エピプラバスタチンナトリウム、3′−OHコンパクチンナトリウム、6−ヒドロキシイソコンパクチンナトリウムおよびプラバスタチンラクトンを含んでいる。
【0066】
けれど、以下の例は、その実例の幾つかにおいて本発明の実施の形態を示している。上記実施例は、本発明の範囲を限定するものとして構成されるべきでない。他の実例が、本明細書および実施例を考慮して当業者に対して明らかになるであろう。実施例を含んでいる本明細書は、以下の請求項によって指示される本発明の範囲および精神で例示的にのみ考慮されることが意図されている。
【実施例】
【0067】
実施例1
プラバスタチンの精製
醗酵ブロス(100L)が、硫酸を付加することで約2.5から約5.0のpHに酸性化された。酸性化された醗酵ブロスをイソブチルアセテート(i-butyl acetate)(3x50L)で抽出した。イソブチルアセテート(i-butyl acetate)による抽出の収率は、上記ブロス中の内部基準に校正されたHPLC分析で95%にあることがわかった。HPLC条件(逆相):カラム:C18,粒子サイズ5μm、長さ150mm、直径4.6mm;移動相:45%メタノール/水、0.1%Et3N,0.1%氷酢酸;流量1.3mlmin-1;カラム温度25℃,注入容量10μl;内部基準エチルパラヒドロキシルベンゾエイト;検出:UVλ=238nmである。
【0068】
次に組み合わされたイソブチルアセテート(i-butyl acetate)相を、濃縮水酸化アンモニウムを加えてpH約7.5からpH約11.0にした水(35L)で抽出した。その後、得られたプラバスタチン水溶液を、5Mの硫酸を加えてpH約2.0から約4.0に再酸性化して、そしてイソブチルアセテート(i-butyl acetate)(8L)で再抽出した。イソブチルアセテート(i-butyl acetate)中に得られたプラバスタチン溶液を、パーライトおよび硫酸ナトリウム(Perlite and Na2SO4)で部分乾燥した。プラバスタチンを傾斜分離し、乾燥剤をろ過して、活性炭(1.7g)で脱色した。次にその溶液をろ過により活性炭を除去し、そして気体吸入口を備えたフラスコに移し換えた。
【0069】
それで、アンモニアガスを、15-25℃で、高速攪拌しながら、溶液の上の上部空隙に導入した。さらに析出が停止したと見受けられた後、上記アンモニアを止めて、塩化アンモニウムが、ろ過処理を容易にするために上記混合物に加えられた。析出されたアンモニウムプラバスタチン・カルボキシル塩の結晶を、ろ過により収集し、イソブチルアセテート(i-butyl acetate)で洗浄し、その後アセトンで洗浄して、HPLCにより、UV検出、λ=238nmで判定された、純度約94%のプラバスタチンアンモニウム塩を生成した。
【0070】
さらに、プラバスタチンアンモニウム塩を、以下のように飽和化アンモニウム溶液から再結晶により精製した。活性物質のプラバスタチン塩含有物162gを水(960ml)に溶解し、アセトン(96ml)とイソブチルアセテート(i-butyl acetate)(96ml)、約35-40℃で希釈した。上記溶液を約30-32℃に冷却して、プラバスタチンアンモニウムは、固体塩化アンモニウムを付加し、さらに見かけ上結晶形成の増大のなくなるまで付加することによって、結晶化のために誘発された。固体塩化アンモニウムを加えた後、その溶液を約0-26℃に冷却した。プラバスタチンアンモニウムの結晶がろ過により収集され、イソブチルアセテート(i-butyl acetate)とアセトンで洗浄し、その前後同様に約40℃で乾燥した。得られたプラバスタチンアンモニウム塩の結晶(155.5g)は、上記条件を用いてHPLCの判定として約98%の純度で得られた。
【0071】
上記プラバスタチンアンモニウム塩を、以下のように他の結晶化によりさらに精製した。プラバスタチンアンモニウム塩(活性物質155.5g)を、水(900ml)中に溶解した。イソブタノール(2ml)を加えて、その後pHを、水酸化ナトリウムの濃縮溶液を加えることで約pH10から約pH13.7にあげ、その溶液を周囲温度で75分間攪拌した。上記溶液は、硫酸を付加してpH約7のpHに中和化され、プラバスタチンアンモニウムの結晶化が、固体NH4Clの付加しることで誘発された。結晶(150g)をろ過で収集し、アセトンで洗浄した。プラバスタチンアンモニウムは、上記条件を用いて、HPLC検出で約99.3%の純度であることがわかった。
【0072】
次いでプラバスタチンアンモニウムを、以下のようにナトリウム塩に塩転化(trans-salified)した。プラバスタチンアンモニウム塩の結晶を水(1800ml)に溶解した。イソブチルアセテート(i-butyl acetate)(10.5L)を加えた。次にその溶液を、硫酸を加えて約pH2からpH4の間のpHに酸化し、プラバスタチンをその遊離酸に転化させた。プラバスタチンを含んでいるイソブチルアセテート(i-butyl acetate)相を水(5x300ml)で洗浄した。次にプラバスタチンをそのナトリウム塩に転化させ、別の水溶液相に、約pH7.4から約pH13のpHに達するまで、NaOH,8mを間歇的に加えて水(900-2700ml)上のイソブチルアセテート(i-butyl acetate)を旋廻することによって逆抽出(back-rxtracted)した。
【0073】
次にプラバスタチンナトリウム塩を、過剰なナトリウム・カチオンを廃棄するためにイオン交換樹脂で処理した。分離後、水溶液相を、Amberlite(商標)IRC50交換樹脂,H+の形状で、周囲温度、30分間攪拌した。攪拌は、約pH7.4から約pH7.8のpHに達するまで続けられた。
【0074】
次に上記溶液をろ過して樹脂を除去し、重量で508gまで、真空下で部分的に濃縮した。次にその溶液をアセトニトリル(480ml)で希釈して、アセトニトリル:水の混合溶媒比を、1.4:1の比の溶媒を与えた。その溶液を脱色するために活性炭(5g)を介して攪拌した。活性炭のろ過後、プラバスタチンナトリウムを、アセトンおよびアセトニトリルをさらに加えて水/アセトン/アセトニトリルの混合(5.9L)を1/3/12にして、約-10から約0℃にした後で、結晶化による結晶として90%の収率で得られた。プラバスタチンナトリウムは、上に記載の条件を用いて、HPLCで測定されたように、醗酵開始活性化物質から、約99.3%の純度で、全収率65%で得られた。
【0075】
実施例2
実施例1の方法に従うが水/アセトン/アセトニトリルの混合液からの再結晶化を除いて、プラバスタチンナトリウムが、水中におけるプラバスタチンナトリウム濃縮溶液の凍結乾燥によって、純度約99%、収率約72%で得られた。実施例1と本試料の最終純度の比較では、プラバスタチンナトリウムの凍結乾燥よりむしろ再結晶化が、ある程度高い純度の生成物を生成することを実証した。
【0076】
実施例3−6
実施例1の方法に従って、プラバスタチンナトリウムが、該当する有機溶媒が塩転換処理(trans-salification process)に使用される時、表1に示される収率および純度で醗酵ブロスから単離された。
【0077】
【表1】

【0078】
実施例7
実施例1の方法に従うが、プラバスタチンアンモニウム塩の結晶化を一度繰り返すことにより、プラバスタチンアンモニウム塩をさらに精製すると、プラバスタチンナトリウムが、約99.6%の純度と、58.4%の収率で得られた。
【0079】
実施例8
実施例1の方法に従うが、プラバスタチンアンモニウム塩の結晶化を2度繰り返すことにより、プラバスタチンアンモニウム塩をさらに精製すると、プラバスタチンナトリウムが、約99.8%の純度と、53%の収率で得られた。
【0080】
実施例9
実施例1の方法に従い、醗酵ブロス(100L)を、硫酸を付加することでpHを約2.5から約5.0に酸性化した。酸性化された醗酵ブロスをイソブチルアセテート(i-butyl acetate)(3x50L)で抽出した。次に組み合わされたイソブチルアセテート(i-butyl acetate)相を、濃縮された水酸化アンモニウムを加えることで、pH約7.5からpH約11.0のpHに塩基化された水(35L)で抽出した。
【0081】
実施例1で行ったと同様にさらに濃縮された有機溶液を得るために水溶性抽出液を再酸性化し、そしてイソブチルアセテート(i-butyl acetate)で抽出処理するかわりに、水性抽出液が真空下で140g/Lに濃縮された。得られた濃縮溶液は、pH約4.0からpH約8のpHを有した。過剰なアンモニアを蒸発乾固より除去した。
【0082】
次に塩化アンモニウムの結晶(405g)が、4時間にわたって、ある部分に沿って(portionwise) 濃縮溶液にゆっくりと加えられ、そしてプラバスタチンアンモニウム塩を周囲温度で結晶化させた。次に、その結晶をろ過により単離して、塩化アンモニウムの飽和水溶液で洗浄した。次にその結晶が水(1L)中、40℃で加えられた。溶解した後、その温度を30℃に下げ、そして塩化アンモニウム(330g)を、ある部分に沿って(portionwise)2時間にわたり、上記溶液に加えられた。次にその溶液を周囲温度で15時間攪拌混合して、プラバスタチンアンモニウム塩の結晶を、ろ過により回収し、イソブチルアセテート(i-butyl acetate)で洗浄、次にアセトンで洗浄した後で乾燥した。次に得られた結晶は、ナトリウム塩に換えられる再結晶化によって、さらに精製され、そして実施例1に記載のように単離された。
【0083】
プラバスタチンナトリウムは、約99.6%の純度、および64.7%の収率で得られた。
【0084】
実施例10
実施例1の方法に従うが、プラバスタチンナトリウム塩は、水/アセトン、1/15の混合液から結晶化され、HPLCで測定されたように醗酵開始活性物質の全収率64%、および純度99.6%である。
【0085】
実施例11
実施例9の方法に従うが、第2節の最初で、濃縮された水溶性抽出物(140g.L-1)が得られた。これらの濃縮された水溶性抽出物を、3等分に分割した。次に得られた濃縮溶液を、1MのHCl付加によってpH約4.0からpH約8.0のpHに酸性化した。次に実施例9の第3文節の方法し従い、塩化アンモニウムを表2の塩と代えて、プラバスタチン塩を上記部分のそれぞれから析出し、ナトリウム塩に転移した。
【0086】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラバスタチンラクトンを実質的に伴わないプラバスタチナトリウム。
【請求項2】
全不純物の含量が、約0.5%重量かそれに満たない請求項1に記載のプラバスタチンナトリウム。
【請求項3】
全不純物の含量が、約0.2%重量かそれに満たない請求項1又は2に記載のプラバスタチンナトリウム。

【公開番号】特開2006−273861(P2006−273861A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141646(P2006−141646)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【分割の表示】特願2001−541501(P2001−541501)の分割
【原出願日】平成12年11月28日(2000.11.28)
【出願人】(501309071)テバ ジョジセルジャール ザ−トケルエン ムケド レ−スベニュタ−ルシャシャ−グ (30)
【Fターム(参考)】