説明

14−ヒドロキシ−ドコサヘキサエン酸化合物

本発明は、新規14−ヒドロキシドコサヘキサエン酸(DHA)アナログ、それらの製造、単離、同定、精製およびその使用を記述する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願へのクロスリファレンス】
【0001】
本願は、2008年12月18日に出願された(代理人整理番号BWHI−067/PROV1)「14−ヒドロキシ−ドコサヘキサエン酸化合物」という表題の米国仮特許出願第61/138,652号、および2008年9月16日に出願された(代理人整理番号BWHI−067/PROV)「14−ヒドロキシ−ドコサヘキサナエン酸(−DOCOSAHEXANAENOIC ACID)化合物」という表題の米国仮特許出願第61/097,328号に対して35 U.S.C.§119(e)の下で利益を請求し、これらの内容は両方とも、全ての目的のためにそれらの全部が本明細書に組み込まれる。
【連邦支援の研究に関する明示】
【0002】
本発明をもたらす研究は、国立衛生研究所(NIH)助成P50−DE016191およびR37−GM038765により一部支援された。従って、米国政府は本発明におけるある種の権利を有し得る。
【技術分野】
【0003】
<発明の分野>
本発明は、一般に、全て炭素鎖のC−14でヒドロキシル基をそして炭素鎖のC−4、C−7もしくはC−13位のいずれかで第二のヒドロキシル基を有するドコサヘキサエン酸(DHA)の新規ジヒドロキシアナログに関する。
【背景技術】
【0004】
<発明の背景>
多数のヒト疾患への制御されない炎症の寄与を考えると、急性炎症反応における内因性制御機序の同定は非常に興味深い(1)。プロスタグランジンおよびロイコトリエンのような典型的な脂質メディエーターは、炎症におけるそれらの重要な前炎症性の役割についてよく認められている(2)。近年、炎症の消散は、新規治療方法に有用であり得る局所メディエーターを含有するかなりの可能性を有する領域として浮上している(総説には3、4を参照)。自己消散する炎症性滲出液を調べるためにリピドミクス、プロテオミクスおよび細胞輸送を用いる不偏システム方法を使用することにより、急性炎症の停止は抗炎症性および消炎症性(pro−resolving)の両方である新規の内因性脂質メディエーターを生成する活発な生合成プロセスを伴うことが明らかにされた(5〜8)。急性炎症の消散は、これまで理解されていたような受動的よりむしろ能動的プロセスであり(9)、レゾルビンおよびプロテクチンと呼ばれる新規の強力な対抗制御的メディエーターを生成することが現在明らかである(最近の総説には、参考文献4を参照)。レゾルビンおよびプロテクチンは、必須オメガ−3脂肪酸(例えば、EPAおよびDHA)から滲出液により生合成され、そしてこれらのファミリーの主要メンバーについて構造が確立されている(4)。オメガ−3脂肪酸の免疫調節作用ならびにヒト健康および疾患、例えば癌および神経炎症におけるそれらの役割は、広く認められている(10〜12)。オメガ−3脂肪酸は栄養補助食品および炎症性疾患を包含する多数の疾患における潜在的治療法として広く使用されているが、それらの機序(1つもしくは複数)および炎症との関連は興味深いままである。レゾルビンおよびプロテクチンは強力な多段階の抗炎症性および消炎症性作用を示し(13)、そして消散の内因性メディエーターの新属のメンバーである(4)。例えば、レゾルビンE1はEPAから生合成され、そして炎症細胞を制御するために特定の受容体と相互作用する(14、15)。また、より高い内因性レベルのオメガ−3を生産するfat−1トランスジェニックマウスは、減少した炎症状態ならびにより高いレベルのレゾルビンおよびプロテクチンを示し、それらは投与した場合に炎症を減少しそして消散を刺激する(16〜18)。レゾルビンおよびプロテクチンのDHAとの主
要生合成経路は、リポキシゲナーゼ機序により生成される17S−ヒドロペルオキシドコサヘキサエン酸中間体を介して消散中に進む。アスピリン治療では、アセチル化シクロオキシゲナーゼ−2はレゾルビンおよびプロテクチンのアスピリン誘発性17R−エピマーを生成し、ならびにそれらの形成を高める(6)。マウス12/15−LOXの遺伝的欠損もしくは過剰発現はレゾルビンおよびプロテクチンの生産を調節し、そして熱傷およびアテローム性動脈硬化症の程度の両方へのそれらの反応を改変する(17、18)。
【0005】
従って、興味深い強力な生物学的メディエーターとしてこれまで認められていない新規の有用な物質のさらなる理解、探索もしくは/および同定の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
<発明の要約>
PMNおよびMΦとの強力な作用を有する急性炎症の消散において働いているメディエーターの新規経路の証拠が提供される。これらの新規メディエーター、造語(coined)マレシン(maresin)(炎症を消散させることにおけるマクロファージメディエーター(macrophage mediators in resolving inflammation))の同定は、ホメオスタシス、炎症−消散、創傷治癒および癌と関連し得る新規経路により必須オメガ−3脂肪酸から生成されるオータコイドの証拠を提供する。
【0007】
従って、本発明は、好中球およびマクロファージの両方との強力な二重抗炎症性および消炎症性作用を保有するDHAアナログの新規14S−シリーズにDHAを転化する急性炎症の消散中に働いている新規メディエーターおよび経路の証拠を提供する。これらの新規14S−シリーズDHAアナログの同定は、臓器系におけるDHAの既知の有益な作用ならびにヒトにおける炎症性疾患および癌を軽減する作用を関連付け得る必須オメガ−3脂肪酸から生成される局所メディエーターのさらなる証拠を提供する。
【0008】
本発明は、驚くべきことに、全て炭素鎖のC−14でヒドロキシル基をそして炭素鎖のC−4、C−7もしくはC−14位のいずれかで第二のヒドロキシル基を有するドコサヘキサエン酸(DHA)のジヒドロキシアナログに関する新規化合物、組成物および使用の方法を提供する。これらの物質は生物起源由来であり、そして培地から単離される。
【0009】
1つの態様において、本発明は式(I):
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【0012】
【化2】

【0013】
は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩のような新規のそして有用なDHAアナログに関し、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない。ある種の態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0014】
DHAアナログ(I)の興味深い特定の異性体は式:
【0015】
【化3】

【0016】
を含んでなる(Ia)である。
【0017】
DHAアナログ(I)の興味深い別の異性体は、「二重二酸素化(double dioxygenation)」生成物と呼ばれる、式:
【0018】
【化4】

【0019】
を含んでなる(Ib)である。
【0020】
化合物(Ia)および(Ib)には全ての製薬学的に許容しうる塩、そのエステル、精製された/単離された形態、ならびにヒドロキシルの一方もしくは両方が本明細書に記載の通り保護基に転化される化合物が包含されることが理解されるべきである。
【0021】
別の態様において、本発明は式(I):
【0022】
【化5】

【0023】
[式中、P1、P2
【0024】
【化6】

【0025】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0026】
別の態様において、本発明は式(Ic):
【0027】
【化7】

【0028】
[式中、P1、P2
【0029】
【化8】

【0030】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義したとおりである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。R1は(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択される。1つの態様において、R1はメチル基である。
【0031】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0032】
別の態様において、本発明は式(Id):
【0033】
【化9】

【0034】
[式中、P1、P2
【0035】
【化10】

【0036】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。R2は(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択される。1つの態様において、R2はメチル基である。
【0037】
1つに態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0038】
別の態様において、本発明は式(Ie):
【0039】
【化11】

【0040】
[式中、P1、P2
【0041】
【化12】

【0042】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義したとおりである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。
【0043】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。さらに別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0044】
別の態様において、本発明は式(II):
【0045】
【化13】

【0046】
[式中、P1、P2
【0047】
【化14】

【0048】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログに関する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0049】
別の態様において、本発明は式(II):
【0050】
【化15】

【0051】
[式中、P1、P2
【0052】
【化16】

【0053】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0054】
別の態様において、本発明は式(IIa):
【0055】
【化17】

【0056】
[式中、P1、P2
【0057】
【化18】

【0058】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1はメ
チル基である。
【0059】
別の態様において、本発明は式(IIb):
【0060】
【化19】

【0061】
[式中、P1、P2
【0062】
【化20】

【0063】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R2はメチル基である。
【0064】
別の態様において、本発明は式(IIc):
【0065】
【化21】

【0066】
[式中、P1、P2
【0067】
【化22】

【0068】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。
【0069】
別の態様において、本発明は式(III):
【0070】
【化23】

【0071】
[式中、P1、P2
【0072】
【化24】

【0073】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0074】
さらに別の態様において、本発明は式(III):
【0075】
【化25】

【0076】
[式中、P1、P2
【0077】
【化26】

【0078】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0079】
さらに別の態様において、本発明は式(IIIa):
【0080】
【化27】

【0081】
[式中、P1、P2
【0082】
【化28】

【0083】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、R1はメチル基である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0084】
さらに別の態様において、本発明は式(IIIb):
【0085】
【化29】

【0086】
[式中、P1、P2
【0087】
【化30】

【0088】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、R2はメチル基である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0089】
さらに別の態様において、本発明は式(IIIc):
【0090】
【化31】

【0091】
[式中、P1、P2
【0092】
【化32】

【0093】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0094】
さらに別の態様において、本発明は式(IV):
【0095】
【化33】

【0096】
[式中、
【0097】
【化34】

【0098】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0099】
さらに別の態様において、本発明は式(IV):
【0100】
【化35】

【0101】
[式中、
【0102】
【化36】

【0103】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0104】
別の態様において、本発明は式(V):
【0105】
【化37】

【0106】
[式中、P1、P2およびP3の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり、そして
【0107】
【化38】

【0108】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0109】
なおさらに別の態様において、本発明は式(V):
【0110】
【化39】

【0111】
[式中、P1、P2、P3
【0112】
【化40】

【0113】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0114】
なおさらに別の態様において、本発明は式(Va):
【0115】
【化41】

【0116】
[式中、P1、P2、P3
【0117】
【化42】

【0118】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1はメチル基である。
【0119】
別の態様において、本発明は式(Vb):
【0120】
【化43】

【0121】
[式中、P1、P2、P3
【0122】
【化44】

【0123】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R2はメチル基である。
【0124】
別の態様において、本発明は式(Vc):
【0125】
【化45】

【0126】
[式中、P1、P2、P3
【0127】
【化46】

【0128】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R3はメチル基である。
【0129】
別の態様において、本発明は式(Vd):
【0130】
【化47】

【0131】
[式中、P1、P2、P3
【0132】
【化48】

【0133】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1およびR2はメチル基である。
【0134】
別の態様において、本発明は式(Ve):
【0135】
【化49】

【0136】
[式中、P1、P2、P3
【0137】
【化50】

【0138】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1およびR2はメチル基である。
【0139】
別の態様において、本発明は式(Vf):
【0140】
【化51】

【0141】
[式中、P1、P2、P3
【0142】
【化52】

【0143】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R2およびR3はメチル基である。
【0144】
別の態様において、本発明は式(Vg):
【0145】
【化53】

【0146】
[式中、P1、P2、P3
【0147】
【化54】

【0148】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1、R2およびR3は全てメチル基である。
【0149】
別の態様において、本発明は式(VI):
【0150】
【化55】

【0151】
[式中、P1、P2
【0152】
【化56】

【0153】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0154】
別の態様において、本発明は式(VIa):
【0155】
【化57】

【0156】
[式中、P1、P2
【0157】
【化58】

【0158】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、R1はメチル基である
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0159】
別の態様において、本発明は式(VIb):
【0160】
【化59】

【0161】
[式中、P1、P2
【0162】
【化60】

【0163】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、R2はメチル基である。
【0164】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0165】
別の態様において、本発明は式(VIc):
【0166】
【化61】

【0167】
[式中、P1、P2
【0168】
【化62】

【0169】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。
【0170】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。さらに別の態様において、Zは−C(O)ORd
であり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0171】
別の態様において、C−14アルコールは本願を通して記載される化合物についてS立体配置を有する。
【0172】
別の態様において、本発明は、製薬学的に許容しうる賦形剤と混合して、他の医薬品有効成分と共にもしくはそれなしに、本発明の1つもしくはそれ以上の化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。そのような製剤は、本発明の方法に従って投与することができる。
【0173】
さらに別の態様において、本発明は哺乳類における炎症もしくは炎症性疾患を処置するかもしくは予防する方法に関する。該方法は、本発明の少なくとも1つの化合物もしくはその製薬学的組成物の予防的にもしくは治療的に有効な量を投与することを含む。例えば、本発明の化合物は、本明細書に記載の化合物のいずれかの有効量を処置もしくは予防を必要とする個体に投与することにより炎症、癌、神経変性、記憶喪失、しわ、乾癬、ふけもしくは皮膚炎を処置するかもしくは予防するために用いることができる。
【0174】
さらに、本発明の化合物は、本明細書に記載の化合物のいずれかの有効量をそれを必要とする個体に投与することにより神経発生、胎児発達、ホメオスタシス、組織リモデリングもしくは創傷修復に用いることができる。
【0175】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な記述および請求項からさらに明らかになる。
【0176】
多数の態様が開示されるが、本発明のさらに他の態様は以下の詳細な記述から当業者に明らかになる。明らかであるように、本発明は、全て本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な明らかな態様において変更が可能である。従って、詳細な記述は本来は実例としてそして限定としてではなく考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】自己消散する急性炎症性滲出液。図1A.ザイモサンによって開始される腹膜炎の間のPMN(点線)蓄積、消散およびHDHA形成の時間経過。LC/MS/MSを用いる標的化リピドミクス用に滲出液を抽出した。MRM結果を用いて同定されるヒドロキシドコサヘキサエン酸、17−HDHA(破線)および14S−HDHA(実線)は代表であり(n=3)、そしてPMN n=4。図1Bおよび1C.代表的な質量スペクトル17−HDHA(パネルB)および14S−HDHA(パネルC)、n=3。
【図2】マクロファージは新規生成物を生成する。図2A.DHAもしくは14S−HpDHAとインキュベーションしたマウス在住MΦ(5 x 106細胞/ml):標的化LC/MS/MSに基づくメディエーターリピドミクス。7,14−ジヒドロキシドコサヘキサエン酸(II)およびそのトランス共役異性体(I)の選択イオンクロマトグラム(m/z 359/250)。選択イオンクロマトグラム(破線のオーバーレイ;m/z 359/250)は、二重二酸素化生成物7S,14S−ジHDHAを示す。挿入図:単離された在住MΦのFACS。図2パネルB.脂質メディエーターリピドミクス。7,14−ジヒドロキシドコサヘキサエン酸(m/z 359)および(パネルC)対応する異性体の質量スペクトル。診断イオンについては挿入図および本文を参照 n=3。
【図3】抗炎症性新規マクロファージ生成物。図3A.マウス腹膜炎PMNの減少。単離されたMΦのC18抽出からのギ酸メチル画分(黒色)、RP−HPLCで単離されたMΦ生成物(20ng/マウス)、PD1(20ng/マウス)もしくはRvE1(20ng/マウス)における活性。結果は、滲出液PMN平均±SEMとして表される(n=3、*、ザイモサン+賦形剤と比較して、p<0.05)。図3B.特異的なPMN対単球作用。マウスに二重二酸素化生成物(0.1ng/マウス)、MΦ単離物(0.1ng/マウス)もしくは賦形剤のみを注射し(パネルAにおける通り)、続いてザイモサン(1mg)をi.p注射して腹膜炎を誘発させた。2h後に、白血球を数えた。黒色の棒、PMN;斜線の棒、単核細胞。結果は平均±SEMである(n=3、*、ザイモサン+賦形剤と比較して、p<0.05;†、p<0.05、二重二酸素化対MΦ単離物)。図3C.腹膜炎の減少:用量反応。HPLC単離後に単離されるMΦ生成物をi.pザイモサンの〜2分前にi.v.注射した。結果は平均±SEMである(n=3、*、ザイモサン+賦形剤と比較して、p<0.05)。図3D.MaR1は食作用を高める。MΦ(24ウェルプレート、105細胞/ウェル)を示した濃度に15分間、続いてFITC標識したザイモサンにさらした(30分、37℃)。結果は、賦形剤を上回る%増加として表した平均±SEMである(n=3、*、賦形剤と比較してp<0.05;†、p<0.05、二重二酸素化対MaR1)。実線のひし形、MaR1。実線の四角、二重二酸素化生成物7S,14S−ジHDHA。挿入図、他のメディエーター[1nM]とMaR1との比較。
【図4】MΦからのメトキシ捕捉生成物の同定。10.2分でのm/z 373生成物のMS/MSスペクトル。挿入図:m/z 373−263の抽出イオンクロマトグラムおよび推定構造。
【図5】マレシン1および関連生成物に提示される生合成スキーム。新規ジヒドロキシ含有メディエーターの立体化学および二重結合配置は暫定的な指定であり、そして生体合成、捕捉および標識化に基づいて起こり得る立体配置において示される。
【図6】H218OおよびMΦインキュベーションで得られる新規生成物のMS−MSスペクトルを示す。
【図7】DHAおよびMΦからの13,14−ジヒドロキシ隣接ジオールについて得られるGC−MSスペクトルである。この生成物誘導体はジアゾメタンおよびBSTFAでの処理後に得られ、メチルエステル、OTMS誘導体を生成せしめた。
【図8】ジおよびトリヒドロキシアナログに適用可能であるアナログの1つのタイプを製造するための一般的合成スキームである。
【図9】末端フッ素化アナログを製造するための一般的合成スキームである。
【図10】メディエーターに基づくリピドミクスを用いて同定される新規14−シリーズ化合物の構造、LC−MSおよびGC−MS断片化を示す。aLC−MS/MS分析は、Agilent Eclipse Plus C18カラム(4.6mm x 50mm x 1.8μm)を備えたABI Sciex Instruments 3200 Qtrap線形イオントラップ四重極質量分析計に連結したAgilent 1100シリーズHPLCで行った。移動相はメタノール/水/酢酸(60/40/0.01;v/v/v)からなり、そして400μl/分の流速で7.5分にわたって80/20/0.1(v/v/v)までそして次の4.5分にわたって95/5/0.01(v/v/v)まで傾斜をつけた。流速は3分間200μl/分まで減らし、次に400μl/分まで戻し、そして移動相は次の6分にわたって100/0/0.01(v/v/v)まで傾斜をつけ、その後で60/40/0.01(v/v/v)まで戻した。bGC−MS分析は、HP5973N質量検出器を備えたAgilent HP6890で行った。HP−5MSカラム(30m x 0.25mm x 0.25μm)を以下の温度プログラムで用いた;1.0ml/分のヘリウム流速で初期温度は150℃、続いて230℃(8分)そして280℃(10分)であった。トリメチルシリル誘導体は、ジアゾメタンでの処理に従って製造した。cスペクトルは、Agilent 4682 UV−Vis分光計もしくはAgilent 1100シリーズDADを用いてメタノール中で記録した。*示される立体化学は、暫定的な指定である。二重結合配置は、提示される生合成経路に基づいて起こり得る立体配置において示される。
【0178】
[詳細な記述]
急性炎症およびその消散を制御する内因性の細胞および分子機序は、非常に興味深い。自己消散する炎症性滲出液およびリピドミクスを用いて、マクロファージによる必須脂肪酸ドコサヘキサエン酸(DHA)からの強力な抗炎症性および消炎症性メディエーターの生合成に関する新規経路が同定された。マウス腹膜炎の消散中に、滲出液は内因性DHAから17−HDHA、17S−D−シリーズレゾルビンおよびプロテクチン生合成の既知のマーカー、ならびに14S−HDHAの両方を蓄積した。活性化マクロファージへのDHAもしくは14S−ヒドロペルオキシドコサ−4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸(14S−HpDHA)のいずれかの添加は、レゾルビンE1およびプロテクチンD1と同様の効能で強力な抗炎症性および消炎症性活性を保有する新規ジヒドロキシ含有生成物にこれらの基質を転化した。安定な同位体取り込み、中間体捕捉ならびに生成物の物理的および生物学的性質の特性化により、消散を高める、生物活性7,14−ジヒドロキシ−ドコサ−4Z,8,10,12,16Z,19Z−ヘキサエン酸、造語マレシン(炎症を消散することにおけるマクロファージメディエーター:MaR)を生成する、新規14−リポキシゲナーゼ経路が明らかにされた。これらの結果は、マレシンおよびこの新規メタボロームが組織ホメオスタシス、炎症−消散、創傷治癒および宿主防御におけるDHAおよびマクロファージの有益な作用のいくつかに関与することを提供する。
【0179】
本明細書を通して使用する略語:
7S,14S−ジHDHA(二重二酸素化)、7S,14S−ジヒドロキシドコサ−4Z,8E,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸
14S−HDHA、14S−ヒドロキシドコサ−4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸
14S−HpDHA、14S−ヒドロペルオキシドコサ−4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸
17S−HDHA、17S−ヒドロキシドコサ−4Z,7Z,10Z,13Z,15E,19Z−ヘキサエン酸
DHA、ドコサヘキサエン酸
GC−MS、ガスクロマトグラフィー−質量分析
LC/MS/MS、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析
LOX、リポキシゲナーゼ
MaR、マレシン、炎症を消散させることにおけるマクロファージメディエーター
MΦ、マクロファージ
PD1、プロテクチンD1、10R,17S−ジヒドロキシドコサ−4Z,7Z,11E,13E,15Z,19Z−ヘキサエン酸
PGE2、プロスタグランジンE2
PMN、多形核好中球
Rv、レゾルビン
RvD1、レゾルビンD1、7S,8R,17Sトリヒドロキシドコサ−4Z,9E,1
1E,13Z,15E,19Z−ヘキサエン酸
RvE1、レゾルビンE1、5S,12R,18R−トリヒドロキシエイコサ−6Z,8E,10E,14Z,16E−ペンタエン酸
【0180】
本明細書においてそして請求項において、「包含する」および「含んでなる」という用語は制約がない用語であり、そして「・・・が包含されるが、これらに限定されるものではない」を意味すると解釈されるべきである。これら用語には、「から本質的になる」および「からなる」というさらに限定的な用語が包含される。本明細書においてそして添付の請求項において使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その」には、内容が他に明らかに指示しない限り複数の言及が包含されることに留意すべきである。同様に、「1つの(a)」(もしくは「1つの(an)」)、「1つもしくはそれ以上の」および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において互換的に用いることができる。また、「含んでなる」、「包含する」、「を特徴とする」および「有する」という用語は互換的に使用できることにも留意すべきである。他に定義されない限り、本明細書において使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に特に挙げる全ての公開および特許は、本発明に関連して使用され得る公開において報告される化学物質、装置、統計分析および方法論を記述することおよび開示することを包含する全ての目的のためにそれらの全部が引用することにより組み込まれる。本明細書において引用する全ての参考文献は、当該技術分野における技術のレベルを示すと考えられるべきである。本明細書におけるいずれも、本発明が先行発明によってそのような開示に先行する資格がないという承認と見なされない。
【0181】
「本発明の化合物」は、本明細書に開示される一般式により包含されるジヒドロキシ、トリヒドロキシおよび/もしくはエポキシドDHAアナログおよび化合物をさし、そしてその構造が本明細書に開示される式の範囲内の任意の特定の化合物が包含される。本発明の化合物は、それらの化学構造および/もしくは化学名のいずれかにより同定することができる。化学構造および化学名が不一致である場合、化学構造は化合物の同一性の決定要因である。本発明の化合物は1つもしくはそれ以上のキラル中心および/もしくは二重結合を含有する可能性があり、従って、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体もしくはジアステレオマーのような立体異性体として存在し得る。従って、本明細書に示す化学構造には、立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何的に純粋な、鏡像異性的に純粋なもしくはジアステレオマー的に純粋な)ならびに鏡像異性体および立体異性体混合物を包含する例示化合物の全ての可能な鏡像異性体および立体異性体が包含される。鏡像異性体および立体異性体混合物は、当業者に周知である分離技術もしくはキラル合成技術を用いてそれらの成分鏡像異性体もしくは立体異性体に分割することができる。本発明の化合物にはまた、1つもしくはそれ以上の原子が自然界で通常見出される原子質量と異なる原子質量を有する同位体で標識された化合物も包含される。
【0182】
本明細書を通して示される化合物は、エチレン部が不飽和の部位を含有する。炭素炭素二重結合が存在する場合、立体配置化学はシス(E)もしくはトランス(Z)のいずれかであることができ、そして本明細書を通した表現は限定するものではない。一般に、これらの表現は関連するDHAもしくはEPA化合物の立体配置化学に基づいて提示され、そして理論によって限定されるものではないが、同様の立体配置化学を有すると考えられる。
【0183】
【化63】

【0184】
の使用は、シスおよびトランス異性体の両方が考えられるように本明細書および請求項を通してこれを示す。ある種の態様において、エチレン結合の立体配置は既知であり、そし
て特に記述される。
【0185】
本発明の1つの態様において、本発明の化合物(1つもしくは複数)は当該技術分野において既知である技術により実質的に精製されそして/もしくは単離される。精製化合物の純度は一般に少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、そして最も好ましくは少なくとも約99重量%である。
【0186】
従って、「精製された」という用語は、本明細書において用いる場合、絶対的純度を必要とせず;むしろ、相対的用語として意図される。例えば、精製されたDHAアナログは、対象DHAアナログが生物内のその自然環境におけるよりも高い濃度であるものであることができる。例えば、本発明のDHAアナログは、調製物における該アナログ含量が調製物の全アナログ含量の少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、98%もしくは99%に相当する場合に精製されたと考えることができる。
【0187】
「生物学的活性」およびその文脈上の同等物「活性」および「生物活性」は、化合物が任意の1つの生物学的試験アッセイにおいて統計的に有効な効果を誘発することを意味する。好ましくは、「活性」化合物を定義するための閾値は、1μM以下の濃度で未処置のコントロールから少なくとも25%の偏差の再現性がありそして統計的に有効な効果である。
【0188】
「生物学的試験アッセイ」は、特定の実験方法を意味する。生物学的試験アッセイの限定されない例には:1)精製された標的、細胞内画分、無傷細胞、または細胞もしくは組織抽出物への、直接的もしくは間接的のいずれかの、リガンド結合;2)精製された標的、細胞内画分、無傷細胞、細胞もしくは組織抽出物にさらすか、または任意の経路により無傷生物に投与した場合に増大した半減期を有する代謝防御;3)抗炎症作用の代理(例えば、改変されたサイトカイン生産および放出)を示すための当業者により認識される細胞および組織に基づく機能的反応の阻止、取り消しもしくは改善;ならびに4)炎症および炎症性疾患の動物モデルにおける症状および/もしくは疾患過程の阻止、取り消しもしくは改善が包含される。
【0189】
「検出可能な標識」は、当該技術分野において既知である適切な検出手段によって化合物を追跡するか、たどるか、位置を特定するか、定量するか、固定するか、精製するかもしくは同定するために用いることができ任意の化学的もしくは生物学的モダリティーを意味する。検出可能な標識の限定されない例には、蛍光、リン光、発光、放射性もしくは生体特異的親和性捕捉標識が包含される。
【0190】
「電気陰性基」は、その化学的相互作用において電子を失うよりむしろ獲得する傾向がある化学基である。電気陰性基の例には、−NO2、アンモニウム塩、スルホニル基、カルボニル基、ハロゲン、エステル、カルボン酸、ニトリルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0191】
「インサイチュー」は、「インビボ」、「エクスビボ」および「インビトロ」という用語をこれらの用語が当業者により一般に認識されそして理解される通りさしそして包含する。さらに、「インサイチュー」という語句は、その供給源もしくは由来、その条件もしくは状態またはその位置もしくは場所でのその期間もしくは寿命を考慮せずに、見出されるかもしくは所定の位置における存在、細胞もしくは組織を同定するためにその最も広い内包的および外延的文脈において本明細書で用いられる。
【0192】
「製薬学的に許容しうる」は、動物におけるそしてさらに特にヒトにおける使用のため
に連邦もしくは州政府の規制機関により認可されるかまたは米国薬局方もしくは他の一般に認められる薬局方に記載されることを意味する。
【0193】
「製薬学的に許容しうる塩」は、製薬学的に許容できそして親化合物の所望の薬理活性を有する本発明の化合物の塩をさす。そのような塩には:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸と形成される酸付加塩;もしくは酢酸、プロピオン酸、ヘキサン塩、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸と形成されるもののような塩基性プロトンが親化合物に存在する場合に形成される塩;または(2)酸性プロトンが親化合物に存在し、そして金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオンで置換されるか;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエチルアミン、プロピルアミノ、ジアザビシクロウンデカンなどのような有機塩基と配位するいずれかである場合に形成される塩が包含される。
【0194】
「製薬学的に許容しうる賦形剤」は、本発明の化合物をそれと一緒に投与する希釈剤、添加剤、賦形剤もしくは担体をさす。
【0195】
「製薬学的に許容しうる担体」という語句は、本明細書において用いる場合、本発明の化合物(1つもしくは複数)がその意図される機能を果たすことができるようにそれを患者内にもしくは患者に運ぶかもしくは輸送することに関与する、液体もしくは固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒もしくは封入材料のような、製薬学的に許容しうる物質、組成物もしくは賦形剤を意味する。典型的に、そのような化合物は、体のある器官もしくは部分から体の別の器官もしくは部分に運ばれるかもしくは輸送される。各担体は、製剤の他の成分と適合しそして患者に有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。製薬学的に許容しうる担体として働くことができる物質のいくつか例には:糖、例えばラクトース、グルコースおよびショ糖;澱粉、例えばコーンスターチおよびジャガイモ澱粉;セルロースおよびそ誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバターおよび座薬ワックス;油、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸:発熱性物質除去水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;および製薬学的製剤に用いられる他の無毒の適合物質が包含される。
【0196】
「プロドラッグ」は、活性薬剤を放出するために体内での転化を必要とする薬剤分子の誘導体をさす。プロドラッグは、親薬剤に転化されるまで(必ずしもではないが)薬理学的に不活性であることが多い。ヒドロキシル含有薬剤は、例えば、スルホネート、エステルもしくはカーボネートプロドラッグに転化することができ、それらはインビボで加水分解されてヒドロキシル化合物を与えることができる。アミノ含有薬剤は、例えば、カルバメート、アミド、イミン、ホスホニル、ホスホリルもしくはスルフェニルプロドラッグに
転化することができ、それらはインビボで加水分解されてアミノ化合物を与えることができる。カルボン酸薬剤は、エステル(シリルエステルおよびチオエステルを包含する)、アミドもしくはヒドラジドプロドラッグに転化することができ、それらはインビボで加水分解されてカルボン酸化合物を与えることができる。上記のもの以外の異なる官能基を含有する薬剤のプロドラッグは、当業者に周知である。
【0197】
「プロ部分(promoiety)」は、薬剤分子内の官能基をマスクするために用いた場合に薬剤をプロドラッグに転化する保護基の形態をさす。典型的に、プロ部分はインビボで酵素的もしくは非酵素的手段により切断される結合(1つもしくは複数)を介して薬剤に結合される。
【0198】
「保護基」は、分子中の反応性官能基に結合した場合に官能基の反応性をマスクするか、減らすかもしくは妨げる原子の集団をさす。保護基の例は、Green et al.,“Protective Groups in Organic Chemistry”,(Wiley, 2.sup.nd ed.1991)およびHarrison et al.,“Compendium of Synthetic Organic Methods,”Vols.1−8(John Wiley and Sons,1971−1996)に見出すことができる。代表的なアミノ保護基には、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「SES」)、トリチルおよび置換されたトリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが包含されるがこれらに限定されるものではない。代表的なヒドロキシ保護基には、ヒドロキシ基がアシル化されるか(例えば、メチルおよびエチルエステル、アセテートもしくはプロピオネート基またはグリコールエステル)、もしくはベンジルおよびトリチルエーテルならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMSもしくはTIPPS基)およびアリルエーテルのようなアルキル化されるいずれかであるものが包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0199】
「患者」は、炎症、炎症反応、血管収縮および骨髄抑制により引き起こされるかもしくはそれらが一因となる症状もしくは疾患にかかりやすい生体を意味する。患者の例には、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギおよびマウスが包含される。患者という用語にはさらに、例えばトランスジェニックマウスのようなトランスジェニック種が包含されるものとする。
【0200】
「アルキル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親アルカン、アルケンもしくはアルキンの単一炭素原子からの1個の水素原子の除去により得られる炭素原子の規定数(すなわち、C1〜C6は1〜6個の炭素原子を意味する)を有する飽和したもしくは不飽和の分枝鎖状、直鎖状もしくは環状1価炭化水素基をさす。典型的なアルキル基には、メチル;エチル、例えばエタニル、エテニル、エチニル;プロピル、例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなど;ブチル、例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、
ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。特定レベルの飽和が意図される場合、以下に定義した通り、「アルカニル」、「アルケニル」および/もしくは「アルキニル」という命名を使用する。好ましい態様において、アルキル基は(C1〜C6)アルキルである。
【0201】
「アルカニル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親アルカンの単一炭素原子からの1個の水素原子の除去により得られる飽和した分枝鎖状、直鎖状もしくは環状アルキルをさす。典型的なアルカニル基には、メタニル;エタニル;プロパニル、例えばプロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなど;ブタニル、例えばブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。好ましい態様において、アルカニル基は(C1〜C6)アルカニルである。
【0202】
「アルケニル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親アルケンの単一炭素原子からの1個の水素原子の除去により得られる少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の分枝鎖状、直鎖状もしくは環状アルキルをさす。該基は、二重結合(1つもしくは複数)に関してシスもしくはトランス立体配座のいずれかにおいて存在し得る。典型的なアルケニル基には、エテニル;プロペニル、例えばプロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イル;ブテニル、例えばブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。好ましい態様において、アルケニル基は(C2〜C6)アルケニルである。
【0203】
「アルキニル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親アルキンの単一炭素原子からの1個の水素原子の除去により得られる少なくとも1個の炭素‐炭素三重結合を有する不飽和の分枝鎖状、直鎖状もしくは環状アルキルをさす。典型的なアルキニル基には、エチニル;プロピニル、例えばプロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなど;ブチニル、例えばブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。好ましい態様において、アルキニル基は(C2〜C6)アルキニルである。
【0204】
「アルキルジイル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親アルカン、アルケンもしくはアルキンの2個の異なる炭素原子の各々からの1個の水素原子の除去により、または親アルカン、アルケンもしくはアルキンの単一炭素原子からの2個の水素原子の除去により得られる炭素原子の規定数(すなわち、C1〜C6は1〜6個の炭素原子を意味する)を有する飽和したもしくは不飽和の分枝鎖状、直鎖状もしくは環状2価炭化水素基をさす。2個の1価基中心もしくは2価基中心の各価数は、同じもしくは異なる原子と結合を形成することができる。典型的なアルキルジイル基には、メタンジイル;エチルジイル、例えばエタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル;プロピルジイル、例えばプロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−エン−1,2−ジイル、プロプ−2−エン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−イン−1,3−ジイルなど;ブチルジイル、例えばブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,1−ジイル、ブト−1−エン−1,2−ジイル、ブト−1−エン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロプ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブト−1−エン−1,2−ジイル、シクロブト−1−エン−1,3−ジイル、シクロブト−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。特定レベルの飽和が意図される場合、アルカニルジイル、アルケニルジイルおよび/もしくはアルキニルジイルという命名を使用する。2つの価数が同じ炭素原子上に存在することが特に意図される場合、「アルキリデン」という命名を使用する。好ましい態様において、アルキルジイル基は(C1〜C6)アルキルジイルである。また好ましいのは、基中心が末端炭素に存在する飽和した非環状アルカニルジイル基、例えばメタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ)など(また以下に定義した、アルキレノとも呼ばれる)である。
【0205】
「アルクジイル(Alkdiyl)」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親アルカン、アルケンもしくはアルキンの2個の異なる炭素原子の各々からの1個の水素原子の除去により、または親アルカン、アルケンもしくはアルキンの単一炭素原子からの2個の水素原子の除去により得られる炭素原子の規定数(すなわち、C1〜C6は1〜6個の炭素原子を意味する)を有する飽和したもしくは不飽和の分枝鎖状、直鎖状もしくは環状2価炭化水素基をさす。2個の1価基中心もしくは2価基中心の各価数は、同じもしくは異なる原子と結合を形成することができる。典型的なアルクジイル基には、メタンジイル;エチルジイル、例えばエタン−1−1ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル;プロピルジイル、例えばプロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−エン−1,2−ジイル、プロプ−2−エン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,1−ジイル−、プロプ−1−イン−1,3−ジイルなど;ブチルジイル、例えばブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,1−ジイル、ブト−1−エン−1,2−ジイル、ブト−1−エン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロプ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブト−1−エン−1,2−ジイル、シクロブト−1−エン−1,3−ジイル、シクロブト−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイルなどが包含され
るがこれらに限定されるものではない。特定レベルの飽和が意図される場合、アルカンジイル、アルケンジイルおよび/もしくはアルキンジイルという命名を使用する。好ましい態様において、アルクジイル基は(C1〜C6)アルクジイルである。また好ましいのは、基中心が末端炭素に存在する飽和した非環状アルカニルジイル基、例えばメタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ)など(また以下に定義した、アルキレンとも呼ばれる)である。
【0206】
「アルキレノ」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、直鎖状親アルカン、アルケンもしくはアルキンの2個の末端炭素原子の各々からの1個の水素原子の除去により得られる2個の末端1価基中心を有する直鎖状の飽和したもしくは不飽和のアルキルジイル基をさす。特定のアルキレノにおける、存在する場合、二重結合もしくは三重結合のロカントは角括弧中に示される。典型的なアルキレノ基には、メタノ;エチレノ、例えばエタノ、エテノ、エチノ;プロピレノ、例えばプロパノ、プロプ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロプ[1]イノなど;ブチレノ、例えばブタノ、ブト[1]エノ、ブト[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブト[1]イノ、ブト[2]イノ、ブタ[1,3]ジイノなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。特定レベルの飽和が意図される場合、アルカノ、アルケノおよび/もしくはアルキノという命名を使用する。好ましい態様において、アルキレノ基は(C1〜C6)もしくは(C1〜C3)アルキレノである。また好ましいのは、直鎖状の飽和したアルカノ基、例えばメタノ、エタノ、プロパノ、ブタノなどである。
【0207】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキルジイル」および「ヘテロアルキレノ」は、それらだけでもしくは別の置換基の一部として、炭素原子の1つもしくはそれ以上が同じもしくは異なるヘテロ原子もしくはヘテロ原子基で各々独立して置換される、それぞれ、アルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アルキルジイルおよびアルキレノ基をさす。炭素原子を置換することができる典型的なヘテロ原子および/もしくはヘテロ原子基には、その組み合わせを包含する、−O−、−S−、−S−O−、−NR’ −、−PH−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)NR’ −、−S(O)2NR’などが包含されるがこれらに限定されるものではなく、ここで、各R’は独立して水素もしくは(C1〜C6)アルキルである。
【0208】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それらだけでもしくは別の置換基の一部として、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」基の環状バージョンをさす。ヘテロアルキル基について、ヘテロ原子は、分子の残りの部分に結合している位置を占めることができる。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル;シクロブチル、例えばシクロブタニルおよびシクロブテニル;シクロペンチル、例えばシクロペンタニルおよびシクロペンンテニル;シクロヘキシル、例えばシクロヘキサニルおよびシクロヘキセニルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。典型的なヘテロシクロアルキル基には、テトラヒドロフラニル(例えばテトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イルなど)、ピペリジニル(例えばピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イルなど)、モルホリニル(例えばモルホリン−3−イル、モルホリン−4−イルなど)、ピペラジニル(例えばピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イルなど)などが包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0209】
「非環状ヘテロ原子架橋」は、主鎖原子がヘテロ原子および/もしくはヘテロ原子基だけである2価の架橋をさす。典型的な非環状ヘテロ原子架橋には、その組み合わせを包含する、−O−、−S−、−S−O−、−NR’ −、−PH−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)NR’ −、−S(O)2NR’−などが包含されるがこれらに限定さ
れるものではなく、ここで、各R’は独立して水素もしくは(C1〜C6)アルキルである。
【0210】
「親芳香環系」は、共役π電子系を有する不飽和の環状もしくは多環式環系をさす。「親芳香環系」の定義内に特に包含されるのは、例えばフルオレン、インダン、インデン、フェナレン、テトラヒドロナフタレンなどのような、環の1つもしくはそれ以上が芳香族であり、そして環の1つもしくはそれ以上が飽和しているかもしくは不飽和である縮合環系である。典型的な親芳香環系には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、インダセン、s−インダゼン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、テトラヒドロナフタレン、トリフェニレン、トリナフタレンなど、ならびにその様々なヒドロ異性体が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0211】
「アリール」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親芳香環系の単一炭素原子からの1個の水素原子の除去により得られる規定数の炭素原子(すなわち、C5〜C15は5〜15個の炭素原子を意味する)を有する1価の芳香族炭化水素基をさす。典型的なアリール基には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなど、ならびにその様々なヒドロ異性体が包含されるがこれらに限定されるものではない。好ましい態様において、アリール基は(C5〜C15)アリールであり、(C5〜C10)がさらにより好ましい。特に好ましいアリールは、シクロペンタジエニル、フェニルおよびナフチルである。
【0212】
「アリールアリール」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、2個もしくはそれ以上の同一もしくは非同一親芳香環系が単結合により一緒に直接連結される環系の単一炭素原子からの1個の水素原子の除去により得られる1価炭化水素基をさし、ここで、そのような直接的環連結の数は関与する親芳香環系の数より1個少ない(one less than)。典型的なアリールアリール基には、ビフェニル、トリフェニル、フェニル−ナフチル、ビナフチル、ビフェニル−ナフチルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。アリールアリール基における炭素原子の数が特定される場合、該数は各親芳香環を含んでなる炭素原子をさす。例えば、(C5〜C15)アリールアリールは、各芳香環が5〜15個の炭素を含んでなるアリールアリール基、例えばビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、フェニルナフチルなどである。好ましくは、アリールアリール基の各親芳香環系は独立して(C5〜C15)芳香族、より好ましくは(C5〜C10)芳香族である。また好ましいのは、親芳香環系の全てが同一であるアリールアリール基、例えばビフェニル、トリフェニル、ビナフチル、トリナフチルなどである。
【0213】
「ビアリール」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、単結合により直接一緒連結される2個の同一の親芳香族系を有するアリールアリール基をさす。典型的なビアリール基には、ビフェニル、ビナフチル、ビアントラシルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、芳香環系は(C5〜C15)芳香環、より好ましくは(C5〜C10)芳香環である。特に好ましいビアリール基はビフェニルである。
【0214】
「アリールアルキル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端のもしくはsp3炭素原子に結合している水素原子の1つがアリール基で置換される非環状アルキル基をさす。典型的なアリールアルキル基には、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。特定のアルキル部分が意図される場合、アリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/もしくはアリールアルキニルという命名を使用する。好ましい態様において、アリールアルキル基は(C6〜C21)アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は(C1〜C6)であり、そしてアリール部分は(C5〜C15)である。特に好ましい態様において、アリールアルキル基は(C6〜C13)であり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は(C1〜C3)であり、そしてアリール部分は(C5〜C10)である。
【0215】
「親複素芳香環系」は、1個もしくはそれ以の炭素原子が同じもしくは異なるヘテロ原子もしくはヘテロ原子基で各々独立して置換される親芳香環系をさす。炭素原子を置換するための典型的なヘテロ原子もしくはヘテロ原子基には、N、NH、P、O、S、S(O)、S(O)2、Siなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。「親複素芳香環系」の定義内に特に包含されるのは、例えば、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどのような、環の1つもしくはそれ以上が芳香族でありそして環の1つもしくはそれ以上が飽和しているかもしくは不飽和である縮合環系である。また、「親複素芳香環系」の定義に包含されるのは、例えば、ベンゾピロンおよび1−メチル−1,2,3,4−テトラゾールのような、一般的な置換基を含む認められている環である。典型的な親複素芳香環系には、アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンンズイソオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、ベンゾピロン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾキサジン(benzoxaxine)、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾリン、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0216】
「ヘテロアリール」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、親複素芳香環系の単一原子からの1個の水素原子の除去により得られる規定数の環原子(例えば、「5〜14員の」は5〜14個の環原子を意味する)を有する1価の複素芳香族基をさす。典型的なヘテロアリール基には、アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾジオキサン、ベンゾジアキソール、ベンゾフラン、ベンゾピロン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾリン、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、ペナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チア
ジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなど由来の基、ならびにその様々なヒドロ異性体が包含されるがこれらに限定されるものではない。好ましい態様において、ヘテロアリール基は5〜14員のヘテロアリールであり、5〜10員のヘテロアリールは特に好ましい。
【0217】
「ヘテロアリール−ヘテロアリール」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、2つもしくはそれ以上の同一もしくは非同一親複素芳香環系が単結合により一緒に直接連結される環系の単一原子からの1つの水素原子の除去により得られる1価の複素芳香族基をさし、ここで、そのような直接的環連結の数は関与する親複素芳香環系の数より1個少ない。典型的なヘテロアリール−ヘテロアリール基には、ビピリジル、トリピリジル、ピリジルプリニル、ビプリニルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。原子の数が特定される場合、該数は各親複素芳香環系を含んでなる原子の数をさす。例えば、5〜15員のヘテロアリール−ヘテロアリールは、各親複素芳香環系が5〜15個の原子を含んでなるヘテロアリール−ヘテロアリール基、例えばビピリジル、トリプリジルなどである。好ましくは、各親複素芳香環系は独立して5〜15員の複素芳香族、より好ましくは5〜10員の複素芳香族である。また好ましいのは、親複素芳香環系の全てが同一であるヘテロアリール−ヘテロアリール基である。
【0218】
「ビヘテロアリール」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、単結合により直接一緒に連結される2個の同一の親複素芳香環系を有するヘテロアリール−ヘテロアリール基をさす。典型的なビヘテロアリール基には、ビピリジル、ビプリニル、ビキノリニルなどが包含されるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、複素芳香環系は5〜15員の複素芳香環、より好ましくは5〜10員の複素芳香環である。
【0219】
「ヘテロアリールアルキル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端のもしくはsp3炭素原子に結合している水素原子の1つがヘテロアリール基で置換される非環状アルキル基をさす。特定のアルキル部分が意図される場合、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニルおよび/もしくはヘテロアリールアルキニルという命名を使用する。好ましい態様において、ヘテロアリールアルキル基は6〜21員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は(C1〜C6)アルキルであり、そしてヘテロアリール部分は5〜15員のヘテロアリールである。特に好ましい態様において、ヘテロアリールアルキルは6〜13員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、アルカニル、アルケニルもしくはアルキニル部分は(C1〜C3)アルキルであり、そしてヘテロアリール部分は5〜10員のヘテロアリールである。
【0220】
「ハロゲン」もしくは「ハロ」は、それらだけでもしくは別の置換基の一部として、他に記載されない限り、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをさす。
【0221】
「ハロアルキル」は、それだけでもしくは別の置換基の一部として、水素原子の1つもしくはそれ以上がハロゲンで置換されるアルキル基をさす。従って、「ハロアルキル」という用語にはモノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどペルハロアルキルまで包含されるものとする。例えば、「(C1〜C2)ハロアルキル」という表現には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチルなどが包含される。
【0222】
上記に定義した基には、さらなる周知の置換基を作り出すために当該技術分野において一般に用いられる接頭辞および/もしくは接尾辞を含むことができる。例として、「アルキルオキシ」もしくは「アルコキシ」は式−OR”の基をさし、「アルキルアミン」は式
−NHR”の基をさし、そして「ジアルキルアミン」は式−NR”R”の基をさし、ここで、各R”は独立してアルキルである。別の例として、「ハロアルコキシ」もしくは「ハロアルキルオキシ」は式−OR”’の基をさし、ここで、R”’はハロアルキルである。
【0223】
本発明はまた、本明細書に記述されるDHAアナログの1つもしくはそれ以上の投与により患者における動脈炎、関節炎、乾癬、蕁麻疹、血管炎、喘息、眼の炎症、肺炎症、肺線維症、脂漏性皮膚炎、膿疱性皮膚病もしくは心臓血管疾患を処置する方法にも関する。好中球、白血球および/もしくはサイトカインの動員のような炎症と関連する病状もしくは症状は炎症の一般的範囲内に包含され、そして例えば、依存症、エイズ、アルコール関連障害、アレルギー、アルツハイマー病、麻酔学、抗感染薬、抗炎症薬、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、骨疾患、乳癌、癌、心臓血管疾患、小児の健康、結腸癌、先天性欠損症、決定解析、神経変性疾患、認知症、皮膚科学、糖尿病、診断法、薬剤送達、創薬/スクリーニング、内分泌疾患、ENT、疫学、眼疾患、胎児および母体医学、胃腸障害、遺伝子治療、遺伝子診断、遺伝学、泌尿生殖器疾患、老年医学、成長および発達、聴力、血液学的疾患、肝胆汁性疾患、高血圧、イメージング、免疫学、感染症、白血病/リンパ腫、肺癌、代謝障害、新生児学、神経学的障害、神経筋障害、核医学、肥満/摂食障害、整形学的、他の、寄生虫疾患、周産期障害、妊娠、予防医学、前立腺癌、精神障害、肺疾患、放射線医学、腎障害、生殖、リウマチ性疾患、卒中、外科的、移植、ワクチン、血管医学、創傷治癒、経口感染、歯周病、脳損傷、外傷およびニューロン炎症、ならびに女性の健康が包含される。
【0224】
本発明の製薬学的組成物は、本発明のDHAアナログの1つもしくはそれ以上の「治療的に有効な量」もしくは「予防的に有効な量」を含む。「治療的に有効な量」は、所望の治療結果、例えば、様々な病状もしくは症状と関連する作用の減少もしくは阻止を成し遂げるために、必要な投薬量でそして期間にわたって、有効な量をさす。DHAアナログの治療的に有効な量は、個体の病状、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の反応を引き出す治療化合物の能力のような因子に従って異なり得る。治療的に有効な量はまた、治療薬の任意の有毒なもしくは有害な効果を治療的に有益な効果が上回るものでもある。
【0225】
「予防的に有効な量」は、所望の予防結果を得るために、必要な投薬量でそして期間にわたって、有効な量をさす。典型的には、予防用量は疾患の前にもしくはその初期段階で使用されるので、予防的に有効な量は治療的に有効な量より少ない。投薬計画は、最適な所望の反応(例えば、治療もしくは予防反応)を与えるように調整することができる。例えば、単回ボーラスを投与することができ、いくつかの分割用量を経時的に投与することができ、または治療状況の危急により示されるように用量を比例的に減らすかもしくは増やすことができる。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投与単位形態物における非経口組成物を調合することが特に有益である。投与単位形態物は、本明細書において用いる場合、必要とされる製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された活性化合物の所定量を各単位が含有する:処置する哺乳類患者に単位投薬量として適した物理的に別個の単位をさす。本発明の投与単位形態物の仕様は、(a)DHAアナログの特有の性質および得られる特定の治療もしくは予防効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためのそのような活性化合物を配合する当該技術分野における固有の限界によりそしてそれらに直接依存して決定される。
【0226】
本発明のDHAアナログの治療的にもしくは予防的に有効な量の典型的な限定されない範囲は0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。投薬量値は軽減する症状のタイプおよび重症度によって異なり得ることに留意すべきである。任意の特定の患者、特定の投薬計画は、個体の要求および組成物を投与するかもしくはその投与を指導する人の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであること、ならびに本明細
書に記載の投薬量範囲は例となるだけでありそして請求組成物の範囲もしくは実施を限定するものではないことがさらに理解されるべきである。本発明の化合物をヒトおよび哺乳類に薬剤として投与する場合、それらはそれ自体もしくは製薬学的に許容しうる担体と組み合わせて、例えば0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)の有効成分、すなわち、少なくとも1つのDHAアナログを含有する製薬学的組成物として与えることができる。ある種の態様において、本発明の化合物は1つもしくはそれ以上の酸性官能基を含有する可能性があり、従って、製薬学的に許容しうる塩基と製薬学的に許容しうる塩を形成することができる。「製薬学的に許容しうる塩、エステル、アミドおよびプロドラッグ」という用語は、本明細書において用いる場合、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに患者の組織と接触した使用に適当であり、妥当な利益/危険比に相応し、そして本発明の化合物のそれらの目的用途に有効である、本発明の化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミドおよびプロドラッグをさす。「塩」という用語は、本発明の化合物の比較的無毒の無機および有機酸付加塩をさす。これらの塩は、化合物の最終単離および精製中にインサイチューで、あるいはその遊離塩基形態における精製された化合物を適当な有機もしくは無機酸と別個に反応させそしてそのようにして形成される塩を単離することにより製造することができる。これらには、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのようなアルカリおよびアルカリ土類金属に基づく陽イオン、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが包含されるがこれらに限定されるものではない無毒のアンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミン陽イオンを包含することができる(例えば、本明細書に引用することにより組み込まれる、Berge S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977;66:1 19を参照)。
【0227】
「製薬学的に許容しうるエステル」という用語は、本発明の化合物の比較的無毒のエステル化生成物をさす。これらのエステルは、化合物の最終単離および精製中にインサイチューで、またはその遊離酸形態における精製された化合物もしくはヒドロキシルを適当なエステル化剤と別個に反応させることにより製造することができる。カルボン酸は、触媒の存在下でアルコールでの処理によりエステルに転化することができる。該用語にはさらに、生理的条件下で溶媒和にすることができる低級炭化水素基、例えば、アルキルエステル、メチル、エチルおよびプロピルエステルが包含されるものとする。
【0228】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香味および香料、防腐剤および酸化防止剤もまた、組成物中に存在することができる。
【0229】
製薬学的に許容しうる酸化防止剤の例には:アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどのような水溶性酸化防止剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなどのような油溶性酸化防止剤;およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような金属キレート化剤が包含される。
【0230】
本発明の製剤には、静脈内、経口、経鼻、局所、経皮、口腔、舌下、直腸、膣および/もしくは非経口投与に適当なものが包含される。製剤は、単位投与形態物において都合よく与えることができ、そして薬学の分野において周知である任意の方法により製造することができる。単位投与形態物を製造するために担体材料と合わせることができる有効成分の量は、一般に、治療効果をもたらす化合物の量である。一般に、100%のうち、この量は約1%〜約99%の有効成分、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10
%〜約30%の間である。
【0231】
これらの製剤もしくは組成物を製造する方法には、本発明の化合物を担体および場合により1つもしくはそれ以上の付属成分と会合させる工程が含まれる。一般に、製剤は、本発明の化合物を液状担体もしくは微粉化固形担体または両方と均質にそして密接に会合させ、そして次に必要に応じて生成物を成形することにより製造される。
【0232】
経口投与に適当な本発明の製剤は、各々有効成分として本発明の化合物の所定量を含有する、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味をつけた基剤、通常はショ糖およびアカシアもしくはトラガカントを使用する)、散剤、顆粒剤の形態において、または水性もしくは非水性の液体における液剤もしくは懸濁剤として、または水中油滴型もしくは油中水滴型液状乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ(ゼラチンおよびグリセリンのような不活性基剤、もしくはショ糖およびアカシアを用いる)として、そして/またはうがい薬などとしてであることができる。本発明の化合物はまた、ボーラス、舐剤もしくはパスタ剤として投与することもできる。
【0233】
経口投与用の本発明の固体投与形態物(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)において、有効成分は1つもしくはそれ以上の製薬学的に許容しうる担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸ジカルシウム、ならびに/または以下のもの:澱粉、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよび/もしくはケイ酸のような増量剤もしくはエキステンダー;例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/もしくはアカシアのような結合剤;グリセロールのような保湿剤;寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウムのような崩壊剤;パラフィンのような溶解遅延剤(solution retarding agents);第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートのような湿潤剤;カオリンおよびベントナイトクレーのような吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物のような潤滑剤;ならびに着色剤のいずれかと混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、製薬学的組成物はまた緩衝剤を含んでなることもできる。同様のタイプの固形組成物はまた、ラクトースもしくは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において充填剤として用いることもできる。
【0234】
錠剤は、場合により1つまたはそれ以上の付属成分と共に、圧縮または成形により製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、澱粉グリコール酸ナトリウムもしくは架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性剤もしくは分散剤を用いて製造することができる。成形錠剤は、不活性液状希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械において成形することにより製造することができる。
【0235】
錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤のような本発明の製薬学的組成物の他の固形投与形態物は、場合により刻み目をつけるか、もしくは溶腸性コーティングおよび製薬調合分野において周知である他のコーティングのような、コーティングおよび殻を有して製造してもよい。それらはまた、例えば、所望の放出プロフィールを与えるための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/もしくはミクロスフェアを用いてその中の有効成分の持続的もしくは制御放出を与えるように調合することもできる。それらは、例えば、細菌を保持するフィルターを通した濾過により、もしくは使用直前に滅菌水もしくは何か他の滅菌した注入可能な媒質に溶解することができる滅菌固形組成物の形態において滅菌剤を導入することによ
り滅菌することができる。これらの組成物はまた、場合により不透明剤を含有してもよく、そして有効成分(1つもしくは複数)のみを、もしくは優先的に、胃腸管のある部分において、場合により遅延して放出する組成物のものであることができる。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが包含される。有効成分はまた、必要に応じて、上記の賦形剤の1つもしくはそれ以上と共に、マイクロカプセル封入形態であることもできる。
【0236】
本発明の組成物の経口投与のための液状投与形態物には、製薬学的に許容しうるエマルジョン、ミクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が包含される。有効成分に加えて、液状投与形態物は、例えば、水もしくは他の溶媒のような当該技術分野において一般に用いられる不活性希釈剤、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物を含有することができる。
【0237】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および沈殿防止剤、甘味料、香味料、着色剤、香料および保存剤のような添加剤を含むこともできる。
【0238】
懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天およびトラガカントならびにその混合物のような沈殿防止剤を含有することができる。
【0239】
直腸または膣投与用の本発明の製薬学的組成物の製剤は座薬として与えることができ、それは、本発明の1つもしくはそれ以上の化合物を例えばココアバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックスまたはサリチレートを含んでなる1つもしくはそれ以上の適当な刺激しない賦形剤もしくは担体と混合することにより製造することができ、そしてそれは室温では固体であるが、体温で液体であり、それ故、直腸または膣腔において融解し、そして活性化合物を放出する。
【0240】
また、膣投与に適当な本発明の製剤には、当該技術分野において適切であることが既知であるような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ剤、フォームまたはスプレー製剤も包含される。
【0241】
本発明の化合物の局所もしくは経皮投与用の投与形態物には、散剤、スプレー、軟膏、パスタ剤、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチおよび吸入剤が包含される。活性化合物は、無菌条件下で製薬学的に許容しうる担体と、そして必要とされ得る任意の防腐剤、バッファーもしくは推進剤と混合することができる。
【0242】
軟膏、パスタ剤、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、もしくはその混合物のような賦形剤を含有することができる。
【0243】
散剤およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、もしくはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含有することができる。スプレーはさらに、クロロフルオロ炭化水素および揮発性の未置換の炭化水素、例えばブタンおよびプロパンのような通常の推進剤を
含有することができる。
【0244】
経皮パッチは、体への本発明の化合物の制御送達を与えるという付加された利点を有する。そのような投与形態物は、適切な媒質に化合物を溶解するかまたは分散させることにより製造することができる。また、皮膚を通した化合物の流入を増加するために吸収エンハンサーを用いることもできる。そのような流入の速度は、速度制御膜を与えるかまたはポリマーマトリックスもしくはゲルに活性化合物を分散させるいずれかにより制御することができる。
【0245】
眼の製剤、眼の軟膏、散剤、液剤などもまた、本発明の範囲内であると考えられる。そのような液剤は、結膜炎の処置に有用である。
【0246】
非経口投与に適当な本発明の製薬学的組成物は、1つもしくはそれ以上の製薬学的に許容しうる滅菌した等張の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルジョンと組み合わせた1つもしくはそれ以上の本発明の化合物、または使用直前に滅菌した注入可能な溶液もしくは分散液中に再構成することができる滅菌した粉末を含んでなり、これらは酸化防止剤、バッファー、静菌薬、意図するレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質または沈殿防止剤もしくは増粘剤を含有することができる。
【0247】
本発明の製薬学的組成物において用いることができる適当な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのような)およびその適当な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルが包含される。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング材料の使用により、分散液の場合には必要とされる粒度の維持により、そして界面活性剤の使用により保つことができる。
【0248】
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のような添加剤を含有することもできる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことにより保証することができる。また、糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を組成物中に含むことが望ましい可能性もある。さらに、注入可能な製薬学的形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅らせる薬剤を含むことによりもたらすことができる。
【0249】
ある場合には、薬剤の作用を引き延ばすために、皮下もしくは筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶質もしくは非晶質物質の液状懸濁液の使用により成し遂げることができる。その場合、薬剤の吸収の速度はその溶解の速度により決まり、それは今度は結晶サイズおよび結晶形態により決まり得る。あるいはまた、非経口的に投与する薬剤形態の遅延吸収は、薬剤を油性賦形剤に溶解するかまたは懸濁することにより成し遂げられる。
【0250】
注入可能な貯蔵形態(depot form)は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生物分解性ポリマー中に本発明の化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより製造される。ポリマーに対する薬剤の比率および用いる特定のポリマーの性質により、薬物放出の速度を制御することができる。他の生物分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が包含される。注入可能なデポー製剤はまた、体の組織と適合するリポソームもしくはミクロエマルジョン中に薬剤を閉じ込めることによっても製造される。
【0251】
本発明の製剤は、経口的、非経口的、局所的または経直腸的に与えることができる。それらはもちろん各投与経路に適当な形態により与えられる。例えば、それらは錠剤もしく
はカプセル剤形態において、注射、吸入、目薬、軟膏、座薬など、注射、注入もしくは吸入による投与;ローションもしくは軟膏による局所投与;および座薬による直腸投与により投与される。静脈注射投与が好ましい。
【0252】
「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、本明細書において用いる場合、腸および局所投与以外の、通常は注射による投与の形態を意味し、そして限定せずに静脈内、筋肉内、動脈剤、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内注射および注入を包含する。
【0253】
「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」および「末梢的に投与される」という語句は、本明細書において用いる場合、化合物、薬剤または他の物質が患者の系に入り、従って、代謝および他の同様のプロセスを受けるように、中枢神経系に直接以外のその投与、例えば皮下投与を意味する。
【0254】
これらの化合物は、経口的、例えばスプレーによるような経鼻的、経直腸的、膣内、非経口的、槽内、そして口腔および舌下を包含する、散剤、軟膏もしくは滴薬によるような局所的を包含する任意の適当な投与経路により治療のためにヒトおよび他の動物に投与することができる。
【0255】
選択した投与の経路にかかわらず、適当な脱水形態において使用することができる本発明の化合物、および/もしくは本発明の製薬学的組成物は、当業者に既知である常法により製薬学的に許容しうる投与形態物に調合される。
【0256】
本発明の製薬学的組成物中の有効成分の実際の投薬レベルは、患者に有毒ではなく、特定の患者、組成物および投与の形態に対して所望の治療応答を達成するために有効である有効成分の量を得るように変えることができる。
【0257】
選択した投薬レベルは、用いる本発明の特定の化合物またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与の経路、投与の時間、用いる特定の化合物の排出速度、処置の期間、用いる特定の化合物と組み合わせて使用する他の薬剤、化合物および/もしくは材料、処置する患者の年齢、性別、体重、症状、一般的な健康および以前の病歴、ならびに医療分野において周知である同様の因子を包含する様々な因子により決まる。
【0258】
当該技術分野の通常の技量を有する医師もしくは獣医は、必要とされる製薬学的組成物の有効量を容易に決定しそして処方することができる。例えば、医師もしくは獣医は、所望の治療効果を得るために必要とされるものより低いレベルで製薬学的組成物において用いる本発明の化合物の用量を開始し、そして所望の効果が得られるまで投薬量を徐々に増やすことができる。
【0259】
一般に、本発明の化合物の適当な毎日用量は、治療効果をもたらすために有効な最低用量である化合物の量である。そのような有効用量は、一般に、上記の因子により決まる。一般に、患者に対する本発明の化合物の静脈内および皮下用量は、示した鎮痛作用に用いる場合、約0.0001〜約100mg/kg体重/日、より好ましくは約0.01〜約50mg/kg/日、そしてさらにより好ましくは約0.1〜約40mg/kg/日の間である。例えば、患者体重の20g当たり約0.01μg〜20μgの間、約20μg〜100μgの間、そして約10μg〜200μgの間の本発明の化合物を投与する。
【0260】
所望に応じて、活性化合物の有効毎日用量は、場合により、単位投与形態物において、一日を通して適切な間隔で別個に投与する2、3、4、5、6もしくはそれ以上のサブ用
量として投与することができる。
【0261】
本発明は、包装材料および包装材料内に含まれるDHAアナログ製剤を含有する製品を特徴とする。この製剤は少なくとも1つのDHAアナログ含有し、そして包装材料は、本明細書に記載の通りの1つもしくはそれ以上の症状を処置するためにそのような症状(1つもしくは複数)を処置するかもしくは防ぐために有効な量において、頻度で、そして期間にわたって該製剤を患者に投与することができることを示すラベルもしくは添付文書を含有する。そのような症状は本明細書を通して挙げられ、そして引用することにより本明細書に組み込まれる。適当なDHAアナログは、本明細書に記載される。
【0262】
本発明は、驚くべきことに、全て炭素鎖のC−14にヒドロキシル基および炭素鎖のC−4、C−7もしくはC−14位のいずれかに第二のヒドロキシル基を有するジドコサヘキサエン酸(DHA)のジヒドロキシアナログに関する新規化合物、組成物および使用の方法を提供する。これらの物質は生体由来であり、そして培地から単離される。
【0263】
1つの態様において、本発明は式(I):
【0264】
【化64】

【0265】
[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【0266】
【化65】

【0267】
は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであり、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O
2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログもしくはその製薬学的に許容しうる塩に関し、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない。ある種の態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0268】
DHAアナログ(I)の興味深い特定の異性体は式:
【0269】
【化66】

【0270】
を含んでなる(Ia)である。
【0271】
DHAアナログ(I)の興味深い別の異性体は、「二重に酸素化」生成物とも呼ばれる、式:
【0272】
【化67】

【0273】
を含んでなる(Ib)である。
【0274】
化合物(Ia)および(Ib)には、全ての製薬学的に許容しうる塩、そのエステル、精製された/単離された形態、ならびにヒドロキシルの一方もしくは両方が本明細書に記載の通りの保護基に転化される化合物が包含されることを理解すべきである。
【0275】
別の態様において、本発明は式(I):
【0276】
【化68】

【0277】
[式中、P1、P2
【0278】
【化69】

【0279】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0280】
別の態様において、本発明は式(Ic):
【0281】
【化70】

【0282】
[式中、P1、P2
【0283】
【化71】

【0284】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。R1は(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択される。1つの態様において、R1はメチル基である。
【0285】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0286】
別の態様において、本発明は式(Id):
【0287】
【化72】

【0288】
[式中、P1、P2
【0289】
【化73】

【0290】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。R2は(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから選択される。1つの態様において、R2はメチル基である。
【0291】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0292】
別の態様において、本発明は式(Ie):
【0293】
【化74】

【0294】
[式中、P1、P2
【0295】
【化75】

【0296】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。さらに別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0297】
別の態様において、本発明は式(II):
【0298】
【化76】

【0299】
[式中、P1、P2
【0300】
【化77】

【0301】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0302】
別の態様において、本発明は式(II):
【0303】
【化78】

【0304】
[式中、P1、P2
【0305】
【化79】

【0306】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0307】
別の態様において、本発明は式(IIa):
【0308】
【化80】

【0309】
[式中、P1、P2
【0310】
【化81】

【0311】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1はメチル基である。
【0312】
別の態様において、本発明は式(IIb):
【0313】
【化82】

【0314】
[式中、P1、P2
【0315】
【化83】

【0316】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R2はメチル基である。
【0317】
別の態様において、本発明は式(IIc):
【0318】
【化84】

【0319】
[式中、P1、P2
【0320】
【化85】

【0321】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。
【0322】
別の態様において、本発明は式(III):
【0323】
【化86】

【0324】
[式中、P1、P2
【0325】
【化87】

【0326】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0327】
さらに別の態様において、本発明は式(III):
【0328】
【化88】

【0329】
[式中、P1、P2
【0330】
【化89】

【0331】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0332】
さらに別の態様において、本発明は式(IIIa):
【0333】
【化90】

【0334】
[式中、P1、P2
【0335】
【化91】

【0336】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、R1はメチル基である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0337】
さらに別の態様において、本発明は式(IIIb):
【0338】
【化92】

【0339】
[式中、P1、P2
【0340】
【化93】

【0341】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、R2はメチル基である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0342】
さらに別の態様において、本発明は式(IIIc):
【0343】
【化94】

【0344】
[式中、P1、P2
【0345】
【化95】

【0346】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。さらに別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0347】
さらに別の態様において、本発明は式(IV):
【0348】
【化96】

【0349】
[式中、
【0350】
【化97】

【0351】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0352】
さらに別の態様において、本発明は式(IV):
【0353】
【化98】

【0354】
[式中、
【0355】
【化99】

【0356】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0357】
別の態様において、本発明は式(V):
【0358】
【化100】

【0359】
[式中、P1、P2およびP3の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり、そして
【0360】
【化101】

【0361】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りであり、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0362】
なおさらに別の態様において、本発明は式(V):
【0363】
【化102】

【0364】
[式中、P1、P2、P3
【0365】
【化103】

【0366】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。
【0367】
なおさらに別の態様において、本発明は式(Va):
【0368】
【化104】

【0369】
[式中、P1、P2、P3
【0370】
【化105】

【0371】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1はメチル基である。
【0372】
別の態様において、本発明は式(Vb):
【0373】
【化106】

【0374】
[式中、P1、P2、P3
【0375】
【化107】

【0376】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R2はメチル基である。
【0377】
別の態様において、本発明は式(Vc):
【0378】
【化108】

【0379】
[式中、P1、P2、P3
【0380】
【化109】

【0381】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R3はメチル基である。
【0382】
別の態様において、本発明は式(Vd):
【0383】
【化110】

【0384】
[式中、P1、P2、P3
【0385】
【化111】

【0386】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのdRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1およびR2はメチル基である。
【0387】
別の態様において、本発明は式(Ve):
【0388】
【化112】

【0389】
[式中、P1、P2、P3
【0390】
【化113】

【0391】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R1およびR3はメチル基である。
【0392】
別の態様において、本発明は式(Vf):
【0393】
【化114】

【0394】
[式中、P1、P2、P3
【0395】
【化115】

【0396】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、R2およびR3はメチル基である。
【0397】
別の態様において、本発明は式(Vg):
【0398】
【化116】

【0399】
[式中、P1、P2、P3
【0400】
【化117】

【0401】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2、R3およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物を提供する。1つの態様において、P1、P2およびP3は全て水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、7、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである、さらに別の態様において、R1、R2およびR3は全てメチル基である。
【0402】
別の態様において、本発明は式(VI):
【0403】
【化118】

【0404】
[式中、P1、P2
【0405】
【化119】

【0406】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rdおよびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる精製された化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである.さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0407】
別の態様において、本発明は式(VIa):
【0408】
【化120】

【0409】
[式中、P1、P2
【0410】
【化121】

【0411】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、R1はメチル基である。1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0412】
別の態様において、本発明は式(VIb):
【0413】
【化122】

【0414】
[式中、P1、P2
【0415】
【化123】

【0416】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。1つの態様において、R2はメチル基である。
【0417】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0418】
別の態様において、本発明は式(VIc):
【0419】
【化124】

【0420】
[式中、P1、P2
【0421】
【化125】

【0422】
、Z、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2およびnはこれまでに定義した通りである]
を含んでなる化合物のような新規のそして有用なDHAアナログを提供する。
【0423】
1つの態様において、P1およびP2は両方とも水素原子である。別の態様において、R1およびR2は両方ともメチル基である。さらに別の態様において、Zは−C(O)ORdであり、そしてZのRdは水素原子である。別の態様において、4、10、16および1
9位の二重結合は各々Z立体配置のものであるか、もしくは4、16および19位の二重結合は各々Z立体配置のものである。さらに別の態様において、7ヒドロキシルはS立体配置を有する。なおさらに別の態様において、14ヒドロキシルはS立体配置を有する。
【0424】
別の態様において、C−14アルコールは本願を通して記載される化合物についてS立体配置を有する。
【0425】
本明細書において記載される中間体もまた本発明の一部として包含され、そして同様に活性薬剤と考えることができると理解されるべきである。例えば、ケトン含有中間体、ならびに本明細書に記載の通りのアルキン中間体は、活性薬剤の範囲内である。
【0426】
[結果および説明]
炎症滲出液を消散させる標的化リピドミクス.消散における特殊化した化学メディエーターの作用を考慮して(6,7)、内因性DHAの活性化および転化のバイオマーカーとして17−HDHAをモニターし、ならびに他の経路が働いているかどうかを検索するために標的化リピドミクスを用いた(図1参照)。腹膜炎のこの経過中に、PMNは迅速に侵入し、12h以内に最大に達した。この自己消散する系において(19)、PMNは減少し、そして浸出液から失われ、このように消散を定義する(図1)。LC/MS−MSに基づく解析を用いる不偏標的化メディエーターリピドミクスをこれらの滲出液で実施した。17S−HDHA、レゾルビンおよびプロテクチン生合成のマーカー(6)に加えて、内因性DHAは14S−ヒドロキシドコサヘキサエン酸(14S−HDHA)に転化された。リポキシゲナーゼ(LOX)阻害剤エスクレチンで得られる滲出液において生成物は同定されず(n=3)、そして両方とも12/15−LOX−欠損マウスからの腹膜炎洗浄において実質的に減少した(n=2、d=4)。この系における14S−HDHAの出現は72hの経過を通して17−HDHAを伴い、14S−HDHAが消散期内で蓄積したことを示す。
【0427】
これらの2つのLOX生成物は、それらのそれぞれの質量スペクトルにおける特徴的な診断イオンにより同定された。図1Bは、時間経過において形成される17−HDHAの代表的なスペクトルを、そして1Cは14S−HDHAのスペクトルならびに同定のための診断イオンを示す。これらには、14S−HDHAに特異的なm/z 205、138および233が含まれた。m/z 343[M−H]、m/z 325、299および281イオンは、14−ヒドロキシ−および17−ヒドロキシドコサヘキサエン酸の間で共有される(図1BおよびCにおける挿入図を参照)。また、14S−HDHAおよび17−HDHAは両方とも、Ca2+イオノフォアA23187(5.0μM、pH7.45、n=4;代表的な値:14S−HDHA、325pg/106細胞;17−HDHA、439pg/106細胞)で活性化される単離されたマウスMΦで内因性DHAからも生成された。これらの結果は、急性炎症およびその消散の時間経過中に内因性LOX生成物の持続生産が2〜4hで初期急性期に存在し、それは72hで14S−HDHA>17−HDHAの最高レベルで消散の間に蓄積したたことを示す。14S−HDHAは、新規DHA(C22:6)炭素14−リポキシゲネーション経路の活性化を表すマーカーであり得ると決定された。多価不飽和脂肪酸のモノヒドロキシ生成物は、17−HDHAおよび17−HpDHA、レゾルビンおよびプロテクチンの前駆体の場合におけるように(6、20、21)、強力な生物活性分子をもたらす経路のバイオマーカーであるので、これはDHAを介した生物活性メディエーターの生成をもたらし得る。また、5−HETEはロイコトリエンへのアラキドン酸転化のよく認められているマーカーである(2)。この目的のために、〜85−90%のMΦおよび10〜15%の白血球を含有する在住腹腔MΦを単離し(図2A、FACS挿入図を参照)、そして14S−HpDHAを生体合成によって製造し、これらの細胞とインキュベーションしてそれが新規生物活性生成物の前駆体であるかどうかを決定した。HPLCで精製したDHAとインキュベーションした12−LOXから14S−HpDHAを単離し(n=7)、そしてキラルLC/MS/MSにより>98%S立体配置と決定された。14S−HpDHA(10μM)およびDHA(10μM)は両方とも、IおよびIIと標識されるLC/MS/MSに基づくメディエーターリピドミクス(図2A)によって同定される新規生成物に在住MΦにより転化された。各々、共役トリエン含有UV発色団、クロマトグラフィー挙動、およびDHA由来のC22主鎖を有する7,14−ジヒドロキシ含有生成物と一致する質量スペクトルを有した。両方とも本質的に同じ質量スペクトルであるが異なる保持時間与え、それらがおそらく異性体であることを示した(図2Bおよび2C)。断片指定および酸素化の位置の場所、例えばアルコール基の炭素位置をさらに同定しそして確かめるためにこれらを単離しそしてガスクロマトグラフィー−質量分析に供した。GC−MS分析はLC/MS/MSからの指定イオンを裏付け、そしてDHAから生合成される7,14−ジヒドロキシ含有生成物と一致した(図10)。14S−HpDHAとインキュベーションする単離されたヒトMΦはまた新規の7,14−ジヒドロキシ含有生成物を与え、そしてマウスMΦからの化合物にマッチした(n=3)。
【0428】
新規抗炎症性および消炎症性メディエーター.これらの決定と並行して、マウスMΦから得られる物質を抽出およびC18固相クロマトグラフィー後に潜在的生物活性について評価した。MΦ由来の物質は、他のω−3脂肪酸由来のメディエーターニューロプロテクチン/プロテクチンD1(20)およびRvE1(5,6,14)と直接比較した場合にザイモサンに誘発される腹膜炎へのPMN侵入を調節する顕著な抗炎症特性を示した(図3A)。従って、これらの結果により、14S−ヒドロペルオキシドコサ−4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸とインキュベーションした細胞から得られる、MΦ単離物内で、この前駆体から強力な生物活性物質が生合成され、それはPMNを調節し、それらの浸潤を妨げることが示唆された。これらの物質は、マウス当たり与えるナノグラム量だけで抗炎症作用を引き出したので、非常に強力であると思われる。
【0429】
プロテクチンD1に関連する二重ジオキシゲネーション生成物ならびにエポキシドの炭素17−ヒドロペルオキシド含有前駆体の両方を形成するLOXの基質として働くDHAの能力を考慮して(20)、14S−HpDHAもまた二重ジオキシゲネーションの基質であり得ると決定された。DHAと12−LOXおよび5−LOXの連続作用により、7S,14S−ジヒドロキシドコサ−4Z,8E,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸が生成された(n=5;図2、点線のプロフィールおよび図10)。この参照化合物(図2Aにおける点線の曲線)はラベルIおよびIIの下のMΦ由来の生成物と共溶出しなかったので、おそらくこれはMΦ単離物質の異性体である(図2および3)。マウス当たり0.1ng用量でのこの二重ジオキシゲネーション生成物はザイモサンに誘発される腹膜炎におけるPMN浸潤を減少したが、MΦ単離物質よりも効能が低いように思われた(図3B)。従って、図3における結果は、ザイモサンおよび14S−ヒドロペルオキシドコサ−4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸との在住MΦインキュベーションからHPLC精製される新規7,14−ジヒドロキシ含有生成物の強力な生物作用を明らか示す。
【0430】
ピークIおよびIIの下の物質(図2A)を単離し、そして化合物IがIIの異性体であるかどうかを決定するためにさらなる実験を実施した。単離された化合物を異性化条件に供することにより(22)、化合物IIはベンチおよびワークアップ(work−up)条件においてオールトランス含有共役トリエン(すなわち、8E,10E,12E)異性体Iへの転化に感受性のシス二重結合含有トリエン構造を含有すると思われることが示された。18Oの取り込みおよびエポキシド捕捉(以下参照)を考慮して、異性体Iピークはまた炭素7でR/Sラセミ化合物も含有したと思われる。MΦからの7,14−ジヒドロキシ含有生成物のさらなるRP−HPLC精製をその作用を評価するために実施した。図3Cにおける結果は、0.2ng/マウス程度の低い用量で、新規化合物は炎症の部位へのPMNの浸潤を強力に減らしたことを示す。
【0431】
マクロファージにより高められた食作用.PMN侵入を制限することに加えて、消炎症性メディーエーターの重要な特徴は、消散および微生物クリアランスを刺激するためにアポトーシスPMNおよび/もしくはザイモサンのMΦ取り込みを刺激する二重作用である(4,13,23)。次に、新規のMΦ由来の化合物が食作用を高めるかどうかを決定し、そしてそれをRvE1、PD1およびエイコサノイド、PGE2と比較した(図3D、挿入図)。RvE1およびPD1は、1nM程度の低い濃度でMΦ食作用の強力なエンハンサーである(13)。直接比較では、二重ジオキシゲネーション生成物(7S,14S−ジHDHA)は活性であるが、MΦから単離された新規生成物より効能が低かった。従って、その強力な作用および新規の構造を考慮して、MΦ生成物をマレシン1(MaR1)と表した。
【0432】
マレシン生合成経路.図5は、マレシン経路の仮定スキームを例示する。DHAは、DHAおよび12−LOXのインキュベーションにおいて示されるようにヒトにおいておそらく12−LOXを介して、14−ヒドロペルオキシドコサヘキサエン酸に転化され、続いて14S−HDHAへの還元により、そして/もしくは二重ジオキシゲネーション、例えば連続的な12−LOX−5−LOXによって、7S,14S−ジHDHAを生成せしめる。12/15−LOX欠損マウスにおいて、腹膜炎における14S−HDHA生成は>95%減少した。重要な14S−ヒドロペルオキシド中間体は、13(14)−エポキシド含有中間体に酵素的に転化され、それは次に6個の二重結合の3個以内で共役トリエンを作ることにより生物活性7,14S−ジヒドロキシドコサヘキサエン酸にカルボニウム陽イオンを介して酵素的に加水分解される。H218Oを用いる酸素−18同位体の取り込みからの結果により、炭素7位の酸素の>75%は、この7位アルコール基が二重リポキシゲネーション機序により生成される場合にそうであったように(20を参照)、H2O由来であり(図6を参照)そして分子の酸素からではないことが示された。並行して、単離されたMΦで過剰の酸性メタノールでのアルコール捕捉を実施し、それはLC/MS/MS標的化プロファイリングを用いて同定されるメトキシ捕捉生成物7−メトキシ−14−ヒドロキシドコサ−4Z,8,10,12,16Z,19Z−ヘキサエン酸を与えた。そのMS2スペクトルは、炭素−7位での酸補助攻撃およびメトキシの付加と一致するイオンを示し、10.2分でm/z 373のMS2スペクトルを与えた(イオン指定については図4挿入図、および図5)。また、メトキシ付加は、MS2において本質的に同じイオンを与え得る炭素13位で起こり得たことも可能である。メトキシ付加は共役カルボニウム陽イオンの最小立体障害末端であるので、それは炭素7であった可能性が高い。
【0433】
マレシン経路および生合成スキームのさらなる裏付けを与えるために、単離されたマウスMΦ(15.5 x 106細胞/3ml、37℃、30分)をザイモサンと21、21、22、22および22−炭素位で5個の重水素原子を含有する重水素標識DHA−d5(10μM)とインキュベーションした。MΦは、m/z 348、330、304、286および205でその質量スペクトルにおける診断イオン、ならびに7,14S−ジヒドロキシ含有生成物のさらなる証拠を有して、DHA−d5を14S−HDHA−d5に転化した。ジヒドロキシ構造は前駆体からのd5保有し、そしてm/z 364、346、320および302のイオンで確かめられ、そしてヒドロキシ基の7および14位はそれぞれm/z 251、223および250、221により裏付けられた(示されない)。一緒に、これらの結果は、図5における強力な生物活性7,14−ジヒドロキシドコサ−4Z,8,10,12,16Z,19Z−ヘキサエン酸MaR1に酵素的に転化される14S−ヒドロペルオキシドコサ−4Z,7Z,10Z,12E,16Z,19Z−ヘキサエン酸(14S−HpDHA)からのMΦによる13(14)エポキシド中間体の生合成の裏付けを与えル。DHA(C22:6)は必須脂肪酸および脂肪酸のn−3ファミリーのメンバーであり、それらは海産油中に高レベルで存在する。それはデノボ生合成されず、従って栄養必需品である点において哺乳類系にとって必須である(10、11、21)。本明細書における新規経路は、消散の間にDHAが新規の強力な生物活性生成物に転化されるように提供される。この新規経路は、マウス腹膜炎からの滲出液の標的化メディエーターリピドミクスを用いて同定され、そしてマウスおよびヒトMΦの両方で示された。並行した生物機能およびスペクトル分析により、新規構造はDHAから生合成される7,14−ジヒドロキシ含有生成物として裏付けられた。特性化された新規生成物の1つ、マレシン1は、PMN浸潤を止めそしてMΦ食作用を刺激する、強力なメディエーターであると判明した。マレシン1の異性体、7S,14S−ジHDHAは効能が低く、インビトロおよびインビボで立体選択的作用を示した。これらの抗炎症性および消炎症性作用はインビトロおよびインビボの両方でナノグラム範囲において明らかであり、この新規メディエーター経路がカタバシスもしくは炎症状態からホメオスタシスへの組織の回復を調節することにおいて重要な役割を果たし得ることを示唆する(8、13)。MΦから単離される新規化合物は、多機能メディエーターに最近同定されたもののように、単核細胞と比較してPMNへの異なるそして別個の作用を示した。特に、消散を早めるために、内因性メディエーターのこの新規の属のメンバーは組織部位でさらなるPMN蓄積を制限する多段階作用を保有し、そしてMΦ非炎症性食作用を高めることによりクリアランスを刺激する(4、23)。このタイプの選択性は、前炎症反応を刺激する、例えばロイコトリエンからこれらの新規メディエーター間の空間的および時間的ならびに機能的分離を置く。
【0434】
炭素10および17でアルコール基を保有するEPA由来のRvE1およびDHAからのPD1/NPD1を比較する場合に(6、7、20、21)、MaR1は匹敵する効能のものであると判明した(図3)。対照的に、PGE2は食作用を高めず、アポトーシス細胞のMΦ食作用を特に減らすPGE2およびPGD2と一致する結果である(24)。D−シリーズおよびE−シリーズレゾルビンならびにPD1は属の消炎症および抗炎症作用を共有するが、各メンバーは特定の受容体で作用し(4、14)、従って、新規経路メディエーターの立体特異的作用を考慮して、それらはRvのものと別個のそれら独自の受容体に作用すると思われる。新規化学メディエーターでのこれらの結果は、炎症の部位でアポトーシスおよび壊死細胞を取り除くMΦの能力を高めそして該部位への新規PMN侵入をダウンレギュレーションすることと一緒に微生物粒子封じ込めを高めることは、消散間隔を短くするだけでなく(8、13)、炎症および感染を伴い得る好ましくない組織損傷障害および酸化的ストレスからも組織を保護できることを示唆する。
【0435】
また、エポキシド中間体は非酵素的加水分解を受けて7R/S,14S−ジヒドロキシ含有生成物(それはこのLC系において共溶出するように思われる)および対応する隣接ジオール、すなわち、13,14−ジヒドロキシドコサヘキサエン酸(それは単離されそして同定された:図5、図10および図7を参照)を与えることも決定された。提示される生合成順序はまた、18Oの取り込みおよびd5−DHAからd5−標識マレシン経路生成物への重水素(d5)−標識追跡からの結果によっても裏付けられる。合わせて、これらの結果は、DHAの14−リポキシゲネーションおよびその後の酵素段階を介した強力な新規化学メディエーターの生合成のための単離された在住MΦにおける非常に効率の良い経路の証拠を与える(図5)。また、5−LOXおよび12−LOX相互作用の起こり得る生成物として、4,14−ジ−HDHA(図10)、ならびにMΦにより生成されるDHAからの他の新規生成物、13(14)−エポキシ−アルコール含有ドコサノイドおよび4S,13,14S−トリヒドロキシドコサ−5,7,9,11,16Z,19Z−ヘキサエン酸が同定された。
【0436】
アラキドネード12−LOXを介した14S−HDHAは、魚のえらにおいて(25)そしてヒト血小板(26)、神経系(27)ならびに多数の他の哺乳類および無脊椎動物の海洋生物(28)において最初に同定された。従って、14−HDHAは多数の系において同定されたが、それは新規生物活性メディエーターへのDHA転化のマーカーとして
働き得ることはまだ決定されていなかった。MΦおよび他のヒト細胞は顕著な12−LOXおよび15−LOXを保有し(2、10、18)、そして14S−HDHAは12/15−LOX欠損マウスにおいて本質的に存在しないので、12−LOXでの細胞による14S−HDHA生成に加えて、ヒト15−LOXもまたこの14−LOX経路に寄与し得ることに留意すべきである。脂質メディエーターの経細胞生合成における血小板12−LOXの重要性を考慮して(4)、細胞−細胞相互作用もまたマレシンおよび関連生成物の生合成に寄与し得ると思われる。
【0437】
海洋n−3脂肪酸栄養補助食品は治療作用を有すると考えられるので動物およびヒトにおいて広く使用されているが、炎症性疾患を処置することおよび癌のリスクを下げることにおけるそれらの作用を裏付ける臨床試験からの証拠を納得させることは批判がないわけではない(29〜31)。臨床研究におけるそれらの作用の変動のあり得る原因は、a)使用する非常に高い用量(ミリグラム〜グラム用量)、b)ω−3脂肪酸利用の適切なバイオマーカーの欠如およびc)ピコ−〜ナノグラム範囲で誘発される特定のメディエーター機能である。従って、本明細書に記載される新規経路および生物活性マレシンは、レゾルビン、プロテクチンおよび関連する機能性メタボロームと一緒に、健康および疾患における必須ω−3脂肪酸の影響を示す新規手段を提供し、ならびに新規治療方法を与え得る。
【0438】
材料および方法
DHA、12−LOX(ブタ)、5−LOX(ヒト)、17−HDHA−d5およびPGE2−d4は、Cayman Chemicals(Ann Arbor,MI)から購入した。ザイモサンAは、Sigma(St.Louis,MO)からであった。固相抽出材料、LC/MS/MSおよびGC−MS溶媒および試薬は購入した(32)。合成RvE1およびPD1は、NIH Specialized Research Center P50−DE016191からの公開されたマッチング基準(32)に(C.N.S.;Nicos A.Petasis,USCに)従って全有機合成により製造した。
【0439】
14S−HpDHAはDHA(〜150μM)から製造し、そして5.4U/mlの単離された12−LOX(ブタ)(0.05Mリン酸バッファー、0.02% Tween
20、pH7.4)とインキュベーションした。14S−HpDHAは、C18カラム(Beckman 250mm x 10mm x 5μm)および4ml/分で20分間メタノール/水(80/20;v/v)からなる移動相を用いてRP−HPLC(Agilent 1100シリーズ)によって単離し、そして>98%の(S)立体配置であった。NaBH4での還元により質量分析基準に使用する14S−HDHAを生成せしめた。二重ジオキシゲネーション生成物(7S,14S−ジHDHA)の生体合成は、14S−HDHAとインキュベーションした5−LOX酵素で行った。7S,14S−ジ−HDHAは、MΦから単離される他の新規化合物との生物学的および物理的性質の直接比較のためにスケールアップした。
【0440】
マクロファージインキュベーション.
在住腹腔MΦは、全脂肪酸のEPA 1.5%およびDHA 1.9%を含有する齧歯動物の餌5001(Lab Diet,St.Louis,MO)への無制限のアクセスを有するナイーブマウス(20〜25g、6〜8週齢のFVBマウス;Charles River Labs,Wilmington,MA)からの洗浄により集めた(19)。全ての動物研究は、Harvard Medical Standing Committee on Animals(Protocol Number 02570)により提供される指針に従って承認されそして行われた。遠心分離(2000rpm)およびDPBS+/+の添加後に、MΦ(15.5 x 106細胞/3ml)をザイモサンAおよび10μMのDHAもしくは14S−HpDHA(pH7.45、37℃30分間)とインキュベーションした。18Oの取り込みを評価するために、0.45mlのH218O(Cambridge Isotopes,Andover,MA)を50μlの10XDPBS+/+に加え、混合し、そして1NのHClで〜pH7.3に調整した。単離された腹腔MΦ(5x106細胞)をH218O含有バッファーに懸濁した。液体窒素における急速凍結融解後に、精製された14S−HpDHA(5μM)をA23187(2.5μM)と37℃、30分間加えた。アルコール捕捉のために、単離されたMΦ(5.0(106細胞/100μl)を14S−HpDHA(100μM)およびA23187(5μM)とインキュベーションし(37℃、5分)、そしてインキュベーションを10X volの冷えたメタノールで止め、見かけのpHを〜pH3に調整した(20)。全ての他のインキュベーションは2volの冷えたメタノールで止め、そして抽出前に−80℃で保持した。
【0441】
メディエーターリピドミクス:生成物単離および抽出.
重水素化内部基準(17−HDHA−d5、PGE2−d4;〜3ng)をタンパク質沈殿>30分後に各インキュベーションに加えた。サンプルを抽出し(32)、そしてギ酸メチル画分をLC/MS/MSに基づくメディエーターリピドミクス用に採取した。UVスペクトルは、適切な減衰係数を用いて既知のメディエーターの構造的完全性の定量および評価にAgilent 4682を使用してメタノール中で記録した(32)。
【0442】
LC/MS/MSに基づく分析は、Agilent Eclipse Plus C18カラム(4.6mm x 50mm x 1.8μm)を備えたABI Sciex Instruments 3200 Qtrap線形イオントラップ四重極質量分析計を有するAgilent 1100シリーズHPLCで行った。装置は、負イオン化モードにおいて実行し、そしてエンハンスドプロダクトイオンモード(EPI)では移動相はメタノール/水/酢酸(60/40/0.01;v/v/v)からなり、そして400μl/分の流速で7.5分にわたって80/20/0.1(v/v/v)まで、そして次の4.5分で95/5/0.01(v/v/v)まで傾斜をつけた。流速を3分間200μl/分まで減らし、次に400μl/分まで戻し、そして移動相を次の6分にわたって100/0/0.01(v/v/v)まで傾斜をつけた。多重反応モニタリング(MRM)データ収集には、移動相は5分後に80/20/0.01(v/v/v)、8分後に95/5/0.01(v/v/v)、そしてカラムを洗浄するために14分後に100/0/0.01まで傾斜をつけるメタノール/水/酢酸(60/40/0.01;v/v/v)であった。
【0443】
DHAからの新規のジヒドロキシ含有生成物は、エンハンスドプロダクトイオンモード(EPI,359.2)においてモニターした。報告されるMRM法からのイオン対を17−HDHA、14S−HDHAおよび内部基準のプロファイリングおよび定量に使用した。イオン対359.2/250.2は、7,14−ジヒドロキシ含有生成物を同定するために使用した。合成対照のものに保持時間および(6診断イオンを一致させる基準を同定に使用した(32)。定量は各化合物について構築された較正曲線を用いて実施し、そして加えた重水素化内部基準を用いて回復をモニターした。
【0444】
マウス腹膜炎および食作用
7,14−ジヒドロキシ含有生成物は、Beckman C18カラム(250mm x 10mm x 5μm)および30分間85/15(v/v)まで傾斜をつけるメタノール/水(65/35;v/v)を用いてRP−HPLC(Agilent 1100シリーズ)によってマウスMΦより得られるギ酸メチル画分から単離した。それらの作用は、マウスザイモサンA誘発腹膜炎において評価した(19)。腹膜炎は1mlの滅菌水中1mgのザイモサンAの腹腔内(i.p.)投与により開始され、そして各化合物をザイモサンの5分前にi.v.投与した。2h後に、マウスを殺し、そして腹腔滲出液を集め(カルシウムおよびマグネシウムなしの5mlのDPBS-/-)、光学顕微鏡検査およ
びFACSにより同定し、そして数えた。在住MΦは、FACSにより同定した(8)。消炎症作用を評価するために、ナイーブマウスからの在住MΦ(24ウェルプレート、105細胞/ウェル)を各化合物とインキュベーションし(15分、pH7.45)、続いてFITC標識したザイモサンAを加えた(30分、37℃)。細胞外ザイモサン粒子をクエンチするためにトリパンブルー(1分、37℃)、続いてDPBS+/+(pH7.45)を使用し、そしてPerkin−Elmer Victor3を用いて食作用を定量した。
【0445】
ヒトマクロファージインキュベーション.ヒト末梢血単球は、CD14ミクロビーズおよびMACSカラム(Miltenyi Biotec)を用いて正の選択により健常なドナーから単離した。単離後に、細胞をGM−CSF(10ng/ml)の存在下で10%
FBS RPMIにおいて7日間平板培養して成熟マクロファージに分化させた。次に、マクロファージをDPBS+/+中で37℃で30分間ザイモサン(100μg)の存在下で14−HpDHA(5μg)もしくはDHA(5μg)とインキュベーションした。2volの冷えたメタノールの添加によりインキュベーションを終了させ、そしてサンプルを固相抽出用に採取した。
【0446】
GC−MS分析.GC−MS分析は、HP5973質量選択的検出器を備えたAgilent HP 6890で行った。個々のトリメチルシリル誘導体は、単離された化合物をジアゾメタンで処理した後に調製した。イオン化電圧は70eVであり、そしてイオン供給源温度は230℃であった。HP−5MSキャピラリーカラム(30m x 0.25mm x 0.25μm,Agilent Technologies,Wilmington,DE)を以下の温度プログラムで用いた;1.0ml/分のヘリウム流速で初期温度は2分間150℃であり、230℃(8分)および280℃(10分)まで傾斜をつけ、そして280℃で10分間維持した。
【0447】
キラルHPLC−MS/MS分析.Agilent 1100 HPLCシステムにより送り込む、Qtrap 3200(Applied Biosystems)にChiralpak AD−RH(150x2x5μm,Chiral Technologies,Inc.,West Chester,PA)を連結した。アセトニトリル:水:酢酸(70:30:0.01 v/v/v)の移動相を7分間200μl/分の流速、続いて次の5分間適用する100:0:0.01(v/v/v)までの勾配で溶出した。
【0448】
統計学的分析.
全ての結果は、平均(SEMとして表す。統計学的有意性は、両側スチューデントT検定を用いて決定した。
【0449】
アナログの合成製造
限定するものではなく、図8および9は本明細書に記述する様々なアナログを製造するための合成方法を提供する。中間体および生成物は、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどによるような当該技術分野において既知である方法により、精製するかもしくは単離することができる。
【0450】
図8を参照して、ジもしくはトリヒドロキシアナログは酸化条件に供し、そしてエステル化してアルキル鎖内にケトン官能基を生成せしめることができる。グリニャール試薬のような適当なアルキル化剤での官能基化は、存在するケトンの数および与えられるアルキル化剤の相対量によりアルキル化生成物(1つもしくは複数)を与える。エステルは、脱エステル化されてカルボン酸を生成せしめることができる。
【0451】
図9は、トリフルオロメチル終端マレシンアナログを製造するための合成スキームを提
供する。ヨウ素化トリエンとトリフルオロメチルヒドロキシ保護されたアルキンとのカップリングにより、ヒドロキシル基の脱保護後にトリフルオロメチル終端ペンタジエン/アルキンを生成せしめる。上記の通り、中間体をこの段階で酸化してモノもしくはジケトン中間体を生成せしめることができ、それをアルキル化して第三級ヒドロキシル官能基(1つもしくは複数)を生成せしめることができる。あるいはまた、トリフルオロメチル終端ペンタジエン/アルキンを脱保護し、そして還元条件に供して22−トリフルオロ−マレシン1を生成せしめることができ、それをさらに酸化し、そして上記の通りアルキル条件下で処理して例えば化合物VIa〜VIcを生成せしめることができる。
【0452】
参考文献
1.Nathan,C.2002.Points of control in inflammation.Nature 420:846−852.
2.Samuelsson,B.1983.Leukotrienes:mediators of immediate hypersensitivity reactions and inflammation.Science 220:568−575.3.Gilroy,D.W.,T.Lawrence,M.Perretti,and A.G.Rossi.2004.Inflammatory resolution:new opportunities for drug discovery.Nat.Rev.Drug Discov.3:401−416.
4.Serhan,C.N.,N.Chiang,and T.E.Van Dyke.2008.Resolving inflammation:dual anti−inflammatory and pro−resolution lipid mediators.Nat.Rev.Immunol.8:249−261.
5.Serhan,C.N.,C.B.Clish,J.Brannon,S.P.Colgan,N.Chiang,and K.Gronert.2000.Novel functional sets of lipid−derived mediators with antiinflammatory actions generated from omega−3 fatty acids via cyclooxygenase 2−nonsteroidal antiinflammatory drugs and transcellular processing.J.Exp.Med.192:1197−1204.
6.Serhan,C.N.,S.Hong,K.Gronert,S.P.Colgan,P.R.Devchand,G.Mirick,and R.−L.Moussignac.2002.Resolvins:a family of bioactive
products of omega−3 fatty acid transformation circuits initiated by aspirin treatment that counter pro−inflammation signals.J.Exp.Med.196:1025−1037.
7.Hong,S.,K.Gronert,P.Devchand,R.−L.Moussignac,and C.N.Serhan.2003.Novel docosatrienes and 17S−resolvins generated from docosahexaenoic acid in murine brain,human blood and glial cells:autacoids in anti−inflammation.J.Biol.Chem.278:14677−14687.
8.Bannenberg,G.L.,N.Chiang,A.Ariel,M.Arita,E.Tjonahen,K.H.Gotlinger,S.Hong,and C.N.Serhan.2005.Molecular circuits of resolution:formation and actions of resolvins and protectins.J.Immunol.174:4345−435
5.
9.Cotran,R.S.,V.Kumar,and T.Collins,editors.1999.Robbins Pathologic Basis of Disease.W.B.Saunders Co.,Philadelphia.1425 pp.
10.Calder,P.C.2007.Immunomodulation by omega−3 fatty acids.Prostaglandins Leukot.Essent.Fatty Acids 77:327−335.
11.Simopoulos,A.P.2002.Omega−3 fatty acids in inflammation and autoimmune diseases.J.Am.Coll.Nutr.21:495−505.
12.Orr,S.K.,and R.P.Bazinet.2008.The emerging role of docosahexaenoic acid in neuroinflammation.Curr.Opin.Investig.Drugs
9:735−743.
13.Schwab,J.M.,N.Chiang,M.Arita,and C.N.Serhan.2007.Resolvin E1 and protectin D1
activate inflammation−resolution programmes.Nature 447:869−874.
14.Arita,M.,F.Bianchini,J.Aliberti,A.Sher,N.Chiang,S.Hong,R.Yang,N.A.Petasis,and
C.N.Serhan.2005.Stereochemical assignment,anti−inflammatory properties,and receptor for the omega−3 lipid mediator resolvin E1.J.Exp.Med.201:713−722.
15.Cash,J.L.,R.Hart,A.Russ,J.P.C.Dixon,W.H.Colledge,J.Doran,A.G.Hendrick,M.B.L.Carlton,and D.R.Greaves.2008.Synthetic chemerin−derived peptides suppress inflammation through ChemR23.J.Exp.Med.205:767−775.
16.Hudert,C.A.,K.H.Weylandt,J.Wang,Y.Lu,S.Hong,A.Dignass,C.N.Serhan,and J.X.Kang.2006.Transgenic mice rich in endogenous
n−3 fatty acids are protected from colitis.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.103:11276−11281.
17.Gronert,K.,N.Maheshwari,N.Khan,I.R.Hassan,M.Dunn,and M.L.Schwartzman.2005.A role for the mouse 12/15−lipoxygenase pathway in promoting epithelial wound healing and host defense.J.Biol.Chem.280:15267−15278.
18.Merched,A.,K.Ko,K.H.Gotlinger,C.N.Serhan,and L.Chan.2008.Atherosclerosis:Evidence for impairment of resolution of vascular inflammation governed by specific lipid mediators.FASEB J.22:3595−3606.
19.Winyard,P.G.,and D.A.Willoughby,editors.2003.Inflammation Protocols.Humana,To
towa,NJ.378 pp.
20.Serhan,C.N.,K.Gotlinger,S.Hong,Y.Lu,J.Siegelman,T.Baer,R.Yang,S.P.Colgan,and N.A.Petasis.2006.Anti−inflammatory actions of neuroprotectin D1/protectin D1 and
its natural stereoisomers:assignments of dihydroxy−containing docosatrienes.J.Immunol.176:1848−1859.
21.Mukherjee,P.K.,V.L.Marcheselli,C.N.Serhan,and N.G.Bazan.2004.Neuroprotectin D1:a docosahexaenoic acid−derived docosatriene protects human retinal pigment epithelial cells from oxidative stress.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:8491−8496.
22.Fox,M.A.,and J.K.Whitesell.1997.Organic Chemistry.Jones & Bartlett,Boston.1248 pp.
23.Godson,C.,S.Mitchell,K.Harvey,N.A.Petasis,N.Hogg,and H.R.Brady.2000.Cutting edge:Lipoxins rapidly stimulate nonphlogistic phagocytosis of apoptotic neutrophils by monocyte−derived macrophages.J.Immunol.164:1663−1667.
24.Rossi,A.G.,J.C.McCutcheon,N.Roy,E.R.Chilvers,C.Haslett,and I.Dransfield.1998.Regulation of macrophage phagocytosis of
apoptotic cells by cAMP.J.Immunol.160:3562−3568.
25.German,J.B.,G.G.Bruckner,and J.E.Kinsella.1986.Lipoxygenase in trout gill tissue acting on arachidonic,eicosapentaenoic and docosahexaenoic acids.Biochim.Biophys.Acta 875:12−20.
26.Lagarde,M.,M.Croset,M.Guichardant,and
M.Dechavanne.1985.Role of lipoxygenase products in platelet function: relation to fatty acid modified phospholipids.Adv.Exp.Med.Biol.192:327−335.
27.Kim,H.Y.,J.W.Karanian,T.Shingu,and N.Salem,Jr.1990.Stereochemical analysis of
hydroxylated docosahexaenoates produced
by human platelets and rat brain homogenate.Prostaglandins 40:473.
28.Rowley,A.F.,H.Kuehn,and T.Schewe,editors.1998.Eicosanoids and Related Compounds in Plants and Animals.Portland Press,London.
29.MacLean,C.H.,S.J.Newberry,W.A.Mojica,P.Khanna,A.M.Issa,M.J.Suttorp,Y.W.Lim,S.B.Traina,L.Hilton,R.Garland,and S.C.Mort
on.2006.Effects of omega−3 fatty acids on cancer risk: a systematic review.JAMA.295:403−415.
30.Dwyer,J.H.,H.Allayee,K.M.Dwyer,J.Fan,H.Wu,R.Mar,A.J.Lusis,and M.Mehrabian.2004.Arachidonate 5−lipoxygenase promoter genotype,dietary arachidonic acid,and atherosclerosis.N.Engl.J.Med.350:29−37.
31.Colomer,R.,J.M.Moreno−Nogueira,P.P.Garcia−Luna,P.Garcia−Peris,A.Garcia−de−Lorenzo,A.Zarazaga,L.Quecedo,J.del Llano,L.Usan,and C.Casimiro.2007.N−3 fatty acids,cancer and cachexia: a systematic review of the literature.Br.J.Nutr.97:823−831.
32.Serhan,C.N.,Y.Lu,S.Hong,and R.Yang.2007.Mediator lipidomics:search algorithms
for eicosanoids,resolvins and protectins.Meth.Enzymol.432:275−317.
【0453】
本発明は好ましい態様に関連して記述されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細において変更できることを当業者は認識する。背景におけるものを包含する本明細書を通して引用される全ての参考文献は、それらの全部が本明細書に引用される。当業者は、所定の実験だけを用いて、本明細書において特に記述される本発明の特定の態様の多数の同等物を認めるか、もしくは確かめることができる。そのような同等物は、以下の請求項の範囲に包含されるものとする。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3A】

【図3B−3C】

【図3D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化2】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない。
【請求項2】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項1の化合物。
【請求項3】
4、10、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項1もしくは2のいずれかの化合物。
【請求項4】
4、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項1もしくは2の
いずれかの化合物。
【請求項5】
式(I):
【化3】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化4】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる精製された化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項6】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項5の精製された化合物。
【請求項7】
Zが−C(O)ORdであり、そしてZのRdが水素原子である請求項5もしくは6のいずれかの精製された化合物。
【請求項8】
4、10、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項5〜7の
いずれかの化合物。
【請求項9】
4、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項5〜7のいずれかの化合物。
【請求項10】
C−7ヒドロキシがS立体配置を有する請求項1〜8のいずれかの化合物。
【請求項11】
式(II):
【化5】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化6】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され:
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない。
【請求項12】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項11の化合物。
【請求項13】
7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項11もしくは12のいずれかの化合物。
【請求項14】
式(II):
【化7】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化8】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる精製された化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項15】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項14の精製された化合物。
【請求項16】
Zが−C(O)ORdであり、そしてZのRdが水素原子である請求項14もしくは15のいずれかの精製された化合物。
【請求項17】
7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項14〜16のいずれかの精製された化合物。
【請求項18】
式(III):
【化9】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化10】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない。
【請求項19】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項18の化合物。
【請求項20】
4、7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項18もしくは19のいずれかの化合物。
【請求項21】
式(III):
【化11】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化12】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる精製された化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項22】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項21の精製された化合物。
【請求項23】
Zが−C(O)ORdであり、そしてZのRdが水素原子である請求項21もしくは22のいずれかの精製された化合物。
【請求項24】
4、7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項21〜23のいずれかの精製された化合物。
【請求項25】
式(IV):
【化13】

[式中、
【化14】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素原子ではない。
【請求項26】
4、7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項25の化合物。
【請求項27】
式(IV):
【化15】

[式中、
【化16】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる精製された化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項28】
Zが−C(O)ORdであり、そしてZのRdがZ水素原子である請求項27の精製された化合物。
【請求項29】
4、7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項27もしくは28のいずれかの精製された化合物。
【請求項30】
式(V):
【化17】

[式中、P1、P2およびP3の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化18】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、ただし、Zが−C(O)ORdである場合、ZのRdは水素ではない。
【請求項31】
1、P2およびP3が全て水素原子である請求項30の化合物。
【請求項32】
7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項30もしくは31のいずれかの化合物。
【請求項33】
式(V):
【化19】

[式中、P1、P2およびP3の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化20】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
を含んでなる精製された化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項34】
1、P2およびP3が全て水素原子である請求項33の精製された化合物。
【請求項35】
Zが−C(O)ORdであり、そしてZのRdが水素原子である請求項33もしくは34のいずれかの精製された化合物。
【請求項36】
7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項33〜35のいずれかの精製された化合物。
【請求項37】
式(Ic、IdもしくはIe):
【化21】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化22】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
1およびR2は、存在する場合、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアル
キル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから各々独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
の1つを含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項38】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項37の化合物。
【請求項39】
4、10、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項37もしくは38のいずれかの化合物。
【請求項40】
4、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項37もしくは38のいずれかの化合物。
【請求項41】
1もしくはR2が、存在する場合、メチル基である請求項37〜40のいずれかの化合物。
【請求項42】
ZがCOOHである請求項37〜41のいずれかの化合物。
【請求項43】
式(IIa、IIb、もしくはIIc):
【化23】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化24】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
1およびR2は、存在する場合、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから各々独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
の1つを含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項44】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項43の化合物。
【請求項45】
7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項43もしくは44のいずれかの化合物。
【請求項46】
1もしくはR2が、存在する場合、メチル基である請求項43〜45のいずれかの化合物。
【請求項47】
ZがCOOHである請求項43〜46のいずれかの化合物。
【請求項48】
式(IIIa、IIIbもしくはIIIC):
【化25】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化26】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
1およびR2は、存在する場合、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアル
キル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから各々独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
の1つを含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項49】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項48の化合物。
【請求項50】
4、7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項48〜49のいずれかの化合物。
【請求項51】
1もしくはR2が、存在する場合、メチル基である請求項48〜50のいずれかの化合物。
【請求項52】
ZがCOOHである請求項48〜51のいずれかの化合物。
【請求項53】
式(Va、Vb、Vc、Vd、Ve、VfもしくはVg):
【化27】

[式中、P1、P2およびP3の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化28】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
1、R2もしくはR3は、存在する場合、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから各々独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
の1つを含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項54】
1、P2およびP3が全て水素原子である請求項53の化合物。
【請求項55】
7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項53〜54のいずれかの化合物。
【請求項56】
4、7、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項53〜55のいずれかの化合物。
【請求項57】
1、R2もしくはR3が、存在する場合、メチル基である請求項53〜56のいずれかの化合物。
【請求項58】
式(VIa、VIbもしくはVIc):
【化29】

[式中、P1およびP2の各々は個々に保護基もしくは水素原子であり;
【化30】

は二重結合であり;
Zは−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(O)H、−C(NH)NRcc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRccもしくは−CNであり;
各Raは水素、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各Rcは独立して保護基もしくはRaであるか、あるいはまた、各Rcは、それが結合している窒素原子と一緒になって、場合により同じもしくは異なる追加のヘテロ原子の1つもしくはそれ以上を含んでもよくそして場合により同じもしくは異なるRaまたは適当なRb基の1つもしくはそれ以上で置換されていてもよい5〜8員のシクロヘテロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し;
各Rbは=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2d、−S(O)2ORd、−S(O)NRcc、−S(O)2NRcc、−OS(O)Rd、−OS(O)2d、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcc、−C(NH)NRcc、−C(NRa)NRcc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcc、−OC(NH)NRcc、−OC(NRa)NRcc、−[NHC(O)]nd、−[NRaC(O)]nd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、−[NHC(O)]nNRcc、−[NRaC(O)]nNRcc、−[NHC(NH)]nNRccもしくは−[NRaC(NRa)]nNRccから独立して選択され;
1およびR2は、存在する場合、(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアル
キル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のシクロヘテロアルキル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のシクロヘテロアルキルアルキル、5〜10員のヘテロアリールもしくは6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
各nは独立して0〜3の整数であり;そして
各Rdは独立して保護基もしくはRaである]
の1つを含んでなる化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩。
【請求項59】
1およびP2が両方とも水素原子である請求項58の化合物。
【請求項60】
4、10、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項58もしくは59のいずれかの化合物。
【請求項61】
4、16および19位の二重結合が各々Z立体配置のものである請求項58もしくは59のいずれかの化合物。
【請求項62】
1もしくはR2が、存在する場合、メチル基である請求項58〜61のいずれかの化合物。
【請求項63】
ZがCOOHである請求項58〜62のいずれかの化合物。
【請求項64】
C−14アルコールがS立体配置を有する請求項1〜63のいずれかの化合物。
【請求項65】
製薬学的に許容しうる担体をさらに含んでなる請求項1〜62のいずれかの化合物。
【請求項66】
請求項1〜65の化合物もしくは組成物のいずれかの有効量を処置もしくは予防を必要とする個体に投与する工程を含んでなる炎症、癌、神経変性、記憶喪失、しわ、乾癬、ふけもしくは皮膚炎を処置するかもしくは予防する方法。
【請求項67】
請求項1〜65の化合物もしくは組成物のいずれかの有効量を処置を必要とする個体に投与する工程を含んでなる神経発生、胎児発達、ホメオスタシス、組織リモデリングもしくは創傷修復を処置する方法。
【請求項68】
DHAを12−リポキシゲナーゼに供する工程;および
酵素反応により生成される生成物を集める工程
を含んでなるDHA炭素14−リポキシゲネーションを決定する方法。

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2012−503001(P2012−503001A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527902(P2011−527902)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/056998
【国際公開番号】WO2010/033509
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(511068544)ザ・ブリガム・アンド・ウイメンズ・ホスピタル・インコーポレイテツド (1)
【Fターム(参考)】