説明

GPS付全方位カメラ及び空間データ収集装置

【課題】
GPSで測定した位置情報が、撮像装置の撮像中心の位置を正確に反映させる様にし、画像データと位置情報とを高精度で関連付け、都市空間等の構造体の正確な3次元データが取得できる様にした。
【解決手段】
上下に平行に配置された少なくとも一対のGPSアンテナ29a,29bと、該GPSアンテナと平行な平面に配置され、全方位の画像を取得可能にした複数のカメラ28a〜28fと、該カメラと前記GPSアンテナを収納するケース27とを具備し、前記GPSアンテナの基準位置と前記カメラの画像基準位置とを合致させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は都市空間等の構築物の間を移動しながら撮像し、更に撮像した位置を検出し、撮像された撮像データと検出された位置データにより都市空間等に於ける構築物、構造物の3次元モデルを形成する為に空間データ収集を行うGPS付全方位カメラ及び空間データ収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Grobal Positioning System)の様な全地域測位システムの技術進歩がめざましく、比較的安価な装置を用いた場合にも、数十センチ程度の精度で位置測定が可能となっている。
【0003】
斯かるGPSを車両等の移動体に搭載すると共にカメラ或はレーザ測量装置(レーザスキャナ)を搭載し、都市空間に於ける構築物、構造物の3次元データを収集すると共に画像を収集するデータ収集システムが開発され、カーナビゲーション等に用いられる地図データを作製することに役立てられている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
この様なシステムに於いては、該システムにより取得した構造体の3次元データを過去に作製された地図に、人手による位置付け、演算処理によるフィッティング等の手法により反映して地図データを作製している。斯かる地図データの作製では、それ程の精度は要求されない。
【0005】
ところが、従来のシステムでは高精度のデータを取得するのは困難である為、過去に作製された地図データと現在の実際の都市空間の構造物とを比較する為の調査、或は、過去に作製された地図データを実際の構造物とに整合させる為の調査には適さない。
【0006】
この様な調査を行う場合には、より高精度で都市空間等の構造体の3次元データを取得する必要があり、更に高精度の3次元データを取得するにはデータを取得するカメラやレーザスキャナ自体の位置を正確に知る必要がある。
【0007】
従来の空間データ収集装置について、特許文献1に示されるものがあり、図7により概略を説明する。
【0008】
図7中、1は車両、2はビデオカメラ、3はGPS、4は車速センサ、5は方位センサ、6は記憶装置を示している。
【0009】
前記ビデオカメラ2によって撮像しつつ、前記車両1が移動し、該車両1の移動に伴って撮像される映像データと、又撮像と同時に前記GPS3により前記ビデオカメラ2の位置データが取得され、更に前記方位センサ5によって前記ビデオカメラ2の撮像方向が測定される。
【0010】
前記GPS3によって得られた前記ビデオカメラ2の位置情報、前記方位センサ5によって得られた方位(撮像方向)に基づき、映像データ中から検出した検出対象と前記ビデオカメラ2との相対位置情報を算出し、この算出された相対位置情報と上記測位情報とに基づき、検出対象の位置情報が生成される様になっている。
【0011】
従来のデータ収集装置は、前記ビデオカメラ2の上に前記GPS3が設置される構造であり、該GPS3の基準位置と、前記ビデオカメラ2の撮像中心とは所定の距離離れて設置されており、例えば前記車両1が傾斜した場合等は、前記ビデオカメラ2と前記GPS3と水平方向に位置ずれを生じ、該GPS3の測定位置が前記ビデオカメラ2の撮像中心の位置を正確に反映するとは限らず、高精度で都市空間等の構造体の3次元データを取得することは困難であった。
【0012】
又、図8に示される様に、特許文献2には路面沿道撮影車11が示され、該路面沿道撮影車11は撮影機12、距離測定装置13、舵取り角度検出装置14、GPS15、変位センサ16、中央制御装置17、ジャイロ18を具備し、前記撮影機12によって路面及び沿道を撮影し、撮影した路面及び沿道の映像情報を、前記GPS15で取得した被撮影場所の位置情報及び/又は被撮影場所の路面情報と関連付けて記憶及び/又は表示する様になっている。
【0013】
特許文献2に於いても、前記撮影機12、前記距離測定装置13と前記GPS15とは離れた位置にあり、前記路面沿道撮影車11の向きが変った場合、該路面沿道撮影車11が傾斜した場合、前記GPS15で検出した位置情報と、前記撮影機12、前記距離測定装置13の位置とはずれが生じるので、前記撮影機12で撮像した画像データと位置情報との関連づけの際に誤差が生じる。
【0014】
従って、特許文献2に於いても、高精度で都市空間等の構造体の3次元データを取得することは困難であった。
【0015】
【特許文献1】特開2006−119591号公報
【0016】
【特許文献2】特開2000−194983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は斯かる実情に鑑み、GPSで測定した位置情報が、撮像装置の撮像中心の位置を正確に反映させる様にし、画像データと位置情報とを高精度で関連付け、都市空間等の構造体の正確な3次元データが取得できる様にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上下に平行に配置された少なくとも一対のGPSアンテナと、該GPSアンテナと平行な平面に配置され、全方位の画像を取得可能にした複数のカメラと、該カメラと前記GPSアンテナを収納するケースとを具備し、前記GPSアンテナの基準位置と前記カメラの画像基準位置とを合致させたGPS付全方位カメラに係り、又前記一対のGPSアンテナは、上下に所要の間隔を隔てて設けられ、前記カメラは前記GPSアンテナの間に設けられたGPS付全方位カメラに係り、又前記ケースは球体形状であるGPS付全方位カメラに係り、更に又天頂方向にも画像基準位置を前記GPSアンテナの基準位置に合致させたカメラを配置したGPS付全方位カメラに係るものである。
【0019】
又本発明は、前記GPS付全方位カメラと、方位センサと、演算処理装置とを具備し、該演算処理装置は、前記GPSアンテナの信号を基に撮像地点の座標データを演算すると共に取得した撮像地点の座標データと、撮像画像と、前記方位センサからの信号を基に撮像画像中の測定対象物の3次元座標を演算する様構成された空間データ収集装置に係り、又記憶部を具備し、撮像画像を得られた3次元座標に関連付けて前記記憶部に格納する空間データ収集装置に係り、更に又慣性航行装置を具備し、前記GPSアンテナによる位置情報が得られない場合、前記慣性航行装置により、位置情報を補完する空間データ収集装置に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上下に平行に配置された少なくとも一対のGPSアンテナと、該GPSアンテナと平行な平面に配置され、全方位の画像を取得可能にした複数のカメラと、該カメラと前記GPSアンテナを収納するケースとを具備し、前記GPSアンテナの基準位置と前記カメラの画像基準位置とを合致させたので、GPS付全方位カメラを支持する移動体が向きを変え、或は傾斜した場合にもGPSアンテナの基準点とカメラで撮像する画像の基準点とのずれが発生せず、両基準点に対しての補正作業が必要なくなる。
【0021】
又本発明によれば、前記GPS付全方位カメラと、方位センサと、演算処理装置とを具備し、該演算処理装置は、前記GPSアンテナの信号を基に撮像地点の座標データを演算すると共に取得した撮像地点の座標データと、撮像画像と、前記方位センサからの信号を基に撮像画像中の測定対象物の3次元座標を演算する様構成されたので、前記GPSアンテナの基準位置と前記カメラの画像基準位置とを合致させる為の補正作業を行うことなく、直ちに3次元座標の演算が可能となり、前記演算処理装置の処理の負担が軽減され、又高精度のデータ収集が可能となる。
【0022】
更に又本発明によれば、慣性航行装置を具備し、前記GPSアンテナによる位置情報が得られない場合、前記慣性航行装置により、位置情報を補完するので、衛星からの電波を受信できない環境下でも、データ収集が可能であり、データの欠如部分がなくなり、他の測定方法でデータの欠如を補う必要がなく、効率のよいデータ収集が可能となる等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0024】
図1に示される様に、自動車等の移動体21にGPS付全方位カメラ22が取付けられる。該GPS付全方位カメラ22は、全方位が視野に入る位置、例えば、前記移動体21の天井に設置される。又、該移動体21には演算処理装置23、慣性航行装置(IMU)24が搭載されている。
【0025】
図2〜図4は、本発明に用いられる前記GPS付全方位カメラ22の概略の構成を示している。以下、該GPS付全方位カメラ22について説明する。
【0026】
球体のケース27に複数、例えば6個のカメラ28a〜28f及び平行に配置された一対のGPSアンテナ29a,29b、傾斜センサ25、前記方位センサ26が内蔵され、又前記ケース27は垂直な支柱30を介して取付けられている。前記ケース27は水密構造を有し、前記GPS付全方位カメラ22は防水構造となっている。尚、前記GPSアンテナ29a,29bは一組のGPSアンテナ29として機能する。
【0027】
前記カメラ28a〜28fの光学系の光軸33a〜33f(図4参照)は同一水平面上にあり、又該光軸33a〜33fは1点、好ましくは前記ケース27の中心点Oで交差し、更に前記光軸33a〜33fは前記中心点Oを中心として等角度の配置、即ち60°間隔の放射状となっている。
【0028】
前記カメラ28a〜28fは同一構造であるので、以下カメラ28として説明する。
【0029】
該カメラ28は、受光素子34及び前記光学系を構成する対物レンズ35を有し、前記受光素子34は、例えば画素の集合体であるCCD、CMOS等であり、受光する画素の受光面36上での位置が特定できる様になっている。
【0030】
更に、画素の位置から画角が特定できる様になっている。例えば、図4に於いて、前記中心点Oを3次元座標の原点とし、前記受光面36の前記光軸33上の位置をy1とし、画素P1の水平方向の位置をx1、鉛直方向をz1とすると、前記光軸33に対する水平角はtan-1x1/y1、鉛直角はtan-1z1/y1で求められる。従って、前記光軸33の方位が分れば、前記受光素子34中の任意の画素の方位が特定される。即ち前記中心点Oは画像の基準位置となっている。
【0031】
前記GPSアンテナ29a,29bは円板状に形成され、前記カメラ28a〜28fを挾んで上下に配設され、衛星からの電波(周波数L1,L2)を受信可能となっている。2波長による位置測定により高精度の測定が可能となる。又、前記GPSアンテナ29a,29bの基準点は前記中心点Oに設定され、該GPSアンテナ29a,29bが電波を受信して測定される位置は前記中心点Oに関するものとなる。尚、GPSアンテナは複数対設けてもよく、例えば、前記カメラ28a〜28fを挟んで上側に2枚、下側に2枚の2対設けてもよい。又、カメラ28は、前記ケース27の天頂部に設けてもよい。この場合も、画像基準位置をGPSアンテナ29a,29bの基準点に合致させる。
【0032】
次に、図5により本発明に係る空間データ収集装置38の概略構成を説明する。
【0033】
該空間データ収集装置38は、主に前記GPS付全方位カメラ22、前記傾斜センサ25、前記方位センサ26、前記演算処理装置23、前記慣性航行装置24、測距部39から構成される。
【0034】
又、前記演算処理装置23は、演算部41、第1記憶部42、地図データ格納部43、画像処理部44、第2記憶部45、方位判断部46を有し、前記慣性航行装置24、前記測距部39、前記GPSアンテナ29a,29bからの信号はGPS処理部49、第1入力制御部47を介して前記演算部41に入力される。前記カメラ28a〜28fにより、全方位の画像が撮像される。又、前記カメラ28a〜28fによる撮像の態様は、それぞれが動画像を連続的に取得してもよく、或は静止画像を所定時間間隔毎に取得してもよい。取得された画像データは、第2入力制御部48を介して画像デジタル信号として前記画像処理部44に入力される様になっている。
【0035】
前記第2入力制御部48は、前記カメラ28a〜28fからの画像信号を、GPS時刻と関連付けたシリーズの信号として出力する。例えば、前記カメラ28a〜28fを特定するカメラ番号をa,b,…,fとし、カメラ28aの画像信号をa画像信号、カメラ28bの画像信号をb画像信号、…、カメラ28fの画像信号をf画像信号として、時系列に出力する。
【0036】
前記画像処理部44では、前記第2入力制御部48を経て入力された画像データから構築物、構造物を抽出し、更に、エッジ処理する等して特徴点(標定点)を抽出する。画像処理された画像データは、カメラ番号に関連付けられ、又時系列に前記第2記憶部45に格納される。
【0037】
前記方位判断部46は、前記カメラ28a〜28fの撮像方向の方位を判断するものであり、前記傾斜センサ25、前記方位センサ26の内少なくとも、該方位センサ26からの方位検出信号が入力され、前記画像処理部44に送られ、更に該画像処理部44に於いてカメラ番号が入力される。
【0038】
前記方位センサ26が検出する方位は、前記カメラ28a〜28fの内の基準となるカメラ、例えばカメラ28aの光学系の光軸の方向と一致している。従って、カメラ番号が分ることで、各カメラ28a〜28fの光軸33a〜33fの方位(撮像方向)が決定される。
【0039】
前記第1記憶部42には、前記GPSアンテナ29からの信号に基づき前記中心点Oの地球上座標系の位置(絶対平面座標)を算出する座標位置演算プログラム、前記測距部39により構築物、構造物に関する測距を行う為のシーケンスプログラム、前記画像処理部44からの画像データ、前記GPS処理部49からの信号、前記測距部39からの測距データ、前記方位判断部46からの方位データに基づき、構築物、構造物の3次元座標を演算する3次元座標演算プログラム、又得られた3次元座標と前記地図データ格納部43に格納された地図データとを比較し、較正値を演算する比較演算プログラム、又得られた3次元座標を基に構築物、構造物の画像データを貼付ける等のデータ処理を行うデータ処理プログラム等のプログラムが格納されている。
【0040】
又、前記移動体21がトンネル等、衛星からの電波が届かない場所を通行する場合は、前記GPSアンテナ29による位置測定を行うことができないので、この場合は、該GPSアンテナ29により測定できた最後の位置から前記慣性航行装置24による位置測定結果が採用され、該慣性航行装置24で得られた測定位置が、前記中心点Oの位置として採用される。又、再び、前記GPSアンテナ29からの信号を受信できる様になった場合は、該GPSアンテナ29の信号に基づいた位置測定結果が採用される。更に、該GPSアンテナ29の信号に基づいた位置測定結果と前記慣性航行装置24により測定された位置とで誤差を生じた場合は、該GPSアンテナ29の信号に基づいた位置測定結果に基づき前記誤差が修正される。
【0041】
前記演算部41には、前記GPS処理部49からの信号、前記測距部39からの構築物、構造物に関する測距データ、前記慣性航行装置24からの検出信号が前記第1入力制御部47を介して入力され、又、前記画像処理部44から画像信号、前記方位判断部46から方位信号が入力される。
【0042】
又、前記演算部41は、前記GPSアンテナ29及びGPS処理部49からの信号、座標位置に基づき前記GPS付全方位カメラ22の中心点Oの現在位置(地球上座標系の位置)をリアルタイムで演算し、前記方位判断部46からの信号及び方位と現在位置と撮像画像とを関連付けて前記第1記憶部42に記憶する。
【0043】
又、前記演算部41は、2地点間で得た画像に関し、各点での前記GPSアンテナ29及びGPS処理部49からの信号に基づき得られた2地点間の距離を演算し、該2地点間の距離と各点から見た撮像対象物の方位とに基づき、各点と撮像対象物迄の距離を演算し、撮像対象物の3次元絶対座標を演算する。更に、撮像対象物の画像データと3次元絶対座標とを関連付けて前記第1記憶部42に格納する。
【0044】
以下、上記した空間データ収集装置38によるデータ収集作用について図6を参照して説明する。
【0045】
前記移動体21によりデータ収集領域を移動しつつ、前記カメラ28a〜28fにより全方位の画像を取得する。該カメラ28a〜28fがビデオカメラであると、個々のカメラで30フレーム/secで動画を取得する。尚、前記カメラ28a〜28fはデータ収集が実行される前に予め、キャリブレーション等の初期設定が完了している。
【0046】
又、前記GPSアンテナ29a,29bはそれぞれ、常時、衛星51からの電波(2周波数)を受信し、受信電波に基づき前記演算処理装置23で地球上の座標位置、即ち前記中心点Oの位置を演算する。
【0047】
上記した様に、GPSアンテナ29a,29bの基準位置及び前記カメラ28a〜28fにより撮像した画像基準位置は共に前記中心点Oであるので、前記GPSアンテナ29で受信した信号に基づき位置測定した結果(以下GPS位置情報と称す)は、即ち画像の基準位置であり、車両の向きが変った場合、車両が傾いた場合等いずれの場合も、前記GPSアンテナ29の基準位置と画像の基準位置とはずれがなく、補正の必要がなく、又精度が高い。
【0048】
又、GPS位置情報と画像データとを関連付けて、更に前記測距部39により測距を実行している場合は、測距データを関連付けて前記第1記憶部42に記憶される。又、前記慣性航行装置24によって前記中心点Oの現在位置が測定され、IMU位置情報として取得される。該IMU位置情報は定期的に、或はリアルタイムで前記GPS位置情報に基づき補正される。又、IMU位置情報は前記GPS位置情報が取得できない場合に利用される。
【0049】
図6に於いて、構造物52についての画像データ、3次元座標データを収集する場合を説明する。又、以下は、前記測距部39による測距データが得られない場合を説明する。
【0050】
前記移動体21が位置Aから位置Bに移動する過程で、前記GPSアンテナ29によりGPS位置情報を常時取得し、又前記カメラ28a〜28fにより全方位の画像を連続的に取得する。
【0051】
位置AでGPS位置情報が取得され、位置Aで取得された画像の内、例えばカメラ28aで撮像した画像中に前記構造物52が含まれている場合は、位置Aから位置Bに至る間で得られた前記カメラ28aの画像から、前記構造物52部分の構造物画像データ52aが抽出され、更に連続画像の時間的に隣接するフレーム間で画像マッチングが実行され、画像間でのトラッキングが行われる。
【0052】
尚、画像マッチングの処理を簡単にする為、画像のエッヂ処理を行い構造物画像データ52a部分で特徴点を抽出し、特徴点間のマッチングを行ってもよい。更に、フレーム間では、前記構造物画像データ52aの大きな変化はないので、画像マッチングは容易に行える。又フレーム間での画像マッチングが成功しなかった場合は、隣接するカメラ、例えばカメラ28bで得られた画像とのマッチングが実行される。
【0053】
前記移動体21が位置Bに到達した時点で、位置BのGPS位置情報が取得され、位置Bで取得した画像から前記構造物画像データ52a′が抽出される。該構造物画像データ52a′の抽出は、位置Aからの連続画像を利用した画像トラッキングを行うことで、容易に実行できる。
【0054】
位置Aに於ける前記構造物画像データ52aと位置Bに於ける構造物画像データ52a′について標定が行われる。位置Aの撮像画像中心の方位(水平角)即ち前記カメラ28aの光軸の方位は、前記方位センサ26が検出した方位と、使用された前記カメラ28が特定されることで求められ、又、鉛直角は前記傾斜センサ25によって検出された傾斜角によって求められる。又、同様にして位置Bの撮像画像についての水平角と鉛直角とが求められる。
【0055】
前記構造物画像データ52aと前記構造物画像データ52a′中から複数の標定点を選択する。例えば前記構造物52の角が標定点53として選択される。又、該標定点53が選択されると、位置A、位置Bそれぞれの位置での前記標定点53の水平角、鉛直角は該標定点53を受光した前記受光素子34中の画素P1の位置から求められる(図4参照)。
【0056】
又、位置Aと位置B間の距離は、両地点でのGPS位置情報に基づき演算により求められ、更に位置Aと位置Bから前記標定点53迄の距離が求められ、得られた水平角、鉛直角より、前記標定点53の3次元座標が求められる。尚、前記カメラ28a〜28fの基準点と前記GPSアンテナ29の基準点とは同一であるので、前記カメラ28の水平角、鉛直角が変化したとしても、2つの基準点間にずれは生じることがなく、補正をする必要がない。
【0057】
而して、前記構造物52について、所要数の点についての3次元座標を求めることで、前記構造物52ついての3次元座標データが取得でき、更に前記構造物52の画像データと3次元座標データとを関連付けることで、画像を地図データとして使用でき、既存の地図データと比較でき、既存の地図データの較正が可能となると共に既存の地図データ上に画像データを貼付けることも可能となる。
【0058】
尚、画像データ、3次元座標データの取得は、構造物に限らず、街路樹、縁石、電柱、信号機等、種々の設置物についても地球座標系での3次元データを画像と共に取得できる。
【0059】
次に、前記測距部39により、前記構造物52についての距離測定を行った場合は、位置A、位置Bから前記構造物52迄の距離が得られるので、測距方向と測距結果と両地点でのGPS位置情報により、前記構造物52の3次元座標が求められる。
【0060】
尚、前記GPSアンテナ29a,29bを重合させて見かけ上1枚の円形の基板とし、該基板の周囲に前記カメラ28a〜28fを配置し、該カメラ28a〜28fの画像の基準位置と前記GPSアンテナ29a,29bの基準位置とを合致させてもよい。この場合、前記カメラ28a〜28f、前記GPSアンテナ29a,29bを収納する前記ケースは円盤状に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る空間データ収集装置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るGPS付全方位カメラを示す概略斜視図である。
【図3】該GPS付全方位カメラの概略平断面図である。
【図4】該GPS付全方位カメラに用いられるカメラと中心点Oとの関係を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る空間データ収集装置の概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態に於ける作用を示す説明図である。
【図7】従来例を示す説明図である。
【図8】他の従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
21 移動体
22 GPS付全方位カメラ
23 演算処理装置
24 慣性航行装置
25 傾斜センサ
26 方位センサ
27 ケース
28 カメラ
29 GPSアンテナ
33 光軸
34 受光素子
36 受光面
39 測距部
41 演算部
42 第1記憶部
44 画像処理部
45 第2記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に平行に配置された少なくとも一対のGPSアンテナと、該GPSアンテナと平行な平面に配置され、全方位の画像を取得可能にした複数のカメラと、該カメラと前記GPSアンテナを収納するケースとを具備し、前記GPSアンテナの基準位置と前記カメラの画像基準位置とを合致させたことを特徴とするGPS付全方位カメラ。
【請求項2】
前記一対のGPSアンテナは、上下に所要の間隔を隔てて設けられ、前記カメラは前記GPSアンテナの間に設けられた請求項1のGPS付全方位カメラ。
【請求項3】
前記ケースは球体形状である請求項1のGPS付全方位カメラ。
【請求項4】
天頂方向にも画像基準位置を前記GPSアンテナの基準位置に合致させたカメラを配置した請求項3のGPS付全方位カメラ。
【請求項5】
請求項1に係るGPS付全方位カメラと、方位センサと、演算処理装置とを具備し、該演算処理装置は、前記GPSアンテナの信号を基に撮像地点の座標データを演算すると共に取得した撮像地点の座標データと、撮像画像と、前記方位センサからの信号を基に撮像画像中の測定対象物の3次元座標を演算する様構成されたことを特徴とする空間データ収集装置。
【請求項6】
記憶部を具備し、撮像画像を得られた3次元座標に関連付けて前記記憶部に格納する請求項5の空間データ収集装置。
【請求項7】
慣性航行装置を具備し、前記GPSアンテナによる位置情報が得られない場合、前記慣性航行装置により、位置情報を補完する請求項5の空間データ収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−38822(P2010−38822A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204326(P2008−204326)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】