説明

3次元物体表示装置、3次元物体表示方法および3次元物体表示プログラムを記録した記録媒体

【課題】安価であるWebカメラと、配布が容易な何らかの物体を利用し、直感的に操作がし易い3次元物体表示装置を提供する。
【解決手段】登録するオブジェクトの3Dモデルをオブジェクト3Dモデル保存部101に保存し、前記3Dモデルに対応する2次元画像を登録用画像データ入力部102に入力する。前記2次元画像をもとに透視投影変換を用いて複数の画像を生成し、識別関数を導出して識別辞書保存部104に保存する。また姿勢パラメータ推定関数を導出しパラメータ推定関数保存106に保存する。カメラで撮影された画像を画像データ入力部107に入力し、該入力画像をもとに、画像内のオブジェクトを識別し、オブジェクトの姿勢を推定し、前記オブジェクトと姿勢をもとに、該当する3Dモデルを同じ姿勢に変換、又は所定の姿勢に応じた変形・変更を施し、画像として生成し、該表示画像をディスプレイに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙面等に印刷された物体またはTV等でディスプレイ表示された物体とそれを撮像するカメラとの相対的位置関係より、3次元モデリングされた物体を自由にディスプレイ表示・操作できるようにするための3次元物体表示装置、3次元物体表示方法および3次元物体表示プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
計算機の高性能化にともない、モデリングされた3次元物体を安価なパソコン等で簡単にディスプレイ表示、操作できるようになってきた。その操作はマウス等で行うことが一般的であるが、3次元物体を2次元ポインティングデバイスで操作することは一般的に容易ではない。多くのユーザーが自分の思う通りに操作できるようにするには、インターフェースを3次元化する必要がある。
【0003】
そういった観点からの近年の技術として、例えば下記特許文献1、2が挙げられる。これは、定形のマークを施したピンポン玉(球状の物体であれば何でも良い)と1台のカメラを用いて3次元操作インターフェースを実現したものであり、他のインターフェースに比べると、ピンポン玉とWebカメラという安価な装置で実現でき、低コストである点が特徴である。
【0004】
尚本発明に関連する、透視投影変換のパラメータ値を画像から推定するための関数を導出するサポートベクトル回帰による推定法としては、例えば下記特許文献3に記載のものが提案されている。
【0005】
また本発明に関連する、識別辞書を作成する際の部分空間法としては、例えば下記非特許文献1に記載のものが存在する。
【0006】
また本発明に関連する、透視投影変換のパラメータ値を画像から推定するための関数を導出するパラメトリック固有空間法としては、例えば下記非特許文献2に記載のものが存在する。
【特許文献1】特開2004−145664号公報
【特許文献2】特開2004−152032号公報
【特許文献3】特開2005−148988号公報
【非特許文献1】石井健一郎、上田修功、前田英作、村瀬洋共著“わかりやすいパターン認識”,オーム社,1998
【非特許文献2】村瀬 洋、Shree K.NAYAR“2次元照合による3次元物体認識−パラメトリック固有空間法−”,電子情報通信学会論文誌D−II,Vol.J77−D−II,No.11,pp.2179−2187,1994
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし上記特許文献1,2において、操作のためには、事前にピンポン玉を用意して定形のマークを施すという準備が必要である。予めマークが施されたピンポン玉を配布しても良いが、その場合はパッケージがかさばるという問題がある。また、3次元物体の選択は、別のインターフェースで行う必要がある。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、安価であるWebカメラと、配布が容易な何らかの物体を利用し、直感的に操作がし易い3次元物体表示装置、3次元物体表示方法および3次元物体表示プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、対象となる3次元物体の一定方向からの画像を紙面等に印刷し、それを上記ピンポン玉の代用品として利用する。すなわち、カメラで印刷物を撮像すると、カメラに接続された計算機がその印刷物の識別および姿勢(相対的な位置関係)推定を自動的に行う。そして、識別・推定結果に応じて姿勢を変えた該当物体を適宜ディスプレイ表示する。これにより、カメラの撮像対象およびカメラアングルを変えることで、複数の3次元物体を自由に選択し操作できるようになる。
【0010】
図1に示すように、カメラ付き端末、例えばカメラ内蔵型のPDA、携帯電話、モバイルPC等でこのシステムを実現すれば、あたかも紙面に印刷された物体が、カメラを通して3次元化したかのように見える。また、紙面等の印刷物ではなく、TV等でディスプレイ表示された物体でも同様のことができる。
【0011】
請求項1に記載の3次元物体表示装置は、印刷された物体またはディスプレイ表示された物体とそれを撮像するカメラとの相対的位置関係を利用した3次元物体表示装置であって、登録するオブジェクトの3Dモデルをメモリに格納するオブジェクト3Dモデル保存手段と、前記登録オブジェクトの3Dモデルに対応する2次元画像を入力する登録用画像データ入力手段と、前記登録オブジェクトに対応する2次元画像をもとに透視投影変換を用いて複数の画像を生成し、それを識別のための学習用画像として利用し、識別関数を導出する識別辞書作成手段と、前記識別関数の各種係数値をメモリに格納する識別辞書保存手段と、前記透視投影変換を用いて生成された複数の画像を学習用画像として姿勢パラメータ推定関数を導出するパラメータ推定関数作成手段と、前記姿勢パラメータ推定関数の各種係数値をメモリに格納するパラメータ推定関数保存手段と、カメラで撮影された画像を入力する画像データ入力手段と、前記入力画像をもとに、画像内に含まれるオブジェクトを識別するオブジェクト識別手段と、前記入力画像内に含まれるオブジェクトがどのような姿勢で写っているかを推定する姿勢パラメータ推定手段と、前記オブジェクトの種類とその姿勢をもとに、該当する3Dモデルを同じ姿勢に変換、もしくは所定の姿勢に応じた変形・変更を施し、画像として生成する表示画像作成手段と、前記作成された表示画像をディスプレイに出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
また請求項4に記載の3次元物体表示方法は、印刷された物体またはディスプレイ表示された物体とそれを撮像するカメラとの相対的位置関係を利用した3次元物体表示方法であって、オブジェクト3Dモデル保存手段が、登録するオブジェクトの3Dモデルをメモリに格納するステップと、登録用画像データ入力手段が、前記登録オブジェクトの3Dモデルに対応する2次元画像を入力するステップと、識別辞書作成手段が、前記登録オブジェクトに対応する2次元画像をもとに透視投影変換を用いて複数の画像を生成し、それを識別のための学習用画像として利用し、識別関数を導出するステップと、識別辞書保存手段が、前記識別関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、パラメータ推定関数作成手段が、前記透視投影変換を用いて生成された複数の画像を学習用画像として姿勢パラメータ推定関数を導出するステップと、パラメータ推定関数保存手段が、前記姿勢パラメータ推定関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、画像データ入力手段が、カメラで撮影された画像を入力するステップと、オブジェクト識別手段が、前記入力画像をもとに、画像内に含まれるオブジェクトを識別するステップと、姿勢パラメータ推定手段が、前記入力画像内に含まれるオブジェクトがどのような姿勢で写っているかを推定するステップと、表示画像作成手段が、前記オブジェクトの種類とその姿勢をもとに、該当する3Dモデルを同じ姿勢に変換、もしくは所定の姿勢に応じた変形・変更を施し、画像として生成する表示画像作成ステップと、出力手段が、前記作成された表示画像をディスプレイに出力するステップとを備えることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、カメラおよび紙面等の印刷物またはTV等でディスプレイ表示した物体を用いて、低コストかつ配布が容易で、直感的に操作がし易い3次元物体表示装置及びその方法が提供される。
【0014】
また請求項2に記載の3次元物体表示装置は、請求項1の3次元物体表示装置において、端末とサーバーを備えて構成され、前記端末は、前記画像データ入力手段と、前記画像データ入力手段により入力された入力画像データを前記サーバー側に送信し、前記サーバー側から送信される、作成された表示画像を受信する端末側送受信手段と、前記出力手段とを有し、前記サーバーは、前記端末側から送信される入力画像データを受信し、前記表示画像作成手段により生成された画像データを前記端末側に送信するサーバー側送受信手段と、前記オブジェクト3Dモデル保存手段、前記登録用画像データ入力手段、前記識別辞書作成手段、前記識別辞書保存手段、前記パラメータ推定関数作成手段、前記パラメータ推定関数保存手段、前記オブジェクト識別手段、前記姿勢パラメータ推定手段および前記表示画像作成手段とを有することを特徴としている。
【0015】
また請求項5に記載の3次元物体表示方法は、印刷された物体またはディスプレイ表示された物体とそれを撮像するカメラとの相対的位置関係を利用した3次元物体表示方法であって、サーバー側のオブジェクト3Dモデル保存手段が、登録するオブジェクトの3Dモデルをメモリに格納するステップと、サーバー側の登録用画像データ入力手段が、前記登録オブジェクトの3Dモデルに対応する2次元画像を入力するステップと、サーバー側の識別辞書作成手段が、前記登録オブジェクトに対応する2次元画像をもとに透視投影変換を用いて複数の画像を生成し、それを識別のための学習用画像として利用し、識別関数を導出するステップと、サーバー側の識別辞書保存手段が、前記識別関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、サーバー側のパラメータ推定関数作成手段が、前記透視投影変換を用いて生成された複数の画像を学習用画像として姿勢パラメータ推定関数を導出するステップと、サーバー側のパラメータ推定関数保存手段が、前記姿勢パラメータ推定関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、端末側の画像データ入力手段が、カメラで撮影された画像を入力するステップと、端末側の送受信手段が、前記画像データ入力手段により入力された入力画像データを前記サーバー側に送信するステップと、サーバー側の送受信手段が、前記端末側から送信された入力画像データを受信するステップと、サーバー側のオブジェクト識別手段が、前記入力画像をもとに、画像内に含まれるオブジェクトを識別するステップと、サーバー側の姿勢パラメータ推定手段が、前記入力画像内に含まれるオブジェクトがどのような姿勢で写っているかを推定するステップと、サーバー側の表示画像作成手段が、前記オブジェクトの種類とその姿勢をもとに、該当する3Dモデルを同じ姿勢に変換、もしくは所定の姿勢に応じた変形・変更を施し、画像として生成する表示画像作成ステップと、サーバー側の送受信手段が、前記表示画像作成手段により生成された画像データを前記端末側に送信するステップと、端末側の送受信手段が、前記サーバー側から送信された画像データを受信するステップと、前記端末側の出力手段が、前記作成された表示画像をディスプレイに出力するステップとを備えることを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、処理の重い部分をサーバーが実行するので、満足な動作が保証される。
【0017】
また請求項3に記載の3次元物体表示装置は、請求項1又は2の3次元物体表示装置において、前記表示画像作成手段は、表示するオブジェクトの姿勢パラメータを推定パラメータ値のn倍に設定し、表示画像を作成することを特徴としている。
【0018】
また請求項6に記載の3次元物体表示方法は、請求項4又は5の3次元物体表示方法において、前記表示画像作成ステップは、表示するオブジェクトの姿勢パラメータを推定パラメータ値のn倍に設定し、表示画像を作成することを特徴としている。
【0019】
上記構成によれば、推定された姿勢変化を大げさに表示したり、逆に抑えたりすることができる。
【0020】
また請求項7に記載の記録媒体は、請求項4乃至6に記載の3次元物体表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとし、そのプログラムを、該コンピュータが読み取りできる記録媒体に記録したことを特徴としている。
【0021】
以上の構成により、印刷物を対象とした画像パターン認識および姿勢推定技術を利用して3次元モデリングされた物体のディスプレイ表示および3次元的操作を行えるようになる。結果として、低コストかつ配布が容易で、直感的に操作がし易い3次元物体操作インターフェースが実現できる。
【発明の効果】
【0022】
(1)請求項1〜7に記載の発明によれば、カメラおよび紙面等の印刷物またはTV等でディスプレイ表示した物体を用いて、低コストかつ配布が容易で、直感的に操作がし易い3次元物体操作インターフェースが実現できる。
(2)請求項2、5に記載の発明によれば、処理の重い部分をサーバーが実行するので、満足な動作が保証される。
(3)請求項3、6に記載の発明によれば、推定された姿勢変化を大げさに表示したり、逆に抑えたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
【0024】
(実施形態その1)
図2は、本発明に係る実施形態その1の装置の構成を示すブロック図であり、図3は、本発明に係る実施形態その1の方法のフローチャートである。
【0025】
図2において、101は本発明のオブジェクト3Dモデル保存手段としてのオブジェクト3Dモデル保存部、102は本発明の登録用画像データ入力手段としての登録用画像データ入力部、103は本発明の識別辞書作成手段としての識別辞書作成部、104は本発明の識別辞書保存手段としての識別辞書保存部、105は本発明のパラメータ推定関数作成手段としてのパラメータ推定関数作成部、106は本発明のパラメータ推定関数保存手段としてのパラメータ推定関数保存部である。
【0026】
また107は本発明の画像データ入力手段としての画像データ入力部、108は本発明のオブジェクト識別手段としてのオブジェクト識別部、109は本発明の姿勢パラメータ推定手段としての姿勢パラメータ推定部、110は本発明の表示画像作成手段としての表示画像作成部、111は本発明の出力手段としての出力部である。
【0027】
尚図2に記載の各部の機能は、例えばコンピュータによって実行されるものである。
【0028】
図2および図3において、まずオブジェクト3Dモデル保存部101では、3Dで表示したい3Dモデル(3次元モデル)を所定のメモリに保存する(ステップS101)。
【0029】
登録用画像データ入力部102では、画像識別ができるように、上記3Dモデルの一定方向から見たときの画像(3Dモデルに対応する2次元画像)を入力する(ステップS102)。この入力画像は、オブジェクト3Dモデル保存部101から3Dモデルを呼び出し、自動的に作成することができる。
【0030】
識別辞書作成部103では、まず、登録用画像データ入力部102から伝送された入力画像から、透視投影変換に基づきさまざまな見え方の画像を複数生成する。そして、それらの画像には透視投影変換のパラメータ(例えば、x軸回転角度、y軸回転角度、z軸回転角度、x方向シフト、y方向シフト、z方向シフト)をプロパティとして関連付けておく。そして、識別辞書を作成する。辞書の内容は、識別方法によってさまざまであるが、ここでは上記非特許文献1に記載の部分空間法を利用することにして説明を進める。部分空間法では、特徴空間に張られる部分空間の基底ベクトルが辞書の内容である。そこで、特徴空間を適当に定め(例えば、各画素の明度値をラスタースキャンした順に並べたもの等)、その特徴空間上に上記透視投影変換後画像をプロットしていく。そのときの分布を主成分分析し、基底ベクトルを算出する(ステップS103)。
【0031】
識別辞書保存部104では、上記基底ベクトルを識別辞書として保存する(ステップS104)。
【0032】
パラメータ推定関数作成部105では、透視投影変換のパラメータ値を画像から推定するための関数を導出する(ステップS105)。ここで利用できる技術は、上記非特許文献2に記載のパラメトリック固有空間法や部分空間法と上記特許文献3に記載のサポートベクトル回帰による推定法等が挙げられる。ここでは、後者の技術を利用することにして説明を進める。サポートベクトル回帰による推定法では、関数の中に含まれる複数の係数値を最適化計算により導出する。例えば、x軸回転角度、y軸回転角度、z軸回転角度、x方向シフト、y方向シフト、z方向シフトといった各パラメータの推定関数を、透視投影変換後画像とそのプロパティを用いて導出可能である。
【0033】
パラメータ推定関数保存部106では、上記推定関数の係数値を所定のメモリに保存する(ステップS106)。
【0034】
画像データ入力部107では、上記ステップS101〜S106による登録処理を済ませた印刷物をカメラ撮像した画像データをオブジェクト識別部108に伝送する(ステップS107)。
【0035】
オブジェクト識別部108では、画像データ入力部107から伝送された画像から、その画像に含まれるオブジェクトを識別する(ステップS108)。識別は、前記部分空間法に基づき行われるとすれば、識別辞書保存部104より呼び出された基底ベクトルにより各登録オブジェクトの部分空間を構成し、特徴空間上で最も距離の近い部分空間の登録オブジェクトを求める。
【0036】
姿勢パラメータ推定部109では、画像データ入力部107から伝送された画像およびオブジェクト識別部108で特定された登録オブジェクトから、そのオブジェクトの姿勢パラメータを推定する(ステップS109)。ここで、前記サポートベクトル回帰による推定法を利用するならば、パラメータ推定関数保存部106より呼び出された推定関数を用いて、x軸回転角度、y軸回転角度、z軸回転角度、x方向シフト、y方向シフト、z方向シフトといった各パラメータ値を推定する。
【0037】
表示画像作成部110では、オブジェクト識別部108および姿勢パラメータ推定部109で推定された登録オブジェクトおよびその姿勢をもとに、オブジェクト3Dモデル保存部101から該当オブジェクトを呼び出し、推定された姿勢の画像を生成する。画像データ入力部107で入力された画像では、平面的な物体が幾何学的変形を伴って写っているが、ここでは3次元モデリングされた該当オブジェクトを同じ方向から見た場合の画像を生成する必要がある。また、所定の姿勢に応じて3次元モデルに変形もしくは変更を加えて表示しても良い。また、姿勢パラメータ値をn倍することで、推定された姿勢変化を大げさに表示したり、逆に抑えたりすることができる(ステップS110)。
【0038】
出力部111では、表示画像作成部110で生成された画像をディスプレイに表示する(ステップS111)。
【0039】
(実施形態その2)
上記図2、図3の装置および方法は、スタンドアロンで動作するものを想定している。しかし、ハードが携帯電話等の場合、必ずしも満足な動作を保証できるものではない。そこで、サーバー・クライアント型の装置および方法も考えることができる。以下、本発明のもう一つの実施形態について図を用いて説明する。図4は、本発明に係る実施形態その2の装置の構成を示すブロック図であり、図5は、本発明に係る実施形態その2の方法のフローチャートである。
【0040】
図4において、11は通信端末、12はサーバーであり、通信端末11は、画像データ入力部207(図2の画像データ入力部107と同様の機能を持つ)と、本発明の端末側の送受信手段としての送受信部212と、出力部211(図2の出力部111と同様の機能を持つ)とを有する。
【0041】
サーバー12は、オブジェクト3Dモデル保存部201(図2のオブジェクト3Dモデル保存部101と同様の機能を持つ)と、登録用画像データ入力部202(図2の登録用画像データ入力部102と同様の機能を持つ)と、識別辞書作成部203(図2の識別辞書作成部103と同様の機能を持つ)と、識別辞書保存部204(図2の識別辞書保存部104と同様の機能を持つ)と、パラメータ推定関数作成部205(図2のパラメータ推定関数作成部105と同様の機能を持つ)と、パラメータ推定関数保存部206(図2のパラメータ推定関数保存部106と同様の機能を持つ)と、オブジェクト識別部208(図2のオブジェクト識別部108と同様の機能を持つ)と、姿勢パラメータ推定部209(図2の姿勢パラメータ推定部109と同様の機能を持つ)と、表示画像作成部210(図2の表示画像作成部110と同様の機能を持つ)と、本発明のサーバー側の送受信手段としての送受信部213とを有する。
【0042】
図5のフローチャートではサーバー12で実行される登録過程については図示省略しているが、図4の装置においても前記図3と同様の登録過程が行われるものである。
【0043】
すなわち、サーバー12側のオブジェクト3Dモデル保存部201では、図3のステップS101のように3Dモデル(3次元モデル)を所定のメモリに保存し、登録用画像データ入力部202では、図3のステップS102のように3Dモデルに対応する2次元画像を入力する。
【0044】
そして識別辞書作成部203では、図3のステップS103のように識別辞書を作成し、識別辞書保存部204では、図3のステップS104のように識別辞書を保存する。
【0045】
またパラメータ推定関数作成部205では、図3のステップS105のように姿勢パラメータ推定関数を作成し、パラメータ推定関数保存部206では、図3のステップS106のように前記姿勢パラメータ推定関数を保存する。
【0046】
次に通信端末11側の画像データ入力部207では、前述したステップS101〜S106による登録処理を済ませた印刷物をカメラ撮像した画像データを入力する(ステップS201)。
【0047】
送受信部212では、入力された画像データをサーバー12側に送信する(ステップS202)。
【0048】
サーバー12側の送受信部213では、通信端末11側から送信された画像データを受信する(ステップS203)。
【0049】
オブジェクト識別部208では、前記受信された画像データから、図3のステップS108のように、画像に含まれるオブジェクトを識別する(ステップS204)。
【0050】
姿勢パラメータ推定部209では、図3のステップS109のように、受信された画像及び特定された登録オブジェクトから姿勢パラメータを推定する(ステップS205)。
【0051】
表示画像作成部210では、図3のステップS110のように、推定された姿勢の画像を生成する(ステップS206)。
【0052】
次に送受信部213では、前記生成された画像データを通信端末11側に送信する(ステップS207)。
【0053】
そして通信端末11側の送受信部212ではサーバー12側から送信された画像データを受信し(ステップS208)、出力部211では図3のステップS111のように、前記受信された画像をディスプレイに表示する(ステップS209)。
【0054】
上記のように図4、図5の構成によれば、処理の重い部分をサーバー12が代行できるようなシステムを構築でき、これによって満足な動作が保証される。
【0055】
また、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のCPU(MPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、実現できる。その場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体、例えばCD−ROM、DVD−ROM、CD−R、CD−RW、MO、HDD等は本発明を構成する。
【0056】
尚前記図2、図4の装置の各部において、入出力、作成された各データは、例えばメモリに格納して利用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明で使用されるカメラ付き端末と、それにより撮像される印刷物を表す説明図。
【図2】本発明の一実施形態例のブロック図。
【図3】本発明の一実施形態例のフローチャート。
【図4】本発明の他の実施形態例のブロック図。
【図5】本発明の他の実施形態例のフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
11…通信端末、12…サーバー、102,202…登録用画像データ入力部、103,203…識別辞書作成部、104,204…識別辞書保存部、105,205…パラメータ推定関数作成部、106,206…パラメータ推定関数保存部、107,207…画像データ入力部、108,208…オブジェクト識別部、109,209…姿勢パラメータ推定部、110,210…表示画像作成部、111,211…出力部、212,213…送受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷された物体またはディスプレイ表示された物体とそれを撮像するカメラとの相対的位置関係を利用した3次元物体表示装置であって、
登録するオブジェクトの3Dモデルをメモリに格納するオブジェクト3Dモデル保存手段と、
前記登録オブジェクトの3Dモデルに対応する2次元画像を入力する登録用画像データ入力手段と、
前記登録オブジェクトに対応する2次元画像をもとに透視投影変換を用いて複数の画像を生成し、それを識別のための学習用画像として利用し、識別関数を導出する識別辞書作成手段と、
前記識別関数の各種係数値をメモリに格納する識別辞書保存手段と、
前記透視投影変換を用いて生成された複数の画像を学習用画像として姿勢パラメータ推定関数を導出するパラメータ推定関数作成手段と、
前記姿勢パラメータ推定関数の各種係数値をメモリに格納するパラメータ推定関数保存手段と、
カメラで撮影された画像を入力する画像データ入力手段と、
前記入力画像をもとに、画像内に含まれるオブジェクトを識別するオブジェクト識別手段と、
前記入力画像内に含まれるオブジェクトがどのような姿勢で写っているかを推定する姿勢パラメータ推定手段と、
前記オブジェクトの種類とその姿勢をもとに、該当する3Dモデルを同じ姿勢に変換、もしくは所定の姿勢に応じた変形・変更を施し、画像として生成する表示画像作成手段と、
前記作成された表示画像をディスプレイに出力する出力手段とを備えることを特徴とする3次元物体表示装置。
【請求項2】
端末とサーバーを備えて構成され、
前記端末は、
前記画像データ入力手段と、
前記画像データ入力手段により入力された入力画像データを前記サーバー側に送信し、前記サーバー側から送信される、作成された表示画像を受信する端末側送受信手段と、
前記出力手段とを有し、
前記サーバーは、
前記端末側から送信される入力画像データを受信し、前記表示画像作成手段により生成された画像データを前記端末側に送信するサーバー側送受信手段と、
前記オブジェクト3Dモデル保存手段、前記登録用画像データ入力手段、前記識別辞書作成手段、前記識別辞書保存手段、前記パラメータ推定関数作成手段、前記パラメータ推定関数保存手段、前記オブジェクト識別手段、前記姿勢パラメータ推定手段および前記表示画像作成手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の3次元物体表示装置。
【請求項3】
前記表示画像作成手段は、表示するオブジェクトの姿勢パラメータを推定パラメータ値のn倍に設定し、表示画像を作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の3次元物体表示装置。
【請求項4】
印刷された物体またはディスプレイ表示された物体とそれを撮像するカメラとの相対的位置関係を利用した3次元物体表示方法であって、
オブジェクト3Dモデル保存手段が、登録するオブジェクトの3Dモデルをメモリに格納するステップと、
登録用画像データ入力手段が、前記登録オブジェクトの3Dモデルに対応する2次元画像を入力するステップと、
識別辞書作成手段が、前記登録オブジェクトに対応する2次元画像をもとに透視投影変換を用いて複数の画像を生成し、それを識別のための学習用画像として利用し、識別関数を導出するステップと、
識別辞書保存手段が、前記識別関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、
パラメータ推定関数作成手段が、前記透視投影変換を用いて生成された複数の画像を学習用画像として姿勢パラメータ推定関数を導出するステップと、
パラメータ推定関数保存手段が、前記姿勢パラメータ推定関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、
画像データ入力手段が、カメラで撮影された画像を入力するステップと、
オブジェクト識別手段が、前記入力画像をもとに、画像内に含まれるオブジェクトを識別するステップと、
姿勢パラメータ推定手段が、前記入力画像内に含まれるオブジェクトがどのような姿勢で写っているかを推定するステップと、
表示画像作成手段が、前記オブジェクトの種類とその姿勢をもとに、該当する3Dモデルを同じ姿勢に変換、もしくは所定の姿勢に応じた変形・変更を施し、画像として生成する表示画像作成ステップと、
出力手段が、前記作成された表示画像をディスプレイに出力するステップと
を備えることを特徴とする3次元物体表示方法。
【請求項5】
印刷された物体またはディスプレイ表示された物体とそれを撮像するカメラとの相対的位置関係を利用した3次元物体表示方法であって、
サーバー側のオブジェクト3Dモデル保存手段が、登録するオブジェクトの3Dモデルをメモリに格納するステップと、
サーバー側の登録用画像データ入力手段が、前記登録オブジェクトの3Dモデルに対応する2次元画像を入力するステップと、
サーバー側の識別辞書作成手段が、前記登録オブジェクトに対応する2次元画像をもとに透視投影変換を用いて複数の画像を生成し、それを識別のための学習用画像として利用し、識別関数を導出するステップと、
サーバー側の識別辞書保存手段が、前記識別関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、
サーバー側のパラメータ推定関数作成手段が、前記透視投影変換を用いて生成された複数の画像を学習用画像として姿勢パラメータ推定関数を導出するステップと、
サーバー側のパラメータ推定関数保存手段が、前記姿勢パラメータ推定関数の各種係数値をメモリに格納するステップと、
端末側の画像データ入力手段が、カメラで撮影された画像を入力するステップと、
端末側の送受信手段が、前記画像データ入力手段により入力された入力画像データを前記サーバー側に送信するステップと、
サーバー側の送受信手段が、前記端末側から送信された入力画像データを受信するステップと、
サーバー側のオブジェクト識別手段が、前記入力画像をもとに、画像内に含まれるオブジェクトを識別するステップと、
サーバー側の姿勢パラメータ推定手段が、前記入力画像内に含まれるオブジェクトがどのような姿勢で写っているかを推定するステップと、
サーバー側の表示画像作成手段が、前記オブジェクトの種類とその姿勢をもとに、該当する3Dモデルを同じ姿勢に変換、もしくは所定の姿勢に応じた変形・変更を施し、画像として生成する表示画像作成ステップと、
サーバー側の送受信手段が、前記表示画像作成手段により生成された画像データを前記端末側に送信するステップと、
端末側の送受信手段が、前記サーバー側から送信された画像データを受信するステップと、
前記端末側の出力手段が、前記作成された表示画像をディスプレイに出力するステップと
を備えることを特徴とする3次元物体表示方法。
【請求項6】
前記表示画像作成ステップは、表示するオブジェクトの姿勢パラメータを推定パラメータ値のn倍に設定し、表示画像を作成することを特徴とする請求項4又は5に記載の3次元物体表示方法。
【請求項7】
請求項4乃至6に記載の3次元物体表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとし、そのプログラムを、該コンピュータが読み取りできる記録媒体に記録したことを特徴とする3次元物体表示プログラムを記録した記録媒体。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−40864(P2008−40864A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215505(P2006−215505)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】