説明

4−アニリノキナゾリン誘導体

【課題】脈管形成および/または脈管透過性増大に関連する疾病に有効なキナゾリン誘導体の提供。
【解決手段】式(I)のキナゾリン誘導体、式中:R1は、水素またはメトキシを表し;R2は、メトキシ、エトキシなど各種置換基を表し;(R32を保有するフェニル基は以下のものから選択される:2−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニルなど、それらの製造方法、ならびに有効成分として式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩を含有する薬剤組成物。式(I)の化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩類は、VEGFの作用を阻害する。これは、癌および慢性関節リウマチを含めた多数の疾病状態の処置に有用な特性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キナゾリン誘導体、それらの製造方法、それらを有効成分として含有する薬剤組成物、脈管形成(angiogenesis)および/または脈管透過性(vascular permeability)増大に関連する疾病状態の処置方法、医薬としてのそれらの使用、ならびにヒトのような温血動物において脈管形成および/または脈管透過性の低下作用を生じるのに使用する医薬の製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な脈管形成は、胚の発達、創傷の治癒、および雌の生殖機能の幾つかの構成要素を含めた多様なプロセスにおいて、重要な役割を果たす。望ましくない、または病的な脈管形成は、糖尿病性網膜症、乾癬、癌、慢性関節リウマチ、アテローム、カポージ肉腫および血管腫を含めた疾病状態に関連する(Fan et al,1995,Trends Pharmacol.Sci.16:57-66;Folkman,1995,NatureMedicine 1:27-31)。脈管透過性の変化は、正常および病態生理学的両方のプロセスにおいて役割を果たすと考えられる(Cullinan-Bove et al,1993,Endocrinology 133:829-837;Senger et al,1993,Cancer and Metastasis Reviews,12:303-324)。酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子(aFGFおよびbFGF)、ならびに脈管内皮増殖因子(vascular endotherial growth factor,VEGF)を含めた、インビトロ内皮細胞増殖促進活性をもつ数種のポリペプチドが確認された。VEGFの増殖因子活性はその受容体の発現が限定されているため、FGF類の活性と対照的に、内皮細胞に比較的特異性である。最近の証拠は、VEGFが正常および病的両方の脈管形成(Jakeman et al,1993,Endocrinology 133:848-859;Kolch et al,1995,Breast Cancer Research and Treatment,36:139-155)、および脈管透過性(Connolly et al,1989,J.Biol.Chem.264:20017-20024)の重要な刺激物質であることを示している。抗体でVEGFを分離(sequestration)することによりVEGF作用に拮抗すると、腫瘍の増殖を阻止することができる(Kim et al,1993,Nature 362:841-844)。
【0003】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞の形質膜を越えて生化学的シグナルを伝達する際に重要である。これらの膜貫通分子は、形質膜内のセグメントを介して細胞内チロシンキナーゼドメインに結合した細胞外リガンド結合ドメインからなることを特色とする。この受容体にリガンドが結合すると、受容体関連チロシンキナーゼ活性が刺激され、これにより受容体と他の細胞内分子の両方のチロシン残基がリン酸化される。これらのチロシンリン酸化の変化が、多様な細胞応答をもたらすシグナリングカスケード(signalling cascade)を開始させる。これまでに、アミノ酸配列相同性により定められる少なくとも19種類の異なるRTKサブファミリーが確認されている。これらのサブファミリーのうちのひとつは、現在のところfms様チロシンキナーゼ受容体FltまたはFlt1、キナーゼ挿入ドメイン含有受容体KDR(Flk−1とも呼ばれる)、およびもうひとつのfms様チロシンキナーゼ受容体Flt4により構成される。これらの関連RTKのうちの2つ、FltとKDRは、VEGFに高い親和性で結合することが示された(De Vries et al,1992,Science 255:989-991;Terman et al,1992,Biochem.Biophys.Res.Comm.1992,187:1579-1586)。異種細胞で発現したこれらの受容体にVEGFが結合するのと関連して、細胞タンパク質のチロシンリン酸化状態およびカルシウム流入が変化した。
【0004】
欧州特許出願公開第0326330号には、ある種のキノリン、キナゾリンおよびシンノリン系の植物用殺真菌薬が開示されている。これらの植物用殺真菌薬のうちある種のものは殺虫および殺ダニ活性をもつと述べられてもいる。しかし開示された化合物のいずれかをヒトのような動物に何らかの目的で使用できるという開示や示唆はない。この欧州特許出願公開明細書には、特に、VEGFのような増殖因子により仲介される脈管形成および/または脈管透過性増大に関する教示はまったくない。
【0005】
欧州特許出願公開第0566226号には、上皮増殖因子(EGF)受容体チロシンキナーゼに対する活性をもつ化合物が記載されている。本発明化合物は欧州特許出願公開第0566226号の広い全般的開示には包含されるが、本発明者らは意外にも、本発明化合物がVEGFに対するきわめて良好な阻害活性、すなわち欧州特許出願公開第0566226号のどこにも開示されていない特性をもつことを見出した。さらに、本発明の範囲外の欧州特許出願公開第0566226号の化合物を試験したが、これらはVEGF受容体チロシンキナーゼに対する有意の阻害活性を示さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0326330号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0566226号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Fan et al,1995,Trends Pharmacol.Sci.16:57-66;Folkman,1995,Nature Medicine 1:27-31
【非特許文献2】Cullinan-Bove et al,1993,Endocrinology 133:829-837;Senger et al,1993,Cancer and Metastasis Reviews,12:303-324
【非特許文献3】Jakeman et al,1993,Endocrinology 133:848-859;Kolch et al,1995,Breast Cancer Research and Treatment,36:139-155
【非特許文献4】Connolly et al,1989,J.Biol.Chem.264:20017-20024
【非特許文献5】Kim et al,1993,Nature 362:841-844
【非特許文献6】De Vries et al,1992,Science 255:989-991;Terman et al,1992,Biochem.Biophys.Res.Comm.1992,187:1579-1586
【発明の概要】
【発明を解決するための手段】
【0008】
したがって本発明は、意外にもVEGFの作用を阻害する化合物を見出したことに基づく。これは、脈管形成および/または脈管透過性増大に関連する疾病状態、たとえば癌、糖尿病、乾癬、癌、慢性関節リウマチ、カポージ肉腫、血管腫、急性および慢性腎症、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、および網膜脈管増殖を伴う眼疾患の処置に有用な特性である。本発明化合物は、EGF受容体チロシンキナーゼに対し若干の活性をもつが、VEGF受容体チロシンキナーゼに対しては、より高い効力をもつ。さらに、本発明化合物は、EGF受容体チロシンキナーゼまたはFGF R1受容体チロシンキナーゼに対してより、VEGF受容体チロシンキナーゼに対し、実質的に高い効力をもつ。
【発明の実施の形態】
【0009】
本発明の1態様によれば、式Iのキナゾリン誘導体:
【0010】
【化1】

【0011】
(式中:
1は、水素またはメトキシを表し;
2は、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、2−エトキシエトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシ、4−(ピペラジン−1−イル)ブトキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシまたは4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブトキシを表し;
(R32を保有するフェニル基は以下のものから選択される:2−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−メチルフェニル、2−フルオロ−4−メトキシフェニル、4−ブロモ−3−ヒドロキシフェニル、4−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル、4−クロロ−3−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルおよび4−シアノ−2−フルオロフェニル);
およびその塩類が提供される。
【0012】
1は、好ましくはメトキシである。
2は、有利にはメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、2−(ピペラジン−1−イル)エトキシまたは3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシを表す。R2の有利な意味はさらに、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシおよび3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシである。
【0013】
2は、好ましくはメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、2−(ピペラジン−1−イル)エトキシまたは3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシである。R2の好ましい意味はさらに、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシおよび3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシである。
【0014】
2は、より好ましくは2−メトキシエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシまたは3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシであり、R2のより好ましい意味はさらに、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシおよび3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシである。
【0015】
2の特に好ましい意味は、2−メトキシエトキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシおよび2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシである。
2の殊に好ましい意味は、2−メトキシエトキシおよび3−モルホリノプロポキシである。
【0016】
本発明の具体的態様において、(R3)2を保有するフェニル基は以下のものから選択される:2−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−メチルフェニル、2−フルオロ−4−メトキシフェニル、4−ブロモ−3−ヒドロキシフェニル、4−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル、4−クロロ−3−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニルおよび3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル。
【0017】
(R32を保有するフェニル基は、好ましくは3−ヒドロキシ−4−メチルフェニルまたは4−クロロ−2−フルオロフェニル、特に4−クロロ−2−フルオロフェニルである。(R32を保有するフェニル基の特に好ましい意味はさらに、4−ブロモ−2−フルオロフェニルである。
【0018】
好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
6,7−ジメトキシ−4−(2−フルオロ−5−ヒドロキシアニリノ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−3−ヒドロキシアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン、
4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩。
【0019】
他の好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン、
4−(2−フルオロ−4−メチルアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン、
6,7−ジメトキシ−4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(2−フルオロ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−シアノ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−メトキシプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−エトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−ヒドロキシエトキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(4−モルホリノブトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩。
【0020】
より好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン、
4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(2−フルオロ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−シアノ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−メトキシプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−エトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−ヒドロキシエトキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(4−モルホリノブトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩。
【0021】
特に好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
およびその塩類、
特にその塩酸塩;他の特に好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩。
【0022】
さらに特に好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩。
【0023】
殊に好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩。
【0024】
さらに殊に好ましい化合物は以下のものである:
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩;これらのうち
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
およびその塩類、特にその塩酸塩が好ましい。
【0025】
疑問を避けるために、本明細書において基が“前記に定義した”と表される場合、その基は最初に出た最も広い定義、ならびにその基についての好ましい定義のそれぞれおよびすべてを包含することを理解すべきである。
【0026】
本明細書において、“アルキル”という用語には直鎖および分枝鎖アルキル基の両方が含まれるが、“プロピル”のような個々のアルキル基について述べたものは直鎖形のみに特定される。同様な慣例を他の総称にも適用する。別途記載しない限り、“アルキル”という用語は、有利には1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む鎖を意味する。
【0027】
本明細書において、“アルコキシ”という用語は、前記に定義したアルキル基が酸素原子に結合したものを意味する。
本明細書において、“アリール”という用語にはC6〜10芳香族基が含まれ、これはハロゲノ、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロまたはトリフルオロメチルから選択される1またはそれ以上の置換基を所望により保有してもよい(ここでアルキルおよびアルコキシは前記に定義したとおりである)。“アリールオキシ”という用語は、前記に定義したアリール基が酸素原子に結合したものを意味する。
【0028】
本明細書において、“スルホニルオキシ”という用語にはアルキルスルホニルオキシおよびアリールスルホニルオキシが含まれ、ここで“アルキル”および“アリール”は前記に定義したとおりである。
【0029】
前記に定義した式Iにおいて、キナゾリン基の2、5および8位には水素が存在するであろう。
本発明において、式Iのキナゾリンまたはその塩類は互変異性現象を示し、本明細書中の構造式はこれらの可能な互変異性形のうちのひとつを表しうるにすぎないことを理解すべきである。本発明はVEGF受容体チロシンキナーゼ活性を阻害するいずれの互変異性形をも包含し、構造式に用いた互変異性形のいずれかひとつのみに限定すべきでないことを理解すべきである。
【0030】
式Iのキナゾリンおよびその塩類は溶媒和した形または溶媒和していない形、たとえば水和した形で存在できることも理解すべきである。本発明はVEGF受容体チロシンキナーゼ活性を阻害するこのような溶媒和形すべてを包含することを理解すべきである。
【0031】
本発明は、前記に定義した式Iの化合物およびその塩類に関する。薬剤組成物に用いる塩類は薬剤学的に許容しうる塩類であろうが、他の塩類は式Iの化合物およびそれらの薬剤学的に許容しうる塩類の製造に有用であればよい。本発明の薬剤学的に許容しうる塩類には、たとえばそのような塩類の形成に十分なほど塩基性である前記に定義した式Iの化合物の酸付加塩が含まれる。このような酸付加塩には、たとえば薬剤学的に許容しうるアニオンを与える無機酸または有機酸との、たとえばハロゲン化水素(特に塩酸または臭化水素酸、これらのうち塩酸が特に好ましい)との、または硫酸もしくはリン酸との、またはトリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸との塩類が含まれる。さらに、式Iの化合物が十分に酸性である場合、薬剤学的に許容しうる塩類は、薬剤学的に許容しうるカチオンを与える無機塩基または有機塩基により形成できる。このような無機塩基または有機塩基との塩類には、たとえばナトリウム塩もしくはカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩もしくはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、またはたとえばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンもしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩が含まれる。
【0032】
式Iの化合物またはその塩類および他の本発明化合物(後記に定義する)は、化学的に関連する化合物の製造に適用できることが知られているいずれの方法によっても製造できる。そのような方法には、たとえば欧州特許出願公開第0520722、0566226、0602851および0635498号に示される方法が含まれる。そのような方法を本発明の他の態様として提供し、以下に記載する。必要な出発物質は、有機化学の標準法により得ることができる。そのような出発物質の製造を後記実施例に記載するが、これらは限定ではない。必要な他の出発物質は記載した方法と類似の方法で得ることができ、これらは有機化学の当業者に自明である。
【0033】
以下の方法(a)〜(e)および(i)〜(v)は、本発明の他の態様をなす。
式Iの化合物の合成
(a)式Iの化合物およびその塩類は、式IIIの化合物:
【0034】
【化2】

【0035】
(式中、R1およびR2は前記に定義したとおりであり、L1は置換可能な部分である)を、式IVの化合物:
【0036】
【化3】

【0037】
(式中、R3は前記に定義したとおりである)と反応させ、これにより式Iの化合物およびその塩類を得ることにより製造できる。好都合な置換可能な部分L1は、たとえばハロゲノ、アルコキシ(好ましくはC1〜4アルコキシ)、アリールオキシまたはスルホニルオキシ基、たとえばクロロ、ブロモ、メトキシ、フェノキシ、メタンスルホニルオキシ、またはトルエン−4−スルホニルオキシ基である。
【0038】
この反応は、有利には酸または塩基の存在下で行われる。そのような酸は、たとえば塩化水素のような無水の無機酸である。そのような塩基は、たとえばピリジン、2,6−ルチジン、コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリンもしくはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンのような有機アミン塩基、またはたとえばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩もしくは水酸化物、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムである。あるいは、そのような塩基は、たとえばアルカリ金属水素化物、たとえば水素化ナトリウム、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアミド、たとえばナトリウムアミドまたはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドである。この反応は、好ましくは不活性溶媒または希釈剤、たとえばアルカノールもしくはエステル、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールもしくは酢酸エチル、ハロゲン化溶媒、たとえば塩化メチレン、トリクロロメタンもしくは四塩化炭素、エーテル類、たとえばテトラヒドロフランもしくは1,4−ジオキサン、芳香族炭化水素系溶媒、たとえばトルエン、または両性非プロトン溶媒、たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジン−2−オンまたはジメチルスルホキシドの存在下で行われる。この反応は、好ましくはたとえば10〜150℃、好ましくは20〜80℃の温度で行うのが好都合である。
【0039】
本発明化合物はこの方法により遊離塩基の形で得られるか、または式H−L1(式中、L1は前記に定義した意味をもつ)の酸との塩の形で得られる。この塩から遊離塩基を得たい場合、塩を常法により前記に定めた塩基で処理することができる。
【0040】
(b)式IIの基:
【0041】
【化4】

【0042】
(式中、R3は前記に定義したとおりである)がヒドロキシ基を保有するフェニル基を表す場合、式Iの化合物およびその塩類は、式Vの化合物:
【0043】
【化5】

【0044】
(式中、R1、R2およびR3は前記に定義したとおりであり、Pはフェノール性ヒドロキシの保護基である)の脱保護により製造できる。フェノール性ヒドロキシの保護基の選択は有機化学者に自明であり、たとえば“Protective Groups in Organic Synthesis”,T.W.GreeneおよびR.G.M.Wuts,第2版,ワイリー,1991のような標準的テキストに記載されるものである。これには、エーテル類(たとえばメチル、メトキシメチル、アリルおよびベンジル)、シリルエーテル(たとえばt−ブチルジフェニルシリルおよびt−ブチルジメチルシリル)、エステル類(たとえばアセテートおよびベンゾエート)、およびカーボネート(たとえばメチルおよびベンジル)が含まれる。そのようなフェノール性ヒドロキシの保護基の除去は、前記に示したような標準的テキストに示された反応条件を含めた、このような変換に関して知られているいずれかの方法または関連方法により行うことができる。反応条件は、好ましくは出発化合物または生成化合物内の他の部位で目的外の反応が起きることなくヒドロキシ誘導体が生成する条件である。たとえば保護基Pがアセテートである場合この変換は、好ましくはプロトン溶媒または補助溶媒、たとえば水またはアルコール(たとえばメタノールまたはエタノール)の存在下に、アンモニアを含めて前記に定義した塩基ならびにそのモノおよびジアルキル化誘導体で、キナゾリン誘導体を処理することにより行うのが好都合である。この反応は、さらに前記に定義した溶媒または希釈剤の存在下に、0〜50℃、好都合には約20℃の温度で行うことができる。
【0045】
(c)式Iの化合物およびその塩類の製造は、好都合には前記に定義した塩基の存在下に、式VIの化合物:
【0046】
【化6】

【0047】
(式中、R1およびR3は前記に定義したとおりである)を、式VIIの化合物:

4−L1 (VII)

(式中、L1は前記に定義したとおりであり、R4はメチル、エチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−エトキシエチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、2−(ピペラジン−1−イル)エチル、3−(ピペラジン−1−イル)プロピル、4−(ピペラジン−1−イル)ブチル、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピルまたは4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブチルである)と反応させることにより達成できる。L1は置換可能な部分、たとえばハロゲノまたはスルホニルオキシ基、たとえばブロモまたはメタンスルホニルオキシ基である。この反応は、好ましくは塩基(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、かつ有利には不活性溶媒または希釈剤(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、有利にはたとえば10〜150℃、好都合には約50℃の温度で行われる。
【0048】
(d)式Iの化合物およびその塩類は、式VIIIの化合物:
【0049】
【化7】

【0050】
を、式IXの化合物:

2−H (IX)

(これらの式中、L1、R1、R2およびR3はすべて前記に定義したとおりである)と反応させることにより製造できる。この反応は、塩基(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、かつ有利には不活性溶媒または希釈剤(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、有利にはたとえば10〜150℃、好都合には約100℃の温度で行うのが好都合であろう。
【0051】
(e)R2がR51〜4アルコキシ、特にR51〜3アルコキシである場合(ここでR5はメトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、N,N−ジメチルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジン−1−イルまたは4−メチルピペラジン−1−イルから選択される)、式Iの化合物およびその塩類は、式Xの化合物:
【0052】
【化8】

【0053】
(式中、L1、R1およびR3は前記に定義したとおりであり、R6はC1〜4アルコキシ、特にC1〜3アルコキシである)を、式XIの化合物:

5−H (XI)

(式中、R5は前記に定義したとおりである)と反応させることにより製造できる。この反応は、塩基(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、かつ有利には不活性溶媒または希釈剤(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、有利にはたとえば0〜150℃、好都合には約50℃の温度で行うのが好都合であろう。
中間体の合成
(i)式IIIの化合物およびその塩類は、本発明の他の態様をなす。L1がハロゲノであるそのような化合物は、たとえば式XIIの化合物:
【0054】
【化9】

【0055】
(式中、R1およびR2は前記に定義したとおりである)をハロゲン化することにより製造できる。
好都合なハロゲン化剤には、無機酸ハロゲン化物、たとえば塩化チオニル、塩化リン(III)、オキシ塩化リン(V)および塩化リン(V)が含まれる。このハロゲン化反応は、不活性溶媒または希釈剤、たとえば塩化メチレン、トリクロロメタンもしくは四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒、またはベンゼンもしくはトルエンのような芳香族炭化水素の存在下で行うのが好都合である。この反応は、たとえば10〜150℃、好ましくは40〜100℃の温度で行うのが好都合である。
【0056】
本発明の他の態様をなす式XIIの化合物およびその塩類は、たとえば式XIIIの化合物:
【0057】
【化10】

【0058】
(式中、R1およびL1は前記に定義したとおりである)を、前記に定義した式IXの化合物と反応させることにより製造できる。この反応は、塩基(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、かつ有利には不活性溶媒または希釈剤(前記に方法(a)において定義したもの)の存在下に、有利にはたとえば10〜150℃、好都合には約100℃の温度で行うのが好都合であろう。
【0059】
式XIIの化合物およびその塩類は、式XIVの化合物:
【0060】
【化11】

【0061】
(式中、R1およびR2は前記に定義したとおりであり、A1はヒドロキシ、アルコキシ(好ましくはC1〜4アルコキシ)またはアミノ基である)を環化し、これにより式XIIの化合物またはその塩類を形成することによっても製造できる。環化は、A1がヒドロキシまたはアルコキシ基である式XIVの化合物を、ホルムアミドまたは環化させるのに有効なその均等物と反応させ、これにより式XIIの化合物またはその塩、たとえば塩化[3−(ジメチルアミノ)−2−アザプロプ−2−エニリデン]ジメチルアンモニウムを得ることにより行うことができる。この環化は、溶媒としてのホルムアミドの存在下で、または不活性溶媒もしくは希釈剤、たとえば1,4−ジオキサンの存在下で行うのが好都合である。この環化は、好ましくは80〜200℃の高温で行うのが好都合である。式XIIの化合物は、A1がアミノ基である式XIVの化合物を、ギ酸または環化させるのに有効なその均等物により環化し、これにより式XIIの化合物またはその塩を得ることによっても製造できる。環化させるのに有効なギ酸の均等物には、たとえばトリ−C1〜4アルコキシメタン、たとえばトリエトキシメタンおよびトリメトキシメタンが含まれる。この環化は、触媒量の無水の酸、たとえばスルホン酸、たとえばp−トルエンスルホン酸の存在下で、かつ不活性溶媒または希釈剤、たとえば塩化メチレン、トリクロロメタンもしくは四塩化炭素のようなハロゲン化溶媒、ジエチルエーテルもしくはテトラヒドロフランのようなエーテル類、またはトルエンのような芳香族炭化水素の存在下で行うのが好都合である。この環化は、たとえば10〜100℃、好ましくは20〜50℃の温度で行うのが好都合である。
【0062】
本発明の他の態様をなす式XIVの化合物およびその塩類は、たとえば式XVの化合物:
【0063】
【化12】

【0064】
(式中、R1、R2およびA1は前記に定義したとおりである)中のニトロ基を還元して、前記に定義した式XIVの化合物を得ることにより製造できる。ニトロ基の還元は、このような変換につき知られているいかなる方法でも好都合に行うことができる。この還元は、たとえば上記ニトロ化合物の溶液を前記に定義した不活性溶媒または希釈剤の存在下で、水素化反応を触媒するのに有効な金属、たとえばパラジウムまたは白金の存在下に水素化することにより行うことができる。他の還元剤は、たとえば活性化した金属、たとえば活性化した鉄(鉄粉を塩酸のような酸の希溶液で洗浄することにより調製)である。この還元は、たとえば上記ニトロ化合物および活性化した金属を、溶媒または希釈剤、たとえば水とアルコール(たとえばメタノールまたはエタノール)の混合物の存在下に、たとえば50〜150℃、好都合には約70℃の温度に加熱することにより行うことができる。
【0065】
本発明の他の態様をなす式XVの化合物およびその塩類は、たとえば式XVIの化合物:
【0066】
【化13】

【0067】
(式中、R1、L1およびA1は前記に定義したとおりである)を前記に定義した式IXの化合物と反応させて、式XVの化合物を得ることにより製造できる。式XVIの化合物と式IXの化合物の反応は、前記方法(d)に記載した条件下で行うのが好都合である。
【0068】
式XVの化合物およびその塩類は、たとえば式XVIIの化合物:
【0069】
【化14】

【0070】
(式中、R1およびA1は前記に定義したとおりである)を前記に定義した式VIIの化合物と反応させて、前記に定義した式XVの化合物を得ることによっても製造できる。式XVIIの化合物と式VIIの化合物の反応は、前記方法(c)に記載した条件下で行うのが好都合である。
【0071】
式IIIの化合物およびその塩類は、たとえば式XVIIIの化合物:
【0072】
【化15】

【0073】
(式中、R1は前記に定義したとおりであり、L2は置換可能な保護部分である)を前記に定義した式VIIの化合物と反応させ、これによりL1がL2で表される式IIIの化合物を得ることによっても製造できる。
【0074】
式XVIIIにおいてL2がフェノキシ基を表す化合物を用いるのが好都合であり、この基は所望によりハロゲノ、ニトロおよびシアノから選択される最高5個、好ましくは最高2個の置換基を保有しうる。この反応は、前記方法(c)に記載した条件下で行うのが好都合であろう。
【0075】
前記に定義した式XVIIIの化合物およびその塩類は、たとえば式XIXの化合物:
【0076】
【化16】

【0077】
(式中、R1、PおよびL2は前記に定義したとおりである)を脱保護することにより製造できる。脱保護は文献中に周知の方法で行うことができる。たとえばPがベンジル基を表す場合、脱保護は水素化分解またはトリフルオロ酢酸を用いる処理により行うことができる。
【0078】
所望により式IIIのある化合物を、L1部分が異なる他の式IIIの化合物に変換することができる。たとえばL1がハロゲノ以外、たとえば所望により置換されたフェノキシである式IIIの化合物は、以下の方法でL1がハロゲンを表す式IIIの化合物に変換することができる:式IIIの化合物(L1がハロゲノ以外である)を加水分解して前記に定義した式XIIの化合物となし、次いでこうして得られた前記に定義した式XIIの化合物にハライドを導入して、L1がハロゲンを表す式IIIの化合物を得る。
【0079】
(ii)式Vの化合物およびその塩類は本発明の他の態様をなし、たとえば前記に定義した式IIIの化合物を式XXの化合物:
【0080】
【化17】

【0081】
(式中、R3およびPは前記に定義したとおりである)と反応させることにより製造できる。この反応は、たとえば前記方法(a)の記載に従って行うことができる。
式Vの化合物およびその塩類は、式XXIの化合物:
【0082】
【化18】

【0083】
(式中、R1、L1、R3およびPは前記に定義したとおりである)を前記に定義した式IXの化合物と反応させることによっても製造できる。この反応は、たとえば前記方法(d)の記載に従って行うことができる。
【0084】
式Vの化合物およびその塩類は、式XXIIの化合物:
【0085】
【化19】

【0086】
(式中、R1、R3およびPは前記に定義したとおりである)を前記に定義した式VIIの化合物と反応させることによっても製造できる。この反応は、たとえば前記方法(c)の記載に従って行うことができる。
【0087】
式XXIの化合物およびその塩類は、たとえば式XXIIIの化合物:
【0088】
【化20】

【0089】
(式中、R1およびL1は前記に定義したとおりであり、4−および7−位のL1は同一でもよく、異なってもよい)を前記に定義した式XXの化合物と反応させることにより製造できる。この反応は、たとえば前記(a)に記載した方法で行うことができる。
【0090】
式XXIIの化合物およびその塩類は、前記に定義した式XIXの化合物と式XXの化合物を前記(a)に記載した条件下で反応させて、式XXIVの化合物:
【0091】
【化21】

【0092】
(式中、R1、R3およびPは前記に定義したとおりである)となし、次いで式XXIVの化合物をたとえば前記(i)の記載に従って脱保護することにより製造できる。
(iii)前記に定義した式VIの化合物およびその塩類は、式XXVの化合物:
【0093】
【化22】

【0094】
(式中、R1、R3およびPは前記に定義したとおりである)を、たとえば前記(i)に記載した方法で脱保護することにより製造できる。
式XXVの化合物およびその塩類は、前記に定義した式XIXの化合物と式IVの化合物を前記(a)に記載した条件下で反応させて、式XXVの化合物またはその塩類を得ることにより製造できる。
【0095】
(iv)前記に定義した式VIIIの化合物およびその塩類は、前記に定義した式XXIIIの化合物と式IVの化合物を反応させることにより製造でき、この反応はたとえば前記(a)に記載した方法で行うことができる。
【0096】
(v)前記に定義した式Xの化合物およびその塩類は、前記に定義した式VIの化合物を式XXVIの化合物:

1−R6−L1 (XXVI)

(式中、L1およびR6は前記に定義したとおりである)と反応させて、式Xの化合物となすことにより製造できる。この反応は、たとえば前記(c)に記載した方法で行うことができる。
【0097】
式Xの化合物およびその塩類は、たとえば式XXVIIの化合物:
【0098】
【化23】

【0099】
(式中、L1、R6、R1、R3およびPは前記に定義したとおりである)をたとえば前記(b)に記載した方法で脱保護することによっても製造できる。
式XXVIIの化合物およびその塩類は、前記に定義した式XXIIの化合物と式XXVIの化合物を前記(c)に記載した条件下で反応させることにより製造できる。
【0100】
式Iの化合物の薬剤学的に許容しうる塩類が必要である場合、それはたとえばその化合物をたとえば酸と常法により反応させることによって得られる。この酸は、薬剤学的に許容しうるアニオンを含むものである。
【0101】
本明細書に定義した多くの中間体、たとえば式III、V、XII、XIVおよびXVの中間体は新規であり、これらは本発明の他の態様として提供される。
式VI、VIII、X、XXI、XXII、XXIV、XXVおよびXXVIIの中間体も本発明の他の態様として提供される。
【0102】
VEGF受容体、たとえばFltおよび/またはKDRに関連するチロシンキナーゼ活性を有効に阻害し、脈管形成および/または脈管透過性増大を阻害する化合物の同定が望まれており、これは本発明の目的である。これらの特性は、たとえば以下に述べる1またはそれ以上の方法で評価できる:
(a)インビトロ受容体チロシンキナーゼ阻害試験
このアッセイ法では、被験化合物がチロシンキナーゼ活性を阻害する効力を測定する。VEGFまたは上皮増殖因子(EGF)受容体細胞質ドメインをコードするDNAは、全遺伝子合成(Edwards M,International Biotechnology Lab 5(3),19-25,1987)またはクローン化により得ることができる。次いでこれらを適した発現系中で発現させて、チロシンキナーゼ活性をもつポリペプチドを得る。たとえば、昆虫細胞中での組換えタンパク質の発現により得られたVEGFおよびEGF受容体細胞質ドメインは、固有のチロシンキナーゼ活性を示すことが認められた。VEGF受容体Flt(遺伝子バンク受託番号X51602)の場合、Shibuyaらが記載した(Oncogene,1990,5:519-524)、細胞質ドメインの大部分(メチオニン783で始まり、終止コドンを含む)をコードする1.7kbのDNAフラグメントがcDNAから単離され、バキュロウイルス−トランスプレイスメント(transplacement)ベクター(たとえばpAcYM1(Baculovirus Expression System:A Laboratory Guide,L.A.King and R.D.Possee,チャップマン・アンド・ホール,1992参照)またはpAc360もしくはpBlueBacHis(インビトローゲン・コーポレーションから入手できる))中へクローン化された。この組換え構築体を昆虫細胞(たとえばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)21(Sf21))中へウイルスDNA(たとえばファーミンゲン(Pharmingen)BaculoGold)と同時トランスフェクションして、組換えバキュロウイルスを調製した(組換えDNA分子の組立て方法、ならびに組換えバキュロウイルスの調製および使用の詳細は、標準的テキスト、たとえばSambrook et al.,1989,Molecular cloning - A Laboratory Manual,第2版,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、およびO'Reilly et al.,1992,Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory Manual,W.H.フリーマン・アンドCo,ニューヨークにみられる)。アッセイに用いる他のチロシンキナーゼについては、メチオニン806から始まる細胞質フラグメント(KDR、遺伝子バンク受託番号L04947)およびメチオニン668から始まるフラグメント(EGF受容体、遺伝子バンク受託番号X00588)を同様にクローン化し、発現させることができる。
【0103】
cFltチロシンキナーゼ活性を発現させるために、Sf21細胞にプラークピュア(plaque-pure)cFlt組換えウイルスを3回複数感染させ、48時間後に収集した。収集した細胞を氷冷リン酸緩衝塩類溶液(PBS)(10mMリン酸ナトリウムpH7.4,138mM NaCl,2.7mM KCl)で洗浄し、次いで氷冷HNTG/PMSF(20mM Hepes pH7.5,150mM NaCl,10% v/v グリセリン,1% v/v トリトン(Triton)X100,1.5mM MgCl2,1mMエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N′,N′−四酢酸(EGTA),1mM PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル);使用直前にPMSFを、新たに調製したメタノール中100mM溶液から添加)に、細胞1000万個当たり1mlのHNTG/PMSFを用いて懸濁した。この懸濁液を13,000rpmで4℃において10分間遠心分離し、上澄み液(酵素原液)を取り出し、アリコートとして−70℃に貯蔵した。アッセイに際しては、酵素原液の新たな各バッチを酵素希釈用液(100mM Hepes pH7.4,0.2mM Na3VO4,0.1% v/v トリトンX100,0.2mMジチオトレイトール)で希釈して測定した。典型的バッチにつき、酵素原液を酵素希釈用液で1/2000に希釈し、希釈酵素50μlを各アッセイウェルに用いる。
【0104】
チロシンを含有するランダムコポリマー、たとえばポリ(Glu、Ala、Tyr)6:3:1(シグマP3899)から基質原液を調製し、PBS中1mg/ml原液として−20℃に貯蔵し、プレートコーティング用にPBSで1/500に希釈した。
【0105】
アッセイ前日に、アッセイプレート(ナンク(Nunc maxisorp)96ウェルイムノプレート)のすべてのウェルに100μlの希釈基質溶液を分注し、シールし、4℃に一夜放置した。
【0106】
アッセイ当日、基質溶液を捨て、アッセイプレートウェルをPBST(0.05% v/v ツイーン(Tween)20を含有するPBS)で1回、そして50mM Hepes pH7.4で1回洗浄した。
【0107】
被験化合物を10%ジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、洗浄したアッセイプレートのウェルに25μlの希釈化合物を移した。“全”対照ウェルは化合物の代わりに10%DMSOを含有していた。8μMアデノシン−5′−三リン酸(ATP)を含有する40mM MnCl2 25μlを、ATPなしのMnCl2が装入された“ブランク”対照以外のすべての試験ウェルに添加した。反応を開始するために、新たに希釈した酵素50μlを各ウェルに添加し、プレートを室温で20分間インキュベートした。次いで液体を捨て、ウェルをPBSTで2回洗浄した。0.5% w/v ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSTで1/6000に希釈したマウスIgG抗−ホスホチロシン抗体(アップステート・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)社、製品05−321)100μlを各ウェルに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした後、液体を捨て、ウェルをPBSTで2回洗浄した。0.5% w/v BSAを含有するPBSTで1/500に希釈したセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)−結合ヒツジ抗−マウスIg抗体(アマシャム(Amersham)製品NXA 931)100μlを添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした後、液体を捨て、ウェルをPBSTで2回洗浄した。新たに調製した50mMリン酸−クエン酸緩衝液pH5.0+0.03%過ホウ酸ナトリウム(蒸留水100ml当たり1個の過ホウ酸ナトリウム含有リン酸緩衝剤(PCSB)カプセル(シグマP4922)を用いて調製)50ml中に1個の2,2′−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)50mg錠(ベーリンガー1204 521)を用いて新たに調製したABTS溶液100μlを、各ウェルに添加した。次いで、プレート読取り用分光光度計を用いて405nmで測定した“全”対照ウェルの光学濃度値が約1.0になるまで、プレートを室温で20〜60分間インキュベートした。“ブランク”(ATPなし)と“全”(化合物なし)対照の数値を用いて、酵素活性の50%阻害率を与える被験化合物の希釈範囲を判定した。
b)インビトロHUVEC増殖のアッセイ
このアッセイでは、被験化合物が増殖因子刺激によるヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の増殖を阻害する効力を測定する。
【0108】
HUVEC細胞をMCDB 131(ギブコBRL)+7.5% v/v ウシ胎児血清(FCS)中に単離し、MCDB 131(ギブコBRL)+2% v/v FCS+3μg/mlヘパリン+1μg/mlヒドロコルチゾン中において、96ウェルプレート中、ウェル当たり細胞1000個の濃度で、平面培養した(2〜8代)。最低4時間後、それらに適切な増殖因子(たとえばVEGF 3ng/ml、EGF 3ng/ml、またはb−FGF 0.33ng/ml)および化合物を添加した。次いで培養物を37℃、7.5%CO2で4日間インキュベートした。4日目に培養物をウェル当たり1μCiのトリチウム化チミジン(アマシャム製品TRA61)でパルス処理し、4時間インキュベートした。96ウェルプレート収集装置(トムテク(Tomtek))で細胞を収集し、次いでベータ(Beta)プレート計数器でトリチウムの取込みをアッセイした。細胞への放射能の取込み(cpm)を利用して、化合物による増殖因子刺激性細胞増殖の阻害を測定した。
(c)インビボラット子宮水腫のアッセイ
この試験では、化合物がエストロゲン刺激後最初の4〜6時間で起きるラットの短時間子宮重量増加を低下させる効力を測定する。この初期の子宮重量増加が子宮血管系の透過性増大によることは以前から知られており、最近Cullinan-BoveとKoos(Endocrinology,1993,133:829-837)が子宮のVEGF mRNAの発現増大と密接な一時的関係のあることを証明した。本発明者らは、ラットを予めVEGFに対する中和モノクローナル抗体で処理しておくと短時間の子宮重量増加が有意に低下することを見出し、重量増加が実質的にVEGFにより仲介されることを確認した。
【0109】
20〜22日齢のラットの群を、溶媒中の安息香酸エストラジオール(ラット1匹当たり2.5μg)または溶媒のみで、1回皮下投与により処理した。後者を、刺激していない対照として用いた。安息香酸エストラジオール投与前の種々の時点で、被験化合物 を経口投与した。安息香酸エストラジオール投与の5時間後、ラットを安楽に屠殺し、それらの子宮を切除し、ふき取り、秤量した。被験化合物および安息香酸エストラジオールで処理した群と安息香酸エストラジオールのみで処理した群との子宮重量増加を、スチューデント(Student)T試験により比較した。p<0.05の場合、安息香酸エストラジオールの作用の阻害は有意であるとみなされる。
【0110】
本発明の他の態様によれば、前記に定義した式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩、および薬剤学的に許容しうる賦形剤またはキャリヤーを含む、薬剤組成物が提供される。
【0111】
この組成物は、経口投与に適した、たとえば錠剤もしくはカプセル剤としての形態、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、脈管内、または注入)に適した、たとえば無菌の液剤、懸濁液剤もしくは乳剤としての形態、局所投与に適した、たとえば軟膏剤もしくはクリーム剤としての形態、または直腸投与に適した、たとえば坐剤としての形態であってもよい。一般に上記組成物は、慣用される賦形剤を用いて常法により調製できる。
【0112】
本発明組成物は、有利には単位用量剤形で提供される。本発明化合物は普通は温血動物に、動物の体表面積1m2当たり5〜5000mg、すなわち約0.1〜100mg/kgの単位用量で投与されるであろう。たとえば1〜100mg/kg、好ましくは1〜50mg/kgの単位用量が予想され、これが普通は療法に有効な量となる。錠剤またはカプセル剤のような単位用量剤形は、通常はたとえば1〜250mgの有効成分を含有するであろう。
【0113】
本発明の他の態様によれば、人体または動物体の療法による処置方法に使用するための、前記に定義した式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩が提供される。
本発明者らは、本発明化合物がVEGF受容体チロシンキナーゼ活性を阻害し、したがってそれらの抗脈管形成作用および/またはそれらの脈管透過性低下効力のため重要であることを見出した。
【0114】
本発明の他の態様は、医薬として使用するための式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩、好ましくは、温血動物、たとえばヒトにおいて抗脈管形成作用および/または脈管透過性低下作用を生じるための医薬として使用するための式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩である。
【0115】
したがって本発明の他の態様によれば、温血動物、たとえばヒトにおいて抗脈管形成作用および/または脈管透過性低下作用を生じるための医薬の製造における、式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩の使用が提供される。
【0116】
本発明の他の態様によれば、抗脈管形成作用および/または脈管透過性低下作用を、その処置を必要とする温血動物、たとえばヒトにおいて生じる方法であって、該動物に有効量の前記に定義した式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩を投与することを含む方法が提供される。
【0117】
前記のように、個々の疾病状態を治療または予防処置するのに必要な用量は、処置される対象、投与経路、および処置される疾病の程度に応じて、必然的に異なるであろう。好ましくは1〜50mg/kgの1日量が用いられる。しかしこの1日量は、処置される対象、個々の投与経路、および処置される疾病の程度に応じて、必然的に異なるであろう。したがって最適量は、個々の患者を処置する医師が決定できる。
【0118】
前記に定義した抗脈管形成および/または脈管透過性低下処置は、唯一の療法として適用でき、または本発明化合物のほかに、1種類もしくはそれ以上の他の物質および/または処置を伴うことができる。このような併用処置は、処置の各構成要素を同時、順次、または別個に施すことにより達成できる。腫瘍医学の分野では、癌患者それぞれを処置するために異なる形態の処置を併用するのは普通に行われる。腫瘍医学においては、前記に定義した抗脈管形成および/または脈管透過性低下処置のほかに施すこのような併用処置の他の構成要素(1種類またはそれ以上)は、外科処置、放射線療法または化学療法であってもよい。このような化学療法は療法薬の3つの主カテゴリーを含むことができる:
(i)前記に定義したものと異なる機構で作用する他の抗脈管形成薬(たとえばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害薬、アンギオスタチン(angiostatin)、ラゾキシン(razoxin)、サリドマイド);
(ii)細胞増殖抑制薬、たとえば抗エストロゲン薬(たとえばタモキシフェン(tamoxifen)、トレミフェン(toremifen)、ラロキシフェン(raloxifen)、ドロロキシフェン(droloxifen)、ヨードキシフェン(iodoxyfen))、プロゲストーゲン(たとえば酢酸メゲストロール(megestrol acetate))、アロマターゼ阻害薬(たとえばアナストロゾール(anastrozole)、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(vorazole)、エキセメスタン(exemestane))、抗プロゲストーゲン薬、抗アンドロゲン薬(たとえばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、酢酸シプロテロン(cyproterone acetate))、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト(たとえば酢酸ゴセレリン(goserelin acetate)、ルプロリド(luprolide))、テストステロン5α−ジヒドロレダクターゼ阻害薬(たとえばフィナステリド(finasteride))、抗侵襲薬(anti-invasion agent)(たとえばマリマスタット(marimastat)のようなメタロプロテイナーゼ阻害薬、およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害薬)、および増殖因子機能の阻害薬(このような増殖因子には、たとえば血小板由来の増殖因子および肝細胞増殖因子が含まれ、このような阻害薬には、増殖因子の抗体、増殖因子受容体の抗体、チロシンキナーゼ阻害薬、およびセリン/トレオニンキナーゼ阻害薬が含まれる);ならびに
(iii)腫瘍医学において用いられる抗増殖/抗腫瘍薬およびその組合わせ、たとえば代謝拮抗薬(たとえばメトトレキセートのような抗葉酸薬、5−フルオロウラシルのようなフルオロピリミジン類、プリンおよびアデノシンの類似体、シトシンアラビノシド);抗腫瘍性抗生物質(たとえばアントラサイクリン、たとえばドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ミトラマイシン);白金誘導体(たとえばシスプラチン、カルボプラチン);アルキル化剤(たとえばナイトロジェンマスタード、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil)、ブスルファン(busulphan)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、イフォスファミド(ifosfamide)、ニトロソ尿素、チオテパ(thiotepa));抗有糸分裂薬(たとえばビンクリスチンのようなビンカアルカロイド、およびタキソール(taxol)、タキソテレ(taxotere)のようなタキソイド);トポイソメラーゼ阻害薬(たとえばエピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxin)類、たとえばエトポシド(etoposide)およびテニポシド(teniposide)、アムサクリン(amsacrine)、トポテカン(topotecan))。
【0119】
前記のように、本発明において定義した化合物は、それらの抗脈管形成作用および/または脈管透過性低下作用で重要である。したがってそれらの本発明化合物は、癌、糖尿病、乾癬、慢性関節リウマチ、カポージ肉腫、血管腫、急性および慢性腎症、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性炎症、ならびに網膜脈管増殖を伴う眼疾患を含めた広範な疾病状態に有用である。特にこのような本発明化合物は、たとえば結腸、胸部、前立腺、肺および皮膚の原発性および再発性の充実性腫瘍の増殖を有利に遅延させると期待される。より具体的には、このような本発明化合物はVEGF関連の原発性および再発性の充実性腫瘍、特に結腸、胸部、前立腺、肺、外陰および皮膚の特定の腫瘍を含めて、それらの増殖および拡散につきVEGFに有意に依存している腫瘍の増殖を阻害すると期待される。
【0120】
さらに、本発明化合物は特に、VEGFが脈管形成の重要な関与因子であって、EGFが脈管形成に関与する程度はVEGFより低い、前記に挙げたいずれかの疾病状態、たとえば癌に有用であろう。
【0121】
本発明の式Iの化合物およびそれらの薬剤学的に許容しうる塩類は、療法薬としてのそれらの使用のほか、新規な療法薬探索の一部として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスなどの実験動物においてVEGF受容体チロシンキナーゼ活性の作用を評価するためのインビトロおよびインビボ試験系を開発および基準化する際の薬理学的道具としても有用である。
【0122】
本明細書中のいずれかで“エーテル”という用語を用いる場合、それはジエチルエーテルを意味すると解すべきである。
【実施例】
【0123】
本発明を、限定ではない以下の実施例中に説明する。実施例中、別途記載しない限り、以下のとおりである:
[(i)蒸発は真空回転蒸発により行われ、仕上げ処理は乾燥剤などの残留固体をろ過により除去した後に行われた;
(ii)操作は周囲温度、すなわち18〜25℃で、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に行われた;
(iii)カラムクロマトグラフィー(フラッシュ法による)および中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)は、メルク・キーゼルゲル(Merck Kieselgel)シリカ(Art.9385)またはメルク・リヒロプレプ(Merck Lichroprep)(Art.9303)逆相シリカ(E.メルクより入手、ドイツ、ダルムシュタット)上で行われた;
(iv)収率は説明のために示すのであって、必ずしも達成可能な最大ではない;
(v)融点は未補正であり、メツラー(Mettler)SP62自動融点測定装置、油浴装置、またはコフラー(Koffler)ホットプレート装置を用いて測定された;
(vi)式Iの最終生成物の構造は核(一般にプロトン)磁気共鳴(NMR)法および質量分析法により確認された;プロトン磁気共鳴化学シフト値をδスケールで測定し、ピーク多重度を以下により示す:s,一重線;d,二重線;t,三重線;m,多重線;br,幅広い;q,四重線;
(vii)中間体は一般に完全には解明されず、純度は薄層クロマトグラフィー(TLC)、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外(IR)またはNMR分析により評価された;
(viii)以下の略号を用いた:−
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
THF テトラヒドロフラン
NMP 1−メチル−2−ピロリジノン
TFA トリフルオロ酢酸]

実施例1
イソプロパノール(20ml)中における塩酸4−クロロ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(624mg,2.27mmol)および4−クロロ−2−フルオロアニリン(305μl,2.6mmol)の溶液を、30分間加熱還流した。溶媒を蒸発により除去し、残留物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物をエーテルで摩砕処理して、4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(662mg,84%)を白色固体として得た。
融点140〜141℃
【0124】
【化24】

【0125】
出発物質は下記に従って製造された:
ホルムアミド(30ml)中における2−アミノ−4−フルオロ安息香酸(3g,19.3mmol)の溶液を、150℃に6時間加熱した。反応混合物を氷/水(1/1)(250ml)に注いだ。沈殿した固体をろ過により採集し、水で洗浄し、乾燥させて、7−フルオロ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(2.6g,82%)を得た。
【0126】
ナトリウム(400mg,17mmol)を慎重に2−メトキシエタノール(10ml)に添加し、混合物を30分間加熱還流した。得られた溶液に7−フルオロ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(750mg,4.57mmol)を添加し、混合物を15時間加熱還流した。混合物を冷却させ、水(250ml)に注入した。混合物を濃塩酸でpH4の酸性にした。生じた固体生成物をろ過により採集し、水、次いでエーテルで洗浄し、真空乾燥させて、7−(2−メトキシエトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(580mg,58%)を得た。
【0127】
塩化チオニル(15ml)およびDMF(0.1ml)中における7−(2−メトキシエトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(500mg,2.2mmol)の溶液を、3時間加熱還流した。揮発性成分を蒸発により除去して、塩酸4−クロロ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリンをクリーム色固体(520mg,83%)として得た。

実施例2
イソプロパノール(10ml)中における塩酸4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(342mg,1.3mmol)および2−フルオロ−5−ヒドロキシアニリン(183mg,1.4mmol)の溶液を、2時間加熱還流した。反応混合物を放冷し、沈殿した生成物をろ過により採集し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥させて、塩酸6,7−ジメトキシ−4−(2−フルオロ−5−ヒドロキシアニリノ)キナゾリン(66mg,15%)を固体として得た。
融点219〜220℃
【0128】
【化25】

【0129】
出発物質は下記に従って製造された:
4,5−ジメトキシアントラニル酸(19.7g)およびホルムアミド(10ml)の混合物を、190℃に5時間加熱撹拌した。この混合物を約80℃にまで放冷し、水(50ml)を添加した。混合物を周囲温度で3時間保存した。沈殿を単離し、水で洗浄し、乾燥させて、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(3.65g)を得た。
【0130】
こうして得た物質の一部(2.06g)、塩化チオニル(20ml)およびDMF(1滴)の混合物を2時間、撹拌および加熱還流した。揮発性成分を蒸発により除去して、塩酸4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリンを得た。
【0131】
エタノール(100ml)中の4−クロロ−5−メトキシカルボニルオキシ−2−フルオロニトロベンゼン(1.2g,4.8mmol)(欧州特許第61741 A2号に記載)および木炭上10%パラジウム触媒(500mg)を、1気圧の水素下に18時間撹拌した。さらに木炭上10%パラジウム触媒(500mg)のバッチを添加し、混合物を水素下にさらに3時間撹拌した。けいそう土でろ過することにより触媒を分離し、ろ液から蒸発により溶媒を除去した。残留物を、塩化メチレン/ヘキサン(1/4)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2−フルオロ−5−メトキシカルボニルオキシアニリン(0.42g,47%)を油として得た。
【0132】
【化26】

【0133】
濃アンモニア水(15ml)を、メタノール(10ml)中における2−フルオロ−5−メトキシカルボニルオキシアニリン(400mg,2.16mmol)の溶液に添加した。この混合物を2時間撹拌し、大部分の溶媒を蒸発により除去した。得られた懸濁液を水で希釈し、pH7の酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去して、2−フルオロ−5−ヒドロキシアニリン(200mg,73%)を得た。
【0134】
【化27】

【0135】
実施例3
イソプロパノール(10ml)中における塩酸4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(500mg,1.916mmol)(実施例2の出発物質についての記載に従って製造)、および4−クロロ−3−ヒドロキシアニリン(300mg,2.09mmol)(英国特許第1427658号に記載)の混合物を、2時間加熱還流した。この混合物を放冷し、固体生成物をろ過により採集し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥させて、塩酸4−(4−クロロ−3−ヒドロキシアニリノ)−6,7−ジメトキシ−キナゾリン(605mg,86%)を得た。
融点>250℃
【0136】
【化28】

【0137】
実施例4
2−ブロモエチルメチルエーテル(712μl,7.56mmol)を、DMF(110ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(2.2g,6.88mmol)および炭酸カリウム(2.84g,20.6mmol)の溶液に滴加した。この混合物を60℃で10時間、次いで周囲温度で2日間撹拌し、溶媒を蒸発により除去し、粗生成物を酢酸エチル/石油エーテル(4/1)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。得られた固体を熱エタノールに溶解し、エタノール性塩化水素を添加した。冷後、生じた固体をろ過により採集し、エタノールで洗浄し、真空乾燥させて、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(1.74g,62%)を得た。
融点255〜257℃
【0138】
【化29】

【0139】
出発物質は下記に従って製造された:
ジオキサン(100ml)中における2−アミノ−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンズアミド(J.Med.Chem.1977,vol 20,146-149,10g,0.04mol)およびゴールド試薬(Gold's reagent)(7.4g,0.05mol)の混合物を24時間、撹拌および加熱還流した。酢酸ナトリウム(3.02g,0.037mol)および酢酸(1.65ml,0.029mol)を反応混合物に添加し、さらに3時間加熱した。揮発性成分を蒸発により除去し、残留物に水を添加し、固体をろ過により採集し、水で洗浄し、乾燥させた。酢酸から再結晶して、7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(8.7g,84%)を得た。
【0140】
7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(2.82g,0.01mol)、塩化チオニル(40ml)およびDMF(0.28ml)の混合物を1時間、撹拌および加熱還流した。揮発性成分を蒸発により除去し、残留物をトルエンと共沸蒸留して、塩酸7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(3.45g)を得た。
【0141】
イソプロパノール(40ml)中における塩酸7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(1.2g,3.5mmol)および4−クロロ−2−フルオロアニリン(444μl,4mmol)の溶液を、1.5時間還流した。冷後、沈殿をろ過により採集し、イソプロパノール、次いでエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させて、塩酸7−ベンジルオキシ−4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(1.13g,71%)を得た。
融点239〜242℃
【0142】
【化30】

【0143】
TFA(10ml)中における塩酸7−ベンジルオキシ−4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(892mg,2mmol)の溶液を、50分間還流した。冷後、混合物を氷に注いだ。沈殿をろ過により採集し、メタノール(10ml)に溶解し、アンモニア水でpH11の塩基性にした。蒸発により濃縮した後、固体生成物をろ過により採集し、水、次いでエーテルで洗浄し、真空乾燥させて、4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリンを黄色固体(460mg,72%)として得た。
融点141〜143℃
【0144】
【化31】

【0145】
実施例5
イソプロパノール(7ml)中における塩酸4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(147mg,0.56mmol)(実施例2の出発物質についての記載に従って製造)および4−クロロ−2−フルオロアニリン(82mg,0.56mmol)の混合物を、2時間加熱還流した。この混合物を放冷し、固体生成物をろ過により採集し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥させて、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン(102mg,49%)得た。
【0146】
【化32】

【0147】
実施例6
DMF(0.5ml)中の4−(3−クロロプロピル)モルホリン(J.Am.Chem.Soc.1945,67,736,174mg,1.06mmol)を、DMF(5ml)中における4−(3−t−ブチルジフェニルシリルオキシ−4−メチルアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(471mg,0.88mmol)および炭酸カリウム(200mg,1.45mmol)の懸濁液に、撹拌下で添加した。次いでこの混合物を100℃に2.5時間加熱した。溶媒を蒸発により除去し、残留物を塩化メチレンと水の間で分配した。生成物を塩化メチレンで抽出し、抽出液を合わせて相分離用ペーパーに導通した。溶媒を蒸発により除去して、黄色の油を得た。この油をTHF(4ml)に溶解し、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(THF中の1M溶液2ml,2mmol)を添加した。混合物を周囲温度で72時間撹拌し、溶媒を蒸発により除去し、残留物を塩化メチレンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の間で分配した。水相を塩化メチレンで抽出し(20mlで3回)、抽出液を合わせて相分離用ペーパーに導通し、溶媒を蒸発により除去した。残留物をメタノール/塩化メチレン(1/9)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリンを淡黄色固体(225mg,2工程につき60%)を得た。
【0148】
【化33】

【0149】
出発物質は下記に従って製造された:
7−ベンジルオキシ−6−メトキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(5.18g,18.4mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)、DMF(1ml)および塩化チオニル(70ml)の混合物を、アルゴン下に2時間加熱還流した。混合物を放冷し、過剰の塩化チオニルを蒸発により除去し、残留物をトルエンと共沸蒸留して乾固させた。得られた粗製の塩酸7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリンをイソプロパノール(50ml)に懸濁させ、3−ヒドロキシ−4−メチルアニリン(2.60g,21.1mmol)を添加した。混合物を3時間加熱還流し、次いで放冷した。沈殿をろ過により採集し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥させて、7−ベンジルオキシ−4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(4.7g,60%)を得た。
【0150】
【化34】

【0151】
イミダゾール(1.45g,21.6mmol)を、DMF(50ml)中の7−ベンジルオキシ−4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(4.11g,9.69mmol)に添加し、混合物を完全に溶解するまで周囲温度で撹拌した。塩化t−ブチルジフェニルシリル(2.5ml,9.6mmol)を滴加し、反応混合物を周囲温度で72時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、生成物を塩化メチレンで抽出した。溶媒を蒸発により除去すると、湿った固体が得られた。これをDMF(40ml)とメタノール(40ml)の混合物に溶解した。木炭上10%パラジウム触媒(500mg)を添加し、混合物を1気圧の水素下に36時間撹拌した。けいそう土でろ過することにより触媒を分離し、ろ液から溶媒を蒸発により除去した。粗生成物を、メタノール/塩化メチレン(1/9)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−t−ブチルジフェニルシリルオキシ−4−メチルアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(2.2g,2工程につき42%)を黄色固体として得た。
【0152】
【化35】

【0153】
実施例7
メタノール(5ml)、トリクロロメタン(5ml)およびDMF(1ml)中における塩酸7−(3−ベンジルオキシプロポキシ)−4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(180mg,0.4mmol)および木炭上5%パラジウム触媒(50mg)の混合物を、1気圧の水素下に2時間撹拌した。けいそう土でろ過することにより触媒を分離し、溶媒を蒸発により除去した。残留物を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム水溶液の間で分配し、有機相を分離し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して、4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン(48mg,33%)を得た。
融点199〜201℃
【0154】
【化36】

【0155】
出発物質は下記に従って製造された:
3−ベンジルオキシ−1−プロパノール(150μl,0.9mmol)の溶液を、塩化メチレン(20ml)中のトリブチルホスフィン(376mg,1.9mmol)および4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(200mg,0.63mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)に5℃で添加した。得られた混合物に1,1′−アゾジカルボニルジピペリジン(480mg,1.9mmol)を添加し、混合物を5℃で1時間撹拌し、周囲温度にまで昇温させ、一夜撹拌した。エーテル(10ml)を添加し、混合物を15分間撹拌し、沈殿した固体をろ過により分離した。揮発性成分をろ液から蒸発により除去し、残留物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機相を分離し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物をアセトンに溶解し、エーテル中の塩化水素(1M溶液0.6ml,0.6mmol)を添加した。生じた沈殿をろ過により採集し、乾燥させて、塩酸7−(3−ベンジルオキシプロポキシ)−4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(90mg,31%)を得た。
【0156】
【化37】

【0157】
実施例8
塩酸4−(2−クロロエチル)モルホリン(40mg,2.1mmol)を、DMF(3ml)中の4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(63mg,0.2mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)および炭酸カリウム(95mg,0.69mmol)に添加し、混合物を100℃に3時間加熱した。混合物を放冷し、揮発性成分を蒸発により除去し、残留物を水と塩化メチレンの間で分配した。有機相を分離し、相分離用ペーパーに導通し、溶媒を蒸発により除去した。残留物をアセトンに溶解し、エーテル中の塩化水素(1M溶液0.2ml,0.2mmol)を添加した。沈殿をろ過により採集し、乾燥させて、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン(50mg,50%)を得た。
【0158】
【化38】

【0159】
実施例9
4−(3−クロロプロピル)モルホリン(J.Am.Chem.Soc.1945,67,736,2.26g,13.8mol)を、DMF(100ml)中の4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(2.21g,6.9mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)および炭酸カリウム(6.5g,47mmol)に添加した。この混合物を110℃に4時間加熱し、次いで放冷した。揮発性成分を蒸発により除去し、残留物を水と塩化メチレンの間で分配した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、相分離用ペーパーに導通し、溶媒を蒸発により除去した。残留物を塩化メチレン/メタノール/アンモニア(水溶液)(100/8/1)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物をアセトンおよびイソプロパノールに溶解し、エーテル中の塩化水素(1M溶液4.8ml,4.8mmol)を添加した。沈殿をろ過により採集し、アセトンおよびエーテルで洗浄して、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(2.16g,65%)を得た。
【0160】
【化39】

【0161】
実施例10
濃アンモニア水(8ml)を、トリクロロメタン(24ml)およびメタノール(24ml)の混合物中における4−(3−アセトキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(2.38g,6mmol)の溶液に添加した。この混合物を8時間加熱還流し、揮発性成分を蒸発により除去した。残留物を水で摩砕処理し、生じた固体をろ過により採集し、塩化メチレン/エタノールから再結晶した。生成物を塩化メチレン/エタノール混合物に再溶解し、エタノール中の飽和塩化水素溶液を添加した。溶媒の一部を蒸発により除去し、混合物を冷却させた。生じた沈殿をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(1.68g,80%)を得た。
融点270℃(分解)
【0162】
【化40】

【0163】
出発物質は下記に従って製造された:
無水酢酸(1.9ml,20.3mmol)を、2−メチル−5−ニトロフェノール(2.5g,16.3mmol)および1M水酸化ナトリウム水溶液(24.5ml)の混合物に周囲温度で添加した。この混合物を40分間撹拌し、固体をろ過により除去し、ろ液を酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を合わせてブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去して、2−アセトキシ−4−ニトロトルエン(3.1g,100%)を得た。酢酸エチル(50ml)中におけるこの物質(3.1g,15.9mmol)および木炭上10%パラジウム触媒(0.12g)の混合物を、周囲温度で1気圧の水素下に2時間撹拌した。けいそう土でろ過することにより触媒を分離し、ろ液から溶媒を蒸発により除去して、3−アセトキシ−4−メチルアニリン(2.45g,94%)を得た。
【0164】
7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(2.18g,7.25mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)、3−アセトキシ−4−メチルアニリン(1.32g,8mmol)およびイソプロパノール(50ml)の混合物を1時間、撹拌および加熱還流した。この混合物を周囲温度に冷却させた。沈殿をろ過により採集し、イソプロパノールおよびエーテルで洗浄して、4−(3−アセトキシ−4−メチルアニリノ)−7−ベンジルオキシ−6−メトキシキナゾリンを得た。
【0165】
メタノール(50ml)、DMF(12ml)およびトリクロロメタン(50ml)中における4−(3−アセトキシ−4−メチルアニリノ)−7−ベンジルオキシ−6−メトキシキナゾリン(2.68g,5.75mmol)および木炭上10%パラジウム触媒(0.27g)の混合物を、周囲温度で1.5気圧の水素下に30分間撹拌した。けいそう土でろ過することにより触媒を分離し、ろ液から溶媒を蒸発により除去した。残留物をエーテルで摩砕処理し、ろ過により採集し、減圧下に50℃で乾燥させて、4−(3−アセトキシ−4−メチルアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(2.1g,100%)を得た。
【0166】
炭酸カリウム(2.2g,16mmol)を、DMF(30ml)中における4−(3−アセトキシ−4−メチルアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(1.51g,4mmol)の溶液に添加し、混合物を15分間撹拌した。次いで2−ブロモエチルメチルエーテル(667mg,4,8mmol)を滴加した。この混合物を周囲温度で1時間撹拌し、次いで60℃に17時間加熱し、最後に放冷した。不溶性物質をろ過により除去し、フィルターパッドをDMFで洗浄した。ろ液を酢酸エチルと水の間で分配し、有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物を塩化メチレン/メタノール(95/5、続いて93/7)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製した生成物をエーテルで摩砕処理して、4−(3−アセトキシ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(1.34g,84%)を白色粉末として得た。
融点180〜183℃
【0167】
【化41】

【0168】
実施例11
イソプロパノール(7ml)中における塩酸4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(130mg,0.5mmol)(実施例2の出発物質についての記載に従って製造)および4−ブロモ−2−フルオロアニリン(95mg,0.5mmol)の混合物を、2時間加熱還流した。この混合物を周囲温度にまで放冷し、沈殿した固体をろ過により採集し、イソプロパノールおよびエーテルで洗浄し、乾燥させて、塩酸4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン(124mg,60%)を灰白色固体として得た。
HPLC特性:
カラム:-200×4.6mm C18ODSハイパーシル(Hypersil、シャンドン(Shandon)の商標)逆相、5μm
溶媒:-流量1.5ml/分
0〜3分:- H2O/CH3CN(95/5);0.03Mトリエチルアミン
3〜17分:-濃度勾配H2O/CH3CN(95/5から5/95まで); 定濃度0.03Mトリエチルアミン
保持時間:-13.01分
実施例12
イソプロパノール(7ml)中における塩酸4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(130mg,0.5mmol)(実施例2の出発物質についての記載に従って製造)および2−フルオロ−4−メチルアニリン(63mg,0.5mmol)の混合物を、2時間加熱還流した。この混合物を周囲温度にまで放冷し、沈殿した固体をろ過により採集し、イソプロパノールおよびエーテルで洗浄し、乾燥させて、塩酸4−(2−フルオロ−4−メチルアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン(87mg,50%)を灰白色固体として得た。
HPLC特性:
カラム:-200×4.6mm C18ODSハイパーシル(シャンドンの商標) 逆相、5μm
溶媒:-流量1.5ml/分
0〜3分:- H2O/CH3CN(95/5);0.03Mトリエチルアミン
3〜17分:-濃度勾配H2O/CH3CN(95/5から5/95まで); 定濃度0.03Mトリエチルアミン
保持時間:-12.32分
実施例13
イソプロパノール(7ml)中における塩酸4−クロロ−6,7−ジメトキシキナゾリン(130mg,0.5mmol)(実施例2の出発物質についての記載に従って製造)および3−ヒドロキシ−4−メチルアニリン(62mg,0.5mmol)の混合物を、2時間加熱還流した。この混合物を周囲温度にまで放冷し、沈殿した固体をろ過により採集し、イソプロパノールおよびエーテルで洗浄し、乾燥させて、塩酸6,7−ジメトキシ−4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−キナゾリン(98mg,56%)を灰白色固体として得た。
【0169】
【化42】

【0170】
実施例14
イソプロパノール(7ml)中における塩酸4−クロロ−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(107mg,0.4mmol)(実施例2の出発物質についての記載に従って製造)および4−ブロモ−2−フルオロアニリン(76mg,0.4mmol)の混合物を、2時間加熱還流した。この混合物を周囲温度にまで放冷し、沈殿した固体をろ過により採集し、イソプロパノールおよびエーテルで洗浄し、乾燥させて、塩酸4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(151mg,82%)を灰白色固体として得た。
融点200〜204℃
【0171】
【化43】

【0172】
出発物質は下記に従って製造された:
アセトン(60ml)中における4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸エチル(9.8g,50mmol)、2−ブロモエチルメチルエーテル(8.46ml,90mmol)および炭酸カリウム(12.42g,90mmol)の混合物を、30分間加熱還流した。混合物を放冷し、固体をろ過により除去した。ろ液から揮発性成分を蒸発により除去し、残留物をヘキサンで摩砕処理して、3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)安息香酸エチル(11.3g,89%)を白色固体として得た。
融点57〜60℃
【0173】
【化44】

【0174】
3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)安息香酸エチル(9.5g,37mmol)を少量ずつ、濃硝酸(75ml)に0℃で撹拌下に添加した。混合物を周囲温度にまで昇温させ、さらに90分間撹拌した。混合物を水で希釈し、塩化メチレンで抽出し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物をヘキサンで摩砕処理して、5−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)−2−ニトロ安息香酸エチル(10.6g,95%)を橙色固体として得た。
融点68〜69℃
【0175】
【化45】

【0176】
メタノール(150ml)中における5−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)−2−ニトロ安息香酸エチル(10.24g,34mmol)、シクロヘキサン(30ml)および木炭上10%パラジウム触媒(2.0g)の混合物を、5時間加熱還流した。反応混合物を放冷し、塩化メチレンで希釈した。ろ過により触媒を分離し、ろ液から揮発性成分を蒸発により除去した。残留物を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶して、2−アミノ−5−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)安息香酸エチル(8.0g)を淡黄褐色固体として得た。この生成物にホルムアミド(80ml)を添加し、混合物を170℃に18時間加熱した。約半分の溶媒を高真空下での蒸発により除去し、残留物を一夜放置した。固体生成物をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、乾燥させて、6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(5.3g,2工程につき62%)を灰色固体として得た。
【0177】
【化46】

【0178】
DMF(0.5ml)を、塩化チオニル(50ml)中における6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(5.1g,20mmol)の混合物に添加した。この混合物を3時間、撹拌および加熱還流し、放冷し、過剰の塩化チオニルを蒸発により除去した。残留物を塩化メチレンに懸濁させ、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水相を塩化メチレンで抽出し、抽出液を合わせて乾燥させた(MgSO4)。粗生成物を塩化メチレン/ヘキサンから再結晶して、4−クロロ−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(2.8g,51%)を細かい白色固体として得た。
【0179】
【化47】

【0180】
実施例15
イソプロパノール(7ml)中における4−クロロ−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(107mg,0.4mmol)(実施例14の出発物質についての記載に従って製造)および2−フルオロ−4−メチルアニリン(50mg,0.4mmol)の混合物を、2時間加熱還流した。この混合物を周囲温度にまで放冷し、沈殿した固体をろ過により採集し、イソプロパノールおよびエーテルで洗浄し、乾燥させて、塩酸4−(2−フルオロ−4−メチルアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(95mg,60%)を灰白色固体として得た。
HPLC特性:
カラム:-200×4.6mm C18ODSハイパーシル(シャンドンの商標) 逆相、5μm
溶媒:-流量1.5ml/分
0〜3分:- H2O/CH3CN(95/5);0.001Mトリエチルアミン
3〜17分:-濃度勾配H2O/CH3CN(95/5から5/95まで); 定濃度0.001Mトリエチルアミン
保持時間:-10.46分
実施例16
イソプロパノール(20ml)中における塩酸4−クロロ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(450mg,1.6mmol)(実施例1の出発物質についての記載に従って製造)および3−ヒドロキシ−4−メチルアニリン(280mg,2.27mmol)の混合物を、30分間加熱還流した。溶媒を蒸発により除去し、残留物をイソプロパノールで摩砕処理した。生じた固体をろ過により採集し、イソプロパノールで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−(3−ヒドロキシ−4−メチルアニリノ)−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン(428mg,74%)を得た。
【0181】
【化48】

【0182】
実施例17
塩化メチレン(1ml)中における1−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルピペラジン(112mg,0.78mmol)の溶液を、塩化メチレン(10ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシ−キナゾリン(225mg,0.7mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)およびトリブチルホスフィン(420mg,2.1mmol)の懸濁液に撹拌下で添加した。次いでこの混合物に1,1′−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(525mg,2.1mmol)を少量ずつ添加した。得られた透明な淡黄色溶液を3.5時間撹拌し、次いで一夜放置した。反応混合物をエーテル(8ml)で反応停止し、沈殿をろ過により除去した。ろ液から溶媒を蒸発により除去し、残留物をアセトンに溶解し、塩酸塩が沈殿するまで1Mエーテル性塩化水素で処理した。沈殿をろ過により採集し、メタノールに溶解し、次いで過剰のトリエチルアミンで塩基性にした。揮発性成分を蒸発により除去し、残留物を塩化メチレン/メタノール/0.88アンモニア水(100/8/1)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られた精製された油をエーテルで摩砕処理し、ろ過により採集し、乾燥させて、4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン(79mg,25%)を白色固体として得た。
融点173〜175℃
【0183】
【化49】

【0184】
出発物質は下記に従って製造された:
2−ブロモエタノール(2.36g,19mmol)を、無水エタノール(150ml)中における1−メチルピペラジン(1.26g,13mmol)および炭酸カリウム(5.0g,36mmol)の混合物に滴加し、混合物を18時間加熱還流した。この混合物を放冷し、沈殿をろ過により除去し、溶媒の揮発性成分を蒸発により除去した。残留物をアセトン/塩化メチレンで処理し、不溶分をろ過により除去し、ろ液から溶媒を蒸発により除去して、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルピペラジン(870mg,48%)を淡褐色の油として得た。
【0185】
【化50】

【0186】
実施例18
DMF(20ml)中における4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(2.5g,7.41mmol)および4−ブロモ−2−フルオロアニリン(1.55g,8.15mmol)の溶液を、150℃に4時間加熱した。混合物をエーテル(200ml)で希釈し、生じた沈殿をろ過により採集した。この固体を塩化メチレンと水の間で分配し、水相を1M水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物を塩化メチレン/メタノール(9/1)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。精製した固体をメタノールおよび塩化メチレンに溶解し、2.2Mエーテル性塩化水素(3ml)を添加した。揮発性成分を蒸発により除去し、残留物をエーテルに再懸濁させ、ろ過により採集し、真空乾燥して、塩酸4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(1.61g,26%)を得た。
【0187】
【化51】

【0188】
出発物質は下記に従って製造された:
4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸(4.5g,26.8mmol)、塩化3−モルホリノプロピル(9.5g,58.0mmol)(J.Am.Chem.Soc.1945,67,736に従って製造)、炭酸カリウム(8.0g,58mmol)、ヨウ化カリウム(1.0g,0.22mmol)およびDMF(80ml)の混合物を、100℃に3時間、撹拌および加熱した。固体をろ過により除去し、ろ液を蒸発させた。残留物をエーテル(50ml)に溶解し、2M水酸化ナトリウム(50ml)を添加し、混合物を90℃に2時間加熱した。一部を蒸発させた後、混合物を濃塩酸で酸性にし、エーテルで洗浄し、次いでダイアイオン(Diaion)(三菱の商標)HP20SS樹脂カラムで、水、次いで塩酸(pH2)中のメタノールの濃度勾配(0から25%まで)により溶離して精製した。溶媒の一部を蒸発させ、凍結乾燥して、3−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)安息香酸(8.65g,97%)を得た。
【0189】
【化52】

【0190】
発煙硝酸(1.5ml,36.2mmol)を0℃で徐々に、TFA(25ml)中における3−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)安息香酸(7.78g,23.5mmol)の溶液に添加した。冷却浴を取り除き、反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。TFAを蒸発により除去し、残留物に氷を添加した。沈殿をろ過により採集し、最小量の水、続いてトルエンおよびエーテルで洗浄した。この固体を真空下に五酸化リンで乾燥させて、5−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)−2−ニトロ安息香酸(7.54g)を得た。これをさらに精製せずに用いた。
【0191】
【化53】

【0192】
塩化チオニル(15ml)およびDMF(0.05ml)を、5−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)−2−ニトロ安息香酸(7.54g)に添加した。この混合物を50℃に1時間加熱し、過剰の塩化チオニルを蒸発およびトルエンとの共沸(2回)により除去した。生じた固体をTHF(200ml)に懸濁させ、混合物にアンモニアを30分間吹き込んだ。沈殿をろ過により分離し、THFで洗浄した。ろ液を蒸発により濃縮した後、生成物が結晶化し、これをろ過により採集して、5−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)−2−ニトロベンズアミド(5.25g)を淡黄色結晶として得た。これをさらに精製せずに用いた。
【0193】
【化54】

【0194】
濃塩酸(30ml)を、メタノール(150ml)中における5−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)−2−ニトロベンズアミド(5.67g)の懸濁液に添加し、この混合物を60℃に加熱した。5−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)−2−ニトロベンズアミドが溶解した時点で、鉄粉(5.6g,100mmol)を少量ずつ反応混合物に添加し、次いで90分間加熱した。冷却後、けいそう土でろ過することにより不溶分を除去し、揮発性成分をろ液から蒸発により除去し、残留物をダイアイオン(三菱の商標)HP20SS樹脂カラムで、水、次いで塩酸(pH2)により溶離して精製した。該当画分を蒸発により濃縮すると沈殿が生じ、これをろ過により採集し、真空下に五酸化リンで乾燥させて、2−アミノ−5−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)ベンズアミド塩酸塩(4.67g,75%)をベージュ色結晶として得た。
【0195】
【化55】

【0196】
ジオキサン(35ml)中における2−アミノ−5−メトキシ−4−(3−モルホリノプロポキシ)ベンズアミド(4.57g,12.25mmol)およびゴールド試薬(2.6g,15.89mmol)の混合物を、5時間加熱還流した。酢酸(0.55ml)および酢酸ナトリウム(1.0g)を反応混合物に添加し、これをさらに3時間加熱した。この混合物を周囲温度にまで冷却し、揮発性成分を蒸発により除去した。残留物を水酸化ナトリウムでpH7に調整し、次いでダイアイオン(三菱の商標)HP20SS樹脂カラムで、水中のメタノール(濃度勾配0から60%まで)により溶離して精製した。該当画分を蒸発により濃縮すると沈殿が生じ、これをろ過により採集し、真空下に五酸化リンで乾燥させて、6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(3.04g,78%)を白色固体として得た。
【0197】
【化56】

【0198】
6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(638mg,2mmol)および塩化チオニル(8ml)の混合物を、30分間加熱還流した。過剰の塩化チオニルを蒸発およびトルエンとの共沸(2回)により除去した。残留物を塩化メチレンに懸濁させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液を混合物に添加した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物をエーテルで摩砕処理し、固体をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(590mg,87%)を得た。
【0199】
【化57】

【0200】
実施例19
イソプロパノール(5ml)中における塩酸4−クロロ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(238mg,0.69mmol)および4−クロロ−2−フルオロアニリン(145mg,1mmol)の混合物を、1時間加熱還流した。溶媒を蒸発により除去し、残留物を酢酸エチルの間で分配し、水層を炭酸水素ナトリウムでpH8に調整した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物を、塩化メチレン/アセトニトリル/メタノール(60/30/10、続いて60/20/20)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。得られた半精製固体を中性アルミナ上で塩化メチレン/メタノール(95/5)により溶離するクロマトグラフィーによって精製した。得られた白色固体を塩化メチレンに溶解し、4Mエーテル性塩化水素(0.5ml)を添加した。揮発性成分を蒸発により除去し、残留物を塩化メチレン、続いてメタノールおよびエーテルの添加により摩砕処理した。沈殿した固体をろ過により採集し、真空乾燥して、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(35mg,10%)を得た。
【0201】
【化58】

【0202】
出発物質は下記に従って製造された:
金属ナトリウム(2.2g,95mmol)を、周囲温度でベンジルアルコール(50ml)に慎重に添加した。この混合物を周囲温度で30分間撹拌し、次いで80℃に1時間加熱した。混合物を40℃にまで放冷し、7−フルオロ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(3.9g,24mmol)(実施例1の出発物質についての記載に従って製造)を添加した。次いで反応混合物を130℃で4時間、撹拌および加熱し、周囲温度にまで一夜放冷した。この混合物を水で反応停止し、生じた沈殿をエーテル(150ml)の添加により摩砕処理し、ろ過により採集し、60℃で高真空下に4時間乾燥させて、7−ベンジルオキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(5.33g,89%)を得た。
【0203】
7−ベンジルオキシ−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(5.3g,21mmol)を乾燥DMF(50ml)に懸濁させ、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液1g,25mmol)を添加した。水素の発生が止んだ後、反応物を周囲温度にまで放冷し、次いでピバリン酸クロロメチル(4.1g,27mmol)を10分かけて滴加した。混合物を30分間撹拌し、次いでクエン酸水溶液(pH5)(250ml)に注入し、エーテル(300mlで3回)で抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。得られた固体をイソヘキサンで摩砕処理し、ろ過により採集し、真空乾燥して、7−ベンジルオキシ−3−メチルピバロイル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(6.9g,90%)を得た。
【0204】
木炭上5%パラジウム触媒(0.7g,水中50%)を、酢酸エチル(300ml)、メタノール(40ml)、DMF(40ml)および酢酸(0.7ml)中における7−ベンジルオキシ−3−メチルピバロイル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(6.85g,18.7mmol)の溶液に添加した。混合物を大気圧の水素下に4.5時間、激しく撹拌した。けいそう土でろ過することにより触媒を分離し、ろ液を蒸発により約60mlに濃縮し、水(300ml)で希釈し、エーテル(300mlで3回)で抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発性成分を蒸発により除去した。得られた粗製固体をアセトン(200ml)および酢酸(0.2ml)に溶解し、0℃に冷却した。過マンガン酸カリウム(1.8g)を添加し、混合物を10分間撹拌した。反応混合物を水(250ml)に注入し、酢酸エチル(250ml)を添加した。沈殿をろ過により除去し、有機相を分離し、水相を酢酸エチル(100mlで2回)で抽出した。抽出液を合わせて水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発性成分を蒸発により除去して、7−ヒドロキシ−3−メチルピバロイル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(4.05g,78%)をクリーム色固体として得た。
【0205】
7−ヒドロキシ−3−メチルピバロイル−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(750mg,2.7mmol)を塩化メチレン(40ml)に懸濁させ、1−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン(490mg,3.4mmol)およびトリフェニルホスフィン(890mg,3.4mmol)を5℃で添加した。この混合物を5℃で5分間撹拌し、アゾジカルボン酸ジエチル(590mg,3.4mmol)を5分かけて添加した。反応混合物を5℃で30分間、次いで周囲温度で1時間撹拌した。反応混合物をそのまま、塩化メチレン、次いで酢酸エチル、次いでアセトニトリル/酢酸エチル(1/5)、最後にアセトニトリル/酢酸エチル/アンモニア水(50/50/0.5)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製した生成物をエーテル/イソヘキサンで摩砕処理し、ろ過により採集して、3−メチルピバロイル−7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(745mg,68%)を得た。
【0206】
飽和メタノール性アンモニア(20ml)中における3−メチルピバロイル−7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(680mg,1.6mmol)の溶液を、40℃で6時間、次いで周囲温度で18時間撹拌した。溶媒を蒸発により除去し、残留物をエーテル/イソヘキサンで摩砕処理した。生じた固体をろ過により採集して、7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(450mg,92%)を得た。
【0207】
【化59】

【0208】
塩化チオニル(5ml)およびDMF(0.1ml)中における7−(3−モルホリノプロポキシ)−3,4−ジヒドロキナゾリン−4−オン(200mg,0.69mmol)の混合物を、1時間加熱還流した。この溶液をトルエンで希釈し、揮発性成分を蒸発により除去した。残留物を塩化メチレンに溶解し、エーテルを添加した。生じた沈殿をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−クロロ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(238mg,100%)を得た。
【0209】
1−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリンは下記に従って製造された:
モルホリン(94g,1.08mol)を、トルエン(750ml)中における3−ブロモ−1−プロパノール(75g,0.54mol)の溶液に滴加し、次いで反応物を80℃に4時間加熱した。混合物を周囲温度にまで放冷し、沈殿した固体をろ過により除去した。ろ液から揮発性成分を除去し、得られた黄色の油を0.4〜0.7mmHgでの蒸留により精製して、1−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン(40g,50%)を無色の油として得た。
沸点68〜70℃(約0.5mmHg)
【0210】
【化60】

【0211】
実施例20
5Mイソプロパノール性塩化水素(1.5ml)を、50℃に加熱した、イソプロパノール(5ml)中における4−クロロ−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(202mg,0.6mmol)(実施例18の出発物質についての記載に従って製造)および4−シアノ−2−フルオロアニリン(100mg,0.72mmol)(米国特許第4,120,693号)の溶液に添加した。次いで混合物を80℃に2時間加熱し、周囲温度にまで放冷し、一夜放置した。生じた沈殿をろ過により採集し、次いでこの固体を塩化メチレンと水の間で分配し、1M水酸化ナトリウム水溶液(0.8ml)を添加した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発により除去した。残留物を、塩化メチレン/メタノール(94/6)で溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。精製した固体を塩化メチレンに溶解し、2.2Mエーテル性塩化水素を添加した。沈殿をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−(4−シアノ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン(125mg,39%)を得た。
【0212】
【化61】

【0213】
実施例21
アゾジカルボン酸ジエチル(123μl,0.88mmol)を少量ずつ、塩化メチレン(20ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(250mg,0.8mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)、トリフェニルホスフィン(228mg,0.96mmol)および3−メトキシ−1−プロパノール(71mg,0.8mmol)の混合物(0℃に冷却)に添加した。次いでこの混合物を周囲温度にまで昇温させ、18時間撹拌した。生じた沈殿をろ過により除去し、ろ液から溶媒を蒸発により除去した。残留物を、塩化メチレン/メタノール/濃アンモニア水(100/8/1)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製した油をエーテル性塩化水素で処理し、次いで揮発性成分を蒸発により除去した。残留物をエーテルで摩砕処理し、固体をろ過により採集して、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−メトキシプロポキシ)キナゾリン(100mg,32%)を黄色固体として得た。
【0214】
【化62】

【0215】
実施例22
アゾジカルボン酸ジエチル(123μl,0.88mmol)を少量ずつ、塩化メチレン(20ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(250mg,0.8mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)、トリフェニルホスフィン(228mg,0.96mmol)および2−エトキシエタノール(71μl,0.8mmol)の混合物(0℃に冷却)に添加した。次いでこの混合物を周囲温度にまで昇温させ、18時間撹拌した。生じた沈殿をろ過により除去し、ろ液から溶媒を蒸発により除去した。残留物を、塩化メチレン/メタノール(96/4)で溶離するクロマトグラフィーにより精製した。得られた精製した油をアセトンに溶解し、水(80μl)、次いでエーテル性塩化水素で処理した。生じた顆粒状固体をろ過により採集して、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−エトキシエトキシ)キナゾリン(96mg,31%)を得た。
【0216】
【化63】

【0217】
実施例23
水素化ホウ素リチウム(THF中の2M溶液150μl,0.15mmol)を、THF(1ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(エトキシカルボニルメトキシ)−6−メトキシキナゾリン(150mg,0.3mmol)の溶液に添加し、この混合物を1.5時間撹拌した。反応混合物を塩化アンモニウム水溶液で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせて水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発により濃縮した。ヘキサンを添加し、混合物を冷却し、沈殿した固体をろ過により採集して、4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−ヒドロキシエトキシ)−6−メトキシキナゾリン(30mg,23%)を得た。
【0218】
【化64】

【0219】
出発物質は下記に従って製造された:
NMP(60ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(3.0g,9mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)、ブロム酢酸エチル(1.11ml,10mmol)および炭酸カリウム(2.84g,20.6mmol)の混合物を、90℃に3時間加熱した。混合物を放冷し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせて水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸発により濃縮した。ヘキサンを添加し、混合物を冷却し、沈殿した固体をろ過により採集して、4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(2−エトキシカルボニルメトキシ)−6−メトキシキナゾリン(1.75g,48%)を得た。
【0220】
【化65】

【0221】
実施例24
アゾジカルボン酸ジエチル(209mg,1.2mmol)を、塩化メチレン(5ml)中における4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(146mg,0.4mmol)、トリフェニルホスフィン(314mg,1.2mmol)および1−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルピペラジン(86mg,0.6mmol)(実施例17の出発物質についての記載に従って製造)の懸濁液(0℃に冷却)に滴加した。この混合物を周囲温度で1時間撹拌し、混合物を、塩化メチレン/メタノール(90/10、続いて80/20)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製した生成物をエーテルで摩砕処理し、ろ過により採集し、真空乾燥した。この固体を塩化メチレンに溶解し、3Mエーテル性塩化水素(0.5ml)を添加した。揮発性成分を蒸発により除去し、生じた油をエーテルで摩砕処理した。この固体をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン(100mg,41%)を得た。
【0222】
【化66】

【0223】
出発物質は下記に従って製造された:
イソプロパノール(200ml)中における塩酸7−ベンジルオキシ−4−クロロ−6−メトキシキナゾリン(8.35g,24.8mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)および4−ブロモ−2−フルオロアニリン(5.65g,29.7mmol)の溶液を、4時間加熱還流した。生じた沈殿固体をろ過により採集し、イソプロパノール、次いでエーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸7−ベンジルオキシ−4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(9.46g,78%)を得た。
【0224】
【化67】

【0225】
TFA(90ml)中における塩酸7−ベンジルオキシ−4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(9.4g,19.1mmol)の溶液を、50分間加熱還流した。この混合物を放冷し、氷に注いだ。生じた沈殿をろ過により採集し、メタノール(70ml)に溶解した。この溶液を濃アンモニア水でpH9〜10に調整した。混合物を蒸発により最初の容量の半分に濃縮した。生じた沈殿をろ過により採集し、水、次いでエーテルで洗浄し、真空乾燥して、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(5.66g,82%)を得た。
【0226】
【化68】

【0227】
実施例25
アゾジカルボン酸ジエチル(209mg,1.2mmol)を、塩化メチレン(5ml)中における4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(146mg,0.4mmol)(実施例24の出発物質についての記載に従って製造)、トリフェニルホスフィン(314mg,1.2mmol)および4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン(79mg,0.6mmol)の懸濁液に滴加した。この混合物を周囲温度で1時間撹拌し、塩化メチレン/メタノール(95/5、続いて90/10)で溶離するカラムフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、白色固体を得た。この固体を塩化メチレン/メタノールに溶解し、2Mエーテル性塩化水素(0.5ml)を添加した。この混合物を蒸発により濃縮し、生じた沈殿をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン(155mg,70%)を得た。
【0228】
【化69】

【0229】
実施例26
モルホリン(70ml)中における7−(4−クロロブトキシ)−4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(3.64g,8.87mmol)の溶液を、110℃に2時間加熱した。混合物を放冷し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発性成分を蒸発により除去した。残留物を塩化メチレンおよびメタノール(92/8)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製した固体生成物を塩化メチレンに溶解し、3Mエーテル性塩化水素を添加した。揮発性成分を蒸発により除去し、残留物をエーテルで摩砕処理した。固体をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(4−モルホリノブトキシ)キナゾリン(3.8g,78%)を得た。
【0230】
【化70】

【0231】
出発物質は下記に従って製造された:
DMF(75ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(3.6g,11.3mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)、1−ブロモ−4−クロロブタン(1.95ml,16.9mmol)および炭酸カリウム(4.66g,33.8mmol)の混合物を、40℃に4時間加熱した。この混合物を放冷し、塩化メチレンと水の間で分配した。水層を2M塩酸でpH7に調整した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発性成分を蒸発により除去した。残留物を塩化メチレン/酢酸エチル(1/1)で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。精製した固体生成物をペンタンで摩砕処理し、ろ過により採集し、真空乾燥して、7−(4−クロロブトキシ)−4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシキナゾリン(3.64g,79%)を得た。
【0232】
【化71】

【0233】
実施例27
1−メチルピペラジン(2ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−クロロプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン(150mg,0.38mmol)の懸濁液を、100℃に3時間加熱した。混合物を放冷し、炭酸ナトリウム水溶液(pH11.5)と酢酸エチルの間で分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発性成分を蒸発により除去した。残留物を塩化メチレンに溶解し、エーテルを添加した。生じた沈殿をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、乾燥させた。この固体を塩化メチレンに溶解し、2.2Mエーテル性塩化水素(1ml)を添加した。最初の容量の半分に濃縮した後、生じた沈殿をろ過により採集し、エーテルで洗浄し、真空乾燥して、塩酸4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ)キナゾリン(158mg,75%)を得た。
【0234】
【化72】

【0235】
出発物質は下記に従って製造された:
DMF(20ml)中における4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−ヒドロキシ−6−メトキシキナゾリン(957mg,3mmol)(実施例4の出発物質についての記載に従って製造)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(2.36g,15mmol)および炭酸カリウム(2.1g,15mmol)の混合物を、40℃に1.5時間加熱した。この混合物を放冷し、水で希釈し、酢酸エチル(50mlで3回)で抽出した。有機抽出液を合わせて水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、揮発性成分を蒸発により除去した。残留物をヘキサン/酢酸エチルで摩砕処理し、ろ過により採集し、真空乾燥して、4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−7−(3−クロロプロポキシ)−6−メトキシキナゾリン(650mg,55%)を得た。
【0236】
【化73】

【0237】
実施例28
以下に、ヒトの治療または予防に使用するための、式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩(以下、化合物X)を含有する代表的剤形を示す:
(a)錠剤I mg/錠
化合物X............................................100
乳糖、ヨーロッパ薬局方..............................182.75
クロスカルメロースナトリウム........................12.0
(croscarmellose sodium)
トウモロコシデンプンペースト(5% w/vペースト).......2.25
ステアリン酸マグネシウム............................3.0
(b)錠剤II mg/錠
化合物X............................................50
乳糖、ヨーロッパ薬局方..............................223.75
クロスカルメロースナトリウム........................6.0
トウモロコシデンプン................................15.0
ポリビニルピロリドン(5% w/vペースト)...............2.25
ステアリン酸マグネシウム............................3.0
(c)錠剤III mg/錠
化合物X............................................1.0
乳糖、ヨーロッパ薬局方..............................93.25
クロスカルメロースナトリウム........................4.0
トウモロコシデンプンペースト(5% w/vペースト).......0.75
ステアリン酸マグネシウム............................1.0
(d)カプセル剤 mg/カプセル
化合物X............................................10
乳糖、ヨーロッパ薬局方..............................488.5
ステアリン酸マグネシウム............................1.5
(e)注射剤I (50mg/ml)
化合物X............................................5.0 % w/v
1N水酸化ナトリウム溶液..............................15.0% w/v
0.1N塩酸(pH7.6に調整する量)
ポリエチレングリコール400...........................4.5 % w/v
注射用水、100%になる量
(f)注射剤II (10mg/ml)
化合物X............................................1.0 % w/v
リン酸ナトリウムBP(英国薬局方)......................3.6 % w/v
1N水酸化ナトリウム溶液..............................15.0% w/v
注射用水、100%になる量
(g)注射剤III (50mg/ml、pH6に緩衝化)
化合物X............................................0.1 % w/v
リン酸ナトリウムBP..................................2.26% w/v
クエン酸............................................0.38% w/v
ポリエチレングリコール400...........................3.5 % w/v
注射用水、100%になる量
注釈
以上の配合物は薬剤技術分野で周知の常法により得られる。錠剤(a)〜(c)は、常法により腸溶コーチングして、たとえば酢酸フタル酸セルロースのコーチングを施すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのキナゾリン誘導体:
【化74】

(式中:
1は、水素またはメトキシを表し;
2は、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、2−エトキシエトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、4−モルホリノブトキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、4−ピペリジノブトキシ、2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシ、4−(ピペラジン−1−イル)ブトキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシまたは4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブトキシを表し;
(R32を保有するフェニル基は以下のものから選択される:2−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル、4−ブロモ−2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、4−クロロ−2−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−メチルフェニル、2−フルオロ−4−メトキシフェニル、4−ブロモ−3−ヒドロキシフェニル、4−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル、4−クロロ−3−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルおよび4−シアノ−2−フルオロフェニル);
およびその塩類。
【請求項2】
1がメトキシである、請求項1記載のキナゾリン誘導体。
【請求項3】
(R32を保有するフェニル基が4−クロロ−2−フルオロフェニルまたは4−ブロモ−2−フルオロフェニルである、請求項1または2記載のキナゾリン誘導体。
【請求項4】
2がメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロポキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシ、2−ピペリジノエトキシ、3−ピペリジノプロポキシ、2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ、3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシ、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシまたは3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシである、請求項1〜3のいずれか1項記載のキナゾリン誘導体。
【請求項5】
2が2−メトキシエトキシ、2−モルホリノエトキシ、3−モルホリノプロポキシまたは2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシである、請求項4記載のキナゾリン誘導体。
【請求項6】
2が2−メトキシエトキシまたは3−モルホリノプロポキシである、請求項5記載のキナゾリン誘導体。
【請求項7】
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン、
4−(4−クロロ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン
およびその塩類から選択される、請求項1記載のキナゾリン誘導体。
【請求項8】
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−メトキシエトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ)キナゾリン、
4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(2−モルホリノエトキシ)キナゾリン
およびその塩類から選択される、請求項1記載のキナゾリン誘導体。
【請求項9】
薬剤学的に許容しうる塩の形である、請求項1〜8のいずれか1項記載のキナゾリン誘導体。
【請求項10】
式Iのキナゾリン誘導体またはその塩(請求項1に定義したとおり)を製造するための、以下を含む方法:
(a)式IIIの化合物:
【化75】

(式中、R1およびR2は請求項1に定義したとおりであり、L1は置換可能な部分である)を、式IVの化合物:
【化76】

(式中、R3は請求項1に定義したとおりである)と反応させ、これにより式Iの化合物およびその塩類を得る;
(b)式IIの基:
【化77】

(式中、R3は請求項1に定義したとおりである)がヒドロキシ基を保有するフェニル基を表す式Iの化合物およびその塩類を製造するためには、式Vの化合物:
【化78】

(式中、R1、R2およびR3は請求項1に定義したとおりであり、Pはフェノール性ヒドロキシの保護基である)を脱保護する;
(c)式VIの化合物:
【化79】

(式中、R1およびR3は請求項1に定義したとおりである)を、式VIIの化合物:

4−L1 (VII)
(式中、L1は前記に定義したとおりであり、R4はメチル、エチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、2−エトキシエチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、2−モルホリノエチル、3−モルホリノプロピル、4−モルホリノブチル、2−ピペリジノエチル、3−ピペリジノプロピル、4−ピペリジノブチル、2−(ピペラジン−1−イル)エチル、3−(ピペラジン−1−イル)プロピル、4−(ピペラジン−1−イル)ブチル、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピルまたは4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブチルである)と反応させる;
(d)式VIIIの化合物:
【化80】

を、式IXの化合物:

2−H (IX)

(これらの式中、L1は前記に定義したとおりであり、R1、R2およびR3は請求項1に定義したとおりである)と反応させる;
(e)R2がR5C1〜4アルコキシ(ここでR5はメトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、N,N−ジメチルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジン−1−イルまたは4−メチルピペラジン−1−イルから選択される)である式Iの化合物およびその塩類を製造するためには、式Xの化合物:
【化81】

(式中、L1は前記に定義したとおりであり、R1およびR3は請求項1に定義したとおりであり、R6はC1〜4アルコキシである)を、式XIの化合物:

5−H (XI)

(式中、R5は前記に定義したとおりである)と反応させる;
かつ、式Iのキナゾリン誘導体の塩が必要である場合、得られた化合物を酸または塩基と反応させ、これにより目的とする塩を得る。
【請求項11】
有効成分としての請求項1〜9のいずれか1項記載の式Iのキナゾリン誘導体またはその薬剤学的に許容しうる塩を、薬剤学的に許容しうる賦形剤またはキャリヤーと一緒に含む、薬剤組成物。
【請求項12】
抗脈管形成作用および/または脈管透過性低下作用を、その処置を必要とする温血動物において生じる方法であって、該動物に有効量の請求項1〜9のいずれか1項記載の式Iの化合物またはその薬剤学的に許容しうる塩を投与することを含む方法。
【請求項13】
医薬として使用するための、請求項1〜9のいずれか1項記載のキナゾリン誘導体。

【公開番号】特開2010−13450(P2010−13450A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−171068(P2009−171068)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【分割の表示】特願平9−531552の分割
【原出願日】平成9年2月28日(1997.2.28)
【出願人】(300022113)アストラゼネカ・ユーケイ・リミテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】AstraZeneca UK Limited
【住所又は居所原語表記】15 Stanhope Gate, London W1K 1LN, United Kingdom
【Fターム(参考)】