説明

3次元コンピュータグラフィックス用モデル生成装置

【課題】対象物の形状が簡単でなくても、また、至近距離での撮影でなくても、また、 対象物表面での光の反射が弱かったり強かったりしても、撮影に長い時間をかけずに、対象物の形状に正確な形状の3DCG用モデルを自動的に生成することが、本発明が解決しようとする課題である。
【解決手段】レンズを前または後ろにスライドさせて移動させながら連続的に画像を撮影し、どの画像でピントが合っているかを計算して各画素の位置における奥行き座標を割り出し、三次元形状を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズとエリアイメージセンサで構成される画像撮影装置の撮影結果を用いて計算を行い、撮影対象と同様の形状を持つ3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)用モデルを自動的に生成する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで撮影した画像を用いて計算を行い、撮影対象と同様の形状を持つ3DCG用モデルを自動的に生成する方法(撮影対象の三次元形状をデータ化する方法)として、例えば、複数の方向から対象物を撮影し、それらの撮影画像における角度差(視差)から三次元形状を求める方法が存在したが(特開2008−65684号公報や特開2006−31595号公報など参照)、この方法は三次元データ化(3DCG用モデル化)の精度が低く、簡単な形状、または、角度差が大きく写るような至近距離での撮影でないと、正確に三次元データ化できないという欠点があった。
【0003】
このため、対象物が限定されてしまい、例えば、屋外の大きな建物や木などを三次元データ化することができなかった。
【0004】
また、3Dレーザースキャナと呼ばれる、対象物にレーザーを照射して反射させ、帰ってくるまでの時間を計測して、計算で奥行き座標を割り出し、三次元形状を求める方法もあり(特開2008−276712号公報など参照)、こちらは遠くの対象物も正確に三次元データ化できたが、レーザー光の反射が弱い(対象物が黒っぽい)場合や強すぎる(水面などで鏡状になっている)場合、奥行き座標の取得が困難であり、対象物が限定されていた。また、面をスキャンするのに多くの回数の測定を繰り返す必要があるため、スキャンに長い(通常、分単位以上の)時間がかかり(例えば、縦500地点×横500地点でスキャンを行う場合、25万回の測定が必要になるなど)、多くの対象物の三次元データ化をまとめて行う場合などに不便であった。
【0005】
また、従来、通常の写真撮影用カメラにおいて、オートフォーカスという、自動的にピント合わせを行うための機能が使用されてきた。
【0006】
このオートフォーカスには大きくアクティブ方式とパッシブ方式の2つがあり、この内、パッシブ方式は、レンズが捉えた画像を利用してピント合わせを行う。
【0007】
そして、パッシブ方式に分類されるコントラスト検出方式では、計算によってピントを合わせる(物理的にレンズを動かしながら計算によって画像のコントラストが高くなる位置を探し、そこをピントが合っている位置とする)ことなどを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−65684号公報
【特許文献2】特開2006−31595号公報
【特許文献3】特開2008−276712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
対象物の形状が簡単でなくても、また、至近距離での撮影でなくても、また、対象物表面での光の反射が弱かったり強かったりしても、撮影に長い時間をかけずに、対象物の形状に正確な形状の3DCG用モデルを自動的に生成することが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、レンズを使って画像を撮影する場合に、ピントがあった時の焦点距離と、レンズの材質の屈折率・レンズの曲率などから、撮影対象の位置を計算により求めることができることを応用したもので、「エリアイメージセンサ(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなど)」と「レンズ」の内の一方の三次元空間上の位置を固定しておき、もう一方を「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させながら(図1参照)、動画撮影のように連続的に画像を撮影し、撮影後、撮影画像を構成する画素の位置それぞれにおいて、エリアイメージセンサとレンズとの距離がどの値の時にピントが合っているかを計算により求め、それを用いて計算し、それぞれの画素の位置における奥行き座標(「エリアイメージセンサ上の或る画素」と「撮影対象表面上におけるその「エリアイメージセンサ上の或る画素」に映った部分」との距離)を求めることを主な特徴とする。
【0011】
ピントが合っているかどうかの判断は、対象物の形状が簡単でなくても、至近距離での撮影でなくても、対象物表面での光の反射が弱かったり強かったりしても、正確に行えるため、多くの対象物に対して精度の高い三次元データ化が実現できる。
【0012】
また、本発明では、奥行きの検出可能数だけ撮影を繰り返せば良いため(例えば、奥行きを500通り(500段階)検出できるように撮影を行う場合、500回の撮影で済むなど)、撮影が短時間で終わる。
【発明の効果】
【0013】
本発明を用いれば、対象物の形状が簡単でなくても、また、至近距離での撮影でなくても、また、対象物表面での光の反射が弱かったり強かったりしても、対象物の形状に正確な形状の3DCG用モデルを自動的に生成することができる。
【0014】
また、特に、撮影した画像を一旦半導体デジタルメモリに記録した後、記録されたデータをハードディスクドライブやフラッシュメモリや光学ドライブなどの補助記憶装置に移すなどして、必要な数の画像を撮りだめすることができるようにした場合、多くの撮影対象の撮影をまとめて行う場合などでも撮影をすぐに済ませることができる(0048参照)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】レンズを移動させる仕組みの構成例(エリアイメージセンサを固定し、レンズを「撮影対象の在る方向」へ移動させる場合)を示した図である。なお、抽象図であるため、尺や形状などは正確ではない。
【図2】本発明の撮影・三次元データ化のおおまかな手順を簡単な例について説明した概念図である。なお、抽象図であるため、尺や形状などは正確ではない。(1コマ目)
【図3】図2に同じ。(2コマ目)
【図4】図2に同じ。(3コマ目)
【図5】図2に同じ。(4コマ目)
【図6】図2に同じ。(5コマ目)
【図7】図2に同じ。(6コマ目)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明では、「エリアイメージセンサ(CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなど)」と「レンズ」の内の一方の三次元空間上の位置を固定しておき、もう一方を「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させながら、動画撮影のように連続的に画像を撮影し、撮影後、撮影画像を構成する画素の位置それぞれにおいて、エリアイメージセンサとレンズとの距離がどの値の時にピントが合っているかを計算により求め、それを用いて計算し、それぞれの画素の位置における奥行き座標(「エリアイメージセンサ上の或る画素」と「撮影対象表面上におけるその「エリアイメージセンサ上の或る画素」に映った部分」との距離)を求める。
【0017】
例えば、CMOSイメージセンサを三脚で地面に固定し、モーターを用いてレンズを「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へスライドさせて移動させながら、ハイスピードカメラと同様に連続的に画像を撮影し、撮影が終わった後、パソコンなどのコンピュータを使って、まとめて画像を構成する各画素の位置における奥行き座標を計算で求め、三次元データ化する。
【0018】
なお、「ピントが合っているかを求める計算」は、例えば、撮影画像を構成する画素の位置それぞれにおいて、その位置の画素と周囲の位置の画素における「画像の違いによるコントラストの変化」を線形の式とし、何枚目の画像でコントラストが最も高くなるかを推定して、その画像でピントが合っていると判断することを特徴とする計算を指す。
【0019】
また、「撮影画像を構成する画素の位置それぞれにおいて、エリアイメージセンサとレンズとの距離がどの値の時にピントが合っているかを求める計算」は、例えば、「何枚目の画像の撮影時に、エリアイメージセンサとレンズとの距離がどの値か」を実測などにより調べておき、それと「何枚目の画像でピントが合っているか」を照らし合わせて、ピントが合っている時のエリアイメージセンサとレンズとの距離を求めることを特徴とする計算を指す。
【0020】
また、「それぞれの画素の位置における奥行き座標(「エリアイメージセンサ上の或る画素」と「撮影対象表面上におけるその「エリアイメージセンサ上の或る画素」に映った部分」との距離)を求める計算」とは、例えば、「エリアイメージセンサとレンズとの距離」と「レンズの素材の屈折率」と「レンズの曲率」を用いて、「エリアイメージセンサとレンズとの距離」を焦点距離として、それらを公式に当てはめて求めることを特徴とする計算を指す。
【0021】
本発明においては、以上のように、撮影対象が在る「現実三次元空間」、「エリアイメージセンサ上の二次元空間」、「撮影画像内の二次元空間」、3DCG用モデルが在る「仮想三次元空間」の4つの空間を対応させながら、必要な値を求めていく。
【0022】
なお、図2〜図7において、本発明の撮影・三次元データ化のおおまかな手順を、撮影時にエリアイメージセンサを固定してレンズを「撮影対象の在る方向」へ移動させ、画像の撮影枚数を4枚のみとした例について説明してある。
【0023】
なお、図7の3DCG用モデルは、起伏が見やすいように、三次元棒グラフ状にして描いてある。
【0024】
また、後述の通り、正確には、奥行きが遠くなるほど(AよりB、BよりC、CよりDの方が)、3DCGモデルに変換する時に、3DCGモデル中の「エリアイメージセンサ上の1画素に対応する部分」が大きくなる、即ち、図7の変換後の3DCG用モデルにおいて、凹んだ部分ほど縦横が大きくなるが、図2〜図7は手順の理解のための抽象図であるため、このことを考慮していない。
【0025】
以上などを要点とする本発明の実施の形態を、以下、順を追って説明する。


【0026】
以下は、本発明の、3DCG用モデルを自動的に生成する装置である。
【0027】
A.エリアイメージセンサとレンズを備えている。
【0028】
B.「エリアイメージセンサ」と「レンズ」の内の一方の三次元空間上の位置を固定しておき、もう一方を「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させながら連続的に画像を撮影する仕組みを備えている。
【0029】
C.Bによって撮影した画像を用いて、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれについて、エリアイメージセンサとレンズとの距離がどの値の時にピントが合っているかを計算により求める仕組みを備えている。
【0030】
D.「レンズの素材の屈折率」と「レンズの曲率」と「Cで求めた、ピントが合っている時のエリアイメージセンサとレンズとの距離」を用いて、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれについて、「エリアイメージセンサ上の或る画素」と「撮影対象表面上におけるその「エリアイメージセンサ上の或る画素」に映った部分」との距離を計算によって求める仕組みを備えている。
【0031】
E.Bによって撮影した画像を構成する画素それぞれの「画像上の二次元座標」に、画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、x軸・y軸・z軸の3つの軸の内の2つの軸における値」を対応させる仕組みを備えている。
【0032】
F.Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれの「Dによって求まった距離」に、画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、Eの「2つの軸」以外の軸における値」を対応させる仕組みを備えている。
【0033】
G.「「撮影対象表面上における、エリアイメージセンサ上の或る画素に映った部分」と「その「エリアイメージセンサ上の或る画素」」との距離」がいくつである時に、「その「撮影対象表面上における、エリアイメージセンサ上の或る画素に映った部分」」の「現実空間における、Eの「2つの軸」の一方またはもう一方に対応する方向での全長」がいくつになるかを求めておき、それを用いて、撮影対象表面上における、Eの「2つの軸」の一方またはもう一方に対応する方向での線αと、Eの「2つの軸」以外の軸に対応する方向での線βで、長さが同じ場合、仮想三次元空間内の撮影対象に対応した3次元コンピュータグラフィックス用モデルにおいても、線αに対応した線と線βに対応した線が同じ長さで表されるように、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれの「画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、Eの「2つの軸」における値」」と、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれの「画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、Eの「2つの軸」以外の軸における値」」を決める仕組みを備えている。
【0034】
以上のA〜Gのごとき特徴を持った、3次元コンピュータグラフィックス用モデル生成装置。


【0035】
なお、本発明における画像の撮影は、デジタルハイスピードカメラで行っても良い(Aの「エリアイメージセンサとレンズ」は、デジタルハイスピードカメラのものでも良い。Bの「連続的に画像を撮影する仕組み」は、デジタルハイスピードカメラでも良い)。また、そのデジタルハイスピードカメラは、一体型でも良いし、分離型でも良い。
【0036】
なお、デジタルハイスピードカメラを用いる場合、一般的な構造のものでも20万コマ/秒、特殊な構造のものも含めると2000万コマ/秒の撮影を行える。
【0037】
また、本発明においては、高速に連続撮影が行えるほど、より細かな単位の奥行きで、または、より長い範囲の奥行きで、または、より短い時間で撮影を行えるようになるため、一般に、撮影速度が速いものの方が有利であるが、高速になるほどノイズが増えるため、その兼ね合いを考えて撮影速度を決めると良い。
【0038】
また、本発明で用いるエリアイメージセンサは、CCDイメージセンサでも良いし、MOS(CMOSなど)イメージセンサでも良い。
【0039】
なお、本発明には、高速に電荷を読み出せるCMOSがより適している。
【0040】
また、一般に、レンズは、焦点距離が長いものほど、また、絞りを絞らないものほど(即ち、望遠よりなものほど、被写界深度が浅いものほど)、奥行きの変化に対してのピントの変化が急になり、検出しやすくなるため、本発明により適している。
【0041】
なお、この場合、圧縮効果(遠くのものも大きく見える効果)によって、奥行き座標の変化に対してのGの「全長」の変化が小さくなる。
【0042】
また、Bの「もう一方を「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させる仕組み」は、ズームレンズのように、筒の中でレンズを前または後ろにスライドさせて移動させる仕組みでも良い(図1参照)。
【0043】
なお、その場合、画像を撮影している間は、エリアイメージセンサまたはレンズ(仕組みを用いて移動させる方)が静止するようになっていても良い。例えば、レンズを静止したまま画像を1枚撮影し、その後、少しだけレンズを前または後ろに動かして再び静止させた後、また画像を1枚撮影する、ということを繰り返しても良い。これにより、撮影画像のブレを抑えることができる。また、この場合、静止時は、ブレーキとなる物(変形しにくい固い物など)でレンズを押さえ付けて、レンズが移動しないように固定しても良い。
【0044】
また、より正確にレンズの位置決めを行うために、レンズの位置を調べることができる位置センサを取り付けても良い。
【0045】
また、Bの「「エリアイメージセンサ」と「レンズ」の内の一方の三次元空間上の位置を固定しておき、もう一方を「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させながら連続的に画像を撮影する仕組み」は、例えば、ズームレンズに用いられているもののような、モーターの動力を歯車によって伝え、それによってエリアイメージセンサまたはレンズ(仕組みを用いて移動させる方)を移動するものでも良い。具体例を1つ挙げれば、モーターの回転軸に歯車を取り付け、その歯車を、さらにもう1つの歯車を挟んで「ボディ(ボディは手や三脚などで固定されるものとする)に固定されたラック」に繋ぎ、モーターの軸受けにエリアイメージセンサまたはレンズ(仕組みを用いて移動させる方)を固定するものが考えられる。この場合、間に挟んだ歯車の径を大きくすることにより、容易に「エリアイメージセンサまたはレンズの移動の単位距離(最小で移動をどれくらいの長さに抑えられるか)」を小さくでき(歯車の微細化には限界があるが、歯車の巨大化には制限があまり無いため)、より細かくエリアイメージセンサまたはレンズを動かしやすくなる。例えば、歯車が、モーターの回転軸に取り付けられたもの、ボディに固定されたラック、それらを繋ぐ歯車の3つであり、それらを繋ぐ歯車の径が、他の2つの歯車の径よりも大きくなっていても良い。
【0046】
また、一般に、Bの仕組みによるエリアイメージセンサまたはレンズ(仕組みを用いて移動させる方)の移動の単位距離(最小で移動をどれくらいの長さに抑えられるか)は、小さい方が良い(小さいほど、より細かく奥行き座標を検出できるようになる)。
【0047】
また、Bにおいて撮影した画像は、DRAMなどの半導体デジタルメモリに記録しても良い。また、コンピュータに転送しても良い。
【0048】
また、その場合、一旦半導体デジタルメモリに記録した後、記録されたデータをハードディスクドライブやフラッシュメモリや光学ドライブなどの補助記憶装置などに移しても(コピーまたは移動しても)良い。これにより、必要な画像の数が多い場合でも(多くの撮影対象の撮影をまとめて行う場合などでも)画像を撮りだめすることができるので、撮影をすぐに済ませることができる(例えば、屋外で1つのプロジェクトに必要な撮影をまとめて行う時に、撮影をすぐに済ませて帰ることができる)。これは、本発明においては、撮影現場で時間のかかる「計算」という作業を一緒に行う必要が無く、連続的な画像撮影のみを行えば良いためである(例えば、屋外で画像を撮りだめした後、屋内に戻ってから、まとめてコンピュータで奥行き座標を求める計算などを行っても良い)。
【0049】
また、Bの「「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させながら」とは、正確に「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」に移動させることだけを指すのではなく、移動の速度成分に少しでも「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」の速度を含んだ移動であれば良い。
【0050】
例えば、撮影対象に対して斜めとなる向きでの移動でも良い。
【0051】
また、Bにおいてレンズを移動させるときは、それぞれの画素に映り込む現実空間内の範囲が直線的に変化するように、正確にレンズの軸の向きと一致するような方向で、または、正確にエリアイメージセンサと垂直な方向で、直線的に移動させることが望ましい。
【0052】
また、撮影対象は動かないものにすることが望ましい。よって、例えば、屋外で木や草原などの撮影を行う場合は、枝や葉が全く動かないくらい風が静かな日にした方が良い。
【0053】
また、撮影時、エリアイメージセンサやレンズなどが取り付けられた本体は、三脚などを使って地面と固定しても良い(「エリアイメージセンサとレンズの内、移動させない方」が三脚に固定されていても良い)。
【0054】
また、Bの撮影は、屋内で行っても良いし、屋外で行っても良い。なお、一般に、屋外の方が長時間の滞在に労力が必要となるため、本発明の「撮影をすぐに済ませることができる」という特徴をより活かすことができる。
【0055】
また、Cの「ピントが合っているかを求める計算」は、例えば、撮影画像を構成する画素の位置それぞれにおいて、その位置の画素と周囲の位置の画素における「画像の違いによるコントラストの変化」を線形の式とし、何枚目の画像でコントラストが最も高くなるかを推定して、その画像でピントが合っていると判断することを特徴とする計算でも良い。
【0056】
通常、本発明においては、撮影対象単位でピントを合わせる場合(カメラのオートフォーカスなど)と異なり、画素単位でピントを合わせるため、周りの画素のピントボケにより生じる拡散光(よりピントがぼけるほど、より撮影対象表面上の一点から進んできた光が広く拡散する)の影響が大きい(ピントが合っているかどうかの判定を行っている画素に余計な光が入り込んで、色が不規則に狂ってしまう)。しかし、「画像の違いによるコントラストの変化」を線形の式とし、何枚目の画像でコントラストが最も高くなるかを推定すれば、それらの余計な光の影響を抑えることができる。なお、このコントラスト変化の傾きによるピーク位置の推測でのピント合わせは、画素単位ではなく撮影対象単位のものではあるが、近年、フォーカスの高速化のために、カメラのオートフォーカスにおいて実用化されている。
【0057】
また、この場合、CMOSエリアイメージセンサ固有のノイズの影響も、ある程度抑えることができる。
【0058】
なお、0055〜0057の計算は、画素ごとの計算となるため計算量が多くなるが、本発明においては、通常、画像を撮りだめした後に、まとめて高性能なコンピュータを使って計算を行うため(カメラのオートフォーカスのように、性能の低い内臓小型回路を使ってリアルタイムに計算するわけではないので)、問題とならない。
【0059】
また、Cの「撮影画像を構成する画素の位置それぞれにおいて、エリアイメージセンサとレンズとの距離がどの値の時にピントが合っているかを求める計算」は、例えば、「何枚目の画像の撮影時に、エリアイメージセンサとレンズとの距離がどの値か」を実測などにより調べておき、それと「何枚目の画像でピントが合っているか」を照らし合わせて、ピントが合っている時のエリアイメージセンサとレンズとの距離を求めることを特徴とする計算でも良い。
【0060】
例えば、何枚目の画像の撮影時に「エリアイメージセンサとレンズとの距離」がどの値になっているかを実測して表にしておき、参照できるようにしておいても良い。また、その場合、撮影開始から撮影終了までのレンズの位置が、何回撮影を行っても同じになるようにレンズ移動装置を作っておくと良い(撮影開始時点では常に位置aとなり、撮影開始時点から0.1秒後では常に位置bとなり、撮影開始時点から0.2秒後では常に位置cとなり、、、など)。
【0061】
また、Dで奥行き座標を求める時、「撮影距離の最小値」を下回ると予測される場合(「或る画素の位置における画像の違いによるコントラストの変化を表す線形の式」などにより判断できる)、奥行き座標を「撮影距離の最小値」に対応させても良い。同様に、「撮影距離の最大値」を上回ると予測される場合、奥行き座標を「撮影距離の最大値」に対応させても良い。
【0062】
また、Dの奥行き座標を求める計算は、 例えば、「エリアイメージセンサとレンズとの距離」と「レンズの素材の屈折率」と「レンズの曲率」を用いて、「エリアイメージセンサとレンズとの距離」を焦点距離として、それらを公式に当てはめて求めることを特徴とする計算でも良い。
【0063】
また、「AをBに対応させる」とは、Aが表現しようとするものと、Bが表現しようとするものが同じであるということなどを指す。
【0064】
例えば、AとBが両方とも座標や距離などの「値」である場合、AとA以外の「Aと同種の値(例えば、Aが或る画像上の二次元座標だった場合は、同じ画像上の二次元座標)」との比率と、BとB以外の「Bと同種の値」との比率が、同じになることなどを指す。
【0065】
また、例えば、Aが画素、Bが頂点だった場合、Bは、Aを表すような頂点などを指す。
【0066】
また、例えば、Aが仮想三次元空間内の軸、Bが現実空間における方向であった場合、仮想三次元空間内における「表現しようとする対象物に対応したモデル」を基準としたAの軸の向きが、現実空間内における表現されるべき対象物を基準としたBの向きと同じになることなどを指す。
【0067】
また、Gは、簡単に言えば、エリアイメージセンサ上の画素(フォトダイオード)の大きさが全て同じであっても、それぞれの画素に映り込む現実空間内の撮影対象の範囲(幅や高さ)は奥行き座標によって異なるため、それらを3DCG用モデルを構成する頂点の位置を決める計算時に考慮する(それらに応じて頂点の間隔を調節する)という意味である。
【0068】
例えば、同じ20マイクロメートル四方の画素であっても、片方には奥行き1メートル地点にある撮影対象が映り込んでいて、もう片方には奥行き10メートル地点にある撮影対象が映りこんでいる場合、後者の方がより広い範囲(幅や高さ)が映り込む(遠近法と同様の理屈)ので、3DCG用モデルを生成する時に、後者の方が「1つの画素に対応する部分」がより大きくなり、より広い範囲において頂点の奥行き座標が同じになる。
【0069】
また、Gの「「「撮影対象表面上における、エリアイメージセンサ上の或る画素に映った部分」と「その「エリアイメージセンサ上の或る画素」」との距離」がいくつである時に、「その「撮影対象表面上における、エリアイメージセンサ上の或る画素に映った部分」」の「現実空間における、Eの「2つの軸」の一方またはもう一方に対応する方向での全長」がいくつになるかを求め」とは、例えば、何枚目の撮影画像の時に、エリアイメージセンサ上の1つの画素にどれだけの範囲の現実空間が映り込むかを実測して表にしておき、それを求める時はその表を参照するものでも良い。
【0070】
また、「レンズの素材の屈折率」と「レンズの曲率」と「エリアイメージセンサ、レンズ、撮影対象の位置」などを公式に当てはめて計算で求めるものでも良い。
【0071】
また、「レンズの素材の屈折率」と「レンズの曲率」と「エリアイメージセンサ、レンズ、撮影対象の位置」などを公式に当てはめて計算で求めて表にしておき、それを求める時はその表を参照するものでも良い。
【0072】
また、レンズの色収差の影響を抑えるため、CやDやGなどにおいて、画像として赤または青または緑の単色での画像を使用したり、それと同じ単色での「レンズの素材の屈折率」を用いたり、それと同じ単色での「現実空間における、Eの「2つの軸」の一方またはもう一方に対応する方向での全長」を用いても良い。また、さらに、より正確な結果が得られるように、赤または青または緑の内の2色以上において、それぞれ、単色での画像や単色での「レンズの素材の屈折率」や単色での「現実空間における、Eの「2つの軸」の一方またはもう一方に対応する方向での全長」を使用してFとGで奥行き座標を求めた後、それらを照合しても良い(例えば、色によって或る頂点の奥行き座標が異なる場合(結果がずれている場合)は、それらの奥行き座標の中間の座標または平均に該当する座標を、その頂点の奥行き座標とするなど)。
【0073】
また、レンズの色収差の影響を抑えるため、レンズの代わりに反射光学系を使用しても良い。
【0074】
また、レンズの単色収差の影響を抑えるため、撮影時に、レンズとして、半導体露光装置などに用いられる、収差を補正した光学系(組み合わせたレンズなど)を用いても良い。
【0075】
また、本発明を用いて、どの角度に視点を回転させても立体となっている3DCG用モデルを作りたい場合は、例えば、本発明を用いて、複数の方向(漏れなく全体を撮影するためには、3方向以上が望ましい)から撮影・三次元データ化を繰り返して、別々に「それぞれの角度から見える部分の3DCG用モデル」を作り、それらを張り合わせても良い。例えば、撮影対象に対して水平な位置から、撮影対象に対して120度ずつずれた3方向において、本発明による撮影・三次元データ化を行い、それらをそれぞれ適切に回転・移動させて(さらに、必要な場合は拡大・縮小も行い)貼り合わせても良い。
【0076】
なお、その場合、従来の「3DCG用モデルを生成する装置」で行われている手順と同様な手順で、形状や色の変化(模様など)などを利用してコンピュータで計算を行って自動的に張り合わせても良い。
【0077】
また、本発明は、コンピューターゲーム用3DCG生成装置であっても良いし、映画用3DCG生成装置であっても良いし、地形や建造物などの計測用の3DCG生成装置であっても良い。
【0078】
また、本発明における「計算」は、パソコンで行っても良いし、ワークステーションで行っても良いし、スーパーコンピュータで行っても良い。


【0079】
本発明では、以上のごとき装置を使って、撮影対象を撮影・三次元データ化する。
【0080】
例えば、奥行き座標を1ミリメートル幅で検出できるほど、エリアイメージセンサまたはレンズを細かな単位で移動させることができ、また、エリアイメージセンサまたはレンズの移動範囲内で等幅1万段階の位置切り替えを行うことができ、また、エリアイメージセンサまたはレンズを1秒で移動範囲の最初から最後まで移動させることができ、また、三脚で地面に固定した1万コマ/秒のハイスピードカメラを使って撮影を行う場合、1秒で、奥行き10メートルの範囲(例えば、「カメラから2メートル奥」〜「カメラから12メートル奥」)の撮影を行えるので、手軽に精巧な木などの3DCG用モデルを作ることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 レンズ
2 筒
3 エリアイメージセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.CCDイメージセンサとレンズを備えている。

B.CCDイメージセンサの三次元空間上の位置を固定しておき、レンズを「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させながら連続的に画像を撮影する仕組みを備えている。

C.Bによって撮影した画像を用いて、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれについて、「CCDイメージセンサとレンズとの距離」がどの値の時にピントが合っているかを計算により求める仕組みを備えている。

D.「レンズの素材の屈折率」と「レンズの曲率」と「Cで求めた、ピントが合っている時のCCDイメージセンサとレンズとの距離」を用いて、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれについて、「CCDイメージセンサ上の或る画素」と「撮影対象表面上におけるその「CCDイメージセンサ上の或る画素」に映った部分」との距離を計算によって求める仕組みを備えている。

E.Bによって撮影した画像を構成する画素それぞれの「画像上の二次元座標」に、画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、x軸・y軸の2つの軸における値」を対応させる仕組みを備えている。

F.Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれの「Dによって求まった距離」に、画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、z軸における値」を対応させる仕組みを備えている。

G.「「撮影対象表面上における、CCDイメージセンサ上の或る画素に映った部分」と「その「CCDイメージセンサ上の或る画素」」との距離」がいくつである時に、「その「撮影対象表面上における、CCDイメージセンサ上の或る画素に映った部分」」の「現実空間における、「x軸・y軸の2つの軸」に対応する方向での全長」がいくつになるかを求めておき、それを用いて、撮影対象表面上における、「x軸・y軸の2つの軸」に対応する方向での線αと、z軸に対応する方向での線βで、長さが同じ場合、仮想三次元空間内の撮影対象に対応した3次元コンピュータグラフィックス用モデルにおいても、線αに対応した線と線βに対応した線が同じ長さで表されるように、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれの「画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、「x軸・y軸の2つの軸」における値」」と、Bによって撮影した画像を構成する画素の位置それぞれの「画素に対応した「仮想三次元空間における頂点」の「仮想三次元空間内の座標系における、z軸における値」」を決める仕組みを備えている。

H.Bの「連続的に画像を撮影する仕組み」が、撮影した画像をDRAMに記録し、また、コンピュータに転送可能な、デジタルハイスピードカメラである。

I.撮影した画像を一旦DRAMに記録した後、記録されたデータをハードディスクドライブまたはフラッシュメモリに移す仕組みを備えている。

J.Bのレンズを「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させる仕組みが、筒の中でレンズを前または後ろにスライドさせて移動させる仕組みである。

K.Bのレンズを「撮影対象の在る方向、または、その逆の方向」へ直線的に移動させる仕組みが、歯車によって伝えたモーターの動力によってレンズを移動させる仕組みである。また、その歯車は、モーターの回転軸に取り付けられたもの、ボディに固定されたラック、それらを繋ぐ歯車の3つであり、それらを繋ぐ歯車の径が、他の2つの歯車の径よりも大きい。

L.Bで、画像を撮影している間はレンズを静止させ、ブレーキとなる固い物で押さえ付ける仕組みを備えている。

M.レンズの位置を調べることができる位置センサを備えている。

N.Bでレンズを移動させる時、正確にレンズの軸の向きの方向と一致するように、または、正確にCCDイメージセンサと垂直な方向で、直線的に移動させる仕組みを備えている。

O.デジタルハイスピードカメラに三脚が取り付けられている。

P.Cの「ピントが合っているかを求める計算」が、撮影画像を構成する画素の位置それぞれにおいて、その位置の画素と周囲の位置の画素における「画像の違いによるコントラストの変化」を線形の式とし、何枚目の画像でコントラストが最も高くなるかを推定して、その画像でピントが合っていると判断することを特徴とする計算である。

Q.レンズを、収差を補正した光学系としてある。

R.Bの撮影は、屋外で行う。

以上のA〜Rのごとき特徴を持った、コンピューターゲーム用の3次元コンピュータグラフィックス用モデル生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−118854(P2011−118854A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3401(P2010−3401)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【分割の表示】特願2009−276008(P2009−276008)の分割
【原出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(301037660)
【Fターム(参考)】