説明

EP4受容体拮抗薬としてのフラン誘導体

式(I)[式中、R2とR5の一方は、(i)H若しくは場合により置換されていてもよいC1-4アルキル基であるか、又は、(ii)場合により置換されていてもよいC5-7アリールであり;R2とR5のもう一方は、残りの方の基であり;m及びnは、0又は1であることができるが、m+n=1又は2であり;RNは、H又は場合により置換されていてもよいC1-4アルキルであり;R3は、(i)カルボキシ、(ii)式(II)で表される基、(iii)式(III)で表される基、又は、(iv)テトラゾール-5-イルのいずれかであり、その際、Rは、場合により置換されていてもよいC1-7アルキル、C5-20アリール又はNRN3RN4(ここで、RN3及びRN4は、独立して、場合により置換されていてもよいC1-4アルキルから選択される)である]
で表される化合物又はその塩、溶媒和物及び化学的に保護されている形態。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EP受容体拮抗薬、そのような化合物を含んでいる医薬組成物、並びに、さまざまな疾患を治療するためのそのような化合物及び組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタノイドには、プロスタグランジン(PG)及びトロンボキサン(Tx)が包含され、それらの受容体は、5種類の天然プロスタノイド(PGD、PGE、PGF2α、PGI及びTxA)のそれぞれに対する感受性に基づいて、5種類の異なったクラス(DP、EP、FP、IP及びTP)に分類される(Coleman, R.A., Prostanoid Receptors. IUPHAR compendium of receptor characterisation and classification, 2nd edition, 338-353, ISBN 0-9533510-3-3, 2000)。EP受容体(これに対する内因性リガンドはPGEである)は、EP、EP、EP及びEPと称される4種類の型にさらに分類されている。これらの4つの型のEP受容体は、既にクローニングされており、分子レベル及び薬理学的レベルの両方で区別される(Coleman, R.A., 2000)。
【0003】
EP拮抗薬は、痛みの治療、特に、偏頭痛などの一次性頭痛障害の治療及び薬剤誘発性頭痛などの二次性頭痛障害の治療において有用であることが示されている(WO00/18405及びWO01/72302)。脳血管系の拡張とそれに続く痛み刺激性の血管周囲三叉神経の知覚求心性神経の刺激は、偏頭痛の病態生理学において重要な役割を果たしているということが認められている。シクロオキシゲナーゼの活性化とPGEの生成を伴う無菌性の炎症性反応も、偏頭痛の病態生理学に関与している。PGEのレベルは、偏頭痛発作が起こっている間に上昇することが示されており、PGEは、大脳動脈を直接拡張させることにより、及び、三叉神経からの血管作用性/炎症誘発性ペプチドの放出を刺激することにより、偏頭痛の痛みを引き起こす一因となっている。PGEのこれらの作用は、EP受容体により、全体的又は部分的に介在される。従って、EP受容体に結合させてEP受容体の刺激を予防することにより、EP拮抗薬を用いて偏頭痛の痛みを治療することができる。
【0004】
EP拮抗薬は、多くの他の状態及び疾患の治療においても有用であり得る。例えば、EP拮抗薬は、以下の:
慢性関節リューマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎及び若年性関節炎に関連した痛みの治療;
筋骨格系疼痛、下背部及び頸部の痛み、捻挫及び筋違い、神経障害性疼痛、交感神経介在性の痛み、筋炎、癌に関連した痛み及び線維筋痛、インフルエンザ又は他のウイルス感染(例えば、感冒、リウマチ熱)に関連した痛み、腸疾患(例えば、非潰瘍性消化不良、過敏性腸症候群)に関連した痛み、非心臓性胸部痛、心筋虚血に関連した痛み、術後痛、頭痛、歯痛及び月経困難症の治療(神経障害性疼痛症候群には、糖尿病性神経障害、坐骨神経痛、非特異性下背部痛、多発性硬化症の痛み、線維筋痛、HIV関連神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛及び身体外傷に起因する痛みなどがある);
慢性関節リューマチ、変形性関節症、乾癬、皮膚炎、網膜炎、結膜炎、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、炎症性腸疾患、結腸炎、腎炎、歯肉炎及び肝炎などの炎症性疾患の治療;
家族性腺腫性ポリポーシス、子宮内膜癌、結腸直腸癌及び子宮頸癌などの癌の治療;
変形した骨の形成又は再吸収(例えば、骨粗鬆症)などの骨障害の治療;
子宮筋層及び子宮内膜の障害を治療するための女性の健康;
下痢などの胃腸疾患の治療;
自己免疫疾患、免疫不全疾患、臓器移植及びHIV感染の潜伏期の長期化などの免疫障害の治療;
異常な血小板機能の疾患(例えば、閉塞性血管疾患)の治療;
さまざまな浮腫、高血圧、月経前緊張症、尿路結石、尿量過少症、高リン酸塩尿症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎又は慢性腎不全などを治療又は予防するための、利尿作用を有する薬物の調製;
性的不能症又は勃起不全の治療及び女性の性的機能不全の治療;
毛髪成長異常の治療;
睡眠発作及び不眠症などの睡眠障害の治療;
心血管疾患の治療及び低血圧を伴っているショック状態(例えば、敗血症性ショック)の治療;
神経変性疾患の治療、並びに、脳卒中、心停止、心肺バイパス、外傷性脳損傷又は脊髄損傷の後に続くニューロンの損傷を予防するための治療;
耳鳴りの治療;
依存症の治療;
及び
糖尿病の合併症の治療;
において使用することができる。
【0005】
EP拮抗薬は知られているが、新規EP拮抗薬を見いだすこと、特に、他のEP受容体(即ち、EP、EP及びEP)に対して選択性を有するEP拮抗薬を見いだすことは、望ましい。
【発明の開示】
【0006】
本発明の第一の態様では、式(I):
【化1】

【0007】
[式中、
R2とR5の一方は:
(i) H、若しくは、場合により置換されていてもよいC1-4アルキル基であるか;
又は
(ii) 場合により置換されていてもよいC5-7アリールであり;
R2とR5のもう一方は、残りの方の基であり;
m及びnは、0又は1であることができるが、m+n=1又は2であり;
RNは、H、又は、場合により置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
R3は:
(i) カルボキシ、
又は
(ii) 式(II):
【化2】

【0008】
で表される基、
又は
(iii) 式(III):
【化3】

【0009】
で表される基、
又は
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかであり、その際、Rは、場合により置換されていてもよいC1-7アルキル、C5-20アリール又はNRN3RN4(ここで、RN3及びRN4は、独立して、場合により置換されていてもよいC1-4アルキルから選択される)である]
で表される化合物又はその塩、溶媒和物及び化学的に保護されている形態が提供される。
【0010】
該化合物は、好ましくは、N-(5-フェニル-2-メチル-3-フロイル)-p-アミノフェニル酢酸(即ち、R2=CH3、R5=フェニル、RN=H、n=0、m=1、及び、R3=カルボキシ)ではない。
【0011】
本発明の第二の態様では、治療方法において使用するための、式(I)で表される化合物又はその製薬上許容される塩が提供される。
【0012】
本発明の第三の態様では、製薬上許容される担体又は希釈剤と一緒に上記第一の態様で定義した式(I)で表される化合物又はその製薬上許容される塩を含んでいる、医薬組成物が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、EP受容体に対する拮抗作用により軽減される状態を治療するための薬物の調製における式(I)で表される化合物又はその製薬上許容される塩の使用が提供される。
【0014】
本発明の別の態様では、EP受容体に対する拮抗作用により軽減され得る状態を治療するための方法が提供され、ここで、該方法は、そのような治療が必要な患者に式(I)で表される有効量の化合物又はその製薬上許容される塩を投与することを含む。
【0015】
EP受容体に対する拮抗作用により軽減することができる状態については、上記で論じられているが、そのような状態としては、特に、一次性頭痛障害を挙げることができ、さらに特に、偏頭痛を挙げることができる。
【0016】
本発明により、インビトロ又はインビボでEP受容体に対して拮抗する方法も提供され、ここで、該方法は、細胞を式(I)で表される有効量の化合物と接触させることを含む。
【0017】
一部の実施形態では、上記化合物は、別の3種類のEP受容体(即ち、EP、EP及びEP)に対する拮抗作用に対して選択性を有し得る。この選択性により、特定の状態の治療において、本発明化合物の有効性をターゲッティングすることができ、利益が得られる可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
定義
単座基
(即ち、共有結合の結合点を1つ有する基)
アルキル:用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、(特に別途示されていない限り)1〜7個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から水素原子を除去することによって得られた一価部分に関し、ここで、該炭化水素化合物は、脂肪族又は脂環式であることができ、また、飽和していても又は不飽和であってもよい。かくして、用語「アルキル」には、そのサブクラスとして、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルなどが包含される。これらについては、以下で論じる。
【0019】
アルキル基に関連して、接頭辞(例えば、C1-4、C1-7)は、炭素原子の数、又は、炭素原子の数の範囲を表している。例えば、用語「C1-4アルキル」は、本明細書で使用される場合、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基に関する。アルキル基の群の例には、C1-4アルキル(「低級アルキル」)及びC1-7アルキルなどがある。ここで留意すべきことは、最初に付ける数字が他の制限によって変わり得るというということである。例えば、不飽和アルキル基の場合、最初に付ける数字は少なくとも2でなければならず、環状アルキル基の場合、最初に付ける数字は少なくとも3でなければならない。
【0020】
飽和アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)及びヘプチル(C7)などを挙げることができる。
【0021】
飽和直鎖アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、n-ペンチル(アミル)(C5)、n-ヘキシル(C6)及びn-ヘプチル(C7)などを挙げることができる。
【0022】
飽和分枝鎖アルキル基の例としては、イソプロピル(C3)、イソブチル(C4)、s-ブチル(C4)、t-ブチル(C4)、イソペンチル(C5)及びネオペンチル(C5)などを挙げることができる。
【0023】
アルケニル:用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基に関する。アルケニル基の例には、C2-4アルケニル及びC2-7アルケニルなどがある。アルケニル基の例としては、限定するものではないが、エテニル(ビニル、-CH=CH2)、1-プロペニル(-CH=CH-CH3)、2-プロペニル(アリル、-CH-CH=CH2)、イソプロペニル(1-メチルビニル、-C(CH3)=CH2)、ブテニル(C4)、ペンテニル(C5)及びヘキセニル(C6)などを挙げることができる。
【0024】
アルキニル:用語「アルキニル」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基に関する。アルキニル基の群の例には、C2-4アルキニル及びC2-7アルキニルなどがある。アルキニル基の例としては、限定するものではないが、エチニル(-C≡CH)及び2-プロピニル(プロパルギル、-CH2-C≡CH)などを挙げることができる。
【0025】
シクロアルキル:用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、環式基でもあるアルキル基、即ち、炭素環式化合物の炭素環式環の脂環式環原子から水素原子を除去することによって得られた一価部分に関し、ここで、該炭素環式環は、飽和又は不飽和であってもよく、該一価部分は、(特に別途示されていない限り)3〜7個の炭素原子を有し、これは、3〜7個の環原子を包含する。かくして、用語「シクロアルキル」には、そのサブクラスとして、シクロアルケニル及びシクロアルキニルなどが包含される。好ましくは、各環は、3〜7個の環原子を有する。シクロアルキル基の群の例には、C3-7シクロアルキルなどがある。
【0026】
シクロアルキル基の例としては、限定するものではないが、以下のものから誘導された基などを挙げることができる:
飽和単環式炭化水素化合物:シクロプロパン(C3)、シクロブタン(C4)、シクロペンタン(C5)、シクロヘキサン(C6)、シクロヘプタン(C7)、メチルシクロプロパン(C4)、ジメチルシクロプロパン(C5)、メチルシクロブタン(C5)、ジメチルシクロブタン(C6)、メチルシクロペンタン(C6)、ジメチルシクロペンタン(C7)、メチルシクロヘキサン(C7);
不飽和単環式炭化水素化合物:シクロプロペン(C3)、シクロブテン(C4)、シクロペンテン(C5)、シクロヘキセン(C6)、メチルシクロプロペン(C4)、ジメチルシクロプロペン(C5)、メチルシクロブテン(C5)、ジメチルシクロブテン(C6)、メチルシクロペンテン(C6)、ジメチルシクロペンテン(C7)、メチルシクロヘキセン(C7)。
【0027】
ヘテロシクリル:用語「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用される場合、ヘテロ環式化合物の環原子から水素原子を除去することによって得られた一価部分に関し、ここで、該一価部分は、(特に別途示されていない限り)3〜20個の環原子を有し、その内の1〜10個は環ヘテロ原子である。好ましくは、各環は、3〜7個の環原子を有し、その内の1〜4個は環ヘテロ原子である。
【0028】
これに関連して、接頭辞(例えば、C3-20、C3-7、C5-6など)は、炭素原子であろうと又はヘテロ原子であろうと、環原子の数、又は、環原子の数の範囲を表している。例えば、用語「C5-6ヘテロシクリル」は、本明細書で使用される場合、5個又は6個の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。ヘテロシクリル基の群の例には、C3-20ヘテロシクリル、C5-20ヘテロシクリル、C3-15ヘテロシクリル、C5-15ヘテロシクリル、C3-12ヘテロシクリル、C5-12ヘテロシクリル、C3-10ヘテロシクリル、C5-10ヘテロシクリル、C3-7ヘテロシクリル、C5-7ヘテロシクリル及びC5-6ヘテロシクリルなどがある。
【0029】
単環式ヘテロシクリル基の例としては、限定するものではないが、以下のものから誘導された基などを挙げることができる:
N1: アジリジン(C3)、アゼチジン(C4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C5)、ピロリン(例えば、3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)(C5)、2H-ピロール又は3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C5)、ピペリジン(C6)、ジヒドロピリジン(C6)、テトラヒドロピリジン(C6)、アゼピン(C7);
O1: オキシラン(C3)、オキセタン(C4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C6)、ジヒドロピラン(C6)、ピラン(C6)、オキセピン(C7);
S1: チイラン(C3)、チエタン(C4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C5)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C6)、チエパン(C7);
O2: ジオキソラン(C5)、ジオキサン(C6)、ジオキセパン(C7);
O3: トリオキサン(C6);
N2: イミダゾリジン(C5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C5)、イミダゾリン(C5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C5)、ピペラジン(C6);
N1O1: テトラヒドロオキサゾール(C5)、ジヒドロオキサゾール(C5)、テトラヒドロイソオキサゾール(C5)、ジヒドロイソオキサゾール(C5)、モルホリン(C6)、テトラヒドロオキサジン(C6)、ジヒドロオキサジン(C6)、オキサジン(C6);
N1S1: チアゾリン(C5)、チアゾリジン(C5)、チオモルホリン(C6);
N2O1: オキサジアジン(C6);
O1S1: オキサチオール(C5)、オキサチアン(チオキサン)(C6);
及び
N1O1S1: オキサチアジン(C6)。
【0030】
アリール:用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、芳香族化合物の芳香族環原子から水素原子を除去することによって得られた一価部分に関し、ここで、該一価部分は、(特に別途示されていない限り)3〜20個の環原子を有する。好ましくは、各環は、5〜7個の環原子を有する。
【0031】
これに関連して、接頭辞(例えば、C3-20、C5-7、C5-6など)は、炭素原子であろうと又はヘテロ原子であろうと、環原子の数、又は、環原子の数の範囲を表している。例えば、用語「C5-6アリール」は、本明細書で使用される場合、5個又は6個の環原子を有するアリール基に関する。アリール基の群の例には、C3-20アリール、C5-20アリール、C5-15アリール、C5-12アリール、C5-10アリール、C5-7アリール、C5-6アリール、C5アリール及びC6アリールなどがある。
【0032】
該環原子は、「カルボアリール(carboaryl)基」などの場合のように、全て炭素原子であってもよい。カルボアリール基の例には、C3-20カルボアリール、C5-20カルボアリール、C5-15カルボアリール、C5-12カルボアリール、C5-10カルボアリール、C5-7カルボアリール、C5-6カルボアリール、C5カルボアリール及びC6カルボアリールなどがある。
【0033】
カルボアリール基の例としては、限定するものではないが、以下のものから誘導された基などを挙げることができる:ベンゼン(即ち、フェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、ピレン(C16)。
【0034】
縮合環を含んでいて、その環の内の少なくとも1つは芳香族環であるアリール基の例としては、限定するものではないが、以下のものから誘導された基などを挙げることができる:インダン(例えば、2,3-ジヒドロ-1H-インデン)(C9)、インデン(C9)、イソインデン(C9)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、アセアントレン(C16)。
【0035】
あるいは、該環原子は、「ヘテロアリール基」などの場合のように、1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロアリール基の例には、C3-20ヘテロアリール、C5-20ヘテロアリール、C5-15ヘテロアリール、C5-12ヘテロアリール、C5-10ヘテロアリール、C5-7ヘテロアリール、C5-6ヘテロアリール、C5ヘテロアリール及びC6ヘテロアリールなどがある。
【0036】
単環式ヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、以下のものから誘導された基などを挙げることができる:
N1: ピロール(アゾール)(C5)、ピリジン(アジン)(C6);
O1: フラン(オキソール(oxole))(C5);
S1: チオフェン(チオール(thiole))(C5);
N1O1: オキサゾール(C5)、イソオキサゾール(C5)、イソオキサジン(C6);
N2O1: オキサジアゾール(フラザン)(C5);
N3O1: オキサトリアゾール(C5);
N1S1: チアゾール(C5)、イソチアゾール(C5);
N2: イミダゾール(1,3-ジアゾール)(C5)、ピラゾール(1,2-ジアゾール)(C5)、ピリダジン(1,2-ジアジン)(C6)、ピリミジン(1,3-ジアジン)(C6)、ピラジン(1,4-ジアジン)(C6);
N3: トリアゾール(C5)、トリアジン(C6);
及び
N4: テトラゾール(C5)。
【0037】
縮合環を含んでいるヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、以下のものなどを挙げることができる:
以下のものから誘導されたC9(2つの縮合環含有):ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、インドリジン(N1)、インドリン(N1)、イソインドリン(N1)、プリン(N4)(例えば、アデニン、グアニン)、ベンゾイミダゾール(N2)、インダゾール(N2)、ベンゾオキサゾール(N1O1)、ベンゾイソオキサゾール(N1O1)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N2O1)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N1S1)、ベンゾチアジアゾール(N2S);
以下のものから誘導されたC10(2つの縮合環含有):クロメン(O1)、イソクロメン(O1)、クロマン(O1)、イソクロマン(O1)、ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、キノリジン(N1)、ベンゾオキサジン(N1O1)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、シンノリン(N2)、フタラジン(N2)、ナフチリジン(N2)、プテリジン(N4);
以下のものから誘導されたC11(2つの縮合環含有):ベンゾジアゼピン(N2);
以下のものから誘導されたC13(3つの縮合環含有):カルバゾール(N1)、ジベンゾフラン(O1)、ジベンゾチオフェン(S1)、カルボリン(N2)、ペリミジン(N2)、ピリドインドール(N2);
及び
以下のものから誘導されたC14(3つの縮合環含有):アクリジン(N1)、キサンテン(O1)、チオキサンテン(S1)、オキサントレン(O2)、フェノキサチイン(O1S1)、フェナジン(N2)、フェノキサジン(N1O1)、フェノチアジン(N1S1)、チアントレン(S2)、フェナントリジン(N1)、フェナントロリン(N2)、フェナジン(N2)。
【0038】
ヘテロアリール基又はヘテロシクリル基が窒素環原子を含んでいる場合、該環原子は、可能な場合は、N-オキシドとして、酸化された状態であることもできる。
【0039】
上記基は、単独で存在していようと又は別の置換基の一部として存在していようと、上記基自体が、場合により、それら自体、以下に挙げてあるさらなる一価置換基及びアルコキシレンから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0040】
ハロ:-F、-Cl、-Br及び-I。
【0041】
ヒドロキシ:-OH。
【0042】
エーテル:-OR、ここで、Rは、エーテル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルコキシ基とも称されるが、これに関しては、以下で論じる)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルオキシ基とも称される)又はC5-20アリール基(C5-20アリールオキシ基とも称される)、好ましくは、C1-7アルキル基である。
【0043】
C1-7アルコキシ:-OR、ここで、Rは、C1-7アルキル基である。C1-7アルコキシ基の例としては、限定するものではないが、-OMe(メトキシ)、-OEt(エトキシ)、-O(nPr)(n-プロポキシ)、-O(iPr)(イソプロポキシ)、-O(nBu)(n-ブトキシ)、-O(sBu)(s-ブトキシ)、-O(iBu)(イソブトキシ)及び-O(tBu)(t-ブトキシ)などを挙げることができる。
【0044】
オキソ(ケト、-オン):=O。
【0045】
チオン(チオケトン):=S。
【0046】
イミノ(イミン):=NR、ここで、Rは、イミノ置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、水素又はC1-7アルキル基である。イミノ基の例としては、限定するものではないが、=NH、=NMe、=NEt及び=NPhなどを挙げることができる。
【0047】
ホルミル(カルバルデヒド、カルボキシアルデヒド):-C(=O)H。
【0048】
アシル(ケト):-C(=O)R、ここで、Rは、アシル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアシル又はC1-7アルカノイルとも称される)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルアシルとも称される)又はC5-20アリール基(C5-20アリールアシルとも称される)、好ましくは、C1-7アルキル基である。アシル基の例としては、限定するものではないが、-C(=O)CH3(アセチル)、-C(=O)CH2CH3(プロピニル)、-C(=O)C(CH3)3(t-ブチリル)及び-C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)などを挙げることができる。
【0049】
カルボキシ(カルボン酸):-C(=O)OH。
【0050】
チオカルボキシ(チオカルボン酸):-C(=S)SH。
【0051】
チオロカルボキシ(チオロカルボン酸):-C(=O)SH。
【0052】
チオノカルボキシ(チオノカルボン酸):-C(=S)OH。
【0053】
イミド酸:-C(=NH)OH。
【0054】
ヒドロキサム酸:-C(=NOH)OH。
【0055】
エステル(カルボキシラート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):-C(=O)OR、ここで、Rは、エステル置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。エステル基の例としては、限定するものではないが、-C(=O)OCH3、-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)OC(CH3)3及び-C(=O)OPhなどを挙げることができる。
【0056】
アシルオキシ(逆エステル):-OC(=O)R、ここで、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。アシルオキシ基の例としては、限定するものではないが、-OC(=O)CH3(アセトキシ)、-OC(=O)CH2CH3、-OC(=O)C(CH3)3、-OC(=O)Ph及び-OC(=O)CH2Phなどを挙げることができる。
【0057】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):-C(=O)NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基に関して定義したアミノ置換基である。アミド基の例としては、限定するものではないが、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-C(=O)NHCH2CH3及び-C(=O)N(CH2CH3)2などを挙げることができ、また、R1とR2がそれらが結合している窒素原子と一緒になって、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル及びピペラジノカルボニルなどにおけるような、ヘテロ環式構造を形成しているアミド基も挙げることができる。
【0058】
アシルアミノ:-NR1C(=O)R2、ここで、R1は、アミド置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、水素又はC1-7アルキル基であり、R2は、アシル置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、水素又はC1-7アルキル基である。アシルアミド基の例としては、限定するものではないが、-NHC(=O)CH3、-NHC(=O)CH2CH3及び-NHC(=O)Phなどを挙げることができる。R1とR2は一緒になって、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル及びフタルイミジル:
【化4】

【0059】
などにおけるような、環状構造を形成していてもよい。
【0060】
チオアミド(チオカルバミル):-C(=S)NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基に関して定義したアミノ置換基である。チオアミド基の例としては、限定するものではないが、-C(=S)NH2、-C(=S)NHCH3、-C(=S)N(CH3)2及び-C(=S)NHCH2CH3などを挙げることができる。
【0061】
ウレイド:-N(R1)CONR2R3、ここで、R2及びR3は、独立して、アミノ基に関して定義したアミノ置換基であり、R1は、ウレイド置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、水素又はC1-7アルキル基である。ウレイド置換基の例としては、限定するものではないが、-NHCONH2、-NHCONHMe、-NHCONHEt、-NHCONMe2、-NHCONEt2、-NMeCONH2、-NMeCONHMe、-NMeCONHEt、-NMeCONMe2及び-NMeCONEt2などを挙げることができる。
【0062】
グアニジノ:-NH-C(=NH)NH2
【0063】
テトラゾリル:4個の窒素原子と1個の炭素原子を有する5員芳香族環。
【化5】

【0064】
アミノ:-NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアミノ又はジ-C1-7アルキルアミノとも称される)、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、H又はC1-7アルキル基である。あるいは、「環状」アミノ基である場合は、R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4個〜8個の環原子を有するヘテロ環式環を形成している。アミノ基は、第一級(-NH2)、第二級(-NHR1)又は第三級(-NHR1R2)であることが可能であり、また、カチオン形態では、第四級(-+NR1R2R3)であり得る。アミノ基の例としては、限定するものではないが、-NH2、-NHCH3、-NHC(CH3)2、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2及び-NHPhなどを挙げることができる。環状アミノ基の例としては、限定するものではないが、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ及びチオモルホリノなどを挙げることができる。
【0065】
アミジン(アミジノ):-C(=NR)NR2、ここで、各Rは、アミジン置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、H又はC1-7アルキル基である。アミジン基の例としては、限定するものではないが、-C(=NH)NH2、-C(=NH)NMe2及び-C(=NMe)NMe2などを挙げることができる。
【0066】
ニトロ:-NO2
【0067】
ニトロソ:-NO。
【0068】
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):-CN。
【0069】
スルフヒドリル(チオール、メルカプト):-SH。
【0070】
チオエーテル(スルフィド):-SR、ここで、Rは、チオエーテル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルチオ基とも称される)、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。C1-7アルキルチオ基の例としては、限定するものではないが、-SCH3及び-SCH2CH3などを挙げることができる。
【0071】
ジスルフィド:-SS-R、ここで、Rは、ジスルフィド置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基(本明細書では、C1-7アルキルジスルフィドとも称される)である。C1-7アルキルジスルフィドの例としては、限定するものではないが、-SSCH3及び-SSCH2CH3などを挙げることができる。
【0072】
スルフィン(スルフィニル、スルホキシド):-S(=O)R、ここで、Rは、スルフィン置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。スルフィン基の例としては、限定するものではないが、-S(=O)CH3及び-S(=O)CH2CH3などを挙げることができる。
【0073】
スルホン(スルホニル):-S(=O)2R、ここで、Rは、スルホン置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基であり、これは、例えば、フッ素化されているか又は完全にフッ素化されているC1-7アルキル基を包含する。スルホン基の例としては、限定するものではないが、-S(=O)2CH3(メタンスルホニル、メシル)、-S(=O)2CF3(トリフリル)、-S(=O)2CH2CH3(エシル)、-S(=O)2C4F9(ノナフリル)、-S(=O)2CH2CF3(トレシル)、-S(=O)2CH2CH2NH2(タウリル)、-S(=O)2Ph(フェニルスルホニル、ベシル)、4-メチルフェニルスルホニル(トシル)、4-クロロフェニルスルホニル(クロシル)、4-ブロモフェニルスルホニル(ブロシル)、4-ニトロフェニル(ノシル)、2-ナフタレンスルホナート(ナプシル)及び5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-イルスルホナート(ダンシル)などを挙げることができる。
【0074】
スルフィン酸(スルフィノ):-S(=O)OH、-SO2H。
【0075】
スルホン酸(スルホ):-S(=O)2OH、-SO3H。
【0076】
スルフィナート(スルフィン酸エステル):-S(=O)OR、ここで、Rは、スルフィナート置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。スルフィナート基の例としては、限定するものではないが、-S(=O)OCH3(メトキシスルフィニル;スルフィン酸メチル)及び-S(=O)OCH2CH3(エトキシスルフィニル;スルフィン酸エチル)などを挙げることができる。
【0077】
スルフィニルオキシ:-OS(=O)R、ここで、Rは、スルフィニルオキシ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。スルフィニルオキシ基の例としては、限定するものではないが、-OS(=O)CH3及び-OS(=O)CH2CH3などを挙げることができる。
【0078】
スルファミル(スルファモイル;スルフィン酸アミド;スルフィンアミド):-S(=O)NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基に関して定義したアミノ置換基である。スルファミル基の例としては、限定するものではないが、-S(=O)NH2、-S(=O)NH(CH3)、-S(=O)N(CH3)2、-S(=O)NH(CH2CH3)、-S(=O)N(CH2CH3)2及び-S(=O)NHPhなどを挙げることができる。
【0079】
スルホンアミド(スルフィナモイル;スルホン酸アミド;スルホンアミド):-S(=O)2NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基に関して定義したアミノ置換基である。スルホンアミド基の例としては、限定するものではないが、-S(=O)2NH2、-S(=O)2NH(CH3)、-S(=O)2N(CH3)2、-S(=O)2NH(CH2CH3)、-S(=O)2N(CH2CH3)2及び-S(=O)2NHPhなどを挙げることができる。
【0080】
スルホンアミノ:-NR1S(=O)2R、ここで、R1は、アミノ基に関して定義したアミノ置換基であり、Rは、スルホンアミノ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。スルホンアミノ基の例としては、限定するものではないが、-NHS(=O)2CH3及び-N(CH3)S(=O)2C6H5などを挙げることができる。
【0081】
スルフィンアミノ:-NR1S(=O)R、ここで、R1は、アミノ基に関して定義したアミノ置換基であり、Rは、スルフィンアミノ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基又はC5-20アリール基、好ましくは、C1-7アルキル基である。スルフィンアミノ基の例としては、限定するものではないが、-NHS(=O)CH3及び-N(CH3)S(=O)C6H5などを挙げることができる。
【0082】
既に述べたように、上記基は置換されていてもよく、特定の例としては、限定するものではないが、C3-20アリール-C1-7アルキル基などを挙げることができ、これは、ベンジル(フェニルメチル、PhCH2-)、ベンズヒドリル(Ph2CH-)、トリチル(トリフェニルメチル、Ph3C-)、フェネチル(フェニルエチル、Ph-CH2CH2-)、スチリル(Ph-CH=CH-)及びシンナミル(Ph-CH=CH-CH2-)などを包含する。
【0083】
二座基
(即ち、共有結合の結合点を2つ有する基;連結基)
アルキレン:用語「C1-3アルキレン」は、本明細書で使用される場合、1個〜3個の炭素原子を有する直鎖炭化水素化合物の2つの異なった炭素原子のそれぞれから水素原子を2個除去することにより得られた二座部分に関し、ここで、該炭化水素化合物は、飽和していても又は不飽和であってもよい。かくして、用語「アルキレン」には、そのサブクラスとして、アルケニレン及びアルキニレンなどが包含される。
【0084】
これに関連して、接頭辞C1-3は、炭素原子の数、又は、炭素原子の数の範囲を表している。
【0085】
飽和C1-3アルキレン基の例としては、-CH2-(メチレン)、-CH2CH2-(エチレン)及び-CH2CH2CH2-(プロピレン)などを挙げることができる。
【0086】
不飽和C1-3アルキレン基(これは、適宜、「C2-3アルケニレン」又は「C2-3アルキニレン」と称し得る)としては、-CH=CH-(ビニレン)、-CH=CH-CH2-、-CH2-CH=CH-、-C≡C-、-C≡C-CH2-及び-CH2-C≡C-などを挙げることができる。
【0087】
該C1-3アルキレン基は、上記で挙げたいずれかの単座置換基で置換されていてもよい。
【0088】
アルコキシレン:用語「アルコキシレン」は、本明細書で使用される場合、式-O(CH2)nO-[式中、nは、1又は2である]で表される二座基に関する。
【0089】
包含される他の形態
特に別途示されていない限り、上記基には、それら置換基のよく知られているイオン形態、塩形態、溶媒和物形態及び保護されている形態が包含される。例えば、カルボン酸(-COOH)について言及されている場合、それは、該カルボン酸のアニオン(カルボキシラート)形態(-COO-)、塩又は溶媒和物も包含し、また、慣習的な保護されている形態も包含している。同様に、アミノ基について言及されている場合、それは、該アミノ基のプロトン化形態(-N+HR1R2)、塩又は溶媒和物、例えば、塩酸塩なども包含し、また、アミノ基の慣習的な保護されている形態も包含している。同様に、ヒドロキシル基について言及されている場合、それは、該ヒドロキシル基のアニオン形態(-O-)、塩又は溶媒和物も包含し、また、ヒドロキシル基の慣習的な保護されている形態も包含している。
【0090】
異性体、塩、溶媒和物及び保護されている形態
一部の化合物は、1種類以上の特定の幾何異性形態、光学異性形態、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態、エピマー形態、立体異性形態、互変異性形態、配座異性形態又はアノマー形態で存在し得る。そのような形態には、シス形及びトランス形;E形及びZ形;c形、t形及びr形;エンド形及びエキソ形;R形、S形及びメソ形;D形及びL形;d形及びl形;(+)形及び(−)形;ケト形、エノール形及びエノラート形;シン形及びアンチ形;シンクリナル形及びアンチクリナル形;α形及びβ形;アキシアル形及びエクアトリアル形;舟形、いす型、ねじれ形、エンベロープ形及び半いす形;並びに、それらの組合せなどがあるが、それらに限定されない。以下では、集合的に、「異性体(isomer)」(又は、「異性体形態(isomeric forms)」)と称する。
【0091】
ここで留意すべきことは、互変異性体形態についての以下の記述を除いて、構造異性体(即ち、単に空間内の原子の位置によるのではなく、原子間の結合が異なっている異性体)は、本明細書で使用される用語「異性体」から明確に除外されるということである。例えば、メトキシ基(-OCH3)について言及されている場合、それは、その構造異性体であるヒドロキシメチル基(-CH2OH)について言及していると解釈されるべきではない。同様に、オルト-クロロフェニルについて言及されている場合、それは、その構造異性体であるメタ-クロロフェニルについて言及していると解釈されるべきではない。しかしながら、ある類の構造についての言及は、その類の範囲に入る構造異性体の形態を適切に含み得る(例えば、C1-7アルキルは、n-プロピル及びイソプロピルを包含し;ブチルは、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル及びt-ブチルを包含し;メトキシフェニルは、オルト-メトキシフェニル、メタ-メトキシフェニル及びパラ-メトキシフェニルを包含する)。
【0092】
上記で記載した「除外」は、互変異性型、例えば、以下の互変異性型の対:ケト/エノール(以下で例示)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N-ニトロソ/ヒロキシアゾ(hyroxyazo)、及び、ニトロ/アシ-ニトロなどにおけるような、例えば、ケト形、エノール形及びエノラート形には当てはまらない。
【化6】

【0093】
ここで留意すべきことは、1つ以上の同位体の置換基を有する化合物は、用語「異性体」に明確に含まれるということである。例えば、Hは、1H、2H(D)及び3H(T)などのいずれの同位体の形態であってもよく;Cは、12C、13C及び14Cなどのいずれの同位体の形態であってもよく;Oは、16O及び18Oなどのいずれの同位体の形態であってもよい。
【0094】
特に別途示されていない限り、特定の化合物についての言及は、そのような全ての異性体形態を包含し、また、該異性体形態には、(完全な又は部分的な)ラセミ混合物及び他の混合物が包含されている。そのような異性体形態の調製方法(例えば、不斉合成)及び分離方法(例えば、分別結晶及びクロマトグラフィー法)は、当技術分野で既知であるか、又は、当技術分野で教示されている方法若しくは既知方法を知られているやり方で適合させることにより容易に実施することができる。
【0095】
特に別途示されていない限り、特定の化合物についての言及は、例えば以下で論じられているように、該化合物のイオン形態、塩形態、溶媒和物形態及び保護されている形態も包含する。
【0096】
当該活性化合物の対応する塩、例えば、製薬上許容される塩を、調製すること、精製すること及び/又は取り扱うことは、都合がよいか又は望ましい場合がある。製薬上許容される塩の例については、以下の文献で論じられている:Berge, et al., J. Pharm. Sci., 66, 1-19(1977)。
【0097】
例えば、当該化合物がアニオン性であるか、又は、アニオン性であり得る官能基(例えば、-COOHは、-COO-であり得る)を有している場合、塩は、適切なカチオンを用いて形成させることができる。適切な無機カチオンの例としては、、限定するものではないが、アルカリ金属イオン、例えば、Na+及びK+、アルカリ土類カチオン、例えば、Ca2+及びMg2+、並びに、別のカチオン、例えば、Al+3などを挙げることができる。適切な有機カチオンの例としては、限定するものではないが、アンモニウムイオン(即ち、NH4+)及び置換されているアンモニウムイオン(例えば NH3R+、NH2R2+、NHR3+、NR4+)などを挙げることができる。置換されている適切な一部のアンモニウムイオンの例は、以下のものから誘導されたアンモニウムイオンである:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン及びトロメタミン、並びに、アミノ酸、例えば、リシン及びアルギニン。一般的な第四級アンモニウムイオンの例は、N(CH3)4+である。
【0098】
当該化合物がカチオン性であるか、又は、カチオン性であり得る官能基(例えば、-NH2は、-NH3+であり得る)を有している場合、塩は、適切なアニオンを用いて形成させることができる。適切な無機アニオンの例としては、限定するものではないが、以下の無機酸から誘導されたアニオンなどを挙げることができる:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸及び亜リン酸。
【0099】
適切な有機アニオンの例としては、限定するものではないが、以下の有機酸から誘導されたアニオンなどを挙げることができる:2-アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸及び吉草酸。適切な高分子有機アニオンの例としては、限定するものではないが、以下の高分子酸から誘導されたアニオンなどを挙げることができる:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
【0100】
当該活性化合物の対応する溶媒和物を、調製すること、精製すること及び/又は取り扱うことは、都合がよいか又は望ましい場合がある。用語「溶媒和物」は、本明細書では、慣習的な意味で使用され、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の錯体のことを示している。溶媒が水である場合、当該溶媒和物は、好都合には、水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物などと称してもよい。
【0101】
化学的に保護されている形態にある当該活性化合物を、調製すること、精製すること及び/又は取り扱うことは、都合がよいか又は望ましい場合がある。用語「化学的に保護されている形態」は、本明細書では、慣習的な化学的意味で使用され、含まれている1つ以上の反応性官能基が特定の条件下(例えば、pH、温度、放射、溶媒など)における望ましくない化学的反応から保護されている化合物に関連している。実際には、特定の条件下において反応性を有するであろう官能基を、よく知られている化学的方法を用いて可逆的に非反応性とする。化学的に保護されている形態においては、1つ以上の反応性官能基は、保護されている基(protected group)若しくは保護基(protecting group)(マスクされている基(masked group)若しくはマスク基(masking group)、又は、ブロックされている基(blocked group)若しくはブロック基(blocking group)とも称される)の形態にある。反応性官能基を保護することにより、その保護された基に影響を及ぼすことなく、保護されていない別の反応性官能基が関与する反応を行わせることができる。その保護基は、通常、その後のステップで、当該分子の残りの部分に実質的な影響を及ぼすことなく取り除くことができる。例えば、以下の文献を参照されたい:Protective Groups in Organic Synthesis (T.Green and P.Wuts;3rd Edition;John Wiley and Sons, 1999)。
【0102】
有機合成においては、広範な、当該「保護」、「ブロック(blocking)」又は「マスク(masking)」方法が広く使用され、また、よく知られている。例えば、反応性が等価ではないが特定の条件下ではいずれも反応性を示すであろう2つの官能基を有する化合物は、当該官能基の一方を「保護」し、その結果、当該特定条件下において非反応性となるように誘導体化することができる。そのように保護することにより、該化合物は、効果的に1つの反応性官能基のみを有する反応体として用いることができる。所望の反応(保護しなかった方の官能基が関与する反応)が完結した後、当該保護されている基を「脱保護」して、元の官能性に戻すことができる。
【0103】
例えば、ヒドロキシ基は、エーテル(-OR)又はエステル(-OC(=O)R)として、例えば、t-ブチルエーテルとして、ベンジルエーテル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)エーテル若しくはトリチル(トリフェニルメチル)エーテルとして、トリメチルシリルエーテル若しくはt-ブチルジメチルシリルエーテルとして、又は、アセチルエステル(-OC(=O)CH3, -OAc)として、保護することができる。
【0104】
例えば、アルデヒド基又はケトン基は、例えば、第一級アルコールと反応させることにより、それぞれ、アセタール(R-CH(OR)2)又はケタール(R2C(OR)2)として保護することができる。その際、当該カルボニル基(>C=O)は、ジエーテル(>C(OR)2)に変換される。酸の存在下で大過剰量の水を用いて加水分解させることにより、アルデヒド基又はケトン基を容易に再生させることができる。
【0105】
例えば、アミン基は、例えば、アミド(-NRCO-R)又はウレタン(-NRCO-OR)として、例えば、アセトアミド(-NHCO-CH3)として、ベンジルオキシアミド(-NHCO-OCH2C6H5, -NH-Cbz)として、t-ブトキシアミド(-NHCO-OC(CH3)3, -NH-Boc)として、2-ビフェニル-2-プロポキシアミド(-NHCO-OC(CH3)2C6H4C6H5, -NH-Bpoc)として、9-フルオレニルメトキシアミド(-NH-Fmoc)として、6-ニトロベラトリルオキシアミド(-NH-Nvoc)として、2-トリメチルシリルエチルオキシアミド(-NH-Teoc)として、2,2,2-トリクロロエチルオキシアミド(-NH-Troc)として、アリルオキシアミド(-NH-Alloc)として、若しくは、2(-フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(-NH-Psec)として保護することができるか、又は、適切な場合には(例えば、環状アミン)、ニトロキシドラジカル(>N-O・)として保護することができる。
【0106】
例えば、カルボン酸基は、エステルとして、例えば、C1-7アルキルエステル(例えば、メチルエステル, t-ブチルエステル)として、C1-7ハロアルキルエステル(例えば、C1-7トリハロアルキルエステル)として、トリC1-7アルキルシリル-C1-7アルキルエステルとして、若しくは、C5-20アリール-C1-7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル, ニトロベンジルエステル)として保護することができるか、又は、アミドとして、例えば、メチルアミドとして保護することができる。
【0107】
例えば、チオール基は、チオエーテル(-SR)として、例えば、ベンジルチオエーテルとして、又は、アセトアミドメチルエーテル(-S-CH2NHC(=O)CH3)として保護することができる。
【0108】
用語「治療(treatment)」は、ある状態の処置に関連して本明細書で使用される場合、一般に、ヒトであろうと動物(例えば、獣医学的な適用)であろうと、望ましい治療効果、例えば、当該状態の進行の抑制などを達成する、治療及び療法に関連し、進行速度の低減、進行速度の休止、当該状態の改善及び当該状態の治癒などを包含する。予防的な手段としての治療(即ち、予防)も同様に包含される。
【0109】
用語「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、望ましい治療計画に従って投与されたときに、理にかなった受益性/危険性比に相応した望ましい何らかの治療効果を生じるのに有効な、活性化合物の量又は活性化合物を含んでいる物質、組成物若しくは投与形態の量に関する。適切な用量範囲は、典型的には、1日当たり、0.01〜20mg/kgの範囲、好ましくは、1日当たり、0.1〜10mg/kgの範囲である。
【0110】
組成物及びその投与
組成物は、適切な任意の投与経路及び投与手段に対して製剤することができる。製薬上許容される担体又は希釈剤には、経口投与、直腸内投与、鼻内投与、局所投与(口腔内投与及び舌下投与など)、膣内投与又は非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮内投与、髄腔内投与及び硬膜外投与など)に適した製剤において使用される担体又は希釈剤が包含される。当該製剤は、好都合には、単位投与形態で提供することができ、また、調剤学の技術分野でよく知られている方法のいずれかにより調製することができる。そのような方法は、活性成分を1種類以上の補助成分を構成する担体と一緒にするステップを含んでいる。一般に、該製剤は、活性成分を、液体担体又は微粉砕した固体担体又は液体担体と微粉砕した固体担体の両方と、均質に且つ充分に混合し、次いで、必要に応じて生成物を成形することにより調製する。
【0111】
固体組成物に関し、慣習的な非毒性固体担体、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムなどを使用することができる。上記で定義した活性化合物は、例えば、ポリアルキレングリコール類及びアセチル化トリグリセリド類などを担体として用いて、坐剤として製剤することができる。医薬として投与可能な液体組成物は、例えば、上記で定義した活性化合物及び場合により製薬用アジュバントを、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの担体中に溶解又は分散させるなどにより溶液又は懸濁液を形成させることにより調製することができる。投与しようとする医薬組成物には、必要に応じて、少量の非毒性補助剤、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、酢酸ナトリウムトリエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含ませることもできる。そのような投与形態の実際の調製方法は当業者には知られているか、又は、当業者には明らかである。例えば、以下の文献を参照されたい:Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th edition, pub. Lippincott, Williams & Wilkins, 2000。投与される組成物又は製剤は、いずれにしても、治療を受ける対象の症状を緩和するのに有効な量の1種類以上の活性化合物を含んでいる。
【0112】
0.25%〜95%の範囲の活性成分と非毒性担体から調製した残余を含んでいる投与形態又は組成物を調製することができる。
【0113】
経口投与用の製薬上許容される非毒性組成物は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、セルロース、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどの通常用いられる賦形剤のいずれかを混合することにより形成させる。そのような組成物は、溶液剤、懸濁液剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとる。そのような組成物は、1%〜95%の活性成分、さらに好ましくは、2%〜50%の活性成分、最も好ましくは、5%〜8%の活性成分を含有し得る。
【0114】
非経口投与は、一般に、皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射のいずれかを特徴とする。注射可能医薬品は、溶液若しくは懸濁液、又は、注射に先立ち液体中の溶液若しくは懸濁液とするのに適した固体形態、又は、エマルションのいずれかとして、慣習的な形態に調製することができる。適する賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどである。さらに、投与しようとする医薬組成物には、必要に応じて、少量の非毒性補助剤、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、酢酸ナトリウムトリエタノールアミンなどを含ませることもできる。
【0115】
そのような非経口用組成物中に含ませる活性化合物の割合は、その特定の性質や該化合物の活性及び対象の必要性に大きく依存する。しかしながら、活性成分の割合として溶液中の0.1%〜10%を採用することが可能である。この割合は、当該組成物が固体である場合はもっと高い割合となり、その後希釈して上記割合とする。好ましくは、当該組成物は、溶液中に0.2%〜2%の活性剤を含有している。
【0116】
頭字語
便宜上、多くの化学的部分構造は、よく知られている略語を用いて表される。そのような略語には、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n-ブチル(nBu)、s-ブチル(sBu)、イソブチル(iBu)、t-ブチル(tBu)、n-ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)及びアセチル(Ac)などがあるが、それらに限定されない。
【0117】
便宜上、多くの化合物は、よく知られている略語を用いて表される。そのような略語には、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(i-PrOH)、メチルエチルケトン(MEK)、エーテル又はジエチルエーテル(Et2O)、酢酸(AcOH)、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、アセトニトリル(ACN)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)などがあるが、それらに限定されない。
【0118】
一般的な合成方法
R3が式(II):
【化7】

【0119】
で表される本発明化合物は、R3がカルボキシである本発明の類似化合物から、塩基性条件下、好ましくは、カップリング剤(例えば、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩)を用いて、式(1)
【化8】

【0120】
で表される化合物と反応させることにより、合成することができる。
【0121】
R3が式(III):
【化9】

【0122】
で表される本発明化合物は、式(2):
【化10】

【0123】
で表される化合物から、式(3):
【化11】

【0124】
[式中、Xは、OH又はハロである]
で表される化合物と反応させることにより、合成することができる。その際、XがOHである場合は、塩基性条件及びカップリング剤を用いるのが好ましい。
【0125】
R3がテトラゾール-5-イルである化合物は、式(4):
【化12】

【0126】
で表される化合物から、塩基の存在下、アジ化ナトリウムで処理することにより、合成することができる。
【0127】
式(4)の化合物は、式(5)で表される化合物と式(6a)で表される化合物をカップリングさせることにより合成することができる。
【化13】

【0128】
そのようなカップリングステップは、カップリング剤、例えば、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートなどを用いて実施することができる。
【0129】
R3がカルボキシである化合物は、式(7):
【化14】

【0130】
[式中、ROは、典型的には、C1-4アルキル基である]
で表される化合物から、例えば水酸化ナトリウムを用いた、加水分解反応により合成することができる。
【0131】
式(7)の化合物は、式(5)で表される化合物と式(6a)で表される化合物をカップリングさせることにより合成することができる。
【化15】

【0132】
そのようなカップリングステップは、上記のように、カップリング剤、例えば、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートなどを用いて実施することができる。
【0133】
式(5)の化合物において、R5がアリール基である場合、そのような化合物は、式(8):
【化16】

【0134】
で表される化合物から、式(9a)で表される化合物(又は、式(9b)で表される等価なエステル):
【化17】

【0135】
とのスズキカップリングにより合成することができる。
【0136】
スズキカップリングは、パラジウム触媒として、例えば、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を用いて、行うことができる。
【0137】
式(8)の化合物は、式(10):
【化18】

【0138】
で表される化合物をピリジニウムトリブロミドなどのような臭素化剤で処理することにより、式(10)の化合物から合成することができる。
【0139】
R2又はR5が-O-CHF2で置換されているフェニル基である化合物は、該フェニル基が-OHで置換されている対応する化合物から、その化合物を塩基とクロロジフルオロメタンで処理することにより合成することができる。
【0140】
好ましい態様
以下の好ましい態様は、互いに組み合わせることができるし、また、本発明の各態様について異なり得る。
【0141】
R5は、好ましくは、場合により置換されていてもよいC5-7アリール基であり、R2は、好ましくは、H又は場合により置換されていてもよいC1-4アルキル基である。
【0142】
R2は、好ましくは、H又は場合により置換されていてもよいC1-3アルキル基から選択され、さらに好ましくは、H、メチル、CF3又はイソプロピルから選択される。R2は、最も好ましくは、メチル基である。
【0143】
R5は、好ましくは、C6アリール基であり、さらに好ましくは、フェニルである。R5は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、C1-7アルコキシ基などがあり、さらに好ましくは、C1-4アルコキシ基、例えば、OMe、-OCF3、-OEt、-OCHF2などがある。-OCHF2が最も好ましい。
【0144】
R3は、好ましくは、
(i) 式(II):
【化19】

【0145】
で表される基、
又は
(ii) 式(III):
【化20】

【0146】
で表される基である。式(II)で表される基がより好ましい。一部の実施形態では、R3は、好ましくは、カルボキシである。
【0147】
R3が式(II)又は式(III)で表される場合、Rは、好ましくは、場合により置換されていてもよいC5-20アリール基及び場合により置換されていてもよいC5-20アリール-C1-7アルキル基から選択され、その際、C1-7アルキル基は、さらに好ましくは、メチルである。これらの基において、該C5-20アリール基は、好ましくは、C6アリール基である。当該基は、好ましくは、C1-4アルキル基(例えば、メチル)及びヒドロキシ基又はハロ基(例えば、フルオロ)で置換されていてもよい。かくして、好ましいR基としては、限定するものではないが、フェニル、ベンジル、2-フルオロ-フェニル、4-ヒドロキシ-フェニル、2-トリフルオロメチル-フェニル、5-メチル-ピリド-2-イルなどを挙げることができる。
【0148】
式(II)又は式(III)におけるRがC1-7アルキル基である場合、それは、さらに好ましくは、C1-4アルキル基、例えば、メチル又はプロピルなどである。
【0149】
好ましくは、n+m=1、さらに好ましくは、nは0であり且つmは1である。
【0150】
RNは、好ましくは、H又はメチルであり、さらに好ましくは、Hである。
【0151】
本発明の特に好ましい化合物としては、以下の化合物などを挙げることができる:
(4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(4);
(4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(6);
{4-[(5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸(10);
(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(13);
(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(18);
4-{[(5-メチル-2-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-メチル}-安息香酸(20);
2-メチル-5-フェニル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]-アミド(21);
5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]-アミド(22);
5-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]-アミド(23);
5-フェニル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-オキソ-2-(トルエン-2-スルホニルアミノ)-エチル]-フェニル}-アミド(24);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]-アミド(25);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-オキソ-2-(トルエン-2-スルホニルアミノ)-エチル]-フェニル}-アミド(26);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-オキソ-2-(プロパン-1-スルホニルアミノ)-エチル]-フェニル}-アミド(27);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-(3,5-ジメチル-イソオキサゾール-4-スルホニルアミノ)-2-オキソ-エチル]-フェニル}-アミド(28);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-オキソ-2-(チオフェン-2-スルホニルアミノ)-エチル]-フェニル}-アミド(29);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-(5-メチル-ピリジン-2-スルホニルアミノ)-2-オキソ-エチル]-フェニル}-アミド(30);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-オキソ-2-フェニルメタンスルホニルアミノ-エチル)-フェニル]-アミド(31);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-オキソ-2-(2-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチル]-フェニル}-アミド(32);
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-(4-ヒドロキシ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-オキソ-エチル]-フェニル}-アミド(35);
及び
5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-(2-フルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-オキソ-エチル]-フェニル}-アミド(36)。
【0152】
EP受容体に対して他のEP受容体(即ち、EP、EP、EP)よりも強く拮抗する該化合物の選択性は、EPについてのKi(下記参照)を他のEP受容体についてのKi(下記参照)で除することにより定量化することができる。得られた比は、好ましくは、10以上であり、さらに好ましくは、100以上である。
【実施例】
【0153】
合成実施例
一般的な実験の詳細
全ての反応は、窒素からなる不活性雰囲気下で実施した。
【0154】
生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製する場合、使用した固定相は、クロマトグラフィー用の0.035〜0.070mm(220〜440メッシュ)のシリカゲル(例えば、Fluka シリカゲル 60)であった。約10psiの窒素圧を加えて、カラム溶出を促進した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、蛍光指示薬(254nm)を含んでいるシリカゲル(例えば Fluka 60778)でコーティングしてあるアルミニウムホイルプレートで実施した。
【0155】
石油エーテルは、40℃〜60℃の沸点を有するフラクションのこと指している。
【0156】
有機溶液は、特に別途示されていない限り、硫酸マグネシウムで脱水した。
【0157】
PS-TsClとは、ポリスチレンスカベンジャー樹脂(ローディング 1.97mmol/g)-Argonaut Technologies(P/N 800277)のことである。
【0158】
分取HPLCシステム
分取HPLCは、C18-逆相カラム(10×2.1cm i.d Genesis カラム(粒径 7μm))上で実施し、水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)の中のアセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸含有)の勾配を用いて、5mL/分の流量で溶離させることにより実施した。その勾配は、特に別途示されていない限り、50%のアセトニトリルで開始し、1分間当たり1%の割合で、90%アセトニトリル/水まで増大させた。特に別途示されていない限り、230nmでのUV検出を行った。
【0159】
LC/MSシステム
使用した液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)システムは、以下のとおりである。
【0160】
LC/MSシステムA
質量分析計 - ポジティブ及びネガティブイオンモードで作動するエレクトロスプレー源を有するPlatform LC。2.0mL/分で作動するHP1100システム、200μL/分は直列に並んだHP1100 DAD検出及びSEDEX ELS検出を有するESI源に分配される。
【0161】
移動相
(A) 水 0.1%ギ酸
(B) アセトニトリル 0.1%ギ酸
勾配
【表A】

カラム - Luna 3u C18(2) 30×4.6mm
LC/MSシステムB
質量分析計 - ネガティブイオンモードで作動するエレクトロスプレー源を有するPlatform II。2.0mL/分で作動するHP1100システム、200μL/分は直列に並んだHP1100 DAD検出及びSEDEX ELS検出を有するESI源に分配される。
【0162】
移動相
(A) 水 0.1%ジエチルアミン
(B) アセトニトリル
勾配
【表B】

カラム - XTerra MS C18 3.5μm 4.6×30mm
LC/MSシステムC
質量分析計 - ネガティブイオンモードで作動するエレクトロスプレー源を有するFinnigan TSQ700。2.0mL/分で作動するHP1050システム、200μL/分は直列に並んだHP1050単一波長UV検出器(254nm)を有するESI源に分配される。
【0163】
移動相
(A) 水 0.1%ジエチルアミン
(B) アセトニトリル
勾配
【表C】

カラム - XTerra MS C18 3.5μm 4.6×30mm
LC/MSシステムD
質量分析計 - ポジティブ又はネガティブイオンモードで作動するエレクトロスプレー源を有するFinnigan TSQ700。2.0mL/分で作動するHP1050システム、200μL/分は直列に並んだHP1050単一波長UV検出器(254nm)を有するESI源に分配される。
【0164】
移動相
(A) 水 0.1%ギ酸
(B) アセトニトリル 0.1%ギ酸
勾配
【表D】

カラム - Higgins Clipius C18 5μm 100×3.0mm
実施例1:[(アルキル-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル-酢酸の合成
(a) {4-[(2-メチル-5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸(2)
【化21】

【0165】
(i) 2-メチル-5-フェニル-フラン-3-カルボン酸(334mg, 1.6mmol)と4-アミノフェニル酢酸エチル(296mg, 1.65mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、ジイソプロピルエチルアミン(427mg)を添加した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(628mg, 1.65mmol)を添加し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタンに溶解させ、水で洗浄し、10%水性炭酸ナトリウムで洗浄し、1M 水性塩酸で洗浄し、最後に脱水した(MgSO4)。溶媒を蒸発させた後、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕し、乾燥させて、{4-[(2-メチル-5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(1)(466mg)をゴム状物として得た。
【0166】
LC/MSシステムD;Rt=10.64分、m/z(ES+)=364(C22H21NO4に関するM+H)。
【0167】
(ii) {4-[(2-メチル-5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(1)(150mg, 0.41mmol)をエタノール(20mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、水酸化ナトリウム(150mg)を水(5mL)に溶解させた溶液を添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(10mL)で希釈し、1M 水性塩酸で酸性化してpH2とした。沈澱物を収集し、水で洗浄し、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕した。イソプロパノールから再結晶させて、化合物(2)(135mg)を白色の固体として得た。
【0168】
LC/MSシステムC;Rt=4.06分、m/z(ES-)=334(C20H17NO4に関するM-H)。
【0169】
(b) (4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(4)
【化22】

【0170】
(i) 実施例1(a)(i)の方法と同様の方法で、5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボン酸(160mg, 0.56mmol)と4-アミノフェニル酢酸エチル(100mg, 0.56mmol)から、(4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(3)を合成した。190mgの生成物をゴム状物として得た。
【0171】
LC/MSシステムA;Rt=4.15分、m/z(ES+)=448(C23H20F3NO5に関するM+H)。
【0172】
(ii) 実施例1(a)(ii)の方法と同様の方法で、(4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(3)(180mg, 0.403mmol)から、化合物(4)を合成した。生じた沈澱物を収集し、水で洗浄し、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕して、化合物(4)(140mg)を白色の固体として得た。
【0173】
LC/MSシステムD;Rt=8.07分、m/z(ES+)=420(C21H16F3NO5に関するM+H)。
【0174】
(c) (4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(6)
【化23】

【0175】
(i) 実施例1(a)(i)の方法と同様の方法で、5-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-2-カルボン酸(250mg, 1.077mmol)と4-アミノフェニル酢酸エチル(193mg, 1.077mmol)から、(4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(5)を合成した。80mgの該化合物をゴム状物として得た。
【0176】
LC/MSシステムA;Rt=4.03分、m/z(ES+)=394(C23H23NO5に関するM+H)。
【0177】
(ii) 実施例1(a)(ii)の方法と同様の方法で、{4-[(5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(5)(50mg, 0.143mmol)から、化合物(6)を合成した。生じた沈澱物を収集し、水で洗浄し、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕して、化合物(6)(14mg)を白色の固体として得た。
【0178】
LC/MSシステムD;Rt=7.25分、m/z(ES+)=322(C19H15NO4に関するM+H)。
【0179】
(d) {4-[(5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸(10)
【化24】

【0180】
(i) ピリジニウムトリブロミド(14.3g, 44.6mmol)を酢酸(20mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、3-フロ酸(5g, 44.6mmol)を添加した。得られた混合物を40℃で16時間加熱した。酢酸を蒸発させた。残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、水(3×50mL)で洗浄し、脱水した(MgSO4)。溶媒を蒸発させ、残渣を、HPLC(勾配:1分間当たり1%の割合での20%アセトニトリル/80%水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)から80%アセトニトリル/20%水まで)で精製して、5-ブロモ-フラン-3-カルボン酸(7)を白色の固体として得た。
【0181】
LC/MSシステムA;Rt=2.52分、m/z(ES-)=189/191(C5H3BrO3に関するM-H)。
【0182】
(ii) 実施例1(a)(i)の方法と同様の方法で、5-ブロモ-フラン-3-カルボン酸(7)(225mg, 1.18mmol)と4-アミノフェニル酢酸エチル(213mg, 1.18mmol)から、{4-[(5-ブロモ-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(8)を合成した。403mgの生成物を褐色の固体として得た。
【0183】
LC/MSシステムA;Rt=3.49分、m/z(ES+)=352/354(C15H14BrNO4に関するM+H)。
【0184】
(iii) {4-[(5-ブロモ-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(8)(200mg, 0.57mmol)とフェニルボロン酸(69.2mg, 0.57mmol)と[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(50mg, 0.06mmol)と2M 水性炭酸セシウム(1.2mL, 2.4mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた溶液を、16時間還流した。溶媒を蒸発させ、残渣を水(20mL)で希釈した後、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合して、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(90%シクロヘキサン/10%酢酸エチルから50%シクロヘキサン/50%酢酸エチルまでを用いる勾配溶離)で精製して、{4-[(5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(9)(53mg)を得た。
【0185】
LC/MSシステムA;Rt=3.84分、m/z(ES+)=(C21H19NO4に関するM+H)。
【0186】
(iv) 実施例1(a)(ii)の方法と同様の方法で、{4-[(5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(9)(50mg, 0.143mmol)から、化合物(10)を合成した。生じた沈澱物を収集し、水で洗浄し、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕して、化合物(10)(14mg)を白色の固体として得た。
【0187】
LC/MSシステムD;Rt=7.25分、m/z(ES+)=322(C19H15NO4に関するM+H)。
【0188】
(e) (4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(13)
【化25】

【0189】
(i) {4-[(5-ブロモ-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(828mg, 2.35mmol)(8)と4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェノール(518mg, 2.35mmol)と[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(50mg)と2M 水性炭酸セシウム(3.5mL, 3.5mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させた溶液を、マイクロ波反応器内で、100℃で15分間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(100%シクロヘキサンから50%シクロヘキサン/50%酢酸エチルまでを用いる勾配溶離)で精製して、(4-{[5-(4-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(11)(328mg)を得た。
【0190】
LC/MSシステムA;Rt=3.35分、m/z(ES+)=366(C21H19NO5に関するM+H)。
【0191】
(ii) (4-{[5-(4-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(328mg, 0.898mmol)(11)をN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、炭酸カリウム(190mg, 1.35mmol)とヨウ化カリウム(75mg, 0.449mmol)を添加した。その溶液に80℃でクロロジフルオロメタンを5時間にわたり通気し、次いで、中止した。その反応混合物を80℃で16時間撹拌した。その反応物を室温まで冷却し、泡立ちが観察されなくなるまで水を添加してクエンチした。得られた溶液を酢酸エチルで抽出した。有機層を合してブラインで洗浄し、MgSO4で脱水し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(勾配:100%シクロヘキサンから50%シクロヘキサン/50%酢酸エチルまで)で精製して、(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(12)(60mg)を黄色の固体として得た。
【0192】
LC/MSシステムA;Rt=3.91分、m/z(ES+)=416(C22H19F2NO5に関するM+H)。
【0193】
(iii) 実施例1(a)(ii)の方法と同様の方法で、(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(12)(55mg, 0.132mmol)から、化合物(13)を合成した。生じた沈澱物を収集し、水で洗浄し、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕して、化合物(13)(41.8mg)を白色の固体として得た。
【0194】
LC/MSシステムD;Rt=8.86分、m/z(ES+)=388(C2H15F2NO5に関するM+H)。
【0195】
(f) (4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(18)
【化26】

【0196】
(i) 5-ブロモ-2-メチル-フラン-3-カルボン酸メチルエステル(5g, 23mmol)をメタノール(70mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、水酸化ナトリウム(4.5g)を水(10mL)に溶解させた溶液を添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。残渣を水(10mL)で希釈し、1M 水性塩酸で酸性化して、pH2とした。沈澱物を収集し、水で洗浄し、40℃で乾燥させて、5-ブロモ-2-メチル-フラン-3-カルボン酸(14)(4g)を得た。
【0197】
LC/MSシステムA;Rt=2.86分。
【0198】
(ii) 実施例1(a)(i)の方法と同様の方法で、5-ブロモ-2-メチル-フラン-3-カルボン酸(14)(1.8g, 8.78mmol)と(4-アミノ-フェニル)-酢酸エチルエステル(1.6g, 8.9mmol)から、{4-[(5-ブロモ-2-メチル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(15)を合成した。3.08gの生成物をゴム状物として得た。
【0199】
LC/MSシステムA;Rt=3.73分、m/z(ES+)=367(C16H16BrNO4に関するM+H)。
【0200】
(iii) {4-[(5-ブロモ-2-メチル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸エチルエステル(3g, 8.19mmol)(15)と4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-フェノール(1.8g, 8.19mmol)と[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(300mg, 10%)と2M 水性炭酸セシウム(15mL, 15mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(35mL)に溶解させた溶液を、マイクロ波反応器内で、100℃で15分間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(100%シクロヘキサンから100%酢酸エチルまでを用いる勾配溶離)で精製して、(4-{[5-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(16)(1.9g)を得た。
【0201】
LC/MSシステムA;Rt=3.54分、m/z(ES+)=380(C22H21NO5に関するM+H)。
【0202】
(iv) (4-{[5-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(1.9g, 5mmol)(16)をN,N-ジメチルホルムアミド(70mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、炭酸カリウム(1.04g, 7.5mmol)とヨウ化カリウム(416mg, 2.5mmol)を添加した。その溶液に80℃でクロロジフルオロメタンを5時間にわたり通気し、次いで、中止した。その反応混合物を80℃で16時間撹拌した。その反応物を室温まで冷却し、泡立ちが観察されなくなるまで水を添加してクエンチした。得られた溶液を酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。有機層を合してブライン(200mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(勾配:100%シクロヘキサンから50%シクロヘキサン/50%酢酸エチルまで)で精製して、(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(17)(694mg)を白色の固体として得た。
【0203】
LC/MSシステムA;Rt=4.13分、m/z(ES+)=430(C23H21F2NO5に関するM+H)。
【0204】
(v) 実施例1(a)(ii)の方法と同様の方法で、(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸エチルエステル(17)(694mg, 1.62mmol)から、化合物(18)を合成した。生じた沈澱物を収集し、水で洗浄し、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕して、化合物(18)(643mg)を白色の固体として得た。
【0205】
LC/MSシステムD;Rt=9.46分、m/z(ES+)=402(C21H17F2NO5に関するM+H)。
【0206】
実施例2:4-{[(5-メチル-2-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-メチル}-安息香酸(20)の合成
【化27】

【0207】
(i) 実施例1(a)(i)の方法と同様の方法で、5-メチル-2-フェニル-フラン-3-カルボン酸(79mg, 0.39mmol)と4-アミノメチル安息香酸エチルエステル(70mg, 0.39mmol)から、4-{[(5-メチル-2-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-メチル}-安息香酸エチルエステル(19)を合成した。99mgの生成物をゴム状物として得た。
【0208】
LC/MSシステムA;Rt=3.88分、m/z(ES+)=364(C22H21NO4に関するM+H)。
【0209】
(ii) 実施例1(a)(ii)の方法と同様の方法で、4-{[(5-メチル-2-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-メチル}-安息香酸エチルエステル(19)(90mg, 0.247mmol)から、化合物(20)を合成した。生じた沈澱物を収集し、水で洗浄し、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕して、化合物(20)(51mg)を白色の固体として得た。
【0210】
LC/MSシステムD;Rt=6.82分、m/z(ES+)=336(C20H17NO4に関するM+H)。
【0211】
実施例3:アルキル-フェニル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-スルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]アミドの合成
(a) 2-メチル-5-フェニル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]-アミド(21)
【化28】

【0212】
{4-[(2-メチル-5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸(2)(10mg, 0.030mmol)と1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(5.7mg, 0.030mmol)と4-(N,N-ジメチルアミノ)-ピリジン(3.5mg)をジクロロメタン(10mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それを、ベンゼンスルホンアミド(9mg, 0.060mmol)で処理した。得られた混合物を室温で18時間撹拌した。その反応混合物を減圧下に濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解させ、0.1M 水性塩酸で洗浄し、ブラインで洗浄し、最後に、脱水した(MgSO4)。溶媒を蒸発させた後、残渣をHPLC(勾配:1分間当たり1%の割合での20%アセトニトリル/80%水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)から80%アセトニトリル/20%水まで)で精製して、化合物(21)(10mg)を白色の固体として得た。
【0213】
LC/MSシステムD;Rt=9.98分、m/z(ES+)=475(C26H22N2O5Sに関するM+H)。
【0214】
(b) 5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]-アミド(22)
【化29】

【0215】
実施例3(a)の方法と同様の方法で、(4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-トリフルオロメチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(4)(40mg, 0.095mmol)から、化合物(22)を合成した。当該反応混合物を減圧下に濃縮し、残渣をジクロロメタンに溶解させ、0.1M 水性塩酸で洗浄し、ブラインで洗浄し、最後に、脱水した(MgSO4)。溶媒を蒸発させた後、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕した。白色の固体を濾過し、それを、HPLC(勾配:1分間当たり1%の割合での20%アセトニトリル/80%水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)から80%アセトニトリル/20%水まで)で精製して、化合物(22)(12mg)を白色の固体として得た。
【0216】
LC/MSシステムD;Rt=9.08分、m/z(ES+)=559(C27H21F3N2O6Sに関するM+H)。
【0217】
(c) 5-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 [4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-2-オキソ-エチル)-フェニル]-アミド(23)
【化30】

【0218】
実施例3(a)の方法と同様の方法で、(4-{[5-(4-メトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(6)(100mg, 0.273mmol)から、化合物(23)を合成した。当該反応混合物を減圧下に濃縮し、残渣をジクロロメタンに溶解させ、0.1M 水性塩酸で洗浄し、ブラインで洗浄し、最後に、脱水した(MgSO4)。溶媒を蒸発させた後、残渣をシクロヘキサンを用いて摩砕した。白色の固体を濾過し、それを、次に、HPLC(勾配:1分間当たり1%の割合での20%アセトニトリル/80%水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)から80%アセトニトリル/20%水まで)で精製して、化合物(23)(50mg)を白色の固体として得た。
【0219】
LC/MSシステムD;Rt=8.58分、m/z(ES+)=405(C27H24N2O6Sに関するM+H)。
【0220】
(d) 5-フェニル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-オキソ-2-(トルエン-2-スルホニルアミノ)-エチル]-フェニル}-アミド(24)
【化31】

【0221】
実施例3(a)の方法と同様の方法において、ベンゼンスルホンアミドをトルエン-2-スルホンアミドで置き換えて、{4-[(5-フェニル-フラン-3-カルボニル)-アミノ]-フェニル}-酢酸(10)(40mg, 0.125mmol)から、化合物(24)を合成した。当該反応混合物を減圧下に濃縮し、残渣をHPLC(勾配:1分間当たり1%の割合での20%アセトニトリル/80%水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)から80%アセトニトリル/20%水まで)で精製して、化合物(24)(4mg)をオフホワイト色の固体として得た。
【0222】
LC/MSシステムD;Rt=9.85分、m/z(ES+)=475(C26H22N2O5Sに関するM+H)。
【0223】
(e) (4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(18)から誘導される化合物
【化32】

【0224】
(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(18)(20mg, 0.050mmol)と1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(19.1mg, 0.010mmol)と4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(6mg, 0.050mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それを、スルホンアミド(RSS(=O)2NH2)(0.055mmol)で処理した。得られた混合物を、室温で、1.5時間(化合物(25)及び化合物(26))又は2時間(化合物(31))又は16時間(化合物(27)〜化合物(30)、化合物(32)及び化合物(36))撹拌した。その反応混合物を減圧下に濃縮し、残渣をHPLC(勾配:1分間当たり1%の割合での20%アセトニトリル/80%水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)から80%アセトニトリル/20%水まで)で精製して、所望の化合物を得た。
【表E】


(f) 5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボン酸 {4-[2-(4-ヒドロキシ-ベンゼンスルホニルアミノ)-2-オキソ-エチル]-フェニル}-アミド(35)
【化33】

【0225】
(i) 4-ヒドロキシ-ベンゼンスルホンアミド(500mg, 2.9mmol)を水(30mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、水酸化ナトリウム(116mg, 2.9mmol)を水(10mL)に溶解させた溶液を添加した。この混合物を無水酢酸(295mg, 2.9mmol)で処理し、室温で4.5時間撹拌した。その反応混合物を濾過した。得られた固体を水で洗浄して、酢酸 4-スルファモイル-フェニルエステル(33)(348mg)を黄色の固体として得た。
【0226】
LC/MSシステムA;Rt=2.06分。
【0227】
(ii) 実施例3(e)の方法と同様の方法において、(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-酢酸(18)(50mg, 0.125mmol)を酢酸 4-スルファモイル-フェニルエステル(33)(29.2mg, 0.137mmol)で処理した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。その反応混合物を濃縮し、得られた生成物(34)は、それ以上精製することなく、ステップ(iii)で記載されているように使用した。
【0228】
LC/MSシステムA;Rt=3.89分、m/z(ES+)=599(C29H24F2N2O8Sに関するM+H)。
【0229】
(iii) 酢酸 4-[2-(4-{[5-(4-ジフルオロメトキシ-フェニル)-2-メチル-フラン-3-カルボニル]-アミノ}-フェニル)-アセチルスルファモイル]-フェニルエステル(34)(74.5mg, 0.125mmol)をメタノール(10mL)に溶解させた溶液を撹拌しながら、それに、ナトリウムメトキシド(6.8mg, 0.125mmol)及び水(1mL)を添加した。その反応混合物を室温で30分間撹拌し、濃縮し、残渣をHPLC(勾配:1分間当たり1%の割合での20%アセトニトリル/80%水(0.1%トリフルオロ酢酸含有)から80%アセトニトリル/20%水まで)で精製して、化合物(35)(18mg)を白色の固体として得た。
【0230】
LC/MSシステムD;Rt=9.48分、m/z(ES-)=555(C27H22F2N2O7Sに関するM-H)。
【0231】
実施例4:生物学的結果
ヒトEP受容体に結合する能力
ヒトEP受容体cDNAで安定的にトランスフェクトされた細胞から膜を調製した。要するに、細胞を集密的になるまで培養し、培養フラスコから細胞を擦り落とし、遠心分離した(800g、8分間、4℃)。10mM Tris-HCl、1mM EDTA.2Na、250mM ショ糖、1mM PMSF及び0.3mM インドメタシンを含んでいる氷冷ホモジナイズバッファー(pH7.4)中で細胞を2回洗浄し、ホモジナイズし、上記と同様に再度遠心分離した。上清を氷上で保存し、ペレットを再度ホモジナイズし、再度遠心分離した。上清をプールし、遠心分離した(40000g、10分間、4℃)。得られた膜ペレットは、使用するまで、-80℃で保存した。
【0232】
アッセイに付すために、ヒトEP受容体、ヒトEP受容体、ヒトEP受容体又はヒトEP受容体を発現する膜を、アッセイバッファー、放射能標識化[3H]PGE及び0.1〜10000nM濃度の化合物を含んでいるMillipore(MHVBN45)プレート内でインキュベーションした。インキュベーションは、平衡に達し得るように、適する温度で適切な時間実施した。非特異的な結合は、10uMのPGEの存在下で測定した。結合している放射能標識及び遊離状態の放射能標識は、適切な洗浄バッファーを用いる減圧複合濾過(manifold filtration)により分離し、結合している放射能標識をシンチレーションを計数することにより測定した。上記各バッファーの成分は、下記表1に挙げてある。
【0233】
各受容体に対する各化合物の親和性又はpKiは、50%の放射性リガンドによる置換を引き起こす濃度(IC50)から、Cheng-Prusoff 式:
【数1】

【0234】
を用いて計算した。
【0235】
このアプローチは、文献(Kenakin, T.P., Pharmacologic analysis of drug receptor interaction. Raven Press, New York, 2nd edition)の記載に従うものである。
【表1】

【0236】
得られた結果は、pKi値として下記表2に示してある。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R2とR5の一方は:
(i) H、若しくは、場合により置換されていてもよいC1-4アルキル基であるか;
又は
(ii) 場合により置換されていてもよいC5-7アリールであり;
R2とR5のもう一方は、残りの方の基であり;
m及びnは、0又は1であることができるが、m+n=1又は2であり;
RNは、H、又は、場合により置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
R3は:
(i) カルボキシ、
又は
(ii) 式(II):
【化2】

で表される基、
又は
(iii) 式(III):
【化3】

で表される基、
又は
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかであり、その際、Rは、場合により置換されていてもよいC1-7アルキル、C5-20アリール又はNRN3RN4(ここで、RN3及びRN4は、独立して、場合により置換されていてもよいC1-4アルキルから選択される)である]
で表される化合物又はその塩、溶媒和物及び化学的に保護されている形態。
【請求項2】
R5が、場合により置換されていてもよいC5-7アリール基であり、R2が、H又は場合により置換されていてもよいC1-4アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2が、H又は場合により置換されていてもよいC1-3アルキル基から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R2が、メチル基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R5が、C6アリール基である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R5が、好ましくは、フェニルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記C5-7アリール基が、C1-7アルコキシ基から選択される置換基で置換されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R3が:
(i) 式(II):
【化4】

で表される基、
又は
(ii) 式(III):
【化5】

で表される基
のいずれかである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Rが、場合により置換されていてもよいC5-20アリール基及び場合により置換されていてもよいC5-20アリール-C1-7アルキル基から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Rが、C1-7アルキル基である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
n+m=1である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
nが0であり且つmが1である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
RNが、H又はメチルである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
治療方法における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項15】
製薬上許容される担体又は希釈剤と一緒に請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含んでいる、医薬組成物。
【請求項16】
EP受容体に対する拮抗作用により軽減される状態を治療するための薬物の調製における請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項17】
EP受容体に対する拮抗作用により軽減することができる前記状態が、一次性頭痛障害である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記一次性頭痛障害が、偏頭痛である、請求項17に記載の使用。

【公表番号】特表2007−508364(P2007−508364A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534829(P2006−534829)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004392
【国際公開番号】WO2005/037812
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506126004)アステランド ユーケイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】