説明

DMC触媒を使用して無臭ポリエーテルアルコールを調製する方法、並びに化粧品製剤および/又は皮膚用製剤におけるその使用

【課題】 DMC触媒を使用してポリエーテルアルコールを調製する方法、並びに化粧品製剤および/又は皮膚用製剤におけるその使用を提供する。
【解決手段】 ポリエーテルアルコールを使用して調製される化粧品製剤および/又は皮膚用製剤であって、ポリエーテルアルコールの調製に関して、
a)DMC触媒を使用すること、および
b)このようにして得られるポリエーテルアルコールを更に処理しないこと、
を特徴とする、化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリエーテルアルコールは、略して単にポリエーテルと称されることも多く、長い間知られており、工業的に多量に製造されている。それらは、とりわけ、界面活性剤、乳化剤、又は抑泡剤として使用されている。アルコールの種類およびポリエーテル部分の種類と量により、適切に所望の特性を確立することができる。純粋なプロピレンオキシドベースのポリエーテルアルコールは、また、化粧品製剤、とりわけAP/Deo製剤(=制汗/デオドラント製剤)の油相としても使用される。
【背景技術】
【0002】
アルコキシル化生成物(ポリエーテル)を調製するための方法のほとんどは、例えば、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属メトキシドなどの塩基性触媒を使用する。KOH又はNaOHの使用は特に普及しており、何年もの間知られている。典型的には、ブタノール、アリルアルコール、プロピレングリコール又はグリセロールなどの主に低分子量のヒドロキシ官能性出発物質(出発アルコール)を、アルカリ触媒の存在下で、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又は異なるアルキレンオキシドの混合物などのアルキレンオキシドと反応させて、ポリオキシアルキレンポリエーテルを得る。このいわゆるリビング重合における強アルカリ性の反応条件は、様々な副反応を促進する。特に不利な点は、アルカリ性ポリマーの中和によって起こる生成物の複雑な後処理(例えば、米国特許第3,715,402号、米国特許第4,430,490号、米国特許第4,507,475号および米国特許第4,137,398号を参照されたい)、および、副反応として進行するエポキシド(例えば、プロピレンオキシド)の塩基性触媒による転移であり、その結果、アリルアルコール又はプロペニルアルコールが得られる。これらのプロペニルポリエーテルは、その中に存在するビニルエーテル結合が加水分解され易く、プロピオンアルデヒドを放出するため、化粧品製剤中の望ましくない臭気生成物汚染源となることが分かった。低臭のポリエーテルポリオールを調製する方法が、とりわけ欧州特許第1062263号に記載されている。
【0003】
塩基性触媒によるアルコキシル化の欠点には、得られる反応生成物から、中和工程を用いて活性塩基を除去する必要性があることが、もちろん含まれる。そのとき、中和中に生成する水を留去し、生成した塩をろ過により除去することが必須である。
【0004】
塩基性触媒による反応の他に、アルコキシル化のための酸触媒も既知である。例えば、独国特許第102004007561号には、アルコキシル化法におけるHBFの、およびルイス酸(例えば、BF、AlClおよびSnCl)の使用が記載されている。
【0005】
酸触媒によるポリエーテル合成の欠点は、例えば、プロピレンオキシドなどの非対称オキシランの開環時の位置選択性が不完全であり、そのため、得られるポリオキシアルキレン鎖には、第二級OH末端と第一級OH末端の両方が明確に制御できずに生じることが分かった。塩基性触媒によるアルコキシル化反応の場合と同様に、ここでも、中和、蒸留、およびろ過の一連の後処理が不可避である。エチレンオキシドをモノマーとして酸触媒によるポリエーテル合成に導入する場合、望ましくない副生成物としてジオキサンが生成することが予想される。
【0006】
しかし、ポリエーテルアルコールの調製に使用される触媒は、また、多金属シアン化物化合物(multimetal cyanide compounds)、又は、複合金属シアン化物触媒(double metal cyanide catalysts)であることも多く、これは一般にDMC触媒とも称される。DMC触媒の使用により、不飽和副生成物の含有量が最小限になり;更には、慣用の塩基性触媒と比較して、反応は、著しく高い空時収量で進行する。アルコキシル化触媒としての複合金属シアン化物錯体の調製および使用は、1960年代から既知であり、例えば、米国特許第3,427,256号、米国特許第3,427,334号、米国特許第3,427,335号、米国特許第3,278,457号、米国特許第3,278,458号、米国特許第3,278,459号に記載されている。後年に更に開発され、例えば、米国特許第5,470,813号および米国特許第5,482,908号に記載されている、更に効果の高いタイプのDMC触媒には、とりわけ、亜鉛−コバルトヘキサシアノ錯体がある。それらは活性が極めて高いため、ポリエーテルオールを調製するのに非常に低い触媒濃度がしか必要としない、即ち、アルコキシル化プロセスの最後に、従来のアルカリ触媒に必要な、中和、沈殿、およびろ過による触媒の除去からなる後処理工程を省くことができる。DMC触媒を使用して調製されるアルコキシル化生成物は、アルカリ触媒による生成物と比較してモル質量分布がずっと狭いことを特徴とする。例えば、プロピレンオキシドベースのポリエーテルが不飽和副生成物を極僅かしか含有しないのは、DMC触媒によるアルコキシル化の高い選択性によるものとされる。
【0007】
DMC触媒で実施されるアルコキシル化反応は、アルカリおよび酸触媒と直接比較して、前述の技術的特徴の中で、非常に有利であり、主にPO単位のみからなる単純なポリエーテルオールを大量に調製する連続プロセスの開発に繋がった。
【0008】
例えば、国際公開第98/03571号パンフレットには、DMC触媒を使用してポリエーテルアルコールを連続的に調製する方法が記載されており、そこでは、連続攪拌槽に、まず出発物質とDMC触媒の混合物を最初に導入し、触媒を活性化させ、この活性化された混合物に、更に出発物質、アルキレンオキシドとDMC触媒を連続的に添加し、反応器内の所望の充填レベルに達した後、ポリエーテルアルコールを連続的に取り出す。
【0009】
欧州特許第1756198号には、DMC触媒による低臭ポリエーテルポリオールの調製方法が記載されており、ポリエーテルは、また、ストリッピングガスで処理される。
【0010】
国際公開第01/62826号パンフレット、国際公開第01/62824号パンフレット、および国際公開第01/62825号パンフレットには、DMC触媒を使用してポリエーテルアルコールを調製する連続的プロセス用の特定の反応器が記載されている。
【0011】
本明細書に記載される工業的プロセスの場合、特許文献は、特に、DMCプロセスによって得られるポリエーテルオールの単分散性に関する。従って、PU発泡系に使用されるポリオールの場合のように、狭いモル質量分布が望ましいことが多い(独国特許第10008630号、米国特許第5,689,012号)。
【0012】
しかし、低モル質量分布は、全ての適用分野で高品質と同義ではない。影響を受けやすい用途では、多分散性が低過ぎると不利な場合さえあり、DMCベースのポリエーテル/ポリエーテルアルコールの利用可能性が制限される。例えば、明細書、欧州特許出願公開第1066334号は、これに関して、アルカリアルコキシル化プロセスによって得られるポリエーテルアルコールを、DMC触媒で調製されるポリエーテルオールで簡単に代用できないことを指摘している。DMC触媒によって得られ、狭い分子量分布を特徴とするポリエーテルアルコールの有用性は、特に、それらが多成分系の一成分として使用される場合に限られる。この多成分系は、とりわけ化粧品製剤であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、少なくとも既知の原料を代替でき、その際に従来技術の原料の安定性および臭気の問題をもはや有していない化粧品製剤および/又は皮膚用製剤の原料を提供することである。
これは、制汗/デオドラントのカテゴリーの化粧品製剤および/又は皮膚用製剤、特に、いわゆる「スティック製剤」に適用されるが、それは、特に貯蔵中に臭いの変化が生じるなど、依然として安定性が不十分であるという問題を示すことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚いたことに、非常に低い触媒濃度のDMC触媒で調製されるポリエーテルオールは、更に処理工程を経ることなく、化粧品製剤および/又は皮膚用製剤に、特にAP/Deo製剤に使用することができ、長時間貯蔵した後でも望ましくない臭いを発生させないことが分かった。
【0015】
本発明の製剤は、酸触媒による又は塩基性触媒による方法で調製され、中和、ろ過、および/又は蒸留工程による複雑な方法で除去されなければならない副生成物を有する既知のポリエーテルオールを、代替することができる。
【0016】
DMCプロセス(アルコキシル化のための複合金属シアン化物プロセス)で調製されるポリエーテルオールは、もはやこれらの欠点がなく、精製および中和することなく直接使用することができ、既知の化合物の直接の代替物として代わりに使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
DMCプロセスでは、使用されるエポキシドおよびエポキシド開環のタイプに応じて、式(I):
−[O−(A)−(B)−H]
(I)
(式中、
は、炭素数3〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
Aは、Bとは独立して、同一の又は異なる、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位、スチレンオキシ単位、シクロヘキシルオキシ単位、又は、エポキシド開環の結果としてグリシジル化合物から生じる単位であり、
Bは、Aとは独立して、同一の又は異なる、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位、スチレンオキシ単位、シクロヘキシルオキシ単位、又は、エポキシド開環の結果としてグリシジル化合物から生じる単位であり、
mは、0〜20であり、
nは、1〜40であり、
xは、1〜6の整数であり、
モノマー単位AおよびBは、任意にブロック状の又はランダムな配列で一緒に結合され得る)
のポリエーテルアルコールを含む組成物を調製することができる。
【0018】
特に、本方法では、構造的組成およびモル質量分布に関して適切に再現可能に調製でき、後処理の必要がなく、無臭の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤を可能にすることを特徴とする、式(I)のポリエーテルを含む組成物を合成することができる。化粧品製剤および/又は皮膚用製剤は、式(I)のポリエーテルを0.1〜80重量%含有することができる。その量は、使用される他の添加剤、および目的の製剤、例えば、デオスティックの所望の硬さ又は粘度に応じて変わる。
【0019】
従来技術は、複合金属シアン化物触媒を用いた触媒作用を使用するアルコキシル化プロセスに言及している。参照として、ここで、例えば、欧州特許出願公開第1017738号、米国特許第5,777,177号、欧州特許出願公開第0981407号、国際公開第2006/002807号パンフレットおよび欧州特許出願公開第1474464号が挙げられる。
【0020】
反応混合物中、触媒濃度は、好ましくは>0〜1000wppm(質量ppm)、好ましくは>0〜500wppm、特に好ましくは0.1〜100wppm、特に非常に好ましくは1〜50wppmである。ここで、この濃度は、生成するポリエーテルポリオールの総質量に基き;反応温度は、約60〜250℃、好ましくは90〜160℃、特に好ましくは約100〜130℃である。アルコキシル化を行う圧力は、好ましくは0.02バール〜100バール、好ましくは0.05〜20バール(絶対圧力)である。
【0021】
本発明による方法で使用できるアルコールROHは、特に、炭素数4〜22、好ましくは炭素数4〜18の単官能性アルコール、例えば、ブタノール、ミリスチルアルコールおよびステアリルアルコールなどである。
【0022】
本発明の文脈では、エチレンオキシドの他に、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、1,2−ドデセンオキシド、およびシクロヘキセンオキシド、他の既知の全ての単官能性および多官能性エポキシド化合物(グリシジルエーテルおよびエステルを含む)などのエポキシドモノマーを、単独で又は混合して、ランダムな又はブロック状の配列で使用することができる。
【0023】
反応を開始するために、まず、DMC触媒を含有する反応混合物(必要に応じて、懸濁媒中でスラリー化させる)を最初に反応器に導入し、少なくとも1種類のアルキレンオキシドをこの中に計量供給することが有利な場合がある。出発混合物中のアルキレンオキシド、対、反応基(特に、OH基)のモル比は、好ましくは0.1〜5:1、好ましくは0.2〜2:1である。アルキレンオキシドを添加する前に、存在する反応阻害物質を反応混合物から、例えば、蒸留により除去することが有利な場合がある。使用できる懸濁媒は、ポリエーテル若しくは不活性溶媒、又は、有利にはアルキレンオキシドが添加される出発化合物、又は、この2つの混合物である。
【0024】
反応の開始は、例えば、圧力を監視することによって検出できる。気体のアルキレンオキシドの場合、反応器内の圧力の急激な低下は、アルキレンオキシドが組み込まれた、従って、反応が開始し、開始段階の終点に達したことを示す。
【0025】
開始段階の後、即ち、反応の開始後、所望のモル質量に応じて、出発化合物とアルキレンオキシドの両方を同時に、又はアルキレンオキシドだけを計量供給する。あるいは、また、異なるアルキレンオキシドの任意の所望の混合物を反応器に添加することもできる。例えば、粘度を低下させるため、反応を不活性溶媒中で実施することもできる。使用される出発化合物に基づく、特に使用される出発化合物中のOH基の数に基づく、計量供給されるアルキレンオキシドのモル比は、ここでは、好ましくは、指数n+mの合計(=1〜60)として表される。好ましくは、プロピレンオキシドは、常に、他のアルキレンオキシドとの混合でしか使用されない。
【0026】
本発明の文脈では、出発化合物は、アルキレンオキシドの付加反応によって得られる、調製されるポリエーテル分子の出発点となる物質を意味するものと理解される。本発明による方法に使用される出発化合物は、好ましくは、アルコール、ポリエーテルオール、フェノール、又はカルボン酸からなる群から選択される。出発化合物として、1価又は多価ポリエーテルアルコール又はアルコールR−OHを使用することが好ましい。
【0027】
使用されるOH官能性出発化合物は、好ましくは、モル質量18〜1000g/mol、特に100〜2000g/mol、および1〜6個、好ましくは1〜4個のヒドロキシル(水酸)基を有する化合物である。例として、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、イソノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、2−ブチルオクタノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデシルアルコール、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、又はベヘニルアルコールが挙げられる。更に、前述のアルコールの混合物が適している。
【0028】
それ自体DMC触媒によるアルコキシル化で予め調製された1〜6個のヒドロキシル基および100〜2000g/molのモル質量を有する低分子量ポリエーテルオールが、出発化合物として有利に使用される。
【0029】
脂肪族および脂環式OH基を有する化合物の他に、1〜20個のフェノールOH官能基を有する任意の望ましい化合物が適している。これらには、例えば、フェノール、アルキルフェノールおよびアリールフェノール、ビスフェノールAおよびノボラックが挙げられる。
【0030】
本発明に従って請求される原則的に反応に使用され得る反応器は、反応およびその起こり得る発熱を制御できる全ての種類の好適な反応器である。
【0031】
反応の管理は、プロセス技術で既知のように連続的に、半連続的に、又は他にバッチ式に行うことができ、存在する製造技術設備に合わせて柔軟に調整できる。
【0032】
従来の攪拌式タンク型反応器の他に、気相、および、例えば、欧州特許出願公開第0419419号に記載の外部熱交換器、又は国際公開第01/62826号パンフレットに記載の管型内部熱交換器を有するジェットループ型反応器を使用することもできる。更に、気相を含まないループ型反応器を使用することができる。
【0033】
出発物質を計量して添加する時、化学反応に関与する物質、即ち、アルキレンオキシドおよび/又はグリシジル化合物、出発物質、DMC触媒、および必要に応じて、懸濁媒の十分な分散が必要である。
【0034】
アルキレンオキシドの添加、およびアルキレンオキシドの転化を完了させるために行われ得る後反応の後、生成物を後処理することができる。ここで必要な後処理は、原則的に、通常は減圧蒸留、水蒸気蒸留又はガスストリッピング又は他の脱臭法による未反応のアルキレンオキシドおよび存在し得る他の易揮発性成分の除去しか含まない。易揮発性の副次的成分の除去は、バッチ式に又は連続的に行うことができる。DMC触媒をベースにする方法の場合、従来の塩基性触媒によるアルコキシル化とは対照的に、標準的な場合、ろ過を省くことができる。
【0035】
必要に応じて、完成したポリエーテルアルコールからDMC触媒を除去することができる。しかし、ほとんどの使用分野では、ポリエーテルアルコール中に残存してもよい。好ましくないが、原則的に、例えば国際公開第01/38421号パンフレットに記載のように、DMC触媒を分離して再使用することができる。しかし、この手順は、ほとんどの場合、ポリエーテルアルコールの大規模な工業的製造には複雑すぎる。
【0036】
通例、生成したポリエーテルアルコールを、熱酸化分解しないように安定化させる。これは、通常、安定化剤、ほとんどの場合、例えば、BHT−ブチルヒドロキシトルエン、BHA−ブチルヒドロキシアニソール、TBHQ−tert−ブチルヒドロキノン又はペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などの立体障害フェノールを添加することによって行われる。
【0037】
アルキレンオキシド化合物、又はより一般的に表せば、エポキシド化合物の付加反応は、好ましくは、60〜250℃の温度で、好ましくは90〜160℃の温度で、特に好ましくは100〜130℃の温度で行われる。アルキル化を行う圧力は、好ましくは0.02バール〜100バール、好ましくは0.05〜20バール(絶対圧力)である。減圧でアルキル化を実施することにより、反応を非常に安全に実施することができる。必要に応じて、不活性ガス(例えば、窒素)の存在下で、且つまた減圧でアルコキシル化を実施することができる。
【0038】
プロセス工程は、同一の温度で実施しても又は異なる温度で実施してもよい。反応開始時に反応器に最初に導入された、出発物質およびDMC触媒を含む混合物を、国際公開第98/52689号パンフレットの教示に従って、アルキレンオキシドの計量添加の開始前にストリッピングして前処理することができる。ここでは、不活性ガスを反応器送給管を通して反応混合物と混合し、反応器系に取り付けられた真空装置を用いて減圧することにより、比較的易揮発性の成分を反応混合物から除去する。この単純な方法で、触媒を阻害し得る物質、例えば、低級アルコール又は水などを反応混合物から除去することができる。阻害化合物はまた、反応物の添加により又は副反応の結果として反応混合物中に入り得るため、不活性ガスを添加し、同時により易揮発性の成分を除去することは、特に反応の開始時に有利な可能性がある。
【0039】
使用できるDMC触媒は、全て既知のDMC触媒であり、好ましくは亜鉛およびコバルトを有するもの、好ましくはヘキサシアノコバルト酸(III)亜鉛を有するものである。米国特許第5,158,922号、米国特許出願公開第20030119663号、国際公開第01/80994号パンフレット又は前述の明細書に記載のDMC触媒を使用することが好ましい。触媒は、非晶質であっても又は結晶性であってもよい。
【0040】
反応混合物中、触媒濃度は、好ましくは>0〜1000wppm(質量ppm)、好ましくは>0〜500wppm、特に好ましくは0.1〜100wppm、特に非常に好ましくは1〜50wppmである。ここで、この濃度は、ポリエーテルポリオールの総質量に基づく。
【0041】
触媒を反応器に計量供給するのは1回だけであることが好ましい。プロセスに十分な触媒活性が確実に得られるように、触媒の量を調節しなければならない。触媒を固体として、又は触媒懸濁液の形態で計量供給してもよい。懸濁液を使用する場合、特に、出発ポリエーテルが懸濁媒として適している。しかし、懸濁操作を行わないことが好ましい。
【0042】
化粧品製剤は、例えば、
エモリエント剤、
乳化剤および界面活性剤、
増粘剤/粘度調整剤/安定剤、
紫外線防御剤、
酸化防止剤およびビタミン、
ハイドロトロープ(又はポリオール)、
固形分および充填剤、
皮膜形成剤、
パール化剤、
デオドラントおよび制汗有効成分、
エステラーゼ阻害剤、
昆虫忌避剤、
セルフタンニング剤、
防腐剤、
コンディショニング剤、
香料、
着色料、
生理活性成分(biogenic active ingredients)、
ケア添加剤、
過脂肪剤、
溶剤
からなる群から選択される少なくとも1つの添加成分を含むことができる。
【0043】
使用できるエモリエント剤は、全ての化粧用油、特に、炭素数2〜44の直鎖および/又は分岐鎖モノ−および/又はジカルボン酸と、炭素数1〜22の直鎖および/又は分岐鎖飽和又は不飽和アルコールとのモノエステル又はジエステルである。同様に、炭素数2〜36の脂肪族二官能性アルコールと、炭素数1〜22の単官能性脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物を使用することもできる。また、例えば、安息香酸のエステル(例えば、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和アルコールの安息香酸エステル、又は、他に安息香酸イソステアリル又は安息香酸オクチルドデシル)などの長鎖芳香族酸エステルも適している。エモリエント剤および油性成分として適している他のモノエステルは、例えば、炭素数12〜22の脂肪酸のメチルエステルおよびイソプロピルエステル、例えば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピルなどである。他の好適なモノエステルは、例えば、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、パルミチン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、および工業用グレードの脂肪族アルコール留分と工業用グレードの脂肪族カルボン酸混合物から得られるエステル、例えば、動物性および植物性脂肪から得られるような炭素数12〜22の不飽和脂肪アルコールと炭素数12〜22の飽和および不飽和脂肪酸とのエステルである。しかし、また、例えば、ホホバ油中に又はマッコウ鯨油中に存在するような、天然のモノエステルおよび/又はワックスエステル混合物も適している。好適なジカルボン酸エステルは、例えば、アジピン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ(2−ヘキシルデシル)、アゼライン酸ジイソトリデシルである。好適なジオールエステルは、例えば、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジイソトリデカノエート、プロピレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ブタンジオールジイソステアレート、ブタンジオールジカプリレート/カプレート、およびネオペンチルグリコールジカプリレートである。エモリエント剤として使用できる他の脂肪酸エステルは、例えば、C12−15アルキルベンゾエート、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルへキシルである。同様に使用できるエモリエント剤および油性成分は、比較的長鎖のトリグリセリド、即ち、グリセロールと3つの酸分子(そのうち少なくとも1つは比較的長鎖である)とのトリエステルである。ここで、例として、脂肪酸トリグリセリドが挙げられる;エモリエント剤および油性成分として、使用され得るこのようなものの例は、天然の植物油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、ゴマ油、アボカド油、ひまし油、カカオ脂、パーム油、また、ヤシ油の又はパーム核油の液体留分、また、動物性油(例えば、さめ肝油、タラ肝油、鯨油、牛脂、およびバター脂肪など)、蝋(蜜蝋、カルナウバパーム蝋、鯨蝋、ラノリン、および爪油(claw oil)など)、牛脂の液体留分、また、カプリル酸/カプリン酸混合物の合成トリグリセリド、工業用グレードのオレイン酸のトリグリセリド、イソステアリン酸とのトリグリセリド、又は、パルミチン酸/オレイン酸混合物からのトリグリセリドがある。更に、炭化水素、特に、液体パラフィンおよびイソパラフィンも使用することができる。使用できる炭化水素の例は、パラフィン油、イソヘキサデカン、ポリデセン、ワセリン、流動パラフィン(Paraffinum perliquidum)、スクアラン、セレシンである。更に、直鎖又は分岐鎖脂肪アルコール(オレイルアルコール又はオクチルドデカノールなど)、また、脂肪アルコールエーテル(ジカプリリルエーテルなど)を使用することもできる。好適なシリコーン油およびシリコーンワックスは、例えば、ポリジメチルシロキサン、シクロメチルシロキサン、また、アリール置換又はアルキル置換又はアルコキシ置換ポリメチルシロキサン又はシクロメチルシロキサンである。他の好適な油体は、例えば、炭素数6〜18、好ましくは8〜10の脂肪アルコールをベースにしたゲルベアルコール、直鎖C〜C22脂肪酸と直鎖C〜C22脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖C〜C13カルボン酸と直鎖C〜C22脂肪アルコールとのエステル、直鎖C〜C22脂肪酸と分岐鎖C〜C18アルコールとの、特に2−エチルヘキサノール又はイソノナノールとのエステル、分岐鎖C〜C13カルボン酸と分岐鎖アルコールとの、特に2−エチルヘキサノール又はイソノナノールとのエステル、直鎖および/又は分岐鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール、トリマートリオールなど)および/又はゲルベアルコールとのエステル、C〜C10脂肪酸をベースにしたトリグリセリド、C〜C18脂肪酸をベースにした液体モノ−/ジ−/トリグリセリド混合物、C〜C22脂肪アルコールおよび/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸との、特に安息香酸とのエステル、植物油、分岐鎖第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖C〜C22脂肪アルコール炭酸エステル、ゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/又は分岐鎖C〜C22アルコールとのエステル、ジアルキルエーテル、ポリオールを用いたエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油および/又は脂肪族又はナフテン系炭化水素である。
【0044】
油体/エモリエント剤(本発明によるポリエーテルポリオールと他の油体を加えたもの)は、通常、0.1〜90重量%、特に0.1〜80重量%、特に0.5〜70重量%、好ましくは1〜60重量%、特に1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%の総量で存在する。他の油体は、通常、製剤の総重量に基づいて、0.1〜40重量%の量で存在する。
【0045】
使用され得る乳化剤又は界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性界面活性剤である。
【0046】
使用できる非イオン性(nonionogenic)乳化剤又は界面活性剤は、次の群の少なくとも1つから選択される化合物である:
炭素数8〜22の直鎖脂肪アルコールへの、炭素数12〜22の脂肪酸への、および、アルキル基の炭素数が8〜15のアルキルフェノールへの、エチレンオキシド2〜100molおよび/又はプロピレンオキシド0〜5molの付加生成物、
グリセロールへのエチレンオキシド1〜100molの付加生成物のC12/18−脂肪酸モノ−およびジエステル、
炭素数6〜22の飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールモノ−およびジエステルおよびソルビタンモノ−およびジエステル、並びにそれらのエチレンオキシド付加生成物、
アルキル基の炭素数が8〜22のアルキルモノ−およびオリゴグリコシド、並びにそれらのエチレンオキシド付加生成物、
ヒマシ油および/又は水添ヒマシ油へのエチレンオキシド2〜200molの付加生成物、
直鎖、分岐鎖、不飽和又は飽和C〜C22脂肪酸、リシノール酸、および12−ヒドロキシステアリン酸と、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)をベースにする部分エステル、
モノ−、ジ−、およびトリアルキルホスフェート、および、モノ−、ジ−、および/又はトリ−PEGアルキルホスフェート、並びにそれらの塩、
ポリシロキサン−ポリエーテル共重合体(ジメチコンコポリオール)、例えば、PEG/PPG−20/6ジメチコン、PEG/PPG−20/20ジメチコン、ビス−PEG/PPG−20/20ジメチコン、PEG−12又はPEG−14ジメチコン、PEG/PPG−14/4又は4/12又は20/20又は18/18又は17/18又は15/15など、
ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテル共重合体および対応する誘導体、例えば、ラウリル又はセチルジメチコンコポリオール、特にセチルPEG/PPG−10/1ジメチコン(ABIL(登録商標)EM90(Evonik Goldschmidt GmbH))など、
独国特許第1165574号に記載のペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸、および脂肪アルコールの混合エステル、および/又は、炭素数6〜22の脂肪酸、メチルグルコース、およびポリオール、例えば、グリセロール又はポリグリセロールなどの混合エステル、
クエン酸エステル、例えば、ステアリン酸クエン酸グリセリル、オレイン酸クエン酸グリセリル、および、クエン酸ジラウリルなど。
【0047】
アニオン性乳化剤又は界面活性剤は、水溶性アニオン性基(例えば、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、又はリン酸基など)と、親油性基を含有することができる。皮膚適合性アニオン性界面活性剤は、多数、当業者に既知であり、市販されている。ここでは、これらは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキル硫酸エステル塩又はアルキルリン酸エステル塩、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形態のアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アシルサルコシン酸塩、およびスルホコハク酸塩およびアシルグルタミン酸塩であってもよい。
【0048】
また、カチオン性乳化剤および界面活性剤も添加することができる。使用できるものは、特に、第四級アンモニウム化合物、特に、炭素数8〜22の直鎖および/又は分岐鎖、飽和又は不飽和アルキル鎖を少なくとも1つ有するもの、例えば、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、例えば、塩化若しくは臭化セチルトリメチルアンモニウム又は塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなど、また、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどである。
【0049】
更に、モノアルキルアミド第四級アンモニウム化合物、例えば、パルミトアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、又は対応するジアルキルアミド第四級アンモニウム化合物などを使用することができる。
【0050】
更に、易生分解性第四級エステル化合物を使用することができる;これらは、モノ−、ジ−、又はトリエタノールアミンをベースにする四級化脂肪酸エステルであってもよい。更に、アルキルグアニジニウム塩をカチオン性乳化剤として添加することができる。
【0051】
マイルドな、即ち、特に皮膚適合性のある界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、モノ−および/又はジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸イセチオン酸塩、脂肪酸サルコシン酸塩、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタミン酸塩、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタインおよび/又はタンパク質脂肪酸縮合物であり、後者は、例えば、小麦タンパク質をベースにしたものである。
【0052】
更に、両性界面活性剤、例えば、ベタイン、アンホ酢酸塩又はアンホプロピオン酸塩など、従って、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチル−イミダゾリン(それぞれ、アルキル又はアシル基の炭素数が8〜18である)、また、ココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートなどの物質などを使用することができる。
【0053】
両性界面活性剤のうち、分子中にC8/18−アルキル基又は−アシル基の他に、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの−COOH−基又は−SOH−基を含有し、内部塩を形成できる界面活性化合物を使用することができる。好適な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミドジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸、およびアルキルアミノ酢酸(それぞれ、アルキル基の炭素数が約8〜18である)である。両性界面活性剤の他の例は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18−アシルサルコシンである。
【0054】
本発明による製剤は、1種類以上の乳化剤および/又は界面活性剤を、製剤の総量に基づいて、通常0〜40重量%、好ましくは0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に0.1〜10重量%の量で含む。
【0055】
好適な増粘剤は、例えば、多糖類、特に、キサンタンガム、グアーガム(guar guar)、寒天、アルギネートおよびタイローズ(tyloses)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、また比較的高分子量の、脂肪酸のポリエチレングリコールモノ−およびジエステル、ポリアクリレート(例えば、Carbopols(商標)又はSynthalens(商標))、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドン、界面活性剤、例えば、エトキシ化脂肪酸グリセリド、脂肪酸とポリオール(例えば、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンなど)とのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレート、又はアルキルオリゴグルコシド、また、電解質(塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムなど)である。
【0056】
油相を増粘するのに好適な増粘剤は、当業者に既知の全ての増粘剤である。特に、ここでは、ワックス(水添ヒマシ油ワックス、蜜蝋、又はマイクロワックス)が挙げられる。更に、シリカ、アルミナ、又は層状ケイ酸塩(例えば、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト)などの無機増粘剤を使用することもできる。これに関して、これらの無機油相増粘剤は、疎水変性されていてもよい。油中水型エマルションの増粘/安定化のために、特に、ここでは、アエロジル(aerosils)、層状ケイ酸塩および/又は脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムおよび/又はステアリン酸亜鉛、又はリシノール酸マグネシウム、リシノール酸アルミニウムおよび/又はリシノール酸亜鉛などを使用することができる。
【0057】
存在してもよい水性界面活性剤系のための粘度調整剤は、例えば、NaCl、低分子量非イオン性界面活性剤(ココアミドDEA/MEAおよびラウレス−3など)、又はポリマー高分子量結合性高エトキシ化脂肪誘導体(水添パーム油脂肪酸PEG−200グリセリル)である。
【0058】
使用できる紫外線防御剤は、例えば、紫外線を吸収することができ、吸収したエネルギーを再びより長波長の放射線、例えば、熱の形態で放出する有機物質である。UVB防御剤は、油溶性であっても又は水溶性であってもよい。油溶性UVB防御剤の例は:
3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば、3−(4−メチル−ベンジリデン)カンファーなど、4−アミノ安息香酸誘導体、例えば、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、および4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど、ケイ皮酸のエステル、例えば、4−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシケイ皮酸イソペンチル、2−シアノ−3−フェニルケイ皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)など、サリチル酸のエステル、例えば、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチルなど、ベンゾフェノンの誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど、ベンザルマロン酸のエステル、例えば、4−メトキシベンザルマロン酸ジ−2−エチルへキシルなど、
トリアジン誘導体、例えば、2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジン、オクチルトリアゾンおよび欧州特許第1180359号および独国特許第2004/027475号に記載のものなど、
プロパン−1,3−ジオン、例えば、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンなどである。
【0059】
好適な水溶性UVB防御剤は:
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、並びにそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩およびグルカンモニウム(glucammonium)塩、
ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびその塩など、
3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデン)スルホン酸並びにこれらの塩などである。
【0060】
好適な典型的なUVA防御剤は、特に、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば、1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、又は1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオンなどである。もちろん、UV−A防御剤とUV−B防御剤を混合して使用することもできる。
【0061】
明記された可溶性物質の他に、不溶性顔料、即ち、微分散金属酸化物又は塩(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウム、およびステアリン酸亜鉛など)もこの目的に適している。ここで、粒子の平均直径は、100nm未満、例えば、5〜50nm、特に15〜30nmでなければならない。それらは、球状の形状を有してもよいが、楕円体の形状又は球状の形状から何らかの点で逸脱した形状を有する粒子を使用することもできる。比較的新しい種類の紫外線防御剤は、微粉化有機顔料、例えば、50%の濃度の水性分散体として得られる、例えば、<200nmの粒度を有する2,2’−メチレンビス{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール}などである。
【0062】
他の好適な紫外線防御剤は、SOFW-Journal 122, 543(1996)のP.Finkelによる概要に見出すことができる。
【0063】
本発明による製剤は、紫外線防御剤を、製剤の総重量に基づいて、0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%の量で含むことができる。
【0064】
前述の2つの主要な紫外線防御剤群の他に、紫外線が皮膚に侵入したときに起こる光化学連鎖反応を妨げる酸化防止剤タイプの副次的光防御剤を使用することもできる。
【0065】
使用できる酸化防止剤およびビタミンは、例えば、スーパーオキシドジスムターゼ、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、他のトコフェロールエステル、ジブチルヒドロキシトルエンおよびアスコルビン酸(ビタミンC)およびその塩、また、これらの誘導体(例えば、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸ナトリウム、アスコルビルソルベート)、脂肪酸のアスコルビルエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸およびその塩、過酸化物、例えば、過酸化水素、パーボレート、チオグリコレート、過硫酸塩、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(TROLOX.RTM)、没食子酸およびそのアルキルエステル、尿酸およびその塩およびアルキルエステル、ソルビン酸およびその塩、リポ酸、フェルラ酸、アミン(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノグアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、ジヒドロキシ−フマル酸およびその塩、ピドロ酸(pidolate)グリシン、ピドロ酸アルギニン、ノルジヒドログアイアレチン酸、バイオフラボノイド、クルクミン、リシン、L−メチオニン、プロリン、スーパーオキシドジスムターゼ、シリマリン、茶抽出物(エキス)、グレープフルーツ皮/種子抽出物、メラニン、ローズマリー抽出物、チオクト酸(thioctanoic acid)、レスベラトロール、オキシレスベラトロールなどである。
【0066】
流動挙動および塗布特性を改善するために使用できるハイドロトロープは、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、又はポリオールである。ここで適しているポリオールは、炭素数2〜15であり、少なくとも2つのヒドロキシル基を有してもよい。
典型例は:
グリセロールアルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および平均分子量100〜1000ダルトンのポリエチレングリコールなど、1.5〜10の自己縮合度を有する工業用グレードのオリゴグリセロール混合物、例えば、40〜50重量%のジグリセロール含有率を有する工業用グレードのジグリセロール混合物など、メチロール化合物、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタンなど、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール、低級アルキルグルコシド、特にアルキル基の炭素数が1〜4のもの、例えば、メチルおよびブチルグルコシドなど、炭素数5〜12の糖アルコール、例えば、ソルビトール又はマンニトールなど、炭素数5〜12の糖、例えば、ブドウ糖又はショ糖など、アミノ糖類、例えば、グルカミンなどである。
【0067】
使用できる固形分は、例えば、酸化鉄顔料、二酸化チタン又は酸化亜鉛粒子、および、更に「UV防御剤」で明記されたものである。更に、特殊な感覚効果をもたらす粒子、例えば、ナイロン−12、窒化ホウ素、ポリマー粒子、例えば、ポリアクリレート粒子又はポリメチルアクリレート粒子、又はシリコーンエラストマーなどを使用することもできる。使用できる充填剤としては、デンプンおよびデンプン誘導体、例えば、タピオカデンプン、リン酸架橋デンプン、デンプンアルミニウム又はデンプンナトリウムなど、コハク酸オクテニル、および、主に紫外線防御効果も着色効果も有していない顔料、例えば、Aerosils(登録商標)(CAS No.7631−86−9)が挙げられる。
【0068】
本発明の文脈では、有利には、固形分を市販の油性又は水性予備分散体の形態で使用することもできる。本発明による製剤は、通常、顔料を、製剤の総重量に基づいて0〜40重量%含む。
【0069】
例えば、耐水性を改善するために使用できる皮膜形成剤の例は、ポリウレタン、ジメチコン、コポリオール、ポリアクリレート又はPVP/VA共重合体(PVP=ポリビニルピロリドン、VA=酢酸ビニル)である。使用できる脂溶性皮膜形成剤は:例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)をベースにするポリマー、ポリビニルピロリドンの共重合体、PVP/ヘキサデセン共重合体又はPVP/エイコセン共重合体である。
【0070】
使用できるパール化剤は、例えば、ジステアリン酸グリコール又はジステアリン酸PEG−3である。
【0071】
好適なデオドラント有効成分は、例えば、臭気隠蔽剤(慣用の香料成分など)、臭気吸収剤(例えば、特許公開明細書、独国特許第4009347号に記載の層状ケイ酸塩、これらのうち、特に、モンモリロナイト、カオリナイト、イライト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト)、又は同様に、例えば、リシノール酸の亜鉛塩又はタルクである。抗菌剤も同様に、含有されるのに適している。抗菌物質は、例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(Irgasan)、1,6−ジ−(4−クロロフェニルビグアニド)へキサン(クロルヘキシジン)、3,4,4’−トリクロロカルバリニド、第四級アンモニウム化合物、丁子油、ハッカ油、タイム油、クエン酸トリエチル、ファルネソール(3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オール)、エチルヘキシルグリセリルエーテル、カプリル酸ポリグリセリル−3(TEGO(登録商標)Cosmo P813, Evonik Goldschmidt GmbH)、および特許公開明細書、独国特許第19855934号、独国特許第3740186号、独国特許第3938140号、独国特許第4204321号、独国特許第4229707号、独国特許第4229737号、独国特許第4238081号、独国特許第4309372号、独国特許第4324219号および欧州特許第666732号に記載の有効物質である。
【0072】
本発明による製剤は、デオドラント有効成分を、製剤の総重量に基づいて0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、特に2〜10重量%含むことができる。
【0073】
制汗有効成分は、アルミニウム、ジルコニウム、又は亜鉛の塩である。このような好適な制汗効果のある有効成分は、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、および、これらの錯化合物(例えば、1,2−プロピレングリコールとの)、アラントインヒドロキシアルミニウム、アルミニウムクロリドタータレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、およびこれらの錯化合物(例えば、グリシンなどのアミノ酸との)である。アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、およびこれらの錯化合物を使用することが好ましい。
【0074】
本発明による製剤は、制汗有効成分を、製剤の総重量に基づいて1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜25重量%含むことができる。
【0075】
エステラーゼ阻害剤:
腋窩部位に発汗がある場合、細菌によって細胞外酵素−エステラーゼ、好ましくはプロテアーゼおよび/又はリパーゼ−が生成され、これらは、汗の中に存在するエステルを切断し、臭気物質を放出する。好適なエステラーゼ阻害剤は、好ましくは、クエン酸トリアルキル(クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、および特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT, Cognis GmbH, Dusseldorf/FRG)など)である。これらの物質は、酵素活性を阻害し、それによって臭気の発生を低減する。エステラーゼ阻害剤として好適な他の物質は、ステロールサルフェート又はホスフェート(例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スティグマステロール、およびシトステロールサルフェート又はホスフェートなど)、ジカルボン酸およびそのエステル(例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジエチル、マロン酸およびマロン酸ジエチルなど)、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸又は酒石酸ジエチルなど)およびグリシン酸亜鉛である。
【0076】
本発明による製剤は、エステラーゼ阻害剤を、製剤の総重量に基づいて、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に0.3〜5重量%の量で含むことができる。
【0077】
使用できる昆虫忌避剤は、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオール、又はInsect Repellent 3535である。
【0078】
使用できるセルフタンニング剤は、例えば、ジヒドロキシアセトンおよびエリトルロースである。
【0079】
好適な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオール又はソルビン酸、および、Surfacine(登録商標)の名称で既知の銀錯体である。別の好適な防腐剤は、国際公開第07/048757号パンフレットに記載の炭素数5〜8の1,2−アルカンジオールである。
【0080】
好適な防腐剤は、特に、Annex VI of the EU Directive 76/768/EEC(現行版)により認可された物質であり、本明細書によってその文献を明示的に参照する。
【0081】
使用できるコンディショニング剤は、例えば、セトリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド、パルミトアミドプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、又はクオタニウム−80又は他にアミン誘導体(例えば、アミノプロピルジメチコン又はステアラミドプロピルジメチルアミンなど)などの有機第四級化合物である。
【0082】
使用できる香料は、天然又は合成の香気物質又はそれらの混合物である。天然の香気物質は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実(アニス、コリアンダー、キャラウェイ、ネズ)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根、(メース、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、タイム)、針葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、ドワーフパイン)、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバヌム、オポパナクス)からの抽出物である。動物性の原料(例えば、シベットおよびカストリウムなど)も適している。典型的な合成香気化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、および炭化水素の種類の生成物である。エステルタイプの香気化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、炭素数8〜18の直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびブルゲオナールが挙げられ、ケトンとしては、例えば、イオノン、α−イソメチルイオノン、およびメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールが挙げられ、炭化水素としては、主に、テルペンおよびバルサムが挙げられる。一緒に心地よい香りを生じさせる、異なる香気物質の混合物を使用することができる。主に芳香成分として使用される低揮発性の精油(例えば、セージ油、カミツレ油、丁子油、メリッサ油、ハッカ油、肉桂葉油、ボダイジュ花油、杜松子油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバヌム油、ラボラヌム油およびラバンディン油)も香料として適している。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボアザンブレンフォルテ(boisambrene forte)、アンブロキサン(ambroxan)、インドール、ヘジオン、ヘディオン(hedion)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、グリコール酸アリルアミル、シクロベルタール(cyclovertal)、ラバンディン油、クラリーセージ油、β−ダマスコン、ゼラニウム油ブルボン、サリチル酸シクロヘキシル、バートフィクス・クール(vertofix coeur)、イソ−E−スーパー(iso-E-super)、フィキソリド(fixolide)NP、エバーニル(evernyl)、イラルダイン・ガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット(romillat)、イロチル(irotyl)、およびフロラマット(floramat)の単独又は混合物である。
【0083】
本発明による製剤は、香料又は香料混合物を、製剤の総重量に基づいて、0〜2重量%、好ましくは0.01〜1.5重量%、特に0.05〜1重量%の量で含むことができる。
【0084】
使用できる着色料は、例えば、出版物「Cosmetic Colourants」of the Dyes Commission of the German Research Society, Verlag Chemie, Weinheim, 1984(81〜106頁)に記載されているような、化粧品用に認可され、適した物質である。これらの着色料は、通常、全混合物に基づいて、0.001〜0.1重量%の濃度で使用される。
【0085】
生理活性成分は、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、ポリフェノール、デオキシリボ核酸、コエンザイムQ10、レチノール、AHA酸、アミノ酸、ヒアルロン酸、α−ヒドロキシ酸、イソフラボン、ポリグルタミン酸、クレアチン(およびクレアチン誘導体)、グアニジン(およびグアニジン誘導体)、疑似セラミド、精油、ペプチド、タンパク質加水分解物、植物抽出物、ビサボロール、アラントイン、パンテノール、フィタントリオール、イデベノン、カンゾウ抽出物、グリチルリジジン(glycyrrhizidine)およびイデベノン、スクレログルカン、β−グルカン、サンタルビン酸およびビタミン複合体を意味すると理解されるものとする。植物抽出物の例は、マロニエ抽出物、カミツレ抽出物、ローズマリー抽出物、クロフサスグリおよびアカフサスグリ抽出物、樺抽出物、ローズヒップ抽出物、海藻抽出物、緑茶抽出物、アロエ抽出物、チョウセンニンジン抽出物、イチョウ抽出物、グレープフルーツ抽出物、キンセンカ抽出物、カンファー、タイム抽出物、マンゴスチン抽出物、シスタス(cystus)抽出物、ターミナリア・アルジュナ(terminalia arjuna)抽出物、オート麦抽出物、オレガノ抽出物、ラズベリー抽出物、ストロベリー抽出物などである。
【0086】
生理活性成分としては、いわゆるバリア脂質も挙げられ、その例としては、セラミド、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、スフィンゴシンおよび誘導体、スフィンガニンおよび誘導体、疑似セラミド、リン脂質、リゾリン脂質、コレステロールおよび誘導体、コレステリルエステル、遊離脂肪酸、ラノリンおよび誘導体、スクアラン、スクアレンおよび関連物質がある。
本発明の文脈では、生理活性成分としては、また、抗アクネ成分(例えば、過酸化ベンジル、フィトスフィンゴシンおよび誘導体、ヒドロキシ安息香酸ナイアシンアミド、ニコチンアルデヒド、レチノール酸および誘導体、サリチル酸および誘導体、シトロネル酸など)、および、抗セルライト成分(例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、およびアミノフィリンなどのキサンチン化合物、カルニチン、カルノシン、サリチロイルフィトスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、サンタルビン酸など)、並びにフケ防止剤(例えば、サリチル酸および誘導体、ジンクピリチオン、硫化セレン、イオウ、シクロピロクスオラミン、ビフォナゾール、クリンバゾール、オクトピロックスおよびアクチロックスなど)、並びに、収斂剤(例えば、アルコール、アルミニウム誘導体、没食子酸、サリチル酸ピリドキシン、亜鉛塩、例えば、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛など、クロルヒドロキシジルコニウムなど)も挙げられる。こうじ酸、アルブチン、ビタミンCおよび誘導体、ハイドロキノン、ターメリック油、クレアチニン、スフィンゴ脂質、ナイアシンアミドなどの漂白剤も同様に、生理活性成分に挙げられる。
【0087】
存在してもよいケア添加剤は、例えば、エトキシ化グリセロール脂肪酸エステル(例えば、ヤシ油脂肪酸PEG−7グリセロールなど)、又はカチオン性ポリマー(例えば、ポリクオタニウム−7など)又はポリグリセロールエステルである。
【0088】
使用できる過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、また、ポリエトキシ化又はアシル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの物質であり、後者は同時に泡安定剤の役割もする。
【0089】
使用できる溶剤は、例えば、脂肪族アルコール(エタノール、プロパノール、又は1,3−プロパンジオールなど)、環状カーボネート(炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸グリセロール)、モノ−又はポリカルボン酸のエステル(酢酸エチル、乳酸エチル、アジピン酸ジメチルおよびアジピン酸ジエチル)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、炭酸グリセロール、又は水である。
【0090】
本発明は、更に、スティック状化粧品に適した容器又はデオドラントロールオン容器又は噴霧ポンプ容器に入れて消費者に提供され得る高粘度の液体から半固体の、およびクリーム−固体に至る化粧品製剤および/又は皮膚用製剤を提供する。
本発明は、更に、他の化粧品添加剤の他に香料および/又はフレグランスを含む化粧品製剤および/又は皮膚用製剤を提供する。
【0091】
本発明は、更に、ヒトの皮膚に塗布するための製剤、特に発汗の発生を低減する製剤をベースにする制汗製剤の使用を提供する。
【0092】
本発明の他の対象は、請求項から生じ、その開示内容全体がこの説明の一部である。
【0093】
本発明による化粧品製剤およびその調製および使用を例として後述するが、本発明はこれらの例示的実施形態に限定されるものではない。範囲、一般式、又は化合物の種類を下記に記載する場合、これらは明示的に記載されている対応する範囲又は化合物群だけでなく、個々の値(範囲)又は化合物を除くことによって得ることができる化合物の全ての部分範囲および部分群も包含するものとする。本発明の説明の文脈で文献が引用されている場合、その内容全体が本発明の開示内容に属するものとする。
【実施例】
【0094】
1)調製例:
1a)DMC触媒によるPPGブチルエーテル(本発明による)
3リットルのオートクレーブに、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(質量平均モル質量M=400g/mol)400g、およびヘキサシアノコバルト酸亜鉛DMC触媒0.03gを窒素下で最初に導入した後、130℃に加熱する。存在し得る揮発性成分を蒸留により除去するために、反応器を内部圧力30ミリバールに真空排気する。DMC触媒を活性化するために、プロピレンオキサイドの一部20gを導入する。反応が開始し、内部圧力が低下した後、80分間にわたって、冷却しつつ連続的にプロピレンオキシドを更に550gとn−ブタノール74gを同時に供給する。最後に、プロピレンオキシドを更に956g、130℃および反応器最大内部圧力1.5バールで、45分間にわたって計量供給する。130℃で30分、後反応を行った後、脱ガスする。この時、残留プロピレンオキシドなどの揮発性留分を減圧下、130℃で留去する。完成した無色のポリエーテルを90℃未満に冷却し、反応器から取り出す。OH価55mgKOH/g、酸価<0.1mgKOH/gであり、GPCにより、平均モル質量M1100g/mol、又はM1036g/mol、多分散性M/M1.06(ポリプロピレングリコール標準物質に対して測定)である。
【0095】
1b)KOH触媒によるPPGブチルエーテル(本発明によるものではない)
3リットルのオートクレーブに、n−ブタノール148g、および水酸化カリウム5.6gを窒素下で最初に導入し、130℃に加熱する。130℃で、反応器内部圧力が2.5バールを超えないように、冷却しつつ、約7時間にわたってプロピレンオキシド2050gを供給する。130℃で3時間、後反応を行った後、残留プロピレンオキシドなどの揮発性留分を減圧下、130℃で留去するために脱ガスする。その後、更に1時間130℃で、窒素でストリッピングを行う。まだアルカリ性のポリエーテルを70℃に冷却し、希硫酸を使用してpH7に調節する。次いで、水蒸気および窒素を用いて100〜110℃、最大50ミリバールで生成物をストリッピングし、塩残留物を約60℃でろ過することより分離する。
完成したポリエーテルは、OH価53mgKOH/g、酸価<0.1mgKOH/gであり、GPCによれば、平均モル質量M1208g/mol、又はM1093g/mol、多分散性M/M1.11(ポリプロピレングリコール標準物質に対して測定)である。
【0096】
2)配合例:
AP/Deoスティック製剤
他に記載されない限り、データは全て重量パーセント(重量%)を意味する。
【0097】
【表1】

【0098】
3)臭気評価:
AP/Deoスティック製剤を訓練された臭気パネル(4人)で調査した。ここで、臭気を、1(非常に良い)〜6(非常に悪い)のスクールグレーディングシステムにより評価した。スティック2Aおよび2Bの1番目の臭気評価は、製造の1日後に実施し、2番目の臭気評価は、22℃に空調された室内で4週間貯蔵した後に実施した。
【0099】
【表2】

【0100】
驚いたことに、黒色の木綿布帛上でスティック2Aの方がスティック2Bより、白く擦れ落ちる(white rub‐off)のが僅かに少ないことも分かった。従って、驚いたことに、白く残る程度は標準製剤と比較して低減する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルアルコールを使用して調製される化粧品製剤および/又は皮膚用製剤であって、前記ポリエーテルアルコールの調製に関して、
a)DMC触媒を使用すること、および
b)このようにして得られるポリエーテルアルコールを更に処理しないこと、
を特徴とする、化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項2】
DMC触媒を1000wppm未満の濃度で使用することを特徴とする、請求項1に記載の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項3】
前記ポリエーテルアルコールが、純粋なポリプロピレングリコールアルキルエーテルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項4】
式(I)
−[O−(A)−(B)−H]
(I)
(式中、
は、炭素数3〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
Aは、Bとは独立して、同一の又は異なる、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位、スチレンオキシ単位、シクロヘキシルオキシ単位、又は、エポキシド開環の結果としてグリシジル化合物から生じる単位であり、
Bは、Aとは独立して、同一の又は異なる、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位、スチレンオキシ単位、シクロヘキシルオキシ単位、又は、エポキシド開環の結果としてグリシジル化合物から生じる単位であり、
mは、0〜20であり、
nは、1〜40であり、
xは、1〜6の整数であり、
モノマー単位AおよびBは、任意にブロック状の又はランダムな配列で一緒に結合され得る)
の1つ以上のポリエーテルアルコールが存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項5】
前記ポリエーテルアルコールが、PPG−3ミリスチルエーテル、PPG−11ステアリルエーテル、PPG−14ブチルエーテル又はPPG−15ステアリルエーテルであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項6】
エモリエント剤、乳化剤および界面活性剤、増粘剤、粘度調整剤、安定剤、紫外線防御剤、酸化防止剤およびビタミン、ハイドロトロープ又はポリオール、固形分および充填剤、皮膜形成剤、パール化剤、デオドラントおよび制汗有効成分、エステラーゼ阻害剤、昆虫忌避剤、セルフタンニング剤、防腐剤、コンディショニング剤、香料、着色料、生理活性成分、ケア添加剤、過脂肪剤、および/又は溶剤からなる群から選択される添加成分が存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項7】
前記製剤が、高粘度の液体から半固体、およびクリーム−固体に至るものであり、スティック状化粧品に適した容器又はデオドラントロールオン容器又は噴霧ポンプ容器に入れて消費者に提供されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項8】
前記製剤が、他の化粧品添加剤の他に、香料および/又はフレグランスを含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化粧品製剤および/又は皮膚用製剤。
【請求項9】
ヒトの皮膚に塗布するための、特に発汗の発生を低減するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の制汗製剤の使用。

【公開番号】特開2010−248191(P2010−248191A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−92692(P2010−92692)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】