説明

4−フェノキシキナゾリン誘導体放射性化合物

【課題】上皮由来増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR−TK)を標的として結合する放射性化合物を有効成分として含有する腫瘍イメージング剤および内用放射線治療剤の提供。
【解決手段】一般式(1)


(式中、Rは放射性ヨウ素原子を示す。)で表される放射性化合物およびこれを含有する医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な4−フェノキシキナゾリン誘導体、及びこれを含む、腫瘍疾患をイメージングによって検出する放射性薬剤や、体内から腫瘍細胞にダメージを与えうる内用放射線治療薬剤等の医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
チロシンキナーゼは、細胞の分化と増殖などの細胞内のシグナル伝達機構に関与し、各種成長因子の結合シグナルを細胞内に伝達する開始因子として重要な役割を果たす酵素である。近年の研究からチロシンキナーゼの遺伝子の一部が変異し、癌化を誘発することが明らかとなっている(非特許文献1)。また、多くの癌において、各種成長因子の結合とは無関係にその活性上昇が認められている(非特許文献2、非特許文献3)。チロシンキナーゼは受容体型と非受容体型に分類され、その阻害剤に抗癌剤としての期待が持たれている(非特許文献4、非特許文献5)。
【0003】
受容体型チロシンキナーゼの一つである上皮由来増殖因子受容体チロシンキナーゼ(Epidermal growth factor receptor−tyrosine kinase、EGFR−TK)は、胃癌、食道癌、喉頭癌、大腸癌、膀胱癌、卵巣癌、甲状腺癌、脳腫瘍などのほとんどの上皮系癌において多量に発現し、その活性の上昇が確認されている(非特許文献6、非特許文献7)。従って、EGFR−TK阻害剤は腫瘍治療剤として有用であると考えられる。
【0004】
近年、EGFR−TKを標的とした阻害剤が次々と開発された。第一世代のチロシンキナーゼ阻害剤は、Gazitらにより開発されたチロホスチン誘導体である(非特許文献8)。チロホスチン誘導体は優れたEGFR−TK阻害剤として期待されたが、その後、さらに構造活性相関の研究が進みPD153035が開発された(非特許文献9)。現在、PD153035の誘導体であるZD1839(市販名イレッサ)が、新しい作用機序の抗癌剤として認可を受け、臨床使用が開始されている(非特許文献10)。
【0005】
一方、EGFR−TKの異常な活性上昇は癌化の初期においても見られ、癌の早期発見に有用であると考えられる。従ってEGFR−TKは癌の特性診断を可能とする分子イメージング薬剤の標的としての条件を満たしていると考えられる。このようなEGFR−TKを標的とした薬剤を放射性化合物とし、イメージング剤へと応用する試みとして4−アニリノキナゾリン骨格を持つ化合物(特許文献1)及び4−(フェニルアミノ)キナゾリン骨格を持つ化合物(特許文献2)があるが、これらはインビトロにおけるEGFR−TK阻害活性は検討されているものの、インビボでの検討はなされておらず、生体内での安定性や、有効性については不明であった。
【特許文献1】特表2003−500450
【特許文献2】特表2004−525919
【非特許文献1】蛋白質 核酸 酵素,42,1467〜1469(1997)
【非特許文献2】Int.J.Cancer,66,315〜321(1996)
【非特許文献3】Int.J.Cancer,64,291〜297(1996)
【非特許文献4】J.Med.Chem.,38,3482〜3487(1995)
【非特許文献5】Nature,379,645〜648(1996)
【非特許文献6】Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,83,5141〜5144(1986)
【非特許文献7】Methods Enzymol.,201,347〜355(1991)
【非特許文献8】Methods Enzymol.,201,347〜355(1991)
【非特許文献9】Science,265,1093〜1095(1994)
【非特許文献10】Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,19,177a,(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はEGFR−TKを標的として結合する放射性化合物を有効成分として含有する腫瘍イメージング剤や、体内から癌細胞にダメージを与えうる内用放射線治療薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、EGFR−TKに対して阻害活性を有する化合物について、新規な構造として4−フェノキシキナゾリン誘導体に着目し、この誘導体の放射性ヨウ素化合物を合成した。その作用を検討したところ、インビトロ実験においてEGFR−TKに対する高い阻害活性が認められ、担癌マウスにおけるインビボ体内分布実験において癌に特異的な集積、並びに高い癌対組織比が達成された。
【0008】
また、EGFR−TK発現量の異なる複数の腫瘍細胞株の検討から、EGFR−TK発現量に応じた集積を示すことが明らかになった。これらの結果から、腫瘍疾患の画像化、手術や薬剤による治療効果の判定及び治療に有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、一般式(1)
【0010】
【化5】

【0011】
(式中、Rは、放射性ヨウ素原子を示す。)で表される放射性化合物、これを含有する医薬、及びその製造法を提供するものである。
【0012】
別の表現をとる場合、本発明は、
(1)一般式(1)(式中、Rは放射性ヨウ素原子を示す。)で表される放射性化合物、
(2)放射性ヨウ素原子が、I−123、I−124、I−125及びI−131から選ばれたものである上記放射性化合物、
(3)上記(1)、(2)いずれか1項に記載の放射性化合物を含有する医薬、
(4)画像診断用イメージング剤である上記(3)記載の医薬、
(5)腫瘍疾患領域の画像診断用イメージング剤である上記(4)記載の医薬、
(6)シングルフォトン断層撮影法(SPECT)用の腫瘍疾患領域の画像診断用イメージング剤である上記(5)記載の医薬、
(7)ポジトロン放出断層撮影法(PET)用の腫瘍疾患領域の画像診断用イメージング剤である請求項5記載の医薬、
(8)内用放射線治療薬である上記(3)記載の医薬、
(9)一般式(2)
【化2】

(式中、Rは、ヨウ素原子、トリアルキルスズ基またはトリアルキルシリル基を示す。)で表される4−フェノキシキナゾリン誘導体、
(10)一般式(2)(式中、Rは、ヨウ素原子、トリアルキルスズ基またはトリアルキルシリル基を示す)で表される4−フェノキシキナゾリン誘導体にアルカリ金属放射性ヨウ素化物を反応させることを特徴とする一般式(1)(式中、Rは、放射性ヨウ素原子を示す。)で表される放射性ヨウ素化合物の製造法、
である。
【発明の効果】
【0013】
4−フェノキシキナゾリン骨格を持つ本発明の放射性化合物(1)は、EGFR−TKを標的とする、腫瘍の画像診断及び治療に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
一般式(1)中、放射性ヨウ素原子としては、SPECT装置を用いた組織のイメージングに適したI−123、イメージングとともに内用放射線治療にも適したI−131が望ましいが、その他に、基礎実験に広く用いられているI−125、ポジトロン放出核種であるが医療施設内に小型サイクロトロンを設置しなくとも供給が可能なI−124等も使用可能である。
【0015】
本発明の放射性化合物(1)は、例えば次の反応式に従って製造される。
【0016】
【化6】

【0017】
(式中、Rは放射性ヨウ素原子、Rはヨウ素原子、トリアルキルスズ基またはトリアルキルシリル基を示す。)
【0018】
すなわち、一般式(2)で表される4−フェノキシキナゾリン誘導体にアルカリ金属放射性ヨウ化物を反応させることにより一般式(1)で表される放射性化合物が製造される。
【0019】
一般式(2)中、Rで示されるトリアルキルスズ基としては、トリ(C1−C6アルキル)スズ基が挙げられ、トリブチルスズ基が特に好ましい。トリアルキルシリル基としては、トリ(C1−C6アルキル)シリル基が挙げられ、トリメチルシリル基が特に好ましい。
【0020】
一般式(2)の化合物は、例えば次の反応式に従って製造することができる。
【化7】

【0021】
(式中、R2aは、ヨウ素原子を示し;R2bは、トリアルキルスズ基又はトリアルキルシリル基を示す。)
【0022】
すなわち、モルフォリン(3)に1−ブロモ−3−クロロプロパンを反応させて化合物(4)を得られる。また、6,7−ジエトキシキナゾリン−4(3H)−オン(5)にメチオニンを反応させ、化合物(6)とし、続いて、6位の水酸基のアセチル保護化を行い、化合物(7)を得られる。さらに化合物(7)をクロル化して化合物(8)とし、続いて、3−ヨードフェノール存在下で4位のフェノキシ化を行うことで化合物(9)が得られる。続いて、化合物(9)と化合物(4)を反応させることで化合物(2a)を得られる。得られた化合物(2a)をトリアルキルスズ化又はトリアルキルシリル化することにより化合物(2b)が得られる。
【0023】
化合物(2)の放射性ヨウ素化に用いられるアルカリ金属放射性ヨウ化物としては、放射性ヨウ素のナトリウム化合物、放射性ヨウ素のカリウム化合物等が挙げられる。
【0024】
化合物(2)とアルカリ金属放射性ヨウ化物との反応は、化合物(2)が化合物(2a)である場合と、化合物(2b)である場合とで異なる。すなわち、化合物(2a)とアルカリ金属放射性ヨウ化物との反応は、酸性条件下で加熱することにより、非放射性ヨウ素原子が放射性ヨウ素原子に変換される。化合物(2b)とアルカリ金属放射性ヨウ化物との反応は、酸性条件下で反応させ、さらに酸化剤を反応させることにより行なわれる。酸化剤としてはクロラミン−T、過酸化水素水、過酢酸等が用いられる。
【0025】
得られた放射性化合物(1)を放射性医薬品として用いる場合には、未反応の放射性ヨウ素イオン及び不溶性の不純物を、メンブランフィルター、種々の充填剤を充填したカラム、HPLC等により精製することが望ましい。
【0026】
かくして得られた本発明の放射性化合物(1)は、優れたEGFR−TK阻害活性を有し、また、EGFR発現腫瘍に特異的に集積することから、腫瘍治療薬又は腫瘍診断薬として有用である。例えば7−エトキシ−4−(3−[125I]ヨードフェノキシ)−6−(3−モルフォリノプロポキシ)キナゾリン(以下([125I]−PYKと略す。この非放射性ヨード体をPYKと略す)を、EGFR−TKの亢進した癌細胞を移植した担癌モデルマウスに尾静脈より投与すると、[125I]PYKは、投与1時間後で癌に4.4%集積し、その後、投与6時間後で3.6%、投与12時間後で1.7%、投与24時間後で1.5%と投与後早期における癌への高い取込みとその後の緩やかな消失が確認された。また、他の組織からは、癌よりも早い消失が認められた。その結果、画像コントラストの指標である癌対組織比が上昇した。[125I]PYKの癌対血液、筋肉比は、投与1時間後で6.8、4.6、投与24時間後で、57.0、45.5と良好な値を示した。一方、主要な組織に対する癌対組織比は、投与1時間後ではいずれも低い値であったが、投与24時間後では、癌対肝臓、癌対腎臓、癌対肺比がそれぞれ3.0、4.3、8.5と良好な値を示した。この様に[125I]PYKは、所期の目的である癌集積量の増加と長時間にわたる癌集積の保持に成功し、癌診断薬剤として基本的性質を持つことが確認された。
【0027】
本発明放射性化合物(1)を放射性薬剤として用いる場合には、医薬用の担体として、アスコルビン酸等の安定化剤;酸、塩基等のpH調整剤;リン酸緩衝液等の緩衝剤;生理食塩液等の等張剤等を利用することができる。
【0028】
本発明の放射性薬剤は、静脈注射による投与が最適であるが、その他一般的な非経口的手段によって投与が可能である。その投与量は、患者の体重、年齢、性別及びSPECT装置に代表される測定機器等の諸条件によって適宜決められる。一般的に、診断薬の場合、I−123の放射能として37MBq〜370MBq、治療薬の場合I−131の放射能として37MBq〜3700MBqの範囲である。
【実施例】
【0029】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制約されるものではない。
【0030】
実施例1(PYKの合成)
3−モルフォリノプロピルクロライド(4)の合成
1−ブロモ−3−クロロプロパン(3.6g、22.9mmol)をベンゼン(10ml、無水)に加え、次いでモルフォリン(3、3.0g、34.4mmol)をゆっくりと滴下した。その後、室温で1時間撹拌した後、3時間還流(120℃)した。冷後、析出結晶をろ過し、結晶をメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)で洗った。有機層を3M 塩酸(20ml)で抽出後、40%水酸化ナトリウム水溶液でアルカリに転溶し、MTBE(30ml)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去し、残渣をメタノールを溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、化合物(4)を無色の液状物として得た。
【0031】
Yield;42.8% MS;m/z 163 found 163
H−NMR(CDCl);3.71(t,J=6.0Hz,4H,molpholino),3.61(t,J=7.3Hz,2H,propyl),2.48(t,J=7.3Hz,2H,propyl),2.44(t,J=6.0Hz,4H,molpholino),1.95(m,J=7.3Hz,2H,propyl)
【0032】
7−エトキシ−6−ヒドロキシキナゾリン−4(3H)−オン(6)の合成
化合物(5)6,7−ジエトキシキナゾリン−4(3H)−オン(9.2g、39.4mmol)をメタンスルホン酸(60ml)に少量ずつ溶解した。次いで、D,L−メチオニン(7.05g、47.3mmol)を加え、4時間還流(100℃)した。その後、反応液を室温まで冷却し、氷冷水(200ml)を加え、氷浴中で40%水酸化ナトリウム水溶液で中和した。析出した結晶をろ取水洗し、さらに少量のメタノールで洗い乾燥させ化合物(6)を得た。これは精製せずに次の実験に用いた。
【0033】
6−アセトキシ−7−エトキシキナゾリン−4(3H)−オン(7)の合成
化合物(6)(7.3g、35.4mmol)をピリジン(6ml)に加え、さらに無水酢酸(40ml)を加えて3時間還流(100℃)した。反応液を室温まで冷却し、氷冷水(150ml)に注ぎ、析出結晶をろ取した。メタノールから再結晶して化合物(7)を得た。
【0034】
Yield;61.8% m.p.;258〜260℃ MS;m/z 248 found;248
H−NMR(DMSO);8.07(s,1H,aromatics),7.73(s,1H,aromatics),7.24(s,1H,aromatics),4.19(q,J=7.6Hz,2H,CHCHO),2.30(s,3H,CHCO),1.33(t,J=7.6Hz,3H,CHCHO)
【0035】
6−アセトキシ−4−クロロ−7−エトキシキナゾリン(8)の合成
化合物(7)(2.0g、8.06mmol)を塩化ホスホリル(30ml)に加え、3時間還流(120℃)した。反応液を室温まで冷却した後、氷浴中で氷冷水(200ml)中に投じ、クロロホルムで抽出した。有機層を1M水酸化ナトリウム水溶液(200ml)で2回水洗後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルエステルを溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、化合物(8)を得た。
【0036】
Yield;89.6% m.p.;110〜114℃ MS;m/z 266 found 266
H−NMR(CDCl);8.93(s,1H,aromatics),7.88(s,1H,aromatics),7.40(s,1H,aromatics),4.25(q,J=7.6Hz,2H,CHCHO),2.39(s,3H,CHCO),1.50(t,J=7.6Hz,3H,CHCHO)
【0037】
7−エトキシ−6−ヒドロキシ−4−(3−ヨードフェノキシ)キナゾリン(9)
3−ヨードフェノール(5.0g、22.7mmol)を加温(50℃)し、溶解させた後、水酸化カリウム(0.42g、7.49mmol)を加えて完全に溶かした。次に化合物(8)(0.56g、2.10mmol)を10分程度かけて加え、一晩還流(90℃)した。反応物をクロロホルムで抽出し、有機層を2回水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルエステルを溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、化合物(9)を得た。
【0038】
Yield;71.2% m.p.;214〜216℃ HRMS;m/z 407.9971 found 407.9978
H−NMR(DMSO);10.30(s,1H,OH),8.48(s,1H,aromatics),7.73(t,1H,aromatics),7.68(d,1H,aromatics),7.48(s,1H,aromatics),7.30(m,3H,aromatics),4.25(q,J=7.6Hz,2H,CHCHO)1.44(t,J=7.6Hz,3H,CHCHO)
【0039】
7−エトキシ−4−(3−ヨードフェノキシ)−6−(3−モルフォリノプロポキシ)キナゾリン(2a)[PYK]の合成
化合物(9)(0.60g、1.47mmol)をジメチルホルムアミド(DMF、無水、15ml)に加え、次いで炭酸カリウム(1.0g、7.24mmol)を加えた。その後、モルフォリノプロピルクロライド(化合物(4)、0.30g、1.83mmol)を加えて、3.5時間還流(90℃)した。反応液を室温まで冷却し、氷冷水(50ml)を加え、酢酸エチルエステルで抽出(50ml×1、20ml×2)した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルエステルを溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離後、さらに2−プロパノールから再結晶して化合物(2a)を得た。
【0040】
Yield;38.1% m.p.;135〜137℃ HRMS;m/z 535.0968 found 535.0966 H−NMR(CDCl); 8.54(s,1H,aromatics),7.59(t,1H,aromatics),7.56(d,1H,aromatics),7.43(s,1H,aromatics),7.18(m,3H,aromatics),4.20(t,J=8.0Hz,2H,propyl),4.17(q,J=7.6Hz,2H,CHCHO),3.66(t,J=5.0Hz,4H,molpholino),2.53(t,J=8.0Hz,2H,propyl),2.43(t,J=5.0Hz,4H,molpholino),2.06(m,J=8.0Hz,2H,propyl),1.49(t,J=7.6Hz,3H,CHCHO)
【0041】
実施例2(7−エトキシ−6−(3−モルフォリノプロポキシ)−4−(3−トリブチルスタニルフェノキシ)キナゾリン(2b)の合成)
化合物(2a)(0.15g、0.28mmol)、ビス(トリブチルチン)(0.49g、0.84mmol),及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0.02g、0.01mmol)を無水トルエン(25ml)に加え、一晩還流(140℃)した。冷後、セライトを用いてろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をクロロホルム/メタノール(15/1 v/v)を溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、化合物(2b)を黄色油状物として得た。
【0042】
Yield;35.8% HRMS;m/z 699.3058 found 699.3054
H−NMR(CDCl);8.60(s,1H,aromatics),7.60(s,1H,aromatics),7.49−7.15(m,5H,aromatics),4.27(t,J=8.0Hz,2H,propyl),4.25(q,J=7.6Hz,2H,CHCHO),3.75(t,J=5.0Hz,4H,molpholino),2.63(t,J=8.0Hz,2H,propyl),2.54(t,J=5.0Hz,4H,molpholino),2.15(m,J=8.0Hz,2H,propyl),1.55(t,J=7.6Hz,3H,CHCHO),1.42−0.86(m,27H,Bu
【0043】
実施例3([125I]PYKの合成)
密栓バイアル中で化合物(2b)(50μl、0.5mg/mlエタノール溶液)に0.1M 塩酸(25μl)、[125I]ヨウ化ナトリウム(1.0μl、3.7MBq)、30w/v%過酸化水素水(10μl)を順に加え、室温で15分間反応させた。目的物をHPLCにて分離精製し、各種化合物の対応非標識体のHPLCリテンションタイムと完全に一致することで目的標識体であることを確認した。なお、全ての標識体の放射化学的純度は95%以上、比放射能は約74TBq/mmolであった。
溶出溶媒;メタノール/0.01Mクエン酸水溶液(55/45 v/v)
HPLCリテンションタイム;15.5分 標識率;97.5%
【0044】
実施例4(PYKのEGFR−TKリン酸化阻害能の測定)
合成した新規誘導体について、EGFR−TKリン酸化阻害能を測定した。測定はビオチン化EGFR−TKリン酸化ペプチドを基質として用いるPromega社製の測定キットならびに[γ‐32P]ATPを用いて行った。阻害活性は10μM〜100pMの濃度の薬物存在下でリン酸化能を測定し、50%阻害濃度(IC50)値として求めたのEGFR−TKリン酸化阻害能を測定した。同時に代表的なEGFR−TK選択的阻害剤であるPD153035を用いて比較した。
【0045】
PTKアッセイ5X緩衝液(5.0μl)、PTKビオチン化ペプチド基質(2.5μl)、2.5mM バナジン酸ナトリウム(2.5μl)、ATP混合溶液{0.5mM ATP、[γ−32P]ATP(7.4kBq)}(2.5μl)及び被験物質の10%DMSO溶液(7.5μl)を加え全量20μlとし、30℃で5分間インキュベートした。続いて、EGFR PTK 緩衝溶液(40mM イミダゾール塩酸塩、40mM β−グリセロリン酸、0.5mg/ml BSA)を(5.0μl)を加え、30℃で15分間インキュベートした。続いて、7.5Mグアニジン塩酸塩(13μl)加え、14000×gで10秒間遠心した。反応液13μlをSAM(登録商標)メンブランにスポットし、2M塩化ナトリウム水溶液(200ml)で30秒間、1回、3分間、2回洗い、次に1%リン酸を含む2M塩化ナトリウム水溶液(200ml)で3分間、2回洗い、最後にイオン交換水(100ml)で30秒間、1回洗った。SAM(登録商標)メンブランを乾燥後、クリアゾルIシンチレーター(ナカライテスク社製)を10ml加え、液体シンチレーションカウンターで放射能を測定した。コントロールは被験物質の代わりに10%DMSO溶液を加えた際の放射能を測定した。被検化合物を添加した際の放射能をコントロールに対するパーセントとして計算し、コントロールの50%を示す濃度をIC50値とした(表1)。
【0046】
【表1】

【0047】
PYKは対照に用いたPD153035と同程度の高いEGFR−TKリン酸化阻害活性を示した。また、この結果より、PYKは優れたEGFR−TKリン酸化阻害活性を持ち、新規SPECT用EGFR−TK活性診断用薬剤としての可能性を持つことが確認された。
【0048】
実施例5(A431膜画分に対する[125I]PYKの結合親和性の検討)
A−431癌細胞膜画分の調製
A−431癌細胞をコンフルエントに達するまで培養後、トリプシン処理によりディシュから回収した後、細胞液を遠心分離(400 x g,5min,室温)した。次いで、氷冷下で沈殿にPBS(−)を2ml加え、シリンジで細胞を破砕した。その後、等量の0.2mMリン酸/0.32Mスクロース緩衝液(pH7.4)を加え、再度遠心分離(800 x g,10min,4℃)し上清を得た。上清を超遠心分離(75000 x g,15min,4℃)し、得られた沈殿に25mM HEPES緩衝液(pH7.4)を加え、25℃,15分間インキュベートした。再度超遠心分離(75000 x g,15min,4℃)を行い、沈殿を細胞膜画分とし、25mM HEPES緩衝液(pH7.4)に懸濁して用いた。タンパク量は、BSAを標準試料としたローリー法で測定した。
【0049】
125I]PYKのEGFR−TKに対する結合親和性
A−431癌細胞膜画分を25mM HEPES緩衝液に懸濁し、EGF添加後25℃ 10分間インキュベートした。次いで、全結合量を測定するためにDMSOを、非特異的結合量を測定するためにPD153035(終濃度10μM)をそれぞれ100μl加えた。さらに、[125I]PYKのDMSO溶液50μl及び終濃度1nM〜200nMとなるように調製した非標識PYKを50μl加えて全量1mlとし、25℃で60分間インキュベートした。反応終了後、直ちに反応液を0.5%ポリエチレンイミン溶液に30分間以上浸したグラスフィルター(GF/B、ワットマン社製)を用いて吸引濾過し0.5%トリトンX−100 0.2mM リン酸緩衝液(pH7.2)3mlでフィルターとチューブを洗浄した。γカウンターでフィルターの放射能を測定し、[125I]PYKとチロシンキナーゼとの全結合量と非特異的結合量を求め、全結合量と非特異的結合量の差を特異的結合量とした。得られた特異的結合量曲線から、Scatchard解析法によりKd値及びBmax値を算出した(図1)。
【0050】
A−431細胞膜画分に対するPYKのKd値は、51.3nM、Bmax値は、27.0pmol/mg proteinであり、PYKはEGFR−TKに対して高い親和性を示すことが確認できた。さらに、結合部位の交叉性を知るうえで重要なHill係数は、1.02となりPYKの結合部位は一つで、他の結合部位に相互作用がないことを確認した。また、本実験に用いたEGFR−TK選択的阻害剤PD153035は、細胞膜内に存在するチロシンキナーゼのATP結合部位に作用することで阻害活性を示すことから、PYKも同部位に結合していると考えられた。
【0051】
実施例6([125I]PYKの体内分布変化)
125I]PYKの詳細な生体内分布とEGFR−TK特異性に関して、担癌マウスを用い、投与1、6、12、24時間後での体内分布を調べた。なお、本実験では、EGFR−TKがよく発現しており担癌モデルマウスとしてよく用いられ、作成の容易なA−431癌細胞を用いた。
【0052】
A−431細胞担癌モデルマウスの作成
A−431癌細胞は、5%FCSならびに、ペニシリン−ストレプトマイシン混合溶液を含むDMEM培養液で5%CO存在下37℃で常法に従い培養した。培地交換は2日に一回行い、コンフルエント状態になるまで培養した後、実験に用いた。コンフルエント状態に達したものをトリプシン処理し、細胞を採取した。細胞は、培養時に使用した培地で最適な濃度に懸濁し、200μl当たり1×10個になるように細胞を調製した。得られた細胞懸濁液200μlを生後4週間のBALB/c−nu系雄性ヌードマウス(20〜25g)の大腿部に皮下注射し、2週間飼育した。
【0053】
125I]PYKのA431癌組織への集積性
A−431癌細胞担癌マウスに[125I]PYKを尾静脈より投与し、1、6、12、24時間後に屠殺後、癌および各臓器を採取し、重量並びに放射能を測定比較した。測定結果より各臓器1g当たりの放射能を全投与量に対するパーセント(% dose/g tissue)として算出し、[125I]PYKの各種癌への集積について比較検討した(表2)。
【0054】
【表2】

【0055】
125I]PYKは、投与1時間後で癌に4.4%集積し、その後、投与6時間後で3.6%、投与12時間後で1.7%、投与24時間後で1.5%と投与後早期における癌への高い取込みとその後の緩やかな消失が確認された。また、他の組織からは、癌よりも早い消失が認められた。その結果、画像コントラストの指標である癌対組織比が上昇した。[125I]PYKの癌対血液、筋肉比は、投与1時間後で6.8、4.6、投与24時間後で、57.0、45.5と良好な値を示した(図2A)。一方、主要組織に対する癌対組織比は、投与1時間後ではいずれも低い値であったが、投与24時間後では、癌対肝臓、癌対腎臓、癌対肺比がそれぞれ3.0、4.3、8.5と良好な値を示した(図2B)。
【0056】
実施例7(in vivoにおける癌集積量がEGFR−TK発現量及びEGFR−TKリン酸化活性と相関すること)
各種癌細胞の培養
各種癌細胞は、75cmディシュ中に1.0×10個添加し、5%CO存在下37℃で常法によって培養した。培地はA−431、A−375、C−6癌細胞はDMEM、Du−145、Me−180、PC−3、NALM−6癌細胞はRPMI1640にA−431は5%FCS、その他の細胞は10%FCSならびに、ペニシリンーストレプトマイシン混合溶液を加えたものを用いた。
【0057】
各種癌細胞膜画分の調製
(接着系細胞の場合)
コンフルエントに達するまで培養した各種癌細胞を、トリプシン処理によりディシュから回収した後、細胞液を遠心分離(400 x g,5min,室温)した。次いで、氷冷下で沈殿にPBS(−)を2mL加え、シリンジで細胞を破砕した。その後、等量の0.2mMリン酸/0.32Mスクロース緩衝液(pH7.4)を加え、再度遠心分離(800 x g,10min,4℃)により上清を得た。上清を超遠心分離(75000 x g,15min,4℃)し、得られた沈殿に25mM HEPES緩衝液(pH7.4)を加え、25℃,15分間インキュベートした。再度超遠心分離(75000 x g,15min,4℃)を行い、沈殿を細胞膜画分とし、25mM HEPES緩衝液(pH7.4)に懸濁して用いた。タンパク量は、BSAを標準試料としたローリー法で測定した。
(浮遊系細胞の場合)
トリプシン処理を行わずに細胞をディシュから回収し、以下、接着系細胞と同様の操作を行った。
【0058】
各種癌細胞におけるEGFR−TK発現量の測定
各種癌細胞膜画分を25mM HEPES緩衝液に懸濁し、EGF添加後25℃ 10分間インキュベートした。次いで、全結合量を測定するためにDMSOを、非特異的結合量を測定するためにPD153035(終濃度10μM)をそれぞれ100μl加えた。さらに、[125I]PYKのDMSO溶液50μl及び終濃度1nM〜200nMとなるように調製した非標識PYKを50μl加えて全量1mlとし、25℃で60分間インキュベートした。反応終了後、直ちに反応液を0.5%ポリエチレンイミン溶液に30分間以上浸したグラスフィルター(GF/B、ワットマン社製)を用いて吸引濾過し0.5%トリトンX−100 0.2mMリン酸緩衝液(pH 7.2)3mlでフィルターとチューブを洗浄した。γカウンターでフィルターの放射能を測定し、[125I]PYKとチロシンキナーゼとの全結合量と非特異的結合量を求め、全結合量と非特異的結合量の差を特異的結合量とした。得られた特異的結合量曲線から、Scatchard解析法によりKd値及びBmax値を算出した(表3)。
【0059】
【表3】

【0060】
各種癌細胞におけるEGFR−TKリン酸化活性の測定
PTKアッセイ5×緩衝液(5.0μl)、PTKビオチン化ペプチド基質(2.5μl)、2.5mMバナジン酸ナトリウム(2.5μl)、ATP混合溶液{0.5mM ATP、[γ−32P]ATP(18.5kBq)}(2.5μ)を加え、コントロールには1%DMSO溶液を、非特異的なリン酸化の測定には、EGFR−TK選択的阻害剤PD153035(終濃度10μM)7.5μlを加え、30℃、5分間インキュベートした。続いて、各種癌細胞膜画分1μgを加え、30℃、15分間インキュベートした。その後、7.5Mグアニジン塩酸塩(13μl)を加え、14000×gで10秒間遠心した。反応液13μlをSAM(登録商標)メンブランにスポットし、2M塩化ナトリウム水溶液(200ml)で30秒間、1回、3分間、2回洗い、次に1%リン酸を含む2M塩化ナトリウム水溶液(200ml)で3分間、2回洗い、最後にイオン交換水(100ml)で30秒間、1回洗った。SAM(登録商標)メンブランを乾燥後、クリアゾルIシンチレーター(ナカライテスク社製)を10ml加え、液体シンチレーションカウンターで放射能を測定した。コントロールからPD153035を前処置した際の放射能を引いた値をEGFR−TKの特異的なリン酸化活性とし、ユニットに換算して各種癌細胞におけるEGFR−TKリン酸化活性を算出した(表4)。1ユニットは、30℃、1分間に1pmolのリン酸基をAngiotensinIIに転換するための酵素量とした。
【0061】
【表4】

【0062】
各種癌細胞担癌モデルマウスの作成
各種癌細胞を前述の方法で培養し、コンフルエント状態に達したものをトリプシン処理し、細胞を採取した。細胞は、各種癌細胞の培養時に使用した培地で最適な濃度に懸濁した。各種癌細胞懸濁液200μl当たり1×10個になるように細胞を調製した。得られた細胞懸濁液200μlを生後4週間のBALB/c−nu系雄性ヌードマウス(20〜25g)の大腿部に皮下注射し、A−375癌細胞は2週間、C−6、PC−3癌細胞は3週間、Me−180、Du−145癌細胞は4週間飼育した。
【0063】
125I]PYKの各種癌への集積性
各種癌細胞担癌マウスに[125I]PYKを尾静脈より投与し、24時間後に屠殺後、癌および各臓器を採取し、重量並びに放射能を測定比較した。測定結果より各臓器1g当たりの放射能を全投与量に対するパーセント(% dose/g tissue)として算出し、[125I]PYKの各種癌への集積について比較検討した(表5)。
【0064】
【表5】

【0065】
125I]PYKは、各種担癌モデルマウスにおいて主要臓器への集積に大きな差はみられなかった。一方、[125I]PYKの標的組織である癌への集積量は、A−431で、1.51%、Du−145、Me−180、PC−3、A−375、C−6でそれぞれ1.14%、0.70%、0.43%、0.39%、0.11%と癌により様々であった。
【0066】
各種担癌モデルマウスにおける[125I]PYKの癌集積量とEGFR−TKリン酸化活性との相関性
次に、各種癌のEGFR−TKリン酸化活性及びEGFR−TK発現量であるBmax値とインビボでの[125I]PYKの癌集積量との相関性を検討した(図3)。
125I]PYKの癌集積量は、Bmax値と高い相関性が認められ(R=0.89)、EGFR−TKリン酸化活性とも同様に良好な値が得られた(R=0.72)。従って、[125I]PYKは、インビボにおいてもEGFR−TKを発現する様々な癌に適用可能であると考えられ、[125I]PYKの癌集積量よりEGFR−TKリン酸化活性を推定可能なことから、EGFR−TKを標的とする分子イメージング薬剤としての可能性が示唆された。
【0067】
実施例8([125I]PYKのオートラジオグラム)
癌集積量ならびに癌対組織比が最も高かったA−431担癌モデルマウスを用いて投与1、6、12、24時間後におけるオートラジオグラムを作成し、[125I]PYKの画像による評価を行った。
A−431癌細胞懸濁液200μl(1×10個)を生後4週間のBALB/c−nu系雄性ヌードマウス(20〜25g)の背部に皮下注射し、2週間飼育した。そして、[125I]PYKを尾静脈より投与し(1.1MBq/200μl)、1、6、12、24時間後にそれぞれ屠殺し、胴体をドライアイス/ヘキサン中で凍結させた。1時間後に胴体を背骨に沿って縦切りにし、o,c,t compoundで土台に固定させ、−30℃程度で12時間凍結させた。その後、ミクロトームを用いて30μmの凍結切片とし、スライドガラスに貼り付けた。得られた切片をフィルムに密着させ、暗室にて1週間感光させ後、現像液で5分、現像停止液で2分、定着液で10分間現像処理した後、画像処理をして、オートラジオグラムを得た(図4)。
【0068】
125I]PYK投与1、6時間後のオートラジオグラムでは、明らかな[125I]PYKの癌への集積が確認されたが、主要組織においても高い集積を示した。しかし、投与12時間後においては、臓器が判別できる程度まで非標的組織から[125I]PYKの消失が認められ、また、投与24時間後においては、[125I]PYKの標的組織である癌への高い集積と他の臓器、特に、画像診断薬剤の多くに見られる肝臓、腎臓などの代謝系の臓器や肺・胃といった体積の大きな臓器への高い集積も認められず、鮮明な画像を得ることができた。
【0069】
以上のように、検討した各種癌において[125I]PYKは、高い癌集積性と非標的組織からの速やかな消失を示し、良好な癌対組織比が得られた。さらに、A−431担癌モデルマウスのオートラジオグラムでは明瞭な画像が得られたことから、[125I]PYKの臨床への応用が十分可能であることが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】A431癌細胞の膜画分EGFR−TKに対する[125]PYKの結合特性を検討した実験結果を示す図である。
【図2】[125I]PYKの担腫瘍マウス体内分布において、腫瘍と血液または周辺臓器の集積(% dose/g tissue)における比を、癌対臓器比として算出し、その経時的変化を示した図である。
【図3】各種癌細胞のEGFR−TKリン酸化活性及びEGFR−TK発現量であるBmax値とインビボでの[125I]PYKの癌集積量との相関性を検討した実験結果を示す図である。
【図4】A−431担癌モデルマウスにおける[125I]PYKのオートラジオグラムを経時的に示した図(写真)である。図において、矢印は腫瘍を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは放射性ヨウ素原子を示す。)で表される放射性化合物。
【請求項2】
放射性ヨウ素原子が、I−123、I−124、I−125及びI−131から選ばれたものである請求項1記載の放射性化合物。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の放射性化合物を含有する医薬。
【請求項4】
画像診断用イメージング剤である請求項3記載の医薬。
【請求項5】
腫瘍疾患領域の画像診断用イメージング剤である請求項4記載の医薬。
【請求項6】
シングルフォトン断層撮影法(SPECT)用の腫瘍疾患領域の画像診断用イメージング剤である請求項5記載の医薬。
【請求項7】
ポジトロン放出断層撮影法(PET)用の腫瘍疾患領域の画像診断用イメージング剤である請求項5記載の医薬。
【請求項8】
内用放射線治療薬である請求項3記載の医薬。
【請求項9】
一般式(2)
【化2】

(式中、Rは、ヨウ素原子、トリアルキルスズ基またはトリアルキルシリル基を示す。)で表される4−フェノキシキナゾリン誘導体。
【請求項10】
一般式(2)
【化3】

(式中、Rは、ヨウ素原子、トリアルキルスズ基またはトリアルキルシリル基を示す。)で表される4−フェノキシキナゾリン誘導体にアルカリ金属放射性ヨウ素化物を反応させることを特徴とする一般式(1)
【化4】

(式中、Rは、放射性ヨウ素原子を示す。)で表される放射性ヨウ素化合物の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−191430(P2007−191430A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11235(P2006−11235)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年9月20日 日本核医学会発行の「核医学第42巻3号」に発表
【出願人】(000149837)富士フイルムRIファーマ株式会社 (54)
【Fターム(参考)】