説明

CIPigmentYellow74をベースとするモノアゾ顔料調製物

本発明は、基本顔料として式(I)によるCI pigment yellow 74および顔料分散剤として式(II)によるCI pigment yellow 62を含む顔料調製物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C.I.Pigment Yellow 74をベースとするモノアゾ顔料調製物、ならびにそれらの製造、および高分子量材料を顔料着色するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
US−A−3759733は、アセトアセチルアリールアミドとジアゾ化アニリンとのカップリング生成物を含み、水溶性染料を含む顔料調製物を開示している。
【0003】
特開昭45−11026号(JP−45−11026)は、同様に、アセトアセチルアリールアミドとジアゾ化アニリンとのカップリング生成物を含み、水溶性染料を含む顔料調製物を開示している。
【0004】
EP−A−1316588は、カルボキサミドまたはスルホンアミド置換誘導体を含む特定の顔料調製物を開示している。
【0005】
顔料調製物が、高分子量有機材料の着色用に使用される場合には、高色強度、高クロマティシティ(彩度)および良好な耐光堅牢度および耐候堅牢度など、顔料の性能特性に課せられた必要条件が厳しい。それらが印刷系において使用される場合、低い印刷インク粘度が要求される;それらがコーティング系において使用される場合、必要条件には、完全な再塗装堅牢性、高度に顔料着色された塗料濃縮物(ミルベース)および完全に調製されたコーティング材料の部分について低粘度、ならびに、特にメタリック仕上げの場合に、高透明性および高輝度色相が含まれる。プラスチックの着色の場合には、良好な分散性が要求され、例えば高色強度において顕在化する。さらなる要望は、できる限り、例えば、水性および溶剤系などの異なる系における汎用性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
C.I.Pigment Yellow 74をベースとする、知られているノアゾ顔料調製物は、現在の必要条件を全ては満足していない。したがって、改善された特性を示す黄色顔料調製物を見出す必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、この目的は、以下に定義される顔料調製物によって実現されることが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、ベース顔料として式(I)のC.I.Pigment Yellow 74および顔料分散剤として式(II)のC.I.Pigment Yellow 62を含む顔料調製物を提供する。
【0009】
【化2】

【0010】
本発明の目的のための好ましい顔料調製物は、
a)C.I.Pigment Yellow74を50重量%から99.9重量%、好ましくは65重量%から99.5重量%、特に好ましくは65重量%から99重量%、
b)C.I.Pigment Yellow62を0.1重量%から25重量%、好ましくは0.5重量%から15重量%、特に好ましくは1重量%から10重量%、
c)助剤を0から25%、好ましくは0から15%含み、
それぞれの成分の割合は、調製物の総重量(100重量%)に基づく。
【0011】
適切な助剤には、界面活性剤、分散剤、充填剤、標準化剤、樹脂、ワックス、脱泡剤、ダスト防止剤、増量剤、帯電防止剤、調色着色剤、防腐剤、乾燥遅延剤、レオロジー制御添加剤、湿潤剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、またはそれらの組合せが含まれる。
【0012】
それぞれの場合に、本発明によって使用されるC.I.Pigment Yellow 74の総量に基づいて、調色成分は、一般に、10重量%までの量において、助剤は40重量%までの量において使用される。しかし、例外的な場合には、より多い量が存在してもよい。
【0013】
本発明の顔料調製物は、種々な方法によって調製することができ、例えば、ベース顔料および顔料分散剤を、別に合成した後、互いに混合することによって、および適切な場合には、助剤または助剤類を互いに混合することによって、または顔料分散剤およびベース顔料を一緒に合成することによって調製することができる。
【0014】
C.I.Pigment Yellow 74およびC.I.Pigment Yellow 62は、アゾカップリングにより、当分野の技術者に知られた方法によって調製することができ、アゾカップリングにおいては、対応するアミンをジアゾ化し、対応するアセトアセタニリドカップリング剤と結合させる。C.I.Pigment Yellow 62の場合、遊離酸、すなわちC.I.Pigment Yellow 62:1、または顔料分散剤の比較的容易に溶解する塩は、アゾカップリング、および引き続いて、カルシウム塩または水酸化カルシウムによるレーキ化によって通常調製される。レーキ化は、必ずしも完全には進行しないので、小部分の遊離スルホ酸(C.I.Pigment Yellow 62:1)または例えばナトリウム塩またはカリウム塩など、この容易に溶解する塩の1種が、本発明の顔料調剤中に依然として存在することもある。
【0015】
ベース顔料への顔料分散剤の添加は、ベース顔料の調製プロセスのどの点においても、および種々の形態において実施することができる。例えば、顔料分散剤を、懸濁液として、また水湿潤プレスケーキとして、ベース顔料の懸濁液に添加することができる。ベース顔料と顔料分散剤の水湿潤プレスケーキは、例えば対応する装置中で混合することができ、または顆粒または粉体の形態におけるなど、乾燥形態において互いに混合される。例えば、ベース顔料が単離される前の顔料分散剤の添加は、ベース顔料懸濁液が熱処理にかけられる前または後に、実施することもできる。
【0016】
合体した合成の場合には、アゾカップリングは、原則としてバッチ式で、直接的または間接的に、すなわちカップリング剤にジアゾニウム塩を添加することによって、またはその逆によって実施することができ、さもなければ、混合ノズル、マイクロ反応器またはマイクロジェット反応器を使用して、ジアゾニウム塩およびカップリング成分を、同時に連続的に供給することによる連続手順を選択することが可能である。
【0017】
ジアゾニウム塩ならびにカップリング成分は、溶液において、または懸濁液として使用することができ、間接カップリングの場合には、固体形態におけるカップリング成分が、さらに可能性がある。
【0018】
ベース顔料および顔料分散剤のアミン成分は、一緒にまたは別々にジアゾ化することができる。直接カップリングの場合には、ジアゾニウム塩は別々に、または一緒に混合物として添加することができ、または間接カップリングの場合には、ジアゾニウム塩を、初期仕込みとして一緒に導入することができる。直接カップリングの場合には、ベース顔料と顔料分散剤のカップリング成分は、一緒に存在することができ、また間接カップリングの場合には、それらは一緒に、または別々に添加することができる。
【0019】
また、第1に、1つの成分(ベース顔料または顔料分散剤)を調製して、この第1の成分の懸濁液の存在下で、第2の成分のアゾカップリングを実施することも可能である。
【0020】
ベース顔料は、カップリング成分の新たに沈殿された懸濁液に、溶液または懸濁形態において、ジアゾニウム塩を添加することにより直接カップリングによって好ましくは調製され、顔料分散剤を、湿潤プレスケーキとして、または乾燥粉体としてベース顔料の既調製カップリング懸濁液に添加する。
【0021】
例えば、長鎖アミンオキシドおよびホスフィンオキシドなどの通常のカップリング促進剤の存在において、カップリングを実施することが有利でありうる。また、カップリング生成物の調製のために、水性−有機または純粋な有機媒体中のカップリングを行うことができる。時間、温度、pH、緩衝液、溶剤または界面活性剤の使用などのアゾカップリングにおいて本質的なプロセスパラメーターは、文献から当分野の技術者には知られている。
【0022】
所望の性能特性、特に彩色特性を実現するためには、ベース顔料のカップリング懸濁液を、最終単離の前に熱処理にかけることが多分必要であり、これは、顔料分散剤の存在または存在しない状態で実施することができる。また、この目的で、予備顔料の単離された湿潤プレスケーキを、再び液体媒体に分散することができる。また、適切な液体媒体は、カップリング液体および水の他に、有機溶剤、または水および有機溶剤の混合物を含み、この場合、用途に特定の結晶同質異像および/または結晶形態、および/または粒径分布を生成するために、水および有機溶剤は、室温でも任意の他の温度でも互いに完全に混合しうる必要はない。熱処理の場合、例えば50から200℃の温度で行うことができる。適切な有機溶剤には、以下が含まれる:1〜10個の炭素原子を有するアルコール、グリコール、ポリグリコール、エーテル、グリコールエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ケトン、脂肪族酸アミド、尿素誘導体、環式カルボキサミド、ニトリル、脂肪族または芳香族アミン、場合によってハロゲン化脂肪族炭化水素、場合によってアルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、またはハロゲン置換芳香族炭化水素、芳香族ヘテロ環、スルホン、およびスルホキシド、およびこれらの有機溶剤の混合物。好ましい溶剤は、C〜Cアルコール、特にメタノール、エタノール、n−およびイソプロパノール、イソブタノール、n−およびtert−ブタノール、およびtert−アミルアルコール;C〜Cケトン、特にアセトン、メチルエチルケトンまたはジエチルケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはエチレングリコールC〜Cアルキルエーテル、特に2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ブチルグリコール、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドまたはスルホランである。
【0023】
助剤は、一度に、または2つ以上の部分において、任意の所望の時点で添加することができる。例えば、これらは、実際のカップリング前、仕上げ前、または仕上げ直後、さもなければ、乾燥状態において混合することによって添加することができる。
【0024】
適切な界面活性剤には、アニオン、またはアニオン活性、カチオン、またはカチオン活性、およびノニオンまたは両性の物質、またはこれら試薬の混合物が含まれる。
【0025】
適切なアニオン物質には、脂肪酸タウライド、脂肪酸N−メチルタウライド、脂肪酸イソチオネート、アルキルフェニルスルホネート(例は、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホネート)、アルキルフェノールポリグリコールエーテルスルフェート、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、脂肪酸アミドポリグリコールエーテルスルフェート、アルキルスルホスクシナメート、アルケニルスクシニックモノエステル、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルホスクシナメート、アルカンスルホネート、脂肪酸グルタメート、アルキルスルホスクシメート、脂肪酸サルコサイド;脂肪酸(例は、パルミチン、ステアリンおよびオレイン酸);これらアニオン物質の塩および石鹸、例は、脂肪酸、ナフテン酸および樹脂酸のアルカリ金属塩、例えばアビエチン酸、アルカリ可溶樹脂、例えばロジン変性マレイン樹脂、および塩化シアヌール酸をベースとする縮合生成物、タウリン、N,N’−ジエチルアミノプロピルアミンおよびp−フェニレンジアミンが含まれる。樹脂石鹸、すなわち、樹脂酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0026】
適切なカチオン物質の例には、第四級アンモニウム塩、脂肪アミンオキサルキレート、ポリオキシアルキレンアミン、オキサルキレート化ポリアミド、脂肪アミンポリグリコールエーテル、第一級、第二級もしくは第三級アミン(例は、アルキルアミン、シクロアルキルアミンまたは環化アルキルアミン、特に脂肪アミン、ジアミンおよび脂肪アミンまたは脂肪アルコールから得られたポリアミン)、および前記アミンのオキサルキレート、脂肪酸から得られたイミダゾリン、ポリアミノアミドまたはポリアミノ化合物、1g当たり、KOH 100から800mgの間のアミン指数を有するポリアミノアミドまたはポリアミノ化合物または樹脂、および例えばアセタートまたはクロリドなどのこれらカチオン物質の塩が含まれる。
【0027】
適切なノニオン物質および両性物質の例には、脂肪アミンカルボキシグリシネート、アミンオキシド、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドN−プロピルベタインなどのベタイン、脂肪族および芳香族アルコールのホスホリックエステル、脂肪アルコールまたは脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドエトキシレート、脂肪アルコール−アルキレンオキシド付加物およびアルキルフェニルポリグリコールエーテルが含まれる。
【0028】
分散剤は、顔料の実際の調製の間か、またしばしば着色するべき適用媒体中への顔料の組込みの間に添加される:例えば、塗料または印刷インクの調製の間、対応するバインダー中に顔料を分散することによって。バインダーは、高分子物質であってよく、例には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリイソシアナート、それらのブロックコポリマー、対応するモノマーのコポリマー、または異なるクラスからの少数のモノマーで変性された1つのクラスのポリマーである。これらの高分子物質は、極性アンカー基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノおよびアンモニウム基、カルボン酸およびカルボキシレート基、スルホン酸およびスルホネート基、またはホスホン酸およびホスホネート基)を担持し、ならびに芳香族物質で変性することができる。さらにまた、分散剤は、官能基により化学的に変性された芳香族物質であってよい。この種の分散剤は、当分野の技術者には知られており、いくつかの場合には、市販されている(例えば、Solsperse((登録商標)、Avecia;Disperbyk(登録商標)、Byk−Chemie;Efka(登録商標)、Efka)。原則として、記述された任意の所望の他の物質も使用することができ、代表して多数のタイプを以下に挙げるが、例は、イソシアナートと、アルコール、ジオールまたはポリオール、アミノアルコールまたはジアミンまたはポリアミンとの縮合生成物、ヒドロキシカルボン酸のポリマー、オレフィンモノマーまたはビニルモノマーとエチレン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸エステルのコポリマー、エチレン性不飽和モノマーのウレタン含有ポリマー、ウレタン変性ポリエステル、シアヌールハライドをベースとする縮合生成物、ニトロキシ化合物を含有するポリマー、ポリエステルアミド、変性ポリアミド、変性アクリルポリマー、ポリエステルおよびアクリルポリマーを含む櫛状構造を有する分散剤、燐酸エステル、トリアジン由来のポリマー、変性ポリエーテルである。これらの親構造は、多くの場合に、例えば官能基を担持するさらなる物質との反応によって、または塩形成によってさらに変性される。
【0029】
助剤として使用される分散剤、界面活性剤または樹脂のアニオン基も、例えばCa、Mg、Ba、Sr、MnまたはAlイオンを使用するか、第四級アンモニウムイオンを使用して、レーキ化することができる。
【0030】
充填剤および/または増量剤とは、DIN55943およびDIN EN971−1による多様な物質を意味し、例は、種々のタイプのタルク、カオリン、マイカ、ドロマイト、リム、硫酸バリウムまたは二酸化チタンである。この状況において、乾燥顔料調製物の微粉砕の前に添加を行うことが、特に適当であることが分かった。
【0031】
本発明の顔料調製物は、好ましくは水性プレスケーキとしてまたは湿潤顆粒として使用することができるが、一般に、易流動性の、粉状の、または顆粒の固体系を含む。
【0032】
本発明の顔料調製物は、天然または合成由来の高分子量有機材料(例えば、プラスチック、樹脂、ワニス、塗料、電子写真トナー、および展色剤、エレクトレット材料、カラーフィルター、ならびに印刷インクを含むインク、およびシード)を顔料着色するために使用することができる。
【0033】
本発明の顔料調製物で顔料着色することができる高分子量有機材料は、例えば、セルロース化合物(エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロースなどのセルロースエーテルおよびセルロースエステルなど)、例えば天然バインダー脂肪酸、脂肪油、樹脂およびそれらの転化生成物)、または合成樹脂(ポリ縮合物、ポリ付加物、付加ポリマーおよびコポリマー、例えばアミノ樹脂、特に、尿素およびメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂(ノボラックまたはレゾール)、尿素樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルエーテルなど)、ポリカーボネート、ポリオレフィン(ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ(メタ)アクリレートおよびそのコポリマー(ポリアクリル系エステルなど)、またはポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、クマロン−インデン樹脂および炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、異なる硬化機作を有する不飽和合成樹脂(ポリエステル、アクリレート)、ワックス、アルデヒド樹脂およびケトン樹脂、加硫化ゴムならびにその誘導体およびラテックス、カゼイン、シリコーンおよびシリコーン樹脂;個々に、または混合物においてである。
【0034】
本明細書では、上記の高分子量有機化合物が、プラスチック塊、溶融物の形態、スピニング溶液、分散液、ワニス、塗料または印刷インクの形態で存在するかどうかは、重要ではない。意図する用途に応じて、本発明の顔料調製物を、ブレンドの形態において、または調製された生成物または分散液の形態において利用することが有利であることが分かる。顔料化される高分子量有機材料に基づいて、本発明の顔料調製物は、0.05重量から30重量%、好ましくは0.1重量%から15重量%の量において使用される。
【0035】
また、本発明の顔料調製物は、例えば1または2成分粉体トナー(1または2成分展色剤とも呼ばれる。)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナー、および特殊トナーなど、電子写真トナーおよび展色剤における着色剤として使用に適する。典型的トナーバインダーは、付加重合樹脂、重付加樹脂およびポリ縮合樹脂(スチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ポリエステル、フェノール−エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタンなど、個々にまたは組み合わせて)、ならびにポリエチレン、およびポリプロピレンであり、また、バインダーは、電荷制御剤、ワックス、または流動助剤などのさらなる成分を含むことができ、または引き続いて、これらの添加された成分により変性することができる。
【0036】
本発明の顔料調製物は、さらに粉体および粉体コーティング材料における、特に摩擦電気的に、または界面動電的に噴霧可能な粉体コーティング材料における着色剤として使用に適し、粉体コーティング材料は、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、織物材料、紙、またはゴムから作製された物品の表面をコートするために使用される。粉体コーティング樹脂として、一般にエポキシ樹脂、カルボニルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、およびアクリル樹脂が、通常の硬化剤と一緒に利用される。樹脂の組合せも使用される。例えば、エポキシ樹脂は、しばしばカルボニルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂と組み合わせて使用される。典型的硬化剤(樹脂系による)は、例えば酸無水物、イミダゾール、ならびにジシアンジアミドおよびその誘導体、マスクされたイソシアネート、ビスアシルウレタン、フェノール樹脂、およびメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、オキサゾリン、およびジカルボン酸である。
【0037】
本発明は、印刷インクのための、特にインクジェットインクのための着色剤として本発明の顔料調製物の使用を、さらに提供する。インクジェットインクとは、水系インク(マイクロエマルジョンインクを含む)のみならず、非水性(「溶剤ベース」)インク、UV硬化性インク、およびホットメルトプロセスにより操作するインクを意味する。
【0038】
溶剤ベースのインクジェットインクは、本質的に0.5〜30重量%、好ましくは1〜5重量%の本発明の顔料調製物、70重量%から95重量%の有機溶剤または溶剤混合物および/またはヒドロトロープ化合物を含む。適宜、溶剤ベースのインクジェットインクは、「溶剤」に可溶な担体材料およびバインダー(ポリオレフィン、天然および合成ゴム、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、ビニルブチラール、ワックス/ラテックス系、またはこれら化合物の組合せなどの)を含むことができる。溶剤ベースのインクジェットインクは、適宜、例えば、湿潤剤、ガス抜き剤/脱泡剤、防腐剤、抗酸化剤などのバインダーおよび他の添加剤を、さらに含むことができる。
【0039】
マイクロエマルジョンインクは、有機溶剤、水、および場合によって、界面媒介物(界面活性剤)として作用する他の物質をベースとする。マイクロエマルジョンインクは、本発明の顔料調製物0.5から30重量%、好ましくは1から15重量%、水の0.5から95重量%および有機溶剤および/または界面媒介物0.5から95重量%を含む。
【0040】
UV硬化性インクは、本質的に、本発明の顔料調製物0.5から30重量%、水0.5から95重量%、有機溶剤または溶剤混合物0.5から95重量%、放射線硬化性バインダー0.5から50重量%、望ましい場合には光開始剤0から10重量%を含む。
【0041】
ホットメルトインクは、通常、室温で固体で、加熱により液化する、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、またはスルホンアミドをベースとし、好ましい溶融範囲は、約60から約140℃の間である。ホットメルトインクジェットインクは、本質的に、ワックス20から90重量%、および本発明の顔料調製物1から10重量%からなる。
【0042】
ホットメルトインクジェットインクは、他のポリマー0から20重量%(「染料溶解剤」)、分散剤0から5重量%、粘度改質剤0から20重量%、可塑剤0から20重量%、粘着性付与剤0から10重量%、透明性安定剤0から10重量%(例えば、ワックスの結晶化を防止する。)、および抗酸化剤0から2重量%からなる。
【0043】
本発明の印刷インク、特にインクジェットインクは、着色調製物を、UV硬化性インクの調製に対してはマイクロエマルジョン媒体または非水性媒体または前記媒体中に、ホットメルトインクジェットインクの調製に対してはワックス中に、分散することによって調製することができる。インクジェット用途に対しては、得られた印刷インクを引き続いて、濾過することが適当である(例えば、1μmフィルターにより)。
【0044】
さらにまた、本発明の顔料調製物は、加法的に対して、ならびに減法的発色に対してもカラーフィルター用着色剤として適し、ならびに電子インク(またはe−インク)または電子紙(e−紙)用着色剤として適する。カラーフィルター、反射ならびに透明カラーフィルターとして知られているものの製造においては、顔料は、ペーストの形態において、またはそれぞれのLCD構成部品(例えば、TFT−LCD−薄膜トランジスタ液晶ディスプレー、例えば(S)TN−LCD−(超)ツイストネマチック−LCD)に対する、適切なバインダー(アクリレート、アクリル酸エステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシド、ポリエステル、メラミン、ゼラチン、カゼイン)中の顔料着色されたフォトレジストとして適用される。その上、高熱安定性、高顔料純度が、安定なペーストおよび/または顔料着色されたフォトレジストに対して不可欠である。さらに、顔料着色されたカラーフィルターはまた、インクジェット印刷プロセスまたはその他の適切な印刷プロセスで適用することができる。
【0045】
P.Y.74およびP.Y.62を含む本発明の顔料調製物が、溶剤系印刷インク系における、ならびに水性印刷インク系における使用の状況の両方において、US−3759733の実施例14に開示されているように、P.Y.74およびP.Y.168を含む調製物に比較して、利点を示すことは、驚くべきことであった。さらに、本発明の顔料調製物が、プラスチック系およびコーティング系など、印刷インク系とは全く異なる系においてでも、利点を示すことは、驚くべきことであった。
【0046】
プラスチック分野における特性を評価するために、多数の知られているプラスチックの中から、高密度ポリエチレン(HDPE)を選択した。
【0047】
印刷部門における顔料の特性を評価するために、多数の知られた印刷系の中から、ニトロセルロースベースのアルコールエステルグラビア印刷系(NC)および水性、アクリル樹脂ベースのフレキソ印刷系(FP)を選択した。
【0048】
コーティング剤分野における顔料の特性を評価するために、水を含まない、溶剤ベースワニス系において、多数の知られているワニスの中から、セルロースアセトブチレートおよびメラミン樹脂をベースとするポリエステルワニス(PE)、ならびに長油アルキド樹脂をベースとする空気乾燥型ワニス(LA)を選択した。コーティング剤分野における顔料の特性を評価するために、水性ワニス系において、多数の知られているワニス系の中から、水性ポリウレタンベースのワニス(PU)を選択した。
【0049】
電子写真トナーの製造において使用するための顔料調製物の適性評価のためには、水性系における分散性を試験した。このために、水性、ポリ酢酸ビニル(PVA)ベースの白色エマルジョン塗料を選択した。顔料調製物を、水性分散液の形態において、このPVA系中に撹拌して入れる。水性分散液は、顔料調製物17重量%、アニオン分散剤(例えば、スルフェートまたはスルホネート)1.5重量%、および水81.5重量%からなり、および直径0.4から0.6mmを有するセラミックビーズを使用してビーズミリングによって調製される。
【0050】
色強度および彩度をDIN5033、DIN55986、およびDIN53235によって求めた。
【0051】
分散後のミルベースのレオロジーを、以下の5点の尺度に基づいて、目視で評価した。
5 高度に流動性
4 液動性
3 粘性
2 やや硬化
1 硬化
【0052】
粘度は、ミルベースを最終顔料濃度に希釈した後、Rossmann粘度スパチュラ(viscospatula)、エリクセン(Erichsen)からのタイプ301を使用して求めた。印刷インクの粘度は、回転粘度計により測定した。
【0053】
光沢測定は、Byk−Mallinckrodtからのマルチグロス光沢計を使用して、DIN67530(ASTMD 523)により、角度20度で、注型フィルム上で実施した。
【0054】
以下の実施例において、部および百分率は、それぞれ重量による。
【実施例1】
【0055】
a)ジアゾ成分
5−ニトロ−2−アミノアニソール84部を水210部および31%塩酸132.2部中に懸濁させる。懸濁液を氷/水混合物420部で0℃に冷却し、40%強度亜硝酸ナトリウム溶液85.2部を添加することによってジアゾ化した。
b)カップリング剤
水1345部および25%強度水酸化ナトリウム溶液104部を使用して、アセトアセチル−o−アニシジド103.5部を溶解する。ラウリル硫酸ナトリウムの20%強度水性溶液3.5部の添加に続いて、溶液を氷の添加によって10℃に冷却する。カップリング剤を80%酢酸48.1部を添加することによって沈殿させる。次いで、水168部中のマレイン酸変性ロジンエステル20部の溶液および25%強度水酸化ナトリウム溶液27.3部を添加し、80%酢酸を使用して、pHを9.8に調整する。
c)カップリング
ジアゾ成分を1時間の内に、カップリング剤に添加する。
d)顔料分散剤および助剤の添加
80%酢酸6.4部を含む水50部に溶解した、C.I.Pigment Yellow 62、3.9部および水素化牛脂アミン3.9部を添加する。次いで、混合物を80℃で、17時間撹拌する。懸濁液を濾過し、プレスケーキを130℃で乾燥する。
【0056】
PE、LA、およびPU系において、清澄な色相を有する強く着色した透明仕上げが得られる。HDPEシステムにおいて、高い色度(彩度)を有する強い着色が得られる。NCおよびFP系において、清澄な色相、高光沢および高透明性を有する強く着色した印刷物が得られ、印刷インクの粘度は低い。PVA系においては清澄な色相を有する、強く着色した透明着色が得られる。これは、良好な分散性を示す。
【0057】
(比較例1)
C.I.Pigment Yellow 62、3.9部の代わりに、 C.I.Pigment Yellow 168、3.9部を使用することだけが異なる実施例1を実施する。
【0058】
比較例1に勝る本発明の実施例1の利点。
本発明の実施例1を比較例1に対して、種々の系において試験する。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例1は、HDPE系において強調された色強度および彩度;印刷系において緩和されたレオロジー;PE系において強調された色強度を示す。
【実施例2】
【0061】
市販の顔料P.Y.74、380gを顔料分散剤P.Y.62、20gと機械的に混合する。FPおよびNC系において、高純度を有する強く着色した印刷物が得られ、印刷インクの粘度は低い。
【実施例3】
【0062】
市販の顔料P.Y.74、380gを顔料分散剤P.Y.62、40gと機械的に混合する。FPおよびNC系において、高純度を有する強く着色した印刷物が得られ、印刷インクの粘度は低い。
【実施例4】
【0063】
レーキ化されていないP.Y.62の合成
a)ジアゾ成分
o−ニトロアニリン−p−スルホン酸109部を水210mlおよび31%塩酸118ml中に懸濁させる。懸濁液を氷で4℃に冷却し、40%強度亜硝酸ナトリウム溶液65mlでジアゾ化する。
b)カップリング剤
水1345mlおよび25%強度水酸化ナトリウム溶液80ml、およびアセトアセチル−o−トルイジド95.5gを1時間、混合する。系を氷により10℃に冷却し、次いで、カップリング剤を80%酢酸45mlで沈殿させる。酢酸を使用して、pHを6.0に調整する。
c)カップリング
ジアゾ懸濁液を、カップリング材料の懸濁液の表面下に添加する。カップリング懸濁液を濾過し、水で洗浄する。これにより、非レーキ化P.Y.62の30%水湿潤プレスケーキが得られる。
【実施例5】
【0064】
a)ジアゾ成分
5−ニトロ−2−アミノアニソール42部を水105部および31%塩酸59ml中に懸濁させる。懸濁液を氷で0℃に冷却し、40%強度亜硝酸ナトリウム溶液33mlを添加することによってジアゾ化する。
b)カップリング剤および顔料分散剤
水672mlおよび25%強度水酸化ナトリウム溶液40mlを使用して、アセトアセチル−o−アニシジド51.7部を溶解する。ラウリル硫酸ナトリウムの30%強度水性溶液1.8部の添加に続いて、溶液を氷の添加によって10℃に冷却する。カップリング剤を80%酢酸22mlを添加することによって沈殿させる。酢酸でpHを6から7に調整する。次いで、水84ml中のマレイン酸変性ロジンエステル10部の溶液および25%強度水酸化ナトリウム溶液10.5mlを添加し、80%酢酸でpHを9.8に調整する。実施例4によって生成された非レーキ化P.Y.62の30%水湿潤プレスケーキの3.2部を添加する。
c)カップリング
ジアゾ成分を1時間の内に、カップリング剤に添加する。
d)助剤の添加および顔料分散剤のレーキ化
ココアミン4.8部を添加する。次いで、水30部に溶解した塩化カルシウム0.3部を添加する。溶液を水蒸気で80℃に加熱し、80℃で17時間撹拌する。懸濁液を濾過し、プレスケーキを130℃で乾燥する。
【0065】
清澄な色相、高光沢および透明性を有する強く着色された印刷物が、NC系において得られる。印刷インクの粘度は低い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース顔料として式(I)のC.I.Pigment Yellow 74、および顔料分散剤として式(II)のC.I.Pigment Yellow 62
【化1】

を含む顔料調製物。
【請求項2】
a)C.I.Pigment Yellow 74を50重量%から99.9重量%
b)C.I.Pigment Yellow 62を0.1重量%から25重量%
c)助剤を0重量%から25重量%
含み、それぞれの成分の割合は、調製物の総重量(100重量%)に基づく、請求項1に記載の顔料調製物。
【請求項3】
a)C.I.Pigment Yellow 74を60重量%から99.5重量%、
b)C.I.Pigment Yellow 62を0.5重量%から15重量%、
c)助剤を0.1重量%から15重量%
含み、それぞれの成分の割合は、調製物の総重量(100重量%)に基づく、請求項1または2に記載の顔料調製物。
【請求項4】
a)C.I.Pigment Yellow 74を65重量%から99重量%、
b)C.I.Pigment Yellow 62を1重量%から10重量%
c)助剤を0.1重量%から15重量%
含み、それぞれの成分の割合は、調製物の総重量(100重量%)に基づく、請求項1から3の一項以上に記載の顔料調製物。
【請求項5】
ベース顔料および顔料分散剤、および、適宜、助剤または助剤類を互いに混合することを含む、請求項1から4の一項以上に記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項6】
顔料分散剤およびベース顔料を一緒に合成することを含む、請求項1から4の一項以上に記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項7】
プラスチック、樹脂、ワニス、塗料、電子写真トナーおよび展色剤、エレクトレット材料、カラーフィルター、ならびにインクジェットインクおよび印刷インクを含むインク、ならびにシードなど、天然または合成由来の高分子量有機材料を顔料着色するための請求項1から4の一項以上に記載の顔料調製物の使用。
【請求項8】
溶剤系および水性印刷インク系を顔料着色するための請求項7に記載の使用。

【公表番号】特表2007−516325(P2007−516325A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543466(P2006−543466)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013946
【国際公開番号】WO2005/056695
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】