説明

HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含むC型肝炎治療用薬学組成物

本発明は、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含むC型肝炎治療用薬学組成物に関する。
好ましくは、フルバスタチンまたはその薬学的に有効な塩とウルソデオキシコール酸を含むC型肝炎治療に効果的な薬学組成物及びその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含むC型肝炎治療用薬学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎は、2004年を基準に全世界的に3%の人口が感染されていることが発表されたことがある。特に統計が正確な7ヶ国(米国、日本、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国)人口の2006年度C型肝炎発生率は、1.4%であり、7億人口のうち1千万名を越えている。この疾病を誘発するC型肝炎ウイルスは、フラビウイルス科(Flaviviridae)のヘパシウイルス(Hepacivirus)属に属する外皮を有する 一本鎖RNAウイルスであって、主に血液などの体液を通じて感染される。
【0003】
このウイルスに感染された患者の15〜45%は、急性肝炎を病んでから回復するが、残りの55〜85%の患者は、慢性肝炎に進行され、これらのうち5〜20%は、20〜25年後に肝硬変症に進行される。これらのうち年間1〜5%程度の患者に肝癌が発生する。
【0004】
従来のC型肝炎の治療法には、代表的にインターフェロンを単独で投与して治療する方法と、インターフェロン及び抗ウイルス薬を併用投与して治療する方法がある。インターフェロンは、基本的に人体に存在するサイトカインであり、抗ウイルス作用、抗増殖作用、免疫調節作用をする物質である。インターフェロンのうちインターフェロンアルファが主にC型肝炎及びB型肝炎の治療に使用され、製品としては、1日1回用製剤と1週1回用製剤が使用される(Roche Pegasys, Schering Peg-Intron, IntronAなど)。
【0005】
インターフェロン療法は、ウイルスを完全に除去する根本治療療法であるとしても、単独療法の場合は、臨床グループによって異なるが、治療率が平均30%を越えない。しかし、インターフェロン及び抗ウイルス薬を併用する場合には、併用療法がインターフェロン単一療法より治療率が高いことは、すべての臨床実験を通じて立証されて来た。
【0006】
併用療法に使用される抗ウイルス薬(小分子薬;Small Molecule Drug)のうち代表的なものがリバビリン(Ribavirin)である。リバビリンは、C型肝炎ウイルスの増殖を抑制し、T細胞を刺激して、初期免疫を増加させる効果を示す。しかし、肝炎ウイルスを除去せず、投薬を中断すれば、血中ALT(Alanine Aminotransferase)数値がさらに上昇する。臨床治療基準によって薬物の投薬を完了させた後にも、体内には肝炎ウイルスが一部存在するので、さらに再発の危険を有する。
【0007】
したがって、長期服用しなければならないが、長期服用による副作用が非常に大きい薬物の1つである。リバビリンは、赤血球内に大量分布して貧血を誘発する非常に深刻な副作用を有する薬物である。
【0008】
しかも、インターフェロンとリバビリンの複合処方の治療率は、未だ約55%程度である。C型肝炎は、患者が非常に多く、治療しなければ肝硬変及び肝癌に悪化するので、治療率を顕著に高める薬品を開発しなければならないし、ひいては、新たに開発される薬は、長期服用が可能な安全な薬でなければならない。
【0009】
高脂血症治療剤として広く使用されているフルバスタチンは、HMG−CoA還元酵素抑制剤であって、化学名は、[R、S−(E)]−(±)−7−[3−(4−フルオロフェニル)−1−(1−メチルエチル)−1H−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテノエートであり、そのナトリウム塩が主に使用される。HMG−CoA還元酵素抑制剤は、脂肪酸がHMG−CoA還元酵素の助けでメバロネートに転換されることを抑制し、コレステロールの合成を防止する。これにより、血液内コレステロール数値が減少し、高コレステロール血症を治療する。したがって、動脈の血流障害による循環器疾患の予防及び治療剤として使用される。現在、全体医薬品のうち最多頻度処方薬であることは周知の事実である。
【0010】
HMG−CoA還元酵素抑制剤は、コレステロール合成の初期段階を抑制し、最終生成物であるコレステロール及びこれから来由する物質の生成を減少させる。また、中間段階では、C型肝炎ウイルスが増殖するのに必要な物質であるゲラニルホスフェートの合成を抑制する。したがって、HMG−CoA還元酵素抑制剤は、C型肝炎ウイルスの増殖を抑制することができる。このようなHMG−CoA還元酵素抑制剤として、フルバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、リバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン及びそれらの塩が広く使用され、それらのうち、フルバスタチンが最も強い効力を示す(非特許文献1)(Different anti-HCV profiles of statins and their potential for combination therapy with interferon. Ikeda M, Abe K, Yamada M, Dansako H, Naka K, Kato N. Hepatology. 2006 Jul;44(1):117-25)。
【0011】
このフルバスタチンは、既存のC型肝炎抗ウイルス薬であるリバビリンより効力が優れている。しかも、重大な副作用がないため、長期使用が可能である。このような事実は、日本研究陣と2007年5月米国ワシントンで開催された世界最大の消化器学会(DDW)を通じて発表されたことがある(. .、DDW: Could Statins Be a New Option for Hepatitis C Patients, DDW, 2007, May)。
【0012】
しかし、フルバスタチンを投与した約1.1%の肝炎患者が用量に比例して持続的なトランスアミナーゼ数値の上昇を示し、正常の上限範囲の3倍以上までも上昇する問題点を示した。このような患者のうち90%以上が、投与後、12週以内にトランスアミナーゼの血中濃度が増加した。これは、ウイルスによって肝内の胆汁酸の合成が障害を起こし、脂質残渣を含めて微細胆道に排出させる代謝過程が長期間障害を起こすためであり、これを迅速に修復しなければ、肝炎の回復がそれほど遅延される。
【0013】
胆汁酸は、肝機能異常、慢性肝炎、肝硬変及び胆汁分泌不全などの治療に使用されて来た。このような胆汁酸としては、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸などが知られている。最近、日本国厚生省がウルソデオキシコール酸のウイルス肝炎に対する適応症を許可した事実も、胆汁酸が上記適応症に使用できることを裏付ける。
【0014】
ウルソデオキシコール酸は、熊の胆汁に主に存在する胆汁酸の一種であって、ヒトの胆汁にも5%ほど存在する。長い間肝疾患の名薬として伝来されて来た熊の胆の薬効に対して1930年代に世界最初にスウェーデン研究チームが熊の胆の主要薬効成分がウルソデオキシコール酸であることを分子構造的に立証した。1961年には、日本国学者がウルソデオキシコール酸を初めて人工合成し、伝来されて来た薬物の効能を人工合成物質として立証し始めた。1989年代にフランス、ドイツ及び英国でウルソデオキシコール酸を 原発性胆汁性肝硬変症(primary biliary cirrhosis)に正式適応症として許可し、1990年代には米国FDAがこれを許可した。2007年度には、日本国厚生労働省がウルソデオキシコール酸のウイルス性肝炎適応症を日本国三菱ウェルファーマに許可した。現在韓国では、胆石症、慢性肝炎、胆汁分泌不全などに許可されている。
【0015】
ウルソデオキシコール酸は、今まで文献を通じてB型肝炎、C型肝炎、肝硬変、肝癌悪化予防、高脂血症、臓器移植時の免疫抑制作用など多様な領域においてその効果があることが発表された。ウルソデオキシコール酸は、慢性肝炎患者のALT、AST、GGTなどのような生化学的指数を改善させ(非特許文献2)(C. Sama et al. ; Clin. Drug. Invest 13(4), 192-198(1997))、急性B型ウイルス肝炎が慢性化されることを抑制する(非特許文献3)(J. Galskyetal; J. CLIN. Gastroenterol. 28(3). 249-253(1999))。また、ウルソデオキシコール酸は、肝移植後に再発された慢性C型ウイルス感染による慢性非活動性肝炎を改善させる効果的な治療剤であり(非特許文献4)(Y. Kita et al/; Transpl. pro. 28, 1701-1703(1996))、慢性C型肝炎患者にインターフェロンとウルソデオキシコール酸を併用投与する場合、インターフェロンの治療中断によってGPT数値がさらに上昇することを抑制し、インターフェロンの薬効を延長し(非特許文献5)(M. Angelico et al; Amer. J. Gastroenterol. 90, 263-269(1995))、インターフェロンの治療後に、有意的に肝数値を低めて再発率を減少させることができる有用な治療剤である(非特許文献6)(C. Clerici et al; Minerva Med. 88, 219-225(1997))。
【0016】
ウルソデオキシコール酸は、既存に韓国にC型肝炎治療剤として特許が出願されたことがあり、国際出願PCT/JP94/001178号(特許文献1)にC型肝炎ウイルス増殖抑制剤の用途が開示されている。しかし、ウルソデオキシコール酸は、直接的にC型肝炎ウイルスを抑制しないという文献が多数発表されている(非特許文献7)(Ursodeoxycholic acid ‘mechanisms of action and clinical use in hepatobiliary disorders’. Lazaridis KN, Gores GJ, Lindor KD. J Hepatol. 2001 Jul; 35(1):134-46)。
【0017】
既存特許のうち米国特許第2005/0187204号(特許文献2)には、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸の複合剤の使用について開示している。しかし、特許の内容上、高脂血症によって生じる疾病の治療を目的にしているだけで、本発明の特徴であるC型肝炎治療について言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際出願PCT/JP94/001178号
【特許文献2】米国特許第2005/0187204号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Different anti-HCV profiles of statins and their potential for combination therapy with interferon. Ikeda M, Abe K, Yamada M, Dansako H, Naka K, Kato N. Hepatology. 2006 Jul;44(1):117-25
【非特許文献2】C. Sama et al. ; Clin. Drug. Invest 13(4), 192-198(1997)
【非特許文献3】J. Galskyetal; J. CLIN. Gastroenterol. 28(3). 249-253(1999)
【非特許文献4】Y. Kita et al/; Transpl. pro. 28, 1701-1703(1996)
【非特許文献5】M. Angelico et al; Amer. J. Gastroenterol. 90, 263-269(1995)
【非特許文献6】C. Clerici et al; Minerva Med. 88, 219-225(1997)
【非特許文献7】Ursodeoxycholic acid ‘mechanisms of action and clinical use in hepatobiliary disorders’. Lazaridis KN, Gores GJ, Lindor KD. J Hepatol. 2001 Jul; 35(1):134-46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、C型肝炎治療剤またはC型肝炎治療効果を補助するために、既存のC型肝炎治療剤と併用投与される製剤として有用なHMG−CoA還元酵素抑制剤のウイルス性肝炎悪化を改善させるための複合製剤を開発することにある。
【0021】
本発明者らは、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を併用することによって、C型肝炎に対する抗ウイルス作用を向上させることができると共に、既存のリバビリンが有する貧血のような副作用なしに長期服用することができる機能性複合剤を開発し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む安定したC型肝炎治療剤及びその製造方法を提供する。好ましくは、HMG−CoA還元酵素抑制剤のうちフルバスタチンを、胆汁酸のうちウルソデオキシコール酸を含むC型肝炎治療剤及びその製造方法を提供する。
【0023】
具体的に、本発明の様態は、
(1)活性成分(有効成分)として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含むC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(2)上記(1)において、HMG−CoA還元酵素抑制剤として、フルバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、リバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン及びそれらの塩よりなる群から選択された1つ以上を含むC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(3)上記(2)において、HMG−CoA還元酵素抑制剤として、フルバスタチンまたはその塩を含むC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(4)上記(3)において、フルバスタチンの塩は、ナトリウム塩であることを特徴とするC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(5)上記(1)において、胆汁酸として、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸及びそれらの塩よりなる群から選択された1つ以上を含むC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(6)上記(5)において、胆汁酸として、ウルソデオキシコール酸またはその塩を含むC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(7)上記(1)において、HMG−CoA還元酵素抑制剤の用量は、0.05mg乃至200mgの範囲であり、胆汁酸の用量は、10mg乃至1,500mgの範囲である薬学組成物(医薬組成物);
(8)上記(7)において、HMG−CoA還元酵素抑制剤の用量は、0.1mg乃至100mgの範囲であり、胆汁酸の用量は、25mg乃至1,000mgの範囲である薬学組成物(医薬組成物);
(9)上記(1)において、インターフェロンを追加に含むC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(10)上記(9)において、インターフェロンの用量は、1000ユニット乃至10億ユニットの範囲である薬学組成物(医薬組成物);
(11)上記(10)において、インターフェロンの用量は、1万ユニット乃至1億ユニットの範囲である薬学組成物(医薬組成物);
(12)上記(1)において、2相マトリックス、多層錠または有核錠形態であるC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(13)上記(1)において、遅延放出型と速放出型の2相の顆粒を含むカプセル型であるC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(14)上記(1)において、多層錠の形態で製造したC型肝炎治療用薬学組成物(医薬組成物);
(15)活性成分(有効成分)として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含むC型肝炎治療用併用製剤(複合製剤);
(16)活性成分(有効成分)として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む薬学組成物(医薬組成物)を投与することを特徴とするC型肝炎予防または治療方法;
(17)上記(16)において、薬学組成物(医薬組成物)がインターフェロンを追加に含むことを特徴とするC型肝炎予防または治療方法;
(18)活性成分(有効成分)として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む薬学組成物(医薬組成物)とインターフェロンを一緒に投与することを特徴とするC型肝炎予防または治療方法;
(19)活性成分(有効成分)として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む薬学組成物のC型肝炎予防または治療用途(予防又は治療のための使用);及び
(20)上記(19)において、活性成分(有効成分)として、インターフェロンを追加に含む薬学組成物(医薬組成物)のC型肝炎予防または治療用途(予防又は治療のための使用)に関する。
【発明の効果】
【0024】
HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む本発明の薬学組成物(医薬組成物)は、既存にインターフェロンと併用療法に使用されて来たリバビリンの代わりに使用することができる。また、本発明の薬学組成物(医薬組成物)は、既存にC型肝炎治療のために使用したインターフェロンとリバビリンの併合療法に追加して使用することができる。
【0025】
本発明の薬学組成物(医薬組成物)は、リバビリンが有している貧血に関連した副作用がないため、長期服用が可能であり、付加的にC型肝炎を含めた慢性肝疾患患者の病態を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実験例1の96ウェルプレートの実験構成図である。
【図2】実験例1によって評価したインターフェロンα−2b、フルバスタチン、インターフェロン+フルバスタチン、インターフェロン+フルバスタチン+ウルソデオキシコール酸のC型肝炎ウイルスに対する抑制効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、活性成分として、C型肝炎抑制効果を有するHMG−CoA還元酵素抑制剤と上記C型肝炎抑制効果に対する著しい相乗作用及び肝機能改善効果を有する胆汁酸複合剤の薬学組成物及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、HMG−CoA還元酵素抑制剤としてフルバスタチンと、胆汁酸としてC型肝炎抑制効果に対する著しい相乗作用及び肝機能改善の効果を有するウルソデオキシコール酸複合剤の薬学組成物及びその製造方法に関する。
【0028】
本発明のフルバスタチンとウルソデオキシコール酸の複合剤(複合製剤)は、効果的なC型肝炎ウイルスに対する抑制効果を示すので、既存の経口投与用C型肝炎治療剤として貧血などの副作用を有するリバビリンの代わりに使用することができる。また、既存にインターフェロンとリバビリンの併合療法によって十分な効果を有しなかった患者に対する新しい治療剤となることができる。次の実験例1によってフルバスタチン、ウルソデオキシコール酸及びインターフェロンのC型肝炎ウイルス抑制効果を評価した。
【0029】
実験例1によって本発明の薬学組成物は、C型肝炎抑制効果を有していることが分かる。また、本発明の薬学組成物は、各薬物を単独投与する時より、複合投与する時に相乗効果を有することを確認した。
【0030】
本発明の臨床的な評価をさらに容易な形態でC型肝炎患者に適用させるために、フルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む複合製剤で製造することができ、さらに効率的な適用のために、インターフェロン、フルバスタチン、ウルソデオキシコール酸を含む複合製剤で製造することができる。また、インターフェロンとフルバスタチンまたはインターフェロンとウルソデオキシコール酸をそれぞれ含有する複合製剤を開発し、C型肝炎の治療に使用することができる。
【0031】
フルバスタチンの場合、胆汁経路を通じて消失し、肝で有意的な初回通過代謝を受けやすいため、肝機能が低下したC型肝炎患者に薬物の蓄積が起きる可能性がある。したがって、さらに安全に患者に投与するためには、フルバスタチンの体内での放出速度を調節する必要がある。フルバスタチンの薬物放出速度を調節すれば、初回通過代謝を受ける時間当たり薬物の量を低減し、全体的な薬物の利用率や最高血中濃度が下がることができるが、患者の肝代謝への負担を低減することができるので、さらに安全な投与が可能である。また、フルバスタチンの場合、用量の増加によって体内の最高血中濃度が幾何級数的に増加するので、効果的なC型肝炎治療のためにフルバスタチンの用量を増加させる場合にも、薬物の放出が調節された形態の製剤がさらに安全である。
【0032】
一方、ウルソデオキシコール酸は、体内で受動拡散によって吸収されるが、その吸収率が低く、吸収された薬物の約50%程度が胆汁の形態で排泄される。しかし、吸収されない薬物の場合、腸肝循環を通じてコンジュゲーション(抱合)、デコンジュゲーション(脱抱合)、再吸収の過程が進行され、肝疾患者の場合には、胆汁を通じる排泄量が減少し、正常な肝代謝を受ける場合より、全身に移行される量が多くなる。これは、ウルソデオキシコール酸の場合、製剤内で追加的に薬物の放出を調節することより、体内に投与された後に速く放出されて継続的な腸肝循環をするようにすることが薬効的な側面において有利である。
【0033】
したがって、本発明の新規な組成物は、2つの薬物が異なる放出速度を得ることができるように物理的に分離または区画された、HMG−CoA還元酵素抑制剤またはその薬学的に許容可能なその塩及び薬剤学的(製薬的)に許容される通常の賦形剤よりなる遅延放出型組成物と、胆汁酸及び薬剤学的(製薬的)に許容される通常の賦形剤よりなる即時放出型組成物よりなる。このような物理的な区画は、多様な剤形で具現可能である。例えば、単一錠剤内の顆粒状によって区画される2相マトリックス、多層錠、有核錠、遅延放出型と速放出型の2相の顆粒で充填されたカプセル剤のような剤形で具現可能であり、本発明の範囲は上記例に限定されるものではない。
【0034】
本発明によれば、2相マトリックス錠の場合、例えば、次の要素を含むことを特徴とする。
(a)HMG−CoA還元酵素抑制剤を腸溶性重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性重合体などよりなる群から選択された放出制御物質及び薬剤学的に許容される通常の賦形剤と混合、製粒またはコーティング方法によって得られた粒子または顆粒よりなる遅延放出層。
【0035】
(b)胆汁酸を薬剤学的に許容される通常の賦形剤と混合、練合、乾燥及び製粒のような経口固形剤を生産するための通常の過程を通じて得られた粒子または顆粒及び薬剤学的に許容される通常の賦形剤を使用してなる速放出層。
【0036】
上記剤形は、(a)に示されている遅延放出層が(b)に示されている速放出層によって取り囲まれた形態の2相制御放出製剤である。
上記HMG−CoA還元酵素抑制剤は、薬学的に許容可能な形態を使用することができ、最も好ましくは、フルバスタチン及びフルバスタチンナトリウム塩を使用することが好ましい。しかし、本発明の範囲がフルバスタチンに限定されるものではない。
【0037】
上記胆汁酸は、薬学的に許容可能な形態を使用することができ、最も好ましくは、ウルソデオキシコール酸を使用することが好ましい。しかし、本発明の範囲がウルソデオキシコール酸に限定されるものではない。
【0038】
また、上記剤形の遅延放出層または速放出層には、インターフェロンを追加するか、インターフェロンにフルバスタチンまたはウルソデオキシコール酸を代替して製造することができる。上記インターフェロンは、薬学的に許容可能な形態を使用することができ、最も好ましくは、インターフェロンα−2bを使用することが好ましい。
【0039】
1錠当たりHMG−CoA還元酵素抑制剤の用量は、0.05mg乃至200mgの範囲であり、胆汁酸の用量は、10ミリグラム乃至1,500mgの範囲であり、好ましくは、1錠当たりHMG−CoA還元酵素抑制剤の用量が0.1ミリグラム乃至100ミリグラムの範囲であり、胆汁酸の用量が25ミリグラム乃至1,000ミリグラムの範囲であることが好ましい。
【0040】
1錠当たりインターフェロンの用量は、効力に換算して1000ユニット乃至10億ユニットの範囲であり、好ましくは、1錠当たり1万ユニット乃至1億ユニットの範囲である。
【0041】
腸溶性重合体として、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、シェラック、セルロースアセテートフタレート及びセルロースプロピオネートフタレートよりなる群から選択された1種以上のものが使用されることができ、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが使用される。
【0042】
水不溶性重合体は、薬学的に許容可能なものであって、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート共重合体としてポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアミノエチルメタクリレート)共重合体、エチルセルロース及びセルロースアセテートなどから選択して使用することができる。
【0043】
疎水性化合物は、脂肪酸及び脂肪酸エステル類として、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルステアレート、グリセリルビヘネート、セチルパルミテート、グリセリルモノオレート、ステアリン酸などを選択使用することができ、脂肪酸アルコール類として、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどを選択して使用することができ、ワックス類として、カルナウバワックス、蜜蝋、マイクロクリスタリンワックスなどから選択して使用することができ、無機物質として、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、ビーガムなどを選択して使用することができる。
【0044】
親水性重合体は、糖類としてデキストリン、ポリデキストリン、デキストラン、ペクチン及びペクチン誘導体、アルギン酸塩、ポリガラクツロン酸、キシラン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、アミロース、アミロペクチンなどを選択使用することができ、セルロース誘導体として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどを選択して使用することができ、ガム類として、グアーガム 、ローカストビーンガム、トラガカント、カラギナン、アカシアガム、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガムなどを選択して使用することができ、タンパク質類として、ゼラチン、カゼイン、及びゼインなどを選択して使用することができ、ポリビニル誘導体として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアセタルジエチルアミノアセテートなどを選択使用することができ、ポリメタクリレート共重合体として、ポリ(ブチルメタクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)共重合体などを選択して使用することができ、ポリエチレン誘導体として、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドなどを選択して使用することができ、カルボキシビニルポリマーとしてカルボマーを使用することができる。
【0045】
以下、本発明のHMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む薬学組成物の製造方法を各段階別に具体的に説明する。
【0046】
第1段階は、活性成分(有効成分)としてHMG−CoA還元酵素抑制剤またはその薬学的に許容される塩を腸溶性重合体、水不溶性重合体、疎水性化合物、親水性重合体などよりなる群から選択された制御放出物質及び薬剤学的に許容される通常の賦形剤と混合、練合、乾燥、製粒またはコーティング方法によって得られた粒子または顆粒よりなる遅延放出組成物を得る段階である。
【0047】
第2段階は、活性成分(有効成分)として胆汁酸を薬剤学的に許容される賦形剤とともに混合、練合、乾燥及び製粒のような経口固形剤を生産するための通常の過程を通じて得られた粒子または顆粒よりなる速放出型組成物を得る段階である。胆汁酸混合物の流動性が直接打錠が可能な場合、混合して組成物を得ることができ、流動性が良くない場合、圧着、製粒及び整粒を通じて顆粒化して組成物を得ることができる。
【0048】
第3段階は、第1、第2段階で各々得られた粒子または顆粒物を薬剤学的な賦形剤と後混合して打錠するか、またはカプセルに充填して経口投与用錠剤を得る段階である。
【0049】
本過程によって本発明のHMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸の制御放出を構成する2相のマトリックス錠剤が形成される。しかし、本発明で示すことができる制御放出の剤形が単一錠剤に打錠し、胆汁酸速放出層にHMG−CoA還元酵素抑制剤遅延放出層が位置する2相マトリックス錠剤に限定されるものではない。
【0050】
第1、第2段階で得られた顆粒物を薬剤学的な賦形剤と混合した後、多重打錠機を使用して各層が平行な二重錠または3重錠に打錠し、各層による速放出型と遅延放出が可能な経口投与用錠剤を得ることができる。
【0051】
また、第1段階で得られた顆粒物を薬剤学的な賦形剤と混合及び打錠し、これを核錠(内核錠)にし、第2段階で得られた顆粒物を薬剤学的な賦形剤と混合した後、外層にして打錠し、外層に速放出型層と遅延放出が可能な有核錠を有する経口投与用錠剤を得ることができる。
【0052】
また、第1、第2段階で得られた顆粒物を必要に応じて薬剤学的な賦形剤と混合してカプセルに充填し、2相の制御放出が可能なカプセル剤の経口投与製剤を得ることができる。
【0053】
上記した活性成分と遅延放出剤以外に、上記錠剤層には、本発明の効果を損なわない範囲内で、薬学的に許容可能な希釈剤として、澱粉、微細結晶性セルロース、乳糖、葡萄糖、マンニトール、アルギネート、アルカリ土類金属塩、ポリエチレングリコール及びジカルシウムホスフェートなどを使用することができる。結合剤として、澱粉、微細結晶性セルロース、高分散性シリカ、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ガム、合成ガム、コポビドン及びゼラチンなどを使用することができる。崩壊剤として、ナトリウム澱粉グリコレート、とうもろこし澱粉、じゃがいも澱粉または予備ゼラチン化澱粉などの澱粉または変性澱粉と、ベントナイト、モンモリロナイト、ビーガム(vee gum)などのクレイと、微細結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類と、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸などのアルギン類と、クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウムなどの架橋セルロース類と、クロスポビドン(crospovidone)などの架橋重合体と、重炭酸ナトリウムとクエン酸などの発泡性添加物などを混合使用することができる。潤滑剤として、タルク、アルカリ土類金属ステアリン酸類、ラウリルサルフェート、水素化植物性オイル、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムステアリルフマレート、グリセリルモノステアレート及びポリエチレングリコール4000などを使用することができ、その他、着色剤、香料の中から選択された多様な添加剤として、薬学的に許容可能な添加剤を選択して使用することができる。
【0054】
このような添加剤として、本発明の実施例では、微結晶セルロース、ナトリウム澱粉グリコレート、ナトリウムラウリルサルフェート、ステアリン酸マグネシウムなどを使用しているが、本発明の範囲が上記添加剤を使用するものに限定されるものではなく、上記添加剤は、当業者の選択によって通常の範囲の用量を含むことができる。
【0055】
また、必要に応じて上記錠剤層の外面にフィルム状のコーティング層を形成させることができる。
【0056】
本発明のHMG−CoA還元酵素抑制剤及び胆汁酸の薬学組成物は、コーティング層がない裸錠の形態でも使用可能であるが、上記有効成分を含有する錠剤層の表面にコーティング層を形成して使用する場合、活性成分の安定性をさらに確保することができるという利点がある。
【0057】
上記コーティング層を形成する方法は、上記成分を使用して錠剤層の表面にフィルム状のコーティング層を形成することができる方法のうち当業者の選択によって適切に選択することができ、好ましくは、パンコーティング法を使用することが好ましい。
【0058】
上記コーティング層は、被膜剤、被膜補助剤またはこれらの混合物を使用することができるが、具体的に、上記コーティング層は、被膜剤として、セルロース誘導体、糖誘導体、ポリビニル誘導体、ワックス類、脂肪類及びゼラチンなどを使用することができ、被膜補助剤として、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、グリセライド類、酸化チタン及びジエチルフタレートなどの中から選択された1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0059】
この際、コーティング錠に剤形化する場合、上記コーティング層は、錠剤の全体重量に対して0.5〜15重量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0060】
(実施例)
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明が下記実施例によって限定されるものではない。
【0061】
実施例1:フルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
(1)フルバスタチン徐放型顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩、微結晶セルロース、ポビドンを20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。精製水を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて、3分間練合した後、流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定し、2%未満になるまで乾燥させた後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを35号篩に篩過して追加し、混合した。最終的にステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して追加し、混合した。
【0062】
(2)ウルソデオキシコール酸顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解して結合液にした。別に、ウルソデオキシコール酸、微結晶セルロース、とうもろこし澱粉を20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。結合液を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後、20号篩が設置されたオシレーターを使用して篩過した。流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定する時、2%以下になるまで乾燥した後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウム澱粉グリコレートを35号篩に篩過した後、混合した。最終的にステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して追加し、混合した。
【0063】
(3)打錠及びコーティング
多層錠打錠機(MRC−37T:SEJONG、韓国)を使用して打錠した。ウルソデオキシコール酸を含む組成物を1次粉末供給機に入れ、フルバスタチン徐放層組成物を2次粉末供給機に入れて層間の混入を最小化することができる条件で打錠した。ハイコーター(SFC−30N、SEJONG機械、韓国)でフィルムコーティング層を形成し、多層錠形態の徐放錠を製造した。
【0064】
実施例2:フルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
(1)フルバスタチン徐放型顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩、微結晶セルロース、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを20号篩に 篩過した後、二重円錐型混合機に入れて60分間混合した後、15〜20Mpaの圧力条件でローラコンパクトしてスラッグ化した。これを14号篩が設置された整粒機を利用して整粒した後、最終的にステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して追加し、混合した。
【0065】
(2)ウルソデオキシコール酸顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解して結合液にした。別に、ウルソデオキシコール酸、微結晶セルロース、とうもろこし澱粉を20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。結合液を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後20号篩が設置されたオシレーターを使用して篩過した。流動層乾燥機で90℃でLODを測定する時、2%以下になるまで乾燥した後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウム澱粉グリコレートを35号篩に篩過した後、混合した。最終的にステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して追加し、混合した。
【0066】
(3)打錠及びコーティング
多層錠打錠機(MRC−37T:SEJONG、韓国)を使用して打錠した。ウルソデオキシコール酸を含む組成物を1次粉末供給機に入れ、フルバスタチン徐放層組成物を2次粉末供給機に入れて層間の混入を最小化することができる条件に打錠した。ハイコーター(SFC−30N:SEJONG機械、韓国)としてフィルムコーティング層を形成し、多層錠形態の徐放錠を製造した。
【0067】
実施例3:フルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含むカプセル型の薬学組成物製造
(1)フルバスタチン徐放型顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩、微結晶セルロース、ポビドン、ポリエチレンオキサイド、キサンタンガムを20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。精製水を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後、流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定し、2%未満になるまで乾燥させた後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。
【0068】
(2)ウルソデオキシコール酸顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解して結合液にした。別に、ウルソデオキシコール酸、微結晶セルロース、とうもろこし澱粉、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウム澱粉グリコレートを20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。結合液を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後、20号篩が設置されたオシレーターを使用して篩過した。流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定する時、2%以下になるまで乾燥した後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。
【0069】
(3)後混合及びカプセル充填
それぞれの顆粒を二重円錐型混合機に入れて混合した。次の表1に記載の成分及び含量のように、軽質無水ケイ酸を35号篩に篩過して入れて混合した後、ステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して入れて混合した。最終混合した混合物を粉末供給機に投入し、カプセル充填機を利用して0号カプセルに充填した。
【0070】
実施例4:フルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む2相マトリックス製剤の製造
(1)フルバスタチン徐放型顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩、微結晶セルロース、ポビドン、エチルセルロースを20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。精製水を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後、流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定し、2%未満になるまで乾燥させた後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。
【0071】
(2)ウルソデオキシコール酸顆粒の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解して結合液にした。別に、ウルソデオキシコール酸、微結晶セルロース、とうもろこし澱粉を20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合する。結合液を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後、20号篩が設置されたオシレータを使用して篩過した。流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定する時、2%以下になるまで乾燥した後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウム澱粉グリコレートを35号篩に篩過した後、混合した。
【0072】
(3)打錠及びコーティング
それぞれの顆粒を二重円錐型混合機に入れて混合した。次の表1に記載の成分及び含量のように、軽質無水ケイ酸を35号篩に篩過して入れて混合した後、ステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して入れて混合した。ロータリー打錠機(MRC−33:SEJONG、韓国)を使用して打錠し、ハイコーター(SFC−30N:SEJONG機械、韓国)でフィルムコーティング層を形成し、マトリックス形態の徐放錠を製造した。
【0073】
実施例5:フルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む有核錠形態の薬学組成物製造
(1)フルバスタチン徐放型核錠の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩、微結晶セルロース、ポビドンを20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。精製水を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後、流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定し、2%未満になるまで乾燥させた後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを35号篩に篩過して追加して混合した後、ステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して追加して混合した。ロータリー打錠機(MRC−33:SEJONG、韓国)を使用して打錠し、これを核錠とした。
【0074】
(2)ウルソデオキシコール酸ツングの製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、ヒドロキシプロピルセルロースを精製水に溶解して結合液にした。別に、ウルソデオキシコール酸、微結晶セルロース、とうもろこし澱粉を20号篩に篩過した後、高速混合機に入れて3分間混合した。結合液を主成分混合物が入っている高速混合機に加えて3分間練合した後、20号篩が設置されたオシレータを使用して篩過した。流動層乾燥機を利用して90℃でLODを測定する時、2%以下になるまで乾燥した後、20号篩が設置された整粒機を利用して整粒した。ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウム澱粉グリコレートを35号篩に篩過した後、混合した。ステアリン酸マグネシウムを35号篩に篩過して追加して混合した。
【0075】
(3)打錠及びコーティング
有核錠打錠機(RUD−1:Kilian)を使用してフルバスタチン徐放型核錠を内核とし、ウルソデオキシコール酸を含む組成物を外層とする錠剤を打錠した。ハイコーター(SFC−30N:SEJONG機械、韓国)を用いてフィルムコーティング層を形成し、有核錠形態の徐放錠を製造した。
【0076】
実施例6:フルバスタチンとケノデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、ウルソデオキシコール酸の代わりに、ケノデオキシコール酸を含むことを除いて、実施例1と同様である。
【0077】
実施例7:フルバスタチンとデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、ウルソデオキシコール酸の代わりに、デオキシコール酸を含むことを除いて、実施例1と同様である。
【0078】
実施例8:アトルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩の代わりに、アトルバスタチンカルシウム塩を含むことを除いて、実施例1と同様である。
【0079】
実施例9:ロバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩の代わりに、ロバスタチンを含むことを除いて、実施例1と同様である。
【0080】
実施例10:ピタバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩の代わりに、ピタバスタチンカルシウム塩を含むことを除いて、実施例1と同様である。
【0081】
実施例11:ロスバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩の代わりに、ロスバスタチンを含むことを除いて、実施例1と同様である。
【0082】
実施例12:シンバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む多層錠形態の薬学組成物製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、フルバスタチンナトリウム塩の代わりに、シンバスタチンを含むことを除いて、実施例1と同様である。
【0083】
比較例1:フルバスタチン錠剤の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、実施例1のフルバスタチン徐放型顆粒の製造方法によってフルバスタチン顆粒を製造した後、ロータリー打錠機(MRC−33:SEJONG、韓国)を使用して打錠し、ハイコーター(SFC−30N:SEJONG機械、韓国)でフィルムコーティング層を形成し、マトリックス形態の徐放錠を製造した。
【0084】
比較例2:ウルソデオキシコール酸錠剤の製造
次の表1に記載の成分及び含量のように、実施例1のウルソデオキシコール酸顆粒の製造方法によってウルソデオキシコール酸顆粒を製造した後、ロータリー打錠機(MRC−33:SEJONG、韓国)を使用して打錠し、ハイコーター(SFC−30N:SEJONG機械、韓国)を用いてフィルムコーティング層を形成し、マトリックス形態の徐放錠を製造した。
【0085】
【表1】

【0086】
上記実施例3にしたがって、ウルソデオキシコール酸の代わりに、インターフェロンを含有するカプセル剤を製造することができる。あるいは、ウルソデオキシコール酸を含有する顆粒を、インターフェロンを追加の成分として使用して、製造することができる。
【0087】
実験例1:薬物別にC型肝炎ウイルスに対する抑制効果比較
(1)試験液の製造
インターフェロンα−2b、フルバスタチン、ウルソデオキシコール酸、インターフェロン+フルバスタチン、インターフェロン+フルバスタチン+ウルソデオキシコール酸を表2のように最終濃度を有するように希釈した。
【0088】
【表2】

【0089】
(2)細胞分株
イ.試験液を該当ウェルに50μLずつ入れ、ブランク(Blank)、ノーマル(Normal)及びビヒクル(vehicle)ウェルは、実験培地を50μLずつ入れた後、CO培養器に30分間放置した。
ロ.倍加時間(Doubling time)が22時間に維持されるA549細胞を実験培地で浮遊し、4x10/mL濃度で20mL製作した。
ハ.上記イのプレートにブランクウェルを除いた残りのウェルに試験液を50μLずつ入れ、ブランクウェルは、実験培地を50μLずつ入れた後、CO培養器に24時間放置した。
【0090】
(3)C型肝炎ウイルス感染
イ.EMCウイルス原液を5x10−3に希釈した(用時製造)
ロ.ブランク及びノーマルを除いたすべての試験群の該当ウェルに上記希釈液を50μLずつ処理し、ブランク及びノーマルウェルは、実験培地を50μLずつ入れた後、CO培養器に24時間放置した。
【0091】
(4)MTTアッセイ
イ.MTTラベル用試薬を15μLずつ添加した。
ロ.CO培養器で4時間培養した。
ハ.可溶化溶液を各ウェルごとに150μLずつ添加した。
二.ウイルス用37℃CO培養器で一晩(12時間〜18時間)放置した。
ホ. 紫色ホルマザンの溶解化を確認し、マイクロプレート読取り機を利用して550nmと600nm間の波長で吸光度を測定した。
【0092】
実験例1によって測定されたC型肝炎ウイルスに対する抑制効果は、表3の通りである。
【0093】
【表3】

【0094】
実験例1に使用した試験液の濃度は、既存に使用される量と比較して10分の1、または100分の1水準であったが、すべての試験群において抗ウイルス効果を観察することができた。インターフェロンα−2bとフルバスタチンを使用した試験群の場合、インターフェロンのみを使用した試験群より約1.4高いC型肝炎ウイルス抑制効果を示すことを確認することができる。ウルソデオキシコール酸のみを使用した実験群の場合、主に2000年代以後に報告されたように、C型肝炎ウイルスを直接的に抑制しなかった。しかし、インターフェロンとともに本発明のフルバスタチンとウルソデオキシコール酸を一緒に併用した場合には、インターフェロンのみを使用した実験群に比べて約1.7倍高いC型肝炎抑制効果を示すことを確認することができ、インターフェロンとフルバスタチンを併用した試験群と比較しても、予期しない追加的な抑制効果を示すことを確認することができた。また、ウルソデオキシコール酸が複合された場合、細胞毒性測定試験の結果、毒性が少なくて、上記結果を考慮してみれば、フルバスタチンとウルソデオキシコール酸を含む本発明の薬学組成物は、優れたC型肝炎ウイルス治療剤になることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてHMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含むC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項2】
HMG−CoA還元酵素抑制剤として、フルバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、リバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン及びそれらの塩よりなる群から選択された1つ以上を含む請求項1に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項3】
HMG−CoA還元酵素抑制剤として、フルバスタチンまたはその塩を含む請求項2に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項4】
フルバスタチンの塩がナトリウム塩であることを特徴とする請求項3に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項5】
胆汁酸として、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸及びそれらの塩よりなる群から選択された1つ以上を含む請求項1に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項6】
胆汁酸として、ウルソデオキシコール酸またはその塩を含む請求項5に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項7】
HMG−CoA還元酵素抑制剤の用量は、0.05mg乃至200mgの範囲であり、胆汁酸の用量は、10mg乃至1,500mgの範囲である請求項1に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項8】
HMG−CoA還元酵素抑制剤の用量は、0.1mg乃至100mgの範囲であり、胆汁酸の用量は、25mg乃至1,000mgの範囲である請求項7に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項9】
インターフェロンを追加に含む請求項1に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項10】
インターフェロンの用量は、1000ユニット乃至10億ユニットの範囲である請求項9に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項11】
インターフェロンの用量は、1万ユニット乃至1億ユニットの範囲である請求項10に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項12】
2相マトリックス、多層錠または有核錠形態である請求項1に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項13】
遅延放出型と速放出型の2相の顆粒を含むカプセル形態である請求項1に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項14】
多層錠の形態で製造した請求項12に記載のC型肝炎治療用薬学組成物。
【請求項15】
活性成分としてHMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含むC型肝炎治療用併用製剤。
【請求項16】
活性成分として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む薬学組成物を投与することを特徴とするC型肝炎予防または治療方法。
【請求項17】
薬学組成物がインターフェロンを追加に含むことを特徴とする請求項16に記載のC型肝炎予防または治療方法。
【請求項18】
活性成分として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む薬学組成物とインターフェロンを一緒に投与することを特徴とするC型肝炎予防または治療方法。
【請求項19】
活性成分として、HMG−CoA還元酵素抑制剤と胆汁酸を含む薬学組成物のC型肝炎予防または治療用途。
【請求項20】
活性成分として、インターフェロンを追加に含む薬学組成物の請求項16に記載のC型肝炎予防または治療用途。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−500558(P2011−500558A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528811(P2010−528811)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005965
【国際公開番号】WO2009/048289
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508149825)ハンオル バイオファーマ カンパニー,リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】HANALL BIOPHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】400−1 Sangseo−dong, Daedeok−gu, Daejeon 306−120 Republic of Korea
【Fターム(参考)】