鼻洗浄システム及び方法
鼻洗浄システム及び方法を提供するものであり、鼻洗浄デバイスは、塩水源と、廃液容器と、鼻インターフェースと、真空源と、塩水源を鼻インターフェースとユーザの鼻腔を介して廃液容器に連通させる流体経路と、前記真空源と、前記流体経路を介する塩水の流れを選択的に制御するスイッチとバルブのアッセンブリと、を具える。塩水源ボトルは、デバイスに対して、デバイスであるユーザの鼻孔に係合した鼻インターフェースへ塩水を重力で誘導するように配置されている。重力による誘導と廃液容器に対する相対真空の組み合わせが、ユーザの鼻腔とその口を、洗浄、クリーニング、マッサージするための流体流れを作る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された実施例は、一般的に、鼻腔および鼻腔への生体構造的開口の洗浄とすすぎに用いる方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
鼻及び副鼻腔の疾患、及び副鼻腔に関連する症候群及び症状は、患者罹患率がかなり高く、実質的な直接経費がかかり、この疾患に苦しむ患者の生活の質に有意な負のインパクトを与える、よく見られる臨床的問題である。病気に罹っている群の3つの主なカテゴリィは:1)急性及び慢性鼻副鼻腔炎の者;2)急性上部呼吸器感染の者;3)アレルギィ性鼻炎の者;及び、4)慢性鼾の問題を抱える者である。これらの4つのカテゴリィで、毎日鼻閉に苦しんでいる人の数は数百万人に達する。
【0003】
疾病対策センターは、米国における1994年の慢性鼻副鼻腔炎の症例数を3,500万人と見積もっており、2007年の人口に対して約13.5%、すなわち4,050万人の有病率を計算した。副鼻腔炎は、1985年から1992年に抗生物質を処方した5番目に多い診断である。1996年には、鼻炎が約2,670万人を数え、職場と救急診療を訪れたことにより、58億ドルの直接経費が生じた。
【0004】
アレルギィ性鼻炎は、アメリカの一般人口の約17%に上ると報告されており(また、選択された小児科集団は、42%以上存在するであろう)、これは、6,000万人の米国人を超える。
【0005】
鼾は、現在約9,000万人の成人米国人に、通常ベースで3,700万人に影響を及ぼしている。
【0006】
鼻副鼻腔炎、アレルギィ性鼻炎、鼾に苦しんでいる人の総数は、2又はそれ以上のカテゴリィに亘って二重計上することなく、多くて19,000万人、少なくて12,800万人の米国人を数える。控えめに見て40%を超える人が二重になっていると仮定すると、推定7,500万人の有害な洞性症状に苦しむ米国人がおり、このような症状を除くのに有効な治療から得るところがあるであろう。
【0007】
空気のとおりを良くして鼻づまりをなくすために鼻腔と副鼻腔を薄い塩水で洗浄して、表面が固まった粘膜、刺激物、及び異物を洗い流すことは、文字通り数千年間多くの文化にわたって広く行われている。最近では、特に1990年頃以来、アメリカとヨーロッパの主要な医学校とリサーチセンタにおいて、鼻洗浄の結果、鼻疾患症状が逸話的に緩和されたかどうかを試験する、専門家によって評価された有意数の臨床試験が行われ、科学的調査が実施された。
【0008】
いくつかの臨床研究は、鼻洗浄を定期的に行うことが、鼻閉の低減、鼻道の空気の流れの改善、医師の訪問回数の低減、鼻炎の薬の処方回数の低減、生活の質の向上を含めて、慢性及び急性鼻副鼻腔炎の症状を軽減する有効な治療であることを示している。その他の臨床研究は、定期的な鼻洗浄は、アレルギィ関連の鼻の症状の治療に有効な方法であることを示す。その他のまだ公開されていない臨床研究は、現在、鼻洗浄が通常の風邪と鼾に対して有効な防止方法であるかどうかを試験中である。
【0009】
これらの研究は、鼻洗浄が、鼻腔を流動する多量の塩水に鼻腔をさらすことによって副鼻腔関連の疾病症状を治療する臨床的に証明された方法であることを示す。鼻洗浄の有効性を達成する正しいメカニズムは医学的科学的研究委員会によってまだよく理解されていないが、これは多面的であり、以下に述べるように、個々にあるいは一斉に、炎症伝達物質や、鼻炎、喘息及びその他の慢性粘膜反応のその他のトリガの病理学的影響を低減する鼻粘膜の能力を改善する一連の生理学的効果を与える。第一に鼻洗浄は、鼻腔の内側全体をすすぎ、副鼻腔を鼻腔につないでいる多数の孔を塞いでしまう瘡蓋を洗い流して、副鼻腔が正常に鼻腔に排出するようにして、副鼻腔のバクテリア繁殖用培養地としての適性をより小さなものにする。第2に、鼻洗浄は、鼻腔中の粘膜の粘度を下げて、内側瘡蓋の形成を低減する。第3に、鼻洗浄により、副鼻腔への開口と、時に、副鼻腔そのものも含めて、鼻腔の内側表面に少量の塩水が残留する。このことは、塩水には固有の消毒性があり、バクテリアの成長を妨げるため、有利である。第4に、鼻介骨の脈管組織を塩水に露出させることで、鼻を通って吸気された空気が肺に届く前に暖められて湿り、鼻介骨のサイズが小さくなって、鼻づまりが軽減される。第5に、鼻洗浄は、繊毛の打ち付け頻度が増える結果、粘膜毛様体クリアランスが改善され、粘膜の自然フラッシュ機能が改善される。第6に、塩水は空中浮遊菌、ウイルス粒子、刺激源、及び感染やアレルギィを起こすその他の異物を洗い流す。
【0010】
鼻腔を洗浄できる3つの方法がある。重力と、圧力と、吸引である。
【0011】
重力による装置によれば、例えば、ティーポット状の注ぎ口の先端を一方の鼻孔に挿入して塩水を注ぐことによって、鼻腔へ塩水を流し込むことができる。次いで、塩水が鼻中隔の後縁周囲に流れ、ユーザの他方の鼻孔に流れる。重力によるデバイスは、鼻うがいポット(neti pot)である。しかしながら、このようなすすぎを行うのに必要な好ましくない物理的位置は、多くの人にとって難しく、鼻経路から勝手に流れ出す流出物があちこちに流れて、実質的に清浄する手順を必要とする。
【0012】
圧力による装置は、やはり一方の鼻孔に塩水を導入し、鼻中隔の後縁周囲に圧力下で力をかけ、他方の鼻孔へ流し入れることによって、塩水を鼻腔に送り出す。これは、例えば、塩水を満たしたフレキシブルなプラスチックチューブあるいはボトルのノズルを一方の鼻孔にあてて、これを絞り、塩水を一方の鼻孔に注入して、鼻腔を介して、他方の鼻孔に送り出すことによって行われる。この装置は、重力による流れを達成するのに必要な物理的に好ましくないものを使わずに済むが、乱雑であるという問題と、付添人が拭き取るという不具合が残る。更に、絞りチューブによって与えられる圧力変化が、望ましくなく、痛みを伴い、圧力が鼻道、特に耳管口を傷つけることもある。従って、この装置は、正しく使用するためにはスキルが必要である。
【0013】
従来のデバイスは、通常吸引を利用しない。鼻洗浄を行うのに吸引を用いる最も普及している方法は、ユーザが薄い塩水を少量取って鼻孔にすすり入れることと同じくらい簡単である。
【0014】
現在のところ、単一のデバイスで3つの送達方法の全てを用いて鼻洗浄を行う能力をユーザに提供する便利なデバイスは存在しない。
【0015】
現在のところ、単一のデバイス中で、重力と圧力、重力と吸引、あるいは圧力と吸引を組み合わせて鼻洗浄を行う能力をユーザに提供する便利なデバイスも、これら3つの組み合わせのいずれかにおいて機械式機構を提供するデバイスも存在しない。
【0016】
現在のところ、吸引のみで鼻洗浄を行う能力をユーザに提供する便利なデバイスは存在しない。
【0017】
制御されて、供給が緩やかで、緩やかに駆動される吸引の影響下で洗浄薬を吸い込んで、迅速かつ容易に使い捨てできる状態で廃液を安全に回収でき、様々な鼻寸法に容易に調整可能な、鼻腔を安全に洗浄できる簡易型ハンドヘルドデバイスが求められている。
【発明の概要】
【0018】
ユーザの鼻腔を治療的に洗浄する鼻洗浄デバイスが提供されている。このデバイスは、塩水源と、廃液容器、鼻インターフェース、真空源、流体経路、及びスイッチ及びバルブアッセンブリを具えている。鼻インターフェースは、デバイスをユーザの鼻孔に係合させて、塩水源から鼻孔へ重力によって塩水を送達する。塩水源は、流体経路、鼻インターフェース、及びユーザの鼻腔を介して溶液容器に連通している。スイッチ及びバルブアッセンブリは、真空源と流体経路を通る塩水の流量を制御する。上述の塩水の他に、代替の洗浄液を組み入れてこのデバイスに使用しても良い。
【0019】
ユーザの鼻孔を、塩水源と塩水廃液容器に連通する関連流体経路を具えるハンドヘルドデバイスに対してシーリングするステップを具える鼻腔洗浄方法も提供されている。この経路、源、容器は、ハンドヘルドデバイス中に一体化されている。相対的真空がやはりハンドヘルドデバイスに設けた動力吸引源を有する廃液容器に適用される。塩水が塩水源からこの経路と鼻腔に放出され、これによって鼻孔を通り、ユーザの鼻中隔後縁周囲を通る塩水の流れが鼻腔を洗浄する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、主題の鼻洗浄デバイスの実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の実施例の正面図である。
【図3】図3は、図1の実施例のアッセンブリに収納されたエレメントをより明確に示すために、上側壁を外して示す断斜視図である。
【図4】図4は、図2に示す図の部分的側面図であり、ここでは内部エレメントを示すために外側壁を除去している。
【図5】図5は、図3に対応するデバイスの平面図であり、ここでも内部部品を示すために、上側壁が取り除かれている。
【図6】図6は、デバイスの内部部品の一部を示す図であり、ここでは外側壁が全て除去されている。
【図7】図7は、代替の実施例についての図6と同様の図であり、ここでは電気ポンプアッセンブリなどの真空源がない。
【図8】図8は、別の代替実施例の斜視図であり、ここでは、鼻インターフェースの下で、廃液容器の前にハンドルが設けられている。
【図9】図9は、別の代替実施例を示す図であり、ここでは、塩水源と廃液容器の両方が互いに鼻インターフェースの下に配置されている。
【図10】図10は、マグ形状を有するサイドハンドル付の更に別の代替実施例を示す斜視図である。
【図11】図11は、図10の実施例の正側面図であり、特に、図10からははっきりしない背面を示す。
【図12】図12は、図11に示す実施例の部分的断面図であり、特に、内部部品を示す。
【図13】図13は、鼻洗浄法を実行する一実施例のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面は、鼻洗浄デバイスまたはツールを示しており、好ましくは簡単に使用できるハンドヘルドデバイスまたはツールであって、より使いやすく、より清潔で、より心地よく、また、より効果的な鼻腔及び副鼻腔口の洗浄法を提供している。デバイス10は、主として、例えば塩水を含む洗浄液源ボトル12と、塩水廃液を受ける容器ボトル14と、第1のボトルから鼻腔を介して第2のボトルへの流体連通を制御するコントローラ16を具えている。これらについて、以下により詳しく説明する。ボトル12、14は、どのような形状であっても良く、ネジ式ネック、ピンチフィット、着剣装置などの様々な方法でコントローラに取り付けることができる。典型的なサイズのものは、6乃至10オンスの流体を収納する。第1のボトル12は、使用により空になったときに、使用により廃液で一杯になったときに捨てることができる第2のボトル14として継続して使用できると解される。従って、単一のボトルの提供が、以前の塩水の第1ボトルと、次の排水容器14の両方を提供する。これらのボトルが詰め替え可能なボトル、あるいは再使用可能なボトル、あるいは、鼻洗浄が完了したときに詰め替えあるいは空にするコントローラ16内の永久的なチャンバであっても良く、このことは、本実施例の意図する範囲内にある。図3では、ボトル12’が上側壁無しで示されており、詰め替え用に端部が開放されている。塩水が、例示的な洗浄液として示されているが、これらの実施例は、香料や薬剤を含む様々な塩水混合物でできる代替の洗浄液を含むことを意図している。
【0022】
コントローラ16は、ハンドル部分20とハウジング22を具える。ハンドル20は、トリガ24と、平らな底壁28を有する台座ベース26を具えるピストル型グリップとして機能して、全アッセンブリ10全体を使用しないときにはバスルームの洗面台やキッチンのカウンタ平面上に立たせておくことを意図している。ベース26は、廃液ボトル14の外径に合致する形状の弧状切り欠き30を具えており、ボトル14の支持とコントローラ16に対する位置決めを容易にする。ハンドルアッセンブリ20は、トリガ24として右手グリップまたは左手グリップを収納するように構成されており、ハンドルの人間工学的形状は、ハンドルニュートラルになるように意図されている。ハウジング22は、そこを通って塩水源ボトルが延在し、鼻インターフェース38は、塩水源ボトル12と廃液ボトル14の間のユーザの鼻孔を通る一体的流体経路を形成する良好なシールでユーザの鼻の鼻孔32に係合するように配置されている、塩水源ボトル開口36を具える上側カバー34を有する。鼻インターフェースは、第1及び第2のノズル40、42を具え、これらは鼻クッションとも呼ばれており、ユーザ個々の身体構造に応じて、鼻孔に対してクッションのきいたシールを形成するために、必要に応じてスイベル回転あるいは回動することができる。鼻クッションとユーザの鼻孔間の正のシールは、治療的機能について、利便性、清潔さおよび整頓についての特徴のある質に関するデバイスの優れた操作性に必須である。従って、クッション40、42は、特に、このようなシールを容易にするよう構成されている。作動中は、インターフェース38と鼻腔間の係合シールが維持される限り、鼻孔からの漏れが排除される。鼻クッションが平面において先端を切り取った楕円形状を有しており、断面においていくらか平らになった円錐形状を有しているのが見える。このクッション開口は、クッションの中央部から若干スペースが空いており、鼻柱によって区切られている内側エッジより副鼻腔のより外側のエッジに係合するために、より伸びるシーリング面を提供している。クッション40、42は、代替的に、洗浄に便利なように、あるいは個々のユーザ毎に対応する個人ノズルセットのアタッチメントとして、共有ノズルを具えていても良い。様々な鼻のサイズに合わせる調整は、支持しているスイベルギア56を回転させることによって、あるいはその他の一般的な機械的手段を用いて行うことができる。
【0023】
鼻インターフェースの全構造は、ノズル40、42をユーザの副鼻孔32に対してやさしく、しかし、しっかりと押圧する、正の液密シールを提供することを意図している。
【0024】
図3−6を特に参照すると、流体経路を形成している流体導管を支持する下側ハウジング壁44と、第1のボトル12から第2のボトル14へ塩水を方向付けるポンプアッセンブリ60が設けられている。第1のボトルは、塩水が塩水供給導管46と供給ボトル圧にがし導管48(図6)に連通するようにコントローラ16に装着されている。この供給導管は、導管をクリンプする、あるいはバルブ(図示せず)を用いて導管を通る流体の流れを止めるトリガ24を通っている。導管46は、通常クリンプによって閉じられており、ユーザがトリガ24を稼働したときのみ、ボトルから鼻インターフェースへ流体を連通させる。供給導管46は第1のノズル40と直接連通して、塩水がユーザの左側の鼻孔(図に示す)へ導入されて、鼻腔を通り、廃液導管50を通って廃液ボトル14に直接連通させるために第2のノズル42で受けている。廃液ボトル委14は、廃液ボトルマウント52に装着されている。導管の寸法と構造は、流体が容易に流れること以外特に制限されない。3/16インチ乃至5/16インチの寸法のものが、有効であることがわかっている。導管の角度条件の鋭角性を最小にすること及び適宜の体積メトリクスが、所望の洗浄治療を達成する。廃液導管50は、配液ボトルマウント52で終端しており、廃液ボトル14、導管50、及び真空源導管54の間に気密及び液密シールを提供している。
【0025】
真空ポンプアッセンブリ60は、塩水源ボトル12からの流れの重力誘発に加えて鼻腔を通って塩水洗浄剤を引き込む吸引力で流れを強化することによって、洗浄治療をより容易にするための、デバイス10内の相対的真空源である。真空源は、塩水を鼻腔の中に押し入れて高圧領域をつくる圧力ベースのポンプデバイスとは反対に、ユーザの健康と治療経験と相対的な改良された押圧力である。従って、真空ポンプ60は、真空導管54を介して相対真空または負圧を廃液ボトルに送り、これによって、鼻腔を通って塩水を引き込み、第2の鼻クッション42から出すのを容易にする。圧力安全弁64が、このように配置されて最大真空量を約5.5インチ水銀より大きくならないように制限している。圧力安全弁62は、同様に、塩水に代えて空気を供給ボトル12から出す。
【0026】
ハンドルベース26に配置されたバッテリ源68から、ポンプ60に電力が供給される。このバッテリ源は、交換可能なあるいは再充電可能なバッテリを具えているか、あるいは、代替的に、職業医療装置で連続的に使用することができる洗浄デバイス用のコードで供給する電力源を具えていても良い。
【0027】
図4を特に参照すると、トリガ24は、供給導管46を介して塩水を流すのみならず、スイッチ70が引っ張られて閉じるとこれに係合してバッテリ源68からポンプ60に電気エネルギィを供給するよう、作用する。
【0028】
動作中は、デバイス10は、図2に示す態様で、ハンドヘルドで、あるいは、面で支持されている場合は所定の係合位置にユーザの頭を動かすことによって、鼻孔近傍に配置される。ユーザがトリガ24を引っ張り、同時にいくつかの結果が生じる。第1のボトル12は比較的鼻腔近くに配置されており、塩水は鼻孔の上にある。塩水供給導管46が開口し、塩水が単純に重力によって第1のノズルに流れ、同様に、全重力によって残る流体経路である鼻腔を通る。実際、重力のみを使用することが、以下に述べるとおりひとつの特定の実施例である。しかしながら、電力によって吸引して鼻腔を通って流体を引き込むことは、有効な鼻洗浄である、洗浄、マッサージ、及びすすぎの要素を有意に強化する。更に、電力による吸引は、痛みを与えるリスク、及び、鼻腔の耳管口に潜在的に有害な圧力を与えるリスクを低減する。この流れは全てダウンヒルであるため、鼻中隔の後縁周辺と排出側鼻孔の外に塩水を引くための真空が比較的少量ですむ。廃液ボトルを適宜減圧するためには、3乃至5PSIの範囲で真空を発生するミニチュアポンプで十分である。しかしながら、代替の実施例(図12)では、異なるトリガ位置によって圧力を変えるための、多段速度ポンプ源を具えていても良い。
【0029】
図7を特に参照すると、流体通路82の代替の実施例が示されており、この例では、ポンプアッセンブリ60とバッテリィパック68が欠けている。塩水は、供給導管46を通って鼻腔を通り、廃液容器に流れ込む導管50に入る。ここで、鼻インターフェース38と廃液容器14(図示せず)が供給ボトル12からダウンヒルに配置されているので、塩水は単に重力による誘因で流れる。この流れには、図1に示す実施例の電力による流れの強化洗浄動作はないが、図7に示す実施例でも、鼻腔の治療的洗浄を提供する。安全弁64、62は、この実施例では圧力レギュレータというよりは、ベントとして機能する。
【0030】
図8を特に参照すると、代替の実施例90が示されており、ここでは、ハンドル92が鼻インターフェース94の下の廃液ボトル14の前に直接配置されており、塩水を開放して流し、ポンプに電気エネルギィを供給するつまみスイッチ95が設けられている。実施例90内の流体経路を提供する内部導管は、ボトル14の代替位置を収容するために若干異なっているが、作用効果は同じであり、図1に示す実施例のように、ハンドル20をつかむためにボトル14の周囲まで手をのばす必要がないという利点を提供する。
【0031】
図9を特に参照すると、供給ボトル12”がハウジング98の下の廃液容器ボトル14”近傍に配置されている点を除いて図8に示す実施例に類似する更に別の代替的な実施例が示されている。本実施例では、供給ボトル12”が、インターフェース100の下に配置されているので、単に重力のみで塩水をボトル12”からインターフェース100に誘導することができない。従って、ボトル12”は、何らかの形で供給導管102を通って塩水を押出すよう加圧されなければならない。この場合、ポンプアッセンブリ(図示せず)が、廃液供給ボトル14”から空気をポンピングするのと逆の方法で、圧力導管104を介してボトル12”に空気を送り込むようにしてボトル14”の相対真空を達成する。代替的に、ポンプアッセンブリは、供給ボトル12”の加圧を行うための第1のポンプ(図示せず)と、ポンプ60と同様に廃液容器14”を相対真空にするための第2のポンプ(図示せず)を具えていても良い。
【0032】
図10乃至12を特に参照すると、代替の実施例が示されており、側部ハンドル74とつまみコントロールトリガ76(鼻インターフェースは図示せず)を具えるマグ形状構造72が示されている。供給ボトル78は支持マウント80で受けており、一方、廃液ボトル81は、取り外し可能なチャンバ82を有する。トリガ76は、2速スイッチ77を制御して流れを可変にする。
【0033】
図13を特に参照すると、鼻洗浄を行う方法が詳細に示されている。この方法は、ユーザの鼻孔を、供給導管と廃液導管を有するデバイス10の流体経路に対してシーリングするステップを具える。ユーザがトリガ24を引くことでデバイスをオンにすると、塩水が供給ボトル12から放出されて、鼻インターフェース38と、鼻腔及び、特に鼻中隔の後縁のまわりに、最後に廃液ボトルに流れ、廃液容器14が相対真空になる(ステップ108)。この流れは、供給ボトル12をインターフェース38と廃液ボトル14の上に位置させた結果の重力と、廃液ボトル14の相対真空から生じる吸引によって、生じる。
【0034】
液体供給は、少なくとも、鼻孔を刺激しないような塩水を具えているべきである。ユーカリ、カモミール、ミント、などの様々な香料、あるいは味質を具える混合物がこの体験を強化することがわかっている。重炭酸ナトリウムで溶液を緩衝することで、この体験を強化することもわかっている。また、高張性の塩水を使用することで、この体験を強化することもわかっている。代替の洗浄剤、並びに、吸収剤とは対照的に、リンス剤として鼻腔送達に特に適した、抗生物質、ステロイド、鎮痛剤などの医薬混合物も使用することができる。
【技術分野】
【0001】
ここに開示された実施例は、一般的に、鼻腔および鼻腔への生体構造的開口の洗浄とすすぎに用いる方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
鼻及び副鼻腔の疾患、及び副鼻腔に関連する症候群及び症状は、患者罹患率がかなり高く、実質的な直接経費がかかり、この疾患に苦しむ患者の生活の質に有意な負のインパクトを与える、よく見られる臨床的問題である。病気に罹っている群の3つの主なカテゴリィは:1)急性及び慢性鼻副鼻腔炎の者;2)急性上部呼吸器感染の者;3)アレルギィ性鼻炎の者;及び、4)慢性鼾の問題を抱える者である。これらの4つのカテゴリィで、毎日鼻閉に苦しんでいる人の数は数百万人に達する。
【0003】
疾病対策センターは、米国における1994年の慢性鼻副鼻腔炎の症例数を3,500万人と見積もっており、2007年の人口に対して約13.5%、すなわち4,050万人の有病率を計算した。副鼻腔炎は、1985年から1992年に抗生物質を処方した5番目に多い診断である。1996年には、鼻炎が約2,670万人を数え、職場と救急診療を訪れたことにより、58億ドルの直接経費が生じた。
【0004】
アレルギィ性鼻炎は、アメリカの一般人口の約17%に上ると報告されており(また、選択された小児科集団は、42%以上存在するであろう)、これは、6,000万人の米国人を超える。
【0005】
鼾は、現在約9,000万人の成人米国人に、通常ベースで3,700万人に影響を及ぼしている。
【0006】
鼻副鼻腔炎、アレルギィ性鼻炎、鼾に苦しんでいる人の総数は、2又はそれ以上のカテゴリィに亘って二重計上することなく、多くて19,000万人、少なくて12,800万人の米国人を数える。控えめに見て40%を超える人が二重になっていると仮定すると、推定7,500万人の有害な洞性症状に苦しむ米国人がおり、このような症状を除くのに有効な治療から得るところがあるであろう。
【0007】
空気のとおりを良くして鼻づまりをなくすために鼻腔と副鼻腔を薄い塩水で洗浄して、表面が固まった粘膜、刺激物、及び異物を洗い流すことは、文字通り数千年間多くの文化にわたって広く行われている。最近では、特に1990年頃以来、アメリカとヨーロッパの主要な医学校とリサーチセンタにおいて、鼻洗浄の結果、鼻疾患症状が逸話的に緩和されたかどうかを試験する、専門家によって評価された有意数の臨床試験が行われ、科学的調査が実施された。
【0008】
いくつかの臨床研究は、鼻洗浄を定期的に行うことが、鼻閉の低減、鼻道の空気の流れの改善、医師の訪問回数の低減、鼻炎の薬の処方回数の低減、生活の質の向上を含めて、慢性及び急性鼻副鼻腔炎の症状を軽減する有効な治療であることを示している。その他の臨床研究は、定期的な鼻洗浄は、アレルギィ関連の鼻の症状の治療に有効な方法であることを示す。その他のまだ公開されていない臨床研究は、現在、鼻洗浄が通常の風邪と鼾に対して有効な防止方法であるかどうかを試験中である。
【0009】
これらの研究は、鼻洗浄が、鼻腔を流動する多量の塩水に鼻腔をさらすことによって副鼻腔関連の疾病症状を治療する臨床的に証明された方法であることを示す。鼻洗浄の有効性を達成する正しいメカニズムは医学的科学的研究委員会によってまだよく理解されていないが、これは多面的であり、以下に述べるように、個々にあるいは一斉に、炎症伝達物質や、鼻炎、喘息及びその他の慢性粘膜反応のその他のトリガの病理学的影響を低減する鼻粘膜の能力を改善する一連の生理学的効果を与える。第一に鼻洗浄は、鼻腔の内側全体をすすぎ、副鼻腔を鼻腔につないでいる多数の孔を塞いでしまう瘡蓋を洗い流して、副鼻腔が正常に鼻腔に排出するようにして、副鼻腔のバクテリア繁殖用培養地としての適性をより小さなものにする。第2に、鼻洗浄は、鼻腔中の粘膜の粘度を下げて、内側瘡蓋の形成を低減する。第3に、鼻洗浄により、副鼻腔への開口と、時に、副鼻腔そのものも含めて、鼻腔の内側表面に少量の塩水が残留する。このことは、塩水には固有の消毒性があり、バクテリアの成長を妨げるため、有利である。第4に、鼻介骨の脈管組織を塩水に露出させることで、鼻を通って吸気された空気が肺に届く前に暖められて湿り、鼻介骨のサイズが小さくなって、鼻づまりが軽減される。第5に、鼻洗浄は、繊毛の打ち付け頻度が増える結果、粘膜毛様体クリアランスが改善され、粘膜の自然フラッシュ機能が改善される。第6に、塩水は空中浮遊菌、ウイルス粒子、刺激源、及び感染やアレルギィを起こすその他の異物を洗い流す。
【0010】
鼻腔を洗浄できる3つの方法がある。重力と、圧力と、吸引である。
【0011】
重力による装置によれば、例えば、ティーポット状の注ぎ口の先端を一方の鼻孔に挿入して塩水を注ぐことによって、鼻腔へ塩水を流し込むことができる。次いで、塩水が鼻中隔の後縁周囲に流れ、ユーザの他方の鼻孔に流れる。重力によるデバイスは、鼻うがいポット(neti pot)である。しかしながら、このようなすすぎを行うのに必要な好ましくない物理的位置は、多くの人にとって難しく、鼻経路から勝手に流れ出す流出物があちこちに流れて、実質的に清浄する手順を必要とする。
【0012】
圧力による装置は、やはり一方の鼻孔に塩水を導入し、鼻中隔の後縁周囲に圧力下で力をかけ、他方の鼻孔へ流し入れることによって、塩水を鼻腔に送り出す。これは、例えば、塩水を満たしたフレキシブルなプラスチックチューブあるいはボトルのノズルを一方の鼻孔にあてて、これを絞り、塩水を一方の鼻孔に注入して、鼻腔を介して、他方の鼻孔に送り出すことによって行われる。この装置は、重力による流れを達成するのに必要な物理的に好ましくないものを使わずに済むが、乱雑であるという問題と、付添人が拭き取るという不具合が残る。更に、絞りチューブによって与えられる圧力変化が、望ましくなく、痛みを伴い、圧力が鼻道、特に耳管口を傷つけることもある。従って、この装置は、正しく使用するためにはスキルが必要である。
【0013】
従来のデバイスは、通常吸引を利用しない。鼻洗浄を行うのに吸引を用いる最も普及している方法は、ユーザが薄い塩水を少量取って鼻孔にすすり入れることと同じくらい簡単である。
【0014】
現在のところ、単一のデバイスで3つの送達方法の全てを用いて鼻洗浄を行う能力をユーザに提供する便利なデバイスは存在しない。
【0015】
現在のところ、単一のデバイス中で、重力と圧力、重力と吸引、あるいは圧力と吸引を組み合わせて鼻洗浄を行う能力をユーザに提供する便利なデバイスも、これら3つの組み合わせのいずれかにおいて機械式機構を提供するデバイスも存在しない。
【0016】
現在のところ、吸引のみで鼻洗浄を行う能力をユーザに提供する便利なデバイスは存在しない。
【0017】
制御されて、供給が緩やかで、緩やかに駆動される吸引の影響下で洗浄薬を吸い込んで、迅速かつ容易に使い捨てできる状態で廃液を安全に回収でき、様々な鼻寸法に容易に調整可能な、鼻腔を安全に洗浄できる簡易型ハンドヘルドデバイスが求められている。
【発明の概要】
【0018】
ユーザの鼻腔を治療的に洗浄する鼻洗浄デバイスが提供されている。このデバイスは、塩水源と、廃液容器、鼻インターフェース、真空源、流体経路、及びスイッチ及びバルブアッセンブリを具えている。鼻インターフェースは、デバイスをユーザの鼻孔に係合させて、塩水源から鼻孔へ重力によって塩水を送達する。塩水源は、流体経路、鼻インターフェース、及びユーザの鼻腔を介して溶液容器に連通している。スイッチ及びバルブアッセンブリは、真空源と流体経路を通る塩水の流量を制御する。上述の塩水の他に、代替の洗浄液を組み入れてこのデバイスに使用しても良い。
【0019】
ユーザの鼻孔を、塩水源と塩水廃液容器に連通する関連流体経路を具えるハンドヘルドデバイスに対してシーリングするステップを具える鼻腔洗浄方法も提供されている。この経路、源、容器は、ハンドヘルドデバイス中に一体化されている。相対的真空がやはりハンドヘルドデバイスに設けた動力吸引源を有する廃液容器に適用される。塩水が塩水源からこの経路と鼻腔に放出され、これによって鼻孔を通り、ユーザの鼻中隔後縁周囲を通る塩水の流れが鼻腔を洗浄する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、主題の鼻洗浄デバイスの実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の実施例の正面図である。
【図3】図3は、図1の実施例のアッセンブリに収納されたエレメントをより明確に示すために、上側壁を外して示す断斜視図である。
【図4】図4は、図2に示す図の部分的側面図であり、ここでは内部エレメントを示すために外側壁を除去している。
【図5】図5は、図3に対応するデバイスの平面図であり、ここでも内部部品を示すために、上側壁が取り除かれている。
【図6】図6は、デバイスの内部部品の一部を示す図であり、ここでは外側壁が全て除去されている。
【図7】図7は、代替の実施例についての図6と同様の図であり、ここでは電気ポンプアッセンブリなどの真空源がない。
【図8】図8は、別の代替実施例の斜視図であり、ここでは、鼻インターフェースの下で、廃液容器の前にハンドルが設けられている。
【図9】図9は、別の代替実施例を示す図であり、ここでは、塩水源と廃液容器の両方が互いに鼻インターフェースの下に配置されている。
【図10】図10は、マグ形状を有するサイドハンドル付の更に別の代替実施例を示す斜視図である。
【図11】図11は、図10の実施例の正側面図であり、特に、図10からははっきりしない背面を示す。
【図12】図12は、図11に示す実施例の部分的断面図であり、特に、内部部品を示す。
【図13】図13は、鼻洗浄法を実行する一実施例のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面は、鼻洗浄デバイスまたはツールを示しており、好ましくは簡単に使用できるハンドヘルドデバイスまたはツールであって、より使いやすく、より清潔で、より心地よく、また、より効果的な鼻腔及び副鼻腔口の洗浄法を提供している。デバイス10は、主として、例えば塩水を含む洗浄液源ボトル12と、塩水廃液を受ける容器ボトル14と、第1のボトルから鼻腔を介して第2のボトルへの流体連通を制御するコントローラ16を具えている。これらについて、以下により詳しく説明する。ボトル12、14は、どのような形状であっても良く、ネジ式ネック、ピンチフィット、着剣装置などの様々な方法でコントローラに取り付けることができる。典型的なサイズのものは、6乃至10オンスの流体を収納する。第1のボトル12は、使用により空になったときに、使用により廃液で一杯になったときに捨てることができる第2のボトル14として継続して使用できると解される。従って、単一のボトルの提供が、以前の塩水の第1ボトルと、次の排水容器14の両方を提供する。これらのボトルが詰め替え可能なボトル、あるいは再使用可能なボトル、あるいは、鼻洗浄が完了したときに詰め替えあるいは空にするコントローラ16内の永久的なチャンバであっても良く、このことは、本実施例の意図する範囲内にある。図3では、ボトル12’が上側壁無しで示されており、詰め替え用に端部が開放されている。塩水が、例示的な洗浄液として示されているが、これらの実施例は、香料や薬剤を含む様々な塩水混合物でできる代替の洗浄液を含むことを意図している。
【0022】
コントローラ16は、ハンドル部分20とハウジング22を具える。ハンドル20は、トリガ24と、平らな底壁28を有する台座ベース26を具えるピストル型グリップとして機能して、全アッセンブリ10全体を使用しないときにはバスルームの洗面台やキッチンのカウンタ平面上に立たせておくことを意図している。ベース26は、廃液ボトル14の外径に合致する形状の弧状切り欠き30を具えており、ボトル14の支持とコントローラ16に対する位置決めを容易にする。ハンドルアッセンブリ20は、トリガ24として右手グリップまたは左手グリップを収納するように構成されており、ハンドルの人間工学的形状は、ハンドルニュートラルになるように意図されている。ハウジング22は、そこを通って塩水源ボトルが延在し、鼻インターフェース38は、塩水源ボトル12と廃液ボトル14の間のユーザの鼻孔を通る一体的流体経路を形成する良好なシールでユーザの鼻の鼻孔32に係合するように配置されている、塩水源ボトル開口36を具える上側カバー34を有する。鼻インターフェースは、第1及び第2のノズル40、42を具え、これらは鼻クッションとも呼ばれており、ユーザ個々の身体構造に応じて、鼻孔に対してクッションのきいたシールを形成するために、必要に応じてスイベル回転あるいは回動することができる。鼻クッションとユーザの鼻孔間の正のシールは、治療的機能について、利便性、清潔さおよび整頓についての特徴のある質に関するデバイスの優れた操作性に必須である。従って、クッション40、42は、特に、このようなシールを容易にするよう構成されている。作動中は、インターフェース38と鼻腔間の係合シールが維持される限り、鼻孔からの漏れが排除される。鼻クッションが平面において先端を切り取った楕円形状を有しており、断面においていくらか平らになった円錐形状を有しているのが見える。このクッション開口は、クッションの中央部から若干スペースが空いており、鼻柱によって区切られている内側エッジより副鼻腔のより外側のエッジに係合するために、より伸びるシーリング面を提供している。クッション40、42は、代替的に、洗浄に便利なように、あるいは個々のユーザ毎に対応する個人ノズルセットのアタッチメントとして、共有ノズルを具えていても良い。様々な鼻のサイズに合わせる調整は、支持しているスイベルギア56を回転させることによって、あるいはその他の一般的な機械的手段を用いて行うことができる。
【0023】
鼻インターフェースの全構造は、ノズル40、42をユーザの副鼻孔32に対してやさしく、しかし、しっかりと押圧する、正の液密シールを提供することを意図している。
【0024】
図3−6を特に参照すると、流体経路を形成している流体導管を支持する下側ハウジング壁44と、第1のボトル12から第2のボトル14へ塩水を方向付けるポンプアッセンブリ60が設けられている。第1のボトルは、塩水が塩水供給導管46と供給ボトル圧にがし導管48(図6)に連通するようにコントローラ16に装着されている。この供給導管は、導管をクリンプする、あるいはバルブ(図示せず)を用いて導管を通る流体の流れを止めるトリガ24を通っている。導管46は、通常クリンプによって閉じられており、ユーザがトリガ24を稼働したときのみ、ボトルから鼻インターフェースへ流体を連通させる。供給導管46は第1のノズル40と直接連通して、塩水がユーザの左側の鼻孔(図に示す)へ導入されて、鼻腔を通り、廃液導管50を通って廃液ボトル14に直接連通させるために第2のノズル42で受けている。廃液ボトル委14は、廃液ボトルマウント52に装着されている。導管の寸法と構造は、流体が容易に流れること以外特に制限されない。3/16インチ乃至5/16インチの寸法のものが、有効であることがわかっている。導管の角度条件の鋭角性を最小にすること及び適宜の体積メトリクスが、所望の洗浄治療を達成する。廃液導管50は、配液ボトルマウント52で終端しており、廃液ボトル14、導管50、及び真空源導管54の間に気密及び液密シールを提供している。
【0025】
真空ポンプアッセンブリ60は、塩水源ボトル12からの流れの重力誘発に加えて鼻腔を通って塩水洗浄剤を引き込む吸引力で流れを強化することによって、洗浄治療をより容易にするための、デバイス10内の相対的真空源である。真空源は、塩水を鼻腔の中に押し入れて高圧領域をつくる圧力ベースのポンプデバイスとは反対に、ユーザの健康と治療経験と相対的な改良された押圧力である。従って、真空ポンプ60は、真空導管54を介して相対真空または負圧を廃液ボトルに送り、これによって、鼻腔を通って塩水を引き込み、第2の鼻クッション42から出すのを容易にする。圧力安全弁64が、このように配置されて最大真空量を約5.5インチ水銀より大きくならないように制限している。圧力安全弁62は、同様に、塩水に代えて空気を供給ボトル12から出す。
【0026】
ハンドルベース26に配置されたバッテリ源68から、ポンプ60に電力が供給される。このバッテリ源は、交換可能なあるいは再充電可能なバッテリを具えているか、あるいは、代替的に、職業医療装置で連続的に使用することができる洗浄デバイス用のコードで供給する電力源を具えていても良い。
【0027】
図4を特に参照すると、トリガ24は、供給導管46を介して塩水を流すのみならず、スイッチ70が引っ張られて閉じるとこれに係合してバッテリ源68からポンプ60に電気エネルギィを供給するよう、作用する。
【0028】
動作中は、デバイス10は、図2に示す態様で、ハンドヘルドで、あるいは、面で支持されている場合は所定の係合位置にユーザの頭を動かすことによって、鼻孔近傍に配置される。ユーザがトリガ24を引っ張り、同時にいくつかの結果が生じる。第1のボトル12は比較的鼻腔近くに配置されており、塩水は鼻孔の上にある。塩水供給導管46が開口し、塩水が単純に重力によって第1のノズルに流れ、同様に、全重力によって残る流体経路である鼻腔を通る。実際、重力のみを使用することが、以下に述べるとおりひとつの特定の実施例である。しかしながら、電力によって吸引して鼻腔を通って流体を引き込むことは、有効な鼻洗浄である、洗浄、マッサージ、及びすすぎの要素を有意に強化する。更に、電力による吸引は、痛みを与えるリスク、及び、鼻腔の耳管口に潜在的に有害な圧力を与えるリスクを低減する。この流れは全てダウンヒルであるため、鼻中隔の後縁周辺と排出側鼻孔の外に塩水を引くための真空が比較的少量ですむ。廃液ボトルを適宜減圧するためには、3乃至5PSIの範囲で真空を発生するミニチュアポンプで十分である。しかしながら、代替の実施例(図12)では、異なるトリガ位置によって圧力を変えるための、多段速度ポンプ源を具えていても良い。
【0029】
図7を特に参照すると、流体通路82の代替の実施例が示されており、この例では、ポンプアッセンブリ60とバッテリィパック68が欠けている。塩水は、供給導管46を通って鼻腔を通り、廃液容器に流れ込む導管50に入る。ここで、鼻インターフェース38と廃液容器14(図示せず)が供給ボトル12からダウンヒルに配置されているので、塩水は単に重力による誘因で流れる。この流れには、図1に示す実施例の電力による流れの強化洗浄動作はないが、図7に示す実施例でも、鼻腔の治療的洗浄を提供する。安全弁64、62は、この実施例では圧力レギュレータというよりは、ベントとして機能する。
【0030】
図8を特に参照すると、代替の実施例90が示されており、ここでは、ハンドル92が鼻インターフェース94の下の廃液ボトル14の前に直接配置されており、塩水を開放して流し、ポンプに電気エネルギィを供給するつまみスイッチ95が設けられている。実施例90内の流体経路を提供する内部導管は、ボトル14の代替位置を収容するために若干異なっているが、作用効果は同じであり、図1に示す実施例のように、ハンドル20をつかむためにボトル14の周囲まで手をのばす必要がないという利点を提供する。
【0031】
図9を特に参照すると、供給ボトル12”がハウジング98の下の廃液容器ボトル14”近傍に配置されている点を除いて図8に示す実施例に類似する更に別の代替的な実施例が示されている。本実施例では、供給ボトル12”が、インターフェース100の下に配置されているので、単に重力のみで塩水をボトル12”からインターフェース100に誘導することができない。従って、ボトル12”は、何らかの形で供給導管102を通って塩水を押出すよう加圧されなければならない。この場合、ポンプアッセンブリ(図示せず)が、廃液供給ボトル14”から空気をポンピングするのと逆の方法で、圧力導管104を介してボトル12”に空気を送り込むようにしてボトル14”の相対真空を達成する。代替的に、ポンプアッセンブリは、供給ボトル12”の加圧を行うための第1のポンプ(図示せず)と、ポンプ60と同様に廃液容器14”を相対真空にするための第2のポンプ(図示せず)を具えていても良い。
【0032】
図10乃至12を特に参照すると、代替の実施例が示されており、側部ハンドル74とつまみコントロールトリガ76(鼻インターフェースは図示せず)を具えるマグ形状構造72が示されている。供給ボトル78は支持マウント80で受けており、一方、廃液ボトル81は、取り外し可能なチャンバ82を有する。トリガ76は、2速スイッチ77を制御して流れを可変にする。
【0033】
図13を特に参照すると、鼻洗浄を行う方法が詳細に示されている。この方法は、ユーザの鼻孔を、供給導管と廃液導管を有するデバイス10の流体経路に対してシーリングするステップを具える。ユーザがトリガ24を引くことでデバイスをオンにすると、塩水が供給ボトル12から放出されて、鼻インターフェース38と、鼻腔及び、特に鼻中隔の後縁のまわりに、最後に廃液ボトルに流れ、廃液容器14が相対真空になる(ステップ108)。この流れは、供給ボトル12をインターフェース38と廃液ボトル14の上に位置させた結果の重力と、廃液ボトル14の相対真空から生じる吸引によって、生じる。
【0034】
液体供給は、少なくとも、鼻孔を刺激しないような塩水を具えているべきである。ユーカリ、カモミール、ミント、などの様々な香料、あるいは味質を具える混合物がこの体験を強化することがわかっている。重炭酸ナトリウムで溶液を緩衝することで、この体験を強化することもわかっている。また、高張性の塩水を使用することで、この体験を強化することもわかっている。代替の洗浄剤、並びに、吸収剤とは対照的に、リンス剤として鼻腔送達に特に適した、抗生物質、ステロイド、鎮痛剤などの医薬混合物も使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻洗浄デバイスにおいて:
洗浄剤源と;
廃液容器と;
前記洗浄剤を使用者の鼻孔に送達する鼻インターフェースであって、前記洗浄剤源に対して当該鼻インターフェースに前記洗浄剤を重力によって誘導するように配置された鼻インターフェースと;
前記廃液容器に相対真空を形成する真空源と;
前記鼻インターフェースと、前記ユーザの鼻腔を介して前記洗浄剤源を前記廃液容器に連通させる流体経路と;
前記真空源と、前記流体経路を通る前記洗浄剤の流れを選択的に制御するスイッチとバルブのアッセンブリと;
を具えることを特徴とする鼻洗浄デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記真空源が電気モータとポンプのアッセンブリであることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記洗浄剤源と前記廃液容器が、前記デバイスから選択的に分離可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記鼻インターフェースが、前記鼻孔に対してシーリング係合するように配置された第1及び第2のノズルを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスにおいて、前記鼻インターフェースがユーザの身体構造に対して調整可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記洗浄剤源が、前記鼻孔に向けて前記洗浄剤を重力で誘導するように前記鼻インターフェースの上に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記廃液容器が前記鼻インターフェースの下に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスが、前記洗浄液源と前記廃液容器に付随する圧力安全弁を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記洗浄剤が塩水、又は、ユーカリ、カモミール、ミント、あるいは、抗生物質、ステロイド、又は鎮痛剤を含む薬剤を含む塩水の混合物であることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
鼻腔を洗浄する方法において:
ユーザの鼻孔を、塩水源と廃液容器に連通する関連流体経路を具えるハンドヘルドデバイスに対してシーリングするステップであって、当該経路、塩水源及び廃液容器が前記ハンドヘルドデバイスにおいて一体的に組み立てられているステップと;
前記ハンドヘルドデバイスに設けられている電力による吸引源を用いて前記廃液容器に相対真空を適用するステップと;
前記塩水源から塩水を前記経路と前記鼻腔に放出して、これによって前記鼻孔を通り、前記鼻中隔の後縁周囲における前記塩水の流れが前記鼻腔を洗浄するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項1】
鼻洗浄デバイスにおいて:
洗浄剤源と;
廃液容器と;
前記洗浄剤を使用者の鼻孔に送達する鼻インターフェースであって、前記洗浄剤源に対して当該鼻インターフェースに前記洗浄剤を重力によって誘導するように配置された鼻インターフェースと;
前記廃液容器に相対真空を形成する真空源と;
前記鼻インターフェースと、前記ユーザの鼻腔を介して前記洗浄剤源を前記廃液容器に連通させる流体経路と;
前記真空源と、前記流体経路を通る前記洗浄剤の流れを選択的に制御するスイッチとバルブのアッセンブリと;
を具えることを特徴とする鼻洗浄デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記真空源が電気モータとポンプのアッセンブリであることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記洗浄剤源と前記廃液容器が、前記デバイスから選択的に分離可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記鼻インターフェースが、前記鼻孔に対してシーリング係合するように配置された第1及び第2のノズルを具えることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスにおいて、前記鼻インターフェースがユーザの身体構造に対して調整可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記洗浄剤源が、前記鼻孔に向けて前記洗浄剤を重力で誘導するように前記鼻インターフェースの上に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記廃液容器が前記鼻インターフェースの下に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスが、前記洗浄液源と前記廃液容器に付随する圧力安全弁を具えることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記洗浄剤が塩水、又は、ユーカリ、カモミール、ミント、あるいは、抗生物質、ステロイド、又は鎮痛剤を含む薬剤を含む塩水の混合物であることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
鼻腔を洗浄する方法において:
ユーザの鼻孔を、塩水源と廃液容器に連通する関連流体経路を具えるハンドヘルドデバイスに対してシーリングするステップであって、当該経路、塩水源及び廃液容器が前記ハンドヘルドデバイスにおいて一体的に組み立てられているステップと;
前記ハンドヘルドデバイスに設けられている電力による吸引源を用いて前記廃液容器に相対真空を適用するステップと;
前記塩水源から塩水を前記経路と前記鼻腔に放出して、これによって前記鼻孔を通り、前記鼻中隔の後縁周囲における前記塩水の流れが前記鼻腔を洗浄するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−520033(P2010−520033A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552880(P2009−552880)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/056003
【国際公開番号】WO2008/109726
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509244215)ライノシステムズ インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/056003
【国際公開番号】WO2008/109726
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509244215)ライノシステムズ インク. (1)
【Fターム(参考)】
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