説明

3次元画像生成装置、3次元画像生成方法、及びプログラム

【課題】解像度が高く且つ色情報を備えた有用性の高い3次元画像(例えば、仮想内視鏡画像)を生成する3次元画像生成装置を提供する。
【解決手段】被写体を撮像した2次元画像内の複数の画素のそれぞれについて、輝度情報に基づいて第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求め(S304)、複数の画素の3次元座標に基づいて1以上の三角形で構成される3次元モデルを生成し(S305)、その3次元モデルに2次元画像のテクスチャを貼り付けることにより(S306)、2次元画像から3次元画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元画像から3次元画像を生成する3次元画像生成装置、3次元画像生成方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内視鏡により撮像された画像が医療分野などで利用されている。内視鏡により撮像された画像は、視点が固定されているため、視野が狭い。
【0003】
一方、呼吸器・消化器・脳外科などの臨床現場では、CTやMRIで取得した連続画像を用いて、3次元画像(「仮想内視鏡画像」と言う。)が生成されている。仮想内視鏡画像は、視点が自由で、死角を無効にできるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2007/139187パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仮想内視鏡画像の解像度はCTやMRIの空間解像度に依存しているため、CTやMRIから生成された仮想内視鏡画像は実画像に比べると劣る。そのため、例えば、仮想内視鏡画像を見ても、5mm以下の病変を検出することができない。また、CTやMRIから生成された仮想内視鏡画像の場合、色情報がない。そのため、例えば、CTやMRIから生成された仮想内視鏡画像を用いて、上皮内癌や浸潤癌の診断をすることは難しい。このように、従来の仮想内視鏡画像は、解像度が低く、色情報もないため、有用性が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであって、解像度が高く且つ色情報を備えた有用性の高い3次元画像(例えば、仮想内視鏡画像)を生成する3次元画像生成装置、3次元画像生成方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の3次元画像生成装置は、3次元形状を有する被写体の2次元画像を入力する入力手段と、入力された2次元画像を格納する記憶手段と、記憶手段から前記2次元画像を読み出し、読み出した2次元画像から前記被写体の3次元画像を生成する制御手段とを有する。制御手段は、2次元画像内の複数の画素のそれぞれについて、輝度情報に基づいて第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求め、複数の画素の3次元座標に基づいて1以上の三角形で構成される3次元モデルを生成し、3次元モデルに2次元画像のテクスチャを貼り付けることにより前記3次元画像を生成する。
【0008】
本発明に係る第2の3次元画像生成装置は、3次元形状を有する被写体の2次元画像を入力する入力手段と、入力された2次元画像を格納する記憶手段と、記憶手段から2次元画像を読み出し、読み出した2次元画像から被写体の3次元画像を生成する制御手段とを有する。制御手段は、2次元画像内の各画素について、青の輝度情報と緑の輝度情報との差分を求め、その差分に基づき各画素の第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求め、3次元座標に基づいて被写体の3次元画像を生成する。
【0009】
本発明に係る第1の3次元画像生成方法は、情報処理装置を用いて3次元形状を有する被写体の2次元画像から3次元画像を生成する方法である。その方法は、情報処理装置の制御手段が、被写体を撮像した2次元画像内の複数の画素のそれぞれについて、輝度情報に基づいて第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求めるステップと、複数の画素の3次元座標に基づいて1以上の三角形で構成される3次元モデルを生成するステップと、3次元モデルに2次元画像のテクスチャを貼り付けることにより前記3次元画像を生成するステップとを含む。
【0010】
本発明に係る第2の3次元画像生成方法は、情報処理装置を用いて3次元形状を有する被写体の2次元画像から3次元画像を生成する方法である。その方法は、情報処理装置の制御手段が、被写体を撮像した2次元画像内の各画素について、青の輝度情報と緑の輝度情報との差分を求め、差分に基づき各画素の第3の座標軸上の座標を算出して、3次元座標を求めるステップと、2次元画像内の各画素の3次元座標に基づいて被写体の3次元画像を生成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2次元画像の輝度情報を用いて3次元座標を算出し、算出した3次元座標に基づいて3次元モデルを生成して、その3次元モデルに2次元画像のテクスチャを貼り付けている。よって、2次元画像の解像度及び色情報がそのまま3次元画像に適用される。具体的には、例えば、内視鏡を用いて撮像した画像から得られる解像度及び色情報がそのまま3次元画像に適用される。そのため、解像度が高く且つ色情報を備えた有用性の高い3次元画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1及び2の3次元画像生成装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態1において、管状構造物を撮影して得られた内視鏡画像を平面的に展開することにより2次元画像を生成する方法を説明するための図
【図3】本発明の実施形態1及び2の3次元画像生成装置による3次元画像の生成方法を示すフローチャート
【図4】図3の方法を用いて行われる、実施形態1における2次元画像から3次元画像への変換を示す概略図
【図5】本発明の実施形態1における3次元座標の算出方法を示すフローチャート
【図6】図5において、3次元座標を求める際に用いられる要素を説明するための図
【図7】本発明の実施形態1に示す方法の実行において、使用された2次元画像または生成された3次元画像の例を示す図
【図8】本発明の実施形態2における3次元座標の算出方法を示すフローチャート
【図9】本発明の実施形態2に示す方法の実行において、使用された2次元画像または生成された3次元画像の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
《実施形態1》
本発明の実施形態1の3次元画像生成装置は、2次元画像から3次元画像を生成する。具体的には、本実施形態においては、内視鏡を用いて撮影された映像(「内視鏡画像」と言う。)を平面的に展開することにより2次元画像を生成し、その2次元画像を用いて元の内視鏡画像を再現した画像である仮想内視鏡画像(3次元画像)を生成する。より具体的には、本実施形態においては、2次元画像の被写体の形状が事前に分かっており、その被写体に応じた計算式を用いて、3次元形状を復元する。
【0014】
1.構成
図1に、本発明の実施形態1の3次元画像生成装置の構成を示す。本実施形態の3次元画像生成装置は、内視鏡スコープにより撮影された画像から内視鏡画像データを生成する内視鏡装置200と、内視鏡画像データから2次元展開画像を生成するとともに、その2次元展開画像から3次元画像を生成する情報処理装置100と、を有する。
【0015】
情報処理装置100は、例えば、パーソナルコンピュータである。情報処理装置100は、内視鏡装置200から画像データを受けて2次元展開画像を生成するとともに、2次元展開画像から3次元画像を生成する情報処理部11と、2次元画像や3次元画像を表示する表示部(例えば、ディスプレイ)12と、ユーザからの情報処理部11や表示部12に対する指令を入力する操作部(マウス13a及びキーボード13b)と、を備える。
【0016】
情報処理部11は、2次元画像や3次元画像のデータの送受信を外部と行う入出力インターフェース(I/F)11aと、2次元画像及び2次元画像から変換して生成した3次元画像を記憶する記憶部11bと、記憶部11bに記憶されている2次元画像や入出力インターフェース11aを介して外部から読み込んだ2次元画像から3次元画像を生成する制御部11cと、を有する。
【0017】
内視鏡装置200は、管状構造物内に挿入されて管内面を撮像する内視鏡スコープ21と、内視鏡スコープ21を制御するとともに、内視鏡スコープ21を介して入力される信号に基づきビデオファイル(内視鏡画像)を作成する制御ユニット22と、を有している。内視鏡装置200は、体内の腔所を観察するための光学系を組み込んだ医療機器である。
【0018】
制御ユニット22は、そのユニット22内の各構成を制御する制御部22aと、内視鏡スコープ21を介して入力される信号に基づき管状構造物内面のビデオファイルを作成する信号処理部22bと、内視鏡スコープ21の先端部から観察対象に対して照射される照明光の光源である光源部22cと、を備えている。制御部22aは、ユーザの操作に応じて、内視鏡スコープ21による撮像や照明のオンオフ切換えを制御したり、光源部22cから内視鏡スコープ21に供給される光量を調節したりする。
【0019】
内視鏡スコープ21は、対物レンズと、一対の照明用の光ファイバと、鉗子チャンネルや吸引チャンネル等の操作チャンネルと、を含み、それらが内視鏡スコープ21の先端部においてそれぞれ露出するように設けられている。なお、かかる構成は、従来周知であり、また、内視鏡スコープ21はこの構成に限定されることなく、例えば、単一の又は3つ以上の照明用の光ファイバが設けられたものが採用されてもよい。
【0020】
上記のように構成される情報処理装置100及び内視鏡装置200は協働して、国際公開WO2007/139187パンフレットに開示された画像構築技術に記載の動作を行って、管状構造物の内面を撮像し、複数フレーム画像から構成される2次元画像を生成する。
【0021】
情報処理装置100と内視鏡装置200は、例えばUSBケーブル等のケーブル50を介して接続される。情報処理装置100と内視鏡装置200との間では、内視鏡装置200により生成された2次元画像を情報処理装置100に伝送したり、情報処理装置100から内視鏡装置200へコマンド信号を伝送したりすることができる。情報処理装置100と内視鏡装置200との間にビデオキャプチャボードを介在させてもよい。
【0022】
なお、本実施形態においては、内視鏡装置200により撮影される内視鏡画像から3次元画像を生成する場合を例示しているため、3次元画像生成装置は内視鏡装置200を含んでいるが、2次元画像から3次元画像の生成は情報処理装置100だけで実行できるため、3次元画像生成装置は内視鏡装置200を必ずしも備える必要はない。
【0023】
2.動作
2−1.2次元画像の生成
情報処理装置100による2次元展開画像の生成処理は、国際公開WO2007/139187パンフレットに開示された画像構築技術を利用する。この画像構築技術について説明する。情報処理装置100は、内視鏡装置200から内視鏡スコープ21によって撮影された管状構造物内壁の内視鏡画像(動画または複数の静止画)を取得し、管状構造物内壁を平面的に展開した2次元展開画像を生成する。具体的には、図2(a)に示すように、動画または複数の静止画を構成する各画像F1、F2、F3、・・・上に試験線Rを設定し、その試験線R上の画素のみを抽出し、各画像について抽出した画素を一次元的に展開した画素列データ画像R1、R2、R3、・・・を生成する。その後、図2(b)に示すように、一次元的に展開した画素列データ画像R1、R2、R3、・・・を、連続する複数画像分合成することで管状構造物内壁を平面的に展開した2次元画像Pを生成する。図2(c)は、図2(a)に示すような連続した内視鏡画像から生成される、管状構造物内壁を平面的に展開した画像Pの一例を示した図である。このように、国際公開WO2007/139187パンフレットには、管状構造物内壁を平面的に展開した2次元画像Pを生成する技術が開示されている。本実施形態の情報処理装置100は上記の機能を有する。
【0024】
内視鏡装置200により生成された2次元画像(2次元展開画像)は、情報処理装置100に送信され、記憶部11bに格納される。
【0025】
2−2.2次元画像から3次元画像への変換
図3及び図4を用いて、2次元画像から3次元画像を生成する方法について説明する。図3は、情報処理装置100の制御部11cによる3次元画像の生成方法を示すフローチャートである。図4は、2次元画像の被写体が管状構造物である場合の、2次元画像から3次元画像への変換方法を説明するための図である。図3を参照し、まず、生成する3次元画像(図4(b))に対し、ユーザが任意に指定する頂点数を制御部11cへ設定することにより、2次元画像の頂点数(すなわち、空間解像度)を設定する制御部11cは、設定された頂点数を入力する(S301)。ここでは、2次元画像の水平方向(図4(a)のU軸方向)と垂直方向(図4(a)のV軸方向)のそれぞれについての分割数が同時に設定される。制御部11cは、設定された頂点数(分割数)に基づいて、図4(a)に示すように、2次元画像を格子状に分割する(S302)。制御部11cは、格子状に分割された2次元画像の2次元座標(u,v)(テクスチャ座標)を設定する(S303)。制御部11cは、2次元画像における、各座標上の輝度情報を算出し、その輝度情報に基づいて、3次元座標(x、y、z)(モデル空間座標)を算出する(S304)。制御部11cは、3次元座標に基づいて、3次元モデルを生成する(S305)。「3次元モデル」は、図4(b)に示すように、近接3頂点で構成される三角形を連続した構成(TRIANGLE-STRIP)を備えた仮想3次元空間上に生成される物体のことである。制御部11cは、2次元座標と3次元座標に基づいて、3次元モデルに2次元画像のテクスチャを貼り付ける(S306)。図4(a)(b)においては、U軸をZ方向、V軸をX−Y平面の円周方向に割り当てることにより、2次元画像のテクスチャを3次元モデルに貼り付ける。
【0026】
以上のように、本実施形態では、2次元画像の輝度情報に基づいて2次元画像から3次元画像を生成する。
【0027】
次に、図5及び図6を用いて、2次元画像の輝度情報から3次元座標を算出するステップ(S304)について、さらに詳細に説明する。図5は、情報処置装置100の制御部11cにより行われる、2次元画像の輝度情報に基づく3次元座標の算出方法を示すフローチャートである。図6は、3次元座標を求める際に使用される要素(引数)を説明するための図である。図5による3次元座標の算出方法と図6の説明図では、3次元画像の生成元となる2次元画像の被写体が管状構造物である場合、すなわち、内視鏡装置200により、管腔などの管状形状の画像が撮影され、その撮影された画像から生成された2次元画像を用いた場合を示している。
【0028】
図5を参照し、情報処理装置100の制御部11cは、2次元画像の各座標の輝度値Lを算出する(S501)。具体的には、輝度値Lは、NTSC係数による加重平均法を用いて、下記式(1)により算出される。
L=0.298912×R+0.586611×G+0.114478×B・・・(1)
(R:赤色の輝度値、G:緑色の輝度値、B:青色の輝度値)
【0029】
制御部11cは、算出した輝度値Lに基づいて、内視鏡スコープ21の中心軸から観測点(組織)までの距離R’を算出する(S502)。このとき、図6に示すように、内視鏡スコープ21の中心軸から観測点までの距離R’は、内視鏡スコープ21の光ファイバ先端(以下、「光源」とも言う。)から観測点までの距離Rと比例関係にある。このため、内視鏡スコープ21の光ファイバの先端から観測点までの距離Rを頂点の輝度値Lを用いて算出して、算出した距離Rを、内視鏡スコープ21の中心軸から観測点までの距離R’の値として用いる。具体的には、以下の計算を行う。
【0030】
頂点の輝度値Lと内視鏡スコープ21の光ファイバ先端から観測点までの距離Rとの関係は、下記式(2)で表される。


(k:物体の拡散反射率、I:光源光度、θ:光線の入射角、γ:表示部のガンマ特性)
上記式(2)で示すように、本実施形態においては、内視鏡装置200のガンマ特性を考慮して、非線形な信号を線形な信号に補正するために、2次元画像の各画素の輝度値に対して、ガンマ補正を行っている。
【0031】
上記式(2)において、光源光度Iと物体の拡散反射率kと光線の入射角θが未知であることから、これらの値を一定であると仮定すると、内視鏡スコープ21の中心軸から観測点までの距離R’は、以下の式(3)で表される。式(3)により、内視鏡スコープ21の中心軸から観測点までの距離R’を求める。

【0032】
輝度値Lのとりうる値の範囲は、「0.0〜1.0」である。上記式(3)により、距離R’を求めると、距離R’のとりうる範囲は「1.0〜∞」になる。これは、内視鏡スコープの光源から観測点までの距離Rが0.0以上であることに相反する。そこで、上記式(3)により距離R’を求めた後、制御部11cは、距離R’を補正して相対距離R”を算出する(S503)。相対距離R”は、具体的には、以下の処理(1)〜処理(3)を行うことにより求める。
【0033】
処理1:「R’」を「R’−1.0」にシフトする。
(R’のとりうる範囲:「0.0〜∞」)
処理2:「R’−1.0」をR’値全体の最大値で割る。
(R’のとりうる範囲:「0.0〜1.0」)
処理3:「所定の最小値min(>0.0)〜1.0」の範囲内に圧縮する。
(R’のとりうる範囲:「min〜1.0」)
【0034】
このように、まず、輝度値L=1.0に対応する点(内視鏡に最も近い点)を、光源から距離「0」の地点に補正するため、距離R’値の集合全体を1.0シフトする(処理1)。これにより、R’のとりうる範囲は「0.0〜∞」になる。次に、距離R’の値をそれぞれR’値全体の最大値で割り、正規化する(処理2)。これにより、距離R’のとりうる範囲は「0.0〜1.0」になる。正規化した値R’では、光軸に最も近い点は「0」、すなわち、光軸と同じ位置に物体が存在することになる。しかし、内視鏡スコープ21には太さがあるため、光軸と同じ位置に物体が存在すること(すなわち、内視鏡スコープ径内に物体が侵入すること)は、不可能である。そこで、対象組織と内視鏡スコープ直径の比から、管腔中央部をスコープの進行領域として設定し、距離「0」の点をR’のとりうる範囲から除外する。これにより、R’のとりうる範囲は、所定の最小値min(>0.0)〜1.0」になる。このように補正された距離R’を、相対距離R”とする。なお、本実施形態において、距離R、R’、R”は、全て、絶対値ではなく相対的な距離を示している。
【0035】
次に、制御部11cは、円周方向の頂点数(円周方向空間分解能)から角度radを算出する(S504)。その後、所定の重みw1を用いて、制御部11cは、「R”×w1×sin(rad)」によりx座標を算出する(S505)。また、所定の重みw2を用いて、「R”×w2×cos(rad)」によりy座標を算出する(S506)。ここで、x座標の算出とy座標の算出で用いられる、重みw1,w2は、それぞれ任意に設定された値である。なお、重みw1,w2は同一の値であってもよい。最後に、長さ方向の頂点数(長さ方向空間分解能)からz座標を算出する(S507)。制御部11cは、全頂点について、3次元座標(x、y、z)を算出したかどうかを判断する(S508)。全頂点について、3次元座標を算出していなければ、ステップS501に戻り、全頂点について3次元座標を算出するまで、上記の処理S501〜507を繰り返す。
【0036】
上記のようにして求められた3次元座標に基づいて3次元モデルが生成され、テクスチャが貼り付けられる。
【0037】
図7に、本実施形態の3次元画像生成装置により得られた3次元画像の一例を示す。図7(a)は、ヒトの大腸を内視鏡スコープ21によって撮像して得られた画像を示す。図7(b)は、情報処理装置100によって生成された2次元展開画像を示す。図7(c)は、情報処理装置100によって、2次元展開画像から生成された3次元画像(仮想内視鏡画像)を示す。図7(d)は、仮想内視鏡画像を回転させて表示した例(右方向から内腔左側面を観察する画像)を示す。図7(d)は、カリングモードの設定をオンにすることにより、手前の壁を自動的に消去し(表示しないようにし)、後方の壁面のみを表示させるようにしたものである。ここで、「カリングモード」は、3次元モデルにおいて個々のポリゴンが有する、表・裏の情報を読み取り、カメラに対して特定の側の表面を見せているポリゴンのみを描画するモードである。本実施形態の情報処理装置100により生成された3次元モデルでは、各ポリゴンは、管腔の中心軸に向いている面を表側と定義する。「カリングモード」を表面だけ描画させる設定下でオンにすることにより、カメラに裏側を見せているポリゴンを消し、後方の壁面を描画させることを可能とする。本実施形態の情報処理装置100により生成された3次元画像は、任意に回転させたり、任意の断面を表示させたりすることができる。
【0038】
3.まとめ
本実施形態によれば、内視鏡画像から得られた2次元画像のテクスチャを用いて3次元画像を生成しているため、元のテクスチャの色情報が得られると共に高い解像度が得られる。そのため、本実施形態により生成された3次元画像は有用性が高い。よって、本実施形態により生成された3次元画像を用いて、組織全体の性状や立体的な組織間の位置関係などの把握を行うことが可能となる。また、任意の断面で画像を表示したり、対象臓器を任意に回転させながら全体を眺めたりすることにより、病変の検出精度が向上する。
【0039】
また、本実施形態によれば、輝度情報を用いて、元の形状を復元した3次元画像を生成している。すなわち、2次元画像の被写体の形状が事前に分かっている場合は、輝度情報に基づき計算式を用いて第3の座標(z軸座標)を算出することで、その3次元の形状に復元することができる。例えば、本実施形態のように、内視鏡スコープ21により撮像された実画像(内視鏡画像)から直接、3次元画像(仮想内視鏡画像)を生成することが可能となる。内視鏡スコープ21により撮像される実画像では視点が固定されており、視野が狭く、また関心領域の場所の特定が難しい。しかし、本実施形態によれば、視点の自由が利く3次元画像を生成できるため、視野が広くなり、且つ関心領域の場所を特定することが容易になる。これにより、医師等が、関心領域を自由な視点から観察することが可能になる。
【0040】
なお、本実施形態において、図5のステップ(S505〜S507)に示す3次元座標の計算式「(x,y,z)=(R”×w1×sin(rad),R”×w2×cos(rad),z)」は、管状形状のものに適用されるものである。よって、他の形状の場合は他の計算式を用いて3次元座標を算出すればよい。すなわち、2次元画像の被写体の形状が事前に分かっている場合は、その被写体の形状に応じた計算式を用いることにより、3次元座標を算出し、3次元画像を生成することができる。
【0041】
《実施形態2》
本実施形態では、3次元座標の算出(S304)の別の方法を説明する。本実施形態の構成は、実施形態1と同様である。本実施形態では、2次元画像の被写体の形状が知られていない場合でも、画像の輝度情報に基づきz座標を算出する場合について説明する。具体的には、2次元画像に奥行き(z方向)を持たせることにより、2次元画像から3次元画像を生成する。より具体的には、3次元座標(x、y、z)を算出する際に、x座標及びy座標については、元の2次元座標の値(u,v)を用い、z座標のみを輝度値から算出する。なお、本実施形態において、3次元画像生成装置の構成は実施形態1と同一であるが、内視鏡画像200はなくてもよい。
【0042】
図8に、本実施形態における3次元座標の算出のフローチャートを示す。情報処理装置100の制御部11cは、2次元画像の頂点の画素の青の輝度値を算出する(S801)。制御部11cは、2次元画像の頂点の画素の緑の輝度値を算出する(S802)。制御部11cは、2次元座標の値(u,v)を3次元座標のx座標及びy座標に割り当てると共に、青の輝度値と緑の輝度値に基づいて、その頂点の画素のz座標を算出する(S803)。具体的には、青の輝度値から緑の輝度値を減算し、減算して得られた差分の値が大きいほどz軸座標が大きく(または小さく)なるようにz座標を算出する。制御部11cは、全頂点について、3次元座標(x、y、z)を算出したかどうかを判断する(S804)。全頂点についての3次元座標を算出するまで、ステップS801〜803を繰り返す。
【0043】
上記のように求めた3次元座標に対して、図3のフローに従ってテクスチャを貼り付けた例を図9に示す。図9は、図8の方法を用いてz座標を算出して3次元画像を生成した場合であって、眼底で実験した結果を示している。図9(a)は元の2次元画像を示し、図9(b)は本実施形態の画像生成方法で3次元に変換した画像を示し、図9(c)〜(e)は図9(b)の3次元画像を回転させ且つ任意の断面で切断した状態を示す図である。本実施形態の画像生成方法により作成された画像より、青の輝度値から緑の輝度値を減算することにより、実際により近いz座標を得られることが確かめられた。
【0044】
本実施形態によれば、2次元画像の被写体の形状に関わらず、3次元画像を生成することができる。その際、特に、緑の輝度値と青の輝度値の差分に基づいてz座標を算出することにより、3次元画像の精度が向上する。
【0045】
なお、上記実施形態1、2の3次元画像の生成方法を、プログラムによりコンピュータに実行させてもよい。
【0046】
なお、本発明は、医療用途に限らず、土管や種々の配管、エンジンなどの配管の傷の検査等の工業用途にも使用でき、検査装置としての汎用性が広い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、解像度が高く且つ色情報を備えた有用性の高い3次元画像を生成することができるという効果を有し、医療用途や工業用途等に有用である。
【符号の説明】
【0048】
11 情報処理部
11a 入出力インターフェース
11b 記憶部
11c 制御部
12 表示部
13 操作部
13a マウス
13b キーボード
21 内視鏡スコープ
22 制御ユニット
22a 制御部
22b 信号処理部
22c 光源部
100 情報処理装置
200 内視鏡装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元形状を有する被写体の2次元画像を入力する入力手段と、
前記入力された2次元画像を格納する記憶手段と、
前記記憶手段から前記2次元画像を読み出し、読み出した2次元画像から前記被写体の3次元画像を生成する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記2次元画像内の複数の画素のそれぞれについて、輝度情報に基づいて第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求め、前記複数の画素の3次元座標に基づいて1以上の三角形で構成される3次元モデルを生成し、前記3次元モデルに前記2次元画像のテクスチャを貼り付けることにより前記3次元画像を生成する、
3次元画像生成装置。
【請求項2】
3次元形状を有する被写体の2次元画像を入力する入力手段と、
前記入力された2次元画像を格納する記憶手段と、
前記記憶手段から前記2次元画像を読み出し、読み出した2次元画像から前記被写体の3次元画像を生成する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記2次元画像内の各画素について、青の輝度情報と緑の輝度情報との差分を求め、その差分に基づき各画素の第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求め、前記3次元座標に基づいて前記被写体の3次元画像を生成する、
3次元画像生成装置。
【請求項3】
前記2次元画像は、内視鏡により撮影された画像を平面的に展開することにより生成された画像である、請求項1または2に記載の3次元画像生成装置。
【請求項4】
情報処理装置を用いて3次元形状を有する被写体の2次元画像から3次元画像を生成する方法であって、
前記情報処理装置の制御手段が、
被写体を撮像した2次元画像内の複数の画素のそれぞれについて、輝度情報に基づいて第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求めるステップと、
前記複数の画素の3次元座標に基づいて1以上の三角形で構成される3次元モデルを生成するステップと、
前記3次元モデルに前記2次元画像のテクスチャを貼り付けることにより前記3次元画像を生成するステップと、
を含む、
3次元画像生成方法。
【請求項5】
情報処理装置を用いて3次元形状を有する被写体の2次元画像から3次元画像を生成する方法であって、
前記情報処理装置の制御手段が、
被写体を撮像した2次元画像内の各画素について、青の輝度情報と緑の輝度情報との差分を求め、前記差分に基づき各画素の第3の座標軸上の座標を算出して、3次元座標を求めるステップと、
前記2次元画像内の各画素の3次元座標に基づいて前記被写体の3次元画像を生成するステップと
を含む、
3次元画像生成方法。
【請求項6】
情報処理装置に、3次元形状を有する被写体の2次元画像から3次元画像を生成させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置の制御手段に、
被写体を撮像した2次元画像内の複数の画素のそれぞれについて、輝度情報に基づいて第3の座標軸上の座標を算出して3次元座標を求めるステップと、
前記複数の画素の3次元座標に基づいて1以上の三角形で構成される3次元モデルを生成するステップと、
前記3次元モデルに前記2次元画像のテクスチャを貼り付けることにより前記3次元画像を生成するステップと、
を実行させる、3次元画像生成プログラム。
【請求項7】
情報処理装置に、3次元形状を有する被写体の2次元画像から3次元画像を生成させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置の制御手段に、
被写体を撮像した2次元画像内の各画素について、青の輝度情報と緑の輝度情報との差分を求め、前記差分に基づき各画素の第3の座標軸上の座標を算出して、3次元座標を求めるステップと、
前記2次元画像内の各画素の3次元座標に基づいて前記被写体の3次元画像を生成するステップと
を実行させる、3次元画像生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−256988(P2010−256988A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103217(P2009−103217)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第1の公開 平成21年2月20日千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター発行の「千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター 第7回シンポジウム ポスター講演要旨集第4頁」に発表。 第2の公開 平成21年2月20日千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター主催の「千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター 第7回シンポジウム」において文書をもって発表。
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】