説明

2−アミノベンズイミダゾール誘導体及び小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネルのモジュレーターとしてのその使用

本発明は、小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用な新規の2−アミノベンズイミダゾール誘導体に関する。他の態様では、本発明は、治療方法においてのこれらの化合物の使用に、さらに本発明の化合物を含有する医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用な新規の2−アミノベンズイミダゾール誘導体に関する。
【0002】
他の態様では、本発明は、治療方法におけるこれらの化合物の使用及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
3つのサブタイプの小コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル):SK1、SK2及びSK3(ゲノム名称を使用すると、KCNN1〜3に対応)がクローニングされている。これらのチャネルの活性は、構成的にチャネルに結合しているカルモジュリンを介した遊離細胞内カルシウム([Ca2+)の濃度により決定される。SKチャネルは、[Ca2+により厳密に生理学的範囲で調節されており、約0.1μMまでの[Ca2+では閉じられているが、1μMの[Ca2+では十分に活性化される。カリウムに関して選択的であるので、開いているか活性なSKチャネルは、細胞の膜電位に対して過分極的影響を有する。SKチャネルは、中枢神経系で広く発現される。SK1及びSK2の分布は、かなりの程度で重複しており、マウスの脳では、新皮質、辺縁及び海馬領域で最高レベルの発現を示す。対照的に、SK3チャネルは、基底核、視床及び脳幹モノアミン作動性ニューロン、例えば、背側縫線、青斑及び腹側被蓋領域で高レベルの発現を示す(Sailer et al.「マウス脳における3種の小コンダクタンスCa2+依存性カリウムチャネルサブユニット、SK1、SK2及びSK3の免疫組織化学的分布比較(Comparative immunohistochemical distribution of three small−conductance Ca2+−activated potassium channel subyunits,SK1,SK2,and SK3 in mouse brain)」Mol.Cell.Meurosci.2004,26,458−469)。SKチャネルは、骨格筋、腺細胞、肝細胞及びTリンパ球を含むいくつかの末梢細胞にも存在する。
【0004】
活性なSKチャネルの過分極作用は、興奮性細胞の発射パターン及び興奮性の制御において重要な役割を果たしている。アパミン及びビククリンメトブロミドなどのSKチャネル阻害剤は、興奮性を高めることが証明されている一方で、オープナーである1−EBIOは、電気的活性を低減しうる。電圧依存性経路を介したCa2+流入の量が膜電位に対して高度に敏感である非興奮性細胞においては、SKチャネルの活性は、駆動力を高める一方で、SKチャネルのブロッカーは、脱分極作用を有し、したがって、カルシウムの駆動力を減衰させる。
【0005】
[Ca2+と膜電位とを結び付ける際のSKチャネルの重要な役割に基づき、SKチャネルは、新規の治療剤を開発するための重要なターゲットである。
【0006】
国際公開03/094861号パンフレット(Icagen Inc)は、ビス−ベンズイミダゾール及び類似化合物をカリウムチャネルモジュレーターとして記載している。
【0007】
SKチャネル及びSKチャネルモジュレーターに関する総説は、Liegeois,J.−F.et al.「小コンダクタンスカルシウム依存性カリウム(SK)チャネルの調節:医薬品化学における新たな挑戦(Modulation of small conductance calcium−activated potassium(SK)channels:a new challenge in medicinal chemistry)」、Current medicinal Chemistry,2003,10,625−647で見られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
SKチャネルの既知のモジュレーターは、大分子又はペプチド(アパミン、シラトキシン、ツボクラリン、塩化デクアリニウム、UCL1684)であるか、又は低い効力を有する(1−EBIO、リルゾール)という問題を有している。したがって、最適化された薬理学的プロファイルを有する化合物が絶えず必要とされている。特に、SK3チャネルモジュレーターなどの選択的なリガンドが、非常に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、式Iの2−アミノベンズイミダゾール誘導体或いはその異性体又はその異性体の混合物或いはこれらの薬学的に許容できる塩を提供する:
【化1】


[式中、R、R、R、R及びRは、下記と同様に定義される]。
【0010】
第2の態様では、本発明は、治療的有効量の本発明の化合物或いはその異性体又はその異性体の混合物或いはこれらの薬学的に許容できる塩と共に、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
他の態様では、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の、SKチャネルの調節に応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和するための医薬組成物を製造するための、本発明の化合物或いはその異性体又はその異性体の混合物或いはこれらの薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0012】
さらに他の態様では、本発明は、ヒトを含む生体動物の、SKチャネルの調節に応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法に関し、この方法は、治療的有効量の本発明の化合物或いはその異性体又はその異性体の混合物或いはこれらの薬学的に許容できる塩をその必要のある生体動物に投与するステップを含む。
【0013】
本発明の他の対象は、次の詳細な説明及び実施例から、当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
2−アミノベンズイミダゾール誘導体
本発明の第1の態様では、本発明は、式Iの2−アミノベンズイミダゾール誘導体或いは任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物或いはそれらの薬学的に許容できる塩を提供する:
【化2】


[式中、
は、水素又はアルキルを表し;
は、水素、アルキル又はアルコキシを表し;
は、
【化3】


から選択される環含有基を表し、ここで、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
の環は互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよく;
及びRは互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から選択される]。
【0015】
具体的な一実施形態では、Rは、水素又はアルキルを表し;
は、水素、アルキル又はアルコキシを表し;
は、
【化4】


から選択される環含有基を表し
[式中、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1、2、3又は4である];
の芳香族成分は互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよく;
及びRは互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から選択される。
【0016】
一実施形態では、Rは水素を表す。
【0017】
第2の実施形態では、Rは水素を表す。
【0018】
さらなる一実施形態では、Rは、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基を表し、ここで、前記環は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい。具体的な実施形態では、Rは、アルキルで置換されている1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基、例えば、2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル又は4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルを表す。さらなる実施形態では、Rは、アルキルで2回置換されている1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基、例えば、5,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルを表す。
【0019】
さらなる実施形態では、Rは、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基を表し、ここで、前記芳香族成分は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい。具体的な実施形態では、Rは、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルなどの1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基を表す。さらなる実施形態では、Rは、ハロで置換されている1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基、例えば、7−ハロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル、例えば7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル又は7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルを表す。
【0020】
さらに他の実施形態では、Rは、インダニル基を表し、ここで、前記芳香族成分は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい。具体的な実施形態では、Rは、インダン−1−イル又はインダン−2−イルなどのインダニルを表す。さらなる実施形態では、Rは、ハロで置換されているインダニル、例えば5−ハロ−インダン−1−イル、例えば5−ブロモ−インダン−1−イル、5−クロロ−インダン−1−イル又は5−フルオロ−インダン−1−イルを表す。
【0021】
さらなる実施形態では、Rは、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテニル基であり、ここで、前記環は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい。具体的な実施形態では、Rは、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテニル基、例えば6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イルを表す。
【0022】
さらなる実施形態では、Rは、
【化5】


を表し、ここで、前記2個のフェニル環は互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい。具体的な実施形態では、Rは、ジフェニルメチル(以下ではベンズヒドリルと称される)を表す。さらなる実施形態では、Rは、2,2−ジフェニルエチルを表す。さらに他の実施形態では、Rは、3,3−ジフェニルプロピルを表す。
【0023】
さらなる実施形態では、Rは、
【化6】


を表し、ここで、前記2個のフェニル環は互いに独立に、クロロ又はフルオロなどの1個又は複数のハロで置換されていてもよい。具体的な実施形態では、Rは、4−クロロベンズヒドリルなどの4−ハロベンズヒドリルを表す。さらなる実施形態では、Rは、4,4’−ジフルオロベンズヒドリルなどの4,4’−ジハロベンズヒドリルを表す。さらに他の実施形態では、Rは、2,2−ビス(4−ハロフェニル)エチル、例えば、2,2−ビス(4−クロロフェニル)エチル又は2,2−ビス(4−フルオロフェニル)エチルを表す。
【0024】
さらなる実施形態では、nは0、1又は2である。一実施形態では、nは0である。第2の実施形態では、nは1である。第3の実施形態では、nは2である。
【0025】
さらなる実施形態では、mは0である。第2の実施形態では、mは1である。第3の実施形態では、mは2である。
【0026】
さらに他の実施形態では、R及びRは、水素を表す。他の実施形態では、Rは、水素を表し、Rはメチルなどのアルキルを表す。さらに他の実施形態では、Rは、メチルなどのアルキルを表し、Rは、メチルなどのアルキルを表す。他の実施形態では、Rは、水素を表し、Rは、フルオロなどのハロを表す。さらに他の実施形態では、Rは、トリフルオロメチルを表し、Rは、トリフルオロメチルを表す。
【0027】
他の実施形態では、式Iの化合物は、ベンズイミダゾール環の5位でR又はRの一方で置換されていて、さらに、ベンズイミダゾール環の6位でR又はRの他方で置換されているベンズイミダゾール誘導体である。さらに他の実施形態では、式Iの化合物は、ベンズイミダゾール環の5位でR又はRの一方で置換されていて、さらに、ベンズイミダゾール環の7位でR又はRの他方で置換されているベンズイミダゾール誘導体である。
【0028】
具体的な実施形態では、本発明の化合物は、
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフェニルエチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ビス(4−フルオロフェニル)エチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ビス(4−クロロフェニル)エチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,3−ジフェニルプロピルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−フルオロ−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−クロロ−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−ブロモ−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)ベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4,4’−ジクロロベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4,4’−ジフルオロベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イルアミン;
(R)−N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
(S)−N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−[5,7−ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミダゾール−2−イル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
(R)−N−(5−メチルベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
(R)−N−(5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(5−フルオロベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
又はこれらの薬学的に許容できる塩である。
【0029】
前記実施形態の2個又はそれ以上からなる組合せも、本発明の範囲内と見なす。
【0030】
置換基の定義
本発明の内容では、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0031】
本発明の内容では、アルキル基は、一価の飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素鎖を示している。炭化水素鎖は好ましくは、1から6個の炭素原子を含み(C〜Cアルキル)、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルが含まれる。好ましい実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含むC〜Cアルキルを表す。本発明の他の好ましい実施形態では、アルキルは、C〜Cアルキル基を表し、これは特には、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってよい。
【0032】
アルコキシは、O−アルキルであり、ここで、アルキルは前記と同様に定義される。
【0033】
薬学的に許容できる塩
本発明の化合物は、所定の投与に適した形態で提供することができる。適切な形態には、本発明の化合物の薬学的(すなわち生理学的に)許容できる塩及びプレドラッグ又はプロドラッグ形態が含まれる。
【0034】
薬学的に許容できる付加塩の例には、限定ではないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコ酸塩(aconate)、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩(embonate)、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩由来、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などの非毒性無機及び有機酸付加塩が含まれる。このような塩は、良く知られている手順により生じさせることができ、当技術分野で記載されている。
【0035】
本発明の化合物の薬学的に許容できるカチオン塩の例には、限定ではないが、アニオン基を含む本発明の化合物のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシニウム(lysinium)及びアンモニウム塩などが含まれる。このようなカチオン塩は、良く知られている手順により生じさせることができ、当技術分野で記載されている。
【0036】
本発明の内容では、N含有化合物のオニウム塩も、薬学的に許容できる塩と考えられる。好ましい「オニウム塩」には、アルキルオニウム塩、シクロアルキルオニウム塩及びシクロアルキルアルキルオニウム塩が含まれる。
【0037】
本発明の化合物のプレ−又はプロドラッグの例には、親化合物の1個又は複数の反応性又は誘導体化可能基の所で変性された化合物を含む本発明に記載の物質の適切なプロドラッグの例が含まれる。カルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基の所で変性されている化合物が、特に重要である。適切な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0038】
本発明の化合物は、薬学的に許容できる水、エタノールなどの溶剤と共に、可溶性又は非可溶性の形態で提供することができる。可溶性の形態にはさらに、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和形態も含まれうる。通常、可溶性形態は、本発明の目的においては、非可溶性形態と同等と見なされる。
【0039】
立体異性体
本発明の化合物は、1個又は複数のキラル中心を有しうること、さらに、このような化合物は、異性体の形態で存在することを、当業者であれば理解するであろう。
【0040】
さらに、本発明の化合物は、(+)及び(−)形態の鏡像異性体として、さらに、ラセミ形態(±)として存在しうる。これらの異性体のラセミ化合物及び個々の異性体自体も、本発明の範囲内である。
【0041】
本発明は、このような異性体及びラセミ混合物を含むその混合物の全てを含む。
【0042】
ラセミ形態は、公知の方法及び技術により光学対掌体に分離することができる。異性体塩を分離する1つの方法は、光学的に活性な酸を使用し、塩基で処理することにより、光学的に活性なアミン化合物を遊離させることによるものである。ラセミ化合物を分離して、光学的対掌体に分離する他の方法は、光学活性なマトリックス上でのクロマトグラフィーをベースとする。したがって、例えば、本発明のラセミ化合物は、例えばd−又はl−(酒石酸塩、マンデル酸塩又はカンフルスルホン酸塩)塩の分別晶出により、その光学的対掌体に分離することができる。
【0043】
本発明の化合物は、本発明の化合物と、(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸に由来するような光学的に活性な活性化カルボン酸とを反応させることによるジアステレオマーアミドの形成により、又は本発明の化合物と光学的に活性なクロロギ酸塩などとを反応させることによるジアステレオマーカルバミン酸塩の形成により、分離することもできる。
【0044】
光学的異性体を分離するためのさらなる方法は、当技術分野で知られている。このような方法には、Jaques J,Collet A,& Wilen S著「鏡像異性体、ラセミ体及び分離(Enantiomers,Racemates,and Resolutions)」John Wiley and Sons,New York(1981)が含まれる。
【0045】
光学活性な出発材料から、光学活性な化合物を調製することもできる。
【0046】
標識化合物
本発明の化合物は、その標識又は未標識形態で使用することができる。本発明の内容では、標識化合物は、通常自然界に存在する原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子に代えられた1個又は複数の原子を有する。標識により、前記化合物の定量検出が容易になる。
【0047】
本発明の標識化合物は、診断ツール、放射性トレーサー又は造影剤として様々な診断方法において、さらにin vivo受容体画像化のために有用である。
【0048】
本発明の標識異性体は好ましくは、少なくとも1個の放射性核種を標識として含む。陽電子放出放射性核種は全て、利用候補である。本発明の内容では、放射性核種は好ましくは、H(ジュウテリウム)、H(トリチウム)、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択される。
【0049】
本発明の標識異性体を検出する物理的方法は、陽電子放射断層撮影(PET)、単光子画像コンピューター断層撮影(SPECT)、MRスペクトロスコピー(MRS)、磁気共鳴画像(MRI)及びコンピュータアキシアルX線断層撮影(CAT)或いはこれらの組合せから選択することができる。
【0050】
調製方法
本発明の化合物は、化学合成のための慣用の方法、例えば、実施例に記載の方法により調製することができる。本出願に記載のプロセスのための出発物質は、知られているか、市販の化学物質から慣用の方法で容易に調製することができる。
【0051】
本発明のある1種の化合物を、慣用の方法を使用して、本発明の他の化合物に変えることもできる。
【0052】
本願明細書に記載の反応の目的生成物は、慣用の技術により、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどにより単離することができる。
【0053】
生物学的活性
本発明の化合物は、in vitroでSKチャネルを調節するその能力に関して試験することができる。機能的調節は、Strobaek et al:「HEK293細胞で発現される小コンダクタンスCa2+活性化カリウムチャネルの薬理学的特性(Pharmacological characterization of small−conductance Ca2+−activated K channels expressed in HEK293 cells)」British Journal of Pharmacology(2000)129,991−999に記載されているパッチクランプ技術によりSK電流における化合物誘発変化を測定することにより決定することができる。このタイプの測定から、所定の化合物の効力を例えば、ブロッカー/阻害剤に関してはK又はIC50及びオープナー/活性化剤に関してはEC50値として決定することができる。他のパッチクランプ形状から、さらに、様々な細胞系で内生的に発現されるチャネルから、同様のデータを得ることもできる。
【0054】
一実施形態では、本発明の化合物は、SK1及びSK2を上回る選択性をSK3に関して示す。他の実施形態では、本発明の化合物は、陽性SKチャネルモジュレーターであり、例えば、陽性SK3チャネルモジュレーターである。さらに他の実施形態では、本発明の化合物は、陰性モジュレーター、例えば、陰性SK3チャネルモジュレーターである。特別な実施形態では、本発明の化合物は、SKチャネルブロッカー、例えば、SK3チャネルブロッカーである。
【0055】
パッチクランプ実験で観察された活性を元にすると、本発明の化合物は、SKチャネルの調節に応答する、ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和するために有用であると考えられる。
【0056】
特別な実施形態では、本発明の化合物は、アブサンス発作、加齢性記憶損失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、失調、注意欠陥、脱毛、双極性障害、膀胱過興奮、膀胱流出閉塞症、膀胱痙攣、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心血管障害、認識機能障害、大腸炎、便秘、痙攣、冠状動脈痙攣、冠状動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、鬱病、II型糖尿病、月経困難症、てんかん、胃腸機能障害、胃食道逆流障害、胃腸低運動障害胃腸運動不全、難聴、インスリン過剰血症、高血圧、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠陥、男子勃起機能不全、躁鬱病、記憶不全、偏頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、ミオキミア、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、睡眠発作、神経障害性疼痛、疼痛、パーキンソン病、腎嚢胞、術後腸閉塞、早産、精神病、精神病性障害、腎臓障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シェーグレン症候群、睡眠無呼吸、痙縮、睡眠障害、脳卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、輸尿障害、血管痙攣、視力損失又は口内乾燥を治療、予防又は緩和する際に有用であると考えられる。
【0057】
活性医薬成分(API)の適切な用量は、正確な投与方法、投与形態、考えられる適応症、対象及び特に該当対象の体重、さらに、担当の医師又は獣医師の選択及び経験に依存しているが、1日当たりAPI約0.1から約1000mg、さらに好ましくは1日当たりAPI約10から約500mg、最も好ましくは、1日当たりAPI約30から約100mgの範囲内であると考えられる。
【0058】
本発明の好ましい化合物は、サブマイクロモル及びマイクロモル範囲、すなわち、1未満から100μMで生物学的活性を示す。
【0059】
医薬組成物
他の態様では、本発明は、治療的有効量の本発明の化合物を有する新規の医薬組成物を提供する。
【0060】
治療で使用するための本発明の化合物は、そのままの化合物の形態で投与することもできるが、活性成分を、任意選択で生理学的に許容できる塩の形態で、1種又は複数の補助剤、賦形剤、担剤、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の慣用の医薬補助剤と共に医薬組成物に導入することが好ましい。
【0061】
好ましい実施形態では、本発明は、本発明の化合物或いはその薬学的に許容できる塩又は誘導体を、1種又は複数の薬学的に許容できる担剤及び任意選択で、当技術分野で知られていて使用されている他の治療用及び/又は予防用成分と共に含有する医薬組成物を提供する。担剤は、製剤の他の成分と相容性であり、その受容者に有害でないという意味において、「許容でき」なければならない。
【0062】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、鼻、肺、局所(頬及び舌下を含む)、経皮、膣又は非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内、眼内、注射又は注入)投与に適したものであるか、粉末及び液体エアロゾル投与を含む吸入又は通気によるか、持続放出系により投与するために適している形態のものであってよい。持続放出系の適切な例には、本発明の化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態であってよい。
【0063】
したがって、本発明の化合物を、慣用の補助剤、担剤又は希釈剤と共に、医薬組成物及びその単位投与量の形態にすることができる。このような形態には、全て経口使用のためである、固体、特に、錠剤、充填カプセル、粉末及びペレット形態並びに液体、特に、水性又は非水性溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル及びこれらを充填したカプセル、直腸投与のための座薬及び非経口使用のための無菌注射溶液が含まれる。このような医薬組成物及びその単位投与形態は、慣用の割合で慣用の成分を、追加の活性化合物又は成分を伴って、又は伴わずに含んでよく、このような単位投与形態は、使用される意図した1日用量範囲に相応して、適切な有効量の活性成分を含有してよい。
【0064】
本発明の化合物は、幅広い多様な経口及び非経口剤形で投与することができる。次の剤形が、活性成分として、本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容できる塩のいずれかを含有してもよいことは、当業者には明白であろう。
【0065】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するためには、薬学的に許容できる担剤は、固体でも液体でもよい。固体形態製剤には、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、座薬及び分散性顆粒が含まれる。固体担剤は、希釈剤、香料、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化物質としても作用しうる1種又は複数の物質であってよい。
【0066】
粉末では、担剤は、微細な活性成分と混合される微細な固体である。
【0067】
錠剤では、活性成分を、適切な割合で必要な結合能を有する担剤と混合し、所望の形態及びサイズに圧縮する。
【0068】
粉末及び錠剤は好ましくは、5又は10から約70%の活性化合物を含有する。適切な担剤は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバターなどである。「製剤」との用語は、活性成分が担剤と共に、又は担剤を伴わずに、担剤に取り囲まれている、したがって担剤と一緒になってカプセルを提供する、活性化合物と担剤としてのカプセル化物質との処方物を含むこととする。同様に、カシェ剤及びロゼンジも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カシェ剤及びロゼンジを、経口投与に適している固体形態として使用することができる。
【0069】
座薬を調製するために、脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物などの低融点ワックスを初めに溶融させ、攪拌などにより、活性成分をその中に均一に分散させる。溶融している均一な混合物を次いで、簡便なサイズの金型に注ぎ、冷却させて、固化させる。
【0070】
膣投与に適している組成物は、活性成分に加えて、当技術分野で適切であることが知られている担剤を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーとして提供することができる。
【0071】
液体製剤には、溶液、懸濁液及びエマルション、例えば、水又は水−プロピレングリコール溶液が含まれる。例えば、非経口注射液製剤を、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液として処方することができる。
【0072】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与(例えば注射、例えば、ボーラス注射又は連続注入による)のために処方することもできるし、アンプル、予備充填シリンジ、小容量注入又は保存料を加えた多回投与用容器での単位投与形態で提供することもできる。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又はエマルションの形態を取ってもよいし、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含んでもよい。或いは、活性成分は、適切な媒体、例えば、無菌の発熱物質不含水で使用前に構成するために、無菌固体の無菌単離によるか、溶液からの凍結乾燥により得られる粉末形態であってもよい。
【0073】
経口使用に適している水溶液は、活性成分を水に溶かし、所望の適切な着色剤、着香剤、安定化剤及び増粘剤を加えることにより調製することができる。
【0074】
経口使用に適している水性懸濁液は、微細な活性成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又は良く知られている他の懸濁剤などの粘稠性物質と共に水に分散させることにより調製することができる。
【0075】
使用直前に経口投与のために液体形態製剤に変えることを意図した固体形態製剤も含まれる。このような液体形態には、溶液、懸濁液及びエマルションが含まれる。活性成分に加えて、このような製剤は、着色剤、着香剤、安定化剤、緩衝剤、合成及び天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0076】
表皮に局所投与するためには、本発明の化合物を、軟膏、クリーム又はローションとして、又は経皮パッチとして処方することができる。軟膏及びクリームは例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤の添加を伴う水性又は油性ベースで処方することができる。ローションは、水性又は油性ベースで処方することができ、通常、1種又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤又は着色剤を含有する。
【0077】
口中での局所投与に適している組成物には、着香ベース、通常はスクロース及びアラビアゴム又はトラガカントに活性剤を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアゴムなどの不活性ベース中に活性成分を含む香錠;及び適切な液体担剤中に活性成分を含む洗口剤が含まれる。
【0078】
溶液又は懸濁剤を、慣用の手段により、例えば、ドロッパー、ピペット又はスプレーを用いて、鼻腔に直接施与する。組成物は、単回又は多数回用剤形で提供することができる。
【0079】
気道への投与は、活性成分が加圧パック中に、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの適切な噴射剤と共に提供されているエアロゾル処方物を用いて達成することができる。エアロゾルは簡便には、レシチンなどの界面活性剤を含有してもよい。薬物の用量は、計量バルブの規定により制御することができる。
【0080】
或いは、活性成分を、乾燥粉末の形態、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体及びポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末ベース中の化合物の粉末混合物の形態で提供することもできる。簡便には、粉末担剤は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、単位投与形態で、例えば、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジで、或いは吸入により粉末がそれから投与されるブリスターパックで提供することもできる。
【0081】
鼻腔内組成物を含む、気道に投与することを予定されている組成物では、化合物は通常、5ミクロン以下の小さい粒径を有する。このような粒径は、当技術分野で知られている手段により、例えば、超微粉砕により得ることができる。
【0082】
望ましい場合には、活性成分の持続放出を得るために適した組成物を使用することもできる。
【0083】
医薬組成物は好ましくは、単位投与形態である。このような形態では、製剤を、適切な量の活性成分を含む単位用量に細分化する。単位投与形態は、パッケージングされた製剤、個々の量の製剤を含有するパッケージ、例えば、バイアル又はアンプル内にパッケージングされた錠剤、カプセル及び粉末であってよい。さらに、単位投与形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤又はロゼンジ自体であってもよいし、パッケージングされた形の適切な数のこれらのものであってもよい。
【0084】
経口投与のための錠剤又はカプセル並びに静脈内投与及び連続注入のための注入液が、好ましい組成物である。
【0085】
製剤及び投与に関する技術のさらなる詳細は、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)に見ることができる。
【0086】
治療有効量とは、症状又は状態を緩和する活性成分の量を指している。治療的有効性及び毒性、例えば、ED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物での標準的な薬理学的手順により決定することができる。治療効果と毒性効果との用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比により表すことができる。高い治療指数を示す薬剤組成物が好ましい。
【0087】
投与される用量は勿論、治療される個人の年齢、体重及び状態、さらに、投与経路、投与形態及びレジーム並びに所望の結果に慎重に合わせるべきであり、勿論、開業医が正確な用量を決定すべきである。
【0088】
実際の用量は、治療される疾患の性質及び感度に左右され、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を得るために、本発明の特別な状況に用量を調節することにより、変化することがある。しかしながら、現在のところ、各投与当たり活性成分約0.1から約500mg、好ましくは、約1から約100mg、最も好ましくは約1から約10mgを含有する医薬組成物が、治療的処置には適していると考えられている。
【0089】
活性成分を、1日当たり1回又は数回の投与で投与する。場合によって、i.v.で0.1μg/kg、p.o.で1μg/kgの低い用量で、満足できる結果を得ることができる。用量範囲の上限は現在のところ、i.v.で約10mg/kg、p.o.で100mg/kgであると考えられている。好ましい範囲は、i.v.で約0.1μg/kgから約10mg/kg/日、p.o.で約1μg/kgから約100mg/kg/日である。
【0090】
治療法
他の態様では、本発明は、SKチャネルの調節に応答するヒトを含む生体動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法を提供し、この方法は、その必要のあるこのようなヒトを含む生体動物に、有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0091】
現在のところ、適切な用量範囲は、通常は投与の正確な方法、投与形態、投与の対象である適応症、該当する対象、該当する対象の体重、さらに、担当の医師又は獣医師の選択及び経験に応じて、1日0.1から1000ミリグラム、1日10〜500ミリグラム、特に1日30〜100ミリグラムであると考えられている。
【実施例】
【0092】
さらに本発明を、次の実施例を参照しつつ詳述するが、これは、請求されている本発明の範囲を限定するものではない。
【0093】
一般: 手順は、本発明の化合物を調製するために使用される一般的な手順を示している。次の略語を使用する:
Ac:アセチル
DMSO:ジメチルスルホキシド
Et:エチル
mp:融点
MW:マイクロ波
rt:室温
THF:テトラヒドロフラン。
【0094】
手順A
2−クロロベンズイミダゾール及び必要なアミン(市販又は手順Bを介して調製)を密閉バイアル内でアセトニトリルに懸濁させ、マイクロ波(MW)照射を使用して、150〜200℃で15〜30分間加熱した。室温まで冷却した後に、沈殿した固体を濾別し、CHCN/MeOHの混合物から再結晶させると、HCl塩として所望の生成物が得られた。或いは、反応混合物からの沈殿物を、カラムクロマトグラフィーにより、又は分取LCMSにより精製すると、所望のN−置換2−アミノベンズイミダゾールが親化合物として得られた。
【0095】
手順A、N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ビス(4−クロロフェニル)エチルアミンの調製の例をスキーム1に示す。
【化7】

【0096】
手順B
ケトン又はアルデヒドのMeOH溶液に、O−メチルヒドロキシルアミンHClを加え、一晩攪拌した。水を加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空濃縮した。粗製オキシムを、無水THFに溶かし、ボランのTHF溶液に滴加した。N下、室温で30分間攪拌した後に、反応混合物を60℃に加熱し、一晩攪拌し、続いて、室温まで冷却した。1MのNaOH水溶液を加え、混合物を60℃に1時間加熱した。NaHCO水溶液を加え、溶液をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空濃縮すると、所望のアミンが得られ、これを、手順Aに記載されているように使用した。このアミンを、精製することなく使用するか、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0097】
手順B、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−エチルアミンの調製の例を、スキーム2に示す。
【化8】

【0098】
手順C
2−アミノベンズイミダゾール及び各アルデヒドのCHCN溶液に、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム及び触媒量のAcOHを加えた。反応混合物をMW照射により100℃で30分間加熱した。NaHCO水溶液を加え、混合物を攪拌し、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空濃縮し、分取LCMSにより精製すると、所望のN−置換2−アミノベンズイミダゾールが親化合物として得られた。
【0099】
手順C、N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフェニルエチルアミンの調製例をスキーム3に示す。
【化9】

【0100】
手順D
イソチオシアネート(対応するアミンとチオホスゲンとを反応させることにより調製)及び適切に置換されているフェニレンジアミンからなる無水ジクロロメタン中の混合物を室温で一晩攪拌し、乾燥するまで蒸発させた。次いで、生じたチオ尿素を、例えばカラムクロマトグラフィーにより精製するか、粗製物質のままさらに反応させた。次いで、チオ尿素をTHFに溶かし、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカップリング試薬を加え、環流温度で一晩攪拌した。NaHCO水溶液を加え、溶液をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空濃縮すると、粗製の2−アミノベンズイミダゾールが得られ、これを次いで、カラムクロマトグラフィー又は分取LCMSにより精製した。
【0101】
手順D、N−[5,7−ビス(トリフルオロメチル)−ベンズイミダゾール−2−イル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンの調製の例をスキーム4に示す。
【化10】

【0102】
(実施例1)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフェニルエチルアミン
表題の化合物を、手順Cにより2−アミノベンズイミダゾール及び2,2−ジフェニル−アセトアルデヒドから、或いは、手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び2,2−ジフェニルエチルアミンから調製した。後者のケースでは、粗製生成物をEtOAc/MeOHからの再結晶化により精製し、HCl塩(白色の固体、融点153.5〜154.5℃)として単離した。
【化11】

【0103】
(実施例2)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ビス(4−フルオロフェニル)エチルアミン
表題の化合物を、手順Aにより(170℃で20分)、2−クロロベンズイミダゾール及び2,2−ビス(4−フルオロフェニル)エチルアミン(2,2−ビス(4−フルオロフェニル)アセトアルデヒドから手順Bにより調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基(白色の固体、融点155〜157℃)として得られた。
【化12】

【0104】
(実施例3)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ビス(4−クロロフェニル)エチルアミン
表題の化合物を、手順A(170℃で20分)により、2−クロロベンズイミダゾール及び2,2−ビス(4−クロロフェニル)エチルアミン(手順Bにより2,2−ビス(4−クロロ−フェニル)アセトアルデヒドから調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基(白色の固体、融点189〜190℃)として得られた。
【化13】

【0105】
(実施例4)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,3−ジフェニルプロピルアミン
表題の化合物を、手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び3,3−ジフェニル−プロピルアミンから調製した。反応混合物に希HCl水溶液及びCHClを加えた。CHCl相から、沈殿物を濾過により単離すると、表題の化合物がそのHCl塩(融点136.5〜137.5℃)として純粋な形態で得られた。
【化14】

【0106】
(実施例5)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−インダニルアミン
表題の化合物を、手順A(200℃で15分)により2−クロロベンズイミダゾール及びラセミ体1−アミノインダンから調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物として(白色の固体、融点195.5〜197℃)得られた。
【化15】

【0107】
(実施例6)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−インダニルアミン
表題の化合物を、手順A(150℃で15分)により2−クロロベンズイミダゾール及び2−アミノインダンから調製した。生成物を分取lCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基(白色の固体、融点246〜249℃)として得られた。
【化16】

【0108】
(実施例7)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−フルオロ−1−インダニルアミン
表題の化合物を、手順A(170℃で30分間)により2−クロロベンズイミダゾール及びラセミ体1−アミノ−5−ブロモインダン(手順Bにより5−フルオロ−1−インダノンから調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基として、さらに鏡像異性体の混合物として(白色の固体、融点207〜208℃)得られた。
【化17】

【0109】
(実施例8)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−クロロ−1−インダニルアミン
表題の化合物を手順A(170℃で30分)により2−クロロベンズイミダゾール及びラセミ体1−アミノ−5−クロロインダン(手順Bにより5−クロロ−1−インダノンから調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物として(白色の固体、融点242〜243℃)得られた。
【化18】

【0110】
(実施例9)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−ブロモ−1−インダニルアミン
表題の化合物を、手順A(170℃で30分)により2−クロロベンズイミダゾール及びラセミ体1−アミノ−5−ブロモインダン(手順Bにより5−ブロモ−1−インダノンから調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物として(白色の固体、融点242〜243℃)得られた。
【化19】

【0111】
(実施例10)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順A(170℃で10分、次いで200℃で15分)により2−クロロベンズイミダゾール及びラセミ体1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンから調製した。生成物を分取LSCMにより粗製反応混合物から単離すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物として(白色の固体、融点230〜234℃)得られた。
【化20】

【0112】
(実施例11)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)ベンズヒドリルアミン
表題の化合物を手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及びベンズヒドリルアミンから調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基(白色の固体、融点255〜258℃)として得られた。
【化21】

【0113】
(実施例12)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロベンズヒドリルアミン
表題の化合物を手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び4−クロロベンズヒドリルアミンから調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基(白色の固体、融点180〜184℃)として得られた。
【化22】

【0114】
(実施例13)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4,4’−ジクロロベンズヒドリルアミン
表題の化合物を手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び4,4’−ジクロロベンズヒドリルアミン(手順Bにより4,4’−ジクロロベンゾフェノンから調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基(白色の固体、融点176〜180℃)として得られた。
【化23】

【0115】
(実施例14)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4,4’−ジフルオロベンズヒドリルアミン
表題の化合物を手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び4,4’−ジフルオロベンズヒドリルアミン(手順Bにより4,4’−ジフルオロベンゾフェノンから調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基(白色の固体、融点241〜243)として得られた。
【化24】

【0116】
(実施例15)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イルアミン
表題の化合物を、手順A(トルエン中で2日間環流)により2−クロロベンズイミダゾール及びラセミ体6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イルアミン(手順Bにより1−ベンゾスベロンから調製)から調製した。生成物を反応混合物から分取LCMSにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物として(白色の固体、融点203〜205℃)得られた。
【化25】

【0117】
(実施例16)
(R)−N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順A(170℃で40分)により2−クロロベンズイミダゾール及び(R)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンから調製した。生成物を濾別し、アセトニトリルで洗浄すると、表題の化合物がHCl塩(白色の固体、融点264〜265℃)として得られた。MS(ES)m/z264([M+1]、100)。
【0118】
(実施例17)
(S)−N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順A(トルエン中で2日間環流)により2−クロロベンズイミダゾール及び(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミンから調製した。生成物を分取LCMSにより精製し、HClを加え、HCl塩(白色の固体、融点257〜258℃)として単離した。MS(ES)m/z264([M+1]、100)。
【0119】
(実施例18)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(手順Bにより2−メチル−1−テトラロンから調製)から調製した。生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離すると、表題の化合物が遊離塩基として、立体異性体の混合物(白色の固体、融点256〜257℃)として得られた。MS(ES)m/z278([M+1]、100)。
【0120】
(実施例19)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順A(170℃で60分、次いで200℃で20分)により2−クロロベンズイミダゾール及び5,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(手順Bにより5,7−ジメチル−1−テトラロンから調製)から調製した。生成物を再結晶化により精製すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物(白色の固体、融点250〜252℃)として得られた。MS(ES)m/z292([M+1]、100)。
【0121】
(実施例20)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(手順Bにより4−メチル−1−テトラロンから調製)から調製した。生成物を再結晶化により単離すると、表題の化合物がHCl塩として、立体異性体の混合物(白色の固体、融点276℃)として得られた。MS(ES)m/z278([M+1]、100)。
【0122】
(実施例21)
N−[5,7−ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミダゾール−2−イル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Dにより3,5−ビス(トリフルオロメチル)−1,2−ジアミノベンゼン及び1−イソチオシアナト−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンから調製した。表題の化合物は、カラムクロマトグラフィーにより遊離塩基及び鏡像異性体の混合物(固体、>240℃で分解)として単離された。MS(ES)m/z400([M+1]、100)。
【0123】
(実施例22)
(R)−N−(5−メチルベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Dにより3,4−ジアミノトルエン及び(R)−1−イソチオシアナト−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンから調製した。表題の化合物は、カラムクロマトグラフィーにより遊離塩基(オフホワイト色の固体、融点91〜93℃)として単離された。MS(ES)m/z278([M+1]、100)。
【0124】
(実施例23)
(R)−N−(5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Dにより4,5−ジメチルフェニレンジアミン及び(R)−1−イソチオシアナト−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンから調製した。表題の化合物は、カラムクロマトグラフィーにより遊離塩基(固体、融点121〜124℃)として単離された。MS(ES)m/z292([M+1]、100)。
【0125】
(実施例24)
N−(5−フルオロベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Dにより4−フルオロフェニレンジアミン及び1−イソチオシアナト−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンから調製した。表題の化合物は、カラムクロマトグラフィーにより遊離塩基として、鏡像異性体の混合物(固体、融点220〜221℃)として単離された。MS(ES)m/z282([M+1]、100)。
【0126】
(実施例25)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(手順Bにより7−クロロ−1−テトラロンから調製)から調製した。生成物を分取LCMSにより精製すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物(白色の固体)として得られた。
【化26】

【0127】
(実施例26)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン
表題の化合物を、手順Aにより2−クロロベンズイミダゾール及び7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(手順Bにより7−フルオロ−1−テトラロンから調製)から調製した。生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製すると、表題の化合物が遊離塩基として、鏡像異性体の混合物(白色の固体、融点181℃)として得られた。MS(ES)m/z282([M+1]、100)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの2−アミノベンズイミダゾール誘導体或いは任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物或いはそれらの薬学的に許容できる塩:
【化1】


[式中、
は、水素又はアルキルを表し;
は、水素、アルキル又はアルコキシを表し;
は、
【化2】


から選択される環含有基を表し、ここで、
mは、0、1又は2であり;
nは、0、1、2、3又は4であり;
の環は互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよく;
及びRは互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から選択される]。
【請求項2】
は水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は水素を表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
は、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基を表し、ここで、
前記環は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
は、インダニル基を表し、ここで、
前記芳香族成分は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
は、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテニル基であり、ここで、
前記環は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
は、
【化3】


を表し、ここで、
前記2個のフェニル環は互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル及びアルコキシからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されていてもよい、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
及びRは水素を表す、請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ジフェニルエチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ビス(4−フルオロフェニル)エチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,2−ビス(4−クロロフェニル)エチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,3−ジフェニルプロピルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−フルオロ−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−クロロ−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5−ブロモ−1−インダニルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)ベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4,4’−ジクロロベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4,4’−ジフルオロベンズヒドリルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾシクロヘプテン−5−イルアミン;
(R)−N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
(S)−N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−5,7−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−[5,7−ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミダゾール−2−イル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
(R)−N−(5−メチルベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
(R)−N−(5,6−ジメチルベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(5−フルオロベンズイミダゾール−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−7−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン;
であるか、それらの薬学的に許容できる塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
治療的有効量の請求項1から9までのいずれか一項に記載の化合物或いはその異性体又は任意のその異性体の混合物或いはそれらの薬学的に許容できる塩と共に、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体、賦形剤又は希釈剤を含有する医薬組成物。
【請求項11】
医薬品を製造するための、請求項1から9までのいずれか一項に記載の化合物或いは任意のその異性体又は任意のその異性体の混合物或いはそれらの薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項12】
ヒトを含む哺乳動物の、SKチャネルの調節に応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和するための医薬組成物を製造するための請求項11に記載の使用。
【請求項13】
SKチャネルの調節に応答する前記疾患、障害又は状態は、アブサンス発作、加齢性記憶損失、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、失調、注意欠陥、脱毛、双極性障害、膀胱過興奮、膀胱流出閉塞症、膀胱痙攣、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心血管障害、認識機能障害、大腸炎、便秘、痙攣、冠状動脈痙攣、冠状動脈性心疾患、嚢胞性線維症、認知症、鬱病、II型糖尿病、月経困難症、てんかん、胃腸機能障害、胃食道逆流障害、胃腸低運動障害、胃腸運動不全、難聴、インスリン過剰血症、高血圧、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性疼痛、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習欠陥、男子勃起機能不全、躁鬱病、記憶不全、偏頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、ミオキミア、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性筋ジストロフィー、睡眠発作、神経障害性疼痛、疼痛、パーキンソン病、腎嚢胞、術後腸閉塞、早産、精神病、精神病性障害、腎臓障害、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シェーグレン症候群、睡眠無呼吸、痙縮、睡眠障害、脳卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、輸尿障害、血管痙攣、視力損失又は口内乾燥である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
ヒトを含む生体動物の、SKチャネルの調節に応答する疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、治療的有効量の請求項1から9までのいずれか一項に記載の化合物或いはその異性体又はその異性体の混合物或いはそれらの薬学的に許容できる塩をその必要のある生体動物に投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2008−509111(P2008−509111A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524345(P2007−524345)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053792
【国際公開番号】WO2006/013210
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】