説明

2相水素ポンプ及び方法

水素ポンプはポンプハウジング及び加熱機構を備える。ポンプハウジングは、ハウジング入口を介して液体水素を流入させる。加熱機構は、液体水素を気化して水素ガスにする。ポンプハウジングは、ハウジング出口を介して水素ガスの所定の圧力で水素ガスを放出する。ポンプハウジングは、ポンプハウジング内の液体水素が空液位を下回るときなどにハウジング出口を閉じる。ポンプハウジングが開き、更なる液体水素がハウジング入口を介してポンプハウジングに流入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、燃料システムに関するものであり、特に液体水素を水素ガスに変換するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素は、排出量が少なく、かつ燃料効率が高いことから、石油系燃料よりも優れた幾つかの利点を提供する。例えば、水素を燃料電池に使用して電気を生成することにより電動モータに給電する場合、副生成物は水である。水素を、タービンエンジンまたはピストンエンジンのような内燃機関内で燃焼させる場合、排ガス排出量は、石油系燃料の燃焼により生じる排出量よりも非常に小さい。水素の燃料としての別の利点は、ジェット燃料のような石油系燃料に比べて、質量当たりのエネルギー密度が非常に大きいことである。例えば、水素の質量当たりのエネルギー含量は、石油系燃料の質量当たりのエネルギー含量の約3倍である。
【0003】
水素を液体の形態で効率的に貯蔵することにより、必要な貯蔵容積を最小にすることができる。水素を液体の形態で貯蔵するためには、温度を約−420°F以下に維持する必要があるが、水素をガスの形態で貯蔵するために多数のタンクを必要とするのと比べた場合に、液体水素を貯蔵する圧力を低くすると、輸送手段の合計重量を最小にすることができる。
【0004】
水素に関連して上に述べた利点は、特定の輸送手段に当てはまる。例えば、高高度長時間滞空型(HALE)無人航空機は、水素を推進剤とする推進システムの利点を生かしている。HALE無人航空機は、最高65,000フィートの高度で運転することができるように設計され、空中に、最長14日間、またはそれよりも長く滞空することができる。しかしながら、種々の他の輸送手段及びシステムが、水素を石油系燃料の代替燃料とする利点を生かすことができる。
【0005】
燃料電池、または内燃機関に水素を使用するために、水素をガス状にする必要がある。更に、水素ガスの圧力を高くして、燃料電池または内燃機関の動作条件に適合させる必要がある。液体水素を水素ガスに適切な温度及び圧力で変換する先行技術による方法では、熱交換器及び機械式ポンプを使用する。熱交換器を使用して、液体水素を気化して水素ガスとすることにより、燃料として利用することができる。残念なことに、熱交換器は普通、嵩張る。
【0006】
HALE無人航空機のような長時間滞空用途では、機械式ポンプは、長い期間に亘って継続的に作動する機能を備える必要がある。液体水素の温度が極端に低く、かつ水素の粘度が低くなると、機械式ポンプの効率及び信頼性が低くなる。更に詳細には、温度が極端に低いので、機械式ポンプのうち、液体水素に曝される部分には、極めて大きな熱収縮力が作用する虞がある。機械式ポンプの種々の部分の間の熱収縮力の差に対応するために、ポンプの嵌合部品群を、比較的大きい公差で設計し、製造する必要がある。しかしながら、公差を大きくすると、ポンプ効率が低下する虞がある。
【0007】
更に、機械式ポンプは通常、摩擦を最小にし、かつ摩耗を防止する潤滑剤を必要とする回転部品群を含む。残念なことに、液体水素の粘度が非常に低くなると、潤滑剤として作用する水素の能力が最も低くなる。更に、液体水素の温度が低くなると、ポンプ内で使用することができる適合潤滑剤(例えば、テフロン)の利用可能な種類数が最も少なくなる。
【0008】
以上の説明から分かるように、液体水素を水素ガスに適切な動作温度及び圧力で変換するシステム及び方法がこの技術分野において必要になっている。この点に関して、液体水素を水素ガスに適切な動作温度及び圧力で変換するシステム及び方法であって、最小点数の可動部品しか必要とせず、かつ水素ガスを継続的に確実に、かつ高い効率で生成することができるシステム及び方法がこの技術分野において必要になっている。
【発明の概要】
【0009】
水素燃料に関連する上述の必要性は、詳細には、1つの実施形態において、ポンプハウジング及び加熱機構を備える水素ポンプを提供する本開示により満たされる。前記ポンプハウジングは、液体水素を、例えば供給タンクから延びるハウジング入口を介して流入させるように構成された。前記加熱機構は、前記ポンプハウジング内に収容される前記液体水素を気化して水素ガスを生成するように構成された。
【0010】
更に、前記加熱機構は、前記水素ガスの圧力を高くして、前記水素ガスが所定の圧力に達するときに、前記水素ガスをハウジング出口から継続的に放出することができるように構成された。前記水素ガスは、前記ポンプハウジング内の前記液体水素が所定の液位を下回るまで前記ハウジング出口から継続的に放出することができ、前記液体水素が所定の液位を下回るときに、前記ハウジング出口を閉じることができる。次に、残留水素ガスを前記ポンプハウジングから排出して、更なる液体水素が前記ポンプハウジング内に新規サイクルの開始時に流入し易くすることができる。
【0011】
1つの実施形態では、前記水素ポンプは、前記ハウジング入口が、前記ハウジング出口を閉じた後に、かつ前記残留水素ガスを排出する前に、一時的に(すなわち、所定の期間だけ)開くように構成することができる。このように、ポンプハウジング内のより高い圧力の水素ガスは、ポンプハウジングからハウジング入口を通って流出して液体水素と混合することにより、水素ガスの温度を低くする。
【0012】
前記水素ポンプは、前記ポンプハウジングを前記供給タンクに相互接続する中間セクションを含むことができる。前記中間セクションは、液体水素を収容することができ、かつ前記水素ガスを前記液体水素と混合する場所を提供することができる。前記水素ガスを前記液体水素と混合した後、前記ポンプハウジング内の残留水素ガスを、排出管を通って排出することにより、前記ポンプハウジング内の圧力を下げることができる。前記残留水素ガスを排出することにより、更なる液体水素を前記ハウジング入口に新規サイクルの開始時に流入させることができる。前記排出管は、任意であるが、前記中間セクションを通って引き回すことにより、前記残留水素ガスを前記供給タンクに供給する前に、前記排出管内の前記残留水素ガスの熱を取り出すことができる。熱を前記残留水素ガスから取り出すことにより、前記ポンプハウジング内の前記液体水素の気化に必要な熱量を低減することができる。
【0013】
本開示の技術上の利点として、水素の気化及びポンプ輸送を組み合わせて、単一の受動的な閉鎖系に、機械式ポンプまたは従来の熱交換器を必要とすることなく取り込むことができることを挙げることができる。受動水素ポンプは、水素ガスを所望の動作温度及び圧力で、効率的かつ確実に生成する手段を提供する。
【0014】
これまでに説明してきた特徴、機能、及び利点は、本開示の種々の実施形態において個別に達成することができる、または以下の記述及び以下の図面を参照しながら理解することができる更なる詳細を含む更に他の実施形態において組み合わせることができる。
【0015】
本開示のこれらの特徴、及び他の特徴は、同様の参照番号が図面全体を通じて同様の構成要素を指すこれらの図面を参照することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、1サイクルの開始時の2相水素ポンプを模式的に示し、供給タンクと、ポンプハウジングに入口バルブを介して流体接続される中間セクションと、を示している。
【図2】図2は、入口バルブを開くことにより、ポンプハウジングに液体水素を、ハウジング入口を介して流入させることができる構成の水素ポンプを模式的に示している。
【図3】図3は、ポンプハウジングに液体水素を充填し、加熱素子で液体水素を気化して水素ガスにすることにより、流量制御バルブの位置で放出する構成の水素ポンプを模式的に示している。
【図4】図4は、ポンプハウジングの液体水素が空になり、入口バルブを開いて、水素ガスを中間セクション内で液体水素と混合させることができる構成の水素ポンプを模式的に示している。
【図5】図5は、排出バルブを開いて残留水素ガスをポンプハウジングから排出することにより、ポンプハウジング内の圧力を低くして液体水素をポンプハウジングに流入させることができる構成の水素ポンプを模式的に示している。
【図6】図6は、ポンプハウジングに液体水素を充填し、入口バルブ及び排出バルブを閉じて、別のサイクルの開始時に、液体水素が気化して水素ガスになり易くする構成の水素ポンプを模式的に示している。
【図7】図7は、水素ガスを液体水素から生成する方法である。
【図8】図8は、水素ポンプの1つの実施形態において水素流量が時間とともに変化する様子をプロットしている。
【図9】図9は、水素ポンプを搭載することができる輸送手段の1つの実施形態における航空機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図の提示が、本開示の好適な種々の実施形態を示すために行なわれ、かつ本開示を限定するためには行なわれない種々の図面に示すように、図1には、液体水素12を水素ガス14に変換するために使用される場合の水素ポンプ10の模式図が示される。上に説明したように、水素ガス14は、内燃機関、燃料電池の場合におけるような、または種々の他の用途の場合におけるような燃料として、限定されることなく、以下に説明される通りに使用することができる。
【0018】
広義の意味で、水素ポンプ10は、ポンプハウジング36と、加熱機構54と、を備える。ポンプハウジング36は、液体水素12を、ハウジング入口38を介して流入させるように構成することができる。更に詳細には、液体水素12は、水素を約−420°F以下の温度に保持するために適する極低温供給タンク20のような供給タンク20に貯蔵することができる。この点に関して、供給タンク20は、能動的な絶縁及び/又は受動的な絶縁を行なって、水素を液体状態に保持する極低温供給タンク20として構成することができる。しかしながら、供給タンク20は、水素を液体状態に保持する先行技術において公知のいずれかの方法を用いることができる。略球形の容器として図示されているが、供給タンク20は、限定されることなく、いずれかの適切なサイズ、形状、及び構造にすることができる。
【0019】
液体水素12をポンプハウジング36に流入させると、加熱機構54は、液体水素12をポンプハウジング36内で気化して水素ガス14にするように構成することができる。更に、加熱機構54は、ポンプハウジング36内の水素ガス14の圧力を、水素ポンプ10の下流に位置する部品による使用に適する値にまで高くするように構成することができる。例えば、内燃機関の場合、水素ポンプ10は、液体水素12を、約−10°F〜250°Fの温度範囲で、かつ約60〜100psiaの圧力範囲で生成するように構成することができる。しかしながら、水素ポンプ10は、水素ガス14を、多岐に亘る用途において使用されるいずれかの温度及び圧力で供給するように構成することができる。
【0020】
図1には、ポンプハウジング36に供給管26を介して流体接続される供給タンク20が示される。ポンプハウジング36はハウジング入口38を含むことができ、このハウジング入口38に、入口バルブ30を流体接続することができる。入口バルブ30は、開閉作動することにより、液体水素12をポンプハウジング36に流入させる、および/または水素ガス14をポンプハウジング36から流出させることができるので、水素ガス14を液体水素12と、以下に更に詳細に説明する態様で混合することができる。
【0021】
図4を簡単に参照するに、水素ポンプ10は更に、入口バルブ30と供給タンク20との間の供給管26に配置される中間セクション28を含むことができる。以下に更に詳細に説明するように、中間セクション28は、ポンプハウジング36からの水素ガス14を液体水素12と混合して、水素ガス14の温度を低くする場所を提供することができる。更に、中間セクション28は、残留水素ガス34を収容する排出管74を引き回すときに通過する場所を提供することができ、排出管74を引き回すことにより、これについても以下に説明されるように、残留水素ガス34を供給タンク20に供給する前に、残留水素ガス34から熱を取り出す処理が容易になる。
【0022】
有利な点として、水素ポンプ10は、本明細書において開示されるように、受動的な閉鎖系を提供し、この受動的な閉鎖系は、液体水素12を気化するという要求、及び水素を継続的にポンプ輸送するという要求を組み合わせることにより、水素ガス14を継続的に供給して、これらには限定されないが、内燃機関、燃料電池、または他のいずれかのシステム、環境、適用形態、アセンブリ、構造、或いは輸送手段におけるように、下流の要素において使用することができる。例えば、水素ポンプ10は、これらには限定されないが、精油所運転、食物処理、発電所冷却を含む種々の用途及び産業に、原子炉施設に取り入れることができる。更に、水素ポンプ10は、これらには限定されないが、熱処理、溶接、及び化学合成を含む多岐に亘る製造作業及び他のプロセスに取り入れることができる。
【0023】
図1に更に示すように、ポンプハウジング36は1つの実施形態では、垂直セクション44と連続して形成することができる水平セクション42を含むことができる。水平セクション42は、供給タンク20から流入させることができる液体水素12を収納する、または収容するように構成することができるので、液体水素12を水平セクション42に貯留することができる。この点に関して、水平セクション42は、液体水素12を、ハウジング入口38を介して流入させるように構成することができる。水平セクション42は、液体水素12を流入させるいずれかのサイズ、形状、または構造にすることができる。更に、水平セクション42において、加熱機構54を使用して液体水素12を加熱することができる。
【0024】
垂直セクション44は、水平セクション42から上方に向かって延在することができる。図1に示すように、垂直セクション44は、水平セクション42の反対側端部群のうちの一方の端部に位置させることができるが、垂直セクション44は、水平セクション42に対していずれかの場所に配置することができる。更に、垂直セクション44は、いずれかのサイズまたは形状になるように構成することができ、これらの図に示すサイズまたは形状に限定されない。垂直セクション44は、水素ガス14をポンプハウジング36の内部に貯蔵することができる場所を提供することができる。
【0025】
L字構造として示されているが、ポンプハウジング36は、液体水素12の流入、及び液体水素12の加熱を容易にする任意のサイズ、形状、及び構造にすることができる。更に、ポンプハウジング36は、気化を容易にし、かつポンプハウジング36から放出される水素ガス14の貯蔵を容易にするいずれかの構造にすることができる。この点に関して、ポンプハウジング36は、ポンプハウジング36内の水素ガス14が所定の圧力に達するときに水素ガス14を、ハウジング出口40を通って放出するように構成することができる。ポンプハウジング36のハウジング出口40は、液体水素12が所定の液位を下回るときに閉じるように構成することができる。更に、図4に示すように、ポンプハウジング36は、ハウジング出口40が閉じた後に、ポンプハウジング36内に残留する残留水素ガス34を排出してポンプハウジング36内の圧力を下げするように動作することができる。このようにして、図5に示すように、かつ以下に更に詳細に説明するように、更なる液体水素12をポンプハウジング36に、ハウジング入口38を通って流入させることができる。
【0026】
水素ポンプ10は流量制御バルブ60を含むことができ、この流量制御バルブ60は、ハウジング出口40に流体接続することができる、またはハウジング出口40と一体的に形成することができる。流量制御バルブ60は、流量制御バルブ入口64と、流量制御バルブ出口66と、を含むことができる。流量制御バルブ入口64は、ハウジング出口40に流体接続することができる。流量制御バルブ出口66は、下流の構成要素に供給導管(図示せず)を介して流体接続することにより、当該下流の構成要素に水素ガス14を水素ポンプ10から流入させることができる。流量制御バルブ60は、チェックバルブ、圧力調整器58のような適切ないずれかの構造にすることができるか、またはハウジング出口40の開閉を調整する他のいずれかの適切なバルブ構成または機構にすることができる。流量制御バルブ60は制御バルブアクチュエータ62を含むことができ、この制御バルブアクチュエータ62は、流量制御バルブ60を開いて、ポンプハウジング36内の水素ガス14の圧力が所定値に達すると、水素ガス14をポンプハウジング36から放出することができるように構成することができる。更に、流量制御バルブ60は、水素ガス14の圧力が所定の圧力を下回るときに、および/またはポンプハウジング36内の液体水素12の液位が、図4に示すように、空液位53のような所定の液位を下回るときに閉じるように構成することができる。
【0027】
1つの実施形態では、流量制御バルブ60は、ポンプハウジング36内の液体水素の検出液位12に応じて調整することができる。例えば、流量制御バルブ60または制御バルブアクチュエータ62は、1つ以上の液位センサ48に通信可能に接続することができ、これらの液位センサ48は、ポンプハウジング36内に取り付けることができるか、またはポンプハウジング36に組み込むことができ、例えば図1に示すように、水平セクション42内に取り付けることができる。この点に関して、ポンプハウジング36は、1つ以上の満タンセンサ50及び/又は1つ以上の空センサ52を含むことができる。満タンセンサ50及び空センサ52は、図1に示すように、流量制御バルブ60、入口バルブ30、及び/又は排出バルブ70に通信可能に接続することができる。満タンセンサ50及び空センサ52は、液体水素12の液位を検出するように構成されたいずれかの適切な機構として設けることができる。例えば、満タンセンサ50及び/又は空センサ52は、光センサ、超音波センサ、または他のいずれかの適切な液位検出装置として設けることができる。
【0028】
1つの実施形態では、満タンセンサ50は、液体水素12が満タン液位51に、ポンプハウジング36の水平セクション42内で達する時点を検出することができる。満タンセンサ50は、満タン液位51に達したことを表わす信号群を生成することができる。このような信号群は流量制御バルブ60、入口バルブ30、排出バルブ70に供給する、および/または水素ポンプ10の他のいずれかの作動機構に供給することができる。空センサ52は、液体水素12が、ポンプハウジング36が空であることを示唆することができる空液位53を下回る時点を検出する、および/または通知するように動作することができる。
【0029】
水素ポンプ10は、流量制御バルブ60とポンプハウジング36との間に延在する検出線68を含むことができる。検出線68は、ハウジング出口40における水素ガス14の背圧を表わす信号群を供給するように構成することができる。背圧は、いずれかの適切な検出機構によって、例えば1つ以上の圧力トランスデューサ(図示せず)によって検出することができる。ポンプハウジング36内の、更に具体的には、ポンプハウジング36の垂直セクション44内の水素ガス14の貯蔵量を検出し、流量制御バルブ60に検出線68を介して送信することにより、流量制御バルブ60をそれに応じて調整することができる。例えば、ポンプハウジング36内で所定の圧力に達すると、流量制御バルブ60を開いて水素ガス14を放出することができる。
【0030】
1つの実施形態では、流量制御バルブ60を、ポンプハウジング36よりも高い上昇位置に、および/またはハウジング出口40よりも高い上昇位置に位置させる、または配置することにより、水素ガス14の放出を容易にすることができる。しかしながら、流量制御バルブ60は、ポンプハウジング36に対していずれかの上昇位置に位置させることができる。同様に、供給タンク20は、ハウジング入口38よりも高い上昇位置に配置することにより、ポンプハウジング36への液体水素12の重力輸送を容易にすることができる。しかしながら、図1〜6の模式図は、水素ポンプ10の1つの配置を表わし、当該配置に代わる配置を、供給タンク20、ポンプハウジング36、流量制御バルブ60、及び水素ポンプ10に含まれる他の構成要素群の相対位置に関して限定してしまうものとして解釈されるべきではない。例えば、供給タンク20は、ポンプハウジング36と同じ上昇位置に位置させることができる。別の構成として、供給タンク20は、ポンプハウジング36よりも低い上昇位置に位置させることができる。水素ポンプ10は、任意であるが、液体水素12をポンプハウジング36に押し出す補助ポンプを含むことができる。例えば、水素ポンプ10は昇圧ポンプ46を含むことができ、この昇圧ポンプ46をポンプハウジング36にハウジング入口38の位置で流体接続することにより、ポンプハウジング36に流入する液体水素12の流量を増やすことができる。
【0031】
図1に更に示すように、水素ポンプ10は加熱機構54を含むことができ、この加熱機構54は、液体水素12をポンプハウジング36内で気化して、水素ガス14を生成するように構成することができる。加熱機構54は更に、ポンプハウジング36内の水素ガス12の圧力を、液体水素12及び/又は水素ガス14を継続的に加熱することにより、上昇させるように構成することができる。1つの実施形態では、加熱機構54は外部取付け加熱素子を含むことができ、この加熱素子は、ポンプハウジング36の水平セクション42の外側部分を少なくとも取り囲むように配置されるか、または外側部分を少なくとも覆う。別の構成として、または外部取付け構造の他に、加熱機構54は、ポンプハウジング36の内部に延在する、例えば水平セクション42及び/又は垂直セクション44内に1つ以上の箇所にまで延在する1つ以上の加熱素子を含むことができる。
【0032】
特定の構造に関係なく、加熱機構54は、液体水素12の温度を上昇させるように構成することができる。例えば、加熱機構54は、液体水素12を徐々に気化して水素ガス14にするように、または液体水素12を継続的に気化して水素ガス14にするように構成することができる。1つの実施形態では、加熱機構54は、液体水素12を気化温度にまで間欠的または周期的に加熱するように構成することができる。更に、加熱機構54は、水素ガス14の温度及び/又は圧力を、水素ガス14の供給先の下流の構成要素、例えば内燃機関の動作条件に対応する値にまで上昇させるように構成することができる。
【0033】
水素ポンプ10は更に、排出管74を含むことができ、この排出管74は、ポンプハウジング36から延在することにより、水素ガス14の排出を可能にしている。図1に示す実施形態では、排出管74は、図4に示すように、ポンプハウジング36と供給タンク20との間に延在することにより、残留水素ガス34を供給タンク20に排出することができる。例えば、ポンプハウジング36内の液体水素12が空になるときのような水素ポンプ10の作動中の所定の時点では、ポンプハウジング36内の圧力を下げることにより、液体水素12を追加して、ポンプハウジング36内に、別サイクルの開始時に流入させることができることが望ましい。ポンプハウジング36からの排出を調整するために、排出管74は、排出バルブアクチュエータ72に接続される排出バルブ70を含むことができる。排出バルブアクチュエータ72は、満タンセンサ50及び/又は空センサ52に、またはこれらには限定されないが、入口バルブ30及び流量制御バルブ60のような水素ポンプ10の他の検出部品及び制御部品に通信可能に接続することができる。
【0034】
排出バルブ70は、ポンプハウジング36内の液体水素12が空液位53になっている、または空液位53を下回っていることを示唆する信号を受信すると開くように作動することができる。排出バルブ70を開くと、残留水素ガス34をポンプハウジング36から排出して、例えば図4に示すように、供給タンク20に送り込むことができる。排出バルブ70を開くと同時に、入口バルブ30を開いて、更なる液体水素12をポンプハウジング36に容易に流入させることができる。排出バルブ70は、図3に示すように、液体水素12が満タン液位51のような所定の液位にポンプハウジング36内で達するまで開いたままにすることができる。満タン液位51に達していることを満タンセンサ50が検出すると、排出バルブ70、入口バルブ30、及び流量制御バルブ60を閉じて、ポンプハウジング36を密閉状態にすることにより、液体水素12の気化、及び水素ガス14の生成が可能になる。任意であるが、入口バルブ30を開く前の所定の期間だけ入口バルブ30を開いて、水素ガス14をポンプハウジング36から流出させることができ、この場合、水素ガス14を液体水素12と中間セクション28内で、または供給管26内で混合することができる。水素ガス14を液体水素12と混合することにより、水素ガス14の温度を下げることができる。
【0035】
図4に示すように、水素ポンプ10は熱取出し機構76を含むことができ、この熱取出し機構76は、ポンプハウジング36から排出される残留水素ガス34から熱を取り出すように構成された。残留水素ガス34から熱を取り出すことにより、液体水素12をポンプハウジング36内で気化するために必要な熱の量を少なくすることができる。1つの実施形態では、熱取出し機構76は、排出管74のうちの中間セクション28を通って延在する部分を含むことができ、この中間セクション28には液体水素12を充填することができる。排出管74のうちの中間セクション28に位置する部分は、蛇行流路となるように形成するか、または蛇行流路の形状とすることにより、液体水素12に曝される排出管74の表面積の大きさを最大にすることができる。しかしながら、熱取出し機構76は、排出管74を、中間セクション28を通るように引き回す構成に限定されず、排出管74内の残留水素ガス34から熱を取り出す種々の別の構成を含むことができる。
【0036】
図1に示すように、1つの実施形態では、水素ポンプ10は更に、コアレッシングフィルタ56を含むことができ、このコアレッシングフィルタ56により、液体水素12の液滴が排出管74の内部に形成されるのを防止する。このような液滴は、ポンプハウジング36内の水素ガス14に混入する可能性がある。フィルタで濾過しないで放っておくと、液体水素12の液滴が排出管74内で捕捉されるようになり、これにより排出管74が詰まる虞がある。コアレッシングフィルタ56は、図1〜6に示すように、ポンプハウジング36内に延在する排出管74の入口に取り付けることができる。コアレッシングフィルタ56は、液体水素12の液滴が排出管74に流入するのを防止する、または排出管74内で形成されるのを防止するいずれかの適切な構造にすることができる。例えば、コアレッシングフィルタ56は、残留ガスを、複数の折れ曲がり部分を有する蛇行流路に押し出して、液滴を、水素ガスが排出管74に流入する前に水素ガス14から分離する機構を備えることができる。
【0037】
水素ポンプ10の1つの実施形態では、排出管74は、供給タンク20で終端することができ、この供給タンク20は、ディフューザ24を含むことにより、水素ガス14を排出管74から放出するときの流速を遅くすることができる。この点に関して、ディフューザ24は、液体水素12の表面の擾乱を防止する、または最小に抑えることができ、この擾乱によって、液体が供給タンク20内で飛散する虞があり、かつ供給タンク20の目減り空間22内で圧力が低下する虞がある、および/またはディフューザ24の目詰まりが起こる虞がある。ディフューザ24は、このような飛散を、供給タンク20内の液体水素12の表面への直接放出を避けることにより防止することができる。
【0038】
次に、水素ポンプ10の動作について、図7の流量チャート、及び図1〜6の模式図を参照しながら説明する。図7は、液体水素12を気化して水素ガス14を形成する方法を示している。これらの模式図では、液体水素12は、水素ポンプ10の液体断面16を占めるものとして図示される。水素ガス14は、水素ポンプ10のガス断面18を占めるものとして図示される。当該方法では、液体水素12を、水素ポンプ10を通して受動的に、かつ補助ポンプを使用することなくポンプ輸送するが、このようなポンプを組み込むことにより、液体水素12の流量を増加させることができる。当該方法の工程150では、供給タンク20をポンプハウジング36に接続する供給管26の入口バルブ30を開くことにより、液体水素12をポンプハウジング36に1動作サイクルの開始時に流入させることができる。
【0039】
図1に示すように、供給タンク20は、供給タンク20からポンプハウジング36への液体水素12の重力輸送を容易にする上昇位置に位置させることができる。しかしながら、液体水素12をポンプハウジング36に、機械式ポンプのような別体のポンプ機構を、重力輸送機構に替わる手段として、または重力輸送機構に更に追加される手段として使用して供給してもよい。供給タンク20からの液体水素12は、供給管26を通って流れることができ、中間セクション28を通過する、および/または満たすことができる。図1から分かるように、工程150では、入口バルブ30をまず、閉じ状態に設定することができる。入口バルブ30は、図1に示す入口バルブアクチュエータ32によって調整することができ、この入口バルブアクチュエータ32は、満タンセンサ50及び/又は空センサ52、及び/又は流量制御バルブ60及び排出バルブ70のような他の部品に通信可能に接続することができる。
【0040】
図2に示すように、工程152では、入口バルブアクチュエータ32によって入口バルブ30を開くことにより、液体水素12が供給タンク20から中間セクション28に流れ込んで、液体水素12がポンプハウジング36内に流入可能となる。入口バルブ30は、液体水素12が、図2に示す満タン液位51のような所定の液位にポンプハウジング36内で達するまで開位置に保持することができる。満タン液位51は、満タンセンサ50によって、または別の適切な検出機構によって検出することができる。
【0041】
図3に示すように、工程154では、入口バルブ30を、液体水素12が、満タン液位51のような所定の液位に達するときに閉じることができる。ポンプハウジング36は、ポンプハウジング36からの流出をほとんど無くすように密閉されることが好ましい。例えば、ポンプハウジング36は、入口バルブ30、流量制御バルブ60、及び排出バルブ70を閉位置に保持することにより密閉することができる。工程156では、ポンプハウジング36内で、加熱機構54を使用して液体水素12を加熱することにより、液体水素12の温度を上昇させて、液体水素12を気化させ、液体水素12から水素ガス14を発生させる。ポンプハウジング36の密閉は、液体水素12が気化して水素ガス14になる前に行なって、水素ガス14がポンプハウジング36から放出される、または漏れ出すのを防止することができる。液体水素12の加熱では、水平セクション42及び/又は垂直セクション44の外側を加熱することができる。更に、液体水素12の加熱では、これらには限定されないが、ポンプハウジング36の外側を取り囲むように延在する加熱素子を含むいずれかの適切な手段により、および/または1つ以上のプローブを水平セクション42内に取り付けて、これらのプローブを液体水素12内で引き回すことにより、液体水素12を直接または間接的に加熱することができる。
【0042】
図3から分かるように、ポンプハウジング36は、液体水素12を水平セクション42に収容し、水素ガス14を垂直セクション44に収容することができるが、水素ガス14で、水平セクション42の一部を満たしてもよい、または逆に、液体水素12で垂直セクション44の一部を満たしてもよい。1つの実施形態では、ポンプハウジング36はL字形構造を形成することができ、このL字形構造によって、水素ガス14を垂直セクション44内に均一に貯蔵することができ、かつ更に、加圧水素ガス14を容易に、垂直セクション44からハウジング出口40及び/又は流量制御バルブ60を通るように均一に流出させることができる。水平セクション42を水平な姿勢にすることにより、液体水素12がポンプハウジング36に流入するときに液体水素12を容易に貯留することができる。この点に関して、水平セクション42は、1つ以上のハウジング入口38を含むことができ、かつハウジング入口38を1つしか含まないように図示される特定の構造に限定されない。
【0043】
図3に更に示すように、工程158では、ポンプハウジング36内の水素ガス14が所定の圧力に達すると、流量制御バルブ60を開くことができる。流量制御バルブ60を開くと、水素ガス14をポンプハウジング36から放出して、下流の構成要素に供給することができる。水素ガス14は、加熱機構54により液体水素を加熱することにより継続的に生成される。この点に関して、所定の圧力値での水素ガス14の生成は、水素ガス14が所定の圧力に保持されるように流量制御バルブ60を開位置に保持した状態で継続することができる。
【0044】
液体水素12の加熱は、継続して行なう、間欠的に行なう、および/または必要に応じて行なうことにより、水素ガス14を生成することができる。更に、水素ガス14を供給することができる供給先の下流のシステムが必要とする条件によって、液体水素12、および/または水素ガス14を加熱することができる。1つの実施形態では、加熱は、ポンプハウジング36内の液体水素12が、図1〜6に示す空センサ52により検出されるように、所定の液位を下回るまで継続することができる。
【0045】
図4に示すように、液体水素12が空液位53を下回ると、工程160では、流量制御バルブ60を閉じる。ポンプハウジング36は、残留水素ガス34を水平セクション42及び/又は垂直セクション44に収容することができる。工程162では、入口バルブ30を開くことができ、この場合、ポンプハウジング36内の圧力が相対的に高いので、残留水素ガス34または水素ガス14がハウジング入口38を通って、供給管26及び/又は中間セクション28に逆流する。ハウジング入口38を通って逆流すると、工程164において、水素ガス14が液体水素12に衝突し、液体水素12と混合する。このように混合することによって、水素ガス14の温度を、液体水素12の温度に略等しい温度に下げることができる。
【0046】
図5に示すように、工程166では、排出バルブ70を開いて、ポンプハウジング36内に残留する残留水素ガス34を排出してポンプハウジング36内の圧力を下げる。排出管74は、ポンプハウジング36を供給タンク20に接続することができるので、残留水素ガス34が排出管74を通って流れ、排出バルブ70が開くと供給タンク20に放出される。工程168では、排出管74内の水素ガス14から、排出管74の一部を、中間セクション28を通るように引き回すことにより熱を取り出すことができる。しかしながら、熱は、残留水素ガス34から、別の機構を使用して取り出してもよい。例えば、排出管74は、水素ポンプ10のうち、液体水素12を収容するいずれかのセクションを通るように引き回すことにより、残留水素ガス34に含まれる熱を、当該残留水素ガスを供給タンク20に放出する前に取り出すことができる。
【0047】
図5に更に示すように、当該方法は更に、ポンプハウジング36内の残留水素ガス34に混入する可能性のある液滴を、水素ガス14が排出管74に流入する前に除去する工程を含むことができる。この点に関して、上に説明したコアレッシングフィルタ 56を用いて、液滴が排出管74に流入するのを防止することができ、液滴が排出管74に流入すると、排出管74が目詰まりを起こす虞がある。図5から分かるように、入口バルブ30を、排出バルブ70が開くときに開くことにより、更なる液体水素12がポンプハウジング36に流入すると同時に、水素ガス14を供給タンク20に排出することができる。
【0048】
図6に示すように、工程170では、ポンプハウジング36に液体水素12を、新規サイクルの開始時に充填することができる。液体水素12は、ハウジング入口38に流入し、残留水素ガス34または水素ガス14を移動させて、水素ガス14をポンプハウジング36から、排出管74を通るように押し出すことができる。液体水素12はポンプハウジング36に、入口バルブ30が開位置になると流入することができる。入口バルブ30は、ポンプハウジング36内の液体水素12の液位が、満タンセンサ50により通知される満タン液位のような所定の液位に達するまで開いたままにすることができる。ポンプハウジング36は、入口バルブ30、排出バルブ70、及び流量制御バルブ60を、加熱機構54から熱が液体水素12に加わっている状態で閉じることにより密閉することができる。上述の工程群は、供給タンク20内の液体水素12が空になるまで継続的に繰り返すことができる、または上記操作は、もっと早い時期に終了させることができる。
【0049】
図7には、水素ポンプ10の1つの実施形態を試験している間に測定される水素ガス14の流量が時間とともに変化する様子を表わすプロットが示されている。このプロットは、水素ガス14の予測流量(すなわち、予測平均mdot)を示す水平線を含む。水素ポンプ10の1つの実施形態を試験したところ、約120秒の動作時間中に水素の質量流量が毎時約8〜14ポンドの範囲で変化した。プロットの左側の曲線で示されるように、流量の初期増加は、動作開始時の液体水素12の温度成層化現象に関連付けられる。この曲線は、液体水素12がポンプハウジング36内で沸騰蒸発することによる液体水素12の気化を表わしている。プロットの右側の曲線で示される流量の減少は、円筒形のポンプハウジング36内の液体水素の表面積が減少することに起因する沸騰蒸発中のポンプハウジング36内の液体水素12の表面積の減少に関連付けることができる。
【0050】
図8には、高高度長時間滞空型(すなわち、HALE)無人航空機100のような航空機100が示されており、この航空機に水素ポンプ10を搭載することができる。図から分かるように、航空機100は、翼104及び尾部106を備える胴体102を有する従来の構造を含むことができる。航空機100は、1つ以上の推進ユニット108を含むことができ、これらの推進ユニット108は、これらには限定されないが、水素ポンプ10で生成される水素ガス14を燃焼させるタービン式及び/又はピストン式のいずれかの内燃機関を含む種々の構造にすることができる。
【0051】
水素ポンプ10は、図8に示す航空機100に組み込むことができる実施形態として示され、記載されるが、水素ポンプ10及び方法は、いずれかのシステム、サブシステム、アセンブリ、サブアセンブリ、構造に組み込むことができ、海上船舶、陸上車、飛行体、及び/又は宇宙船を含む輸送手段に組み込むことができることに注目されたい。更に、水素ポンプ10は、いずれかの用途に搭載することができ、上に示したいずれかの産業、動作、またはプロセスにおいて使用することができる。有利な点として、水素ポンプ10及び方法は、水素を確実に、かつ高い効率で気化し、ポンプ輸送して、いずれかの下流の構成要素によって使用されるようにする受動的な閉鎖系を提供する。
【0052】
本開示の更に別の変形及び改善は、この技術分野の当業者には明らかである。従って、本明細書において記載され、かつ例示される構成要素群の特定の組み合わせは、本開示の特定の実施形態を表わしているに過ぎず、本開示の思想及び範囲に含まれる別の実施形態またはデバイスを限定するために利用されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング入口を介して液体水素を流入させるように構成されたポンプハウジングと、
前記液体水素を気化して水素ガスにし、前記ポンプハウジング内の前記水素ガスの圧力を高めるように構成された加熱機構と
を備え、
前記ポンプハウジングが、前記水素ガスが所定の圧力に達するときにハウジング出口を通って前記水素ガスを放出するように構成されており、
前記ポンプハウジングが、前記ハウジング出口を閉じ、前記ポンプハウジングから残留水素ガスを排出することにより、前記ハウジング入口を通って更なる液体水素が前記ポンプハウジングに流入できるように構成されている、
水素ポンプ。
【請求項2】
前記ハウジング入口に接続され、かつ前記液体水素を貯蔵するように構成された供給タンクを更に備える、請求項1に記載の水素ポンプ。
【請求項3】
前記ハウジング入口に接続され、かつ開くことにより前記液体水素を前記ポンプハウジングに流入させるように動作する入口バルブを更に備え、前記入口バルブが、前記液体水素が記ポンプハウジング内で満タン液位に前達すると閉じるように動作する、請求項1に記載の水素ポンプ。
【請求項4】
前記入口バルブが、前記液体水素が空液位を下回ると開くように動作する、請求項1に記載の水素ポンプ。
【請求項5】
前記ポンプハウジングと前記供給タンクとの間に延在して、前記ポンプハウジングから残留水素ガスを排出する排出管を更に備える、請求項1に記載の水素ポンプ。
【請求項6】
液体水素を貯蔵するように構成された供給タンクと、
前記供給タンクに接続され、かつ前記液体水素を前記供給タンクから流入させるように構成されたポンプハウジングと、
前記供給タンクと前記ポンプハウジングとの間に配置された入口バルブと、
前記液体水素を前記ポンプハウジング内で気化して水素ガスにし、前記水素ガスの圧力を高めるように構成された加熱機構と、
開くことにより、前記ポンプハウジング内の圧力が所定値に達するときに前記ポンプハウジングから前記水素ガスが放出されるように構成された流量制御バルブであって、前記ポンプハウジング内の前記液体水素が空液位を下回ると閉じるように構成された前記流量制御バルブと、
前記ポンプハウジングと前記供給タンクとの間に延在する排出管と、
前記排出管に取り付けられ、かつ前記ポンプハウジングから前記供給タンクに残留水素ガスを排出して、前記ポンプハウジング内の圧力を低下させることにより、前記供給タンクから液体水素を流出させて前記ポンプハウジングに流入させるように構成された排出バルブと
を備える受動水素ポンプ。
【請求項7】
前記ポンプハウジングに接続されて、前記ポンプハウジング内の前記液体水素の充填液位を検出するように構成された満タンセンサ及び空センサのうちの少なくとも1つを更に備える、請求項6に記載の水素ポンプ。
【請求項8】
前記入口バルブと前記供給タンクとの間に配置される中間セクションを更に備え、
前記ポンプハウジングが、前記ポンプハウジング内の前記液体水素が前記空液位を下回って、前記ポンプハウジング内の水素ガスが前記中間セクションに流入して前記液体水素と混合するときに、前記ハウジング入口を開くように構成されている、
請求項6に記載の水素ポンプ。
【請求項9】
前記排出管から前記供給タンクに放出される水素ガスの速度を低下させるように構成されたディフューザを更に備える、請求項6に記載の水素ポンプ。
【請求項10】
水素をポンプ輸送する方法であって、
液体水素をポンプハウジングに流入させる工程と、
前記ポンプハウジング内で前記液体水素を気化して水素ガスにする工程と、
所定の圧力に達するときに、前記水素ガスを前記ポンプハウジングから放出する工程と、
残留水素ガスを前記ポンプハウジングから排出することにより、更なる液体水素を前記ポンプハウジングに流入させる工程と
を含む方法。
【請求項11】
前記液体水素を気化する前に、前記ポンプハウジングを密閉する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体水素を前記ポンプハウジング内で加熱して、前記ポンプハウジング内の前記水素ガスの圧力を高める工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記液体水素を供給タンクから流入させ、残留水素ガスを前記ポンプハウジングから排出する前記工程では:
前記残留水素ガスを供給タンクに排出して前記ポンプハウジング内の圧力を下げることにより、更なる液体水素を前記ポンプハウジングに流入させる、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記残留水素ガスを排出する前記工程では、前記残留水素ガスを前記ポンプハウジングから排出する前に、前記水素ガスに混入する液体水素の液滴を除去する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンプハウジングが、前記供給タンクをハウジング入口に流体接続する中間セクションを含み、前記中間セクションが液体水素を収容するように構成され、前記方法が、
前記ポンプハウジング内の前記液体水素が空液位を下回ることにより、前記ポンプハウジング内の水素ガスが前記中間セクションに流入して、前記液体水素と前記中間セクション内で混合するときに、前記ハウジング入口を開く工程を更に含む、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−526957(P2012−526957A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510810(P2012−510810)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/030603
【国際公開番号】WO2010/132159
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】