説明

4−(ピロロピリジニル)ピリミジニル−2−アミン誘導体

式I(式中のR1、R2、R3、R4およびR5は、請求項1に記載の意味を有する)の化合物は、細胞増殖/細胞生存の阻害物質であり、腫瘍を治療するのに用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用な特性、特に医薬調製に用いられ得る有用な特性を有する新規な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
他の4−(ピロロピリジニル)ピリミジニル−2−アミン誘導体が、例えば、Tetrahedron 57 (2001) 2355-2363にP.M. Fresnedaらによって記載されている。
【0003】
他の4−(ピロロピリジニル)ピリミジニル−2−アミン誘導体が、A. Karpovによっても彼の博士論文(ハイデルベルグ大学、2005年4月)中に記載されている。
【0004】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル基を有する、炎症性疾患および自己免疫疾患を治療するための他のアミノピリジン誘導体が、WO 2004/089913に記載されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の式I
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
1は、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHet、−[C(R62nシクロアルキル、COR7、COOR7、CON(R72またはSO27を表し、
2は、HまたはAを表し、
3、R4は、それぞれ、互いに独立して、H、A、Hal、CN、−[C(R62nAr、−[C(R62nHetまたは−[C(R62nシクロアルキルを表し、
5は、H、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHetまたは−[C(R62nシクロアルキルを表し、
6は、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
7は、H、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHetまたは−[C(R62nシクロアルキルを表し、
A、A’は、それぞれ、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で、および/または−CH=CH−基で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
Arは、置換されていない、またはOH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、COA、CHOまたはCNで一、二、三、四または五置換されている5〜14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する一、二または三環式飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環を表し、これは、置換されていなくてもよく、またはOH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、CHO、COA、CN、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)で一、二または三置換されていてもよく、
nは、0、1または2を表す]
の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物に関する。
【0008】
本発明は、有用な特性、特に医薬調製に用いられ得る有用な特性を有する新規な化合物を見出そうという目的に基づいたものであった。
【0009】
式Iの化合物およびその塩および/または溶媒和物は、非常に有用な薬理特性を有していると同時に十分忍容されるものであることが見出された。
【0010】
これらは、特に、拮抗薬または作動薬としての細胞増殖/細胞生存阻害効果を示す。したがって、本発明による化合物は、腫瘍、腫瘍増殖および/または腫瘍転移の闘病および/または治療に用いることができる。
【0011】
抗増殖効果は増殖アッセイ/生存アッセイで試験することができる。
【0012】
他の4−(ピロロピリジニル)ピリミジニル−2−アミン誘導体が、例えば、Tetrahedron 57 (2001) 2355-2363にP.M. Fresnedaらによって記載されている。
【0013】
他の4−(ピロロピリジニル)ピリミジニル−2−アミン誘導体が、A. Karpovによっても彼の博士論文(ハイデルベルグ大学、2005年4月)中に記載されている。
【0014】
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル基を有する、炎症性疾患および自己免疫疾患を治療するための他のアミノピリジン誘導体が、WO 2004/089913に記載されている。
【0015】
したがって、本発明による化合物またはその医薬として許容される塩は、例えば、(例えば、肺、膵臓、甲状腺、膀胱または結腸)癌などの固形癌、骨髄疾患(例えば、骨髄性白血病)または腺腫(例えば、絨毛結腸腺腫)を含めた癌を治療するのに投与されるものである。
【0016】
腫瘍には、さらに、単球性白血病、脳腫瘍、尿生殖器癌、リンパ系腫瘍、胃癌、喉頭癌、肺腺癌および小細胞肺癌を含めた肺癌、膵臓癌、および/または乳癌も包含される。
【0017】
さらに、本化合物は、HIV−1(Human Immunodeficiency Virus Type 1;ヒト免疫不全ウイルス1型)によって誘発された免疫不全を治療するのにも適している。
【0018】
癌様高増殖性疾患は、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、食道癌、婦人科系癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病、および急性白血病であるとされている。特に、癌様細胞増殖は、本発明の標的を代表する疾患である。したがって、本発明は、そのような疾患を治療および/または予防する際の医薬および/または医薬活性成分としての本発明による化合物、そのような疾患の治療および/または予防用医薬を調製するための本発明による化合物の使用、および投与を必要としている患者に1種または複数種の本発明による化合物を投与することを含むそのような疾患の治療方法に関するものである。
【0019】
本発明による化合物が抗増殖効果を有していることは示すことができる。本発明による化合物は、高増殖性疾患の患者に、例えば、腫瘍増殖を抑制するために、リンパ増殖性疾患に伴う炎症を軽減するために、組織修復などに起因する移植拒絶反応または神経損傷を抑制するために投与される。本化合物は、予防または治療目的に適している。用語「治療」は、本明細書で使用する場合、疾患の予防および既に存在する状態の治療のいずれをも意味するのに使用されている。増殖/生存の予防は、例えば腫瘍増殖を予防するために、明白な疾患が発症する前に、本発明による化合物を投与することによって、達成される。別の形態としては、本化合物は、患者の臨床症状を安定化または改善することによって進行中の疾患を治療するのに用いられる。
【0020】
宿主または患者は、任意の哺乳動物種、例えば、霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含めたげっ歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコ他に属し得る。ヒト疾患を治療するためのモデルを提供する動物モデルは、実験研究に重要である。
【0021】
本発明による化合物を用いた治療に対する特定の細胞の感受性は、インビトロ試験で決定し得る。典型的には、細胞培養物を、さまざまな濃度の本発明による化合物と一緒に、活性作用物質が細胞死を引き起こすのに、または細胞増殖、細胞生存または移動を阻害するのに十分な時間、通常約1時間〜1週間、インキュベートする。インビトロ試験は、生検サンプルから培養した細胞を用いて行うことができる。処理の後に残っている細胞の量がこの後決定される。
【0022】
用量は、用いるその特定の化合物、その特定の疾患、その患者の状態他に応じて変動するものである。治療用量は、典型的には、患者の生存能は維持しながら、標的組織中の望まれていない細胞集団をかなり減らすのに十分な量である。治療は、一般には、細胞量のかなりの低下、例えば、少なくとも約50%の低下が生じるまで続け、さらには望まれていない細胞が体内で本質的にもはや検出されなくなるまで続け得る。
【0023】
細胞増殖および細胞死(アポトーシス)の調節不全に伴う疾患は多くある。該当する状態としては、限定するものではないが、以下の状態が挙げられる。本発明による化合物は、血管の内膜層への平滑筋細胞および/または炎症細胞の増殖および/または移動があって、その血管を通る血液流に限度が生じているさまざまな状態を、例えば新内膜閉塞性病変のケースで、治療するのに適している。該当する閉塞性移植片血管疾患としては、アテローム性動脈硬化症、移植後冠状動脈血管疾患、静脈移植片狭窄、吻合周囲プロテーゼ再狭窄、血管形成術またはステント配置後再狭窄などが挙げられる。
【0024】
本発明はまた、光学活性体(立体異性体)、塩、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーならびにこれらの化合物の水和物および溶媒和物にも関する。化合物の溶媒和物という用語は、化合物に不活性溶媒分子が付加したものを意味するととる。この付加は、それらの互いの引力が原因で生じる。溶媒和物には、例えば、一または二水和物やアルコキシドがある。
【0025】
医薬として使用できる誘導体という用語は、例えば、本発明による化合物の塩、さらにはいわゆるプロドラッグ化合物を意味するととる。
【0026】
プロドラッグ誘導体という用語は、例えば、アルキルもしくはアシル基、糖、またはオリゴペプチドによって修飾されていて、生体中では迅速に開裂されて、本発明による有効な化合物を生じる式Iの化合物を意味するととる。
【0027】
これらには、本発明による化合物の、例えば、Int. J. Pharm. 115, 61-67 (1995) に記載されている生分解性ポリマー誘導体も挙げられる。
【0028】
「有効量」という用語は、組織、系、動物またはヒトに、例えば研究者または医師が求めるまたは望む生物学的または医学的応答を引き起こす医薬の量または医薬活性成分の量を表す。
【0029】
さらに、「治療有効量」という用語は、そのような量を与えられていない対応の対象と比較して、以下などの結果:
治療度の向上、治癒度の向上、疾患、症候、状態、不具合、障害または副作用の予防または解消、あるいはさらに疾患、状態または障害の進行における低下をもたらす量を表す。
【0030】
「治療有効量」という用語には、通常の生理学的機能を向上させるのに有効である量も包含される。
【0031】
本発明はまた、式Iの化合物同士の混合物、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比にある、例えば2種のジアステレオマー同士の混合物の使用にも関する。
【0032】
そのような混合物は、特に好ましくは、立体異性化合物同士の混合物である。
【0033】
本発明は式Iの化合物およびその塩に関し、同時に請求項1から13に記載の式Iの化合物、医薬として使用できるその誘導体、塩、溶媒和物、互変体および立体異性体の調製方法にも関し、該方法は、
a)次の式II
【0034】
【化2】


【0035】
[式中、R2はインドール保護基を表し、
3、R4およびR5は、請求項1に記載の意味を有し、
Aは、1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを表す]
の化合物を次の式III
【0036】
【化3】

【0037】
[式中、R1は、請求項1に記載の意味を有する]
の化合物と反応させ、
さらにそのインドール保護基を同時にまたは後に脱離させる、
または
b)式IIIの化合物を次の式
【0038】
【化4】

【0039】
[式中、R2、R3、R4およびR5は、請求項1に記載の意味を有する]
の化合物と反応させる、
または
c)加溶媒分解剤または水素化分解剤による処理によりそのような化合物の官能性誘導体のうちの1つからそのような化合物を遊離させる、
または
d)i)アミノ保護基を脱離させること、
および/または
ii)アルキル化を行うこと
によって、式Iの化合物中の基R1および/またはR2を別の基R1および/またはR2に変換させる、
および/または
式Iの塩基または酸をその塩のうちの1つに変換させる
ことを特徴とする。
【0040】
上記および以下においては、基R1、R2、R3、R4およびR5は、明白にそうでないと示されていない限り、式Iで示した意味を有する。
【0041】
A、A’は、それぞれ、互いに独立して、アルキルを表し、非分枝(線状)または分枝であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有している。Aは、好ましくは、メチル、さらにはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチルまたはt−ブチルを表し、さらにはペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピルも表し、さらに好ましくは、例えば、トリフルオロメチルを表す。
【0042】
Aは、きわめて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを表す。
【0043】
また、A中の1個または2個のCH2基は、OまたはS原子で、および/または−CH=CH−基で置き換えられていてもよい。つまりAは、例えば、2−メトキシエチルも表す。
【0044】
シクロアルキルは、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表す。
【0045】
5〜14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環は、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ナフチル、ビフェニルまたはテトラヒドロナフチルを表す。
【0046】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−t−ブチル−フェニル、o−、m−またはp−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−メチルスルホニルフェニル、o−、m−またはp−ニトロ−フェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノフェニル、o−、m−またはp−ジメチルアミノフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−アミノカルボニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−エトキシ−カルボニルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジ−フルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、p−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモ−フェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを表す。
【0047】
Arは、好ましくは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されている6〜14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表す。
【0048】
Arは、特に好ましくは、フェニルまたはナフチルを表し、これらのそれぞれは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されている。
【0049】
Hetは、さらなる置換に関係なく、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズオキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−または−5−イルまたは2,1,3−ベンゾオキサ−ジアゾール−5−イルを表す。
【0050】
また、ヘテロ環式基は、部分的または完全に水素化されていてもよい。
【0051】
つまり、置換されていないHetは、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−、2−または3−ピロリ−ジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8− 3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−または6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたは3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イルも、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルとも表され得る。
【0052】
Hetは、好ましくは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、置換されていない一または二環式芳香族へテロ環を表す。きわめて特に好ましくは、Hetは、ピリジル、ピリミジニル、チエニル、フリル、キノリル、イソキノリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキサニル、2,1,3−ベンゾチアジアゾリルまたは2,1,3−ベンゾキサジアゾリルを表し、キノリルがきわめて特に好ましい。
【0053】
1は、好ましくは、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHet、COR7、CON(R72またはSO27を表し、
ここではHet≠2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルであり、
さらにここではR6は、好ましくは、Hを表し、
さらにここではR7は、好ましくは、H、または1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを表す。
【0054】
3は、好ましくは、HまたはA、特に好ましくは、H、または1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0055】
4は、好ましくは、HまたはA、特に好ましくは、H、または1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0056】
5は、好ましくは、HまたはA、特に好ましくは、H、または1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0057】
6は、好ましくは、H、または1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0058】
7は、好ましくは、HまたはA、特に好ましくは、H、または1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0059】
Halは、好ましくは、F、ClまたはBrのみならずさらにはI、特に好ましくは、FまたはClを表す。
【0060】
本明細書を通して、2回以上現れる基は、すべて、同じであってもよいし、または異なっていてもよい、すなわち、それらは、互いに独立している。
【0061】
式Iの化合物は、1個または複数個のキラル中心を有し得るので、その結果、さまざまな立体異性形態で存在し得る。式Iには、これらの形態のすべてが包含される。
【0062】
したがって、本発明は、特に、式I中の基のうちの少なくとも1つが上記した好ましい意味のうちの1つを有する式Iの化合物に関する。一部の好ましい化合物の群は、以下の下位式Ia〜Ik[これらの下位式は式Iに従っており、またこれらの下位式中でより詳細に記載されていない基は式Iで示した意味を有するが、ここで、
Iaにおいては、R1は、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHet、COR7、CON(R72またはSO27を表し、
ここで、Het≠2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルであり;
Ibにおいては、R3は、HまたはAを表し;
Icにおいては、R4は、HまたはAを表し;
Idにおいては、R5は、HまたはAを表し;
Ieにおいては、R7は、HまたはAを表し;
Ifにおいては、Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよく;
Igにおいては、Arは、フェニルまたはナフチルを表し、これらのそれぞれは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されており;
Ihにおいては、Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、置換されていない一または二環式芳香族へテロ環を表し;
Iiにおいては、R1は、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHet、COR7、CON(R72またはSO27を表し、
ここで、Het≠2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルであり、
3は、HまたはAを表し、
4は、HまたはAを表し、
5は、HまたはAを表し、
7は、HまたはAを表し、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよく、
Arは、フェニルまたはナフチルを表し、これらのそれぞれは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、置換されていない一または二環式芳香族へテロ環を表し;
Ijにおいては、R1は、A、−(CH2nAr、−(CH2nHet、COR7、CON(R72またはSO27を表し、
2は、HまたはAを表し、
3は、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
4は、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
5は、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
7は、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよく、
Arは、フェニルまたはナフチルを表し、これらのそれぞれは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、置換されていない一または二環式芳香族へテロ環を表し;
Ikにおいては、Hetは、ピリジル、ピリミジニル、チエニル、フリル、キノリル、イソキノリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキサニル、2,1,3−ベンゾチアジアゾリルまたは2,1,3−ベンゾキサジアゾリルを表す]
ならびに医薬として使用できるその誘導体、塩、溶媒和物、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物によって表され得る。
【0063】
式Iの化合物およびさらにはそれを調製するための出発物質は、加えて、文献に(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的な専門書に)記載されているそれ自体公知の方法により、正確を期すと公知であり且つそのような反応に適している反応条件下で調製される。本発明では、本明細書でより詳細に記載されていない、それ自体公知の変法も用いることができる。
【0064】
式Iの化合物は、好ましくは、式IIの化合物と式IIIの化合物とを反応させることによって得ることができる。
【0065】
式IIの化合物および式IIIの化合物は一般に公知である。しかしながら、それらが新規である場合は、それらは、それ自体公知の方法によって調製することができる。
【0066】
反応は不活性溶媒中で行われ、一般には、酸結合性試薬、好ましくは、DIPEA、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンなどの有機塩基の存在下で行われる。
【0067】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属(好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウム)の弱酸の別の塩を加えるのも有利であり得る。
【0068】
用いる条件に応じて、反応時間は、数分〜14日であり、反応温度は、約−15℃〜150℃、通常40℃〜120℃、特に好ましくは60℃〜110℃である。
【0069】
適している不活性溶媒は、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはt−ブタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などのグリコールエーテル;アセトンまたはブタノンなどのケトン;アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;二硫化炭素;ギ酸または酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル;あるいはこのような溶媒同士の混合物である。
【0070】
特に好ましいのは、グリコールエーテル、THF、ジクロロメタンおよび/またはDMFである。
【0071】
好ましいインドール保護基は、例えば、スルホニル保護基(例えばトシルまたはメシル)、さらには例えばBOCなどの保護基である。
【0072】
式Iの化合物はさらに式IIIの化合物を式IVの化合物と反応させることによっても得ることができる。
【0073】
式IVの化合物は一般に公知である。しかしながら、それらが新規である場合は、それらは、それ自体公知の方法によって調製することができる。
【0074】
この反応は不活性溶媒中で行われ、一般には、酸結合性試薬、好ましくはDIPEA、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンなどの有機塩基の存在下で行われる。
【0075】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属(好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウム)の弱酸の別の塩を加えるのも有利であり得る。
【0076】
用いる条件に応じて、反応時間は、数分〜14日であり、反応温度は約−15℃〜150℃、通常40℃〜120℃、特に好ましくは60℃〜110℃である。
【0077】
適している不活性溶媒は、上記した溶媒である。
【0078】
エーテルの開裂は、当業者には知られている方法により行われる。
【0079】
標準的なエーテル開裂の方法、例えばメチルエーテルの開裂方法は、三臭化ボロンを用いる方法である。
【0080】
水素化分解により除去可能な基(例えばベンジルエーテルの開裂)は、例えば、触媒(例えばパラジウムなどの貴金属触媒、有利には炭素などの担体上の)の存在下に水素による処理により脱離させることができる。ここでの適している溶媒は、先に示した溶媒であり、特に、例えば、メタノールまたはエタノールなどのアルコール、またはDMFなどのアミドである。水素化分解は、一般には、約0〜100℃の温度、および約1〜200バールの圧力、好ましくは20〜30℃および1〜10バールで行われる。
【0081】
エステルは、例えば、酢酸を用いて、または水、水/THFまたは水/ジオキサン中NaOHまたはKOHを用いて、0〜100℃の温度で鹸化することができる。
【0082】
窒素へのアルキル化は、当業者には知られている標準的な条件下で行われる。
【0083】
式Iの化合物は、さらに、加溶媒分解、特に加水分解により、または水素化分解により、そのような化合物の官能性誘導体からそのような化合物を遊離させることによっても得ることができる。
【0084】
この加溶媒分解または水素化分解用の好ましい出発物質は、1個または複数個の遊離アミノ基および/またはヒドロキシル基に代えて対応する保護されたアミノ基および/またはヒドロキシル基を含む出発物質、好ましくはN原子に結合されたH原子に代えてアミノ保護基を有している出発物質、例えば式Iには従っているが、NH2基に代えてNHR’基(式中、R’は、アミノ保護基、例えばBOCまたはCBZを表す)を含む出発物質である。
【0085】
さらに、ヒドロキシル基のH原子に代えてヒドロキシル保護基を有している出発物質、例えば式Iには従っているが、ヒドロキシフェニル基に代えてR”O−フェニル基(式中、R”は、ヒドロキシル保護基を表す)を含む出発物質も好ましい。
【0086】
複数の(同じまたは異なる)保護されたアミノおよび/またはヒドロキシル基が出発物質の分子中に存在していることも考えられる。存在している保護基が互いに異なる場合は、多くの場合、選択的に脱離させることができる。
【0087】
「アミノ保護基」という表現は、一般用語で知られているものであり、アミノ基を化学反応から保護する(ブロックする)のに適しているが、所望の化学反応が分子中の他のどこかで行われた後は除去するのが容易である基に関するものである。そのような基の典型は、特に、置換されていないまたは置換されたアシル、アリール、アラルコキシメチルまたはアラルキル基である。アミノ保護基は所望の反応(または反応シークエンス)の後除去されるので、その種類および大きさはさらには重要でない。しかしながら、好ましいのは、1〜20(特には1〜8)個のC原子を有するものである。「アシル基」という表現は、本方法との関連では最も広い意味で解釈されるべきである。これには、脂肪族、アリール脂肪族、芳香族またはヘテロ環式カルボン酸またはスルホン酸から誘導されるアシル基が挙げられ、さらには、特に、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルおよび特にはアラルコキシカルボニル基が挙げられる。そのようなアシル基の例には、アルカノイル、例えば、アセチル、プロピニル、ブチリル;アラルカノイル、例えば、フェニルアセチル;アロイル、例えば、ベンゾイル、トリル;アリールオキシアルカノイル、例えば、POA;アルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、BOC、2−ヨードエトキシカルボニル;アラルコキシカルボニル、例えば、CBZ(「カルボベンゾキシ」)、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、FMOC;アリールスルホニル、例えば、Mtr、Pbf、Pmcがある。好ましいアミノ保護基は、BOCおよびMtr、さらにはCBZ、Fmoc、ベンジルおよびアセチルである。
【0088】
「ヒドロキシル保護基」という表現は、同様に、一般用語で知られているものであり、ヒドロキシル基を化学反応から保護するのに適しているが、所望の化学反応が分子中の他のどこかで行われた後は除去するのが容易である基に関するものである。そのような基の典型は、上記した置換されていないまたは置換されたアリール、アラルキルまたはアシル基であり、さらにはアルキル基もそうである。ヒドロキシル保護基の種類および大きさは、所望の化学反応または反応シークエンスの後それらはまた除去されるので重要でない。好ましいのは、1〜20(特には1〜10)個のC原子を有する基である。ヒドロキシル保護基の例には、とりわけ、t−ブトキシカルボニル、ベンジル、p−ニトロベンゾイル、p−トルエンスルホニル、t−ブチルおよびアセチルがあり、ここではベンジルおよびt−ブチルが特に好ましい。アスパラギン酸およびグルタミン酸中のCOOH基は、好ましくは、そのt−ブチルエステル(例えばAsp(OBut))の形態で保護される。
【0089】
式Iの化合物は、その官能性誘導体から、(用いられている保護基に応じて)、例えば強酸を用いて、有利にはTFAまたは過塩素酸を用いて遊離され、また他の強無機酸(例えば塩酸または硫酸)、強有機カルボン酸(例えばトリクロロ酢酸)、またはスルホン酸(例えばベンゼン−またはp−トルエン−スルホン酸)を用いても遊離される。さらなる不活性溶媒の存在も考えられるが、必ずしも必要ではない。適している不活性溶媒は、好ましくは、有機(例えばカルボン)酸(例えば酢酸)、エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン)、アミド(例えばDMF)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)であり、さらにはアルコール(例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノール)、さらには水も適している。さらには上記した溶媒同士の混合物も適している。TFAは、好ましくは、さらなる溶媒を加えることなく過剰で用い、過塩素酸は、好ましくは、9:1の比にある酢酸と70%過塩素酸との混合物の形態で用いる。開裂させるための反応温度は、有利には、約0〜約50℃、好ましくは15〜30℃(室温)である。
【0090】
例えば、BOC、OBut、Pbf、PmcおよびMtr基は、好ましくは、TFA/ジクロロメタンを用いて、またはおよそ3〜5N HCl/ジオキサンを用いて15〜30℃で脱離させることができ、FMOC基は、ジメチルアミン、ジエチルアミンまたはピペリジンのおよそ5〜50%DMF溶液を用いて15〜30℃で脱離させることができる。
【0091】
トリチル基は、アミノ酸のヒスチジン、アスパラギン、グルタミンおよびシステインを保護するために用いられる。これらは、所望の最終生成物にもよるが、TFA/10%チオフェノールを用いて脱離されるが、トリチル基は、そのようなアミノ酸のすべてから脱離される。TFA/アニソールまたはTFA/チオアニソールを用いる場合は、His、AsnおよびGlnのトリチル基のみが脱離され、Cys側鎖上のトリチル基は残る。
【0092】
Pbf(ペンタメチルベンゾフラニル)基は、Argを保護するために用いられる。これは、例えば、TFA/ジクロロメタンを用いて脱離される。
【0093】
水素化分解により除去可能な保護基(例えばCBZまたはベンジル)は、例えば、触媒(例えばパラジウムなどの貴金属触媒、有利には炭素などの担体上の)の存在下に水素による処理により脱離させることができる。ここでの適している溶媒は先に示した溶媒であり、特には、例えば、アルコール(例えばメタノールまたはエタノール)またはアミド(例えばDMF)である。この水素化分解は、一般には、約0〜100℃の温度および約1〜200バールの圧で行われ、好ましくは20〜30℃および1〜10バールで行われる。CBZ基の水素化分解は、例えば、メタノール中5〜10%Pd/C上、またはギ酸アンモニウム(水素の代わりに)を用いてメタノール/DMF中Pd/C上、20〜30℃で、うまくいく。
医薬としての塩および他の形態
本発明によるこのような化合物は、その最終の非塩の形態で用いることもできる。一方、本発明には、当技術分野で知られている方法によりさまざまな有機酸および無機酸さらには塩基から誘導することができる、そのような化合物の医薬として許容される塩の形態にある化合物の使用も包含される。式Iの化合物の医薬として許容される塩形態は、大半は、通常の方法によって調製される。式Iの化合物がカルボキシル基を含む場合は、その適している塩のうちの1つは、本化合物を適している塩基と反応させて、対応する塩基付加塩を得ることによって生成させることができる。そのような塩基には、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムが挙げられる);アルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム);アルカリ金属アルコキシド(例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムエトキシド);および各種の有機塩基(例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミン)がある。同様に式Iの化合物のアルミニウム塩も挙げられる。一部の式Iの化合物のケースでは、そのような化合物を、医薬として許容される有機および無機の酸、例えば、ハロゲン化水素(例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素);他の無機酸およびその対応する塩(例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩)など、およびアルキル−およびモノアリール−スルホネート(例えばエタンスルホネート、トルエンスルホネートおよびベンゼンスルホネート)、さらには他の有機酸およびその対応する塩(例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩など)で処理することによって酸付加塩を生成させることができる。つまり、式Iの化合物の医薬として許容される酸付加塩には以下の塩が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化塩、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクトン酸塩(粘液酸からの)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化塩、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩(但し、これは、限定を表すものではない)。
【0094】
さらに、本発明による化合物の塩基塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、鉄(III)塩、鉄(II)塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン(III)塩、マンガン(II)塩、カリウム塩、ナトリウム塩および亜鉛塩が挙げられるが、これは、限定を表すものではない。上記した塩のうちでは、好ましいのは、アンモニウム塩;アルカリ金属のナトリウム塩およびカリウム塩、さらにはアルカリ土類金属のカルシウム塩およびマグネシウム塩である。医薬として許容される有機非有害性塩基から誘導される式Iの化合物の塩としては、一級、二級および三級アミンの塩、置換されたアミンの塩が挙げられ、さらには天然に生じる、置換されたアミン、環状アミン、および塩基性イオン交換レジン、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミンレジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩も挙げられるが、これは、限定を表すものではない。
【0095】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物は、(C1〜C4)アルキルハロゲン化物、例えばメチル、エチル、イソプロピルおよびt−ブチルクロリド、ブロミドおよびヨージド;ジ(C1〜C4)アルキルスルフェート、例えばジメチル、ジエチルおよびジアミルスルフェート;(C10〜C18)アルキルハライド、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロリド、ブロミドおよびヨージド;およびアリール(C1〜C4)アルキルハライド、例えばベンジルクロリドおよびフェネチルブロミドなどの試薬を用いて四級化することができる。そのような塩を用いて、水および油のいずれにも可溶性の本発明による化合物を調製することができる。
【0096】
上記した医薬としての塩のうちで好ましいものとしては、酢酸塩、トリフルオロアセテート、ベシレート、シトレート、フマレート、グルコネート、ヘミスクシネート、ヒププレート(馬尿酸塩)、ヒドロクロリド(塩酸塩)、ヒドロブロミド、イセチオネート、マンデレート、メグルミン、硝酸塩、オレエート、ホスホネート、ピバレート、リン酸ナトリウム塩、ステアレート、硫酸塩、スルホサリチレート、タルタレート(酒石酸塩)、チオマレート、トシレートおよびトロメタミンが挙げられるが、これは、限定を表すものではない。
【0097】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩は、通常の方法で、その遊離塩基形態を、十分な量の所望の酸と接触させて、その塩の生成を引き起こすことによって調製される。遊離塩基は、通常の方法で、その塩形態を塩基と接触させて、その遊離塩基を単離することによって再生させることができる。遊離塩基形態は、ある面では、その対応する塩形態とは、一部の物理特性、例えば極性溶媒中での溶解度の点で異なっているが、本発明の目的のためには、塩は、その他の点では、そのそれぞれの遊離塩基形態に対応している。
【0098】
記載したように、式Iの化合物の医薬として許容される塩基付加塩は、金属またはアミン、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンを用いて生成される。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−クルカミンおよびプロカインである。
【0099】
本発明による酸性化合物の塩基付加塩は、通常の方法で、その遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させて、その塩の生成を引き起こすことによって調製される。遊離酸は、通常の方法で、その塩形態を酸と接触させて、その遊離酸を単離することによって再生させることができる。遊離酸形態は、ある面では、その対応する塩形態とは、一部の物理特性、例えば極性溶媒中での溶解度の点で異なっているが、本発明の目的のためには、塩は、その他の点では、そのそれぞれの遊離酸形態に対応している。
【0100】
本発明による化合物が、このようなタイプの医薬として許容される塩を形成することができる基を2個以上含む場合は、本発明には、複塩も包含される。典型的な複塩形態としては、例えば、二酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウム塩および三塩酸塩が挙げられるが、これは、限定を表すものではない。
【0101】
上で述べたこととの関連で、本発明との関連での「医薬として許容される塩」という表現が、式Iの化合物の塩のうちの1つの形態にある式Iの化合物を含む活性成分を意味するととることは分かるところであり、特に、この塩形態が、その活性成分の遊離形態と比較しても、または以前用いたその活性成分のいずれの他の塩形態と比較しても、その活性成分に改善された薬理速度特性を付与する場合はそうである。この活性成分の医薬として許容される塩形態は、この活性成分に、それが以前には有していなかった所望の薬理速度特性を初めてのこととして与えることもでき、さらにはこの活性成分の体内での治療効果に関係するその薬理動態にプラスの影響さえも与えることができる。
【0102】
本発明は、さらに、少なくとも1種の式Iの化合物および/または医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物および立体異性体ならびにあらゆる比のこれらの混合物と、さらに場合により賦形剤および/または補佐剤とを含んでなる医薬にも関する。
【0103】
医薬製剤は、投与単位体あたり所定量の活性成分を含む投与単位体の形態で投与することができる。そのような単位体は、治療する状態、投与の方法、さらには患者の年齢、体重および状態に応じて、本発明による化合物を、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mg含み得る、つまり医薬製剤は、投与単位体あたり所定量の活性成分を含む投与単位体の形態で投与することができるのである。好ましい投与単位体製剤は、先に示したように、活性成分の1日当たりの用量もしくは部分用量、またはその対応する分率を含むものである。さらに、このタイプの医薬製剤は、製薬の技術分野で一般に知られている方法を用いて調製することができる。
【0104】
医薬製剤は、任意の所望の適している方法による投与用に、例えば経口(経頬または舌下を含めて)、経直腸、経鼻、局所(経頬、舌下または経皮を含めて)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含めて)の方法による投与用に適合させることができる。そのような製剤は、製薬の技術分野で知られているあらゆる方法を用いて、例えば、活性成分を、賦形剤または補佐剤と組み合わせることにより調製することができる。
【0105】
経口投与用に適合された医薬製剤は、例えば、カプセルまたは錠剤などの別々の単位体として;粉末または顆粒として;水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として;可食フォームまたは発泡食品として;あるいは水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして投与することができる。
【0106】
すなわち、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与のケースでは、活性成分構成成分は、例えば、エタノール、グリセロール、水などなどの経口用の非有害性且つ医薬として許容される不活性賦形剤と組み合わせることができる。粉末は、本化合物を、適している微細な大きさに粉砕して、例えば、可食炭水化物(例えば、デンプンまたはマンニトールなど)などの、同様にして粉砕された医薬賦形剤と一緒に混合することにより調製される。矯味矯臭剤、防腐剤、分散剤および染料が同様に存在していてもよい。
【0107】
カプセルは、上述したようにして粉末混合物を調製し、ゼラチンシェル成形体をそれで充填することにより製造される。粉末混合物には、例えば高分散性ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体形態ポリエチレングリコールなどの滑沢剤および流動促進剤を充填操作の前に加えることもできる。カプセルが摂取された後の医薬のアベイラビィリティを良くするために、例えば、カンテン、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を加えることもできる。
【0108】
加えて、所望または必要な場合は、混合物には、適しているバインダー、滑沢剤および崩壊剤さらには染料も同様に組み込むこともできる。適しているバインダーとしては、デンプン、ゼラチン、天然の糖類(例えばグルコースまたはβ−ラクトースなど)、トウモロコシから作られた甘味料、天然および合成のゴム(例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投与形態に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、これらに限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、カンテン、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、その混合物を顆粒化または乾式プレス加工し、滑沢剤および崩壊剤を加え、その混合物全体をプレス加工して錠剤を得ることにより製剤化される。粉末混合物は、適している方法で粉砕された本化合物を、希釈剤または基剤と一緒に、さらには場合により、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなどのバインダー、例えばパラフィンなどの溶解遅延剤、例えば四級塩などの吸収促進剤、および/または例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と一緒に、先に述べたようにして混合することにより調製される。粉末混合物は、例えばシロップ、デンプンペースト、アカディア粘液またはセルロースもしくは高分子物質溶液でそれを湿潤化し、それを篩にプレス通過させることによって顆粒化することもできる。顆粒化に代わるものとして、粉末混合物は、錠剤成形機に流して、不均一形状の塊を得、これを砕いて顆粒を形成させることもできる。顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたはミネラルオイルを加えることにより潤滑化して、錠剤キャスト成形モールドに付着するのを防ぐことができる。潤滑化された混合物は次いでプレス加工されて、錠剤が得られる。本発明による化合物は、易流動性不活性賦形剤と組み合わせ、次いで、顆粒化または乾式プレス加工の工程を行うことなく、直接プレス加工して、錠剤を得ることもできる。セラックシール層、糖もしくは高分子物質層、およびワックス光沢層から構成されている透明または不透明保護層が存在していてもよい。これらのコーティングには、異なる投与単位体同士を区別することが可能なように、染料を加えることもできる。
【0109】
例えば、溶液剤、シロップおよびエリキシルなどの経口液剤は、所与の量が所定量の本化合物を含むような投与単位体の形態に調製することができる。シロップは、本化合物を、適している矯味矯臭剤を含む水性溶液に溶解させることにより調製することができ、エリキシルは、非有害性アルコールビヒクルを用いて調製される。懸濁液剤は、本化合物を、非有害性ビヒクル中に分散させることにより製剤化することができる。例えばエトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、防腐剤、例えばペパーミントオイルまたは天然甘味料またはサッカリンなどの矯味矯臭添加剤、あるいは他の人工甘味料なども同様に加えることができる。
【0110】
経口投与用の投与単位体製剤は、所望なら、マイクロカプセル中にカプセル化することもできる。製剤は、例えば粒子状物質をコーティングすることによって、または粒子状物質をポリマー、ワックスなどに包埋することによって、放出が延長または遅延されるように調製することもできる。
【0111】
式Iの化合物、その塩、溶媒和物および生理学的に機能する誘導体は、例えば、小さな一枚膜ベシクル、大きな一枚膜ベシクルおよび複数膜ベシクルなどのリポソーム送達システムの形態でも投与することができる。リポソームは、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの各種のリン脂質から生成させることができる。
【0112】
式Iの化合物、その塩、溶媒和物および生理学的に機能する誘導体は、本化合物分子がカップリングされているモノクローナル抗体を個々の担体として用いて送達することもできる。本化合物は、標的化医薬担体としての可溶性ポリマーにカップリングさせることもできる。そのようなポリマーには、パルミトイル基で置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンが包含され得る。さらに本化合物は、医薬の制御放出を確立するのに適している生分解性ポリマーの類、例えば、ポリ乳酸、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋されたまたは両親媒性ブロックコポリマーにもカップリングされ得る。
【0113】
経皮投与用に適合された医薬製剤は、レシピエントの皮膚と長期間密に接触させるための個別のプラスター(硬膏剤)として投与することができる。つまり、例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般用語で記載されているイオン浸透法によりプラスター(硬膏剤)から送達することができる。
【0114】
局所投与用に適合された医薬化合物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ジェル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして製剤化することができる。
【0115】
目または他の外部組織(例えば口および皮膚)の治療用には、製剤は、好ましくは、局所軟膏またはクリームとして適用される。軟膏を得るための製剤のケースでは、活性成分は、パラフィン性か、または水混和性のクリーム基剤と一緒にして用いることができる。別の形態としては、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と一緒に製剤化して、クリーム剤を得ることもできる。
【0116】
目への局所用途に適合された医薬製剤としては点眼剤が挙げられ、ここでは活性成分は、適している担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁される。
【0117】
口の中の局所用途に適合された医薬製剤には、ロゼンジ、パステルおよびマウスウォッシュが包含される。
【0118】
直腸投与用に適合された医薬製剤は、坐剤または浣腸の形態で投与することができる。
【0119】
経鼻投与用に適合された、担体物質が固体である医薬製剤は、例えば20〜500ミクロンの粒子サイズを有する粗粉を含んでおり、これは、ひと嗅ぎする方法で、すなわち鼻の近くに保持された、その粉が入っている容器から鼻腔を経て急に吸入することによって投与される。担体物質として液体を用いた経鼻スプレーまたは点鼻剤として投与するのに適した製剤には、活性成分の水または油溶液が包含される。
【0120】
吸入による投与用に適合された医薬製剤には、微粒子状物質のダストまたはミストが包含され、これは、エアロゾル、ネブライザーまたは吹き入れ器を具備した各種タイプの加圧式ディスペンサーによって発生させることができる。
【0121】
経膣投与用に適合された医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として投与することができる。
【0122】
非経口投与用に適合された医薬製剤としては、抗酸化剤と、緩衝液と、静菌剤と、さらには溶質(これは、製剤を、治療を受けるレシピエントの血液と等張にする)とを含んでいる水性および非水性の滅菌注射溶液;水性および非水性の滅菌懸濁液(これは、懸濁媒体および増粘剤を含み得る)が挙げられる。この製剤は、1回用量または複数回用量の容器(例えば密封アンプルおよびバイアル)で投与することができ、さらには凍結乾燥状態で貯蔵しておくこともでき、これにより、使用直前に滅菌担体液体(例えば注射の目的のための水)を加えることのみが必要とされる。処方箋に従って調製される注射溶液および懸濁液は、滅菌の粉末、顆粒および錠剤からも調製することができる。
【0123】
言うまでもなく、上記で特に記載した構成成分に加えて、製剤は、その特定の製剤のタイプの技術分野で常用されている他の添加剤も含み得る。つまり、例えば、経口投与に適している製剤は、矯味矯臭剤を含み得る。
【0124】
式Iの化合物の治療有効量は、例えば、その動物の年齢と体重、治療を必要としているその正確な状態とその重症度、製剤の種類、および投与の方法を含めた多くの要因によって左右されるが、最終的にはその治療を行う医師または獣医によって決定される。しかしながら、新生物増殖(例えば結腸癌または乳癌)を治療するのに有効な本発明による化合物の量は、一般には、1日あたり0.1〜100mg/kgレシピエント(哺乳動物)体重であり、特に典型的には1日あたり1〜10mg/kg体重である。つまり、体重70kgの成体哺乳動物に対する実際の1日当たりの量は、通常、70〜700mgであり、この量は、1日あたり1回の用量として投与することができ、または、通常は、1日当たりの全体量が同じとなるような一連の部分用量(例えば、2回、3回、4回、5回または6回など)で投与される。塩、または溶媒和物、またはこれらの生理学的に機能する誘導体の有効量は、本発明による化合物の有効量自体との比例で決定することができる。上記した同じような用量が、他の状態の治療にも適していると想定することができる。
【0125】
本発明は、さらに、少なくとも1種の式Iの化合物および/または医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物および立体異性体ならびにあらゆる比のこれらの混合物と、さらに少なくとも1種のさらなる医薬活性成分とを含む医薬にも関する。
【0126】
本発明はまた、
(a)式Iの化合物および/または医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物および立体異性体ならびにあらゆる比のこれらの混合物の有効量、
および
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の別々のパックから構成されるセット(キット)にも関する。
【0127】
セットには、ボックス、個々のボトル、バッグまたはアンプルなどの適している容器が含まれている。セットには、例えば、別々のアンプルが含まれ得、それぞれには、式Iの化合物および/または医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物および立体異性体ならびにあらゆる比のこれらの混合物の有効量と、さらなる医薬活性成分の有効量とが、溶解されたまたは凍結乾燥された形態で入っている。
【0128】
使用
本発明の化合物は、癌疾患の治療および制御において、哺乳動物用、特にヒト用の医薬活性成分として適している。
【0129】
本発明には、癌の治療または予防用の医薬を調製するための式Iの化合物および/または生理学的に許容されるその塩および溶媒和物の使用が包含される。治療するのに好ましい癌は、脳腫瘍、尿生殖器管癌、リンパ系の癌、胃癌、咽頭癌、肺癌、大腸癌の群が起源となっているものである。好ましい癌の形態のさらなる群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫および乳癌である。
【0130】
また、哺乳動物における腫瘍起因疾患の治療および/または制御用の医薬を調製するための式Iの化合物および/または生理学的に許容されるその塩および溶媒和物の使用も包含され、この方法では、本発明による化合物の治療有効量が、そのような治療を必要としている病気哺乳動物に投与される。治療量はその特定の疾患に応じて変動するものであるが、当業者なら、過度の努力をすることなく決定することができる。
【0131】
特に好ましいのは、疾患が固形癌(充実性腫瘍)である疾患を治療するための使用である。
【0132】
固形癌(充実性腫瘍)は、好ましくは、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖器管、リンパ系、胃、咽頭および/または肺の腫瘍からなる群から選択される。
【0133】
固形癌(充実性腫瘍)は、さらに、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、結腸癌および乳癌からなる群からも好ましくは選択される。
【0134】
さらに、血液および免疫系の腫瘍を治療するための使用、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病からなる群から選択される腫瘍を治療するための使用も好ましい。
【0135】
本発明は、さらに、骨肉腫、変形性関節症およびくる病からなる群のものが起源となっている骨の病気を治療するための、本発明による化合物の使用にも関する。
【0136】
式Iの化合物は、治療を受けている状態に対して特に有用であるという理由で選択される他のよく知られた治療剤と同時にも投与され得る。
【0137】
本発明の化合物は、既知の抗癌剤と組み合わせるのにも適している。そのような既知の抗癌剤としては以下のものが挙げられる:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞障害剤、抗増殖剤、プレニルプロテイントランスフェラーゼ阻害薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、HIVプロテアーゼ阻害薬、リバーストランスクリプターゼ阻害薬、さらには血管新生阻害薬。本発明の化合物は、放射線療法と同時に投与するのが特に適している。
【0138】
「エストロゲン受容体モジュレーター」とは、エストロゲンがその受容体に結合するのを、メカニズムに関係なく妨害または阻害する化合物を言う。エストロゲン受容体モジュレーターの例としては、限定するものではないが、タモキシフェン(tamoxifen)、ラロキシフェン(raloxifene)、イドキシフェン(idoxifene)、LY353381、LY117081、トレミフェン(toremifene)、フルベストラント(fulvestrant)、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646が挙げられる。
【0139】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、アンドロゲンがその受容体に結合するのを、メカニズムに関係なく妨害または阻害する化合物を言う。アンドロゲン受容体モジュレーターの例としては、フィナステリド(finasteride)および他の5a−レダクターゼ阻害薬、ニルタミド(nilutamide)、フルタミド(flutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、リアロゾール(liarozole)、およびアビラテロン酢酸塩(abiraterone acetate)が挙げられる。
【0140】
「レチノイド受容体モジュレーター」とは、レチノイドがその受容体に結合するのを、メカニズムに関係なく妨害または阻害する化合物を言う。そのようなレチノイド受容体モジュレーターの例としては、ベキサロテン(bexarotene)、トレチノイン(tretinoin)、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、およびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドが挙げられる。
【0141】
「細胞障害剤」とは、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、微小管阻害物質およびトポイソメラーゼ阻害物質を含めて、主として直接細胞の機能に作用することにより細胞死をもたらす化合物、つまり細胞有糸分裂を阻害または妨害するための化合物を言う。
【0142】
細胞障害剤の例としては、限定するものではないが、チラパジミン(tirapazimine)、セルテネフ(sertenef)、カチェクチン(cachectin)、イフォスファミド(ifosfamide)、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン(lonidamine)、カルボプラチン(carboplatin)、アルトレタミン(altretamine)、プレドニムスチン(prednimustine)、ジブロモズルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン(ranimustine)、フォテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、テモゾロミド(temozolomide)、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン(estramustine)、イムプロスルファントシレート(improsulfan tosylate)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ニムスチン(nimustine)、ジブロスピジウムクロリド(dibrospidium chloride)、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン(cisplatin)、イロフルベン(irofulven)、デキシフォスファミド(dexifosfamide)、シス-アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン(benzylguanine)、グルフォスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス,トランス,トランス)ビス-μ-(ヘキサン−1,6−ジアミン)−μ−[ジアミン白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素(arsenic trioxide)、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン(zorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビサントレン(bisantrene)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ピラブビシン(pirarubicin)、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン(valrubicin)、アムルビシン(amrubicin)、アンチネオプラストン(antineoplaston)、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン(annamycin)、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド(elinafide)、MEN10755、および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシン(WO 00/50032を参照されたい)が挙げられる。
【0143】
微小管阻害物質の例としては、パクリタキセル(paclitaxel)、ビンデシンスルフェート(vindesine sulfate)、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン(norvincaleukoblastine)、ドセタキソール(docetaxol)、リゾキシン(rhizoxin)、ドラスタチン(dolastatin)、ミボブリンイセチオネート(mivobulin isethionate)、アルリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunine)、クリプロフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン(anhydrovinblastine)、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、およびBMS188797が挙げられる。
【0144】
トポイソメラーゼ阻害物質は、例えば、トポテカン(topotecan)、ヒカプタミド(hycaptamine)、イロノテカン(irinotecan)、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソベンジリデンカルトレウシン(exobenzylidenechartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)−ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン(camptothecin)、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスフェート(etoposide phosphate)、テニポシド(teniposide)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−へキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、およびジメスナ(dimesna)である。
【0145】
「抗増殖剤」としては、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001などのアンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、およびエノシタビン(enocitabine)、カルモフール(carmofur)、テガフール(tegafur)、ペントスタチン(pentostatin)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、トリメトレキセート(trimetrexate)、フルダラビン(fludarabine)、カペシタビン(capecitabine)、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビンオクホスフェート(cytarabine ocfosfate)、フォステアビンナトリウムハイドレート(fosteabine sodium hydrate)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール(emitefur)、チアゾフリン(tiazofurin)、デシタビン(decitabine)、ナラトレキセド(nolatrexed)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン]、アプリジン(aplidine)、エクチナサイジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸]、アミノプテリン(aminopterin)、5−フルオロウラシル、アラノシン(alanosine)、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル]、スワインソニン(swainsonine)、ロメトレキソール(lometrexol)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ(methioninase)、[2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、および3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンなどの代謝拮抗物質が挙げられる。「抗増殖剤」としては、トラスツズマブ(trastuzumab)などの、「血管新生阻害薬」の下で掲載したもの以外の対増殖因子モノクローナル抗体、さらには組み換えウイルス介在遺伝子導入(例えば、米国特許第6069134号明細書を参照)によって送達することができるp53などの癌抑制遺伝子も挙げられる。
腫瘍細胞の増殖/生存に対する薬理作用性阻害物質の作用のインビトロ証拠
1.0 背景
この実験の説明では、腫瘍細胞増殖/腫瘍細胞生存の活性成分による阻害が説明される。
【0146】
細胞を、適している細胞密度でマイクロタイタープレート(96ウェル型)に接種する。翌日、試験化合物を、濃度シリーズの形態で加える。血清含有培地中でさらに2日間培養した後、その細胞密度を、細胞をCrystal Violetで染色することにより測光的に決定する。
【0147】
2.0 実験の手順
2.1 細胞培養
例えば商業的に入手可能な結腸癌細胞株。
【0148】
細胞を培地中で培養する。3〜4日の間をおいて、細胞を、トリプシン溶液の助けを借りて培養皿から引き離し、適している希釈で新鮮な培地に接種する。細胞を、37℃および10%CO2で培養する。
【0149】
2.2. 細胞の接種
・細胞培養ビンを1×PBSで洗浄する。
・3mlの1×トリプシン溶液を加える。インキュベーター中37℃で5分間インキュベートする。
・7mlの培地を加えることで終了させる。
・細胞を遠心分離する(例えば150×g(1200rpm)で5分間)。
・傾斜させることにより培地を除去し、細胞を新鮮な培地に再懸濁させる。
・例えばTrypan Blue溶液(1:2希釈)を用いて、計数チャンバーで細胞を計数する。
・細胞懸濁液を25,000細胞/mlに希釈し、100μl/ウェル(2500細胞/ウェル)をプレートアウトする。
・マイクロタイタープレートを10%CO2中37℃で一晩インキュベートする。
【0150】
2.3. 試験物質の添加
・試験物質を、例えば、DMSOに溶解させ、続いて対応する濃度で(所望なら希釈シリーズで)細胞培養培地中に用いる。希釈ステップは、活性成分の有効性および所望の濃度の広がりに応じて適応させることができる。細胞培養培地を、試験物質に対応する濃度で加える。希釈シリーズ内では、細胞培養培地中のDMSOの最終濃度は一定で(例えば0.5%で)あり得る。細胞への試験物質の添加は、細胞の接種1日後に行うことができる。このためには、培地を細胞から除去し、試験物質希釈液をこの細胞に加える(細胞培養培地中での所望濃度で)。細胞を37℃および10%CO2でさらなる48時間インキュベートする。
【0151】
2.4. Crystal Violet染色
・培地を細胞から除去し、細胞をPBSで洗浄する。PBS洗浄溶液を除去した後、100μl/ウェルのCrystal Violetを加え、そのプレートを、例えば、シェーカー中室温で15分間インキュベートする。Crystal Violetを捨て、細胞を、大量の染料がもはや洗い出されなくなるまで水で洗浄する。プレートを乾燥させる(37℃の乾燥キャビネットで約1時間、または室温で一晩)。乾燥後、Crystal Violetを、200μlのメタノール(1ウェルあたり)を加えることにより溶解させる。対応する波長(例えば550nm)における吸収の測定をマイクロタイタープレートリーダー(例えばTECAN Genios No F129004)により行う。吸収の値が、分光測光器の線型測定範囲の外にある場合は、そのようなものは、対応して希釈することができる。
【0152】
3. 評価
培地対照(細胞も試験物質も用いられていない)の吸収の値を、すべての他の吸収の値から引き算する。溶媒DMSOを含む対照(試験物質を含まない細胞)を100パーセントに等しいと設定して、すべての他の吸収の値を、それとの比例で(例えば対照の%で)設定する:
計算:100*(個々の値の平均−バックグラウンド値の平均)
(100%個々の値の平均−バックグラウンド値の平均)
IC50値(50%阻害)は、例えばRS1などの統計プログラムの助けを借りて決定される。
【0153】
本発明によるいくつかの化合物に対するIC50のデータを表1に示す。
【0154】
4. 原材料および溶液類
【0155】
【表1】

【0156】
Crystal Violet溶液(500ml):
Crystal Violetが0.5% すなわち2.5g
メタノールが20% すなわち100ml
最初にCrystal Violetを純粋メタノールに溶解させ、次いで水で仕上げ、続いて濾過する。
APCI−MS(大気圧化学イオン化−質量分光分析)(M+H)+
HPLC勾配系
カラム:
ChromolithPerformance RP−18e(Merck KGaA、Cat. 1.02129.0001)
溶離液:
溶離液A:0.1M NaH2PO4水溶液
溶離液B:アセトニトリル+10%の水
流量:4ml/分
勾配:
0分 1%のB
1分 1%のB
7分 99%のB
8分 99%のB
実施例1
3−(2−フェニルアミノピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(「A1」)および1−(2−メトキシエチル)−3−(2−フェニルアミノピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(「A2」)の調製を、以下のスキームと同じようにして行った。
【0157】
【化5】

【0158】
1.1 52.8ml(229ミリモル)の四塩化スズのクロロベンゼン100ml溶液を15.5g(131ミリモル)の7−アザインドールのクロロベンゼン100ml溶液に氷冷しながら滴下で加え、続いてこの混合物を氷冷しながら15分間攪拌した。この後16.2ml(227ミリモル)の塩化アセチルのクロロベンゼン100ml溶液を滴下で加え、この反応混合物を24時間室温で攪拌した。得られた沈殿物を吸引で濾別し、ジクロロメタンで洗浄し、その残留物を真空で乾燥させた。この固形物をこの後100mlの水と一緒に攪拌し、吸引で濾別した。この残留物を2N水酸化ナトリウム水溶液と一緒に攪拌し、吸引で濾別し、水で洗浄し、真空で乾燥させた。この固形物を熱酢酸エチルで何回も抽出した。この酢酸エチル溶液を蒸発させて、1−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)エタノンを無色の結晶(ESI 161, m.p. 208〜210℃)として得た。
1.2 6.89g(43.0ミリモル)の1−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)エタノンのDMF50ml溶液を1.25g(52.0ミリモル)の水素化ナトリウムのDMF100ml懸濁液に窒素下滴下で加えた。この混合物を室温で1時間攪拌し、その後0℃に冷却した。9.92g(52.0ミリモル)の塩化トルエン−4−スルホニルのDMF50ml溶液を滴下で加え、この反応混合物を0℃で2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルと水とに分配させた。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、その残留物を水と一緒に攪拌した。この残留物を吸引で濾別し、真空で乾燥させて、1−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]エタノンを無色の結晶(ESI 315, m.p. 187〜189℃)として得た。
1.3 4.29g(13.6ミリモル)の1−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]エタノンおよび3.56ml(26.8ミリモル)のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールのDMF100ml溶液を110℃で8時間加熱した。この反応溶液を冷却し、水と酢酸エチルとに分配させた。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、その残留物をメタノールから再結晶させて、(E)−3−ジメチルアミノ−1−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]プロペノンを淡黄色っぽい結晶(ESI 370, m.p. 220〜223℃)として得た。
1.4 290mg(2.10ミリモル)の炭酸カリウムを、369mg(1.00ミリモル)の(E)−3−ジメチルアミノ−1−[1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]プロペノンおよび296mg(1.50ミリモル)のフェニルグアニジン炭酸塩のエチレングリコールモノメチルエーテル2ml溶液に加え、この混合物を沸騰で24時間加熱した。冷却した後、この混合物を水と酢酸エチルとに分配させた。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、その残留物を、分取HPLCを用いてクロマトグラフィー処理して、「A1」を無色の固形物(ESI 288)、および「A2」を無色の固形物(ESI 346)として得た。
「A1」:1H NMR(250MHz,DMSO−d6)δ 6.98(t,J=7Hz,1H)、7.22(dd,J1=7.5Hz,J2=5Hz,1H)、7.33(m,3H)、7.82(d,J=8Hz,2H)、8.32(d,J=3.5Hz,1H)、8.37(d,J=5Hz,1H)、8.47(s,1H)、8.96(d,J=7.5Hz,1H)、9.45(s,1H)、12.33(bs,1H)。
「A2」:1H NMR(250MHz,DMSO−d6)δ 3.32(s,3H)、3.85(t,J=5.3Hz,2H)、4.58(t,J=5.3Hz,2H)、7.04(t,J=7Hz,1H)、7.32(m,2H)、7.38(t,J=7.5Hz,2H)、7.87(d,J=7.5Hz,2H)、8.42(dd,J1=4.5Hz,J2=1Hz,1H)、8.45(d,J=5Hz,1H)、8.58(s,1H)、9.00(d,J=7.5Hz,1H)、9.52(s,1H)、12.33(bs,1H)。
【0159】
以下の化合物を同じようにして得た。
【0160】
【表2−1】

【0161】
【表2−2】

【0162】
【表2−3】

【0163】
【表2−4】

【0164】
【表2−5】

【0165】
実施例2
3−(2−フェニルアミノ−6−プロピルピリミジン−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(「B1」)の調製を以下のスキームと同じようにして行った。
【0166】
【化6】

【0167】
2.1 526mg(0.75ミリモル)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドおよび57.2mg(0.30ミリモル)のヨウ化銅(I)を、5.16g(15.0ミリモル)のt−ブチル3−ヨードピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボキシレートのテトラヒドロフラン100ml溶液に加えた。オートクレーブ装置中で一酸化炭素をこの溶液に通した。この後2.22ml(22.5ミリモル)の1−ペンチンおよび1.52g(15ミリモル)のトリエチルアミンを加えた。この反応混合物を、1atmの一酸化炭素圧下にあるオートクレーブ装置中で48時間攪拌した。この反応混合物を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、その水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。この残留物を、溶離液として石油エーテル/酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理して、t−ブチル3−ヘキサ−2−イノイルピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボキシレートを無色の油状物(ESI 313)として得た。
【0168】
278mg(2.0ミリモル)の炭酸ナトリウムを、300mg(0.96ミリモル)のt−ブチル3−ヘキサ−2−イノイルピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボキシレートおよび284mg(1.44ミリモル)のフェニルグアニジン炭酸塩のエチレングリコールモノメチルエーテル2ml溶液に加え、この混合物を沸騰で24時間加熱した。冷却した後、この混合物を水と酢酸エチルとに分配させた。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、その残留物を、分取HPLCを用いてクロマトグラフィー処理して、「B1」を無色の固形物(ESI 330)として得た。
「B1」:1H NMR(250MHz,DMSO−d6)δ 0.98(t,J=7.5Hz,3H)、1.79(六重線,J=7.5Hz,2H)、2.62(t,J=7.5Hz,2H)、6.95(t,J=7Hz,1H)、7.20(dd,J1=8Hz,J2=4.5Hz,1H)、7.23(s,1H)、7.31(t,J=7.5Hz,2H)、7.85(d,J=7Hz,2H)、8.30(m,1H)、8.43(m,1H)、8.93(m,1H)、9.36(s,1H)、12.24(s,1H)。
【0169】
以下の化合物を同じようにして得た。
【0170】
【表3−1】

【0171】
【表3−2】

【0172】
表1
腫瘍細胞の増殖/生存の阻害
IC50[モル/l]
【0173】
【表4】

【0174】
以下の実施例は医薬に関するものである。
実施例A:注射バイアル
式Iの活性成分100gおよびリン酸水素二ナトリウム5gの二回蒸留水3l溶液を、2N塩酸でpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアルの中に導入し、滅菌状態で凍結乾燥し、滅菌状態下で密封した。各注射バイアルには5mgの活性成分が入っている。
実施例B:坐剤
式Iの活性成分20gと、ダイズレシチン100gおよびカカオバター1400gとの混合物を融解させ、モールドの中に注ぎ入れ、冷却させた。各坐剤には20mgの活性成分が入っている。
実施例C:溶液剤
式Iの活性成分1g、NaH2PO4・2H2O9.38g、Na2HPO4・12H2O28.48g、および塩化ベンザルコニウム0.1gから、二回蒸留水940ml溶液を調製する。このpHを6.8に調整し、この溶液を1lに仕上げ、照射により滅菌する。この溶液は、点眼剤の形態で用いることができる。
実施例D:軟膏
式Iの活性成分500mgをワセリン99.5gと一緒に無菌状態下で混ぜる。
実施例E:錠剤
式Iの活性成分1kg、ラクトース4kg、ジャガイモデンプン1.2kg、タルク0.2kg、およびステアリン酸マグネシウム0.1kgの混合物を、各錠剤に10mgの活性成分が入るように、通常の方法でプレス加工して、錠剤を得る。
実施例F:糖衣錠
実施例Eと同じようにして錠剤をプレス加工し、続いて、通常の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカント、および染料からなるコーティングでコートする。
実施例G:カプセル
式Iの活性成分2kgを、各カプセルに20mgの活性成分が入るように、通常の方法で、硬質ゼラチンカプセルの中に導入する。
実施例H:アンプル
式Iの活性成分1kgの二回蒸留水60l溶液を滅菌濾過し、アンプルの中に導入し、滅菌状態下で凍結乾燥させ、滅菌状態下で密封する。各アンプルには10mgの活性成分が入っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式I
【化1】

[式中、
1は、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHet、−[C(R62nシクロアルキル、COR7、COOR7、CON(R72またはSO27を表し、
ここで、Het≠2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルであり、
2は、HまたはAを表し、
3、R4は、それぞれ、互いに独立して、H、A、Hal、CN、−[C(R62nAr、−[C(R62nHetまたは−[C(R62nシクロアルキルを表し、
5は、H、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHetまたは−[C(R62nシクロアルキルを表し、
6は、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
7は、H、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHetまたは−[C(R62nシクロアルキルを表し、
A、A’は、それぞれ、互いに独立して、1〜10個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で、および/または−CH=CH−基で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
Arは、置換されていない、またはOH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、COA、CHOまたはCNで一、二、三、四または五置換されている5〜14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する一、二または三環式飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環を表し、これは、置換されていなくてもよく、またはOH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、CHO、COA、CN、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)で一、二または三置換されていてもよく、
nは、0、1または2を表す]
の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項2】
1が、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHet、COR7、CON(R72またはSO27を表し、
ここで、Het≠2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルである、請求項1に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項3】
3が、HまたはAを表す、請求項1または2に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項4】
4が、HまたはAを表す、請求項1、2または3に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項5】
5が、HまたはAを表す、請求項1から4の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項6】
7が、HまたはAを表す、請求項1から5の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項7】
Aが、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよい、請求項1から6の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項8】
Arが、フェニルまたはナフチルを表し、これらのそれぞれは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されている、請求項1から7の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項9】
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、置換されていない一または二環式芳香族へテロ環を表す、請求項1から8の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項10】
1が、A、−[C(R62nAr、−[C(R62nHet、COR7、CON(R72またはSO27を表し、
ここで、Het≠2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルであり、
3が、HまたはAを表し、
4が、HまたはAを表し、
5が、HまたはAを表し、
7が、HまたはAを表し、
Aが、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよく、
Arが、フェニルまたはナフチルを表し、これらのそれぞれは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されており、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、置換されていない一または二環式芳香族へテロ環を表す
請求項1から9の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項11】
1が、A、−(CH2nAr、−(CH2nHet、COR7、CON(R72またはSO27を表し、
2が、HまたはAを表し、
3が、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
4が、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
5が、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
7が、H、または1〜6個のC原子を有するアルキルを表し、
Aが、1〜6個のC原子を有する非分枝または分枝アルキルを表し、ここで、1個または2個のCH2基はOまたはS原子で置き換えられていてもよく、および/または、さらに1〜7個のH原子はFで置き換えられていてもよく、
Arが、フェニルまたはナフチルを表し、これらのそれぞれは、置換されていない、またはOH、OA、Halおよび/またはAで一、二、三、四または五置換されており、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する、置換されていない一または二環式芳香族へテロ環を表す
請求項1から10の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項12】
Hetが、ピリジル、ピリミジニル、チエニル、フリル、キノリル、イソキノリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキサニル、2,1,3−ベンゾチアジアゾリルまたは2,1,3−ベンゾキサジアゾリルを表す
請求項1から11の一項または複数項に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項13】
次の群
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

から選択される、請求項1に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、溶媒和物、塩、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物。
【請求項14】
請求項1から13に記載の式Iの化合物、医薬として使用できるその誘導体、塩、溶媒和物、互変体および立体異性体の調製方法であって、
a)次の式II
【化2】

[式中、R2はインドール保護基を表し、
3、R4およびR5は、請求項1に記載の意味を有し、
Aは、1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを表す]
の化合物を次の式III
【化3】

[式中、R1は、請求項1に記載の意味を有する]
の化合物と反応させ、
そのインドール保護基を同時にまたは後に脱離させる、
または
b)式IIIの化合物を次の式
【化4】

[式中、R2、R3、R4およびR5は、請求項1に記載の意味を有する]
の化合物と反応させる、
または
c)加溶媒分解剤または水素化分解剤による処理によりそのような化合物の官能性誘導体のうちの1つからそのような化合物を遊離させる、
または
d)i)アミノ保護基を脱離させること、
および/または
ii)アルキル化を行うこと
によって、式Iの化合物中の基R1および/またはR2を別の基R1および/またはR2に変換させる、
および/または
式Iの塩基または酸をその塩のうちの1つに変換させる
ことを特徴とする、上記方法。
【請求項15】
少なくとも1種の、請求項1から13に記載の式Iの化合物および/または医薬として使用できるその誘導体、塩、溶媒和物、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物と、場合により賦形剤および/または補佐剤とを含む医薬。
【請求項16】
腫瘍、腫瘍増殖、腫瘍転移および/またはAIDSの治療用医薬を調製するための、請求項1から13に記載の化合物、医薬として使用できるその誘導体、塩、溶媒和物、互変体および立体異性体、ならびにあらゆる比のこれらの混合物の使用。
【請求項17】
腫瘍が、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖器管、リンパ系、胃、喉頭、および/または肺の腫瘍からなる群からのものである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
腫瘍が、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、結腸癌、神経膠芽細胞腫、および/または乳癌からなる群からのものである、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
腫瘍が、血液および免疫系の腫瘍である、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
腫瘍が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病からなる群からのものである、請求項16に記載の使用。
【請求項21】
腫瘍の治療用医薬を調製するための、請求項1から13に記載の式Iの化合物および/または生理学的に許容されるその塩および溶媒和物の使用であって、治療有効量の式Iの化合物が、1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞傷害性薬剤、5)抗増殖性薬剤、6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、8)HIVプロテアーゼ阻害薬、9)リバーストランスクリプターゼ阻害薬、および10)さらなる血管新生阻害薬からなる群からの化合物との組み合わせで投与される、上記使用。
【請求項22】
腫瘍の治療用医薬を調製するための、請求項1から13に記載の式Iの化合物および/または生理学的に許容されるその塩および溶媒和物の使用であって、治療有効量の式Iの化合物が、放射線療法、および1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞傷害性薬剤、5)抗増殖性薬剤、6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害薬、8)HIVプロテアーゼ阻害薬、9)リバーストランスクリプターゼ阻害薬、および10)さらなる血管新生阻害薬からなる群からの化合物との組み合わせで投与される、上記使用。

【公表番号】特表2009−530321(P2009−530321A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500722(P2009−500722)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001494
【国際公開番号】WO2007/107221
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】