説明

3次元画像処理装置

【課題】奥行き方向に重畳表示された複数の画像間でポインタを容易に移動させることができる3次元画像処理装置を提供する。
【解決手段】医用画像処理装置の制御部14は、画像生成部31およびポインタ制御部32を備える。画像生成部31は、ボリュームデータにレンダリング処理を行うことにより生成されたレンダリング画像と、ポインタの画像とが、奥行き情報を考慮して重畳された重畳画像を生成する。ポインタ制御部32は、ポインタの3次元位置情報を求めるものであり、ポインタがレンダリング画像上にある場合はボリュームデータ中の対象物の3次元的な表面に沿ってポインタを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、3次元画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、X線診断装置などの医用画像診断装置(モダリティ)には、被検体(患者)の撮像により得られた投影データにもとづいてボリュームデータ(3次元画像データ)を生成可能なものがある。
【0003】
ボリュームデータは、ボリュームレンダリングすることにより2次元画像(以下、VR画像という)を生成するために用いることができる。このVR画像は、表示装置に表示されてユーザに提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−36496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近、ユーザに立体像を認識させることができる3Dディスプレイが市場に出回り始めている。この種の3Dディスプレイは、複数の視差成分画像をそれぞれ異なる方向に射出するようになっている。ユーザは、視差成分画像の集合として立体画像を認識することができる。
【0006】
したがって、ボリュームデータを異なるレンダリング視点でボリュームレンダリングしたVR画像を生成し、この複数の視点のVR画像を視差成分画像として3Dディスプレイに与えることにより、ボリュームデータに対応する立体像を3Dディスプレイに表示させることができる。この種の立体像を視認するユーザは、立体像の奥行き方向を認識することができる。また、1枚のVR画像のみでも、シェーディングやテクスチャマッピングによりユーザに奥行き方向を認識させることができる。
【0007】
しかし、マウスカーソルなどのポインタを画面内で奥行き方向に移動させることは難しい。これは、従来のポインタは、画面の表面上で動くように設計されており、そもそもポインタを奥行き方向に移動させることについては考慮されていないためである。このため、たとえば奥行き方向に複数の画像が重畳表示されていると、これらの画像間でポインタを移動させることが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る3次元画像処理装置は、上述した課題を解決するために、画像生成部およびポインタ制御部を備えたものである。画像生成部は、ボリュームデータにレンダリング処理を行うことにより生成されたレンダリング画像と、ポインタの画像とが、奥行き情報を考慮して重畳された重畳画像を生成する。ポインタ制御部は、ポインタの3次元位置情報を求めるものであり、ポインタがレンダリング画像上にある場合はボリュームデータ中の対象物の3次元的な表面に沿ってポインタを移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置の一構成例を示すブロック図。
【図2】ユーザに提示される1画面内で複数の画像が奥行き方向に重畳される様子の一例を示す説明図。
【図3】制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図4】補助画像を構成する補助画像要素の例を示す説明図。
【図5】裸眼3Dディスプレイの内部構成の一例を示すブロック図。
【図6】奥行き方向に重畳表示された複数の画像間でポインタを移動させる様子の第1の例を示す説明図。
【図7】奥行き方向に重畳表示された複数の画像間でポインタを移動させる様子の第2の例を示す説明図。
【図8】ポインタの画像サイズを奥行き方向の手前にあるほど大きくする場合の例を示す説明図。
【図9】ポインタの画像サイズを奥行き方向の手前にあるほど大きくする場合において複数視点からみた視点ポインタ画像が生成される様子の一例を示す説明図。
【図10】ポインタを点光源としてシェーディング処理が施された視点画像の一例を示す説明図。
【図11】視点画像にポインタを起点とするルーラ画像が重畳される場合の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る3次元画像処理装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置10の一構成例を示すブロック図である。
【0012】
3次元画像処理装置としての医用画像処理装置10は、図1に示すように、入力部11、記憶部12、ネットワーク接続部13および制御部14を有する。
【0013】
入力部11は、少なくともポインティングデバイスを含み、たとえばマウス、トラックボール、キーボード、タッチパネル、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を制御部14に出力する。
【0014】
記憶部12は、モダリティ20から出力される医療用のボリュームデータ(3次元画像データ)を記憶する。モダリティ20は、たとえばX線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、X線診断装置などの医用画像診断装置であって、被検体(患者)の撮像により得られた投影データにもとづいてボリュームデータ(3次元画像データ)を生成可能な装置により構成することができる。
【0015】
また、記憶部12は、ボリュームデータの3次元座標とVR画像の2次元座標とを関連付けた座標対応情報を記憶する。この座標対応情報は、たとえば制御部14によりボリュームデータにもとづいてVR画像が生成されると記憶部12に書き込まれる。
【0016】
また、記憶部12は、ユーザに提示される1画面内で奥行き方向に重畳された複数の画像のそれぞれの優先度の情報(以下、優先度情報という)を記憶している。この優先度情報は、あらかじめ工場出荷時などに設定されていてもよいし、ユーザにより入力部11を介して設定されてもよい。
【0017】
なお、1画面内で奥行き方向に重畳される複数の画像には、複数のVR画像が含まれてもよい。複数のVR画像としては、たとえば一被検体から得られるボリュームデータにもとづいて、たとえば筋肉、骨、血管、臓器などの種別ごとにセグメンテーション(分類)したVR画像などが挙げられる。これらのセグメンテーションされた複数のVR画像を重畳する場合は、単純にレイヤーを奥行き方向に前後に重ねるのではなく互いの空間的な位置関係が再現されるよう重畳するとよい。
【0018】
ネットワーク接続部13は、ネットワーク21の形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続部13は、この各種プロトコルに従って医用画像処理装置10とモダリティ20などの他の装置とを接続する。ここでネットワーク21とは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、病院基幹LAN(Local Area Network)などの無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0019】
医用画像処理装置10は、ネットワーク21を介して接続されたモダリティ20からボリュームデータを受けてもよい。ネットワーク21を介して受信したボリュームデータもまた、記憶部12に記憶される。また、記憶部12に記憶される座標対応情報、優先度情報などの情報もまた、ネットワーク21を介して受信されてもよい。
【0020】
制御部14は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って医用画像処理装置10の処理動作を制御する。
【0021】
図2は、ユーザに提示される1画面内で複数の画像が奥行き方向に重畳される様子の一例を示す説明図である。なお、以下の説明では、画面の正面左下を座標原点とし、原点から水平方向右側をX軸正方向、垂直方向上側をY軸正方向、手前側をZ軸正方向としてXYZ軸を定義する。このとき、Z軸方向が奥行き方向となる。
【0022】
なお、図2には1つのVR画像16が重畳される様子の一例を示したが、VR画像16(セグメンテーションされたVR画像16)を複数重畳してもよい。本実施形態では、図2に示すように1つのVR画像16が重畳される場合の例について説明する。
【0023】
図2に示すように、VR画像16は、補助画像17と奥行き方向に前後するように重畳されて画面表示される場合がある。しかし、ポインタ18は、ユーザの入力部11を介した操作に応じて、XY座標はユーザの所望の位置に移動させることができる一方奥行き方向(Z軸方向)については入力部11を介した操作では自由に移動させることができない場合がある。この場合、画面内で奥行き方向に重畳された複数の画像のうちの任意の画像に対してポインタ18を合わせることが難しい。また、たとえば入力部11がホイールつきのマウスで構成され、ホイールの回転に応じてポインタ18の奥行き方向の位置を移動させることができるようになっている場合であっても、ポインタ18の奥行き方向の位置を把握することは難しく、やはり画面内で奥行き方向に重畳された複数の画像のうちの任意の画像に対してポインタ18を合わせることが難しい。
【0024】
そこで、制御部14のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された3次元画像処理プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、このプログラムに従って奥行き方向に重畳表示された複数の画像間でポインタ18を移動させる処理を実行する。
【0025】
制御部14のRAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。また、制御部14のROMをはじめとする記憶媒体は、医用画像処理装置10の起動プログラム、3次元画像処理プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0026】
なお、ROMをはじめとする記憶媒体は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部はネットワーク21を介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0027】
制御部14は、複数の視点からみたVR画像16と補助画像17とが奥行き方向に重畳された画像(複数の視点画像、多視点画像)を生成し、裸眼3Dディスプレイ22に出力する。
【0028】
図3は、制御部14のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0029】
図3に示すように、制御部14のCPUは、3次元画像処理プログラムによって、画像生成部31、ポインタ制御部32および多視点画像出力部33として機能する。この各部31〜33は、RAMの所要のワークエリアをデータの一時的な格納場所として利用する。
【0030】
画像生成部31は、多視点レンダリング画像生成部41、補助画像生成部42、多視点画像生成部43を有する。
【0031】
多視点レンダリング画像生成部41は、記憶部12に記憶されたボリュームデータにもとづいて複数の視点でボリュームレンダリングを行うことにより、各視点のVR画像(視点レンダリング画像。以下、視点VR画像という)16を生成する。
【0032】
図4は、補助画像17を構成する補助画像要素の例を示す説明図である。
【0033】
補助画像17は、各種機能が割り当てられた複数のソフトキーにより構成されたツールバー51、複数のサムネイル画像52aにより構成されたサムネイル画像群52、付帯情報表示画像53、簡易操作パネル54、操作パネル55、患者、シリーズおよび画像のリスト56や、視点VR画像とは異なる画像57などの補助画像要素により構成される。視点VR画像とは異なる画像57としては、たとえば視点VR画像とは異なるレンダリングモードでボリュームレンダリングされたVR画像や、視点VR画像とはボリュームデータが異なる画像などを挙げることができる。図2は、補助画像17が簡易操作パネル54のみで構成される場合の例について示したものである。
【0034】
補助画像生成部42は、これらの補助画像要素の1つまたは複数により構成される補助画像17を生成する。
【0035】
多視点画像生成部43は、多視点レンダリング画像生成部41により生成されたVR画像(視点VR画像)16と補助画像生成部42により生成された補助画像17とを奥行き方向に重畳した複数の視点画像(多視点重畳画像)を生成する。なお、各補助画像要素のもととなる画像ファイルは、あらかじめ記憶部12に記憶させておいてもよいし、ネットワーク21を介して適宜取得してもよい。
【0036】
なお、視点VR画像16と補助画像17とを重畳して視点重畳画像を生成する際、多視点画像生成部43は、補助画像17の透明度を設定して半透明表示とすることにより、補助画像17の裏側に隠れる視点VR画像16を補助画像17越しに視認可能とするとよい。この透明度は、あらかじめ設定されて記憶部12に記憶された設定値を用いてもよいし、ユーザUにより入力部11を介して設定されてもよい。
【0037】
一方、ポインタ制御部32は、ポインタ位置決定部46および多視点ポインタ画像生成部47を有する。
【0038】
ポインタ位置決定部46は、ユーザにより入力部11を介してポインタ18をXY面内で移動するよう指示されると、ポインタ18が視点VR画像16の近傍にある場合は、記憶部12に記憶された座標対応情報にもとづいて視点VR画像16の表面の3次元座標を取得し、ポインタ18を視点VR画像16の表面に沿って移動させるようポインタ18の位置を決定する。また、ポインタ位置決定部46は、ポインタ18が補助画像17の近傍にある場合は、ポインタ18を補助画像17の表面に沿って移動させるようポインタ18の位置を決定する。
【0039】
多視点ポインタ画像生成部47は、複数の視点からみたポインタ18の画像(多視点ポインタ画像)を生成し、ポインタ位置決定部46で決定されたポインタ18の位置情報とともに多視点画像出力部33に与える。
【0040】
多視点画像出力部33は、画像生成部31により生成された視点重畳画像およびポインタ制御部32により生成された視点ポインタ画像を重畳して複数の視点画像を生成し、この複数の視点画像のそれぞれを視差成分画像として異なる方向に射出する裸眼3Dディスプレイ22に対して出力する。
【0041】
ここで、裸眼3Dディスプレイ22の構成および作用について簡単に説明する。
【0042】
図5は、裸眼3Dディスプレイ22の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
裸眼3Dディスプレイ22は、多視点画像取得部61、要素画像生成部62、画像表示部63および光線制御素子64を有する。
【0044】
多視点画像取得部61は、多視点画像出力部33から複数の視点画像を取得する。要素画像生成部62は、この複数の視点画像を要素画像に変換する。たとえば、多視点画像出力部33が9つの視点の視点画像を出力する場合、9つの撮影番号に相当する9視差方向を示す視差番号(−4、−3、・・・、0、・・・3、4)で視差成分画像が特定される。すなわち、要素画像生成部62は、多視点画像の各視点画像と視差番号とを関連付けることにより各視点画像を視差成分画像としてあつかい、視差成分画像を集めて要素画像を生成する。
【0045】
画像表示部63は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの表示出力装置により構成される。たとえば9種の視差成分画像をあつかう場合、画像表示部63の各画素は9つの絵素で構成され、画素ごとに要素画像が表示される。また、画素が出力する光線のうち、同一の視差番号をもつ視差成分画像に対応する光線は、複数の画素から互いに平行に射出される。
【0046】
光線制御素子64は、複数の射出瞳により構成される。光線制御素子64としては、2次元II(インテグラル・イメージング)方式では、マトリックス状に射出瞳としてのセグメントレンズが配列されたレンズ・アレイや、射出瞳としてのピン・ホールがアレイ状に配列されたピンホール・アレイを用いることができる。また、光線制御素子64は、1次元II方式では、垂直方向に延出され、水平方向に配列されたシリンドリカル・レンズからなるレンチュキュラー・シートや、垂直方向に延出され、水平方向に配列されたスリットを有するスリット・プレートにより構成される。光線制御素子64としてレンズ・アレイ、レンチュキュラー・シートおよびスリット・プレートのいずれを用いても、光学的には、各レンズまたはスリットは、光学的開口部の射出瞳として機能する。
【0047】
要素画像生成部62により生成された要素画像は、画像表示部63の各画素に表示され、要素画像が射出瞳を介して視域に投影されることによって、立体画像が視域の内部でユーザにより観察される。
【0048】
なお、本実施形態では表示装置として裸眼で立体視可能な裸眼3Dディスプレイ22を用いる場合の例について示したが、専用の眼鏡を用いて立体視させる3Dディスプレイを用いてもよい。専用の眼鏡を用いて立体視させる3Dディスプレイは、一般に、観察者の観察時の左目および右目の位置に集光点を設け、この両眼に相当する位置に設けた集光点にそれぞれ左目視差成分画像および右目視差成分画像を集光させるようになっている。この場合、医用画像処理装置10は、左目視差成分画像および右目視差成分画像に対応する左目視点画像および右目視点画像を生成して3Dディスプレイに出力すればよい。
【0049】
また、視点VR画像16がユーザに奥行き方向を認識可能であれば、一般的な2次元表示用の液晶ディスプレイなどの表示出力装置を用いてもよい。この場合、上記説明における多視点は所定の1つの視点として読み替えればよい。
【0050】
また、多視点画像取得部61および要素画像生成部62は、CPUにより所定のプログラムが実行されて実現される機能実現部であってもよいし、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。また、ソフトウエアとハードウエアを適宜組み合わせて各機能を実現してもよい。
【0051】
また、図1では裸眼3Dディスプレイ22が医用画像処理装置10の構成外に設けられ場合の例について示したが、裸眼3Dディスプレイ22を医用画像処理装置10の一構成要素としても構わない。また、医用画像処理装置10は、モダリティ20に組み込まれてもよい。
【0052】
図6は、奥行き方向に重畳表示された複数の画像間でポインタ18を移動させる様子の第1の例を示す説明図である。図6には、ユーザが入力部11を介してポインタ18をX軸方向に沿って移動させるよう指示する場合の例について示した。
【0053】
図6に示す例では、ポインタ位置決定部46は、ポインタ18のZ座標を現在のポインタ18が位置するXY座標に位置する画像のうち、最も手前にある画像上とする。たとえば、ポインタ18のXY座標に位置する画像が視点VR画像16のみである場合は、VR画像16の表面上をなぞるようにポインタ18が移動する(図6右側参照)。一方、ポインタ18のXY座標に複数の画像(たとえば視点VR画像16と補助画像17)があり、補助画像17が最も手前にある画像である場合は、補助画像17の表面上をなぞるようにポインタ18が移動する(図6左側参照)。
【0054】
この場合、ユーザは、入力部11を介してポインタ18をX軸方向に沿って移動させるよう指示することで、ポインタ18を最も手前の画像上に移動させることができる。
【0055】
図7は、奥行き方向に重畳表示された複数の画像間でポインタ18を移動させる様子の第2の例を示す説明図である。
【0056】
図7に示す例では、ポインタ位置決定部46は、現在のXY座標において複数の画像が奥行き方向に重畳されていると、ポインタ18の現在のXY座標を維持しつつ、ポインタ18の奥行き方向の位置を複数の画像のそれぞれの画像上に所定の時間ずつとどまるよう、ポインタを複数の画像間で自動的に巡回させるようポインタ18の位置を決定する。このとき、ポインタ位置決定部46は、記憶部12から優先度情報を読み出して、この優先度が高い順に画像間を巡回してもよいし、この優先度にもとづいて各画像上の滞在時間を変えてもよい。
【0057】
たとえば、ポインタ18に対するユーザによる入力部11を介した移動指示がなく、かつ現在のXY座標において複数の画像が奥行き方向に重畳されていると、ポインタ18が所定時間ごとに画像間を自動的に巡回する。
【0058】
この場合、自動的にポインタ18が位置する画像が変更されるため、ユーザは、たとえば入力部11を介した指示を行わなくても、所望の画像上にポインタ18が位置するときに所望の操作を行うことができる。
【0059】
また、ポインタ位置決定部46は、ユーザによる入力部11を介した所定の操作(たとえばマウスのクリックなど)ごとに、画像間を移動してもよい。この移動順は、記憶部12に記憶された優先度情報にもとづいて決定してもよい。
【0060】
この場合、ユーザは、簡単な操作により所望の画像上にポインタ18を移動させることができる。
【0061】
また、ユーザの操作がないときは、ポインタ位置決定部46は、記憶部12から優先度情報を読み出して、この優先度が最も高い画像上にポインタ18を滞在させ続けるようにしてもよい。このとき、所定の操作を受け付けると、画像間を移動させるようにしてもよい。
【0062】
次に、ポインタ18の奥行き方向の位置をユーザが容易に把握可能にする技術について説明する。
【0063】
図6および図7に示した例のように、奥行き方向に重畳された複数の画像間でポインタ18を移動させる場合には、さらにポインタ18の奥行き方向の位置が表示画像から視覚的に容易に把握できると、ユーザの利便性をより高めることができる。
【0064】
また、ポインタ18の奥行き方向の位置が表示画像から視覚的に容易に把握できるようにすることは、ユーザの入力部11を介した操作(たとえばマウスのホイール回転操作など)でポインタ18のZ軸方向の移動指示が可能である場合にも有用である。この場合、ポインタ18は任意のZ位置に位置することになるため、奥行き方向のどの位置にいるかが視覚的に把握することができればユーザの利便性を高めることができる。
【0065】
図8は、ポインタ18の画像サイズを奥行き方向の手前にあるほど大きくする場合の例を示す説明図である。図8には、多視点ポインタ画像生成部47が、所定の一視点から見た視点ポインタ画像を生成する場合の例について示した。
【0066】
図8に示すように、多視点ポインタ画像生成部47は、ポインタ18のZ座標に応じて、ポインタ18が手前にあるほどポインタ18の画像サイズが大きくなるようにポインタ18の画像を生成する。ユーザはポインタ18の奥行き方向の位置を容易に把握することができる。
【0067】
図9は、ポインタ18の画像サイズを奥行き方向の手前にあるほど大きくする場合において、複数の視点ポインタ画像が生成される様子の一例を示す説明図である。
【0068】
図9に示すように、多視点ポインタ画像生成部47は、ポインタ18のZ座標に応じて、ポインタ18が手前にあるほどポインタ18の画像サイズが大きくなるように、複数の視点からみた複数の視点ポインタ画像を生成してもよい。この場合、ユーザは、手前にあるほど大きく表示されるポインタ18を立体視することができる。
【0069】
図10は、ポインタ18を点光源としてシェーディング処理が施された視点画像の一例を示す説明図である。
【0070】
多視点画像生成部43は、ポインタ18の位置情報をポインタ制御部32から受け、ポインタ18の位置に応じた位置に光源を配置して視点重畳画像にシェーディング処理を施してもよい。この場合、光源の位置は、ポインタ18の移動に応じて移動する。なお、光源としては、点光源、線光源、面光源などを用いることができ、豆電球のように連続的に点光源が分布するとみなせる光源を用いてもよい。図10には、ポインタの位置に点光源を置く場合の例について示した。ポインタ18の位置に応じた位置に点光源を設けてシェーディング処理を施す場合、点光源の位置(図10に示す例ではポインタ18の位置)の奥で最も近い位置にある画像が最も明るく表示さる一方、点光源の手前にある画像は陰ることになる。そして、この明暗はポインタ18の位置に応じて変化することなる。このため、ユーザは視点画像にもとづく表示画像の明暗から容易にポインタ18の奥行き方向の位置を把握することができる。
【0071】
図11は、視点画像にポインタ18を起点とするルーラ画像71が重畳される場合の例を示す説明図である。
【0072】
多視点画像生成部43は、ポインタ18の位置情報をポインタ制御部32から受け、ポインタ18を起点とするルーラ画像71をさらに重畳させて視点重畳画像を生成してもよい。このとき、ルーラ画像71の終点は、ポインタから直近の対象物の表面や、芯線上の点や、あらかじめ設定した点などとすることができる。たとえば、セグメンテーションされた複数のVR画像16が重畳されている場合でも、ポインタ18に対して最も空間的な距離が近いVR画像16の表面上の点をルーラ画像71の終点とすることができる。また、このとき、図11に示すように、ルーラ画像71を手前ほど大きくなるように透視投影的に生成してもよい。
【0073】
また、図11に示すように、多視点画像生成部43は、ポインタ18からルーラ画像71の終点までの距離を示す距離値画像72をルーラ画像71の近傍に重畳させてもよい。
【0074】
ルーラ画像71や距離値画像72を表示する場合、ユーザは、ルーラ画像71や距離値画像72にもとづいてポインタ18の奥行き方向の位置を容易に把握することができる。
【0075】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10 医用画像処理装置
11 入力部
12 記憶部
13 ネットワーク接続部
14 制御部
20 モダリティ
21 ネットワーク
22 裸眼3Dディスプレイ
31 画像生成部
32 ポインタ制御部
33 多視点画像出力部
41 多視点レンダリング画像生成部
42 補助画像生成部
43 多視点画像生成部
71 ルーラ画像
72 距離値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物のボリュームデータを記憶する記憶手段と、
ポインタを移動させるための入力操作を行う入力部と、
前記ボリュームデータにレンダリング処理を行うことにより生成されたレンダリング画像と、前記ポインタの画像とが、奥行き情報を考慮して重畳された重畳画像を生成する画像生成部と、
前記ポインタの3次元位置情報を求めるものであり、前記ポインタが前記レンダリング画像上にある場合は前記ボリュームデータ中の対象物の3次元的な表面に沿って前記ポインタを移動させるポインタ制御部と、
を備えた3次元画像処理装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、
前記レンダリング画像と、ユーザによる操作を受け付けるための補助画像と、前記ポインタの画像とが、奥行き情報を考慮して重畳された重畳画像を生成し、
前記ポインタ制御部は、
前記ポインタの3次元位置情報を求めるものであり、前記ポインタが前記レンダリング画像上にある場合は前記ボリュームデータ中の対象物の3次元的な表面に沿って前記ポインタを移動させ、前記ポインタが前記補助画像上にある場合は前記補助画像の上で前記ポインタを移動させる、
請求項1記載の3次元画像処理装置。
【請求項3】
前記ポインタ制御部は、
前記ユーザにより前記入力部を介して前記重畳画像に表示された前記ポインタを前記奥行き方向に直交するXY面内で移動するよう指示されると、前記ポインタが表示される位置を、XY座標は前記ユーザにより指示されたXY座標とするとともに、前記奥行き方向の位置は前記重畳画像のうち前記奥行き方向で最も手前に位置した画像上の位置とする、
請求項2記載の3次元画像処理装置。
【請求項4】
前記ポインタ制御部は、
前記ポインタの現在の前記奥行き方向に直交するXY方向のXY座標において複数の画像が前記奥行き方向に重畳されていると、前記ポインタの現在のXY座標を維持しつつ前記ポインタの前記奥行き方向の位置を前記複数の画像のそれぞれの画像上に所定の時間ずつとどまるよう、前記ポインタを前記複数の画像間で自動的に巡回させる、
請求項2記載の3次元画像処理装置。
【請求項5】
前記ポインタ制御部は、
前記ポインタを前記複数の画像間で自動的に巡回させる際、前記複数の画像のそれぞれに優先度を設け、この優先度にもとづいて、各画像にとどまる時間および前記巡回する順序を決定する、
請求項4記載の3次元画像処理装置。
【請求項6】
前記ポインタ制御部は、
前記ポインタに対する前記ユーザによる前記入力部を介した移動指示がなく、かつ前記ポインタの現在の前記奥行き方向に直交するXY方向のXY座標において複数の画像が前記奥行き方向に重畳されていると、前記複数の画像のそれぞれに付加された優先度にもとづいて、最高優先度が付加された画像上に前記ポインタを表示しつづける、
請求項2記載の3次元画像処理装置。
【請求項7】
前記ポインタ制御部は、
前記ユーザによる前記入力部を介した指示があるごとに、前記ポインタを表示させる画像を前記優先度順に順次変更する、
請求項6記載の3次元画像処理装置。
【請求項8】
前記画像生成部は、
前記重畳画像において前記奥行き方向手前に位置する画像の透明度を半透明に設定して前記重畳画像を生成する、
請求項2ないし7のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項9】
前記画像生成部は、
前記ポインタ制御部から前記ポインタが前記奥行き方向で最も手前に位置する画像を除く画像上に位置する旨の情報を受けると、このポインタが表示された画像よりも前記奥行き方向手前に位置する画像の透明度を半透明に設定して前記重畳画像を生成する、
請求項8記載の3次元画像処理装置。
【請求項10】
前記画像生成部は、
前記ポインタの前記奥行き方向の位置が手前であるほど前記ポインタが大きくなるように前記ポインタの画像を生成して前記重畳画像に重畳させる、
請求項2ないし9のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項11】
前記画像生成部は、
前記ポインタ制御部から前記ポインタの前記奥行き方向に直交するXY方向のXY座標および前記奥行き方向の位置情報を受け、前記重畳画像に対して前記ポインタを点光源とするシェーディング処理を施す、
請求項2ないし10のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項12】
前記画像生成部は、
前記ポインタ制御部から前記ポインタの前記奥行き方向に直交するXY方向のXY座標および前記奥行き方向の位置情報を受け、前記重畳画像に対して前記ポインタを起点とするルーラ画像をさらに重畳させて前記重畳画像を生成する、
請求項2ないし11のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項13】
前記画像生成部は、
前記ルーラ画像の終点を、前記ポインタから最も空間的距離が近い前記レンダリング画像上の点とするとともに、前記起点から前記終点までの距離を前記ルーラ画像近傍に表示させる、
請求項12記載の3次元画像処理装置。
【請求項14】
対象物のボリュームデータを記憶する記憶手段と、
ポインタを移動させるための入力操作を行う入力部と、
前記ボリュームデータにレンダリング処理を行うことにより生成されたレンダリング画像と前記ポインタの画像とが奥行き情報を考慮して重畳された重畳画像を生成するとともに、前記ポインタの3次元位置に応じた位置に光源を配置して前記重畳画像に対してシェーディング処理を施す画像生成部と、
前記ポインタの3次元位置情報を求めるものであり、前記ポインタを3次元的に移動させるポインタ制御部と、
を備えた3次元画像処理装置。
【請求項15】
前記画像生成部は、
前記ポインタの前記奥行き方向の位置が手前であるほど前記ポインタが大きくなるように前記ポインタの画像を生成して前記重畳画像に重畳させる、
請求項14記載の3次元画像処理装置。
【請求項16】
前記画像生成部は、
前記ポインタ制御部から前記ポインタの前記奥行き方向に直交するXY方向のXY座標および前記奥行き方向の位置情報を受け、前記重畳画像に対して前記ポインタを起点とするルーラ画像をさらに重畳させて前記重畳画像を生成する、
請求項14または15に記載の3次元画像処理装置。
【請求項17】
前記画像生成部は、
前記ルーラ画像の終点を、前記ポインタから最も空間的距離が近い前記レンダリング画像上の点とするとともに、前記起点から前記終点までの距離を前記ルーラ画像近傍に表示させる、
請求項16記載の3次元画像処理装置。
【請求項18】
前記画像生成部は、
前記重畳画像を複数の視点からみた複数視点の重畳画像を生成し、この複数視点の重畳画像のそれぞれを視差成分画像として異なる方向に射出する3Dディスプレイに対して前記複数視点の重畳画像を出力する、
請求項1ないし17のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。
【請求項19】
前記ポインタ制御部は、
前記ポインタの画像を複数の視点からみた複数視点のポインタの画像を生成し、この複数視点のポインタの画像のそれぞれを視差成分画像として異なる方向に射出する3Dディスプレイに対して前記複数視点のポインタの画像を出力する、
請求項1ないし18のいずれか1項に記載の3次元画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−101599(P2013−101599A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226237(P2012−226237)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】