説明

高PUFA油組成物

本発明は、高濃度のポリ不飽和脂肪酸を有する油組成物に向けられる。さらに、本発明の油組成物は、有利な安定性および最小限のトランス脂肪酸を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低レベルのトランス-脂肪酸および改善された味および特に食品アプリケーションに適した特性を有する非硬化または部分硬化非動物性油ならびにそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が、脂質栄養素の健康への影響について気づくにつれて、高レベルの不飽和およびポリ不飽和油脂ならびに低レベルのトランス-油脂の油の消費が望まれる。
【0003】
長鎖ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)を含有する油は、食物材料として用いることができる。重要なPUFAは、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、アルファ-リノレン酸(ALA)、ガンマ-リノレン酸(GLA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、アラキドン酸(all-c/s-5,8,11,14-エイコサテトラエン酸;AA)およびステアリドン酸(c/s-6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸;SDA)を含む。これらのPUFAの多くは、海洋性油および植物種子に見出される。PUFAは、細胞の原形質膜に見出されるリン脂質の重要な成分であり、プロスタサイクリン、ロイコトリエンおよびプロスタグランジンを含む人類および動物において重要な他の分子の前駆体である。さらに、PUFAは、適正な発達、特に、幼児脳の発達、ならびに組織の形成および修復に必須である。
【0004】
PUFAは天然起源から抽出するか、または、様々な生体によって合成することができる。しかしながら、天然起源からのPUFAの商業的生産にはいくつかの問題点がある。動物および植物のごとき、天然起源は非常に不均一な油組成物を有する傾向にある。これらの起源から得られた油は、1以上の所望するPUFAを分離し、または、1以上のPUFAを富化した油を製造するために、多大な精製を必要とする。大量のEPAおよびDHAを含有する魚油は不快な味および臭いを有し、それゆえ、食品材料やサプリメントとして望ましくない。さらに、いくつかの場合、魚油カプセルは低レベルの所望成分を含有し、不純物などの他の成分を望ましくないレベルで含有する。
【0005】
PUFAは、栄養、医薬、工業その他の目的に対して有用であると考えられている。したがって、遺伝子組換え種子から高レベルのPUFAを有する油を抽出することに関心が持たれ;これらの種子は、天然産のものと比較して高濃度のSDAを含有するように改良されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のひとつの具体例は、組成物中の脂肪酸またはその誘導体の全重量に対して、少なくとも0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1種のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物に向けられ、前記組成物は、約1meq/kg未満のパーオキシド値を有し、かつ、海洋性油以外の起源に由来するか;約3未満のアニシジン値を有し、かつ、海洋性油以外の起源に由来するか;4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのさらなるポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および約3未満のアニシジン値を有するか;少なくとも約400ppmトコフェロールを有するか;または1重量%未満のトランス-脂肪酸のいずれかである。
【0007】
本発明のもうひとつの具体例は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体全重量に対して少なくとも0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくとも1種のポリ不飽和脂肪酸またはそれらの誘導体を含む油組成物に向けられ、前記組成物は、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rapeseed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、タバコ、およびそれらの混合物よりなる群から選択される遺伝子組換え種子から誘導体される。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、出荷または保存中の油の貯蔵安定性を維持する方法に向けられ、前記方法は、約4から約45℃の範囲の温度にて少なくとも1月間、本発明の油を容器に貯蔵することを含み、ここに、前記油は貯蔵後に3未満のアニシジン値を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、出荷または保存中の油の貯蔵安定性を維持する方法に向けられ、前記方法は、約4から約45℃の範囲の温度にて少なくとも1月間、本発明の油を容器に貯蔵することを含み、ここに、貯蔵中のアニシジン値の絶対変化量は約20を超えないことを特徴とする。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、出荷または保存中の油の貯蔵安定性を維持する方法に向けられ、前記方法は、本発明の油を容器に貯蔵し、前記容器を冷凍することを含む。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、出荷または保存中の油の貯蔵安定性を維持する方法に向けられ、前記方法は、本発明の油をカプセル材料中にカプセル化することを含む。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、本発明の油を含む食用組成物、飲料、栄養サプリメント、または調理油に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
図1Aは、20重量%のステアリドン酸(SDA)および添加された種々の安定化剤を含む油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。図1のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【0014】
図1Bは、20重量%のステアリドン酸(SDA)および添加された種々の安定化剤を含む油組成物についてのアニシジン値(AV)対時間のグラフである。図1のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【0015】
図2Aは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのPV対時間のグラフである。図2のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【0016】
図2Bは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのAV対時間のグラフである。図2のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【0017】
図3Aは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのPV対時間のグラフである。図3のグラフは、25℃で行われた室温エージング試験の結果を示す。
【0018】
図3Bは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのAV対時間のグラフである。図3のグラフは、25℃で行われた室温エージング試験の結果を示す。
【0019】
図4は、20%SDA、20%SDA入りクエン酸、市販魚油、および生物学的等価なSDAブレンド油組成物についてのAV対時間のグラフである。図4のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【0020】
図5は、200ppmのパルミチン酸アスコルビルならびに0、30、60、および120ppmの没食子酸プロピルを含む20%SDA油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。図5は、薄膜IRを用いて60℃にて行われた加速エージング試験の結果を示す。
【0021】
図6Aは、(i)パルミチン酸アスコルビル(AP)およびTBHQ、(ii)クエン酸(CA)およびパルミチン酸アスコルビル(AP)、ならびに、(iii)クエン酸(CA)、TBHQ、およびパルミチン酸アスコルビル(AP)を含有する20%SDA油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。
【0022】
図6Bは、(i)パルミチン酸アスコルビル(AP)およびTBHQ、(ii)クエン酸(CA)およびパルミチン酸アスコルビル(AP)、ならびに、(iii)クエン酸(CA)、TBHQ、およびパルミチン酸アスコルビル(AP)を含有する20%SDA油組成物についてのアニシジン値(AV)対時間のグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の油は、味および臭いに関して向上した安定性および、低レベルのトランス−脂肪酸を有する。ひとつの具体例において、本発明のある種の油は、高級不飽和油脂の消費の健康的利点のため、食品成分として用いることができる。飽和樹脂の消費は心臓血管の健康に対して悪い影響を有することが知られている。しかしながら、4以上の二重結合を有する脂肪酸の消費が望ましい。高レベルの不飽和(4以上の二重結合)のため、本発明のある種の油は、低レベルの不飽和(4未満の二重結合)の油と比較して安定性が低い。安定性が低い本発明のある種の油は脂肪酸の分解反応を生じ、望ましくないパーオキシドおよびヒドロパーオキシドを生成する。これらの酸化生成物の次の分解が揮発性および不揮発性のアルデヒドおよび/またはケトンを生成する。不揮発性成分は、油のさらなる酸化を触媒し、揮発性成分は望ましくない味と臭いを発生する。
【0024】
本発明のひとつの態様は、組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有するポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体(例えば、SDA)の内容物を有する油組成物であり、前記組成物は、約3未満のアニシジン値を有し、かつ、海洋性油以外の起源に由来する。
【0025】
本発明の油を調製する方法は、種子の貯蔵および処理を含む酸化プロセスの速度、酸化剤(例えば、酸素、クロロフィルおよび金属)の濃度、系の温度、種子肉または油の露光、天然に存在する安定化剤または抗酸化剤(例えば、トコフェロール)その他の濃度に影響を与える多くの因子を最適化することによって開発された。これらの因子の相関は複雑である。この方法は、常法により調製された種子油と比較して、感覚的および味覚的データによって特徴付けられるように、油組成物に向上した種子油安定性を付与する。
【0026】
I.油組成物
A.酸化安定性
本発明の種々の油組成物は、種々の非動物起源から抽出された油である。有利なことに、本発明の組成物は既知の油組成物よりも優れた安定性を有する。
【0027】
一般に、油の安定性はそれらの使用を決定するために重要である。例えば、高濃度のオメガ−3脂肪酸を有する油は、良い健康的利点を与え、有利なことに、食品成分として用い得ることが知られている。特に、オメガ−3脂肪酸は、心臓血管健康、認知発達、幼児栄養およびガン、リウマチおよび骨関節炎の予防の幇助、および精神疾患に利益があることが知られている。近年、オメガ−3脂肪酸の主たる起源は魚油である。オメガ−3脂肪酸は、脂肪酸中の二重結合数が多いので(3以上)、より反応性が高い。かくして、魚油から加工されたオメガ−3油の味および臭いのため、(例えば、パン、クラッカー、サラダドレッシング、マヨネーズ、マーガリンおよびスプレッド、ペットフード、飲料などに添加する)食品成分として用いるためのオメガ−3油の良好な起源を探し出すことが目標である。したがって、本発明の態様は、食品成分および/または潜在的な健康的利益のある製品として使用するのに有利な味覚および臭覚特徴を有するオメガ−3脂肪酸の起源を提供する。
【0028】
一般に、多数のオレフィン官能基を有する油が少数のオレフィン官能基を有する油に比べて、より高い酸化速度を有する。不飽和脂肪酸(UFA)の酸化を記述する反応スキームは、開始、成長および停止反応で特徴付けられるラジカル連鎖反応を含む。開始反応の一例は、脂肪酸から水素原子を引き抜いてフリーラジカルを有する脂肪酸を生成することを必須とする。1より多い二重結合およびアリル炭素を有するUFAは他の配置を有するポリ不飽和脂肪酸よりも反応性が高い。なぜならば、アリル水素はより引き抜きやすく、アリルラジカルは他のラジカルよりも安定性が高いからである。成長中、アリルラジカルを有するUFAは分子酸素とは反応して、パーオキシド化合物を生成する。パーオキシド化合物は、他のUFAと反応して、成長段階で、水素原子を引き抜き、他の脂肪酸ラジカルを生成する。あるいは、アリルラジカルは他のラジカルと反応して、停止段階で、不活性生成物を生成する。
【0029】
1以上の不飽和脂肪酸を有する油の酸化に影響する因子は、UFAからの水素原子引き抜きを開始する剤の濃度、分子酸素の濃度、ラジカルと反応して安定な生成物を生成する化合物(例えば、停止をもたらす安定化剤その他のラジカル)の濃度および酸化反応の反応速度を加減する種々の他の反応条件との相関要素である。分子酸素は、UFAからのパーオキシド化合物の生成を持続させるのに必要な最も重要な種の一つであり、上記因子は複雑な関係を有する。
【0030】
一般に、ラジカル種の生成を開始する酸化剤の濃度と高度不飽和油の安定性との関係は、特定の酸化剤および生じる開始反応に依存する。分子酸素が全酸化反応スキームの成長段階で取り込まれる場合、分子酸素濃度とUFA酸化速度との関係はほぼ線形である。しかしながら、分子酸素は、全酸化反応スキームにおいて他のタイプの反応に関与し得る。例えば、提案する開始メカニズムは、痕跡量の金属イオンによりUFAからの水素引き抜きである。さらに、UV光および温度がUFAへの酸素による直接攻撃の率を増加することが分かった。UFAは、金属触媒水分解から生成した水素パーオキシドによってまたは痕跡量の一重項酸素との反応によって酸化されることも信じられている。これらの反応の全ては、もっともらしく、後述するように、成長因子、安定性および油品質環の複雑な関係をもたらす。
【0031】
安定化剤の濃度とUFA酸化の速度との関係は特定の安定化剤に依存するが、この関係は1を超える安定化剤の存在によって複雑化される。複数の安定化剤の添加は互いに安定化するように作用し、単一の安定化剤よりも、停止フリーラジカルにてより有効である。例えば、この安定化剤の組合せは付加的な効果を有するか、一緒になって、同一量のいずれかの安定化剤を用いて達成するよりも高い効果を奏する。
【0032】
UFA酸化の複雑性にもかかわらず、UFAを含む組成物の安定性は種々の酸化反応で生成されるある種の化合物を測定することによって定量できる。例えば、パーオキシド値(PV)は、meq/kgで測定した油中のパーオキシド化合物の濃度である。パーオキシド化合物はUFA酸化中に生成され、かくして、PV値が高いほどより多くUFA酸化が発生したことになる。さらに、油のPVはパーオキシドの生成を低減することによって、または油中に存在するパーオキシドまたはヒドロパーオキシドを除去/分解することによって最小限化し得る。PVは様々な技術で最小限化し得、限定されないが、プロセシングプロトコルを含む。
【0033】
油が受けてきた酸化後ストレスを評価するのに用いられる他のタイプの測定は、油のアニシジン値(AV)と呼ばれる。AVは、測定前に経験した酸化量を示し、二次酸化物の濃度の尺度である。油のAVは、油中の不揮発性アルデヒドおよび/またはケトンの量の尺度である。油のAVは、油中の不揮発性アルデヒドおよび/またはケトンの量(典型的に、無単位)を示すので、その酸化履歴の尺度となる。アルデヒドおよびケトンは、脂肪酸上のオレフィン官能基の一次酸化物であるパーオキシドまたはヒドロパーオキシド種の分化により生成する。油のPVまたはAVを測定する方法は当該分野でよく知られ、それぞれ、AOCSCd8-53およびAOCSCd18-90を含む。
【0034】
PVおよびAVで示された酸化量を最小限化することは、油の酸化安定性を評価する際、著しい影響を及ぼす。例えば、パーオキシドおよびヒドロパーオキシドは容易に分解して、無臭物およびアルデヒドおよびケトンを生成し、それらは油のさらなる酸化分解の触媒として働く。
【0035】
脂肪酸の酸化のもうひとつの尺度は、全酸化すなわちtotox値である。このtotox値は、一次(PV)および二次(AV)の酸化生成物を結びつけ、式:2PV+AVから算出される。
【0036】
酸化安定性の定量方法は、酸化安定性インデックス(the oxidative stability index (OSI))であり;OSIの測定法のひとつがAOCSCd12b-92である。OSIについての値は、酸化の最大速度変化前の時間(通常、時間の単位)であり(一般に、酸化反応の成長期と呼ぶ。);普通、この時間を誘導期という。
油のOSI値に影響する数多くの因子が存在するが、この値は、油安定性についての半定量的予測を与える他の尺度とともに有用である。
【0037】
油の酸化安定性を定量するもうひとつの方法は、標準化官能評価を用いることである。一般に、標準化官能評価は、油の臭い、味、触感の特性および風味を評価し、ならびに、食品を油で揚げるか、油を食品に混ぜ込むかによってその油を含有する食品の特徴を評価する。例えば、油および、その油を使って調理したか、その油を成分として有する食品の多くの特徴を評価し得る。さらに、訓練されたパネリストは様々な数値基準から選択して、官能評価で試験される油の許容度を査定できる。当業者は適当な官能評価を設計することが可能である。官能評価結果は、特定の使用などに関して油の許容度を決定し、油安定性の重要な尺度である。
【0038】
油に関する特定の臭いおよび味の指標は、ベーコン (bacony)、ビーンズ (beany)、ビター (bitter)、無刺激 (bland)、焦げ (burnt)、ボール紙 (cardboardy)、トウモロコシ (corny)、揚げ物 (deep fried)、魚 (fishy)、果物 (fruity)、草 (grassy)、青物 (green)、干し草 (hay)、加熱した油 (heated oil)、穀粒の外皮 (hully)、硬化油 (hydrogenated oil)、ラード (lard)、光に照らされた油 (light struck oil)、メロン (melon)、金属 (metallic)、カビ (musty)、ナッツ (nutty)、過熱油 (overheated oil)、酸化 (oxidized)、鋭い (pointy)、パラフィン油 (paraffin oil)、ピーナッツ油 (peanut oil)、ペカン油 (pecan oil)、石油 (petroleum)、フェノール (phenolic)、パイン油 (pine oil)、プラスチック (plastic)、沼 (pondy)、カボチャ (pumpkin)、腐敗 (rancid)、生 (raw)、回収油 (reverted oil)、ゴム (rubbery)、セッケン (soapy)、サワー (sour)、イオウ (sulfur)、ヒマワリ種子の殻 (sunflower seed shell)、スイカ (watermelon)、ワックス (waxy)、雑草 (weedy)および樹木 (woody)を含む。典型的に、4を超える二重結合を有する油は、魚または沼の臭いで特徴付けられる。本発明のひとつの具体例は、製造時点で無味無臭の、4を超える二重結合を有する油を製造することである。本発明のもうひとつの具体例は、数ヶ月間保存してもこれらの油に無味無臭の官能特性を維持させることである。
【0039】
B.4以上の二重結合を有する脂肪酸を含む油組成物
ポリ不飽和脂肪酸の2つの主たるファミリーがある。具体的には、オメガ−3およびオメガ−6脂肪酸である。ヒトは、いわゆる必須脂肪酸、リノール酸 (LA; C18:2ω6)およびα-リノレン酸 (ALA; C18:3ω3)からΔ6-脱飽和経路によってオメガ−6およびオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸を合成する。LAは、オレイン酸 (C18:1ω9)からΔ12-デサチュラーゼによって生成される。LAは、今度は、Δ6-デサチュラーゼまたはエロンガーゼによってγ-リノレン酸 (GLA; C18:3ω6)またはω6-エイコサジエン酸(EDA)に転換される。GLAおよびEDAの各々は、ついで、それぞれ、エロンガーゼまたはΔ8デサチュラーゼによって、ジホモ-γ-リノレン酸 (DGLA; C20:3)に転換される。DGLAはアラキドン酸 (AA; C20:4ω6)を生成し、Δデサチュラーゼによって触媒される。AAは、今度は、Δ17デサチュラーゼによってエイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5ω3)に転換される。あるいは、LAはα-リノレン酸 (ALA; C18:3ω3)に転換し得る。ALAは、今度は、ステアリドン酸 (SDA; C18:4ω3)まてたはエイコサトリエン酸 (EtrA; C20:3ω3)のいずれかに転換する。SDAおよびEtrAの双方は、ついで、エイコサテトラエン酸 (ETA; C20:4)に転換し、それはEPAに転換する。EPAは、ついで、エロンガーゼによってドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)に転換し、それは、ついで、Δ-デサチュラーゼによってドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6)に転換する。しかしながら、これらの経路は非常に効率が悪く、食事から直接これらのポリ不飽和脂肪酸を得るには、考慮が必要である。
【0040】
本発明の代表的な具体例のひとつにおいて、油組成物は、組成物の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して、少なくとも約0.4、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれ以上の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む。ひとつの具体例において、前記組成物は、少なくとも約400、450、500、600、700、800、805、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、1000、11001200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000ppmまたはそれ以上のトコフェロールをさらに含む。もうひとつの具体例において、前記組成物は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0meq/kg未満のパーオキシド値を有し、海洋性油以外の起源に由来する(例えば、魚油、海藻油等以外)。もうひとつの具体例において、前記組成物は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3.0未満のアニシジン値を有し、海洋性油以外の起源に由来する。さらにもうひとつの具体例において、前記組成物は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3.0未満のアニシジン値を有し、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのさらなるポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む。さらにもうひとつの具体例において、前記組成物は、1重量%未満のトランス-脂肪酸をさらに含む。
【0041】
さらに、本発明は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれ以上の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物に向けられ、前記組成物は、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rapeseed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、および/またはタバコの遺伝子組換え種子から誘導される。ひとつの具体例において、前記組成物は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0meq/kgのパーオキシド値を有する。もうひとつの具体例において、前記組成物は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のアニシジン値を有する。もうひとつの具体例において、前記組成物は、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26のtotox値を有する。さらにもうひとつの具体例において、前記組成物は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、または5000ppmまで、またはそれ以上のトコフェロールをさらに含む。トコフェロールは天然に産出する安定化剤であり、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、およびδ-トコフェロールを含む。さらにもうひとつの具体例において、前記組成物は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または10.0重量%未満のトランス-脂肪酸をさらに含む。もうひとつの具体例において、前記組成物は、少なくとも約0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50重量%のγ-リノレン酸(GLA;C18:3)またはその誘導体をさらに含む。
【0042】
3以上の二重結合を有する代表的なポリ不飽和脂肪酸またはそれらの誘導体sは、ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、ドコサヘキサエン酸 (DHA)、およびアラキドン酸 (AA; C20:4)である。好ましくは、上記油組成物のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体は、少なくとも1種のオメガ−3またはオメガ−6脂肪酸を含み、好ましくはオメガ−3ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、オメガ−3エイコサテトラエン酸(ETA)、オメガ−3エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、オメガ−3ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、オメガ−3ドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6)、またはオメガ−6アラキドン酸 (AA; C20:4)を含む。
【0043】
本発明は、上昇したレベルの3以上の炭素−炭素二重結合を含有するポリ不飽和脂肪酸を含有する遺伝子組換え植物性油にも有用である。例えば、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rapeseed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、および/またはタバコから誘導される植物の種子を含む。3以上の二重結合を有する代表的なポリ不飽和脂肪酸またはそれらの誘導体は、ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、エイコサトリエン酸 (EtrA; C20:3)、エイコサテトラエン酸(ETA、C20:4)、エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、ドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6)、ガンマリノレン酸 (GLA; C18:3)、ジホモガンマリノレン酸 (DGLA; C20:3)およびアラキドン酸 (AA; C20:4)である。好ましくは、上記油組成物のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体は、少なくとも1種のオメガ−3またはオメガ−6脂肪酸を含み、好ましくはオメガ−3ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、オメガ−3エイコサトリエン酸 (EtrA; C20:3)、オメガ−3エイコサテトラエン酸 (ETA、C20:4)、オメガ−3エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、オメガ−3ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、オメガ−3ドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6))、オメガ−6ガンマリノレン酸 (GLA; C18:3)、オメガ−6ジホモガンマリノレン酸 (DGLA; C20:3)またはオメガ−6アラキドン酸 (AA; C20:4)を含む。
【0044】
この節の上記組成物は、γ-リノレン酸もしくはその誘導体(C-γ18:3)、またはDH-γ-リノレン酸(C-DH-γ20:3)もしくはその誘導体をさらに含み得る。
【0045】
上記のごとく、比較的高濃度のオメガ−3脂肪酸単位を有する油は有利な食品成分である。本発明の方法を用いて、ステアリドン酸のごとき4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含有する脂肪種子から、組成物中の脂肪酸の全重量に対して約0.4、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45重量%またはそれ以上を超える量にて油を抽出し得、前記組成物は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9または3.0未満のアニシジン値を有する。好ましくは、抽出された脂肪種子は、全脂肪酸含有量に対して前記油組成物と同様の比率でSDAを含有する種子である。したがって、種子全体のSDA含有量は、全脂肪酸濃度の少なくとも約0.4重量%である。さらに、当該方法を通じて、油中のSDA含有量は、組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40重量%である。
【0046】
もうひとつの具体例において、加工中または加工後の全種子または油組成物は、組成物中の脂肪酸の全重量に対して約18、19、20、21、22、23、24、25、30、35または40重量%までのリノール酸 (LA; C18:2n6)含有量および組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4、5、10、15、20、25、30、35、40または45重量%のSDA含有量を有する。4以上の炭素−炭素二重結合を有する別のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体は、これらの組成物中のSDAまたはこの節に記載するいずれかの他のSDA組成物の代用とし得ることに留意すべきである。
【0047】
あるいは、加工中または加工後の油組成物は、組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4重量%のSDA含有量を有し、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2までの加工中または加工後AVを有する。特別な具体例において、油組成物は、組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4重量%のSDA含有量を有し、約0.1、0.2、0.3、0.4または0.5までのAVを有する生成漂白脱臭(RBD)油組成物である。
【0048】
さらなる具体例において、RBD油は、組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4重量%のSDA含有量を有し、110℃にて少なくとも約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4または1.5時間のOSIを有する。
【0049】
さらに、節I.Bに記載される油組成物は、ブラックカラント油 (black currant oil)、ボラジ油 (borage oil)、エキウム油 (Echium oil)、イブニングプリムローズ油 (evening primrose oil)、グズベリー油 (gooseberry oil)、麻油 (hemp oil)、またはレッドカラント油 (redcurrant oil)以外の植物性油から誘導できる。しかも、前記油の組成物は、魚油(例えば、メンヘーデン、イワシ、マグロ、タラ肝、サバ、ニシン)、海藻油その他の海洋性油以外の油から誘導できる。海洋性微細藻 (Crypthecodinium cohnii)、底性微細藻属(Nitzchia sp.)、海産性単細胞真正眼点藻 (Nannochloropsis)、フネケイソウ属 (Navicula sp.)、海洋性珪藻 (Phaedactylum)、チノリモ属 (Porphyridium)およびシゾキトリウム (Schizochytrium)から誘導される油を含む4以上の二重結合を有する油を産生する海藻類は、黄金色藻類 (chrysophytes)、クリトフィテス類 (crytophytes)、珪藻類 (diatoms)、および渦鞭毛藻類 (dinoflagellates)[Behrens and Kyle, 1996: J. Food Lipids, 3:259-272]を含む。なお、節I.Bに記載される油組成物は、遺伝子組換えしたアラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻(flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rapeseed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、および/またはタバコから誘導できる。最後に、上記油の組成物はブレンドしない油であり得る。
【0050】
上記したように、ヒトは、Δ6-脱飽和経路によって、リノール酸およびα-リノレン酸からオメガ−6およびオメガ−3ポリ不飽和脂肪酸を合成し、それぞれ、γ-リノレン酸およびステアリドン酸を生じる。さらに、脂肪酸延長および脱飽和のステップは、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸を生じる。AAおよびEPAの生合成に関する代替経路は、いくつかの生体において作用する。ここで、LAおよびALAがまず特異的に延長されて、それぞれ、エイコサジエン酸 (EDA; C20:2ω6)およびエイコサトリエン酸 (EtrA; C20:3ω3)となる。これらの生成物の次なるΔ8およびΔ脱飽和がAAおよびEPAを生じる。
【0051】
DHAおよびEPAもポリケチドシンターゼ(PKS)経路によって、マロニル-CoA前駆体から合成できる[Yazawa, Lipids (1996)31, S297-S300]。
【0052】
最近のレポートにより、褐藻 (Isochrysis galbana) (IgASEI)由来のΔ9-特異的延長活性をコードする3つの遺伝子の逐次転移および発現[Qi et al., FEBS Lett. (2002)510, 159-165]によるシロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana)におけるポリ不飽和脂肪酸合成に関するこれらΔ8-脱飽和経路の再構築、および形質転換植物におけるAAおよびEPAの相当な量の蓄積[Qi et al., Nature Biotechnol. (2004)22, 739-745]、ミドリムシ (Euglena gracilis)由来のΔ8-デサチュラーゼ (EuΔ8)[Wallis and Browse, Arch. Biochem. Biophys. J. (1999)365, 307-316]および油糧微生物 (Mortierella alpina)由来のΔ-デサチュラーゼ(MortΔ)[Michaelson et al., J. Biol. Chem. (1998)273, 19005-19059]がそれぞれ実証されている。また、アバディ (Abbadi)らは、形質転換したタバコ (Nicotiana tabacum)および亜麻仁 (linseed) (Linum usitatissimum)中でのω3およびω6ポリ不飽和脂肪酸の種子特異的産生に成功したことを報告した[Plant Cell (2004)16, 1-15]。ペレイラ (Pereira)らは、EPAの生合成に関与する新規ω3脂肪酸デサチュラーゼを報告した[Biochem. J. (2004)378 (665-671)]。本発明の方法および組成物は、上記レポートに準じて産生された生物由来のポリ不飽和脂肪酸の抽出および/または安定化に有用である。
【0053】
本発明の種々の油のうちのいくつかは、植物種子組織を含む植物組織から抽出できる。ポリ不飽和脂肪酸を単離できる植物は、生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する植物ならびに上昇したレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現できるように遺伝子操作された植物を含む。生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する植物の例は、カノーラ、サフラワー、および亜麻仁 (linseed)のごとき油糧作物 (oil seed crops)、ならびに、亜麻 (flax)、イブニングプリムローズ (Oenothera biennis)、ボリジ (Borago officinalis)およびブラックカラント (Ribes nigrum)、トリコデスマ属 (Trichodesma)、およびエキウムのごとき植物を含む。ある種のコケ、例えば、ヒメツリガネゴケ (Physcomitrella patens)は、本発明の方法により抽出および精製できるポリ不飽和脂肪酸を生来産生することが知られている。別の例として、本発明の方法は、米国特許第6,677,145; 6,683,232; 6,635,451; 6,566,583; 6,459,018; 6,432,684; 6,355,861; 6,075,183; 5,977,436; 5,972,664; 5,968,809; 5,959,175; 5,689,050; 5,614,393; 5,552,306; および5,443,974, ならびにWO02/26946; WO98/55625; WO96/21022、および米国特許出願番号20040078845; 20030196217; 20030190733; 20030177508; 20030163845; 20030157144; 20030134400; 20030104596; 20030082754; 20020138874; および20020108147(これらの先行技術は、出典明示して本明細書の一部とみなされる。)の組成物および方法で生成される(例えば、アラビドプシス (Arabidopsis)、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン (corn)、綿、亜麻 (flax)、亜麻仁 (linseed)、トウモロコシ (maize)、パーム核 (palm kernel)、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ (rape seed)、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、タバコ、およびそれらの混合物を含む)植物および/または組換え植物からの(例えば、ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマリノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸、およびオクタデカテトラエン酸を含む)ポリ不飽和脂肪酸の抽出および/または安定化に有用である。
【0054】
その他の油組成物は、真菌から抽出できる。ポリ不飽和脂肪酸を単離できる真菌は、生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する真菌ならびに上昇したレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現するように遺伝子操作された真菌を含む。例えば、本発明の方法は、例えば、(例えば、サッカロミセス (Saccharomyces) (エス・セレビシエ (S. cerevisiae)およびエス・カールスベルゲンシス (S. carlsbergensis)を含む)、カンジダ属 (Candida spp.)、カニングハメラ属 (Cunninghamella spp.) (シー・エレガンス (C. elegans)、シー・ブラケスリーグナ (C. blakesleegna)、およびシー・エキヌラート (C. echinulate)を含む)、リポミセス・スターキー (Lipomycess tarkey)、ヤロウィア・リポリティカ (Yarrowia lipolytica)、クルイベロミセス属 (Kluyveromyces spp.)、ハンセヌラ属 (Hansenula spp.)、アスペラギラス属 (Aspergillus spp.)、ペニシリウム属 (Penicillium spp.)、ニューロスポラ属 (Neurospora spp.)、サプロレグニア・ディクリナ (Saprolegnia diclina)、トリコデルマ属 (Trichoderma spp.)、タムニジウム・エレガンス (Thamnidium elegans)、ピキア属 (Pichia spp.)、ピチウム属 (Pythium spp.) (ピー・ウルチマム (P. ultimum)、ピー・デバリアナム (P. debaryanum)、ピー・イレグラレ (P. irregulare)、およびピー・インシディオサム (P. insidiosum)を含む)、スラウストキトリウム・アウレウム (Thraustochytrium aureum)、およびモルチエレラ属 (Mortierella spp.) (エム・エロンガータ (M. elongata)、エム・エキシグア (M. exigua)、エム・ヒグロフィラ (M. hygrophila)、エム・ラマニアナ (M. ramanniana)、エム・ラマニアナ・バル・アンギュリスポラ (M. ramanniana var. angulispora)、エム・ラマニアナ・バル・ナナ (M. ramanniana var. nana)、エム・アルピナ (M. alpina)、エム・イサベリナ (M. isabellina)、およびエム・ビナセア (M. vinacea)を含む。)を含む)真菌および/または米国特許第6,677,145; 6,635,451; 6,566,583; 6,432,684; 6,410,282; 6,355,861; 6,280,982; 6,255,505; 6,136,574; 5,972,664; 5,968,809; 5,658,767; 5,614,393; 5,376,541; 5,246,842; 5,026,644; 4,871,666; および4,783,408; ならびにWO02/26946; および米国特許出願番号20040078845; 20030196217; 20030190733; 20030180898; 20030177508; 20030163845; 20030157144; 20030104596; 20030082754; 20020138874; 20020108147; および2001004669(これらの先行技術は、出典明示して本明細書の一部とみなされる。)の組成物および方法で生成される組換え真菌からの(ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマリノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸、およびオクタデカテトラエン酸を含む)ポリ不飽和脂肪酸の抽出および/または安定化に有用である。
【0055】
さらに別の油組成物は、微生物から抽出できる。ポリ不飽和脂肪酸を単離できる微生物は、生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する微生物ならびに上昇したレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現するように遺伝子操作された微生物を含む。このような微生物は細菌および光合成細菌 (cyanobacteria)を含む。例えば、本発明の方法は、(例えば、E. coli、Cyanobacteria、Lactobacillus、およびBacillus subtilisを含む)微生物および/または米国特許第6,677,145; 6,635,451; 6,566,583; 6,432,684; 5,972,664; 5,614,393; および5,552,306, ならびにWO02/26946; および米国特許出願番号20040078845; 20030180898; 20030177508; 20030163845; 20030157144; 20030104596; 20030082754; 20020138874; 20020108147; および20010046691(これらの先行技術は、出典明示して本明細書の一部とみなされる。)の組成物および方法で生成される組換微生物からの(ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマリノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸、およびオクタデカンテトラエン酸を含む)ポリ不飽和脂肪酸抽出および/または安定化に有用である。
なお、油組成物は海藻から抽出できる。ポリ不飽和脂肪酸を単離できる海藻は、生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を有する海藻ならびに上昇したレベルのポリ不飽和脂肪酸を発現するように遺伝子操作された海藻を含む。生来レベルのポリ不飽和脂肪酸を含む海藻の例は、フェオダクチラム・トリコルナツム (Phaeodactylum tricornutum)、クリテコディニウム・コニイ (Crypthecodinium cohnii)、パブロバ属 (Pavlova)、イソクリシス・ガルバナ (Isochrysis galbana)、およびスラウストキトリウム (Thraustochytrium)を含む。例えば、本発明の方法は、海藻および/または米国特許第6,727,373; 6,566,583; 6,255,505; 6,136,574; 5,972,664; 5,968,809; 5,547,699; および5,407,957; および米国特許出願番号20040168648; 20030180898; 20030177508; 20030163845; 20030134400; および20010046691(これらの先行技術は、出典明示して本明細書の一部とみなされる。)の組成物および方法で生成される組換え海藻からの(ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ガンマリノレン酸、アラキドン酸、ジホモガンマリノレン酸、ドコサペンタエン酸、およびオクタデカンテトラエン酸を含む)ポリ不飽和脂肪酸の抽出および/または安定化に有用である。
【0056】
C.高PUFA種子油の安定化
安定化化合物を添加することなく油組成物の酸化安定性を促進させるとともに、油組成物は安定化剤をさらに含み得る。安定化剤は、一般に、開始期を延長し、成長期の開始を遅延させるために、油組成物に添加される。安定化剤は、安定化剤が添加されていない油の成長期の時間と比較して、約15倍以上まで成長期の開始を遅延させる。特定の安定化剤の特性に依存して、これらの化合物は、異なる作用モードを有する。いくつかの安定化剤は、金属その他の触媒種をキレートし、さもなくば、油のトリグリセリドと相互作用し、油の酸化速度を上昇させる。他の安定化剤は、抗酸化剤分子として作用し、トリグリセリドの脂肪酸をパーオキシドに酸化し、今度は、節I.Aで詳説したように他の脂肪酸で酸化する。
代表的な安定化剤は、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、アノクソマー、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ベータ-アポ-8'-カロテン酸、ベータ-カロテント (Beta-Caraotent)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カフェ酸、アスコルビン酸カルシウム、EDTAカルシウムジナトリウム塩、カンタキサンチン、カルノゾール (Carnosol)、カルバクロール (Carvacrol)、カタラーゼ、没食子酸セチル、クロロゲン酸、クエン酸、クローブ抽出物、コーヒー豆抽出物、酢酸D-α-トコフェリル、チオジプロピオン酸ジラウリル、クエン酸ジナトリウム、EDTAジナトリウム、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェリル、没食子酸ドデシル、没食子酸ドデシル、D-α-トコフェロール、エデト酸、エリトルビン酸、エスクレチン (Esculetin)、エスクリン (Esculin)、エトキシキン、没食子酸エチル、エチルマルトール、ユーカリ属抽出物 (eucalyptus extract)、フェルラ酸(Ferulicacid)、フラボノイド(典型的に、C6−C3−C6のような炭素骨格三炭素脂肪族鎖によって連結された2つの芳香族環で特徴付けられ、通常縮合してピラン環またはまれにフラン環を形成する。)、フラボン(アピゲニン (Apigenin)、クリシン (Chrysin)、ルテオリン (Luteolin)など)、フラボノール(ダチセチン (Datiscetin)、ニリセチン (Nyricetin)、デンフェロ (Daemfero)など)、フラバノン (flavanones)、およびカルコン (Chalcones)、フラキセチン (Fraxetin)、フマル酸、ゲンチアナ抽出物、グルコン酸、グルコースオキシダーゼ、ヘプチルパラベン、ヘスペレチン (hesperetin)、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシチロゾール、クエン酸イソプロピル、レシチン、レモン果汁固形物、レモン果汁、L-酒石酸、ルテイン、リコペン、リンゴ酸、マルトール、没食子酸メチル、メチルパラベン、モリン (Morin)、N-ヒドロキシコハク酸、ノルジヒドロガイアレン酸 (Nordihydroguaiaretic acid)、没食子酸オクチル、P-クマリン酸、ホスファチジルコリン、リン酸、P-ヒドロキシ安息香酸、フィチン酸(六リン酸イノシトール)、ピメント抽出物、亜硫酸水素カリウム、乳酸カリウム、メタ亜硫酸水素カリウム、酒石酸カリウムナトリウム無水物、没食子酸プロピル、ピロリン酸、ケルセチン (Quercetin)、米ぬか抽出物 (ice bran extract)、ローズマリー抽出物(RE)、ロズマリン酸 (Rosmarinic acid)、セージ抽出物、セサモール (sesamol)、シナピン酸 (Sinapic acid)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、次リン酸ナトリウム、次リン酸ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム五水和物、三リン酸ナトリウム、ダイズ粉、コハク酸、スクロース、シリング酸 (Syringic acid)、酒石酸、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、チモール (Thymol)、トコフェロール、酢酸トコフェリル、トコトリエノール、トランス-レスベラトロール (trans-Resveratrol)、チロゾール (Tyrosol)、バニリン酸、小麦胚芽油、ゼアキサンチン (Zeaxanthin)、α-テルピネオール (α-terpineol)、およびそれらの組合せを含む。
【0057】
一連の実験を行って(実施例1〜3を参照せよ)、本発明の油組成物用の主要な安定化剤または安定化剤組合せを決定した。これらの安定化剤は、クエン酸(CA)、パルミチン酸アスコルビル(AP)、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、没食子酸プロピル(PG)、およびそれらの組合せよりなる群から選択できる。様々な好ましい具体例において、油中の安定化剤はCA、TBHQ、およびそれらの組合せである。様々な代替的具体例において、油中の安定化剤はAP、PG、およびそれらの組合せである。他の好ましい具体例において、油中の安定化剤は
【0058】
クエン酸は、約1ppmから約100ppm;好ましくは約20ppmから約80ppm;より好ましくは約40ppmから約60ppmまでの濃度にて油組成物に添加する。パルミチン酸アスコルビルは、約50ppmから約1000ppm;好ましくは約100ppmから約750ppm;より好ましくは約400ppmから約600ppmまでの濃度にて油組成物に添加する。TBHQは、約10ppmから約500ppm;好ましくは約50ppmから約200ppm;より好ましくは約100ppmから約140ppmまでの濃度にて油組成物に添加する。没食子酸プロピルは、約10ppmから約120ppm;好ましくは約50ppmから約120ppm;より好ましくは約100ppmから約120ppmまでの濃度にて油組成物に添加する。これらの安定化剤の2以上の組合せは、上記範囲の各安定化剤の濃度を有する。
【0059】
これらの実験のうちのいくつかで、新規薄膜IR法を用いた加速エージングプロトコルを用いた。油の酸化安定性を定量するこの方法は、不活性雰囲気中で油組成物を調製し;赤外カード上に油組成物の層を置いて処理赤外カードを形成し;層が実質的に均一な厚みになるまで充分な時間、不活性雰囲気中に処理赤外カードを置き;実質的に均一な厚みの層を有する赤外カードを空気に暴露し;ついで、油組成物の赤外スペクトルを周期的に収集することを特徴とする。この方法の具体的な態様は実施例3でより詳細に説明する。この方法の様々な具体例において、赤外スペクトル収集の合間に、実質的に均一な厚みの層を有する赤外カードを約25℃から約80℃、好ましくは約50℃から約70℃、一層より好ましくは約55℃から約65℃にて貯蔵する。この方法の他の態様において、赤外スペクトルは、約12時間から約36時間、好ましくは24時間離して収集する。
【0060】
本発明のもうひとつの態様は、油のアニシジン値(AV)を低下させる方法である。アニシジン値は、食品中で高レベルの不飽和を有し容易に酸化される油のできの良い配合についての油安定性を最大化するのを助ける重要なパラメータである。約1を超えるAVを有する生成漂白脱臭油(RBD油)のAVを低下させる新規方法が発見され、以下および実施例4でより詳細に説明する。概略、この方法は、油組成物内のアルデヒドおよび/またはケトンと会合することが可能なAV-低下剤で油組成物を処理し、ついで、AV-低下剤を油組成物から物理的に分離して、アルデヒドおよび/またはケトンと会合したAV-低下剤を油組成物から除去し、AVを低下させる。AV-低下剤は、油組成物から分離することが可能な支持体に結合したアミンを含む。
【0061】
RBD油におけるAVを低下させるこの方法は、パーオキシドおよびヒドロパーオキシドの分解によりRBD油中に残留する不揮発性のアルデヒドおよびケトンの独特の官能性を調べる。具体的には、不揮発性のアルデヒドおよびケトンはアミンと反応して、縮合反応により置換イミンを生成する(置換イミンは、ときどきシッフ塩基と呼ばれる)。アルデヒドおよびケトンは、油組成物から物理的に分離できる支持体にアミンを連結することによって、油組成物から分離できる。様々な具体例において、この支持体は不溶性支持体であり、巨視的な支持体である。一旦、反応が終了すれば、(いまや、置換イミンの形態の)不揮発性のアルデヒドおよびケトンは、不溶性支持体に結合しているため、ろ過によって油から物理的に分離できる。
【0062】
上記の方法は、様々な油、例えば、植物性油、魚油、鉱油、調理油、フライ油、コーティング油 (coating oils)、およびそれらの組合せ中のアルデヒドおよびケトンを除去するのに使用できる。
【0063】
様々な油に加えて、この方法は有用であり、この方法に用いるのに適した様々なアミンおよび支持体材料がある。例えば、アミンは、脂肪族またはアリールアミンであり得、好ましくは、アミンはアリールアミンである。支持体は、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(エチレングリコール)-ポリスチレングラフト重合体、ポリ(エチレングリコール)、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド-PEG共重合体、シリカ、多糖類、およびそれらの組合せを含む様々な不溶性粒子から選択できる。様々な好ましい具体例において、支持体は、ポリスチレン、特にポリスチレン樹脂ビーズを含む。
【0064】
この処理手順は、油精製プロセスのいずれのステップにても用いることができる。樹脂は、再生するか、使用後に廃棄することができる。好ましくは、樹脂は再生する;これはペンダントイミンを酸性温水で加水分解することによって達成する。この再生は、樹脂を乾燥させ、より多くの不揮発性のアルデヒドおよびケトンの除去のために用いることを可能にする。置換イミンの生成および樹脂再生のいずれも充填カラムまたは撹拌タンク反応器で実行できる。
【0065】
D.高PUFA種子油の官能特性
概略、本発明の油を含有するSDAは、低いトータルインパクトを有する。かくして、本発明のもうひとつの態様は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、4、6、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20重量%以上の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、前記組成物は、約2.5までの芳香トータルインパクトスコアを有し、ここに、トータルインパクトは標準化官能評価によって決定される。
【0066】
さらに別の態様は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、4、6、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20重量%以上の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、前記組成物は、約2.5までの芳香/風味トータルインパクトスコアを有し、ここに、トータルインパクトは標準化官能評価によって決定される。
【0067】
低いトータルインパクトを有することに加えて、本発明の油は、低い魚臭および/または沼臭/海藻臭が低い。かくして、さらなる態様は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、4、6、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20重量%以上の、4以上の炭素−炭素二重結合および18個以下の炭素原子を有するポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、前記組成物は、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、または4.5までの魚臭スコアを有し、ここに、魚臭は標準化官能評価によって決定される。
【0068】
さらに別の態様は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、4、6、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20重量%以上の、4以上の炭素−炭素二重結合および18個以下の炭素原子を有するポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、前記組成物は、約0.5、1、1.5、2、2.5までの魚/沼複合臭スコアを有し、ここに、魚/沼複合臭は標準化官能評価によって決定される。
【0069】
本発明のさらに別の態様は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して約1、5、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34重量%未満の、6つの炭素−炭素二重結合および22個の炭素原子を有するポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、前記組成物は、0.5、1、1.5、2、2.5までの沼臭スコアを有し、ここに沼臭は標準化官能評価によって決定される。
【0070】
さらに、本発明の油組成物は、特性の著しい時間変化がない。例えば、組成物中の脂肪酸の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、4、6、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20重量%以上の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、前記組成物は、芳香トータルインパクトスコア差において、開始時に評価した油および約1、2、またはそれ以上の月数まで貯蔵した同一の油と比較したとき、約0.5または1.0未満の差を有する。
【0071】
もうひとつの態様は、組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4、1、2、4、6、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20重量%以上の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む油組成物であり、前記組成物は、芳香/風味トータルインパクトスコア差において、開始時に評価した油および約1、2、またはそれ以上の月数まで貯蔵した同一の油と比較したとき、約0.5または1.0未満の差を有する。
【0072】
上記した様々な態様の各々について、油組成物は安定化することも安定化させないこともできる。安定化油組成物は上でより詳細に説明されている。
【0073】
II.油組成物の調製方法
概略、以下のステップを用いて種子油を加工する:準備 (preparation)、破砕および剥皮 (cracking and dehulling)、調節 (conditioning)、粉砕 (milling)、フレーク化すなわち圧搾 (flaking or pressing)、抽出 (extracting)、精錬 (degumming)、精製 (refining)、漂白および脱臭 (bleaching and deodorizing)。これらのステップの各々は、後でより詳細に説明する。市場アプリケーションで現在用いられている各ステップのプロセスを詳細に説明する。当業者は、これらのステップを組合せたり、異なる順序で用いたり、改良したりすることを知っているであろう。
【0074】
概略、準備ステップは、初期洗浄プロセスを含み、石、泥、棒、虫、昆虫、金属片その他の種子を収穫し貯蔵する間に入り込んだゴミを除去する。上記した異物は、最終種子油の化学安定性に悪い影響を与える化合物を含有することになるため、油の品質に影響し得る。好ましくは、低下したレベルのクロロフィルおよび低下したレベルの遊離脂肪酸を有する熟した潰れていない種子を用いる。
【0075】
準備ステップの後、種子を破砕し剥皮する。破砕および剥皮は、、当該分野でよく知られている様々なやり方で達成できる。例えば、種子クラッカーを用いて、種子を破砕および剥皮でき、それは、種子を機械的に破壊し、外皮を引き離し、種子内部を空気に直接さらす。破砕後、剥皮器によって、外皮は種子肉から分離される。ひとつの態様において、剥非器は外皮と種子の密度の違いから種子肉から外皮を分離する;外皮は種子肉よりも密度が低い。例えば、吸引は破砕種子肉から外皮を分離する。剥皮は粗繊維物を減少させ、抽出した種子肉のタンパク質濃度を増加させる。所望により、剥皮後、外皮を篩にかけて、種子の破砕時に生じた細粒物を回収する。回収後、細粒物を調節に先がけて、種子肉に戻す。
【0076】
一旦種子を破砕したら、種子肉の酸素暴露を所望により最小限にして、油の酸化を低減し、油の品質を向上させる。さらに、酸素暴露の最小限化は、引き続き開示された油糧種子加工ステップの各々で独立して行われることを当業者は理解するであろう。
【0077】
一旦種子を破砕し剥皮したら、さらなる加工前に、種子肉を調節して扱いやすくする。さらに、調節は油性物質を破壊する。フレーク化、製粉または粉砕の技術の意味において、さらなる加工は、この段階で、扱い易い種子肉となるため、容易に行える。概略、種子肉は、6〜10重量%の水分レベルになるように、水分が取り除かれ、または、水分が足される。水分を取り除くならば、このプロセスを焼成 (toasting)といい、水分を足すならば、このプロセスを調理 (cooking)という。典型的には、種子肉の水分量を調整する方向に応じて、乾燥したまたは濡れた蒸気で種子肉を40〜90℃に加熱する。
いくつかの場合、調節ステップは、高PUFAレベルの種子に対しては、酸素暴露を最小限化し、低めの温度の条件下で行う。
【0078】
一旦種子肉を調節すれば、それらを所望の粒径にまで粉砕するか、所望の表面積にまでフレーク化できる。ある場合には、フレーク化または粉砕は酸素暴露を最小限化した条件下で行う。フレーク化または粉砕を行って種子肉の表面積を増大させ、油性物質を破壊し、それにより、より効率の高い抽出を可能にする。多くの粉砕技術が適当であり、当該分野でよく知られている。粉砕方法および製粉種子の粒子を選択する際の検討事項は、限定されないが、種子中の油含有量および種子肉または種子からの所望の抽出効率に依存的である。種子肉をフレーク化する場合、フレークは、典型的には、約0.1から約0.5mm厚;約0.1から約0.35mm厚;約0.3から約0.5mm厚;または約0.2から約0.4mm厚である。
【0079】
所望により、種子肉を粉砕した後、それらを圧搾する。典型的には、種子肉の油含有量が種子の約30重量%を超える場合に種子を圧搾する。しかしながら、それ以上またはそれ以下の油含有量の種子も圧搾できる。種子肉は、例えば、油圧または機械的スクリューで圧搾できる。典型的には、機械への投入に際して種子肉を約55℃未満に加熱する。圧搾時、種子肉中の油をスクリーン越しに圧縮し、収集し、ろ過する。この収集した油が初絞り油である。圧搾後の種子肉は種子ケーキと呼ばれ;この種子ケーキは油を含有し、溶媒抽出に付すことができる。
【0080】
粉砕、フレーク化または所望による圧搾の後、油を種子肉または種子ケーキからそれらを溶媒に接触させることによって抽出できる。好ましくは、n−ヘキサン、またはイソ−ヘキサンを抽出プロセスにおいて用いる。典型的には、この溶媒は油に接触させる前に脱ガスする。抽出は、当該分野でよく知られている様々なやり方で行える。例えば、抽出はバッチ法または連続法であり得、望ましくは、連続向流法である。連続向流法において、種子肉と接触する溶媒は、油を溶媒中にこし出し、より濃厚な混合物(miscellas; すなわち、溶液−油)を増大的に提供し、一方、絞りかす(marc; すなわち、溶媒−固体)は減少した濃度の混合物に接触させる。抽出後、当該分野でよく知られた様にして、溶媒を混合物から除去する。例えば、蒸留、ロータリーエバポレーションまたはライジングフィルムエバポレーターおよびスチームストリッパーを用いて、溶媒を除去できる。溶媒除去後、粗製油が依然として残留溶媒を含有するならば、約95℃および約60mmHgにて加熱できる。
【0081】
上記加工粗製油は、水和性または非水和性のホスファチドを含有する。したがって、水を添加し、ホスファチド濃度に依存して、約5〜60分間、約40から75℃に加熱することによって粗製油を精錬して、水和性ホスファチドを除去する。所望により、リン酸および/またはクエン酸を添加して、非水和性ホスファチドを水和性ホスファチドに転換できる。リン酸およびクエン酸は、金属錯体を形成し、それは、ホスファチドに結合する金属イオン濃度を減少させ(金属錯化ホスファチドは非水和性である)、かくして、非水和ホスファチドを水和性ホスファチドに転換する。所望により、水とともに加熱した後、粗精油および水の混合物を遠心して、油と水とに分離し、水和性ホスファチドを含有する水層を除去する。概略、リン酸および/またはクエン酸を精錬ステップにおいて添加するならば、約1重量%から約5重量%;好ましくは、約1重量%から約2重量%;より好ましくは、約1.5重量%から約2重量%を用いる。このプロセスステップは、所望により、それらを油に接触させる前に水およびリン酸を脱ガスすることによって行う。
【0082】
さらに、粗製油は遊離脂肪酸(FFAs)を含み、それは、化学(例えば、苛性物質)精製ステップによって除去できる。FFAが塩基性物質(例えば、苛性物質)と反応すると、それらは水溶液に抽出できるセッケンを生成する。かくして、粗製油を約40から約75℃に加熱し、NaOHを撹拌しながら添加し、約10から45分間反応させる。この後、撹拌を停止し、加熱を続け、水層を除去し、中和した油を処理してセッケンを除去する。水層が中性pHになるまで油を水洗するか、または、中和した油をシリカまたはイオン交換物質で処理するかによって、油を処理する。油を約95℃および約10mmHgにて乾燥する。いくつかの場合、苛性物質溶液は、それが油に接触する前に脱ガスする。
【0083】
あるいは、化学精製によってFFAを油から除去せずに、物理精製によってFFAを除去できる。例えば、油は脱臭中に物理精製できる。物理精製を実行する場合、FFAは、低圧かつ比較的高い温度にて真空蒸留によって油から除去する。一般に、FFAはトリグリセリドよりも低分子量であり、かくして、FFAは、一般に、より低い沸点を有し、この沸点差に基づき、
揮発物質を脱臭器からはき出すためのアゼオトロープまたはキャリアガスとして用いる窒素または蒸気ストリッピングの助けによって、トリグリセリドから分離できる。
【0084】
典型的に、化学精製でなく物理精製が行われる場合、油加工条件は、同様の最終製品スペックを達成するように修正する。例えば、精錬ステップで、酸性水溶液を用いる場合、化学精製ステップで除去される以上の非水和性ホスファチドの濃度のため、より高い濃度(例えば、約100%までの濃度、好ましくは、約50%から約100%の濃度)の酸が必要である。さらに、より多量(例えば、約100%までの濃度、好ましくは、約50%から約100%の濃度)の漂白物質を用いる。
【0085】
漂白前、クエン酸(50重量%溶液)を精錬油および/または化学精製油に、約0.01重量%から約5重量%の濃度にて添加できる。この混合物を、ついで、約5から60分間、約35℃から約65℃の温度および約1mmHgから約760mmHgの圧にて加熱できる。
【0086】
精錬油および/または化学精製油を吸収プロセス(例えば、漂白)に付して、苛性物質精製ステップその他の加工ステップで生成したパーオキシド、酸化生成物、ホスファチド、ケラチノイド、クロロフィロイド、着色物質、金属および残留セッケンを除去する。漂白プロセスは、精錬油または化学精製油をの約0.1mmHgから約200mmHgの真空下で加熱し、ついで、上記種を除去するのに適当な漂白物質(例えば、天然土(通称、天然粘土またはフーラー土)、酸活性化土、活性化粘土およびケイ酸塩)およびフィルターエイドを添加擦ることを含み、これにより、混合物を約75〜125℃に加熱し、漂白物質を精錬油および/または化学精製油に約5〜50分間接触させる。漂白物質が精製油に接触する前に脱ガスするのが有利である。漂白物質の使用量は約0.25重量%から約3重量%、好ましくは約0.25重量%から約1.5重量%、より好ましくは約0.5重量%から約1重量%である。加熱後、漂白油または精製漂白油をろ過し、脱臭する。
【0087】
漂白油または精製漂白油を脱臭して、強烈な臭いおよび風味を有する化合物ならびに残留遊離脂肪酸を除去する。さらに、上昇した温度にて加熱漂白することによって油の色を脱色できる。脱臭は、バッチ式撹拌タンク反応器、液膜流下エバポレーター、ワイパー付き液膜エバポレーター、充填式カラムデオドライザー、トレイ式デオドライザーおよびループ反応器のごときバッチ式および連続式の脱臭ユニットを含む様々な技術によって行える。典型的に、連続式脱臭法が好ましい。一般に、脱臭条件は、約160から約270℃および約0.002から約1.4kPaにて行われる。連続法に関して、特に、油を横断させるための連続トレイを有する連続式脱臭器において、約170℃から約265℃の温度にて、2時間までの滞留時間;約240℃から約250℃の温度にて約30分間までの滞留時間が好ましい。脱臭条件は、揮発性化合物の除去のためのキャリアガス(例えば、上記、窒素、アルゴン、または油の安定性または品質を低減させないいずれの他のガス)を使用できる。
【0088】
さらに、化学精製ではなく物理精製が用いられる場合、脱臭ステップの間により多量のFFAが除去され、脱臭条件は、遊離脂肪酸の除去を容易にするように修正される。例えば、温度を約25℃上昇させ;油は約165℃から約300℃の範囲の温度にて脱臭できる。特に、油は約250℃から約280℃または約175℃から約205℃の範囲の温度にて脱臭できる。さらに、脱臭器内の油の滞留時間は約100%まで延長される。例えば、滞留時間は約1、5、10、30、60、90、100、110、120、130、150、180、210または240分間未満の範囲であり得る。なお、脱臭圧は、約3×10-4、1×10-3、5×10-3、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または0.1kPa未満に低減できる。脱臭ステップは精製漂白脱臭(RBD)油をもたらす。
【0089】
所望により、RBD油は部分硬化により、および/または、安定化剤の添加により、または、油の安定性および品質を維持する助けとなるミクロ成分の除去または分解を最小限化することによって、安定化できる。部分硬化は、油に含有される脂肪酸の二重結合数を減少させ、かくして、油の化学反応性を低減させることによって、油を安定化する。しかしながら、部分硬化は望ましくないトランス-脂肪酸の濃度を上昇させる。
【0090】
安定化剤は、一般に、酸化の間に生成するフリーラジカルを捕捉するように作用する。安定化剤によるフリーラジカルの捕捉は、フリーラジカルをより安定なフリーラジカルにするか、または、安定な分子に再配列し、より多くの脂肪酸単位を酸化する反応性の高いフリーラジカルの濃度が減少したため、油の酸化を遅延させる。
【0091】
節IIの上記ステップの各々に関して、各ステップで酸素への暴露を所望により最小限化し、熱への暴露を所望により最小限化し、UV光への暴露を最小限化し、所望により、加工の前、最中または後に安定化剤を種子肉または種子油に添加した。本発明の油を調製するためのこれらまたは他の方法の改良は、"Processes for Preparation of oil components"と題され、2005年11月4日に出願され、代理人番号MTC6921.201 (38-21 (53354C))の米国特許出願番号に記載および例示され、それは、出典明示して、全部が本明細書の一部とみなされる。
【0092】
III.油組成物の取り扱いおよび貯蔵
一般に、油組成物を貯蔵する場合、脂肪酸のさらなる酸化を最小限化することが有利である。ひとつの酸化反応物は一重項酸素であり、それは光および光増感剤によって発生される。一重項酸素は、三重項酸素の何倍もの速度で反応する。かくして、さらなる酸化を最小限化するひとつのやり方は、油を暗闇または実質的に不透明な容器中に貯蔵して、好ましくは、不活性ガスの存在下でそれらを適度な温度に保つことである。好ましくは、油は、貯蔵条件および/または安定化剤と対となり、油の風味、臭い、色などの転換を阻害する安定特性を有することである。
【0093】
節Iに記載の油組成物は、典型的に、有利な貯蔵安定性を有する。例えば、ひとつの具体例において、出荷または貯蔵中の油の貯蔵安定性を維持する方法は、節Iに記載した油を約4から約45℃の範囲の温度にて、少なくとも1月間、容器中で保存することを含み、ここに、油は、貯蔵後、3未満のアニシジン値を有する。もうひとつの具体例において、出荷または貯蔵中の油の貯蔵安定性を維持する方法は、油を約4から約45℃の範囲の温度にて、少なくとも1月間、容器中で保存することを含み、ここに、貯蔵中の油のアニシジン値の絶対変化が約0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20を超えないことである。さらに、油は、無酸素雰囲気または低減酸素雰囲気中で保存できる。好ましくは、油はほぼ室温にて貯蔵でき;好ましくは、油はほぼ室温にて、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12月以上貯蔵できる。あるいは、油は、冷蔵下、少なくとも1月間貯蔵でき;さらに、油は、冷蔵下、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12月間以上貯蔵できる。もうひとつの具体例において、油は、魚、海藻またはオキアミのごとき海洋性油以外の起源に由来する。この節の方法のさらなる具体例において、油は、ブラックカラント油、ボリジ油、エキウム油、イブニングプリムローズ油、グズベリー油、麻油、またはレッドカラント油以外の植物性油から誘導される。
【0094】
節IIIに記載した方法は、貯蔵の前またはその間に油に安定化剤を添加することを含み得る。この安定化剤は、少なくとも一種の錯形成剤または少なくとも一種の抗酸化剤を含み得る。ひとつの代表的な具体例において、安定家財は、クエン酸、TBHQ、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、またはそれらの誘導体またはそれらの組合せを含む。
【0095】
IV.食品
節Iに記載の油組成物のいずれか1を含む食品を調製できる。特に、食用組成物は、スプレードライまたはフリーズドライの食品片 (food particle)、押出し物(an extruded food)、肉製品、疑似肉、シリアル製品、スナック食品、焼き物 (baked good)、健康食品、揚げ物 (fried food)、乳製品、疑似チーズ、疑似ミルク、ペットフード、飼料または養殖餌 (aquiculture feed)を含む食品または疑似食品 (food analog)を含み得る。もうひとつの具体例において、食品は飲料であり;この飲料は、成人用栄養補給調製物 (an adult nutritional formula)、幼児用調製物(an infant formula)、ジュース、乳飲料、豆乳、ヨーグルトドリンク、スムージー、または、非乳製品クリーマーのごとき復元可能な乾燥粉であり得る。さらに、食品は、栄養サプリメント、スプレッド、マーガリン、サラダドレッシング、調理油、冷凍練り物 (a refrigerated dough product)、電子レンジポップコーン、ヨーグルト、チーズ、クリームチーズ、サワークリームまたはマヨネーズのごとき乳製品、パン、ロールパン、ケーキ、ペーストリー、クッキー、マフィンまたはクラッカーのごとき焼き物 (baked good)、前菜、副菜、スープ、ソース、グラノーラ、シリアル、スナックバー、栄養補給バー、または菓子であり得る。
【0096】
本発明の方法により製造された4以上の二重結合を含有する油のひとつの利点は、それらが味および臭いに関して無刺激であることである。それらは、また、それらの風味および官能特定を維持したまま、室温である期間貯蔵できる。さらに、依然として無刺激を維持したまま冷蔵条件で貯蔵できる利点を有する。これらの油は、魚油安定化のために当該分野でよく知られた方法によってカプセル化または冷凍できる。
【0097】
本発明を詳細に説明してきたので、付随する特許請求の範囲に定義された発明の範疇を逸脱することなく修正および変形が可能であることは明らかであろう。さらに、ここに開示された全ての実施例は非限定的な例であると理解すべきである。
【実施例】
【0098】
実施例1:油の加速エージング
各安定化剤のポリエチレングリコール溶液を調製した。溶液は、高速で、5分間渦動した。窒素置換グローブボックス中、各溶液の適量をテフロン製蓋つき60ccガラス褐色ビン中の2.5g(2.77mL)試験油に添加して、混合物を得た。これらの混合物をついで高速で1分間渦動した。これらの混合物の一部をついでプラスチックピペットで取り出し、褐色バイアルに入れた。
【0099】
未処理油の無添加サンプルも(安定化剤は添加せずに)上記のようにして調製した。各安定化剤を以下の濃度にて添加した:クエン酸(CA)50ppm、パルミチン酸アスコルビル(AP)400ppm、およびt-ブチルヒドロキノン(TBHQ)120ppm。
【0100】
ついで、バイアル(未処理油および安定化剤を添加した油を含有する)を空気中で開放して、バイアルの上部空間を充分に交換した。バイアルに再びキャップし、水浴中で55℃に加熱した。サンプルを取り出し、異なる時間間隔でパーオキシド値を測定した。一般に、55℃にて1日間貯蔵したサンプルのエージングは、室温(約20〜25℃)にて約10日間貯蔵したサンプルのエージングに相当する。20重量%SDAを有し、"Processes for Preparation of oil components"と題され、2005年11月4日に出願され、代理人番号MTC6921.201 (38-21 (53354C))の米国特許出願番号に記載された実施例45および46のプロセス条件を用いて調製された試験油を、上記プロトコルを用いてエージングした。このエージング実験の結果を図1のグラフに提示する。単一添加物(CA、AP、およびTBHQ)の3種類の油および2種添加物(CA+APおよびCA+TBHQ)の2種類の油を評価した。クエン酸入りSDA油は、2日後に始期(IP)から成長期(PP)に移行した。図1は、AV対時間のプロットを示す。このプロットは、CA添加油と比較して、パルミチン酸アスコルビル添加油についてより長期のIP(約8日間)およびTBHQ添加油についてより長期のIP(約10日間)を示す。TBHQ添加油がこの特定の油に関して、最良の単一添加安定化剤であった。
【0101】
図1は、APおよびCA添加およびTBHQおよびCA添加の油の酸化も示す。APおよびCA添加油は、APのみ添加油と比較して短いIPを示した。TBHQおよびCA添加油が、この実験において試験した油の中で、最長のIPを示した。
【0102】
実施例2:55℃および25℃でのエージング実験
この実験に含まれる油は:実験規模およびパイロット規模(PS)で加工された20%SDAテストアーティクル(TA);等価であり、SDAネガティブである("Processes for Preparation of oil components"と題され、2005年11月4日に出願され、代理人番号MTC6921.201 (38-21 (53354C))の米国特許出願番号に記載された実施例45および46のプロセス条件を用いて調製された)無添加物;およびダイズ対照油1である。さらに、20%SDA油をダイズ対照油1または無添加油とブレンドして4%SDA油ブレンドを調製した。55℃にてのPVおよびAV対時間に基づきこれらの油の安定性における相対ランキングは、安定性が最も低い油からTA-Lab < TA-(PS) < CA入りTA-PS < CA入りTA-Lab << CA入り4%ブレンド(TA-PS無添加物) < CA入り4%ブレンド (TA-PSプラスダイズ対照油1) < 無添加物 < ダイズ対照油1である(図2を参照せよ)。安定性の相対ランキングは、PVまたはAV値が10と交わる時刻を比較して決定した。一般に、これは、開始期から成長期への転移の始まる点である。25℃にて(図3を参照せよ)、5種の油が開始期から成長期に転移し(AVによる)、それらは、明らかに定性的および定量的に55℃で得られたデータの相対位置と同じであった。
【0103】
別の55℃における加速エージング試験は、クエン酸(50ppm)添加の20%SDAテストアーティクル、パルミチン酸アスコルビル(400ppm)、およびTBHQ(120ppm)を用いて行った。ひとつのサンプルは、これらの量にて、3つ全ての安定化剤の混合物を含有した。さらに、魚油3(TBHQおよびトコフェロール入り)および魚油4(パルミチン酸アスコルビルおよびトコフェロール入り)のような市販魚油製品を対照として含めた。これらの市販魚油製品をさらに評価するため、それらをダイズ対照油1とブレンドして、SDA油とEPA+DHA生物学的等価とした。消費された3つのSDA分子全てに対して一EPAつの分子が生じる。かくして、EPA、DPAおよびDHAが生体効率において同等であるならば、同量のEPAを生成するためには、EPAの3倍のSDAを消費しなければならない。オメガ3脂肪酸の合計を各魚油につき定量し、20重量%SDA油と直接比較するように各油をダイズ油で6.67重量%溶液に希釈した。図4は、これらの油についてのAV対時間を示す。初期AV結果は、AP、TBHQ、ならびにAP、TBHQ、およびCAの組合せで安定化された20%SDA油は、生物学的等価な希釈物を含み魚油3および魚油4よりも長い開始期を有することを示す。
【0104】
【表1】

【0105】
実施例3:IR薄膜酸化実験
油の加速エージングおよび酸化安定性評価の方法は、McGill University [J. Am. Oil. Chem. Soc, 2003, 80, 635-41; J. Am. Oil. Chem. Soc, 2004, 81, 111-6]から公開された方法を採用した。この方法は、調製の間空気から油を保護し、一定の膜厚を確実にするために採用された。IR分光分析器への搭載が簡便な長方形のボール紙製カードに搭載したPTFEフィルム(テフロンのごときポリテトラフルオロエチレン)上で油膜を調製した。カードは、International Crystal Laboratories, Garfield, NJ, part no. 0006-7363から購入した。
【0106】
試験のための油組成物はグローブボックス中のアルゴン下で調製した。典型的には、0.2〜0.5gをバイアルに入れ、ついで、それを密封し、ドライボックスから取り出す。少なくとも2枚の赤外カードを各試料につきラベルし、ティッシュの上に広げて汚染を防止した。ついで、人工繊維(ラクダの毛ではない)ブラシを用いて、ラベルしたカードに油の厚い層を塗りつけた。テフロン支持フィルムにはクラックがあるので、ある程度の油が支持ティッシュにしみ込んだ。過剰な空気暴露を回避するために、ついで、カードを即座にボックス中の新たなティッシュ状に平らに広げた。ボックスを真空チャンバーに移し、それを即座に脱気し、アルゴン充填した。カードを入れたボックスを暗闇下で一晩チャンバー内に入れたままにした。この間に、ティッシュへしみ込んだ過剰な油が一定厚の油膜を生じた。
【0107】
次の日、ニコチンレッツ・オムニック (Nicolet's Omnic)ソフトウェアパッケージ、バージョン4.1bによって制御されるNicolet Model 550フーリエ変換赤外分光分析器を用いて、各カードの赤外スペクトルを取得した。ついで、油膜が汚染源に触れないようにに注意して、カードを立てて、60℃オーブンに入れた。それ以外の温度が用い得るが、PUFAに富んだ油については、60℃という温度が、一日につきひとつのスペクトルで酸化曲線を充分正確に測定できる酸化速度を生じる。典型的に、油膜の赤外スペクトルは、毎日取得し、スペクトル範囲400〜4000cm−1を32回スキャンした。このスペクトル範囲は対象領域より広く、より広いベースラインが得られるので用いた。スペクトル取得後、オムニックソフトウェアの"Automatic Baseline Correction"を用いて、ベースライン補正を行った。油が酸化されるとき、3400cm−1の幅広ピークが大きくなった;それは、パーオキシド基内のO−H伸縮の吸収に起因する。3011cm−1のシス炭素−炭素二重結合に関連するC−H伸縮の吸収における減衰も観察され、確認に有用であるが、酸化の度合いの定量はパーオキシドピークの積分によって達成した。
【0108】
パーオキシドピークの定量について、フィルム厚は2900cm−1のCH2伸縮ピークの吸収に比例する。カードをティッシュ上で水平にして一晩置くことによって、一般的には、2つのCH2伸縮ピークの最高エネルギーが0.2と0.6との間の吸収を有する油膜が得られる。一定の基準でスペクトルを比較するため、ベースライン補正後かつ積分前にスペクトルを正規化して、このピークが1.0の吸収を有するようにした。一旦、最高エネルギーCH2伸縮ピークを正規化し、ついで、パーオキシドピークを積分した。ベースラインの曲がりを補償するために、ピーク全体は積分しなかった。本明細書に提示する全てのデータならびに下記のキャリブレーションに用いる最適化積分パラメータは、3222〜3583cm−1で積分されたベースラインおよび3251cm−1から3583cm−1の積分範囲である。
【0109】
上記方法はつぎのようにして補正する。一連のパーオキシド値標準を酸化したウェッソン (Wesson)ダイズ油と新鮮なボトルからのウェッソンダイズ油とを混合することによって調製した。酸化油は、126gのウェッソンダイズ油を250mL丸底フラスコに入れ、44mgのステアリン酸鉄(II)を添加することによって調製した。この油を90℃の油浴中、一晩(16時間)暴気した。油は黄褐色に変色した。油の最終重量は128gであった。ある程度のステアリン酸鉄が溶けずにフラスコに付着していたが、油を移すときに除去した。滴定測定は、酸化油は680meq/kgのPVを有し、新鮮なウェッソンダイズ油は0.1meq/kg未満のPVを有することを示した。2種の油の混合物を用いて、キャリブレーション標準を調製し、上記のように分析した。
【0110】
この方法は、最初のサンプルからパーオキシド値の変化を定量するためのみに用いる。ここで、
ΔPV(meq/kg)=Δ面積×228.4
[式中、ΔPVはパーオキシド値の変化であり、Δ面積はピーク面積の変化であり、オムニックソフトウェアによってレポートされる。]の関係が分かった。
【0111】
上記のプロトコルを用いて、パルミチン酸アスコルビル(AP)、没食子酸プロピル(PG)、t-ブチルヒドロキノン(TBHQ)およびそれらの組合せから選択される安定化剤を添加した本発明の油の酸化に対する相対安定性を定量した。これらの実験において、他の安定化剤は、上記の安定化剤ほどは試験油の酸化を遅延させる効果がない、すなわち、他の安定化剤は食品に使用することが許されないことが分かった。これらの低効果すなわち食品非適合安定化剤は、カロチーノ (Carotino)からのカロチーノ、SDN、BDH(トコトリエノールおよびカロテンの混合物)、フェナントロリン、ペンタエチレン・ヘキサアミン(PEH)、ジエタノールアミン(DEA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびそれらの組合せであった。
【0112】
これらの研究は、上記薄膜IR法を用いて、安定化剤または安定化剤組合せの有効性の順序は、(AP+PG) > AP > PG > TBHQ-未処理油であることを示した。この順序は、実施例1および2の加速エージングデータとは幾分異なる。なぜならば、TBHQは従来のエージング実験において、非常に有効な安定化剤であることが分かっているが、油の薄膜の暴露条件のため、薄膜の酸化は、おそらく、大量の油の酸化とは異なるメカニズムを受けることが確かめられた。例えば、60℃での薄膜油酸化は油の高温酸化により近く、かくして、OSIデータの結果に近い結果を与えるのであろう。この仮説を確かめるため、安定化剤を添加した油のOSI実験を行った。OSIプロトコルは、上で詳細に説明され、OSI値を定量するひとつの方法は、AOCSCd12b-92である。
【0113】
安定化剤を含有する20%SDAダイズ油のOSI値は、下表に示す。ほとんどのサンプルについて2回評価した。
【0114】
【表2】

【0115】
OSIデータから観察されるように、有効性の順序は、薄膜IRデータのOSIデータと同じである。PGおよびAPを添加した20%SDA油組成物についての代表的な薄膜IRデータを図5に示す。
【0116】
実施例4
AV低下樹脂
AV=5.41のSDAカノーラ油のサンプルを用いて、特定の樹脂が油中のAV値を低下させるという考えを確かめた。10gの油を微量「ホイートンタイプ」RBFに添加し、真空にできる装置を接続した。各実験につき、1グラムの樹脂を油に添加した。樹脂#1は2-(4-トルエンスルホニルヒドラジン)-エチル-官能化シリカゲル、200-400メッシュ (Aldrich 552593-25g)であった。樹脂#2は、3-アミノプロピル-官能化シリカゲル (Aldrich 36,425-8)であった。ついで、混合物を真空下系内で脱ガスした。ついで、油を110℃油浴に下ろし、撹拌棒で1時間混合した。混合物を冷却し、0.2μmアクロディスク (acrodisc)でろ過し、分析に回した。実験1を繰り返して、2つのAV値を得た。
【0117】
【表3】

【0118】
実施例5
芳香実験(官能試験1)の目的は、SDA富化ダイズ油の芳香を特徴付けることにあった。リファレンスの枠組みとして、加工対照ダイズ油(無添加種子油)、ならびにいくつかの市販のダイズ油および、魚油および海藻油を含有するオメガ−3の芳香も試験した。
【0119】
芳香/味/口触り試験(官能試験2)の目的は、SDA富化ダイズ油の芳香、味および口触りを特徴付けることにあった。リファレンスの枠組みとして、加工対照ダイズ油(無添加種子油)、ならびにいくつかの市販のダイズ油および、魚油および海藻油を含有するオメガ−3の芳香、味および口触りも試験した。
【0120】
以下の試験油、対照油および比較油は、スペクトラム (SpectrumR)標準化官能評価を用いて評価した。
試験油1は15%SDA-富化RBDダイズ油 (LGNBP739406615BJ9);試験油2は15%SDA-富化RBDダイズ油 (LLNBP739406915CK1);試験油3は20%SDA-富化RBDダイズ油 (LMNBP739406920AQ6);試験油4は20%SDA-富化RBDダイズ油 (LHNBP739406920BJ7);試験油5は20%SDA-富化RBDダイズ油 (LEGLP050115725SN5);試験油6は20%SDA-富化RBDダイズ油 (LTAGT050115759SN3);試験油7は等価対照RBDダイズ油 (LMAGT050115757SU0);試験油8は15%SDA-富化RBDダイズ油(LC739406615BX1);試験油9は21%SDA-富化RBDダイズ油 (LZAGT050115759SJ9);試験油10はクエン酸入り17%SDA-富化RBDダイズ油 (LHAGT050716475SO3);試験油11はクエン酸入り17%SDA-富化RBDダイズ油 (LLAGT050716477SY1);および試験油12はクエン酸入り17%SDA-富化RBDダイズ油 (LEAGT050716481SU5)である。対照油1はプールした無添加物からのRBDダイズ油 (LGAGT050115757SU9);対照油2はプールしたクエン酸入り無添加物からのRBDダイズ油 (LNAGT050716474SW4);および対照油3はプールしたクエン酸入り無添加物からのRBDダイズ油 (LMAGT050816495SL7)である。
【0121】
官能試験1について、比較に用いた油の組成を下表に記載する。ダイズ油1は商業的に製造されたダイズ油;ダイズ油2は、商業的に製造された別のダイズ油;ダイズ油3は商業的に製造された別のダイズ油;魚油1は商業的に製造された魚油;亜麻油 (flax oil)1は商業的に製造された亜麻油 (flax oil);海藻油1は商業的に製造された海藻油;および海藻油1は商業的に製造された別の海藻油である。
【0122】
【表4】

【0123】
官能試験2について、各比較油の組成を下表に記載する。比較油1は商業的に製造されたRBDダイズ油;比較油2は商業的に製造されたRBDダイズ油;比較油3は商業的に製造された魚油;比較油5は商業的に製造されたメンヘーデン魚油;比較油6は商業的に製造された魚油;比較油7は商業的に製造された海藻油;および比較油8は商業的に製造された海藻油である。
【0124】
【表5】

【0125】
全ての試験油および対照油は、スクリューキャップ付きの200mLから1000mLの褐色ガラスビンに密封した。試験油および対照油は窒素で包み、加工後即座に凍結した。試験油および対照油は貯蔵の間は開封しなかった。比較油は、商業的製造業者から入手し、元々のパッケージのまま。5℃または−20℃にて製造業者の支持通り貯蔵した。
【0126】
スペクトラムTM (SpectrumTM)記述解析法を用いて油を評価した(参考文献:[Sensory Evaluation Techniques, 3rd ed.; Meilgaard, Morten; Civille, GailVance.; Carr, B. Thomas; CRC Press LLC, New York, 1999; ISBN 0-8493-0276-5])。試験パネルは、油評価の訓練を行った6〜8人から構成された。全てのパネリストは、各試験セッションにつき一斉に入れ替わった。室温に加温された後、1/2から1オンスの分割量を評価に提示した。
【0127】
各製品は全てのパネリストによって一斉に評価した。0(未検知)から15(極度)までの点数について共通の評価を用いて、パネリストはトータルインパクトならびに検出された官能属性の各々につきランク付けし、議論した。トータルインパクトおよび記述の各々について、ランク付けした者は、実験ディレクターによる官能投票に移った。芳香属性は限定されないが、魚/沼複合、魚、沼、タンパク質/肥料、ペンキ、ビーンズ、発酵、フローラル、ナッツ、ボール紙、青物、草、雑草、植物性油、トウモロコシ軸、およびフェノール/プラスチックを含む。味属性は限定されないが、魚/沼複合、魚、沼、タンパク質/肥料、ペンキ、ビーンズ、発酵、フローラル、ナッツ、ボール紙、青物、草、雑草、植物性油、コーン、アルブミン、種/ナッツ/カボチャ、およびフェノール/プラスチックを含む。基本の味は、甘味、酸味、塩味および苦味の属性につき0から15までの点数でランク付けした。化学品感を収れん性、焦げ、化学品感の属性につき0〜15までの点数でランク付けした。口触りは、粘りにつき0〜15までの点数でランク付けした。後味はランク付けしなかったが、観察し、記載した。
【0128】
試験油10から12および対照油2および3は、新鮮な油であり;それらは実験開始の2月前以内にRBD段階に加工した。これらの油は、実験の第1試験セッションで試験した。低温貯蔵安定性試験の一部として、試験油8および9を評価した。試験油8は、試験の約1年前に加工し、試験の開始まで−80℃にて貯蔵した。この油は、実験の第1試験セッションで試験した。試験油9および対照油1は実験開始の約6月前に加工し、−20℃にて貯蔵した。この油は、実験の第1試験セッションで試験した。低温貯蔵安定性試験の部分として試験されたさらなるサンプルはない。
【0129】
加速安定性試験サンプルは55℃にて、恒温インキュベーションオーブン中で保存した(官能試験1)。貯蔵安定性試験サンプルは、15℃にて恒温インキュベーションオーブン中で保存した。
【0130】
以下の表は、芳香のみの試験(官能試験1)のデータを示す。
【0131】
【表6】

【0132】
以下の表は、芳香/味/口触り試験(官能試験2)のデータを示す。
【0133】
【表7−1】

【0134】
【表7−2】

【0135】
【表7−3】

【0136】
【表7−4】

【0137】
実施例6:マヨネーズ調製
ダイズ油(3720g)およびオメガ−3植物性油(1800g)をブレンドして、以下の油組成物を得た:
遊離脂肪酸、% 0.35
パーオキシド値 0.09
色 1.3Y 0.0R
クロロフィル、ppm 0.00
アニシジン値 0.20

脂肪酸組成、%
C14 (ミリスチン酸) 0.04
C16 (パルミチン酸) 11.15
C16:1n7 (パルミトオレイン酸) 0.11
C18:0 (ステアリン酸) 4.58
C18:1n9 (オレイン酸) 20.24
C18:1 (オクタデセン酸) 1.36
C18:2n6 (リノール酸) 45.17
C18:3n6 (ガンマリノレン酸) 3.00
C18:3n3 (アルファリノレン酸) 3.41
C18:4n3 (オクタデカテトラエン酸) 3.21
C20:3n6 (ジホモガンマリノレン酸) 0.05
C20:4n6 (アラキドン酸) 0.20
C20:5n3 (エイコサペンタエン酸) 2.95
C22:6n3 (ドコサヘキサエン酸) 1.96
C20 (アラキドン酸) 0.35
C20:1n9 (エイコセン酸) 0.15
C22 (ベヘン酸) 0.32
C24 (リグノセリン酸) 0.12
その他 1.64
【0138】
上記の油ブレンドに加えて以下の成分を用いて、マヨネーズを作った:ビネガー(6300g)、卵成分(720g)、水(3000g)、および食塩(1300g)。全てのブレンド容器の上部空間を窒素で包んだ。ついで、240gの水に卵を分散させることによって乳化ドレッシングを作った。ついで、食塩を加えた。これを急速撹拌した。のこりの水とビネガーを加え、緩い乳化液を(フライマミル (Fryma mill)のごとき)コロイドミルを通した。得られた混合物はpH4.0であった。得られた生成物はマヨネーズの特徴および安定性を有していた。得られた生成物を用いて。ターキーサンドイッチ、コールスローおよびポテトサラダを作った。完成品は、試験において、4を超える二重結合を有する脂肪酸を一切含有しない油で作ったマヨネーズと区別できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1A】図1Aは、20重量%のステアリドン酸(SDA)および添加された種々の安定化剤を含む油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。図1のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【図1B】図1Bは、20重量%のステアリドン酸(SDA)および添加された種々の安定化剤を含む油組成物についてのアニシジン値(AV)対時間のグラフである。図1のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【図2A】図2Aは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのPV対時間のグラフである。図2のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【図2B】図2Bは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのAV対時間のグラフである。図2のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【図3A】図3Aは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのPV対時間のグラフである。図3のグラフは、25℃で行われた室温エージング試験の結果を示す。
【図3B】図3Bは、20%SDA、4%SDAブレンド、20%SDA入りクエン酸および対照ダイズ油組成物についてのAV対時間のグラフである。図3のグラフは、25℃で行われた室温エージング試験の結果を示す。
【図4】図4は、20%SDA、20%SDA入りクエン酸、市販魚油、および生物学的等価なSDAブレンド油組成物についてのAV対時間のグラフである。図4のグラフは、55℃で行われた加速エージング試験の結果を示す。
【図5】図5は、200ppmのパルミチン酸アスコルビルならびに0、30、60、および120ppmの没食子酸プロピルを含む20%SDA油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。図5は、薄膜IRを用いて60℃にて行われた加速エージング試験の結果を示す。
【図6A】図6Aは、(i)パルミチン酸アスコルビル(AP)およびTBHQ、(ii)クエン酸(CA)およびパルミチン酸アスコルビル(AP)、ならびに、(iii)クエン酸(CA)、TBHQ、およびパルミチン酸アスコルビル(AP)を含有する20%SDA油組成物についてのパーオキシド値(PV)対時間のグラフである。
【図6B】図6Bは、(i)パルミチン酸アスコルビル(AP)およびTBHQ、(ii)クエン酸(CA)およびパルミチン酸アスコルビル(AP)、ならびに、(iii)クエン酸(CA)、TBHQ、およびパルミチン酸アスコルビル(AP)を含有する20%SDA油組成物についてのアニシジン値(AV)対時間のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、約1meq/kg未満のパーオキシド値を有し、かつ、海洋性油以外の起源に由来する油組成物。
【請求項2】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導を含み、約3未満のアニシジン値を有し、かつ、海洋性油以外の起源に由来する油組成物。
【請求項3】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4重量%のステアリドン酸またはその誘導体および4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのさらなるポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、約3未満のアニシジン値を有する、油組成物。
【請求項4】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体、および少なくとも約400ppmのトコフェロールを含む油組成物。
【請求項5】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体および1重量%未満のトランス-脂肪酸を含む油組成。
【請求項6】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも0.4重量%の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、アラビドプシス、カノーラ、ニンジン、ココナッツ、コーン、綿、亜麻、亜麻仁、トウモロコシ、パーム核、ピーナッツ、ジャガイモ、ナタネ、サフラワー、ダイズ、ヒマワリ、タバコ、およびそれらの混合物よりなる群から選択される遺伝子組換え種子から誘導される油組成物。
【請求項7】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して約3重量%から約30重量%のステアリドン酸またはその誘導体を含み、約3未満のアニシジン値を有し、かつ、約1meq/kg未満のパーオキシド値を有する油組成物。
【請求項8】
約10meq/kgまでのパーオキシド値を有する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
約5.0meq/kgまでのパーオキシド値を有する請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
約20までのアニシジン値を有する請求項7〜9いずれかに記載の組成物。
【請求項11】
約10までのアニシジン値を有する請求項7〜10いずれかに記載の組成物。
【請求項12】
約26までのtotox値を有する請求項7〜11いずれかに記載の組成物。
【請求項13】
約10までのtotox値を有する請求項7〜12いずれかに記載の組成物。
【請求項14】
約5,000ppmまでのトコフェロールを含む請求項7〜13いずれかに記載の組成物。
【請求項15】
約1500ppmまでのトコフェロールを含む請求項1〜14いずれかに記載の組成物。
【請求項16】
10重量%を超えるトランス-脂肪酸を含む請求項1〜15いずれかに記載の組成物。
【請求項17】
5.0重量%を超えるトランス-脂肪酸を含む請求項1〜15いずれかに記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも約12重量%のポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含む請求項1〜17いずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体が、ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、エイコサテトラエン酸 (ETA; C20:4)、アラキドン酸 (AA; C20:4)、エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、またはドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6)を含む請求項1〜18いずれかに記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体が、少なくとも1種のオメガ−3またはオメガ−6脂肪酸を含む請求項1〜18いずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記脂肪酸が、オメガ−3ステアリドン酸 (SDA; C18:4)、オメガ−3エイコサトリエン酸 (EtrA; C20:3)、オメガ−3エイコサテトラエン酸 (ETA; C20:4)、オメガ−3エイコサペンタエン酸 (EPA; C20:5)、オメガ−3ドコサペンタエン酸 (DPA; C22:5)、オメガ−3ドコサヘキサエン酸 (DHA; C22:6)、オメガ−6ガンマリノレン酸 (GLA; C18:3)、オメガ−6ジホモガンマリノレン酸 (DGLA; C20:3)、オメガ−6アラキドン酸 (AA; C20:4)、またはその誘導体を含む請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体がステアリドン酸またはその誘導体を含む請求項1〜21いずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記ステアリドン酸が、ボラジアネアエ属、プリムラセアエ属、リトスペルメアエ属またはエレグナセアエ属に由来する請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ステアリドン酸が、ボラジナセアエ・アルベンシス、エレグナセアエ・アスペリムム、エレグナセアエ・ボリッシエリ、エレグナセアエ・ファスツオスム、またはリトスペルメアエ・スクアロッサに由来する請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
さらに、γ-リノレン酸 (GLA; C18:3)もしくはその誘導体、またはジホモ-γ-リノレン酸 (DGLA; C20:3)もしくはその誘導体を含む、請求項1〜24いずれかに記載の組成物。
【請求項26】
さらに、約0.4から約50重量%の範囲の量にて、γ-リノレン酸 (GLA; C18:3)またはその誘導体を含む、請求項1〜25いずれかに記載の組成物。
【請求項27】
さらに、約4から約10重量%の範囲の量にて、γ-リノレン酸 (GLA; C18:3)またはその誘導体を含む、請求項1〜26いずれかに記載の組成物。
【請求項28】
請求項1〜27いずれかに記載の油を含む、食用組成物。
【請求項29】
前記組成物が、スプレードライまたはフリーズドライの食品片、押出し物、肉製品、疑似肉、シリアル製品、スナック食品、焼き物、練り物、健康食品、揚げ物、乳製品、疑似乳製品、ペットフード、飼料または養殖餌を含む食品または疑似食品を含む、請求項28に記載の食用組成物。
【請求項30】
疑似乳製品が疑似チーズまたは疑似ミルクを含む、請求項28に記載の食用組成物。
【請求項31】
請求項1〜27いずれかに記載の油を含む飲料。
【請求項32】
成人用栄養素調製物、幼児用調製物、豆乳、ヨーグルトドリンク、ジュース、乳飲料、または復元可能乾燥粉末である、請求項31に記載の飲料。
【請求項33】
請求項1〜17いずれかに記載の油を含む、栄養サプリメント。
【請求項34】
マヨネーズ、サラダドレッシング、豆乳、フィルドミルク、ヨーグルト、加工肉、または冷凍練り物である、請求項28に記載の食用組成物。
【請求項35】
請求項1〜34いずれかに記載の油を含む調理油。
【請求項36】
単一使用用である請求項35に記載の調理油。
【請求項37】
さらに、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、アノクソマー、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ベータ-アポ-8'-カロテン酸、ベータ-カロテント、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、カフェ酸、アスコルビン酸カルシウム、EDTAカルシウムジナトリウム、カンタキサンチン、カルノゾール、カルバクロール、カタラーゼ、没食子酸セチル、クロロゲン酸、クエン酸、クローブ抽出物、コーヒー豆抽出物、酢酸D-α-トコフェリル、チオジプロピオン酸ジラウリル、クエン酸ジナトリウム、EDTAジナトリウム、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェリル、没食子酸ドデシル、没食子酸ドデシル、D-α-トコフェロール、エデト酸、エリトルビン酸、エスクレチン、エスクリン、エトキシキン、没食子酸エチル、エチルマルトール、ユーカリ属抽出物、フェルラ酸、フラボノイド、フラボン、アピゲニン、クリシン、ルテオリン、フラボノール、ダチセチン、ニリセチン、デンフェロ、フラボノノン、およびカルコン、フラキセチン、フマル酸、ゲンチアナ抽出物、グルコン酸、グルコースオキシダーゼ、ヘプチルパラベン、ヘスペレチン、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシチロゾール、クエン酸イソプロピル、レシチン、レモン果汁固形物、レモン果汁、L-酒石酸、ルテイン、リコペン、リンゴ酸、マルトール、没食子酸メチル、メチルパラベン、モリン、N-ヒドロキシコハク酸、ノルジヒドロガイアレン酸、没食子酸オクチル、P-クマリン酸、ホスファチジルコリン、リン酸、P-ヒドロキシ安息香酸、フィチン酸、ピメント抽出物、亜硫酸水素カリウム、乳酸カリウム、メタ亜硫酸水素カリウム、酒石酸カリウムナトリウム無水物、没食子酸プロピル、ピロリン酸、ケルセチン、米ぬか抽出物、ローズマリー抽出物、ロズマリン酸、セージ抽出物、セサモール、シナピン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、次リン酸ナトリウム、次リン酸ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム五水和物、三リン酸ナトリウム、ダイズ粉、コハク酸、スクロース、シリング酸、酒石酸、t-ブチルヒドロキノン、チモール、トコフェロール、酢酸トコフェリル、トコトリエノール、トランス-レスベラトール、チロゾール、バニリン酸、小麦胚芽油、ゼアキサンチン、α-テルピネオール、およびそれらの組合せよりなる群から選択される安定化剤を含む、請求項1〜36いずれかに記載の組成物、飲料、栄養サプリメント、または調理油。
【請求項38】
さらに、クエン酸、パルミチン酸アスコルビル、t-ブチルヒドロキノン、没食子酸プロピル、およびそれらの組合せよりなる群から選択される安定化剤を含む請求項1〜36いずれかに記載の組成物、飲料、栄養サプリメント、または調理油。
【請求項39】
前記安定化剤が、クエン酸、t-ブチルヒドロキノン、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項38に記載の組成物、飲料、栄養サプリメント、または調理油。
【請求項40】
前記安定化剤が、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項38に記載の組成物、飲料、栄養サプリメント、または調理油。
【請求項41】
安定化剤が、パルミチン酸アスコルビル、t-ブチルヒドロキノン、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項38に記載の組成物、飲料、栄養サプリメント、または調理油。
【請求項42】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4重量%以上の、4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、約2.5までの芳香トータルインパクトスコアを有し、ここに、トータルインパクトは標準化官能評価によって定量される油組成物。
【請求項43】
組成物中の脂肪酸またはそれらの誘導体の全重量に対して少なくとも約0.4重量%以上の4以上の炭素−炭素二重結合を有する少なくともひとつのポリ不飽和脂肪酸またはその誘導体を含み、約2.5までの芳香/風味トータルインパクトスコアを有し、ここに、トータルインパクトは標準化官能評価によって決定される油組成物。
【請求項44】
不活性雰囲気中で油組成物を調製し;赤外カード上に油組成物の層を置いて処理赤外カードを形成し;層が実質的に均一な厚みになるまで充分な時間、不活性雰囲気中に処理赤外カードを置き;実質的に均一な厚みの層を有する赤外カードを空気に暴露し;ついで、油組成物の赤外スペクトルを周期的に収集する、油の酸化安定性を定量する方法。
【請求項45】
赤外スペクトル収集の合間に、実質的に均一な厚みの層を有する赤外カードを約25℃から約80℃にて貯蔵する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
赤外スペクトル収集の合間に、実質的に均一な厚みの層を有する赤外カードを約50℃から約70℃にて貯蔵する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
赤外スペクトル収集の合間に、実質的に均一な厚みの層を有する赤外カードを約55℃から約65℃にて貯蔵する、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
赤外スペクトルは、約12時間から約36時間離して収集する、請求項44から47いずれかに記載の方法。
【請求項49】
赤外スペクトルは、約24時間離して収集する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
油組成物内のアルデヒドおよび/またはケトンと会合することが可能なAV-低下剤で油組成物を処理し、ここに、前記AV-低下剤は油組成物から分離することが可能な支持体に結合したアミンを含み;ついで、AV-低下剤を油組成物から物理的に分離して、アルデヒドおよび/またはケトンと会合したAV-低下剤を油組成物から除去し、AVを低下させる、油組成物のアニシジン値(AV)を低下させる方法。
【請求項51】
前記油組成物が植物性油、魚油、鉱油、調理油、フライ油、コーティング油、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記アミンが脂肪族またはアリールアミンである、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
前記アミンがフェニルアミンを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記支持体が、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリ(エチレングリコール)-ポリスチレングラフト重合体、ポリ(エチレングリコール)、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド-PEG共重合体、シリカ、多糖類、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項50〜53いずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記支持体がポリスチレンを含む、請求項54に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2008−519129(P2008−519129A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540030(P2007−540030)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/039807
【国際公開番号】WO2006/052662
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】