説明

4−[(3−クロル−4−フルオル−フェニル)アミノ]−6−(シス−4−{N−[(モルフ−1−オリン−4−イル)カルボニル]−N−メチル−アミノ}−シクロヘキサン−1−イルオキシ)−7−メトキシ−キナゾリンの塩及び水和物、薬剤としてのそれらの使用、及びその調製

本発明は式(I)の化合物に関し、
【化1】


式中xQはxH2O、xHCl又は(x0.5HCl/x1.5H2O)を表し、前記化合物は、貴重な薬理学的特性、特にチロシンキナーゼが媒介するシグナル伝達に対する抑制効果を有し、この化合物、特に吸入するのに好適な医薬製剤の立体選択的生産、及び疾患、特に腫瘍関連の疾患、前立腺肥大症(BPH)及び肺及び呼吸器疾患の治療のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の化合物に関し、
【化1】

(I)
式中、xQはxH2O、xHCl又は(x0.5HCl/x1.5H2O)を表し、前記化合物は、貴重な薬理学的特性、特にチロシンキナーゼが媒介するシグナル伝達に対する抑制効果を有し、この化合物の立体選択的調製、特に好適な医薬製剤の吸入のための方法、及び疾患、特に腫瘍関連の疾患、前立腺肥大症(BPH)及び肺及び気道の疾患の治療のためのそれらの使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
キナゾリン誘導体は、例えば腫瘍関連の疾患及び肺及び気道の疾患の治療のための有効成分として、先行技術により知られている。キナゾリン誘導体の調製方法は、国際特許出願WO03082290号及びWO07068552号に記載されている。本発明の目的は、チロシンキナーゼ抑制剤としての医薬的作用に基づいた、治療的分野における使用、例えばチロシンキナーゼの機能亢進を原因とする病態生理的過程の治療に好適な、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-(シス-4-{N-[(モルフ-1-オリン-4-イル)カルボニル]-N-メチル-アミノ}-シクロヘキサン-1-イルオキシ)-7-メトキシ-キナゾリンの塩及び水和物を提供することである。
本発明において調製された化合物は、物理的及び化学的安定性、及び例えば十分な溶解性、低い吸湿性及び多形性の欠如等の他の特性、特に十分な溶解性及び多形性の欠如、及び特に低い吸湿性等の、医薬上の有効成分に課す他の特性のための必要条件を満たすものとされている。
従って、本発明の目的は、特に吸入による投与に好適な化合物を供給することである。また、本発明は本発明の化合物、及び特に有効成分及びアジュバントの好適な粒径分布の観点から、特に吸入に好適な医薬製剤の調製のための立体選択的過程を提供するために述べられる。
【0003】
(発明の説明)
本発明は、特に粉末吸入に好適であり、結晶性の安定性、低い吸湿性、十分な溶解性及び低い多形性を有する式(I)の化合物、その医薬製剤及び以下に記載される合成方法を提供することにより、上述の問題を解決する。
吸入投与に好適な化合物は、式(I.1)、(I.2)、(I.3)及び(6)、特に式(I.1)の化合物である。
従って、本発明は式(I)の化合物に関し、
【化2】

(I)
式中xQはxH2O、xHCl又は(x0.5HCl/x1.5H2O)を表す。
特に好ましくは式(I.1)の化合物であり、
【化3】

(I.1)
好ましくは式(I.1)の結晶性化合物であって、式中X線粉末図表において16.58Å、5.50Å、5.30Å、4.66Å、4.62Å、4.24Å及び3.45Åのdhkl値[Å]で反射が起こる。
【0004】
化合物(I.1)は、多形性を示さず、有利な溶解性を有するため、上述の問題を特に有利に解決する。さらに、化合物(I.1)は、安定な粉末製剤として好適にする、吸湿性の特徴を有する。相対湿度次第で、粒径又は相の変化は起こらない。
また、式(I.2)の化合物が好ましく、
【化4】

(I.2)
好ましくは式(I.2)の結晶性化合物であって、式中X線粉末図表における反射が9.60Å、6.32Å、5.00Å、4.68Å、3.63Å及び3.47Åのdhkl数値で起こる。
また、式(I.3)の化合物が好ましく、
【化5】

(I.3)
特に低融点又は高融点の形態であることが好ましい。特に、式(I.3)の化合物の結晶性低融点の形態であり、X線粉末図表の反射が21.02Å、9.37Å、7.10Å、4.94Å、4.78Å及び3.44Åのdhkl値で起こる。特に好ましくは、式(I.3)の化合物の結晶性高融点形態であり、X線粉末図表の反射が18.89Å、9.12Å、5.86Å、3.81Å及び3.52Åのdhkl値で起こる。
【0005】
本発明はさらに、式(I)、特に式(I.1)の化合物を含む医薬組成物に関する。好ましくは、式(I)、特に式(I.1)の化合物を含む医薬組成物は、吸入に好適な粉末混合物の形態である。また、式(I)の化合物を含む医薬組成物が好ましく、式(I)、特に式(I.1)の化合物とラクトースとの混合物であることを特徴とする。相互作用の粉末混合物及び式(I)、特に式(I.1)の化合物の凝集クラスターとラクトースとの混合物であることを特徴とする、式(I)の化合物を含む医薬組成物が特に好ましい。式(I)の化合物(以下「製剤」として言及)、好ましくは式(I.1)の化合物を含む医薬組成物が特に好ましく、相互作用の粉末混合物及び微粉化した有効成分、及び使用するラクトース中に含まれる微粒子又は微細な画分との混合物を表す。相互作用の粉末混合物とは、有効成分のそれぞれの粒子がより粗大な担体アジュバントに接着する粉末混合物を意味する。本文に記載される凝集クラスターは5〜200μm、好ましくは10〜100μmのサイズであり、使用するラクトース中に含まれる微粉化した有効成分粒子及び微粒子からなる。製剤には2〜6mgの範囲の吸入可能な投与量が含まれる。吸入可能な投与量に関し、患者が吸い込む操作の間中、流量依存性は有利に低くなることがわかる。流量依存性は、当該吸入器を用いる場合、1及び4kPaの圧低下での吸入可能な投与量の商として定義される。使用される吸入器は、カプセル又はブリスターを素材とした粉末吸入器でよい。
【0006】
高投与量の粉末混合物は、製剤として特に好適である。相互作用の粉末混合物ではなく、相互作用の粉末混合物及び微粉化した有効成分の凝集クラスターの混合物から構成される。粗大なアジュバントの添加により、純粋な微細化した有効成分と比べ、分散系に改善が起こる。製剤は1〜5μm、好ましくは2.5〜5μmのd50値を有する粒径分布を有するジェット粉砕有効成分、及び例えばα-ラクトース一水化物のような通常のアジュバントからなる。しかしながら、他の医薬的に不活性なアジュバントを使用してもよく、例えば低分子炭水化物及び/又は糖アルコール、特にトレハロース、マンニトール、イノシトール、イソマルト、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール及びミオイノシトールから選択される。アジュバントの粒径の分布は、モノモダル(monomodal)又はバイモダル(bimodal)でよい。モノモダル分布に好ましいアジュバントの粒径分布は、好ましくは2〜200μmのd50値を有し、30〜120μmのd50値が好ましい。アジュバントのバイモダル分布は2〜10μmのd50値、好ましくは2〜6μmのd50値を有する微細な画分、20〜200μmのd50値、好ましくは40〜120μmのd50値を有する粗大な画分から構成される。異なるアジュバントは微細な及び粗大な画分を形成してよい。アジュバントのモノモダル粒径分布のための、粉末混合物中の有効成分濃度は、好ましくは5〜50%、好ましくは20〜40%である。また、バイモダル分布において、有効成分濃度は5〜50%、好ましくは20〜40%である。アジュバントのバイモダル分布の二つの画分は、質量(微細:粗大)に基づき、3:1〜1:3、好ましくは1:1〜1:2の割合である。粉末混合物の総量は、肺で必要とされる投与量次第で、好ましくは10〜40mgである。10〜60%、好ましくは30〜50%の範囲に渡る、量った有効成分の量に基づく高肺結合画分、及び0.5〜1.0の範囲にわたる低い流量依存性によって、最大限の医薬的効能を獲得することが可能となる。
【0007】
以下の製品実施例は、実施例により実行する方法を例証するためのものである。前記製品実施例は、本発明を例証するものとして、特定の内容に制限することなく理解されるべきである。
医薬製剤実施例
a) 有効成分5mgを含む粉末吸入用のカプセル
1カプセルあたり:
有効成分 5.0 mg
吸入目的用のラクトース 15.0 mg
20.0 mg
を含む。
b) 有効成分11mgを含む粉末吸入用のカプセル
1カプセルあたり:
有効成分 11.0 mg
吸入目的用のラクトース 24.0 mg
35.0 mg
を含む。
【0008】
製剤の調製
有効成分及びアジュバントを、それぞれふるいを用いて交替に区分に分けて加え、ラザーニャを構築する場合と同じ方法で容器へ収集する。こうして製造された粉末の蓄積を次に第二の容器へ移すが、容量で50%より多くのレベルまで満たすべきではない。この容器をタンブルミキサー中に締め付けし、混合を実行する(例えば30rpmで30分間)。フォーシングミキサーを使用することも可能である。次に、製造した粉末混合物を用い、吸入用のカプセル又はブリスターキャビティを満たす。
本発明は、さらに、本発明の医薬組成物において、粉末吸入器中の製剤からなる医薬製品に関する。製剤に好適な吸入器のデザインは、例えばHandiHaler、pm-MDPI、reservoir MDPI、単位用量DPI及び使い捨て単位用量DPIから選択される粉末吸入器を含み、HandiHaler及びpm-MDPIが好ましい。
本発明はまた、薬剤としての使用、特に気道の炎症性疾患又はアレルギー疾患の治療、好ましくはCOPD及び/又は慢性気管支炎の治療のための、上述の式(I)の化合物、特に式(I.1)の化合物に関する。
【0009】
本発明は、さらに式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための方法に関し、
【化6】

(I.1)、
反応工程(A)〜(E)を含む方法であって、(A)は式(1)の化合物の水素化を表し
【化7】

(1)
式(2)の化合物を形成し、
【化8】

(2)
(B)は式(2)の化合物の反応を表し、
【化9】

(2)
式(3)の中間体を通じて
【化10】

(3)
式(4)の化合物を形成し、
【化11】

(4)
(C)は式(4)の化合物の反応を表し、前述の精製工程の後、式(5.1)又は(5.2)の化合物を形成してもよく、
【化12】


(D)はモルホリン-4-カルボニル塩化物を有する式(5.1)又は(5.2)の化合物の反応を表し、式(I.2)の化合物を形成し、
【化13】

(I.2)
及び
(E)は式(I.2)の化合物の反応を表し、式(I.1)の化合物を形成し、
【化14】

(I.1)
工程(A)〜(E)は明記した順序で連続的に起こる。
【0010】
式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための好ましい方法において、方法は工程(E)からなる。
式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための特に好ましい方法は、工程(E)に続き、式(I.1)の化合物の再結晶が起こることを特徴とする。
また、好ましくは式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための方法であり、工程(D)は連続する反応工程(F)及び(G)により置換することができ、
(F)は、式(5.1)又は(5.2)の化合物とビス-[1,2,4]トリアゾール-1-イル-メタノンとの反応で式(7)の化合物を形成する反応を表し、
【化15】

(7)
及び
(G)は式(7)とモルホリンとの反応で式(I.2)の化合物を形成する反応を表す。
特に好ましくは式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための方法であり、方法は工程(G)からなる。
【0011】
本発明は、さらに式(5.1)の中間体に関する。
【化16】

(5.1)
本発明は、さらに式(5.2)の中間体に関する。
【化17】

(5.2)
本発明は、さらに式(6)の化合物の結晶性無水形態に関し、X線粉末図表における反射は5.66Å、5.33Å、5.89Å、4.76Å、3.92Å及び3.31Åのdhkl値で起こる。
【化18】

(6)

及び薬理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物及びその共結晶
(and the pharmacologically acceptable salts, hydrates, solvates and co-crystals thereof)
本発明はさらに式(I)の化合物、及び薬理学的に許容される水和物、溶媒和物及びその共結晶に関する。
【0012】
共結晶とは、本発明の範囲において、同様の結晶格子中における2以上の異なる分子を含む分子錯体を意味し(Crystal Growth & Design, 2009, Vol.9, No.6, 2950-2967;Stahly,G.P.Cryst.Growth Des.2007,7,1007-1026)、特に分子又はイオン医薬有効成分分子、及び周囲温度で固体として存在する共結晶成形剤の間で成形される共結晶を意味する(Jones,W.;Motherwell, W.D.;Trask,A.V.MRS Bull.2006,341,875-879;Vishweshwar, P.;McMahon, J.A.;Bis, J.A.;Zaworotko, M.J.,J.Pharm.Sci.2006,95,499-516)。
本発明の範囲において、「低い吸湿性」を有する表示化合物(expression compounds)は、本文に記載される水分吸収テストにおいてテストした全体の湿潤範囲(10〜90%r.h.)にわたり3%より少なく吸収し、さらに水の吸収又はレリースにより引き起こされる相の変化を示さない化合物を意味する。
方法工程Aにおいて触媒が使用されるが、Pd/C又はPd(OH)2、好ましくはPd/Cから選択されることが好ましい。
また、工程(B)において、塩化チオニル、オキシ塩化リン、N-クロロ琥珀酸イミド/トリフェニルリン酸塩、N-クロロフタルイミド/トリフェニルホスフィン;1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン/トリフェニルホスフィン又はトリクロロイソシアヌル酸/トリフェニルホスフィンの組み合わせ、及び四塩化炭素/トリフェニルホスフィンの組み合わせから選択される、塩素化剤を使用する方法が特に好ましい。これらは、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアニリン又は無機炭酸塩、無機炭酸水素塩又は無機リン酸塩等の第三級アミンのような好適な有機又は無機塩基の存在下において使用する。また、特に好ましくは工程(B)において、方法は、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はジエチルアニリン、無機炭酸塩、無機水素炭酸塩又は無機リン酸塩等の第三級アミンのような有機又は無機塩基の存在下で実行しなければならない。
【0013】
工程(C)において、HClは、例えば保護基、特にBoc基を除去するために使用してよい。硫酸、ギ酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸(PTSA)、フェニルスルホン酸及び樟脳スルホン酸から選択される強酸は、またこれに好適である。
工程(D)において、反応は、例えばトリエチルアミン又はジエチルアニリンのような他の第三級アミン、無機炭酸塩、無機水素炭素塩又は無機リン酸塩の存在下で、ジイソプロピルエチルアミンに加えて、また好適な塩基の存在下で実行してもよい。
例えば1H-イミダゾール環、1H-1,2,4-トリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール又は1H-ベンゾトリアゾール環のような他の脱離基は、4-モルホリノカルボニルクロリド中の塩素原子を置換してもよい。
工程(F)において、反応は、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン又はジエチルアニリンのような他の第三級アミン、無機炭酸塩、無機水素炭酸塩又は無機リン酸塩、好適な塩基の存在下で実行してもよい。
【0014】
それぞれの場合に明記される群から選択される以下の溶媒の使用は、上述の方法工程において好ましく、
各工程において、
A:イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、n-プロパノール、エタノール、ブチルアセテート、水又は2以上の構成要素からなるそれらの混合物、
B:アセトニトリル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸ブチル、トルエン及びそれらの混合物、
C:イソプロピルアルコール、メタノール、氷酢酸、テトラヒドロフラン、酢酸ブチル、トルエン及び2以上の構成要素からなるそれらの混合物、
D:アセトニトリル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸ブチル、トルエン及び2以上の構成要素からなるそれらの混合物、
E:エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、n-プロパノール、水及び2以上の構成要素からなるそれらの混合物、
F:テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸ブチル、トルエン、エタノール及び2以上の構成要素からなるそれらの混合物、
G:N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン及びキシレン
である。
上述の方法工程において、以下の温度範囲において実行することが好ましく、
各工程において、
A:好ましくは20〜120℃、特に好ましくは80〜110℃、
B1:好ましくは20〜100℃、特に好ましくは30〜50℃、
B2:好ましくは0〜80℃、特に好ましくは20〜50℃、
C:好ましくは20〜100℃、特に好ましくは50〜90℃、
D:好ましくは0〜80℃、特に好ましくは20〜60℃、
E:好ましくは20〜80℃、特に好ましくは50〜78℃、
F:好ましくは0〜60℃、特に好ましくは15〜35℃、
G:好ましくは40〜180℃、特に好ましくは100〜130℃
である。
【0015】
本発明の方法において、トリフルオロアセチル、アセチル、ベンゾイル、Boc、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル及び2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルから選択される保護基、好ましくはBocを使用することが好ましい。
本文で使用される略語Sgは、構造式を含み、保護基を表す。略語Bocは第三級ブチルカルバメートを表す。
本文で使用される「G-water」という用語は、「脱イオン水及び滅菌水」を表す。
スキーム1は、本発明の合成を例証する。
スキーム1:式(I.1)の化合物を調製するための合成工程(A)〜(G)
【化19】

【0016】
表1〜6、及び図1a〜1d、2a〜c、3a〜d、4a〜d、5a〜d及び6a〜dは、さらに本発明の化合物に関する特徴的なデータを示す。
表1:化合物(6)の無水形態の標準化強度を含む粉末X線ピーク(30°2Θまで)を示す。
表2:化合物(I.2)の標準化強度を含む指示粉末X線ピーク(30°2Θまで) を示す。
表3:化合物(I.1)の標準化強度を含む粉末X線ピーク(30°2Θまで) を示す。
表4:化合物(I.3)の低融点形態の標準化強度を含む粉末X線ピーク(30°2Θまで) を示す。
表5:化合物(I.3)の高融点形態の標準化強度を含む粉末X線ピーク(30°2Θまで) を示す。
表6:水中の化合物(I)及び化合物(6)の異なる結晶性形態の溶解性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】化合物(6)の粉末X線図表を示す図である。
【図1b】化合物(6)のDSC/TG図表を示す図である。
【図1c】化合物(6)のDVS図表(動力プロット) を示す図である。
【図1d】化合物(6)のDVS図表(等温プロット) を示す図である。
【図2a】化合物(I.2)の粉末X線図表を示す図である。
【図2b】化合物(I.2)のDSC/TG図表を示す図である。
【図2c】化合物(I.2)のDVS図表(動力プロット) を示す図である。
【図2d】化合物(I.2)のDVS図表(等温プロット) を示す図である。
【図3a】化合物(I.1)の粉末X線図表を示す図である。
【図3b】化合物(I.1)のDSC/TG図表を示す図である。
【図3c】化合物(I.1)のDVS図表(動力プロット) を示す図である。
【図3d】化合物(I.1)のDVS図表(等温プロット) を示す図である。
【図4a】化合物(I.3)の低融点形態の粉末X線図表を示す図である。
【図4b】化合物(I.3)の低融点形態のDSC/TG図表を示す図である。
【図4c】化合物(I.3)の低融点形態のDVS図表(動力プロット) を示す図である。
【図4d】化合物(I.3)の低融点形態のDVS図表(等温プロット) を示す図である。
【図5a】化合物(I.3)の高融点形態の粉末X線図表を示す図である。
【図5b】化合物(I.3)の高融点形態のDSC/TG図表を示す図である。
【図5c】化合物(I.3)の高融点形態のDVS図表(動力プロット) を示す図である。
【図5d】化合物(I.3)の高融点形態のDVS図表(等温プロット) を示す図である。
【図6a】25℃/60%相対湿度での化合物(I.1)の結晶性ジェット粉砕純粋有効成分の粒径分布の変化を示す図である図である。
【図6b】40℃/75%相対湿度での化合物(I.1)の結晶性ジェット粉砕純粋有効成分の粒径分布の変化を示す図である。
【図6c】25℃/60%相対湿度での化合物(I.1)の非晶質噴霧乾燥純粋有効成分の粒径分布の変化を示す図である。
【図6d】40℃/75%相対湿度での化合物(I.1)の非晶質噴霧乾燥純粋有効成分の粒径分布の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施例は、式(I)の化合物を調製するための実施例により実行する方法を例証するためのものである。これらの実施例は、発明の例証として、その主題に限定することなく意図したものである。
【0019】
実施例1
化合物(2)の調製―工程(A)
【化20】

化合物(1)15.00kg(30.39mol)を、水素化反応器に設置し、イソプロピルアルコール90.0Lを加える。パラジウム木炭1.50kg(10%、含水量50%)をG-water5.0Lへ懸濁させ、反応器へ流し入れ、イソプロピルアルコール8.0Lですすぐ。次に、水素化を、内部温度100℃で、10バールで、水素の吸収が検出されなくなるまで実行する。反応が完了したのち(HPLCで監視する)、触媒を濾別し、イソプロピルアルコール26.0Lで洗浄する。
水素化溶液を反応器へ設置し、容器をイソプロピルアルコール4.0Lで洗浄する。標準圧力で、溶媒75.0Lを蒸留して除く。n-ヘプタン150.0Lを加え、さらに溶媒75.0Lを標準圧力で共沸で蒸留して除く。次に、n-ヘプタン112.5lを加え、混合物を5℃へ冷却し、30分間5℃で撹拌する。生成物を遠心分離し、n-ヘプタン30.0Lで洗浄し、真空乾燥器で50℃で乾燥させる。
m.p. 215℃(分解)
質量スペクトル(ESI+):m/z=m/z404[M+H]+
TLCシリカゲル 60Rf(CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90:10:1)=0.30
1H-NMR選択データ(DMSO-d6):12.0(1H、s)、7.97(1H、s)、7.50(1H、s)、7.16(1H、s)、4.65(1H、m)、3.92(3H、s)、2.70(3H、s)
【0020】
実施例2
化合物(3)及び(4)の調製―工程(B)
【化21】


化合物(2)10.00kg(24.78mol)をアセトニトリル40リットルへ設置する。次に、オキシ塩化リン4.75kg(30.98mol)を加え、供給容器をアセトニトリル5リットルで洗浄する。懸濁液を40℃まで熱し、トリエチルアミン3.13kg(30.98mol)を無水状態下で計量する。供給容器をアセトニトリル5Lですすぎ落とし、40℃で1時間撹拌する。得られた溶液を20℃まで冷却し、この温度で、アセトニトリル15リットル中3-クロロ-4-フルオロアニリン4.87kg(33.46mol)の溶液を量りいれる。形成した混合物をアセトニトリル5リットルで洗浄し、懸濁液を40℃まで熱し、60分間撹拌する。反応混合物を40℃でアセトニトリル30L、工業グレードアンモニア8.44kg(123.92mol)(25%)及びG-water40リットルの混合物へ計量する。次に、アセトニトリル10Lですすぐ。懸濁液をG-water20リットルで希釈し、30℃まで冷却し、30分間撹拌する。生成物を遠心分離し、G-water10リットル及びアセトニトリル20リットルの混合物で洗浄する。生成物を乾燥器中で、50℃で乾燥させる。
化合物(4)の精製:
a)アセトニトリルからの抽出
化合物(4)10.00kg(18.8mol)を、アセトニトリル50リットル中に設置する。懸濁液を80℃に熱し、この温度で30分間撹拌する。50℃まで冷却し、この温度で30分間撹拌し、遠心分離する。遠心機中の生成物をアセトニトリル20Lで洗浄する。
b)G-waterからの抽出
工程a)からの湿潤生成物をG-water50Lへ懸濁させる。次に、80℃まで熱し、この温度で30分間撹拌する。次に、50℃まで冷却し、この温度で15分間撹拌し、遠心分離する。生成物を遠心機中で、G-water40Lで洗浄する。乾燥器中で、50℃で乾燥させる。
m.p. 227℃(分解)
質量スペクトル(ESI+):m/z = m/z 531-533[M+H]+
TLCシリカゲル60Rf(CH2Cl2/MeOH 90:10):0.65
1H-NMR選択データ(DMSO-d6):9.96(1H、s)、8.13(1H、dd、J=7.4及び2.5Hz)、8.10 (1H、s)、7.80(1H、m)、7.45(1H、t、J=9.1)、7.25(1H、s)、4.86(1H、m)、3.97 (3H、s)、2.72(3H、s)
【0021】
実施例3
化合物(5.1)の調製―工程(C)
【化22】

化合物(4)10.00kg(18.83mol)イソプロピルアルコール140リットルへ設置する。懸濁液を70℃まで熱し、メタンスルホン酸9.05kg(94.16mol)を量りいれる。供給容器をイソプロピルアルコール10Lですすぎ落とし、反応混合物を還流温度まで熱する。少なくとも30分間後、還流温度で全反応で(total reaction)撹拌し(HPLCで監視する)、懸濁液を20℃まで冷却する。次に、懸濁液を30分間撹拌する。生成物を遠心分離し、合計40リットルのイソプロピルアルコールで洗浄する。乾燥器中で、60℃で乾燥させる。
m.p. 282℃(分解)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 431-433[M+H]+
TLCシリカゲル60Rf(CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90:10:1):0.14
1H-NMR選択データ:11.00(1H、s)、8.90(1H、s)、8.50(2H、s)、8.14(1H、s)、7.98 (1H、dd、J=6.7及び2.5Hz)、7.70(1H、m)、7.56(1H、t、J=9.2)、7.43(1H、s)、4.89(1H、m)、4.02(3H、s)、2.40(6H、s)
化合物(5.2)の調製―工程(C)
二者択一的に、化合物(5)は臭化水素を用いてジヒドロブロミド(化合物(5.2))として単離してよい。
【化23】


化合物(4)1.0g(1.88mmol)を、氷酢酸14mLへ設置する。氷酢酸中臭化水素33%を1.34mL (7.42 mmol) 加え、懸濁液を74℃まで熱し、1.5時間後、懸濁液を20℃まで冷却する。酢酸エチル22mLを加える。次に、懸濁液を2時間撹拌する。生成した懸濁液を吸引濾過し、第三級ブチルメチルエーテルで洗浄し、真空乾燥器で45℃で乾燥させる。1HNMR選択データ:11.30(1H、s)、8.92(1H、s)、8.63(2H、s)、8.43(1H、s)、8.01 (1H、dd、J=6.4及び2.6Hz)、7.75(1H、m)、7.56(1H、t、J=8.8)、7.43(1H、s)、5.03(1H、m)、4.03(3H、s)
【0022】
実施例4
化合物(I.2)の調製―工程(D)
【化24】

化合物(5.1)12.00kg(19.26mol)をアセトニトリル60.0Lへ懸濁させる。ジイソプロピルエチルアミン10.45kg(80.88mol)を加え、混合物をアセトニトリル6.0Lで洗浄する。反応混合物を50℃まで熱し、4-モルホリノカルボニル塩化物4.32kg(28.89mol)を50℃で加える。混合物をアセトニトリル6.0Lで洗浄する。反応混合物を50℃で2〜3時間撹拌する。反応が完了した後 (HPLCで監視)、混合物をG-water120.0Lへ加え、次に生成温度を25℃へ調整する。懸濁液を25℃で30分間撹拌する。生成物を濾別し、G-water2 x 36.0Lで洗浄し、共留ガスを用い真空で濾過乾燥機中にて70℃で乾燥させる。
m.p. 247℃
質量スペクトル(ESI+): m/z = 544-546[M+H]+
TLCシリカゲル60Rf (CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90:10:1):0.64
1H-NMR選択データ(DMSO-d6): 9.50(1H、s)、8.50(1H、s)、8.11(1H、dd、J=6.7及び2.6Hz)、7.93(1H、s)、7.79(1H、m)、7.44(1H、t、J=9.5Hz)、7.24(1H、s)、4.80 (1H、m)、3.96(3H、s)、3.71(1H、m)、3.60(4H、br t、J=4.2Hz)、3.08(4H、br t、 J=4.2Hz)
【0023】
実施例5
化合物(I.1)の調製―工程(E)
【化25】

化合物(I.2)10.00kg(18.38mol)を無水エタノール95.0Lへ懸濁させ、75℃まで熱する。75℃で、塩酸(3.90%)8.66kg(9.26mol)を加える。供給容器をG-water2.5L及び無水エタノール5.0Lですすぐ。反応器含有物を還流させ、溶液を得られるまで撹拌する。溶液を70℃まで冷却し、圧力濾過器で第二の反応器へ完全に濾過し、無水エタノール20.0Lですすぎ、溶媒60.0Lを真空で蒸留して除く。反応器含有物を22℃まで冷却させ、懸濁液を22℃で30分間撹拌する。生成物(化合物(I.1))を濾別し、G-water 2 x 15.0Lで洗浄し、共留ガスを用い、濾過乾燥機中真空で60℃で乾燥させる。
任意に、生成物を以下に記載するとおり再結晶してもよい。化合物(I.1)10.00kg(17.78mol)を無水エタノール72.0L及びG-water18L中に懸濁させる。反応器含有物を還流させ、溶液を得られるまで撹拌する。溶液を70℃まで冷却し、圧力濾過器で第二の反応器へ完全に濾過し、無水エタノールBPH16.0L及びG-water4Lの混合物ですすぐ。反応器含有物を22℃まで冷却し、懸濁液を30分間22℃で撹拌する。生成物を濾別し、G-water 2 x 20.0Lで洗浄し、共留ガスを用い、濾過乾燥機中真空で60℃で乾燥させる。
1H-NMR選択データ(DMSO-d6):10.7(1H、br s)、8.68(1H、s)、8.28(1H、s)、8.10 (1H、dd、J = 6.7及び2.6Hz)、7.80(1H、m)、7.48(1H、t、J = 9.2Hz)、7.31(1H、 s)、4.93(1H、m)、3.99(3H、s)、3.70(1H、m)、3.59(4H、br t、J = 4.4Hz)、3.08 (4H、br t、J = 4.4Hz)
質量スペクトル (ESI+): m/z = 544-546 [M+H]+
TLCシリカゲル60Rf (CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90:10:1): 0.64
【0024】
実施例6
化合物(7)の調製―工程(F)
【化26】


化合物(5.2)10g(含有率およそ90%、15.2mmol)をTHF(テトラヒドロフラン)100mL及びジイソプロピルエチルアミン6.5mL(38.0mmol)へ懸濁させる。1,1'-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール) (3.95g、25.3mmol)を室温で加える。20時間後、さらに1,1'-カルボニルジ (1,2,4-トリアゾール) (0.13g、0.79mmol)を加える。20分後、水100mLを滴下する。反応混合物を4時間室温で撹拌し、次に5℃まで冷却する。
沈殿物を吸引濾過し、水:THFの1:1の混合物10mLで2回洗浄する。生成物(化合物(7))を50℃で、循環エアドライヤ中で乾燥させる。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 526-528 [M+H]+
1H-NMR選択データ(DMSO-d6):9.50(1H、s)、9.06(1H、s)、8.51(1H、s)、8.24(1H、s)、8.12(1H、dd、J = 7.1及び2.5Hz)、7.96(1H、s)、7.78 (1H、m)、7.44 (1H、t、 J = 8.98Hz)、7.25(1H、s). 4.82(1H、m)、3.98(3H、s)
【0025】
実施例7
化合物(I.2)の調製―工程(G)
【化27】


化合物(7)(45.6mmol)24gをN-メチルピロリドン72mLへ設置し、モルホリン(137.7 mmol)12mLと混合させる。得られた黄色い溶液を120℃で撹拌する。5時間後、この温度で、反応溶液を90〜80℃まで冷却する。水(360mL)をゆっくり滴下する。新たに水20mLを加えた後、再結晶が78℃で起こる。懸濁液を室温で一晩中撹拌する。沈殿物を吸引濾過し、水20mLで三回洗浄する。生成物を循環エアドライヤ中で50℃で乾燥させる。
質量スペクトル (ESI+): m/z = 544-546 [M+H]+
1H-NMR選択データ(DMSO-d6): 9.50(1H、s)、8.50(1H、s)、8.11(1H、dd、J=6.7及び2.6 Hz)、7.93(1H、s)、7.79(1H、m)、7.44(1H、t、J = 9.5Hz)、7.24(1H、s)、4.80(1H、m)、3.96(3H、s)、3.71(1H、m)、3.60(4H、br t、J = 4.2Hz)、3.08(4H、 br t、J = 4.2Hz)
TLCシリカゲル60 Rf (CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90:10:1): 0.64
【0026】
実施例8
化合物(I.2)及び(6)の調製
(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-[7-メトキシ-6-(4-メチルアミノ-シクロヘキシルオキシ)-キナゾリン-4-イル]-アミンジヒドロクロライド(20.2g、40.0mmol)を、アセトニトリル(180mL)及びN,N-ジイソプロピルアミン(29.0ml、166.4mmol)の混合物へ懸濁させ、5℃でアセトニトリル(20ml)中モルホリノカルボニル塩化物(6.8ml、58.3mmol)の溶液で10分間処理する。得られた混合物をゆっくり周囲温度まで熱し、一晩中撹拌し、最後に水酸化ナトリウム水溶液(50ml)で処理する。水(200ml)をゆっくり不均質反応混合物へ加え、1時間撹拌後、固体を濾別する。得られた濾過ケークを水(2 x 50ml)で洗浄する。粗生成物を水(30ml)及びエタノール(330ml)の混合物中で、還流温度で溶解する。溶液を高温で濾過し、次に、10℃に冷却するまでゆっくりと周囲温度に冷却する。結晶化した生成物(I.2)を濾別し、エタノールと水1:1の混合物(20ml)で洗浄し、最後に、真空で50℃で乾燥させる。
こうして得られた生成物(I.2)を140℃まで熱し、この温度で約5分間焼き付け、無水生成物(6)を形成する。
二者択一的に、無水形態(6)は、乾燥イソプロパノールから化合物(I.2)を再結晶させることにより得てもよい。
【0027】
実施例9
化合物(I.1)の調製
化合物(I.2)(1.03kg、1.83mol)をエタノール(5.76l)で懸濁させ、得られた混合物を75〜76℃まで熱する。沸騰温度で、水(0.5l)を加え、塩酸水溶液(aqueous hydrochloric acid solution)(0.91 l, 0.91mol)1.0mol/lを続いて加える。次に、得られた溶液を18℃まで冷却し、全結晶化を得るため、5時間その場に置いておく。結晶化した生成物を濾別し、エタノール/水(1 l)の8:2の混合物で洗浄し、最後に真空で50℃で乾燥させる。
【0028】
実施例10
化合物(I.3)の低融点の形態の調製
化合物(I.1)150mgをエタノール35mlへ加熱しながら溶解させる。得られた溶液を、結晶化が認められるまで、周囲温度までゆっくり冷却する。次に、得られた懸濁液を、冷蔵庫に4℃で一晩中貯蔵する。得られた結晶(化合物(I.3)の低融点の形態)を順番に濾別し、換気扇フードの周囲条件下で一晩中乾燥させる。
【0029】
実施例11
化合物(I.3)の高融点の形態の調製
化合物(I.2) (32.6g、60.0mmol)をエタノール(210ml)中に懸濁させ、得られた混合物を75〜76℃まで熱する。次に、塩酸水溶液1.0mol/l(60.0ml、60mmol)を加える。得られた溶液を、周囲温度までゆっくり冷却する。次に、結晶化した生成物(化合物(I.3)の高融点の形態)を濾別し、エタノール及び水の8:2の混合物(2 x 30ml)で洗浄し、さらに、真空で50℃で乾燥させる。
【0030】
以下の装置及び試験条件は、添付書類に提示されるデータを得るために使用する。
粉末X線回折計
曲がったゲルマニウム(111)第一モノクロメーターを有する伝送モードの位置感応型検出器を備えたSTOE Stadi P 粉末X線回折計:使用する波長:λ=1.540598Å CuKαI; 40kVで作動するX線管、40mA;2Θ範囲:3〜40°
TREORプログラム(STOE Stadi Pソフトウェアパッケージの一部)を使用し、単結晶データが利用できる場合、粉末X線図表を示す。表2〜5は、2Θにおける30°までの特性及び標準化X線反射を列挙する。関連する粉末X線図表は添付の図2a〜5aに示されている。
化合物(I.2)の粉末X線図表は、以下のパラメーターで示す:以下の格子定数を有する単斜晶系格子(空間群P21/c):
a=11.445(3)Å、b=23.737(7)Å、c=11.080(3)Å、α=90°、β=113.16(2)゜、γ= 90゜、V=2768(1)Å3
指示の「性能示数」は55.3である。
【0031】
熱分析装置
Mettler Toledo社製DSC822を使用する。以下の測定パラメーターを用いる:加熱率: 10K/分;るつぼの型:孔あきアルミニウム製るつぼ;雰囲気:N2、流量80ml/分; 主要質量: 3〜10mg
Nicolet FT-IR4700分光計に連結したMettler Toledo社製TGA/SDTA851(揮発性画分分析用)を使用する。以下の測定パラメーターを用いる:10K/分;るつぼの型:開放アルミニウム酸化物るつぼ;雰囲気:N2、流量20ml/分;主要質量:15〜25mg
異なる形態の融点は、添付のDSC/TG図表(図1b〜5b)に見られる。
吸水試験用装置
表面測定装置(=SMS)製のDVS-1を使用し、吸湿性特徴を調査する:以下の湿度プロフィールを用いる:相対湿度10〜90%、10%ずつの段階で、吸収及び脱着特性を記録する、主要質量:10〜20mg
異なる形態の対応する図表(動力及び等温プロット)を、図1c+d〜5c+dに示す。
溶解性試験
式(I)又は(6)の水中の異なる結晶性形態の溶解性は以下の通り測定される:対応する形態のおよそ5mgを水5mlへ加える。混合物を、Heidolph社製の頭上振盪機で周囲温度で2時間振盪する。次に、解けていない画分を、0.45μm PTFE濾過器により濾別する。濾液中の溶解した画分を紫外分光法により測定する。さらに、飽和水溶液のpHを、また標準pH電極で測定する。
対応するデータを表6に列挙する。
【0032】
ジェット粉砕及び噴霧乾燥した有効成分に対する安定度試験
標準気候条件下(25℃/60%相対湿度)、極端な気候条件下(40℃/75%相対湿度)において、少なくとも32週間にわたり結晶ジェット粉砕及び非晶質噴霧乾燥した純粋な有効成分を開放して保管した結果、幾何学的粒度分布(d10、d50、d90)への大きな変化を示さなかった。
生物学的試験
化合物(I)の生物学的特性は以下のとおり調査され、例えば:
EGF-R-媒介シグナル伝達の抑制は、例えば生存及び増殖がEGF又はTGF-アルファによる刺激次第であるヒトEGF-Rを発現する細胞で証明できる。マウス造血細胞株は、機能的なヒトEGF-Rを発現するため遺伝的に修正する。従って、この細胞株の増殖は、EGFにより刺激される。
試験は以下のとおり実行する。
細胞をRPMI/1640媒質中で培養する。増殖をヒトEGF(プロメガ)20ng/mlで刺激する。本発明の化合物の抑制作用を調べるため、これらの化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)100%で溶解させ、種々の希釈で培養物へ加え、最大DMSO濃度は1%である。培養物は37℃で48時間インキュベートする。
本発明の化合物(I.1)の抑制作用を測定するため、相対細胞数をO.D.unitsでCell Titer 96TM AQueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay(プロメガ)を用いて測定する。相対細胞数は、そこから派生する細胞の増殖を50%(IC50)抑制する有効成分の管理及び濃度のパーセンテージとして計算する。


【0033】
指示書
判明したように、式(I)の化合物、特に式(I.1)の化合物は、治療的分野においてその融通性により特徴づけられる。本発明に従い、式(I)の化合物、特に式(I.1)の化合物を、チロシン抑制剤としての医薬上の効力をもとに、好ましくは使用してよい。
従って、本発明の一般式(I)の化合物は、ヒトEGF受容体の例により証明されるとおり、チロシンキナーゼによる情報伝達を抑制し、従ってチロシンキナーゼの機能亢進が原因の病態生理学的過程を治療する上で有用である。これらは、例えば良性又は悪性腫瘍であり、特に上皮及び神経上皮発生、転移の腫瘍、及び血管内皮細胞(血管新生)の異常増殖の腫瘍である。
本発明の化合物(I)は、また、例えば慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎、喘息、気管支拡張症、アレルギー性又は非アレルギー性鼻炎又は静脈洞炎、嚢胞性線維症、α1-抗トリプシン欠乏症又は咳、肺気腫、肺線維症及び気道過反応性(hyperreactive airways)のような、気道の炎症性疾患のようなチロシンキナーゼの刺激による粘液の、増加又は変更生産に付随する気道又は肺の疾患を予防及び治療するために有用である。
化合物(I)は、また、例えば胆嚢炎、クローン病、潰瘍性大腸炎及び消化管中の潰瘍等の慢性炎症性変化に見られ、又はメネトリエー病、分泌性腺腫、及び蛋白喪失症(protein loss syndrome)のような増加する分泌と関連する消化管の疾患において発生しうる、チロシンキナーゼの崩壊作用に関連する消化管及び総胆管及び胆嚢の疾患を治療するために好適である。
さらに、化合物(I)は、例えば表皮過剰増殖(乾癬)、良性前立腺増殖症(BPH)、炎症性突起、免疫系統の疾患、造血細胞の過剰増殖、鼻ポリープの治療等の、チロシンキナーゼの異常機能による他の疾患を治療するために使用してよい。
【0034】
組み合わせ
式(I)の化合物、特に式(I.1)の化合物は、単独で、又は他の有効成分と組み合わせて使用してよい。これらの組み合わせは同時に、又は連続して投与してよい。式(I.1)の化合物は、Wと組み合わせて使用してもよく、Wは薬理学的な有効成分を表し、β模倣薬、抗コリン薬、コルチコステロイド、PDE4-抑制剤、LTD4-受容体(CysLT1、CysLT2、CysLT3)拮抗薬、LTB4-受容体(BLT1、BLT2)拮抗薬、例えばp38、ERK1、ERK2、JNK1、JNK2、JNK3又はSAPのようなMAPキナーゼ抑制剤、ブラジキニン(BK1、BK2)受容体拮抗薬、エンドセリン受容体拮抗薬、CXCR1及び/又はCXCR2受容体拮抗薬、及び鎮咳性物質等から(例えば)選択される。
さらに、式(I)の化合物を有するWの二重又は三重の組み合わせを組み合わせてよい。式1の化合物を有するWの組み合わせの例は、
・Wは抗コリン作用薬、コルチコステロイド、PDE4-抑制剤、EGFR-抑制剤又はLTD4-受容体拮抗薬と結合させた、β模倣薬を表し、
・Wはβ模倣薬、コルチコステロイド、PDE4-抑制剤、EGFR-抑制剤又はLTD4-受容体拮抗薬と結合させた、抗コリン作用薬を表し、
・WはPDE4-抑制剤、EGFR-抑制剤又はLTD4-受容体拮抗薬と結合させた、コルチコステロイドを表し、
・WはEGFR-抑制剤又はLTD4-受容体拮抗薬と結合させた、PDE4-抑制剤を表し、
・Wは抗コリン作用薬と結合させた、EGFR-抑制剤を表す。
【0035】
本文で使用してよいβ模倣薬の例は、アルホルモテロール、カルモテロール、ホルモテロール、インダカテロール、サルメテロール、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、イソエタリン、イソプレナリン、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテレノール、ミルベテロール(milveterol)、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメファモール、ソテレノール、スルホンテロール(sulphonterol)、テルブタリン、チアラミド、トルブテロール(tolubuterol)、ジンテロール、及び6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、8-{2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、8-{2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、8-{2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、8-{2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド、N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド、N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチル-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド、N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-2-ヒドロキシ-フェニル)-メタンスルホンアミド、8-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、8-{2-[1,1-ジメチル-3-(6-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、8-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-5-トリフルオロメチル-2,3-ジヒドロ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、8-{2-[1,1-ジメチル-3-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ベンゾイミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン、N-[2-ヒドロキシ-5-((1R)-1-ヒドロキシ-2-{2-[4-(2-ヒドロキシ-2-フェニル-エチルアミノ)-フェニル]-エチルアミノ}-エチル)-フェニル]-ホルムアミド、8-ヒドロキシ-5-((1R)-1-ヒドロキシ-2-{2-[4-(6-メトキシ-ビフェニル-3-イルアミノ)-フェニル]-エチルアミノ}-エチル)-1H-キノリン-2-オン、8-ヒドロキシ-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-(6-フェネチルアミノ-ヘキシルアミノ)-エチル]-1H-キノリン-2-オン、5-[(1R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン、[3-(4-{6-[(2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-フェニル)-エチルアミノ]-ヘキシルオキシ}-ブチル)-5-メチル-フェニル]-尿素、4-((1R)-2-{6-[2-(2,6-ジクロロ-ベンジルオキシ)-エトキシ]-ヘキシルアミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-ヒドロキシメチル-フェノール、3-(4-{6-[(2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-フェニル)-エチルアミノ]-ヘキシルオキシ}-ブチル)-ベンゼンスルホンアミド、3-(3-{7-[(2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-フェニル)-エチルアミノ]-ヘプチルオキシ}-プロピル)-ベンゼンスルホンアミド、4-((1R)-2-{6-[4-(3-シクロペンタンスルホニル-フェニル)-ブトキシ]-ヘキシルアミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-ヒドロキシメチル-フェノール、N-1-アダマンタニル-2-{3-[(2R)-2-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]フェニル}アセトアミド、(1R)-5-{2-[6-(2,2-ジフルオロ-2-フェニル-エトキシ)-ヘキシルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン、(R,S)-4-(2-{[6-(2,2-ジフルオロ-4-フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-4-(2-{[6-(2,2-ジフルオロ-2-フェニルエトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-4-(2-{[4,4-ジフルオロ-6-(4-フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-4-(2-{[6-(4,4-ジフルオロ-4-フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-5-(2-{[6-(2,2-ジフルオロ-2-フェニルエトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-8-ヒドロキシキノリン-2(1H)-オン、(R,S)-[2-({6-[2,2-ジフルオロ-2-(3-メチルフェニル)エトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、4-(1R)-2-{[6-(2,2-ジフルオロ-2-フェニルエトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-2-(ヒドロキシメチル)-4-(1-ヒドロキシ-2-{[4,4,5I5-テトラフルオロ-6-(3-フェニルプロポキシ)ヘキシル]アミノ}エチル)フェノール、(R,S)-[5-(2-{[6-(2,2-ジフルオロ-2-フェニルエトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-ヒドロキシフェニル]ホルムアミド、(R,S)-4-[2-({6-[2-(3-ブロモフェニル)-2,2-ジフルオロエトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-N-[3-(1,1-ジフルオロ-2-{[6-({2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}エチル)フェニル]-尿素、3-[3-(1,1-ジフルオロ-2-{[6-({2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}エチル)フェニル]イミダゾリジン-2,4-ジオン、(R,S)-4-[2-({6-[2,2-ジフルオロ-2-(3-メトキシフェニル)エトキシ]ヘキシル}アミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、5-((1R)-2-{[6-(2,2-ジフルオロ-2-フェニルエトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-8-ヒドロキシキノリン-2(1H)-オン、4-((1R)-2-{[4,4-ジフルオロ-6-(4-フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-4-(2-{[6-(3,3-ジフルオロ-3-フェニルプロポキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシ-エチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-(2-{[6-(2,2-ジフルオロ-2-フェニルエトキシ)-4,4-ジフルオロヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(R,S)-4-(2-{[6-(2,2-ジフルオロ-3-フェニルプロポキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、3-[2-(3-クロロ-フェニル)-エトキシ]-N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-N-{2-[2-(4-ヒドロキシ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ベンゾチアゾール-7-イル)-エチルアミノ]-エチル}-プロピオンアミド、N-(2-ジエチルアミノ-エチル)-N-{2-[2-(4-ヒドロキシ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-ベンゾチアゾール-7-イル)-エチルアミノ]-エチル}-3-(2-ナフタレン-1-イル-エトキシ)-プロピオンアミド7-[2-(2-{3-[2-(2-クロロ-フェニル)-エチルアミノ]-プロピルスルファニル(sulphanyl)}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-4-ヒドロキシ-3H-ベンゾチアゾール-2-オンから選択される化合物を含むことが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びその薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物又は水和物の形態であってもよい。
【0036】
好ましくは、本発明に従い、β模倣薬の酸付加塩は塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、ヒドロホスフェート、ヒドロメタンスルホネート、ヒドロニトラート、ヒドロマレアート、ヒドロアセテート、ヒドロシトラート、ヒドロフマレート、ヒドロタルトレート、ヒドロオキサラート、ヒドロスクシナート、ヒドロベンゾアート及びヒドロ-p-トルエンスルホネートから選択される。
本文で使用してよい抗コリン作動薬の例は、好ましくは、チオトロピウム塩、好ましくは臭化物塩、オキシトロピウム塩、好ましくは臭化物塩、フルトロピウム塩、好ましくは臭化物塩、イプラトロピウム塩、好ましくは臭化物塩、アクリジニウム塩、好ましくは臭化物塩、グリコピロニウム塩、好ましくは臭化物塩、トロスピウム塩、好ましくは塩化物塩、トルテロジン、(3R)-1-フェネチル-3-(9H-キサンテン-9-カルボニルオキシ)-1-アゾニアビシクロ[2,2,2]オクタン-塩から選択される化合物を含む。上述の塩で、カチオンが薬理学的に有効な成分である。X-アニオンとして、上述の塩は、好ましくは塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトラート、マレアート、アセテート、シトラート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシナート、ベンゾアート、又はp-トルエンスルホネートを含むが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、メタンスルホネート又はp-トルエンスルホネートが、対イオンとして好ましい。すべての塩の中で、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びメタンスルホネートが特に好ましい。他の明記された化合物は、トロペノール2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロミド、スコピン2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロミド、スコピン2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテートメトブロミド、トロペノール2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテートメトブロミド、トロペノール3,3',4,4'-テトラフルオロベンジラートメトブロミド、スコピン3,3',4,4'-テトラフルオロベンジラートメトブロミド、トロペノール4,4'-ジフルオロベンジラートメトブロミド、スコピン4,4'-ジフルオロベンジラートメトブロミド、トロペノール3,3'-ジフルオロベンジラートメトブロミド、スコピン3,3'-ジフルオロベンジラートメトブロミド;トロペノール9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド;トロペノール9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピンベンジラートメトブロミド、シクロプロピルトロピン2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピンメチル4,4'-ジフルオロベンジラートメトブロミド、トロペノール9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレート-メトブロミド、スコピン9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレート-メトブロミド、トロペノール9-エチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール9-ジフルオロメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン9-ヒドロキシメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミドである。上述の化合物は、また、本発明の範囲内において塩として使用してもよいが、メトブロミドの代わりに、メト-X塩を使用してもよく、Xは上文でX-に与えられた意味を有してよい。
【0037】
コルチコステロイドとして使用してよい化合物は、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、ブチキソコルト、シクレソニド、デフラザコルト、デキサメタゾン、エチプレドノール、フルニソリド、フルチカゾン、ロテプレドノール、モメタゾン、プレドニゾロン、プレドニソン、ロフレポニド、トリアムシノロン、チプレダン及びプレグナ-1,4-ジエン-3.20-ジオン、6-フルオロ-11-ヒドロキシ-16,17-[(1-メチルエチリデン)ビス(オキシ)]-21-[[4-[(ニトロオキシ)メチル]ベンゾイル]オキシ]-、(6-α,11-β,16-α)-(9Cl)(NCX-1024)、16,17-ブチリデンジオキシ-6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-17-(メチルチオ)アンドロスト-4-エン-3-オン(RPR-106541)、(S)-フルオロメチル6,9-ジフルオロ-17-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-16-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17-カルボチオネート、(S)-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)6,9-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16-メチル-3-オキソ-17-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17-カルボチオネート、シアノメチル6-アルファ、9-アルファ-ジフルオロ-11-β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボキシレートから選択される化合物が好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体の形態であってもよく、それらの塩及び誘導体、それらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。ステロイドに関する言及は、存在しうるそれらの塩又は誘導体、水和物又は溶媒和物に関する言及を含む。ステロイドの可能な塩及び誘導体の例は、ナトリウム又はカリウム塩、スルホベンゾアート、ホスフェート、イソニコチナート、アセテート、ジクロロアセテート、プロピオネート、二水素ホスフェート、パルミテート、ピバレート又はフロアート等のアルカリ金属塩でよい。
【0038】
使用してよいPDE4-抑制剤は、エンプロフィリン、テオフィリン、ロフルミラスト、アリフロ(シロミラスト)、トフィミラスト、プマフェントリン、リリミラスト、アプレミラスト、アロフィリン、アチゾラム(atizoram)、オグレミラスタム(oglemilastum)、テトミラスト、及び5-[(N-(2,5-ジクロロ-3-ピリジニル)-カルボキサミド(carboxamide)]-8-メトキシ-キノリン(D-4418)、[N-(3,5-ジクロロ-1-オキシド-4-ピリジニル)-カルボキサミド]-8-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-キノリン(D-4396 (Sch-351591))、N-(3,5-ジクロロピリド-4-イル)-[1-(4-フルオロベンジル)-5-ヒドロキシ-インドール-3-イル]グリオキシル酸アミド(AWD-12-281(GW-842470))、9-[(2-フルオロフェニル)メチル]-N-メチル-2-(トリフルオロメチル)-9H-プリン-6-アミン(NCS-613)、4-[(2R)-2-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-フェニルエチル]-ピリジン(CDP-840)、N-[(3R)-3,4,6,7-テトラヒドロ-9-メチル-4-オキソ-1-フェニルピロロ [3,2,1-jk][1,4]ベンゾジアゼピン-3-イル]-4-ピリジンカルボキサミド (PD-168787)、4-[6,7-ジエトキシ-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ナフタレニル]-1-(2-メトキシエチル)-2(1H)-ピリジノン (T-440)、2-[4-[6,7-ジエトキシ-2,3-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ナフタレニル]-2-ピリジニル]-4-(3-ピリジニル)-1(2H)-フタラジノン (T-2585)、(3-(3-シクロフェニルオキシ-4-メトキシベンジル)-6-エチルアミノ-8-イソプロピル-3H-プリン(V-11294A)、β-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-イソインドール-2-プロパンアミド(CDC-801)、イミダゾ [1,5-a]ピリド[3,2-e]ピラジン-6(5H)-オン、9-エチル-2-メトキシ-7-メチル-5-プロピル-(D-22888)、5-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-3-[(3-メチルフェニル)メチル]、(3S,5S)-2-ピペリジノン(HT-0712)、4-[1-[3,4-ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]-2-(3-メチル-1-オキシド-4-ピリジニル)エチル]-α、α-ビス(トリフルオロメチル)-ベンゼンメタノール(L-826141)、N-(3,5-ジクロロ-1-オキソ-ピリジン-4-イル)-4-ジフルオロメトキシ-3-シクロプロピルメトキシベンズアミド、(-)p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[s][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド、(R)-(+)-1-(4-ブロモベンジル)-4-[(3-シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、3-(シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-N'-[N-2-シアノ-S-メチル-イソチオウレイド]ベンジル)-2-ピロリドン、シス[4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸]、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン、シス[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]、(R)-(+)-エチル[4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)ピロリジン-2-イリデン]アセテート、(S)-(-)-エチル[4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)ピロリジン-2-イリデン]アセテート、9-シクロペンチル-5,6-ジヒドロ-7-エチル-3-(2-チエニル)-9H-ピラゾロ[3,4-c]-1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン、9-シクロペンチル-5,6-ジヒドロ-7-エチル-3-(t-ブチル)-9H-ピラゾロ[3,4-c]-1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジンから選択される化合物であることが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物又は水和物の形態であってもよい。
【0039】
本発明に従い、好ましい酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、ヒドロホスフェート、ヒドロメタンスルホネート、ヒドロニトラート、ヒドロマレアート、ヒドロアセテート、ヒドロシトラート、ヒドロフマレート、ヒドロタルトレート、ヒドロオキサラート、ヒドロスクシナート、ヒドロベンゾアート及びヒドロ-p-トルエンスルホネートから選択される。
本文で使用されるLTB4-受容体拮抗薬は、例えばアメブラント(=エチル[[4-[[3-[[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェノキシ]メチル]フェニル]メトキシ]フェニル]イミノメチル]-カルバメート)から選択される化合物であることが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、プロドラッグ又は水和物の形態であってもよい。本発明に従い、好ましい酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、ヒドロホスフェート、ヒドロメタンスルホネート、ヒドロニトラート、ヒドロマレアート、ヒドロアセテート、ヒドロシトラート、ヒドロフマレート、ヒドロタルトレート、ヒドロオキサラート、ヒドロスクシナート、ヒドロベンゾアート及びヒドロ-p-トルエンスルホネートから選択される。
【0040】
本文で使用されるLTD4-受容体拮抗薬は、好ましくはモンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、及び(E)-8-[2-[4-[4-(4-フルオロフェニル)ブトキシ]フェニル]エテニル]-2-(1H-テトラゾール-5-イル)-4H-1-ベンゾピラン-4-オン(MEN-91507)、4-[6-アセチル-3-[3-(4-アセチル-3-ヒドロキシ-2-プロピルフェニルチオ)プロポキシ]-2-プロピルフェノキシ]酪酸(MN-001)、1-(((R)-(3-(2-(6,7-ジフルオロ-2-キノリニル)エテニル)フェニル)-3-(2-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)フェニル)チオ)メチルシクロプロパン酢酸、1-(((1(R)-3(3-(2-(2,3-ジクロロチエノ[3,2-b]ピリジン-5-イル)-(E)-エテニル)フェニル)-3-(2-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロパン酢酸、[2-[[2-(4-t-ブチル-2-チアゾリル)-5-ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸から選択される化合物であることが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、溶媒和物、水和物の形態であってもよい。本発明に従い、好ましい酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、ヒドロホスフェート、ヒドロメタンスルホネート、ヒドロニトラート、ヒドロマレアート、ヒドロアセテート、ヒドロシトラート、ヒドロフマレート、ヒドロタルトレート、ヒドロオキサラート、ヒドロスクシナート、ヒドロベンゾアート及びヒドロ-p-トルエンスルホネートから選択される。
【0041】
LTD4-受容体拮抗薬が形成可能な塩又は誘導体は、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、スルホベンゾアート、ホスフェート、イソニコチネート、アセテート、プロピオネート、二水素ホスフェート、パルミテート、ピバレート又はフロアートのようなアルカリ金属塩を意味する。
使用するMAPキナーゼ抑制剤は、ベンタマピモド(AS-602801)、ドラマピモド(BIRB-796)、5-カルバモイルインドール(SD-169)、6-[(アミノカルボニル)(2,6-ジフルオロフェニル)アミノ]-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-ピリジンカルボキサミド(VX-702)、α-[2-[[2-(3-ピリジニル)エチル]アミノ]-4-ピリミジニル]-2-ベンゾチアゾールアセトニトリル(AS-601245)、9,12-エポキシ-1H-ジインドロ[1,2,3-fg:3',2',1'-kl]ピロロ[3,4-i][1.6]ベンゾジアゾシン-10-カルボン酸(CEP-1347)、4-[3-(4-クロロフェニル)-5-(1-メチル-4-ピペリジニル)-1H-ピラゾール-4-イル]-ピリミジン(SC-409)から選択される化合物であることが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、プロドラッグ、溶媒和物又は水和物の形態であってもよい。
【0042】
使用してよいブラジキニン受容体拮抗薬は、イカチバント及び1-ピペラジンペンタンアミニウム、Δ-アミノ-4-[[4-[[[2,4-ジクロロ-3-[[(2,4-ジメチル-8-キノリニル)オキシ]メチル]フェニル]スルホニル]アミノ]テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル]カルボニル]-N,N,N-トリメチル-ε-オキソ、塩化物、塩酸塩(1:1:1)、(ΔS)-(MEN-16132)から選択される化合物であることが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ鏡像異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、プロドラッグ、溶媒和物又は水和物の形態であってもよい。
使用してよいエンドセリン拮抗薬は、アクテリオン-1、アンブリセンタン、シタキセンタン、N-(2-アセチル-4.6-ジメチルフェニル)-3-[[(4-クロロ-3-メチル-5-イソキサゾリル)アミノ]スルホニル]-2-チオフェンカルボキサミド(TBC-3214)及びボセンタンから選択される化合物が好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、プロドラッグ、溶媒和物又は水和物の形態であってもよい。
使用してよい鎮咳性物質は、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン及びデキストロメトルファン(dextramethorphan)から選択される化合物であることが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、プロドラッグ、溶媒和物又は水和物の形態であってもよい。
【0043】
使用してよい好ましいCXCR1及び/又はCXCR2受容体拮抗体の物質は、例えば3-[[3-[(ジメチルアミノ)カルボニル]-2-ヒドロキシフェニル]アミノ]-4-[[(R)-1-(5-メチルフラン-2-イル)プロピル]アミノ]シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(SCH-527123)のような化合物であることが好ましく、これらはラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの薬理学的に許容される酸付加塩、プロドラッグ、溶媒和物又は水和物の形態であってもよい。
本発明によれば、上述のβ模倣薬、抗コリン作動薬、コルチコステロイド(corticosteroids)、PDE4抑制剤、LTB4(BLT,BLT2)受容体拮抗薬、LTD4(CysLT1,CysLT2,CysLT3)受容体拮抗薬、例えばp38、ERK1、ERK2、JNK1、JNK2、JNK3又はSAPのようなMAPキナーゼの抑制剤、ブラジキニン受容体拮抗薬、エンドセリン受容体拮抗薬、鎮咳性物質、また塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、ヒドロホスフェート、ヒドロメタンスルホネート、ヒドロニトラート、ヒドロマレアート、ヒドロアセテート、ヒドロシトラート、ヒドロフマレート、ヒドロタルトレート、ヒドロオキサラート、ヒドロスクシナート、ヒドロベンゾアート及びヒドロ-p-トルエンスルホネートから選択されるCXCR1及び/又はCXCR2受容体拮抗薬の酸付加塩を使用することが好ましい。
【0044】
他の医薬組成物
本発明の化合物(I)は経口、経皮、吸入、非経口又は舌下経路により投与してよく、吸入による投与が好ましい。本発明の化合物は、通常の調製における活性物質として存在し、例えば不活性医薬品担体及び有効成分の有効量とから本質的になる組成物、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル、ロゼンジ、散剤、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ剤、坐薬、経皮システム等において存在する。本発明によれば、吸入には、有効成分1〜100%を含む溶液又は散剤が好適であり、散剤が好ましい。可能な粉末製剤は、(1)ジェット粉砕有効成分及び担体アジュバントの混合物、又は(2)有効成分及び/又はアジュバントを有する溶液からの噴霧乾燥粒子からなるミクロニセイト(micronisates)、又は(3)有効成分の純粋なジェット粉砕粒子であってもよい。粉末混合物の場合において、製剤は有効成分を10〜50%、特に20〜40%含むことが好ましい。噴霧乾燥粒子から得られた製剤の場合、製剤は有効成分を25〜100%含み、好ましくは40〜60%含む。吸入に好適な粒径分布は、空気力学粒径分布1〜5μmの間である(P.R.Byron, Drug Dev.Ind.Pharm.12:993-1015(1986)/G.Scheuch,Adv.DrugDel.Systems 996-1008(2006))。
【0045】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく例証する。
医薬製剤実施例1
有効成分5mgを含む粉末吸入用のカプセルであって、例えば化合物(I.1)では、
1カプセルは、
有効成分 (ジェット粉砕) 5.0mg
吸入目的用ラクトース 15.0mg
20.0mg
を含む。
調製:
有効成分を吸入目的用にラクトースと混合する。カプセル成形機で混合物をカプセルに充填する(空のカプセルの質量:およそ100mg)。
カプセルの質量:120.0mg
カプセルのサイズ:3
【0046】
医薬製剤実施例2
有効成分7.5mgを含む粉末吸入用のカプセルであり、例えば化合物(I.1)では、
1カプセルは、
有効成分 (ジェット粉砕) 7.5mg
ラクトース(粉砕) 7.5mg
吸入目的用ラクトース 15.0mg
30.0mg
を含む。
調製:
有効成分をラクトース(粉砕)と混合し、次に吸入目的用のラクトースと混合する。混合物をカプセル成形機でカプセルに充填する(空のカプセルの質量:約100mg)。
カプセルの質量:130.0mg
カプセルのサイズ:3
【0047】
医薬製剤実施例3
有効成分10mgを含む粉末吸入用のカプセルであり、例えば化合物(I,1)では、
1カプセルは、
有効成分 (ジェット粉砕) 10.0mg
10.0mg
調製:
有効成分、例えば化合物(I,1)はジェット粉砕し、カプセル成形機でカプセルに充填する(空のカプセルの質量:およそ100mg)。
カプセルの質量:110.0mg
カプセルのサイズ:3
【0048】
医薬製剤実施例4
有効成分10mgを含む粉末吸入用のカプセルであり、例えば化合物(I.1)では、
1カプセルは、
有効成分 (噴霧乾燥) 10.0 mg
10.0 mg
を含む。
調製:
有効成分、例えば化合物(I.1)はジェット粉砕し、カプセル成形機でカプセルに充填する(空のカプセルの質量:およそ100mg)。
カプセルの質量:110.0mg
カプセルのサイズ:3
【0049】
医薬製剤実施例5
有効成分5mgを含む粉末吸入用のカプセルであり、例えば化合物(I.1)では、
1カプセルは、
有効成分(5mg)及びアジュバント(5mg)(同時に噴霧乾燥させる)
10.0mg
を含む。
調製:
有効成分及びアジュバントを溶媒中で溶解させ、噴霧乾燥させる。得られた粉末をカプセル成形機でカプセルに充填する(空のカプセルの質量:およそ100mg)。
カプセルの質量:110.0mg
カプセルのサイズ:3
【0050】
好ましい特性を有する製剤及びその試験の実施例
ジェット粉砕有効成分粒子25%の粉末混合物、例えば化合物(I.1)、及び担体アジュバントとしてのラクトース(200M)を、製剤実施例1に従い調製し、カプセルへ充填し、HandiHalerを用いて試験する。5μmより少ない空気力学粒径分布(Guidance for Industry “Metered Dose Inhaler(MDI) and Dry Powder Inhaler(DPI) Drug Products; CDER, FDA, U.S. Depth of Health and Human Services; October 1998)を有する、HandiHalerから得られた粒子の画分を構成する吸入可能な画分を、Next Generation Impactor(Apparatus 5; USP-NF General Chapter<601>)を用いて測定する。有効成分の化学的同一性又はインパクターのそれぞれの沈殿段階におけるその内容を、液体クロマトグラフィーによって測定する。
吸入可能画分(4kPa):1.84mg
吸入可能画分(1kPa):1.36mg
流量依存性:0.74
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
【表5】

【0056】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】

(I)、
式中、xQがxH2O、xHCl又は(x0.5HCl/x1.5H2O)を表す、式(I)の化合物。
【請求項2】
式(I.1)の請求項1記載の化合物。
【化2】

(I.1)
【請求項3】
粉末X線図表における反射が16.58Å、5.50Å、5.30Å、4.66Å、4.62Å、4.24Å及び3.45Åのdhkl値で起こる、式(I.1)の結晶性化合物。
【請求項4】
薬剤としての使用のための、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
気道の炎症性又はアレルギー性疾患の治療のための、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
COPD及び/又は慢性気管支炎の治療のための、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜3記載の式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための方法であって、
【化3】

(I.1)、

反応工程(A)〜(E)を含む方法で、
(A)は式(1)の化合物の水素化を表し、
【化4】

(1)
式(2)の化合物を得て、
【化5】

(2)

(B)は式(2)の化合物の反応を表し、
【化6】

(2)

式(3)の中間体を経て、
【化7】

(3)

式(4)の化合物を得て、
【化8】

(4)

(C)式(4)の化合物の反応を表し、任意に前述の精製工程の後、式(5.1)又は(5.2)の化合物を得て、
【化9】


(D)は式(5.1)又は(5.2)の化合物とモルホリン-4-塩化カルボニルとの反応を表し、式(I.2)の化合物を得て、
【化10】

(I.2)
及び
(E)は式(I.2)の化合物の反応を表し、式(I.1)の化合物を得て、
【化11】

(I.1)

式中、工程(A)〜(E)は明記された順序どおりに連続して起こることを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
方法が工程(E)からなることを特徴とする、式(I.1)の化合物の立体選択的調製ための請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程(E)の後、式(I.1)の化合物の再結晶が起こる、式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
工程(D)が連続的な反応工程(F)及び(G)によって置き換えられることを特徴とする、式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための請求項7記載の方法であって、(F)は式(5.1)又は(5.2)の化合物と、ビス-[1,2,4]トリアゾール-1-イル-メタノンとの反応で、式(7)の化合物を形成する反応を表し、
【化12】

(7)
及び
(G)は、式(7)とモルホリンとの反応で、式(I.2)の化合物を形成する反応を表す、前記方法。
【請求項11】
式(I.1)の化合物の立体選択的調製のための請求項7記載の方法であって、方法が工程(G)からなることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
式(5.1)又は(5.2)の中間体。
【化13】

(5.1)



(5.2)
【請求項13】
X線粉末図表の反射が5.66Å、5.33Å、5.89Å、4.76Å、3.92Å及び3.31Åのdhkl値で起こることを特徴とする、化合物(6)の結晶性形態。
【化14】

(6)
【請求項14】
請求項1又は2記載の、式(I)の化合物を含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項1又は2記載の式(I)の化合物を含む請求項14記載の医薬組成物であって、式(I)の化合物とラクトースとの混合物であることを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項16】
さらなる有効成分として、請求項1又は2のうち1項に記載の、1以上の式(I)の化合物に加え、β模倣薬、抗コリン薬、コルチコステロイド、PDE4抑制剤、LTD4受容体拮抗薬、LTB4受容体拮抗薬、MAPキナーゼ抑制剤、ブラジキニン受容体拮抗薬、エンドセリン受容体拮抗薬、CXCR1及び/又はCXCR2受容体拮抗薬、及び鎮咳性の物質及びそれらの二重又は三重の組み合わせのカテゴリーから選択される1以上の化合物を含む、医薬の組み合わせ。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【公表番号】特表2012−526779(P2012−526779A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510319(P2012−510319)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052149
【国際公開番号】WO2011/098607
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】