説明

3,3−ジメチルブタナールの製造方法

【課題】N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-1-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1−メチルエステル(ネオテーム)を製造するために有用な原料である3,3-ジメチルブタナールの改良製造法の提供。
【解決手段】中間体である3,3-ジメチルブタノールを、1)イソブチレン、エチレンおよび鉱酸を反応させて得た3,3-ジメチルブチルエステルを加水分解するか、また、2)3,3-ジメチルブタン酸またはそのエステルを還元剤と接触させるか、あるいは3)1-ハロ-3,3-ジメチルブタン、および1-アシロキシ-3,3-ジメチルブタンからなる群から選ばれる基質を加水分解するかにより得て、さらに該アルコールを触媒的脱水素化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,3-ジメチルブタナールの製造、とりわけ3,3-ジメチルブタナールおよびその前駆体を製造する改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Nofre らは米国特許第5,480,668号で、アスパルテームのN-置換誘導体を含む人工甘味料を記載する。Nofre により記載された好ましい例は、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1−メチルエステルである。該参照文献にさらに記載されているように、この生成物を、3,3-ジメチルブチルアルデヒド(3,3-ジメチルブタナール)とアスパルテームおよび還元剤(例えばシアノホウ水素化ナトリウム)とを溶媒(例えばメタノール)中で反応させることにより製造し得る。
【0003】
Nofre の米国特許第5,510,668号および Prakash の米国特許第5,728,862号は、3,3-ジメチルブタナールとアスパルテームとの縮合により製造したシッフ塩基の触媒水素化を含む還元アルキル化反応によるN-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1−メチルエステルの製造を記載する。
【0004】
N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1−メチルエステルの製造を容易にするために、3,3-ジメチルブタナール中間体の改良され経済的な製造方法が該技術において必要である。現在、3,3-ジメチルブタナールは、限られた量で非常に高価な価格でのみ市場で入手できる。従来の利用できる製造方法は一般に、満足いく収率を生ずることができず、また副生成物(例えばt-ブチル酢酸)が実質的に無く、十分な純度のアルデヒド中間体を製造することができなかった。近年改良法が開発されたが、3,3-ジメチルブタナールの工業生産のためにより十分な方法についての要求がある。
【0005】
Prakash らは米国特許第5,856,584号で、3,3-ジメチルブタノールの酸化による3,3-ジメチルブタナールの製造方法を記載する。該方法において使用する酸化性成分は、酸化性金属酸化物または2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、フリーラジカルおよび次亜塩素酸ナトリウムのような酸化剤を含む。金属酸化物による酸化を、不活性キャリヤガスを含む蒸気相中で3,3-ジメチルブタノールを酸化性金属酸化物と接触させることにより行い得る。2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ、フリーラジカルおよび次亜塩素酸ナトリウムによる酸化を溶媒系中で行い得る。
【0006】
Slaugh は米国特許第4,891,446号で、5〜20、好ましくは7〜18の範囲の炭素数を有する飽和第1級アルコールの触媒的脱水素化の方法を記載する。該アルコールを、垂直カラムまたは水平管状反応器内の黄銅製粒子固定床へ通ずる。水素は反応生成物であるけれども、良好な触媒寿命および安定性を得るために追加の水素を反応器に導入する。具体的な実施例は、C9、C13およびC15アルコールの脱水素化が与えられている。
【0007】
Gulkova らは "Dehydrogenation of Substituted Alcohols to Aldehydes on Zinc Oxide-Chromium Oxide Catalysts(酸化亜鉛-酸化クロム触媒による置換アルコールからアルデヒドへの脱水素化)", Collect. Czech. Chem. Commun., 第57巻, 第2215〜2226頁(1992年)に、固体触媒での脱水素化により対応するアルデヒドを得る可能性について16個の第1級アルコールの研究を報告する。試験した基質の中には3,3-ジメチルブタノールがある。該参照文献は、3,3-ジメチルブタノール基質の脱水素化に対する或る速度定数の情報を報告するが、この基質を3,3-ジメチルブタナールへ転化する特定条件の記載を含まない。
【0008】
Banthorpe らは "Mechanism of Elimination Reactions. Part XX. The Inessentiality of Steric Strain in Bimolecular Olefin Elimination(脱離反応機構、第XX部。2分子オレフィン脱離中の立体障害の不用性)", J.C.S., 1960年, 第4084〜4087頁に、3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの脱水素化を記載し、その中では3,3-ブタノールを、軽石担持亜クロム酸銅触媒を含有し還流冷却器を設置した垂直管に、沸騰させた。触媒は40分の反応後に減少し、320℃の気流に2時間さらすことにより再生した。
【0009】
3,3-ジメチルブタナールを3,3-ジメチルブタノールから誘導した場合、アルデヒドの満足いく工業的製造方法を提供することは、経済的に有効なアルコールの製造方法の選択および/または開発も必要とする。
【0010】
Hoffman らは米国特許第3,754,052号に、イソブタン中で3,3-ジメチルブタノールの硫酸エステルを製造するために、イソブタンの存在下におけるイソブチレン、エチレンおよび硫酸の反応を記載する。未反応エチレンを除去し、硫酸エステルをイソブタンと≧25℃でアルキル化して、2,3-ジメチルブタンを製造する。
【0011】
Wiese は米国特許第2,660,602号に、エチレン、オレフィン共反応体および硫酸の反応による分枝第1級硫酸エステルの製造方法を記載し、これは特に、オレフィン共反応体がイソブチレンである硫酸水素3,3-ジメチルブチルエステルの製造を含む。該反応を、強酸とエチレンおよび共反応体とを同時に、好ましくは冷却して接触させることにより行う。共反応体に対する高いエチレン比を維持する。炭化水素希釈剤を、好ましくは反応領域に、特に低分子量(即ち、C12未満の)共反応体を使用する場合に、存在させる。該参照文献は、硫酸モノ水素3,3-ジメチルブチルから3,3-ジメチルブタノールへの加水分解を開示し、さらにアルコールアセテートの製造を示唆し、該アセテートはラッカー溶媒として有用であると記載する。Wiese らは、無水フタル酸と分枝鎖アルコールとのエステル化によるジオクチルフタル酸エステル可塑剤の製造も示唆する。
【0012】
強還元剤、通常リチウムアルミニウム水素化物を用いる反応による、カルボン酸およびエステルをアルコールに還元する反応が記載されている。そのような反応は、その還元剤の高い反応性の故に、慎重に扱わなければならない。Journal of Organic Chemistry, 第46巻(1981年), 第2579〜2581頁は、水素化ホウ素ナトリウムおよびメタンスルホン酸およびジメチルスルホキシド(DMSO)を組み合わせることによってカルボン酸アミドを対応するアミンに還元できることを開示する。同文献は、同様の条件下で酢酸およびフェニル酢酸を対応するアルコールに還元できることを開示する。しかしながら、該文献は他の酸を対応するアルコールに還元することについて示唆していない。水素化ホウ素ナトリウムは幅広く使用される還元剤であり取扱いが比較的安全であるが、その温和な還元能力の故にカルボキシレート基の還元のためには好適でないと一般に考えられている。
【0013】
Journal of the American Chemical Society, 第73巻(1951年), 第555頁は、1-クロロ-3,3-ジメチルブタンを炭酸カリウムにより密閉系で加水分解し、65%の収率で3,3-ジメチルブタノールを製造することを開示する。二酸化炭素が該反応中に発生するので、手順は、水相からのストリッピングを回避するために高圧での操作を要する。
【発明の概要】
【0014】
従って、いくつかの本発明の目的の中で、3,3-ジメチルブタナールの製造方法を提供すること、容易に入手でき安価な原料を使用するそのような方法を提供すること、3,3-ジメチルブタナールのための中間体を製造する方法を提供すること、3,3-ジメチルブタナールおよび/またはその中間体の調製において高収率を生ずる方法を提供すること、3,3-ジメチルブタノールの製造方法を提供すること、3,3-ジメチルブタノールを調製し、それを3,3-ジメチルブタナールへ転化するために基質として使用する方法を提供すること、3,3-ジメチルブタノールを調製し、実質的に3,3-ジメチルブタノールを精製せずにそれを3,3-ジメチルブタナールへ転化する方法を提供すること、ハロゲン化副生成物または不純物が発生しない3,3-ジメチルブタナールの製造方法を提供すること、許容できる設備投資および運転コストで実行できる3,3-ジメチルブタノールおよび3,3-ジメチルブタナールの製造方法を提供すること、および3,3-ジメチルブタナールを調製し、それをN-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1−メチルエステル(時には本明細書中で「ネオテーム(neotame)」と称する)を製造するために使用する方法を提供すること、を挙げることができる。
【0015】
即ち簡単に言えば、本発明は3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。3,3-ジメチルブタノールのエステルを、イソブチレン、エチレンおよび鉱酸を反応させることにより調製する。該エステルを加水分解して3,3-ジメチルブタノールを調製し、該アルコールを3,3-ジメチルブタナールに転化する。
【0016】
本発明はさらに、3,3-ジメチルブタノールと触媒とを接触させて、触媒再生のためのいずれかの反応中断の前に、触媒活性相1モル当たり少なくとも5モルジメチルブタナールのターンオーバー比でアルコールから対応するアルデヒドに脱水素化することを含む3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。
【0017】
本発明はさらに、3,3-ジメチルブチルエステルおよび鉱酸を含んでなる加水分解原料混合物を水の存在下で加熱し、それによりエステルを加水分解して3,3-ジメチルブタノールを含んでなる加水分解反応混合物を調製する3,3-ジメチルブタノールの製造方法を含む。加水分解で形成された3,3-ジメチルブタノールは、加水分解反応混合物から蒸留される。
【0018】
本発明はさらに、3,3-ジメチルブタノールおよび不活性ガスを含んでなる気相を脱水素化触媒と接触させ、触媒再生のためのいずれかの反応中断前に、触媒活性相1モル当たり少なくとも5モルのジメチルブタナールのターンオーバー比で3,3-ジメチルブタナール含有脱水素化反応生成物ガスを調製する3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。3,3-ジメチルブタナールは、脱水素化反応混合物から回収される。
【0019】
本発明はさらに、粒状脱水素化触媒および3,3-ジメチルブタールを含んでなるスラリーを調製し、スラリー中で触媒的脱水素化により3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。触媒および3,3-ジメチルブタナールを含んでなる脱水素化反応生成物スラリーが調製される。3,3-ジメチルブタナールは、脱水素化反応生成物スラリーから回収される。
【0020】
本発明はさらに、3,3-ジメチルブタン酸またはそのエステルを還元剤と接触させて、それにより3,3-ジメチルブタノールを調製する3,3-ジメチルブタナールの製造方法にも関する。3,3-ジメチルブタノールは、3,3-ジメチルブタナールに転化される。
【0021】
本発明はまた、1-クロロ-3,3-ジメチルブタンおよび1-ブロモ-3,3-ジメチルブタンからなる群から選ばれる基質を加水分解して3,3-ジメチルブタノールを調製する3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。3,3-ジメチルブタノールは、3,3-ジメチルブタナールに転化される。
【0022】
本発明はさらに、3,3-ジメチルブタナールを、1-ハロ-3,3-ジメチルブタンまたは1-アシロキシ−3,3-ジメチルブタンを塩基の存在下で加水分解し、3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化することにより調製する、3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。
【0023】
本発明はまた、1,2-エポキシ-3,3-ジメチルブタンオキシドを3,3-ジメチルブタノールに還元し、3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。
【0024】
本発明はまた、t-ブチル有機金属化合物をエチレンオキシドと反応させて3,3-ジメチルブタノールを形成し、3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。
【0025】
本発明はさらに、3,3-ジメチルブタノールを触媒と接触させて、アルコールを対応するアルデヒドに脱水素化する3,3-ジメチルブタナールの製造方法に向けられている。該触媒は、実質的に人体に対し無毒である。
他の目的および特徴は、以下の部分で明らかになり、以下の部分で指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図中に示した条件下で行った実施例2に記載する組合せアルキル化/エステル化および加水分解反応について、アルキル化/エステル化反応中における反応体添加時間の関数として3,3-ジメチルブタノールの全収量並びに硫酸、エチレンおよびイソブチレンに対する収率をプロットした図である。
【図2】異なる固定条件(図中に提示)下での実施例2の組合せアルキル化/エステル化および加水分解反応について、アルキル化/エステル化反応中におけるエチレン圧力の関数としてイソブチレン、エチレン(反応物)、エチレン(原料)および硫酸を基準とする3,3-ジメチルブタノールの収率をプロットした図である。
【図3】異なる固定条件(図中に提示)下で行った実施例2の組合せアルキル化/エステル化および加水分解反応について、アルキル化/エステル化反応中における種々のエチレン圧力に対する時間の関数としての累積エチレン消費量の4つのプロットを示した図である。
【図4】実施例6に記載する3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの固定床触媒的脱水素化中における時間の関数として選択率をプロットした図である。
【図5】実施例7の脱水素化実験48時間中の時間の関数として、3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの触媒的脱水素化における3,3-ジメチルブタナール含有量、3,3-ジメチルブタノール含有量、転化率および選択率をプロットした図である。
【図6】実施例7の脱水素化実験48時間中の時間の関数として、脱水素化反応ガス中の不純物含有量をプロットした図である。
【図7】3,3-ジメチルブタナールを製造する本発明の方法全体を示すブロックフローダイヤグラムである。
【図8】3,3-ジメチルブタノールを連続生産する本発明の方法全体の実施態様についてのプロセス装置のダイヤグラムおよびフローシートである。
【図9】3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの触媒的脱水素化の実施態様についてのプロセス装置のダイヤグラムおよびフローシートである。
【図10】触媒的脱水素化法の別の実施態様についてのプロセス装置のダイヤグラムおよびフローシートである。
【0027】
図面において、対応する符号は、対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に従い、3,3-ジメチルブタノール、3,3-ジメチルブタナールおよびN-[N-(3,3-ジメチルブチル)-1-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1−メチルエステル(ネオテーム)を製造する新規で有利な方法を開発した。
【0029】
3,3-ジメチルブタナールの製造における初期段階を含むアルキル化およびエステル化反応において、イソブチレン、エチレンおよび鉱酸を反応させて3,3-ジメチルブタノールのエステルおよび鉱酸を含んでなる混合物を製造する。例えば、鉱酸として硫酸を使用する場合、モノエステルおよびジエステルは典型的に以下の反応により製造される:
【0030】
【化1】

【0031】
3,3-ジメチルブチルモノエステルおよびジエステルを加水分解し、3,3-ジメチルブタノールを調製し、3,3-ジメチルブタノールを好ましくは加水分解反応混合物から蒸留により回収する:
【0032】
【化2】

【0033】
3,3-ジメチルブタノールを触媒的脱水素化により3,3-ジメチルブタナールへ転化する:
【化3】

【0034】
場合により本発明の或る実施態様では、分子状酸素およびアルデヒドの酸化脱水素化触媒の存在下で3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールへ転化することができる:
【0035】
【化4】

【0036】
3,3-ジメチルブタナールは、N-(3,3-ジメチルブチル)アスパルテーム(米国特許第5,480,668号に記載されている新規甘味料)を製造するための原料として有用である。
【0037】
ネオテームの製造は、シッフ塩基の形成を含むアスパルテームの還元アルキル化:
【0038】
【化5】

、および以下のもの:
【0039】
【化6】

を生ずる−C=N−二重結合への触媒水素付加により進行し得る。
【0040】
3,3-ジメチルブタノールエステルの製造において、イソブチレンをエチレン雰囲気下の鉱酸媒体中に導入する。種々の鉱酸を、反応を触媒しアニオンを供給するために使用することができ、それからエステルが形成される。比較的強い酸、例えばpKa約0以下を示す酸が必要である。反応に使用できる酸の中には、硫酸、発煙硫酸、亜硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸および硝酸がある。代わりに、カチオン交換樹脂、例えばスルホン化樹脂(例えば、E.I. duPont de Nemours & Co により商品名「Nafion」で販売されている樹脂)を、反応を触媒するために使用できる。硫酸が好ましい。
【0041】
アルキル化およびエステル化反応を行う場合、イソブチレンおよびエチレンを同時に、アルキル化/エステル化反応領域内で鉱酸と接触させる。反応領域においてオレフィン反応体を、鉱酸を含み、通常非極性有機溶媒をさらに含む凝縮相反応媒体中に導入する。このように、反応系は典型的に三相であり、酸相、溶媒相および主としてエチレンを含んでなる気相を含む。好ましくは比較的激しい攪拌下で反応体を接触させて、気相から溶媒相へのエチレンの移動を促進し、溶媒相および酸相の間で実質的な界面接触を確立し、オレフィン性反応体の界面への液相間移動を促進し、生成物エステルの界面から酸相への移動を促進する。本発明の方法はいずれかの特定の理論に依存しないが、酸の存在下でt-ブチルカチオンがイソブチレンから形成され、エチレンおよび鉱酸と反応してモノエステルを形成すると考えられる。例えば硫酸の場合は以下のようであると考えられる:
【0042】
【化7】

【0043】
典型的に、モノエステルのいくらかの画分はさらにイソブチレンおよびエチレンと反応しジエステルを生ずる:
【化8】

【0044】
エチルモノエステル、ジエチルエステルおよび混合3,3-ジメチルブチル/エチルエステルの形成は、望ましいエステル中間体の形成と競争し得る:
【0045】
【化9】

【0046】
【化10】

【0047】
【化11】

【0048】
アルキル化反応も起こり、内燃機関燃料に特有な分子量を有する種々の分枝鎖炭化水素副生成物が生じ得る。
【0049】
そのような副生成物の形成の程度は、鉱酸媒体とイソブチレンおよびエチレンの両方とを実質的に同時に接触させることを含む適切な反応条件の制御により、最小にすることができる。イソブチレンの不存在下でエチレンを硫酸と接触させると、エチルエステルのかなりの形成が結果として生じやすい。イソブチレンと硫酸との間の接触を、エチレンの不存在下でかなりの時間維持すると、イソブチレンダイマー、ポリマーおよび他のアルキル化生成物の形成が進行し得る。
【0050】
反応は、本質的にあらゆる温度で進行し得るが、所望のエステル生成物の収率を最大にし、「ガソリン」副生成物の形成を最小にするために好ましくは冷却して行う。反応温度は、好ましくは10℃未満、より好ましくは約0℃未満である。工業生産運転のために反応温度は、最も好ましくは約−20〜約0℃の範囲である。所望のエステル生成物の形成がほとんど即座であることが観察された:
【0051】
【化12】

【0052】
従って所望生成物の収率は、生産性における物質損失無しにさらにより低い温度、例えば−20〜−40℃で操作することによりさらに高めることができるが、後者の温度範囲では収率における経済的利益が、冷却コストにおける経済損失の故により多く相殺され得る。
【0053】
所望エステル生成物の収率を最大にするために、反応媒体の水分を比較的低い水準に好ましくは維持する。反応速度も水分により減退する傾向があるが、反応はあらゆる場合に非常に速いので、速度効果は重要な経済因子ではない。硫酸を使用して望ましい収率を達成するために反応領域に装填する酸濃度は、有機物を除いた基礎原料を基準に好ましくは90〜100重量%、より好ましくは95〜100重量%である。発煙硫酸の範囲に達するさらに高い酸濃度が望ましい。より高い硫酸濃度は、収率を高める点だけでなく、比較的安価なFe/Cr合金またはさらに炭素鋼をアルキル化/エステル化反応プロセス装置の建設材料として使用することを可能にする点で有用であり得る。
【0054】
代わりに、より高級な合金、例えばNi/Mo合金(例えば Hastelloy B または Hastelloy C-276)も使用し得る。とにかく末端条件で所定最小酸濃度を確保するために、反応中にやや高い濃度の酸を導入することが望ましい。なぜならエステル化における共役塩基の消費が結果として実質的な酸の希釈を生ずるからである。硫酸以外の酸を反応に使用する場合、同等の水分限界を好ましくは課する。
【0055】
イソブチレンを、液状またはガス状の形態でアルキル化/エステル化反応領域に導入し得るが、好ましくは液体として導入し、反応器冷却系に対する熱負荷を最小にする。エチレンは典型的にガスとして導入され、エチレン圧力を約20psig(275kPaのゲージ圧)〜約200psig(1400kPaのゲージ圧)の間、好ましくは約40psig(550kPaのゲージ圧)〜約140psig(965kPaのゲージ圧)の間に反応領域で維持する。エチレン圧力が約40psigよりかなり低くなると、結果として炭化水素副生成物が過剰に形成し得る。一方、140psigを超える、特に200psigを超える圧力では、エチルエステルの形成度が上昇する。各イソブチレンおよびエチレンを、反応器の頭隙または凝縮相混合物の表面下のいずれかに導入し得る。任意に、それぞれまたは両方のイソブチレンおよびエチレンを有機溶媒中の溶液として導入し得る。代わりに、エチレンを液状で反応領域に導入し、反応を2つの凝縮相を含む系中で完全に行うことができる。
【0056】
エステル化/アルキル化反応を、バッチ式または連続式のいずれにおいても行うことができる。オリゴマー化および副生成物炭化水素の形成を最小にするため、好ましくはイソブチレン濃度をできる限り低く維持する。バッチ反応系では、反応器にまず鉱酸および溶媒を装填することができ、その後にイソブチレン導入を開始し、本質的に同時に反応領域をエチレンで加圧する。イソブチレンを、組み合せた凝縮相混合物1Lおよび1時間当たり約0.01〜約0.5Lの制御速度で好ましくは導入する。どのようなイソブチレンの導入形式または導入速度でも、イソブチレンに対してモル過剰の硫酸を反応を通じて好ましくは維持し、イソブチレンのオリゴマー化を最小にする。好ましくは、イソブチレンに対する硫酸のモル比を反応中の全時間で少なくとも約1に維持し、反応領域に導入したイソブチレンに対する硫酸の累積比は約2〜約1の間である。不当に過剰な硫酸は、硫酸エチル副生成物の過剰な形成を生ずる。上記範囲のエチレン圧力を維持するようにエチレン導入を調節する。
【0057】
反応系を好ましくは激しく攪拌し、界面へのおよび/または界面を横切る物質移動のために密な界面接触を確立する。酸相と液状有機相との間の密度がかなり異なるが故に、特に激しい攪拌を指示し得る。不可欠な界面接触および物質移動を生じさせるために、当業者は通常の混合原理を適用し、羽根車の種類、回転速度および先端速度、バフル、内部コイル、浸漬管などを選択することにより、適当な形態、剪断、およびポンプ結果を規定することができる。相間の物質移動をさらに容易にするために、相間移動触媒、例えば、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物または水酸化物、アルキルホスホニウムハロゲン化物、ベンジルトリアルキルアンモニウムハロゲン化物またはベンジルトリアルキルアンモニウム水酸化物を反応混合物に組み込むことができる。
【0058】
別のセミバッチ同時添加系では、加圧エチレン雰囲気をその中で維持しながら、イソブチレンおよび鉱酸をバッチ反応器に、好ましくは制御した速度で同時に導入する。イソブチレンと酸との同時添加は、エチレンと酸との競争反応を最小にする傾向がある。溶媒および少量画分の鉱酸を、好ましくは同時添加が始まる前に反応器に装填する。任意に溶媒を、酸およびイソブチレンと一緒に添加することができ、その中に即座に、イソブチレンおよび/またはエチレンを有機溶媒中の溶液として導入し得る。さらなる選択肢ではイソブチレンおよび酸を、エチレン圧力下で単に溶媒からなる初期装填物に供給し得る。反応は本質的に即座に進行するので、凝縮相成分の添加終了時には本質的にバッチは完了する。制御したイソブチレンと酸との同時添加は、未反応イソブチレンおよびエチレンの酸相への暴露を最小にし、それゆえ副生成物形成の程度を減少させる傾向を有し得る。同時添加終了後に反応物をアルキル化/エステル化反応器から取出すが、反応生成物末部を反応器中に維持し、すぐ後に記載するような、引き続きのバッチにおける同時添加相中の反応熱を除去するための媒体を供給し得る。
【0059】
同時添加法の変形に従い硫酸添加速度を、イソブチレンの添加が完了する前に全ての酸の装填が完了するように調節する。本発明のこの実施態様を実施する際に、溶媒および任意の少量画分の酸(例えば、必要な酸全体の1〜25%)をまず反応器に装填し、その後にエチレンを残りの酸に適用し、イソブチレンの添加完了前に酸の添加が完了するために有効な相対比でイソブチレンを反応器に供給する。即ち例えば、酸を、酸の添加がイソブチレン添加完了1〜5時間前に完了するようにイソブチレンに対するモル比1.1〜2.5の間、好ましくは約1.2〜約1.7の間で反応器に供給することができる。反応混合物を、酸およびイソブチレンの添加中に激しく攪拌して維持する。この選択肢は、多量の反応器積載量並びに鉱酸およびイソブチレンに対して比較的高い収率を供給できることが観察された。
【0060】
どのようなイソブチレンおよび酸の添加スケジュール、イソブチレンおよび酸のバッチ反応器への累積装填、並びにイソブチレンおよび酸の瞬間濃度であっても、好ましくは、それらを所望硫酸エステル中間体の満足いく収率と両立する最大の反応器積載量を生ずるように制御する。イソブチレン濃度が高すぎると、イソブチレンのオリゴマー化が起こり、収率が悪化し得る。イソブチレン濃度が低すぎると、生産性が悪化し得る。バッチまたは半連続系において、イソブチレンに対する酸の累積比は、好ましくは約0.5〜約4の間、より好ましくは約1〜約2の間である。
【0061】
アルキル化およびエステル化反応は、実質的に発熱である。発熱を除去するために、オートクレーブにジャケットおよび/または内部冷却コイルを取り付け得る。代わりに、またはそれに加えて、凝縮相反応混合物をオートクレーブと外部熱交換器との間で循環させ得る。冷却媒体、例えばブライン溶液または Syltherm を、ジャケット、コイルおよび/または外部熱交換器の冷却流体側に通ずる。任意に液化冷媒を、気化冷却による反応熱除去のために、ジャケット、コイルまたは外部熱交換器に供給し得る。反応器を、反応を通じてフル冷却で運転することができ、その温度をイソブチレンの反応領域への導入速度を調節することにより制御する。
【0062】
同時添加の場合、イソブチレンの添加速度を温度に応じて制御することができ、酸の添加速度をイソブチレンの測定添加速度に比例させる。好ましくは冷却系の能力を、比較的高速で、例えば上記の特定範囲でイソブチレンを導入できるように指定する。反応を、反応器中の酸相に対して比較的低い容量比の溶媒相で行うことができ、それにより所望エステル生成物の積載を最大にし、該生成物は酸相に蓄積し、鉱酸および3,3-ジメチルブチルエステルを豊富に含む液体を形成する。一般に、貴液のモノエステルおよびジエステル含有量合計が、約10〜約90モル%の間、好ましくは約30〜約60モル%の間であるときに、バッチを終了させる。
【0063】
アルキル化およびエステル化反応が非常に急速であるので、反応を所望により連続攪拌槽反応器(「CSTR」)内で行い得る。CSTRの配置は本質的にバッチオートクレーブの配置と同じであり、イソブチレンおよびエチレンの供給を同じ基準で制御し得る。硫酸を、所望の酸濃度(有機物無し)を維持するために十分な速度で導入する。反応混合物を、例えば外部熱交換器中を循環する反応生成物流から反応器内の一定凝縮相水準を維持するように制御された速度で取り出し得る。転化は本質的に即座であるので、生産性は本質的に熱移動能力により支配される。滞留時間は重要ではないが、反応器容積は、望ましい熱移動能力および安定な温度制御に対し十分な在中反応混合物を用意するために、十分であるべきである。
【0064】
さらなる選択肢に従い、アルキル化およびエステル化反応を栓流反応器内で行い得る。種々の通例形態の栓流反応器を使用して反応を行うことができ、通例の熱移動手段を、反応発熱を除去するために備え、上記のような望ましい温度範囲に維持する。
【0065】
反応に使用する有機溶媒は、好ましくは中位の揮発性を有する液状の脂肪族または芳香族炭化水素(例えば、C5〜C18)であり、反応と両立する、即ち、凝縮せず、重合せずまたはエチレン、イソブチレン若しくは鉱酸と他の反応をしないものである。溶媒は、エチレンの吸収媒体として、およびイソブチレンの溶媒として働き、それを通じて2つのオレフィンが酸相と実質的に相互に均一な比で接触する。溶媒はまた、望ましい反応がかなり起こると考えられる酸界面からアルキル化副生成物を除去するために働く。好ましくはアルキル化副生成物の形成を最小にするために、炭化水素溶媒は、分枝であるよりむしろ直鎖である。注記したように、酸相に対して比較的低い溶媒の容量比を使用して、例えば4〜1未満、好ましくは3〜1未満、より好ましくは約0.1および約2.5〜1の間で使用してバッチまたはセミバッチ系で反応を行い得る。反応中に形成するジアルキルエステルは脂肪族溶媒にかなり溶解するので、好ましくは酸に対する溶媒比を、反応器積載量および収率を最大にするためにできる限り低く維持する。
【0066】
エチレンに対する収率を、イソブチレンのかなりの転化率に達するのに十分な期間で反応を進行させた後に、エチレンの導入を停止することにより改良し得ることをさらに発見した。例えば、反応中に硫酸およびイソブチレンの反応領域への同時添加を含む方法の実施態様において、約50%、好ましくは約70〜約80%の間のイソブチレンを反応器に装填した後、典型的には95%の硫酸を添加するまでの時間の前または後の約30分以内、即ち酸およびイソブチレンの添加開始後2〜4時間の間に、エチレンの導入をかなり減少させるか、または停止させる。
【0067】
エチレン添加を実質的に停止した後、エチレンが残りの反応サイクル中に消費されるにつれエチレン圧力を減少させるままにし、それにより反応完了後反応器を排出させた時にエチレンの損失量を最小にする。イソブチレンおよび硫酸の添加相対速度を約0.6〜約0.75の間の積分平均イソブチレン/酸モル比で制御することにより、硫酸に対する溶媒の全質量比を約0.5未満に制御することにより、硫酸を反応器に2〜4時間で本明細書中の他で議論したイソブチレンに対する比で添加することにより、および95%の硫酸を添加した後30分以内にエチレン添加を停止またはかなり減少させることにより、特に望ましい収率を実現できる。
【0068】
本発明の別の実施態様において、とりわけ、いずれかの外来源から溶媒を反応領域に導入せずに、溶媒の反応器内への導入を省略することができる。実際、ニートのイソブチレンは、エチレンを吸収するための媒体を提供することができ、激しい攪拌は酸界面でエチレンに対するイソブチレンの釣り合いの取れた比を維持するのに十分であり得る。アルキル化度は本質的にほとんどの反応条件下で必定であるので、溶媒を初期に導入したかどうかに関わらず溶媒相は反応中に蓄積し得る。
【0069】
上記のように、アルキル化/エステル化反応混合物の酸相を含んでなる貴液は、典型的に約20〜約50モル%の間の、硫酸水素3,3-ジメチルブチルおよび硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)の合計を含有する。さらに示したように、少量の様々な副生成物も存在し得る。反応中に形成した鉱酸エステルのうち、50モル%まで、典型的に10〜30モル%はジエステルであり、残りはモノエステルである。エステル中の3,3-ジメチルブチル残基対エチル残基の全体比は、典型的に約50対1〜約1対1に変わり得る。さらに、有機物基準で貴液は、典型的に約0〜約10モル%の間のビス(3,3-ジメチルブチル)エーテルおよび約0〜約10モル%の間のジエチルエーテルを含有し得る。貴液のH2SO4酸含有量は典型的に約25〜75重量%の間であり、水分は約4重量%までであり、言い換えると、実質酸濃度は約65〜約33重量%の範囲である。アルキル化/エステル化反応混合物の有機相は、イソブチレンダイマー、オレフィン性オリゴマーおよびポリマー並びに「ガソリン」範囲の炭化水素アルキル化生成物を含んでなる種々の炭化水素副生成物を含有し得る。反応の最終時点で、反応生成物を反応領域から取出し、混合物の酸および有機相を、好都合には重力により分離させる。
【0070】
不純物および副生成物をパージするために供給する場合、溶媒を好ましくはリサイクルする。例えば、全てまたは一部の溶媒相を一貫してまたは定期的に蒸留するか、あるいは許容できる水準でリサイクル不純物または副生成物を制御するために有効な断片量で、プロセスから溶媒相パージ画分を取り出し得る。所望により蒸留前に、溶媒相をアルカリ溶液と接触させていずれかの残留硫酸水素3,3-ジメチルブチルおよび硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)および硫酸3,3-ジメチルブチルエチルを有機相から取出し、回収し得る。
【0071】
3,3-ジメチルブチルエステルの加水分解を、好ましくはアルキル化/エステル化反応完了後できる限り早く行う。酸相貴液を加水分解反応領域に移し、そこでそれを水と接触させ、硫酸水素3,3-ジメチルブチル、硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)および硫酸3,3-ジメチルブチルエチルを3,3-ジメチルブタノールへ加水分解する。加水分解を、塩基添加または未添加で、単に水で貴液を希釈し、希釈混合物を加熱することにより行い得る。
【0072】
水を、一般的に液体の容量とほぼ等しい容量で、より一般的には液体に対する容量比を約0.5〜約4の間として添加することができ、それにより加水分解原料混合物が供給され、該混合物は、約5〜約70重量%の間の硫酸3,3-ジメチルブチル、約0〜約40重量%の間の硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)、約0〜20重量%の間の硫酸3,3-ジメチルブチルエチル、約10〜約60重量%のH2SO4および約20〜65重量%の水を含有し、有機物の無い基礎原料に対して約13〜約75重量%の間の希釈硫酸濃度に匹敵し、全てのモノおよびジ3,3-ジメチルブチル硫酸に対する水の質量比は約15〜約0.25の間である。水の添加中に貴液を、好ましくは100℃を超えない、より好ましくは約50℃未満、最も好ましくは約25℃未満の温度に、希釈物の熱を冷媒または冷却流体へ除去することにより維持する。
【0073】
希釈混合物を、少なくとも約75℃、好ましくは約90〜約120℃の間の温度に約0.5〜約12時間の間、より好ましくは約1〜4時間の期間加熱する。加水分解が進行するにつれ相分離が起こり、下方に廃酸相および上方に所望の3,3-ジメチルブタノール生成物を含有する有機加水分解相が生ずる。生成物を、蒸留または液/液抽出により有機加水分解相から取り出し得る。有機相中の残留酸が蒸留において有害であることを発見した。バッチ法において好ましくは、この残留酸を、塩基を添加することにより、例えば有機層をアルカリ金属水酸化物または炭酸塩の0.05〜2N溶液で洗浄することにより中和する。代わりに、アルカリ土類金属酸化物または水酸化物を添加して、過剰の酸を固体沈殿物(例えば、セッコウまたはMgSO4)の形態で除去し得る。有機相の蒸留を、好ましくは減圧、例えば50〜200torrで約80〜約150℃の間のポット温度で行う。2つの主要留分が得られ、その第1のものは優先的に有機溶媒であり、ほんの痕跡量の3,3-ジメチルブタノールを有する。第2の留分は、実質的に3,3-ジメチルブタノールであり、無視し得る濃度以下の>C6アルコール副生成物しか有さない。少量残留物だけが蒸留ポットに残る。
【0074】
加水分解反応混合物の廃酸相をプロセスからパージし得る。代わりにそれを、以下に記載するように廃酸回収プロセスにかけることができる。いずれかの残留3,3-ジメチルブタノールを酸相から溶媒抽出により回収し、3,3-ジメチルブタノールをその後抽出物から蒸留により回収することができる。
【0075】
上記の加水分解工程は、3,3-ジメチルブタノールの製造において有効であるが、種々の望ましくない副生成物が加水分解中に形成し得る。該副生成物は、例えばエタノール、ビス(3,3-ジメチルブチル)エーテル、ジエチルエーテルおよび混合エーテルを含んでなる。また、加水分解は平衡反応であり、高濃度のアルコール存在下では進行できない。望ましくない副生成物の形成を最小にし、3,3-ジメチルブタノールの最大収率を得るために、加水分解を好ましくは反応蒸留により行い、その中では、所望のアルコール生成物を製造するに従い反応混合物から蒸留する。反応蒸留のための加水分解原料混合物は、アルキル化/エステル化反応混合物中で得られた酸相貴液を、一般に上記と同じ範囲、但し、少なくとも3,3-ジメチルブタノールと水との共沸混合物を形成するために十分な希釈比で水で希釈することにより供給する。
【0076】
塔頂圧力は重要ではないが、蒸留を、好ましくは多量の3,3-ジメチルブタノール含有量の共沸混合物が製造される範囲の大気圧または減圧のいずれかで行う。蒸留ポット内またはリボイラー内の加水分解原料混合物を加熱することにより、硫酸水素3,3-ジメチルブチル、硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)および硫酸3,3-ジメチルブチルエチルから3,3-ジメチルブタノールへの加水分解、並びに水/3,3-ジメチルブタノール共沸混合物のオーバーヘッド蒸気としての取出しの両方がもたらされる。大気圧蒸留の場合、軽量物を約90℃未満の温度で除去することができ、その後に3,3-ジメチルブタノールが豊富な共沸混合物を約90〜99℃の範囲の温度で蒸留する。いくらかの修正が望ましいが、単に適度な還流およびいくらかの棚が提示される。必要により共沸混合物を直接引渡し蒸留により回収し得る。
【0077】
蒸留温度が100℃に達する時、オーバーヘッド蒸気は本質的に水だけになり、蒸留を停止する。底部生成物は廃酸相および残油を含んでなる。この両方を廃棄するか、または廃酸回収操作に向けることができる。回収酸をアルキル化/エステル化反応工程にリサイクルし得る。油相は、有効に廃酸燃焼のための燃料源として役立ち得る。
【0078】
凝縮により、反応蒸留からの3,3-ジメチルブタノールが豊富な共沸混合物留分は二相混合物を形成し、上層は、少なくとも約75重量%、通常約80〜約90重量%の3,3-ジメチルブタノールを含み、典型的にはいくらかのエタノール、ジエチルエーテルおよびビス(3,3-ジメチルブチル)エーテルと一緒に約4〜8%の水を含有する。下方水相は、いくらかのエタノールと一緒に2重量%未満、一般に1重量%の所望3,3-ジメチルブタノール生成物を含有する。下方水相はプロセスからパージされ得る。有機物基準で上相は、≧90重量%の3,3-ジメチルブタノールと≦10重量%の高沸点物(即ち、>C6アルコールまたは残留エステル)を含み得る。従って、さらなる精製無しに上相を直接3,3-ジメチルブタナールの製造に使用することができる。かわりに上相を、典型的に減圧下でさらに蒸留し、98%重量%を超える3,3-ジメチルブタノール中間体生成物純度(高沸点物含有量≦2重量%)に向上させ得る。
【0079】
反応蒸留は、貴液中3,3-ジメチルブタノールのエステルおよびジエステル合計を基準に50%を超える、典型的には70〜90%のモル収率で3,3-ジメチルブタノールを製造する。3,3-ジメチルブタノールエステルの加水分解により鉱酸が反応混合物中に放出され、それにより累進的に鉱酸濃度が上昇するので、過剰の酸を中和するために加水分解中において反応混合物に塩基を加えることが望ましい場合がある。これを、測定した酸度上昇に応じて苛性またはアルカリ金属炭酸塩溶液を反応物に添加することにより行い得る。任意に、CaO、MgO、Ca(OH)2またはMg(OH)2を添加することができ、それにより固体CaSO4またはMgSO4塩の沈殿により過剰の酸を除去し得る。
【0080】
アルキル化/エステル化反応から得られた貴液を、反応蒸留前に塩基を用いて実質的に中和する場合、加水分解および共沸混合物発生をもたらすためだけに十分な少ない割合の水を用いて反応蒸留を行うことができる。共沸混合物を凝縮し、凝縮物から水相を分離し、水相をカラムに還流させることにより、加水分解および共沸混合物蒸留の両方のために十分な在中水が維持される。例えば、上記の希釈比0.5〜2.0の代わりに、貴液を、ほんの約0.1〜約0.5の範囲の水を用いて希釈し得る。約0.3〜約0.7の水/貴液中間比で添加水を用いて反応蒸留を行う場合に、有利な結果が観察された。遊離酸の実質的な中和は、そうでない場合に不十分な希釈から生じ得る生成物分解を防止する。
【0081】
反応蒸留を、バッチ、セミバッチまたは連続式のいずれかで行うことができる。連続法では貴液を、加水分解反応領域を含む蒸留カラムに連続的に導入する。3,3-ジメチルブタノールの反応および蒸留のための熱を、リボイラーを介してカラムに連続的に供給する。底部をリボイラーを通して循環させ、反応および蒸留のための熱を供給する。廃酸を反応領域から連続的に取り出し、カラムの底部から、例えば水溜めレベル調節機に応じて正味の廃酸の生産と等しい速度で廃棄する。オーバーヘッド蒸気を連続的に取出し、凝縮させて3,3-ジメチルブタノールを回収する。軽量物をコンデンサーから排出し、洗浄および/または燃焼させ得る。凝縮物を、連続式分離器内で3,3-ジメチルブタノール相と水相とに分離し、そこから3,3-ジメチルブタノール相を連続にデカントし、水相を連続に排出する。水相を還流スプリッターに排出し、そこで水相は還流流れと前進流とに分割される。バッチ式反応蒸留では貴液を蒸留ポットに導入する。水を、バッチ開始時に装填するか、あるいはバッチが進行するにつれて連続的にまたは断続的に導入し得る。塔頂(オーバーヘッド)凝縮物を分離させ、水相を、分離および加水分解促進を助けるために好ましくは還流する。所望により、新たな水をカラムの頂部棚または他の棚に導入し得る。代わりに硫酸エステルを、共沸混合物として蒸留された熱水および加水分解形成3,3-ジメチルブタノールを含有する容器に添加し得る。
【0082】
本発明の別の実施態様では、3,3-ジメチルブタノールと酸とのエステル(例えば硫酸ビス(3,3-ジメチルブチル)または硫酸水素3,3-ジメチルブチル)を、塩基(例えば、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、CaO、MgO、Ca(OH)2またはMg(OH)2)の水溶液または水性分散液と接触させることにより加水分解する。塩基を、アルキル化/エステル化反応混合物中の遊離酸および加水分解で放出された酸を中和するために必要な量よりも過剰に供給し、加水分解を促進するために十分なpHを確立する。
【0083】
本発明に従いさらに、3,3-ジメチルブタノールを触媒的脱水素化により3,3-ジメチルブタナールに転化し得る。例えば、脱水素化のために適当な触媒を、任意にインサイチューで3,3-ジメチルブタノールと化学量論量の酸化剤(酸化第二銅、酸化第一銅またはCu(I)およびCu(II)酸化物の混合物のような金属酸化物を含む。)とを接触させることにより準備し得る。3,3-ジメチルブタノールと金属酸化物触媒とを接触させると、化学量論酸化還元反応中の酸化脱水素化により3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの望ましい転化が生ずる。該酸化還元反応は同時に金属酸化物酸化剤を還元し、その還元形態はアルコールからアルデヒドへのさらなる嫌気性脱水素化のために有効な活性相を含む。その後、例えあるとしても妨害が最小であるが故に、3,3-ジメチルブタノールと触媒との接触が連続し、3,3-ジメチルブタナールの製造が連続し得る。
【0084】
触媒的脱水素化に有用な他の触媒は、銀、金、白金、パラジウムおよびPt/Sn合金、Cu/Znを含む。触媒活性相の活性表面積を拡大するため、触媒を通例の触媒担体(例えば、炭素、アルミナ、シリカ、シリカとアルミナとの混合物、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、珪藻土、バライト、制御多孔質ガラス(「CPG」)など)に担持させ得る。Ru、Cu、PtまたはPdの助触媒化合物も有効であり得る。
【0085】
アルコールを対応するアルデヒドに脱水素化するために有効な本質的にあらゆる触媒を、本発明の方法に使用することができる。そのようなものは、例えば、Cu-ZnO、Ag-Cu、ZnO、Co(II)モリブデン酸塩、五酸化バナジウム、Ni、Ir、Ru、Re、Co、Zrなどを含み得る。また、Augustine の "Heterogeneous Catalysts for the Synthetic Chemist(合成化学者のための不均一触媒)", Marcel Dekker, Inc., 1996年, 第430〜472頁参照。本明細書中に開示し、脱水素化反応に有用であり得るさらなる触媒の中には、ラネーNi、Niホウ化物、PtO2、Cu-CrO、Pd/C、Pdブラック、Pd/バライト、Ir/C、FeCl3ドープRu/C、Ru-Sn、Coホウ化物、Co/アルミナ、Co-Zr/アルミナ、ラネーCo、Ag-Fe、Ag-Zn、予備還元Re27、Pt/C、Pt/ナイロン、Re/CPG、Cuクロマイトなどがある。
【0086】
3,3-ジメチルブタノールを医薬品のため、または食品(例えば、ネオテーム)のための中間体として使用する場合、実質的に無毒である触媒を好ましくは選択する。反応のために有効で、実質的に無毒な触媒は、金属銅、銅酸化物および還元銅酸化物並びにCa-ZnO、Co、V、Ni、Ir、Ru、Reなどを含む。クロム含有触媒を、好ましくは避ける。一時的化学量論酸化反応は発熱であり、反応熱を除去する適当な準備をしなければならない。好ましくは化学量論酸化を、約150〜約350℃の間の範囲の温度で行う。化学量論酸化反応をスラリー反応系中で行うことができ、該反応系においては、最初に金属酸化物触媒を、任意に高沸点不活性溶媒(例えばビス(3,3-)ジメチルエーテル)を含んでなる攪拌3,3-ジメチルブタノール反応体媒体中に懸濁させる。あるいは、蒸気相3,3-ジメチルブタノールを、金属酸化物固定床または流動床上に通じ、その中で3,3-ジメチルブタナールへ転化することができる。プロセス中この段階の機能は単に触媒を用意することにあるので、触媒スラリー濃度または液相系中溶媒濃度におけるアルコールについて、あるいは固定床若しくは流動床蒸気相系の空間速度または他のパラメーターについて、例えあるとしても緊急度または重要性はほとんど無い。
【0087】
本発明の脱水素化反応のためのスラリー反応系において、粒状触媒(例えば金属銅)を、ニート3,3-ジメチルブタノールまたは適当な溶媒(例えばジフェニルオキシドのようなエーテル)中の3,3-ジメチルブタノール溶液のいずれかを含む液状脱水素化反応媒体中にスラリー化する。粒状触媒を、3,3-ジメチルブタノール装填量を基準に、少なくとも約1重量%、好ましくは約5〜約20重量%の間の割合で液状反応媒体中にスラリー化する。脱水素化反応を、少なくとも約100℃、典型的には100〜400℃、好ましくは少なくとも約200℃、より好ましくは約275〜約350℃の間の温度で、反応のために十分な期間、典型的には100時間またはそれ以上の範囲の期間行う。脱水素化反応は吸熱であるので、温度を好ましくは、蒸気または他の加熱媒体を反応器上のジャケットまたはその中に有するコイルに通じて熱を導入することにより、望ましい水準に制御する。
【0088】
全圧は、好ましくはできる限り低く、より好ましくは液状反応媒体の反応温度での蒸気圧より約100psi(690kPa)高い圧力を超えず、より好ましくは100psigより高く無い圧力である。不活性ガスを好ましくは反応液体中に散布し、そこからの水素置換を助ける。水素分圧は好ましくは100psig未満である。少ない割合の水の存在は、触媒の活性部位から反応生成物の取出しを容易にすることにより触媒活性を促進するために望ましい場合がある。水の存在はまた、3,3-ジメチルブタナールの反応選択性を少しばかり向上させる。反応完了後、触媒を反応混合物から濾過により分離し、3,3-ジメチルブタナール生成物を溶媒からストリッピングする。濾過により回収した触媒を、引き続きの脱水素化バッチで使用するためにリサイクルし得る。
【0089】
液相脱水素化反応を、生成3,3-ジメチルブタナールを取り出すために、反応蒸留型で運転することができる。反応混合物から水素および生成アルデヒドを取り出すことにより、反応蒸留は平衡反応を進めるために有効である。反応蒸留は生成3,3-ジメチルブタナールの有効な取出しを提供し得るが、3,3-ジメチルブタノールのストリッピングを最小にするために比較的高い全圧を維持するべきである。より低い圧力も許容し得るが、出口水素流および還流から反応器への3,3-ジメチルブタノールの凝縮が必要となり、それにより吸熱反応系の熱需要を上昇させる。
【0090】
液相スラリー化触媒的脱水素化反応は3,3-ジメチルブタナールの製造に有効であるけれども、好ましくは、平板状または粒状脱水素化触媒を含む固定触媒床または流動触媒床上の蒸気相中で反応を行う。好ましい脱水素化法では、キャリヤガス(例えば、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、蒸気またはこれらの混合物)中で少なくとも約0.5容量%、好ましくは約1〜約25容量%、より好ましくは約2.5〜約10容量%の3,3-ジメチルブタノールを含む原料流を供給する。場合により、原料ガス希釈剤は、単にまたは優勢的に蒸気からなることができる。3,3-ジメチルブタノール濃度を上記のものよりも高くすることができるが、好都合な反応平衡を確立するために比較的高い反応温度が必要であり、その結果として、高濃度での転化率は吸熱冷却により制限される。一部で、吸熱冷却を好都合な平衡のために必要なものよりさらに高い温度(例えば500℃)で原料流を反応器に導入することにより補うことができ、この場合、断熱的に反応器を運転することができる。しかしながら高い原料ガス温度は、焼結または触媒に対する他の悪影響を引き起こし得る。しかしながら好ましい250〜375℃の運転範囲の上端付近の温度で原料ガスを導入することは、いずれかの場合に、反応領域の最大部分中でその範囲の温度に維持するために望ましい。不活性ガスは熱バラストとして役立ち、望ましい温度を維持することを助ける。脱水素化原料流を脱水素化反応領域に通ずる。該領域は固定床または流動床を含み、該床は脱水素化触媒を含む活性相を有する触媒本体を含有する。蒸気相は、好ましくは実質的に分子状酸素が無い。
【0091】
反応を、好ましくは少なくとも約200℃、より好ましくは約250〜約375℃の間の範囲、最も好ましくは約275〜345℃の間の温度で行う。後者範囲の上方部分の温度、例えば305〜330℃はより好都合な平衡をもたらすが、下端範囲の温度、例えば275〜295℃はより長い触媒寿命で触媒活性を保つ。エーテルおよびオレフィン副生成物の形成を低下させるために、脱水素化反応器への原料ガス中に蒸気を含めることが望ましい場合がある。これらの範囲内にある比較的高い温度は、可逆脱水素化に対しより高い平衡定数を提供し、それゆえ3,3-ジメチルブタナールへの高転化率に有利である。全圧を、約100psig(690kPa)を超えない圧力、好ましくは約0psig(0kPa)〜約25psig(170kPa)の間に維持し、水素分圧を、約100psig(690kPa)未満、好ましくは約5psig(35kPa)〜約20psig(140kPa)の間に維持する。反応平衡および選択率の両方とも圧力が減少するにつれより好都合になるが、一般に好ましくは、触媒床における速度および圧力降下を最小にするため、および空気が水素含有反応生成物流に漏れることを防ぐために、少なくとも大気圧で運転する。
【0092】
好ましくは、触媒本体は、不活性担体上の金属酸化物活性相を含んでなる。
反応器を、空間速度少なくとも約0.25秒-1、好ましくは約0.5〜約2秒-1の間で、線速度約0.2〜約5フィート/秒、好ましくは約0.8〜約2.5フィート/秒で運転する。好ましい触媒の活性および選択性は、触媒床容量を、少なくとも約50%、好ましくは約80〜約100%の3,3-ジメチルブタナールに単一パス転化する大きさにできるために、十分なものである。上記範囲の空間速度内でのそのような転化のために必要な滞留時間は、わずか約0.1〜約10秒である。典型的に、脱水素化反応領域にから出てくる反応ガスは、約50〜約98容量%の間の3,3-ジメチルブタナールおよび約50〜約2容量%の3,3-ジメチルブタノール、比率では3,3-ジメチルブタノール1モルに対し少なくとも約1モル、より典型的には約4〜約49モルの3,3-ジメチルブタナールを含有する。金属銅または他の好ましい触媒を使用する場合、50%を超える転化率が、触媒を再生せずに30日間の持続運転で維持され得る。
【0093】
好ましい触媒の活性は、実質的に定量的な転化を非常に短い滞留時間で達成するために十分であるけれども、触媒装填量と触媒失活速度との間に非線形関係があることを発見した。運転の最初のわずかな時間内で平衡転化を供給するのにちょうど十分な触媒を装填した場合、ほとんど運転開始直後の初期にかなり急速な失活が観察された。しかしながら、平衡に達するために必要な最小量よりもかなり多い触媒を装填する場合、触媒の追加量に比例しないで触媒寿命を伸ばすように、大幅によりゆっくりと失活する。以下に示す実施例中でより詳細に記載するように、この観察を言い換えると、最も好ましい空間速度は上記の好ましい範囲の下端付近、即ち2.0秒-1未満、例えば約1.0〜約1.5秒-1である。触媒性能は、全流量よりむしろ3,3-ジメチルブタノール流量に主として関係するので、反応器に通ずる全流速を、温度制御および圧力降下を比べて考えることにより主として定めるが、いずれかの場合に、空間速度と原料ガス中の3,3-ジメチルブタノール容量画分との積を、最も好ましくは約0.05〜約0.08(ccアルコール)(cc原料ガス-秒)-1の範囲に制御する。
【0094】
高触媒装填量は、触媒寿命に関して例外的な利点をもたらす一方、反応器の運転開始段階中に比較的貧弱な選択性も生じ得る。初期選択性を、比較的低温、例えば240〜270℃で触媒段階期間中、初期運転し、その後最適の転化のために望ましい値、好ましくは275〜約345℃の間で運転することにより向上させ得ることを発見した。該段階期間を、少なくとも85%、好ましくは少なくとも約88%、より好ましくは少なくとも約90%の3,3-ジメチルブタノールの収率が、その段階期間の開始後約90分から、触媒活性相1モル当たり少なくとも5モルの3,3-ジメチルブタナールのターンオーバー比が実現されるまでに達成できるように十分長くする。不可欠な段階期間は、典型的に、1〜4時間である。運転開始のいずれかの一時的効果が横切った後、選択性は、低い触媒装填量に対して高い触媒装填量でわずかに良好になり得る。
【0095】
注記したように、嫌気性脱水素化反応は吸熱である。それゆえ上記のように、アルコール反応体をかなり不活性ガスで希釈することが必要であるか、または望ましい。不活性ガスは2つの役割を果たす。その1つは熱源としてであり、反応器の温度降下を最小にし、そうして反応器入口から反応器出口までで平衡係数の悪化を可能な限り少なくする。もう1つは希釈剤としてであり、所定の反応温度で平衡転化率を向上させる。さらに、表面熱移動、または熱希釈ガスを、反応ガスを触媒的脱水素化領域に通す経路に沿った別個の地点で導入してガスを加熱することのいずれかにより、補充熱を反応系に導入することが望ましい場合がある。
【0096】
例えば、反応を固定床上で行うことができ、該固定床は一連の複数の段内に配置されている。該固定床は、反応器を通る反応ガスの通過に関して連続の一対の該段の間の触媒を実質的に持たない室を有する反応容器に含まれる。加熱ガスの供給を段の間にある小室に行い、小室のすぐ上流にある段から該小室に入る反応ガスを再加熱する。典型的に反応器は、2つまたはそれ以上の触媒段、および複数のそのような段の間にあり触媒が実質的に存在しない小室、を有することができる。各該小室は連続する一対の触媒段の間に配置されている。加熱不活性ガスの供給を段の間にある複数の小室のそれぞれに行い、そのすぐ上流にある段からそのような小室に入る反応ガスを再加熱し得る。代わりに原料ガスを、反応が段熱条件下で上で示した転化に進行できるために十分な温度に加熱する。
【0097】
代わりに脱水素化触媒を、シェルおよび管状熱交換器の管に充填し得る。上記組成物を有する原料ガスを、いずれかの都合の良い方法で脱水素化に有効な温度に予備加熱し得る。熱移動流体、例えば溶融塩浴を交換器のシェル側に通じ、反応のための熱を供給し、ガス温度を反応平衡が合理的に望ましくなる範囲内、例えば200〜400℃に維持する。さらなる選択肢に従い、反応管を砂浴に埋め、次いでそれを、炭化水素燃料を燃やすことにより、または電気加熱により製造した送気管ガスに接触させて直接加熱することができる。さらに別の選択肢では、送気管ガスを、反応流路にそって間隔をあけた地点でプロセスガス流に注入して、反応ガスを望ましい温度に維持し得る。注記したように、断熱操作は一つの選択肢であり、転化は、床の上流部分の触媒に損害を引き起こし得るような高い原料ガス温度でさえ、末端反応温度に対する吸熱冷却の効果により制限される。
【0098】
脱水素化反応生成物ガスを冷却し、そこから3,3-ジメチルブタナール生成物といずれかの未反応3,3-ジメチルブタノールを凝縮させる。約−25〜約0℃、好ましくは約−18〜約−8℃の温度に冷却することが、良好な収率で3,3-ジメチルブタナールを回収するために望ましい。任意に生成物ガスを、例えば約10〜約1000psigの間に圧縮し、より高い温度で凝縮させ得る。次いで凝縮物を、3,3-ジメチルブタノール中間体から生成3,3-ジメチルブタナールを分離するために蒸留し得る。さらなる選択肢に従い3,3-ジメチルブタノールを取り出すために、反応生成物ガスを部分コンデンサーに通じ、次いで全体コンデンサーに通ずることができる。次いでいずれかのまたは両方のコンデンサーからの凝縮物を蒸留して、3,3-ジメチルブタナール生成物を精製する。3,3-ジメチルブタナール精製のための蒸留を、バッチ式または連続式のいずれかで行うことができる。98%純度の3,3-ジメチルブタナール留分を得ることができる。
【0099】
いくつかの場合で反応生成凝縮物の精製は望ましいが、精製は一般に必要ではない。3,3-ジメチルブタナールを製造する様々な先行技術の方法の生成物と異なり、上記のように本発明の方法に従い製造したアルデヒドは、ネオテームを合成する還元アルキル化反応に重大な悪影響を生ずる不純物を実質的に含まない。とりわけ有機物基準で、凝縮物は1重量%未満しか対応する酸(t-ブチル酢酸)を含有しない。3,3-ジメチルブタナールを、フリーラジカル酸化剤の存在下での化学量論酸化により製造した場合、蒸留による反応生成物の精製は、アルコール/水共沸混合物およびアルデヒド/水共沸混合物の両方の形成に遭遇し、これらのそれぞれを取り除くことは難しい。精製の必要性を回避することにより、本発明の方法ではこれらの共沸混合物を分離する必要性を回避する。
【0100】
なおさらなる選択肢に従い、脱水素化反応器から出てくる反応ガスを、3,3-ジメチルブタナール用吸収剤に接触させることができる。例えば、ガスを吸収器(例えば、リング、サドルまたは他の包装物質のような手段を有する塔)内の液状吸収剤流に向流に通じて、3,3-ジメチルブタナールのガスから液相への物質移動を促進することができる。吸収器内の3,3-ジメチルブタナール溶液は、塔の底部に存在する。本発明のこの実施態様で有用な吸収剤は、有機溶媒、例えば、メタノール、エチルアセテート、テトラヒドロフランまたはメチルイソプロピルケトンを含んでなる。3,3-ジメチルブタナールを濃厚吸収剤流から、例えば減圧下でまたは生蒸気を導入することによりストリッピングすることができる。代わりに、アルデヒド有機溶液それ自体を、3,3-ジメチルブタナールが中間体として働き得るネオテームまたは他の生成物を製造するためのプロセスに導入し得る。
【0101】
なおさらなる別の実施態様では、3,3-ジメチルブタナールおよびいずれかの未反応3,3-ジメチルブタノールを、水中で冷却することにより、例えば、ガス流を充填塔または棚型塔内の水性冷却流に向流に流すことにより、またはガスを水性冷却浴の表面下に導入することにより、脱水素化反応ガス流から凝縮させ得る。その後3,3-ジメチルブタナールを水性冷却媒体から分離させ、次いで有機生成物相を、結晶化または蒸留により精製するか、あるいはネオテームの製造に直接使用することができる。
【0102】
本発明の方法において、3,3-ジメチルブタノールの脱水素化のための触媒が、先行技術で報告されているものをずっと超える操業時間で高活性を維持することを見出した。生産性および収率は、そのような延長した運転期間で実質的に安定のままであった。触媒活性相1モル当たり3,3-ジメチルブタナール5、10、15モルまたはそれ以上のターンオーバー比が、触媒再生のために反応を中断せずに、容易に達成される。その上、そのような各ターンオーバー比が、触媒工程経過中に達成される初期または最大収率の少なくとも80%、より典型的に90、95または98%である3,3-ジメチルブタナール収率で実現され得る。本明細書中で言及する「ターンオーバー」は、触媒の全ての活性相1モル当たり製造された生成物のモル数を意味し、活性相活性部位の実際の数または密度は参照しない。触媒構造が1よりも多い相を有する場合、例えば不活性担体上の金属または金属酸化物触媒の場合、「触媒活性相」は、反応が行われるか、または開始される活性部位を有する相だけを意味する。
【0103】
水素が水素受容体の還元に使用され得る部位で嫌気性脱水素化を行う場合、水素受容体の存在下で脱水素化を行うことができ、それにより水素を、場合によりインサイチューで有効に使用できる、およびそうでなければ適切に行うことができない条件下、例えば、比較的低い温度、高い3,3-ジメチルブタノール濃度または高い圧力で平衡反応を望ましい方向に潜在的に進め得る。例えば反応を、200〜250℃の範囲の温度および/または50モル%過剰の3,3-ジメチルブタノール濃度で定量的に行うことができる。3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの転化を完全に液相で行う場合、反応を、水素受容体として機能する気相を存在させることにより促進することができる。またその逆も同様である。典型的な水素受容体は、ケトン、アルデヒド(所望生成物以外のもの)またはオレフィンを含んでなる。
【0104】
3,3-ジメチルブタノールを、好ましくは上記のように嫌気性脱水素化により3,3-ジメチルブタナールに転化するが、この転化のために他の方法を使用することができる。例えば反応を、嫌気性脱水素化のために議論したものに匹敵するプロセス機構に従って好気性脱水素化により行うことができる。酸化脱水素化は、不可逆的に進行する発熱反応である。この代替方法に従い、3,3-ジメチルブタノールおよび酸素含有ガスの蒸気相混合物を固定触媒床または流動触媒床上に通ずることができ、あるいは酸素含有ガス、3,3-ジメチルブタノールを含んでなる液相中の触媒スラリーに導入することができる。蒸気相反応系で好ましくは、原料ガスは、約1〜約20容量%の間、好ましくは約5〜約10容量%の間の割合で酸素を、および約5〜約10容量%の間の割合で3,3-ジメチルブタノールを含有する。好気性の方法では、脱水素化を酸化的に行い、反応副生成物として水素よりむしろ水を形成する。
【0105】
酸化脱水素化に有用な触媒は、金属酸化物、例えば、酸化銅、酸化亜鉛または酸化銅/酸化亜鉛混合物を含んでなる。酸化脱水素化では、金属酸化物は3,3-ジメチルブタノール基質との酸化還元反応に参加すると考えられ、上記の化学量論反応の場合と同じように、3,3-ジメチルブタナールおよび水の形成と同時に、金属酸化物は金属または他の還元状態に還元される。ガス流からの酸素を用いる再酸化は、酸化脱水素化のための触媒の活性を回復させる。このように好気性触媒法は、酸化剤を反応中に消費し、例え再生させるとしても、オフラインで再生させる化学量論法と異なる。酸化脱水素化はかなり高い発熱反応であり、好ましくは約150〜約250℃の間の温度、即ち、嫌気性脱水素化のために最適な温度より幾分低い温度で行う。3,3-ジメチルブタン酸への過酸化の傾向の故に酸化脱水素化は、嫌気性方法によりもたらされる収率を提供しない。他方で反応の発熱性により、好気性方法を比較的低温で運転できるだけでなく、平衡に対し悪影響を及ぼさずに、50モル%過剰のより高い3,3-ジメチルブタノール濃度でも運転できる。
【0106】
有利には酸化反応を、シェルおよび管状熱交換器の管を有する管状反応系内で行い得る。3,3-ジメチルブタノールおよび酸素を含んでなる原料ガスを、反応のために適当な触媒を充填している管に導入する。加熱流体(例えば溶融塩)を、反応熱を除去するために熱交換器のシェル側に通じて循環させる。代わりに、反応ガス温度を、嫌気性脱水素化のために上で記載した種々のいずれかの手段に従い維持し得る。従って該反応系は、嫌気性脱水素化のために上で記載した代替系の1つと共通するが、溶融塩浴または流動砂浴は、加熱媒体よりむしろ冷却媒体として働く。3,3-ジメチルブタナールを反応ガスから上記のように凝縮または吸収により回収する。任意に反応ガスを、凝縮または吸収前に圧縮し得る。所望3,3-ジメチルブタナール生成物の分離は、上記のように、凝縮物の蒸留または濃厚吸収溶液からのストリッピングにより得られる。
【0107】
本発明の方法全体のなおさらなる別の実施態様では、まず3,3-ジメチルブタノールを、J. Org. Chem., 第46巻, 1981年, 第2579〜2581頁に記載されているエタノールおよびフェニルエタノールの製造のための手順に従う3,3-ジメチルブタン酸の還元、J. Am. Chem. Soc., 第73巻, 第555頁に記載されているような1-ハロ-3,3-ジメチルブタンの加水分解、または Neftelehimiyn, 19, 第762〜766頁(1979年)に記載されている方法に従うエポキシドのアルコールへの転化、のいずれかにより製造する。3,3-ジメチルブタン酸の還元では、アルカリ金属ホウ素水素化物は好ましい還元剤として働く。代わりに3,3-ジメチルブタン酸を、接触水素添加により3,3-ジメチルブタノールへ還元することができる。
【0108】
3,3-ジメチルブタン酸を、Synthesis, 1985年, 第493〜495頁に記載されている方法に従い製造することができ、その中では、塩化ビニリデンをt-ブタノールと硫酸中で反応させ、次いで加水分解する。アルコーリシスは、アルコールと3,3-ジメチルブタン酸とのエステルを生じ、それを3,3-ジメチルブタノールへ還元することができる。脂肪アルコールを、エステルから高圧高温下での水素化により製造することができる。"Oil and Fats Manual(油脂マニュアル)", Lavoisier Publishing, 1996年, 第1083〜1084頁参照。酸の水素化は3,3-ジメチルブタノールへの魅力的な経路である。なぜならそれは典型的に高効率であり、必ずしも溶媒を必要としないからである。3,3-ジメチルブタン酸のための非触媒還元剤は、LiAl水素化物およびNaホウ素水素化物を含んでなる。
【0109】
1-ハロ-3,3-ジメチルブタンの加水分解を、塩基の存在下で約200℃を超える温度、好ましくは約200〜約250℃の間で行い得る。中位の強塩基、例えばアルカリ金属炭酸塩は反応のために有効であるが、二酸化炭素放出の故に非常に高い圧力を発生させる傾向がある。それゆえ好ましくは、第II族金属酸化物、例えば酸化亜鉛を加水分解を促進するために使用する。代わりに有機酸のアルカリ金属塩、例えばKアセテートを使用することができ、それにより3,3-ジメチルブタノールと酸とのエステルを製造し、これを強塩基、例えば、NaOHまたはKOHの存在下で3,3-ジメチルブタノールに加水分解し得る。
【0110】
さらなる選択肢に従い1,2-エポキシ-3,3-ジメチルブタンを、アルカリ金属次亜ハロゲン酸塩(例えばNa次亜塩素酸塩)またはジメチルジオキシランを用いる3,3-ジメチルブテンのエポキシド化により形成することができる。白金金属または遷移金属触媒、例えばPt、PdまたはNiの存在下におけるエポキシドの水素化は、3,3-ジメチルブタノールおよび3,3-ジメチル-2-ブタノールの混合物(最適条件下で比8:2)を生ずる。水素化を行う場合、1,2-エポキシ-3,3-ジメチルブタンの溶液を、オートクレーブの溶媒、例えばアルカン(例えばヘキサンまたはヘプタン)、低級アルコール(例えばメタノールまたはエタノール)、エステル(例えばメチルアセテートまたはエチルアセテート)またはエーテル(例えばテトラヒドロフラン)中に加える。触媒、例えば、約0.5〜約1g/3,3-ジメチルブテンオキシドmlの割合のラネーNi、または約0.001〜約0.1gPd/3,3-ジメチルブテンオキシドmlの割合のPd/Cを、添加溶液中にスラリー化する。反応を、激しい攪拌下、約50〜約200℃の間、好ましくは約90〜約160℃の間の温度において、約50〜約3000psigの間、好ましくは約100〜約1000psigの間の水素圧で行う。
【0111】
さらなる方法では、有機金属試薬、例えばt-ブチルグリニャール試薬またはt-ブチルリチウムを、エチレンオキシドと低温で反応させ、3,3-ジメチルブタノールを生じさせる。好ましくは反応を、反応体のための溶媒、例えばジエチルエーテル、ペンタン、ヘプタン、t-ブチルメチルエーテル、トルエンまたはテトラヒドロフラン中で行う。有機金属試薬は、水分および酸素に敏感なので、反応を不活性雰囲気、例えばヘリウム、アルゴンまたは窒素下で行う。反応を、低温、例えば−100〜−50℃の間の範囲で行うべきである。適当な反応期間、例えば30分〜3時間後、反応溶液を室温まで温め、鉱酸、例えば硫酸を用いて停止させる。次いで水相および有機相を分離させ、水層を溶媒で抽出して残留アルコール生成物を回収する。次いで組み合せた有機層を水で洗浄し、乾燥剤、例えばMgSO4で乾燥する。溶媒を除去し、残留物を蒸留して3,3-ジメチルブタノール生成物を生じさせる。
【0112】
3,3-ジメチルブタノールのいずれかの上記製造方法を、本発明の方法において3,3-ジメチルブタナールおよびネオテームの製造のために使用できるが、3,3-ジメチルブタノールを、好ましくは、上で詳細に記載したようにエチレン、イソブチレンおよび鉱酸のアルキル化/エステル化反応により調製する。
【0113】
注記したように、3,3-ジメチルブタノールはネオテームの製造において中間体として有用である。米国特許第5,728,862号(特に参照して本明細書中に組込む)に記載されているように、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1−メチルエステルを、アスパルテームと3,3-ジメチルブタノールとの混合物を有機溶媒中において水素を用い、水素化触媒の存在下、所望生成物を形成するために有効な温度および圧力で処理することにより製造することができる。代わりに米国特許第5,480,668号(これも特に参照して本明細書中に組込む)に記載されているように、3,3-ジメチルブタナールを、アスパルテームとナトリウムシアノホウ素水素化物との混合物に添加し得る。
【0114】
3,3-ジメチルブタナールの製造方法全体の特定の実施態様は、図7および図8で説明される。図7のブロックダイヤグラム、とりわけ図8のフローシートに載せている装置項目を参照。硫酸を供給槽3から移送ポンプ7によりアルキル化/エステル化反応器1に移す。反応器1は、冷却ジャケット5および攪拌器9が備え付けられている。イソブチレンを供給槽15から、熱交換器により冷却ブライン溶液で冷却されているコンデンサー25に通して、イソブチレン用移送ポンプ17により反応器1に移す。ヘプタンを、回収ヘプタン槽19からヘプタン用移送ポンプ21を介して反応器1に供給する。必要な場合追加の仕上げヘプタンを、ヘプタン貯蔵槽11からヘプタン用移送ポンプ13を介して反応器に供給する。エチレンを供給源23から反応器1の頭隙へ、上記のような反応に有効な圧力で導入する。エチレンを、凝縮相、即ち酸とヘプタンとの混合物の表面下に任意に散布し得る。
【0115】
反応器1中で、硫酸、エチレンおよびイソブチレンを激しい攪拌下で反応させ、硫酸水素3,3-ジメチルブチル、硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)および硫酸3,3-ジメチルブチルエチルを硫酸中に含んでなる貴液と、ヘプタンおよびアルキル化副生成物を含んでなる有機相とを含んでなる反応混合物を形成する。反応器を、バッチ式または連続式のいずれかで運転し得る。図8のフローシートは、ヘプタンをまず反応器に全てまたは一部の硫酸と共に反応器に装填するバッチまたは半連続式反応器としての操作に適合する。エチレン圧力を、反応器1からのベントライン中の圧力調節器43により一定値に制御し、イソブチレン液体を、(たとえ酸を最初に反応器に充填していない場合でも)残りの硫酸と一緒に反応器に供給する。代わりに反応器1を連続攪拌槽反応器として運転することができ、その中へ硫酸およびイソブチレンヘプタン溶液を連続または断続に一定のエチレン圧力下で導入し、そこからアルキル化/エステル化反応混合物を連続または断続に抜き出す。ガス分離器45を、液体の飛沫同伴を最小にするために使用し得る。所望により、ベントガスを回収し、圧縮し、リサイクルすることができる。エチレン圧力を、例えば、種々の速度の圧縮機を使用することにより、または供給源23と反応器1との間の圧力調節器により制御し得る。
【0116】
反応器1から抜き出したガス抜きアルキル化/エステル化反応混合物をポンプ27を介して液/液分離器29に移す。上方有機相を分離器29から取出し、原料槽31に流し、そこからヘプタン回収蒸留カラム33にカラム原料ポンプ35を介して移す。ヘプタン回収系を、蒸留操作がバッチまたは連続式で運転できるように設計する。図8は、3つの精留段および3つのストリッピング段を有するカラムを図示する。熱を、リボイラー37を介して供給し、オーバーヘッド物をコンデンサー39内で凝縮し、凝縮物ドラム41および還流スプリッター(図示せず)に流す。カラムを、分離のために都合の良い還流で運転し、残りのオーバーヘッド凝縮物を回収ヘプタン受容器19に流す。回収ヘプタンを、ヘプタンリサイクル用ポンプ21を介して反応器1にリサイクルする。
【0117】
分離器29の底部から抜き出した貴液を、ポンプ47を介して加水分解反応器49に移す。反応器49は、加熱ジャケット51および攪拌器53を備えている。脱イオン水を上部水槽55から反応器49に導入する。水は、3,3-ジメチルブタノール硫酸エステルと反応し、3,3-ジメチルブタノールを製造し、これをジャケット51から供給した熱により加水分解反応混合物から蒸留させる。廃酸を、反応器49の底部から抜き出し、廃酸用ポンプ57を介して中和反応器59に移す。反応器59も、ジャケット61および攪拌器63を備えている。苛性ソーダを上部槽65から中和反応器59に添加して廃酸を中和する。生じた中和塩溶液を排水へ廃棄物用ポンプ67により送る。所望により塩溶液を、水を用いてさらに希釈し得る。
【0118】
反応蒸留反応器からのオーバーヘッド蒸気を、内部還流だけ行う充填分割カラム69に通す。カラム69の頂部から出てくる蒸気を、アルコール用コンデンサー71内で凝縮し、凝縮物を受容器/分離器73に流す。1重量%未満の3,3-ジメチルブタノールしか含有しない水相を、分離器73の底部から抜き出し、ポンプ75を介し中和反応器59に移し、最終的に処分する。典型的に約80〜90重量%の3,3-ジメチルブタノールおよび4〜8重量%の水を含む上方相を、重力により分離器73から蒸留原料槽77に流し、そこからカラム原料用ポンプ79を介し蒸留カラム81に流し、カラムから蒸留する際に得られる3,3-ジメチルブタノールを分離する。示しているようにカラム81は、3つの精留段と3つのストリッピング段とを有する。蒸留系はさらに、リボイラー83、オーバーヘッドコンデンサー85、凝縮物ドラム87および還流スプリッター(図示せず)を有する。カラムを、分離のために都合の良い還流で運転し、残りのオーバーヘッド凝縮物を3,3-ジメチルブタノール生成物受容器89に流し、そこでポンプ91を介し酸化または脱水素化反応器に移して、3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールへ転化することができる。
【0119】
カラム81および33からの底部物を底部ポンプ93および95を介してそれぞれ、廃有機物槽97へ移す。ポンプ99により、回収底部物を廃有機物の処分および/または処理に送る。
【0120】
図7に概略的に示すように、アルコール中間物を窒素キャリヤガス中で気化させ、金属Cu触媒を含んでなる固定脱水素化触媒床上に通す。脱水素化反応生成物ガスを冷却して3,3-ジメチルブタナール生成物を凝縮する。コンデンサーから出てくる蒸気相はミストエリミネーターを通り、飛沫同伴凝縮物を回収し、これはミスト液体受容器/分離器に流れ出る。分離器からの水相を、廃水処理および処分に排出する。有機相は3,3-ジメチルブタナール生成物を含んでなる。高濃度のアルコールが有気相中に存在する場合、それを固定床脱水素化反応器のアルコール気化工程上流にリサイクルし得る。ミストエリミネーターを通る気相を、フレアを通して大気に放出する。有機相を上で議論したようにリサイクルでき、または任意にネオテームプロセスの予備工程としての精製後にネオテームの合成に使用することができる。
【0121】
図9は、3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールへ連続転化する本発明の好ましい方法のさらなる詳細を説明する。0.1〜約7.0重量%の水を含有する液状3,3-ジメチルブタノールを、アルコール貯蔵槽101からポンプ103により燃焼ガス炉105に連続的に移し、そこで気化させる。不活性希釈ガス、好ましくは窒素を大気圧下で液体窒素貯蔵瓶107から炉105に移し、そこでそれを約250〜約400の間の温度に加熱する。窒素および3,3-ジメチルブタノール蒸気を、インラインで混合し、約0.1モル%〜約10モル%の間の3,3-ジメチルブタノールを含有する脱水素化原料ガスを供給する。
【0122】
原料ガスを、連続的に、約250〜約400℃の間の温度および大気圧〜約30psigの間の全圧で一対の平行管状反応器109および111に導入し、3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールへ脱水素化する。原料を2つの反応器の間で切り替えて、その1つだけを本質的にある特定の時間で運転し、少なくとも1つを本質的に全ての時間で運転する。各反応器109および111は、それぞれ113および115で示される固定触媒床を有する。各反応器は、シェルおよび管状熱交換器の形態である。各管は触媒を充填されており、各管中の触媒は触媒床成分を含み、触媒床成分の組合せは反応器の固定触媒床を構成する。ガスを管中に分配し、各管を通じて含有床成分上に流し、そこで3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールへ脱水素化する。管を、熱交換媒体、典型的には溶融塩であり、交換器のシェル側を通って循環するものからの熱交換により所望の反応温度に維持する。
【0123】
管中の触媒は、不活性担体、例えばシリカ、アルミナまたはこれらの混合物上に担持された金属銅触媒を含んでなる。触媒床113および115を含む触媒本体は、約0.5〜約10mm、好ましくは約2〜約5mmの間の平均主要寸法、および約20〜約100m3/gの間のB.E.T表面積を有する。反応器109の運転中に、約5〜約20容量%の間の3,3-ジメチルブタノールを含有する原料ガスを、連続的に反応器に約250〜約375℃の温度および約10〜約100psig(69〜約690kPa)の全圧で入口117に導入し、入口117では、3,3-ジメチルブタノール貯蔵物と窒素貯蔵物とが炉105に通ずる移送ラインを介して流体流動接触する。反応器109の床111の触媒活性が所望値未満に減少した時、原料ガスを反応器111の入口119に切り替え、反応ガスを触媒床115上に通ずることにより反応を続け、一方で触媒床113の活性を、その中に含有する触媒を再生または交換することにより回復させる。
【0124】
再生を、加熱空気を触媒床に通じ、通例の配置の触媒再生系(図示せず)を介して循環させることにより達成できる。反応器111の運転を、本質的に反応器109で記載したのと同じ条件下で行う。即ち、2つの触媒床を交替させ、ある時間1つの反応器は反応中であり、他の反応器は再生中である。脱水素化プロセスを、本質的に中断無しに拡大した運転期間で行うことができる。触媒を、供給源121から供給し、廃触媒を廃触媒ドラム123に排出する。
【0125】
3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの反応器107または109中の転化率は、約50〜約100%の間である。
【0126】
反応生成物ガスを、反応器109または111から出て流体流動接触する水冷コンデンサー125中で冷却し、コンデンサー125から出て接触する冷媒冷却コンデンサー127中でさらに冷却する。コンデンサー127から出てくる混合ガスおよび液体を、気/液分離器129に通す。分離器頂部から出てくる気相はミストエリミネーター131を通り、そこから脱ガスフレアに進む。分離器129の底部から出てくる液体は、液/液分離器133に流れ、そこで液体は、約1重量%以下の3,3-ジメチルブタナールおよび約6重量%以下の3,3-ジメチルブタノールを含有する下方水相と、少なくとも約85重量%、好ましくは約89〜約99重量%の間の3,3-ジメチルブタナールおよび約50重量%以下、好ましくは約1重量%未満〜約20重量%の間の3,3-ジメチルブタノールを含む上方有機相に分離する。3,3-ジメチルブタナール層を、粗アルデヒド貯蔵槽135に移し、ネオテームの製造のために還元アルキル化反応に使用する。水層を廃水処理および処分に移す。
【0127】
所望により、分離器133から得られた粗アルデヒド層を、さらに、該技術において既知の通例の方法、例えば、蒸留、抽出または結晶化により加工し、いずれかの望ましい品質または純度の3,3-ジメチルブタナール生成物を得ることができる。
【0128】
3,3-ジメチルブタノールを脱水素化する方法の代替実施態様を、図10に示す。貯蔵層201からのアルコール供給、瓶207からの窒素供給、炉205中でのアルコールおよび窒素の予備加熱、およびアルコールと窒素とを混合して反応器原料混合物を供給することを、上記のような図9におけるプロセスの対応する運転と同じ方法で行う。原料ガスを、図9の反応器109および111で使用した種類の触媒を含む固定床213を有する脱水素化反応器209に導入する。固定床213は3つの段213a、213bおよび213cに分割されている。
【0129】
反応ガスは、下方に3つの段を通って反応器入口217から反応器出口219に流れ、3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの、かなりの初期転化が行われる。反応が吸熱性であるが故に、反応ガス温度は各段213a、213bおよび213cを通ることで減少する。各段に入るガスの温度を所望範囲の温度に回復させるために、加熱不活性ガスを、触媒段213aと213bとの間の小室214aおよび触媒段213bと213cとの間の小室214b内の反応ガス流に導入する。これを、炉205から出てくる窒素流を3つの流れに分割することにより達成する。この第1流を入口217の上流3,3-ジメチルブタノール蒸気と混合し、第2流を小室214aに導入し、第3流を小室214bに導入する。小室214aおよび214bは空であり得るか、または不活性詰物を含み得る。
【0130】
各触媒段に入るガスの温度を制御するために、炉205の周りを迂回する冷却窒素ガスを、反応器に入る脱水素化原料流または段の間に導入される不活性加熱ガスに注入することができ、各場合、センサー(図示せず)によりこれらの各点で行った測定に応じて温度を制御するように速度を制御する。
図10のプロセスの残りの操作は、本質的に、図9のプロセスの対応する部分の操作と同じである。
【0131】
さらなる別の実施態様では、単一管の管状反応器に電気ヒーターを付け、触媒床内に縦に配列した複数の触媒小領域内で望ましい温度を確立および維持し得る。そのような系において触媒床を不活性詰物で薄めて、各連続小領域内の反応制御、温度制御を容易にし、反応混合物の組成物が小領域から小領域へ流れる際に反応温度を反応混合物組成物に調節することができる。なおさらなる選択肢に従い、管状反応器を複数の連続するセグメントに分割し、砂浴を連続する各対のセグメント間に配置して、上流セグメントから出てくる反応ガスを、下流セグメントに導入するために適当な温度に再加熱し得る。
【0132】
[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルの製造において有用である以外に、3,3-ジメチルブタナールは、他の甘味生成物、例えば[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル-α-メチル-L-チロシン=1−メチルエステル(EP 0 866 073)、アスパルチルジペプチドアミド誘導体(EP 0 818 463)、アスパルチルトリペプチド誘導体(JP09278792)、N-アルキルアスパルチルジペプチド(JP09227589)および他の安定なアスパルチル甘味料(EP 0 784 050)の製造における中間体として有用である。さらに3,3-ジメチルブタナールは幅広い種類の医薬製品の製造において有用性を有し、該製品は、例えば、HIVプロテアーゼ阻害剤として有用な種々の置換2-ピラノン(米国特許第5,808,062号)、カルシウムチャンネルブロッカーとして有用な置換ペプチド(WO98/10838)、ラフキナーゼ阻害剤として有用な尿素誘導体(WO98/52559)、p38キナーゼ阻害剤として有用なアリール尿素(WO98/52558)、レトロウィルスプロテアーゼ阻害剤としてのアミンジオール含有ペプチド類似体(Frost ら, Tetrahedron Letters, 37(51), 第9139〜9142頁)およびエリトロマイシン誘導体(EP 0 614 905)を含む。
【実施例】
【0133】
以下の実施例により本発明を説明する。
実施例1
硫酸(10g、98mmol、96重量%)およびヘプタン(10.2mL)をガラスライナーに装填した。ガラスライナーをジャケット付オートクレーブに配置し、頭部を取り付けた。系を窒素でフラッシュし、装填混合物を400rpmで攪拌しながら、−14℃に冷却した。この温度で、エチレンを120psigの圧力でオートクレーブの頭部のスペースに導入し、この圧力を後の反応の過程の間中、保持した。エチレン圧力を適用した後、イソブチレンの添加を1mL/時間(0.59g/時間)の計量速度で開始し、一方、ジャケット内で冷却液(エチレングリコール)に熱を移動させることによって、反応混合物を−14〜−16℃で保持した。イソブチレンの添加を4時間後に終了し、その間に添加イソブチレンの量は2.36g(42mmol)であった。次いで、オートクレーブをガス抜きして、頭部のスペースからエチレンを取り除き、ガス抜き後に、ヘプタン溶液には、エチレン0.31gが残っていた(−14℃および40psigでのヘプタン中へのエチレンの溶解度は約1.1mol./Lである)。
【0134】
エチレンをガス抜きした後、ガラスライナーをオートクレーブから外した。凝縮相反応混合物は、2つの液層を有していた。上層(7.6g)は水白色の液体であり、下層(12.7g)は粘調な黄色油であった。2層を分離し、分離した下層に、水(合計量6g)を、攪拌しながら滴下すると、約85℃に発熱し、この発熱は、硫酸水素3,3−ジメチルブチル、硫酸ジ(3,3−ジメチルブチル)および硫酸3,3−ジメチルブチルエチルの3,3−ジメチルブタノールへの加水分解に反映し、更に相分離する。このさらなる分離で得られた上層は暗い赤色の油(5.1g)であり、下層は薄い黄色の溶液(12.68g)であった。上層をGCで分析し、合計量1.31g(分子量102、12.8mmol)の粗3,3−ジメチルブタノール(添加イソブチレンに基づいて30.4%、硫酸に基づいて13%)を含むことがわかった。アルコールの精製は、加水分解反応で得られた上層の中和、その後の85〜90mmHgおよび約92℃での蒸留によって行った。
【0135】
この実施例の結果に基づいて、イソブチレンに基づいて30〜50%、硫酸に基づいて12.5〜21%(転化率が高いほど高い)の3,3−ジメチルブタノールの収率、およびイソブチレンで達成されたものに等しいエチレンの収率を得ることが妥当のようである。ヘプタンの90%の再利用が可能である。硫酸は、使用した酸の回収および凝縮を行わない場合、再利用できない。
【0136】
実施例2
アルキル化/エステル化および加水分解反応のそれぞれの系を、実質的に実施例1に記載の手順で、行った。硫酸(96重量%)およびヘプタンをガラスライナーに添加した。系を窒素でフラッシュし、800rpmの攪拌速度で攪拌しながら、装填混合物を−15〜−20℃に冷却した。混合物を冷却した後、エチレン圧力を適用し、一定レベルで保持した。その後の反応の間、エチレンの取り込みをモニターした。エチレン圧力を適用した後、イソブチレンの計量添加を開始した。イソブチレンの添加が終了した後、オートクレーブをエチレンの除去のためにガス抜きした。
【0137】
その後、ガラスライナーをオートクレーブから外した。それぞれの反応後、ガラスライナーの内容物は、2つの液層、水白色の上層および下層にある粘調な黄色油を含むことが観察された。上層を除去し、その後、下層を、その2倍量の水と一緒に蒸留釜に移した。窒素の下で、蒸留釜を125℃に加熱し、頭部の凝縮分画を90〜100℃で集めた。それぞれの場合、2層が収集フラスコで観察された。上層をG.C.で分析し、回収された3,3−ジメチルブタノールの量を測定した。この実施例におけるいくつかの反応における反応条件、3,3−ジメチルブタノールの合計収率および原料に対する収率を、表1に示す。
【0138】
これらの実施例の表などで使用されるように、「3−3 DMB」は、本明細書において、「3,3−ジメチルブチル」、「3,3−ジメチルブチロ−」または「3,3−ジメチルブチリック」を示す。「DMBエステル」が用いられている場合、硫酸エステル、硫酸ジ(3,3−ジメチルブチル)、硫酸水素3,3−ジメチルブチル、硫酸3,3−ジメチルブチルエチルまたは硫酸3,3−ジメチルブチルt−ブチルまたは2種またはそれ以上の種のそれらの混合物を示す。
【0139】
【表1】

【0140】
エチレンの使用量は、反応において消費されるエチレン、頭部のスペースに含まれるエチレンおよびヘプタン相で吸収されるエチレンを包含することに注目してください。図1は、120psigのエチレン圧力、0.034mL/分のイソブチレンの添加速度で硫酸10gおよびヘプタン10mL初期装填における添加時間を関数としての、3,3−ジメチルブタノールの全収率ならびに、イソブチレン、エチレンおよび硫酸の収率をプロットしたものである。エチレンおよびイソブチレンの収率は最大値に達し、次いで低下し、その低下は、硫酸の装填に対して添加されるオレフィンの合計量が大きいほど、そのことは反応の間にHSOの消費に原因して硫酸が比較的薄くなるほど、選択率のロスを示すことに注目していただきたい。
【0141】
図2は、図1と同じ条件下でのエチレン圧力の関数として、製造される3,3−ジメチルブタノール、およびイソブチレン、(反応)エチレン、(合計)エチレンおよび硫酸に対して得られる収率をプロットしたものである。エチレン圧力のさまざまな大きさでのエチレンの取り込み対時間のプロットを図3に示す。この実施例の試験の最適な結果は、硫酸装填10g、ヘプタン装填10mL、エチレン圧120psig、およびイソブチレン供給速度0.068mL/時間で得られた。
【0142】
実施例3
硫酸(20g、196mmol、96重量%)およびヘプタン(20mL、13.45g)を100cc Parrオートクレーブ用ガラスライナーに装填した。ガラスライナーをオートクレーブに配置し、頭部を取り付けた。オートクレーブはジャケット付きであり、頭部の磁気誘導攪拌機、熱電対、窒素用ガス注入口およびイソブチレン用注入口を備えていた。断熱浴からジャケットを通るエチレングリコール/水溶液の循環によって冷却を行った。系を窒素でフラッシュし、装填混合物を800rpmで攪拌しながら、−15℃に冷却した。この温度で、120psigの圧力でオートクレーブの頭部のスペースに、エチレンを貯蔵槽から導入し、この圧力を後の反応の過程の間中、保持した。エチレン圧力を適用した後25分間、イソブチレンの添加を8.16mL/時間(4.81g/時間)の計量速度で開始し、一方、ジャケット内で冷却水に熱を移動させることによって、反応混合物を−15℃で保持した。50分後、イソブチレンの添加を終了し、添加イソブチレンの累積量は4g(72mmol)であり、イソブチレンの添加の終了後15分間、オートクレーブをガス抜きした。エチレンの取り込みを、(既知の容積の)貯蔵槽での圧力の低下によって測定した。この実施例の条件下で、エチレンの初期取り込みは2.46g(88mmol;0.123g/mL)ヘプタンであり、反応の間のエチレンの取り込みは、2.13g(76mmol)であると求められるので、消費されたエチレンとガス抜きされたエチレンの合計は4.59g(160mmol)であった。
【0143】
エチレンをガス抜きした後、ガラスライナーをオートクレーブから外した。
反応混合物は、2つの液層を含んでいたことが観察された。上層を薄い黄色の液体(13.61g)として取りだし、粘調な黄色い下層が残っていた。上層のGC分析は、合計量約1.7重量%の不純物(0.23g)を示した。DMSO−d中での下層のプロトンNMR分析は、以下の計算された量をおおまかに示す:
R−CH−SO−X[XはHまたはR’(ここで、Rは、エチルまたは3,3’−ジメチルブチルである)、Rはメチルまたはt−ブチル−CH]:66mmol(約80%が3,3−ジメチルブチル−OSOXであり、残りがEt−OSOXである)
エーテル(R−CH−O−CH−R):3mmol;RおよびR11は独立してメチルまたはt−ブチルCHである]
ヘプタン:0.2〜0.3g
【0144】
計算されたイソブチレン使用量は3.3g(59mmol)であった(すべてのエーテルがビス(3,3−ジメチルブチル)エーテルと仮定する)。計算されたエチレン使用量は2.02g(72mmol)であった。
【0145】
実施例4
硫酸(5g、66重量%、49mmol)およびヘプタン(6.73g、67mmol)を、実施例3でほぼ記載した種類のオートクレーブ用ガラスライナーに装填した。オートクレーブはさらに硫酸用注入口を備えていた。ガラスライナーをオートクレーブ内に配置し、頭部を取り付けた。系を窒素でフラッシュし、装填混合物を800rpmの攪拌速度で攪拌しながら、−15℃に冷却した。この温度で、120psigの頭部圧力でエチレンを添加し、この圧力を後のアルキル化/エステル化反応の過程の間中、保持した。エチレン圧力を適用した後15分間、イソブチレンの計量添加を3.06mL/時間(イソブチレンの密度=0.59、1.81g/時間、31mmol/時間)の速度で開始し、硫酸の計量添加(96重量%)を3.32g/時間(32.5mmol/時間)の速度で開始し、一方、反応温度を、−15℃で保持した。同時添加の4.5時間後、イソブチレンおよび硫酸の両方の導入を終了した。硫酸の添加の合計は19.95g(196mmol)であり、イソブチレンの添加の合計は13.77mL(145mmol)であった。酸およびイソブチレンの添加の終了時に、エチレンの頭部圧力をガス抜きした。エチレンの取り込みは、エチレン貯蔵槽(既知の容積)の圧力低下によって測定された。この実施例の条件下で、エチレンの初期取り込みは66mmol(1.85g)であり、反応の間の取り込みは1.26mmol(3.53g)、取り込みの合計は192mmol(5.38g)であった。
【0146】
ガラスライナーを反応器から外した。2つの液層を含んでいた。上層を、薄い黄色の液体(8.87g、ヘプタン装填量に基づいて2.14g)として取りだし、下層には粘調な黄色い油(27.86g、酸装填量に基づいて7.91g)が残っていた。
DMSO−d中での下層のプロトンNMR分析において、積分によって約80mmol当量のアルキルスルフェート基が示され、その大部分が3,3−ジメチルブチルスルフェート基のようであった。イソブチレン(145mmol装填)の収率は55%であり、エチレン(192mmol消費)の収率は42%、硫酸(195mmol装填)の収率は41%であった。
【0147】
実施例5
付加的なアルキル化/エステル化反応試験を、初期ヘプタン装填、硫酸装填合計、イソブチレン添加速度、エチレン圧力および合計反応時間の組合せを変える以外は、実施例4に記載の手順で実際に行った。3,3−ジメチルブタノールの合計収率ならびに硫酸、エチレンおよびイソブチレンのパーセント収率を表2に示す。
【0148】
【表2】

【0149】
実施例6
付加的なアルキル化/エステル化反応試験を、硫酸およびイソブチレンの添加をそれぞれ3時間後に終了する2つの試験、硫酸添加およびイソブチレン添加を5時間かけて行う第3の試験、反応温度を−14℃である2つの試験、反応温度が−11℃であるもう一つの試験において以外は、実施例4に記載の手順で、行った。この実施例の試験結果を表3に示す。
【0150】
【表3】

反応30 約−11℃。 反応217 わずかに上昇イソブチレン添加速度。
試験32 イソブチレンおよび硫酸の5時間添加(同じ計量速度)。
【0151】
実施例7
硫酸(5g、66重量%、49mmol)およびヘプタン(6.65g、66.5mmol)を、実施例4で使用した種類のオートクレーブ用ガラスライナーに装填した。ガラスライナーをオートクレーブ内に配置し、頭部を取り付けた。系を窒素でフラッシュし、装填混合物を800rpmの攪拌速度で攪拌し、−15℃に冷却した。この温度で、120psigエチレンの頭部圧力を確立し、貯蔵槽からエチレンを導入して、反応の間保持した。エチレン圧力を最初に適用した後5分間、イソブチレンの計量添加を3.36mL/時間(1.98g/時間)の速度で開始し、硫酸の計量添加(96重量%)を4.95g/時間(49mmol/時間)の速度で同時に開始した。酸およびイソブチレンの添加の間、オートクレーブジャケットを通してエチレン/グリコール水溶液の循環によって、反応温度を、−15℃で保持した。硫酸およびイソブチレンの同時添加の3時間後、硫酸の添加を終了した(硫酸添加の合計=19.85g、194mmol)。イソブチレン添加を、硫酸添加の終了時の3.36mL/時間からイソブチレン添加終了直前の0.84mL/時間に直線的に連続的に低下する速度で、付加的に3時間続けた。イソブチレンの添加の合計は16.39mL(173mmol)であった。イソブチレンの添加の終了時に、エチレンの頭部圧力をガス抜きした。この実施例の条件下で、エチレンの初期取り込みは65mmol(1.82g)であり、反応の間の取り込みは178mmol(4.98g)、エチレン消費合計は243mmol(6.80g)であった。
【0152】
ガラスライナーを反応器から外し、2つの液層を含んでいることがわかった。上層を、薄い黄色の液体(7.74g、ヘプタン装填量に基づいて1.19g)としてデカンテーションした。下層は、粘調な黄色い油(30.70g、硫酸装填量に基づいて10.85g)であった。
標準としてトルエンを使用するDMSO−d中での下層のプロトンNMR分析(0.1064g酸層、溶媒1mL中0.1054gトルエン)は、収率が76mmolモノアルキルスルフェート、21mmolジアルキルスルフェートおよび7mmolアルコールを示した。酸層の一部分を、残存酸度を測定するために滴定した。酸層の試料(111g)を、125mL三角フラスコに量り入れた。この試料に0.100N NaOH(25.0mL)および指示薬としてのメチルレッドを添加した。試料を8.2mmol[H]/g酸層を与える0.100N HCl水溶液(15.9mL)に対して逆滴定した。
【0153】
酸層の第2の一部分を、イオンクロマトグラフィーで分析し、1.0:0.099の硫酸3,3−ジメチルブチル対硫酸エチルの比が示された(91% 3,3−ジメチルブチル基)。NMR分析によって決定された硫酸エステルの形成における3,3−ジメチルブチル基の量を計算するためのこの面積比を使用して、3,3−ジメチルブチル当量114mmolを計算した。残りの未反応硫酸の量は、重量(11.3g、115mmol、41%HSO反応)に基づいて36.8%に決定された。上記の分析に基づくと、イソブチレン(173mmol)の収率は66%であり、エチレン(243mmol)の収率は、47%であり、硫酸(194mmol)の収率は59%であった。
【0154】
実施例8
付加的なアルキル化/エステル化反応試験は、硫酸装填合計、硫酸添加の速度、イソブチレン添加速度の時間計画およびイソブチレン装填合計を変える以外は、実施例7に記載の手順で実際に行った。この実施例の試験の結果を表4に示す。
【0155】
【表4】

【0156】
実施例9
硫酸(20g、66重量%、196mmol)およびヘプタン(20mL、13.45g)を、実施例4で使用される種類のオートクレーブ用ガラスライナーに装填した。ガラスライナーをオートクレーブ内に配置し、頭部を取り付けた。系を窒素でフラッシュした後、装填混合物を800rpmの攪拌速度で攪拌し、−15℃に冷却した。この温度で、120psigエチレンの頭部圧力を確立し、貯蔵槽からのエチレンの移動によって、反応の間で保持した。エチレン圧力を最初に適用した後25分間、イソブチレンの計量添加を8.16mL/時間(4.81g/時間)の速度で開始した。イソブチレンの添加の間、オートクレーブジャケットを通ってエチレン/グリコール水溶液の循環によって、温度を、−15℃で保持していた。イソブチレンの添加は、50分後終了し(添加イソブチレンの合計量4g;72mmol)。エチレン頭部圧力を、イソブチレン添加の終了後、15分間ガス抜きした。この実施例の条件下で、エチレンの初期取り込みは88mmol(2.46g、0.123g/mLヘプタン)であり、反応の間の取り込みは76mmol(2.13g)であり、エチレン消費の合計量は160mmol(4.59g)であった。
【0157】
ガラスライナーを反応器から外し、2つの液層を含むことが観察された。上層を、薄い黄色の液体(13.16g、GC分析は約1.7重量%の不純物を示す、0.23g合計量)として取りだし、下層は粘調な黄色油(25.24g)であった。DMSO−d中での下層のプロトンNMR分析は、以下の計算された量をおおまかに示した:R−CHO−SO−X(X=HまたはR’)((約)80%が3,3−ジメチルブチル−OSOXであり、残りがEt−OSO−Xである)66mmolおよびアルコール(R−CHOH)3mmol。
【0158】
水(25.1g)を下層に添加し、反応混合物を窒素下で蒸留した(カラムなし)。少量の分画(0.3g、面積%によればヘプタン0.25gおよび3,3−ジメチルブタノール0.04gを含む)を、70〜90℃で、第2分画を90〜98℃で集めた。第2分画を凝縮させると、上有機層(5.1g)および下水層(6.1g)を有する2層の凝縮液が得られた。第2分画の凝縮液の上層は、ビス−(3,3−ジメチルブチル)エーテル(0.352g)、エタノール(0.2g)およびヘプタン(0.1g)を含んでいた。水層はエタノール(0.25g)および少量の3,3−ジメチルブチルアルコールを含んでいた。水(14g)を、蒸留釜に添加し、蒸留を開始した。2層を含む第3分画を98〜100℃で集めた。上有機層(0.7g)を分析し、3,3−ジメチルブタノール(0.36g)を含み、残りは、面積によれば、より高い沸点の不純物であることがわかった。下水層(13.34g)は、微量のアルコールを含んでいた。反応性蒸留で得られた分画の組成、および得られる温度の概要を表5に示す。
【0159】
【表5】

【0160】
反応性蒸留への装填物の合計重量は63.34g(アルキル化/エステル化反応生成物25.24gおよび水39.1g)であった。この中で63.74gが、得られる分画に評価された。
【0161】
実施例3の反応で得られたヘプタン層を、125℃の浴温度で、簡単な引継蒸留に付した。釜温度が100℃に達するまで、収集を続け、100℃で蒸留物10.9gを、釜への初期装填物12.47gから回収した。蒸留物のGC分析は、不純物0.15重量%および残りのヘプタン(10.73g)を示した。ヘプタン平衡は以下のとおりであった:
ヘプタン=13.45g
アルキル化/エステル化酸層の蒸留からのヘプタン=0.35g
アルキル化/エステルの有機層中のヘプタン=13.61−0.23=13.38g
蒸留の前の評価=102%
蒸留で得たヘプタン10.73g=全体で80%の回収
【0162】
蒸留から得られた3,3−ジメチルブタノールの収率および初期装填した原料の収率を表6に示す。
【0163】
【表6】

【0164】
粗い引継蒸留からの分画番号2の物質(4.97g)を、80torrおよび125℃の釜温度での蒸留によって精製した。蒸留の条件および得られた分画の組成を表7に示す。
【0165】
【表7】

精製する重量=4.97g
精製した後の重量=4.52
評価=91%
3,3−DMBアルコール%は、面積=95%、重量=96%(ヘキサノール内部標準)によって分画番号2について調べた。
【0166】
実施例10
模擬実験される硫酸3,3−ジメチルブチル加水分解反応混合物を、ヘプタン(5g)、3,3−ジメチルブタノール(5g)、水(10g)、エタノール(5g)および硫酸(100%基本原料、5g)を混合することによって調製した。装填物を、均一な混合物を供給するために攪拌し、その後、混合物を分離させた。2層を得、上層は11.93gの重さであり、下層は18.3gの重さであった。上層の分析は、3,3−ジメチルブタノール(4.42g)、エタノール(1.65g)、ヘプタン(5.15g)および水/硫酸(0.7gの差)を含んでいたことを示した。上層を蒸留して、3種の分画を生成した。第1分画は、ヘプタン4.1gと少量の3,3−ジメチルブタノールまたはエタノールのどちらかを含む2つの液層(合計5.9g)を生成した。第2分画(0.9g)はすべての成分を含んでいて、第3分画(2.3g)は3,3−ジメチルブタノールおよび少量の未知の副生物を含んでいた。釜内の残留物(2.8g)は、少量の3,3−ジメチルブタノールおよび主な分画であるビス(3,3−ジメチルブチル)エーテルを含むと推測される副生物を含んでいた。
【0167】
初期の分離から得られる有機層に存在する残留酸は、蒸留に不利益であったことがわかった。第2混合物は上記のとおり調製されたが、蒸留より前に、0.1N KOHを混合物に添加し、残留酸を中和した(3.5mmol KOHがメチルレッド指示薬によって決定される範囲で必要であった)。蒸留は約100torrで行なわれ、2つの主な分画を得た。第1分画はヘプタン(4.4g)および少量の3,3−ジメチルブタノールを含んでいた。第2分画は3,3−ジメチルブタノールを含み、釜分画は0.5gアルコールおよびほんの少量の分解生成物を含んでいた。
【0168】
実施例11
300mLACE圧力調節(rated)ガラス反応器(フラスコ1)に、テフロン(登録商標)被覆電磁攪拌棒、および温度調節器に接続した熱電対を取り付けた。硫酸(98重量%、22.8mL、41.9g、0.428mmol)およびヘプタン(30mL)をフラスコ1に入れたフラスコを冷却浴で-15℃に冷却し、エチレンで100psiに加圧した。ヘプタン(20mL)およびイソブチレン(12g)を、別のACE75mL圧力調節フラスコ(フラスコ2)に入れた。フラスコ2を、120psiに加圧した。フラスコ2のイソブチレン/ヘプタン混合物を、勢いよく攪拌しながら3時間でフラスコ1に加えた(0.2mL/分の速度)。反応の間、フラスコ1を110psiエチレンおよび-15℃に維持した。イソブチレン/ヘプタン溶液の添加が終了した後、フラスコ1の反応混合物をさらに20分間攪拌し、次に、フラスコを減圧し、0℃に加温した。水(100mL)をフラスコ1の混合物に0℃でゆっくり加えて、2つの層(ヘプタン層および水性スルフェート層)を形成した。ヘプタン層を捨て、水性スルフェート層を、蒸留塔、Dean Stark受器および冷却器から成る蒸留装置に移した。3,3-ジメチルブタノール生成物を、水共沸混合物としてフラスコから蒸留し、Dean Stark受器の水層は蒸留フラスコに連続的に戻した。3,3-ジメチルブタノールの収率は48.9%(イソブチレンに基づく)であった。
【0169】
実施例12
アルキル化およびエステル化反応を、実施例11に記載の方法によって行い、但し、ヘプタンの代わりにデカンを溶媒として使用し、フラスコ1へのデカンの初期装填量は50mLであった。それ以外の反応条件およびワークアップは実施例11と同じであった。フラスコ1から得られるプレグナント液(pregnant liquor)の蒸留による3,3-ジメチルブタノール生成物の収率は74.7%(イソブチレンに基づく)であった。
【0170】
実施例13
3,3-ジメチルブタノール(10容量%)をヘリウム担体中に気化させ、Cuo(2g、シリカ/アルミニウム含有アルカリ土類オキシド上に支持されている)を含んで成る固定床の上に通す。ガス流の流量は、260℃の床温度において200sccmであった。初めに、化学量論的酸化反応が生じ、該反応において、3,3-ジメチルブタノールが3,3-ジメチルブタナールに変換された。化学量論的酸化反応が進むと共に、床のCuOが徐々にCu0に還元され、次に、3,3-ジメチルブタノールの3,3-ジメチルブタナールへの変換が、非酸化接触脱水素によって継続した。3,3-ジメチルブタノールの3,3-ジメチルブタナールへの転化は初めは約55%であり、12時間で約45%に減少し、生産性における対応する減少は、約1.5gアルデヒド/g触媒-時から、約1.25gアルデヒド/g触媒-時であった。しかし、3,3-ジメチルブタノールの高選択性は、実験を通して維持された。選択性/時間のプロットを図4に示す。
【0171】
反応生成物を、アルデヒドおよびアルコールの回収のために氷トラップに通した。得られた透明な白色水混合物を蒸留によって精製した(回収物質49.9g、固定床反応器への供給材料に基づく収率76%)。GCによって示された蓄積凝縮液の組成は、43.5%の3,3-ジメチルブタナール(217g、GC反応器データに基づいて66%)および56.5%の3,3-ジメチルブタノール(28.2g、GC反応器データに基づいて89%)であった。3つのレベル(球)を有するシナイダー分留管を使用して85〜90mm Hgで蒸留を行った。得られた留分の分析を表8に示す。
【0172】
【表8】

【0173】
各成分の回収量によって示されるように、組成における極少ない変化が、蒸留の間に観察された。アルコールからのアルデヒドの分離は極めて良好であった(蒸留への粗供給材料におけるアルデヒドの82%が、99%の純度で回収された)。
【0174】
アルデヒドへのアルコールの転化は可逆的であるが、平衡であるのが好ましい。この反応が支持Cu触媒上で行われる公称温度、即ち250℃〜300℃において、アルデヒドへの極めて高い転化が得られる。例えば、供給流中に5モル%のアルコールを使用した場合、アルデヒドへの平衡転化は300℃において96%であった。17Kcal/molの反応の計算熱(computed heat of reaction)について、平衡定数は、20℃の温度上昇ごとに2倍になる。260℃においてさえ、平衡定数は、10モル%のアルコール供給において80%を越える。
【0175】
90+%アルコール供給(5モル%アルコール)の際の断熱温度低下は、約100℃である。反応の生産性は極めて高い。90%より高い転化は、1秒未満のガス滞留時間で達成された。
【0176】
実施例14
CuOを使用する化学量論的酸化、次に、化学量論的酸化反応において系中で生成されるCu0触媒上での嫌気接触脱水素によって、実施例1で生成された3,3-ジメチルブタノールの流れを、3,3-ジメチルブタナールに転化した。固体触媒床を含有するように適合された1/2インチ直径の内管、および供給ガスが内管に入る前に流れることができる環状スペースを規定する、内管と同心の外管を有して成る管状反応器を構成した。外管の1つの端は、内管の入口に通じていた。外管の他の端は、反応用の供給ガスに通じていた。外管の周囲の加熱手段は、反応システムに入るガスを予熱するために配置された。
【0177】
反応器の内管に、特定の不活性支持体上の約0.6mm〜約1.7mmの粒子寸法を有するCuオキシド(4g、70%CuO)を装填した。ヘリウムの定流(constant flow)を、250℃の温度および10psigの圧力において、環状スペースおよび内管に定着させた。湿潤3,3-ジメチルブタノール(94〜95%の3,3-ジメチルブタノール、5〜6%の水)を、185℃でヘリウムの流れに気化させて、5容量%の3,3-ジメチルブタノールおよび95容量%のへリウムを含んで成る反応器用の供給ガスを形成した。3,3-ジメチルブタノールの3,3-ジメチルブタナールへの転化は、初めは化学量論的酸化によって進んだ。約1〜2時間後、触媒床の温度の約5℃の低下によって示されるように、反応が発熱反応から吸熱反応に変化した。吸熱の外観は、CuOが枯渇しつつあることを示す。しかし、Cu0上の嫌気接触脱水素によって、3,3-ジメチルブタノールの3,3-ジメチルブタナールへの転化は継続した。供給ガスに熱を適用することによって、反応温度を325℃の最終温度に上げ、この温度において反応が48時間にわたって継続的に行われ、活性または選択性の極めて少ない損失を示した。-78℃に冷却したFisher瓶に反応生成物を収集した。
【0178】
48時間の連続反応の結果の概要を表9に示す。
【表9】

【0179】
48時間の反応の実験において得られた選択性および転化率が図5に示され、反応生成物の不純物含有量が図6にプロットされている。
【0180】
実施例15
3,3-ジメチルブタノールの脱水素を、実質的に実施例14に記載した方法で行った。操作を142.5時間にわたって継続した。3,3-ジメチルブタノールを、2.73g/時(26.8mmol/時、10sccm)の速度で反応器に供給した。触媒は、Cu0330-XLTと称される銅触媒4g(約2.5cc)であった。床を通る合計流量は、ヘリウムを稀釈剤と使用して200sccmであった。触媒床との接触時間は、1.33秒であった。生成物ガスをオンラインガスクロマトグラフィーによって分析した。この実施例の実験の結果を表10に示す。
【0181】
【表10】

【0182】
得られた生成物の量は、生成物/3,3-DMBアルコール供給のパーセントに基づいて、オンラインガスクロマトグラフィーの全ての痕跡の総合計から計算した。アルデヒドの回収量は320.3g(7.2g、計算水素放出)であった(回収率84%)。回収された3,3-DMB酸の高相対量は、一部は優先凝縮(preferential condensation)によるものであり、一部は保存および輸送におけるアルデヒドの空気酸化によるものである。
【0183】
実施例16
実質的に実施例14に記載した方法を使用して、いくつかの触媒を、3.3-ジメチルブタノールの3,3-ジメチルブタナールへの脱水素におけるそれらの有効性について評価した。触媒の組成は表11に示し、触媒の他の特性は表12に示す。
【0184】
【表11】

【0185】
【表12】

【0186】
これらの試験において、Engelhard触媒0330-XLTは、>90%のアルコールの転化率および>95%のアルデヒドへの選択性を維持しながら、100時間を超える触媒寿命を示した(128時間後に、変換は90%未満に減少したが、選択性は約98%であった)。142.5時間の試験反応の80時間標点(mark)において転化の減少が明らかになったが、選択性は減少しなかった。Degussa触媒C3150TRおよびEnglehard Cu-0865XLEも一般に有利な選択性および穏当な変換を示した。
【0187】
実施例17
水素化硼素ナトリウム(1.61g)を、DMSO(30mL)中の3,3-ジメチル酪酸(1.86g)の溶液に、室温で勢いよく攪拌しながら滴下した。次に、DMSO(10mL)中のメタンスルホン酸(3.6mL)の溶液を混合物に滴下した。得られた反応混合物をさらに1時間攪拌し、次に、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液で反応を停止した。3.3-ジメチルブタノールの収率は50%であった。反応混合物をエーテルで繰り返し抽出してワークアップし、エーテル抽出物を水で洗浄し、洗浄した抽出物を乾燥剤と接触させることによって乾燥し、乾燥抽出物を蒸留してエーテルを除去した。得られた3,3-ジメチルブタノール生成物は無色液体であり、NMRに基づいて純粋であると考えられる。
【0188】
実施例18
1-クロロ-3,3-ジメチルブタン(15g)、酸化亜鉛(6g)および水(60g)を、150mLのParr反応器に装填した。反応器を密閉し、装填混合物を加熱し、220℃で5時間攪拌した。反応器圧力は約800psiであった。3,3-ジメチルブタノールの収率は70%であった。
【0189】
実施例19
反応器に、酢酸カリウム(196g)、1-クロロ-3,3-ジメチルブタン(241g)およびポリエチレングリコール(300MW、600mL)を装填した。混合物を加熱還流し、還流条件に17時間維持し、次に、100℃に冷却した。水(150mL)中のKOH(197g)の溶液を反応混合物に添加し、得られた加水分解装填混合物を2時間加熱還流した。蒸留し、ワークアップして、3,3-ジメチルブタノールを81%の収率で得た(165g)。
【0190】
実施例20
水素化アルミニウムリチウム(4.93g、0.13mmol)を、乾燥テトラヒドロフラン(20mL)中の3,3-ジメチル酪酸のエチルエステル(1.44g、0.01mmol)の溶液に添加し、得られた混合物を6時間加熱還流し、次に、室温に冷却した。反応混合物を冷却した後、水(20mL)で注意深く処理し、次に、ジエチルエーテル(30mLのアリコートで3回)で抽出した。合わしたエーテル層を水および塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、次に、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発して、本質的に純粋な3,3-ジメチルブタノールを単離収率77%で得た。
【0191】
実施例21
酢酸カリウム溶液を、ポリエチレングリコール(MW=300)中におけるKOHと酢酸との反応によって製造した。中和の際に形成された水を除去した後、1-クロロ-3,3-ジメチルブタンを加え、得られた混合物を、118℃から反応の終了時の132℃に温度を徐々に上げて17時間還流した。次に、水に溶解した水酸化カリウムを反応混合物に加え、2時間還流した。3,3-ジメチルブタノールを、水蒸気蒸留によって反応混合物から回収した。収率は81%であった。
【0192】
実施例22
酢酸カリウムを使用するクロロ-3,3-ジメチルブタンのアセトキシル化による3,3-ジメチルブタノールの酢酸エステルの製造において、種々の溶媒を試験した。試験した溶媒は、トルエン、ジメチルホルムアミド、酢酸、メタノール、プロピレングリコールおよび1-メチル-ピロリジノン(NMP)であった。最も有利な結果は、NMPを使用した場合に得られた。1-クロロ-3,3-ジメチルブタン(1.5g、12.4mmol)、酢酸カリウム(13.7mmol、10%過剰)およびNMP(5mL)を、還流冷却器、温度計およびテフロン(登録商標)被覆攪拌棒を取り付けた3口丸底フラスコに入れた。その懸濁液を120℃に加熱し、不活性雰囲気中、その温度で22時間攪拌した。反応混合物を周囲温度に冷却し、反応から得られた白色沈殿物を濾過によって除去し、液相をGC-MSで分析して3,3-ジメチルブタノールの酢酸エステルの生成を確認した。
【0193】
実施例23
3,3-ジメチルブチルアセテート(2g、13.8mmol)、KOH(0.875g、15.3mol)およびメタノール(10mL)を、還流冷却器、温度計および攪拌棒を取り付けた2口の丸底フラスコに導入した。得られた溶液を室温で2時間攪拌し、その間に、該アセテートは3,3-ジメチルブタノールに量的に変換された。極微量のアセテートがGCトレースにおいて検出された。同様の結果が、1-メチル-ピロリジノン(10mL)、および溶媒媒体としての水(1mL)を使用した場合に得られた。アルコールを蒸留して、蒸留残渣中に酢酸カリウムが生成された。残渣は、実施例22に記載したプロトコルによって3,3-ジメチルブタノールの酢酸エステルの次の合成に再使用することができる。
【0194】
実施例24
酸化エチレン(3mL、60mmol、2当量)を-5℃で凝縮し、乾燥エーテル(20mL)で稀釈した。t-ブチルリチウムの溶液(ペンタン中1.7M、17mL、30mmol、エチルエーテル40mlで稀釈)を造り、酸化エチレン溶液に-78℃で滴下した。反応混合物を-78℃で1時間攪拌し、次に、室温に加温し、稀硫酸で鎮めた。エーテル層を捨て、水性層をエーテルで抽出した。合わしたエーテル層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を蒸留によって除去して、48%の収率(1.48g)の3,3-ジメチルブタノールを得た。
【0195】
実施例25
3,3-ジメチルブテンオキシド(DMEB)を溶媒に溶解し、オートクレーブに装填し、オートクレーブ中で触媒をその溶液に懸濁し、水素圧を適用して、3,3-ジメチルブテンオキシドを接触水素添加して、3,3-ジメチルブタノールを得る一系列の実験を行った。溶媒、触媒、温度、水素圧力、反応時間および攪拌速度の種々の組み合わせをこの実施例の実験に使用した。これらの実験の結果を表13に示す。
【0196】
【表13−1】

【0197】
【表13−2】

【0198】
実施例26
塩化アルミニウム触媒(2.5g)およびペンタン(5mL)を、Trubore攪拌器(ACE Glass)、ガス分散管および温度計を取り付けた100mLの3口丸底フラスコに装填した。ドライアイス-アセトン浴を使用して、混合物を-40℃に冷却した。よく攪拌した触媒懸濁液に、温度を-40℃に維持しながら、2-クロロ-2-メチルプロペン(25g)を滴下した。流量計、および1つはフラスコの入口にあり、もう1つは出口にある2つの噴水装置によって調節しながら、70mL/分の速度で、エチレンを液相に通した。温度を-18℃〜-22℃に維持した。反応を3時間で停止し、その際、エチレン吸収が顕著に遅くなった(前および後ろの噴水装置における流量によって確認された)。液体生成物を触媒から捨て、分液漏斗に移し、蒸留水(5mL)で洗浄し、CaCl2(1g)で2時間にわたって乾燥した。GC分析に基づく1-クロロ-3,3-ジメチルブタンの収率は49%であった。2つの他の主成分は、室温、3.88分でのC8クロリド(25%)、および室温、2.88分での他の未確認生成物、おそらくは異性C6クロリドであった。
【0199】
実施例27
一系列のアルキル化/エステル化反応において、3,3-ジメチルブタノールの硫酸エステルを、イソブチレン、エチレンおよび硫酸の反応によって生成した。テフロン(登録商標)被覆攪拌棒ならびにエチレンおよびイソブチレン配給用のラインを取り付けた300mLのACEガラス反応フラスコに、硫酸およびヘプタンを装填した。装填材料を-15℃に冷却し、一定のエチレン圧力下に置いた。先ず、各実験のイソブチレン装填材料を、反応フラスコから分離したメスフラスコに入れ、次に、反応が進行すると共に数時間にわたって実質的に一定の速度で反応フラスコに配給した。反応の間、ドライアイス-アセトン冷却浴を使用して温度を-15℃に維持した。イソブチレンを装填する際の装填量、装填速度、時間および反応条件を表14に示す。
【0200】
反応において生成された3,3-ジメチルブチルスルフェートエステルを加水分解して、3,3-ジメチルブタノールを得る。実験NS109およびNS112における反応の終了後、酸性層をNaOHでpH3に中和し、有機層をエーテルで2回抽出し、残留水性層を一晩還流した。実験NS113およびNS115において、イソブチレンの添加が終了した後、エチレン圧力を解放し、反応物質をドライアイス-アセトン浴で冷却することによって-15℃に維持しながら水を少量ずつ加えた。各加水分解実験において、アルキル化/エステル化反応混合物を2口丸底フラスコに移し、アルゴン下に一晩還流した。表14に示す収率は、内部標準(internal standard)としてドデカンを使用するGC-MS分析に基づく。反応の実際的収率を求める蒸留によるアルコールの分離は行わなかった。
【0201】
この実施例の実験の例はNS114であり、該実験において、硫酸(26.3g、0.27mol)およびヘキサン(90mL)を300mLの反応フラスコに装填した。反応の間にイソブチレンの配給用の貯蔵器として機能する分離メスフラスコに、先ずイソブチレン(11g、0.196mol)を入れた。反応フラスコを、エチレンで2回パージし、100psigのエチレンライン圧力下に解放したままにした。-15℃に予め冷却したドライアイス-アセトン浴に反応器を浸漬した。反応器の温度を、テフロン(登録商標)被覆サーモウェルに差し込まれたKタイプ熱電対で監視した。イソブチレン貯蔵器を、130psigの窒素圧力下に維持した。反応フラスコの含有物を可能な最大速度で攪拌しながら、イソブチレンの添加を0.05mL/分で速度で開始した。ドライアイスを冷却浴に添加することによって、実験を通じて、温度を-15℃に維持した。全装填量のイソブチレンの添加は、5.75時間を要した。反応混合物をさらに30分間攪拌し、次に、エチレン圧力を解放し、温度を-15℃に維持しながら水(100mL)を添加した。次に、反応混合物を2口丸底加水分解フラスコに移し、アルゴン下に85℃で一晩還流した。次に、有機層を分離し、酸性層をエーテルの30mLのアリコートで2回抽出し、合わした有機相を10%Na2CO3溶液で1回洗浄し、次に10%NaCl溶液で洗浄した。洗浄した有機層をMgSO4で3時間にわたって乾燥した後、ドデカン(5mL、4.14g)を内部標準として添加し、混合物をGC-MSによって分析した。このようにして測定した3,3-ジメチルブタノールの量は10.8gであり、これは理論値19.99gに基づいて54%の収率であった。
【0202】
【表14】

【0203】
実施例28
アルキル化/エステル化および加水分解反応の実験を、実質的に実施例27に記載の方法でさらに行い、但し、アルキル化/エステル化段階における合計イソブチレン装填量、合計硫酸装填量、エチレン圧力およびイソブチレン添加時間、ならびに加水分解段階の条件は、表15に示す通りである。全ての実験において、イソブチレンの添加後に、エチレン圧力を解放し、水を-15℃で少量ずつ添加した。反応混合物を2口丸底フラスコに移し、アルゴン下に、表15に示す温度で一晩還流した。収率は、ドデカンを内部標準として使用してGC-MS分析によって求めた。90℃においてさらに行った速度論的試験(kinetic studies)によれば、アルコール生成が事実上3時間で終了し、さらに熱処理を一晩行うことによって、C12エーテルの生成が、GC分析に基づいて約20面積%(area %)まで増加したに過ぎなかった。
【0204】
この実施例の他の実験(実験159)は、実験158と同じ反応物比率で行った。イソブチレンの添加後に、混合物を周囲温度に加熱し、次に、ヘプタン層を分離し、GC-MSによって分析した。ドデカンを標準として使用して測定されたC6アルコールの量は、900mg(理論収量から4.5%)であった。酸性層を蒸留装置に移し、水(50mL)を添加し、水-共沸混合物を102〜103℃で連続的に蒸留した。水層を3回循環させ、合計12.5gの有機生成物を収集した。粗生成物のGC分析は、C6-アルコール(64.4面積%)、C12-エーテル(24%)、高沸点未確認生成物(4.8%)およびバラストヘプタンを示した。両方の層の合計計算収率は、粗アルコール46%であった。
【0205】
【表15】

【0206】
実施例29
ヘプタンを溶媒として使用し、ヘプタン/硫酸の比率を実験ごとに徐々に減少させて、アルキル化/エステル化反応の実験を行った。最後の実験(164)においては、溶媒を使用しなかった。エチレン圧力110psig、温度-15℃、イソブチレン添加時間6時間、およびイソブチレン/硫酸のモル比2において、実質的に実施例28と同様に反応を行った。溶媒を使用しない実験を除く全ての実験において、イソブチレン配給フラスコ中で、少量の溶媒(20mL)をイソブチレン装填材料(20mL)に混合した。溶媒の残りは反応フラスコに直接的に装填した。イソブチレンの添加時間は3〜6時間であった。さらに20分間攪拌した後、エチレン圧力を解放し、温度を0℃に維持しながら水(100mL)を少量ずつ反応に添加した。次に、ヘプタン層を分離し、酸性スルフェート層を、サイドアームにおけるスバシール隔膜(suba seal septa)、Vigreuxカラム、Dean Stark受器およびセンターネックにおける還流冷却器を取り付けた500mLの2口丸底フラスコに移した。得られた加水分解供給材料混合物を蒸留し、水凝縮液をDean Stark受器に収集し、蒸留フラスコに連続的に戻した。凝縮液の有機相をCaCl2で乾燥し、GC-MCで分析した。クロマトグラフィーは、微量のヘプタン、t-ブチル-3,3-ジメチルブチルエーテル、C6アルコールおよび高級エステル(確認せず)を示した。3,3-ジメチルブタノールの収率は59〜63%であったが、溶媒の不存在において、収率は、オリゴマー化の故に顕著に減少した。これらの実施例の工程条件および実験の結果を表16に示す。
【0207】
【表16−1】

【0208】
【表16−2】

【0209】
表16の結果は、イソブチレン添加時間が、収率に有意な作用を有さないことを示す。
【0210】
実施例30
アルキル化/エステル化および加水分解反応を、実質的に実施例28と同様の方法で行った。全てのアルキル化/エステル化反応を、テフロン(登録商標)被覆電磁攪拌機を取り付けた300mLの丸底フラスコにおいて行い、温度を、温度調節器につないだテフロン(登録商標)サーモウェルに差し込まれた熱電対によって監視した。反応フラスコを、アセトン-ドライアイス冷却浴に浸漬した。
【0211】
各実験において、300mLのACE丸底反応フラスコに、先ず98%の硫酸(22.8mL、41.9g、0.428mol)およびヘプタン(30mL)を装填した。フラスコを-15℃に冷却し、その際に、エチレン圧力を110psiにゆっくり増加し、実験全体を通じてその設定において維持した。第二の75mLのACEフラスコに、ヘプタン(20mL)およびイソブチレン(20mL、12g、0.214mol)を装填した。第二フラスコを120psiに加圧し、ヘプタン/イソブチレン混合物を300mLの反応フラスコに0.2mL/分の速度で滴下した。滴下の間、温度を-15℃に維持した。イソブチレンを、攪拌された硫酸-ヘプタン懸濁液に添加するのに3時間を要した。さらに20分間攪拌を継続した。エチレン圧力を徐々に解放し、温度を0℃に上げ、温度が0℃を越えないような速度で水(100mL)を添加した。ヘプタン層を分離し、酸性スルフェート層を、サイドアームにおけるスバシール隔膜(suba seal septa)、Vigreuxカラム、Dean Stark受器およびセンターネックにおける還流冷却器を取り付けた500mLの2口丸底フラスコに移した。蒸留の間、水凝縮液をDean Stark受器に収集し、蒸留フラスコに連続的に戻した。有機凝縮液を収集し、GC-MCで分析した。反応の条件および得られた結果を表17に示す。
【0212】
【表17−1】

【0213】
【表17−2】

【0214】
【表17−3】

【0215】
【表17−4】

【0216】
この実施例の実験において、以下のことが観察された:溶媒(ヘプタン)/イソブチレンの最適容量比は約1.25〜約2.5であり、反応フラスコへの初期装填において約0.75〜約1.5mLヘプタン/mLイソブチレン、および0.5〜1.0mLヘプタン/mLイソブチレンがイソブチレンと一緒に添加され;ペンタンは、アルキル化/エステル化反応において一般に最も有利な結果を生じる溶媒であり;硫酸/イソブチレンの比率は約2.5において最適であり;アルキル化/エステル化反応の最適温度は、約-15℃であり;反応を行った規模において、イソブチレンの最適添加速度は0.2mL/分であり、加水分解反応への最適な水の装填量は約100mLであり;水の添加の最適温度は0℃であり;アルキル化/エステル化の直ぐ後の水の添加は、反応性蒸留から得られた留出物の有機相におけるカラーボディ(color bodies)を最少にするのに役立った。
【0217】
反応性蒸留において、多くのアルコールが、酸性層より上およびそれに接触する分離層として、蒸留ポットに蓄積して、選択性の減少および事実上の低い収率を生じることが観察された。この問題を解決するために使用される方法のうち最も効果的であったのは、両方の反応段階においてデカンを溶媒として使用することであった。液体/液体抽出は、生成後直ぐにアルコールを除去する代替法と考えられたが、液体/液体抽出は、この実施例の実験において試験されなかった。
【0218】
実施例31
1Lの反応器に、96重量%の硫酸(98.94g、1mol)およびヘプタン(200mL、133.3g、1.33mmol)を装填した。窒素を使用して約1500rpmの攪拌速度で系をフラッシュした後、反応素材を約-15℃に冷却した。この温度において、120psigエチレンのオーバーヘッド圧力を加え、反応全体を通じて120psigに維持した。エチレン圧力を適用してから5分後に、イソブチレンの計量添加を1mL/分(イソブチレンの密度=0.59、0.59g/g/分)の速度で開始し、その間、反応を-15℃に維持し、硫酸(96%)の計量添加を1.25g/分の速度で開始した。イソブチレンおよび硫酸の同時添加を3時間行った後、硫酸の添加を停止し(反応に対して合計323.6gの硫酸、3.17mol)、イソブチレンの添加を1mL/分から0.5mL/時の連続勾配でさらに1.5時間継続した(合計2.61molのイソブチレンを添加した)。イソブチレンの添加が終了した際に、エチレンのヘッド圧力を解放した(エチレンの合計取り込みは、これらの条件下で2.82molであった)。粗反応素材を反応器から取り出し、2つの液体層に分離した。上層は淡黄色液体(295.9g、162.6gの重量増加)として得、下層は粘性黄色油状物(490.3g、166.7gの重量増加)であった。
【0219】
層の分析を、CDCl3中の1H NMRによって、既知量の添加トルエン(内部NMR標準)に対するアルキルスルフェート基のインテグレーション(integration)によって行って、3,3-ジメチルブチルスルフェート基のモル%を得た(H2SO4に対して46.7%の収率、エチレンに対して52.5%の収率、イソブチレンに対して56.8%の収率)。
【0220】
前記反応から得た酸性層(490.3g)を3Lのフラスコに入れ、酸性層を氷浴で冷却しながら、そのフラスコに水(980.6g)を滴下した。次に、得られた加水分解反応混合物を、99〜111℃のポット温度に加熱し、その間に、水および3,3-ジメチルブタノールの共沸混合物を蒸留によって回収した。3つの連続したオーバーヘッド留分を収集し、分析し、得られた結果を下記表18に要約する。
【0221】
【表18】

【0222】
回収した3,3-ジメチルブタノールの合計重量は90g(1.12mol)であり、全体的収率は、H2SO4に基づいて27.8%、エチレンに基づいて31.3%、イソブチレンに基づいて33.8%であった。
【0223】
実施例32
1Lの反応器に、硫酸96重量%(98.04g、1mol)およびヘプタン(200mL、133.3g、1.33mmol)を装填した。窒素を使用して1500rpmの適切な攪拌速度で系をフラッシュした後、反応素材を約-15℃に冷却した。この温度において、120psigエチレンのオーバーヘッド圧力を加え、反応の初めの3時間を通じて120psigに維持した。エチレン圧力を適用してから5分後に、イソブチレンの計量添加を1mL/分(イソブチレンの密度=0.59、0.59g/分)の速度で開始し、その間、反応を-15℃に維持し、硫酸(96%)の計量添加を1.56g/分の速度で開始した。イソブチレンおよび硫酸の同時添加を3時間行った後、硫酸の添加を停止し(反応に対して合計380.24gの硫酸、3.72mol)、エチレン貯蔵器を反応器に対して閉鎖し、イソブチレン添加を1mL/分から0.5mL/時の連続勾配でさらに1.5時間継続した(合計2.61molのイソブチレンを添加した)。イソブチレンの添加が終了した際に、エチレンのヘッド圧力を排出した(エチレンの合計取り込みは、これらの条件下に2.3molであった)。反応素材を反応器から取り出し、2つの液体層に分離した。上層は淡黄色液体(166g、32.7gの重量増加)として得、下層は粘性黄色油状物(524.25g、144gの重量増加)であった。
【0224】
層の分析を、CDCl3中の1H NMRによって、既知量の添加トルエン(内部NMR標準)に対するアルキルスルフェート基のインテグレーションによって行って、3,3-ジメチルブチルスルフェート基のモル%を得た(H2SO4に対して48.3%の収率、エチレンに対して78.3%の収率、イソブチレンに対して69%の収率)。
【0225】
前記反応から得た酸性層524.25gを3Lのフラスコに入れ、酸性層を氷浴で冷却しながら、水1048.5gをそのフラスコに滴下した。次に、得られた加水分解反応混合物を、99〜111℃のポット温度に加熱し、その間に、水および3,3-ジメチルブタノールの共沸混合物を蒸留によって回収した。
【0226】
回収した3,3-ジメチルブタノールの合計重量は114.6g(1.12mol)であり、全体的収率は、H2SO4に基づいて30.2%、エチレンに基づいて48.8%、イソブチレンに基づいて43.1%であった。
【0227】
実施例33
1Lの反応器に、硫酸96重量%(135g、1.32mol)およびヘプタン(480mL、319g)を装填した。窒素を使用して約1500rpmの攪拌速度で系をフラッシュした後、反応素材を約-15℃に冷却した。この温度において、115psigエチレンのオーバーヘッド圧力を加え、反応全体を通じて115psigに維持した。エチレン圧力を適用してから5分後に、反応を-15℃に維持しながら、イソブチレンの計量添加を0.24mL/分(イソブチレンの密度=0.59、0.14g/分)の速度で開始した。3時間半のイソブチレン(0.55mol)の添加後、エチレンのヘッド圧力を排出した(エチレンの合計取り込みは、これらの条件下に2.28molであった)。反応器の含有物を反応器から取り出し、2つの液体層に分離した。上層は淡黄色液体(338.8g、14.8gの重量増加)として得、下層は粘性黄色油状物(168.5g、33.5gの重量増加)であった。
【0228】
層の分析を、CDCl3中の1H NMRによって、既知量の添加トルエン(内部NMR標準)に対するアルキルスルフェート基のインテグレーションによって行って、3,3-ジメチルブチルスルフェート基のモル%を得た(H2SO4に対して24%の収率、エチレンに対して13.9%の収率、イソブチレンに対して57.6%の収率)。
【0229】
前記反応から得た酸性層(168.5g)を1Lのフラスコに入れ、酸性層を氷浴で冷却しながら、そのフラスコに水(337g)を滴下した。次に、得られた加水分解装填材料混合物を、99〜111℃のポット温度に加熱し、その間に、水および3,3-ジメチルブタノールの共沸混合物を蒸留によって回収した。
【0230】
回収した3,3-ジメチルブタノールの合計重量は29.7g(0.29mol)であり、全体的収率は、H2SO4に基づいて22%、エチレンに基づいて12.8%、イソブチレンに基づいて52.8%であった。
【0231】
実施例34
粗アルキルスルフェートの3つのバッチを、一般に実施例33に記載した手順にによって、下記の表19に示す所定条件下に製造して、表19に示す収率を得た。
【表19】

【0232】
各バッチを3つの同じ部分に分け、対照実験を1つの部分を使用して行い、他の2つの部分については加水分解条件を変化させた。下記の表20は、この試験の結果を要約するものである。示されるように、1つの実験は、実施例33の2倍の加水分解水を添加し、他の実験は、0.5倍の加水分解水を添加し、別の実験は、加水分解の間の還流条件下に行い、別の実験は、反応性蒸留温度(99〜110℃)においてプレグナント液体相に水を添加し、さらに別の実験は、前記温度において水にプレグナント液を添加した。
【0233】
【表20】

【0234】
実施例35
エチレン、イソブチレンおよび硫酸の、3,3-ジメチルブチルスルフェートへの変換は、前記のように、2つの主要な拮抗反応によって行われる。エチルスルフェート基の形成を生じる硫酸とエチレンとの拮抗反応は、エチレン圧力の増加(濃度増加)によってより顕著になると考えられる1つの拮抗経路である。意義深いことに、他の主要副反応、イソブチレンのオリゴマー化は、エチレンに対するイソブチレンの相対量の増加に伴って増加すると考えられる。これらの拮抗副反応は、各オレフィンの相対濃度に全く反対の関係である故に、3,3-ジメチルブチルスルフェートの所望の生成のために条件/濃度の最適範囲を必要とする。前記の実施例7は、ヘプタンおよびエチレンを含有する反応領域に硫酸およびイソブチレンを連続的に導入することによって、高選択性を有する3,3-ジメチルブチルスルフェートを生成する条件を記載している。下記の表21の第一縦列は、この手順の結果を要約している。この反応の連続試験において、規模を100ccの反応領域から1Lの反応領域に増加した。下記表21は、小規模反応に付いて記載した条件を1L規模に変えることによって得た結果を要約している。
【0235】
【表21】

【0236】
実施例36
一般に、イソブチレンの添加の終了時に、反応器システムの過剰エチレン圧力を解放することによって、反応を停止する(エチレンの定圧下の反応)。システムからのこのエチレンパージに関係する収率損失を減少させるために、システムからの排気前に、反応器システム中のエチレン含有量を減少させる反応条件を探求した。3時間の合計反応時間後に(硫酸の添加を終了した時点)、エチレンの連続供給に対して反応器システムを閉鎖することによって得た結果が、前記の表21に要約されている。
【0237】
反応の終了時のパージによるエチレン損失が減少した結果として、消費されたエチレンに基づく生成物の収率が劇的に増加したことが分かる。
【0238】
前記の工程パラメーターの変化の結果として、収率および生産性(反応物/溶媒の容量に対するlbs.生成物)における顕著な増加が得られた。
【0239】
実施例37
Engelhard Corporationから商業的に入手可能な触媒材料の装填の変化の作用を比較する接触脱水素の実験を行った。
【化13】

【0240】
Engelhard Corporationの市販触媒、Cu-0330 XLTのXRF分析は、下記の元素組成を示した:

【0241】
Engelhardによって市販されている状態のままの物理特性の測定値を下記の表22に示す。
【0242】
【表22】

【0243】
94%の純度(残りは水)の5%アルコール、稀釈剤としてのへリウムから成る供給ガスの合計流量200sccm(3.33cm s-1)において、約320℃の床温度で、3つの異なる触媒装填量(1g、2gおよび4g)の作用を比較する実験を行った。1gの触媒装填量で行った反応実験において、アルデヒドへの転化は、開始から最初の1時間で約58%から約90%に増加し、次に、直ぐに減少し始め、開始から約24時間で実験が終了するまで直線的に減少した。24時間における転化は約75%であった。
【0244】
4gの触媒装填量における反応実験において、アルデヒドの転化は、約93%で開始し、最初の数時間で約90%に減少し、4時間後に93%に回復し、約90時間まで92〜94%で維持され、次に、徐々に減少して、100時間で約92%、125時間で90%、実験の終了時(142.5時間)で88%であった。
【0245】
中間の触媒装填量(2g)を使用した実験において、アルデヒドへの転化は、最初の1時間または2時間で約63%から90%に増加し、約21時間まで約90%で維持され、次に、実験を終了した約37時間後に約86%になるまで徐々に減少した。
【0246】
前記の結果は、失活の開始は、触媒重量の増加に対して直線的な関係でないことを意味する。定流量において、触媒重量の変化は、触媒表面におけるガスの接触時間に直接的に影響を与える。
接触時間=(触媒容量)/(ガスの合計流量)

【0247】
これらデータから推測して、この実施例の供給材料の組成、温度および流動条件において操作される8gの触媒床は、約340時間の操作後まで、失活を開始しないと考えられる。
【0248】
触媒の増加は、選択性を減少させる(より多くの活性部位は、第二反応のより多くの可能性に対応する)と考えるのは当然のことである。しかし、生成物ガスの分析によって、4gの触媒の実験において、最初の3〜4時間後に選択性が98%より高く維持され、実験の残り時間を通じてきわめてゆっくり増加して、終了時(142.5時間)には99%より少し高い値になることを確認した。1gの触媒装填量において、選択性は、実験の開始時の約97%から終了時(24時間)の約98.5%または98.7%に徐々に増加した。2gの装填量において、選択性は、他の実験のいずれよりも低く、一般に、実験の初期の95.2〜95.4%から、終了時の約97.6%〜97.8%に増加し、95%未満のいくらかの逸脱も示す。従って、最適な触媒寿命を与える触媒装填量の範囲において、選択性は触媒の添加と共に減少せず、事実上、選択性は、試験した触媒の最大量の場合に少し高くなる(選択性は、流れにおいて、経時に、アルデヒド生成に有利に少し増加すると考もえられる)。
【0249】
定流量における添加触媒の重量(容量)は、触媒の生産性に直接的な影響を与える。
生産性=生成物の量/単位触媒/単位時間;P=mmolアルデヒド/g触媒 時
【0250】
5容量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する200sccm供給ガスおよび4gの触媒装填量での操作は、6mmol生成物/g触媒/時(0.6kg/kg 時)の生産性である。一旦、失活が起これると(アルデヒド生成の減少および反応器から出るアルコールの増加によって示される)、失活の直線部分についての速度定数を計算することができる(下記表23参照)。
【0251】
失活速度は、触媒の増加に伴って減少するだけでなく、速度の減少は、直線的反応ではなく、より多くの触媒の添加によって付加的安定性が得られる。
【表23】

【0252】
この非直線的な作用は、生産性に関係付けることができ、前記の表の最後の縦列に示されている(直線的反応は、一定の生産性/失活を与えると考えられる)。
【0253】
前記の分析は、触媒装填量の増加は、1)観察しうる失活の前に、流れにおける時間を増加させ、2)失活の速度を減少させることによって、触媒の相対的寿命を延長させることを示唆している。増加した触媒寿命から得られる利益は、触媒生産性の減少に関係する不利益に勝る故に、商業的操作において、開始時の充分な転化に必要な触媒装填量より有意に過剰な触媒装填量を使用するのが好ましい。例えば、反応器への供給ガス中の約4〜6容量%のアルコール含有量において、通常の操作スペース速度(operating space velocity)が約2.0秒-1未満、より好ましくは約1.0〜約1.5秒-1であるようにするのに充分な触媒装填量を供給するのが特に好ましい。前記の範囲のスペース速度は、穏当な生産性、例えば、約0.45〜約0.75kgの3,3-ジメチルブタナール/g触媒-時を維持しながら、触媒寿命を延長させる。
【0254】
実施例38
他の一系列の嫌気脱水素実験において、アルコール供給の定流量(可変%)および触媒の定重量(2gのCu-0330XLT)において、供給ガス流量を変化させた(150〜300sccm)。アルデヒド生成の結果を示すプロットを下記に示す。定装填量における流量の変化は、接触時間を変化させる。アルコールの定流量(10sccm)は、流れにおける可変%アルコールを生じる。

【0255】
アルコールの定流量において、合計流量は変化するが、生産性は、転化が一定である限り影響を受けない。これらの実験の比較データは、アルコールの定流量における合計ガス流量の変化から生じるアルデヒド生成にほとんど変化がない(従って、アルコールの転化にも変化がない)ことを示している。しかし、選択性は、ガス濃度の増加と共に減少することが見い出され、その減少の程度は、流れにおいて20時間後、200sccmおよび5%ガス濃度において選択性は約98%に適度に増加し、150sccmおよび6.67%ガス濃度において選択性は約94.5%に徐々に減少するような程度であった。興味深いことに、300sccmおよび3.33%ガス供給における選択性は、それらの中間、即ち19時間において97%より僅かに低い選択性であった。選択性は、より長い反応時間において、さらに逸脱を示すと考えられる。
【0256】
3,3-ジメチルブタノール供給速度に対する触媒装填量への触媒寿命の依存性、および性能効果の合計流量からの独立性を考慮すると、好ましい操作モードは、スペース速度および供給ガス中の3,3-ジメチルブタノールの容量留分の生成物(product)で示すことができ、それは0.05〜約0.08(ccアルコール)(cc供給ガス-秒)-1でなければならない。
【0257】
実施例39
工業的操作条件において、窒素のような一般的な稀釈剤がヘリウムより好ましい(前記の全ての実施例は、ヘリウムを使用してアルコールを稀釈した)。稀釈剤としての窒素でのヘリウムの置き換えを、200sccmの合計流量および約310℃の床温度において、1gのCu-0330XLTおよび5%のアルコールを使用して試験した。Heの代わりにN2稀釈剤として使用することによって、アルデヒドへの転化における重大な影響は生じなかった。
【0258】
実施例40
この実施例の実験において、脱水素の間に失活された銅触媒を酸化再生条件に付した。
【0259】
TEM試験から、失活は、銅粒子の焼結に関係すると考えられる。焼結作用(粒子の凝集)は、銅表面積を減少させ、従って、活性部位を減少させると考えられる。この凝集現象は充分に解明されていない。銅粒子の再酸化が銅を再分散させ、従ってその表面積を増加させるかを判断する試験を行った。
【0260】
一般的な操作条件に相当する反応温度(約320℃)において、酸素(ヘリウム中10%に稀釈)を導入することを初めに試みた。2つの中間再性サイクルを有する、一系列の3つの脱水素サイクルを実施した。
【0261】
脱水素反応は、ヘリウム中5容量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する供給ガスを、200sccmの速度で、1gのCu0330XLT触媒を含有する触媒床に導入することによって行い、320℃の温度で操作した。
【0262】
触媒の最初の酸化「再生」は、アルコールのアルデヒドへの転化に負の影響を与え、ならびに安定性(転化対時間の関係の傾斜)にも負の影響を与えることが事実上見い出された。第一サイクルの終わりにおける転化は、10時間に約80%であった。再生後直ぐは、転化は極めて低く、最大約70%に回復したに過ぎず、次に、再び徐々に減少した。しかし、第二再生サイクルは、触媒の転化対時間側面を、第二サイクルの間に示されたのとほぼ同じ性能レベルに回復させるのに有効であることが分かった。
【0263】
「還元された」(使用された)触媒床への酸素の導入に関係する温度変化の試験は、発熱事象(おそらく、還元された銅の酸化銅への酸化)が起こることを示した。顕著な発熱が事実上、触媒をさらに焼結させる可能性がある故に、緩慢な「再生」条件下でさらに試験を行った。該試験において、10%の酸素を含有する再生ガス(ヘリウムで稀釈)を、250℃の床温度で、脱水素サイクル間に導入した。酸素を添加した際に発熱事象が再び起こり、30分以内の処理で終了したと考えられた。しかし、320℃における酸素での再生とは異なり、250℃のより低い温度は、より多くの%の活性を触媒に回復させた。触媒の選択性は、その処理によって僅かに影響を受けただけであった。250℃での再生後の脱水素実験からの操作データは、第一再生が活性の回復を生じることを示した(生成されたアルデヒドの%によって示される失活の程度に基づいて約55%)。第二再生処置は、より多い%の再活性化を生じた(しかし、正味活性はサイクルごとに徐々に減少した)。
【0264】
実施例41
>99%の純度の5%アルコール、稀釈剤としてのヘリウムを含んで成る供給ガスの合計流量200sscm(3.33cm s-1)において、触媒装填量(1g、2gおよび4g)の作用を比較する一系列の脱水素実験を行った。約320℃の床温度において、4gの触媒を使用した脱水素実験における選択性は、1gまたは2gの触媒を使用した実験より、最初の15〜20時間において明らかに低いことが見い出された。1gおよび2gの触媒床は、実質的に脱水素実験を通じて、90%より充分に高い選択性を与えた。4gの触媒床を使用した実験の間、選択性は、90%より高い初期レベルから、約6または7時間における70%未満のレベルにかなり減少し、次に、一定して増加して20時間において90%より高いレベルに達し、次の操作において、そのレベルを維持した。アルデヒド生成の生産性は本質的に選択性と同じパターンであった。
【0265】
4gの触媒を使用した反応において生じた副生物の分析は、触媒の増加(接触時間の増加)が、オレフィンおよびエステル生成反応の両方において大きい初期増加を生じたことを示した。これらの両方の副生物の生成の程度は、経時と共にかなり減少した(それによって、アルデヒド選択性の増加を生じた)。
【0266】
過剰触媒条件(長い接触時間)下にCu-0330CEの性能を増加させる努力は、1)床温度を下げることによって、および2)触媒床を反応温度にするために使用される「傾斜」条件(全ての反応の標準温度側面、他に記載がなければ250℃で開始する2時間の初期傾斜時間を含む)の変動によってなされた。4gのCu-0330CEを使用する3つの脱水素反応実験において、種々の温度側面を使用した。第一の実験において、前記実施例に一般に使用した条件を考慮して、床温度を約2時間で250℃から約310℃に傾斜させ、約310℃で維持し;第二の実験において、温度を約2時間で約210℃から約280℃に傾斜させ、280℃で維持し;第三の実験において、温度を約210℃で約4時間維持し、約2時間で約280℃に傾斜させ、次に約280℃で維持した。
【0267】
最大反応温度を310℃から280℃(床温度)に下げることによって、操作の最初の10時間において、アルデヒドへの選択性および全体的アルデヒド生産性が顕著に増加した。220℃で4時間維持することは、初期選択性における最少の付加利益を生じ、転化における顕著な損失を生じた。
【0268】
反応温度を280℃に下げることは、脱水素実験の初期に穏当な生産性において、高選択性を得るのに有効であることが見い出されたが、反応温度を下げることは、反応平衡に不利な影響を与え、それによって不可避的に達成可能な転化を減少させる。300℃未満の温度で操作される工業用製造設備において、未反応3,3-ジメチルブタノールを、脱水素生成物3,3-ジメチルブタナールから、例えば蒸留によって除去し アルコールを脱水素反応に再使用する必要があることもある。各場合において、280℃または290℃での操作によって得られる延長した触媒寿命の利益は、不完全な転化、および3,3-ジメチルブタノールの脱水素反応器への再循環に関係するコストおよび操作の増加と比較考察する必要がある。さらに、275℃よりかなり低い操作温度において、触媒寿命は事実上減少する。
【0269】
実施例42
3,3-ジメチルブタノールにおける水の溶解性は約6重量%である故に、3,3-ジメチルブタナールの製造用の工業反応器への供給ガスは一般にアルコールに基づいて約6%(13.6mol%)の水を含有する。脱水素実験は、94%3,3-ジメチルブタノール/6%水の混合物を使用して、実施例41に記載のように行った(但し、4gの触媒を280℃の床温度で使用した;Cu-0330CE触媒)。この置き換えによって見い出される唯一の観察しうる違いは、オレフィンおよびエステルからカルボン酸への副生物の生成の変化である。
【0270】
実施例43
Cu-0330CEの再生を、使用した1gサンプルにおいて250℃で酸素(ヘリウム中10%)によって試験した。3つの脱水素サイクルを、それぞれ320℃、200sccmの供給ガス流量、および供給ガス中の5%の3,3-ジメチルブタノール含有量で行った。第一の実験において、3,3-ジメチルブタナールへの転化は、75時間の実験時間を通じて約88%で本質的に安定していた。第二の実験において(第一再生サイクル後)、3,3-ジメチルブタナールへの転化は、最初の50時間で、約87%から約85%に本質的に直線的に減少し、次の15時間において、幾分急激に85%から約82%に減少した。第三の実験において(第二再生サイクル後)、転化は、開始時の約86%から、20時間後の約84%に直線的に減少した。
【0271】
酸素処理は、触媒の性能に不利な作用を生じるだけであると考えられるが、この特定の触媒の寿命に基づいて結論を出すのは難しい(連続操作の75時間後に、活性における有意な損失は観察されなかった)。酸素処理は、副生物生成のパターンによって示されるように、性能の結果にほとんど関係しなかったということも極めてありうることである。オレフィン生成における極僅かな変化が、第一サイクルの終了から第二サイクルの開始において見られた。そのパターンは、経時におけるオレフィン生成の通常の減少を示唆する。エステル生成は、連続するサイクルごとに、この副生物のより多くの生成を伴って変化した。酸生成は、全ての場合において極僅かであり、連続サイクルごとに、その通常パターンから変化しないと考えられた。エーテル生成は、サイクルごとに僅かに増加したが、変化は微小であり、連続工程に随伴する(follow a continuous progression)考えられる。
【0272】
実施例44
ZnO(CaOを安定剤として添加)を、種々の温度において、合計流量200sccmのガス中の5重量%のアルコールの一般条件下に、脱水素触媒として評価した。
【0273】
転化は、Cu触媒について示された転化ほど良好でなかった。アルデヒドの収率は、370℃の温度で約33〜35%で安定した。温度を400℃に上げた場合、アルデヒドの収率が約45〜46%に増加し、次の2時間で約40%に減少した。アルデヒドへの選択性は約80〜85%であった。
【0274】
実施例45
先に詳しく説明した嫌気接触脱水素反応は、熱力学的制約により、高温度においてのみ商業的に魅力のあるものである。脱水素への酸素の導入は、全体的反応を発熱性にし、従って、熱力学的に有利である。これは、かなり低い温度における操作を可能にする(脱水素が、動力学的抑制ではなく熱力学的制約下に行われる場合)。
【化14】

前記ZnO触媒を使用して、酸化脱水素を試験した。5容量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する供給ガスを、ZnO触媒(4g)を含有する管状反応器に導入した。先ず酸素を約1.5容量%の濃度で供給ガスに導入した。本質的に断熱的な条件下に、約260℃から約320℃に温度を上げて、酸化脱水素を開始した。約1時間40分の操作後、酸素部分が約2.5容量%に増加し、反応を350℃で継続した。アルデヒドの収率は、最初の1時間で0〜約30%に徐々に増加し、酸素濃度を1.5%に維持している限り、そのレベルで安定化した。酸素濃度が2.5%に増加した際に、アルデヒド収率は約40%に増加し、実験の残り時間を通じて、即ち、酸素濃度を増加してから約2時間にわたって、ほぼそのレベルを維持した。選択性は、1.5%の酸素において約85〜90%であり、2.5%の酸素において約80%であった。
【0275】
ZnOを使用した酸化脱水素の転化および選択性は、銅触媒を使用した嫌気脱水素ほど有利ではなかったが、2.5%の酸素の添加は、365℃でZnOを使用した嫌気脱水素によって得た収率より僅かに高い3,3-ジメチルブタノールの収率を350℃において与えた。
【0276】
酸素の添加(反応流中少なくとも2.5%まで)は、選択性に顕著な変化を生じずに、アルデヒド生成に正の効果を有する(1.5%から2.5%の酸素から生じる生成の増加によって示される)。無酸素条件下に行った反応と前記酸素実験との比較(必ずしも直接的な比較ではなく、15℃の温度差を有する)を以下に示す。
【0277】
ここでもまた、転化の明らかな増加が観察された。この試験において生成された副生物を以下に示す。
【0278】
最も主要な副生物は、添加した酸素の濃度に依存するオレフィン生成物である。
【0279】
前記に鑑みて、本発明の目的が達成され、他の有利な結果が得られたことが理解されるであろう。
【0280】
本発明の範囲を逸脱せず、前記の構成および工程に種々の変更を加えることができるので、前記の説明に含まれ、図面に示される全ての内容は、例示するものであって限定するものではないと理解すべきものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソブチレン、エチレンおよび鉱酸を反応させることにより3,3-ジメチルブタノールのエステルを調製し;
該エステルを加水分解して3,3-ジメチルブタノールを調製し;および
該アルコールを3,3-ジメチルブタナールに転化する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項2】
該エステルの調製が、エチレンおよびイソブチレンを硫酸と接触させ、これにより3,3-ジメチルブタノールの硫酸エステルを生成することを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イソブチレンとエチレンと硫酸との反応が、硫酸水素3,3-ジメチルブチル、硫酸ビス(3,3-ジメチルブチル)、硫酸3,3-ジメチルブチルエチルおよびこれらの混合物からなる群から選択されるエステル反応生成物を生成する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
イソブチレンおよびエチレンを、実質的に同時に硫酸に接触させる請求項2に記載の方法。
【請求項5】
有機溶媒および硫酸を含んでなる凝縮相反応媒体中にエチレンおよびイソブチレンを導入する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
エチレン、イソブチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択された炭化水素反応物および有機溶媒を含有する供給溶液を、硫酸を含んでなる凝縮相反応媒体中に導入する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
エチレン、イソブチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択された炭化水素反応物および有機溶媒を含んでなる流れを同時に、アルキル化/エステル化反応域に導入する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
エチレンおよびイソブチレンを連続的または断続的にアルキル化/エステル化反応域における凝縮相反応媒体に導入し、硫酸3,3-ジメチルブチルを含んでなるアルキル化/エステル化反応混合物を該反応域から連続的または断続的に取り出す請求項5に記載の方法。
【請求項9】
エチレンで加圧されたバッチ反応容器にイソブチレンおよび硫酸を同時に添加する請求項5に記載の方法。
【請求項10】
硫酸を、イソブチレンの添加モル速度よりも過剰のモル速度で添加し、硫酸添加速度とイソブチレン添加速度のモル比が約1.2〜1.7であり、硫酸の添加が、イソブチレンの添加を完了する前に約1時間〜約5時間で実質的に完了する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
硫酸添加中のイソブチレン添加速度と硫酸添加速度の累積モル比が約0.6〜0.75である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アルキル化/エステル化反応間のアルキル化/エステル化反応域中の溶媒と硫酸の容量比が約4:1よりも大きくない請求項5に記載の方法。
【請求項13】
溶媒と硫酸の該容量比が約3:1よりも大きくない請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶媒と硫酸の容量比が約2.5:1よりも大きくない請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該容量比が約1〜約2.5:1である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
エチレンの臨界温度以上の温度でアルキル化/エステル化反応間のアルキル化/エステル化反応域中でエチレン、イソブチレンおよび硫酸を一体にする請求項2に記載の方法。
【請求項17】
約10℃以下の温度で反応を行う請求項1に記載の方法。
【請求項18】
有機溶媒の存在下でエチレン、イソブチレンおよび硫酸の反応によって、3,3-ジメチルブタノールの硫酸エステルを含んでなるアルキル化/エステル化反応混合物を得、該反応混合物は、有機相および貴液相を含んでなり、該有機相は該溶媒を含んでなり、該貴液相は該エステルおよび該鉱酸を含有し、
該貴液相は該有機相から分離されており、
該貴液相に含有されている硫酸3,3-ジメチルブチルが加水分解されて3,3-ジメチルブタノールを生成する請求項1に記載の方法。
【請求項19】
加水分解によって、3,3-ジメチルブタノールを含んでなる有機加水分解物相および使用済み酸相を含んでなる加水分解反応混合物が生成する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
3,3-ジメチルブタノールの回収のために、該有機加水分解物相を蒸留する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該有機加水分解物相の蒸留の前に、それに含まれる残留鉱酸の中和のために該有機加水分解物相を塩基と接触させる請求項20に記載の方法。
【請求項22】
該貴液を含んでなる加水分解供給混合物を反応性蒸留加水分解反応域において水の存在下で加熱して、加水分解反応混合物から該エステルの加水分解および3,3-ジメチルブタノールの蒸留を行う請求項18に記載の方法。
【請求項23】
該貴液に水を導入することによって該加水分解供給混合物を調製し、希釈過程の実質的に全体にわたって約50℃以下に希釈貴液の温度を維持するために水の添加中において冷却することによって希釈熱を除去する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
該加水分解供給混合物を連続的または断続的に該加水分解反応域に導入し、それから3,3-ジメチルブタナールを蒸留するために熱を該反応域に導入し、3,3-ジメチルブタナールを含んでなる塔頂流れを該反応域から連続的に取り出し、使用済みの硫酸を含んでなる塔底流れを該反応域から連続的または断続的に取り出す請求項23に記載の方法。
【請求項25】
約0.3〜0.7の水/貴液の重量比で水を該貴液に添加する請求項22に記載の方法。
【請求項26】
該貴液を化学量論的に過剰の塩基と混合し、アルカリ加水分解に充分にpHを上昇させる請求項18に記載の方法。
【請求項27】
アルコールの3,3-ジメチルブタナールへの酸化のために3,3-ジメチルブタノールを酸化剤と接触させる請求項1に記載の方法。
【請求項28】
酸化剤が、アルコールの対応アルデヒドへの化学量論的酸化のために充分な酸化銅を含んでなる請求項27に記載の方法。
【請求項29】
3,3-ジメチルブタノールの3,3-ジメチルブタナールへの脱水素ために有効な量の触媒と3,3-ジメチルブタノールを接触させる請求項1に記載の方法。
【請求項30】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化のために有効なものであり、該触媒を、分子状酸素の実質的な不存在下で、3,3-ジメチルブタノールと接触させる請求項29に記載の方法。
【請求項31】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化のために有効なものであり、該触媒を、3,3-ジメチルブタノールおよび分子状酸素と接触させる請求項29に記載の方法。
【請求項32】
該触媒が、酸化銅と3,3-ジメチルブタノールとの間の化学量論的酸化還元反応において得られる還元形態の銅を含んでなる活性相を含んでなる請求項29に記載の方法。
【請求項33】
該触媒が、分子状水素と水素化ホウ素ナトリウムとヒドラジンからなる群から選択された還元剤と酸化銅を接触させることによって得られる還元形態の銅を含んでなる活性相を含んでなる請求項29に記載の方法。
【請求項34】
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに脱水素化するための触媒を含んでなる床に、気相の3,3-ジメチルブタノールを通過させる請求項29に記載の方法。
【請求項35】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化のために有効であり、該気相が分子状酸素を実質的に含まない請求項34に記載の方法。
【請求項36】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化のために有効であり、該気相が分子状酸素を含んでなる請求項34に記載の方法。
【請求項37】
いずれかの外部源からアルキル化/エステル化反応域に有機溶媒を導入することなく、アルキル化/エステル化反応域において、硫酸と、イソブチレンおよびエチレンとを接触させる請求項1に記載の方法。
【請求項38】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項1に記載の方法。
【請求項39】
生成物の3,3-ジメチルブタナールのt−ブチル酢酸含量が約1重量%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項40】
3,3-ジメチルブタノールを触媒と接触させて、触媒再生のためのいずれかの反応中断の前に触媒活性相1モル当たりジメチルブタナール少なくとも5モルのターンオーバー比でアルコールを、対応するアルデヒドに脱水素化することを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項41】
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに脱水素化するための触媒を含んでなる触媒床に、気相の3,3-ジメチルブタノールを通過させる請求項40に記載の方法。
【請求項42】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化のために有効であり、該触媒を、分子状酸素の実質的な不存在下で3,3-ジメチルブタノールと接触させる請求項41に記載の方法。
【請求項43】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化のために有効であり、該触媒を、3,3-ジメチルブタノールおよび分子状酸素と接触させる請求項41に記載の方法。
【請求項44】
該触媒が、酸化銅、還元形態の銅、酸化亜鉛、銀、金、白金、パラジウムおよび白金/錫合金からなる群から選択されたものである請求項41に記載の方法。
【請求項45】
該触媒が還元形態の銅を含んでなる請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該触媒が、3,3-ジメチルブタノールを、人体に有害な不純物で汚染しない請求項40に記載の方法。
【請求項47】
該触媒が、人体に実質的に無毒である請求項40に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも約200℃の温度で脱水素化を行う請求項40に記載の方法。
【請求項49】
約200℃〜400℃の温度で脱水素化を行う請求項48に記載の方法。
【請求項50】
約275℃〜345℃の温度で脱水素化を行う請求項49に記載の方法。
【請求項51】
約305℃〜330℃の温度で脱水素化を行う請求項50に記載の方法。
【請求項52】
約275℃〜345℃の温度で脱水素化を行う請求項50に記載の方法。
【請求項53】
脱水素化を、240〜270℃の温度にある段階間に開始して運転し、次いで275〜約345℃の間で運転し、該段階は、段階の開始後約90分から、触媒活性相1モル当たり少なくとも5モルの3,3-ジメチルブタナールのターンオーバー比が実現されるまでに達成できるように充分に長い請求項50に記載の方法。
【請求項54】
反応を、約100psig以下の全圧、および約100psig未満の水素分圧で行う請求項49に記載の方法。
【請求項55】
水素分圧が約5psig〜約20psigである請求項54に記載の方法。
【請求項56】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項54に記載の方法。
【請求項57】
不活性ガスを含んでなり3,3-ジメチルブタノール少なくとも約0.5容量%を初期に含有する気相を、3,3-ジメチルブタノールの脱水素化のための触媒を含んでなる固定または流動触媒に通過させる請求項40に記載の方法。
【請求項58】
該気相における3,3-ジメチルブタノールの初期濃度が約1容量%〜約25容量%である請求項57に記載の方法。
【請求項59】
気相が約2.5容量%〜約10容量%の3,3-ジメチルブタノールを初期に含有する請求項57に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも約250℃の温度で該触媒床で3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに脱水素化する請求項57に記載の方法。
【請求項61】
少なくとも約0.25秒−1の空間速度で該触媒床に該気相を流動させる請求項60に記載の方法。
【請求項62】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化に有効であり、気相が分子状酸素を実質的に含有しない請求項57に記載の方法。
【請求項63】
空間速度が約1.0〜約2.0秒−1である請求項62に記載の方法。
【請求項64】
空間速度が約1.0〜約1.5秒−1である請求項63に記載の方法。
【請求項65】
空間速度と、触媒床を通過する3,3-ジメチルブタノールの初期容積分率との積を約0.05〜約0.08(ccアルコール)(cc供給ガス−秒)−1に調整する請求項62に記載の方法。
【請求項66】
該気相が、3,3-ジメチルブタノールに基づいて約6重量%の水蒸気を含有する請求項57に記載の方法。
【請求項67】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化に有効であり、該気相が分子状酸素を含んでなる請求項57に記載の方法。
【請求項68】
該触媒が還元形態の銅を含んでなる請求項57に記載の方法。
【請求項69】
該触媒が、シリカ、アルミナおよびこれらの混合物、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、バライト、珪藻土および制御多孔質ガラスからなる群から選択された不活性担体に担持された銅を含んでなる請求項68に記載の方法。
【請求項70】
該触媒が、3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールへの化学量論的酸化における酸化銅のその場での還元によって調製される請求項68に記載の方法。
【請求項71】
分子状水素、水素化ホウ素ナトリウムおよびヒドラジンからなる群から選択された還元剤と酸化銅を接触することによって得られた還元形態の銅を含んでなる活性相を該触媒が含む請求項68に記載の方法。
【請求項72】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項40に記載の方法。
【請求項73】
生成物の3,3-ジメチルブタナールのt−ブチル酢酸含量が約1重量%以下である請求項1に記載の方法。
【請求項74】
触媒活性相1モル当たり5モルの3,3-ジメチルブタナールのターンオーバー比で3,3-ジメチルブタナールの収率が初期収率の少なくとも80%である請求項40に記載の方法。
【請求項75】
ターンオーバー比が、触媒の再生前に触媒活性相1モル当たり3,3-ジメチルブタナール少なくとも約10モルである請求項74に記載の方法。
【請求項76】
触媒活性相1モル当たり3,3-ジメチルブタナール少なくとも約10モルのターンオーバー比で3,3-ジメチルブタナールの収率が、初期収率の少なくとも90%である請求項75に記載の方法。
【請求項77】
ターンオーバー比が、触媒のいずれかの再生前に触媒活性相1モル当たり3,3-ジメチルブタナール少なくとも約15モルであり、活性触媒相1モル当たり15モルのターンオーバー比での収率が、初期収率の少なくとも95%である請求項76に記載の方法。
【請求項78】
3,3-ジメチルブチルエステルおよび鉱酸を含む加水分解原料混合物を水の存在下で加熱し、それによりエステルを加水分解して3,3-ジメチルブタノールを含んでなる加水分解反応混合物を調製し、
加水分解反応混合物からの加水分解で形成された3,3-ジメチルブタノールを蒸留する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタノールの製造方法。
【請求項79】
加水分解反応が進行するとともに、3,3-ジメチルブタノールを反応混合物から蒸留する請求項78に記載の方法。
【請求項80】
該加水分解供給混合物が約10〜約75重量%のHSO、約25〜約95重量%の水および約1〜約50重量%の硫酸水素3,3-ジメチルブチルを含んでなる請求項79に記載の方法。
【請求項81】
該加水分解供給混合物が約0.5〜約50重量%の硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)をさらに含み、硫酸水素3,3-ジメチルブチルおよび硫酸ジ(3,3-ジメチルブチル)の両方が3,3-ジメチルブタノールに加水分解される請求項80に記載の方法。
【請求項82】
約0.1気圧〜約2気圧の塔頂圧力および約35℃〜175℃の塔底温度で該蒸留を行う請求項80に記載の方法。
【請求項83】
蒸留を大気圧の塔頂圧で行い、3,3-ジメチルブタノールが豊富な塔頂凝縮分画を約90〜約99℃の温度で集める請求項82に記載の方法。
【請求項84】
該塔頂凝縮物が3,3-ジメチルブタノールおよび水の共沸物を含んでなる請求項83に記載の方法。
【請求項85】
該豊富分画が少なくとも約50重量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する請求項83に記載の方法。
【請求項86】
該豊富分画が約75〜約95重量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する請求項83に記載の方法。
【請求項87】
該豊富分画凝縮物が、少なくとも約75重量%の3,3-ジメチルブタノールを含んでなる有機相および約2重量%以下の3,3-ジメチルブタノールを含んでなる水相を有してなる請求項86に記載の方法。
【請求項88】
該豊富分画の該有機相において得られる3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する請求項87に記載の方法。
【請求項89】
触媒的脱水素化によって3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する請求項87に記載の方法。
【請求項90】
還元剤の存在下で、該触媒的脱水素化において生成した3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1−メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項89に記載の方法。
【請求項91】
3,3-ジメチルブタノール生成物のt−ブチル酢酸含量が約1重量%未満である請求項89に記載の方法。
【請求項92】
3,3-ジメチルブタノールおよび不活性ガスを含む気相を脱水素化触媒と接触させ、触媒再生のためのいずれかの反応中断前に触媒活性相1モル当たり少なくとも5モルのジメチルブタナールのターンオーバー比で3,3-ジメチルブタナール含有脱水素化反応生成物ガスを調製し、および
脱水素化反応生成物から3,3-ジメチルブタナールを回収する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項93】
3,3-ジメチルブタノールおよび不活性ガスを含んでなる供給ガスを、3,3-ジメチルブタノールの脱水素化のための触媒を含んでなる触媒床に導入し、該反応生成物ガスを該床から取り出す請求項92に記載の方法。
【請求項94】
該触媒が、酸化銅、還元形態の銅、酸化亜鉛、銀、金、白金、パラジウムおよび白金/錫合金からなる群から選択されたものである請求項93に記載の方法。
【請求項95】
該触媒が還元形態の銅を含んでなる請求項94に記載の方法。
【請求項96】
少なくとも約200℃の温度で脱水素化を行う請求項93に記載の方法。
【請求項97】
約200℃〜400℃の温度で脱水素化を行う請求項96に記載の方法。
【請求項98】
該触媒床における全圧が約100psig未満であり、水素分圧が約100psig未満である請求項97に記載の方法。
【請求項99】
水素分圧が約5psig〜約20psigである請求項98に記載の方法。
【請求項100】
該供給ガスが少なくとも0.5容量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する請求項93に記載の方法。
【請求項101】
該供給ガスが約1容量%〜約25容量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する請求項100に記載の方法。
【請求項102】
該供給ガスが約2.5容量%〜約10容量%の3,3-ジメチルブタノールを含有する請求項100に記載の方法。
【請求項103】
少なくとも約0.25秒−1の空間速度で該触媒床に該気相を流動させる請求項100に記載の方法。
【請求項104】
約200℃〜約400℃の温度および約100psig以下の水素分圧で脱水素化反応を行う請求項103に記載の方法。
【請求項105】
該触媒床の容積ならびに該触媒の表面積、活性および選択性が、約10秒未満の滞留時間で少なくとも約50%で3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化するのに充分である請求項104に記載の方法。
【請求項106】
触媒を再生することなく30日以上の持続操作で少なくとも50%の転化率を得て、維持する請求項105に記載の方法。
【請求項107】
3,3-ジメチルブタナールの回収が、該脱水素化反応生成物を冷却し、3,3-ジメチルブタナールを凝縮させることを含んでなる請求項106に記載の方法。
【請求項108】
該脱水素化反応生成物を冷却することによって得られた凝縮物を、含まれる3,3-ジメチルブタノールから3,3-ジメチルブタナールを分離するために蒸留する請求項108に記載の方法。
【請求項109】
触媒床が、複数段を有する固定床を有し、および反応器中の反応ガスの通過に関して連続する一対の該段の間に実質的な触媒無含有の小室を有する反応器に含まれ、加熱ガスの供給を、小室のすぐ上流にある段から該小室に入る反応ガスを再加熱する小室に行う請求項93に記載の方法。
【請求項110】
該反応器は、触媒を実質的に含まない複数の小室を有し、該小室のそれぞれは、ガス流動に関して連続した複数の該段の間に位置しており、加熱ガスの供給を、小室のすぐ上流にある段から該小室に入る反応ガスを再加熱する該複数の小室のそれぞれに行う請求項109に記載の方法。
【請求項111】
還元剤の存在下で、該触媒的脱水素化において生成した3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項92に記載の方法。
【請求項112】
触媒活性相1モル当たり少なくとも5モルの3,3-ジメチルブタナールのターンオーバー比での3,3-ジメチルブタナールの収率が初期収率の少なくとも80%である請求項113に記載の方法。
【請求項113】
ターンオーバー比が、触媒の再生前に触媒活性相1モル当たり3,3-ジメチルブタナール少なくとも約10モルである請求項113に記載の方法。
【請求項114】
触媒活性相1モル当たり3,3-ジメチルブタナール少なくとも約10モルのターンオーバー比で3,3-ジメチルブタナールの収率が、初期収率の少なくとも90%である請求項113に記載の方法。
【請求項115】
ターンオーバー比が、触媒のいずれかの再生前に触媒活性相1モル当たり3,3-ジメチルブタナール少なくとも約15モルであり、活性触媒相1モル当たり15モルのターンオーバー比での収率が、初期収率の少なくとも95%である請求項114に記載の方法。
【請求項116】
粒状脱水素触媒および3,3-ジメチルブタナールを含んでなるスラリーを調製し;
該スラリー中で触媒的脱水素化により3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化し、これにより、粒状脱水素触媒および3,3-ジメチルブタナールを含んでなる脱水素化反応生成物スラリーを調製し;および
脱水素化反応生成物スラリーから3,3-ジメチルブタナールを回収する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブチルの製造方法。
【請求項117】
該触媒が、酸化銅、還元形態の銅、酸化亜鉛、銀、金、白金、パラジウムおよび白金/錫合金からなる群から選択されたものである請求項116に記載の方法。
【請求項118】
該触媒が還元形態の銅を含んでなる請求項117に記載の方法。
【請求項119】
還元剤の存在下で、該触媒的脱水素化において生成した3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項116に記載の方法。
【請求項120】
3,3-ジメチルブタン酸またはそのエステルを、還元剤と接触させて、それにより3,3-ジメチルブタノールを調製し;および
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項121】
3,3-ジメチルブタン酸またはそのエステルを、水素化ホウ素アルカリ金属および水素化リチウムアルミニウムからなる群から選択された還元剤と接触させる請求項120に記載の方法。
【請求項122】
3,3-ジメチルブタン酸またはそのエステルを触媒的還元によって3,3-ジメチルブタノールに還元する請求項120に記載の方法。
【請求項123】
3,3-ジメチルブタン酸を水素化リチウムアルミニウムと接触させる請求項120に記載の方法。
【請求項124】
3,3-ジメチルブタン酸を水素化ホウ素ナトリウムと接触させる請求項120に記載の方法。
【請求項125】
アルコールの3,3-ジメチルブタナールへの酸化のために3,3-ジメチルブタノールを酸化剤と接触させる請求項120に記載の方法。
【請求項126】
該酸化剤が、アルコールの対応アルデヒドへの化学量論的酸化のために有効である酸化銅を含んでなる請求項125に記載の方法。
【請求項127】
3,3-ジメチルブタノールの3,3-ジメチルブタナールへの脱水素化のために有効である触媒と3,3-ジメチルブタノールを接触させる請求項120に記載の方法。
【請求項128】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化のために有効なものであり、該触媒を、分子状酸素の実質的な不存在下で、3,3-ジメチルブタノールと接触させる請求項127に記載の方法。
【請求項129】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化のために有効なものであり、該触媒を、3,3-ジメチルブタノールおよび分子状酸素と接触させる請求項127に記載の方法。
【請求項130】
該触媒が、酸化銅と3,3-ジメチルブタノールとの間の化学量論的酸化還元反応において得られる還元形態の銅を含んでなる活性相を含んでなる請求項127に記載の方法。
【請求項131】
該触媒が、分子状水素と水素化ホウ素ナトリウムとヒドラジンからなる群から選択された還元剤と酸化銅を接触させることによって得られる還元形態の銅を含んでなる活性相を含んでなる請求項127に記載の方法。
【請求項132】
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに脱水素化するための触媒を含んでなる床に、気相の3,3-ジメチルブタノールを通過させる請求項127に記載の方法。
【請求項133】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化のために有効であり、該気相が分子状酸素を実質的に含まない請求項132に記載の方法。
【請求項134】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化のために有効であり、該気相が分子状酸素を含んでなる請求項132に記載の方法。
【請求項135】
いずれかの外部源からアルキル化/エステル化反応域に有機溶媒を導入することなく、アルキル化/エステル化反応域において、硫酸と、イソブチレンおよびエチレンとを接触させる請求項120に記載の方法。
【請求項136】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項1に記載の方法。
【請求項137】
1-クロロ-3,3-ジメチルブタン、1-ブロモ-3,3-ジメチルブタンおよび1-ヨード-3,3-ジメチルブタンからなる群から選ばれる基質を加水分解して3,3-ジメチルブタノールを調製し;および
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項138】
該基質を、加水分解に有効な温度で水性塩基と接触させる請求項137に記載の方法。
【請求項139】
該基質を、約200℃以上の温度で酸化金属と接触させる請求項138に記載の方法。
【請求項140】
該基質を、200℃〜400℃の温度で酸化金属と接触させる請求項139に記載の方法。
【請求項141】
アルコールの3,3-ジメチルブタナールへの酸化のために3,3-ジメチルブタノールを酸化剤と接触させる請求項137に記載の方法。
【請求項142】
該酸化剤が、アルコールの対応アルデヒドへの化学量論的酸化のために充分な酸化銅を含んでなる請求項141に記載の方法。
【請求項143】
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに脱水素化するのに有効な触媒と3,3-ジメチルブタノールを接触させる請求項137に記載の方法。
【請求項144】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化のために有効であり、該触媒を、分子状酸素の実質的な不存在下で3,3-ジメチルブタノールと接触させる請求項143に記載の方法。
【請求項145】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化のために有効であり、該触媒を、3,3-ジメチルブタノールおよび分子状酸素と接触させる請求項143に記載の方法。
【請求項146】
該触媒が、酸化銅と3,3-ジメチルブタノールとの間の化学量論的酸化還元反応において得られる還元形態の銅を含んでなる活性相を含んでなる請求項143に記載の方法。
【請求項147】
該触媒が、分子状水素と水素化ホウ素ナトリウムとヒドラジンからなる群から選択された還元剤と酸化銅を接触させることによって得られる還元形態の銅を含んでなる活性相を含んでなる請求項143に記載の方法。
【請求項148】
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに脱水素化するための触媒を含んでなる床に、気相の3,3-ジメチルブタノールを通過させる請求項143に記載の方法。
【請求項149】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの嫌気的脱水素化のために有効であり、該気相が分子状酸素を実質的に含まない請求項148に記載の方法。
【請求項150】
該触媒が3,3-ジメチルブタノールの酸化的脱水素化のために有効であり、該気相が分子状酸素を含んでなる請求項148に記載の方法。
【請求項151】
いずれかの外部源からアルキル化/エステル化反応域に有機溶媒を導入することなく、アルキル化/エステル化反応域において、硫酸と、イソブチレンおよびエチレンとを接触させる請求項137に記載の方法。
【請求項152】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項137に記載の方法。
【請求項153】
1-ハロ-3,3-ジメチルブタンまたは1-アシロキシ-3,3-ジメチルブタンを塩基の存在下で加水分解して3,3-ジメチルブタノールを調製し;および
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項154】
3,3-ジメチルブタナールの製造が、1-ハロ-3,3-ジメチルブタンの加水分解を含んでなる請求項153に記載の方法。
【請求項155】
1-ハロ-3,3-ジメチルブタンを有機酸の塩と反応させ、これにより、3,3-ジメチルブタノールのエステルを調製し;および
塩基の存在下で該エステルを加水分解して3,3-ジメチルブタノールを調製する
ことを含んでなる請求項153に記載の方法。
【請求項156】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項153に記載の方法。
【請求項157】
1,2-エポキシ-3,3-ジメチルブタンオキシドを3,3-ジメチルブタノールに還元し、
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項158】
1,2-エポキシ-3,3-ジメチルブタンを3,3-ジメチルブタノールに触媒的水素化によって還元する請求項157に記載の方法。
【請求項159】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項157に記載の方法。
【請求項160】
t-ブチル有機金属化合物をエチレンオキシドと反応させて3,3-ジメチルブタノールを形成し;および
3,3-ジメチルブタノールを3,3-ジメチルブタナールに転化する
ことを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項161】
該有機金属化合物が、R−GおよびR−Li[式中、Rはt−ブチルであり、GはMgClおよびMgBrからなる群から選択されたものである。]からなる群から選択されたものである請求項160に記載の方法。
【請求項162】
還元剤の存在下で、該3,3-ジメチルブタナールをL-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルと反応させ、N-[N-(3,3-ジメチルブチル)-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン=1-メチルエステルを調製する請求項160に記載の方法。
【請求項163】
アルコールを対応アルデヒドに脱水素化するための触媒と3,3-ジメチルブタノールを接触させ、該触媒は、実質的に人体に対して無毒であることを含んでなる3,3-ジメチルブタナールの製造方法。
【請求項164】
該触媒がクロムを実質的に含まない請求項163に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−137026(P2011−137026A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−36999(P2011−36999)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【分割の表示】特願2001−507776(P2001−507776)の分割
【原出願日】平成12年6月29日(2000.6.29)
【出願人】(500018125)ニュートラスウィート プロパティ ホールディングス,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】