説明

4層チップスケールMEMSデバイスのためのシステムおよび方法

【課題】微小電気機械システム(MEMS)装置のためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】一実施形態では、第1の基層と、第1の基層に接合される第1のデバイス層であり、第1の組のMEMSデバイスを含む、第1のデバイス層と、第1のデバイス層に接合される第1の上部層であり、第1の組のMEMSデバイスが密閉して分離される、第1の上部層とを含む第1の二重チップをシステムは備える。第2の基層と、第2の基層に接合される第2のデバイス層であり、第2の組のMEMSデバイスを含む、第2のデバイス層と、第2のデバイス層に接合される第2の上部層であり、第2の組のMEMSデバイスが密閉して分離され、第1の上部層の第1の上部表面が第2の上部層の第2の上部表面に接合される、第2の上部層とを含む第2の二重チップをシステムはさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2010年11月23日に出願された米国特許仮出願第61/416,485号の優先権の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]慣性測定ユニット(IMU)は、位置、機首方位、および姿勢のような航法情報を決定するための運動情報を取得することができる。例えば、IMUは、車両または飛行機ナビゲーションなどの高性能用途で、および航空機の姿勢および機首方位認識、パーソナルナビゲーション、またはミサイルの誘導などのより低い性能用途で使用される。IMUを組み込むいくつかの用途では、IMUの配置のための空間が制限される。典型的なIMUは3つのジャイロスコープ、3つの加速度計、ならびに支持電極および電気的相互接続を使用することによって運動情報を提供するので、所望の性能を維持しながら制限された空間をもつ用途にIMUを統合するのは挑戦的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/416,485号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0003]本発明の実施形態は4層チップスケールMEMSデバイスのためのシステムおよび方法を提供し、以下の明細書を読みかつ検討することによって理解されるであろう。
[0004]微小電気機械システム(MEMS)装置のためのシステムおよび方法が提供される。一実施形態では、第1の基層と、第1の基層に接合される第1のデバイス層であり、第1の組のMEMSデバイスを含む、第1のデバイス層と、第1のデバイス層に接合される第1の上部層であり、第1の組のMEMSデバイスが密閉して分離される、第1の上部層とを含む第1の二重チップをシステムは含む。第2の基層と、第2の基層に接合される第2のデバイス層であり、第2の組のMEMSデバイスを含む、第2のデバイス層と、第2のデバイス層に接合される第2の上部層であり、第2の組のMEMSデバイスが密閉して分離され、第1の上部層の第1の上部表面が第2の上部層の第2の上部表面に接合される、第2の上部層とを含む第2の二重チップをシステムはさらに含む。
【0005】
[0005]図面は例示的な実施形態のみを示し、したがって発明の範囲を限定するものと考えるべきでないことを理解した上で、例示的な実施形態は添付図面を使用して追加の特定性および詳細とともに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】[0006]一実施形態による4層チップスケールMEMSデバイスの斜視断面図である。
【図2A】[0007]一実施形態による4層チップスケールMEMSデバイスの製作を示す斜視図である。
【図2B】[0007]一実施形態による4層チップスケールMEMSデバイスの製作を示す斜視図である。
【図2C】[0007]一実施形態による4層チップスケールMEMSデバイスの製作を示す斜視図である。
【図3A】[0008]一実施形態による4層チップスケールMEMSデバイスの製作を示す斜視図である。
【図3B】[0008]一実施形態による4層チップスケールMEMSデバイスの製作を示す斜視図である。
【図4】[0009]図4Aは、4層MEMSデバイスの取付け構成の一実施形態を示す断面図である。[0009]図4Bは、4層MEMSデバイスの取付け構成の一実施形態を示す断面図である。[0009]図4Cは、4層MEMSデバイスの取付け構成の一実施形態を示す断面図である。[0009]図4Dは、4層MEMSデバイスの取付け構成の一実施形態を示す断面図である。
【図5】[0010]一実施形態による4層MEMSデバイスを組み立てる例示の方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0011]一般的な方法に従って、様々な記載のフィーチャは、正しい縮尺で描かれるのではなく、例示的な実施形態に関する特定のフィーチャを強調するように描かれる。
[0012]以下の詳細な説明では、本発明の一部を形成し、実例として特定の例示的実施形態を示す添付図面を参照する。しかし、他の実施形態を利用することができ、論理的、機械的、および電気的な変更を行うことができることが理解されるべきである。さらに、描かれた図および本明細書で提示される方法は、個々のステップが行われ得る順序を限定するものと解釈されるべきではない。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0008】
[0013]本開示の実施形態は、高性能を維持する小さいIMUを製作するためのシステムおよび方法を提供する。IMUの多数の構成要素およびエレクトロニクスを統合するために、微小電気機械システム(MEMS)ジャイロスコープおよび加速度計は異なる対の支持ガラスウェハの間に密封される。次に、ガラスウェハは互いの上に積層され、互いに接合される。ガラスウェハ間の配置と、それ続く互いの上への積層化により、所望のIMU性能を維持しながらIMUによって占められる体積を低減することが可能になる。
【0009】
[0014]図1は、4層チップスケールMEMSシステム100の一実施形態の切取り図である。MEMSシステム100は、多数のMEMSデバイスを囲む、互いの上に組み立てられた2つの二重チップ中に組織された4層を含む。例えば、MEMSシステム100は、第1の基層102、および第1のMEMSデバイス層110を囲む第1の上部層104を有する第1の二重チップと、第2の上部層106、および第2のMEMSデバイス層112を囲む第2の基層108を有する第2の二重チップとを含む。第1の二重チップおよび第2の二重チップを互いの上に位置づけると、MEMSデバイスを囲みながら、より小さい面積でより厚いデバイスが生成される。これにより、MEMSシステム100の屈曲が低減される。屈曲を低減すると、外部衝撃および振動によって誘起される誤差の影響を受けやすいMEMSデバイスの性能を向上することができる。屈曲をさらに低減するために、第1の基層102、第1の上部層104、第2の上部層106、および第2の基層108は、ガラスなどの硬質な材料、または他の硬質な非導電性材料から製作することができる。
【0010】
[0015]さらに、第1の基層102、第1の上部層104、第2の上部層106、および第2の基層108は、凹部140、142を含み、MEMSデバイス122および132の動作を支持するために電極および電気的相互接続を支持する。例えば、第1の基層102の内向きの表面は第1のデバイス層110のための空間を設けるために凹部140および電気的接続を有し、第2の基層108の内向きの表面は第2のデバイス層112の動作を支持するために凹部142および電気的接続を含む。同様に、第1の上部層104および第2の上部層106の両方の内向きの表面は、第1のデバイス層110および第2のデバイス層112の動作のための空間を設けるために、第1の基層102および第2の基層108の両方の電極、電気的相互接続、および凹部140、142にそっくりの凹部、電極、および電気的相互接続を含む。
【0011】
[0016]いくつかの実施形態では、MEMSデバイスは、慣性測定ユニット(IMU)内で機能する慣性センサアセンブリ(ISA)の一部である。デバイスがISAの一部である場合、MEMSシステム100は、MEMSシステム100の回転および加速度を感知するための加速度計およびジャイロスコープを含む。いくつかの実施態様では、MEMSシステム100は、3つの直交軸に沿った加速度を感知する3つの加速度計と、3つの直交軸のまわりの回転を感知する3つのジャイロスコープとを含む。したがって、第1のデバイス層110および第2のデバイス層112は、組み合わされたとき、3つの加速度計と3つのジャイロスコープとを含む。したがって、第1のデバイス層110のMEMSデバイス122は第1の組のジャイロスコープと第1の組の加速度計とを含み、第2のデバイス層112のMEMSデバイス132は第2の組のジャイロスコープと第2の組の加速度計とを含む。
【0012】
[0017]正確に機能させるために、いくつかのMEMSデバイスは特定の雰囲気タイプ中で動作するように設計される。例えば、いくつかのMEMSジャイロスコープは真空雰囲気タイプ中で動作するように設計され、一方、いくつかのMEMS加速度計はガス雰囲気タイプ中で動作するように設計される。デバイス層は、異なる雰囲気タイプ中で動作する異なるMEMSデバイスを含むことができるので、デバイスはデバイス層内で互いに密閉して分離することができる。代替の実施態様では、デバイス層は単一のタイプのセンサのみを含む。例えば、図1に示されるように、第1のデバイス層110はMEMSデバイス122を含み、ここで、MEMSデバイス122はガスの存在下で動作するように設計されており、第2のデバイス層112はMEMSデバイス132を含み、ここで、MEMSデバイス132は真空内で動作するように設計されている。凹部140および142内の雰囲気タイプを維持するために、気密封止部120および130がMEMSシステム100の外部環境雰囲気タイプから凹部140および142を密封する。気密封止部120および130は、シリコンリングの陽極接合を使用してMEMSデバイス122および132のまわりに製作される。代替として、気密封止部120および130はハンダまたは共晶封止リングを使用して形成される。
【0013】
[0018]少なくとも1つの実施形態では、MEMSシステム100は、第1のデバイス層110のMEMSデバイス122および第2のデバイス層112のMEMSデバイス132の少なくとも一部の真空環境を維持するためにゲッタ128を含む。いくつかの実施態様では、ゲッタ118は、第1の基層102、第1の上部層104、第2の上部層106、および第2の基層108のいずれかの凹部140および142に配置され、ゲッタは、MEMSシステム100のジャイロスコープと、正確に動作するために真空を必要とする他のMEMSデバイスとを含む連続真空空胴内にある。代替の実施形態では、チャネル134が第1の上部層104または第2の上部層106または両方のいずれかに配置され、その結果、チャネル134は第1および第2の組のジャイロスコープを囲む連続真空空胴を形成する。さらに、第1の上部層104または第2の上部層106のいずれかがゲッタ凹部126を含み、ゲッタ凹部126は、第1および第2の組のジャイロスコープを囲む空気空胴に露出されるゲッタ128を含む。
【0014】
[0019]いくつかの実施形態では、MEMSシステム100は、MEMSデバイス122および132の動作を支持する電気的接続に電気的に接続するために第1の基層102および第2の基層108を通って延びる多数のビア116を含む。1つの実施態様では、ビア116は、第1および第2の基層102および108に形成された導電性シリコンポストである。代替として、ビア116は、マイクロアブレーションまたはドリルにより第1および第2の基層102および108に形成されたチャネル内に堆積された金属ポストである。さらに、相互接続118は、MEMSシステム100をPCB基盤または他の取付け表面に取り付けるための外部電気的接続にビア116を接続するためにデバイスの外側に沿って形成される。相互接続は、デバイスを多方位で取り付けることができるようにデバイス100の外面のまわりでビア116に接続する。代替の実施形態では、相互接続は、第1の基層102および第2の基層108を通って延びることなしに第1および第2のMEMSデバイス122および132との電気的接続を可能にするように、第1および第2のデバイス層の外部表面に配置されたビア116に接続する。
【0015】
[0020]MEMSシステム100に関連して上述したように形成されたISAは3つの理由で小さくかつ頑強なISAをもたらす。第1に、外部環境からおよび互いにMEMSデバイス122および132を分離するのに使用される封止部120および130は互いの上に位置づけられ、したがって、ダイ上で封止部によって連帯的に占められる面積が減少する。第2に、ゲッタ128は、ゲッタを有する凹部が十分なゲッタリング能力を達成するのにより大きくなることがあり、より大きい凹部のためにMEMSシステム100がより大きくなることがある凹部140および142にではなく未使用の凹部126に堆積される。第3に、個々の層は各々、厚さに対する面積の小さい比により、積層ISAが非常に堅いチップになり、性能を劣化させる歪みおよび温度変化に敏感でなくなるので、チップ剛性を犠牲にすることなく薄くすることができる。
【0016】
[0021]図2A〜2Cは、4層チップスケールMEMSデバイスを製作するための製作プロセス200の一実施形態を示す図であり、1つのデバイス層はガス雰囲気タイプ中で密封され、別のデバイス層は真空中で密封される。図2Aは第1の二重チップ201を製作するための製作プロセス200の一実施形態を示し、第1の二重チップ201はガス雰囲気タイプ中で第1のデバイス層を密封する。第1の二重チップ201は第1の基層202および第1の上部層204を含む。第1の基層202および第1の上部層204を形成するとき、製作プロセス200は、図1の凹部142で示されたように第1の基層202および第1の上部層204に凹部を形成する。さらに、電気的接続が第1の基層202および第1の上部層204にパターン化および堆積され、電気的接続はMEMSデバイスの動作を支持する。いくつかの実施形態では、第1の基層202および第1の上部層204はガラスまたは別の硬質な非導電性材料から製作される。さらなる実施形態では、第1の基層202は、電気的接続をMEMSデバイス232からMEMSシステムの外部表面まで延ばすために電極および電気的相互接続に接続される導電性シリコンポストを有するように前もって形成される。
【0017】
[0022]いくつかの実施形態では、製作プロセス200は第1のデバイス層210を形成する。第1のデバイス層210は図1の第1のデバイス層110と同様であり、製作プロセス200は通常のMEMSプロセスを使用して第1のデバイス層210を形成する。例えば、製作プロセス200は支持シリコンウェハにエピタキシャル層を堆積させる。次に、プロセス200はエピタキシャル層の中におよびそれを通して第1のデバイス層210をパターン化し、第1のデバイス層210は封止部220およびMEMSデバイス222を含む。エピタキシャル層がパターン化されると、プロセス200は、第1のデバイス層210を含むエピタキシャル層を第1の基層202に接合する。いくつかの実施態様では、第1の基層202は第1のデバイス層210を含むエピタキシャル層に陽極接合を使用して接合される。エピタキシャル層が第1の外側層202に接合されると、プロセス200はエピタキシャル層から支持シリコンウェハを除去する。支持シリコンウェハが除去されると、第1のデバイス210のMEMSデバイスは自由に動くことができるが、第1の基層202に固定されている。
【0018】
[0023]製作プロセス200が第1のデバイス層210を第1の基層202に接合すると、プロセス200は第1の上部層204を第1のデバイス層210に接合する。1つの実施態様では、プロセス200は、ガス環境で第1の上部層204の第1のデバイス層210への接合を行う。第1の上部層204の第1のデバイス層210への接合がガス環境で行われる場合、プロセス200は第1の下部層202および第1の上部層204の両方を第1のデバイス層210の封止部220に接合する。封止部220は、MEMSデバイス222を取り囲む第1の二重チップ201内に封入されたガス雰囲気タイプを密閉して維持する。例えば、MEMSデバイス222が加速度計を含む場合、加速度計は、加速度計の運動を抑制するためにガス中で密封される。代替の実施態様では、MEMSデバイス222がジャイロスコープである場合、MEMSデバイス222は真空中で密封される。
【0019】
[0024]いくつかの実施形態では、第1の上部層204が第1の基層202に接合されると、プロセス200は第1の上部層204の上部表面にゲッタ228を形成する。第1の二重チップ201が、真空内にデバイスを密封する第2の二重チップ203に接合されるので、第1の上部層204の上部表面に位置づけられたゲッタ228は、所望のゲッタリング能力を維持しながらMEMSシステムのサイズに影響を与えることなしに第2の二重チップ203の真空を維持する。例えば、プロセス200は、第1の上部層204の上部表面内にゲッタ凹部226を形成し、ゲッタ凹部226内にゲッタ材料を堆積させてゲッタ228を形成する。いくつかの実施態様では、ゲッタ材料は薄膜ゲッタであり、チタン、亜鉛、およびジルコニウム合金などの材料を含む。ゲッタ材料は、ゲッタ228の表面と接触するガスを吸収する。例えば、ゲッタ228のゲッタ材料は、第2の二重チップ203のMEMSデバイスのまわりで見いだされる、ゲッタ材料と接触するガスを吸収する。
[0025]図2Bは、製作プロセス200によって第2の二重チップ203を製作する一実施形態を示す。第2の二重チップ203は第2の基層208および第2の上部層206を含む。第2の基層208および第2の上部層206を形成すると、凹部が、図1の凹部142で示されるように第2の基層208および第2の上部層206に形成される。さらに、プロセス200は、第2の基層208および第2の上部層206に電極および電気的相互接続をパターン化し堆積させ、電気的接続はMEMSデバイスの動作を支持する。いくつかの実施形態では、第2の基層208および第2の上部層206はガラスまたは別の硬質な非導電性材料から製作される。さらなる実施形態では、第2の基層208は、電気的接続をMEMSデバイス232からMEMSシステムの外部表面まで延ばすために電気的接続に接続される導電性シリコンポストを有するように前もって形成される。
【0020】
[0026]いくつかの実施態様では、製作プロセス200は第2のデバイス層212を形成する。第2のデバイス層212は図1の第2のデバイス層112と同様であり、第2のデバイス層212は通常のMEMSプロセスを使用して形成される。例えば、製作プロセス200は支持シリコンウェハにエピタキシャル層を堆積させる。次に、プロセス200はエピタキシャル層の中におよびそれを通して第2のデバイス層212をパターン化し、第2のデバイス層212は封止部230およびMEMSデバイス232を含む。エピタキシャル層がパターン化されると、プロセス200は、第2のデバイス層212を含むエピタキシャル層を第2の基層208に接合する。いくつかの実施態様では、プロセス200は、第2のデバイス層212を含むエピタキシャル層に第2の基層208を陽極接合を使用して接合する。エピタキシャル層が第2の基層208に接合されると、プロセス200はエピタキシャル層から支持シリコンウェハを除去する。支持シリコンウェハが除去されると、第2のデバイス212のMEMSデバイスは自由に動くことができるが、第2の基層208に固定されている。
【0021】
[0027]製作プロセス200が第2のデバイス層212を第2の基層208に接合すると、プロセス200は第2の上部層206を第2のデバイス層212に接合する。1つの実施態様では、プロセス200は第2の上部層206を第2のデバイス層212にガス環境で接合する。代替の実施態様では、プロセス200は第2の上部層206を第2のデバイス層212に真空中で接合する。第2の上部層206の第2のデバイス層212への接合が真空中で行われる場合、プロセス200は第2の下部層208および第2の上部層206の両方を第2のデバイス層212の封止部230に接合する。封止部230は、MEMSデバイス232を取り囲む第2の二重チップ203内に封入された真空を密閉して維持する。例えば、MEMSデバイス232がジャイロスコープを含む場合、ジャイロスコープは、空気が回転の感知に干渉しないように真空中で密封される。
【0022】
[0028]いくつかの実施態様では、プロセス200は、さらに、第2の上部層206を通してゲッタにアクセスすることによって真空を維持および持続する。前に説明したように、プロセス200は第1の上部層204の上部表面にゲッタを形成する。プロセス200は、第2の上部層206に形成された一連のチャネル234を通してこのゲッタにアクセスする。プロセス200が第2の上部層206を第2のデバイス層212に接合すると、図1で凹部142として示された凹部区域とチャネル234とが第2の二重チップ203内に連続真空空胴を形成する。したがって、MEMSデバイス232を含む連続真空空胴内に密封された図2Bのゲッタ228は第2の二重チップ203内の真空を持続する。
【0023】
[0029]図2Cは、第1の二重チップ201を第2の二重チップ203に連結することによって4層チップスケールMEMSデバイスを製作する一実施形態を示す。第1の二重チップ201および第2の二重チップ203が形成されると、製作プロセス200は、第1の二重チップ201を第2の二重チップ203に連結することによって4層チップスケールMEMSデバイスを形成する。一実施形態では、第2の二重チップ203は、第1の二重チップ201の第1の上部層204が第2の二重チップ203の第2の上部層206に隣接するように裏返され、第1の二重チップ201の上に積層される。例えば、第1の上部層204の上部表面がゲッタ228を含み、第2の上部層206の上部表面が一連のチャネル234を含む場合、第2の二重チップ203は、チャネル234がゲッタ228と向かい合うように第1の二重チップ201の上に配置される。
【0024】
[0030]いくつかの実施形態では、第1の二重チップ201が第2の二重チップ203に接触する領域は、空気が第1のデバイス層210または第2のデバイス層212のいずれかの中に入らないようにまたはそれから出ないように気密封止される。さらに、第1の二重チップ201は真空環境で第2の二重チップ203に接合される。例えば、第1の二重チップ201または第2の二重チップ203のいずれかが、ジャイロスコープまたは正確に動作するのに真空環境を必要とする他のMEMSデバイスを含む場合、第1のデバイス層210または第2のデバイス層212のいずれかの真空を持続するために、第1の二重チップ201と第2の二重チップ203との間にゲッタ材料を堆積することができる。気密封止部214を形成するために、プロセス200は、連結される第1および第2の二重チップ201および203の縁部のまわりにフリットまたはハンダを配置し、第1および第2の二重チップ201および203を互いの上に配置し、ハンダまたはフリットが流れて第1および第2の二重チップ201および203を互いに連結するまでハンダまたはフリットを加熱する。第1および第2の二重チップ201および203の連結の間、ハンダまたはフリットの加熱がゲッタ228も加熱および活性化し、ゲッタ228が活性化されると、ゲッタ228の上部表面を被覆していた空気がゲッタ材料中に混合され、その結果、ゲッタ228の上部表面は再生され、ゲッタ228に露出される連続空気空胴を形成するデバイス層内に存在するガス分子を吸収する準備ができる。このように、プロセス200は、第1の二重チップ201を第2の二重チップ203に連結することによってMEMSシステムを製作する。
【0025】
[0031]いくつかの実施態様では、デバイスの製作は大きいウェハで行われる。そのため、MEMSシステムを生成するためのプロセスは、一緒に連結されているMEMSデバイスの大きいバッチを生成する。個々のデバイスを製作するために、大きいウェハは個々のデバイスに単品化される。
【0026】
[0032]図3A〜3Bは、一実施形態による4層チップスケールMEMSデバイスの製作プロセス300を示す図である。図3Aは、真空中で密封された構成要素とガス中で密封された構成要素とを含む二重チップの形成を示す。例えば、第1のデバイス層310はジャイロスコープおよび加速度計の両方を含み、ジャイロスコープは真空中で密封され、加速度計は空気充満環境で密封される。異なる密封領域を生成するために、2つの異なるデバイス区画がデバイス層310に形成される。例えば、デバイス層はガス区画340および真空区画342を含む。ガス区画340では、デバイス層310はガス環境で動作するように設計されたMEMSデバイス344を含み、真空区画342では、デバイス層310は真空中で動作するように設計されたMEMSデバイス348を含む。ガス区画340を真空区画342から分離するために、デバイス層310は分離壁346を含む。分離壁346はガス区画340を真空区画342から密閉して分離する。第1の下部層302が第1のデバイス層310に陽極接合される場合、第1の下部層302は、さらに、分離壁346に陽極接合される。同様に、第1の上部層304が第1のデバイス層310に陽極接合される場合、第1の上部層304は、さらに、分離壁346に陽極接合される。
【0027】
[0033]いくつかの実施形態では、ゲッタにアクセスするために、製作プロセス300は、真空区画342の場所に対応するチャネルを第1の上部層304に生成する。ゲッタが第1の二重チップと第2の二重チップとの間に配置される場合、チャネルはゲッタが空胴内のガスを吸収できるようにする。
【0028】
[0034]図3Bは、4層MEMSシステムを形成するための2つの二重チップの連結を示す。例えば、第1の二重チップ301および第2の二重チップ303は図3Aに関連して説明したように製作される。製作プロセス300は、第1の上部層304の上部表面または第2の上部層306の上部表面または両方のいずれかにゲッタ材料を堆積させることによってゲッタ352を形成する。第1のデバイス層310および第2のデバイス層312の両方がガス区画および真空区画の両方を含んでいるとき、チャネル350および351は、第1のデバイス層310および第2のデバイス層312の両方の真空区画を含み、連続真空空胴をゲッタ352に露出する連続真空空胴を形成するように配置される。さらに、第2の二重チップ303への第1の二重チップ301の連結は、図2Cに関連して説明したような第2の二重チップ203への第1の二重チップ201の連結と同様である。
【0029】
[0035]図4A〜4Dは、一実施形態による4層MEMSデバイスの様々な取付け構成を示す図である。例えば、いくつかの実施形態では、製作プロセスがMEMSシステム400を組み立てたとき、デバイスがPCBまたは他の取付け基板に取り付けられるようにするために、相互接続がデバイスの外側に沿って形成される。一実施形態では、相互接続に接続するために、ビアがシステム400内の電気構成要素から延びる。相互接続は、システム400を多方位で取り付けることができるようにシステム400の外面のまわりでビアを接続する。いくつかの実施態様では、ビアは、ガラス層上に堆積された金属膜にビアを電気的に接続するためにガラス層に形成される導電性シリコンである。代替として、ビアは、マイクロアブレーションまたはドリルによりガラス層に形成されたチャネル内に堆積された金属ポストである。
【0030】
[0036]図4Aは基盤454上に取り付けられたMEMSシステム400を示し、MEMSシステム400は、MEMSシステム400の外側表面の電気的相互接続に結合されるバンプボンド450により基盤454に電気的に接続される。例えば、MEMSシステム400の相互接続は、MEMSシステム400の外側表面のまわりのビアから電気的接続を延ばす。いくつかの実施態様では、電気的相互接続は、基盤454の上部表面に接触するMEMSシステム400の側面に延びる。基盤454の上部表面に接続させるために、バンプボンド450は相互接続と基盤454との間の電気的接続を行う。
【0031】
[0037]図4Bは基盤454上に取り付けられたMEMSシステム400を示し、MEMSシステム400は、MEMSシステム400の側面の相互接続に結合されるワイヤボンド460により基盤454に電気的に接続される。例えば、相互接続がMEMSシステム400の側面にある場合、ワイヤボンドは、MEMSシステム400の側面に配置された相互接続に電気的に接続するために基盤454から延びる。
【0032】
[0038]図4Cは基盤454上に取り付けられたMEMSシステム400を示し、MEMSシステム400は、MEMSシステム400の上部表面の電気接触部に結合されるワイヤボンドにより基盤454に電気的に接続される。例えば、相互接続がMEMSシステム400の上部表面にある場合、ワイヤボンドは、MEMSシステム400の上部表面に配置された相互接続に電気的に接続するために基盤454から延びる。
【0033】
[0039]図4Dは基盤454上に取り付けられたMEMSシステム401を示し、MEMSシステム401は、MEMSシステム401の外側表面の側面の電気的相互接続に結合されるバンプボンド480により基盤454に電気的に接続される。例えば、MEMSシステム401の相互接続は、MEMSシステム401の外側表面のまわりのビアから電気的接続を延ばす。いくつかの実施態様では、電気的相互接続は、MEMSシステム401の層の方位に垂直に方位づけされるMEMSシステム401の側面に延びる。基盤454の上部表面に接続させるために、バンプボンド480は相互接続と基盤454との間の電気的接続を行う。
【0034】
[0040]図5は、一実施形態による4層MEMSデバイスを組み立てる例示の方法500の流れ図である。方法500は、第1の基層を形成し、第1の組のMEMSデバイスを含む第1のデバイス層を第1の基層に接合し、第1の上部層を第1のデバイス層に接合することによって第1の二重チップを形成するブロック502で始まる。いくつかの実施形態では、第1の組のMEMSデバイスは、第1の基層と第1の上部層との間に気密封止される。さらに、MEMSデバイスは、異なる雰囲気タイプ中で機能する加速度計およびジャイロスコープを含む。例えば、第1の組のMEMSデバイスが加速度計である場合、第1の基層および第1の上部層はガス雰囲気内で加速度計を気密封止する。
【0035】
[0041]方法500は、第2の基層を形成し、第2の組のMEMSデバイスを含む第2のデバイス層を第2の基層に接合し、第2の上部層を第2のデバイス層に接合することによって第2の二重チップを形成するブロック504に進む。いくつかの実施形態では、第2の組のMEMSデバイスは、第2の基層と第2の上部層との間に気密封止される。例えば、いくつかの実施態様では、第2の組のMEMSデバイスは真空内で動作するように設計されたジャイロスコープを含む。第2の基層と第2の上部層との間のMEMSデバイスの気密封止により、ジャイロスコープは真空内に密封される。
【0036】
[0042]方法500は、さらに、第1の上部層を第2の上部層に接合するブロック506に進む。例えば、完全なISAを製作するために、第1のデバイス層および第2のデバイス層は、3つの直交軸のまわりの回転を感知する3つのジャイロスコープと、3つの直交軸に沿った回転を感知する3つの加速度計とを含む。さらに、少なくとも1つの実施態様では、正確に動作するのに真空環境を必要とするMEMSデバイスのまわりの真空を維持するために、ゲッタが第1の上部層と第2の上部層との間に堆積される。
【0037】
[0043]特定の実施形態が本明細書で図示および説明されたが、同じ目的を達成するように意図されたいかなる構成も提示された特定の実施形態と置き換えることができることが当業者には理解されよう。したがって、本発明は特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明白に意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の二重チップであり、
第1の基層(102)と、
前記第1の基層(102)に接合される第1のデバイス層(110)であり、第1の組のMEMSデバイス(222)を含む、第1のデバイス層(110)と、
前記第1のデバイス層(110)に接合される第1の上部層(104)であり、前記第1の組のMEMSデバイス(222)が密閉して分離される、第1の上部層(104)と、
を含む、第1の二重チップと、
第2の二重チップであり、
第2の基層(108)と、
前記第2の基層(108)に接合される第2のデバイス層(112)であり、第2の組のMEMSデバイス(232)を含む、第2のデバイス層(112)と、
前記第2のデバイス層(112)に接合される第2の上部層(106)であり、前記第2の組のMEMSデバイス(232)が密閉して分離され、前記第1の上部層(104)の第1の上部表面が第2の上部層(106)の第2の上部表面に接合される、第2の上部層(106)と、
を含む第2の二重チップと、
を備える微小電気機械システム(MEMS)装置。
【請求項2】
前記第2の二重チップと前記第1の二重チップとの間に配置されるゲッタ(228)と、
前記第2の上部層(206)中のチャネル(234)であり、ガスが前記ゲッタ(228)と前記第2のデバイス層(212)との間で循環することができるようにする、チャネル(234)と、
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製作する方法であって、
第1の基層(102)を形成し、第1の組のMEMSデバイス(222)を含む第1のデバイス層(110)を前記第1の基層(102)に接合し、第1の上部層(104)を前記第1のデバイス層(110)に接合することによって第1の二重チップを形成するステップであり、前記第1の組のMEMSデバイス(222)が前記第1の基層(102)と前記第1の上部層(104)との間に気密封止される、ステップと、
第2の基層(108)を形成し、第2の組のMEMSデバイス(232)を含む第2のデバイス層(112)を前記第2の基層(108)に接合し、第2の上部層(106)を前記第2のデバイス層(112)に接合することによって第2の二重チップを形成するステップであり、前記第2の組のMEMSデバイス(232)が前記第2の基層(108)と前記第2の上部層(106)との間に気密封止される、ステップと、
前記第1の上部層(104)を前記第2の上部層(106)に接合するステップと、
を含む、方法。



【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−148396(P2012−148396A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−255382(P2011−255382)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】