説明

ICタグ及びICタグを用いた濡れ検出システム並びに濡れ検出おむつ

【課題】 生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができるICタグ、及びそのICタグで検出した濡れ状態に応じて柔軟な対応をとることができる濡れ検出システム並びにそのICタグを用いて装着者の負担を軽減しながら濡れ状態を容易に検出することができる濡れ検出おむつを提供する。
【解決手段】 濡れ検出システム10であって、少なくとも、所定の情報が格納されているICチップ及び該ICチップに電気的に接続されることで所定の外部アンテナ20を介して所定の装置に情報を発信する非接触通信用アンテナコイルを有するICタグ30と、外部アンテナ20を有しており、当該外部アンテナ20を介してICタグ30から発信される情報又はその受信状態に基づいてICタグ30が装着されている部位の濡れ状態を検出する検出装置40とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濡れ状態を検出することが可能なICタグ、及びそのICタグを用いて各種部位の濡れ状態を検出する濡れ検出システム並びに濡れ状態を検出することが可能なICタグを用いた濡れ検出おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康の保全・増進をはかると共に、疾病に対する予防・治療に努めるために、あらゆる場面における衛生面が見直されている。特に、病人のいる病院や施設、又は免疫力が劣る幼児や老人のいる一般家庭などにおいては、生活全般において状態や環境を清潔に保つことが心がけられている。例えば、病院や施設においては、体の不自由な病人が多く、疾病に対する予防・治療のために、おむつの交換又は肌着の取替が必須となっていた。すなわち、糞尿があったにも関わらずおむつの交換をしない時間が継続したり、大量の発汗にも関わらず肌着を取り替えない時間が継続したりすると、カビ、かぶれ、冷え、及び床ずれなどの副次的な症状を引き起こす原因となるからである。また、一般家庭においても、老人及び幼児のおむつの交換、又は定期的な部屋の換気をすることが衛生面や健康面を維持するために必要不可欠となっている。
【0003】
しかしながら、おむつの交換又は肌着の取替は、介護者などにとって非常に負担の大きい作業であった。すなわち、糞尿の有無又は汗の排出には個人差が非常に大きく、時間帯や頻度も異なるため、個人に応じてきめ細かく対応することが困難であった。また、定期的に部屋を換気する場合も、部屋の状態を常時監視しておくことが前提となるため、負担が大きかった。
【0004】
上述のような状況から、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を検出して、清潔な状態や環境を維持し、特に、病人、老人、及び幼児などが快適に生活を送ることができるようなシステムの構築が望まれていた。
【0005】
なお、濡れ検出に関する技術として、例えば、取り扱いが容易で且つ低コストで連続製造ができる濡れ検出可能なおむつ(特許文献1参照)、及びLC共振タグを内蔵してLC共振タグのエコー波により衛生用品の汚れを検知するサニタリー用センサーシステム(特許文献2参照)が提案されているが、何れもおむつ又はサニタリー用品に直接的に他の装置を取り付ける必要があるため、装着者の身体に与える負担が大きかった。また、何れの技術も、専ら糞尿を検出するためのものであるため、生活一般で発生するあらゆる部位の濡れ状態を状況などに応じて検出できるものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−052563号公報
【特許文献2】特開2001−134726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができるICタグ、及びそのICタグで検出した濡れ状態に応じて柔軟な対応をとることができる濡れ検出システム並びにそのICタグを用いて装着者の負担を軽減しながら濡れ状態を容易に検出することができる濡れ検出おむつを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、少なくとも、所定の情報が格納されているICチップと該ICチップに電気的に接続される非接触通信用アンテナコイルとを有し、外部アンテナから発信される電波を介しての非接触通信用アンテナコイルの起電をトリガとして起電した際に、非接触方式で情報を該外部アンテナへ送信するICタグにおいて、前記非接触通信用アンテナコイルが前記外部アンテナからの電波を受信して起電した際に、前記ICチップに予め格納された自身を識別するための識別番号を送信する一方で、濡れ状態となった場合に濡れ状態であることを示す信号を発信する又は自身の識別番号を発信しないことを特徴とするICタグにある。
【0009】
かかる第1の態様では、非接触通信用アンテナコイルが外部アンテナからの電波を受信して起電した際に、ICチップに予め格納された自身を識別するための識別番号が送信される一方で、濡れ状態となった場合に濡れ状態であることを示す信号が発信される又は自身の識別番号が発信されない。これにより、発信される情報又はその受信状態に基づいて、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ICチップに電気的に接続されて、電圧値の変動より濡れ状態を検知する濡れ検知端子をさらに具備し、当該濡れ検知端子の電圧が定格値以下となった場合に濡れ状態を示す信号を発信する一方で、当該濡れ検知端子の電圧が定格値を超えた場合に乾き状態を示す信号を発信することを特徴とするICタグにある。
【0011】
かかる第2の態様では、濡れ検知端子の電圧が定格値以下となった場合に濡れ状態を示す信号が発信される一方で、定格値を超えた場合に乾き状態を示す信号が発信される。これにより、発信される信号に基づいて状態を把握することができ、例えば、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記非接触通信用アンテナコイルと電気的に接続されると共に、ショートすることで濡れ状態を検知する濡れ検知端子をさらに具備し、当該濡れ検知端子がショートした場合に、ICチップ内で受電できないことで起電による識別番号を発信しないことを特徴とするICタグにある。
【0013】
かかる第3の態様では、濡れ状態で濡れ検知端子がショートした場合に、ICチップに受電されずに起電による識別番号が発信されない。これにより、情報の受信状態に基づいて濡れ状態を把握することができ、例えば、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、少なくとも、所定の情報が格納されているICチップ及び該ICチップに電気的に接続されることで所定の外部アンテナを介して所定の装置に情報を発信する非接触通信用アンテナコイルを有するICタグと、前記外部アンテナを有しており、当該外部アンテナを介してICタグから発信される情報又はその受信状態に基づいて前記ICタグが装着されている部位の濡れ状態を検出する検出装置とを具備することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0015】
かかる第4の態様では、ICタグから発信される情報又はその受信状態に基づいて、ICタグが装着されている部位の濡れ状態が検出される。これにより、濡れ状態を検出したい部位にICタグを装着することで、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記ICタグは、前記ICチップに接続された濡れ検知端子の電圧値の変動に応じて、濡れ状態を示す情報又は乾き状態を示す情報の何れかを発信することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0017】
かかる第5の態様では、電圧値の変動に応じて、濡れ状態又は乾き状態の何れかを示す情報が発信される。これにより、ICタグから発信される情報に基づいて、確実に各種部位の濡れ状態を検出することができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、第4の態様において、前記ICタグは、通常状態で情報を発信すると共に、濡れ状態で情報を発信しないことを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0019】
かかる第6の態様では、通常状態で情報が発信されると共に、濡れ状態では情報が発信されない。これにより、ICタグから発信される情報の受信状態に基づいて、確実に各種部位の濡れ状態を検出することができる。
【0020】
本発明の第7の態様は、第4〜6の何れかの態様において、前記検出装置は、前記ICタグで検出された濡れ状態を管理する管理コンピュータと接続されており、当該管理コンピュータは、検出した濡れ状態に応じた対応を指示することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0021】
かかる第7の態様では、検出された濡れ状態に応じた対応が指示される。これにより、検出した各種部位の濡れ状態に応じて適宜柔軟な対応をとることが可能となる。
【0022】
本発明の第8の態様は、第4〜7の何れかの態様において、前記ICタグがおむつに組み込まれている場合に、前記検出装置が当該ICタグにおける濡れ状態を検出した際に、前記管理コンピュータは、当該おむつの交換を指示することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0023】
かかる第8の態様では、おむつの濡れ状態が検出された際に、そのおむつの交換が指示される。これにより、糞尿の有無を的確に検出することができるため、例えば、おむつの交換の遅れにより発生するカビ、かぶれ、冷え、及び床ずれなどを予防することが可能となる。
【0024】
本発明の第9の態様は、第4〜8の何れかの態様において、前記ICタグが前記部位として肌着に装着されている場合に、前記検出装置が当該ICタグにおける濡れ状態を検出した際に、前記管理コンピュータは、当該肌着の取替を指示することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0025】
かかる第9の態様では、肌着の濡れ状態が検出された際に、その肌着の取替が指示される。これにより、発汗の有無を的確に検出することができるため、例えば、肌着の取替の遅れにより発生するカビ、かぶれ、冷え、及び床ずれなどを予防することが可能となる。
【0026】
本発明の第10の態様は、第4〜9の何れかの態様において、前記ICタグが前記部位として壁、窓、及び床の何れかに設置されている場合に、前記検出装置が当該ICタグにおける濡れ状態を検出した際に、前記管理コンピュータは、当該部位及びその周辺の換気を指示することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0027】
かかる第10の態様では、壁、窓、及び床の何れか濡れ状態が検出された際に、その部位及び周辺の換気が指示される。これにより、例えば、カビ、ダニなどの発生を予防して、室内環境を清潔に保持することが可能となる。
【0028】
本発明の第11の態様は、第10の態様において、前記ICタグが濡れ状態で情報を発信しないものであり、前記検出装置が当該ICタグからの情報を受信した場合に、前記管理コンピュータは、前記ICタグが通常状態に回復したと判断して換気の中止を指示することを特徴とする濡れ検出システムにある。
【0029】
かかる第11の態様では、検出装置がICタグからの情報を受信した場合に、換気の中止が指示される。これにより、例えば、室内の濡れ状態に基づいて室内の換気を適切に行うことが可能となる。
【0030】
本発明の第12の態様は、所定の情報が格納されているICチップ及び該ICチップに電気的に接続されることで所定の外部アンテナを介して外部に情報を発信する非接触通信用アンテナコイルを有するICタグを少なくとも糞尿が検知できる所定の位置に組み込むことで、前記外部アンテナから発信される電波が受信できるか否か又は所定の識別番号が発信できるか否かに基づいて濡れ状態を検出することを特徴とする濡れ検出おむつにある。
【0031】
かかる第12の態様では、ICタグを少なくとも糞尿が検知できる所定の位置に組み込むことで、外部アンテナから発信される電波が受信できるか否か又は所定の識別番号が発信できるか否かに基づいて濡れ状態が検出される。これにより、濡れ状態を容易に検出することができるおむつを提供することができる。
【0032】
本発明の第13の態様は、第12の態様において、前記ICタグは、濡れ状態では前記電波を利用して情報を発信しないことを特徴とする濡れ検出おむつにある。
【0033】
かかる第13の態様では、濡れ状態では電波を利用して情報が発信されない。これにより、通信の有無により確実かつ容易に濡れ状態を検出することができるおむつとすることができる。
【0034】
本発明の第14の態様は、第12の態様において、前記ICタグは、濡れ状態では濡れ状態を示す識別番号を発信することを特徴とする濡れ検出おむつにある。
【0035】
かかる第14の態様では、濡れ状態では濡れ状態を示す識別番号が発信される。これにより、識別番号の内容により確実かつ容易に濡れ状態を検出することができるおむつとすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ICタグから発信される情報又はその受信状態に基づいて、ICタグが装着されている部位の濡れ状態が検出されることで、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができるICタグ、及びその検出した濡れ状態に応じて柔軟な対応をとることができる濡れ検出システムを提供することが可能となる。また、上述のようなICタグをおむつに組み込むことで、装着者の負担を軽減しながら濡れ状態を容易に検出することができる濡れ検出おむつを提供することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明の構成は以下の説明に限定されない。
【0038】
本実施形態では、まず、生活一般で発生する各種部位の濡れ状態を確実に検出することができるICタグとして、2種類のタイプのICタグを例に挙げて説明する。これらのICタグは、以下の説明において、第1のICタグ及び第2のICタグと称する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る第1のICタグの回路構成の概略を示すブロック図である。
【0040】
図1に示すように、第1のICタグ30aは、少なくとも、所定の情報が格納されているICチップ31と該ICチップ31に電気的に接続される非接触通信用アンテナコイル32とを有し、外部アンテナから発信される電波を介しての非接触通信用アンテナコイル32の起電をトリガとして起電した際に、非接触方式で情報を該外部アンテナへ送信する。このようなICチップ31としては、例えば、電源34、制御部35、及び信号部36を有する一般的にRFID(Radio Frequency Identification)などで用いられている3〜5mm角のチップマイコンを想定しているため、詳細な説明については省略する。なお、上述した非接触通信用アンテナコイル32とは、例えば、直列に接続された2つのコンデンサCを介して接続されるアンテナ機能を備えた誘電コイルである。
【0041】
本実施形態では、上述のようなICタグ30aにおいて、ICチップ31に電気的に接続されて、電圧値の変動より濡れ状態を検知する濡れ検知端子33をさらに具備することで、非接触通信用アンテナコイル32が外部アンテナからの電波を受信して起電した際に、ICチップ31に予め格納された自身を識別するための識別番号を送信する一方で、濡れ状態となった場合に濡れ状態であることを示す信号を発信するように動作する。ここで、濡れ状態であることを示す信号として、例えば、ビットで構成されるビット情報又は上述した識別番号とは異なる濡れ状態を示す他の識別番号を挙げることができる。また、本実施形態では、濡れ検知端子33は、ICチップ31内で抵抗Rを介して電気的に接続されるものである。
【0042】
このように、例えば、濡れ状態で濡れ検知端子33の電圧が定格値以下となった場合に濡れ状態を示す信号が発信される一方で、その濡れ検知端子33の電圧が定格値を超えた場合に乾き状態を示す信号が発信されるようになっている。ここで、乾き状態を示す信号としても同様に、例えば、ビットで構成されるビット情報又は乾き状態を示す他の識別番号を挙げることができる。また、乾き状態を示す信号として識別番号を採用する場合には、例えば、通常状態で発信される自身を識別するための識別番号を用いてもよいし、別の識別番号を用いるようにしてもよい。
【0043】
ここで、上述したICタグ30aの具体的な動作について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るICタグ30aの動作例を示すフローチャートである。なお、図2に示す読み取り機は、以降の説明における図4〜図6に例示された検出装置40又は40aに相当するものである。
【0044】
まず、読み取り機のアンテナコイル(後述する外部アンテナ20に相当)に電圧が印加されて通電が行なわれると(S1)、非接触通信用アンテナコイル32を介してICタグ30aが加電される。このとき、ICタグ30aでは、ICチップ31に受電されたか否かが確認される(S2)。そして、受電されている場合(S3;Yes)には、濡れ検知端子33の電圧値の状態が確認される(S4)。ここで、濡れ検知端子33が定格値を超える場合(S5;High)には、乾き状態であると判断されて、乾き状態を示す信号を発信する(S6)。本実施形態では、乾き状態を示す信号として信号全体の上位ビットが出力されることを想定している。また、このとき、乾き状態を示す識別番号として自身を識別するための識別番号を発信するようにしてもよい。一方、濡れ検知端子33が定格値以下である場合(S5;Low)には、濡れ状態であると判断されて、濡れ状態を示す信号を発信する(S7)。本実施形態では、濡れ状態を示す信号として信号全体の下位ビットが出力されることを想定している。また、このとき、濡れ状態を示す識別番号を発信するようにしてもよい。
【0045】
一方、ICタグ30aに対して加電した読み取り機は、ICタグ30aから通知される信号を待つ(S8)。ここで、通知があった場合(S8;Yes)には、その信号の判別を行う(S9)。このとき、信号が上位ビットである場合には、乾き状態を示す通知であると判断される(S10)。このとき、例えば、読み取り機では青ランプを発光することで、乾き状態であることが読み取り機を操作する看護婦などに分かるようにすればよい。また、信号が下位ビットである場合には、濡れ状態を示す通知であると判断される(S11)。このとき、例えば、読み取り機では赤ランプを発光する又は警報を鳴らすことで、濡れ状態であることが読み取り機を操作する看護婦などに分かるようにすればよい。
【0046】
また、ステップS8において、例えば、3秒経過しても通知がない場合(S12;Yes)には、ICタグ30aに異常があったものと判断して、その旨が通知される(S13)。
【0047】
次に、第2のICタグについて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る第2のICタグの回路構成の概略を示すブロック図である。なお、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0048】
図3に示すように、第2のICタグ30bは、第1のICタグ30aと同様に、少なくとも、所定の情報が格納されているICチップ31と該ICチップ31に電気的に接続される非接触通信用アンテナコイル32とを有し、外部アンテナから発信される電波を介しての非接触通信用アンテナコイル32の起電をトリガとして起電した際に、非接触方式で情報を該外部アンテナへ送信する。
【0049】
本実施形態では、上述のようなICタグ30bにおいて、非接触通信用アンテナコイル32と電気的に接続されると共に、ショートすることで濡れ状態を検知する濡れ検知端子33をさらに具備することで、非接触通信用アンテナコイル32が外部アンテナからの電波を受信して起電した際に、ICチップ31に予め格納された自身を識別するための識別番号を送信する一方で、濡れ状態となった場合に自身の識別番号を発信しないようになっている。
【0050】
具体的には、濡れ状態で濡れ検知端子33がショートした場合に、ICチップ31内で受電できないことで起電による識別番号が発信されないようになっている。すなわち、非接触通信用アンテナコイル32が濡れることで濡れ検知端子33がショートすると、その端子間で抵抗値がなくなった状態となり、図示するコンデンサCに加電できずにICチップ31が受電されないために、ICタグ30bは情報を発信することができなくなる。このため、例えば、ICタグ30bが濡れていないときは、読み取り機などのアンテナに電圧を印加すれば、ICチップ31が受電して識別番号を発信するが、濡れているときは、ICチップ31への受電が不能となり、ICタグ30b自体が動作しないことになる。
【0051】
ここで、上述したICタグ30a及び30bを適用した濡れ検出システムについて説明する。なお、以下の説明において、ICタグ30a及び30bを総称したものをICタグ30と称して説明する。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に係る濡れ検出システムのシステム構成を示す図である。なお、本実施形態では、病室の部位又は病室で過ごす病人の部位の濡れ状態を検出する場合を例示している。
【0053】
図示するように、濡れ検出システム10は、外部アンテナ20、ICタグ30、検出装置40、及び管理コンピュータ50を具備している。ここで、ICタグ30は、濡れ状態を検出するポイントとなる各種部位に装着される。例えば、本実施形態では、病室の壁、窓、及び床など結露が生じ易い何れかの部位に装着したり、病人のおむつ内又は肌着などに装着したりすることが考えられる。
【0054】
ICタグ30は、少なくとも、所定の情報が格納されているICチップ31及び該ICチップ31に電気的に接続されることで外部アンテナ20を介して検出装置40に情報を発信する非接触通信用アンテナコイル32を有する。ここにいうICタグ30としては、例えば、2種類のタイプのセンサを挙げることができる。
【0055】
第1に、濡れ状態となった場合に濡れ状態であることを示す信号又は識別番号を発信するタイプのセンサとして上述した第1のICタグ30aを挙げることができる。この場合、例えば、通常状態である乾き状態では、非接触通信用アンテナコイル32が外部アンテナ20から発せられる電波を受信して起電した際に、その起電をトリガとして所定のビット情報又は識別番号が発信されるが、濡れ状態のときはその旨を示すビット情報又は識別番号が発信される。このような作用により、ビット情報又は識別番号の変化に伴って濡れ状態を検出することができる。
【0056】
第2に、通常状態で情報を発信すると共に、濡れ状態で情報を発信しないタイプのセンサとして上述した第2のICタグ30bを挙げることができる。この場合、例えば、ICタグ30bを病人のおむつ内又は肌着などに装着した場合には、そのICタグ30bが糞尿や発汗などにより水に濡れると発信が途絶える。このような作用を利用して、例えば、病人の糞尿の有無や発汗の有無が濡れ状態として検出されることになる。
【0057】
検出装置40は、外部アンテナ20を有しており、当該外部アンテナ20を介してICタグ30から発信される情報又はその受信状態に基づいてICタグ30が装着されている部位の濡れ状態を検出する。ここで、外部アンテナ20は、検出装置40の内部に設けられていてもよいが、勿論、外部に別途設けるようにしてもよい。この場合、外部アンテナ20は専用の回線を介して検出装置40と接続されることになる。また、検出装置40は、後述する管理コンピュータ50と接続されている。これにより、例えば、ICタグ30が複数の部位に装着されている場合に、各ICタグ30ごとに検出された濡れ状態を管理することができる。このような検出装置40としては、例えば、ディスプレイを有する情報通信機器であってもよいし、濡れている状態を検出することが可能な上述した機能を最低限に備えた敷物タイプの機器などであってもよい。
【0058】
管理コンピュータ50は、ICタグ30で検出された濡れ状態を管理して、各ICタグ30で検出された濡れ状態に応じた対応を指示する。具体的には、ICタグ30がおむつに組み込まれている場合に、検出装置40がICタグ30における濡れ状態を検出した際には、管理コンピュータ50は、そのICタグ30に装着されているおむつの交換を指示する。また、ICタグ30が部位として肌着に装着されている場合に、検出装置40がICタグ30における濡れ状態を検出した際には、管理コンピュータ50は、そのICタグ30に装着されている肌着の取替を指示する。また、ICタグ30が部位として壁、窓、及び床の何れかに設置されている場合に、検出装置40がICタグ30における濡れ状態を検出した際には、管理コンピュータ50は、そのICタグ30に装着されている部位及び部位の周辺の換気を指示する。この場合、例えば、ICタグ30が濡れ状態で情報を発信しないタイプのセンサであって、検出装置40がそのICタグ30からの情報を受信した場合に、管理コンピュータ50は、ICタグ30が通常状態に回復したと判断して換気の中止を指示する。また、換気の指示は、例えば、管理コンピュータ50が空調設備などと接続されることで、その空調設備を自動的に作動させることで行われるようにしてもよい。
【0059】
上述のような構成により、検出装置40でICタグ30が装着されている部位の濡れ状態が検出されると共に、検出装置40が検出した部位の濡れ状態に応じて、例えば、おむつ交換、肌着の取替、及び病室の換気など、とるべき対応が指示されることになる。
【0060】
また、図4に示す例では、検出装置40と管理コンピュータ50を各々独立して設けているが、これに限定されず、例えば、検出装置40と管理コンピュータ50の機能が一体となった装置40Aを設けるようにしてもよい。
【0061】
ここで、濡れ検出システム10で適用可能なICタグ30入りのおむつ60について説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る濡れ検出おむつの使用形態の一例を示す図である。
【0062】
図5に示す例では、おむつ60の尿とりパット61内にICタグ30が組み込まれている。ここで、おむつ60とは、例えば、介護用、育児用で使用される通常の使い捨て紙おむつを想定している。一方、尿とりパット61は、水分吸収素材で構成されるものを想定しており、このような素材としては、例えば、超吸収性ポリマーなどが挙げられる。
【0063】
このようにおむつ60は、所定の情報が格納されているICチップ31及び該ICチップ31に電気的に接続されることで外部アンテナ20を介して外部に情報を発信する非接触通信用アンテナコイル32を有するICタグ30が、糞尿が検知できる所定の位置に組み込まれた状態で、外部アンテナ20から発信される電波が受信できるか否かに基づいて濡れ状態を検出する。この場合のICタグ30としては、濡れ状態を示す信号又は識別番号を発信するタイプの第1のICタグ30a又は濡れ状態では電波を利用して情報を発信しないタイプの第2のICタグ30bの何れかを濡れ検出用のセンサとして用いるようにすればよい。
【0064】
図5(a)に示す例では、敷物70の下部全体に外部アンテナ20が設けられており、その外部アンテナ20が検出装置40と接続されている。このような使用形態により、例えば、おむつ60を装着した病人が敷物70上で糞尿した際には、検出装置40で濡れ状態が検出される。すなわち、おむつ60の尿とりパット61に組み込まれているICタグ30から検出装置40に対する情報の発信が途絶える又は濡れ状態を示す信号や識別番号が発信されることで、糞尿によるおむつ60の濡れ状態が検出される。
【0065】
図5(b)に示す例では、外部アンテナ20を内部に有する検出装置40が、警報器41と接続されている。このような使用形態により、例えば、おむつ60を装着した乳児などが外部アンテナ20からの電波を受信できる範囲内で糞尿した際には、検出装置40により濡れ状態が検出されると同時に警報器41が発光される。すなわち、おむつ60の尿とりパット61に組み込まれているICタグ30から検出装置40に対する情報の発信が途絶える又は濡れ状態を示す信号や識別番号が発信されることで、糞尿によるおむつ60の濡れ状態が検出されて、警報器41の発光により糞尿の発生を知ることができる。
【0066】
上述したおむつ60により、検出装置40と直接接続することなく無線状態で濡れ状態を検出することができる。このようなおむつ60を病人、老人、幼児などに装着させることで、装着者の負担を軽減させることができる。
【0067】
なお、図5に示す例では、主に、直接的に濡れ状態を確認しても支障がない育児用の使用形態に好適であるが、例えば、介護用の使用形態に好適な例としては、図6に示すような使用形態が考えられる。なお、図6において、図5に示す部材と同一の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0068】
図6に示す例でも同様に、おむつ60の尿とりパット61内にICタグ30が組み込まれている。この場合のICタグ30は、濡れ状態を示す信号や識別番号を発信するタイプの第1のICタグ30a又は濡れ状態では電波を利用して情報を発信しないタイプの第2のICタグ30bの何れか一方を濡れ検出用のセンサとして組み込むようにすればよい。
【0069】
図6(a)に示す例では、ICタグ30a及び30bの何れか一方がおむつ60の尿とりパット61内に組み込まれていると共に、外部アンテナ20を内部に有するハンディタイプの検出装置40aが示されており、その検出装置40aをおむつ60にかざすことで1つのICタグ30で濡れ状態が検出できるようになっている。このとき、濡れ状態が検出された場合には、発光体42が発光されるため、例えば、検出装置40aを操作する看護婦などは、発光の有無又は発光色の変化によりおむつ60が濡れているか否かを知ることができる。すなわち、おむつ60の尿とりパット61に組み込まれているICタグ30から検出装置40に対する情報の発信が途絶える又は濡れ状態を示す信号や識別番号が発信されることで、発光体42が所定の色彩に発光し、糞尿によるおむつ60の濡れ状態が検出される。これにより、関係のない周囲の人に対しておむつ60の濡れ状態を知られることを嫌う老人などに対して有効に濡れを検出することができるおむつ60を提供することができる。
【0070】
なお、図6(a)に示す例において、ICタグ30としてICタグ30bを採用した場合には、濡れ状態では情報が発信されないため、例えば、故障などの検出不良により情報が発信されないのか、或いは濡れているので情報が発信されないのかを客観的且つ確実に検出することができない場合がある。そこで、図6(b)に示すような使用形態が考えられる。
【0071】
図6(b)に示す例では、ICタグ30b及び他のタイプのICタグ30(例えば、起電時に自身の識別番号を発信する通常のICタグ;以下、ICタグ30cとする)が組み合わされておむつ60の尿とりパット61内に組み込まれていると共に、外部アンテナ20を内部に有するハンディタイプの検出装置40aが示されており、その検出装置40aをおむつ60にかざすことで異なるタイプの2つのICタグ30で濡れ状態が検出できるようになっている。このとき、通信電波が干渉しないように、ICタグ30の波長をそれぞれ変えることで、2つのICタグ30からの情報が混信することなく確実に濡れ状態が検出されるようにすればよい。この場合、例えば、ICタグ30b及び30cの双方から自身を示す識別番号が受信された場合には、まだ濡れていない通常状態であることが検出される。また、例えば、ICタグ30bから情報の発信が減衰し且つICタグ30cのみから自身を示す識別番号が受信された場合には、中程度の濡れ状態であることが検出される。また、例えば、ICタグ30b及び30c双方から情報の発信が途絶えた場合には、完全に濡れ状態であることが検出される。
【0072】
このように、1つのICタグ30だけでは、検出不良又は電波の減衰などの状況により、本当に濡れているのか又はどの程度の濡れ状態であるのかという現状を確実に判断することが困難な場合があるが、上述のように異なるタイプの2つのICタグ30を適用することにより、客観的におむつ60の濡れ状態を確実に検出することができる。
【0073】
また、図6(b)に示す例では、ICタグ30cをICタグ30bと共におむつ60の尿とりパット61内に組み込んでいるが、例えば、ICタグ30cをおむつ60の腰まわりの部位やおむつ60付近の衣服などに装着するようにしてもよい。これにより、故障などの検出不良により情報が発信されない事態を防ぐことが可能となる。
【0074】
上述のような形態により、関係のない周囲の人に対しておむつ60の濡れ状態を知られることを嫌う老人又は直接的に濡れ状態を確認されることを嫌う老人などに対して有効な介護用のおむつ60とすることができる。
【0075】
なお、図5及び図6に示す例では、ICタグ30をおむつ60に組み込んだ使用形態を例示しているが、肌着などにも同様に適用することが可能である。
【0076】
次に、濡れ検出システム10の動作手順について説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る濡れ検出システムの処理手順を示すフローチャートである。なお、図7に示す例は、管理コンピュータ50が主体となって実行する処理であり、ICタグ30として、濡れ状態を検出した際に自身の濡れ状態を示すビット情報又は識別番号を発信するタイプの第2のICタグ30bをセンサとして用いた場合を例示しているが、以下の説明においても同様に、ICタグ30a及び30bを総称したものをICタグ30と称して説明する。
【0077】
図示するように、検出装置40でICタグ30が装着された部位の濡れ状態が検出されると、管理コンピュータ50には、検出装置40から送信される濡れ状態を検出したICタグ30の識別番号を含む情報が受信される(S21)。そして、受信した情報から、どの部位に装着されたICタグ30であるか否かを判断する。すなわち、受信した情報に示される識別番号からICタグ30が装着されている部位が特定されて、その部位に応じた対応が管理コンピュータ50から指示される。
【0078】
ここで、受信した情報に示される識別番号がおむつに装着されたICタグ30を識別するものである場合、すなわち、検出された濡れ状態がおむつに装着されているICタグ30からによるものである場合(S22;Yes)には、糞尿があったものとみなされて、おむつの交換が指示される(S23)。おむつの交換の指示が終了した後は、そのまま処理を終了してもよいし、例えば、受信した情報に他のICタグ30からの識別番号が含まれている場合には、ステップS24以降の処理を続けて実行するようにすればよい。
【0079】
一方、検出された濡れ状態がおむつに装着されているICタグ30からによるものでない場合(S22;No)には、受信した情報に示される識別番号が肌着に装着されたICタグ30を識別するものであるか否かが判断される(S24)。ここで、受信した情報に示される識別番号が肌着に装着されたICタグ30を識別するものである場合、すなわち、検出された濡れ状態が肌着に装着されているICタグ30からによるものである場合(S24;Yes)には、発汗があったものとみなされて、肌着の取替が指示される(S25)。肌着の取替の指示が終了した後は、そのまま処理を終了してもよいし、例えば、受信した情報に他のICタグ30からの識別番号が含まれている場合には、ステップS26以降の処理を続けて実行するようにすればよい。
【0080】
一方、検出された濡れ状態が肌着に装着されているICタグ30からによるものでない場合(S24;No)には、受信した情報に示される識別番号が病室の壁、窓、及び床の何れかに装着されたICタグ30を識別するものであるか否かが判断される(S26)。ここで、受信した情報に示される識別番号が病室の壁、窓、及び床の何れかに装着されたICタグ30を識別するものである場合、すなわち、検出された濡れ状態が病室の壁、窓、及び床の何れかに装着されているICタグ30からによるものである場合(S26;Yes)には、結露があったものとみなされて、病室の換気が指示される(S27)。
【0081】
一方、検出された濡れ状態が病室の壁、窓、及び床の何れかに装着されているICタグ30からによるものでない場合(S26;No)には、受信した情報に所定の識別番号が含まれているか否かが判断される(S28)。そして、受信した情報に所定の識別番号が含まれている場合(S28;Yes)には、濡れ状態の検出を示す情報ではないものとして処理を終了する。
【0082】
また、受信した情報に所定の識別番号が含まれていない場合(S28;No)には、受信した情報がICタグ30を特定できないものであるとみなして、エラー処理が実行される(S29)。ここでのエラー処理とは、例えば、病室又は病人の状況に異常がないかを確認する旨の指示を出力することなどが考えられる。
【0083】
なお、ステップS23、S25、及びS27における各種指示は、例えば、警報を鳴らすことで行ってもよいし、担当の看護婦などにその旨が連絡されるようにしてもよい。
【0084】
上述のような処理により、病室、おむつ、及び肌着などの各種部位の濡れ状態が検出されて、検出された部位に応じて適切な対応が指示される。これにより、例えば、おむつの交換又は肌着の取替の遅れにより発生するカビ、かぶれ、冷え、及び床ずれなどの副次的な症状を予防することも可能となる。また、病室の換気を適切な時期に行うことができるため、カビ、ダニなどの発生を予防し室内環境を清潔に保持することも可能となる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態では、環境や個人により異なる各種部位の濡れ状態を確実に管理しながら、その環境や個人に応じたきめ細かい対応をとることが可能となる。そして、濡れ状態の検出に識別番号を送信することが可能なICタグ30を用いることで、検出装置40又は管理コンピュータ50は、どの部位の濡れ状態が検出されたのかを確実に特定することができる。これにより、濡れ状態が発生した部位を早期に把握しながら、おむつの交換又は肌着の取替の遅れにより引き起こされる副次的な症状を予防することが可能となる。また、病室の換気を適切に行うことができるため、室内環境を清潔に保持することも可能となる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0087】
上述した濡れ検出システム10では、1つの病室に同時に適用する場合を例示しているが、例えば、自宅、施設などにおいて必要な部位の濡れ状態が検出できるシステムを個別に適用するようにしてもよい。すなわち、病室(部屋)、おむつ、及び肌着の濡れ状態を統括的に検出できるものでなくてもよく、必要に応じて各々の濡れ状態を個別に検出できるシステムとして適用してもよい。
【0088】
また、上述した濡れ検出システム10は、単に医療施設や老人介護施設における利用に止まらない。例えば、在宅看護をする家庭にも、同様のシステムを適用するようにしてもよいし、訪問介護・看護サービスにおいては、インターネット等の通信環境を利用することで、施設やサービス会社等のシステムと連携させて、検出した濡れ状態に応じて柔軟に対応できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態に係る第1のICタグの回路構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る第1のICタグの動作例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る第2のICタグの回路構成の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る濡れ検出システムのシステム構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る濡れ検出おむつの使用形態の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る濡れ検出おむつの使用形態の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る濡れ検出システムの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
20 外部アンテナ
30(30a、30b、30c) ICタグ
31 ICチップ
32 非接触通信用アンテナコイル
33 濡れ検知端子
34 電源
35 制御部
36 信号部
40(40a) 検出装置
41 警報器
42 発光体
50 管理コンピュータ
60 おむつ
61 尿とりパット
70 敷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、所定の情報が格納されているICチップと該ICチップに電気的に接続される非接触通信用アンテナコイルとを有し、外部アンテナから発信される電波を介しての非接触通信用アンテナコイルの起電をトリガとして起電した際に、非接触方式で情報を該外部アンテナへ送信するICタグにおいて、
前記非接触通信用アンテナコイルが前記外部アンテナからの電波を受信して起電した際に、前記ICチップに予め格納された自身を識別するための識別番号を送信する一方で、濡れ状態となった場合に濡れ状態であることを示す信号を発信する又は自身の識別番号を発信しないことを特徴とするICタグ。
【請求項2】
請求項1において、前記ICチップに電気的に接続されて、電圧値の変動より濡れ状態を検知する濡れ検知端子をさらに具備し、当該濡れ検知端子の電圧が定格値以下となった場合に濡れ状態を示す信号を発信する一方で、当該濡れ検知端子の電圧が定格値を超えた場合に乾き状態を示す信号を発信することを特徴とするICタグ。
【請求項3】
請求項1において、前記非接触通信用アンテナコイルと電気的に接続されると共に、ショートすることで濡れ状態を検知する濡れ検知端子をさらに具備し、当該濡れ検知端子がショートした場合に、ICチップ内で受電できないことで起電による識別番号を発信しないことを特徴とするICタグ。
【請求項4】
少なくとも、所定の情報が格納されているICチップ及び該ICチップに電気的に接続されることで所定の外部アンテナを介して所定の装置に情報を発信する非接触通信用アンテナコイルを有するICタグと、
前記外部アンテナを有しており、当該外部アンテナを介してICタグから発信される情報又はその受信状態に基づいて前記ICタグが装着されている部位の濡れ状態を検出する検出装置とを具備することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項5】
請求項4において、前記ICタグは、前記ICチップに接続された濡れ検知端子の電圧値の変動に応じて、濡れ状態を示す情報又は乾き状態を示す情報の何れかを発信することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項6】
請求項4において、前記ICタグは、通常状態で情報を発信すると共に、濡れ状態で情報を発信しないことを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかにおいて、前記検出装置は、前記ICタグで検出された濡れ状態を管理する管理コンピュータと接続されており、当該管理コンピュータは、検出した濡れ状態に応じた対応を指示することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項8】
請求項4〜7の何れかにおいて、前記ICタグがおむつに組み込まれている場合に、前記検出装置が当該ICタグにおける濡れ状態を検出した際に、前記管理コンピュータは、当該おむつの交換を指示することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項9】
請求項4〜8の何れかにおいて、前記ICタグが前記部位として肌着に装着されている場合に、前記検出装置が当該ICタグにおける濡れ状態を検出した際に、前記管理コンピュータは、当該肌着の取替を指示することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項10】
請求項4〜9の何れかにおいて、前記ICタグが前記部位として壁、窓、及び床の何れかに設置されている場合に、前記検出装置が当該ICタグにおける濡れ状態を検出した際に、前記管理コンピュータは、当該部位及びその周辺の換気を指示することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項11】
請求項10において、前記ICタグが濡れ状態で情報を発信しないものであり、前記検出装置が当該ICタグからの情報を受信した場合に、前記管理コンピュータは、前記ICタグが通常状態に回復したと判断して換気の中止を指示することを特徴とする濡れ検出システム。
【請求項12】
所定の情報が格納されているICチップ及び該ICチップに電気的に接続されることで所定の外部アンテナを介して外部に情報を発信する非接触通信用アンテナコイルを有するICタグを少なくとも糞尿が検知できる所定の位置に組み込むことで、前記外部アンテナから発信される電波が受信できるか否か又は所定の識別番号が発信できるか否かに基づいて濡れ状態を検出することを特徴とする濡れ検出おむつ。
【請求項13】
請求項12において、前記ICタグは、濡れ状態では前記電波を利用して情報を発信しないことを特徴とする濡れ検出おむつ。
【請求項14】
請求項12において、前記ICタグは、濡れ状態では濡れ状態を示す識別番号を発信することを特徴とする濡れ検出おむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−349418(P2006−349418A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174022(P2005−174022)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(504246409)株式会社スーパー・フェイズ (6)
【Fターム(参考)】