説明

DC−DCコンバータ

【課題】 降圧型のDC/DCコンバータのコンデンサの数を低減して低コスト化を図る。
【解決手段】 (n−1)個のコンデンサC1〜Cn−1を互いに並列に接続するスイッチSWA1〜SWAn−1及びSWC1〜SWCn−2、これらのコンデンサC1〜Cn−1を直列に接続するスイッチSWB1〜SWBn−2を設けた。相1ではスイッチS4、S5、SWA1〜SWAn−1とSWC1〜SWCn−2をオンにして、並列接続されたコンデンサC1〜Cn−1を出力端子2と接地電圧Vssの間に接続し充電を行い、相2ではスイッチS1、S6、SWAn−1、SWB1〜SWBn−1をオンにして、直列接続されたコンデンサC1〜Cn−1を出力端子2と入力電圧vin(入力端子1)の間に接続し放電を行う。相1と相2を安定するまで繰り返すことにより、入力電圧Vinを1/n倍に降圧した出力電圧Voutを供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC−DCコンバータに関し、特に入力電圧を降圧する機能を備えたDC−DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータは、ある入力直流電圧をそれと異なる直流電圧に変換する回路であり、LSIの電源回路などに用いられる。DC−DCコンバータの中で、特に入力電圧を降圧する機能を備えた降圧型DC−DCコンバータが知られている。
【0003】
この種のDC−DCコンバータについて図4を参照しながら説明する。C1〜Cnは、スイッチングにより直列接続と並列接続に切り換え可能なn個のコンデンサである。Coutは出力コンデンサ(平滑用コンデンサ)である。このDC−DCコンバータでは、n個のコンデンサC1〜Cnを、図4(a)に示すような直列に接続した状態と、図4(b)に示すような並列に接続した状態とに、不図示のスイッチング回路により、交互に切換えることができるように構成する。以下、図4(a)の状態を相1、図4(b)の状態を相2と称する。尚、コンデンサC1〜Cnは全て同じ容量値を有するものとする。
【0004】
相1では、コンデンサC1〜Cnは直列接続された状態で、入力電圧Vin(直流電圧)と接地電圧の間に直列接続されている。このとき、コンデンサC1〜Cnにはそれぞれ、Vinが1/n倍された電圧1/n・Vinに応じた電荷が充電される。一方、相2では、コンデンサC1〜Cnは並列接続された状態で、接地電圧Vss(0V)と出力端子の間に接続され、コンデンサC1〜Cnに充電された電荷が出力端子に放電される。出力端子から得られる出力電圧をVoutとすると、Vout=1/n・Vinとなり、入力電圧Vinの1/nの電圧が出力端子から得られる。したがって、相1と相2を交互に切り換えることによって、出力電圧Voutとして入力電圧を1/nに降圧した電圧が得られる。
【特許文献1】特開平9−163719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したDC−DCコンバータでは、入力電圧Vinを1/n倍するためにn個のコンデンサが必要であり、コストが高いという問題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、n−1個のコンデンサをスイッチにより直列接続と並列接続に切換えることができるように構成し、互いに並列に接続されたn−1個のコンデンサを出力端子と接地電圧の間に接続された状態と、直列に接続されたn−1個のコンデンサを入力電圧Vinと出力端子の間に接続された状態を繰返すことにより、上述したDC−DCコンバータより少ないコンデンサ数で入力電圧Vinを1/n倍にした出力電圧Voutを得る。
【発明の効果】
【0007】
本発明のDC−DCコンバータによれば、(n−1)個のコンデンサを用いて、入力電圧Vinを1/n倍に降圧することができる。即ち、従来のDC−DCコンバータよりコンデンサを1個減らすことができ、その分コストダウンが図れる。また、本発明のDC−DCコンバータによれば、(n−1)個のコンデンサを用いて、入力電圧Vinを(n−1)/n倍に降圧することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係るDC−DCコンバータについて、図面を参照しながら説明する。図1及び図2はこのDC−DCコンバータを示す回路図であり、図1は、入力電圧Vinを1/n倍に降圧する回路の構成及び動作を説明する図である。図2は、入力電圧Vinを(n−1)/n倍に降圧する回路の構成及び動作を説明する図である。ここで、nは3以上の自然数である。図1と図2の回路は、同じ回路構成を有しており、スイッチの切り換え方法だけが異なっている。
【0009】
図1、図2において、C1〜Cn−1はスイッチSWA1〜SWAn−1,SWB1〜SWBn−2,SWC1〜SWCn−2によって直列又は並列に切換え可能な(n−1)個のコンデンサである。これらのコンデンサC1〜Cn−1はスイッチSWA1〜SWAn−1及びSWC1〜SWCn−2をオン、SWB1〜SWBn−2をオフにすると、互いに並列接続となり、またスイッチSWAn−1,SWB1〜SWBn−2をオン、SWA1〜SWAn−2及びSWC1〜SWCn−2をオフにすると直列接続となる。尚、コンデンサC1〜Cn−1の有する容量値は、どのような値でも良く、全て同一でもよい。また、コンデンサC1〜Cn−1のうち、少なくとも1つのコンデンサが残りのコンデンサと異なる容量値を有していてもよい。即ち、コンデンサC1〜Cn−1の容量値が全て異なっていても良いし、幾つかのコンデンサの容量値がいずれも同じで、他のコンデンサの容量値は異なっていても良い。
【0010】
また、S1は入力電圧VinとコンデンサC1の一端との間に設けられたスイッチ、S2は入力電圧Vinが印加される入力端子1とコンデンサC1の他端との間に設けられたスイッチ、S3はコンデンサC1の一端と接地電圧Vss(0V)との間に設けられたスイッチ、S4はコンデンサC1の他端と接地電圧Vssとの間に設けられたスイッチ、S5はスイッチSWCn−2と出力電圧Voutが得られる出力端子2との間に設けられたスイッチ、S6はスイッチSWAn−1と出力端子2との間に設けられたスイッチであり、Coutは出力端子2と接地電圧Vssの間に接続された出力コンデンサ(平滑用コンデンサ)である。尚、全てのスイッチはMOSトランジスタで構成することができる。
【0011】
次に、図1、図3を参照しながら、上述した構成のDC−DCコンバータの第1の動作例を説明する。尚、コンデンサC1〜Cn−1は全て同じ容量値を有するものとする。図3はDC−DCコンバータのスイッチ切換え図であり、○印はスイッチがオン、×印はスイッチがオフであることを表している。以下、図1(a)の状態を相1、図1(b)の状態を相2と称する。また、図1(a),(b)の中の矢印は電流を示している。
【0012】
相1では、図3のスイッチ切換え図に示されるように、スイッチSWA1〜SWAn−1,SWC1〜SWCn−2をオン、スイッチSWB1〜SWBn−2をオフにする。また、スイッチS4,S5をオン、スイッチS1,S2,S3,S6をオフにする。すると、(n−1)個のコンデンサC1〜Cn−1は互いに並列接続された状態で、出力端子2と接地電圧Vssの間に接続される。これにより、出力コンデンサCoutから出力電圧Voutの電圧に応じた電荷が放電されると共に、各コンデンサC1〜Cn−1には、出力電圧Voutに応じた電荷が充電される。
【0013】
また、相2では、図3のスイッチ切換え図に示されるように、スイッチSWAn−1,SWB1〜SWBn−2をオン、スイッチSWA1〜SWAn−2,SWC1〜SWCn−2をオフにする。また、スイッチS1,S6をオン、スイッチS2,S3,S4,S5をオフにする。すると、各コンデンサC1〜Cn−1は直列接続された状態で、入力電圧Vin(即ち、入力電圧Vinが印加された入力端子1)と出力電圧Voutの間に接続される。これにより、出力コンデンサCoutには出力電圧Voutに応じた電荷が充電され、コンデンサCn−1から電圧値Vin−Vout×(n−1)に応じた電荷が放電される。
【0014】
相1と相2を安定するまで繰り返すことにより、Vin−Vout×(n−1)=Voutが成り立つ。この式から、Vout=1/n ・ Vinとなり、入力電圧Vinの1/n倍に降圧された出力電圧Voutを得ることができる。
【0015】
また、相1と相2におけるスイッチS1〜S6の切換えは変更せず、スイッチSWA1〜SWAn−1、SWB1〜SWBn−2、SWC1〜SWCn−2の個々の切換えを変更することより、直並列切換えされるコンデンサの数を減少させることができる。よって、同一の回路構成のまま、入力電圧Vinの1/n,1/(n−1),1/(n−2),…,1/2の、(n−1)通りの出力電圧Voutを得ることも可能である。
【0016】
次に、図2を参照しながら、上述した構成のDC−DCコンバータの第2の動作例を説明する。尚、コンデンサC1〜Cn−1は全て同じ容量値を有するものとする。以下、図2(a)の状態を相1、図2(b)の状態を相2と称する。また、図2(a),(b)の中の矢印は電流を示している。
【0017】
相1では、図3のスイッチ切換え図に示されるように、スイッチSWAn−1,SWB1〜SWBn−2をオン、スイッチSWA1〜SWAn−2,SWC1〜SWCn−2をオフにする。また、スイッチS3,S6をオン、スイッチS1,S2,S4,S5をオフにする。すると、各コンデンサC1〜Cn−1は直列接続された状態で、出力電圧Voutと接地電圧Vssの間に接続される。これにより、出力コンデンサCoutから出力電圧Voutに応じた電荷が放電され、各コンデンサC1〜Cn−1には電圧 Vout/(n−1)に応じた電荷が充電される。
【0018】
また、相2では、図3のスイッチ切換え図に示されるように、スイッチSWA1〜SWAn−1,SWC1〜SWCn−2をオン、スイッチSWB1〜SWBn−2をオフにする。また、スイッチS2,S5をオン、スイッチS1,S3,S4,S6をオフにする。すると、各コンデンサC1〜Cn−1は並列接続された状態で、入力電圧Vinと出力電圧Voutの間に接続される。これにより、出力コンデンサCoutには出力電圧Voutに応じた電荷が充電され、各コンデンサC1〜Cn−1から電圧 Vin−[Vout/(n−1)]に応じた電荷が放電される。
【0019】
相1と相2を安定するまで繰り返すことにより、Vin−[Vout/(n−1)]=Voutが成り立つ。この式から、Vout=(n−1)/n ・ Vinとなり、入力電圧Vinの(n−1)/n倍に降圧された出力電圧Voutを得ることができる。
【0020】
また、第1の実施例と同様、相1と相2におけるスイッチS1〜S6の切換えは変更せず、スイッチSWA1〜SWAn−1、SWB1〜SWBn−2、SWC1〜SWCn−2の個々の切換えを変更することより、直並列されるコンデンサの数を減少させることができる。よって、同一の回路構成のまま、入力電圧Vinの1/2,2/3,…,(n−1)/nの、(n−1)通りの出力電圧Voutを得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係るDC−DCコンバータを示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態に係るDC−DCコンバータを示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係るDC−DCコンバータのスイッチ切換え図である。
【図4】従来例に係るDC−DCコンバータを示す回路図である。
【符号の説明】
【0022】
1 入力端子
2 出力端子
S1〜S6 スイッチ
SWA1〜SWAn−1 スイッチ
SWB1〜SWBn−2 スイッチ
SWC1〜SWCn−2 スイッチ
C1〜Cn コンデンサ
Cout 出力容量




【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンデンサと、第1の相において前記複数のコンデンサを出力端子と接地電圧との間に互いに並列に接続して充電し、第2の相において前記複数のコンデンサを前記出力端子と入力電圧との間に直列に接続して放電する第1のスイッチング回路を備えることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
第1の相において前記複数のコンデンサを前記出力端子と接地電圧との間に互いに直列に接続して充電し、第2の相において前記複数のコンデンサを前記出力端子と前記入力電圧との間に並列に接続して放電する第2のスイッチング回路を備えることを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
前記複数のコンデンサは全て同じ容量値を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項4】
前記複数のコンデンサのうち、少なくとも1つのコンデンサが残りの
コンデンサと異なる容量値を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項5】
前記スイッチング回路はMOSトランジスタから成る複数のスイッチを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のDC−DCコンバータ。









【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−67783(P2006−67783A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219100(P2005−219100)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】