説明

CRTH2調節物質としての三環式インドール由来のスピロ誘導体

本発明は、アレルギー性疾患の治療のための、医薬活性化合物として使用するための式(I)の化合物、及びそれを含む医薬製剤に関する。式(I)の化合物は、CRTH2の調節物質として好適である。本発明は、アレルギー性疾患、例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び炎症性皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎、接触過敏症、アレルギー性接触皮膚炎、慢性じんましん/慢性特発性/自己免疫性じんましん、薬剤により誘導される発疹(例えば中毒性表皮壊死症、又はライエル症候群/スティーヴンズ-ジョンソン症候群/薬剤過敏症候群)、光線皮膚炎又は多形光線疹(例えば光刺激性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、慢性光線性皮膚炎)、及び筋炎、神経変性疾患、例えば神経因性疼痛、及び炎症性成分を伴う他の疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症、及び炎症性腸疾患(IBD)から選択される疾患の治療及び/又は予防に有用である、式(I)及び関連する式のスピロ誘導体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬活性化合物として使用するための式(I)の化合物及びそのようなスピロ誘導体を含む医薬製剤に関する。特に、本発明は、式(I):
【0002】
【化1】

【0003】
[式中、
R1が、H、Hal、A、CN、OA、CF3、OCF3であり、
R2が、Aであり、
R3、R3'が、互いに独立して、H又はAであり、
R4が、H又はAであり、
Qが、A、‐(CH2)n‐Ar、‐(CH2)nHet、‐(CH2)p‐(CHR11)q‐(CH2)r‐Ar、又は‐(CH2)p‐(CHR11)q‐(CH2)r‐Hetであり、
p及びrは、互いに独立して、0、1、2、3、又は4であり、
qが、1又は2であり、
R11が、H、A、CN、OR6、Hal、Ar、又はHetを表し、
nが、1、2、3、又は4であり、
Tが、CR5又はNであり、
R5が、H、Hal、A、CN、OA、CF3、OCF3である。
【0004】
Aが、1〜12個のC原子を有する分枝又は直線のアルキルであって、1又は複数個の、好ましくは1〜7個のH原子が、Hal、OR6、CN、N(R6)2、シクロアルキル、Ar、又はHetにより置換され得、1又は複数個の、好ましくは1〜7個のCH2‐基が、O、NR6、CON(R6)2、又はSにより、及び/又はCH=CH‐又は‐C≡C‐基により置換され得、又は3〜7個の環状C原子を有するシクロアルキレン又はシクロアルキルアルキレンを表す。
【0005】
Halが、F、Cl、Br、又はIであり、
【0006】
Arが、未置換であるか、又はHal、A、CH2OA、‐CH2OR6、OR6、CF3、OCF3、N(R6)2、NO2、CN、NR6COA、NR6SO2A、COR6、SO2N(R6)2、SOA、SO2A、Het、又はAr'により一置換、二置換、又は三置換され得る、6〜14個の炭素原子を有する、単環式又は二環式の、不飽和又は芳香族炭素環を表す。
【0007】
Ar'が、未置換であるか、又はHal、A、‐CH2OA、‐CH2OR6、‐OR6、‐CF3、‐OCF3により一置換、二置換、又は三置換され得る、6〜14個の炭素原子を有する、単環式又は二環式の、不飽和又は芳香族炭素環を表し、
【0008】
Hetが未置換であるか、又は、Hal、A、CH2OA、OR6、CF3、OCF3、N(R6)2、NO2、CN、NR6COA、NR6SO2A、COR6、SO2N(R6)2、SOA、SO2A、Arにより一置換、二置換、又は三置換され得る、1〜4個のN、O、及び/又はS原子を有する、単環式又は二環式の、不飽和又は芳香族炭素環を表す。
【0009】
R6が、H又はAである。]
【0010】
のスピロ誘導体、並びに医薬的に使用できる誘導体、エナンチオマー、ジアステレオアイソマー、タウトマー、塩、溶媒和物、及び全ての割合でのその混合物に関する。
【0011】
前記誘導体は、アレルギー疾患及び炎症性皮膚疾患の治療及び/又は予防に有用である。特に、本発明は、CRTH2活性の調節のためのスピロ誘導体の使用に関する。
本発明はさらに、スピロ誘導体の調製の方法に関する。
【0012】
本発明はまた、
(b) (a) 有効量の式(I)による化合物、及び/又はその医薬的に使用可能な誘導体、タウトマー、塩、溶媒和物、及びステレオアイソマー、及び全ての割合でのそれらの混合物、
並びに
(c) 有効量のさらなる医薬活性成分、
の分離したパックから成るキット又はセットに関する。
【背景技術】
【0013】
発明の背景
プロスタグランジンD2(PGD2)は、長年にわたって、炎症性及びアトピー性症状、特にアレルギー疾患、例えば喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎などに関連付けられている(Lewis et al. (1982) J. Immunol. 129, 1627)。PGD2は、アラキドン酸の20‐炭素脂肪酸骨格から誘導される化合物の分類に属する。抗原チャレンジに対する応答では、急性アレルギー反応の間、PGD2は、気道及び皮膚に大量に放出される。Gタンパク質結合受容体(GPCR)サブファミリーのメンバーであるDP受容体は、長年にわたって、PGD2の唯一の受容体であると考えられている。アレルギー性喘息におけるDPの役割は、DP欠損マウスを用いて実証されている(Matsuoka et al. (2000) Science 287, 2013-2017)。しかしながら、炎症反応におけるPGD2の役割に非常に注目されているにもかかわらず、DP受容体の活性化とPGD2に刺激された好酸球遊走の間の直接的な関連性は実証されていない(Woodward et al. (1990) Invest. Ophthalomol Vis. Sci. 31, 138-146; Woodward et al. (1993) Eur. J. Pharmacol. 230, 327-333)。
【0014】
より最近になり、「T‐ヘルパー2細胞上で発現する化学物質誘因受容体類似分子」と呼ばれる別のGタンパク質結合受容体(CRTH2)(Nagata et al. (1999) J. Immunol. 162, 1278-1286, Hirai et al. (2001) J Exp. Med. 193, 255-261)は、PGD2の受容体として近年同定され、この発見は、PGD2の作用機構に光明を投じ始めた。DP2、GPR44、又はDLIRとしてもまた呼ばれるCRTH2は、DP受容体及び他のプロスタノイド受容体との構造類似性をほぼ示さない。しかしながら、CRTH2は、PGD2に対して同様の親和性を有する。末梢血Tリンパ球の中で、ヒトCRTH2は、Th2細胞上で選択的に発現され、例えば好酸球、好塩基球、及びTh2細胞などのアレルギー性炎症に関係する細胞種上で高度に発現する。加えて、CRTH2は、血液好酸球及び好塩基球のPGD2依存性細胞遊走を仲介する。さらに、CRTH2を発現する循環するT細胞の増加した数は、アトピー性皮膚炎の重症度と相関している(Cosmi et al. (2000) Eur. J. Immunol. 30, 2972-2979)。CRTH2とPGD2との相互作用は、アレルギー性炎症の標的組織において、アレルゲンに誘導されるTh2細胞の動員において、重要な役割を果たす。CRTH2及びPGD2の結合を阻害する化合物はそれ故、アレルギー性疾患の治療に有用であるはずである。
【0015】
喘息及び炎症性皮膚炎のようなアレルギー疾患は、人口の約10%が現在罹患している、複合的で典型的に慢性の炎症性疾患の主要な分類を表し、その数は増加しているように見える(Bush, R.K., Georgitis J. W., Handbook of asthma and rhinitis. 1st ed. (1997), Abingdon: Blackwell Science. 270)。アトピー性皮膚炎は、皮膚が大変かゆくなる慢性皮膚疾患である。それは、皮膚科医に訪れる全患者の10〜20%を占める。世界的なアレルギー性疾患及び炎症性皮膚病の増加する罹患率は、これらの疾患を効果的に治療又は予防するための新たな治療法の必要性を強調する。現在、多種の医薬品が、これらの疾患の治療するために広く用いられており、例えば、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、抗コリン作動薬、メチルキサンチン、クロモリン、コルチコステロイド、及びロイコトリエン調節剤がある。しかしながら、これらの薬剤の有用性は、副作用及び低い有効性によりしばしば限定される。
【0016】
WO 2006125784は、CRTH2調節物質として同様のスピロ誘導体を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一つの目的は、改良された生物学的及び/又は物理化学的性質を有する化合物を提供することである。特に、本発明の化合物は、改良された生物学的利用性を有する。
【0018】
本発明はさらに、医薬的に許容される賦形剤又は担体と共に、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
本発明はさらに、アレルギー疾患、例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び炎症性皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎、接触過敏症、アレルギー性接触皮膚炎、慢性じんましん/慢性特発性/自己免疫性じんましん、薬剤により誘導される発疹(例えば中毒性表皮壊死症、又はライエル症候群/スティーヴンズ-ジョンソン症候群/薬剤過敏症候群)、光線皮膚炎又は多形光線疹(例えば光刺激性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、慢性光線性皮膚炎)、及び筋炎、神経変性疾患、例えば神経因性疼痛など、及び炎症性成分を伴う他の疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症、及び炎症性腸疾患(IBD)、及びCTRH2活性に関連する他の疾患及び障害から選択される疾患の治療及び/又は予防のための、医薬の調製のための式(I)の化合物の使用に関する。具体的には、本発明は、CTRH2活性を調節するための式(I)の化合物の使用に関する。
【0020】
本発明はさらに、例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び炎症性皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎、接触過敏症、アレルギー性接触皮膚炎、慢性じんましん/慢性特発性/自己免疫性じんましん、薬剤により誘導される発疹(例えば中毒性表皮壊死症、又はライエル症候群/スティーヴンズ-ジョンソン症候群/薬剤過敏症候群)、光線皮膚炎又は多形光線疹(例えば光刺激性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、慢性光線性皮膚炎)、及び筋炎、神経変性疾患、例えば神経因性疼痛、及び炎症性成分を伴う他の疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症、及び炎症性腸疾患(IBD)など、及びCTRH2活性に関連する他の疾患及び障害などのアレルギー性疾患から選択される疾患に罹患した患者を、式(I)の化合物を投与することによる、治療及び/又は予防するための方法に関する。
【0021】
本発明はさらに、医薬組成物の調製のための、式(1)の化合物の使用に関する。
【0022】
最後に、本発明は、式(I)の新規化合物及び式(I)の化合物を合成する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好ましい実施形態では、本発明は、R4がHである、式(I)の化合物を提供する。
【0024】
別の好ましい実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここでR1が、ハロゲン、メチル、CN、CF3、OCF3であり、R2が、1〜6個の炭素原子を有するアルキル又は‐CH2R7基であり、ここでR7は、‐CH2F、‐CH2OCH3、‐CH2CONH2、ピリジン、又はCNであり、R3、R3'、及びR4がHであり、TがCR5であり、ここでR5はHである。
【0025】
最も好ましくは、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここでR1が、ハロゲンであり、R2が、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、R4がHであり、且つTがCR5であり、ここでR5はHである。
【0026】
好ましい実施形態では、本発明は、式(Ia)の化合物を提供する。
【0027】
【化2】

【0028】
[式中、R1、Q、R3、R3'、及びR4は上記で定義したとおりである。]
【0029】
式(Ia)の化合物は、下記に示すように、エナンチオマー(Aa)及び(Ba)として存在する:
【0030】
【化3】

【0031】
別の好ましい実施形態では、本発明は、式(Ib)の化合物を提供する。
【0032】
【化4】

【0033】
[式中、Gは、Ar又はHetであり、
Vは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、好ましくは、Vはメチルである。]
【0034】
式(Ib)の化合物はまた、エナンチオマー(Ab)及び(Bb)として存在する:
【0035】
【化5】

【0036】
式(I)、(Ia)、(Ib)、及び(Ic)の化合物の純粋なエナンチオマー及びラセミ混合物は、本発明の範囲内である。
一つの実施形態では、本発明の化合物は、エナンチオマー的に富化されている。特に、それらは、正又は負の旋光性を示す。
好ましい実施形態では、旋光性は負である。
別の好ましい実施形態では、旋光性は正である。
【0037】
式(I')の化合物(ここでR1、R2、R3、R3'、Q、及びTは上記で定義されたとおりであり、R4はAである)は、スキーム1に概説されるように式(III)の化合物から得ることができる。
第一のステップは、式(III)の化合物(ここでR1、R3、R3'、及びTは上記で定義されたとおりである)と化合物R2‐W(ここでR2は上記で定義されたとおりであり、Wは適切な離脱基、例えばCl、Br、I、OMs、OTf及び当業者に知られているその他のものであるが、これに限定されない)との反応に存する。反応は、適切な溶媒、例えばTHF、ジオキサン、DMF、DMSO、好ましくはDMFであるがこれに限定されない、中で、適切な塩基、例えばK2CO3、Na2CO3、NaHCO3、NaOH、KOH、KOtBu、NaH、LDA、LiHMDS、BuLi、好ましくは、K2CO3、Na2CO3、NaHCO3であるがこれに限定されない、存在下で、NaI又はKI(触媒量又は化学量論量中で)の存在又は非存在下で、−80℃〜160℃、好ましくは約25℃の温度で、数時間、例えば1時間〜48時間行われる。
【0038】
【化6】

【0039】
式(I'')の化合物(ここでR1、R2、R3、R3'、Q、及びTが上記で定義されたとおりであり、R4がHである)は、スキーム2に概説されるように、式(I*)の化合物(ここでR4がAであり、好ましくは、C1‐C6アルキルである)から得ることができる。
【0040】
この反応は、エステルをカルボン酸に変換するために、当業者によく知られている条件及び方法を用いて達成することができ、例えば、水の存在又は非存在下、適切な溶媒、例えばDCM、ジオキサン、THFの存在下、約20℃〜約100℃の温度、好ましくは約20℃で、数時間、例えば1時間〜48時間、塩基、例えばKOH、LiOH、NaOH、K2CO3、又は適切な酸、例えばトリフルオロ酢酸又は塩酸で処理することであるが、これに限定されない。
【0041】
【化7】

【0042】
代わりに、式(I')の化合物(ここでR1、R2、R3、R3'、及びTは、上記で定義されたとおりであり、R4は、Aである)はスキーム3に概略されるように調製されることができる。式(IV)の化合物(ここでR1、R3、R3'、及びTは、上記で定義されたとおりであり、R4は、Aである)は化合物R2‐W(ここでR2は上記で定義された通りであり、Wは適切な離脱基、例えばCl、Br、I、OMs、OTf及び当業者に知られている他のものであるがこれに限定されない)と選択的に反応することができる。式(V)の所望の生成物は、−80℃〜20℃で、数時間、例えば1時間〜24時間で、適切な溶媒、例えばTHF又はジオキサンであるがこれに限定されない、中で適切な量(通常2当量)の適切な塩基、例えばLDA、LiHMDS、BuLiであるがこれに限定されない、を用いて得ることができる。
【0043】
第二のステップは、式(V)の化合物(ここでR1、R2、R3、R3'、及びTは、上記で定義されたとおりであり、R4は、Aである)と化合物Q‐W(ここでQは上記で定義された通りであり、Wは適切な離脱基、例えばCl、Br、I、OMs、OTf及び当業者に知られている他のものであるがこれに限定されない)との反応に存する。反応は、適切な溶媒、例えばTHF、ジオキサン、DMF、DMSO、好ましくはDMFであるがこれに限定されない、中で、適切な塩基、例えばK2CO3、Na2CO3、NaHCO3、NaOH、KOH、KOtBu、NaH、LDA、LiHMDS、BuLi、好ましくは、K2CO3、Na2CO3、NaHCO3であるがこれに限定されない、存在下で、NaI又はKI(触媒量又は化学量論量中で)の存在又は非存在下で、−80℃〜160℃、好ましくは約25℃の温度で、数時間、例えば1時間〜48時間行われる。
【0044】
【化8】

【0045】
特定の実施形態では、本発明は、式(IV)の化合物とR2‐Wとを位置選択的に反応させ、式(V)の化合物を与えるステップを含む、式(I)及び関連する式の化合物を調製するためのプロセスを提供する。
【0046】
【化9】

【0047】
[式中、R1、T、R2、R3、R3'、及びR4は上記で定義されたとおりであり、
Wは、Cl、Br、I、OMs、OTfから選択される離脱基である。]
【0048】
キラル中心を有しているので、式(I)の化合物は、ラセミ又はエナンチオマー的に富化されたな形態として存在する。式(I)のラセミ化合物は、当業者によく知られる方法、例えばキラル固定相上でのクロマトグラフィー分離を用いること、又はキラル移動相を用いること、ジアステレオマー塩、付加物、エステル、または文献によく記載されるそのようなものを形成することであるがこれに限定されない、により、二つのエナンチオマーに分離することができる。加えて、エナンチオマーの分離は、上記に記述されるような方法を用いて、式III〜IVの中間体上で達成されることができ、それは、上記に記述されるステップ後、エナンチオマー的に富化された形態において、式(I)の生成物を与えることができる。
【0049】
一つの実施形態では、本発明のエナンチオマー的に富化された化合物は、キラルクロマトグラフィーにより分離されるラセミ混合物から最初に溶出される。
別の実施形態では、本発明のエナンチオマー的に富化された化合物は、キラルクロマトグラフィーにより分離されるラセミ混合物から二番目に溶出される。
【0050】
「シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を有する、一価の飽和された炭素環を表す。好ましいシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルである。
【0051】
「シクロアルキレン」は、3〜7個の炭素原子を有する、二価の飽和された炭素環を表す。
【0052】
「シクロアルキルアルキレン」は、1個のH原子がシクロアルキル基によって置換された、1〜6個の炭素原子を有する炭素鎖を表す。
【0053】
置換が一回以上生じる式(I)の化合物、例えばTでは、それらのそれぞれは、互いに独立して本明細書で定義される意味を有する。
【0054】
基Aは、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する分枝又は直線のアルキルであって、1又は複数個、好ましくは1〜7個のH原子が、Hal、OR6、CN、N(R6)2、Ar、又はHetにより置換されることができ、1又は複数個の、好ましくは1〜3個のCH2‐基がO、N(R6)、又はCON(R6)2により置換されることができる。
【0055】
Qは、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する分枝又は直線のアルキルであって、1〜2個のH原子が、Ar又はHetにより置換されることができ、より好ましくは、Qは、基‐(CH2)n‐Ar、‐(CH2)nHetであって、nは上記で定義されるとおりである。
【0056】
別の好ましい実施形態では、Qはまた、‐(CH2)p‐(CHR11)q‐(CH2)r‐Ar、又は‐(CH2)p‐(CHR11)q‐(CH2)r‐Hetであって、p及びrは、互いに独立して0、1、2、3、又は4であって、rは1又は2であって、R11は、H、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、CN、OR6、Halを表し、ここでR6は、上記に定義されるとおりである。
【0057】
最も好ましくは、Qは下記の基から選択される:
【0058】
【化10】

【0059】
【化11】

【0060】
Arは、好ましくは、未置換であるか、又はHal、A、‐CH2OR6、OR6、CF3、OCF3、CN、Het、又はAr'により一置換、二置換され得る、6〜14個の炭素原子を有する、単環式又は二環式の、不飽和又は芳香族炭素環を表す。
【0061】
より好ましくは、Arは下記の基の一つを示す:
【0062】
【化12】

【0063】
[式中、R8、R9、及びR10は、独立して、H、A、Hal、Het、1〜6個の炭素原子を有する直線又は分枝のアルキル、Ar'、OR6、CN、CF3、及びOCF3から選択される。]
【0064】
最も好ましくは、Arは下記の基の一つを示す。
【0065】
【化13】

【0066】
Ar'は好ましくは、未置換であるか、又はHal、A、及び1〜6個の炭素原子を有するアルキルから選択される1又は2個の基で置換されるフェニル基を表す。
【0067】
Hetは、好ましくは、未置換であるか、又はHal、A、CH2OA、OR6、CF3、OCF3、CN、又はArにより、一置換、二置換、三置換され得る、1〜2個のN原子及び/又は1個のO又はS原子を有する、単環式又は二環式の、飽和、不飽和又は芳香族へテロ環を表す。
【0068】
より好ましくは、Hetは、さらに置換されることなく、例えば、2‐又は3‐フリル、2‐又は3‐チエニル、1‐、2‐又は3‐ピロリル、1‐、2‐、4‐又は5‐イミダゾリル、1‐、3‐、4‐又は5‐ピラゾリル、2‐、4‐又は5‐オキサゾリル、3‐、4‐又は5‐イソオキソザリル、2‐、4‐又は5‐チアゾリル、3‐、4‐又は5‐イソチアゾリル、2‐、3‐又は4‐ピリジル、2‐、4‐、5‐又は6‐ピリミジニル、さらに好ましくは、1,2,3‐トリアゾール‐1‐、‐4‐又は‐5‐イル、1,2,4‐トリアゾール‐1‐、‐3‐又は‐5‐イル、1‐又は5‐テトラゾリル、1,2,3‐オキサジアゾール‐4‐又は‐5‐イル、1,2,4‐オキサジアゾール‐3‐又は‐5‐イル、1,3,4‐チアジアゾール‐2‐又は‐5‐イル、1,2,4‐チアジアゾール‐3‐又は‐5‐イル、1,2,3‐チアジアゾール‐4‐又は‐5‐イル、3‐又は4‐ピリダジニル、ピラジニル、1‐、2‐、3‐、4‐、5‐、6‐又は7‐インドリル、インダゾリル、4‐又は5‐イソインドリル、1‐、2‐、4‐又は5‐ベンズイミダゾリル、1‐、3‐、4‐、5‐、6‐又は7‐ベンゾピラゾリル、2‐、4‐、5‐、6‐又は7‐ベンゾオキサゾリル、3‐、4‐、5‐、6‐又は7‐ベンゾイソオキサゾリル、2‐、4‐、5‐、6‐又は7‐ベンゾチアゾリル、2‐、4‐、5‐、6‐又は7‐ベンゾイソチアゾリル、4‐、5‐、6‐又は7‐ベンズ‐2,1,3‐オキサジアゾリル、2‐、3‐、4‐、5‐、6‐、7‐又は8‐キノリル、1‐、3‐、4‐、5‐、6‐、7‐又は8‐イソキノリル、3‐、4‐、5‐、6‐、7‐又は8‐シノリニル、2‐、4‐、5‐、6‐、7‐又は8‐キナゾリニル、5‐又は6‐キノキサリニル、2‐、3‐、5‐、6‐、7‐又は8‐2H‐ベンゾ‐1,4‐オキサジニル、さらに好ましくは、1,3‐ベンゾジオキソール‐5‐イル、1,4‐ベンゾジオキサン‐6‐イル、2,1,3‐ベンゾチアジアゾール‐4‐又は‐5‐イル又は2,1,3‐ベンゾオキサジアゾール‐5‐イルを表す。
【0069】
ヘテロ環式ラジカルはまた、部分的に又は完全に水素添加されてもよい。
【0070】
Hetは、従ってまた、例えば、2,3‐ジヒドロ‐2‐、‐3‐、‐4‐又は‐5‐フリル、2,5‐ジヒドロ‐2‐、‐3‐、‐4‐又は‐5‐フリル、テトラヒドロ‐2‐又は‐3‐フリル、1,3‐ジオキソラン‐4‐イル、テトラヒドロ‐2‐又は‐3‐チエニル、2,3‐ジヒドロ‐1‐、‐2‐、‐3‐、‐4‐又は‐5‐ピロリル、2,5‐ジヒドロ‐1‐、‐2‐、‐3‐、‐4‐又は‐5‐ピロリル、1‐、2‐又は3‐ピロリジニル、テトラヒドロ‐1‐、‐2‐又は‐4‐イミダゾリル、2,3‐ジヒドロ‐1‐、‐2‐、‐3‐、‐4‐又は‐5‐ピラゾリル、テトラヒドロ‐1‐、‐3‐又は‐4‐ピラゾリル、1,4‐ジヒドロ‐1‐、‐2‐、‐3‐又は‐4‐ピリジル、1,2,3,4‐テトラヒドロ‐1‐、‐2‐、‐3‐、‐4‐、‐5‐又は‐6‐ピリジル、1‐、2‐、3‐又は4‐ピペリジニル、2‐、3‐又は4‐モルフォリニル、テトラヒドロ‐2‐、‐3‐又は‐4‐ピラニル、1,4‐ジオキサニル(dioxaneyl)、1,3‐ジオキサン‐2‐、‐4‐又は‐5‐イル、ヘキサヒドロ‐1‐、‐3‐又は‐4‐ピリダジニル、ヘキサヒドロ‐1‐、‐2‐、‐4‐又は‐5‐ピリミジニル、1‐、2‐又は3‐ピペラジニル、1,2,3,4‐テトラヒドロ‐1‐、‐2‐、‐3‐、‐4‐、‐5‐、‐6‐、‐7‐又は‐8‐キノリル、1,2,3,4‐テトラヒドロ‐1‐、‐2‐、‐3‐、‐4‐、‐5‐、‐6‐、‐7‐又は‐8‐イソキノリル、2‐、3‐、5‐、6‐、7‐又は8‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐ベンゾ‐1,4‐オキサジニル、さらに好ましくは、2,3‐メチレンジオキシフェニル、3,4‐メチレンジオキシフェニル、2,3‐エチレンジオキシフェニル、3,4‐エチレンジオキシフェニル、3,4‐(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3‐ジヒドロベンゾフラン‐5‐又は‐6‐イル、2,3‐(2‐オキソメチレンジオキシ)フェニル、又は同様に3,4‐ジヒドロ‐2H‐1,5‐ベンゾジオキセピン‐6‐又は‐7‐イル、さらに好ましくは、2,3‐ジヒドロベンゾフラニル又は2,3‐ジヒドロ‐2‐オキソフラニルを表すことができる。
【0071】
より好ましいHet基は、下記の基から選択される:
【0072】
【化14】

【0073】
[式中、R8、R9、及びR10は、H、A、Hal、1〜6個の炭素原子を有する直線の又は分枝のアルキル、アリール、OR6、CN、CF3、及びOCF3から独立して選択され、R6は上記で定義されたとおりである。]
【0074】
最も好ましくは、Hetは以下の基から選択される:
【0075】
【化15】

【0076】
本発明の好ましい化合物は、式の下記の式により表される:
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
[式中、記号「*」は、所定の式がエナンチオマーの一つの純粋なエナンチオマー、又はエナンチオマー的に富化された混合物を表すことを意味する。]
【0081】
式(I)及び実施例1〜15の構造は、全ての割合において、下記のエナンチオマーの混合物を含む。そのような混合物は、ラセミ又はエナンチオマー的に富化されたでもよい。
【0082】
【表4】

【0083】
【表5】

【0084】
【表6】

【0085】
【表7】

【0086】
別の好ましい実施形態では、本発明は、旋光性が正であることを特徴とする、エナンチオマーI'a、I'b、及びI'cを提供する。
【0087】
【化16】

【0088】
「エナンチオマー的に富化された」とは、一つのエナンチオマーがもう一つと比較して過剰に存在する、式(I)及び関連する式の化合物と定義することを意味する。エナンチオマー的に富化された化合物のエナンチオマー過剰率は、好ましくは20〜100%、より好ましくは、エナンチオマー過剰率が、50%超、最も好ましくは、95%超、さらにより好ましくは、98%超である。
【0089】
「医薬的に許容される陽イオン塩または錯体」は、例えばアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、及びカリウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、及びマグネシウム)、アルミニウム塩、アンモニウム塩、及び有機アミンを含む塩、例えばメチルアミン、2‐N‐モルホリノエタノール、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N‐Me‐D‐グルカミン、N,N'‐ビス(フェニルメチル)‐1,2‐エタンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N‐メチルモルホリン、ピペリジン、ベンザチン(N,N'‐ジベンジルエチレンジアミン)、コリン、エチレン‐ジアミン、ベネタミン(N−ベンジルフェネチルアミン)、ジエチルアミン、ピペラジン、トロメタミン(2‐アミノ‐2‐ヒドロキシメチル‐1,3‐プロパンジオール)、プロカイン、及び式‐NRR'R"のアミン(ここでR、R'、R"は独立して水素、アルキル又はベンジルである)の塩として定義することを意味する。
【0090】
「医薬的に許容される塩又は錯体」は、所望の生物学的活性を保持する、下記で特定される式Iの化合物の塩又は錯体を意味する。そのような塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等)と形成する酸付加塩、及び有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸と形成する塩を含むが、これに限定されない。前記化合物はまた、当業者により知られている医薬的に許容される第4級塩として投与されることができ、それは具体的には、式‐NRR'R" + Z‐の第4級アンモニウム塩を含み、ここで、R、R'、R"は独立して、水素、アルキル、又はベンジルであり、Zは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、‐O‐アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸、又はカルボン酸(例えば、安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、桂皮酸、マンデル酸、及びジフェニル酢酸)を含む対イオンである。
【0091】
「医薬的に活性な誘導体」又は「医薬的に使用可能な誘導体」は、レシピエントへの投与時に、本明細書で開示される活性を直接的に又は間接的に提供することが可能である、任意の化合物を意味する。
【0092】
本明細書を通して、離脱基なる用語は、好ましくは、Cl、Br、I又は反応的に修飾されたOH基、例えば、活性化されたエステル、イミダゾリド又は1〜6個の炭素原子を有するアルキルスルホニルオキシ (好ましくは、メチルスルホニルオキシ又はトリフルオロメチルスルホニルオキシ)、又は6〜10個の炭素原子を有するアリールスルホニルオキシ(好ましくは、フェニル‐又はp‐トリルスルホニルオキシ)を表す。
【0093】
典型的なアシル化反応におけるカルボキシル基の活性化のためのこの種類のラジカルは、文献に記述されている(標準的な研究において、例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart)。
【0094】
活性化されたエステルは、例えば、HOBt又はN‐ヒドロキシスクシンイミドの添加を通して、インサイチュで有利に形成される。
【0095】
用語「溶媒和物」とは、それらの相互引力により形成する化合物上の不活性溶媒分子の付加イオンを意味することに用いられる。溶媒和物は、例えば、一、又は二水和物、又はアルコラートである。
【0096】
式(I)及び関連する式はまた、式(I)の化合物の混合物、例えば、比1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100、又は1:1000で、例えば二つのエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物を包含する。
【0097】
第1の態様では、本発明は、アレルギー疾患、例えば、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び炎症性皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎、接触過敏症、アレルギー性接触皮膚炎、慢性じんましん/慢性特発性/自己免疫性じんましん、薬剤により誘導される発疹(例えば中毒性表皮壊死症、又はライエル症候群/スティーヴンズ-ジョンソン症候群/薬剤過敏症候群)、光線皮膚炎、又は多形光線疹(例えば光刺激性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、慢性光線性皮膚炎)、及び筋炎、神経変性疾患、例えば神経因性疼痛、及び炎症性成分を伴う他の疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症、及び炎症性腸疾患(IBD)から選択される疾患の治療及び/又は予防に有用である、式(I)及び関連する式のスピロ誘導体を提供する。
【0098】
一つの実施形態では、式(I)の化合物は、CRTH2の調節物質として好適である。それ故、本発明の化合物はまた、CRTH2活性により仲介される、疾患の治療及び/又は予防に特に有用である。前記治療は、哺乳動物において、及び特にヒトにおいて、CRTH2の調節を含む。CRTH2の調節物質は、CRTH2の逆アゴ二スト、アンタゴニスト、部分的アゴ二スト、及びアゴニストからなる群から選択される。
【0099】
一つの実施形態では、CRTH2の調節物質は、CRTH2の逆アゴ二ストである。
別の実施形態では、CRTH2の調節物質は、CRTH2のアンタゴニストである。
別の実施形態では、CRTH2の調節物質は、CRTH2の部分的アゴニストである。
別の実施形態では、CRTH2の調節物質は、CRTH2のアゴニストである。
式(I)の化合物は、医薬としての使用に適している。
【0100】
式(I)の化合物はまた、それらの幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマーのようなそれらの光学的活性形態、そのラセミ体形態、及びそれらの医薬的に許容される塩を含む。
【0101】
第2の態様では、本発明は、アレルギー疾患、例えば、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び炎症性皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎、接触過敏症、アレルギー性接触皮膚炎、慢性じんましん/慢性特発性/自己免疫性じんましん、薬剤により誘導される発疹(例えば中毒性表皮壊死症、又はライエル症候群/スティーヴンズ-ジョンソン症候群/薬剤過敏症候群)、光線皮膚炎又は多形光線疹(例えば光刺激性接触皮膚炎;光アレルギー性接触皮膚炎;慢性光線性皮膚炎)、及び筋炎、神経変性疾患、例えば神経因性疼痛、及び炎症性成分を伴う他の疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症、及び炎症性腸疾患(IBD)、及びCTRH2活性に関連する他の疾患及び障害から選択される疾患の治療及び/又は予防のための医薬の調製のために、式(I)及びそれに関連する式のスピロ誘導体の使用を提供する。
【0102】
第3の態様では、本発明は、式(I)又は関連する式の化合物を投与することにより、アレルギー疾患、例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、及び炎症性皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎、接触過敏症、アレルギー性接触皮膚炎、慢性じんましん/慢性特発性/自己免疫性じんましん、薬剤により誘導される発疹(例えば中毒性表皮壊死症、又はライエル症候群/スティーヴンズ-ジョンソン症候群/薬剤過敏症候群)、光線皮膚炎又は多形光線疹(例えば光刺激性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、慢性光線性皮膚炎)、及び筋炎、神経変性疾患、例えば神経因性疼痛、及び炎症性成分を伴う他の疾患、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症、及び炎症性腸疾患(IBD)、及びCTRH2活性に関連する他の疾患及び障害から選択される疾患に罹患した患者を治療する及び/又は予防する方法を提供する。
【0103】
用語「予防すること」とは、本明細書で用いられるように、アレルギー性疾患又は炎症性皮膚炎の1又は複数個の症状又は原因(単数又は複数)を、部分的に又は全体的に予防すること、阻害すること、軽減すること、又は逆進することとして、理解されるべきである。
【0104】
本発明の化合物は、従来用いられるアジュバント、担体、希釈剤、又は賦形剤と一緒に、医薬組成物及びその単位投与量の形態の中に置かれてもよく、そのような形態では、全て経口使用のために、固体、例えば錠剤、又は充填されたカプセル、又は液体、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル剤、又は同様のもので充填されたカプセルとして、又は非経口(皮下使用を含む)のための滅菌注射用溶液の形態で用いられてもよい。そのような医薬組成物及びその単位投与量形態は、追加の活性化合物又は成分の有無に関わらず、従来の割合で成分を含んでもよく、そのような単位投与量形態は、用いられる所望の1日の投与量範囲に相応の、任意の好適な有効量の活性成分を含んでもよい。
【0105】
第4の態様では、本発明は、医薬的に許容される賦形剤又は担体と一緒に、式(I)又は関連する式のスピロ誘導体を含む医薬組成物を提供する。
【0106】
第5の態様では、本発明は、生物学的に活性な化合物と一緒に、式(I)又は関連する式の化合物を含む医薬組成物を提供する。特に、医薬組成物は、抗アレルギー薬と組み合わせて、式(I)の化合物を含む。
【0107】
別の実施形態では、医薬組成物は、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、抗コリン作動薬、メチルキサンチン、クロモリン、コルチコステロイド、又はロイコトルエン調節物質と組み合わせて、式(I)の化合物を含む。
【0108】
別の実施形態では、医薬組成物は、CTRH2活性に関連する疾患又は障害の治療に用いられる薬剤と組み合わせて、式(I)の化合物を含む。
【0109】
第6の態様では、本発明は、抗アレルギー薬の投与量を減少させる方法を提供する。特に、本発明は、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、抗コリン作動薬、メチルキサンチン、クロモリン、コルチコステロイド、又はロイコトルエン調節物質の投与量を減少させる方法を提供する。
【0110】
別の実施形態では、本発明は、CTRH2活性に関連する疾患又は障害の治療に用いられる薬剤の投与量を減少させる方法を提供する。
【0111】
本発明の化合物は、典型的に医薬組成物の形態で投与される。そのような化合物は、薬剤技術分野においてよく知られている方法で調製されることができ、少なくとも一つの活性化合物を含む。一般的に、この発明の化合物は、医薬的に有効な量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的に、治療される状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個別の患者の年齢、体重、及び反応性、患者の症状の重症度などを含む、関連する状況の観点で医師により決定される。
【0112】
これらの発明の医薬組成物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈、筋肉内、及び鼻腔内を含む、様々な経路により投与され得る。経口投与のための組成物は、バルク溶液又は懸濁液、又はバルク粉末の形態で摂取し得る。より一般的には、しかしながら、組成物は、正確な投薬を容易にするための単位投与量形態で提供される。用語「単位投与量形態」とは、好適な医薬的賦形剤を伴って、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として好適な物理的に分離した単位、所望の治療効果を生み出すために計算された活性物質の所定の量を含むそれぞれの単位を意味する。典型的な投与形態は、固体組成物の場合、前もって充填され前もって測定された液体組成物のアンプル又はシリンジ、又は丸薬、錠剤、カプセルなどを含む。そのような組成物では、本発明の化合物は、通常、微量成分(約0.1〜約50重量%、又は好ましくは約1〜約40重量%)であり、所望の投与形態を形成するために有用な様々な媒体又は担体及び加工助剤である残余物を伴う。
【0113】
経口投与のための好適な液体形態は、バッファを含む好適な水性又は非水性媒体、懸濁剤及び調剤試薬、着色剤、香料などを含んでもよい。固体形態は、例えば、任意の以下の成分又は同様の性質の化合物:結合剤、例えば微結晶性セルロース、トラガカント、又はゼラチン;賦形剤、例えばスターチ又はラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、Primojel(登録商標)(Primogel)、又はコーンスターチ;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロース、又はサッカリン;又は香味料、例えばペパーミント、メチルサリチル酸、又はオレンジ香料を含んでもよい。
【0114】
注射用組成物は、典型的には、注射用滅菌生理食塩水、又はリン酸緩衝生理食塩水、又は当該技術分野において知られている他の注射用担体に基づく。上記で言及されるように、そのような組成物における式(I)のスピロ誘導体は、典型的には、0.05〜10重量%にしばしば及ぶ微量成分であり、注射用担体などである残余物を伴う。
【0115】
経口投与されるための上述のような組成物又は注射用組成物は、代表的なものに過ぎない。さらなる物質及び加工技術などは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition, 2000, Marck Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaの Part 5に記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
この発明の化合物はまた、徐放形態で、又は徐放薬物輸送系で投与され得る。代表的な徐放物質の記述はまた、Remington's Pharmaceutical Sciencesで援用される物質において見られ得る。
【0117】
医薬製剤は、投与量単位あたりの所定の量の活性成分を含む、投与量単位の形態で投与され得る。そのような単位は、治療される病状、投与の方法、及び患者の年齢、体重、及び状態に応じて、例えば0.5 mg〜1 g、好ましくは1 mg〜700 g、特に好ましくは5 mg〜100 mgの本発明の化合物を含むことができ、又は医薬製剤は、投与単位あたりの所定量の活性成分を含む、投与単位の形態で投与され得る。好ましい投与単位製剤は、先に示したように、1日用量又は部分用量、又は活性成分のその対応する部分を含むそれらである。さらに、この種類の医薬製剤は、薬剤技術分野において一般的に知られているプロセスを用いて調製されることができる。
【0118】
第7の態様では、本発明は、式(I)及び関連する式の化合物の合成の方法を提供する。
【0119】
本発明で例示されたスピロ誘導体は、下記の一般的な方法及び手順を用いて、容易に入手可能である出発物質から調製されてもよい。典型的な又は好適な実験条件(すなわち、反応温度、時間、試薬のモル、溶媒など)が与えられた場合、他の実験条件はまた、他に述べられていない限り用いられ得ることは、理解される。最適な反応条件は、用いられる特定の反応物又は溶媒で変更されてもよいが、しかしそのような条件は、日常的な最適化手順を用いて、当業者により決定されることができる。
【0120】
第8の態様では、本発明は、
(a) 有効量の式(I)及び/又は関連する式の化合物、及び/又はそれらの医薬的に使用可能なその誘導体、タウトマー、塩、溶媒和物、及びステレオアイソマー、及び全ての割合でのそれらの混合物、並びに
(b) 有効量のさらなる医薬活性成分、
の分離したパックのキットに関する。
【0121】
一つの実施形態では、分離されたパックは、異なる容器又はベッセルから成り、それらのそれぞれは有効量の式(I)、又は有効量のさらなる活性成分を含む。
【0122】
第二の実施形態では、キットはまた、アジュバント又は希釈剤を含む第三のベッセルを含んでもよい。第三の実施形態では、キットは、本発明の医薬組成物を調製するために用いられる。
【0123】
第9の態様では、本発明は、アレルギー性疾患及び炎症性皮膚炎の治療において、それらの使用のための使用説明書と一緒に、全ての割合のそれらの混合物を含む、有効量の式(I)の化合物、及び/又はそれらの医薬的に使用できるその誘導体、タウトマー、塩、溶媒和物、及びステレオアイソマーから成る商業的なパッケージに関する。
【0124】
以下の略記は、下記で用いられる省略を意味する:
分(分)、時間(時間)、g (グラム)、MHz (メガヘルツ)、ml (ミリリットル)、mmol (ミリモル)、mM (ミリモーラー)、RT(室温)、AcNH2 (アセトアミド)、AcOH (酢酸)、ATP (アデノシン(Adenoside)三リン酸)、BSA (ウシ血清アルブミン)、Bu4NOH (水酸化テトラブチルアンモニウム)、CDI(1,1'‐カルボニルジイミダゾール)、DBU (1,8‐ジアザビシクロ(Dizabicyclo) [5.4.0]ウンデス‐7‐エン)、DCM (ジクロロメタン)、DIPEA (ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP (4‐ジメチルアミノピリジン)、DMSO (ジメチルスルホキシド)、DMF (N,N‐ジメチルホルムアミド)、CH3NO2 (ニトロメタン)、CsCO3 (炭酸セシウム)、cHex (シクロヘキサン)、Et3N (トリエチルアミン)、EtOAc (酢酸エチル)、EtOH (エタノール)、HCl (塩化水素)、K2CO3 (炭酸カリウム)、NaI (ヨードナトリウム)、KCN (シアン化カリウム)、MeOH (メタノール)、MgSO4 (硫酸マグネシウム)、NH3 (アンモニア)、NaH (水素化ナトリウム)、NaHCO3 (重炭酸ナトリウム)、NH4C1 (塩化アンモニウム)、NH4(CO3)2 (炭酸アンモニウム)、TEA (トリエチルアミン)、TFA (トリフルオロ酢酸)、THF (テトラヒドロフラン)、tBuOK (カリウムtert‐ブトキシド)、PdCl2 (二塩化パラジウム)、PetEther (石油エーテル)、PtO2 (酸化パラジウム)、TBME (tert‐ブチルメチルエーテル)、TMSI (ヨードトリメチルシリル)、Zn (亜鉛粉末)、rt (室温)、HPLC (高速液体クロマトグラフィー)、FC (シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー)、MS (質量分析法)、NMR (核磁気共鳴), PBS (リン酸緩衝生理食塩水)、SPA (シンチレーション近接アッセイ), TLC (薄層クロマトグラフィー), UV (紫外線)。
【0125】
上記の一連の一般的な合成方法が、式(I)の化合物及び/又は式(I)の化合物の合成のための必須の中間体を得るために適切でない場合、当該技術分野における当業者により知られている調製の好適な方法が用いられるべきである。一般的に、式(I)の任意の個別の化合物のための合成経路は、それぞれの分子の特定の置換基、及び必須の中間体の入手しやすさ;さらに当業者により認められるそのような因子に依存する。全ての保護及び脱保護方法については、Philip J. Kocienski, in "Protecting Groups", Georg Thieme Verlag Stuttgart, New York, 1994 and, Theodora W. Greene and Peter G. M. Wuts in "Protective Groups in Organic Synthesis", Wiley Interscience, 3rd Edition 1999を参照のこと。
【0126】
この発明の化合物は、適切な溶媒の蒸発からの結晶化により溶媒分子と結合して単離され得る。塩基性中心を含む、式(I)の化合物の医薬的に許容される酸付加塩は、従来の手法で調製されてもよい。例えば、遊離塩基の溶液は、原液又は好適な溶液中で、好適な酸と処理され、得られる塩は、濾過により又は反応溶媒の真空下での蒸発により単離されてもよい。医薬的に許容される塩基付加塩は、好適な塩基で式(I)の化合物の溶液を処理することによるアナログな手法で得られてもよい。塩の双方の種類は、形成されても、イオン交換樹脂を用いて相互転換されてもよい。
【0127】
下記では、本発明は、いくつかの実施例の方法により説明され、それは本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【0128】
一般:
下記に記述される実施例において与えられるHPLCデータは、以下のように得られた。
条件A:カラムWaters XbridgeTM C8 50 mm x 4.6 mm、流速2 mL/分;8分勾配 H2O中0.1 % TFA〜CH3CN中0.07 % TFA。
条件B(キラルHPLC):カラムChiralcel OJ-H、250 x 4.6 mm、流速1 mL/分;溶離液 メタノール中0.1 %ギ酸。
全ての条件についてUV検出(maxplot)。
【0129】
下記に記述される実施例において与えられるMSデータは、下記のように得られた:質量スペクトル:
LC/MS Waters ZMD (ESI)
【0130】
下記に記述される実施例において与えられるNMRデータは、下記のように得られた:1H-NMR:
Bruker DPX-300MHz
【0131】
調製用HPLC精製は、他に報告されない限り、Sunfire Prep C18 OBD カラム19x100 mm 5μmを備えたWaters製のmass directed autopurification Fractionlynxを用いて行われた。全てのHPLC精製は、ACN/H2O又はACN/H2O/HCOOH (0.1%)の勾配を用いて行われた。
【0132】
旋光度は、Bellingham Stanley Ltd製のAPP220旋光計を用いて、25℃でナトリウム「D」光源(589 nm)を用いて測定された。αD値は、式αD= 100 * α /(l * c)を用いて計算され、ここで、「α」は、測定された旋光度(degree)、「l」は、セルの長さ(dm)、及び「c」は、試験化合物の濃度(g/100 mL)である。αD値は、10-1*deg*cm2*g-1で表される。
【0133】
本発明の化合物は、Advanced Chemistry Development Inc.、ACD/Labs (7.00 リリース)製のプログラム「ACD/Name Batch」で用いられる標準に従って、名付けられた。製品バージョン:7.10、ビルド:2003年9月15日。
【0134】
中間体1:(+)‐[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0135】
【化17】

【0136】
WO2006125784(実施例109)に記載されるように調製された、[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸の二つのエナンチオマーは、300 mL/分の流速で、溶出液としてメタノール(0.05% TFAを含む)を用いた、Daicel OJ 20ミクロン固定相上でのクロマトグラフィーにより分離された。化合物は、20 mg/mLの濃度で供給された。それぞれの運転は12分間続き、二つのエナンチオマーの保持時間は、それぞれ、6.57分及び9.9分であった(選択性 1.6)。
得られた二つのエナンチオマーのうち、最初に溶出するエナンチオマーはDP2に対するより優れた活性を示し、この特許(実施例2〜4)の化合物のための出発物質として用いられ、中間体1として指定された。
二番目に溶出したエナンチオマーはまた、出発物質として用いられ得る。
【0137】
【表8】

【0138】
中間体2:(+)‐tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0139】
【化18】

【0140】
THF(10 ml)中(+)‐[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸(中間体1;1.00 g;2.21 mmol)の溶液は、DCM(2 mL)中tert‐ブチルN,N'‐ジイソプロピルイミドカルバメート(3.54 g;17.7 mmol;Mathias, Synthesis, 1979, 561-576により記述される一般的なプロトコールに従って調製された)の溶液で処理された。反応混合物は、室温で一晩撹拌され、その後1時間放置された。白色固体は、濾過され、DCMで洗浄され、その後、溶媒は真空下で蒸発された。残余物は、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製され、EtOAcの増加する量を含むシクロヘキサンとともに溶出させ、白色固体として表題化合物を得た(683 mg)。
中間体1の反対のエナンチオマーから開始することは、中間体2の反対のエナンチオマーを提供する。
【0141】
【表9】

【0142】
中間体3:tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸
【0143】
【化19】

【0144】
THF(50.00 ml)中tert‐ブチル(5'‐クロロ‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(3.05 g;8.34 mmol、WO2006125784、中間体54で記述されるように調製された)の冷却された(0℃)溶液は、THF中リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(18.0 ml;1.00 M;18.0 mmol)の溶液で20分に亘り液滴で処理された。反応溶液は、1時間撹拌され、その後ヨードメタン(0.60 ml;9.6 mmol)が液滴添加された。反応溶液はその後室温まで温められた。6時間の撹拌後、反応混合物は、1M HClに注意深く注がれ、EtOAcで抽出され、有機相はMgSO4上で乾燥され、濾過され、濃縮され、残余物を与え、それはその後フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製され、EtOAcの増加する量を含むシクロヘキサンとともに溶出され、黄色固体として表題化合物を得た。
【0145】
【表10】

【実施例】
【0146】
実施例1:[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0147】
【化20】

【0148】
ステップ1:tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0149】
DMF(5 ml)中のtert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸(326 mg;0.64 mmol、WO2006125784、中間体20により記述されるように調製された)、及びK2CO3 (177 mg;1.28 mmol)の溶液は、ヨードメタン(120μl;1.92 mmol)で処理された。反応混合物は、窒素雰囲気下で16時間撹拌され、その後反応混合物は、水で希釈され、EtOAcで2回抽出された。合わせられた有機相は、その後ブラインで3回洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥され、濾過され、真空下で濃縮され、残余物を得て、それはフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製され、EtOAcの増加する量を含むシクロヘキサンで溶出させ、白色固体として表題化合物を得た。
【0150】
【表11】

【0151】
ステップ2:[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0152】
DCM(4 ml)中tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸(168 mg; 0.32 mmol)の溶液は、TFA (0.5 mL)で処理された。反応混合物は、室温で4時間撹拌された。溶媒は、真空下で取り除かれ、混合物は、フラッシュクロマトグラフィーにより精製され、MeOHの増加する量を含むDCMで溶出させ、白色固体として表題化合物を得た(127 mg、85%)。
【0153】
【表12】

【0154】
実施例2:(+)‐[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0155】
【化21】

【0156】
ステップ1:(+)‐tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0157】
DMF (10 mL)中(+)‐tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸(中間体2;2500 mg;0.91 mmol)、ヨードメタン(63μl;1.0 mmol)、及びK2CO3 (253 mg;1.83 mmol)は3時間撹拌された。反応混合物は、水で希釈され、EtOAcで3回抽出された。合わせられた有機相は、その後ブラインで洗浄され、硫酸マグネシウム上で乾燥され、濾過され、濃縮され、白色泡状物質として表題化合物を得た。
MS (ESI+): 539.4。 HPLC (条件A): Rt 5.79分 (HPLC純度99.7%)。
【0158】
ステップ2:(+)‐[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0159】
DCM (15 ml) 及びTFA (3 ml) 中 (+)‐tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸(422 mg;0.81 mmol)の溶液は、窒素雰囲気下で3時間撹拌された。溶媒は、真空下で取り除かれ、残余物はDCM中に再溶解され、水で、その後ブラインで洗浄された。有機相は、MgSO4上で乾燥され、濾過され、濃縮された。油状固体は、EtOAcに再溶解され、シクロヘキサンの添加により沈殿された。固体は、濾過され、真空下で乾燥され、その後DCMに再溶解された。溶媒は、真空下で取り除かれ、白色粉末として表題化合物を得た。
【0160】
【表13】

【0161】
中間体2の反対のエナンチオマーからの開始は、反対のエナンチオマーを提供する。
【0162】
実施例3:[(+)‐5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐3‐エチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0163】
【化22】

【0164】
(+)‐tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸(中間体2)、及びヨウ化エチル(Fluka)から開始する、実施例1に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色個体として得られた。
【0165】
【表14】

【0166】
中間体2の反対のエナンチオマーからの開始は、反対のエナンチオマーを提供する。
【0167】
実施例4:[(+)‐5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソ‐3‐プロピルスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0168】
【化23】

【0169】
(+)‐tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(5‐クロロ‐2‐フルオロベンジル)‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸(中間体2)、及びヨウ化プロピル(Merck Kgaa)から開始する、実施例1に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色固体として得られた。
【0170】
【表15】

中間体2の反対のエナンチオマーからの開始は、反対のエナンチオマーを提供する。
【0171】
実施例5:[5'‐クロロ‐1‐[(2‐イソプロピル‐1,3‐チアゾール‐4‐イル)メチル]‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0172】
【化24】

【0173】
ステップ1:tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐(2‐イソプロピル‐1,3‐チアゾール‐4‐イル)メチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0174】
DMF(0.50 ml)中4‐(クロロメチル)‐2‐イソプロピルチアゾール(Fluorochem;97 mg;0.55 mmol)の溶液は、DMF (3.00 ml)中tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3;95 mg;0.25 mmol)、炭酸水素ナトリウム(94 mg;1.1 mmol)、及びヨウ化カリウム(10 mg;0.06 mmol)の懸濁液で処理された。反応混合物は、80℃で16時間加熱され、その後冷却され、真空下で濃縮された。残余物は、EtOAcに溶解され、飽和NH4Cl溶液で洗浄され、その後有機相はMgSO4上で乾燥され、濾過され、濃縮され、残余物を得て、それはフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製され、EtOAcの増加する量を含むシクロヘキサンで溶出され、白色固体として表題化合物を得た。
【0175】
【表16】

【0176】
ステップ2:[5'‐クロロ‐1‐[(2‐イソプロピル‐1,3‐チアゾール‐4‐イル)メチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0177】
ジオキサン(4 N、5 ml)に溶解したHCl 中tert‐ブチル[5'‐クロロ‐1‐[(2‐イソプロピル‐1,3‐チアゾール‐4‐イル)メチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸 (41 mg;0.08 mmol)の溶液は、16時間撹拌され、その後濃縮された。残余物はDCM/Et2Oの混合物に再溶解され、濃縮され、その後真空下で乾燥され、黄色固体を得た(39 mg、quant.)。
【0178】
【表17】

【0179】
実施例6:[5'‐クロロ‐1‐[(1,3‐ジフェニル‐1H‐ピラゾール‐4‐イル)メチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0180】
【化25】

【0181】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び4‐(クロロメチル)‐1,3‐ジフェニル‐1H‐ピラゾール(Enamine)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色固体として得られた。
【0182】
【表18】

【0183】
実施例7:[5'‐クロロ‐3‐メチル‐1‐[(5‐メチル‐3‐フェニルイソキサゾール‐4‐イル)メチル]‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0184】
【化26】

【0185】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び4‐(ブロモメチル)‐5‐メチル‐3‐フェニルイソオキサゾール(ABCR)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色固体として得られた。
【0186】
【表19】

【0187】
実施例8:[5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソ‐1‐[(2‐フェニル‐1,3‐チアゾール‐4‐イル)メチル]スピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0188】
【化27】

【0189】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び4‐(クロロメチル)‐2‐フェニル‐1,3‐チアゾール(ABCR)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色固体として得られた。
【0190】
【表20】

【0191】
実施例9:[5'‐クロロ‐1‐[(4‐メトキシ‐3,5‐ジメチルピリジン‐2‐イル)メチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0192】
【化28】

【0193】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び2‐クロロメチル‐4‐メトキシ‐3,5‐ジメチルピリジン塩酸塩(Sigma-Aldrich)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色固体として得られた。
【0194】
【表21】

【0195】
実施例10:[5'‐クロロ‐1‐(2,5‐ジフルオロベンジル)‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0196】
【化29】

【0197】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び2,5‐ジフルオロベンジルブロミド(Sigma-Aldrich)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色固体として得られた。
【0198】
【表22】

【0199】
実施例11:[1‐(1,3‐ベンゾチアゾール‐2‐イルメチル)‐5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0200】
【化30】

【0201】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び2‐(ブロモメチル)‐1,3‐ベンゾチアゾール(Acros)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は黄色固体として得られた。
【0202】
【表23】

【0203】
実施例12:[5'‐クロロ‐1‐[2‐(2‐クロロフェニル)エチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0204】
【化31】

【0205】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び1‐(2‐ブロモ‐エチル)‐2‐クロロ‐ベンゼン(Oakwood)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は茶色固体として得られた。
【0206】
【表24】

【0207】
実施例13:[5'‐クロロ‐1‐[2‐(3‐フルオロフェニル)エチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0208】
【化32】

【0209】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び2‐(3‐フルオロフェニル)エチルブロミド(ABCR)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は黄色固体として得られた。
【0210】
【表25】

【0211】
実施例14:[5'‐クロロ‐1‐[2‐(2‐フルオロフェニル)エチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0212】
【化33】

【0213】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び1‐(2‐ブロモ‐エチル)‐2‐フルオロ‐ベンゼン(Oakwood)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は黄色固体として得られた。
【0214】
【表26】

【0215】
実施例15:[5'‐クロロ‐1‐[2‐(3‐クロロフェニル)エチル]‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル]酢酸
【0216】
【化34】

【0217】
tert‐ブチル(5'‐クロロ‐3‐メチル‐2,2',5‐トリオキソスピロ[イミダゾリジン‐4,3'‐インドール]‐1'(2'H)‐イル)酢酸(中間体3)、及び1‐(2‐ブロモエチル)‐3‐クロロベンゼン(Oakwood)から開始する、実施例5に概説されるような2ステップの一般的な方法に従って、表題化合物は白色泡状物として得られた。
【0218】
【表27】

【0219】
実施例16:細胞膜を発現するhCRTH2‐CHOの調製
hCRTH2を発現する付着性のCHO細胞(Euroscreen, Belgium)は、225 cm2細胞培養フラスコ(Corning, USA)中、30mlの培地中で培養された。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)の2回リンス後、細胞は、1 mM EDTAを含む10 mlのPBSで回収され、500 x g、4℃で5分間遠心分離され、−80℃で凍結された。沈殿物は、プロテアーゼ阻害剤混合物錠剤(完全にEDTAを含まない、Roche, Germany)を含む、50 mM Tris-HCl、pH 7.4、2 mM EDTA、250 mMスクロースに再懸濁され、4℃で30分インキュベートされた。細胞は、4℃(800 p.s.i.、30分間)での窒素キャビテーション(Parr Instruments, USA)により破壊され、500 x g、4℃で10分間遠心分離された。核及び細胞残屑を含む沈殿物は廃棄され、上清は45000 x g、4℃で60分間遠心分離された。膜沈殿物は、ダウンス(Dounce)ホモジナイザーを用いて保存バッファ(10 mM HEPES/KOH pH 7.4、 1 mM EDTA、250 mM スクロース、プロテアーゼ阻害剤混合物錠剤)に再懸濁され、液体窒素中で凍結され、−80℃で保存された。
【0220】
実施例17:放射性リガンド結合アッセイ
本発明の化合物は、PGD2受容体CRTH2に対する、PGD2の結合を阻害する。阻害活性は、放射性リガンド結合シンチレーション近接アッセイ(SPA) (Sawyer et al., Br. J. Pharmocol 2002, 137, 1163-72) により調べることができる。SPA放射性リガンド結合アッセイは、96ウェルプレート(Corning, USA)中100μlの最終容量中、1.5 nM [3H]PGD2 (Perkin Elmer)、10〜50μg/mlのhCRTH2‐CHO細胞膜タンパク質、及び2 mg/mlの小麦胚芽凝集素シンチレーション近接アッセイビーズ(RPNQ0001、GE-Healthcare)を含む、結合バッファ(10 mM HEPES/KOH pH 7.4、10 mM MnCl2、プロテアーゼ阻害剤混合物錠剤を含む)中で、室温で行われた。非特異的結合は、10μM PGD2 (Cayman, USA)の存在下で測定される。式(I)の競合する化合物は、ジメチルスルホキシドの全容積が1%ジメチルスルホキシド(Me2SO)で一定に保たれるように、ジメチルスルホキシドで希釈された。100μM〜100 pMの段階希釈は調製され、式(I)の化合物ストック溶液のそれぞれ10μlは、結合アッセイ試薬に添加され、撹拌されながら室温で90分間インキュベートされた。結合活性は、1450 Micro-betaシンチレーションカウンター(Wallac, UK)を用いて測定された。
【0221】
一つの実施形態では、本発明の式(I)の化合物は、<5μMの濃度でCRTH2を阻害する。好ましくは、本発明の式(I)の化合物は、<1μMの濃度でCRTH2を阻害する。最も好ましくは、本発明の式(I)の化合物は、<0.1μMの濃度でCRTH2を阻害する。
【0222】
結果:
【表28】

【0223】
【表29】

【0224】
【表30】

【0225】
【表31】

【0226】
【表32】

【0227】
実施例18:ヒト全血におけるPGD2誘導性好酸球細胞形状アッセイ
試験化合物は、ジメチルスルホキシドの全容積が2%ジメチルスルホキシド(Me2SO)で一定に保たれるように、ジメチルスルホキシドで希釈された。200μM〜0.09μMの段階希釈物が調製された。健康なボランティア(Centre de Transfusion Sanguine de Geneve)からの90μlのヒト血液のサンプルは、ポリプロピレンファルコンチューブ(BD 352063)中で、20分間97℃の水槽で、10μlの希釈された化合物と共に、プレインキュベートされた。CRTH2活性化のために、100μl PGD2 (Cayman 12010)が20 nMでそれぞれのチューブに添加され(最終10 nM)、細胞は37℃で維持された。ネガティブ対照のために、細胞はPBSで処理された。10分後、細胞活性化は120μlホルムアルデヒド10%(最終4%、Fluka 41650)で停止され、細胞は、室温に10分間置かれた。固定された細胞は、ポリプロピレンチューブに移され、その後、1時間37℃の水槽で、0.166%(最終0.13% Triton)で 2 mlの Triton - Surfact-Amps X-100 (Pierce 28314)で、処理された。PBSで数回洗浄後(洗浄の間、赤色細胞は徐々に溶解し、2回の洗浄は必須である)、細胞は、FACSCaliburでフローサイトメトリーにより分析された。
【0228】
実施例19:ラット及びマウスにおけるインビボ薬物動態評価
インビボにおける、試験化合物の薬物動態(PK)特性の試験をするために、スプラーグドーリー(Sprague Dawley)雄性ラット、又はC57BL/6雌性マウスは、静脈投与又は経口強制飼養で投与された。双方の種について、試験化合物は、静脈経路(10%エタノール、10% N,N‐ジメチルアセトアミド、30%プロピレングリコール、50%水、v/v)については1 mg/kgで、溶液で、及び経口強制飼養については5 mg/kg (水中0.25% Tween 20を含む、0.5% カルボキシメチルセルロース懸濁液)で、懸濁液で投与された。ラットにおけるPK特性は、投与経路につき3匹の動物から得られ、マウスPKは、それぞれの時点について3匹の動物から得られた。投与の容量は、双方の種において、静脈投与について2 mL/kg、経口強制飼養については5 mL/kg(ラット)又は10 mL/kg(マウス)であった。血液サンプル(100μL/時点)は、静脈投与については投与後、0.083 (5分)、0.25、0.5、1、4、7及び24時間、経口投与については投与後0.5、1、4、7、及び24時間に、ヘパリン‐Li+を含むチューブに回収された。ラットについては、全血サンプルは、イソフルラン麻酔下で、頚動脈においてカテーテル(実験の前日に頚動脈に置かれた)を通して回収され、遠心分離及び血漿分離まで、氷上で保存された。マウスについては、全血サンプルは、それぞれの時点で屠殺時に心蔵穿刺により回収され、ラットについて上述されるように行われた。血漿サンプルは、分析まで凍結して保存された(−20℃〜−70℃)。生物分析のために、サンプルは、一つの内部標準の添加後、タンパク質沈殿(アセトニトリル、ギ酸0.1%、3容量の添加)により行われ、高感度且つ選択的なLC/MS/MS法を用いて分析された。得られた上清の一定量は、逆相カラム(Waters Xterra、C8(3.5μm 粒子径、2.1 x 50 mm)、(溶媒A) 85%水、15%アセトニトリル及び0.1%ギ酸、から(溶媒B) 90%アセトニトリル、10%水及び0.1%ギ酸の短い勾配(1分)、続いて溶媒Bの均一条件0.4 mL/分で3.5分)を用いたLC/MS/MS分析に供された。カラム溶出は、Turbo V 電子スプレイイオン源を備えたSciex API 4000三連四重極質量分析計を用いて観測された。試験化合物の未知の濃度は、1〜3000 ng/mLに及ぶ較正曲線を用いて測定された。
【0229】
実施例20:マウスにおけるOVA誘導性肺好酸球増多
BALB/cマウス(6〜8週齢)は、0日及び7日に、オボアルブミン(10μg i.p)で免疫付与された。肺における局所炎症反応を引き起こすために、マウスは、15日目〜17日目に、オボアルブミンの霧状溶液で、チャレンジされた(10μg/ml;De Vilibiss Ultraneb 2000、3日間の間、1日1回30分)。15日目〜17日目のそれぞれ別の日に、それぞれの動物は、t =0 hでのOVA 曝露に関してt−1h及びt+7時間で、試験化合物を経口強制飼養を介して受けた。最終OVAチャレンジから8時間後、気管支肺胞洗浄(BAL)はその後行われた。BAL液体サンプル中の全細胞数は、血球計算器を用いて測定された。BAL液体サンプルのサイトスピンスメアは、室温で1200 rpm、2分間の遠心分離により調製され、分化細胞カウントのために、DiffQuik 染色システム(Dade Behring)を用いて染色された。
【0230】
経口経路により投与されたときに、実施例2の化合物は、肺において、OVA誘導性好酸球動員のモデルにおける活性を示した(30 mg/Kg の投与で79%阻害)。
【0231】
実施例2の化合物は、マウス及びラットの双方において、経口生物学的利用性における著しい改善を示す。経口生物学的利用性は、経口経路(溶液、懸濁液、丸薬、錠剤、カプセルなど)により輸送される薬剤を可能にするので、DP2アンタゴニストにおける著しく望ましい特徴である。
【0232】
【表33】

【0233】
実施例21:医薬製剤の調製
製剤1−錠剤
式(I)の化合物は、重量比約1:2で、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と混合される。少量のステアリン酸マグネシウムは、潤滑剤として添加される。混合物は、錠剤圧搾で、240〜270 mg錠剤(錠剤につき、80〜90 mgの本発明の活性化合物)に形成される。
【0234】
製剤2−カプセル
式(I)の化合物は、重量比約1:1で、乾燥粉末として、デンプン希釈剤と混合される。混合物は、250 mgカプセル (カプセルにつき、125 mgの本発明の活性化合物)に充填される。
【0235】
製剤3−液体
式(I)の化合物(1250 mg)、スクロース(1.75 g)、及びキサンタンゴム(4 mg)は混合され、No.10メッシュU.S.ふるいに通され、その後あらかじめ調製された水中微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50 mg)と混合される。安息香酸ナトリウム(10 mg)、香料、及び色素は水で希釈され、撹拌しながら添加される。十分な水は、5 mlの全容量を製造するために、その後添加される。
【0236】
製剤4−錠剤
式(I)の化合物は、重量比約1:2で、乾燥粉末として、乾燥ゼラチン結合剤と混合される。少量のステアリン酸マグネシウムは、潤滑剤として添加される。混合物は、錠剤圧搾で、450〜900 mg錠剤(150〜300 mgの本発明の活性化合物)に形成される。
【0237】
製剤5−注射
式(I)の化合物は、緩衝化された滅菌生理食塩水注射水媒体に、約5 mg/mLの濃度まで溶解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、
【化1】

[式中、
R1が、H、Hal、A、CN、OA、CF3、OCF3であり、
R2が、Aであり、
R3、R3'が、互いに独立して、H又はAであり、
R4が、H又はAであり、
Qが、A、‐(CH2)n‐Ar、‐(CH2)nHet、‐(CH2)p‐(CHR11)q‐(CH2)r‐Ar、又は‐(CH2)p‐(CHR11)q‐(CH2)r‐Hetであり、
p及びrが、互いに独立して、0、1、2、3、又は4であり、
qが、1又は2であり、
R11が、H、A、CN、OR6、Hal、Ar、又はHetであり、
nが、1、2、3、又は4であり、
Tが、CR5又はNであり、
R5が、H、Hal、A、CN、OA、CF3、OCF3であり、
Aが、1〜12個のC原子を有する分枝又は直線のアルキルであって、1又は複数個の、好ましくは1〜7個のH原子が、Hal、OR6、CN、N(R6)2、シクロアルキル、Ar、又はHetにより置換され得、1又は複数個の、好ましくは1〜7個のCH2‐基が、O、NR6、CON(R6)2、又はSにより、及び/又はCH=CH‐又は‐C≡C‐基により置換され得、又は3〜7個の環状C原子を有するシクロアルキレン又はシクロアルキルアルキレンを表し、
Halが、F、Cl、Br、又はIであり、
Arが、未置換であるか、又はHal、A、CH2OA、‐CH2OR6、OR6、CF3、OCF3、N(R6)2、NO2、CN、NR6COA、NR6SO2A、COR6、SO2N(R6)2、SOA、SO2A、Het、又はAr'により一置換、二置換、又は三置換され得る、6〜14個の炭素原子を有する、単環式又は二環式の、不飽和の又は芳香族炭素環を表し、
Ar'が、未置換であるか、又はHal、A、‐CH2OA、‐CH2OR6、‐OR6、‐CF3、‐OCF3により一置換、二置換、又は三置換され得る、6〜14個の炭素原子を有する、単環式又は二環式の、不飽和又は芳香族炭素環を表し、
Hetが、未置換であるか、又はHal、A、CH2OA、OR6、CF3、OCF3、N(R6)2、NO2、CN、NR6COA、NR6SO2A、COR6、SO2N(R6)2、SOA、SO2A、Arにより一置換、二置換、又は三置換され得る、1〜4個のN、O、及び/又はS原子を有する、単環式又は二環式の、不飽和又は芳香族炭素環を表し、
R6が、H又はAである。]
又は医薬的に使用できる誘導体、エナンチオマー、ジアステレオアイソマー、タウトマー、塩、溶媒和物、若しくは全ての割合でのその混合物。
【請求項2】
前記化合物が、純粋な(pur)エナンチオマー、又はエナンチオマーのエナンチオマー的に富化された混合物である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
メタノール中で旋光性が正であることを特徴とする、式I'a、I'b、又はI'cのエナンチオマー:
【化2】

【請求項4】
Qが、1〜6個の炭素原子を有するアルキルから、又は以下の基:
【化3】

から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、式(Ia)又は(Ib)で表される、請求項1に記載の式(I)の化合物、
【化4】

[式中、R1、Q、R3、R3'及びR4は、上記で定義されたとおりである。]
【化5】

[式中、Gは、Ar又はHetであって、且つ
Vは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルである。]
又は医薬的に使用できる誘導体、エナンチオマー、ジアステレオアイソマー、タウトマー、塩、溶媒和物、若しくは全ての割合でのその混合物。
【請求項6】
以下の基:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
医薬として使用のための、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
CRTH2関連疾患の治療に使用のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
アレルギー性疾患、及び炎症性皮膚疾患の治療及び/又は予防に使用のための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
前記疾患が、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎、接触過敏症、アレルギー性接触皮膚炎、慢性じんましん/慢性特発性/自己免疫性じんましん、薬剤により誘導される発疹、光線皮膚炎又は多形光線疹、筋炎、神経変性疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、変形性関節症、及び炎症性腸疾患(IBD)から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜6に記載の少なくとも1の化合物、及び/又はそれらの医薬的に使用できる誘導体、タウトマー、塩、溶媒和物、及びステレオアイソマー、及び全ての割合でのそれらの混合物、並びに賦形剤及び/又はアジュバントを含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1〜5に記載の少なくとも1の化合物、及び/又はそれらの医薬的に使用できる誘導体、タウトマー、塩、溶媒和物、及びステレオアイソマー、及び全ての割合でのそれらの混合物、並びに少なくとも一つのさらなる活性成分を含む、医薬組成物。
【請求項14】
(a) 有効量の請求項1〜6に記載の1又は複数個の化合物、及び/又はそれらの医薬的に使用できる誘導体、タウトマー、塩、溶媒和物、及びステレオアイソマー、及び全ての割合でのそれらの混合物、
並びに
(b) 有効量のさらなる医薬活性成分、
の分離したパックから成るキット又はセット。
【請求項15】
請求項1に記載の式(I)の化合物のためのプロセスであって、
式(III)の化合物とR2‐Wとを反応させ、
【化6】

式(I')の化合物を与えるステップを含む、プロセス。
【化7】

[式中、R1、T、Q、R2、R3、R3'及びR4は、請求項1で定義された通りであって、且つ
Wは、Cl、Br、I、OMs、OTfから選択される離脱基である。]

【公表番号】特表2012−532915(P2012−532915A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520029(P2012−520029)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060154
【国際公開番号】WO2011/006936
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(309025524)メルク セローノ ソシエテ アノニム (49)
【Fターム(参考)】