説明

CNS障害の処置のための、5−HT6受容体アンタゴニストとしての3−((ヘテロ)アリールスルフォニル)−8−((アミノアルキル)オキシ)キノリン

本発明は、新規キノリン誘導体、例えば、式(I)の化合物:


(I)
および該化合物またはその医薬組成物のCNS障害および他の障害の処置における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性を有する新規キノリン化合物、その製造方法、それを含む組成物、およびCNS障害および他の障害の処置におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第02262627号(Japan Synthetic Rubber Co)は、波長交換因子として有用な一連の置換キノリン誘導体を記載する。国際公開第00/42026号パンフレット(Novo Nordisk)は、GLP−1アゴニストとして使用する一連のキノリンおよびキノキサリン化合物を記載する。国際公開第04/000828号パンフレット(Biovitrum AB)は、5−HT受容体関連の障害の処置または予防に有用であると主張される、一連の二環式スルホンまたはスルホンアミド化合物を記載する。国際公開第00/71517号パンフレットは、抗うつ薬として有用であると主張される5−HT1A受容体アンタゴニストとしての一連のフェノキシプロピルアミン化合物を記載する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
5−HT受容体についてのアンタゴニスト力価も有する、構造的に新規な化合物のクラスが今回見出された。従って、本発明は、第一の態様において式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩:
【化1】

[式中、Rは式−NR基または1個またはそれ以上(例えば、1〜4個)のC1−6アルキル基で置換されていることがある窒素含有複素環基を表し;
Xは結合、−(CR)−、−(CR)−(CR)−、−(CR)−(CR)−(CR)−、または1個またはそれ以上(例えば、1〜4個)のC1−6アルキル基で置換されていることがあってもよい複素環を表し、Rが−NRである場合には、Xは結合でも−(CR)−でもなく;
、R、R、R、R、R、RおよびRは独立して水素またはC1−6アルキルを表し;
は、ハロゲン、シアノ、−CF、−CFO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルまたは−CONR基を表し;
nは0〜3を表し;
およびRは、独立して水素、ハロゲン、シアノ、−CF、−CFO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルまたは−CONR基を表し;
およびRは、独立して水素またはC1−6アルキルまたはそれらが結合しているN原子と一緒になって縮合し、OもしくはS原子により隔たれることがある5−もしくは7−員のN含有芳香族または非芳香族複素環式環を形成してもよく;
Aは、−アリール、−ヘテロアリール、−アリール−アリール、−アリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−アリールまたは−ヘテロアリール−ヘテロアリール基を表し;
ここで、上記したAのアリールおよびヘテロアリール基は、同一もしくは異なっていてもよい、1個またはそれ以上(例えば、1、2または3個)の、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−6アルキル、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ペンタフルオロエチル、C1−6アルコキシ、アリールC1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホンアミド、C1−6アルキルアミド、C1−6アルキルスルホンアミドC1−6アルキル、C1−6アルキルアミドC1−6アルキル、アリールスルホンアミド、アリールカルボキサミド、アリールスルホンアミドC1−6アルキル、アリールカルボキサミドC1−6アルキル、アロイル、アロイルC1−6アルキル、アリールC1−6アルカノイル、およびCONR基またはSONR基(ここで、RおよびRは、独立して水素またはC1−6アルキルであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素含有複素環またはヘテロアリール基を形成してもよい)から成る群から選択される置換基で置換されていることがあってもよい]
、もしくはその溶媒和物を提供する。
【0004】
アルキル基は、単独もしくは他の基の一部としてのいずれにおいても、直鎖もしくは分岐鎖であってよく、アルコキシ基およびアルカノイル基は同様に解釈されるべきである。1つの実施形態において、アルキル部分は、C1−4アルキル、例えばメチルもしくはエチルである。
【0005】
用語「シクロアルキル」は、閉環の4〜8員の非−芳香族環、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルもしくはシクロヘプチル、またはシクロオクチルを意味する。
【0006】
用語「ハロゲン」は、特に記載しない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素から選択される基を表すために本明細書にて用いられる。
【0007】
用語「アリール」は、単環および縮合環、例えばフェニルもしくはナフチルを含む。
【0008】
用語「ヘテロアリール」は、酸素、窒素または硫黄から選択される1個〜3個のヘテロ原子を含む、5〜7員の単環式芳香族環または8〜10員の縮合二環式芳香族環を意味するものである。そのような単環式芳香族環の適切な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニルおよびピリジルが含まれる。そのような縮合二環式芳香族環の適切な例としては、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、インドリル、インダゾリル、ピロロピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリルおよびその類似物が挙げられる。ヘテロアリール基は、前記のように、炭素原子または以上で特に示したものを除き、存在する場合には適切な窒素原子を介して残りの分子と結合されていてもよい。
【0009】
上記のアリールまたはヘテロアリール基は、1つ以上の置換基を有し、その置換基が結合して環を形成しても良く、例えばカルボキシル基とアミン基とが結合してアミド基を形成しても良いことは、認められよう。
【0010】
用語「複素環」は、酸素、窒素もしくは硫黄から選択される1個〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員の単環式飽和脂肪族環または部分不飽和脂肪族環;ベンゼンもしくは単環式へテロアリール環に縮合される(縮合環と称される)、酸素、窒素もしくは硫黄から選択される1個〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員の単環式飽和または部分不飽和脂肪族環;あるいは、8員の二環式飽和窒素含有脂肪族環を意味するものである。このような単環式環の適切な例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、ジアゼパニル、アゼパニル、ジヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアピラニルおよびテトラヒドロフラニルを含む。縮合環の適切な例は、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロベンズアゼピニルおよびテトラヒドロイソキノリニルを含む。8員二環式飽和窒素含有脂肪族環の適切な例はアザビシクロ[2.2.2]オクチルである。
【0011】
用語「窒素含有複素環」は、窒素原子を含む上記のいずれかの複素環基を表すものである。
【0012】
用語「窒素含有ヘテロアリール」は、窒素原子を含む上記のいずれかのヘテロアリールを表すものである。
【0013】
用語「窒素含有非芳香族複素環式環」は、1個〜3個の窒素原子を含み、酸素もしくは硫黄原子によりさらに隔たれることがある5〜7員の単環式飽和または部分不飽和脂肪族環を意味するものである。このような環の適切な例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、ジアゼパニル、アゼパニルおよびジヒドロイミダゾリルを含む。
【0014】
用語「窒素含有芳香族複素環式環」は、1個〜3個の窒素原子を含み、酸素原子もしくは硫黄原子によりさらに隔たれることがある、いずれかの5〜7員の芳香族単環式環を意味するものである。そのような環の適切な例は、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジニルおよびチアジニルを含む。
【0015】
1つの実施形態において、Rは、式NR基を表し、ここでRおよびRは独立して水素もしくはメチル基を表す。
【0016】
1つの実施形態において、Rは、1個またはそれ以上のC1−3アルキル基で置換されていることがある5−〜8−員の窒素含有複素環式基を表す。
【0017】
1つの実施形態において、RはNRを表し、ここでRaおよびRbは独立して水素またはメチルであるか;あるいは、いずれかがメチルもしくはイソプロピルにより置換されていることがあってもよいピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルまたはアゼピニルから選択される窒素含有複素環基
である。
【0018】
1つの実施形態において、Xは、結合、−(CR)−、−(CR)−(CR)−、−(CR)−(CR)−(CR)−またはテトラヒドロフラニル環を表し;Rが−NRを表す場合には、Xは結合でも−(CR)−でもない。
【0019】
1つの実施形態において、Xは結合、−CH−、−CH−CH−または−C(H)(Me)−C(H)(Me)−を表す。
【0020】
1つの実施形態において、R−X−は、−(CH−N(Me)、−CH−(1−メチル−2−ピロリジニル)、−CH−(2−ピロリジニル)、−(CH)2−(1−ピロリジニル)、−3−ピロリジニル、−C(H)(Me)−C(H)(Me)−N(Me)、−(CH−(1−ピペリジニル)、−(CH−(4−モルホリニル)、−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル、−(CH−(1−ピペリジニル)、−(CH−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)、−4−アミノ−テトラヒドロ−3−フラニル)、−4−ジメチルアミノ−テトラヒドロ−3−フラニル、−3−ピペリジニル、−4−ピペリジニル、−1−メチル−3−ピロリジニル、−1−メチル−4−ピペリジニル、−CH−(アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)、−1−メチル−3−ピペリジニル、−CH−(3−モルホリニル)、−CH−(1−メチルエチル−2−ピロリジニル)または−C(H)(Me)−CH−N(Me)を表す。
【0021】
1つの実施形態において、R−X−は−(CH−N(Me)、−CH−(1−メチル−2−ピロリジニル)、−CH−(2−ピロリジニル)、−(CH−(1−ピロリジニル)、−3−ピロリジニルまたは−C(H)(Me)−C(H)(Me)−N(Me)を表す。
【0022】
1つの実施形態において、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、独立して水素またはメチル基を表す。
【0023】
1つの実施形態において、RおよびRは、ともにC1−6アルキル(例えば、メチル)を表す。
【0024】
1つの実施形態において、RおよびRは、ともに水素であるか、あるいは一方が水素であり、他方がC1−6アルキル(例えば、メチル)である。
【0025】
1つの実施形態において、RおよびRは、ともに水素であるか、あるいは一方が水素であり、他方がC1−6アルキル(例えば、メチル)である。
【0026】
1つの実施形態において、nはゼロを表す。
【0027】
1つの実施形態において、nは1を表し、Rはハロゲンを表す。
【0028】
1つの実施形態において、nは1を表し、Rは塩素を表す。
【0029】
1つの実施形態において、RおよびRはともに水素を表す。
【0030】
1つの実施形態において、Aは、1つまたはそれ以上のハロゲン(例えば、塩素)原子により置換されていることがある−アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール(例えば、ピリジル)を表す。
【0031】
さらなる実施形態において、Aは、ハロゲン(例えば、塩素)原子により置換されていることがある−アリール(例えば、フェニル)を表す。
【0032】
さらなる実施形態において、Aは置換されていないフェニルを表す。
【0033】
よりさらなる実施形態において、式(Ia)の化合物または医薬上許容されるその塩が提供される
【化2】

[式中:
は、式NR基、またはそのいずれかがメチルもしくはイソプロピルにより置換されていることがあってもよいピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルもしくはアゼピニルから選択される窒素含有複素環基を表し;
Xは、結合、−(CR)−、−(CR)−(CR)−、−(CR)−(CR)−(CR)−またはテトラヒドロフラニル環を表し;Rが−NRである場合には、Xは結合でも−(CR)−でもない;
、R、R、R、R、R、RおよびRは独立して水素またはメチル基であり;
は水素またはハロゲンであり;および
Aは、1つまたはそれ以上のハロゲン原子により置換されていることがあるフェニルである]。
【0034】
本発明に関する化合物は、以下に示される実施例E1−E27、または医薬上許容されるその塩を含む。
【0035】
式(I)の化合物は、その酸付加塩を形成することができる。医薬における使用のために、式(I)の化合物を医薬上許容されるものにすべきであることは認められよう。適切な医薬上許容される塩は、当業者により理解され、J. Pharm. Sci.、1977、66、1-19に記載のもの、例えば、無機酸、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸;および有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸を用いて形成される酸付加塩を含む。本発明は、全ての可能性のある化学量論および非化学的量論の形態をその範囲内に含む。
【0036】
式(I)の化合物は、結晶性型または非結晶性型に調製することができ、結晶性の場合、例えば水和物として溶解されることがあってもよい。本発明は、化学両論的な溶媒和物(例えば、水和物)ならびに不定量の溶媒(例えば、水)を含む化合物をその範囲内に含む。
【0037】
特定の式(I)の化合物は、立体異性体(例えば、ジアステレオマーおよびエナンチオマー)で存在する可能性があり、本発明は、これらの立体異性体およびラセミ体を含むその混合物のそれぞれに及ぶ。異なる立体異性体は、通常の方法により他方から一方を分離することができ、あるいは、いずれか所定の異性体は立体特異的合成または不斉合成により得ることができる。本発明はまた、いずれかの互変異性型およびその混合物に及ぶ。
【0038】
本発明はまた、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩の製造方法を提供し、その方法は:
(a)式(II)の化合物
【化3】

[式中、R、R、R、nおよびAは前記と同意義であり、Lは遊離基、例えばハロゲン原子またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基を表す]または保護されていることがあるその誘導体を;式R−X−OHの化合物[式中、RおよびXは前記と同意義である]または保護されていることがあるその誘導体と反応させ、場合によりその後に保護基を取り除くか;または
(b)式(III)の化合物
【化4】

[式中、R、R、R、nおよびAは前記と同意義である]または保護されていることがあるその誘導体を;式R−X−Lの化合物[式中、RおよびXは前記と同意義であり、Lは脱離基、例えば、ハロゲン原子またはメチルスルホニルオキシ基を表す]または保護されていることがあるその誘導体と反応させ、場合によりその後に保護基を取り除くか;あるいは
(c)以上で定義される式(III)の化合物または保護されていることがあるその誘導体を、以上で定義される式R−X−OHまたは保護されていることがあるその誘導体と反応させ、場合によりその後に保護基を取り除き;
(d)保護されている式(I)の化合物を脱保護し;
(e)式(I)の他の化合物および/または医薬上許容される塩への相互変換および/または溶媒和物を形成すること、
を含む。
【0039】
工程(a)は、典型的には塩基性条件を使用することを含み、適切な溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシド中の式(II)の化合物[式中、Lはフッ素原子を表す]および式R−X−OHの化合物のアルカリ金属塩を用いて通常に実施することができる。式R−X−OHの化合物のアルカリ金属塩は、適切な水素化アルカリ金属、例えば、水素化ナトリウムを用いて形成することができる。別には、工程(a)は、適切な溶媒、例えばトルエン中の塩、例えば炭酸セシウムおよび適切な銅塩、例えばヨウ化銅(I)の存在下で、式(II)の化合物[式中、Lはヨウ素原子を表す]を用いて通常に実施することができる。工程(a)は、高温、例えば90−110℃で実施することもできる。
【0040】
工程(b)は、塩基性条件の使用を典型的に含み、(i)適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中の、適切な水素化アルカリ金属、例えば水素化ナトリウムを用いて形成される式(III)の化合物のアルカリ金属塩を用いるか、あるいは(ii)適切な溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトンまたは2−ブタノン中の塩、例えば炭酸カリウムを用いることで通常に実施されることができる。工程(b)は、高温で、例えば還流温度または90−110℃で実施することもできる。
【0041】
工程(c)は、適切な溶媒、例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中の適切な置換ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンと適当なアゾジカルボニル試薬、例えばジエチルジアゾジカルボキシレートを用いる、ミツノブ条件の使用を典型的に含む。
【0042】
工程(a)、(b)、(c)および(d)において、保護基およびその除去の方法の例は、T. W. Greene 「Protective Groups in Organic Synthesis」 (J. Wiley and Sons、1991)において見出すことができる。適切なアミン保護基は、必要に応じて加水分解により(例えば、塩酸などの酸を用いて)、または還元状態(例えば、ベンジル基の水素添加分解もしくは酢酸中の亜鉛を用いた2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル基の還元除去)により除去することができる、スルホニル(例えば、トシル)、アシル(例えば、アセチル、2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはt−ブトキシカルボニル)およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)を含む。他の適切なアミン保護基は、塩基触媒加水分解により除去することができるトリフルオロアセチル(−COCF)、または例えばトリフルオロ酢酸を用いた酸触媒加水分解により除去することができる固相樹脂結合(solid phase resin bound)ベンジル基、例えばメリフィールド(Merrifield)樹脂結合2,6−ジメトキシベンジル基(エルマン・リンカー)を含む。更なるアミン保護基は、N−脱アルキルについての標準的な方法(例えば、塩基性条件下での1−クロロギ酸クロロエチル、次いでメタノールを用いた処理)を用いて除去することができる、メチルを含む。
【0043】
工程(e)は、慣用の相互変換手順、例えばエピマー化、酸化、還元、還元的アルキル化、アルキル化、求核もしくは求電子芳香族置換、エステル加水分解またはアミド結合形成を用いて実施することができる。例えば、式(I)の化合物のN−脱アルキル化[式中、Rはアルキル基を表す)により、式(I)の化合物[式中、Rは水素を表す]が得られる。このような相互変換は、相互変換の後に続いて脱保護することができる、保護された式(I)の誘導体の相互変換であってよいことは理解されよう。
【0044】
式(II)の化合物は、国際公開第03/080580号パンフレットに記載されるように調製することができる。
【0045】
式(II)の化合物[式中、Lはフッ素または塩素原子を表す]は、式(IV)の化合物
【化5】

[式中、L1aはフッ素もしくは塩素原子であり、Lは適切な脱離基、例えばヨウ素原子であり、R、R、R、およびnは、上記と同意義である]を;リガンド、例えばN,N’−ジメチル−エチレン−1,2−ジアミンを含むことがある適切な溶媒、例えばジメチルスルホキシド、無水N,N−ジメチルホルムアミドまたは1,4−ジオキサン中の銅(I)塩、例えば銅(I)トリフレート若しくはヨウ化銅(I)の存在下で、また場合により炭酸カリウムなどの塩の存在下で、式A−SO−Mの化合物[式中、Aは上記と同意義であり、Mは金属残基、例えばナトリウム塩もしくはカリウム塩]と反応させることによって調製することができる。
【0046】
式(III)の化合物は、式(V)の化合物
【化6】

[式中、L、R、R、R、およびnは、上記と同意義であり、Pは適切な保護基、例えばトリアルキルシリルエチル基(例えばトリメチルシリルエチル)またはトリフルオロメチルスルホニルオキシ基を表す]と、上記と同意義の式A−SO−Mの化合物とを、式(II)の化合物を調製するために用いたものと同様の様式で反応させ;そして、その後に保護基を除去することによって(例えば、Pがトリアルキルシリルエチル基を表す場合、かかる脱保護はフッ化アルカリ金属塩またはフッ化テトラアルキルアンモニウム塩(例えばフッ化テトラブチルアンモニウム)を用いて典型的に行われてもよい)、調製することができる。
【0047】
式(IV)の化合物[式中、Lはヨウ素原子を表す]は、式(VI)の化合物
【化7】


[式中、L1a、R、R、Rおよびnは上記と同意義である]を;適切な溶媒、例えば酢酸中のヨウ素化試薬、例えばN−ヨードスクシンイミドと反応させることによって調製することができる。
【0048】
式(V)の化合物[式中、Lはヨウ素原子を表す]は、式(VII)の化合物
【化8】


[式中、R、R、R、nおよびPは上記と同意義である]を;適切な溶媒、例えば酢酸中のヨウ化試薬、例えばN−ヨードスクシンイミドと反応させることによって調製することができる。
【0049】
式(V)の化合物はまた、上記と同意義の式(IV)の化合物から、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中の塩、例えば水素化ナトリウムの存在下において、式P−OHの化合物[式中、Pは上記と同意義である]との反応によっても調製することができる。
【0050】
式(VI)および(VII)の化合物は、文献公知であるか、もしくは類似の方法により調製することができる。
【0051】
医薬上許容される塩は、適当な酸または酸誘導体との反応により通常に調製することができる。
【0052】
式(I)の化合物および医薬上許容されるその塩は、5−HT受容体に対する親和性を有し、特定のCNS障害、例えば不安症、うつ病、癲癇、強迫性障害、片頭痛、認知記憶障害(例えば、アルツハイマー病、加齢関連の認識衰退(age related cognitive decline)、軽度認識障害(mild cognitive impairment)および血管性認知症)、パーキンソン病、ADHD(注意欠陥障害/多動性症候群)、睡眠障害(概日周期の乱れを含む)、摂食障害、例えば食欲不振および過食症、パニック発作、コカイン、エタノール、ニコチンおよびベンゾジアゼピンなどの薬物乱用からの脱薬症状、統合失調症(特に、統合失調症の認知障害)、脳卒中の処置に、並びに脊椎外傷および/または頭部損傷、例えば水頭症に関連する障害の処置にも使用可能であると考えれる。本発明の化合物はまた、特定のGI(胃腸)障害、例えばIBS(過敏性腸症候群)の処置における使用も期待される。本発明の化合物はまた、肥満症の処置における使用も期待される。
【0053】
従って、本発明は、治療剤としての、特に上記障害の処置または予防での使用のための、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩もまた提供する。特に、本発明は、うつ病、不安症、アルツハイマー病、加齢関連の認識衰退、ADHD、肥満症、軽度認識障害、統合失調症、統合失調症における認知障害および脳卒中の処置での使用のための、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩を提供する。
【0054】
本発明は、さらに、ヒトを含む哺乳動物における上記障害の処置もしくは予防方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0055】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩の、上記障害の処置もしくは予防における使用のための医薬品製造における使用を提供する。
【0056】
5−HTアンタゴニストは、国際公開第03/066056号パンフレットに記載のように、脳領域、例えば、ラットの内側の側頭葉および関連する海馬における基底および学習誘導性(learning-induced)の増大するポリシアル酸神経細胞出現率を可能とする潜在能力を有する。従って、本発明の更なる態様に関して、我々は、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩を投与する工程を含む、哺乳動物の中枢神経系内での神経細胞成長を促進する方法を提供する。
【0057】
治療に式(I)の化合物を使用するために、それらは通常、標準的な医薬慣行に従って医薬組成物中に製剤化される。本発明は、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体を含む、医薬組成物をもまた提供する。
【0058】
好ましくは、周囲温度および常圧下で混和により製剤化することができる、本発明の医薬組成物は、通常、経口、非経口または直腸投与に適用され、そのようなものとして、錠剤、カプセル剤、経口液体製剤、散剤、粒剤、ロゼンジ、再構成型散剤、注射もしくは注入型液剤または懸濁剤、または坐剤の剤型であり得る。経口投与組成物が一般的に好ましい。
【0059】
経口投与のための錠剤およびカプセル剤は、単一投与剤型であり、慣用の賦形剤、例えば結合剤、充填剤、錠剤用滑潤剤、崩壊剤および許容される湿潤剤を含んでいてもよい。錠剤は、通常の医薬慣行で周知の方法に従って被覆されていてもよい。
【0060】
経口溶液製剤は、例えば、水性もしくは油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの剤型であってよく、使用前の水もしくは他の適切な媒体を用いた再構成のための乾燥品の剤型であってもよい。そのような溶液製剤は、典型的な添加剤、例えば懸濁化剤、乳化剤、非−水性媒体(食用油を含んでいてもよい)、保存剤、および要すれば典型的な香料または着色料を含んでいてもよい。
【0061】
非経口投与について、流動性単位投与剤型は、本発明の化合物または医薬上許容されるその塩、および滅菌媒体を利用して調製される。用いられる媒体および濃度に依存して、本化合物は、媒体中に懸濁されても溶解されても良い。液剤を調製するのに、本化合物は、適切なバイアルもしくはアンプル中に充填し密閉する前に、注射用に溶解され、ろ過滅菌されることができる。好都合に、補助剤、例えば局部麻酔薬、保存剤および緩衝化剤が媒体に溶解される。安定性を向上させるために、本化合物は、バイアル中に密閉した後に凍結し、真空下で水を除去することができる。非経口投与懸濁剤は、化合物を溶解させる代わりに、媒体中に懸濁し、ろ過による滅菌を行わないことを除き、実質的に同様の様式で調剤される。本化合物は、滅菌媒体での懸濁の前に、エチレンオキシドに曝すことによって滅菌することができる。好都合に、界面活性剤または潤滑剤が、本化合物の一様分散を容易にするために本組成物中に含まれる。
【0062】
組成物は、投与方法に応じて、体重あたり0.1%〜99%の活性物質、好ましくは体重あたり10%〜60%の活性物質を含み得る。
【0063】
上記の処置に用いられる化合物の用量は、障害の重篤度、患者の体重および他の類似の要因に応じて通常の方法にて変更される。しかしながら、一般手引きとして、適切な単位用量は0.05〜1000mgであり、より好ましくは0.05〜200mg、例えば、20〜40mgであり;そのような単位用量は、1日に1度投与することが好ましいが、1日に1回以上の投与を要することもでき;そのような治療は、数週間または数ヶ月間に及ぶことがあり得る。
【0064】
それぞれ個々の刊行物が明確にかつ個別に示されることで、完全に記載されたように出典明示により本明細書の一部とされるように、本明細書中で引用される特許および特許出願(制限されるものではないが)を含む全ての刊行物は、出典明示により本明細書の一部とされる。
【0065】
以下の記載例および実施例は、本発明の化合物の調製を例示する。
【0066】
記載例1
8−フルオロ−3−ヨードキノリン(D1)
N−ヨードスクシンイミド(8.1g、36.0mmol、2当量)をAcOH(13.25ml、5容量)中の8−フルオロキノリン(2.65g、18.0mmol)溶液に加えた。混合物を攪拌し、油浴中に置き、次いでそれを80℃まで加熱した。20時間25分後、フラスコを油浴から取り出し、室温まで冷却した。CHCl(13.5ml)を加え、溶液を10% w/v NaSO3(水性)(23.5ml)、次いでHO(13.5ml)で洗浄し、その後減圧下にて濃縮した。粗生成物をシリカに予め吸収させて、19:1 イソヘキサン/EtOAc 1%EtNで溶出するカラムクロマトグラフィーを介して精製し、8−フルオロ−3−ヨードキノリン(D1)を白色固体(3.46g、12.7mmol、70%)として得た。
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.40-7.45 (1H, m, ArH), 7.50-7.52 (2H, m, ArH), 8.58 (1H, t, J 1.7 Hz, ArH), 9.09 (1H, d, J 2.0 Hz, ArH)。
【0067】
記載例2
8−フルオロ−3−(フェニルスルホニル)キノリン(D2)
フラスコにヨウ化銅(I)(70mg、0.366mmol、0.1当量)、8−フルオロ−3−ヨードキノリン(D1)(1.00g、3.66mmol)、フェニルスルホン酸ナトリウム塩(1.56g、10.98mmol、3当量)および炭酸カリウム(1.01g、7.32mmol、2当量)を充填した。DMSO(5ml)に次いでN,N’−ジメチルエチレン−1,4−ジアミン(0.078ml、0.2当量)を加え、混合物を攪拌し、油浴中におき、それを90℃まで加熱した。
3時間半加熱した後、フラスコを油浴から取り出し、室温まで冷却した。混合物を濾過し、ケークをDMSO(2×2ml)で洗浄し、次いでケークを水(4ml)でスラリーにし、濾過し、次いで水(2×2ml)で洗浄し、吸引乾燥させ、さらに50℃で減圧下にて乾燥させて8−フルオロ−3−(フェニルスルホニル)キノリン(D2)をオフホワイト固体(0.485g、46%)として得た。
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 7.54-7.67 (5H, m, ArH), 7.78 (1H, d, J 8.3 Hz, ArH), 8.04 (2H, m, ArH), 8.85 (1H, m, ArH), 9.31 (1H, d, J 2.0 Hz, ArH)。
【0068】
実施例1a
[2−(3−フェニルスルホニルキノリン−8−イルオキシ)エチル]ジメチルアミン(E1a)
【化9】

丸底フラスコにヨウ化銅(I)(10mg、0.05mmol)、炭酸セシウム(500mg、1.53mmol)、2−ジメチルアミノエタノール(68mg、0.76mmol)および3−フェニルスルホニル−8−ヨードキノリン(300mg、0.76mmol)(国際公開第03/080580号パンフレット)を充填した。次いで、フラスコをアルゴンでパージし、トルエン(5ml)を入れた。攪拌された反応混合物を還流温度で18時間加熱した。反応混合物を冷却し、濾過した。濾液をジクロロメタン(50ml)および水(50ml)の間に分配し、有機層を分離させ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して褐色糊状物を得た。これをジクロロメタン/メタノール(0〜15%)勾配を用いて、シリカ上で精製した。[2−(3−フェニルスルホニルキノリン−8−イルオキシ)エチル]ジメチルアミン(E1a)を淡褐色固体(130mg、48%)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 2.40 (6H, s), 2.96 (2H, t, J = 6.0 Hz), 4.34 (2H, t, J = 6.2 Hz), 7.21-7.25 (2H, m), 7.51-7.56 (4H, m), 8.03 (2H, d, J = 7.1 Hz), 8.77 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.26 (1H, br s)。
【0069】
実施例1b
[2−(3−フェニルスルホニルキノリン−8−イルオキシ)エチル]ジメチルアミン、塩酸塩(E1b)
【化10】

遊離塩基をメタノールに溶かし、EtO中のHClで処理して5分間攪拌することにより塩酸塩(E1b)に変換し、続いて溶媒を除去した。MS: m/z (M+H)+ 357, C19H20N2O3S 理論値356。
【0070】
実施例2a
8−({[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル]メチル}オキシ)−3−(フェニルスルホニル)キノリン(E2a)
【化11】

予め乾燥させた丸底フラスコ中にて、乾燥DMF(1.5ml)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散)(50.4mg、1.26mmol)の懸濁液に、[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル]メタノール(0.15ml、1.26mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。得られた混合物を40℃で5分間攪拌した。乾燥DMF(2ml)中の8−フルオロ−3−(フェニルスルホニル)キノリン(D2)(200mg、0.7mmol)の溶液を1回で添加し、得られた混合物を60℃でアルゴン存在下にて15時間攪拌した。混合物をIsolute Flash SCX カラム(5g吸着剤)に付し、メタノールで洗浄し、次いで、化合物をメタノール中の10%アンモニアで溶出した。残渣を、ジクロロメタン中10%メタノール性アンモニアの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィー(20gシリカゲル)により精製して8−({[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル]メチル}オキシ)−3−(フェニルスルホニル)キノリン(E2a)を黄色固体として得た。 1H NMR (CDCl3) δ 9.27 (1H, d), 8.78 (1H, d), 8.00 (2H, dd), 7.55 (5H, m), 7.21 (1H, dd), 4.23 (1H, dd), 4.08 (1H, dd), 3.14 (1H, dt), 2.93 (1H, m), 2.54 (3H, s), 2.33 (1H, m), 2.15 (2H, m), 1.85 (2H, m)。
【0071】
実施例2b
8−({[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル]メチル}オキシ)−3−(フェニルスルホニル)キノリン、塩酸塩(E2b)
【化12】

遊離塩基をメタノール中に溶かし、EtO中HClで処理して5分間攪拌することにより塩酸塩(E2b)に変換し、続いて溶媒を蒸発させた。質量スペクトル: C21H22N2O3S 理論値 382; 実測値 383 (MH+)
【0072】
実施例3
3−(フェニルスルホニル)−8−{[(2S)−2−ピロリジニルメチル]オキシ}キノリン、塩酸塩(E3)
【化13】

オーブン乾燥させた丸底フラスコ中にて、乾燥DMF(1.5ml)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散)(36.4mg、0.91mmol)の懸濁液に(2S)−2−ピロリジニルメタノール(0.09ml、0.91mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、得られた混合物を40℃で5分間攪拌した。乾燥DMF(2ml)中の8−フルオロ−3−(フェニルスルホニル)キノリン(D2)(200mg、0.7mmol)の溶液を1回で添加し、得られた混合物を60℃でアルゴン存在下にて15時間以上攪拌した。混合物をIsolute Flash SCX カラム(5g吸着剤)に付して、メタノールで洗浄し、次いでメタノール中の10%アンモニアで溶出した。粗物質を、ジクロロメタン中10%メタノール性アンモニアの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィー(20gシリカゲル)により精製して3−(フェニルスルホニル)−8−{[(2S)−2−ピロリジニルメチル]−オキシ}キノリンを得た。
1H NMR (CDCl3) δ 9.26 (1H, d), 8.77 (1H, d), 8.02 (2H, dd), 7.54 (5H, m), 7.22 (1H, dd), 4.17 (1H, dd), 4.08 (1H, dd), 3.74 (1H, m), 3.01 (2H, m), 2.01 (1H, m), 1.86 (2H, m), 1.61 (1H, m)。
この物質をメタノール中に溶かし、HCl(EtO中1M、0.7ml)で処理し、5分間攪拌し、続いて溶媒を蒸発させ、塩酸塩(E3)黄色固体に変換した。
質量スペクトル: C20H20N2O3S 理論値 368; 実測値 369 (MH+)
【0073】
実施例4
3−(フェニルスルホニル)−8−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}キノリン、塩酸塩(E4)
【化14】

この化合物は、2−ジメチルアミノエタノールに代えて2−(1−ピロリジニル)エタノールを用いることを除き、実施例E1aおよび実施例E1bの方法と同様の様式にて調製され、3−(フェニルスルホニル)−8−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}キノリン、塩酸塩(E4)を得た。
質量スペクトル: C21H22N2O3S 理論値 382; 実測値 383 (MH+)
【0074】
実施例5
3−(フェニルスルホニル)−8−[(3R)−3−ピロリジニルオキシ]キノリン、塩酸塩(E5)
【化15】

DMF(2mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、43mg)懸濁液を、DMF(3ml)中の1,1−ジメチルエチル(3R)−3−ヒドロキシ−1−ピロリジンカルボキシレート(1.81mmol、338mg)溶液で滴下処理し、混合物を10分間攪拌した。得られた溶液をDMF(5ml)中の8−フルオロ−3−(フェニルスルホニル)キノリン(D2)(400mg、1.39mmol)で処理した。混合物を16時間60℃に加熱し、次いで冷却し、ジクロロメタン(70mL)に注ぎ、水(50mL)に次いで塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて褐色油状物(764mg)を得た。これを、ペンタン中の酢酸エチル増加線形勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィー(50gカートリッジ)により精製して1,1−ジメチルエチル(3R)−3−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}−1−ピロリジンカルボキシレート(426mg)を得た。これを1,4−ジオキサン中の塩化水素(4M、5ml)で2時間処理し、次いで溶媒を減圧にて除去した。さらに残渣を分取逆相クロマトグラフィーにより精製し、得られた物質を、ジクロロメタンおよびメタノール中10%水性アンモニアの増加勾配を用いて溶出する、シリカゲル上順相クロマトグラフィーにより精製した。得られた固体をメタノール(2ml)およびジエチルエーテル(1M、1ml)中の塩化水素で処理し、続いて蒸発させて3−(フェニルスルホニル)−8−[(3R)−3−ピロリジニルオキシ]キノリン、塩酸塩(E5)を得た。
質量スペクトル: C19H18N2O3S 理論値 354; 実測値 355 (MH+)
【0075】
実施例6−13(E6−E13)
実施例6−13を実施例1または実施例3に記載の手順と同様の様式にて、以下の表中に示される対応するヒドロキシアルキルアミンから調製した。
【表1】

【表2】

【0076】
実施例14
(3S,4R)−N,N−ジメチル−4−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}テトラヒドロ−3−フランアミン、塩酸塩(E14)
【化16】

実施例E13(60mg)から得られる((3S,4R)−4−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}テトラヒドロ−3−フラニル)アミンの遊離塩基型を、1,2−ジクロロエタン(3ml)中ホルマリン(水中37%ホルムアルデヒド、0.2ml)で処理してトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(137mg)を加えた。混合物を18時間攪拌し、次いで、メタノールの次にメタノール中の10%水性アンモニアで溶出するSCXカートリッジ(10g)を通じて濾過して黄色糊状物を得た。これをメタノール(1M)中の塩化水素で処理し、蒸発させた後、(3S,4R)−N,N−ジメチル−4−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}テトラヒドロ−3−フランアミン、塩酸塩(E14)を得た。
質量スペクトル: C21H22N2O4S 理論値 398; 実測値 399 (MH+)
【0077】
実施例15−26(E15−E26)
実施例15−26は、実施例3に記載の手順と同様の様式にて以下の表の対応するヒドロキシアルキルアミンから調製するか、または実施例14に記載の手順と同様の様式にて以下の表中に記載の実施例番号のカルボニル化合物および親アミンを用いて調製した。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

*E20について: 1H NMR (CD3OD): 2.30-2.45 (m, 2H), 3.67-3.73 (m, 1H), 3.84-3.92 (m, 2H), 4.02-4.15 (m, 1H), 5.50-5.54 (m, 1H), 7.64-7.72 (m, 2H), 7.85 (d, J = 7Hz, 1H), 7.95-8.05 (m, 2H), 8.10-8.20 (m, 2H), 8.23 (d, J = 9Hz, 1H), 9.45 (br s, 1H), 9.76 (br s, 1H).
【0078】
実施例27
5−クロロ−3−(フェニルスルホニル)−8−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}キノリン塩酸塩(E27)
【化17】

酢酸(2mL)中の3−(フェニルスルホニル)−8−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}キノリン(0.1g、0.26mmol)の攪拌溶液に、N−クロロスクシンイミド(38mg、0.29mmol)を1回で添加し、得られた混合物を18時間100℃に加熱した。周囲温度に冷却後、反応混合物を減圧にて濃縮し、続いて分取HPLCにより精製した。得られた混合物を1M HCl/EOで処理して標記化合物をベージュ色固体(35mg)として得た。質量スペクトル: C21H21N2O3SCl 理論値 416/418;
実測値 417/419 (MH+)
【0079】
薬理データ
本発明の化合物は以下のシクラーゼアッセイに従って、インビトロ生物学的活性について試験することができる:
シクラーゼアッセイ
100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中の0.5mlの試験化合物を、白色固形384ウェルアッセイプレート(用量応答測定について、濃度範囲の最高値は最終濃度7.5mM)に加えた。基本バッファ(50mM HEPES pH7.4(KOH)、10mM MgCl、100mM NaCl、1ml/ml 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)(シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich))中の10μlのヒーラ(HeLa)5HT細胞の洗浄された膜(調製については、国際公開第98/27081号パンフレットを参照のこと)を全てのウェルに加え、続いて5−HT(4×EC50の用量応答と等濃度にて)を含む2×ATPバッファ(100μl/ml ATPおよび1μl/ml 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)(シグマ−アルドリッチ))10μlを加えた。次いで得られた混合物を、cAMPを生産させるために、室温で30−45分間インキュベートした。
【0080】
次いでcAMP生産物をDiscoveRx(登録商標)HitHunter(登録商標)化学ルミネセンスcAMPアッセイキット(DiscoveRx Corporation, 42501 Albrae Street, Fremont, CA 94538; 生産コード: 90-0004L)または他の全ての適切なcAMP測定アッセイにより測定した。
【0081】
IC50値は、パーキンエルマーViewlux装置からの任意指定単位(ADU)測定器から、エクセル(EXCEL)中の4つのパラメータのロジスティック曲線フィットを用いて、評価した(Bowen, W.P.およびJerman, J.C. (1995)、Nonlinear regression using spreadsheets. Trends in Pharmacol. Sci., 16, 413-417)。関数のK値はCheng, Y.C.およびPrussof, W.H. (Biochemical Pharmacol (1973) 22 3099-3108)の方法を用いて計算した。pIC50およびfpKは、それぞれモル濃度IC50および関数Kの逆log10である。
【0082】
実施例E1b、E2bおよびE3−E27の化合物を、前記シクラーゼアッセイにて試験した。実施例E1b、E2b、E3−E7、E15、E17およびE22−E24の化合物は、ヒトクローン5−HT受容体においてfpKi値>8.0を示し、5−HT受容体のアンタゴニスト潜在能を有した。他の全ての実施例の化合物もまた、ヒトクローン5−HT受容体においてfpKi値≧7.0および<8.0を示し、5−HT受容体のアンタゴニスト潜在能を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩:
【化1】

[式中、Rは式−NR基、または1個もしくはそれ以上(例えば、1〜4個)のC1−6アルキル基で置換されていることがある窒素含有複素環基を表し;
Xは結合、−(CR)−、−(CR)−(CR)−、−(CR)−(CR)−(CR)−、または1個またはそれ以上(例えば、1〜4個)のC1‐6アルキル基で置換されていることがあってもよい複素環を表し、Rが−NRである場合には、Xは結合でも−(CR)−でもなく;
、R、R、R、R、R、RおよびRは独立して水素またはC1−6アルキルを表し;
は、ハロゲン、シアノ、−CF、−CFO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルまたは−CONR基を表し;
nは0〜3を表し;
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、−CF、−CFO、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルまたは−CONR基を表し;
およびRは、独立して、水素またはC1−6アルキルまたはそれらが結合しているN原子と一緒になって縮合し、OもしくはS原子により隔たれることがある5−もしくは7−員のN含有芳香族または非芳香族複素環式環を形成してもよく;
Aは、−アリール、−ヘテロアリール、−アリール−アリール、−アリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−アリールまたは−ヘテロアリール−ヘテロアリール基を表し;
ここで、上記したAのアリールおよびヘテロアリール基は、同一もしくは異なっていてもよい、1個またはそれ以上(例えば、1、2または3個)の、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−6アルキル、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ペンタフルオロエチル、C1−6アルコキシ、アリールC1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニルオキシ、C1−6アルキルスルホニルC1−6アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニルC1−6アルキル、C1−6アルキルスルホンアミド、C1−6アルキルアミド、C1−6アルキルスルホンアミドC1−6アルキル、C1−6アルキルアミドC1−6アルキル、アリールスルホンアミド、アリールカルボキサミド、アリールスルホンアミドC1−6アルキル、アリールカルボキサミドC1−6アルキル、アロイル、アロイルC1−6アルキル、アリールC1−6アルカノイル、およびCONR基またはSONR基(ここで、RおよびRは、独立して水素またはC1−6アルキルであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素含有複素環またはヘテロアリール基を形成してもよい)から成る群から選択される置換基で置換されていることがあってもよい]
または、その溶媒和物。
【請求項2】
Aが1個またはそれ以上のハロゲン原子またはヘテロアリールにより置換されていることがあるアリールを表すところの、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
が、RaおよびRが独立して水素もしくはメチルであるNR;またはメチルもしくはイソプロピルにより置換されていることがあるピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルまたはアゼピニルから選択される窒素含有複素環基を表すところの、請求項1または2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
[2−(3−フェニルスルホニルキノリン−8−イルオキシ)エチル]ジメチルアミン;
8−({[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル]メチル}オキシ)−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
3−(フェニルスルホニル)−8−{[(2S)−2−ピロリジニルメチル]オキシ}キノリン;
3−(フェニルスルホニル)−8−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}キノリン;
3−(フェニルスルホニル)−8−[(3R)−3−ピロリジニルオキシ]キノリン;
ジメチル(1−メチル−2−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}プロピル)アミン;
3−(フェニルスルホニル)−8−{[(2R)−2−ピロリジニルメチル]オキシ}キノリン;
3−(フェニルスルホニル)−8−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}キノリン;
8−{[2−(4−モルホリニル)エチル]オキシ}−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
8−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルオキシ)−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
3−(フェニルスルホニル)−8−{[3−(1−ピペリジニル)プロピル]オキシ}キノリン;
8−{[2−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)エチル]オキシ}−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
((3S,4R)−4−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}テトラヒドロ−3−フラニル)アミン;
(3S,4R)−N,N−ジメチル−4−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}テトラヒドロ−3−フランアミン;
3−(フェニルスルホニル)−8−(3−ピペリジニルオキシ)キノリン;
3−(フェニルスルホニル)−8−(4−ピペリジニルオキシ)キノリン;
8−{[(3R)−1−メチル−3−ピロリジニル]オキシ}−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
8−{[(3S)−1−メチル−3−ピロリジニル]オキシ}−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
8−[(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イルオキシ]−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
3−(フェニルスルホニル)−8−[(3S)−3−ピロリジニルオキシ]キノリン;
8−[(1−メチル−4−ピペリジニル)オキシ]−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
8−[(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルメチル)オキシ]−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
8−[(1−メチル−3−ピペリジニル)オキシ]−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
8−[(3−モルホリニルメチル)オキシ]−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
8−({[(2S)−1−(1−メチルエチル)−2−ピロリジニル]メチル}オキシ)−3−(フェニルスルホニル)キノリン;
N,N−ジメチル−2−{[3−(フェニルスルホニル)−8−キノリニル]オキシ}−1−プロパンアミン;または
5−クロロ−3−(フェニルスルホニル)−8−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}キノリン;
から選択される請求項1記載の式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩。
【請求項5】
塩が塩酸塩であるところの、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物または医薬上許容されるその塩、および医薬上許容される担体もしくは賦形剤を含むところの、医薬組成物。
【請求項7】
うつ病、不安症、アルツハイマー病、加齢関連の認知衰退、ADHD、肥満症、軽度認識障害、統合失調症、統合失調症における認知低下および脳卒中の処置における使用のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物または医薬上許容されるその塩。
【請求項8】
うつ病、不安症、アルツハイマー病、加齢関連の認知衰退、ADHD、肥満症、軽度認識障害、統合失調症、統合失調症における認知低下および脳卒中の処置または予防のための医薬品製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩の使用。
【請求項9】
うつ病、不安症、アルツハイマー病、加齢関連の認知衰退、ADHD、肥満症、軽度認識障害、統合失調症、統合失調症における認知低下および脳卒中の処置における使用のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項10】
うつ病、不安症、アルツハイマー病、加齢関連の認知衰退、ADHD、肥満症、軽度認識障害、統合失調症、統合失調症における認知低下および脳卒中を処置する方法であって、それを必要とする患者に請求項1〜5のいずれかに記載の式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩の安全かつ治療上有効な量を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2007−530648(P2007−530648A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505618(P2007−505618)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001106
【国際公開番号】WO2005/095346
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】