説明

2成分現像装置及び画像形成装置

【課題】2成分現像装置において、現像ハウジング内現像剤の嵩量の変動の影響を抑制して現像ローラ上に現像剤を安定的な量で吸着させるとともに現像域へ搬送される現像剤量を現像に支障のない程度の少量に制限し、現像剤規制部材の上流側域での現像剤溜まり量を低減して現像剤へのストレスを低減させる。
【解決手段】現像剤規制部材より上流側域に現像剤ガイド部材を配置し、該ガイド部材の現像剤搬送部材に臨む部分に現像剤供給量制限開口部を形成配列し、該開口部は、該開口部において現像剤に働く磁界発生体の磁力による現像剤吸着力が現像剤に働く重力より大きくなる開口部とし、ガイド部材で現像ローラとの間の現像剤供給通路及び現像ハウジング内面との間の現像剤還流通路を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関係しており、特に、画像形成装置に用いる現像装置、さらに特に、画像形成装置において静電潜像担持体に形成される静電潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤で現像してトナー像を形成することができる2成分現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置において静電潜像担持体に形成される静電潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤で現像してトナー像を形成することができる2成分現像装置は、
前記現像剤を収容する現像ハウジングと、
前記現像ハウジングに設けられた回転駆動可能の現像ローラと、
前記現像ローラに内蔵され、前記現像ハウジング内の現像に供する現像剤を前記現像ローラ表面上に吸着するための、複数の磁極を有する磁界発生体と、
前記現像ローラに全体的に現像剤を搬送分配するための、前記現像ローラに臨設された回転駆動可能の現像剤搬送部材と、
前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ表面に吸着され、前記現像ローラの回転により静電潜像現像域へ搬送される現像剤の量を規制する、前記現像ローラに現像剤量規制間隙をおいて臨む現像剤規制部材を含むものが一般的である。
【0003】
図11はそのような従来現像装置の1例を示している。
図11に示す2成分現像装置4’は、現像剤Dを収容する現像ハウジング40’と、現像ハウジング40’に設けられた回転駆動可能の現像ローラ41’と、現像ローラ41’に内蔵された磁界発生体42’と、現像ローラ41’に臨む現像剤規制部材43’を含んでいる。
【0004】
現像装置4’はさらに、現像ハウジング40’内の現像剤Dを搬送しつつ現像ローラ41’へ全体的に分配する、回転駆動される現像剤搬送部材401’を含んでいる。
現像剤搬送部材401’は図11に示すように現像ローラ41’に回転中心軸線を並べて配置されるのが一般的である。
【0005】
もう一本の現像剤搬送部材(図示省略)を配置し、このもう一本の搬送部材と前記搬送部材401’とで現像剤を往復循環搬送しつつ現像ローラ41’へ分配する現像装置も知られている。
【0006】
磁界発生体42’は、現像ハウジング40’内の現像に供する現像剤を現像ローラ41’表面上に吸着する一方、現像に供されずに現像ローラ41’上に吸着されたまま現像ハウジング40’内へ戻ってくる現像剤を現像ローラ41’から分離させる低磁力域LM’を提供するための、複数の磁極を有する磁界発生体である。
【0007】
磁界発生体42’における磁極は、それとは限定されないが図11の例では、現像剤Dを現像ローラ41’へ吸い上げるキャッチ極S2、規制部材43’に対応する位置にある規制極N2、規制部材43’を通過した現像剤を静電潜像担持体1’上の静電潜像を現像する現像域Da’へ向け搬送するための搬送極S1、現像域Da’に対応する現像極N1及び前記キャッチ極S2との間に反撥磁界を形成して前記低磁力域LM’を形成する現像剤分離極S3を有している。
【0008】
磁界発生体42’の磁力により現像ローラ41’表面に吸着される現像剤は、現像ローラ41’の回転により摩擦力の作用下に現像剤規制部材43’が現像ローラ41’に臨む現像剤量規制間隙へ搬送され,そこで所定量に規制されて静電潜像現像域Da’へ搬送され、静電潜像担持体1’上の静電潜像の現像に供される。
【0009】
現像域Da’で消費されずに現像ローラ41’に保持されたまま現像ハウジング40’へ戻ってくる現像剤は、低磁力域LM’で現像ローラから剥落する。低磁力域LM’は現像ローラ41’表面上の磁束密度が例えば5mT以下である。
【0010】
なお、いずれにしても、現像ローラの回転による現像剤搬送のための前記摩擦力を発生させる垂直抗力は、主として、現像ローラに内蔵された磁界発生体から発生する磁界による磁力の現像ローラ半径方向成分である。現像剤搬送のために要求されるこの垂直抗力、換言すれば磁界発生体の磁力の現像ローラ半径方向成分を得るため、一般的に用いられている磁界発生体を内蔵した現像ローラの表面の磁束密度分布は数十〜百mT程度である。
【0011】
この点に関しては、特開2008−15197号公報に次の現像装置が記載されている。すなわち、現像ローラによる現像剤の搬送性を向上させるために、現像剤規制部材の上流側域に現像ローラに間隔をおいて臨む現像剤スリップ規制部材を配置し、この部材により現像剤を現像ローラへ押さえ付けて現像剤の現像ローラに対するスリップを抑制し、換言すれば、現像剤を現像ローラへ押さえ付けて現像ローラと現像剤間の、現像剤搬送に要求される摩擦力を確保することが記載されている。
【0012】
以上説明したような従来の2成分現像装置では、特開2008−15197号公報に記載されているような現像装置を別にすれば、磁界発生体の磁力により現像ローラに吸着される現像剤の量は、現像剤の嵩の変動や、2成分現像装置に設けられているのが一般的である前記の現像剤搬送部材401’のような現像剤搬送部材の位置や現像剤搬送ムラなどにより変動し、この現像ローラ上の現像剤量の変動により現像形成される画像品質が低下することがある。
【0013】
そこで現像ローラ上に吸着される現像剤量の変動に左右されずに、現像域へ搬送する現像剤量を均一化するのに有効な手法として、現像域へ搬送すべき量よりも多くの現像剤を現像ローラへ供給し(現像ローラ上に吸着させ)、現像剤規制部材にて一定以上の圧力下で現像剤量を規制する方法が多くの現像装置で採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−15197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、現像剤規制部材による規制部で現像剤に作用する高い圧力は現像剤へのストレスとなり、また、規制部で進行を止められた現像剤が現像ローラによる摺擦力を受け、この点も現像剤へのストレスとなり、これらストレスのため長期にわたる現像装置の使用では現像剤の劣化を招き、ひいては現像形成される画像の品質低下を招く。また、現像ローラによる現像剤の摺擦のために、それだけ大きい現像ローラ回転トルクが要求されることになり、今日の省エネルギー化の要請に反することにもなる。これらのことから規制部で現像剤に作用する圧力や現像ローラによる摺擦力を低くすることが求められる。
【0016】
さらに説明すると、現像剤規制部材で現像域への移動が規制された現像剤は、磁力によって現像ローラ近くに拘束されるため、現像ローラ回転方向における現像剤規制部材の上流側域(図11の装置4’では上流側域Ar)に現像剤の溜まり部が発生し、そこでは現像剤へのストレスが大きくなり、現像ローラにより現像剤が摺擦される。
【0017】
現像ローラへの現像剤吸着量を減らせば、規制しなければならない現像剤の量も減らすことができるが、現像剤の溜まり量は、現像剤規制部付近の構造状態や磁力によって決まるので、規制部で量規制を行う以上、
規制部材通過前の現像ローラ上現像剤量>規制部材を通過した現像剤量
となることから、結局現像剤の溜まり量を減らすことはできず、現像剤のストレスを減らすことや、現像ローラによる現像剤の摺擦を減らすことは困難である。
【0018】
図12に示す現像装置4”は図11に示す現像装置4’において、現像剤規制部材43’の上流側の空間を狭くAr’に設定したものであるが、このように現像剤規制部材43’の上流側の空間を狭く 設定すれば、規制部材より上流側に現像剤の溜まり部は発生し難くなり、規制前でストレスを受ける現像剤の量は減るが、逆に現像剤が詰め込まれる格好となり、一つ当たりの(個々の)現像剤構成粒子が受けるストレスは高くなってしまう。
【0019】
特開2008−15197号公報に記載されたタイプの現像装置であれば、スリップ規制部材と現像剤規制部材とが離隔されており、それにより圧力を解放することで規制部における現像剤ストレスの抑制が可能である。しかしながら、スリップ規制部材の上流側端(現像ローラ回転方向において上流側の端)のところで、そこへ供給される現像剤の量を規制することになるので、その部分で現像剤の溜りが生じ、現像剤ストレスが発生する。このように現像剤ストレスが発生することに変わりはない。
【0020】
そこで図9に例示する現像装置や、図10に例示する現像装置が考えられる。
図9に例示する現像装置4Aは静電潜像担持体(図示例では感光体1)に形成される静電潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤Dで現像してトナー像を形成することができる2成分現像装置である。
【0021】
現像装置4Aも図11や図12の現像装置と同様に現像剤Dを収容する現像ハウジング40と、現像ハウジング40に設けられた回転駆動可能の現像ローラ41と、現像ローラ41に内蔵された磁界発生体42を含んでいる。
【0022】
現像ローラ41は、現像ハウジング40の感光体1に向かって開かれた開口部から感光体1に現像間隙をおいて臨み、図示省略の現像モータにより図9において時計方向CWまわりに回転駆動可能である。
【0023】
磁界発生体42は図11等に示される磁界発生体42’と同様にキャッチ極S2、規制極N2、現像剤搬送極S1、現像極N1、現像剤分離極S3を有している。磁界発生体42は現像ハウジング40内の現像に供する現像剤を現像ローラ41の表面上に吸着する一方、現像に供されずに現像ローラ41上に吸着されたまま現像ハウジング40内へ戻ってくる現像剤を現像ローラ41から分離させる低磁力域LMを提供するための、複数の磁極を有する磁界発生体である。
【0024】
また現像装置4Aも磁界発生体42の磁力により現像ローラ41表面に吸着され、現像ローラ41の回転により静電潜像現像域Daへ搬送される現像剤の量を規制する、現像ローラ41に現像剤量規制間隙g1をおいて臨む現像剤規制部材43を含んでいる。
【0025】
この現像装置4Aは、現像ローラ41の回転方向CWにおいて現像剤規制部材43より上流側域で現像ローラ41と現像ハウジング40の内面401との間に配置された現像剤ガイド部材45aを含んでいる。
【0026】
ガイド部材45aは、現像ローラ41との間に、現像剤量規制間隙g1へ現像剤Dを導き供給するための現像剤供給通路46aを提供しているとともに、現像ハウジング内面401との間に、現像ローラ回転方向CWにおけるガイド部材上流側端451aへ向け現像剤を還流させる現像剤還流通路47aを提供している。ガイド部材45aはさらに現像ローラ回転方向におけるガイド部材下流側端部において現像剤供給通路46aと現像剤還流通路4aとを連通させる連通路(圧逃げ開口部)48aを提供している。
【0027】
ガイド部材45aの現像ローラ回転方向CWにおける上流側端451aは、図示例では低磁力域LMより下流側において該低磁力域に最も近い磁界発生体磁極の磁束密度のピーク位置上又はそれより上流側且つ低磁力域LMより下流側に位置している。
【0028】
なお、現像装置4Aでは、現像ローラ41へ現像剤Dを搬送分配するための現像剤搬送部材として、現像剤を攪拌しつつ(それによりトナーを摩擦帯電させつつ)現像ローラ41の幅方向(回転中心線CLの方向)に沿って搬送し、現像ローラ41の現像剤を保持すべき各部に現像剤を分配するための一対の現像剤搬送部材441、442を含んでいる。
【0029】
現像剤搬送部材441、442は現像ローラ41と並行に、現像ハウジング40内に回転可能に配置されている。現像剤搬送部材441、442は本例ではスクリューコンベアであり、図示省略の前記現像モータにより伝動機構を介して回転駆動できる。
【0030】
図9において、現像剤Dは一方の搬送部材441により手前側から奥側へ搬送され、両搬送部材間に設けられた仕切り壁400の奥側部位に形成された開口(図示省略)から他方の搬送部材442へ移動し、搬送部材442により奥側から手前側へ搬送され、仕切り壁400の手前側部位に形成された開口(図示省略)から搬送部材441へ移動するというように循環搬送される。
【0031】
現像ローラ41に臨む搬送部材441は現像剤Dを現像ローラ41の幅方向に沿って搬送しつつ現像ローラ各部へ現像剤を分配する。補給トナーは、例えば搬送部材442の奥側部位に供給することができる。
【0032】
2成分現像装置4Aによると、現像ローラ41への現像剤供給量が現像剤ガイド部材45aの上流側の端451aによって制限されるとともに、ガイド部材45aによって、現像剤規制部材43による現像剤量規制部前の現像剤流れ経路として以下の二つの経路が形成される。
経路1:現像ローラとガイド部材との間に形成される空間(現像剤供給通路)。
経路2:ガイド部材と現像ハウジングとの間に形成される空間(現像剤還流通路)。
【0033】
経路1は、ガイド部材45aによって現像ローラ表面との間隔が制限されているので、この経路1を搬送されてくる現像剤の現像剤規制部での溜まり量はガイド部材45aが無い場合と比べると少ない。
【0034】
さらに、現像剤規制部前の現像剤圧力は、経路1(現像剤供給通路46a)と経路2(現像剤還流通路47a)とを連通させる連通路(圧逃げ開口部)48aにより解放され、現像剤規制部前の現像剤は経路2を通じてガイド部材45aの上流側端(現像剤の供給部)へ向け返されるので、現像剤規制部前の現像剤圧力が高まりすぎることを防げる。
【0035】
かくして、現像ローラ回転方向において現像剤規制部材43に隣り合う上流側域での現像剤溜まり量を、現像剤構成粒子個々のストレスを抑制しつつ低減でき、それにより、現像剤規制部材43に隣り合う上流側域での現像剤ストレスを低減できる。
【0036】
図10に例示する現像装置4Bは、前記現像装置4Aにおいてガイド部材45aを現像剤ガイド部材45bに置き換えたものである。その他の点は現像装置4Aと同様である。現像装置4Aにおける部品、部分等と同じ部品、部分等には現像装置4Aと同じ参照符号を付してある。
【0037】
現像装置4Bにおける現像剤ガイド部材45bは前記ガイド部材45aと比べると現像ローラ回転方向において上流側へ長く延びており、現像ローラ41と(現像ハウジング内面401及び現像ローラ41に臨む現像剤搬送部材441)との間に位置している。図示例では、ガイド部材45bの上流側端451bは概ね磁石体42の低磁力域LMまで延在している。
【0038】
ガイド部材45bはガイド部材45aの場合と同様に、現像ローラ41との間に現像剤供給通路46bを提供しているとともに現像ハウジング内面401との間に現像剤還流通路47bを提供している。ガイド部材45bの現像ローラ回転方向において下流側の端部には通路46b、47bを連通させる連通路(圧逃げ開口部)48bが形成されている。
【0039】
ガイド部材45bには現像剤供給量制限スリット49bが形成されている。スリット49bは現像ローラ41の幅方向(回転中心線方向)と並行に延びている。
【0040】
2成分現像装置4Bによると、現像剤規制部材43より上流側域では、現像剤搬送部材441により現像ローラ41に対して搬送分配される現像剤が磁界発生体42の磁力により現像ローラ41の方へ吸引されるが、ガイド部材45bがあるため、該ガイド部材の現像剤搬送部材側の面に吸着される。
【0041】
ガイド部材45bの現像剤搬送部材441側の面に吸着された現像剤の一部は、現像剤供給量制限スリット49bを通して、該スリットに制限された量で現像ローラ41上に吸着され、さらにガイド部材45bと現像ローラ41との間の間隙(現像ローラ半径方向の間隙)g2bの大きさに制限された量で現像ローラ41の駆動回転に伴って現像剤供給通路46bを通って現像剤量規制間隙へ搬送される。
【0042】
ここでガイド部材45bと現像ローラ41との間の間隙g2bの大きさ及び現像剤供給量制限スリット49bのサイズ(特にスリット幅g3b)は予め所望サイズのものにしておくことができる。
【0043】
2成分現像装置では、現像域において現像ローラ上に保持されている現像剤量が多すぎると、言いかえれば、現像域において現像ローラ上に現像剤が密集しすぎると、現像ローラに静電潜像現像のための現像バイアスを印加したときトナーが動きにくく、良好な現像を行えなくなることがある。
【0044】
現像装置4Bではその点も考慮して、ガイド部材45bの現像ローラ41に対する位置や現像剤供給量制限スリット49bのサイズ(特にスリット幅)を静電潜像現像に支障のない量の現像剤を現像ローラ41上に吸着させて現像剤規制部へ搬送できる程度のものに設定しておくことができる。そうすることで、スリット49bを通して、現像域Daでの静電潜像現像に支障のない量に制限された現像剤量だけを現像ローラ41上に吸着させるとともに現像剤規制部材43へ向け搬送することができる。
【0045】
また、現像装置4Bでは、現像剤供給量制限スリット49bを有するガイド部材45bが現像ローラ41への現像剤吸着量の変動吸収機能を発揮することができ、静電潜像現像に支障のない量に制限された現像剤量だけを安定的に現像ローラ41上に吸着させるとともに現像剤規制部材43へ向け搬送することができる。
【0046】
かくして現像装置4Bでは、現像剤規制部材43の上流側域での現像剤溜まり量を少なく抑制することができ、現像に寄与しない現像剤の供給を抑制して、現像に寄与しない現像剤への圧力と現像ローラ41の摺擦によるストレスを低減させ、ひいては現像形成される画像の品質を良好にすることができるとともに現像ローラ41による現像剤摺擦を低減して現像ローラ回転トルクの上昇をそれだけ抑制することができる。
【0047】
ところが、実際の現像装置の使用においては、現像ハウジング内の現像剤量(嵩)が変動し、そのため現像ハウジング内の現像剤上面高さ位置が変動することがある。
現像剤供給量制限スリット49bを有するガイド部材45bを採用した現像装置4Bでは、現像ハウジング40内の現像剤上面高さ位置が低くなりすぎると、静電潜像現像に支障のない量より少量の現像剤しか現像ローラ41上に吸着させることができないようになるおそれがある。
【0048】
例えば、既に説明したとおり2成分現像装置では、現像域において現像ローラ上に保持されている現像剤量が多すぎると、現像バイアスのもとでのトナーの動きが容易ではなくなり、良好な現像を行えなくなることがある。そこでこの点を考慮して、現像剤供給量制限スリット49bの現像ローラ回転方向の幅を小さくした場合、現像ハウジング内の現像剤上面高さが下降するなど変動すると、該スリットを通して現像剤を現像ローラ41へ吸引しようとしても、該スリットに臨む現像剤量が少なくなりすぎて(従って磁性キャリアの量が少なくなりすぎて)磁界発生体42の磁力による吸引力を現像剤に十分及ぼし難くなることがあり、また例えば低温低湿環境下のようにトナーとキャリアが互いに付着しやすくなる条件下で大きい凸凹粒子が増えたときや、現像装置製造時のばらつきにより前記スリットサイズがバラつく場合には、所望の少量現像剤を安定的に現像ローラ上に吸引することが困難になる。
【0049】
そこで本発明は、
静電潜像担持体に形成される静電潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤で現像してトナー像を形成することができる2成分現像装置であり、
前記現像剤を収容する現像ハウジングと、
前記現像ハウジングに設けられた回転駆動可能の現像ローラと、
前記現像ローラに内蔵され、前記現像ハウジング内の現像に供する現像剤を前記現像ローラ表面上に吸着するための、複数の磁極を有する磁界発生体と、
前記現像ローラに全体的に現像剤を搬送分配するための、前記現像ローラに臨設された回転駆動可能の現像剤搬送部材と、
前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ表面に吸着され、前記現像ローラの回転により静電潜像現像域へ搬送される現像剤の量を規制する、前記現像ローラに現像剤量規制間隙をおいて臨む現像剤規制部材を含む2成分現像装置であって、
前記現像ハウジング内の現像に供する現像剤の嵩量の変動の影響を抑制して前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ上に現像剤を安定的な量で吸着させることができるとともに前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ上に吸着されて前記現像剤量規制間隙へ、さらに前記現像域へ向け搬送される現像剤の量を現像に支障のない程度の少量に制限でき、また該現像剤供給量の制限により、前記現像ローラ回転方向において前記現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤溜まり量を低減して現像剤へのストレスを低減させることができる2成分現像装置を提供することを第1の課題とする。
【0050】
また本発明は、静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、少なくとも一つの現像装置が2成分現像装置であり、少なくとも一つの2成分現像装置について、現像ハウジング内の現像に供する現像剤の嵩量の変動の影響を抑制して現像ローラ上に内蔵磁界発生体の磁力により現像剤を安定的な量で吸着させることができるとともに磁界発生体の磁力により現像ローラ上に吸着されて現像剤量規制間隙へ、さらに静電潜像現像域へ向け搬送される現像剤の量を現像に支障のない程度の少量に制限でき、また該現像剤供給量の制限により、現像ローラ回転方向において現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤溜まり量を低減して現像剤へのストレスを低減させることができ、全体としてそれだけ良好な画像を形成することができる画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0051】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
静電潜像担持体に形成される静電潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤で現像してトナー像を形成することができる2成分現像装置であり、
前記現像剤を収容する現像ハウジングと、
前記現像ハウジングに設けられた回転駆動可能の現像ローラと、
前記現像ローラに内蔵され、前記現像ハウジング内の現像に供する現像剤を前記現像ローラ表面上に吸着するための、複数の磁極を有する磁界発生体と、
前記現像ローラに全体的に現像剤を搬送分配するための、前記現像ローラに臨設された回転駆動可能の現像剤搬送部材と、
前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ表面に吸着され、前記現像ローラの回転により静電潜像現像域へ搬送される現像剤の量を規制する、前記現像ローラに現像剤量規制間隙をおいて臨む現像剤規制部材を含む2成分現像装置であって、
前記現像ローラの回転方向において前記現像剤規制部材より上流側域で前記現像ローラと前記現像ハウジング内面及び前記現像剤搬送部材との間に配置されるとともに前記現像ローラに間隙をおいて臨設された現像剤ガイド部材を含んでおり、前記現像剤ガイド部材は前記現像ローラとの間に前記現像剤量規制間隙へ向け現像剤を供給するための現像剤供給通路を提供しており、前記現像剤ガイド部材の前記現像剤搬送部材に臨む部分に前記現像ローラの幅方向と並行方向に現像剤供給量制限開口部が複数形成配列されており、前記各現像剤供給量制限開口部は、該開口部において現像剤に働く前記磁界発生体の磁力による前記現像ローラへの現像剤吸着力が該現像剤吸着力に抗して該現像剤に働く重力より大きくなる開口部であり、前記現像剤ガイド部材は前記現像ハウジングの内面との間に、前記現像剤ガイド部材の現像剤供給量制限開口部を介しての前記現像ローラへの現像剤吸着域へ向け現像剤を還流させる現像剤還流通路も提供しており、前記現像剤ガイド部材の前記現像ローラ回転方向における下流側端部に前記現像剤供給通路と前記現像剤還流通路とを連通させる圧逃げ開口部が形成されている2成分現像装置を提供する。
【0052】
また本発明は前記第2の課題を解決するため、
静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であり、少なくとも一つの現像装置が本発明に係る2成分現像装置である画像形成装置を提供する。
【0053】
本発明に係る2成分現像装置において前記複数の現像剤供給量制限開口部は、該複数の現像剤供給量制限開口部の開口面積の総和が、該複数の現像剤供給量制限開口部の開口面積を全部使って該開口部を通して前記現像ローラ上に現像剤が吸着されるとすれば前記静電潜像現像域での前記静電潜像担持体上の静電潜像の現像に要求される現像剤量を該静電潜像現像域へ供給できる程度に制限設定されているものである。
【0054】
前記複数の現像剤供給量制限開口部は、該複数の現像剤供給量制限開口部の開口面積の総和が、該複数の現像剤供給量制限開口部に代えて前記現像ローラの幅方向と並行に延びる図10に示すタイプの一つの現像剤供給量制限スリットを採用し、且つ、そのスリット開口面積を前記静電潜像現像域での前記静電潜像担持体上の静電潜像の現像に要求される現像剤量を該静電潜像現像域へ供給できる程度に制限された面積とした場合における該スリットの開口面積と等しく(等しいとみて差し支えない面積も含むに)制限設定されている場合を例示できる。
【0055】
前記複数の現像剤供給量制限開口部は、形状、開口面積等において同じ開口部とすることができ、その場合、個々の開口部の幅(現像ローラ回転方向に沿った開口幅寸法)は前記スリットの同方向の幅より大きいものとなる。
【0056】
本発明に係る2成分現像装置によると、前記現像剤規制部材より上流側域では、現像剤は前記現像剤搬送部材により現像ローラに対して搬送分配されようとし、前記磁界発生体の磁力により現像ローラの方へ吸引される。このとき前記現像剤ガイド部材があるため、現像剤は該ガイド部材の現像剤搬送部材側の面に吸着されようとする。
【0057】
前記現像剤ガイド部材の前記現像剤搬送部材側の面に吸着されようとする現像剤の一部は、該ガイド部材に形成配列された現像剤供給量制限開口部に入り込む。このとき、各現像剤供給量制限開口部は、該開口部における現像剤に働く前記磁界発生体の磁力による前記現像ローラへの吸着力が該吸着力に抗して該現像剤に働く重力より大きくなる開口部に設定されているから、現像剤は該現像剤供給量制限開口部を通して、該開口部の開口面積で制限された安定的な量で現像ローラ上に吸着され、さらにガイド部材と現像ローラとの間の現像剤供給通路を通って現像剤量規制間隙へと搬送される。
【0058】
また、前記現像剤供給量制限開口部は前記現像ローラの幅方向と並行方向に複数分散形成され配列されており、該開口部の開口面積の総和は前記静電潜像現像域での静電潜像担持体上の静電潜像の現像の要求される現像剤量の該静電潜像現像域への供給を可能にする程度のものであるから、現像ローラ幅方向に沿って延びる一つの、開口面積が前記制限開口部の開口面積の総和と同じであるスリットを採用するような場合と比べると、現像剤供給量制限開口部は現像ローラ回転方向の幅を前記スリットの場合より大きくすることができ、そうすることで前記現像ハウジング内の現像剤嵩量に少しぐらい変動があっても、従って前記現像ハウジング内の現像剤上面高さ位置に少しぐらい変動があっても、現像剤は該現像剤供給量制限開口部を通して、該開口部の開口面積で制限された安定的な量で現像ローラ上に吸着され、さらにガイド部材と現像ローラとの間の現像剤供給通路を通って現像剤量規制間隙へと搬送される。
【0059】
また前記現像剤ガイド部材は前記現像ハウジングの内面との間に前記現像剤還流通路も提供しており、前記現像剤ガイド部材の下流側端部には前記現像剤供給通路と前記現像剤還流通路とを連通させる圧逃げ開口部が形成されている。
【0060】
従って現像剤は、該現像剤供給量制限開口部を通して、該開口部の開口面積で制限された安定的な量で現像ローラ上に吸着され、さらにガイド部材と現像ローラとの間の供給量規制能のある現像剤供給通路を通って現像剤量規制間隙へと搬送されることと、現像剤規制部前の現像剤圧力は、現像剤供給通路と現像剤還流通路とを連通させる連通路(圧逃げ開口部)により解放されることとがあいまって、前記現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤溜まり量を低減でき、該現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤ストレスを低減できる。
【0061】
前記静電潜像現像域への現像剤供給量が不足しないように前記現像剤規制部材へ現像剤を供給できるように、前記現像ローラと前記現像剤ガイド部材との間隙は前記現像剤規制部材により提供されている前記現像剤量規制間隙より大きくしておく場合を例示できる。
【0062】
現像剤ストレス低減のために、例えば、前記現像剤ガイド部材に形成された前記複数の現像剤供給量制限開口部の開口面積の総和を前記現像剤ガイド部材の下流側端部の前記圧逃げ開口部の開口面積より小さくしておいてもよい。
【0063】
前記現像剤ガイド部材の下流側端部の前記圧逃げ開口部は前記現像ローラ幅方向と並行方向に複数形成配列された分散圧逃げ開口部で提供してもよい。その場合には前記複数の現像剤供給量制限開口部の開口面積の総和を前記複数の分散圧逃げ開口部の開口面積の総和より小さくしておく例を挙げることができる。
【0064】
前記現像剤還流通路には自身に流れ込んでくる現像剤を前記現像ローラへの現像剤吸着域へ向け還流させる搬送装置(例えば、回転駆動可能の搬送用パドル)を設けてもよいが、前記現像剤還流通路は自身に流れ込んでくる現像剤を重力で前記現像ローラへの現像剤吸着域へ向け還流させる通路であってもよい。
【0065】
本発明に係る画像形成装置では少なくとも一つの現像装置に本発明に係る2成分現像装置が採用されているので、該少なくとも一つの現像装置について、現像ハウジング内の現像に供する現像剤の嵩量の変動の影響を抑制して前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ上に現像剤を安定的な量で吸着させることができるとともに前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ上に吸着されて前記現像剤量規制間隙へ、さらに前記現像域へ向け搬送される現像剤の量を現像に支障のない程度の少量に制限でき、また該現像剤供給量の制限により、前記現像ローラ回転方向において前記現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤溜まり量を低減して現像剤へのストレスを低減させることができ、全体としてそれだけ良好な画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0066】
以上説明したように本発明によると、
静電潜像担持体に形成される静電潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤で現像してトナー像を形成することができる2成分現像装置であり、
前記現像剤を収容する現像ハウジングと、
前記現像ハウジングに設けられた回転駆動可能の現像ローラと、
前記現像ローラに内蔵され、前記現像ハウジング内の現像に供する現像剤を前記現像ローラ表面上に吸着するための、複数の磁極を有する磁界発生体と、
前記現像ローラに全体的に現像剤を搬送分配するための、前記現像ローラに臨設された回転駆動可能の現像剤搬送部材と、
前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ表面に吸着され、前記現像ローラの回転により静電潜像現像域へ搬送される現像剤の量を規制する、前記現像ローラに現像剤量規制間隙をおいて臨む現像剤規制部材を含む2成分現像装置であって、
前記現像ハウジング内の現像に供する現像剤の嵩量の変動の影響を抑制して前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ上に現像剤を安定的な量で吸着させることができるとともに前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ上に吸着されて前記現像剤量規制間隙へ、さらに前記現像域へ向け搬送される現像剤の量を現像に支障のない程度の少量に制限でき、また該現像剤供給量の制限により、前記現像ローラ回転方向において前記現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤溜まり量を低減して現像剤へのストレスを低減させることができる2成分現像装置を提供することができる。
【0067】
また本発明によると、静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、少なくとも一つの現像装置が2成分現像装置であり、少なくとも一つの2成分現像装置について、現像ハウジング内の現像に供する現像剤の嵩量の変動の影響を抑制して現像ローラ上に内蔵磁界発生体の磁力により現像剤を安定的な量で吸着させることができるとともに磁界発生体の磁力により現像ローラ上に吸着されて現像剤量規制間隙へ、さらに静電潜像現像域へ向け搬送される現像剤の量を現像に支障のない程度の少量に制限でき、また該現像剤供給量の制限により、現像ローラ回転方向において現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤溜まり量を低減して現像剤へのストレスを低減させることができ、全体としてそれだけ良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置に採用されている本発明に係る2成分現像装置例の概略断面図である。
【図3】図(A)は図2の現像装置における現像剤ガイド部材の一部の斜視図であり、図(B)は該現像剤ガイド部材の一部の平面図である。
【図4】図(A)は図2の現像装置における現像剤供給量制限開口部を通しての現像剤吸引状態を、図(B)は図10のタイプの現像装置における現像剤供給量制限スリットを通しての現像剤吸引状態を示す図である。
【図5】現像剤ガイド部材の他の例の一部の斜視図である。
【図6】現像剤ガイド部材のさらに他の例の一部の平面図である。
【図7】現像剤ガイド部材のさらに他の例の一部の平面図である。
【図8】現像剤供給量評価のための実験結果を示す図である。
【図9】考えられる現像装置例を示す図である。
【図10】考えられる現像装置の他の例を示す図である。
【図11】従来の現像装置例を示す図である。
【図12】従来の現像装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例及び本発明に係る2成分現像装置の例について説明する。
【0070】
図1は本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示している。
図1に示す画像形成装置10はモノクロ画像を記録紙等の記録シートS上に形成する電子写真方式の画像形成装置である。
【0071】
画像形成装置10は、ドラム型感光体1を含んでおり、感光体1の周囲に帯電器2、画像露光装置3、現像装置4、転写ローラ5及びクリーニング装置6がこの順序で配置されている。画像形成装置10はこれらのほか、図示省略の記録シート供給部を備えているとともに、該記録シート供給部から供給されてくるシートSの搬送方向において転写ローラ5より下流側に定着装置7及びシート排出トレイ(図示省略)等を備えている。
【0072】
感光体1は負帯電性の感光体であり、帯電器2によりその表面を一様に所定負電位に帯電させることができる。
画像露光装置3は帯電器2による感光体帯電域に画像露光を施すことで形成しようとする画像に応じた静電潜像を形成するものであり、図示省略の画像読み取り装置、コンピュータ、外部ファクシミリ機等から提供される画像情報に応じて画像露光を施すものである。
【0073】
現像装置4はトナーと磁性キャリアを含む2成分現像剤を用いて感光体1上の静電潜像を現像する2成分現像装置であり、負に帯電したトナーで反転現像により静電潜像を可視トナー像とするものである。現像装置4については後ほどさらに説明する。
【0074】
画像形成装置10によると次のようにしてシートSにトナー画像を形成することができる。
図示省略の感光体駆動モータにより図中時計方向に回転駆動される感光体1の表面を、図示省略の帯電用電源から帯電用電圧が印加された帯電器2により一様に所定電位に帯電させる。その帯電域に画像露光装置3から画像露光して、形成しようとする画像に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像を2成分現像装置4で現像してトナー像を形成する。
【0075】
一方、図示省略の記録シート供給部から記録シートSをタイミングローラTRへ供給し、タイミングローラTRにて記録シートSを、その画像形成対象域にトナー像が転写されるタイミングで感光体1と転写ローラ5との間の転写部に突入、通過させる。このとき、転写ローラ5には図示省略の転写電源から転写電圧を印加し、感光体1上のトナー像をシートSへ転写する。
【0076】
このようにしてトナー像が転写された記録シートSは定着装置7を通過することで加熱加圧下にトナー像が定着され、シート排出トレイへ排出される。
トナー像転写後の感光体1表面はクリーニング装置6により清掃され、次の画像形成に備えられる。
【0077】
2成分現像装置4についてさらに説明する。
図2は図1の画像形成装置に採用されている2成分現像装置4の概略断面構造を示している。現像装置4は図10に示す現像装置4Bにおいて現像剤ガイド部材45bを現像剤ガイド部材45に置き換えたものである。その他の点は現像装置4Bと同様である。現像装置4Bにおける部品、部分等と同じ部品、部分等には現像装置4Bと同じ参照符号を付してある。
【0078】
もう少し詳しく説明すると、現像装置4はトナーと磁性キャリアを含む所謂2成分現像剤Dを収容する現像ハウジング40と、現像ハウジング40に回転可能に取り付けられた現像ローラ41と、現像ローラ41に内蔵された磁界発生体42と、現像ローラ41に現像剤量規制間隙g1をあけて臨設された現像剤規制部材43を含んでいる。
【0079】
現像ローラ41はスリーブの形態の非磁性ローラであり、現像スリーブとも称されており、表面はブラスト処理等により現像剤Dを搬送するのに適度の粗さを有している。それとは限定されないが本例では外径16mmである。現像剤規制部材43は磁性材料からなっている。
【0080】
現像ローラ41は、感光体1に向かって開かれた現像ハウジング40の開口部から感光体1に現像間隙をおいて臨み、図示省略の現像モータにより図2において時計方向まわりCWに回転駆動可能である。現像ローラ41は画像形成する記録シートSの搬送方向に直角な方向の幅に対応できるように、回転中心線CLの方向に長く形成されている。
【0081】
現像装置4は現像装置4Bの場合と同じ構造で、同様に動作する一対の現像剤搬送部材441、442を含んでいる。現像剤搬送部材441、442は、現像剤を攪拌しつつ(それによりトナーを摩擦帯電させつつ)現像ローラ41の幅方向(回転中心線CLの方向)に沿って搬送し、現像ローラ41の現像剤を保持すべき各部に現像剤を分配できる。
【0082】
磁界発生体42も現像装置4Bの場合と同じ構造で、同じ作用を示す磁界発生体である。さらに説明すると、磁界発生体42は、それとは限らないが、本例では永久磁石を組み合わせ配列してロール状に形成したもので、周面に磁極であるS極及びN極を有するものである。なお、磁界発生体42における磁極配置は図2に示すものに限定されるものではない。静電潜像現像に支障のない範囲で他の磁極配置の採用も可能である。
【0083】
現像剤Dを構成するトナーは、それとは限定されないが本例では、重合法により作られた平均粒径6μmの、負帯電させて用いるトナーであり、磁性キャリアは平均粒径33μmのキャリアである。
【0084】
現像装置4はさらに、現像剤のガイド部材45を含んでいる。ガイド部材45は、非磁性材料で形成されており、現像ローラ41の回転方向において現像剤規制部材43より上流側域において、現像ローラ41と、現像ハウジング40の内面401及び現像剤搬送部材441との間に配置されており、現像ローラ41に間隙(現像ローラ半径方向間隙)g2をおいて臨んでいる。
【0085】
ガイド部材45は、現像ローラ41との間に現像剤量規制間隙g1へ向け現像剤Dを供給するための現像剤供給通路46を提供している。
現像ローラ41と現像剤ガイド部材45との間隙g2は現像剤規制部材43により提供されている現像剤量規制間隙g1より大きい。
【0086】
ガイド部材45は、また、現像ハウジング内面401との間に間隙g6をおいて配置されており、現像ハウジング内面401との間に、現像ローラ回転方向におけるガイド部材上流側端部に形成された開口部49のある現像剤供給域(現像剤吸着域)へ向け現像剤Dを還流させる現像剤還流通路47を提供している。開口部49は現像剤供給量制限開口部であるが、これについては後ほど詳述する。
【0087】
本例では間隙g6は、ガイド部材45と現像ハウジング内面401との間の空間のどこの間隙g6であっても間隙g1や間隙g2より大きい。
【0088】
ガイド部材45の現像ローラ回転方向において下流側端部、さらに言えば、現像剤規制部材43に近い部位には、現像剤供給通路46から現像剤還流通路47へ連通する、間隙g5の連通路(換言すれば、圧逃げ開口部)48が形成されている。本例では開口部48の間隙g5は前記間隙g1より大きく、また間隙g2より大きい。
【0089】
ガイド部材45の現像ローラ回転方向における上流側の端451は低磁力域LWにあり、現像剤搬送部材441のスクリュー回転空間域441aに対し間隙g4(例えば1mm程度の間隙)をおいて接近配置されている。
【0090】
ガイド部材45の現像ローラ回転方向における上流側端部には複数の現像剤供給量制限開口部49が形成されており、この開口部49を通して現像剤搬送部材441から現像ローラ41へ現像剤が吸着されるようになっている。
【0091】
ガイド部材45の現像剤供給量制限開口部49は、例えば前記低磁力域LMより下流側で該低磁力域LMに最も近い磁極(ここではキャッチ極S2)の磁束密度のピーク位置上(換言すれば、磁極S2の磁束密度のピークに対応する位置上)、或いはそれより上流側に形成する。図示例では、概ねキャッチ極S2に対応させて形成してある。
【0092】
図3(A)は現像剤ガイド部材45の一部の斜視図であり、図3(B)は現像剤ガイド部材45の一部の平面図である。
【0093】
図3に示すように開口部49は現像ローラ幅方向と並行な方向に等間隔で複数形成配列されている。各開口部49は本例では半円状の開口部であり、いずれの開口部も開口面積は等しい。
【0094】
各開口部49は、開口部49において現像剤Dに働く磁界発生体42の磁力による現像ローラ41への現像剤吸着力が該現像剤吸着力に抗して該現像剤に働く重力より大きくなる開口部である。
【0095】
複数の開口部49は、それらの開口面積の総和が、該複数の開口部49の開口面積を全部使って該開口部を通して現像ローラ41上に現像剤が吸着されるとすれば感光体1上の静電潜像の現像に要求される現像剤量を静電潜像現像域Daへ供給できる程度に制限設定されているものである。
【0096】
ここでは、複数の開口部49の開口面積の総和は、それら複数の開口部49に代えて現像ローラ41の幅方向と並行に延びる図10に示すタイプの一つの現像剤供給量制限スリットを採用し、且つ、そのスリット開口面積を静電潜像現像域での感光体1上の静電潜像の現像に要求される現像剤量を該静電潜像現像域へ供給できる程度に制限された面積とした場合における該スリットの開口面積と等しく(等しいとみて差し支えない面積も含むに)制限設定されている。
【0097】
複数の開口部49は、形状、開口面積等において同じ開口部であり、従って個々の開口部49の幅(現像ローラ回転方向に沿った開口幅寸法)g3は前記スリットの同方向の幅より大きいものとなっている。それとは限定されないが、ここでは、各開口部49の現像ローラ回転方向に沿った開口幅g3は1.2mmである。
【0098】
このように開口部49の幅g3は、図4(A)に示すように、図10に示すタイプのスリットの場合のスリット幅(図4(B)参照)より大きくなっているので、現像剤に磁力が及ぶ範囲がそれだけ大きく確保され、かくして現像ハウジング40内の現像剤嵩量に少しぐらい変動があっても、従って現像ハウジング40内の現像剤上面高さ位置に少しぐらい変動があっても、現像剤Dは現像剤供給量制限開口部49を通して、該開口部の開口面積で制限された安定的な量で現像ローラ41上に吸着され、さらにガイド部材45と現像ローラ41との間の現像剤供給通路46を通って現像剤量規制間隙へと搬送される。
【0099】
全開口部49の開口面積の総和は現像剤供給通路46の現像ローラ回転中心線を通る現像ローラ半径方向の断面の開口面積より小さく、また前記連通路(圧逃げ開口部)48の総開口面積よりも小さくしてある。
【0100】
連通路(圧逃げ開口部)48は一つに形成されていてもよいが、現像ローラ幅方向と並行方向に複数形成配列された分散圧逃げ開口部で提供されていてもよい。その場合には、現像剤供給量制限開口部49の開口面積の総和を該複数の分散圧逃げ開口部の開口面積の総和より小さくしておけばよい。
【0101】
纏めて示すと、それとは限定されないが、ここでは、
現像剤量規制間隙g1=0.4mm、
ガイド部材45と現像ローラ41との間隙g2=1.5mm、
各現像剤供給量制限開口部49の開口幅g3=1.2mm、
全開口部49の総開口面積は図10に示すタイプの、開口幅1.2mmの連続スリットの場合の70%、
連通路(圧逃げ開口部)48の間隙g5=2mmである。
【0102】
なお、間隙g2は現像剤供給通路46のどこにおいても一定としてもよいが、必ずしもそのように一定でなくてもよい。例えば現像剤供給量制限開口部49に近い所では、規制部材43による現像剤溜まり量を制限するために若干狭くしてもよい。
【0103】
現像装置4によると、磁界発生体42のキャッチ極S2の磁力により現像ローラ41表面に吸着される現像剤は現像ローラ41の回転により摩擦力の作用下に現像剤量規制間隙g1へ搬送され、そこで所定量に規制されて現像域Daへ現像剤の穂の態様で搬送され、感光体1上の静電潜像の現像に供される。
【0104】
現像域Daで消費されずに現像ローラ41に保持されたまま現像ハウジング40へ戻ってくる現像剤は、低磁力域LMで現像ローラ41から剥落する。
【0105】
注目すべきは、現像装置4においては現像剤供給量制限開口部49を有するガイド部材45が採用されている点である。
【0106】
現像剤搬送部材441、442によって所定の帯電が付与された現像剤Dは、現像ローラ41の磁界発生体42の磁極S2の作用によって現像ローラ41の方へ吸引される。このとき現像ローラ41への現像剤供給量は、ガイド部材45の開口部49によって制限されることとなり、現像域Daへの現像剤搬送量が必要以上に過剰になることはない。
【0107】
現像ローラ41上に導かれた現像剤は、現像ローラ41の回転と磁界発生体42の磁力により、現像剤供給通路46を通って現像間隙g1へ搬送される(経路1の移動)。その際、現像剤供給通路46の大きさは間隙g2に制限されているから、規制部材43の上流側域での現像剤溜り量がその間隙空間よりも大きくなることはない。
【0108】
また、現像剤供給通路46が圧逃げ開口部48で現像剤還流通路47へ連通しているから、規制部材43によって規制された現像剤は圧逃げ開口部48から現像剤還流通路47へ逃げることができ、通路47を通って還流することができる(経路2の移動)。還流通路47に達した現像剤は重力によって下方へ運ばれ現像剤供給域へと戻される。
【0109】
これらにより、規制部材43の上流側域で現像剤に不要な圧力を加えることにはならず、現像剤への過剰なストレス発生が抑制される。
【0110】
現像装置4を採用した画像形成装置(実施例)と図10に示すタイプの現像装置4Bを採用した画像形成装置(比較例1、2、3)との比較実験(規制部材43上流側域での現像ローラ41上の単位面積当たりの現像剤重量の変動の比較実験)を行なった。
【0111】
現像装置4Bの各部は、現像剤ガイド部材として現像剤供給量制限開口を連続スリットとした以外は、現像装置4と実質上同構成とした。
実験は現像ハウジング40内の現像剤の嵩量の変動に対する現像剤供給量の安定性を評価するために、現像装置内の現像剤の充填量を変化させ、その時の、現像剤の供給量(規制部上流での現像ローラ上の単位面積当たりの現像剤重量)の変動を測定した。
【0112】
図8に実験結果を示す。図8に示すように、実施例の形態の方が、比較例1、2、3の場合より現像剤嵩の変動に対して供給量が安定していることが分かる。
【0113】
図2の現像装置4では、必要な限度で供給量を少なく設定するために供給量制限開口面積を小さくする場合でも開口部49の開口幅を狭くしなくて済むので次の利点もある。
(1) 現像剤の流動性が悪化するような条件下でも開口部49で現像剤が詰まるという事態の発生を抑制できる。
(2) 開口部49の幅が製造上ばらついたとしても、供給量に与える影響が少ない。
【0114】
なお、ガイド部材45は現像ハウジング40と分けて説明したが、部品としては現像ハウジング40と−体であってもよく、その場合、特に部品点数を増やすことなく省スペース化に寄与できる。
【0115】
また、ガイド部材45の現像剤供給量制限開口部49は図3に示すものに限定する必要はない。たとえば、図5に示すような矩形の開口部49x、図6に示すような矩形の開口部49yであって開口内周で開口面積を大きくしたもの、図7に示すように矩形開口を斜めに歪めた開口部49zなどを採用することもできる。
【0116】
図5の開口部49xでは隣り合う開口部間の遮蔽部491xが薄く形成されており、それだけガイド部材下の現像剤収容空間を大きくできる。図6の開口部49yでは開口部間の遮蔽部491yに隣り合う開口部内周で開口面積を大きくすることで、供給ムラを抑制できる。図7の開口部49zは斜めに形成してあるので、開口部間に遮蔽部491zがあっても供給ムラを抑制できる。
【0117】
以上説明した画像形成装置10はモノクロ画像を形成するものであったが、本発明はカラー画像を形成する画像形成装置にも適用でき、そのとき、カラー画像形成のための、それぞれが担当色トナーを収容している複数の現像装置のうち1又は2以上について本発明に係る2成分現像装置を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、現像ローラ回転方向において現像剤規制部材に隣り合う上流側域での現像剤ストレスを低減できる等の利点のある2成分現像装置及び該現像装置を少なくとも一つ備えることでそれだけ良好な画像形成を行える画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0119】
10 画像形成装置
S 記録シート
1 感光体
2 帯電器
3 画像露光装置
5 転写ローラ
6 クリーニング装置
7 定着装置
TR タイミングローラ
4 2成分現像装置4
40 現像ハウジング
401 現像ハウジング内面
41 現像ローラ
42 磁界発生体
S2 キャッチ極
N1 規制極
S1 搬送極
N2 現像極
S3 分離極
43 現像剤規制部材
441、442 現像剤搬送部材
441a 搬送部材441の回転空間域
400 搬送部材間の仕切り壁
LM 低磁力域
Da 現像域
D 現像剤
45 ガイド部材
451 ガイド部材の上流側端
46 現像剤供給通路
47 現像剤還流通路
48 連通路(圧逃げ開口部)
49、49x、49y、49z 現像剤供給量制限開口部
g1 現像剤量規制間隙
g2 ガイド部材と現像ローラとの間の間隙
g3 現像剤供給量制限開口部幅
g4 ガイド部材上流側端と現像剤搬送部材のスクリュー回転空間域との間隙
g5 連通路(圧逃げ開口部)の間隙
g6 ガイド部材と現像ハウジング内面401との間の間隙




【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体に形成される静電潜像をトナーと磁性キャリアを含む現像剤で現像してトナー像を形成することができる2成分現像装置であり、
前記現像剤を収容する現像ハウジングと、
前記現像ハウジングに設けられた回転駆動可能の現像ローラと、
前記現像ローラに内蔵され、前記現像ハウジング内の現像に供する現像剤を前記現像ローラ表面上に吸着するための、複数の磁極を有する磁界発生体と、
前記現像ローラに全体的に現像剤を搬送分配するための、前記現像ローラに臨設された回転駆動可能の現像剤搬送部材と、
前記磁界発生体の磁力により前記現像ローラ表面に吸着され、前記現像ローラの回転により静電潜像現像域へ搬送される現像剤の量を規制する、前記現像ローラに現像剤量規制間隙をおいて臨む現像剤規制部材を含む2成分現像装置であって、
前記現像ローラの回転方向において前記現像剤規制部材より上流側域で前記現像ローラと前記現像ハウジング内面及び前記現像剤搬送部材との間に配置されるとともに前記現像ローラに間隙をおいて臨設された現像剤ガイド部材を含んでおり、前記現像剤ガイド部材は前記現像ローラとの間に前記現像剤量規制間隙へ向け現像剤を供給するための現像剤供給通路を提供しており、前記現像剤ガイド部材の前記現像剤搬送部材に臨む部分に前記現像ローラの幅方向と並行方向に現像剤供給量制限開口部が複数形成配列されており、前記各現像剤供給量制限開口部は、該開口部において現像剤に働く前記磁界発生体の磁力による前記現像ローラへの現像剤吸着力が該現像剤吸着力に抗して該現像剤に働く重力より大きくなる開口部であり、前記現像剤ガイド部材は前記現像ハウジングの内面との間に、前記現像剤ガイド部材の現像剤供給量制限開口部を介しての前記現像ローラへの現像剤吸着域へ向け現像剤を還流させる現像剤還流通路も提供しており、前記現像剤ガイド部材の前記現像ローラ回転方向における下流側端部に前記現像剤供給通路と前記現像剤還流通路とを連通させる圧逃げ開口部が形成されていることを特徴とする2成分現像装置。
【請求項2】
前記現像ローラと前記現像剤ガイド部材との間隙は前記現像剤規制部材により提供されている前記現像剤量規制間隙より大きい請求項1記載の2成分現像装置。
【請求項3】
前記現像剤還流通路は自身に流れ込んでくる現像剤を重力で前記現像ローラへの現像剤吸着域へ向け還流させる通路である請求項1又は2記載の2成分現像装置。
【請求項4】
静電潜像担持体に目的とする画像に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であり、少なくとも一つの現像装置が請求項1から3のいずれか1項に記載の2成分現像装置であることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−168366(P2012−168366A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29503(P2011−29503)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】