説明

6−1H−イミダゾ−キナゾリンおよびキノリン誘導体、新規有効鎮痛剤および抗炎症剤

本発明は、式Iの新規6-1H-イミダゾ-2-アリールおよび2-ヘテロアリールキナゾリンおよびキノリン、その対応する塩および溶媒和物、その製造方法、ならびに疼痛および炎症性関連障害の治療のためのその化合物および対応する医薬組成物の使用を目的とする。本発明化合物は、打撃抗炎症特性に加えて炎症性および神経因性疼痛の両方の薬理学的処置に非常に有効であることが判っている。それらのCOX-2および炎症性サイトカイン発現および生成を阻害する有効性により、いくつかの炎症性疾患に加えてがんの治療にも興味深い化合物としても強調される。
式I:


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規6-1H-イミダゾ-2-アリールおよび2-ヘテロアリールキナゾリンおよびキノリン、それらの製造方法、それらの医薬組成物ならびに疼痛および炎症関連性障害の治療のための該化合物および医薬組成物の使用を目的とする。
【背景技術】
【0002】
アラキドン酸のプロスタグランジンおよび他のエイコサノイドへの変換は、二のよく知られているシクロオキシゲナーゼ(COX)アイソフォームCOX-1およびCOX-2により制御される。COX-2は炎症およびがんなどの多くの病理学的病態にて上方調整することができる誘導アイソザイムである。非ステロイド系抗炎症性薬物(NSAID)によるCOX活性の遮断は、炎症関連性疾患および疼痛の治療のための臨床的戦略に広く採用される。古典的なNSAIDの慢性的使用に伴う主な副作用は胃腸の重篤な副作用および腎毒性である。選択的なCOX-2阻害剤は近年、古典的なNSAIDの大部分の胃腸毒性を欠如させることにより、所望でない致命的な心血管性副作用を強調している。NSAIDの代替はコルチコステロイドの使用であるが、この場合も慢性的な使用は重篤な副作用をもたらしうる。
【0003】
遺伝子転写を目的とするアプローチが補完するか、または酵素阻害よりうまくいきさえすることがあるので、特異的にCOX遺伝子発現を遮断する戦略の探査が最近10年間の著しい科学的努力の目的であった(R.G. Ramsay, Int. J. Immunopathol. Pharmacol., 2003, 16 (2S), 59-67)。近年、いくつかのNSAID(セレコキシブなど)がその作用の一部をCOX-2転写制御に直接発揮したことが報告され、何故そのような物質が酵素阻害データが提供するよりもこのアイソフォームにより大きな効果を示すかが説明された(K.S. Chun, Biochem. Pharmacol. 2004, 68, 1089)。COX-2の上方調整は、サイトカイン、発癌プロモーター、癌遺伝子および成長因子などの種々の刺激により媒介される。COX-2発現を誘発し調整することができる細胞内シグナリング経路は複雑であり、細胞系のために依存はまだあまり理解されていない。しかし、成長の証拠は、IL-1βおよびCOX-2が炎症性疾患および腫瘍成長の発病における重要な役割を担うことを示唆する。多くの組織の中で、IL-1β誘発COX-2過剰発現はプロテインキナーゼC(PKC)、またはマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)活性を増強するRasシグナル伝達系のいずれかの刺激により媒介され、次いで他のサイトカインとともにCOX-2の転写を活性化する。いくつかの組織において、三つのMAPキナーゼ(p38, JNKおよびERK 1/2)がCOX-2発現および翻訳の制御に関与することが近年示されている。例えば、これは、IL-1βにより刺激されたヒト軟骨細胞(N. Nieminen Mediators of inflammation, 2005, 5, 249-255)またはIL-1βにより刺激されたヒト結腸直腸がん細胞(W. Liu, Cancer Research, 2003, 63, 3632; Cellular Signalling, 2006, 18, 1262)および腎メサンギウム細胞(J. Biol. Chem. 1998, 273, 28670)について報告された。
【0004】
関節リウマチ(RA)は、軟骨退化および骨侵食をもたらす関節滑膜炎により特徴付けられる全身性炎症性疾患である。リウマチ滑膜は、次いでPGE2の大規模な生産を生じさせ、血管拡張、管外遊出および疼痛に関与する、COX-2の過剰発現を示す。COX-2発現に影響を及ぼす種々のメディエータの中で、IL-1βは主なトリガー物質であるようだ(Arthritis Research, 2005, 57)。
【0005】
変形性関節症(OA)は関節炎の最も一般的な形態であり、高齢者の重篤な障害の原因となることが多いことが広く認識されている。単核細胞浸潤、新生血管の増殖、炎症性サイトカインおよび関節損傷の他のメディエータの産生により特徴付けられる滑膜炎は、早期および末期OAの患者からの滑膜組織に強調されており(Ann Rheum. Dis., 2005, 64, 1263-67)、OAの病態生理学における滑膜炎の重要性がますます認識されている(Haywood, Arthritis Rheum., 2003, 48, 2173; Shibakawa, Osteoarthritis Cartilage, 2003, 11, 133)。サイトカインCOX-2接着分子および血管新生因子の発現の増大は、慢性滑膜炎の特徴である。ヒト変形性関節症外植片において、どのようにしてCOX-2により生産されたPGE2が軟骨プロテオグリカン分解を調節し、従ってこの炎症性メディエータに炎症過程を伝導する役割だけでなく組織変性における直接的関与を強調するのかが示されている(Arthritis Rheum., 2002, 46, 1789)。OA滑膜細胞において、どのようにしてCOX-2発現のためのIL-1β誘発の機序が軟骨細胞についての上記と同じシグナリング経路に従うのかということも示されている(Arthritis&Rheum., 2004, 50, 2829)。
【0006】
COX-2発現の上昇レベルは、炎症性大腸炎(IBD)、クローン病および潰瘍性大腸炎を患う患者において、高レベルのIL-1βとともに検出されており、炎症/自己免疫反応が腸バクテリアにより産生される抗原への過剰な反応により引き起こされる。
【0007】
COX-2の発現は、ヒト結腸直腸腺癌、および乳がん、子宮頸がん、前立腺がんおよび肺がんなどの他の腫瘍にて上昇することが報告されている。COX-2および/またはその発現の両方の遺伝子ノックアウトまたは薬理学的阻害は、実験的に誘発される発癌を保護することが証明されている。従って、酵素および/またはその発現を遮断することによる異常にまたは不適切に上昇したレベルのCOX-2の阻害はまた、がん化学予防の最も効果的かつ期待できる戦略の一つをも提供する。
【0008】
炎症性疾患におけるサイトカインの遮断は、近年の医薬の最大の進歩をもたらしている。腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン-1(IL-1)およびインターロイキン-6(IL-6)は、まとめて炎症性サイトカインと称される重要な生物学的存在であり、これは例えば毒素性ショック症候群、RA、OA、糖尿病およびIBDなどのいくつかの疾患の一因となる。これらの疾患にて、炎症の慢性的上昇は、ひどい病態生理学的観察を悪化させるかまたは引き起こす。炎症性サイトカインは、炎症性および破壊性軟骨変性ならびに関節炎における骨侵食の生成にて決定的な役割を果たす(B.Moller, Springer Semin. Immunopathol., 2006, 391)。得られた構造的損傷により、骨侵食は関節炎患者の障害の主な理由である。関節炎における骨侵食は滑液破骨細胞形成の結果である(BF. Boyce, Curr. Opinion Rheumatol, 2006, 18, 427)。炎症を起こした滑膜にて産生する炎症性サイトカインは骨髄にて破骨細胞前駆体の放出を誘発し、これは炎症を起こした関節に達し、サイトカイン刺激に反応して骨吸収破骨細胞に分化する。従って、関節炎における炎症性サイトカインは関節ならびに骨損傷内の炎症状態の進行および拡散の両方に関与する。IL-1βのアンタゴニストは、関節炎の種々の実験モデルにおける軟骨基質成分の分解を減少するということが示されている。インターロイキン-6(IL-6)は活性化単球およびマクロファージにて広く発現する炎症性サイトカインであり、特に急性期反応に関わり、病態の維持に重大に関与する多くの慢性炎症性疾患の基本的役割を果たす(J. Scheller, Scand. J. Immunol., 2006, 63, 321)。IL-6の過剰発現は、IBD、関節炎(RAおよびOA)、喘息、結腸がん、多発性骨髄腫、更年期後骨粗鬆症の病理学に関わっている。
【0009】
多くの抗サイトカイン療法が現在臨床試験中であり、いくつかのTNFに対するモノクローナル抗体および組換え可溶性TNFレセプター(Etanercept, Enbrel)ならびに組換え可溶性IL-1レセプター(Anakinra, Kineret)が市場に届き、RA、IBDおよびクローン病などの疾患の治療に顕著な活性を示す。しかし、循環サイトカインの拮抗作用に基づくこれらの生物学的高分子量生成物は高価で、非経口投与経路に限定され、それらの生物学的性質に起因すると考えられる免疫原性副作用を生じさせうる。
【0010】
生物学的生成物の免疫原性副作用を有さず、より安価で、より簡単な投与経路にてサイトカイン循環を遮断することにより効率的であることができるため、小分子によりサイトカイン生成を遮断することを目的とする戦略は、なお治療的興味が大きい。さらに、COX-2生成および炎症性サイトカイン生成の刺激遮断は、炎症性疾患における病理学の引き金および維持に関連することが分かっている自己伝導ループを遮断すべきである。
【0011】
上記のように、炎症はCOX-2の誘発をもたらし、プロスタノイドの放出を引き起こし、末梢侵害受容器末端を敏感にし、局所的疼痛過敏性を生じるが、末梢炎症はまた、脊髄およびCNSニューロンにおけるCOX-2発現の直接的で広範な誘発により中枢性感作も生成し、これは神経細胞の興奮性および疼痛過敏性の増大をもたらす(J. Neurochem., 2003, 86, 318)。
【0012】
関節炎(OAおよびRA)は関節の炎症として定義されるが、治療中に患者が示す最初の特徴は慢性疼痛であり;関節炎が慢性疼痛を生じさせうる唯一の病理学でないにもかかわらず、これはこの種の疼痛のむしろ一般的およびかなり典型である。慢性疼痛は炎症性疼痛、末梢組織損傷/炎症および神経因性疼痛により関連する疼痛の種類に分けることができる。神経因性疼痛は臨床的に一群の慢性疼痛症候群を意味する。これらの症候群は、それらが初期神経損傷により引き起こされる一般的な特徴を共有し、結果として中枢および末梢神経系における異常な感覚処理をもたらす。神経因性疼痛病態は、多くの疾患、例えば糖尿病、がん、切断、多発性硬化症の結果である。
【0013】
末梢感作および中枢感作は、疼痛の生成の基礎となる二の主な機序である。組織損傷が起こった場合、神経および免疫系の両方の機序は炎症細胞および神経末端から炎症性プロスタグランジン(PGE2)、5-HT、ブラジキニン、ヒスタミン、ATP、サイトカインなどの感作物質の放出を引き起こす。これらのメディエータは、細胞内キナーゼの活性化を伴い、末梢感作をもたらす末梢侵害受容ニューロンの励起により特異的なイオンチャネルの活性化を引き起こす。末梢侵害受容器の活性化はまた、CNS内の依存性神経可塑性にも反映する。この可塑性は、続く末梢刺激への応答を増強し持続させることにより侵害受容経路の能力を改変する。脊髄ならびに脳におけるこれらの変化は中枢感作と称される。中枢感作は、疼痛感受性の上昇を維持するのに主要な役割を果たし、正常に無害かつ低閾値の求心性インプットにより傷害後に生成する疼痛に関与する。疼痛誘発および制御についての非常に複雑な機序により、なぜ疼痛病態の治療にて未だ満足な薬理学的解決策が見出されていないかを説明することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
疼痛の臨床管理のために有効な物質を特定するために、いくつかの代替の薬理学的アプローチがこの10年間行われており、例えばCOX-2阻害剤は炎症性疼痛の治療における良好な有効性を示すが、神経因性疼痛の治療における有効性に欠けており、さらにCOX-2阻害剤についての上記の所望でない致命的な副作用により、慢性疼痛の臨床管理用のこれらの薬物を使用しないことが示唆される。神経因性疼痛の治療のための入手可能な鎮痛薬、例えばいくつかの三環式抗うつ剤(例えばアミトリプチリン)およびいくつかの抗てんかん薬(例えばガバペンチン、ラモトリジンおよびカルバマゼピン)は、多少の患者には有効であるが、未だ神経因性疼痛治療のための有効な薬物の大きなニーズがある。
【0015】
サイトカインおよびPGE2発現の制御に作用する薬剤は、末梢および中枢感作の上記機序を中和することができ、従って効率的および強力な鎮痛薬として作用しうる(M. Schafer, Immune Mechanisms of Pain and Analgesia, pg. 41-50 Plenum Publishers, 2003)。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の記載
本発明は、関節炎、典型的には関節リウマチおよび変形性関節症などの炎症性疾患、喘息および気道の炎症性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、全身性エリテマトーデス、湿疹、乾癬および皮膚炎などの肌疾患、炎症性大腸炎(IBD)などの胃腸の重篤な炎症性病態、潰瘍性大腸炎、クローン病(CD)、術後炎症性合併症、および結腸がん、多発性骨髄腫、乳がん、子宮頸がん、前立腺がんおよび肺がんを含むが、これらに限定されないがんの薬理学的治療に有用な新規分類の化合物式(I)の2-アリールおよびヘテロアリールキナゾリンおよびキノリンの6-1H-イミダゾール誘導体を含む。さらに本発明化合物は、炎症性疼痛または神経因性疼痛の疼痛から独立して強力な鎮痛薬として作用する。従って、本発明化合物は、術後疼痛、筋肉痛、種々の形態の外傷に起因する疼痛ならびに慢性疼痛、神経因性疼痛、がん疼痛、関節炎により引き起こされる疼痛、および内臓痛を含むが、これらに限定されない急性および慢性の両方の疼痛の治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
式(I):
【化1】

[式中、
Xは独立して炭素または窒素原子から選択され;
Wは独立してアリール基または式II:
【化2】

で示されるヘテロアリール基から選択され;
Wがアリール基である場合、それは非置換フェニル、または独立してハロゲン(-F、-Cl、-Br)、トリフルオロメチル(-CF3)、アルキル(-R2)、ヒドロキシル(-OH)、アルコキシ(-OR3)、トリフルオロメトキシ(-OCF3)、シアノ(-CN)、カルボキサミド(-CONHR3または-NHCOR3または-CONR2R3または-NHCOR3)、カルボニル(-CO-R3)、アルキルチオ(-SR3)、スルフィニル(-SOR3)およびスルホニル(-SO2R3)から選択される1以上の置換基で置換されているフェニルであり;
Wが式IIのヘテロアリール基である場合、それはベンゾ縮合-5または-6員のヘテロ環であり、ここに:
ZおよびYは独立して酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)または基:-SO2-、-CHR3-、-CR3=、-NH-、-N=から選択され;
Qは独立して基:-CHR3-、-CH=、-CR3=、-CHR3-CH2-から選択され;
【0018】
但し、Y、Z、Q基の組合せにより1,3-ベンゾジオキソール、1,3-ベンゾジチオール、ベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン S,S-ジオキシド、インドール、2,3-ジヒドロインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、2H-3,4-ジヒドロベンゾピラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン S,S-ジオキシド、[1,4]-ベンゾジオキシン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾジオキシン(1,4-ベンゾジオキサン)、1,4-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン S,S-ジオキシド、[1,4]-ベンゾキサジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾキサジンが生じ;
R1は独立して水素(-H)またはC1-C4アルキルまたはヒドロキシメチル(-CH2OH)、アミノメチル(-CH2NH2)、ジメチルアミノメチル(-CH2NMe2)、トリフルオロメチル(-CF3)から選択され;C1-C4アルキル基は直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖であり;但し、式Iの化合物において、二以下のR1基が同時にC1-C4アルキルまたはトリフルオロメチル(-CF3)であり、一のR1基のみがヒドロキシメチル(-CH2OH)、アミノメチル(-CH2NH2)またはジメチルアミノメチル(-CH2NMe2)であり;
R2は独立してC1-C6アルキルまたはアリールから選択され;本明細書においてC1-C6アルキルは適宜アリールで置換されていてもよい直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1-C6炭化水素鎖であり、本明細書においてアリールは上記に定義されているとおりであり;
R3は独立して水素、C1-C6アルキルおよびアリールから選択され;本明細書においてC1-C6アルキルは適宜アリールで置換されていてもよい直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1-C6炭化水素鎖であり、本明細書においてアリールは上記に定義されているとおりである]
で示される化合物。
【0019】
本発明によれば、式(I)の化合物は、遊離塩基もしくはその医薬的に許容される塩またはそのような塩の溶媒和物もしくは水和物形態として用いることができる。
【0020】
式(I)の化合物の塩は、無機酸および有機酸との医薬的に許容される付加塩である。無機塩の代表的かつ非限定的な例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸水素塩および硫酸塩が挙げられる。有機塩の代表的かつ非限定的な例としては、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩が挙げられる。
【0021】
別の具体的態様にて、本発明は式(I)の化合物の製造のための方法を提供する。
【0022】
さらなる具体的態様にて、本発明は上記疼痛および炎症性障害の治療に有用な式(I)の化合物のための医薬組成物を提供する。本発明の範囲内にて、用語医薬組成物(製剤)は、経口、非経口または局所投与のための有効量の少なくとも一つの有効医薬成分(製剤原料)、式(I)の化合物、その塩またはその溶媒和物および以下に定義されるような医薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む上記病変の治療に適切ないずれかの経口、非経口または局所剤形を意味する。
【0023】
式(I)の化合物の代表的かつ非限定的な例を、第1表に記載する。
【0024】
第1表
【表1】







【0025】
本発明化合物の製造
式(I)の化合物は、反応式1に記載のように、式IIIの化合物を式(IV)のイミダゾール誘導体と反応させることにより製造することができる(ここに、X、WおよびR1は式(I)の化合物について上記したものと同義であり、Halはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素、典型的に臭素およびヨウ素などのハロゲン原子である)。
【0026】
反応式1:
【化3】

【0027】
式IIIの化合物の反応は、式IVのイミダゾール誘導体を遊離塩基またはそのアルカリ金属塩(ナトリウム、リチウムまたはカリウム塩)として用い、適切な触媒の存在下、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエンまたはキシレンなどの溶媒中、50℃〜200℃の温度にて行うことができる。
【0028】
式IVのイミダゾール誘導体と式IIIのハロゲン化アリールとの反応は、例えば銅触媒(CuI)の存在下、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムを塩基として用い、DMF中100℃にて他の基質と同様に行うことができる(J. Med. Chem., 2002, 45, 1697-1711)。あるいは、Cu/CuO混合物を触媒としてDMSO-トルエン混合物中にて用いることができる(Chem. Comm., 2004, 7, 778-779)。式IVのイミダゾール誘導体(ここに、2位のR1はアルキルである)と式IIIのハロゲン化アリールとの反応は、炭酸トリエチルアンモニウムを塩基として、CuIを触媒として、8-ヒドロキシキノリンを配位子として、DMF-水混合物を溶媒として用い、他の基質と同様に行うことができる(J. Org. Chem., 2005, 70, 10135)。式Iの化合物(ここに、4位のR1はアルキルまたはヒドロキシメチルである)は、CuIを触媒として、Cs2CO3を塩基として、DMFを溶媒として式IVの化合物(ここに、5位のR1はアルキルまたはヒドロキシメチルである)を式IVのハロゲン化物と他の基質と同様に反応させることにより容易に得ることができる(J.Org. Chem. 2004, 69, 5578; Bioorg. Med. Chem Lett., 2003, 13, 3521)。式Iの化合物(ここに、4位のR1はアミノメチルまたはジメチルアミノメチルである)は、他の基質と同様の手順を用いて容易に得ることができる(J. Med. Chem., 1987, 12, 2163-9; Synthesis, 1983, 1, 47-9)。
【0029】
式IVのイミダゾール誘導体と式IIIのハロゲン化アリールとの反応は、銅触媒および式IVの誘導体のナトリウム塩を用い、文献と同様に行うこともできる(Bioorg. Med. Chem., 2004, 12, 2251)。式IVの化合物をナトリウム塩としてハロゲン化アリールと触媒量のCuOの存在下、DMF中150℃にて反応させる。あるいは、臭化またはヨウ化銅(10% mol)およびNMP中の炭酸カリウムの存在下、マイクロウェーブ照射下にて二価のイミダゾール(遊離塩基として)で処理することにより、臭化アリールを対応するN-イミダゾリル誘導体に変換することができる(Terahedron Lett., 2003, 4217-4218)。Buchwaldらは、イミダゾールのN-アリール化が激しすぎる条件を回避してCu(OTf)2.ベンゼン錯体を銅源として、炭酸セシウムを塩基として、1,10-フェナントロリンの存在下、dba(ジベンジリデンアセトン)を添加剤として用い、キシレン中110〜125℃にて高収率で達成できることを示した(Tetrahedron Lett., 1999, 40, 2657);この手法は、式IIIの化合物を式Iの化合物に変換するためにうまく適用することができる。式IVのイミダゾール誘導体の式IIIのハロゲン化アリールへの触媒的付加もまた、パラジウムを触媒としてそれのみでまたは銅との組合せで用いて行うこともできる。臭化アリールへのイミダゾール付加についてのBuchwald-Hartwigの手法(DMFを溶媒として、Binap [2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル]またはDppf [1,3-ビス(ジフェニルホスフィノプロパン]パラジウム可溶性触媒の両方を用い、カリウムtert-ブチレートを塩基としてマイクロウェーブ加熱下にて行う; Y. Wan, Synthesis 2002, 11, 1597-1600)は、式IIIのハロゲン化物から出発する式Iの化合物の製造にうまく拡張することができる。式Iの化合物(ここに、少なくとも一つのR1置換基はトリフルオロメチル基である)は同様の手順を用いてN-アリール化により製造することができる(J. Med. Chem., 1989, 32, 575)。
【0030】
あるいは、式Iの化合物は、反応式2に記載のように、ホルムアルデヒドまたは式R1CHOのアルデヒドおよび塩化アンモニウムの存在下、グリオキサールまたは式VIのジカルボニル誘導体との反応により式Vの化合物から製造することができる。
【0031】
反応式2:
【化4】

【0032】
ここに、X、WおよびR1は式(I)の化合物について記載のものと同義である。
【0033】
反応は通常、メタノールまたはエタノール中、リン酸などの適切な酸触媒の存在下行う。式Iの化合物(ここに、R1はすべて水素原子である)は、式Vの化合物をメタノール中、典型的には室温にてグリオキサールで処理した後、NH4Clおよびホルムアルデヒドを加え、還流温度に加熱し、最後にリン酸を加えることにより十分な収率にて得ることができる。置換イミダゾールを有する式Iの化合物は、同じ手順であるが、式VIのジカルボニル化合物(ここに、少なくとも一つのR1は水素ではない)を用いて他の基質と同様に製造することができる(Synthesis, 2003, 2661-2666)。適宜、式R1CHOのアルデヒドをホルムアルデヒドの代わりに用いることができる。
【0034】
あるいは、反応式3に示されるように、式Iの化合物(ここに、2および5位のR1は水素である)は、チオホスゲンとの反応、次いで式(VII)のアミンを添加および環化し、次いで得られたイミダゾール-2-チオンを脱硫して対応する式Iの化合物とすることにより式Vの化合物から製造することができる。
【0035】
反応式3:
【化5】

【0036】
ここに、X、WおよびR1は式(I)の化合物について記載のものと同義である。反応は、チオホスゲンを式Vの化合物の塩酸水溶液に加えるチオシアネートの形成を含む。得られたイソチオシアネートをアルコールを溶媒として還流温度にて有機塩基の存在下、アミノアセトアルデヒドジアルキルアセタール(通常ジメチルまたはジエチルアセタール)と反応させる。得られたキノリンまたはキナゾリンイミダゾール-2-チオン誘導体を20%硝酸で処理し、約100℃にて加熱し、式Iの化合物を得る。Bioorg.&Med. Chem., 2004, 13, 363-386に従い、希硝酸および亜硝酸ナトリウムを0℃を超えない温度にて用いる穏やかな手順を敏感な化合物について用いることができる。さらに酸に敏感な2-チオイミダゾリル置換キノリンまたはキナゾリン誘導体は、エタノールまたはメタノールなどのアルコール性溶媒中ラネーニッケルを用いて(Archiv. Der Pharmazie, 2002, 335, 69-76)または酢酸中H2O2を用いて(J. Het. Chem., 2003, 40, 229)または遷移金属触媒の存在下H2O2を用いて(Org. Process Res.&Dev., 2002, 674)式Iの化合物に脱硫することができる。式Iのいくつかの化合物の製造に適用可能な2-チオイミダゾリル置換キノリンまたはキナゾリン誘導体の製造におけるいくつかの改変は、他の基質と同様に行うことができる(Synthetic Commun. 1997, 27, 3565; Synthesis, 1987, 12, 1136; Synthesis 1978, 10, 741)。
【0037】
あるいは、式Iの化合物(ここに、Xは炭素原子である)は、式VIIIの化合物から式IXまたはIXaのボロン酸塩との反応により製造することができる(反応式4)。
【0038】
反応式4:
【化6】

【0039】
式VIIIの化合物は、反応式5により式VIIIaのカルボスチリル誘導体から製造することができる。式VIIIaのカルボスチリル誘導体は、6-ブロモ-カルボスチリルから既知の方法により製造する(Walker et al., US 4792561, Dec.20, 1988)。VIIIaからVIIIへの変換の適当な反応条件を記載する(Biochemistry, 2005, 44, 9637; Bioorg. Med. Chem Lett., 2002, 12, 1361; Gazzetta Chimica It., 1989, 119, 163)。式IXおよびIXaの化合物は市販の化合物であるか、または標準的手順により市販の化合物から製造することができる。
【0040】
反応式5:
【化7】

【0041】
式IIIの化合物(ここに、ハロゲン原子は臭素である)は、既知の方法により(J. of Labelled Compounds, 1991, 29, 415)反応式6(ここに、XおよびWは式(I)の化合物について記載のものと同義である)に記載のように、HBrおよびCuBrの存在下のジアゾ化により式Vの化合物から得ることができる。ヨウ化アリールは、KIの存在下、式Vの化合物とNaNO2およびHClとの反応により得ることができる(J. Med. Chem., 2001, 15, 2391)。塩化アリールはCuClの存在下のジアゾ化により得ることができる(J. Het. Chem. 1991, 28, 1981)。式VIIIaの化合物は、反応式1に記載のものと同様に6-ブロモカルボスチリルから得ることができる(J. Med. Chem., 1989, 32, 1173)。
【0042】
反応式6:
【化8】

【0043】
あるいは、式Iの化合物においてXが窒素である場合、式IIIの化合物は、式XまたはXaのアシルクロリドを式XIのベンジルアミン誘導体と反応させた後、反応式7に記載のように環化および芳香族化させることにより得ることができる。
【0044】
反応式7:
【化9】

ここに、R3、Y、ZおよびQは式(I)の化合物について記載のものと同義である。式XIの化合物は既知の方法により製造する。
【0045】
式(I)の化合物の製造のための非限定的な代表例を以下に示す。
【実施例】
【0046】
実施例1: [2-フェニル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリン
【化10】

イミダゾール(1.53 g, 2.24 mmol)のDMF 3 ml溶液に、N2雰囲気下、NaH(オイル中60%ディスパージョン, 0.85 g, 2.2 mmol)を少しずつ加え、混合物を10分間室温にて各班した。次いで6-ブロモ-2-フェニル-キナゾリン(2.0 g, 0.7 mmol)およびCuO(0.19 g, 0.24 mmol)を加え、混合物を150℃にて6時間加熱し、冷却し、水に注いだ。析出物を濾過し、水で洗浄し、熱AcOEt/THF 1/1に溶解した。不溶物をろ別し、ろ液を濃縮した。得られた固体をジイソプロピルエーテルでトリチュレーションし、真空乾燥した(1.08 g, 57%収率)。
C17H12N4; MW: 272.31; mp 153.8-158.7℃; 1H NMR (DMSO-d6) 9.72 (s, 1H), 8.39-8.63 (m, 5H), 8.23 (d, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.58-7.62 (m, 3H), 7.23 (s, 1H); IR (KBr) 1556, 1506, 1379; TLC (CHCl3:MeOH 9:1) Rf = 0.50
【0047】
6-ブロモ-2-フェニル-キナゾリン
【化11】

5-ブロモ-2-アミノ-ベンジルアミン二塩酸塩(38 g, 0.138 mol)のジクロロメタン(DCM)1 l懸濁液に、0℃にてトリエチルアミン(TEA, 67.5 ml, 0.485 mol)および塩化ベンゾイル(17 ml, 0.145 mol)のDCM 200 ml溶液を加えた。混合物を1時間室温にて撹拌した。水を加え、有機相を分離し、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶媒を真空下(i.v.)留去し、残渣をPOCl3 200 mlに懸濁した。混合物を還流温度にて1時間加熱した後、溶媒を真空下留去し、残渣をAcOEtおよび0.1 N NaOHで分液した。有機層を0.1 N NaOHおよび水で洗浄した後、Na2SO4で乾燥し、真空濃縮し、固体を得た。得られた固体およびクロラニル(35 g, 0.138 mol)のトルエン600 ml中の混合物を4時間還流加熱した。混合物を真空濃縮し、残渣をDCMで処理した。不溶物をろ別し、DCMで洗浄した。集めたろ液を0.1 N NaOH、次いで水で洗浄した。溶液をNa2SO4で乾燥し、真空濃縮した。得られた固体をメタノールでトリチュレーションし、真空乾燥した(22 g, 56%収率)。
C14H9BrN2; MW: 285.15; 1H NMR (DMSO-d6) 9.70 (s, 1H), 8.49-8.56 (m, 3H), 8.17 (dd, 1H), 8.02 (d, 1H), 7.58-7.61 (m, 3H); TLC (AcOEt:PE 2:8) Rf = 0.70.
【0048】
5-ブロモ-2-アミノ-ベンジルアミン二塩酸塩
【化12】

ボランのTHF溶液(1 M, 400 ml)を5-ブロモ-アントラニロニトリル(60 g, 0.304 mol, S. M. Mackenzie et al, J. Chem. Soc. C, 1970, 17, 2298-2308に記載のように調製)のTHF 450 L懸濁液にN2雰囲気下0℃にて加えた。混合物を72時間室温にて撹拌した。0℃にて冷却した後、無水EtOHを加え、次いでHClを溶液にバブリングした。混合物を真空濃縮し、残渣をジイソプロピルエーテルでトリチュレーションした。得られた固体を真空乾燥し、標記生成物を得た(76.6 g, 91.4%収率)。
C7H9BrN2. 2HCl, MW 273.9; 1H NMR (DMSO-d6) 8.57 (s, 2H), 7.73 (s, 1H), 7.55 (dd, 1H), 7.24 (d, 1H), 5,82 (s, 4H), 4.13 (s, 2H); TLC (CHCl3:MeOH:H2O:NH3 85:25:2:1) Rf = 0.3.
【0049】
実施例2: [2-フェニル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キノリン
【化13】

メタノール20 mlに溶解した2-フェニル-6-アミノ-キノリン(1.0 g, 4.54 mmol, EP1571142のように調製)を40%水性グリオキサール(0.52 ml, 4.54 mmol)で20時間室温にて処理した。NH4Cl(486 mg, 9.08 mmol)、次いで37%水性ホルムアルデヒド(0.68 ml, 9.08 mmol)を加えた。混合物をメタノール200 mlで希釈し、1時間還流した。H3PO4(0.64 ml, 85%)を10分にわたり加えた。次いで得られた混合物を還流温度にてさらに20時間撹拌した。溶媒を留去した後、暗色残渣を氷に注ぎ、水性30% NaOHでpH 9まで中和した。得られた混合物をEt2Oで抽出した。有機相を集め、水、食塩水で洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。溶媒を留去し、残渣をイソプロピルエーテルでトリチュレーションし、標記生成物700 mg(収率: 57%)を得た。
C18H13N3, M.W. 271.32. mp: 141.7 - 147.5℃, 1H-NMR (d6-DMSO): 8.52 (d, 1H); 8.30-7.92 (m, 6H); 7.60-7.25 (m, 5H); 7.20 (s, 1H). MS: M+ 272; IR(KBr): 3391, 3055, 1620, 1598, 1499 cm-1. TLC: (9/1 クロロホルム/メタノール) Rf = 0.50.
【0050】
実施例3: [2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリン
【化14】

6-アミノ-2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)キナゾリン(2.5 g, 9.4 mmol)および40%水性グリオキサール(1.1 ml, 9.4 mmol)のメタノール20 ml懸濁液を室温にて18時間撹拌した。NH4Cl(1.0 g, 0.019 mol)、37%水性ホルムアルデヒド(1.4 ml, 19 mmol)およびメタノール200 mlを加え、混合物を1時間還流した。85% H3PO4(1.4 ml)を加え、混合物を還流温度にてさらに4時間加熱した。溶媒を留去し、残渣を水に注ぎ、水性NaOHで塩基性化した。析出物をろ過し、水で洗浄し、DCMに溶解した。生成物を水性HCl(0.001N)で3回抽出した。水層を集め、Na2CO3で塩基性化し、クロロホルムで抽出した。有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶液を真空濃縮し、残渣をジイソ-プロピルエーテルでトリチュレーションした。固体をろ過し、乾燥し、標記生成物を得た(2.0 g, 29%収率)。
C18H12N4O2, MW: 316.32. mp 217-218℃; 1H NMR (DMSO-d6) 9.65 (s, 1H), 8.36-8.50 (m, 3H), 8.14-8.22 (m, 2H), 8.00 (d, 2H), 7.21 (s, 1H), 7.12 (d, 1H), 6.16 (s, 2H); IR (KBr) 1504, 1446, 1251; TLC (CHCl3:MeOH 9:1) Rf = 0.30.
【0051】
6-アミノ-2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)キナゾリン
【化15】

6-ニトロ-2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)キナゾリン(37 g, 0.126 mol)およびSnCl2 2H2O(117.2 g, 0.504 mol)のエタノール500 ml懸濁液を還流温度にて1時間加熱した。室温まで冷却した後、溶媒を真空留去し、クロロホルムを加え、混合物をアンモニアで塩基性化した。析出物をろ別し、クロロホルムで洗浄した。ろ液を集め、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶液を真空濃縮し、残渣をジイソプロピルエーテル/石油エーテルでトリチュレーションした。固体をろ過し、真空乾燥し、標記生成物を得た(21.2 g, 64%収率)。
C15H11N3O2, MW: 265.27. mp 191-192℃; 1H NMR (DMSO-d6) 9.24 (s, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.91 (d, 1H), 7.73 (d, 1H), 7.39 (dd, 1H), 7.03 (d, 1H), 6.90 (d, 1H), 6.11 (s, 2H), 5.93 (s, 2H); IR (KBr) 3319, 3203, 1631, 1500, 1446; TLC (CHCl3/MeOH 9/1) Rf = 0.3.
【0052】
6-ニトロ-2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)キナゾリン
【化16】

5-ニトロ-2-アミノ-ベンジルアミン塩酸塩(31 g, 0.152 mol)のDCM 450 ml懸濁液に、TEA(52.6 ml, 0.38 mol)および塩化ピペロニロイル(27.3 g, 0.16 mol)のDCM 80 ml溶液を0℃にて加えた。混合物を2時間室温にて撹拌した。溶媒を真空留去し、残渣をエタノール/水 1/9、次いでジイソプロピルエーテルでトリチュレーションした。得られた固体を乾燥し、トルエン900 mlおよびPOCl3 670 mlに懸濁させた。混合物を還流温度にて2時間加熱した後、溶媒を真空留去し、残渣を水/アンモニアでトリチュレーションし、水で洗浄し、P2O5で乾燥した。得られた生成物およびクロラニル(32.7 g, 0.129 mol)のトルエン500 ml中の混合物を還流温度にて2時間加熱した。混合物を真空濃縮し、残渣をNaOH 1Mでトリチュレーションし、水およびメタノールで洗浄した。得られた固体を真空乾燥した(37 g, 82.5%収率)。
C15H9N3O4, MW: 295.26, mp 220-222℃
【0053】
5-ニトロ-2-アミノ-ベンジルアミン塩酸塩
【化17】

ボランのTHF(1 M, 840 ml)溶液を5-ニトロ-アントラニロニトリル(120 g, 0.70 mol)のTHF 1.2 L懸濁液にN2雰囲気下0℃にて加えた。混合物を2時間室温にて撹拌した。0℃にて冷却した後、無水EtOH 400 mlを加え、HClを溶液にバブリングした。混合物を減圧濃縮し、残渣をエタノール、次いでジイソプロピルエーテルでトリチュレーションした。得られた固体を真空乾燥し、標記生成物を得た(140 g, 98.6%収率)。
C7H9N3O2.HCl, MW: 203.63. TLC (CHCl3:MeOH:H2O:NH3 85:25:2:1) Rf = 0.3.
【0054】
実施例4 : [2-(ベンゾフラン-5-イル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリン二塩酸塩
【化18】

この化合物は、[2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリンについての実施例3記載の手順により6-アミノ-2-(5-ベンゾフラン)キナゾリンから出発して20%収率にて合成した。
C19H12N4O. 2HCl; MW: 385.25; mp 284.7-285.1℃; 1H NMR (DMSO-d6) 10.00 (s, 1H), 9.78 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.71 (d, 1H), 8.58 (d, 1H), 8.47 (m, 2H), 8.29 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.15 (s, 1H); IR (KBr) 3399, 3097, 1614; TLC (CHCl3:MeOH 9:1) Rf = 0.38.
【0055】
6-アミノ-2-(5-ベンゾフラン)キナゾリン
【化19】

この化合物は、6-アミノ-2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)キナゾリンの合成についての実施例3記載の手順によりベンゾフラン-5-カルボン酸から出発して59%収率にて合成した。
1H NMR (DMSO-d6) 9.31 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.48 (dd, 1H), 8.06 (d, 1H), 7.68-7.80 (m, 2H), 7.41 (dd, 1H), 7.10 (d, 1H), 6.93 (d, 1H); TLC (tol/AcOEt 7/3) Rf = 0.35.
【0056】
6-ニトロ-2-(5-ベンゾフラン)キナゾリンの合成
【化20】

この化合物は、6-ニトロ-2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)キナゾリンの合成についての実施例2記載の手順により76%収率にて合成した。
TLC (tol/AcOEt 7/3) Rf = 0.80; mp. 293-7℃.
【0057】
実施例5: [2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)キナゾリン
【化21】

この化合物は、[2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリンについての実施例3記載の手順により25%収率にて合成した。
C19H14N4O2, MW: 330.35; mp 131.5-131.9℃; 1H NMR (DMSO-d6) 9.64 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.32-8.43 (m, 2H), 8.18 (s, 1H), 8.03-8.13 (m, 2H), 7.97 (d, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.04 (d, 1H), 4.34 (s, 4H); IR (KBr) 1555, 1507, 1286; TLC (CHCl3:MeOH 9:1) Rf = 0.38.
【0058】
6-アミノ-2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)キナゾリン
【化22】

この化合物は、6-アミノ-2-(3,4-メチレンジオキシ-フェニル)キナゾリンについての実施例3記載の手順により67%収率にて合成した。
C16H13N3O2, MW: 279.30. mp 179.4-181.6℃; 1H NMR (DMSO-d6) 9.24 (s, 1H), 7.92-7.98 (m, 2H), 7.72 (d, 1H), 7.38 (dd, 1H), 6.89-6.99 (m, 2H), 5.91 (s, 2H), 4.31 (s, 4H); IR (KBr) 1555, 1507, 1286; TLC (CHCl3/MeOH 9/1) Rf = 0.65.
【0059】
6-ニトロ-2-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-6-イル)キナゾリン
【化23】

この化合物は、6-ニトロ-2-(3,4-メチレンジオキシ-フェニル)キナゾリンについての実施例3記載の手順により70%収率にて合成した。
C16H11N3O4, MW: 309,28; mp:263-265; TLC (tol/AcOEt 7/3) Rf = 0.80.
【0060】
実施例6: [2-(3,4-ジクロロフェニル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリン
【化24】

この化合物は、[2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリンについての実施例3記載の手順により6-アミノ-2-(3,4-ジクロロ-フェニル)キナゾリン(EP1571142に記載のように調製)から出発して32%収率にて合成した。
C17H10Cl2N4, MW: 341.20; mp 131.5-131.9℃; 1H NMR (DMSO-d6) 9.70 (s, 1H), 8.41-8.66 (m, 4H), 8.22 (d, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.82 (m, 2H), 7.21 (s, 1H); IR (KBr) 1578, 1548, 1500; TLC (CHCl3:MeOH 9:1) Rf = 0.41.
【0061】
実施例7: [2-[(4-ベンジルオキシ)フェニル-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリン二塩酸塩
【化25】

この化合物は、[2-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-6-(1H-イミダゾール-1-イル)]キナゾリンについての実施例3記載の手順により6-アミノ-2-(4-ベンジルオキシ-フェニル)キナゾリンから出発して44%収率にて合成した。メタノール懸濁液をメタノール/HClで処理し、エバポレーションすることにより遊離塩基を塩酸塩に変換した。固体をMeCNにてトリチュレーションし、真空乾燥し、標記化合物を得た。
C24H18N4O.2 HCl, MW: 451.36; 1H NMR (DMSO-d6) 9.81 (s, 1H), 8.02-8.96 (m, 7H), 7.21-7.52 (m, 8H), 5.24 (s, 2H) mp 170℃; IR (KBr) 3399, 2925, 1603, 1512, 1259; TLC (CHCl3:MeOH 9:1) Rf = 0.30.
【0062】
本発明化合物の薬理学的評価
炎症関連性障害とともに炎症性および神経因性疼痛を治療するための式(I)の化合物の有効性は、以下のインビトロアッセイおよびインビボ動物モデルを用いて測定した。
【0063】
本発明化合物は、10-5 M濃度まで有効でないことが判っているので、COX-1またはCOX-2酵素阻害のいずれの標準インビトロ試験にてもシクロオキシゲナーゼ酵素(COX-1およびCOX-2)を阻害するのに有効ではない。さらに本発明化合物は、10-5 M濃度まで有効でないことが判っているので、iNOSおよびnNOS酵素阻害についての標準インビトロ試験にて酸化窒素シンターゼ酵素を阻害するのに有効ではない。従って、本発明化合物は、古典的COXまたはiNOS酵素阻害剤として作用しない。
【0064】
本発明化合物は、いくつかの細胞系にてCOX-2およびサイトカイン生成を阻害するのに有効であることが判っており;IL-1刺激ヒト軟骨肉腫細胞系にてCOX-2およびIL-1βおよびIL-6サイトカインについてのこれらの効果の例を第3表にて報告する。
【0065】
第3表
【表2】

【0066】
炎症および疼痛のインビボモデルにて本発明化合物により示される抗炎症性および打撃鎮痛特性は、このサイトカインモジュレータ特性に完全にまたは一部起因しうる。
【0067】
炎症性疼痛のモデルとして、ザイモサン誘発機械的痛覚過敏の足底間(interplantar)注射を用いた(Meller, Neuropharmacology, 1994, 33, 1471-1478)。このモデルにて、典型的には、オススプラーグ・ドーリーまたはウィスターラット(200〜250 g)の後ろ足の一方に3 mg/100μlザイモサンを足底間注射する。この後ろ足に著しい炎症が起こる。炎症性発作の30分前に有効性の評価のために薬物を経口投与する。Randall-Selitto法を用いてザイモサン投与により誘発された痛覚過敏を評価した(Arch. Int. Pharmacodyn., 1957, 111, 409)。鎮痛効果の定量は無痛覚計により行い、これは炎症を起こした後ろ足に加重することからなる(130〜140 gから500gまで)。基底値(一般に230〜250 g)と炎症チャレンジの4時間後に測定される薬物で処置された動物の耐えられる値との機械的疼痛閾値における差を機械的痛覚過敏として定義する。機械的痛覚過敏は本発明化合物についてED50と表現し、これは対照動物の群と比較して50%だけ疼痛閾値を増大することができる投与化合物の量である。対応するED100は、100%疼痛閾値を軽減することができる量を示し、直線的用量応答関係がある場合について算出することができる。本発明化合物により発揮されるインビボ抗炎症性効果は、炎症性物質により誘発される浮腫の容積を測定することにより、上記の同じザイモサン誘発炎症試験にて評価することができる。浮腫は0〜2時間以内にザイモサン注射した後ろ足の容積の増大として評価した。後ろ足の浮腫容積の変化の測定は、界面活性液体を含む二のプラスチックキュベットからなり、大きい方は後ろ足の浸水に用いられ、測定に用いられる容積の小変位を記録することができるトランスデューサーを含む小さい方に接続される、ハイドロプレシスモメーター(hydroplethysmometer)を用いて記録した。後ろ足は脛骨足根骨関節までキュベットに浸す。移し替える液体の容積は炎症の程度に比例する。本発明化合物の浮腫形成の予防における有効性はED30として表現され、炎症性チャレンジの2時間後に測定し、30%軽減可能な用量を示し、ザイモサン誘発後ろ足容積は対照動物(ザイモサンで処置したが試験化合物の代わりに蒸留水のみで処置した動物)に比べて増大する。ザイモサン誘発後ろ足容積の増大の50%を軽減しうる用量を示す対応ED50は、直線的用量応答関係がある場合について算出することができる。両実験にて、各試験化合物について少なくとも三つの用量を10動物/群に用いた。本発明化合物を10、20および40 mg/Kgにて試験した。
【0068】
上記試験における式(I)の代表的な化合物の挙動は、鎮痛効果および抗炎症性効果の両方について第4表に概略し、本発明化合物の活性をよく知られた標準の同じ試験における挙動と比較する。本発明の代表的な化合物は、鎮痛および抗炎症性効果の試験の両方にて標準より優れたまたはこれに匹敵する有効性を示した。さらに、本発明化合物は、より高用量であっても、ニメスリドにより示されるものほど潰瘍性副作用を示さなかった。
【0069】
第4表
【表3】

【0070】
式(I)の化合物の鎮痛活性は、慢性炎症性疼痛の動物モデルにてさらに評価することができる。炎症性疼痛は臨床的に、関節炎および慢性腰痛などの慢性病態を伴うことが最も多く、これらは末梢および中枢神経系にて炎症または可塑性神経変化が長期間起こるため、炎症性発作が中枢媒介変形を誘発する時間があるような慢性的動物例はより予測的となりうる。慢性炎症性疼痛のオリジナルモデルは、ラットの尾の元への炎症性メディエータ(アジュバント)の注射に基づいた。この治療の結果として、病初にて注射部位に激しい炎症および痛覚過敏を含む多発性関節炎が起こる。しかし、T細胞媒介超過敏反応により、疾患は二、三週間後に、複数の関節症状およびそれに伴う眼、耳、鼻および生殖器の損傷に発展する。これらの広範な効果は慢性炎症性疼痛により特徴付けられる一般的な病理学にて臨床的に観察されるものには反映されていない。近年、適当なプロトコールの使用とともに炎症性応答のためのトリガー物質(triggering agent)としての完全フロイントアジュバント(CFA; ヒト結核菌)の使用がどのようにしてより適切なモデルに生じうるかが示された。慢性疼痛における神経可塑性の関与の研究に適切であることも考察されているので(R. Sharif Naeini, Eur. J. Neuroscience, 2005, 22, 8, 2005-2015)、行動疼痛応答の研究(K. Walker, Mol Med Today, 1999, 5,319-321)にてCFA誘発性持続性炎症が広範に用いられている。実験は文献に記載されるように行い(C.J. Woolf, Br. J. of Pharmacology, 1997, 121, 417-424);各群について8匹のラットを用い、三の用量にて(3、10、30 mg/kg)各生成物を試験し、その生成物は足底間チャレンジの24時間後に腹腔内投与し、該チャレンジの24時間後から鎮痛活性を測定し始めた。第5表にて、式(I)の代表的な化合物についてのCFAモデルにて得られた結果を標準として認識されるピロキシカムと比較して示す。鎮痛効果は、Randall-Selittoモデルについて先に記載したものと同じ装置を用いて評価し、結果は、薬物で処置した動物とビヒクルのみを受けた対照との疼痛閾値の差(%)を示す最大百分率効果(MPE)として記載する(CFA処置を受けた対照と比較して、加重される後ろ足への負荷による侵害受容作用の軽減)。100%予防は、化合物およびCFAで処置された動物がCFA処置を受けていない対照動物と同じ刺激(重量)に耐えうることを意味する。100%より高いMPEは、化合物およびCFAで処置された動物がCFA処置を受けていない対照動物(痛覚鈍麻)より高い刺激(重量)に耐えうることを意味する。0.5時間のMPEデータから、50%(ED50)および100%(ED100)の予防を与える用量を算出した。
【0071】
第5表:CFA
【表4】

【0072】
本試験にて本発明化合物はまた、著しい鎮痛効果で特徴付けられる最高用量である10および30 mg/Kgの用量にて顕著かつ長期にわたる鎮痛効果を示した。算出されたED50およびED100値は10 mg/kgより低かった。この用量にて代表的な化合物は参照標準ピロキシカムよりもはるかに有効である。
【0073】
有痛性糖尿病性神経障害は、ヒトにおけるインスリン依存性糖尿病の最も一般的な合併症であり;特に糖尿病は古典的鎮痛薬により処置できない神経因性疼痛を伴いうる。ラットにおけるストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病は、潜在的な鎮痛剤の有効性を評価するための有痛性糖尿病性神経障害のモデルとしてますます用いられている(C. Courteix, Pain 1993, 53, 81-8)。文献に記載される実験モデルにより、ラットにおけるSTZ誘発糖尿病を伴う機械的痛覚過敏の軽減における本発明化合物の有効性を試験した。糖尿病はSTZの単回用量(75 mg/Kg i.p.)の注射で生成した。糖尿病の誘発後4週間にて、動物により次第に発症した臨床症状(体重、体温および肌温、運動性および高血糖症)を厳密にモニターする。4週間後、糖尿病性ラットにて得られた種々の疼痛刺激(特に機械的刺激)に対するスコアは、痛覚過敏を示す正常なラットのものよりも大きかった。糖尿病により誘発された痛覚過敏を上記Randall-Selitto法を用いて評価し、無痛覚計を用いて定量した。この場合にも、基底値(一般に230〜250 g)と薬物で処置された動物により耐えられる値との機械的疼痛閾値の差を機械的痛覚過敏として定義する。本発明化合物を異なる用量にて腹腔内投与し(溶液, Tween 80, 食塩水中10%)、機械的痛覚過敏は、薬物で処置した動物とビヒクルのみを受けた対照との疼痛閾値の差(%)を示す最大百分率効果(MPE)として、未処置の非糖尿病性対照により耐えられる荷重と比較して記録時間にて測定した。100%予防は、化合物で処置された糖尿病性動物が未処置の非糖尿病性動物と同じ刺激(重量)を耐えうることを意味する。100%より高いMPEは、化合物で処置された糖尿病性動物が対照非糖尿病性動物(痛覚鈍麻)より高い刺激(重量)に耐えうることを意味する。
【0074】
第6表にて、神経因性疼痛の上記モデルにおける式(I)の代表的な化合物の挙動は、この病理学の臨床的処置について用いられるいくつかの既知の薬理学的標準と比較する。特に、0.5時間におけるMPEデータから、50%(ED50)および100%(ED100)の予防を与える用量を算出した。
【0075】
第6表:神経因性疼痛
【表5】

【0076】
式1の代表的な化合物は、ザイモサンおよびCFA試験と同様に、特に30 mg/kgの用量にて10 mg/kgより低いED50およびED100値でかなり有効(すなわち100%より高い予防)であることを示した。一方、すべての試験標準はこの実例にてあってもはるかに低い有効性を示した。実際、ED50値はトラマドールについてのみ計算可能であった(この標準についてED100は100%予防にアプローチする用量応答曲線から推定されるのみであった)。
【0077】
医薬組成物
式Iの化合物は、疼痛および炎症性関連障害の治療に適切な医薬の製造にて使用することができる。特に、長期の炎症が組織破壊をもたらし、広範な損傷をもたらす多くの慢性炎症性疾患の有意な要因である、慢性疼痛障害および免疫主導型炎症性事象の治療である。
従って、式(I)の化合物、その塩およびその溶媒和物の適当な医薬組成物は、炎症性疼痛および炎症関連性痛覚過敏および異痛、変形性関節症の疼痛、術後疼痛、内臓痛、がん関連疼痛、三叉神経痛、急性ヘルペス性およびヘルペス後神経痛、神経因性疼痛、糖尿病性神経障害が挙げられるが、これらに限定されない急性および慢性疼痛の治療に用いることができる。
【0078】
さらに、式(I)の化合物、その塩およびその溶媒和物の適当な医薬組成物は、関節炎、関節リウマチおよび変形性関節症、炎症性大腸炎(IBD)、潰瘍性大腸炎などの胃腸管の炎症性障害、クローン病(CD)、炎症性膀胱障害、気道の炎症性障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息、術後炎症性合併症、炎症性眼障害、全身性エリテマトーデス、湿疹、乾癬および皮膚炎などの肌疾患が挙げられるが、これらに限定されない免疫主導型炎症性事象の治療に用いることができる。
【0079】
さらに、式(I)の化合物、その塩およびその溶媒和物の適当な医薬組成物は、結腸がん、多発性骨髄腫、乳がん、子宮頸がん、前立腺がんおよび肺がんが挙げられるが、これらに限定されないがんの治療に用いることができる。
【0080】
本発明化合物は、薬理学的有効量にて経口、非経口または局所的に投与することができる。本明細書において、用語非経口としては、静脈内、筋肉内、皮下、皮内および関節内が挙げられる。
【0081】
式(I)の化合物について本明細書に記載のすべての治療方法について、毎日経口投与計画は、好ましくは約0.1〜約20 mg/Kgの総体重であろう。式(I)の化合物の個別投与の最適な量および間隔が処置される病態の性質および程度により決定されようこともまた当業者により認識されよう。
【0082】
本発明はまた、医薬的有効量の式(I)の化合物、その塩、溶媒和物およびそのプロドラッグおよびその医薬的に許容される担体または希釈剤を含む、上記疾患の治療に適切な組成物にも関する。
【0083】
治療にて式(I)の化合物を使用するために、通常、薬学および現在のガイドラインおよび関連する良い実験および製造実践の従来法により剤形に製剤化される。
【0084】
本発明化合物についての好ましい投与経路は、経口である。本発明化合物は、カプセル、錠剤、丸剤、散剤および分散可能な顆粒などの広範な経口剤形にて製剤化することができる。適切な担体は、希釈剤、着香料、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤としても作用しうる1以上の物質であることができる。
【0085】
適切な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ココアバターなどが挙げられるが、これらに限定されない。経口製剤を製造するために用いる技術は、従来の混合、造粒および圧縮またはカプセル充填である。経口投与に適切な他の形態としては、乳剤、シロップおよび水溶液が挙げられる。乳剤は、乳化剤、例えばレシチン、プロピレングリコールまたはソルビタンモノオレエートを用いて製造することができる。水溶液は、水中に活性成分を溶解し、適切な着色剤、香料、安定化剤を加えることにより製造することができる。
【0086】
本発明化合物は、水性ビヒクル溶液(すなわち食塩水、デキストロース)および/または油性乳剤を含む適切な担体との組成物として非経口投与(例えば注射によりまたは連続注入による)のために製剤化することができる。製剤は、例えばアンプルまたは予め充填されたシリンジに単位投与形態にて提示することができる。
【0087】
局所投与に適切な製剤としては、肌への浸透に適切な液体または半液体製剤(例えば塗布薬、ローション、軟膏、クリーム剤およびペースト剤)および眼への投与に適切な点滴剤が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Xは独立して炭素または窒素原子から選択され;
Wは独立してアリール基または式II:
【化2】

で示されるヘテロアリール基から選択され;
Wがアリール基である場合、それは非置換フェニル、または独立してハロゲン(-F、-Cl、-Br)、トリフルオロメチル(-CF3)、アルキル(-R2)、ヒドロキシル(-OH)、アルコキシ(-OR3)、トリフルオロメトキシ(-OCF3)、シアノ(-CN)、カルボキサミド(-CONHR3または-NHCOR3または-CONR2R3または-NHCOR3)、カルボニル(-CO-R3)、アルキルチオ(-SR3)、スルフィニル(-SOR3)およびスルホニル(-SO2R3)から選択される1以上の置換基で置換されているフェニル(ここに、R2およびR3基は以下に定義されているとおりである)であり;
Wが式IIのヘテロアリール基である場合、それはベンゾ縮合-5または-6員のヘテロ環であり、ここに:
ZおよびYは独立して酸素原子(-O-)、硫黄原子(-S-)または基:-SO2-、-CHR3-、-CR3=、-NH-、-N=から選択され;
Qは独立して基:-CHR3-、-CH=、-CR3=、-CHR3-CH2-から選択され;
但し、Y、Z、Q基の組合せにより1,3-ベンゾジオキソール、1,3-ベンゾジチオール、ベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン S,S-ジオキシド、インドール、2,3-ジヒドロインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、2H-3,4-ジヒドロベンゾピラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン S,S-ジオキシド、[1,4]-ベンゾジオキシン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾジオキシン(1,4-ベンゾジオキサン)、1,4-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン S,S-ジオキシド、[1,4]-ベンゾキサジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾキサジンが生じ;
R1は独立して水素(-H)またはC1-C4アルキルまたはヒドロキシメチル(-CH2OH)、アミノメチル(-CH2NH2)、ジメチルアミノメチル(-CH2NMe2)、トリフルオロメチル(-CF3)から選択され;C1-C4アルキル基は直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖であり;但し、式Iの化合物において、二以下のR1基が同時にC1-C4アルキルまたはトリフルオロメチル(-CF3)であり、一のR1基のみがヒドロキシメチル(-CH2OH)、アミノメチル(-CH2NH2)またはジメチルアミノメチル(-CH2NMe2)であり;
R2は独立してC1-C6アルキルまたはアリールから選択され;C1-C6アルキルは適宜アリールで置換されていてもよい直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1-C6炭化水素鎖であり、アリールは上記に定義されているとおりであり;
R3は独立して水素、C1-C6アルキルおよびアリールから選択され;C1-C6アルキルは適宜アリールで置換されていてもよい直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1-C6炭化水素鎖であり、アリールは上記に定義されているとおりである]
で示される化合物。
【請求項2】
置換基Xが窒素原子であり、Wが非置換フェニル、または独立してハロゲン(-F、-Cl、-Br)、トリフルオロメチル(-CF3)、アルキル(-R2)、ヒドロキシル(-OH)、アルコキシ(-OR3)、トリフルオロメトキシ(-OCF3)、シアノ(-CN)、カルボキサミド(-CONHR3または-NHCOR3または-CONR2R3または-NHCOR3)、カルボニル(-CO-R3)、アルキルチオ(-SR3)、スルフィニル(-SOR3)およびスルホニル(-SO2R3)から選択される1以上の置換基を有する置換フェニルであり、R2およびR3が請求項1に定義されているとおりである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
置換基Xが窒素原子であり、Wが請求項1記載の式IIのヘテロアリール基(ここに、Y、Z、Q基の組合せにより1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾピラン、[1,4]-ベンゾジオキシン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾジオキシン(1,4-ベンゾジオキサン)が生じる)である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項4】
置換基Xが窒素原子であり、Wが請求項1記載の式IIのヘテロアリール基(ここに、Y、Z、Q基の組合せにより1,3-ベンゾジチオール、ベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン S,S-ジオキシド、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン S,S-ジオキシドが生じる)である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項5】
置換基Xが窒素原子であり、Wが請求項1記載の式IIのヘテロアリール基(ここに、Y、Z、Q基の組合せによりインドール、2,3-ジヒドロインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、1,4-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン S,S-ジオキシド、[1,4]-ベンゾキサジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾキサジンが生じる)である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項6】
置換基Xが炭素原子であり、Wが非置換フェニル、または独立してハロゲン(-F、-Cl、-Br)、トリフルオロメチル(-CF3)、アルキル(-R2)、ヒドロキシル(-OH)、アルコキシ(-OR3)、トリフルオロメトキシ(-OCF3)、シアノ(-CN)、カルボキサミド(-CONHR3または-NHCOR3または-CONR2R3または-NHCOR3)、カルボニル(-CO-R3)、アルキルチオ(-SR3)、スルフィニル(-SOR3)およびスルホニル(-SO2R3)から選択される1以上の置換基を有する置換フェニルであり、R2およびR3が請求項1に定義されているとおりである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項7】
置換基Xが炭素原子であり、Wが請求項1記載の式IIのヘテロアリール基(ここに、Y、Z、Q基の組合せにより1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾピラン、[1,4]-ベンゾジオキシン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾジオキシン(1,4-ベンゾジオキサン)が生じる)である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項8】
置換基Xが炭素原子であり、Wが請求項1記載の式IIのヘテロアリール基(ここに、Y、Z、Q基の組合せにより1,3-ベンゾジチオール、ベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン、2,3-ジヒドロベンゾチオフェン S,S-ジオキシド、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン、2H-3,4-ジヒドロベンゾチオピラン S,S-ジオキシドが生じる)である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項9】
置換基Xが炭素原子であり、置換基Z、QおよびYが一緒になってインドール、2,3-ジヒドロインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、1,4-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾチアジン S,S-ジオキシド、[1,4]-ベンゾキサジン、2,3-ジヒドロ-[1,4]-ベンゾキサジンから選択されるヘテロ環を形成する、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項10】
塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸水素塩および硫酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩から選択される医薬的に許容される塩の形態である、請求項1〜9のいずれか記載の化合物。
【請求項11】
医薬的に許容される溶媒和物または水和物の形態である、請求項1〜10のいずれか記載の化合物。
【請求項12】
疼痛および炎症関連障害の薬理学的処置のための請求項1〜11のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項13】
炎症性疼痛および炎症関連痛覚過敏および異痛などの急性および慢性疼痛、変形性関節症および関節リウマチ性疼痛、術後疼痛、内臓痛、がん関連疼痛、三叉神経痛、急性ヘルペス性およびヘルペス後神経痛、神経因性疼痛、糖尿病性神経障害の薬理学的処置のための請求項1〜11のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項14】
関節炎、関節リウマチおよび変形性関節症などの炎症性事象、炎症性大腸炎(IBD)、潰瘍性大腸炎、クローン病(CD)、炎症性膀胱障害、気道の炎症性障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息などの炎症性障害、術後炎症性合併症、炎症性眼障害、全身性エリテマトーデス、湿疹、乾癬および皮膚炎などの肌疾患の薬理学的処置のための請求項1〜11のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項15】
結腸がん、多発性骨髄腫、乳がん、子宮頸がん、前立腺がんおよび肺がんなどのがんの薬理学的処置のための請求項1〜11のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項16】
有効成分(製剤原料)として少なくとも一つの請求項1〜11のいずれか記載の化合物を含み、さらにビヒクル、結合剤、香料、甘味料、崩壊剤(disaggregant)、保存剤、保湿剤およびその混合物からなる群から選択される医薬的に不活性な成分あるいは経皮もしくは経粘膜吸収を容易にするかまたは時間をかけた有効成分の制御放出を可能にする成分を含む、医薬組成物(製剤)。
【請求項17】
有効成分(製剤原料)として非経口使用(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、関節内)のための少なくとも一つの請求項1〜11のいずれか記載の化合物を含み、さらに水性ビヒクル溶液(すなわち食塩水、デキストロース)および/または油性乳剤などのビヒクルからなる群から選択される医薬的に不活性な成分を含む、医薬組成物(製剤)。
【請求項18】
炎症性疼痛および炎症関連痛覚過敏および異痛などの急性および慢性疼痛、変形性関節症および関節リウマチ性疼痛、術後疼痛、転移性がんと関連する疼痛、三叉神経痛、急性ヘルペス性およびヘルペス後神経痛、神経因性疼痛、ならびに糖尿病性神経障害と関連する病理学的病態の薬理学的処置における使用のための請求項16または17記載の医薬組成物。
【請求項19】
関節炎、関節リウマチおよび変形性関節症などの炎症性事象、炎症性大腸炎(IBD)、潰瘍性大腸炎などの胃腸管の炎症性障害、クローン病(CD)、炎症性膀胱障害、気道の炎症性障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息、術後炎症性合併症、炎症性眼障害、全身性エリテマトーデス、湿疹、乾癬および皮膚炎などの肌疾患の薬理学的処置における使用のための請求項16または17記載の医薬組成物。
【請求項20】
式(IV)の化合物を式(III)の化合物と反応させることからなる請求項1〜9のいずれか記載の式(I)の化合物の製造方法であって:
【化3】

[式中、X、WおよびR1は請求項1に記載のとおりである]
式(IV)のイミダゾール誘導体を式IIIの化合物(ここに、Halはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子である)と反応させることにより行われ;
式IIIの化合物と遊離塩基またはそのアルカリ金属塩(ナトリウム、リチウムまたはカリウム塩)としての式IVのイミダゾール誘導体との反応がジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエンまたはキシレンなどの溶媒中マイクロウェーブ加熱を伴うかまたは伴わないで50℃〜200℃の範囲の温度にて行われ;
反応が銅触媒(CuBr、CuI、Cu/CuO、Cu2O、Cu(OTf)2.ベンゼン錯体)などの触媒の存在下、好ましくは8-ヒドロキシキノリン、1,10-フェナントロリン、ジベンジリデンアセトンなどの添加物の存在下にて行われるか、あるいはパラジウムを触媒として単独でまたは銅との混合物にて用いることができ;パラジウムを用いた場合、パラジウム均一触媒を得るために適当な配位子に配位させて用いられ;
反応が炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸トリエチルアンモニウム、カリウムtert-ブチレートなどの塩基存在下にて行われる、方法。
【請求項21】
式(V)の化合物を塩化アンモニウムおよび式R1CHOのアルデヒドの存在下、適切な酸触媒の存在下にて式(VI)の化合物と反応させることからなる、請求項1〜9のいずれか記載の式(I)の化合物の製造方法であって:
【化4】

[式中、X、WおよびR1は請求項1に記載のとおりである]
酸触媒の存在下アルコール中にて行われ;典型的に、式VIの化合物を室温にて式Vの化合物に加え、次いでNH4Clおよびアルデヒドを加え、還流温度にて加熱し、最終的に酸を加えることにより行われる、方法。
【請求項22】
2位および5位のR1が水素であり、XおよびWが請求項1に記載のとおりであり、式(V)の化合物をチオホスゲンと反応させ、次いで式(VII)の化合物と反応させることからなり;次いで得られたチオイミダゾロンが対応する式Iの化合物に脱硫される、請求項1〜9のいずれか記載の式(I)の化合物の製造方法であって:
【化5】

チオホスゲンを式Vの化合物の水性酸溶液に加えてチオシアネートを形成させることを含み;
得られたイソチオシアネートを式VIIのアミノアセトアルデヒドジアルキルアセタール誘導体と溶媒としてのアルコール中、還流温度にて有機塩基の存在下にて反応させ;
イミダゾリル-2-チオンのイミダゾール誘導体への脱硫が約100℃にて20%硝酸による処理により、または希硝酸および亜硝酸ナトリウムを0℃を超えない温度にて用いるか、またはラネーニッケルをアルコール溶媒中にて用いるか、またはH2O2を酢酸中にて用いるか、またはH2O2を遷移金属触媒の存在下にて用いることにより得られる、方法。
【請求項23】
Xが炭素原子であり、R1およびWが請求項1に記載のとおりであり、式VIIIの化合物を式IXまたはIXaのボロン酸塩と反応させることからなる、請求項1〜9のいずれか記載の式(I)の化合物の製造方法であって:
【化6】

式VIIIの化合物と式IXまたはIXaのボロン酸塩との鈴木カップリングがDMF、THF、アセトニトリルまたはトルエンなどの溶媒中、炭酸カリウム、水酸化カリウムもしくはナトリウム、トリエチルアミンまたはN-メチルモルホリンなどの塩基存在下、パラジウム均一触媒を用いて行われる、方法。

【公表番号】特表2009−545540(P2009−545540A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522104(P2009−522104)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065013
【国際公開番号】WO2008/014822
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(598105824)ロッタファルム・ソシエタ・ペル・アチオニ (18)
【氏名又は名称原語表記】ROTTAPHARM S.p.A.
【Fターム(参考)】