説明

DPF再生制御装置

【課題】DPFの再生処理において、不必要な再生運転を実施しないようにする。
【解決手段】エンジン1の運転状態からDPF9へのPM堆積量を演算するPM堆積量演算手段21と、DPF9の上流側と下流側との差圧を検出する差圧検出手段22と、PM堆積量演算手段21により演算されたPM堆積量と、差圧検出手段22により検出された差圧とに基づいて、再生の必要度合を判定し、その判定結果に基づいて再生要求を実施する再生要求手段23と、をそなえ、PM堆積量に関し、再生が必要である再生必要領域が設定され、差圧に関し、再生が不要である再生不要領域が設定され、再生要求手段23は、PM堆積量が再生必要領域にあるが、差圧が再生不要領域にあれば、再生要求を保留する待機処理を経た上で再生を要求する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排気中の粒子状物質を捕集して除去するフィルタ(DPF)の再生を、最適なインターバルで実施するDPF再生制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン(単に、エンジンともいう)を搭載した車両では、通常、排出ガス中に煤等の粒子状物質(Particulate Matter、以下、PMと略称する)が含まれており、これが直接大気中に放出されるのを防ぐために、PMを捕集するパティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter、以下、DPFと略称する)と呼ばれるフィルタがエンジンの排気通路に備えられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
DPFはPM捕集量(PM堆積量)に限度があり、また、PM堆積量の増加に伴ってエンジンの排気圧力が増大し燃費の悪化を招くため、PM堆積量が基準値以上になったら、DPFに溜まったPMを除去するDPF再生処理を行う。このDPFの再生処理方法としては、DPFの上流側に酸化触媒を配設し、その酸化触媒でNOからNO2を生成し、その生成したNO2の酸化還元反応を利用してPMを燃焼する連続再生と、排気管内に燃料を供給して、この燃料をDPFの上流に配設した酸化触媒にて燃焼させ、この燃焼熱により強制的にPMを燃焼させる強制再生という方法が知られている。
【0004】
この強制再生には、自動再生と呼ばれるものと手動再生と呼ばれるものの2種類の方法がある。自動再生とは、車両運行中に、燃料を供給し強制的にPMを燃焼し除去する方法であり、手動再生とは、車両の運行を中断し車両を停止させた状態で、燃料を供給し強制的にPMを燃焼して除去する方法である。
自動再生は、通常運行中にPMを燃焼して除去するため、様々なエンジン運転状態において強制運転を実施することになる。一方、手動再生は、車両を停止させた安定条件の下で再生を実施する。ドライバにとっては運行の中断が不要である自動再生が好適であるが、PMを安定確実に燃焼させるためには手動再生が好適である。特に、PMが過剰に堆積した状態においては、安定した燃焼が困難な自動再生では、過剰に堆積したPMが一気に燃焼しフィルタに損傷を引き起こす可能性があるため、安定した燃焼が可能な手動再生が好適である。ただし、さらに過剰堆積が進行した場合は、手動再生ですらPM燃焼の安定性が確保できず、再生を実施することが困難となる。
【0005】
DPFに堆積しているPMの量を推定する技術としては、特許文献2に記載されているように、エンジンの運転状態情報としてエンジン回転数とエンジン負荷との情報を得て、エンジン回転数とエンジン負荷とに応じた単位時間当たりのPM排出量(mg/sec)を、例えば予め用意されたマップによって求め、DPFの新品時または再生後からのエンジン運転時間の累計より、DPFに堆積しているPM堆積量(エンジン運転対応DPF堆積量)を推定する技術が知られている。また、特許文献3に記載されているように、DPFの上流側の圧力を圧力センサで検出し、下流側の圧力を推定して、上流側の圧力と下流側の圧力との差圧からPM堆積量を推定する技術や、DPFの上流側及び下流側の圧力をともに圧力センサで検出して、これらの差圧(DPF前後差圧)からPM堆積量(差圧対応DPF堆積量)を推定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3925472号公報
【特許文献2】特開2007−270695号公報
【特許文献3】特開2008−144709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、DPFのPM堆積量に着目すると、図8に示すように、エンジンが通常の走行用の運転(単に、通常運転ともいう)を行われるとPM堆積量が次第に増加し、PM堆積量が強制再生閾値に達すると、強制再生が開始されることによりPM堆積量が次第に減少する。このようなDPFのPM堆積量の変化が交互に繰り返される。DPFの再生運転を実施するのはPM堆積量が強制再生閾値に達した場合であるが、PM堆積量は上記のようにエンジン運転対応DPF堆積量と差圧対応DPF堆積量とのそれぞれのPM堆積量を推定し、何れかのPM堆積量が先に強制再生閾値に達したらこの時点で強制再生を実施し、これにより再生インターバルが決定する。
【0008】
図8において、実線のグラフは上記の2つの技術で推定されたPM堆積量(以下、推定PM堆積量という)のうち先に強制再生閾値に達した推定PM堆積量を、破線のグラフは実際にDPF内に堆積したPM堆積量を示す。推定PM堆積量はあくまで推定値であり、実際のPM堆積量を決める全ての要因を考慮しきれない場合が多く、図8のようなずれを生じる。
【0009】
図8に示すように、1回目のサイクル(通常運転と再生運転を合わせたもの)と2回目のサイクルは、推定PM堆積量と実際のPM堆積量にずれはあるものの、それほど大きなものではなく想定範囲内となっており、推定PM堆積量が強制再生閾値に達するとDPFを再生するための運転が開始されている。
しかしながら、3回目のサイクルでは推定PM堆積量と実際のPM堆積量とのずれが前の2回と比較して大きく、推定PM堆積量が強制再生閾値に達しているにもかかわらず実際はほとんどPMが堆積していない。これは、推定PM堆積量を求める際に考慮しきれない要因によって発生しうる現象であり、特にNO2による酸化(連続再生)状態が原因となることが多い。
【0010】
連続再生により燃焼されるPMの量を精度良く検知するのは非常に難しいため、3回目のサイクルのように、推定PM堆積量が実際のPM堆積量と大きくずれることがあるが、この場合でも推定PM堆積量が強制再生閾値に達すればDPFの再生は実施される。しかしながら、この再生運転は明らかに不要なものであり、不必要な再生運転を実施することは、燃費の悪化、すなわち無駄なエネルギの消費、不要な排気ガスの排出等につながる。また、手動再生を実施する場合は車両を停止させなければならず、ドライバにとっては大きな負担となる。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、DPFの再生処理において、不必要な再生運転を回避できるようにした、DPF再生制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のDPF再生制御装置は、ディーゼルエンジンの排気に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ(DPF)の前記PMを除去して再生するための制御を行うDPF再生制御装置であって、前記ディーゼルエンジンの運転状態から前記DPFへのPM堆積量を演算するPM堆積量演算手段と、前記DPFの上流側と下流側との差圧を直接若しくは間接的に検出する差圧検出手段と、前記PM堆積量演算手段により演算されたPM堆積量と、前記差圧検出手段により検出された差圧とに基づいて、前記再生の必要度合を判定し、その判定結果に基づいて再生要求を実施する再生要求手段と、をそなえ、前記PM堆積量に関し、前記再生が必要である再生必要領域が設定され、前記差圧に関し、前記再生が不要である再生不要領域が設定され、前記再生要求手段は、前記PM堆積量が前記再生必要領域にあるが、前記差圧が前記再生不要領域にあれば、再生要求を保留する待機処理を経た上で再生を要求することを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、前記PM堆積量に関し、前記再生必要領域が、前記PM堆積量が大レベルである手動再生必要領域(レベル3)と前記PM堆積量が中レベルである自動再生必要領域(レベル2)とに区分されると共に、これらに加えて、前記PM堆積量が小レベルである前記再生が不要である再生不要領域(レベル1)が設定され、前記再生要求手段は、前記PM堆積量が前記手動再生必要領域にあれば、前記差圧に関わらず手動再生を要求し、前記PM堆積量が前記自動再生必要領域にあれば、前記差圧が前記再生不要領域にない限りは、すぐに再生を要求し、前記差圧が前記再生不要領域にあれば、前記待機処理を経た上で再生を要求することが好ましい。
【0014】
また、前記差圧に関し、前記差圧が低レベルである前記再生不要領域(レベル1)に加えて、前記差圧が高レベルであって前記再生として手動再生が必要である手動再生必要領域(レベル3)と、前記差圧が前記再生不要領域と前記手動再生必要領域との間にある中レベルであって再生必要度の判定を留保する不感帯領域(レベルなし)と、が設定され、前記再生要求手段は、前記差圧が前記手動再生必要領域にあれば、前記PM堆積量に関わらず手動再生を要求し、前記差圧が前記不感帯領域にある場合に、前記PM堆積量が前記手動再生必要領域にあれば手動再生を要求し、前記PM堆積量が前記自動再生必要領域にあれば自動再生を要求することが好ましい。
【0015】
また、前記PM堆積量に関し、前記PM堆積量が前記大レベルよりも大きい過大レベルである再生不能領域(レベル4)が更に設定されると共に、前記差圧に関し、前記差圧が前記高レベルよりも高い過大レベルである再生不能領域(レベル4)が更に設定されると共に、前記再生要求手段は、前記PM堆積量及び前記差圧のいずれかが再生不能領域であれば、前記ディーゼルエンジンの出力制限を要求することが好ましい。
【0016】
また、前記待機処理は、予め設定された所定の待機時間だけ再生要求と前記差圧が前記再生不要領域にあるか否かの判定とを保留する保留処理と、前記保留処理を経て、前記差圧が前記再生不要領域にあるか否かを判定する判定処理とからなる処理サイクルを予め設定された所定回数を限度として実施する処理であって、前記待機処理中に、前記差圧が前記再生不要領域から脱したと判定されたら前記待機処理を終了して前記差圧の領域に応じた処理を行い、前記差圧が前記再生不要領域から脱したと判定されることなく前記処理サイクルが前記所定回数に達したら、前記再生要求手段は再生要求を実施する
ことが好ましい。
【0017】
また、前記PM堆積量演算手段では、前記待機処理中は、前記PM堆積量の演算を停止することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のDPF再生制御装置によれば、DPFに実際にPMが堆積していない状態での再生運転を保留するため、DPFの再生処理の低減により不必要な再生運転を実施することなく、無駄なエネルギの消費、不要な排ガスの排出、燃費の悪化等を抑制することができる。また、強制再生のための排気管への燃料供給を、エンジン燃焼室内への燃料噴射(ポスト噴射)にてまかなう場合に発生するオイルダイリューションも抑制することができ、オイル交換インターバルも延長することができる。
【0019】
また、PM堆積量に合わせて領域を区分し、領域毎に再生必要度合を判定する場合、手動再生が必要と判定されればPMを除去し、PM堆積量が自動再生必要領域にある場合はすぐに再生を実行せず差圧からPM堆積レベルを検出し、そのレベルに応じた要求を発するので、再生が必要ならば再生を実施し、不必要ならば再生を保留するため、確実にDPFの不必要な再生運転を抑制することができる。
【0020】
また、差圧に関してもPM堆積レベルによって領域を区分し、領域毎に再生必要度合を判定する場合、差圧によるPM堆積レベルが不感帯領域にあってもPM堆積量に応じて適した再生を実施することができる。
また、再生不能領域をPM堆積量及び差圧の何れにも設定し、PM堆積量及び差圧の何れかが再生不能領域である場合にエンジンの出力制限を要求することにより、これまでの過堆積防止機能を一層向上させることができる。
【0021】
また、再生待機処理が予め設定された所定時間だけ保留する保留処理と差圧が再生不要領域にあるか否かを判定する判定処理とからなる処理サイクルであり、処理サイクルが予め設定された所定回数を限度として実施される場合、再生の保留が長期に亘って実施されることがなく、また、再生待機処理中にもPM堆積レベルにより再生が必要であるか否かの判定を行っているため、再生が必要なときは速やかに再生を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御装置が適用される排気浄化装置を搭載した車両の内燃機関の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御による再生ステータス決定処理について示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートにおける再生待機処理のサブルーチンである。
【図4】本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御に用いる、DPFの上下流の差圧と排気流量とに基づいて得られるDPF再生の必要度合をレベル別に示した図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御に用いる、差圧によりDPF再生のレベルを決定するフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御に用いる、PM堆積量により得られるDPF再生の必要度合をレベル別に示した図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御に用いる、PM堆積量演算処理について示すフローチャートである。
【図8】従来の課題を説明するためのPM堆積量を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御装置について図1〜図7を用いて説明すると、図1は本DPF再生制御装置が適用される排気浄化装置を搭載した車両の内燃機関の構成を示す模式図、図2はDPF再生制御による再生ステータス決定処理について示すフローチャート、図3は図2のフローチャートにおける再生待機処理のサブルーチン、図4はDPFの上下流の差圧と排気流量とに基づいて得られるDPF再生の必要度合をレベル別に示した図、図5は差圧によりDPF再生のレベルを決定するフローチャート、図6はPM堆積量により得られるDPF再生の必要度合をレベル別に示した図、図7はPM堆積量演算処理について示すフローチャートである。
【0024】
図1に示すように、本実施形態にかかるディーゼルエンジン(単に、エンジンともいう)1は、各気筒2に形成される燃焼室3と、燃焼室3に吸入空気を送り込む吸気通路4と、燃焼室3での燃焼により生じた排気が排出される排気通路5とが備えられている。吸気通路4に吸入された空気は、燃焼室3に設けられた燃料噴射弁6により噴射された燃料と混合して混合気となり、燃焼室3で燃焼する。また、吸気通路4には、燃焼室3に吸入される空気量を検出するためのエアフローメータ7が設けられている。
【0025】
排気通路5には、排気中に含まれる有害なHC(炭化水素)及びCO(一酸化炭素)を酸化して浄化する酸化触媒コンバータ8とPM(Particulate Matter、粒子状物質)を捕集して処理するDPF(Diesel Particulate Filter、ディーゼルパティキュレートフィルタ)9とが排気流れ上流から順に配置され、燃焼室3での燃焼により生じた排気が送り込まれる。なお、本実施形態では、DPF9にも排気中のHCやCOを酸化する酸化触媒が担持されている。
【0026】
そして、燃料噴射弁6を用いて、燃焼室3内で燃焼しないタイミング(主に排気工程中)で燃料を噴射するポスト噴射等によってDPF9の上流の酸化触媒コンバータ8に燃料を供給し、この燃料を酸化触媒コンバータ8で酸化反応(燃焼)させることで排気温度を上昇させDPF9のPMを焼却除去することでDPF9の再生が実施されている。
また、排気通路5における酸化触媒コンバータ8とDPF9との間には、温度センサ10と圧力センサ11とが順に設けられている。温度センサ10は排気通路5に流れる排気の温度を検出するものであり、圧力センサ11は、DPF9の上流の圧力を検出するためのものである。
【0027】
なお、本実施形態においては、DPF9の下流側は大気圧に対して一定の圧損分だけ高い一定圧と考えられるので、DPF9の下流の圧力は検出せずにDPF9の上流の圧力のみを検出して、このDPF9の上流の圧力を上記の一定の圧力値で減算してDPF9の上流と下流との圧力差(DPF前後差圧)として用いている。もちろん、DPF9の上流と下流の両方の圧力を検出するよう圧力センサ11をそれぞれ設けて、これらの圧力差を直に求めてもよい。
【0028】
また、DPF9の下流には、排気による騒音を低減させるためのマフラー12が設けられており、その先は大気に直接通じている。
こうしたディーゼルエンジン1の各種制御は、エンジン制御装置(以下、エンジンECUという)20により実施されている。エンジンECU20は、エンジン制御にかかる各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入出力するための入出力ポート等を備えて構成されている。
【0029】
そして、エンジンECU20は、DPF9内に堆積したPMの量(PM堆積量)をエンジン1の運転状態に基づいて演算するPM堆積量演算手段21としての機能要素と、DPF9の前後差圧を検出する差圧検出手段22としての機能要素と、DPF9の再生必要度合を判定し、再生要求を実行する再生要求手段23としての機能要素と、を有している。
【0030】
PM堆積量演算手段21には、種々の公知技術を適用することができる。例えば、エンジン1の運転状態情報としてエンジン回転数Neと燃料噴射量等のエンジン負荷Leとの情報を得て、エンジン回転数Neとエンジン負荷Leとに応じた単位時間当たりのPM排出量(mg/sec)を、例えば予め用意されたマップによって求め、DPF9の新品時または再生後からのエンジン運転時間の累計より、DPF9に堆積しているPM堆積量を推定する技術が知られているが、これに限定されるものではない。
【0031】
差圧検出手段22は、大気圧に対して一定の圧損分だけ高い圧力値をDPF9の下流側の圧力値とし、これを圧力センサ11により検出したDPF9の上流側の圧力から減算して、DPF9の上流と下流の圧力差(DPF前後差圧)ΔPとして用いる。ただし、DPF9の下流側の圧力は圧力センサ11を設けて検出し、直に圧力差を求めるようにしてもよい。
【0032】
そして、PM堆積量演算手段21により推定したPM堆積量PMAと差圧検出手段22により検出した差圧ΔPの情報は、エンジンECU20の機能要素の1つである再生要求手段23に送られる。
再生要求手段23は、PM堆積量演算手段21及び差圧検出手段22から送られたPM堆積量PMA及び差圧ΔPの情報に基づき、DPF9の再生が必要か否か(再生の必要度合)を判定する。この必要度合の判定処理については後述する。
【0033】
さらに、再生要求手段23は、上記判定結果において、DPF9の再生が必要であると判定した場合は、図示しない再生実行手段に再生要求を発令し、それに応じたDPF9の再生が実行される。
本DPF再生制御装置は、上記の何れもエンジンECU20の機能要素として備えられたPM堆積量推定手段21と差圧検出手段22と再生要求手段23とから構成される。
【0034】
ここで、再生の必要度合について、図4及び図6を用いて説明する。
図4はDPF9の上下流の差圧と排気流量とに基づいて決定されるPM堆積量のレベル(以下、PM堆積レベルという)を表した図であり、差圧検出手段22で用いられる。図4に示すように、PM堆積レベルは以下の4つの段階に区分される。
レベル4は、DPF9の再生を実施することができないほど非常に大量のPMが堆積している再生不能領域(過大レベル)であり、差圧検出手段22によりこの領域が検出された場合は、再生要求手段23により再生不可能と判定され、エンジン警告灯の表示、エンジン出力制限等のフェールセーフ処置がとられる。
【0035】
レベル3は、レベル4ほどではないがDPF9に大量のPMが堆積している手動再生必要領域(高レベル)であり、差圧検出手段22によりこの領域が検出された場合は、再生要求手段23により手動再生が必要であると判定され、手動再生を実施するよう再生要求が発せられる。
レベル1は、DPF9にほとんどPMが堆積していない再生不要領域(低レベル)であり、差圧検出手段22によりこの領域が検出された場合は、再生要求手段23により一時再生を保留する待機要求がなされる。
【0036】
ここで、レベル1とレベル3との間の領域は、DPF9にPMは堆積しているが、再生が必要か否かを判定するには困難な不感帯領域(中レベル)であり、差圧検出手段22によりこの領域が検出された場合、この検出結果だけに基づいて再生の必要度合を決定するのは困難であるため、この場合は再生の必要度合を決定しない。
また、図6はPM堆積量演算手段21により得られるPM堆積量PMAに基づいて決定されるPM堆積レベルを表した図である。図6に示すPM堆積レベルも4段階となっており、レベル4、レベル3及びレベル1は、図4のものと同様、再生不能領域(過大レベル)、手動再生必要領域(大レベル)及び再生不要領域(小レベル)である。また、図6に示すレベル2は、自動再生で処理できる程度のPMがDPF9に堆積している自動再生必要領域(中レベル)である。
【0037】
PM堆積レベルを、PM堆積量演算手段21と差圧検出手段22とによりそれぞれ求めるのは、PM堆積レベルの検出において、それぞれ得意としている部分が異なるからである。
差圧検出手段22は、排気流量に対する差圧からPM堆積レベルを検出するため、排気流量が少ない場合はほとんどレベルを検出することができない。また、排気流量がある程度多い場合でレベル3及びレベル4のようにPMが大量に堆積している場合は、確実にレベルを検出することができるが、自動再生が必要か否か程度のPM堆積量はなかなか検出することができない。そのため、上述したような不感帯領域が存在する。しかし、排気流量がある程度多い場合で差圧がほとんどなければ、それはPMがDPF9に堆積していないこととなるため、上述したような再生不要領域の検出は可能である。
【0038】
一方、PM堆積量演算手段21は、エンジン1の運転状態から単位時間当たりのPM排出量を検出し、それを累積してPM堆積量PMAを算出している。この予測演算の中で通常走行時に実施される連続再生については、影響を及ぼす要因の複雑さ、検出の困難さから、なかなか精度が上がらないのが現状である。しかし、PM堆積量演算手段21は、連続再生が発生しない領域のPM堆積量予測精度が良いことと、排気流量に関わらずPM堆積レベルを検出可能であることを特徴としている。
【0039】
ここで、特徴的な制御として、再生要求手段23は、PM堆積量演算手段21によりPM堆積量PMAが自動再生必要領域(レベル2)と算出された場合、すぐに自動再生が必要と判定するのではなく、本当に再生が必要なほどDPF9にPMが堆積しているかを確認するため、差圧検出手段22により得られたPM堆積レベルがどの程度なのかを確認する。差圧検出手段22により得られたPM堆積レベルが、上述した図4の不感帯領域である場合は、自動再生が必要な程度はPMが堆積しているものとされ、自動再生の必要があると判定される。
【0040】
一方、差圧検出手段22により得られたPM堆積レベルが、上述した図4の再生不要領域(レベル1)である場合は、PM堆積量演算手段21ではPMが自動再生必要領域(レベル2)程度堆積しているものと算出されたが、実際にはPMがほとんど堆積していないため、再生要求手段23によりDPF9の再生を保留する再生待機処理を経た上で再生が必要であると判定される。
【0041】
再生待機処理は、保留処理と判定処理とからなる処理サイクルを実施する処理である。保留処理は、予め設定された所定の待機時間(例えば、30分)だけ、再生要求と差圧検出手段22により検出された差圧が再生不要領域にあるか否かの判定とを保留し、PM堆積量演算手段21によるPM堆積量PMAの演算を停止する。判定処理は、所定の待機時間保留処理が終わると、差圧が再生不要領域にあるか否かの判定を実施する。この2つの処理からなる処理サイクルが、予め設定された所定回数(例えば、3回)を限度として実施される。ただし、上記した待機時間及び所定回数はこれに限定されるものではない。
【0042】
上記の待機時間については、これまでの車両の運転パターン、例えば平均速度や負荷頻度(アクセルの踏み方)等から平均化された再生インターバルを元に、例えばその値の10分の1の時間にするなどして決定される。上記の例では、平均化された再生インターバルが5時間(300分)であった場合であり、10分の1は30分となるため、予め設定する所定の待機時間を30分としている。
【0043】
この再生待機処理は、処理サイクル中に判定処理により差圧が再生不要領域から脱したと判定されると、再生待機処理を終了して差圧検出手段22により検出された差圧に基づくPM堆積レベルに応じた再生が必要であると判定される。一方、処理サイクルが予め設定された限界の所定回数を実施しても未だ差圧が再生不要領域にあると判定される場合があるが、この場合であっても再生要求手段23により再生が必要であると判定される。これは、何らかの原因で差圧検出手段22により差圧が検出されない場合等があるとDPF9が故障したり、エンジン1の出力制限がかかったりするため、安全率を考慮して、待機時間と処理サイクルの回数により待機期間を決定している。
【0044】
本発明の一実施形態にかかるDPF再生制御装置は上述のように構成されているので、本実施形態にかかるDPFの再生制御は、図2、図3、図5及び図7に示すフローチャートに従って実施される。
【0045】
図2はDPF再生制御に用いる再生ステータス決定処理について示すフローチャートである。図2に示すように、まず、差圧検出手段22により検出したDPF9の上流と下流の差圧に基づいたPM堆積レベルPMCを取得する(ステップS1)。PM堆積レベルPMCの取得は、図5のフローチャートに示すように、まずエアフローメータ7により排気流量を検出し(ステップS50)、大気圧に対して一定の圧損分だけ高い圧力値をDPF9の下流側の圧力値とし、圧力センサ11により検出したDPF9の上流側の圧力からこの下流側の圧力値を減算し、DPF9の上流と下流との圧力差として差圧検出手段22により検出する(ステップS51)。そして、これらの情報に基づいて、差圧検出手段22により図4に示すPM堆積レベルPMCを検出し(ステップS52)、ステップS50にリターンする。
【0046】
次に、図2に示すように、取得したPMCが再生不能領域であるレベル4か否かを判定し(ステップS2)、レベル4である場合はDPF9の再生は不可能であるため、エンジン警告灯の点灯やエンジン出力制限といったフェールセーフ処置を実施し(ステップS7)、終了する。一方、PMCがレベル4でない場合は、手動再生必要領域であるレベル3か否かを判定し(ステップS3)、レベル3である場合はDPF9の手動再生が必要であるため、手動再生を実施し(ステップS9)、ステップS1にリターンする。一方、PMCがレベル3でない場合は、再生待機処理が実行中であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0047】
再生待機処理が実行中でない場合は、PM堆積量演算手段21により求めたPM堆積量PMAを取得し(ステップS5)、PMAのレベル判定を行う。
再生待機処理が実行中でない場合におけるPM堆積量PMAの取得は、図7のフローチャートに示すように、まず、エンジン1の運転状態情報としてエンジン回転数Neや燃料噴射量等のエンジン負荷Le等の情報を検出する(ステップS60)。次に、DPF9の再生が実施中か否かを判定し(ステップS61)、再生実施中である場合は、PMが燃焼され除去されているので、エンジン運転状態に応じた値を減算してPM堆積量を演算する(ステップS62)。一方、DPF9の再生が実施中でない場合は、PM堆積量を通常の積算、つまりエンジン運転状態に応じた値を積算してPM堆積量を演算し(ステップS63)ステップS60にリターンする。ステップS62及びS63で検出されたPM堆積量PMAは、図2のステップS5において読み込まれる。
【0048】
次に、図2に示すように、取得したPMAが再生不能領域であるレベル4か否かを判定し(ステップS6)、レベル4である場合はDPF9の再生は不可能であるため、エンジン警告灯の点灯やエンジン出力制限といったフェールセーフ処置を実施し(ステップS7)、終了する。一方、PMAがレベル4でない場合は、手動再生必要領域であるレベル3か否かを判定し(ステップS8)、レベル3である場合はDPF9の手動再生が必要であるため、手動再生を実施し(ステップS9)、ステップS1にリターンする。
【0049】
ステップS8において、PMAがレベル3でない場合は、自動再生必要領域であるレベル2か否かを判定し(ステップS10)、PMAがレベル2でない場合は、再生不要領域であるレベル1であるため、DPF9の再生も再生待機処理も実施せずステップS1にリターンする。一方、PMAがレベル2である場合は、図3に示す再生待機処理を起動する(ステップS20)。また、ステップS4において、再生待機処理が実行中である場合は、そのまま再生待機処理に移行する。
【0050】
図3は、図2のフローチャートにおける再生待機処理を構成するサブルーチンである。再生待機処理は、図3に示すように、まず、タイマー(図示せず)が停止中か否かを判定する(ステップS21)。再生待機処理を起動したときには、タイマーは停止中であるため、次に、ステップS1で取得したPM堆積レベルPMCが再生不要領域であるレベル1か否かを判定し(ステップS22)、レベル1である場合は、待機処理サイクルを実施した回数(以下、待機処理カウントともいう)BCが、処理サイクル実施回数の限度である所定回数(例えば、3回)Bth以上か否かを判定する(ステップS30)。BCがBthよりも少ない場合は、タイマーを0リセットしてから(ステップS31)、タイマーを開始し(ステップS32)、PM堆積量演算手段21によるPM堆積量PMAの演算を停止し(ステップS33)、ステップS1にリターンする。
【0051】
次の制御サイクルにおいて、ステップS1で取得したPMCがレベル4でもレベル3でもない場合は、ステップS4において再生待機処理実行中と判定されるため、再び再生待機処理に移行する(ステップS20)。
ステップS21において再びタイマーが停止中か判定されるが、前回の制御サイクルのステップS32においてタイマーを開始しているため、今度はタイマー停止中ではないと判定し(ステップS21)、タイマーが積算される(ステップS40)。そして、そのタイマー積算値が予め設定された所定の待機時間(例えば、30分)Tth以上であるか否かを判定する(ステップS41)。タイマー積算値がTthよりも小さい場合は再びステップS1にリターンする。一方、タイマー積算値がTth以上である場合は、タイマーを停止し(ステップS42)、待機処理カウントBCを前回の待機処理カウントに1を足した値とする(ステップS43)。待機処理カウントBCは最初0回であるため、この場合はBC=1となる。そして、PM堆積量演算手段21によるPM堆積量PMAの演算を再開し(ステップS44)、ステップS1にリターンする。
【0052】
次の制御サイクルにおいて、ステップS1で取得したPMCがレベル4でもレベル3でもない場合は、ステップS4において再生待機処理実行中と判定されるため、再び再生待機処理に移行する(ステップS20)。
ステップS21において再びタイマーが停止中か判定されるが、前回の制御サイクルのステップS42においてタイマーを停止しているため、再び差圧検出手段22により取得したPM堆積レベルPMCがレベル1であるか否かを判定する(ステップS22)。そして、PMCが未だレベル1である場合は、再びステップS30において待機処理カウントBCがBth以上か否かを判定する。一方、ステップS22においてPMCがレベル1でないと判定された場合は、DPF9の再生が必要であると判定され、PMCのレベルに合わせた再生要求が発令され(ステップS23)、待機処理カウントBCが0リセットされてから(ステップS24)、再生待機処理が停止し(ステップS25)、ステップS1にリターンする。
【0053】
ステップS30においてBCがBth以上である場合は、上記のステップS23からS25までが同様に実施される。一方、ステップS30において、BCがBthより小さい場合は、再びタイマーが0リセットされてから(ステップS31)、タイマーを開始し(ステップS32)、PM堆積量演算手段21によるPM堆積量PMAの演算を停止して(ステップS33)、ステップS1にリターンする。
【0054】
上記した図2及び図3のフローチャートと、図5及び図7のフローチャートは並行して進行しており、上述のように図5のステップS52で検出されたPMCを図2のステップS1で取得し、図7のステップS62及びS63で検出されたPMAを図2のステップS5でそれぞれ取得している。
【0055】
このように、本DPF再生制御装置によれば、PM堆積量PMAが自動再生必要領域となった場合、すぐに再生を実施せず、差圧によるPM堆積レベルPMCを確認し、未だPMが堆積していない場合にはDPF9の再生運転を保留する再生待機処理を実施するため、燃費の悪化、すなわち無駄なエネルギの消費、不要な排ガスの排出等を抑制することができる。また、強制再生のための排気管への燃料供給を、エンジン燃焼室内への燃料噴射(ポスト噴射)にてまかなう場合に発生するオイルダイリューションも抑制することができ、オイル交換インターバルも延長することができる。
【0056】
また、PM堆積量PMAと差圧によるPM堆積レベルPMCとでDPF9にPMが堆積しているかチェックするため、より確実にPMの堆積を検出することができ、PM堆積量やPM堆積レベルに応じた適切な再生を実施することができる。
また、再生不能領域(レベル4)をPM堆積量及び差圧の何れにも設定し、PM堆積量及び差圧の何れかが再生不能領域である場合にエンジンの出力制限を要求することにより、これまでの過堆積防止機能を一層向上させることができる。
【0057】
また、再生待機処理が予め設定された所定時間だけ保留する保留処理と差圧が再生不要領域にあるか否かを判定する判定処理とからなる処理サイクルであり、処理サイクルが予め設定された所定回数を限度として実施される場合、再生の保留が長期に亘って実施されることがなく、また、再生待機処理中にもPM堆積レベルにより再生が必要であるか否かの判定を行っているため、再生が必要なときは速やかに再生を実施することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形させて実施することができる。
例えば、上記実施形態では再生を保留する期間を、予め設定したタイマー積算値の上限Tthと処理サイクル実施回数の限度Bthの2つを用いて決定したが、処理サイクル実施回数の限度Bthは設けず、その分タイマー積算値の上限Tthを長く設定してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 ディーゼルエンジン(エンジン)
2 気筒
3 燃焼室
4 吸気通路
5 排気通路
6 燃料噴射弁
7 エアフローメータ
8 酸化触媒コンバータ
9 ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
10 温度センサ
11 圧力センサ
12 マフラー
20 エンジン制御装置(エンジンECU)
21 PM堆積量演算手段
22 差圧検出手段
23 再生要求手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンの排気に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ(DPF)の前記PMを除去して再生するための制御を行うDPF再生制御装置であって、
前記ディーゼルエンジンの運転状態から前記DPFへのPM堆積量を演算するPM堆積量演算手段と、
前記DPFの上流側と下流側との差圧を直接若しくは間接的に検出する差圧検出手段と、
前記PM堆積量演算手段により演算されたPM堆積量と、前記差圧検出手段により検出された差圧とに基づいて、前記再生の必要度合を判定し、その判定結果に基づいて再生要求を実施する再生要求手段と、をそなえ、
前記PM堆積量に関し、前記再生が必要である再生必要領域が設定され、
前記差圧に関し、前記再生が不要である再生不要領域が設定され、
前記再生要求手段は、前記PM堆積量が前記再生必要領域にあるが、前記差圧が前記再生不要領域にあれば、再生要求を保留する待機処理を経た上で再生を要求する
ことを特徴とする、DPF再生制御装置。
【請求項2】
前記PM堆積量に関し、前記再生必要領域が、前記PM堆積量が大レベルである手動再生必要領域と前記PM堆積量が中レベルである自動再生必要領域とに区分されると共に、これらに加えて、前記PM堆積量が小レベルである前記再生が不要である再生不要領域が設定され、
前記再生要求手段は、
前記PM堆積量が前記手動再生必要領域にあれば、前記差圧に関わらず手動再生を要求し、
前記PM堆積量が前記自動再生必要領域にあれば、前記差圧が前記再生不要領域にない限りは、すぐに自動再生を要求し、前記差圧が前記再生不要領域にあれば、前記待機処理を経た上で自動再生を要求する
ことを特徴とする、請求項1記載のDPF再生制御装置。
【請求項3】
前記差圧に関し、前記差圧が低レベルである前記再生不要領域に加えて、前記差圧が高レベルであって前記再生として手動再生が必要である手動再生必要領域と、前記差圧が前記再生不要領域と前記手動再生必要領域との間にある中レベルであって再生必要度の判定を留保する不感帯領域と、が設定され、
前記再生要求手段は、
前記差圧が前記手動再生必要領域にあれば、前記PM堆積量に関わらず手動再生を要求し、
前記差圧が前記不感帯領域にある場合に、前記PM堆積量が前記手動再生必要領域にあれば手動再生を要求し、前記PM堆積量が前記自動再生必要領域にあれば自動再生を要求する
ことを特徴とする、請求項2記載のDPF再生制御装置。
【請求項4】
前記PM堆積量に関し、前記PM堆積量が前記大レベルよりも大きい過大レベルである再生不能領域が更に設定されると共に、前記差圧に関し、前記差圧が前記高レベルよりも高い過大レベルである再生不能領域が更に設定されると共に、
前記再生要求手段は、前記PM堆積量及び前記差圧の何れかが再生不能領域であれば、前記ディーゼルエンジンの出力制限を要求する
ことを特徴とする、請求項3記載のDPF再生制御装置。
【請求項5】
前記待機処理は、予め設定された所定の待機時間だけ再生要求と前記差圧が前記再生不要領域にあるか否かの判定とを保留する保留処理と、前記保留処理を経て、前記差圧が前記再生不要領域にあるか否かを判定する判定処理とからなる処理サイクルを予め設定された所定回数を限度として実施する処理であって、
前記待機処理中に、前記差圧が前記再生不要領域から脱したと判定されたら前記待機処理を終了して前記差圧の領域に応じた再生を行い、前記差圧が前記再生不要領域から脱したと判定されることなく前記処理サイクルが前記所定回数に達したら、前記再生要求手段は再生要求を実施する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のDPF再生制御装置。
【請求項6】
前記PM堆積量演算手段では、前記待機処理中は、前記PM堆積量の演算を停止する
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のDPF再生制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−99378(P2011−99378A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254305(P2009−254305)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】