説明

CVD装置及びCVD装置の操作方法

【課題】原料溶液を気化して反応室に供給する気化器を備えた溶液気化型のCVD装置及びCVD装置の操作方法に関する技術であって、装置の休止中に原料溶液が配管に漏れ出す等して気化器のノズル詰まりが生じるのを防止し、原料溶液の安定供給とメンテナンスの低減を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】原料溶液を噴霧用ガスと合流させてから気化器50に導入する溶液気化型のCVD装置100において、原料溶液輸送管30における原料溶液供給部10との連結点及び溶媒供給部20との連結点より下流側であって、ガス輸送管40との合流点より上流側にストップバルブVEを設け、このストップバルブVEより上流を溶媒で充填可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料溶液を気化して反応室に供給する気化器を備えた溶液気化型のCVD装置及びCVD装置の操作方法に関し、特に原料溶液を気化器に輸送する原料供給ラインの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超電導線材の製造工程において、超電導層の成膜には化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)が利用されている。CVD法では原料ガスを基材に供給し化学反応させることにより成膜するが、超電導体の原料は蒸気圧が低く常温固体であるため、固体原料を溶解した溶液(原料溶液)を気化器において気化させ、この気化ガスを反応室に供給する手法が採られている。原料溶液としては、例えばTHF(テトラヒドロフラン)の溶媒に、有機金属のβ−ジケトン錯体(例えばジピバロイルメタン(DPM:dipivaloylmethane)を溶解したものが用いられる。以下、有機金属MのDPM錯体をM(DPM)nと表す。上述した手法に用いられる溶液気化型のCVD装置は、例えば特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
図7は、本発明者等が従来使用していた溶液気化型のCVD装置の一例を示す図である。図7に示すように、従来のCVD装置5は、原料供給部11〜13、溶媒供給部20、原料溶液輸送管30、ガス輸送管40、気化器50、反応室60を備えて構成される。
原料供給部11〜13には固体原料を溶解させた原料溶液が貯留され、溶媒供給部20の容器には原料溶液の溶媒とされた溶媒が貯留される。これらの原料溶液及び溶媒が原料溶液輸送管30で混合されて輸送され、ガス輸送管40で噴霧用ガスと合流して気化器50に導入される。
原料溶液輸送管30、ガス輸送管40又は気化器50において、原料溶液から溶媒が気化して固体原料が析出すると、噴霧ノズルが目詰まりしたり、薄膜にパーティクルが混入したりして、良質な薄膜の形成が阻害されてしまう。そこで、成膜終了して装置を休止する際には、成膜工程の後処理として不活性ガス及び溶媒による洗浄処理を行うようにしている。
【0004】
以下に、CVD装置5を用いてイットリウム系超電導層(以下、Y系超電導層)を成膜する際の、原料溶液の導入開始/停止時の具体的な手順について説明する。ここで、イットリウム(Y)源として、溶媒であるTHFにY(DPM)3を溶解させた原料溶液Y(DPM)3/THFを用いている。また、原料溶液Ba(DPM)2/THFをバリウム(Ba)源、原料溶液Cu(DPM)2/THFを銅(Cu)源としている。
第1ステップでは、バルブVS及びV1〜V3を閉状態としたまま、気化器50にArガスを導入する。気化器50にはArガスのみが導入される。
第2ステップでは、バルブVSを開状態、バルブV1〜V3を閉状態とし、溶媒THFによる前パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第3ステップでは、バルブVS及びV1〜V3を開状態とし、原料溶液の導入を開始する。気化器50にはArガス、THF、原料溶液が導入される。そして、気化器50において原料ガスが生成され、反応室60においてY系超電導層の成膜が行われる。
【0005】
Y系超電導層の成膜が終了すると、第4ステップにおいて、バルブVSを開状態、バルブV1〜V3を閉状態とし、原料溶液の導入を停止するとともに溶媒THFによる後パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第5ステップでは、バルブVS及びV1〜V3を閉状態とし、溶媒THFの導入も停止する。気化器50にはArガスのみが導入される。
そして、第6ステップにおいて、Arガスの導入を停止する、又はArガスの導入を停止したのちに真空引きする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−268634号公報
【特許文献2】特開平10−195659号公報
【特許文献3】特開2001−332540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した手順に従って洗浄処理を行っても、1〜7回程度の成膜工程を実行しただけで噴霧ノズルが目詰まりしてしまい、頻繁にメンテナンスをする必要が生じた。
ここで、成膜工程後には原料溶液輸送管30及びガス輸送管40の洗浄処理を行っているので(上記の第4ステップ)、配管内には原料溶液が残存していないはずである。一方で、このノズル詰まりは、上記の第1ステップ(成膜処理前のArガス導入)で生じていた。このことから、CVD装置の休止中に、バルブV1〜V3のいずれかが内流れをおこし、原料溶液が原料溶液輸送管30側に漏れ出したために、固体原料が析出してノズル詰まりを起こしていると推定された。
【0008】
本発明は、原料溶液を気化して反応室に供給する気化器を備えた溶液気化型のCVD装置及びCVD装置の操作方法に関する技術であって、装置の休止中に原料溶液が配管に漏れ出す等して気化器のノズル詰まりが生じるのを防止し、原料溶液の安定供給とメンテナンスの低減を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたもので、
固体原料を溶媒に溶解した原料溶液を気化させる気化器と、
この気化器によって気化された原料ガスを基材表面に供給し化学反応させることにより薄膜を形成する反応室と、
前記気化器に噴霧用のガスを輸送するためのガス輸送管と、
下流側で前記ガス輸送管に合流するように設けられ前記気化器に前記原料溶液を輸送するための原料溶液輸送管と、
前記原料溶液輸送管に第1バルブを介して連結され前記原料溶液を供給する原料溶液供給部と、
前記原料溶液輸送管に第2バルブを介して連結され前記溶媒を供給する溶媒供給部と、
を備えたCVD装置において、
前記原料溶液輸送管における前記原料溶液供給部との連結点及び前記溶媒供給部との連結点より下流側であって、前記ガス輸送管との合流点より上流側にストップバルブを設け、このストップバルブと前記第1バルブとの間を前記溶媒で充填可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のCVD装置において、前記ストップバルブは、共通室により流体入口と流体出口を連通させ1つの連通口を弁体で閉塞することにより開閉状態を切り替え可能に構成され、閉状態としたときに、前記原料溶液輸送管の下流側との連通口が前記弁体によって閉塞されるように設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のCVD装置において、前記溶媒供給部は、前記原料溶液供給部の上流側で前記原料溶液輸送管に連結されることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のCVD装置において、前記第1バルブは、前記原料溶液輸送管の上流側に接続される第1連通口と、下流側に接続される第2連通口と、前記原料溶液供給部に接続される第3連通口を有し、前記第1、第2連通口を連通させた状態で前記第3連通口の開閉状態を切り替え可能な3方向バルブで構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のCVD装置の操作方法において、薄膜形成後に、
前記ストップバルブ及び前記第2バルブを開状態とし、前記第1バルブを閉状態として、前記原料溶液輸送管を前記溶媒でパージする工程と、
前記ストップバルブを閉状態とした後、前記第2バルブを閉状態として、前記原料溶液輸送管の前記第1バルブと前記ストップバルブとの間を前記溶媒で充填する工程と、
を行い、その後CVD装置を停止することを特徴とする。
【0014】
以下に、図1,2を参照して本発明の概略について説明する。
図1では、n種類の固体原料を溶解した原料溶液1,2・・nを用いた場合について示している。なお、いずれの原料溶液も溶媒は同じであるので、洗浄用の溶媒は1種類でよい。
図1に示すように、本発明に係るCVD装置100は、原料溶液供給部10、溶媒供給部20、原料溶液輸送管30、ガス輸送管40、気化器50、反応室60、第1バルブV1,V2・・Vn、第2バルブVS、及びストップバルブVEを備えて構成されている。
図1に示すCVD装置100において、第1バルブV1,V2・・Vn及びストップバルブVEを閉状態とし、第2バルブVSを開状態とすれば、ストップバルブVEと第1バルブV1,V2・・Vnとの間は溶媒で充填される。そして、溶媒で充填された後に第2バルブVSを閉状態とすることで、CVD装置100の休止中はその状態が保持されることとなる。
【0015】
図2は、溶媒を充填したときの配管内の状態を示す図である。
図2(a)に示すように、第1バルブV1,V2・・Vnより上流側(原料溶液供給部10側)の配管は原料溶液で充填されており、一定の溶質濃度を有している。一方、ストップバルブVEから下流側(気化器側)は、固体原料が析出しやすい気体で充填された状態、又は真空となっている。
第1バルブV1,V2・・VnからストップバルブVEまでの配管(原料容器輸送管30)は溶媒で充填されており、固体原料の濃度は0となっている。第1バルブV1,V2・・Vnのいずれかが内流れを起こし原料溶液輸送管30に原料溶液が流れ込んでも、第1バルブV1,V2・・VnからストップバルブVEまでの領域が緩衝領域となって固体原料の濃度は薄められる。つまり、この緩衝領域で固体原料が析出することはない。したがって、CVD装置100の休止中に、固体原料が析出して気化器50のノズル詰まりが生じるのを防止できる。
これに対して、従来のようにストップバルブVEがなければ、図2(b)に示すように、第1バルブV1,V2・・Vnを境界にして原料溶液と気体、又は真空が存在する。したがって、原料溶液が第1バルブV1,V2・・Vnから漏れ出すと、固体原料は容易に析出してしまい、ノズル詰まりの主たる要因となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、CVD装置の休止中に原料溶液が配管に漏れ出す等して気化器のノズル詰まりが生じるのを防止することができ原料溶液の安定供給を実現できるので、良質な薄膜を形成可能となる。また、ノズル詰まりを解消するためのメンテナンスを低減できるので、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の概略を説明するための模式図である。
【図2】溶媒を充填したときの配管内の状態を示す図である。
【図3】実施例1に係るCVD装置の構成を示す図である。
【図4】ダイヤフラムバルブの内部構造の一例を示す断面図である。
【図5】第2実施形態に係るCVD装置の構成を示す図である。
【図6】第4実施形態に係るCVD装置の構成を示す図である。
【図7】従来の溶液気化型のCVD装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図3は、第1実施形態に係るCVD装置の概略構成を示す図である。第1実施形態では、Y系超電導層を成膜する場合に用いられるCVD装置の一例について示している。
図3に示すように、第1実施形態に係るCVD装置1は、原料溶液供給部11〜13、溶媒供給部20、原料溶液輸送管30、ガス輸送管40、気化器50、反応室60、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS、及びストップバルブVEを備えて構成されている。
【0019】
原料溶液供給部11〜13は、容器に貯留された原料溶液が、Heなどの不活性ガスにより加圧されることで、マスフローコントローラ等を介して送出される構成となっている。原料溶液供給部11は、溶媒であるTHFにY(DPM)3を溶解させた原料溶液Y(DPM)3/THFを供給する。原料溶液供給部12は、溶媒であるTHFにBa(DPM)2を溶解させた原料溶液Ba(DPM)2/THFを供給する。原料溶液供給部13は、溶媒であるTHFにCu(DPM)2を溶解させた原料溶液Cu(DPM)2/THFを供給する。
【0020】
溶媒供給部20は、容器に貯留された溶媒THFが、Heなどの不活性ガスにより加圧されることで、マスフローコントローラ等を介して送出される構成となっている。第1実施形態において、溶媒供給部20は、原料供給部11〜13よりも上流側で原料溶液輸送管30に連結されている。これにより、成膜工程後の洗浄処理において、原料溶液輸送管30内に残存する原料溶液を、溶媒THFで効率よくパージすることができる。
【0021】
原料溶液輸送管30は、下流側(気化器側)でガス輸送管40に合流するように設けられ、原料溶液供給部11〜13から供給された原料溶液を気化器50に輸送する。ガス輸送管40は、気化器50に噴霧用のガス(例えばArガス)を輸送する。
気化器50は、導入された原料溶液を気化させる。反応室60は、気化器50によって気化された原料ガスを基材表面に供給し化学反応させることにより薄膜を形成する。
【0022】
ストップバルブVEは、原料溶液輸送管30からガス輸送管40への溶液の流入を制御するバルブである。このストップバルブVEは、原料溶液輸送管30における原料溶液供給部11〜13との連結点P1〜P3(すなわち第1バルブV1〜V3の設置箇所)及び溶媒供給部20との連結点PS(すなわち第2バルブVSの設置箇所)より下流側であって、ガス輸送管40との合流点Jより上流側に設けられている。つまり、ストップバルブVEを境界にして、上流側を液相で充填するとともに下流側を気相で充填、又は真空にできるようにしている。
【0023】
第1実施形態では、ストップバルブVEをダイヤフラムバルブで構成している。ダイヤフラムバルブの代わりに、ベローズバルブを適用することもできる。
図4は、ダイヤフラムバルブの内部構造の一例を示す断面図である。図4に示すように、ダイヤフラムバルブ70は、流体入口76、流体出口77及びこれらを連通させる共通室75を備えたボディ71と、共通室75において流体出口77の一端を閉塞可能に配設されたダイヤフラム72と、流体出口77の一端を囲繞する弁座74にダイヤフラム72を押圧するダイヤフラム押え73とを備えて構成されている。本実施形態では、流体入口76に原料溶液輸送管30の上流側が接続され、流体出口77に原料溶液輸送管30の下流側が接続されている。
ダイヤフラム72が弁座74に押し当てられると(閉状態)、流体出口77の一端が閉塞される。このとき、流体出口77は共通室75に連通しない(デッドが小さくなる)ので、これを下流側に接続することで、原料溶液から固体原料が容易に析出することとなる気相又は真空の空間が小さくなるようにしている。
【0024】
このように、第1実施形態では、ストップバルブ(VE)は、共通室(75)により流体入口(76)と流体出口(77)を連通させ1つの連通口を弁体(ダイヤフラム72)で閉塞することにより開閉状態を切り替え可能に構成されている。そして、閉状態としたときに、原料溶液輸送管(30)の下流側との連通口が弁体によって閉塞されるように設けられている。これにより、原料溶液から固体原料が析出するのをさらに抑制できるので、ノズル詰まりを防止するのに効果的である。
【0025】
また、第1実施形態では、第1バルブV1〜V3を、原料溶液輸送管30の上流側に接続される第1連通口と下流側に接続される第2連通口を連通させた状態で、原料溶液供給部11〜13に接続される第3連通口の開閉状態を切り替え可能な3方向バルブで構成している。これにより、原料溶液輸送管30から枝管により分岐して原料溶液供給部11〜13を接続した場合(図7参照)に比較して、溶媒THFによるパージを効率的に行うことができる。
【0026】
第1実施形態に係るCVD装置1において、原料供給部11〜13の原料溶液は、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送される。そして、それぞれ第1バルブV1〜V3を介して原料溶液輸送管30に送出される。同様に、溶媒供給部20のTHFは、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送され、第2バルブVSを介して原料溶液輸送管30に送出される。
原料溶液Y(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFは、原料溶液輸送管30で混合される。混合された原料溶液は、ガス輸送管40においてAr等の噴霧用ガスと合流して気化器50に導入され、ノズルから噴霧される。そして、加熱された気化器50の内壁に衝突して瞬時に気化され、この気化ガスが図示しないO2ガスとともに原料ガスとして反応室60に供給される。反応室60に導入された原料ガスが基材表面に供給され化学反応することでY系超電導層が形成される。
【0027】
以下に、CVD装置1を用いてY系超電導層を成膜する際の、原料溶液の導入開始/停止時の具体的な手順について説明する。各バルブの開閉状態については表1に示している。
第1ステップS11では、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS及びストップバルブVEを閉状態としたまま、気化器50にArガスを導入する。気化器50にはArガスのみが導入される。なお、原料溶液輸送管30のストップバルブVEより上流側には、前回の薄膜形成後の処理によりTHFが充填されている。
第2ステップS12では、第2バルブVS及びストップバルブVEを開状態、第1バルブV1〜V3を閉状態とし、溶媒THFによる前パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第3ステップS13では、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS及びストップバルブVEを開状態とし、原料溶液の導入を開始する。気化器50にはArガス、THF、原料溶液が導入される。そして、気化器50において原料ガスが生成され、反応室60においてY系超電導層の成膜が行われる。
【0028】
Y系超電導層の成膜が終了すると、第4ステップS14において、第2バルブVS及びストップバルブVEを開状態、第1バルブV1〜V3を閉状態とし、原料溶液の導入を停止するとともに溶媒THFによる後パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第5ステップS15では、第1バルブV1〜V3、ストップバルブVEを閉状態、第2バルブVSを開状態とし、原料溶液輸送管30のストップバルブVEより上流側に溶媒THFを充填する。気化器50にはArガスのみが導入される。
そして、第6ステップS16において、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS及びストップバルブVEを閉状態とし、Arガスの導入を停止する、又はArガスの導入を停止したのちに真空引きする。
この手順により成膜工程を繰り返し実行したところ、少なくとも127回まではノズル詰まりが発生しないことが確認されている。
【0029】
【表1】

【0030】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るCVD装置の構成を示す図である。第2実施形態では、Y系超電導層を成膜する場合に用いられるCVD装置の他の一例について示している。なお、基本的構成については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
図5に示すように、第2実施形態に係るCVD装置2は、原料溶液供給部11〜13、溶媒供給部21〜23、原料溶液輸送管31〜33、ガス輸送管40、気化器50、反応室60、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS1〜VS3、及びストップバルブVE1〜VE3を備えて構成されている。
すなわち、第2実施形態では、3種類の原料溶液Y(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを別々の原料溶液輸送管31〜33により輸送し、ガス輸送管40において混合する構成となっている。そのため、溶媒供給部21〜23、第2バルブVS1〜VS3及びストップバルブVE1〜VE3も系統ごとに設けられている。
【0031】
第2実施形態に係るCVD装置2において、原料供給部11〜13の原料溶液は、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送される。そして、それぞれ第1バルブV1〜V3を介して原料溶液輸送管31〜33に送出される。同様に、溶媒供給部21〜23のTHFは、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送され、第2バルブVS1〜VS3を介して原料溶液輸送管30に送出される。
原料溶液Y(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFは、別々の原料溶液輸送管31〜33で輸送され、ガス輸送管40に流入する。3種類の原料溶液は、ガス輸送管40において混合されるとともにAr等の噴霧用ガスと合流して気化器50に導入され、ノズルから噴霧される。そして、加熱された気化器50の内壁に衝突して瞬時に気化され、この気化ガスが図示しないO2ガスとともに原料ガスとして反応室60に供給される。反応室60に導入された原料ガスが基材表面に供給され化学反応することでY系超電導層が形成される。
【0032】
以下に、CVD装置2を用いてY系超電導層を成膜する際の、原料溶液の導入開始/停止時の具体的な手順について説明する。各バルブの開閉状態については表2に示している。
第1ステップS21では、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS1〜VS3及びストップバルブVE1〜VE3を閉状態としたまま、気化器50にArガスを導入する。気化器50にはArガスのみが導入される。なお、原料溶液輸送管31〜33のストップバルブVE1〜VE3より上流側には、前回の薄膜形成後の処理によりTHFが充填されている。
第2ステップS22では、第2バルブVS1〜VS3及びストップバルブVE1〜VE3を開状態、第1バルブV1〜V3を閉状態とし、溶媒THFによる前パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第3ステップS23では、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS1〜VS3及びストップバルブVE1〜VE3を開状態とし、原料溶液の導入を開始する。気化器50にはArガス、THF、原料溶液が導入される。そして、気化器50において原料ガスが生成され、反応室60においてY系超電導層の成膜が行われる。
【0033】
Y系超電導層の成膜が終了すると、第4ステップS24において、第2バルブVS1〜VS3及びストップバルブVE1〜VE3を開状態、第1バルブV1〜V3を閉状態とし、原料溶液の導入を停止するとともに溶媒THFによる後パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第5ステップS25では、第1バルブV1〜V3、ストップバルブVE1〜VE3を閉状態、第2バルブVS1〜VS3を開状態とし、原料溶液輸送管31〜33のストップバルブVE1〜VE3より上流側に溶媒THFを充填する。気化器50にはArガスのみが導入される。
そして、第6ステップS26において、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS1〜VS3及びストップバルブVE1〜VE3を閉状態とし、Arガスの導入を停止する、又はArガスの導入を停止したのちに真空引きする。
この手順により成膜工程を繰り返し実行したところ、少なくとも57回まではノズル詰まりが発生しないことが確認されている。
【0034】
【表2】

【0035】
[第3実施形態]
上述した第1、第2実施形態では、固体原料を溶解する溶媒としてTHFを用いた場合について説明したが、第3実施形態では溶媒にキシレンを用いる。以下、第3実施形態に係るCVD装置3について、図3を参照して説明する。なお、図3中、THFはキシレンに読み替えるものとする。
【0036】
図3に示すように、第3実施形態に係るCVD装置3は、原料溶液供給部11〜13、溶媒供給部20、原料溶液輸送管30、ガス輸送管40、気化器50、反応室60、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS、及びストップバルブVEを備えて構成されている。
第3実施形態では、原料溶液供給部11〜13は、それぞれ原料溶液Y(DPM)3/キシレン,Ba(DPM)2/キシレン,Cu(DPM)2/キシレンを供給する。また、溶媒供給部20は、溶媒であるキシレンを供給する。溶媒供給部20は、原料供給部11〜13よりも上流側で原料溶液輸送管30に連結されているので、成膜工程後の洗浄処理において、原料溶液輸送管30内に残存する原料溶液を、溶媒キシレンで効率よくパージすることができる。
【0037】
第3実施形態に係るCVD装置3において、原料供給部11〜13の原料溶液は、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送される。そして、それぞれ第1バルブV1〜V3を介して原料溶液輸送管30に送出される。同様に、溶媒供給部20のキシレンは、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送され、第2バルブVSを介して原料溶液輸送管30に送出される。
原料溶液Y(DPM)3/キシレン,Ba(DPM)2/キシレン,Cu(DPM)2/キシレンは、原料溶液輸送管30で混合される。混合された原料溶液は、ガス輸送管40においてAr等の噴霧用ガスと合流して気化器50に導入され、ノズルから噴霧される。そして、加熱された気化器50の内壁に衝突して瞬時に気化され、この気化ガスが図示しないO2ガスとともに原料ガスとして反応室60に供給される。反応室60に導入された原料ガスが基材表面に供給され化学反応することでY系超電導層が形成される。
【0038】
以下に、CVD装置3を用いてY系超電導層を成膜する際の、原料溶液の導入開始/停止時の具体的な手順について説明する。
第1ステップS31では、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS及びストップバルブVEを閉状態としたまま、気化器50にArガスを導入する。気化器50にはArガスのみが導入される。なお、原料溶液輸送管30のストップバルブVEより上流側には、前回の薄膜形成後の処理によりキシレンが充填されている。
第2ステップS32では、第2バルブVS及びストップバルブVEを開状態、第1バルブV1〜V3を閉状態とし、溶媒キシレンによる前パージを行う。気化器50にはArガスとキシレンが導入される。
第3ステップS33では、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS及びストップバルブVEを開状態とし、原料溶液の導入を開始する。気化器50にはArガス、キシレン、原料溶液が導入される。そして、気化器50において原料ガスが生成され、反応室60においてY系超電導層の成膜が行われる。
【0039】
Y系超電導層の成膜が終了すると、第4ステップS34において、第2バルブVS及びストップバルブVEを開状態、第1バルブV1〜V3を閉状態とし、原料溶液の導入を停止するとともに溶媒キシレンによる後パージを行う。気化器50にはArガスとキシレンが導入される。
第5ステップS35では、第1バルブV1〜V3、ストップバルブVEを閉状態、第2バルブVSを開状態とし、原料溶液輸送管30のストップバルブVEより上流側に溶媒キシレンを充填する。気化器50にはArガスのみが導入される。
そして、第6ステップS36において、第1バルブV1〜V3、第2バルブVS及びストップバルブVEを閉状態とし、Arガスの導入を停止する、又はArガスの導入を停止したのちに真空引きする。
このように、溶媒としてキシレンを用いた場合であっても、ノズル詰まりの発生を効果的に防止することができる。
【0040】
[第4実施形態]
上述した第1〜第3実施形態ではY系超電導層としてYBCO層を成膜する場合について説明したが、第4実施形態では不純物としてランタノイド系元素であるGd(ガドリニウム)を添加したYBCO層(以下、Y(Gd)BCO層)を成膜する場合について説明する。なお、Gdの添加量は、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)が0.2を満たすように調整される。
図6は、第4実施形態に係るCVD装置の構成を示す図である。なお、基本的構成については第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
図6に示すように、第4実施形態に係るCVD装置4は、原料溶液供給部11〜14、溶媒供給部21〜24、原料溶液輸送管31〜34、ガス輸送管40、気化器50、反応室60、第1バルブV1〜V4、第2バルブVS1〜VS4、及びストップバルブVE1〜VE4を備えて構成されている。
すなわち、第4実施形態では、4種類の原料溶液Y(DPM)3/THF,Gd(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF,Cu(DPM)2/THFを別々の原料溶液輸送管31,34,32,33により輸送し、ガス輸送管40において混合する構成となっている。そのため、溶媒供給部21〜24、第2バルブVS1〜VS4及びストップバルブVE1〜VE4も系統ごとに設けられている。
【0041】
第4実施形態に係るCVD装置4において、原料供給部11〜14の原料溶液は、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送される。このとき、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)が0.2となるようにそれぞれの流量が調整される。そして、それぞれ第1バルブV1〜V4を介して原料溶液輸送管31〜34に送出される。同様に、溶媒供給部21〜24のTHFは、Heなどの不活性ガスにより容器内の圧力を上昇させることで容器外へ圧送され、第2バルブVS1〜VS4を介して原料溶液輸送管31〜34に送出される。
原料溶液Y(DPM)3/THF,Gd(DPM)3/THF,Ba(DPM)2/THF、Cu(DPM)2/THFは別々の原料溶液輸送管31,34,32,33で輸送され、ガス輸送管40に流入する。4種類の原料溶液は、ガス輸送管40において混合されるとともにAr等の噴霧用ガスと合流して気化器50に導入され、ノズルから噴霧される。そして、加熱された気化器50の内壁に衝突して瞬時に気化され、この気化ガスが図示しないO2ガスとともに原料ガスとして反応室60に供給される。反応室60に導入された原料ガスが基材表面に供給され化学反応することでY系超電導層が形成される。
【0042】
以下に、CVD装置4を用いてY系超電導層(Y(Gd)BCO)を成膜する際の、原料溶液の導入開始/停止時の具体的な手順について説明する。各バルブの開閉状態については表3に示している。
第1ステップS41では、第1バルブV1〜V4、第2バルブVS1〜VS4及びストップバルブVE1〜VE4を閉状態としたまま、気化器50にArガスを導入する。気化器50にはArガスのみが導入される。なお、原料溶液輸送管31〜34のストップバルブVE1〜VE4より上流側には、前回の薄膜形成後の処理によりTHFが充填されている。
第2ステップS42では、第2バルブVS1〜VS4及びストップバルブVE1〜VE4を開状態、第1バルブV1〜V4を閉状態とし、溶媒THFによる前パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第3ステップS43では、第1バルブV1〜V4、第2バルブVS1〜VS4及びストップバルブVE1〜VE4を開状態とし、原料溶液の導入を開始する。気化器50にはArガス、THF、原料溶液が導入される。そして、気化器50において原料ガスが生成され、反応室60においてY系超電導層の成膜が行われる。
【0043】
Y系超電導層の成膜が終了すると、第4ステップS44において、第2バルブVS1〜VS4及びストップバルブVE1〜VE4を開状態、第1バルブV1〜V4を閉状態とし、原料溶液の導入を停止するとともに溶媒THFによる後パージを行う。気化器50にはArガスとTHFが導入される。
第5ステップS45では、第1バルブV1〜V4、ストップバルブVE1〜VE4を閉状態、第2バルブVS1〜VS4を開状態とし、原料溶液輸送管31〜34のストップバルブVE1〜VE4より上流側に溶媒THFを充填する。気化器50にはArガスのみが導入される。
そして、第6ステップS46において、第1バルブV1〜V4、第2バルブVS1〜VS4及びストップバルブVE1〜VE4を閉状態とし、Arガスの導入を停止する、又はArガスの導入を停止したのちに真空引きする。
このように、原料溶液の供給系統を増やした場合であっても、ノズル詰まりの発生を効果的に防止することができる。
【0044】
【表3】

【0045】
このように、実施形態に係るCVD装置(1〜4)は、固体原料を溶媒に溶解した原料溶液を気化させる気化器(50)と、この気化器によって気化された原料ガスを基材表面に供給し化学反応させることにより薄膜を形成する反応室(60)と、気化器に噴霧用のガスを輸送するためのガス輸送管(40)と、下流側でガス輸送管に合流するように設けられ気化器に原料溶液を輸送するための原料溶液輸送管(30,31〜34)と、原料溶液輸送管に第1バルブ(V1〜V4)を介して連結され原料溶液を供給する原料溶液供給部(10,11〜14)と、原料溶液輸送管に第2バルブ(VS,VS1〜VS4)を介して連結され溶媒を供給する溶媒供給部と、を備えている。
そして、原料溶液輸送管における原料溶液供給部との連結点(P1〜P4)及び溶媒供給部との連結点(PS,PS1〜PS4)より下流側であって、ガス輸送管との合流点(J,J1〜J4)より上流側にストップバルブ(VE,VE1〜VE4)を設け、このストップバルブと第1バルブとの間を溶媒で充填可能としている。
【0046】
これにより、原料供給部と原料溶液輸送管とを連結する第1バルブが内流れを起こして原料溶液が原料溶液輸送管に流入しても、緩衝領域の溶媒で溶質(固体原料)の濃度が薄まるので、固体原料は容易には析出しない。したがって、装置の休止中に気化器のノズル詰まりが生じるのを防止することができ原料溶液の安定供給を実現できるので、良質な薄膜を形成可能となる。また、ノズル詰まりを解消するためのメンテナンスを低減できるので、生産性を向上することができる。
【0047】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
本発明に係るCVD装置において、原料溶液供給部、溶媒供給部及び原料溶液輸送管の数やこれらの連結構造は、特に制限されない。すなわち、ストップバルブより上流側の原料溶液輸送管内を溶媒で充填でき、下流側を不活性ガスでパージできる構造となっていればよい。
また、原料溶液供給部から気化器にわたる気化システム(図5,6の符号#1)を複数系統備えたCVD装置に適用することもできる。
【0048】
上記実施形態では、圧送用ガスとしてHeを用いた例を示したが、ArやN2等の不活性ガスを用いることができる。同様に、噴霧用ガスとしてArの代わりにHeやN2等の不活性ガスを用いることができる。
また、溶媒としてTHF又はキシレンを用いた例を示したが、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミン類等、沸点100℃以下、かつ炭化水素類の有機溶剤を用いることができる。具体的には、ジエチルエーテル、ジエチルケトン、エタノール、テトラグリム(テトラグライム)、2,5,8,11,14−ペンタオキサペンタデカン等を適用できる。
【0049】
上記実施形態では、Y系超電導層の薄膜を形成する場合について説明したが、本発明は、蒸気圧が低く常温固体である原料を使用してMOCVD法により薄膜を形成する場合に共通して適用できる技術である。例えば、固体原料として、酸素原子を介して金属原子と有機基とが結合した有機金属原料を使用する場合に適用できる。ここで、有機基は、アセチルアセトネート、ジピバロイルメタネート、アルコキシド、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、ペンタフルオロプロパノイルピバロイルメタネートのいずれかであればよい。
また、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムのような強誘電体の薄膜を形成する際の原料としては、バリウムジピバロイルメタネート「Ba(DPM)2」、ストロンチウムジピバロイルメタネート「Sr(DPM)2」、ビス(ジピバロイルメタネート)ジイソプロポキシチタニウム「Ti(iPrO)2(DPM)2」等が挙げられる。また、TTIP(Titanium Tetra Isopropoxide「Ti(OC374」)等をTHFに溶解させた原料でもよい。
【0050】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
10 原料溶液供給部
20 溶媒供給部
30 原料溶液輸送管
40 ガス輸送管
50 気化器
60 反応室
V1〜Vn 第1バルブ
VS,VS1〜VS4 第2バルブ
VE ストップバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体原料を溶媒に溶解した原料溶液を気化させる気化器と、
この気化器によって気化された原料ガスを基材表面に供給し化学反応させることにより薄膜を形成する反応室と、
前記気化器に噴霧用のガスを輸送するためのガス輸送管と、
下流側で前記ガス輸送管に合流するように設けられ前記気化器に前記原料溶液を輸送するための原料溶液輸送管と、
前記原料溶液輸送管に第1バルブを介して連結され前記原料溶液を供給する原料溶液供給部と、
前記原料溶液輸送管に第2バルブを介して連結され前記溶媒を供給する溶媒供給部と、
を備えたCVD装置において、
前記原料溶液輸送管における前記原料溶液供給部との連結点及び前記溶媒供給部との連結点より下流側であって、前記ガス輸送管との合流点より上流側にストップバルブを設け、このストップバルブと前記第1バルブとの間を前記溶媒で充填可能としたことを特徴とするCVD装置。
【請求項2】
前記ストップバルブは、共通室により流体入口と流体出口を連通させ1つの連通口を弁体で閉塞することにより開閉状態を切り替え可能に構成され、閉状態としたときに、前記原料溶液輸送管の下流側との連通口が前記弁体によって閉塞されるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のCVD装置。
【請求項3】
前記溶媒供給部は、前記原料溶液供給部の上流側で前記原料溶液輸送管に連結されることを特徴とする請求項1又は2に記載のCVD装置。
【請求項4】
前記第1バルブは、前記原料溶液輸送管の上流側に接続される第1連通口と、下流側に接続される第2連通口と、前記原料溶液供給部に接続される第3連通口を有し、前記第1、第2連通口を連通させた状態で前記第3連通口の開閉状態を切り替え可能な3方向バルブで構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のCVD装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のCVD装置の操作方法において、薄膜形成後に、
前記ストップバルブ及び前記第2バルブを開状態とし、前記第1バルブを閉状態として、前記原料溶液輸送管を前記溶媒でパージする工程と、
前記ストップバルブを閉状態とした後、前記第2バルブを閉状態として、前記原料溶液輸送管の前記第1バルブと前記ストップバルブとの間を前記溶媒で充填する工程と、
を行い、その後CVD装置を停止することを特徴とするCVD装置の操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−58019(P2011−58019A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205590(P2009−205590)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】