説明

3次元画像処理装置および3次元画像処理プログラム

【課題】ボリュームデータに対応する立体像を邪魔しないように補助画像を表示させることができるとともに補助画像を介した立体像に対する操作を容易に受け付けることができる3次元画像処理装置を提供する。
【解決手段】ボリュームデータにもとづいて複数の視点でボリュームレンダリングを行うことにより、複数の視点の多視点レンダリング画像生成部32と、ソフトキーの画像、付帯情報を示す画像その他の補助画像を生成する補助画像生成部33と、補助画像がボリュームデータに対応する立体像を囲う3次元領域の前面を除く周囲の所定の位置に配置されるよう、視点レンダリング画像と補助画像とを重畳した視点画像を含む複数の視点画像を生成する多視点画像生成部34と、多視点画像のそれぞれを視差成分画像として異なる方向に射出する裸眼3Dディスプレイ装置22に、複数の視点画像を出力する多視点画像出力部35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、3次元画像処理装置および3次元画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、X線診断装置などの医用画像診断装置(モダリティ)には、被検体(患者)の撮像により得られた投影データにもとづいてボリュームデータ(3次元画像データ)を生成可能なものがある。
【0003】
ボリュームデータは、ボリュームレンダリングすることにより2次元画像(以下、VR画像という)を生成するために用いることができる。このVR画像は、表示装置に表示されてユーザに提示される。
【0004】
一般に、VR画像は、各種操作機能が割り当てられたソフトキーやVR画像の付帯情報を示す画像などの補助画像とともに、表示装置の画面に同時に表示される場合が多い。この場合ユーザは、たとえばレンダリング方法を変更する機能が割り当てられたソフトキーを押下する事により、VR画像のレンダリング方法を容易に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−36496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、VR画像と補助画像とを一般的な2次元画面上に同時に表示させると、VR画像に割り当てられる表示領域が補助画像の分だけ狭くなってしまう。このため、ユーザにとって重要度が高いVR画像が小さく表示されてしまう一方で、利用頻度が低いソフトキーが画面内に表示され続けてしまい、大変不便である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る3次元画像処理装置は、上述した課題を解決するために、ボリュームデータにもとづいて複数の視点でボリュームレンダリングを行うことにより、複数の視点レンダリング画像を生成する多視点レンダリング画像生成部と、ソフトキーの画像、付帯情報を示す画像その他の補助画像を生成する補助画像生成部と、補助画像がボリュームデータに対応する立体像を囲う3次元領域の前面を除く周囲の所定の位置に配置されるよう、視点レンダリング画像と補助画像とを重畳した視点画像を含む複数の視点画像を生成する多視点画像生成部と、多視点画像のそれぞれを視差成分画像として異なる方向に射出する裸眼3Dディスプレイ装置に、複数の視点画像を出力する多視点画像出力部と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る医用画像処理装置の一構成例を示すブロック図。
【図2】制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図3】裸眼3Dディスプレイの一構成例を示す斜視図。
【図4】裸眼3Dディスプレイにより異なる視差番号を有する視差成分画像が互いに異なる方向に射出される様子の一例を示す説明図。
【図5】裸眼3Dディスプレイと視域の位置関係の一例を示す説明図。
【図6】裸眼3Dディスプレイの内部構成の一例を示すブロック図。
【図7】補助画像を構成する補助画像要素の例を示す説明図。
【図8】ボリュームデータに対応する立体像を囲う直方体領域の側面に補助画像が表示される際の様子の一例を示す説明図。
【図9】図1に示す医用画像処理装置の制御部により、ボリュームデータに対応する立体像を囲う直方体領域の側面に表示された補助画像に対する操作が受け付けられる際の手順を示すフローチャート。
【図10】ポインタ管理部により管理される3次元座標のうち、直方体領域の正面および側面の座標の一例を示す説明図。
【図11】図10のステップS3で制御部によりサムネイル画像群に対する入力に応じた機能が実行される際の手順を示すサブルーチンフローチャート。
【図12】左斜認知画像の側面領域に表示されたサムネイル画像群のサムネイル画像の1つにポインタが重ねられた(ホバーされた)様子を示す説明図。
【図13】(a)は図12に示す例においてポインタを介して選択されたサムネイル画像に対応する立体像が左斜認知画像に表示される様子の一例を示す説明図、(b)はサムネイル画像に対応する立体像が正面近傍認知画像に表示される様子の一例を示す説明図。
【図14】図10のステップS3で制御部により、操作パネルを介して受け付けたレンダリングモードの変更指示に応じた機能が実行される際の手順を示すサブルーチンフローチャート。
【図15】左斜認知画像および右斜認知画像の変形例を示す説明図。
【図16】ボリュームデータに対応する立体像の背後に補助画像が表示される際の様子の一例を示す説明図。
【図17】所定の画面レイアウトに応じて1つの画面の分割領域内に補助画像および立体像が表示される様子の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る3次元画像処理装置および3次元画像処理プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0010】
VR画像と補助画像とを一般的な2次元画面上に同時に表示させると、VR画像に割り当てられる表示領域が補助画像の分だけ狭くなってしまう。本発明の一実施形態に係る3次元画像処理装置は、裸眼3Dディスプレイを用いることにより、ボリュームデータに対応する立体像を囲う3次元領域の側面や背後を利用可能とし、この側面や背後に補助画像を表示させることで、ボリュームデータに対応する立体像を邪魔しないように補助画像を表示させることができるとともに、補助画像を介した立体像に対する操作を容易に受け付けることができる技術を提供するものである。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る医用画像処理装置10の一構成例を示すブロック図である。なお、本実施形態では、ソフトキーの画像、付帯情報を示す画像その他の補助画像が、ボリュームデータに対応する立体像を囲う直方体領域の上下左右の側面の一部または全部に貼り付けて配置される場合の例について説明する。
【0012】
3次元画像処理装置としての医用画像処理装置10は、図1に示すように、入力部11、記憶部12、ネットワーク接続部13および制御部14を有する。
【0013】
入力部11は、少なくともポインティングデバイスを含み、たとえばマウス、トラックボール、キーボード、タッチパネル、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザUの操作に対応した操作入力信号を制御部14に出力する。
【0014】
記憶部12は、モダリティ20から出力される医療用のボリュームデータ(3次元画像データ)を記憶する。モダリティ20は、たとえばX線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、X線診断装置などの医用画像診断装置であって、被検体(患者)の撮像により得られた投影データにもとづいてボリュームデータ(3次元画像データ)を生成可能な装置により構成することができる。
【0015】
ネットワーク接続部13は、ネットワーク21の形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続部13は、この各種プロトコルに従って医用画像処理装置10とモダリティ20などの他の装置とを接続する。ここでネットワーク21とは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、病院基幹LAN(Local Area Network)などの無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0016】
医用画像処理装置10は、ネットワーク21を介して接続されたモダリティ20からボリュームデータを受けてもよい。ネットワーク21を介して受信したボリュームデータもまた、記憶部12に記憶される。
【0017】
制御部14は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って医用画像処理装置10の処理動作を制御する。具体的には、制御部14のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された3次元画像処理プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って、ボリュームデータに対応する立体像を邪魔しないように補助画像を表示させつつ、補助画像を介した立体像に対する操作を可能にする処理を実行する。
【0018】
制御部14のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。また、制御部14のROMをはじめとする記憶媒体は、医用画像処理装置10の起動プログラム、3次元画像処理プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0019】
なお、ROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部はネットワーク21を介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0020】
制御部14は、複数の視点からみたVR画像や補助画像(複数の視点画像、多視点画像)を生成し、裸眼3Dディスプレイ22に出力する。また、制御部14は、裸眼3Dディスプレイ22を見るユーザUの位置を示す情報(以下、ユーザ位置情報という)を位置センサ23から取得するよう構成されてもよい。なお、制御部14がユーザ位置情報を利用しない場合は、位置センサ23は不要である。
【0021】
図2は、制御部14のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0022】
図2に示すように、制御部14のCPUは、3次元画像処理プログラムによって、ポインタ管理部31aを含む入力受付部31、多視点レンダリング画像生成部32、補助画像生成部33、多視点画像生成部34、多視点画像出力部35、ユーザ位置情報取得部36として機能する。この各部31〜36は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。
【0023】
入力受付部31は、入力部11の出力にもとづいてユーザUによる入力部11を介した指示を受け付ける。ポインタ管理部31aは、入力部11の出力にもとづいて裸眼3Dディスプレイ22に表示されたポインタの3次元座標を取得し、ポインタを介した補助画像に対する入力を受け付ける。なお、ポインタの3次元座標は、ユーザUの視点によらず一意である。
【0024】
多視点レンダリング画像生成部32は、記憶部12に記憶されたボリュームデータにもとづいて複数の視点でボリュームレンダリングを行うことにより、各視点のVR画像(視点レンダリング画像。以下、視点VR画像という)を生成する。以下の説明では、裸眼3Dディスプレイ22の正面近傍の視点をレンダリング視点とするVR画像を正面近傍視点VR画像といい、左斜め(右斜め)の視点をレンダリング視点とするVR画像を左斜視点VR画像(右斜視点VR画像)という。
【0025】
補助画像生成部33は、ソフトキーの画像、付帯情報を示す画像その他の補助画像を生成する。
【0026】
多視点画像生成部34は、補助画像がボリュームデータに対応する立体像を囲う3次元領域の前面を除く周囲の所定の位置に配置されるよう、多視点レンダリング画像生成部32により生成された視点VR画像と補助画像生成部33により生成された補助画像とを重畳した視点画像と、補助画像が重畳されず視点VR画像のみからなる視点画像とを含む複数の視点画像(多視点画像)を生成する。補助画像がボリュームデータに対応する立体像を囲う3次元領域の前面を除く周囲の所定の位置に配置されることにより、ボリュームデータに対応する立体像を邪魔しないように補助画像を表示させることができる。
【0027】
本実施形態では、多視点画像生成部34は、補助画像がボリュームデータに対応する立体像を囲う直方体領域の上下左右の側面の一部または全部に貼り付けて配置されるよう、多視点レンダリング画像生成部32により生成された視点VR画像と補助画像生成部33により生成された補助画像とを重畳した視点画像を含む複数の視点画像(多視点画像)を生成する。
【0028】
補助画像が側面に貼り付けて配置される場合、正面近傍視点では補助画像を全く視認することができないか、または補助画像の厚さ方向の幅しか視認することができない。このため、正面近傍視点VR画像(正面近傍のレンダリング視点でボリュームレンダリングした視点VR画像)に対して補助画像を重畳しても、ユーザUは補助画像を視認することが難しい。そこで以下の説明では、多視点画像が、補助画像が重畳されず正面近傍視点VR画像のみからなる1または複数の正面近傍視点画像と、斜視点VR画像(左斜視点VR画像または右斜視点VR画像)と補助画像とが重畳された斜視点画像とからなる場合の例について示す。
【0029】
斜視点VR画像と補助画像とを重畳して斜視点画像を生成する際、多視点画像生成部34は、補助画像の透明度を設定して半透明表示とすることにより、補助画像の裏側に隠れる斜視点VR画像を補助画像越しに視認可能とするとよい。この透明度は、あらかじめ設定されて記憶部12に記憶された設定値を用いてもよいし、ユーザUにより入力部11を介して設定されてもよい。
【0030】
なお、正面近傍視点VR画像とは、裸眼3Dディスプレイ22の正面近傍に設けたカメラでボリュームデータに対応する立体像を撮像した場合の画像に相当し、斜視点VR画像とは、正面近傍から左右にずれた位置に設けたカメラで立体像を撮像した場合の画像に相当する。また、正面近傍視点画像および斜視点画像は、ユーザに立体視させるためには少なくとも両眼用の2つの画像が生成される必要があるが、立体視させずともよい場合は1つであってもよい。たとえば、正面近傍視点VR画像のみが表示される正面近傍視点画像は立体視させたい一方、補助画像が重畳される斜視点画像は立体視させずともよい場合は、制御部14は、正面近傍視点画像を複数生成する一方、斜視点画像は1つだけ生成するようにしてもよい。
【0031】
多視点画像出力部35は、多視点画像を構成する複数の視点画像のそれぞれを視差成分画像として異なる方向に射出する裸眼3Dディスプレイ22に対し、多視点画像生成部34により生成された多視点画像を出力する。
【0032】
ユーザ位置情報取得部36は、位置センサ23の出力にもとづいてユーザ位置情報を取得し、入力受付部31に与える。
【0033】
ここで、図3〜図6を用いて裸眼3Dディスプレイ22の構成および作用について説明する。
【0034】
図3は、裸眼3Dディスプレイ22の一構成例を示す斜視図である。
【0035】
図3に示すように、裸眼3Dディスプレイ22は、画像表示部41と、画像表示部41の前方に所定のギャップをあけて配置された光線制御素子42と、を有する。
【0036】
画像表示部41は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの表示出力装置により構成される。たとえば9種の視差成分画像をあつかう場合、画像表示部41の各画素は9つの絵素で構成され、画素ごとに要素画像が表示される。また、画素が出力する光線のうち、同一の視差番号をもつ視差成分画像に対応する光線は、複数の画素から互いに平行に射出される。
【0037】
光線制御素子42は、複数の射出瞳43により構成される。光線制御素子42としては、2次元II(インテグラル・イメージング)方式では、マトリックス状に射出瞳43としてのセグメントレンズが配列されたレンズ・アレイや、射出瞳43としてのピン・ホールがアレイ状に配列されたピンホール・アレイを用いることができる。また、光線制御素子42は、1次元II方式では、垂直方向に延出され、水平方向に配列されたシリンドリカル・レンズからなるレンチュキュラー・シートや、垂直方向に延出され、水平方向に配列されたスリットを有するスリット・プレートにより構成される。光線制御素子42としてレンズ・アレイ、レンチュキュラー・シートおよびスリット・プレートのいずれを用いても、光学的には、各レンズまたはスリットは、光学的開口部の射出瞳43として機能する。
【0038】
図4は、裸眼3Dディスプレイ22により視差成分画像が互いに異なる方向に射出される様子の一例を示す説明図である。図4には、9つの撮影番号に相当する9視差方向を示す視差番号(−4、−3、・・・、0、・・・3、4)で視差成分画像が特定される場合の例を示した。なお、下記の説明では、説明を簡単にするために、1次元II方式について説明する。1次元II方式では、視差成分画像が水平方向に沿って画素に振り分けられるが、2次元II方式では、水平方向における視差成分画像の割り当て方法と同様の方法で、垂直方向についても視差成分画像を割り当てればよい。
【0039】
画像表示部41の表示面には、画素44がほぼ一定の水平ピッチおよび垂直ピッチでマトリクス状に配列されている。各画素44は、水平方向に並んだ所定数の絵素により構成される。図4には、画素44が9つの絵素で構成される場合の例について示した。各絵素は、垂直方向に並んだR、G、Bの各サブピクセルにより構成される。RGBサブピクセル上に、それぞれ対応する縦ストライプ・カラー・フィルターが配列されることにより、高精細液晶パネル・モジュールが構成される。このパネル・モジュールには、視差成分画像から成る要素画像が表示されて立体像が表示される。各視差成分画像は、多視点画像出力部35が出力する多視点画像の各視点画像により構成される。
【0040】
9種の視差成分画像は、画素44を構成する9つの絵素のそれぞれに表示される。射出瞳43は画素44のそれぞれに対応して配置される。各絵素から射出された光線は、射出瞳43を通過し、射出瞳43から視距離Lに位置する視域面45に視差成分画像46を投影する。このとき、画素44が出力する光線のうち、同一の視差番号をもつ視差成分画像に対応する光線は、複数の画素44から互いに平行に射出される。
【0041】
9種の視差成分画像の集合としての要素画像は、各射出瞳43に対応した画素44に表示され、要素画像からの光線は、射出瞳43で制御または規制されてユーザUに向けられる。そして、ユーザUが位置する方向に向けられた光線で視差成分画像が送られると、ユーザUは、この視差成分画像の集合として立体画像を認識することができる。すなわち、この裸眼3Dディスプレイ22によれば、ユーザUの位置を視域面内の位置近傍に想定すると、ユーザUは、要素画像からの光線にもとづいて画像表示部41の前面(手前に飛び出す方向)および背面(奥行き方向)の近傍に立体映像を観察することができる。
【0042】
図5は、裸眼3Dディスプレイ22と視域47の位置関係の一例を示す説明図である。ここで、視域とは、ユーザUが射出瞳43を介して視差成分画像を観察可能な範囲をいうものとする。
【0043】
ユーザUが左右に移動すると、射出瞳43を介して観察される絵素(RGBサブピクセル)が変化する。1次元II方式では、同一の視差番号をもつ視差成分画像に対応する光線同士が射出瞳43から互いに平行に射出される。このため、ユーザUが透視投影的に観察すると、射出瞳43越しに見える各サブピクセルの位置は、射出瞳43の幅ずつ(たとえばレンチキューラーシートのレンズピッチずつ)異なる。なお、視域47の幅を最大にするために、射出瞳43と画素44との位置関係を射出瞳43ごとに異ならせてもよい。
【0044】
II方式では、水平面内において、各射出瞳43に対応する要素画像が定められており、射出瞳43から互いに平行な関係にある光線が視域47に向けて射出されて、立体像が視域に形成される。
【0045】
なお、視差成分画像数が十分に多い場合には、異なる視差番号を有する視差成分画像が本来表示されるべき2以上の領域、例えば、異なる視差番号を有する視差成分画像が本来表示されるべき3つの領域に、同一の視差成分画像が表示されても良い。
【0046】
図6は、裸眼3Dディスプレイ22の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
裸眼3Dディスプレイ22は、多視点画像取得部48および要素画像生成部49をさらに有する。
【0048】
多視点画像取得部48は、多視点画像出力部35から多視点画像を取得する。要素画像生成部49は、この多視点画像を要素画像に変換する。すなわち、要素画像生成部49は、多視点画像の各視点画像と視差番号とを関連付けることにより各視点画像を視差成分画像としてあつかい、視差成分画像を集めて要素画像を生成する。
【0049】
要素画像生成部49により生成された要素画像は、画像表示部41の各画素44に表示され、要素画像が射出瞳43を介して視域47に投影されることによって立体画像が視域47の内部でユーザUにより観察される。
【0050】
なお、多視点画像取得部48および要素画像生成部49は、CPUにより所定のプログラムが実行されて実現される機能実現部であってもよいし、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。また、ソフトウエアとハードウエアを適宜組み合わせて各機能を実現してもよい。
【0051】
また、図1では裸眼3Dディスプレイ22が医用画像処理装置10の構成外に設けられ場合の例について示したが、裸眼3Dディスプレイ22を医用画像処理装置10の一構成要素としても構わない。また、医用画像処理装置10は、モダリティ20に組み込まれてもよい。
【0052】
続いて、補助画像について簡単に説明する。
【0053】
図7は、補助画像50を構成する補助画像要素の例を示す説明図である。
【0054】
補助画像50は、各種機能が割り当てられた複数のソフトキーにより構成されたツールバー51、複数のサムネイル画像52aにより構成されたサムネイル画像群52、付帯情報表示画像53、簡易操作パネル54、操作パネル55、患者、シリーズおよび画像のリスト56や、正面近傍視点VR画像とは異なる画像57などの補助画像要素により構成される。正面近傍視点VR画像とは異なる画像57としては、たとえば正面近傍視点VR画像とは異なるレンダリングモードでボリュームレンダリングされたVR画像や、正面近傍視点VR画像とはボリュームデータが異なる画像などを挙げることができる。
【0055】
補助画像生成部33は、これらの補助画像要素の1つまたは複数により構成される補助画像50を生成する。そして、多視点画像生成部34は、補助画像50の補助画像要素がボリュームデータに対応する立体像を囲う直方体領域の上下左右の側面の少なくとも1つの側面に貼り付けて配置されるよう、多視点レンダリング画像生成部32により生成された視点VR画像と補助画像生成部33により生成された補助画像50とを重畳した複数の視点画像を含む多視点画像を生成する。なお、各補助画像要素のもととなる画像ファイルは、あらかじめ記憶部12に記憶させておいてもよいし、ネットワーク21を介して適宜取得してもよい。
【0056】
図8は、ボリュームデータに対応する立体像60を囲う直方体領域61の側面に補助画像50が表示される際の様子の一例を示す説明図である。
【0057】
多視点画像出力部35によって出力された多視点画像にもとづいて裸眼3Dディスプレイ22が要素画像を表示すると、多視点画像を構成する複数の視点画像のそれぞれが、視差成分画像として異なる方向に射出される。このため、ユーザUが観察する視差成分画像は、ユーザUの左右位置に応じて異なる(図4参照)。
【0058】
たとえば、裸眼3Dディスプレイ22を正面近傍から見る場合の視点を正面近傍視点A1、A2、・・・、Anとし、正面近傍から左にずれた位置から見る場合の視点を左斜視点B1、B2、・・・、Bnとし、正面近傍から右にずれた位置から見る場合の視点を右斜視点C1、C2、・・・、Cn(ただしnは正整数)とする場合を考える。
【0059】
この場合、たとえばユーザUが正面近傍に位置して左目が正面近傍視点A1に、右目が正面近傍視点A2に、それぞれ位置しており、正面近傍視点A1およびA2に対して互いに異なる正面近傍視点画像にもとづく視差成分画像の光線が射出されていれば、ユーザUは、正面近傍視点画像を立体的な像(以下、正面近傍認知画像という)として認識することができる。
【0060】
また、ユーザUが左斜視点B1、B2から見る場合は、ユーザUは、斜視点画像のうち左斜視点B1およびB2またはその近傍の視点でレンダリングされた視点VR画像(左斜視点VR画像)を立体的な像(以下、左斜認知画像という)として認識することができる。同様に、ユーザUが右斜視点C1、C2から見る場合は、ユーザUは、斜視点画像のうち左斜視点C1およびC2またはその近傍の視点でレンダリングされたVR画像(右斜視点VR画像)を立体的な像(以下、右斜認知画像という)として認識することができる。なお、2次元II方式であれば、同様に上斜認知画像および下斜認知画像をユーザに知覚可能とすることができる。
【0061】
左斜認知画像および右斜認知画像は、ボリュームデータに対応する立体像60が主に存在する正面領域62と、補助画像50が主に存在する側面領域63とを有する。図8には、左斜認知画像の側面領域63にサムネイル画像群52のみにより構成された補助画像50が表示され、右斜認知画像の側面領域63に操作パネル55のみにより構成された補助画像50が表示される場合の例について示した。なお、図8には正面領域62と側面領域63との境界線64を一点差線で図示したが、この境界線64は各斜認知画像に表示されなくてもよい。
【0062】
図8に示すように、正面近傍認知画像には側面領域63が含まれない。このため、補助画像50は表示されない。このため、正面近傍認知画像の全ての表示領域は立体像60を表示するために用いることができ、補助画像50が立体像60の表示画像を侵食することがない。したがって、ユーザUは、立体像60をしっかりと観察したい場合は、裸眼3Dディスプレイ22の正面近傍に位置とよい。正面近傍に位置することで、補助画像50を含まない立体像60を認識することができる。
【0063】
また、ユーザUは、位置を左(または右)にずらすことにより、補助画像50が表示される側面領域63を含む左斜認知画像(または右斜認知画像)を認識することができる。このため、ユーザUは、補助画像50に割り当てられた各種機能を利用したい場合は、自らの位置を左または右にずらすとよい。正面近傍から左右にずれた場所に自らを位置することで、補助画像50を視認することができ、補助画像50に対する各種操作を行うことができる。
【0064】
次に、本実施形態に係る医用画像処理装置10の動作の一例について説明する。
【0065】
図9は、図1に示す医用画像処理装置10の制御部14により、ボリュームデータに対応する立体像60を囲う直方体領域61の側面に表示された補助画像50に対する操作が受け付けられる際の手順を示すフローチャートである。図9において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0066】
図9に示す手順は、多視点画像出力部35が出力した多視点画像にもとづいて裸眼3Dディスプレイ22が要素画像を表示した時点でスタートとなる。
【0067】
また、図10は、ポインタ管理部31aにより管理される3次元座標のうち、直方体領域61の正面および側面の座標の一例を示す説明図である。なお、図10には、直方体領域61の正面左下を座標原点とし、原点から水平方向右側をX軸正方向、垂直方向上側をY軸正方向、手前側をZ軸正方向としてXYZ軸を定義する場合の一例について示した。また、図10には直方体領域61の展開図65とともに各面の頂点座標の一例を示した。
【0068】
まず、ステップS1において、ポインタ管理部31aは、入力部11の出力にもとづいて裸眼3Dディスプレイ22に表示されたポインタ70の3次元座標を取得し、補助画像50の補助画像に対する入力を受け付ける。
【0069】
次に、ポインタ管理部31aは、ポインタ70の3次元座標にもとづいて、ポインタ70が側面にあるか否かを判定する(ステップS2)。たとえば、ユーザUが右に移動して視点C1およびC2に位置する場合には、ユーザUは正面領域62および側面領域63の両方を視認することができる(図8参照)。このとき、ユーザUは、たとえば正面領域62にあるポインタ70を操作し、境界線64を横断して側面領域63の補助画像50に対する入力を所望する場合がある(図10参照)。
【0070】
ポインタ70が側面にない場合(ステップS2のNO)、一連の手順は終了となる。一方、側面にある場合(ステップS2のYES)、ポインタ管理部31aは、補助画像50に対する入力を受け付ける。そして、制御部14は、受け付けられた入力に対応する機能を実行する(ステップS3)。
【0071】
以上の手順により、ボリュームデータに対応する立体像60を囲う直方体領域61の側面に表示された補助画像50に対する操作を受け付けることができる。
【0072】
次に、図8に示すように左斜認知画像の側面領域63にサムネイル画像群52により構成された補助画像50が表示され、ユーザUによりサムネイル画像群52に対する入力が行われる場合の例についてより詳細に説明する。
【0073】
図11は、図9のステップS3で制御部14によりサムネイル画像群52に対する入力に応じた機能が実行される際の手順を示すサブルーチンフローチャートである。図11において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0074】
また、図12は、左斜認知画像の側面領域63に表示されたサムネイル画像群52のサムネイル画像52aの1つにポインタ70が重ねられた(ホバーされた)様子を示す説明図である。また、図13(a)は、図12に示す例においてポインタ70を介して選択されたサムネイル画像52aに対応する立体像60aが左斜認知画像に表示される様子の一例を示す説明図であり、(b)は、サムネイル画像52aに対応する立体像60aが正面近傍認知画像に表示される様子の一例を示す説明図である。
【0075】
図12および図13には、あらかじめ正面近傍認知画像に表示された立体像60を四角すい体で示し、選択(ポインタ70がホバー)されたサムネイル画像52aを直方体で示した。
【0076】
ポインタ70が側面にあると判定すると(図9のステップS2のYES)、入力受付部31は、入力部11を介したポインタ70などの操作によりサムネイル画像群52の複数のサムネイル画像52aの1つが選択されたか否かを判定する(ステップS31)。
【0077】
この「選択」のための操作としては、サムネイル画像52aの画像上にポインタ70を載せるいわゆるホバー操作や、サムネイル画像52aの1つをポインタ70によりクリックする操作や、入力部11を構成するキーボードの所定のキーを押下する操作などの様々な操作のうち、1つまたは複数をあらかじめ割り当てておくことができる。たとえば、ホバー操作を選択のための操作として割り当てておく場合、ポインタ管理部31aは、ステップS31において、サムネイル画像52aの1つにポインタ70がホバーされたか否かを判定する。
【0078】
サムネイル画像52aの1つに対する選択が行われていない場合(ステップS31のNO)は、引き続き補助画像50に対する入力を受け付けるべく図9のステップS2に戻る。一方、サムネイル画像52aの1つが選択された場合(ステップS31のYES)は、多視点レンダリング画像生成部32は、選択されたサムネイル画像52aに対応する立体像60aが正面近傍の視点A1〜Anで立体視可能なように、選択されたサムネイル画像52aに対応する複数の正面近傍視点VR画像を生成する(ステップS32)。このとき、多視点レンダリング画像生成部32は、選択されたサムネイル画像52aに対応する斜視点VR画像をさらに生成してもよい。
【0079】
次に、多視点画像生成部34は、選択されたサムネイル画像52aに対応する立体像60aが正面近傍の視点A1〜Anで立体視可能なように(図13(b)参照)、選択されたサムネイル画像52aに対応する正面近傍視点VR画像のみからなる正面近傍視点画像を複数生成する(ステップS33)。このとき、多視点画像生成部34は、多視点レンダリング画像生成部32により選択されたサムネイル画像52aに対応する斜視点VR画像が生成されていれば、この斜視点VR画像に対して補助画像を重畳して斜視点画像をさらに生成してもよい(図13(a)参照)。斜視点VR画像が生成されていない場合は、多視点画像生成部34は、補助画像のみからなる斜視点画像を生成してもよい。
【0080】
そして、多視点画像出力部35は、裸眼3Dディスプレイ22に、正面近傍視点画像および斜視点画像からなる多視点画像を出力する(ステップS34)。
【0081】
以上の手順により、サムネイル画像群52の1つが選択されると、選択されたサムネイル画像52aの正面近傍視点画像を生成して裸眼3Dディスプレイに出力することができる。
【0082】
次に、図8に示すように右斜認知画像の側面領域63に操作パネル55により構成された補助画像50が表示され、ユーザUにより操作パネル55に対する入力が行われる場合の例についてより詳細に説明する。
【0083】
図14は、図9のステップS3で制御部14により、操作パネル55を介して受け付けたレンダリングモードの変更指示に応じた機能が実行される際の手順を示すサブルーチンフローチャートである。図14において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0084】
ポインタ70が側面にあると判定すると(図9のステップS2のYES)、入力受付部31は、入力部11を介したポインタ70などの操作により、操作パネル55を介してレンダリングリングモードの変更指示が受け付けられたか否かを判定する(ステップS321)。
【0085】
この「変更指示」のための操作としては、レンダリングモードの変更指示機能が割り当てられた操作パネル55のソフトキーの画像上にポインタ70を載せるいわゆるホバー操作や、クリック操作や、入力部11を構成するキーボードの所定のキーを押下する操作など、様々な操作をあらかじめ割り当てておくとよい。たとえば、クリック操作を変更指示のための操作として割り当てておく場合、入力受付部31のポインタ管理部31aは、ステップS321において、レンダリングモードの変更指示機能が割り当てられた操作パネル55のソフトキーがクリックされたか否かを判定する。
【0086】
レンダリングモードの変更指示がない場合(ステップS321のNO)は、引き続き補助画像50に対する入力を受け付けるべく図9のステップS2に戻る。一方、レンダリングモードの変更指示を受け付けると(ステップS321のYES)、多視点レンダリング画像生成部32は、ボリュームデータにもとづいて少なくとも正面近傍の視点A1〜Anで変更後のレンダリングモードによりボリュームレンダリングを行い、新たに正面近傍視点VR画像を生成する(ステップS322)。このとき、多視点レンダリング画像生成部32は、変更後のレンダリングモードによりボリュームデータにもとづいて斜視点VR画像をさらに生成してもよい。
【0087】
次に、多視点画像生成部34は、変更後のレンダリングモードによるボリュームデータに対応する立体像が正面近傍の視点A1〜Anで立体視可能なように、新たに生成された正面近傍視点VR画像のみからなる正面近傍視点画像を複数生成する(ステップS323)。このとき、多視点画像生成部34は、多視点レンダリング画像生成部32により変更後のレンダリングモードでボリュームデータにもとづく斜視点VR画像が生成されていれば、この斜視点VR画像に対して補助画像を重畳して斜視点画像をさらに生成してもよい。斜視点VR画像が生成されていない場合は、多視点画像生成部34は、補助画像のみからなる斜視点画像を生成してもよい。
【0088】
そして、多視点画像出力部35は、裸眼3Dディスプレイ22に、正面近傍視点画像および斜視点画像からなる多視点画像を出力する(ステップS34)。
【0089】
以上の手順により、操作パネル55を介してレンダリングモードの変更指示が受け付けられると、変更後のレンダリングモードでボリュームデータをボリュームレンダリングした正面近傍視点画像を生成して裸眼3Dディスプレイに出力することができる。
【0090】
本実施形態に係る医用画像処理装置10は、裸眼3Dディスプレイ22を用いることにより、ボリュームデータに対応する立体像60の表示領域に対して、補助画像50の表示位置を、3次元空間内で自由に配置することができる。また、本実施形態に示すように補助画像50を、ボリュームデータに対応する立体像60を囲う直方体領域61の側面に配置する場合、図8に示すように、正面近傍認知画像には側面領域63が含まれない。このため、正面近傍認知画像の全ての表示領域は立体像60を表示するために用いることができ、補助画像50が立体像60の表示画像を侵食することがない。したがって、ユーザUは、立体像60をしっかりと観察したい場合は、裸眼3Dディスプレイ22の正面近傍に位置することにより、補助画像50を含まない立体像60を認識することができる。
【0091】
また、ユーザUは、位置を左(または右)にずらすことにより、補助画像50が表示される側面領域63を含む左斜認知画像(または右斜認知画像)を認識することができる。このため、本実施形態に係る医用画像診断装置10によれば、ユーザUは、自らの位置を左(または右)にずらすだけで、補助画像50を視認することができ、補助画像50に対する各種操作を行うことができる。
【0092】
したがって、本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、ボリュームデータに対応する立体像60を邪魔しないように補助画像50を表示させることができるとともに、補助画像50を介した立体像60に対する操作を容易に受け付けることができる。
【0093】
また、たとえば左斜認知画像と右斜認知画像の側面領域63に同一の補助画像50を配置した場合、補助画像50に対する入力を行うためのポインタ70の左右方向の移動距離は、画面横幅のほぼ半分以下にできる。また、上下斜認知画像の側面領域63に同一の補助画像50を配置した場合、ポインタ70の移動距離を画面縦幅のほぼ半分以下にできる。この場合、ユーザUは補助画像50に対する入力のためのポインタ70の操作量を減らすことができ、便利である。
【0094】
また、裸眼3Dディスプレイ22に代えて眼鏡式の3Dディスプレイを用いてもよい。裸眼3Dディスプレイ22を用いる場合には、専用の眼鏡を用いる方式の3Dディスプレイで必要とされる眼鏡が不要となるため、術者はめがねの着脱にかかる手間を省くことができる。
【0095】
また、上記説明では多視点画像生成部34が視点VR画像と補助画像とを重畳する場合の例について示したが、あらかじめ記憶部12に記憶されたボリュームデータに対して補助画像が配置された補助画像付きボリュームデータを作成しておいても良い。この場合、多視点レンダリング画像生成部32により生成された多視点VR画像は、そのまま多視点画像として用いることができ、多視点画像生成部34は不要となる。
【0096】
また、あらかじめ補助画像付きボリュームデータを作成しておく場合、斜視点画像における補助画像50が、対応する視点においてユーザUに正対するようにしてもよい。この場合、補助画像50がユーザUに正対することにより、側面に貼り付けられた補助画像50が傾いて視認される場合(図8の左斜認知画像や右斜認知画像参照)にくらべ、補助画像50をユーザUにとってより視認しやすくすることができる。
【0097】
また、医用画像処理装置10が位置センサ23からユーザ位置情報が取得可能に構成される場合は、入力受付部31は、ユーザUが上下左右の斜め位置にいるか否かを判定し、斜め位置にいる場合のみ補助画像50を介した入力を受け付け(図9のステップS2からS3への移行を許可し)、正面近傍にいる場合には補助画像50を介した入力を受け付けない(図9のステップS2からS3への移行を禁止する)ようにしてもよい。
【0098】
また、入力部11の操作に応じて補助画像50の一部または全部を立体表示可能なように、多視点画像生成部34は、補助画像50が含まれる斜視点画像を複数生成してもよい。この場合、多視点画像生成部34は、裸眼3Dディスプレイ22で表示されると補助画像50が立体視可能なように、補助画像50を複数の斜視点からみた複数の視点補助画像を生成するとよい。このとき、多視点画像生成部34は、補助画像50のうちユーザUにより入力部11を介して選択された状態またはユーザUにより選択可能な状態にあるソフトキーなど(以下、選択部分という)があると、この選択部分の情報を入力受付部31から取得し、この補助画像50の選択部分が立体視可能なように、複数の視点補助画像を生成して、複数の視点レンダリング画像のそれぞれと複数の視点補助画像のそれぞれとを重畳して複数の斜視点画像を生成してもよい。この場合、ユーザUは、たとえば操作パネル55の1つのソフトキーにポインタ70をホバーすることにより、このソフトキーの立体視画像を認識することができ、自らが選択しているソフトキーがどのソフトキーであるかを明確に知ることができる。
【0099】
また、正面近傍視点画像は1つのVR画像により構成してもよい。このとき、ユーザUの入力部11を介した操作に応じてこのVR画像を回転させるとともに、このVR画像の回転とともに、直方体領域61および直方体領域61の側面に貼り付けられて配置された補助画像50を回転させるとよい。たとえば、ユーザUがポインタ70を用いてVR画像を所定方向にいわゆるドラッグする操作を行うと、多視点画像生成部34は、VR画像が補助画像50とともに回転するように、ユーザUのポインタ70操作に応じて正面近傍視点画像を順次生成する。この場合、ユーザUのポインタ70の操作に応じて、VR画像の回転とともに正面近傍認知画像に対して補助画像50を重畳させることができる。このため、ユーザUは、自らが移動することなく、ポインタ70を操作してVR画像を回転させることにより、補助画像50を必要に応じて正面近傍認知画像の手前に表示させることができる。
【0100】
図15は、左斜認知画像および右斜認知画像の変形例を示す説明図である。
【0101】
多視点画像生成部34は、正面近傍視点画像は正面近傍視点VR画像のみで構成する一方、斜視点画像は補助画像50のみで構成してもよい。このとき、斜視点画像の補助画像50は、対応する視点においてユーザUに正対するようにしてもよい。この場合、図15に示すように、正面近傍認知画像には立体像60のみが含まれ、左右斜認知画像には補助画像50のみが含まれる。また、正面近傍視点VR画像を立体視させずともよい場合は、多視点レンダリング画像生成部32は1つの正面近傍視点VR画像を生成すればよく、同一の正面近傍視点VR画像が視差成分画像として複数の正面近傍視点で観察されてもよい。この場合、正面近傍認知画像は2次元のVR画像としてユーザUに視認される。
【0102】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る3次元画像処理装置および3次元画像処理プログラムの第2実施形態について説明する。
【0103】
第2実施形態に係る医用画像処理装置10は、補助画像50が、ボリュームデータに対応する立体像60の背後に配置される点で第1実施形態に係る医用画像処理装置10と異なる。他の構成および作用については図1に示す医用画像処理装置10と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
図16は、ボリュームデータに対応する立体像60の背後に補助画像50が表示される際の様子の一例を示す説明図である。
【0105】
図16に示すように、多視点画像生成部34は、補助画像50がボリュームデータに対応する立体像60の背後に配置されるよう、複数の正面近傍視点VR画像のそれぞれと補助画像50とを重畳して多視点画像を生成してもよい。
【0106】
この場合、ユーザUは、正面近傍視点から裸眼3Dディスプレイ22を見ると、立体像60の背後に補助画像50が隠れた正面近傍認知画像を認識することになる。したがって、ユーザUは、裸眼3Dディスプレイ22の正面近傍に位置することで、補助画像50にさえぎられることなく立体像60を見ることができる。また、ユーザUが補助画像50に対する操作を所望した場合に備え、ユーザUの入力部11に対する操作やシステムの状態等に応じて、補助画像50と立体像60との前後関係を入れ替える。
【0107】
補助画像50を立体像60の前面に配置するためのユーザUの入力部11に対する操作としては、たとえば立体像60の表示領域を除く表示領域でポインタ70をクリックする操作や、立体像60の奥に表示された補助画像50に対するクリック操作や、入力部11のキーボード等に対する所定の操作などが挙げられる。また、補助画像50を立体像60の前面に配置するきっかけとなるシステムの状態としては、たとえば所定時間以上ユーザUによる入力部11に対する操作がない場合や、いわゆるスクリーンセーバやスタンバイ状態からの復帰時などが挙げられる。
【0108】
また、補助画像50を立体像60の前面に配置する際には、補助画像50の透明度を設定して半透明表示とすることにより、補助画像50の裏側に隠れる立体像60を補助画像50越しに視認可能とするとよい。この透明度は、あらかじめ設定されて記憶部12に記憶された設定値を用いてもよいし、ユーザUにより入力部11を介して設定されてもよい。
【0109】
本実施形態に係る医用画像処理装置10によっても、裸眼3Dディスプレイ22を用いることにより、ボリュームデータに対応する立体像60の表示領域に対して、補助画像50の表示位置を、3次元空間内で自由に配置することができる。また、本実施形態に示すように補助画像50を、ボリュームデータに対応する立体像60の背後に配置する場合、図16に示すように、正面近傍認知画像において、補助画像50は立体像60の背後に表示される。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置10によっても補助画像50に侵食されない立体像60を観察することができる。
【0110】
また、本実施形態に係る医用画像処理装置10は、ユーザUの入力部11に対する操作やシステムの状態等に応じて、補助画像50と立体像60との前後関係を入れ替えることができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置10によっても、ボリュームデータに対応する立体像60を邪魔しないように補助画像50を表示させることができるとともに、補助画像50を介した立体像60に対する操作を容易に受け付けることができる。
【0111】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る3次元画像処理装置および3次元画像処理プログラムの第3実施形態について説明する。
【0112】
第3実施形態に係る医用画像処理装置10は、補助画像50およびボリュームデータに対応する立体像60が、1つの画面の分割領域内に配置される点で医用画像処理装置10と異なる。他の構成および作用については図1に示す医用画像処理装置10と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0113】
図17は、正面近傍認知画像が、所定の画面レイアウトに応じて1つの画面の分割領域内に補助画像50および立体像60が表示される様子の一例を示す説明図である。図17には、1つの画面が、立体像60を表示するための主画像領域81と、補助画像50の操作パネル55を表示するための補助領域82と、他のレンダリングモードによる画像などのその他の画像を表示するための副画像領域83と、に分割される場合の例について示した。なお、主画像領域81に表示される画像は、立体像60でなくてもよく、二次元のVR画像であってもよい。
【0114】
図17に示すように、多視点画像生成部34が、1つの画面の分割領域内に補助画像50および立体像60が表示されるように正面近傍視点画像を作成した場合、立体像60が表示される領域(主画像領域81)は、他の表示領域(補助領域82および副画像領域83)により侵食されてしまう。
【0115】
そこで、入力受付部31によりポインタ70が立体像60にホバーされたことが検知されると、多視点画像生成部34は、立体像60の表示サイズを拡大した拡大立体像60bを含む正面近傍視点画像を再生成する(図17左下参照)。また、入力受付部31によりポインタ70が補助領域82にホバーされたことが検知されると、多視点画像生成部34は、補助領域82の操作パネル55の表示サイズを拡大した拡大補助画像50aを含む正面近傍視点画像を再生成する(図17右下参照)。また、多視点画像生成部34は、操作パネル55を拡大する際に、操作パネル55を立体視可能なように複数の正面近傍視点画像を生成してもよい。
【0116】
本実施形態に係る医用画像処理装置10によれば、1つの画面の分割領域内に補助画像50および立体像60が表示される場合であっても、ユーザUの操作に応じて、適宜立体像60や補助画像50を拡大表示することができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置10によっても、ボリュームデータに対応する立体像60を邪魔しないように補助画像50を表示させることができるとともに、補助画像50を介した立体像60に対する操作を容易に受け付けることができる。
【0117】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0118】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0119】
10 医用画像処理装置
11 入力部
12 記憶部
13 ネットワーク接続部
14 制御部
20 モダリティ
21 ネットワーク
22 裸眼3Dディスプレイ
23 位置センサ
31 入力受付部
31a ポインタ管理部
32 多視点レンダリング画像生成部
33 補助画像生成部
34 多視点画像生成部
35 多視点画像出力部
36 ユーザ位置情報取得部
50 補助画像
60 立体像
61 直方体領域
62 正面領域
63 側面領域
70 ポインタ
81 主画像領域
82 補助領域
83 副画像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームデータにもとづいて複数の視点でボリュームレンダリングを行うことにより、複数の視点レンダリング画像を生成する多視点レンダリング画像生成部と、
ソフトキーの画像、付帯情報を示す画像その他の補助画像を生成する補助画像生成部と、
前記補助画像が前記ボリュームデータに対応する立体像を囲う3次元領域の前面を除く周囲の所定の位置に配置されるよう、前記視点レンダリング画像と前記補助画像とを重畳した視点画像を含む複数の視点画像を生成する多視点画像生成部と、
前記複数の視点画像のそれぞれを視差成分画像として異なる方向に射出する裸眼3Dディスプレイ装置に、前記複数の視点画像を出力する多視点画像出力部と、
を備えた3次元画像処理装置。
【請求項2】
前記多視点画像生成部は、
前記複数の視点レンダリング画像のうち正面近傍視点レンダリング画像には前記補助画像を重畳させずに正面近傍視点画像を生成する一方、前記正面近傍の視点の前記視点レンダリング画像を除く斜視点レンダリング画像には前記補助画像を重畳して斜視点画像を生成し、
前記多視点画像出力部は、
前記裸眼3Dディスプレイ装置が、正面近傍方向に前記正面近傍視点画像を射出し、前記正面近傍方向を除く方向に前記斜視点画像を射出するよう、前記裸眼3Dディスプレイ装置に前記複数の視点画像を出力する、
請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項3】
前記多視点画像生成部は、
前記補助画像が前記ボリュームデータに対応する立体像を囲う直方体領域の側面に貼り付けて配置されるよう、前記複数の視点レンダリング画像のうち前記斜視点レンダリング画像と前記補助画像とを重畳する、
請求項2記載の3次元画像処理装置。
【請求項4】
前記裸眼3Dディスプレイ装置に表示されたポインタの3次元座標を取得し、前記補助画像に対する入力を受け付けるポインタ管理部、
をさらに備えた、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項5】
前記多視点レンダリング画像生成部は、
ユーザにより入力部を介して前記補助画像を介したレンダリングモードの変更指示が受け付けられると、前記ボリュームデータにもとづいて前記正面近傍の視点で変更後のレンダリングモードによりボリュームレンダリングを行い、新たに複数の視点レンダリング画像を生成し、
前記多視点画像生成部は、
前記変更後のレンダリングモードによる前記ボリュームデータに対応する前記立体像が前記正面近傍の視点で立体視可能なように、新たに生成された視点レンダリング画像のみからなる前記正面近傍視点画像を複数生成する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項6】
前記多視点レンダリング画像生成部は、
ユーザにより入力部を介して前記補助画像に含まれた複数のサムネイル画像の1つに対する選択が受け付けられると、前記選択されたサムネイル画像に対応する立体像が前記正面近傍の視点で立体視可能なように、前記選択されたサムネイル画像に対応する前記複数の視点レンダリング画像を生成し、
前記多視点画像生成部は、
前記選択されたサムネイル画像に対応する立体像が前記正面近傍の視点で立体視可能なように、前記選択されたサムネイル画像に対応する視点レンダリング画像のみからなる前記正面近傍視点画像を複数生成する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項7】
前記多視点画像生成部は、
前記補助画像が前記ボリュームデータに対応する立体像の背後に配置されるよう、前記複数の視点レンダリング画像のそれぞれと前記補助画像とを重畳して前記複数の視点画像を生成する、
請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項8】
前記多視点画像生成部は、
ユーザによる入力部を介した指示に応じて、前記視点画像における前記補助画像と前記視点レンダリング画像の前後関係を変更するとともに、前記補助画像を前記視点レンダリング画像の前面に表示する際は前記補助画像を半透明画像とする、
請求項7記載の3次元画像処理装置。
【請求項9】
前記多視点画像生成部は、
ユーザによる入力部に対する操作が所定時間以上行われないと、前記視点画像における前記補助画像を前記視点レンダリング画像の前面に表示するとともに前記補助画像を半透明画像とする、
請求項7記載の3次元画像処理装置。
【請求項10】
前記多視点画像生成部は、
前記複数の視点画像のうち、正面近傍視点画像の所定の表示領域に前記視点レンダリング画像を配置するとともに前記正面近傍視点画像の他の表示領域に前記補助画像を配置し、ユーザにより入力部を介して前記視点レンダリング画像が選択されるとこの視点レンダリング画像を拡大表示するよう前記正面近傍視点画像を再度生成する一方、ユーザにより入力部を介して前記補助画像が選択されるとこの補助画像を拡大表示するよう前記正面近傍視点画像を再度生成する、
請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項11】
前記多視点画像生成部は、
前記裸眼3Dディスプレイ装置で表示されると前記補助画像が立体視可能なように、前記補助画像を複数の視点からみた複数の視点補助画像を生成して前記複数の視点レンダリング画像のそれぞれと前記複数の視点補助画像のそれぞれとを重畳する、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項12】
前記多視点画像生成部は、
前記補助画像のうちユーザにより入力部を介して選択された状態または選択可能な状態にあるものについて立体視可能なように、前記複数の視点補助画像を生成して、記複数の視点レンダリング画像のそれぞれと前記複数の視点補助画像のそれぞれとを重畳する、
請求項11記載の3次元画像処理装置。
【請求項13】
コンピュータに、
ボリュームデータにもとづいて複数の視点でボリュームレンダリングを行うことにより、複数の視点レンダリング画像を生成するステップと、
ソフトキーの画像、付帯情報を示す画像その他の補助画像を生成するステップと、
前記補助画像が前記ボリュームデータに対応する立体像を囲う3次元領域の前面を除く周囲に配置されるよう、前記視点レンダリング画像と前記補助画像とを重畳した複数の視点画像を含む複数の視点画像を生成するステップと、
前記多視点画像のそれぞれを異なる方向に射出する裸眼3Dディスプレイ装置に、前記複数の視点画像を出力するステップと、
を実行させるための3次元画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図10】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−238289(P2012−238289A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108581(P2011−108581)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】