説明

4級アンモニウムトリヒドロキシ置換ジプロピルエーテルを含むパーソナルケア組成物

トリヒドロキシおよび4級アンモニウム置換ジプロピルエーテルを含むパーソナルケア組成物が提供される。置換ジプロピルエーテルは、相対湿度が高いおよび低い環境の両方において保湿するために皮膚へ適用された場合に湿潤剤として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対湿度が高いおよび低い環境の両方において保湿するパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥肌は殆どの人間にとって様々な程度において問題である。この状態は特に冬場において明らかである。スキンクリーム/ローション、シャンプー/コンディショナー、トイレットバー/シャワーゲルおよび制汗剤/デオドラント等のパーソナルケア製品には、通常、乾燥肌に対処するために少なくとも1つの材料が処方されている。痒み、剥がれおよび見た目に不快な皮膚外観等の症状は、全て或る程度の範囲までは調節することができる。
【0003】
この問題に対して使用される物質には3つの類が存在する。ワセリンまたはシリコーン油等の密封材(occlusive)は自然な水分の喪失を抑制するのに役立つ。これらは、表皮と周囲との間に障壁を形成する。別の方法は、皮膚剥脱作用の速度を高めるための角質溶解薬の使用である。α−ヒドロキシ酸は剥脱作用を達成するための最も一般的な作用薬である。
【0004】
乾燥肌に対する第3の方法は、湿潤剤の局所的な適用である。ヒドロキシル化モノマーおよびポリマーの有機物質は、一般的にこの目的のために使用される。グリセロールとしても知られているグリセリンは最も有効な湿潤剤の1つである。
【0005】
知られている湿潤剤の性能においては幾つかの欠点が存在する。グリセリン等の最も良いものでも、良好な保湿を達成するためには相対的に多量に処方される必要がある。第2に、知られている湿潤剤は高い相対湿度環境で良く機能するが、これらの物質のどれをとっても、低い相対湿度(即ち、20℃で20%未満の湿度)では有効性を殆ど発揮しない。冬場の平均的な室内の相対湿度は、米国の北東部等の地域においては凡そ13%である。改善された保湿技術に対する現実的必要性が存在することは疑いの余地がない。
【0006】
ヒドロキシプロピルトリモニウムハニー(Hydroxypropyltrimonium Honey)のINCI名を持つHoneyquat 50として知られている保湿剤は、グリセリンよりも良い湿潤剤であることが報告されている(Arch/Brooksによる題名“Cosmetic Ingredients & Ideas(登録商標)”、2号、2001年8月の小冊子を参照)。Honeyquat 50は、蜂蜜の「軽質」脱臭等級のペンダントヒドロキシル基(二糖類上の)とクロロヒドロキシトリメチルアンモニウム誘導体との反応から誘導されるものと記載されている。この物質は優れた湿潤性を有するが、低い相対湿度での保湿は、克服されるべきものとして今なお残されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、パーソナルケア製品における用途のために、高い相対湿度だけでなく、低い相対湿度でも効き目のある湿潤剤を特定しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(i)式(I)、(II)
【0009】
【化3】

(式中、Rは同じか異なるC1−3アルキルまたはヒドロキシルアルキル基であり、Xは、化粧品として許容される有機または無機アニオンである。)およびこれらの混合物からなる群から選択される4級化トリヒドロキシジプロピルエーテルアンモニウムの約0.0000001から約10重量%、ならびに
(ii)化粧品として許容される担体、
を含むパーソナルケア組成物が提供される。
【0010】
(発明の詳細な記述)
4級アンモニウムおよび3つのヒドロキシル基で置換したジプロピルエーテルは、相対湿度が高いおよび低い環境の両方において湿潤性を与える優れた保湿剤であることが分かった。これらのモノエーテルは構造式(I)および(II):
【0011】
【化4】

(式中、Rは同じか異なるC1−3アルキルまたはヒドロキシルアルキル基であり、Xは、化粧品として許容される有機または無機アニオンである。)を有する。
【0012】
通常、4級化アンモニウム基上のC1−3アルキル成分は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはヒドロキシエチルおよびこれらの混合物である。特に好ましいのは、INCIの命名法により「トリモニウム」基として知られているトリメチルアンモニウム基である。任意のアニオンが4級アンモニウム塩において使用することができる。アニオンは、この物質が化粧品として許容されることを条件として、有機または無機アニオンであってもよい。一般的な無機アニオンは、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩およびホウ酸塩である。最も好ましいのは、ハロゲン化物、特に、塩化物である。有機アニオン性対イオンとしては、メト硫酸塩、トルオイル硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
【0013】
これらのジプロピルエーテルの量は、組成物の約0.0000001から約10重量%、好ましくは、約0.00001から約8重量%、更に好ましくは、約0.0001から約5重量%、なお更に好ましくは、約0.001から約3重量%、なお更に一層好ましくは、約0.1から約1重量%の範囲であってもよい。
【0014】
好ましいジプロピルエーテル(V)および(VI)の合成は、以下に記載の合成方法のいずれによっても達成される:
1) 水酸化ナトリウム水溶液(aq.NaOH)の存在における、2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(III)と、1−クロロ−2,3−ジヒドロキシプロパン(IV)との反応(スキームI);
2) N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)または1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)における、2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(III)の、水素化ナトリウム(NaH)での処理と、それに続く、1−クロロ−2,3−ジヒドロキシプロパン(IV)の添加(スキームII);
3) 水性塩基性媒体における、2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(III)と、4−クロロメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(VII)との反応と、それに続く酸性化(スキームIII);
4) N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−2−ピロリジノンにおける、2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン(VII)の、水素化ナトリウムでの処理と、それに続く、1,3−ジクロロ−2−プロパノール(IX)の添加およびトリメチルアミン(X)の最終添加(スキームIV)。上述の合成方法の反応スキームは以下で示される。
【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
【化7】

【0018】
【化8】

【0019】
この様に、本発明は、また、構造(V)および(VI)ならびに上で報告されている製造の方法により特定される新たな物質を提供する。その一般的形態における方法は、約3:1から約1:3、好ましくは、約1:1の範囲の相対モル比において、1−クロロ−2,3−ジヒドロキシプロパンと2,3−ジヒドロキシプロピル−1−トリ(C1−3)アンモニウム塩とを反応させる。反応は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたは炭酸ナトリウムであってもよいアルカリ物質の存在において実行される。反応は、プロトン性または非プロトン性媒体において実行することができる。好ましくは、媒体はプロトン性、特に水である。それでもなお、その他の有用な溶媒として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノンおよびこれらの任意の混合物が挙げられる。あるいはまた、反応は、全く溶媒なしのそのままで実行されてもよい。方法の温度は5℃から200℃の範囲、好ましくは、20℃から50℃の範囲であってもよい。
【0020】
有利には、本発明の組成物は、また、2,3−ジヒドロキシプロピルトリ(C1−3アルキルまたはヒドロキシアルキル)アンモニウム塩を含んでもよく、このアルキルおよび塩は、式(I)および/または(II)のRおよびXに相当する。前述の非エーテル4級アンモニウム塩の最も好ましいものは、2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである。ジプロピルエーテルおよび非エーテル4級アンモニウム塩が一緒に処方される場合、これらは、約1:1から約1:10000、好ましくは、約1:10から約1:5000、更に好ましくは、約1:100から約1:1000の範囲の重量比において存在してもよい。
【0021】
パーソナルケア組成物という用語は、外観、クレンジング、臭気抑制または美観全般を改善するために人体へ適用される任意の物質を意味する。パーソナルケア組成物の非限定的例としては、皮膚上に残るローションおよびクリーム、シャンプー、ヘアコンディショナー、シャワーゲル、トイレットバー、制汗剤、デオドラント、歯科製品、髭剃りクリーム、脱毛剤、口紅、ファンデーション、マスカラ、日射不要の日焼け剤および日焼け止めローションが挙げられる。
【0022】
本発明の組成物は、また、化粧品として許容される担体を含む。担体の量は、組成物の約1から約99.9重量%、好ましくは、約70から約95重量%、場合により、約80から約90重量%の範囲であってもよい。中でも有用な担体は、水、エモリエント、脂肪酸、脂肪族アルコール、増粘剤およびこれらの組合せである。担体は、水性、無水またはエマルションであってもよい。好ましくは、組成物は水性、特に、W/OまたはO/WまたはW/O/Wの種類の水および油エマルションである。水は、存在する場合、約5から約95重量%、好ましくは、約20から約70重量%、場合により、約35から約60重量%の範囲の量であってもよい。
【0023】
エモリエント材料は、化粧品として許容される担体として役立ち得る。これらは、シリコーン油、天然または合成エステルおよび炭化水素の形態にあってもよい。エモリエントの量は、組成物の約0.1から約95重量%、好ましくは、約1および約50重量%の間のどの範囲であってもよい。
【0024】
シリコーン油は、揮発性および非揮発性の種類に区分し得る。本明細書において使用される「揮発性」という用語は、周囲温度で測定できる蒸気圧を有する物質を意味する。揮発性シリコーン油は、3から9個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含む、環状(シクロメチコン)または線状ポリジメチルシロキサンから、好ましくは選択される。
【0025】
エモリエント材料として有用な非揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書において有用な本質的に非揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で約5×10−6から0.1m/秒の粘度を持つポリジメチルシロキサンが挙げられる。中でも、本組成物において有用な好ましい非揮発性エモリエントは、25℃で約1×10−5から約4×10−4/秒の粘度を有するポリジメチルシロキサンである。
【0026】
非揮発性シリコーンの別の類としては、乳化および非乳化シリコーンエラストマーが挙げられる。この範疇の代表は、ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーである(Dow Corning 9040、General Electric SFE 839、およびShin−Etsu KSG−18として入手できる)。Silwax WS−L(ジメチコンコポリオールラウレート)等のシリコーンワックスもまた有用となり得る。
【0027】
エステルエモリエントの中には、
a) 10から24個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のアルキルエステルであり、この例として、ネオペンタン酸ベヘニル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピルおよびステアリン酸オクチルが挙げられる;
b) エトキシ化飽和脂肪族アルコールの脂肪酸エステル等のエーテル−エステル;
c) 多価アルコールエステル、例えば、エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸エトキシ化プロピレングリコール、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪族エステル、モノステアリン酸エトキシ化グリセリル、モノステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ジステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、特に、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンおよびC−C30アルコールのネオペンチルグリコールエステル;
d) 蜜蝋、鯨蝋およびトリベヘニンワックス等のワックスエステル;ならびに
e) ポリベヘン酸スクロースおよびポリ綿実脂肪酸スクロース等の脂肪酸の糖エステル、
がある。
【0028】
天然エステルエモリエントは、基本的には、モノ、ジおよびトリ−グリセリドに基づく。一般的なグリセリドとしては、ヒマワリ種子油、綿実油、ルリジサ油、ルリジサ種子油、サクラソウ油、ひまし油および水素化ひまし油、糠油、大豆油、オリーブ油、ベニバナ油、シアバター、ホホバ油およびこれらの組合せが挙げられる。動物から得られるエモリエントは、ラノリン油およびラノリン誘導体で代表される。天然エステルの量は、組成物の約0.1から約20重量%の範囲であってもよい。
【0029】
好適な、化粧品として許容される担体である炭化水素としては、ワセリン、鉱油、C11−C13イソパラフィン、ポリブテン、および特に、イソヘキサデカン(Presperse Inc.からPermethyl 101Aとして市販されている)が挙げられる。
【0030】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸が、また、化粧品として許容される担体として好適となり得る。この範疇の例示は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヒドロキシステアリン酸およびベヘン酸である。
【0031】
10から30個の炭素原子を有する脂肪族アルコールは、化粧品として許容される担体の別の有用な範疇である。この範疇の例示は、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコールおよびセチルアルコールである。
【0032】
増粘剤は、本発明による組成物の化粧品として許容される担体の一部として利用することができる。一般的な増粘剤としては、架橋アクリレート(例えば、Carbopol 982(登録商標))、疎水的に変性されたアクリレート(例えば、Carbopol 1382(登録商標))、ポリアクリルアミド(例えば、Sepigel 305(登録商標))、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸/塩のポリマーおよびコポリマー(例えば、Aristoflex HMB(登録商標)およびAVC(登録商標))、セルロース誘導体ならびに天然ガムが挙げられる。中でも有用なセルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメトセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースである。本発明にとって適当な天然ガムとしては、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラゲナン、ペクチンおよびこれらのガムの組合せが挙げられる。無機物もまた増粘剤として利用されてもよく、特に、ベントナイトおよびヘクトライト等の粘土、ヒュームドシリカ、タルク、炭酸カルシウムおよびケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum(登録商標))等のケイ酸塩が利用されてもよい。増粘剤の量は、組成物の0.0001から10重量%、通常、0.001から1重量%、場合により、0.01から0.5重量%の範囲であってもよい。
【0033】
添加剤の湿潤剤は、本発明において使用されてもよい。これらは、一般的に、多価アルコール型の物質である。一般的な多価アルコールとしては、グリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロールおよびこれらの混合物が挙げられる。添加剤の湿潤剤の量は、組成物の0.5から50重量%、好ましくは、1および15重量%の間のどこの範囲であってもよい。
【0034】
本発明のパーソナルケア組成物はどのような形態であってもよい。これらの形態としては、ローション、クリーム、ロールオン製剤、スティック、ムース、エアロゾルおよび非エアロゾルスプレーならびに布地(例えば、不織布織物)塗布製剤が挙げられてもよい。
【0035】
界面活性剤は、また、本発明の組成物において存在してもよい。存在する場合の界面活性剤の全濃度は、組成物の約0.1から約90重量%、好ましくは、約1から約40重量%、場合により、約1から約20重量%の範囲であってもよく、パーソナルケア製品のタイプに大いに依存する。界面活性剤は、アニオン、ノニオン、カチオンおよび両性活性成分からなる群から選択されてもよい。特に好ましいノニオン界面活性剤は、疎水性物質の1モル当たりエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの2から100モルと縮合したC10−20脂肪族アルコールまたは酸疎水性物質;アルキレンオキシドの2から20モルと縮合したC2−10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタンのモノ−およびジ−C8−20脂肪酸;およびポリオキシエチレンソルビタンならびにこれらの組合せを伴うものである。アルキルポリグリコシドおよび糖脂肪族アミド(例えば、メチルグルコンアミド)ならびにトリアルキルアミンオキシドは、また、好適なノニオン界面活性剤である。
【0036】
好ましいアニオン界面活性剤としては、石鹸、アルキルエーテル硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキル硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルおよびジアルキルスルホコハク酸塩、C8−20アシルイセチオン酸塩、C8−20アルキルエーテルリン酸塩、C8−20サルコシン酸塩、C8−20アシル乳酸塩、スルホ酢酸塩およびこれらの組合せが挙げられる。
【0037】
有用な両性界面活性剤としては、ココアミドプロピルベタイン、C12−20トリアルキルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウムおよびラウロジアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0038】
日焼け止め剤も本発明の組成物において含まれてもよい。特に好ましいものは、p−メトキシ桂皮酸エチルヘキシル(Parsol MCX(登録商標)として入手できる)、アボベンゼン(Parsol 1789(登録商標)として入手できる)およびベンゾフェノン−3(オキシベンゾンとしても知られている)の様な物質である。無機日焼け止め活性成分として、微粉二酸化チタンおよび酸化亜鉛等が使用されてもよい。日焼け止め剤の量は、存在する場合、一般的に、組成物の0.1から30重量%、好ましくは、2から20重量%、最適には、4から10重量%の範囲であってもよい。
【0039】
本発明の制汗剤およびデオドラント組成物は、通常、収斂活性成分を含む。例としては、塩化アルミニウム、アルミニウムクロルヒドレックス、アルミニウムジルコニウムクロルヒドレックスグリシン、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、ジルコニウムおよびアルミニウムクロロヒドログリシネート、ジルコニウムヒドロキシクロリド、乳酸ジルコニウムおよびアルミニウム、フェノールスルホン酸亜鉛ならびにこれらの組合せが挙げられる。収斂剤の量は、組成物の約0.5から約50重量%のどこの範囲でもよい。
【0040】
本発明により処方される歯科製品は、一般的に、虫歯を防ぐためのフッ素源を含む。一般的な虫歯予防活性成分としては、フッ化ナトリウム、フッ化スズおよびモノフルオロリン酸ナトリウムが挙げられる。これらの物質の量は、組成物の約500から約8800ppmの間の範囲であるべき放出可能なフッ化物の量により決定される。歯磨剤のその他の成分としては、硝酸カリウムおよび硝酸ストロンチウム等の減感剤、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、スクラロース、およびアセスルファムカリウム等の甘味料を挙げることができる。増粘剤、隠蔽剤、研磨剤および着色剤も通常存在する。
【0041】
防腐剤は、望ましくは、潜在的に有害な微生物の成長に対する防御のために本発明のパーソナルケア組成物中へ導入することができる。特に好ましい防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、ジメチロールジメチルヒダントイン、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、デヒドロ酢酸ナトリウム、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ヨードプロピルn−ブチルカーバメートおよびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用ならびに防腐剤およびその他の成分との間に起こり得る非相溶性を考慮して選択されるべきである。防腐剤は、好ましくは、組成物の0.01重量%から2重量%の範囲の量において使用される。
【0042】
本発明の組成物はビタミンを含んでもよい。例示的ビタミンは、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB、ビタミンB(ナイアシンアミド)、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、葉酸およびビオチンである。ビタミンの誘導体が使用されてもよい。例えば、ビタミンC誘導体としては、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルリン酸マグネシウムおよびアスコルビルグリコシドが挙げられる。ビタミンEの誘導体としては、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリルが挙げられる。DL−パンテノールおよび誘導体が使用されてもよい。本発明の目的に対して、ビタミンは、存在する場合、不飽和物質とは見なされない。本発明による組成物において存在する場合のビタミンの合計量は、組成物の0.001から10重量%、好ましくは、0.01重量%から1重量%、最適には、0.1から0.5重量%の範囲であってもよい。
【0043】
有用な物質の別のタイプは、アミラーゼ、オキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼおよび組合せ等の酵素であることができる。特に好ましいのは、スーパーオキシドジスムターゼ(Brooks Company、USAからBiocell SODとして市販されている)である。
【0044】
美白化合物は、本発明の組成物において含まれてもよい。例示的物質は、胎盤抽出物、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、フェルラ酸、レゾルシノールおよび4位置換レゾルシノールを含む誘導体ならびにこれらの組合せである。これらの作用剤の量は、組成物の約0.1から約10重量%、好ましくは、約0.5から約2重量%の範囲であってもよい。
【0045】
剥脱促進剤は存在してもよい。例としては、α−ヒドロキシカルボン酸およびβ−ヒドロキシカルボン酸がある。「酸」という用語は、遊離酸のみならず、この塩およびC1−30アルキルまたはアリールエステル、ならびに環状または線状ラクトン構造を形成するために水の除去から生成されるラクトンを含むことを意味する。代表的な酸は、グリコール酸、乳酸およびリンゴ酸である。サリチル酸はβ−ヒドロキシカルボン酸の代表である。これらの物質の量は、存在する場合、組成物の約0.01から約15重量%の範囲であってもよい。種々のハーブエキスは、本発明の組成物において場合により含まれてもよい。エキスは、水溶性または水不溶性であってもよく、それぞれに親水性または疎水性である溶媒において保持される。水およびエタノールは好ましいエキス溶媒である。例示的エキスとしては、緑茶、カモミル茶、甘草、アロエ、ブドウの種、温州みかん、ヤナギ樹皮、セージ、タイムおよびローズマリーからのエキスが挙げられる。
【0046】
また、リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(Silcare 1M−75の商標名でClariant Corp.から入手できる)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびこれらの組合せ等の物質が挙げられてもよい。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3Bおよびセラミド6を含む)ならびに擬似セラミドも有用となり得る。これらの物質の量は、組成物の約0.000001から約10重量%、好ましくは、約0.0001から約1重量%の範囲であってもよい。
【0047】
着色剤、隠蔽剤および研磨剤は、また、本発明の組成物において含まれてもよい。これらの材料のそれぞれは、組成物の約0.05から約5重量%、好ましくは、0.1および3重量%の間の範囲であってもよい。
【0048】
本発明の組成物は、また、場合により、例えば、処理された拭き取り繊維の形態等において皮膚へ適用するための不溶性基材へ導入することもできる。
【0049】
広範囲のパッケージは、パーソナルケア組成物を貯蔵および送達するために使用することができる。パッケージは、多くの場合、パーソナルケア最終使用のタイプに依存する。例えば、皮膚上に残るローションおよびクリーム、シャンプー、コンディショナーおよびシャワーゲルは、一般的に、密閉部材で蓋をされる分配末端に開口部を持つプラスチック容器を使用する。一般的な密閉部材は、スクリューキャップ、非エアロゾルポンプおよび引き上げ蓋式開き蓋である。制汗剤、デオドラントおよび脱毛剤用のパッケージは、分配末端上にロールオン式ボールを持つ容器を含んでもよい。あるいはまた、パーソナルケア製品のこれらのタイプは、スティックが、分配オリフィスに向けてプラットホーム上を移動する、推進−反発メカニズムを持つ容器におけるスティック組成物製剤において供給されてもよい。推進薬で加圧された、スプレーノズルを有する金属缶は、制汗剤、髭剃りクリームおよびその他のパーソナルケア製品用のパッケージとして役立つ。トイレットバーは、セルロースまたはプラスチックラッパーで、またはカードボードボックス内に構成された、あるいは収縮ラッププラスチックフィルムで取り囲まれたパッケージを有してもよい。
【0050】
「含む」という用語は、その後に言及される任意の要素を限定するのではなく、むしろ、大きいまたは小さい機能的重要度の非特定要素を包含することを意味する。換言すれば、列挙された工程、要素または選択肢は網羅的である必要はない。「含有する」または「有する」という単語が使用される場合は常に、これらの用語は、上で定義された「含む」と同等であることを意味する。
【0051】
実施例および比較例を除いて、または別途明確に指示されていない限り、物質の量を示すこの説明における全ての数字は、「約」という単語で改変されるものと理解されるべきである。
【0052】
本明細書において引用された全ての文献は、全ての特許、特許出願、および印刷刊行物を含めて、この開示において全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、本発明の実施形態を更に完全に例示する。本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において参照される全ての部、パーセンテージおよび割合は、別途例示されていない限り重量である。
【0054】
実施例1a
この実施例は、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドおよび1−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシプロピルエチルエーテルクロリドの合成を報告する。水酸化ナトリウム水溶液(2.95ml、2.95ミリモル)における2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(500mg、2.95ミリモル)の溶液へ、1−クロロ−2,3−ジヒドロキシプロパン(247μL、2.95ミリモル)を添加した。得られた溶液を室温で、pHが<9へ減少するまで撹拌した。溶液をエーテルで洗浄し、水性層を減圧下で、50℃で蒸発させ、不均質な無色シロップを得た。ガラスウールによる濾過で、均質なシロップとして、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドおよび1−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシプロピルエチルエーテルクロリドの異性体混合物を得る。
【0055】
実施例1b
この実施例は、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドおよび1−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシプロピルエチルエーテルクロリドの合成を報告する。2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(500mg、2.95ミリモル)を、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−2−ピロリドン(3−10ml)における水素化ナトリウム(2.95ミリモル)の懸濁液へ添加し、得られた混合物を室温で、ガス発生が止むまで撹拌する。この混合物を、次いで、1−クロロ−2,3−ジヒドロキシプロパン(247μL、2.95ミリモル)へ添加し、得られた混合物を室温で、pHが<9へ減少するまで撹拌する。溶媒を減圧下で、50℃で除去し、残渣を水において溶解し、エーテルで数回洗浄する。減圧下で、50℃での水の除去、続いて、ガラスウールによる濾過で、均質なシロップとして、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドおよび1−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシプロピルエチルエーテルクロリドの異性体混合物を得る。
【0056】
実施例1c
この実施例は、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドおよび1−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシプロピルエチルエーテルクロリドの合成を報告する。水酸化ナトリウム水溶液(2.95ml、2.95ミリモル)における2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(500mg、2.95ミリモル)の溶液へ、4−クロロメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(418μl、2.95ミリモル)を添加する。得られた溶液を室温で、pHが<9へ減少するまで撹拌し、エーテルで更に洗浄する。氷酢酸(8ml)を添加し、溶液を室温で、16時間撹拌する。溶液を減圧下で、50℃で蒸発させ、不均質な無色シロップを得る。ガラスウールによる濾過で、均質なシロップとして、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドおよび1−トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシプロピルエチルエーテルクロリドの異性体混合物を得る。
【0057】
実施例1d
この実施例は、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドの合成を報告する。2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン(367μl、2.95ミリモル)を、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−2−ピロリドン(3−10ml)における水素化ナトリウム(2.95ミリモル)の懸濁液へ添加し、得られた混合物を室温で、ガス発生が止むまで撹拌する。この混合物を、次いで、1,3−クロロ−2−プロパノール(281μL、2.95ミリモル)へ添加し、得られた混合物を室温で、pHが<9へ減少するまで撹拌する。溶媒を減圧下で、50℃で除去し、残渣を水において溶解し、エーテルで数回洗浄する。減圧下で、50℃での水の除去、続いて、ガラスウールによる濾過で、均質なシロップとして、1−トリメチルアンモニウム−2,5,6−トリヒドロキシジプロピルエーテルクロリドを得る。
【0058】
実施例2
化粧品ローションの形態における本発明の代表的なパーソナルケア組成物は表Iに示される。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例3
本発明による油中水の局所液体メイクアップファンデーションは、以下の表IIにおいて表示される。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例4
本発明のジプロピルエーテル塩および非エーテル4級アンモニウム塩を導入したスキンクリームが、この実施例において例示される。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例5
本発明によるジプロピルエーテル塩を導入した別の化粧品組成物の例示は、表IVの処方である。
【0065】
【表4】

【0066】
実施例6
本発明のジプロピルエーテル塩を導入した相対的に無水の組成物は、表Vにおいて報告される。
【0067】
【表5】

【0068】
実施例7
本発明に適したジプロピルエーテル塩を有するエアロゾル充填発泡クレンザーは、表VIにおいて示される。
【0069】
【表6】

【0070】
実施例8
使い捨て単回使用のパーソナルケアぬれナプキン製品は本発明により記載される。70/30ポリエステル/レーヨン不織布ぬれナプキンを、1.8gの重量および15cm×20cmの寸法で調製する。このぬれナプキン上に、以下の表VIIにおいて示されるジプロピルエーテル塩を伴う組成物を含浸させる。
【0071】
【表7】

【0072】
実施例9
本発明のトイレットバー例示は、表VIIIに示される。
【0073】
【表8】

【0074】
実施例10
本発明に関して有用なシャンプー組成物は、以下の表IXにおいて表示される。
【0075】
【表9】

【0076】
実施例11
この実施例は、本発明による保湿活性成分を導入する制汗剤/デオドラント組成を例示する。
【0077】
【表10】

【0078】
実施例12
本発明による歯磨き粉は、表XIに列挙される成分で組成することができる。
【0079】
【表11】

【0080】
実施例13
保湿水中油ローションは、表XIIに列挙される成分で組成することができる。
【0081】
【表12】

【0082】
実施例14
表XIIIに列挙される成分で処方されたシリコーンの中水保湿クリーム/ローションがこの実施例において例示される。
【0083】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(I)、(II)
【化1】

(式中、Rは同じか異なるC1−3アルキルまたはヒドロキシルアルキル基であり、Xは、化粧品として許容される有機または無機アニオンである。)およびこれらの混合物からなる群から選択される4級化トリヒドロキシジプロピルエーテルアンモニウムの0.0000001から10重量%、ならびに
(ii)化粧品として許容される担体、
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項2】
Rがメチル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が塩化物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
2,3−ジヒドロキシプロピルトリ(C−C)4級アンモニウム塩を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
4級化トリヒドロキシジプロピルエーテルアンモニウム対2,3−ジヒドロキシプロピルトリ(C−C)4級アンモニウム塩の比が、重量で1:1から約1:10,000の範囲である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
比が、重量で約1:10から約1:5000の範囲である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
比が、約1:100から約1:1000の範囲である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
2,3−ジヒドロキシプロピルトリ(C−C)4級アンモニウム塩が、2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
式(I)または(II)
【化2】

(式中、Rは同じか異なるC1−3アルキルまたはヒドロキシルアルキル基であり、Xは、化粧品として許容される有機または無機アニオンである。)を有する化合物。
【請求項10】
Rがメチルであり、およびXが塩化物である、請求項9に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−529012(P2009−529012A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557612(P2008−557612)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001297
【国際公開番号】WO2007/101527
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】