2値化回路
【課題】 入力信号を2値化する2値化回路を提供する。
【解決方法】 2値化回路10は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と第2出力端子28と判定クロック端子27とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130を備えている。出力信号生成回路120は、入力端子20に入力される入力信号が短周期で変化する稼動期間に、ピークホールド値減少信号をピークホールド回路30に出力し、ボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路40に出力する。補償信号生成回路130は、入力信号が短周期で変化しない停止期間に、補償信号をピークホールド回路30とボトムホールド回路40に出力する。これによって、入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化することができる。
【解決方法】 2値化回路10は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と第2出力端子28と判定クロック端子27とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130を備えている。出力信号生成回路120は、入力端子20に入力される入力信号が短周期で変化する稼動期間に、ピークホールド値減少信号をピークホールド回路30に出力し、ボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路40に出力する。補償信号生成回路130は、入力信号が短周期で変化しない停止期間に、補償信号をピークホールド回路30とボトムホールド回路40に出力する。これによって、入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間に対して変化する入力信号を2値化する2値化回路に関する。
【背景技術】
【0002】
状態変化に追従して時間的に変化する入力信号を測定し、測定した入力信号の変化から、実際に生じている状態変化を検出したい局面が多く存在する。このような局面では、ピークホールド回路とボトムホールド回路等のホールド回路を利用し、測定した入力信号のピーク電圧とボトム電圧を検出する。
例えば、磁気センサ等を利用して回転体の回転数及び回転角を測定する技術が実用化されている。この技術では、回転体が磁性体で形成されており、その回転体の外周面に山部と谷部が周方向に交互に形成されている。また、磁気センサが、回転体の外周面に向かい合う位置に配置されている。回転体が回転すると、磁気センサに生じる電圧(入力信号)が、磁気センサに向かい合う位置を山部と谷部が交互に通過するのに追従して時間的に変化する。磁気センサで検出された入力信号を、例えば入力信号のピーク電圧とボトム電圧の中間値を求め、その中間値を閾値電圧に利用して測定電圧を2値化すると、その2値化信号(2値化出力と呼ぶこともある)から回転体の回転数及び回転角を検出することができる。回転体の回転数及び回転角を正確に検出するためには、入力信号のピーク電圧とボトム電圧の双方を正確に測定する技術が必要とされる。
【0003】
入力信号の中には、短周期で変化する電圧に長周期で変化する電圧が重畳していることがある。上記の例の場合、回転体の回転に追従して短周期で変化する電圧に、環境温度の変化やロータの偏心に起因して長周期で変化する電圧が重畳した入力信号を検出する場合がある。
図13(a)は、長周期で変化する電圧が低下傾向にある時に測定される入力信号を例示している。この場合、短周期で変化する入力信号のピーク電圧を検出する必要がある。
図13(b)は、長周期で変化する電圧が上昇傾向にある時に測定される入力信号を例示している。この場合でも、短周期で変化する入力信号のボトム電圧を検出する必要がある。
図13(a)の場合、単純なピークホールド回路を用いると、破線で示すピーク電圧Vp’を検出していまい、短周期で変化する入力信号のピーク電圧を検出することができない。図13(b)の場合、単純なボトムホールド回路を用いると、破線で示すボトム電圧Vb’を検出していまい、短周期で変化する入力信号のボトム電圧を検出することができない。
【0004】
特許文献1に、入力信号の各々のピーク電圧と入力信号の各々のボトム電圧の双方を適切に検出する補償技術が開示されている。
特許文献1のピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加させる。また、第1記憶回路は、外部から入力されるクロック信号の入力に同期して記憶値を減少させる。特許文献1のボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少させる。また、第2記憶回路は、外部から入力されるクロック信号の入力に同期して記憶値を増加させる。
【0005】
特許文献1の補償技術では、外部から入力されるクロック信号に基づいて第1記憶回路と第2記憶回路の記憶値を変化させて補償を行う。すなわち、図13(a)に実線で示すように、長周期で変化する電圧が低下傾向にある場合には、第1記憶回路の記憶値を減少させて、短周期で変化する入力電圧のピーク電圧の下降に備える。これによって、ピークホールド回路で保持される電圧をピーク電圧の低下に合せて減少させることができる。
同様に、図13(b)に実線で示すように、長周期で変化する電圧が上昇傾向にある場合には、第2記憶回路の記憶値を増加させて、短周期で変化する入力電圧のボトム電圧の上昇に備える。これによって、ボトムホールド回路で保持される電圧をボトム電圧の上昇に合せて増加させることができる。
【0006】
入力信号の周期は、回転体の回転速度に応じて変化する。そのため、ピークホールド回路やボトムホールド回路に入力されるクロック信号は、入力信号に同期して補償することが好ましい。そのために有用な補償技術を、本出願人らが出願した。その技術内容は、特願2008−244369号に添付されている明細書と図面に開示されている。ただしこの出願は、本出願の出願時点ではまだ未公開である。
上記の補償技術では、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値Vrefを用いて、入力信号が中間閾値Vrefを超えて上昇した場合と入力信号が中間閾値Vrefを超えて下降した場合に反転する2値化信号を出力する。上記の技術ではさらに、第1記憶回路の記憶値と中間閾値Vrefの中間電圧である高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと第2記憶回路の記憶値の中間電圧である低側オフセット閾値Vdを用いて、入力信号が高側オフセット閾値Vuを超えて上昇した場合と入力信号が低側オフセット閾値Vdを超えて下降した場合に反転する遅れ2値化信号を出力する。
特願2008−244369号に添付されている明細書と図面に開示されている技術(以後、技術文献1と呼ぶ)では、遅れ2値化信号に同期したクロック信号をピークホールド回路やボトムホールド回路に入力する。この技術によれば、ピークホールド回路やボトムホールド回路に入力するクロック信号を入力信号に同期して補償させることができ、入力信号を適切に2値化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−178498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術と技術文献1の技術は非常に有用・有益であり、各種の用途に応用できる。しかし、2値化信号が短周期で変化する回転体の稼動期間と2値化信号が短周期で変化しない回転体の停止期間で、同一の補償技術を用いると入力信号を適切に2値化することができない場合が存在する。
【0009】
(稼動期間で入力信号を適切に2値化することができない場合の説明)
図14に、稼動期間における入力信号の一例を示す。図14に示すように、稼動期間に長周期で変化しない入力信号が入力されている場合、特許文献1の技術を用いると、中間閾値Vrefが図14に点線で示す入力信号のピーク電圧Vpとボトム電圧Vbの中間値である基準電圧Vmからずれてしまう場合がある。そのため、中間閾値Vrefを用いて入力信号を2値化した2値化信号が、図14に点線で示す基準電圧Vmを用いて入力信号を2値化した2値化信号からずれてしまい、中間閾値Vrefを用いて入力信号を適切に2値化することができない。特許文献1の技術を用いた場合、停止後の稼動時に入力信号を2値化することができるが、入力信号を適切に2値化することができない場合がある。
【0010】
(停止後の稼動期間で入力信号を適切に2値化することができない場合の説明)
また、図16に、稼動後、停止、再稼動した場合の入力信号の一例を示す。停止期間では、周辺温度がT1℃からT2℃へと上昇するのに伴って、入力信号が上昇する場合がある。このような場合、入力信号が低側オフセット閾値Vdを越えて低下することがない。そのため、技術文献1の技術を用いたとしても、第2記憶回路の記憶値を入力信号の上昇に合わせて上昇させることができない。停止期間から再び稼動期間に移行した際に、入力信号を適切に2値化することができない。このように、稼動期間では技術文献1の技術を用いて入力信号を適切に2値化することができる場合でも、停止期間から再び稼動期間に移行した際に同一の技術を用いて入力信号を適切に2値化することができない場合がある。
【0011】
以上のように、稼動期間と停止期間で同一の補償技術を用いると、入力信号を適切に2値化することができない場合が存在する。入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化する技術が切望される。
【0012】
本発明は上記の課題を解決する。すなわち本発明は、入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、所定時間に2値化出力が反転するか否かに基づいて稼動期間と停止期間と判断するとともに、この判断に基づいて補償方法を切換えることで、入力信号の状態に応じて入力信号を適切に2値化することに成功した。
本発明は、時間に対して変動する入力信号を2値化する2値化回路に具現化される。2値化回路は、ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路と、補償信号生成回路を備えている。
ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第1記憶回路の記憶値を変更し、第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減算し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第2記憶回路の記憶値を変更し、第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
出力信号生成回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化する。
補償信号生成回路は、所定期間内に2値化出力が反転する場合と反転しない場合で切換わる補償信号を出力する。
【0014】
本発明の補正信号生成回路では、所定時間内に2値化出力が反転する場合は稼動期間と判断し、反転しない場合は停止期間と判断する。また、本発明の補正信号生成回路では、この判断に基づいて補償信号を出力し、補償信号に基づいてピークホールド回路とボトムホールド回路内に記憶されている記憶値の補償方法を切換える。
本発明によれば、それぞれの期間に応じて補償方法を切換えることができる。そのため、適切な補償方法を用いて記憶値を補償することができ、適切に補償された記憶値から算出された閾値を用いて入力信号を2値化することができる。これによって、入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化することができる。
【0015】
本発明の2値化回路は、下記のように表すことができる。本発明の2値化回路は、入力信号を入力する入力端子と、第1出力信号を出力する第1出力端子と、第2出力信号を出力する第2出力端子と、判定クロック信号を入力する判定クロック端子と、補償信号生成回路と、ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路を備えている。
ピークホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されている。また、ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、少なくとも下記の4つの動作を実行する。
(1)第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加する。
(2)出力信号生成回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第1所定値を減算する。
(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第2所定値を減算する。
(4)第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
【0016】
ボトムホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されている。また、ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、少なくとも下記の4つの動作を実行する。
(1)第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少する。
(2)出力信号生成回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第3所定値を加算する。
(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第4所定値を加算する。
(4)第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
【0017】
出力信号生成回路は、入力端子と第1出力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されている。出力信号生成回路は、少なくとも下記の4つの動作を実行する。
(1)第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化した第1出力信号を第1出力端子に出力する。
(2)第1出力信号に対して所定位相遅れた第2出力信号を第2出力端子に出力する。
(3)第2出力信号が一方の状態から他方の状態に反転した時にピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力する。
(4)第2出力信号が他方の状態から一方の状態に反転した時にボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力する。
【0018】
補償信号生成回路は、第1出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されている。補償信号生成回路は、所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に補償信号をピークホールド回路とボトムホールド回路に出力する。
【0019】
本発明の出力信号生成回路では、入力信号が短周期で変化した場合に、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて第1出力信号が短周期に反転する。また、第1出力信号の反転に伴って第2出力信号が反転する。つまり、入力信号が短周期で変化した場合に第2出力信号が反転する。第2出力信号が反転すると、出力信号生成回路からピークホールド回路にピークホールド値減少信号が出力され、第1記憶回路の記憶値が減少する。また、出力信号生成回路からボトムホールド回路にボトムホールド値増加信号が出力され、第2記憶回路の記憶値が増加する。
【0020】
その一方、補償信号生成回路では、第1出力信号が短周期に反転しない場合に、補償信号が出力される。つまり、入力信号が短周期で変化しない場合に補償信号が出力される。補償信号生成回路からピークホールド回路に補償信号が出力されると、第1記憶回路の記憶値が減少する。また、補償信号生成回路からボトムホールド回路に補償信号が出力されると、第2記憶回路の記憶値が増加する。
【0021】
本発明によれば、入力信号の状態に関わらず第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値を適切に2値化させることができる。これによって、稼動期間及び停止期間における入力信号を適切に2値化することができる。
【0022】
上記の2値化回路は、判定クロック端子を更に備えていることが好ましい。判定クロック端子は、判定クロック信号が入力されるとともに、補償信号生成回路に接続されている。補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に、補償信号を出力する。
本発明によれば、第1出力信号が反転しているか否かを判定する所定期間を、判定クロック信号を用いて設定することができる。
【0023】
上記の2値化回路は、補償クロック端子を更に備えていることが好ましい。補償クロック端子は、補償クロック信号が入力されるとともに、補償信号生成回路に接続されている。補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に、補償クロック信号に同期した補償信号をピークホールド回路とボトムホールド回路に出力する。
本発明によれば、補償信号の周期を、補償クロック信号を用いて設定することができる。
【0024】
上記した2値化回路では、出力信号生成回路が閾値演算回路と第1比較回路と第2比較回路と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路と第4選択回路を備えていることが好ましい。
閾値演算回路は、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されている。閾値演算回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算する。閾値演算回路は、演算した中間閾値と高側オフセット閾値を第1比較回路に出力し、演算した中間閾値と低側オフセット閾値を第2比較回路に出力する。
第1比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路に接続されている。第1比較回路は、入力端子の電圧が中間閾値を下回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転する信号を出力する。
第2比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第4選択回路に接続されている。第2比較回路は、入力端子の電圧が中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する信号を出力する。
第1選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第1出力端子に接続されている。第1選択回路は、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った後に中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った後に中間閾値を下回った時に反転する第1出力信号を第1出力端子に出力する。
第2選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第2出力端子に接続されている。第2選択回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する第2出力信号を第2出力端子に出力する。
第3選択回路は、第1比較回路とピークホールド回路に接続されている。第3選択回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力する。
第4選択回路は、第2比較回路とボトムホールド回路に接続されている。第4選択回路は、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力する。
本発明によれば、第1出力信号に対して遅れた第2出力信号を生成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、入力信号の状態に関わらず、入力信号を適切に2値化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】2値化回路10の回路図を示す。
【図2】ピークホールド回路30の回路図を示す。
【図3】ボトムホールド回路40の回路図を示す。
【図4】出力信号生成回路120の回路図を示す。
【図5】出力信号生成回路120の動作を説明する図である。
【図6】補償信号生成回路130の回路図を示す。
【図7】補償信号生成回路130の動作を説明する図である。
【図8】2値化回路10のフローチャートを示す図である。
【図9】2値化回路10のタイムチャートを示す図である。
【図10】2値化回路210の回路図を示す。
【図11】停止判定回路222の回路図を示す。
【図12】本実施例の2値化回路の別実施例の回路図を示す。
【図13】ピークホールド回路とボトムホールド回路の問題を示す図である。
【図14】従来技術の問題点を説明する図である。
【図15】本発明の効果を説明する図である。
【図16】従来技術の問題点を説明する図である。
【図17】本発明の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に説明する実施例の主要な特徴を最初に整理する。
(特徴1)ピークホールド回路は、コンパレータ回路と、ピークカウンタ回路と、D/A変換回路を備えている。
(特徴2)ボトムホールド回路は、コンパレータ回路と、ボトムカウンタ回路と、D/A変換回路を備えている。
(特徴3)ピークホールド回路は、リセット信号が入力される端子を備えている。ピークホールド回路にリセット信号が入力されると、第1記憶回路の記憶値が初期化される。
(特徴4)ボトムホールド回路は、リセット信号が入力される端子を備えている。ボトムホールド回路にリセット信号が入力されると、第2記憶回路の記憶値が初期化される。
(特徴5)ピークホールド回路は、基本クロック信号が入力される端子を備えている。第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い場合に、ピークホールド回路は基本クロック信号に同期して第1記憶回路の記憶値を増加させる。
(特徴6)ボトムホールド回路は、基本クロック信号が入力される端子を備えている。第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い場合に、ボトムホールド回路は基本クロック信号に同期して第2記憶回路の記憶値を減少させる。
【実施例1】
【0028】
図1に、2値化回路10を示す。2値化回路10は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と第2出力端子28と判定クロック端子27とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130を備えている。
【0029】
入力端子20は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と出力信号生成回路120に接続されており、例えば磁気センサなどの外部回路(図示されていない)から入力電圧が入力されている。
基本クロック端子22は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と補償信号生成回路130に接続されており、外部回路(図示されていない)から第1所定時間の間隔で変化する基本クロック信号が入力されている。
リセット端子24は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と補償信号生成回路130に接続されており、外部回路(図示されていない)からリセット信号が入力されている。
判定クロック端子27は、補償信号生成回路130に接続されており、外部回路(図示されていない)から第2所定時間の間隔で変化する判定クロック信号が入力されている。
【0030】
ピークホールド回路30は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130に接続されている。図2にピークホールド回路30の具体的な構成を示す。ピークホールド回路30は、コンパレータ31と、AND回路32と、カウンタ回路33と、D/A変換回路34を備えている。コンパレータ31の非反転入力端子31aが入力端子20に接続されている。コンパレータ31の反転入力端子31bがD/A変換回路34の出力端子34aに接続されている。コンパレータ31の出力端子31cがAND回路32の一方の入力端子32aに接続されている。AND回路32の他方の入力端子32bが基本クロック端子22に接続されている。AND回路32の出力端子32cがカウンタ回路33のUP用入力端子33bに接続されている。カウンタ回路33の第1DOWN用入力端子33cが出力信号生成回路120に接続されている。カウンタ回路33の第2DOWN用入力端子33dが補償信号生成回路130に接続されている。カウンタ回路33のリセット(RES)用入力端子33aがリセット端子24に接続されている。カウンタ回路33はD/A変換回路34に接続されている。D/A変換回路34の出力端子34aはコンパレータ31の反転入力端子31bに接続されているとともに、出力信号生成回路120に接続されている。
【0031】
ピークホールド回路30では、コンパレータ31の非反転入力端子31aに入力される電圧(入力信号の電圧)が、反転入力端子31bに入力されるピークホールド回路30の電圧(すなわちピークホールド回路30の記憶値)よりも高い場合に、出力端子31cの電圧がハイとなる。コンパレータ31の出力端子31cの電圧がハイのときは、基本クロック信号に同期した出力信号がAND回路32の出力端子32cからカウンタ回路33のUP用入力端子33bに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路33に記憶されているカウンタ値が増加する。即ち、カウンタ回路33が第1記憶回路に相当し、カウンタ回路33に記憶されているカウンタ値が第1記憶回路の記憶値に相当する。また、カウンタ回路33では、出力信号生成回路120からの信号がカウンタ回路33の第1DOWN用入力端子33cに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が第1所定値だけ減少する。また、補償信号生成回路130からの信号がカウンタ回路33の第2DOWN用入力端子33dに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が第2所定値だけ減少する。また、カウンタ回路33では、リセット端子24からリセット信号がカウンタ回路33のRES用入力端子33aに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が初期値へとリセットされる。D/A変換回路34は、カウンタ回路33のカウンタ値を読み込み、このカウンタ値に対応するピーク電圧を生成し、このピーク電圧を出力端子34aから出力信号生成回路120に出力する。
【0032】
ピークホールド回路30では、出力信号生成回路120と補償信号生成回路130からの信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を減少する。そのため、入力電圧が短周期の変動成分とともに長周期の変動成分を含んでおり、これによって入力電圧のピーク電圧が緩慢に減少していく場合でも、短周期で変化するピーク電圧をピークホールド回路30に記憶することができる。具体的には、後述する出力信号生成回路120からのピークホールド値減少信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を第1所定値だけ減少させ、補償信号生成回路130からの補償信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を第2所定値だけ減少させる。
また後述するように、入力電圧が短周期で変化する場合に、ピークホールド値減少信号が入力され、入力電圧が短周期で変化しない場合に、補償信号が入力される。そのため、ピークホールド回路30では、入力電圧の状態に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を減少させる信号が切換えられる。
【0033】
ボトムホールド回路40は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130に接続されている。図3にボトムホールド回路40の具体的な構成を示す。ボトムホールド回路40は、コンパレータ41と、AND回路42と、カウンタ回路43と、D/A変換回路44を備えている。コンパレータ41の反転入力端子41bが入力端子20に接続されている。コンパレータ41の非反転入力端子41aがD/A変換回路44の出力端子44aに接続されている。コンパレータ41の出力端子41cがAND回路42の一方の入力端子42aに接続されている。AND回路42の他方の入力端子42bが基本クロック端子22に接続されている。AND回路42の出力端子42cがカウンタ回路43のDOWN用入力端子43bに接続されている。カウンタ回路43の第1UP用入力端子43cが出力信号生成回路120に接続されている。カウンタ回路43の第2UP用入力端子43dが補償信号生成回路130に接続されている。カウンタ回路43のリセット(RES)用入力端子43aがリセット端子24に接続されている。カウンタ回路43はD/A変換回路44に接続されている。D/A変換回路44の出力端子44aはコンパレータ41の非反転入力端子41aに接続されているとともに、出力信号生成回路120に接続されている。
【0034】
ボトムホールド回路40では、コンパレータ41の反転入力端子41bに入力される電圧(入力信号の電圧)が、非反転入力端子41aに入力されるボトムホールド回路40の電圧(すなわちボトムホールド回路40の記憶値)よりも低い場合に、出力端子41cの電圧がハイとなる。コンパレータ41の出力端子41cの電圧がハイのときは、基本クロック信号に同期した出力信号がAND回路42の出力端子42cからカウンタ回路43のDOWN用入力端子43bに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路43に記憶されているカウンタ値が減少する。即ち、カウンタ回路43が第2記憶回路に相当し、カウンタ回路43に記憶されているカウンタ値が第2記憶回路の記憶値に相当する。また、カウンタ回路43では、出力信号生成回路120からの信号がカウンタ回路43の第1UP用入力端子43cに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が第3所定値だけ増加する。また、補償信号生成回路130からの信号がカウンタ回路43の第2UP用入力端子43dに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が第4所定値だけ増加する。また、カウンタ回路43では、リセット端子24からリセット信号がカウンタ回路43のRES用入力端子43aに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が初期値へリセットされる。D/A変換回路44は、カウンタ回路43のカウンタ値を読み込み、このカウンタ値に対応するボトム電圧を生成し、このボトム電圧を出力端子44aから出力信号生成回路120に出力する。
【0035】
ボトムホールド回路40では、出力信号生成回路120と補償信号生成回路130からの信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値を増加する。そのため、入力電圧が短周期の変動成分とともに長周期の変動成分を含んでおり、これによって入力電圧のボトム電圧が緩慢に増加していく場合でも、短周期で変化するボトム電圧をボトムホールド回路40に記憶することができる。具体的には、後述する出力信号生成回路120からのボトムホールド値増加信号に伴ってカウンタ回路43のカウント値を第3所定値だけ増加させ、補償信号生成回路130からの補償信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値を第4所定値だけ増加させる。
また後述するように、入力電圧が短周期で変化する場合に、ボトムホールド値増加信号が入力され、入力電圧が短周期で変化しない場合に、補償信号が入力される。ボトムホールド回路40では、入力電圧の状態に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値を増加させる信号が切換えられる。
【0036】
出力信号生成回路120は、入力端子20と第1出力端子26と第2出力端子28とピークホールド回路30とボトムホールド回路40に接続されている。図4に出力信号生成回路120の具体的な構成を示す。出力信号生成回路120は、閾値演算回路50と第1比較回路60と第2比較回路70と第1選択回路80と第2選択回路90と第3選択回路100と第4選択回路110を備えている。
【0037】
閾値演算回路50は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と第1比較回路60と第2比較回路70に接続されている。図4の左側に、閾値演算回路50の具体的な構成を示す。図4に示すように、閾値演算回路50では、ピークホールド回路30との接続端子51とボトムホールド回路40との接続端子55の間に、4つの抵抗R1〜R4がこの順に直列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2の間に、第1接続端子52が形成されている。抵抗R2と抵抗R3の間に、第2接続端子53が形成されている。抵抗R3と抵抗R4の間に、第3接続端子54が形成されている。
抵抗R1〜R4の抵抗値は同一である。したがって、各接続端子52、53、54の電圧は、以下の値に調整される。
【0038】
Vref=(ピーク電圧−ボトム電圧)×(1/2)+ボトム電圧
Vu =(ピーク電圧−ボトム電圧)×(3/4)+ボトム電圧
Vd =(ピーク電圧−ボトム電圧)×(1/4)+ボトム電圧
第2接続端子53の電圧Vrefは、ピーク電圧とボトム電圧の平均値であり、中間閾値Vrefとして用いられる。第1接続端子52の電圧Vuは、ピーク電圧と中間閾値Vrefの平均値であり、高側オフセット閾値Vuとして用いられる。第3接続端子54の電圧Vdは、中間閾値Vrefとボトム電圧の平均値であり、低側オフセット閾値Vdとして用いられる。
【0039】
第1比較回路60は、入力端子20と閾値演算回路50と第1選択回路80と第2選択回路90と第3選択回路100に接続されている。図4に示すように、第1比較回路60は、第1トランジスタS1と第2トランジスタS2と第1コンパレータ61とNOT回路62を備えている。第1トランジスタS1の一方の端子に高側オフセット閾値Vuが入力されており、他方の端子は第1コンパレータ61の反転入力端子61aに接続されている。第1トランジスタS1のゲート電極G1にNOT回路62の出力端子62bが接続されている。第2トランジスタS2の一方の端子に中間閾値Vrefが入力されており、他方の端子は第1コンパレータ61の反転入力端子61aに接続されている。第2トランジスタS2のゲート電極G2に第1コンパレータ61の出力端子61cが接続されている。第1コンパレータ61の非反転入力端子61bは入力端子20に接続されている。第1コンパレータ61の出力端子61cは、第2トランジスタS2のゲート電極G2に接続されているとともに、NOT回路62の入力端子62aと第2選択回路90と第3選択回路100に接続されている。NOT回路62の出力端子62bは、第1トランジスタS1のゲート電極G1に接続されているとともに、第1選択回路80に接続されている。
【0040】
第2比較回路70は、入力端子20と閾値演算回路50と第1選択回路80と第2選択回路90と第4選択回路110に接続されている。図4に示すように、第2比較回路70は、第3トランジスタS3と第4トランジスタS4と第2コンパレータ71とNOT回路72を備えている。第3トランジスタS3の一方の端子に中間閾値Vrefが入力されており、他方の端子は第2コンパレータ71の反転入力端子71aに接続されている。第3トランジスタS3のゲート電極G3にNOT回路72の出力端子72bが接続されている。第4トランジスタS4の一方の端子には低側オフセット閾値Vdが入力されており、他方の端子は第2コンパレータ71の反転入力端子71aに接続されている。第4トランジスタS4のゲート電極G4に第2コンパレータ71の出力端子71cが接続されている。第2コンパレータ71の非反転入力端子71bは入力端子20に接続されている。第2コンパレータ71の出力端子71cは、第4トランジスタS4のゲート電極G4に接続されているとともに、NOT回路72の入力端子72aと第1選択回路80に接続されている。NOT回路72の出力端子72bは、第3トランジスタS3のゲート電極G3に接続されているとともに、第2選択回路90と第4選択回路110に接続されている。
【0041】
図5を用いて、第1比較回路60及び第2比較回路70の動作を説明する。図5は、入力端子20に入力する電圧の変化を示しており、図5では、ピーク電圧とボトム電圧が一定の場合について説明する。ピーク電圧とボトム電圧が一定の場合、高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdも一定となる。図5(B)は、第1比較回路60が第1選択回路80に出力している出力電圧を示す。図5(C)は、第2比較回路70が第2選択回路90と第4選択回路110に出力している出力電圧を示す。図5(D)は、第1選択回路80が第1出力端子26に出力している第1出力信号である2値化信号を示す。図5(E)は、第2選択回路90が第2出力端子28に出力している第2出力信号である遅れ2値化信号を示す。
【0042】
第1比較回路60の動作を説明する。図4に示す第1トランジスタS1と第2トランジスタS2は、双方ともn型のトランジスタであり、ゲート電極にハイ電圧が印加されることでオンする。入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回る時(t12)までは、第1トランジスタS1がオンしており、第2トランジスタS2がオフしている。第1コンパレータ61の反転入力端子61aに高側オフセット閾値Vuが入力されており、図5(B)に示すように、第1選択回路80にハイ信号が出力されている。
入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時(t12)に、第1コンパレータ61の出力端子61cの電圧がハイに切換わる。これによって第2トランジスタS2がオンする。また、NOT回路62の出力端子62bの電圧がローに切換わる。これによって、第1トランジスタS1がオフする。この結果、第1コンパレータ61の反転入力端子61aの電圧が中間閾値Vrefへと切換わり、図5(B)に示すように、第1選択回路80に出力される信号がローに切換わる。
次に、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時(t13)に、第1コンパレータ61の出力端子61cの電圧がローに切換わる。これによって第2トランジスタS2がオフする。また、NOT回路62の出力端子62bの電圧がハイに切換わる。これによって、第1トランジスタS1がオンする。この結果、第1コンパレータ61の反転入力端子61aの電圧が高側オフセット閾値Vuへと切換わり、図5(B)に示すように、第1選択回路80に出力される信号がハイに切換わる。以後、この動作が繰返される。
第1比較回路60では、第1トランジスタS1と第2トランジスタS2を用いて第1コンパレータ61の反転入力端子61aに入力される電圧を高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefの間で切換える。これによって、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時と、入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時に反転する信号が出力される。
【0043】
次に、第2比較回路70の動作を説明する。図4に示す第3トランジスタS3と第4トランジスタS4は、双方ともn型のトランジスタであり、ゲート電極にハイ電圧が印加されることでオンする。入力電圧が中間閾値Vrefを上回る時(t11)までは、第3トランジスタS3がオンしており、第4トランジスタS4がオフしている。第2コンパレータ71の反転入力端子71aに中間閾値Vrefが入力されており、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110にハイ信号が出力されている。
入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時(t11)に、第2コンパレータ71の出力端子71cの電圧がハイに切換わる。これによって第4トランジスタS4がオンする。また、NOT回路72の出力端子72bの電圧がローに切換わる。これによって、第3トランジスタS3がオフする。この結果、第2コンパレータ71の反転入力端子71aの電圧が低側オフセット閾値Vdへと切換わり、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110に出力される信号がローに切換わる。
次に、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時(t14)に、第2コンパレータ71の出力端子71cの電圧がローに切換わる。これによって第4トランジスタS4がオフする。また、NOT回路72の出力端子72bの電圧がハイに切換わる。これによって、第3トランジスタS3がオンする。この結果、第2コンパレータ71の反転入力端子71aの電圧が中間閾値Vrefへと切換わり、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110に出力される信号がハイに切換わる。以後、この動作が繰返される。
第2比較回路70では、第3トランジスタS3と第4トランジスタS4を用いて第2コンパレータ71の反転入力端子71aに入力される電圧を中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdの間で切り換える。これによって、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時と、入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時に反転する信号が出力される。
【0044】
第1選択回路80は、第1比較回路60と第2比較回路70と第1出力端子26に接続されている。図4に示すように、第1選択回路80は、フリップフロップ回路81を備えている。
フリップフロップ回路81は、セット端子81Sとリセット端子81Rと出力端子81Qを有している。フリップフロップ回路81では、セット端子81Sがローからハイに立ち上がった場合には、出力端子81Qの電圧がハイとなり、リセット端子81Rがローからハイに立ち上がった場合には、出力端子81Qの電圧がローとなる。
フリップフロップ回路81のセット端子81Sは、第2比較回路70に接続されており、図5(C)に示す信号を反転させた信号が入力されている。フリップフロップ回路81のリセット端子81Rは、第1比較回路60に接続されており、図5(B)に示す信号が入力されている。フリップフロップ回路81の出力端子81Qは、第1出力端子26に接続されている。上記に説明したフリップフロップ回路の入出力信号特性により、図5(D)に示すように、第1出力端子26からは、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時(t11)と、入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時(t13)に反転する第1出力信号である2値化信号が出力される。
【0045】
第2選択回路90は、第1比較回路60と第2比較回路70と第2出力端子28に接続されている。図4に示すように、第2選択回路90は、フリップフロップ回路91を備えている。フリップフロップ回路91は、フリップフロップ回路81と同一の端子及び入出力特性を備えており、重複した説明を省略する。
フリップフロップ回路91のセット端子91Sは、第1比較回路60に接続されており、図5(B)に示す信号を反転させた信号が入力されている。フリップフロップ回路91のリセット端子91Rは、第2比較回路70に接続されており、図5(C)に示す信号が入力されている。フリップフロップ回路91の出力端子91Qは、第2出力端子28に接続されている。上記に説明したフリップフロップ回路の入出力信号特性により、図5(E)に示すように、第2出力端子28からは、入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時(t12)と、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時(t14)に反転する第2出力信号である遅れ2値化信号が出力される。
【0046】
第3選択回路100は、第1比較回路60とピークホールド回路30に接続されている。図4に示すように、第3選択回路100は、立ち上がり検出回路101を備えている。立ち上がり検出回路101の入力端子101aには図5(B)に示す信号を反転させた信号が入力されており、立ち上がり検出回路101の出力端子101bはピークホールド回路30に接続されている。立ち上がり検出回路101は、入力端子101aから入力される信号が、ローからハイに立ち上がった際に出力端子101bから信号を出力する。前記したように、第3選択回路100がピークホールド回路30に信号を送ると、ピークホールド回路30は、カウンタ回路33の値から第1所定値を減算する。第3選択回路100がピークホールド回路30に送る信号は、ピークホールド値減少信号ということができる。
【0047】
第4選択回路110は、第2比較回路70とボトムホールド回路40に接続されている。図4に示すように、第4選択回路110は、立ち下がり検出回路111を備えている。立ち下がり検出回路111の入力端子111aには図5(C)に示す信号が入力されており、立ち下がり検出回路111の出力端子111bはボトムホールド回路40に接続されている。立ち下がり検出回路111は、入力端子111aから入力される信号が、ハイからローに立ち下がった際に出力端子111bから信号を出力する。前記したように、第4選択回路110がボトムホールド回路40に信号を送ると、ボトムホールド回路40は、カウンタ回路43の値から第3所定値を加算する。第4選択回路110がボトムホールド回路40に送る信号は、ボトムホールド値増加信号ということができる。
【0048】
上記したように、ピークホールド値減少信号とボトムホールド値増加信号は、第1比較回路60及び第2比較回路70から出力される信号の反転に基づいて出力される。第1比較回路60及び第2比較回路70から出力される信号は、入力信号が短周期で変動し、その値がVref、Vu、Vdを超えて変動することによって反転する。すなわち、入力信号が短周期で変化する場合に、ピークホールド値減少信号とボトムホールド値増加信号が出力信号生成回路120からピークホールド回路30とボトムホールド回路40へと出力される。
上記では、第1比較回路60を直接第3選択回路100に接続しており、第2比較回路70を直接第4選択回路110に接続している。これに代えて、第1比較回路60と第2比較回路70を、第2選択回路90を介して第3選択回路100と第4選択回路110に接続してもよい。
【0049】
補償信号生成回路130は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と判定クロック端子27とピークホールド回路30とボトムホールド回路40に接続されている。図6に補償信号生成回路130の具体的な構成を示す。補償信号生成回路130は、NOT回路141〜148とフリップフロップ回路151〜162とAND回路171〜179とOR回路181、182とNAND回路191、192によって構成されている。
フリップフロップ回路151〜162は、データ端子Dとクロック端子CKと反転リセット端子R(反転セット端子S)と出力端子Qと反転出力端子QBを有している。フリップフロップ回路151〜162は、データ端子Dとクロック端子CKが共にハイとなった場合に、出力端子Qの電圧がハイとなり、反転出力端子QBの電圧がローとなる。また、反転リセット端子Rがハイからローに立ち下がった場合に、出力端子Qの電圧がローになり、反転出力端子QBの電圧がハイになる。反転セット端子Sがハイからローに立ち下がった場合に、出力端子Qの電圧がハイになり、反転出力端子QBの電圧がローになる。
【0050】
図6及び図7を用いて、補償信号生成回路130の動作を説明する。図7(A)は、第1出力信号である2値化信号を示す。図7(B)は、判定クロック端子27に入力される判定クロック信号を示す。図7(C)は、AND回路175の出力信号を示す。図7(D)は、AND回路176の出力信号を示す。図7(E)は、AND回路177の出力信号を示す。図7(F)は、AND回路178の出力信号を示す。図7(G)は、補償信号生成回路130から出力される補償信号を示す。
【0051】
図7(A)に示すように、2値化信号がローからハイに反転すると、フロップフリップ回路151,153のデータ端子Dに入力される信号が、ローからハイに反転する。その一方、フロップフリップ回路155,157のデータ端子Dに入力される信号が、ハイからローに反転する。また、2値化信号はAND回路171,172の一方の入力端子に入力されている。また、2値化信号を反転させた信号がAND回路173,174の一方の入力端子に入力されている。AND回路171〜174の他方の入力端子にはリセット信号を反転させた信号が入力されている。AND回路171の出力端子がフロップフリップ回路151の反転リセット端子Rに入力されている。AND回路172の出力端子がフロップフリップ回路153の反転リセット端子Rに入力されている。AND回路173の出力端子がフロップフリップ回路155の反転リセット端子Rに入力されている。AND回路174の出力端子がフロップフリップ回路157の反転リセット端子Rに入力されている。また、フロップフリップ回路151,155のクロック端子CKには、判定クロック信号が入力されており、フロップフリップ回路153,157のクロック端子CKには判定クロック信号を反転させた信号が入力されている。また、フロップフリップ回路152のデータ端子Dは、フロップフリップ回路151の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路154のデータ端子Dは、フロップフリップ回路153の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路156のデータ端子Dは、フロップフリップ回路155の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路158のデータ端子Dは、フロップフリップ回路157の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路154,158のクロック端子CKには、判定クロック信号が入力されており、フロップフリップ回路152,156のクロック端子CKには判定クロック信号を反転させた信号が入力されている。この結果、AND回路175〜178には、図7(C)〜(F)に示す信号が出力される。
AND回路175、177の出力信号がOR回路181に入力され、OR回路181の出力信号がフロップフリップ回路159、160へと入力される。OR回路181の出力信号は、フロップフリップ回路159において、基本クロック信号を用いて処理され、処理された信号がNAND回路191へと入力される。NAND回路191から出力された信号は、AND回路179の一方の入力端子へと入力される。
また、AND回路176、178の出力信号がOR回路182に入力され、OR回路182の出力信号は、フロップフリップ回路161、162へと入力される。OR回路182の出力信号がフロップフリップ回路161、162において、基本クロック信号を用いて処理され、処理された信号がNAND回路192へと入力される。NAND回路192から出力された信号は、AND回路179の他方の入力端子へと入力される。
AND回路179の出力信号がNOT回路148に入力される。この結果、図7(G)に示すように、判定クロック信号の半周期に亘って2値化信号が反転しない場合に反転し、判定クロック信号の半周期の間に2値化信号が反転した場合に反転しない(点線表示)補償信号がNOT回路148の出力端子から出力される。
【0052】
上記したように、補償信号は、2値化信号の反転に基づいて(正式には反転しないことに基づいて)出力される。2値化信号は、入力信号が短周期で変化し、その値がVref、Vu、Vdを超えて変化することによって反転する。すなわち、入力信号が短周期で変化しない場合に、補償信号が補償信号生成回路130からピークホールド回路30とボトムホールド回路40へと出力される。
【0053】
図8及び図9を用いて、2値化回路10の動作を説明する。下記の説明では、ピークホールド値減少信号によるピークホールド回路30の記憶値の補償方法及びボトムホールド値増加信号によるボトムホールド回路40の記憶値の補償方法を第1補償方法と呼ぶ。また、補償信号によるピークホールド回路30とボトムホールド回路40記憶値の補償方法を第2補償方法と呼ぶ。図9のタイマー信号は、補償信号生成回路130に内蔵されたタイマーの経過時間の監視動作を示す信号である。タイマー信号は、反転タイミングにおいて経過時間をリセットするとともに、反転タイミングからの経過時間を監視する。また、図9のドリフト補償方法は、その時刻に2値化回路10が選択している補償方法を示しており、第1補償方法が選択されている状態をロー状態として示す。また、第2補償方法が選択されている状態をハイ状態として示す。
【0054】
本実施例の2値化回路10では、時刻t0に電源を投入した後、時刻t1に補償方法を第1補償方法に設定するとともに、タイマー信号を反転させる(S12)。時刻t1以降、2値化回路10は、2値化信号の反転の発生を監視するとともに、タイマー信号の経過時間を監視する(S14)。2値化信号の反転の発生が監視されず、またタイマー信号の経過時間が判定クロック信号の半周期から決定される判定期間T10を経過しない間は(S14で(1)NO(2)NO)、現在の状態を保持する。
図9の時刻t2に示すように、2値化信号の反転が監視されない期間が、判定クロック信号の半周期から決定される判定期間T10を過ぎた(つまり、停止期間と判断された)場合には(S14で(1)NO(2)YES)、補償方法を第2補償方法へと切換えるとともに、タイマー信号を反転させる(S16)。その後、2値化信号の反転が監視されない期間が続く間(つまり停止期間であり、例えば図9の時刻t3を含む期間)は、補償方法が第2補償方法に維持され、判定期間T10の経過毎にタイマー信号を反転させる。
【0055】
次に、図9の時刻t4に示すように、判定期間T10内に2値化信号の反転が監視された(つまり、停止期間から稼動期間に切換わったと判断された)場合には(S14で(1)YES)、補償方法を第1補償方法へと切換えるとともに、タイマー信号を反転させる(S12)。その後、2値化信号の反転が監視される期間が続く間(つまり稼動期間であり、例えば時刻t5、t6を含む期間)では、補償方法が第1補償方法に維持され、2値化信号の反転毎にタイマー信号を反転させる。時刻t7、t8、t9におけるタイマー信号と補償方法の変化は、時刻t2、t3、t4と同一であり、重複した説明を省略する。
【0056】
本実施例によれば、2値化信号が判定期間T10よりも短い周期で変化しているか否かに基づいて、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値を変化させる信号を切換える。図9の時刻t4、t5、t6、t9に示すように、2値化信号が判定期間T10よりも短い周期で変化する稼動期間には、ピークホールド値減少信号とボトムホールド値増加信号を用いた第1補償方法に基づいてピークホールド回路30の第1記憶値とボトムホールド回路40の第2記憶値を補償する。これによって、稼動期間において入力信号を適切に2値化することができる。また、図9の時刻t2、t3、t7、t8に示すように、2値化信号が判定期間T10よりも短い周期で変化しない停止期間には、補償信号を用いた第2補償方法に基づいてピークホールド回路30の第1記憶値とボトムホールド回路40の第2記憶値を補償する。これによって、回転期間において入力信号を適切に2値化することができる。本実施例によれば、入力信号の状態に関わらず、入力信号を正確に2値化することができる。
【実施例2】
【0057】
図10に、2値化回路210を示す。2値化回路10との違いは、補償クロック端子29を有していることと、補償信号生成回路230が、停止判定回路222とAND回路220を備えていることである。
【0058】
補償クロック端子29は、補償信号生成回路230に接続されており、外部回路(図示されていない)から第3所定時間の間隔で変化する補償クロック信号が入力されている。
AND回路220は、補償クロック端子29とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と停止判定回路222に接続されている。停止判定回路222は、基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と判定クロック端子27とAND回路220に接続されている。図11に停止判定回路222の具体的な構成を示す。図6に示す補償信号生成回路130との違いは、NOT回路147とフリップフロップ回路163〜166とAND回路180とNAND回路193、194とセットリセット回路167を備えていることである。
【0059】
図11に示す停止判定回路222では、判定クロック信号の半周期に亘って2値化信号が反転しない場合にハイとなり、判定クロック信号の半周期の間に2値化信号が反転した場合にローとなる停止信号が出力される。図10に示すように、停止判定回路222から出力された停止信号はAND回路220の一方の入力端子に入力される。AND回路220の他方の入力端子には、補償クロック端子29が接続されている。そのため、図10の補償信号生成回路230では、補償クロック信号に同期した補償信号がピークホールド回路30とボトムホールド回路40に入力される。
本実施例によれば、入力信号が短周期で反転しているか否かを判定する判定クロック信号の周期と、補償信号の周期を別々に設定することができる。
【0060】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本実施例では、補償信号生成回路を備えた2値化回路を用いて説明を行ったが、2値化回路は必ずしも補償信号生成回路を備えている必要はない。図12に示すように、第1出力端子26からの2値化信号に基づいて、その一部が外部に設けられた停止判定回路を用いて停止信号を生成してもよい。
【0061】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0062】
10、210 2値化回路
20 入力端子
22 基本クロック端子
24 リセット端子
26 第1出力端子
27 判定クロック端子
28 第2出力端子
29 補償クロック端子
30 ピークホールド回路
31 コンパレータ
33 カウンタ回路
34 A/D変換回路
40 ボトムホールド回路
41 コンパレータ
43 カウンタ回路
44 A/D変換回路
50 閾値演算回路
60 第1比較回路
70 第2比較回路
80 第1選択回路
90 第2選択回路
100 第3選択回路
110 第4選択回路
120 出力信号生成回路
130、230補償信号生成回路
220 AND回路
222 停止判定回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間に対して変化する入力信号を2値化する2値化回路に関する。
【背景技術】
【0002】
状態変化に追従して時間的に変化する入力信号を測定し、測定した入力信号の変化から、実際に生じている状態変化を検出したい局面が多く存在する。このような局面では、ピークホールド回路とボトムホールド回路等のホールド回路を利用し、測定した入力信号のピーク電圧とボトム電圧を検出する。
例えば、磁気センサ等を利用して回転体の回転数及び回転角を測定する技術が実用化されている。この技術では、回転体が磁性体で形成されており、その回転体の外周面に山部と谷部が周方向に交互に形成されている。また、磁気センサが、回転体の外周面に向かい合う位置に配置されている。回転体が回転すると、磁気センサに生じる電圧(入力信号)が、磁気センサに向かい合う位置を山部と谷部が交互に通過するのに追従して時間的に変化する。磁気センサで検出された入力信号を、例えば入力信号のピーク電圧とボトム電圧の中間値を求め、その中間値を閾値電圧に利用して測定電圧を2値化すると、その2値化信号(2値化出力と呼ぶこともある)から回転体の回転数及び回転角を検出することができる。回転体の回転数及び回転角を正確に検出するためには、入力信号のピーク電圧とボトム電圧の双方を正確に測定する技術が必要とされる。
【0003】
入力信号の中には、短周期で変化する電圧に長周期で変化する電圧が重畳していることがある。上記の例の場合、回転体の回転に追従して短周期で変化する電圧に、環境温度の変化やロータの偏心に起因して長周期で変化する電圧が重畳した入力信号を検出する場合がある。
図13(a)は、長周期で変化する電圧が低下傾向にある時に測定される入力信号を例示している。この場合、短周期で変化する入力信号のピーク電圧を検出する必要がある。
図13(b)は、長周期で変化する電圧が上昇傾向にある時に測定される入力信号を例示している。この場合でも、短周期で変化する入力信号のボトム電圧を検出する必要がある。
図13(a)の場合、単純なピークホールド回路を用いると、破線で示すピーク電圧Vp’を検出していまい、短周期で変化する入力信号のピーク電圧を検出することができない。図13(b)の場合、単純なボトムホールド回路を用いると、破線で示すボトム電圧Vb’を検出していまい、短周期で変化する入力信号のボトム電圧を検出することができない。
【0004】
特許文献1に、入力信号の各々のピーク電圧と入力信号の各々のボトム電圧の双方を適切に検出する補償技術が開示されている。
特許文献1のピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加させる。また、第1記憶回路は、外部から入力されるクロック信号の入力に同期して記憶値を減少させる。特許文献1のボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力端子の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少させる。また、第2記憶回路は、外部から入力されるクロック信号の入力に同期して記憶値を増加させる。
【0005】
特許文献1の補償技術では、外部から入力されるクロック信号に基づいて第1記憶回路と第2記憶回路の記憶値を変化させて補償を行う。すなわち、図13(a)に実線で示すように、長周期で変化する電圧が低下傾向にある場合には、第1記憶回路の記憶値を減少させて、短周期で変化する入力電圧のピーク電圧の下降に備える。これによって、ピークホールド回路で保持される電圧をピーク電圧の低下に合せて減少させることができる。
同様に、図13(b)に実線で示すように、長周期で変化する電圧が上昇傾向にある場合には、第2記憶回路の記憶値を増加させて、短周期で変化する入力電圧のボトム電圧の上昇に備える。これによって、ボトムホールド回路で保持される電圧をボトム電圧の上昇に合せて増加させることができる。
【0006】
入力信号の周期は、回転体の回転速度に応じて変化する。そのため、ピークホールド回路やボトムホールド回路に入力されるクロック信号は、入力信号に同期して補償することが好ましい。そのために有用な補償技術を、本出願人らが出願した。その技術内容は、特願2008−244369号に添付されている明細書と図面に開示されている。ただしこの出願は、本出願の出願時点ではまだ未公開である。
上記の補償技術では、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値Vrefを用いて、入力信号が中間閾値Vrefを超えて上昇した場合と入力信号が中間閾値Vrefを超えて下降した場合に反転する2値化信号を出力する。上記の技術ではさらに、第1記憶回路の記憶値と中間閾値Vrefの中間電圧である高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと第2記憶回路の記憶値の中間電圧である低側オフセット閾値Vdを用いて、入力信号が高側オフセット閾値Vuを超えて上昇した場合と入力信号が低側オフセット閾値Vdを超えて下降した場合に反転する遅れ2値化信号を出力する。
特願2008−244369号に添付されている明細書と図面に開示されている技術(以後、技術文献1と呼ぶ)では、遅れ2値化信号に同期したクロック信号をピークホールド回路やボトムホールド回路に入力する。この技術によれば、ピークホールド回路やボトムホールド回路に入力するクロック信号を入力信号に同期して補償させることができ、入力信号を適切に2値化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−178498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術と技術文献1の技術は非常に有用・有益であり、各種の用途に応用できる。しかし、2値化信号が短周期で変化する回転体の稼動期間と2値化信号が短周期で変化しない回転体の停止期間で、同一の補償技術を用いると入力信号を適切に2値化することができない場合が存在する。
【0009】
(稼動期間で入力信号を適切に2値化することができない場合の説明)
図14に、稼動期間における入力信号の一例を示す。図14に示すように、稼動期間に長周期で変化しない入力信号が入力されている場合、特許文献1の技術を用いると、中間閾値Vrefが図14に点線で示す入力信号のピーク電圧Vpとボトム電圧Vbの中間値である基準電圧Vmからずれてしまう場合がある。そのため、中間閾値Vrefを用いて入力信号を2値化した2値化信号が、図14に点線で示す基準電圧Vmを用いて入力信号を2値化した2値化信号からずれてしまい、中間閾値Vrefを用いて入力信号を適切に2値化することができない。特許文献1の技術を用いた場合、停止後の稼動時に入力信号を2値化することができるが、入力信号を適切に2値化することができない場合がある。
【0010】
(停止後の稼動期間で入力信号を適切に2値化することができない場合の説明)
また、図16に、稼動後、停止、再稼動した場合の入力信号の一例を示す。停止期間では、周辺温度がT1℃からT2℃へと上昇するのに伴って、入力信号が上昇する場合がある。このような場合、入力信号が低側オフセット閾値Vdを越えて低下することがない。そのため、技術文献1の技術を用いたとしても、第2記憶回路の記憶値を入力信号の上昇に合わせて上昇させることができない。停止期間から再び稼動期間に移行した際に、入力信号を適切に2値化することができない。このように、稼動期間では技術文献1の技術を用いて入力信号を適切に2値化することができる場合でも、停止期間から再び稼動期間に移行した際に同一の技術を用いて入力信号を適切に2値化することができない場合がある。
【0011】
以上のように、稼動期間と停止期間で同一の補償技術を用いると、入力信号を適切に2値化することができない場合が存在する。入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化する技術が切望される。
【0012】
本発明は上記の課題を解決する。すなわち本発明は、入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、所定時間に2値化出力が反転するか否かに基づいて稼動期間と停止期間と判断するとともに、この判断に基づいて補償方法を切換えることで、入力信号の状態に応じて入力信号を適切に2値化することに成功した。
本発明は、時間に対して変動する入力信号を2値化する2値化回路に具現化される。2値化回路は、ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路と、補償信号生成回路を備えている。
ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第1記憶回路の記憶値を変更し、第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減算し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第2記憶回路の記憶値を変更し、第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
出力信号生成回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化する。
補償信号生成回路は、所定期間内に2値化出力が反転する場合と反転しない場合で切換わる補償信号を出力する。
【0014】
本発明の補正信号生成回路では、所定時間内に2値化出力が反転する場合は稼動期間と判断し、反転しない場合は停止期間と判断する。また、本発明の補正信号生成回路では、この判断に基づいて補償信号を出力し、補償信号に基づいてピークホールド回路とボトムホールド回路内に記憶されている記憶値の補償方法を切換える。
本発明によれば、それぞれの期間に応じて補償方法を切換えることができる。そのため、適切な補償方法を用いて記憶値を補償することができ、適切に補償された記憶値から算出された閾値を用いて入力信号を2値化することができる。これによって、入力信号の状態に関わらず入力信号を適切に2値化することができる。
【0015】
本発明の2値化回路は、下記のように表すことができる。本発明の2値化回路は、入力信号を入力する入力端子と、第1出力信号を出力する第1出力端子と、第2出力信号を出力する第2出力端子と、判定クロック信号を入力する判定クロック端子と、補償信号生成回路と、ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路を備えている。
ピークホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されている。また、ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、少なくとも下記の4つの動作を実行する。
(1)第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加する。
(2)出力信号生成回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第1所定値を減算する。
(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第2所定値を減算する。
(4)第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
【0016】
ボトムホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されている。また、ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、少なくとも下記の4つの動作を実行する。
(1)第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少する。
(2)出力信号生成回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第3所定値を加算する。
(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第4所定値を加算する。
(4)第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力する。
【0017】
出力信号生成回路は、入力端子と第1出力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されている。出力信号生成回路は、少なくとも下記の4つの動作を実行する。
(1)第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化した第1出力信号を第1出力端子に出力する。
(2)第1出力信号に対して所定位相遅れた第2出力信号を第2出力端子に出力する。
(3)第2出力信号が一方の状態から他方の状態に反転した時にピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力する。
(4)第2出力信号が他方の状態から一方の状態に反転した時にボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力する。
【0018】
補償信号生成回路は、第1出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されている。補償信号生成回路は、所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に補償信号をピークホールド回路とボトムホールド回路に出力する。
【0019】
本発明の出力信号生成回路では、入力信号が短周期で変化した場合に、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて第1出力信号が短周期に反転する。また、第1出力信号の反転に伴って第2出力信号が反転する。つまり、入力信号が短周期で変化した場合に第2出力信号が反転する。第2出力信号が反転すると、出力信号生成回路からピークホールド回路にピークホールド値減少信号が出力され、第1記憶回路の記憶値が減少する。また、出力信号生成回路からボトムホールド回路にボトムホールド値増加信号が出力され、第2記憶回路の記憶値が増加する。
【0020】
その一方、補償信号生成回路では、第1出力信号が短周期に反転しない場合に、補償信号が出力される。つまり、入力信号が短周期で変化しない場合に補償信号が出力される。補償信号生成回路からピークホールド回路に補償信号が出力されると、第1記憶回路の記憶値が減少する。また、補償信号生成回路からボトムホールド回路に補償信号が出力されると、第2記憶回路の記憶値が増加する。
【0021】
本発明によれば、入力信号の状態に関わらず第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値を適切に2値化させることができる。これによって、稼動期間及び停止期間における入力信号を適切に2値化することができる。
【0022】
上記の2値化回路は、判定クロック端子を更に備えていることが好ましい。判定クロック端子は、判定クロック信号が入力されるとともに、補償信号生成回路に接続されている。補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に、補償信号を出力する。
本発明によれば、第1出力信号が反転しているか否かを判定する所定期間を、判定クロック信号を用いて設定することができる。
【0023】
上記の2値化回路は、補償クロック端子を更に備えていることが好ましい。補償クロック端子は、補償クロック信号が入力されるとともに、補償信号生成回路に接続されている。補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に、補償クロック信号に同期した補償信号をピークホールド回路とボトムホールド回路に出力する。
本発明によれば、補償信号の周期を、補償クロック信号を用いて設定することができる。
【0024】
上記した2値化回路では、出力信号生成回路が閾値演算回路と第1比較回路と第2比較回路と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路と第4選択回路を備えていることが好ましい。
閾値演算回路は、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されている。閾値演算回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算する。閾値演算回路は、演算した中間閾値と高側オフセット閾値を第1比較回路に出力し、演算した中間閾値と低側オフセット閾値を第2比較回路に出力する。
第1比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路に接続されている。第1比較回路は、入力端子の電圧が中間閾値を下回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転する信号を出力する。
第2比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第4選択回路に接続されている。第2比較回路は、入力端子の電圧が中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する信号を出力する。
第1選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第1出力端子に接続されている。第1選択回路は、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った後に中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った後に中間閾値を下回った時に反転する第1出力信号を第1出力端子に出力する。
第2選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第2出力端子に接続されている。第2選択回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する第2出力信号を第2出力端子に出力する。
第3選択回路は、第1比較回路とピークホールド回路に接続されている。第3選択回路は、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力する。
第4選択回路は、第2比較回路とボトムホールド回路に接続されている。第4選択回路は、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力する。
本発明によれば、第1出力信号に対して遅れた第2出力信号を生成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、入力信号の状態に関わらず、入力信号を適切に2値化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】2値化回路10の回路図を示す。
【図2】ピークホールド回路30の回路図を示す。
【図3】ボトムホールド回路40の回路図を示す。
【図4】出力信号生成回路120の回路図を示す。
【図5】出力信号生成回路120の動作を説明する図である。
【図6】補償信号生成回路130の回路図を示す。
【図7】補償信号生成回路130の動作を説明する図である。
【図8】2値化回路10のフローチャートを示す図である。
【図9】2値化回路10のタイムチャートを示す図である。
【図10】2値化回路210の回路図を示す。
【図11】停止判定回路222の回路図を示す。
【図12】本実施例の2値化回路の別実施例の回路図を示す。
【図13】ピークホールド回路とボトムホールド回路の問題を示す図である。
【図14】従来技術の問題点を説明する図である。
【図15】本発明の効果を説明する図である。
【図16】従来技術の問題点を説明する図である。
【図17】本発明の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に説明する実施例の主要な特徴を最初に整理する。
(特徴1)ピークホールド回路は、コンパレータ回路と、ピークカウンタ回路と、D/A変換回路を備えている。
(特徴2)ボトムホールド回路は、コンパレータ回路と、ボトムカウンタ回路と、D/A変換回路を備えている。
(特徴3)ピークホールド回路は、リセット信号が入力される端子を備えている。ピークホールド回路にリセット信号が入力されると、第1記憶回路の記憶値が初期化される。
(特徴4)ボトムホールド回路は、リセット信号が入力される端子を備えている。ボトムホールド回路にリセット信号が入力されると、第2記憶回路の記憶値が初期化される。
(特徴5)ピークホールド回路は、基本クロック信号が入力される端子を備えている。第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い場合に、ピークホールド回路は基本クロック信号に同期して第1記憶回路の記憶値を増加させる。
(特徴6)ボトムホールド回路は、基本クロック信号が入力される端子を備えている。第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い場合に、ボトムホールド回路は基本クロック信号に同期して第2記憶回路の記憶値を減少させる。
【実施例1】
【0028】
図1に、2値化回路10を示す。2値化回路10は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と第2出力端子28と判定クロック端子27とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130を備えている。
【0029】
入力端子20は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と出力信号生成回路120に接続されており、例えば磁気センサなどの外部回路(図示されていない)から入力電圧が入力されている。
基本クロック端子22は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と補償信号生成回路130に接続されており、外部回路(図示されていない)から第1所定時間の間隔で変化する基本クロック信号が入力されている。
リセット端子24は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と補償信号生成回路130に接続されており、外部回路(図示されていない)からリセット信号が入力されている。
判定クロック端子27は、補償信号生成回路130に接続されており、外部回路(図示されていない)から第2所定時間の間隔で変化する判定クロック信号が入力されている。
【0030】
ピークホールド回路30は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130に接続されている。図2にピークホールド回路30の具体的な構成を示す。ピークホールド回路30は、コンパレータ31と、AND回路32と、カウンタ回路33と、D/A変換回路34を備えている。コンパレータ31の非反転入力端子31aが入力端子20に接続されている。コンパレータ31の反転入力端子31bがD/A変換回路34の出力端子34aに接続されている。コンパレータ31の出力端子31cがAND回路32の一方の入力端子32aに接続されている。AND回路32の他方の入力端子32bが基本クロック端子22に接続されている。AND回路32の出力端子32cがカウンタ回路33のUP用入力端子33bに接続されている。カウンタ回路33の第1DOWN用入力端子33cが出力信号生成回路120に接続されている。カウンタ回路33の第2DOWN用入力端子33dが補償信号生成回路130に接続されている。カウンタ回路33のリセット(RES)用入力端子33aがリセット端子24に接続されている。カウンタ回路33はD/A変換回路34に接続されている。D/A変換回路34の出力端子34aはコンパレータ31の反転入力端子31bに接続されているとともに、出力信号生成回路120に接続されている。
【0031】
ピークホールド回路30では、コンパレータ31の非反転入力端子31aに入力される電圧(入力信号の電圧)が、反転入力端子31bに入力されるピークホールド回路30の電圧(すなわちピークホールド回路30の記憶値)よりも高い場合に、出力端子31cの電圧がハイとなる。コンパレータ31の出力端子31cの電圧がハイのときは、基本クロック信号に同期した出力信号がAND回路32の出力端子32cからカウンタ回路33のUP用入力端子33bに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路33に記憶されているカウンタ値が増加する。即ち、カウンタ回路33が第1記憶回路に相当し、カウンタ回路33に記憶されているカウンタ値が第1記憶回路の記憶値に相当する。また、カウンタ回路33では、出力信号生成回路120からの信号がカウンタ回路33の第1DOWN用入力端子33cに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が第1所定値だけ減少する。また、補償信号生成回路130からの信号がカウンタ回路33の第2DOWN用入力端子33dに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が第2所定値だけ減少する。また、カウンタ回路33では、リセット端子24からリセット信号がカウンタ回路33のRES用入力端子33aに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値が初期値へとリセットされる。D/A変換回路34は、カウンタ回路33のカウンタ値を読み込み、このカウンタ値に対応するピーク電圧を生成し、このピーク電圧を出力端子34aから出力信号生成回路120に出力する。
【0032】
ピークホールド回路30では、出力信号生成回路120と補償信号生成回路130からの信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を減少する。そのため、入力電圧が短周期の変動成分とともに長周期の変動成分を含んでおり、これによって入力電圧のピーク電圧が緩慢に減少していく場合でも、短周期で変化するピーク電圧をピークホールド回路30に記憶することができる。具体的には、後述する出力信号生成回路120からのピークホールド値減少信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を第1所定値だけ減少させ、補償信号生成回路130からの補償信号に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を第2所定値だけ減少させる。
また後述するように、入力電圧が短周期で変化する場合に、ピークホールド値減少信号が入力され、入力電圧が短周期で変化しない場合に、補償信号が入力される。そのため、ピークホールド回路30では、入力電圧の状態に伴ってカウンタ回路33のカウンタ値を減少させる信号が切換えられる。
【0033】
ボトムホールド回路40は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と出力信号生成回路120と補償信号生成回路130に接続されている。図3にボトムホールド回路40の具体的な構成を示す。ボトムホールド回路40は、コンパレータ41と、AND回路42と、カウンタ回路43と、D/A変換回路44を備えている。コンパレータ41の反転入力端子41bが入力端子20に接続されている。コンパレータ41の非反転入力端子41aがD/A変換回路44の出力端子44aに接続されている。コンパレータ41の出力端子41cがAND回路42の一方の入力端子42aに接続されている。AND回路42の他方の入力端子42bが基本クロック端子22に接続されている。AND回路42の出力端子42cがカウンタ回路43のDOWN用入力端子43bに接続されている。カウンタ回路43の第1UP用入力端子43cが出力信号生成回路120に接続されている。カウンタ回路43の第2UP用入力端子43dが補償信号生成回路130に接続されている。カウンタ回路43のリセット(RES)用入力端子43aがリセット端子24に接続されている。カウンタ回路43はD/A変換回路44に接続されている。D/A変換回路44の出力端子44aはコンパレータ41の非反転入力端子41aに接続されているとともに、出力信号生成回路120に接続されている。
【0034】
ボトムホールド回路40では、コンパレータ41の反転入力端子41bに入力される電圧(入力信号の電圧)が、非反転入力端子41aに入力されるボトムホールド回路40の電圧(すなわちボトムホールド回路40の記憶値)よりも低い場合に、出力端子41cの電圧がハイとなる。コンパレータ41の出力端子41cの電圧がハイのときは、基本クロック信号に同期した出力信号がAND回路42の出力端子42cからカウンタ回路43のDOWN用入力端子43bに入力され、この信号に伴ってカウンタ回路43に記憶されているカウンタ値が減少する。即ち、カウンタ回路43が第2記憶回路に相当し、カウンタ回路43に記憶されているカウンタ値が第2記憶回路の記憶値に相当する。また、カウンタ回路43では、出力信号生成回路120からの信号がカウンタ回路43の第1UP用入力端子43cに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が第3所定値だけ増加する。また、補償信号生成回路130からの信号がカウンタ回路43の第2UP用入力端子43dに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が第4所定値だけ増加する。また、カウンタ回路43では、リセット端子24からリセット信号がカウンタ回路43のRES用入力端子43aに入力されると、この信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値が初期値へリセットされる。D/A変換回路44は、カウンタ回路43のカウンタ値を読み込み、このカウンタ値に対応するボトム電圧を生成し、このボトム電圧を出力端子44aから出力信号生成回路120に出力する。
【0035】
ボトムホールド回路40では、出力信号生成回路120と補償信号生成回路130からの信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値を増加する。そのため、入力電圧が短周期の変動成分とともに長周期の変動成分を含んでおり、これによって入力電圧のボトム電圧が緩慢に増加していく場合でも、短周期で変化するボトム電圧をボトムホールド回路40に記憶することができる。具体的には、後述する出力信号生成回路120からのボトムホールド値増加信号に伴ってカウンタ回路43のカウント値を第3所定値だけ増加させ、補償信号生成回路130からの補償信号に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値を第4所定値だけ増加させる。
また後述するように、入力電圧が短周期で変化する場合に、ボトムホールド値増加信号が入力され、入力電圧が短周期で変化しない場合に、補償信号が入力される。ボトムホールド回路40では、入力電圧の状態に伴ってカウンタ回路43のカウンタ値を増加させる信号が切換えられる。
【0036】
出力信号生成回路120は、入力端子20と第1出力端子26と第2出力端子28とピークホールド回路30とボトムホールド回路40に接続されている。図4に出力信号生成回路120の具体的な構成を示す。出力信号生成回路120は、閾値演算回路50と第1比較回路60と第2比較回路70と第1選択回路80と第2選択回路90と第3選択回路100と第4選択回路110を備えている。
【0037】
閾値演算回路50は、ピークホールド回路30とボトムホールド回路40と第1比較回路60と第2比較回路70に接続されている。図4の左側に、閾値演算回路50の具体的な構成を示す。図4に示すように、閾値演算回路50では、ピークホールド回路30との接続端子51とボトムホールド回路40との接続端子55の間に、4つの抵抗R1〜R4がこの順に直列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2の間に、第1接続端子52が形成されている。抵抗R2と抵抗R3の間に、第2接続端子53が形成されている。抵抗R3と抵抗R4の間に、第3接続端子54が形成されている。
抵抗R1〜R4の抵抗値は同一である。したがって、各接続端子52、53、54の電圧は、以下の値に調整される。
【0038】
Vref=(ピーク電圧−ボトム電圧)×(1/2)+ボトム電圧
Vu =(ピーク電圧−ボトム電圧)×(3/4)+ボトム電圧
Vd =(ピーク電圧−ボトム電圧)×(1/4)+ボトム電圧
第2接続端子53の電圧Vrefは、ピーク電圧とボトム電圧の平均値であり、中間閾値Vrefとして用いられる。第1接続端子52の電圧Vuは、ピーク電圧と中間閾値Vrefの平均値であり、高側オフセット閾値Vuとして用いられる。第3接続端子54の電圧Vdは、中間閾値Vrefとボトム電圧の平均値であり、低側オフセット閾値Vdとして用いられる。
【0039】
第1比較回路60は、入力端子20と閾値演算回路50と第1選択回路80と第2選択回路90と第3選択回路100に接続されている。図4に示すように、第1比較回路60は、第1トランジスタS1と第2トランジスタS2と第1コンパレータ61とNOT回路62を備えている。第1トランジスタS1の一方の端子に高側オフセット閾値Vuが入力されており、他方の端子は第1コンパレータ61の反転入力端子61aに接続されている。第1トランジスタS1のゲート電極G1にNOT回路62の出力端子62bが接続されている。第2トランジスタS2の一方の端子に中間閾値Vrefが入力されており、他方の端子は第1コンパレータ61の反転入力端子61aに接続されている。第2トランジスタS2のゲート電極G2に第1コンパレータ61の出力端子61cが接続されている。第1コンパレータ61の非反転入力端子61bは入力端子20に接続されている。第1コンパレータ61の出力端子61cは、第2トランジスタS2のゲート電極G2に接続されているとともに、NOT回路62の入力端子62aと第2選択回路90と第3選択回路100に接続されている。NOT回路62の出力端子62bは、第1トランジスタS1のゲート電極G1に接続されているとともに、第1選択回路80に接続されている。
【0040】
第2比較回路70は、入力端子20と閾値演算回路50と第1選択回路80と第2選択回路90と第4選択回路110に接続されている。図4に示すように、第2比較回路70は、第3トランジスタS3と第4トランジスタS4と第2コンパレータ71とNOT回路72を備えている。第3トランジスタS3の一方の端子に中間閾値Vrefが入力されており、他方の端子は第2コンパレータ71の反転入力端子71aに接続されている。第3トランジスタS3のゲート電極G3にNOT回路72の出力端子72bが接続されている。第4トランジスタS4の一方の端子には低側オフセット閾値Vdが入力されており、他方の端子は第2コンパレータ71の反転入力端子71aに接続されている。第4トランジスタS4のゲート電極G4に第2コンパレータ71の出力端子71cが接続されている。第2コンパレータ71の非反転入力端子71bは入力端子20に接続されている。第2コンパレータ71の出力端子71cは、第4トランジスタS4のゲート電極G4に接続されているとともに、NOT回路72の入力端子72aと第1選択回路80に接続されている。NOT回路72の出力端子72bは、第3トランジスタS3のゲート電極G3に接続されているとともに、第2選択回路90と第4選択回路110に接続されている。
【0041】
図5を用いて、第1比較回路60及び第2比較回路70の動作を説明する。図5は、入力端子20に入力する電圧の変化を示しており、図5では、ピーク電圧とボトム電圧が一定の場合について説明する。ピーク電圧とボトム電圧が一定の場合、高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdも一定となる。図5(B)は、第1比較回路60が第1選択回路80に出力している出力電圧を示す。図5(C)は、第2比較回路70が第2選択回路90と第4選択回路110に出力している出力電圧を示す。図5(D)は、第1選択回路80が第1出力端子26に出力している第1出力信号である2値化信号を示す。図5(E)は、第2選択回路90が第2出力端子28に出力している第2出力信号である遅れ2値化信号を示す。
【0042】
第1比較回路60の動作を説明する。図4に示す第1トランジスタS1と第2トランジスタS2は、双方ともn型のトランジスタであり、ゲート電極にハイ電圧が印加されることでオンする。入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回る時(t12)までは、第1トランジスタS1がオンしており、第2トランジスタS2がオフしている。第1コンパレータ61の反転入力端子61aに高側オフセット閾値Vuが入力されており、図5(B)に示すように、第1選択回路80にハイ信号が出力されている。
入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時(t12)に、第1コンパレータ61の出力端子61cの電圧がハイに切換わる。これによって第2トランジスタS2がオンする。また、NOT回路62の出力端子62bの電圧がローに切換わる。これによって、第1トランジスタS1がオフする。この結果、第1コンパレータ61の反転入力端子61aの電圧が中間閾値Vrefへと切換わり、図5(B)に示すように、第1選択回路80に出力される信号がローに切換わる。
次に、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時(t13)に、第1コンパレータ61の出力端子61cの電圧がローに切換わる。これによって第2トランジスタS2がオフする。また、NOT回路62の出力端子62bの電圧がハイに切換わる。これによって、第1トランジスタS1がオンする。この結果、第1コンパレータ61の反転入力端子61aの電圧が高側オフセット閾値Vuへと切換わり、図5(B)に示すように、第1選択回路80に出力される信号がハイに切換わる。以後、この動作が繰返される。
第1比較回路60では、第1トランジスタS1と第2トランジスタS2を用いて第1コンパレータ61の反転入力端子61aに入力される電圧を高側オフセット閾値Vuと中間閾値Vrefの間で切換える。これによって、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時と、入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時に反転する信号が出力される。
【0043】
次に、第2比較回路70の動作を説明する。図4に示す第3トランジスタS3と第4トランジスタS4は、双方ともn型のトランジスタであり、ゲート電極にハイ電圧が印加されることでオンする。入力電圧が中間閾値Vrefを上回る時(t11)までは、第3トランジスタS3がオンしており、第4トランジスタS4がオフしている。第2コンパレータ71の反転入力端子71aに中間閾値Vrefが入力されており、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110にハイ信号が出力されている。
入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時(t11)に、第2コンパレータ71の出力端子71cの電圧がハイに切換わる。これによって第4トランジスタS4がオンする。また、NOT回路72の出力端子72bの電圧がローに切換わる。これによって、第3トランジスタS3がオフする。この結果、第2コンパレータ71の反転入力端子71aの電圧が低側オフセット閾値Vdへと切換わり、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110に出力される信号がローに切換わる。
次に、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時(t14)に、第2コンパレータ71の出力端子71cの電圧がローに切換わる。これによって第4トランジスタS4がオフする。また、NOT回路72の出力端子72bの電圧がハイに切換わる。これによって、第3トランジスタS3がオンする。この結果、第2コンパレータ71の反転入力端子71aの電圧が中間閾値Vrefへと切換わり、図5(C)に示すように、第2選択回路90と第4選択回路110に出力される信号がハイに切換わる。以後、この動作が繰返される。
第2比較回路70では、第3トランジスタS3と第4トランジスタS4を用いて第2コンパレータ71の反転入力端子71aに入力される電圧を中間閾値Vrefと低側オフセット閾値Vdの間で切り換える。これによって、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時と、入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時に反転する信号が出力される。
【0044】
第1選択回路80は、第1比較回路60と第2比較回路70と第1出力端子26に接続されている。図4に示すように、第1選択回路80は、フリップフロップ回路81を備えている。
フリップフロップ回路81は、セット端子81Sとリセット端子81Rと出力端子81Qを有している。フリップフロップ回路81では、セット端子81Sがローからハイに立ち上がった場合には、出力端子81Qの電圧がハイとなり、リセット端子81Rがローからハイに立ち上がった場合には、出力端子81Qの電圧がローとなる。
フリップフロップ回路81のセット端子81Sは、第2比較回路70に接続されており、図5(C)に示す信号を反転させた信号が入力されている。フリップフロップ回路81のリセット端子81Rは、第1比較回路60に接続されており、図5(B)に示す信号が入力されている。フリップフロップ回路81の出力端子81Qは、第1出力端子26に接続されている。上記に説明したフリップフロップ回路の入出力信号特性により、図5(D)に示すように、第1出力端子26からは、入力電圧が中間閾値Vrefを下回った時(t11)と、入力電圧が中間閾値Vrefを上回った時(t13)に反転する第1出力信号である2値化信号が出力される。
【0045】
第2選択回路90は、第1比較回路60と第2比較回路70と第2出力端子28に接続されている。図4に示すように、第2選択回路90は、フリップフロップ回路91を備えている。フリップフロップ回路91は、フリップフロップ回路81と同一の端子及び入出力特性を備えており、重複した説明を省略する。
フリップフロップ回路91のセット端子91Sは、第1比較回路60に接続されており、図5(B)に示す信号を反転させた信号が入力されている。フリップフロップ回路91のリセット端子91Rは、第2比較回路70に接続されており、図5(C)に示す信号が入力されている。フリップフロップ回路91の出力端子91Qは、第2出力端子28に接続されている。上記に説明したフリップフロップ回路の入出力信号特性により、図5(E)に示すように、第2出力端子28からは、入力電圧が高側オフセット閾値Vuを上回った時(t12)と、入力電圧が低側オフセット閾値Vdを下回った時(t14)に反転する第2出力信号である遅れ2値化信号が出力される。
【0046】
第3選択回路100は、第1比較回路60とピークホールド回路30に接続されている。図4に示すように、第3選択回路100は、立ち上がり検出回路101を備えている。立ち上がり検出回路101の入力端子101aには図5(B)に示す信号を反転させた信号が入力されており、立ち上がり検出回路101の出力端子101bはピークホールド回路30に接続されている。立ち上がり検出回路101は、入力端子101aから入力される信号が、ローからハイに立ち上がった際に出力端子101bから信号を出力する。前記したように、第3選択回路100がピークホールド回路30に信号を送ると、ピークホールド回路30は、カウンタ回路33の値から第1所定値を減算する。第3選択回路100がピークホールド回路30に送る信号は、ピークホールド値減少信号ということができる。
【0047】
第4選択回路110は、第2比較回路70とボトムホールド回路40に接続されている。図4に示すように、第4選択回路110は、立ち下がり検出回路111を備えている。立ち下がり検出回路111の入力端子111aには図5(C)に示す信号が入力されており、立ち下がり検出回路111の出力端子111bはボトムホールド回路40に接続されている。立ち下がり検出回路111は、入力端子111aから入力される信号が、ハイからローに立ち下がった際に出力端子111bから信号を出力する。前記したように、第4選択回路110がボトムホールド回路40に信号を送ると、ボトムホールド回路40は、カウンタ回路43の値から第3所定値を加算する。第4選択回路110がボトムホールド回路40に送る信号は、ボトムホールド値増加信号ということができる。
【0048】
上記したように、ピークホールド値減少信号とボトムホールド値増加信号は、第1比較回路60及び第2比較回路70から出力される信号の反転に基づいて出力される。第1比較回路60及び第2比較回路70から出力される信号は、入力信号が短周期で変動し、その値がVref、Vu、Vdを超えて変動することによって反転する。すなわち、入力信号が短周期で変化する場合に、ピークホールド値減少信号とボトムホールド値増加信号が出力信号生成回路120からピークホールド回路30とボトムホールド回路40へと出力される。
上記では、第1比較回路60を直接第3選択回路100に接続しており、第2比較回路70を直接第4選択回路110に接続している。これに代えて、第1比較回路60と第2比較回路70を、第2選択回路90を介して第3選択回路100と第4選択回路110に接続してもよい。
【0049】
補償信号生成回路130は、入力端子20と基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と判定クロック端子27とピークホールド回路30とボトムホールド回路40に接続されている。図6に補償信号生成回路130の具体的な構成を示す。補償信号生成回路130は、NOT回路141〜148とフリップフロップ回路151〜162とAND回路171〜179とOR回路181、182とNAND回路191、192によって構成されている。
フリップフロップ回路151〜162は、データ端子Dとクロック端子CKと反転リセット端子R(反転セット端子S)と出力端子Qと反転出力端子QBを有している。フリップフロップ回路151〜162は、データ端子Dとクロック端子CKが共にハイとなった場合に、出力端子Qの電圧がハイとなり、反転出力端子QBの電圧がローとなる。また、反転リセット端子Rがハイからローに立ち下がった場合に、出力端子Qの電圧がローになり、反転出力端子QBの電圧がハイになる。反転セット端子Sがハイからローに立ち下がった場合に、出力端子Qの電圧がハイになり、反転出力端子QBの電圧がローになる。
【0050】
図6及び図7を用いて、補償信号生成回路130の動作を説明する。図7(A)は、第1出力信号である2値化信号を示す。図7(B)は、判定クロック端子27に入力される判定クロック信号を示す。図7(C)は、AND回路175の出力信号を示す。図7(D)は、AND回路176の出力信号を示す。図7(E)は、AND回路177の出力信号を示す。図7(F)は、AND回路178の出力信号を示す。図7(G)は、補償信号生成回路130から出力される補償信号を示す。
【0051】
図7(A)に示すように、2値化信号がローからハイに反転すると、フロップフリップ回路151,153のデータ端子Dに入力される信号が、ローからハイに反転する。その一方、フロップフリップ回路155,157のデータ端子Dに入力される信号が、ハイからローに反転する。また、2値化信号はAND回路171,172の一方の入力端子に入力されている。また、2値化信号を反転させた信号がAND回路173,174の一方の入力端子に入力されている。AND回路171〜174の他方の入力端子にはリセット信号を反転させた信号が入力されている。AND回路171の出力端子がフロップフリップ回路151の反転リセット端子Rに入力されている。AND回路172の出力端子がフロップフリップ回路153の反転リセット端子Rに入力されている。AND回路173の出力端子がフロップフリップ回路155の反転リセット端子Rに入力されている。AND回路174の出力端子がフロップフリップ回路157の反転リセット端子Rに入力されている。また、フロップフリップ回路151,155のクロック端子CKには、判定クロック信号が入力されており、フロップフリップ回路153,157のクロック端子CKには判定クロック信号を反転させた信号が入力されている。また、フロップフリップ回路152のデータ端子Dは、フロップフリップ回路151の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路154のデータ端子Dは、フロップフリップ回路153の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路156のデータ端子Dは、フロップフリップ回路155の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路158のデータ端子Dは、フロップフリップ回路157の出力端子Qに接続されている。フロップフリップ回路154,158のクロック端子CKには、判定クロック信号が入力されており、フロップフリップ回路152,156のクロック端子CKには判定クロック信号を反転させた信号が入力されている。この結果、AND回路175〜178には、図7(C)〜(F)に示す信号が出力される。
AND回路175、177の出力信号がOR回路181に入力され、OR回路181の出力信号がフロップフリップ回路159、160へと入力される。OR回路181の出力信号は、フロップフリップ回路159において、基本クロック信号を用いて処理され、処理された信号がNAND回路191へと入力される。NAND回路191から出力された信号は、AND回路179の一方の入力端子へと入力される。
また、AND回路176、178の出力信号がOR回路182に入力され、OR回路182の出力信号は、フロップフリップ回路161、162へと入力される。OR回路182の出力信号がフロップフリップ回路161、162において、基本クロック信号を用いて処理され、処理された信号がNAND回路192へと入力される。NAND回路192から出力された信号は、AND回路179の他方の入力端子へと入力される。
AND回路179の出力信号がNOT回路148に入力される。この結果、図7(G)に示すように、判定クロック信号の半周期に亘って2値化信号が反転しない場合に反転し、判定クロック信号の半周期の間に2値化信号が反転した場合に反転しない(点線表示)補償信号がNOT回路148の出力端子から出力される。
【0052】
上記したように、補償信号は、2値化信号の反転に基づいて(正式には反転しないことに基づいて)出力される。2値化信号は、入力信号が短周期で変化し、その値がVref、Vu、Vdを超えて変化することによって反転する。すなわち、入力信号が短周期で変化しない場合に、補償信号が補償信号生成回路130からピークホールド回路30とボトムホールド回路40へと出力される。
【0053】
図8及び図9を用いて、2値化回路10の動作を説明する。下記の説明では、ピークホールド値減少信号によるピークホールド回路30の記憶値の補償方法及びボトムホールド値増加信号によるボトムホールド回路40の記憶値の補償方法を第1補償方法と呼ぶ。また、補償信号によるピークホールド回路30とボトムホールド回路40記憶値の補償方法を第2補償方法と呼ぶ。図9のタイマー信号は、補償信号生成回路130に内蔵されたタイマーの経過時間の監視動作を示す信号である。タイマー信号は、反転タイミングにおいて経過時間をリセットするとともに、反転タイミングからの経過時間を監視する。また、図9のドリフト補償方法は、その時刻に2値化回路10が選択している補償方法を示しており、第1補償方法が選択されている状態をロー状態として示す。また、第2補償方法が選択されている状態をハイ状態として示す。
【0054】
本実施例の2値化回路10では、時刻t0に電源を投入した後、時刻t1に補償方法を第1補償方法に設定するとともに、タイマー信号を反転させる(S12)。時刻t1以降、2値化回路10は、2値化信号の反転の発生を監視するとともに、タイマー信号の経過時間を監視する(S14)。2値化信号の反転の発生が監視されず、またタイマー信号の経過時間が判定クロック信号の半周期から決定される判定期間T10を経過しない間は(S14で(1)NO(2)NO)、現在の状態を保持する。
図9の時刻t2に示すように、2値化信号の反転が監視されない期間が、判定クロック信号の半周期から決定される判定期間T10を過ぎた(つまり、停止期間と判断された)場合には(S14で(1)NO(2)YES)、補償方法を第2補償方法へと切換えるとともに、タイマー信号を反転させる(S16)。その後、2値化信号の反転が監視されない期間が続く間(つまり停止期間であり、例えば図9の時刻t3を含む期間)は、補償方法が第2補償方法に維持され、判定期間T10の経過毎にタイマー信号を反転させる。
【0055】
次に、図9の時刻t4に示すように、判定期間T10内に2値化信号の反転が監視された(つまり、停止期間から稼動期間に切換わったと判断された)場合には(S14で(1)YES)、補償方法を第1補償方法へと切換えるとともに、タイマー信号を反転させる(S12)。その後、2値化信号の反転が監視される期間が続く間(つまり稼動期間であり、例えば時刻t5、t6を含む期間)では、補償方法が第1補償方法に維持され、2値化信号の反転毎にタイマー信号を反転させる。時刻t7、t8、t9におけるタイマー信号と補償方法の変化は、時刻t2、t3、t4と同一であり、重複した説明を省略する。
【0056】
本実施例によれば、2値化信号が判定期間T10よりも短い周期で変化しているか否かに基づいて、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値を変化させる信号を切換える。図9の時刻t4、t5、t6、t9に示すように、2値化信号が判定期間T10よりも短い周期で変化する稼動期間には、ピークホールド値減少信号とボトムホールド値増加信号を用いた第1補償方法に基づいてピークホールド回路30の第1記憶値とボトムホールド回路40の第2記憶値を補償する。これによって、稼動期間において入力信号を適切に2値化することができる。また、図9の時刻t2、t3、t7、t8に示すように、2値化信号が判定期間T10よりも短い周期で変化しない停止期間には、補償信号を用いた第2補償方法に基づいてピークホールド回路30の第1記憶値とボトムホールド回路40の第2記憶値を補償する。これによって、回転期間において入力信号を適切に2値化することができる。本実施例によれば、入力信号の状態に関わらず、入力信号を正確に2値化することができる。
【実施例2】
【0057】
図10に、2値化回路210を示す。2値化回路10との違いは、補償クロック端子29を有していることと、補償信号生成回路230が、停止判定回路222とAND回路220を備えていることである。
【0058】
補償クロック端子29は、補償信号生成回路230に接続されており、外部回路(図示されていない)から第3所定時間の間隔で変化する補償クロック信号が入力されている。
AND回路220は、補償クロック端子29とピークホールド回路30とボトムホールド回路40と停止判定回路222に接続されている。停止判定回路222は、基本クロック端子22とリセット端子24と第1出力端子26と判定クロック端子27とAND回路220に接続されている。図11に停止判定回路222の具体的な構成を示す。図6に示す補償信号生成回路130との違いは、NOT回路147とフリップフロップ回路163〜166とAND回路180とNAND回路193、194とセットリセット回路167を備えていることである。
【0059】
図11に示す停止判定回路222では、判定クロック信号の半周期に亘って2値化信号が反転しない場合にハイとなり、判定クロック信号の半周期の間に2値化信号が反転した場合にローとなる停止信号が出力される。図10に示すように、停止判定回路222から出力された停止信号はAND回路220の一方の入力端子に入力される。AND回路220の他方の入力端子には、補償クロック端子29が接続されている。そのため、図10の補償信号生成回路230では、補償クロック信号に同期した補償信号がピークホールド回路30とボトムホールド回路40に入力される。
本実施例によれば、入力信号が短周期で反転しているか否かを判定する判定クロック信号の周期と、補償信号の周期を別々に設定することができる。
【0060】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本実施例では、補償信号生成回路を備えた2値化回路を用いて説明を行ったが、2値化回路は必ずしも補償信号生成回路を備えている必要はない。図12に示すように、第1出力端子26からの2値化信号に基づいて、その一部が外部に設けられた停止判定回路を用いて停止信号を生成してもよい。
【0061】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0062】
10、210 2値化回路
20 入力端子
22 基本クロック端子
24 リセット端子
26 第1出力端子
27 判定クロック端子
28 第2出力端子
29 補償クロック端子
30 ピークホールド回路
31 コンパレータ
33 カウンタ回路
34 A/D変換回路
40 ボトムホールド回路
41 コンパレータ
43 カウンタ回路
44 A/D変換回路
50 閾値演算回路
60 第1比較回路
70 第2比較回路
80 第1選択回路
90 第2選択回路
100 第3選択回路
110 第4選択回路
120 出力信号生成回路
130、230補償信号生成回路
220 AND回路
222 停止判定回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間に対して変動する入力信号を2値化する2値化回路であって、
ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路と、補償信号生成回路を備えており、
ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第1記憶回路の記憶値を変更し、第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減算し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第2記憶回路の記憶値を変更し、第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
出力信号生成回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化し、
補償信号生成回路は、所定期間内に2値化出力が反転する場合と反転しない場合で切換わる補償信号を出力する2値化回路。
【請求項2】
時間に対して変動する入力信号を2値化する2値化回路であって、
入力信号を入力する入力端子と、第1出力信号を出力する第1出力端子と、第2出力信号を出力する第2出力端子と、ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路と、補償信号生成回路を備えており、
ピークホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されており、第1記憶回路を備えており、(1)第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、(2)出力信号生成回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第1所定値を減算し、(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第2所定値を減算し、(4)第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
ボトムホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されており、第2記憶回路を備えており、(1)第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少し、(2)出力信号生成回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第3所定値を加算し、(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第4所定値を加算し、(4)第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
出力信号生成回路は、入力端子と第1出力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されており、(1)第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化した第1出力信号を第1出力端子に出力し、(2)第1出力信号に対して所定位相遅れた第2出力信号を第2出力端子に出力し、(3)第2出力信号が一方の状態から他方の状態に反転した時にピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力し、(4)第2出力信号が他方の状態から一方の状態に反転した時にボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力し、
補償信号生成回路は、第1出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されており、所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に補償信号をピークホールド回路とボトムホールド回路に出力する請求項1に記載の2値化回路。
【請求項3】
判定クロック信号を入力するとともに、補償信号生成回路に接続する判定クロック端子を更に備えており、
補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に補償信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の2値化回路。
【請求項4】
補償クロック信号を入力するとともに、補償信号生成回路に接続する補償クロック端子を更に備えており、
補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に、補償クロック信号に同期して補償信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の2値化回路。
【請求項5】
出力信号生成回路は、閾値演算回路と第1比較回路と第2比較回路と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路と第4選択回路を備えており、
閾値演算回路は、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されており、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算し、中間閾値と高側オフセット閾値を第1比較回路に出力し、中間閾値と低側オフセット閾値を第2比較回路に出力し、
第1比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を下回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転する信号を出力し、
第2比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第4選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する信号を出力し、
第1選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第1出力端子に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った後に中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った後に中間閾値を下回った時に反転する第1出力信号を第1出力端子に出力し、
第2選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第2出力端子に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する第2出力信号を第2出力端子に出力し、
第3選択回路は、第1比較回路とピークホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力し、
第4選択回路は、第2比較回路とボトムホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力することを特徴とする請求項1〜4に記載の2値化回路。
【請求項1】
時間に対して変動する入力信号を2値化する2値化回路であって、
ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路と、補償信号生成回路を備えており、
ピークホールド回路は、第1記憶回路を備えており、第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第1記憶回路の記憶値を変更し、第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
ボトムホールド回路は、第2記憶回路を備えており、第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減算し、出力信号生成回路と補償信号生成回路からの補償信号に基づいて決定される補償方法で第2記憶回路の記憶値を変更し、第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
出力信号生成回路は、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化し、
補償信号生成回路は、所定期間内に2値化出力が反転する場合と反転しない場合で切換わる補償信号を出力する2値化回路。
【請求項2】
時間に対して変動する入力信号を2値化する2値化回路であって、
入力信号を入力する入力端子と、第1出力信号を出力する第1出力端子と、第2出力信号を出力する第2出力端子と、ピークホールド回路と、ボトムホールド回路と、出力信号生成回路と、補償信号生成回路を備えており、
ピークホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されており、第1記憶回路を備えており、(1)第1記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が高い間は第1記憶回路の記憶値を増加し、(2)出力信号生成回路からピークホールド値減少信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第1所定値を減算し、(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第1記憶回路の記憶値から第2所定値を減算し、(4)第1記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
ボトムホールド回路は、入力端子と出力信号生成回路と補償信号生成回路に接続されており、第2記憶回路を備えており、(1)第2記憶回路の記憶値よりも入力信号の電圧の方が低い間は第2記憶回路の記憶値を減少し、(2)出力信号生成回路からボトムホールド値増加信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第3所定値を加算し、(3)補償信号生成回路から補償信号を入力した時に第2記憶回路の記憶値から第4所定値を加算し、(4)第2記憶回路の記憶値を出力信号生成回路に出力し、
出力信号生成回路は、入力端子と第1出力端子と第2出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されており、(1)第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値から算出される閾値に基づいて入力信号を2値化した第1出力信号を第1出力端子に出力し、(2)第1出力信号に対して所定位相遅れた第2出力信号を第2出力端子に出力し、(3)第2出力信号が一方の状態から他方の状態に反転した時にピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力し、(4)第2出力信号が他方の状態から一方の状態に反転した時にボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力し、
補償信号生成回路は、第1出力端子とピークホールド回路とボトムホールド回路に接続されており、所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に補償信号をピークホールド回路とボトムホールド回路に出力する請求項1に記載の2値化回路。
【請求項3】
判定クロック信号を入力するとともに、補償信号生成回路に接続する判定クロック端子を更に備えており、
補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に補償信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の2値化回路。
【請求項4】
補償クロック信号を入力するとともに、補償信号生成回路に接続する補償クロック端子を更に備えており、
補償信号生成回路は、判定クロック信号の周期に基づいて決められた所定期間に亘って第1出力信号が反転しない時に、補償クロック信号に同期して補償信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の2値化回路。
【請求項5】
出力信号生成回路は、閾値演算回路と第1比較回路と第2比較回路と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路と第4選択回路を備えており、
閾値演算回路は、ピークホールド回路とボトムホールド回路と第1比較回路と第2比較回路に接続されており、第1記憶回路の記憶値と第2記憶回路の記憶値の中間閾値と、その中間閾値と第1記憶回路の記憶値の間にある高側オフセット閾値と、その中間閾値と第2記憶回路の記憶値の間にある低側オフセット閾値を演算し、中間閾値と高側オフセット閾値を第1比較回路に出力し、中間閾値と低側オフセット閾値を第2比較回路に出力し、
第1比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第3選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を下回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転する信号を出力し、
第2比較回路は、閾値演算回路と入力端子と第1選択回路と第2選択回路と第4選択回路に接続されており、入力端子の電圧が中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する信号を出力し、
第1選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第1出力端子に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った後に中間閾値を上回った時と、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った後に中間閾値を下回った時に反転する第1出力信号を第1出力端子に出力し、
第2選択回路は、第1比較回路と第2比較回路と第2出力端子に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時と、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転する第2出力信号を第2出力端子に出力し、
第3選択回路は、第1比較回路とピークホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が高側オフセット閾値を上回った時に反転するピークホールド値減少信号をピークホールド回路に出力し、
第4選択回路は、第2比較回路とボトムホールド回路に接続されており、入力端子の電圧が低側オフセット閾値を下回った時に反転するボトムホールド値増加信号をボトムホールド回路に出力することを特徴とする請求項1〜4に記載の2値化回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−220027(P2010−220027A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66235(P2009−66235)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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