説明

III族窒化物結晶の製造方法

【課題】結晶の成長速度の大きいIII族窒化物結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】本III族窒化物結晶の製造方法は、反応容器21を予め加熱処理して水分を除去する工程と、水分が除去された反応容器21内に、少なくともIII族元素と、触媒剤とを含む融液1を種結晶2の周りに形成する融液形成工程と、融液1に窒素含有物3を供給して種結晶2上にIII族窒化物結晶4を成長させる結晶成長工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物結晶の結晶成長速度が大きいIII族窒化物結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaNなどのIII族窒化物は、常圧における分解温度が溶融温度より低いため、常圧での溶融法によってはこれらのIII族窒化物の結晶を得ることが困難であるため、従来は、約1500℃の高温と1GPa〜2GPa程度の高い窒素(N2)圧力下でGa融液に窒素を溶解させて結晶成長を行なう高N2圧溶液法が用いられてきた。
【0003】
近年、より穏和な条件で結晶成長が可能な有力な方法として、600℃〜800℃程度の温度と5MPa程度の窒素ガス圧力下でGa−Na融液に窒素を溶解させて結晶成長を行なうナトリウム(Na)フラックス法が提案されている(たとえば、特許文献1〜特許文献5)。
【0004】
しかし、上記の従来のナトリウムフラックス法においては、Ga−Na融液への窒素の溶解および拡散が遅く、GaN結晶の結晶成長速度が小さかった。そこで、産業界においては、結晶の成長速度の大きいIII族窒化物結晶の製造方法の開発が強く望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許5868837号明細書
【特許文献2】特開2001−58900号公報
【特許文献3】特開2001−102316号公報
【特許文献4】特開2001−64098号公報
【特許文献5】特開2001−128587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑みて、結晶の成長速度の大きいIII族窒化物結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、反応容器を予め加熱処理して水分を除去する工程と、水分が除去された反応容器内に、少なくともIII族元素と、触媒剤とを含む融液を種結晶の周りに形成する融液形成工程と、融液に窒素含有物を供給して種結晶上にIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程とを含むIII族窒化物結晶の製造方法である。
【0008】
本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法において、上記融液形成工程を、反応容器内に、少なくともIII族元素と触媒剤とを含む融液を種結晶および窒素含有物の周りに形成する融液形成工程とし、上記結晶成長工程を、融液に窒素含有物が溶解して種結晶上にIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程とすることができる。また、窒素含有物を少なくともIII族元素を含む溶融液の表面に窒素プラズマを照射して得られるIII族窒化物とすることができる。
【0009】
また、本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法において、上記融液にさらにドーパントとしてケイ素を加えることにより、III族窒化物結晶中のケイ素濃度を調節することができる。また、上記融液または上記窒素含有物にさらにドーパントとして酸素含有物を加えることにより、III族窒化物結晶中の酸素濃度を調節することができる。また、上記種結晶としてIII族窒化物結晶基板を用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、結晶の成長速度の大きいIII族窒化物結晶の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる一のIII族窒化物結晶の製造方法を示す模式図である。(a)は製造装置を示す模式図である。(b)は融液形成工程を示す模式図である。(c)は結晶成長工程を示す模式図である。
【図2】本発明にかかる他のIII族窒化物結晶の製造方法を示す模式図である。(a)は融液形成工程を示す模式図である。(b)は融液の表面酸化層を除去する工程を示す模式図である。(c)は結晶成長工程を示す模式図である。
【図3】本発明にかかるさらに他のIII族窒化物結晶の製造方法を示す模式図である。
【図4】本発明にかかるさらに他のIII族窒化物結晶の製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、本願の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0013】
(実施形態1)
図1に、本発明にかかる一のIII族窒化物結晶の製造方法を示す。この製造方法に用いられる製造装置は、図1(a)を参照して、少なくとも反応容器21と、反応容器を加熱するためのヒータ23(低温ヒータ23a、高温ヒータ23b)と、断熱材24が外側容器22に格納されており、反応容器21に窒素含有物を供給する窒素含有物供給装置31および窒素含有物供給管32が配設されている。
【0014】
本発明にかかる一のIII族窒化物結晶の製造方法は、図1(b)を参照して、反応容器21内に、少なくともIII族元素と、触媒剤とを含む融液1を種結晶2の周りに形成する融液形成工程と、図1(c)を参照して、融液1に窒素含有物3を供給して種結晶2上にIII族窒化物結晶4を成長させる結晶成長工程とを含み、さらに、この結晶形成工程において、上記融液1の温度が、窒素含有物3と融液1との界面13から、種結晶2と融液1との界面12または種結晶2上に成長したIII族窒化物結晶4と融液1との界面14にかけて低下するように温度制御するものである。
【0015】
上記融液への窒素含有物中の窒素の溶解度は温度の上昇とともに増大するため、上記融液において、窒素含有物との界面から種結晶または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶との界面にかけて温度が低下する温度勾配を設けることにより、窒素含有物との界面から種結晶または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶との界面にかけて融液に溶解した窒素の濃度が低下する濃度勾配が生じ、かかる窒素の濃度勾配により、窒素が種結晶または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶との界面に連続的に拡散して供給されるため、種結晶上でのIII族窒化物結晶の成長が促進される。
【0016】
ここで、図1(b)に示す融液形成工程においては、1)反応容器21内に、III族元素と、触媒剤を収容して加熱することにより融液1とした後、この融液1に種結晶2を導入する方法、2)反応容器21内に、III族元素と、触媒剤と、種結晶2とを収容し、これらを加熱することにより、種結晶2の周りに、III族元素と、触媒剤とを含む融液1を形成する方法、のいずれの方法を用いることができる。
【0017】
融液に含まれるIII族元素としては、Al、Ga、Inなどが好ましく挙げられる。また、融液に含まれる触媒剤とは、III族元素とともに溶融してIII族元素と窒素との反応を促進するものであり、アルカリ金属元素、遷移金属元素などが好ましく挙げられる。III族元素としてGaが用いられる場合には触媒剤としてアルカリ金属元素であるNaなどが好ましく用いられ、III族元素としてAlが用いられる場合には触媒剤として遷移金属元素であるFe、Mn、Crなどが好ましく用いられる。また、融液におけるIII族元素のモル%と、触媒剤のモル%との比は、特に制限はないが、III族元素:触媒剤=5:95〜90:10であることが好ましい。融液におけるIII族元素のモル%が小さいとIII族元素の供給が不足してIII族窒化物結晶の成長が抑制され、触媒剤のモル%が小さいと融液への窒素の溶解量が少なくなり窒素の供給が不足してIII族窒化物結晶の成長が抑制される。かかる観点から、融液におけるIII族元素のモル%と、触媒剤のモル%との比は、III族元素:触媒剤=10:90〜75:25であることがより好ましい。
【0018】
また、図1(c)に示す結晶成長工程において、融液に供給する窒素含有物とは、上記融液に溶解してIII族窒化物結晶を成長させるための窒素源となるものであれば足り、窒素ガス、アンモニアガスなどの窒素含有ガスの他、NaN3、III族窒化物なども含まれる。本実施形態は、窒素含有物として窒素含有ガスを供給するのに適している。また、窒素含有ガスの供給圧力は、0.1MPa〜10.0MPaが好ましい。窒素含有ガスの圧力が0.1MPa未満であると、融液中に窒素が十分供給されないため、III族窒化物結晶の成長が抑制される。一方、窒素含有ガスの圧力が10.0MPaを超えると、反応装置が複雑なものとなる。かかる観点から、窒素含有ガスの圧力は、1.0MPa〜5.0MPaがより好ましい。
【0019】
また、図1(c)に示す結晶成長工程において、融液1の温度が、窒素含有物3と融液1との界面13から、種結晶2と融液1との界面12または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶4と融液1との界面14にかけて低下するように温度制御する方法には、特に制限はなく、たとえば、低温ヒータ23aおよび高温ヒータ23bの2種類のヒータを用いて加熱温度を局所的に変えることにより行なうことができる。
【0020】
本実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、図1(c)に示す上記結晶成長工程の際に、さらに窒素含有物3と融液1との界面13の温度TNと、種結晶2と融液1との界面12の温度または種結晶2上に成長したIII族窒化物結晶4と融液1との界面14の温度TCと、融液1中に溶解した窒素含有物3がIII族窒化物結晶4として析出する温度T0の関係がTN>T0≧TC、TNとTCとの温度差TN−TCが10℃〜300℃となるように温度制御することが好ましい。なお、上記の温度の測定は、該当場所にアルミナ管で保護された熱電対を挿入して行った。
【0021】
N>T0とすることにより、窒素含有物3と融液1との界面13付近でIII族窒化物結晶が析出することがなくなるため、窒素は融液の内部まで十分に拡散することができる。さらに、T0≧TCとすることにより、種結晶上に効率よくIII族窒化物結晶を成長させることができる。したがって、TN>T0≧Tとすることにより種結晶上でのIII族窒化物結晶の成長がより促進される。ここで、T0−TCが大きいほどIII族窒化物結晶の成長を促進することができるが、T0−TCが大きくなるほど融液中の種結晶上以外にもIII族窒化物結晶が析出する可能性も大きくなる。
【0022】
また、TN−TCが10℃〜300℃となるように温度制御することが好ましい。TN−TCが10℃未満であると、融液における窒素含有物との界面から種結晶または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶との界面にかけての温度勾配が小さくなり、結晶成長部分への窒素の供給が少なくなり結晶成長速度が小さくなる。一方、TN−TCが300℃を超えると、融液内に過剰の窒素が供給され種結晶上以外にもIII族窒化物結晶が析出する可能性が大きくなる。かかる観点から、TN−TCの下限は50℃以上が好ましく、100℃以上がさらに好ましく、TN−TCの上限は250℃以下が好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
【0023】
ここで、TNおよびTCは、III族窒化物結晶に用いられるIII族元素および触媒剤に適した温度を設定することができる。たとえば、III族元素としてGaまたはAl、触媒剤としてアルカリ金属のNaを用いて、III族窒化物結晶であるGaN結晶またはAlN結晶を成長させる場合は、TNは700℃〜1000℃に、TCは500℃〜800℃に好ましく設定される。また、III金属元素としてAl、触媒剤として遷移金属元素のFe、Mn、Crなどを用いて、III族窒化物結晶であるAlN結晶を成長させる場合は、TNは900℃〜1600℃に、TCは700℃〜1400℃に好ましく設定される。
【0024】
本実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、図1(c)に示す上記結晶成長工程の際に、さらに種結晶2を局所的に冷却することが好ましい。種結晶を局所的に冷却することにより、種結晶2と融液1との界面12または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶4と融液1との界面14の温度をさらに低下させ、III族窒化物結晶の成長をさらに促進させることができる。
【0025】
ここで、種結晶を局所的に冷却する方法に特に制限はないが、図1(c)に示すように、種結晶2に冷却材42を接触させて熱を逃がすことが好ましい。冷却材としては、熱伝導率の高い材料または赤外線の透過率の高い材料が好ましく用いられる。各種金属、AlN多結晶などの熱伝導率の高い材料は、種結晶の熱を熱伝導によって反応容器外に熱を逃がすことができる。サファイア、石英などの赤外線の透過率の高い材料は、種結晶の熱を熱輻射によって反応容器外に熱を逃がすことができる。特に、サファイアなどの赤外線の透過率の高い材料を冷却材として用いるのが好ましい。サファイアロッドを冷却材として用いることにより、種結晶と融液との界面の温度TCを、窒素含有物と融液との界面の温度TNより300℃以上低い温度にまで下げることができる。
【0026】
図1においては、種結晶2を局所的に冷却するための冷却材42は反応容器21に設けられているが、上記冷却材42は反応容器21の外の外側容器22に達するように設けることもできる。冷却材を外側容器に接するようにすることにより、種結晶の熱を直接外側容器22外に逃がすことができるため、種結晶の冷却効果をさらに大きくすることができる。
【0027】
また、本実施形態において用いられる反応容器、反応容器を収容する外側容器の材質には特に制限はないが、耐熱性が高く不純物の混入が少ない観点から、反応容器としてはアルミナ、パイロティックBN、白金などが好ましく、外側容器としてはステンレス、インコネルなどが好ましい。また、ヒータ、断熱材の材質にも特に制限はないが、上記と同様の観点から、グラファイトなどが好ましい。
【0028】
(実施形態2)
本発明にかかる別のIII族窒化物結晶の製造方法は、図1に示すような、外側容器22内に、少なくとも、開口部を有する反応容器21、ヒータ23および断熱材24を有し、ヒータ23および断熱材24がグラファイトからなる製造装置を用いるものであって、図1(b)に示すように反応容器21内に、少なくともIII族元素と、アルカリ金属元素および遷移金属元素からなる群から選ばれる1以上の元素とを含む融液1を種結晶2の周りに形成する融液形成工程と、図1(c)に示すように融液1に窒素含有物3を供給して種結晶2上にIII族窒化物結晶4を成長させる結晶成長工程とを含む。ヒータおよび断熱材にグラファイトなどの表面積が小さい材質を用いることによって、昇温時にヒータ、断熱材などから主に発生する酸素および/または水蒸気が反応容器内の融液に溶解するのを抑制することができ、融液への窒素の溶解が促進され、III族窒化物結晶の成長が促進される。かかる観点からグラファイトの純度は高いほうがより好ましく、たとえば不純物濃度が10ppm以下のものが望まれる。
【0029】
(実施形態3)
本発明にかかるまた別のIII族窒化物結晶の製造方法は、図1を参照して、図1(a)に示すように反応容器21を予め加熱処理して水分を除去する工程と、図1(b)に示すように水分が除去された反応容器21内に、少なくともIII族元素と、アルカリ金属元素および遷移金属元素からなる群から選ばれる1以上の元素とを含む融液1を種結晶2の周りに形成する融液形成工程と、図1(c)に示すように融液1に窒素含有物3を供給して種結晶2上にIII族窒化物結晶4を成長させる結晶成長工程とを含む。予め加熱処理して反応容器21の水分を除去することにより、融液1への水蒸気の溶解が少なくなり、融液1への窒素の溶解が促進され、III族窒化物結晶の成長が促進される。ここで、加熱処理条件は、反応容器の水分を除去することが可能であれば特に制限はないが、真空引きを行いながら、100Pa以下、100℃以上で1時間以上加熱処理することが好ましい。
【0030】
(実施形態4)
図2に、本発明にかかる他のIII族窒化物結晶の製造方法を示す。この製造方法においては、図1の製造装置と同様の製造装置を用いることができる。本発明にかかる他のIII族窒化物結晶の製造方法は、図2(a)を参照して、反応容器21内に、少なくともIII族元素と、触媒剤としてアルカリ金属元素および遷移金属元素からなる群から選ばれる1以上の元素とを含む融液1を種結晶2の周りに形成する融液形成工程と、図2(a)および図2(b)を参照して、融液1の表面酸化層11を除去する工程と、図2(c)を参照して、融液1に窒素含有物3を供給して種結晶2上にIII族窒化物結晶4を成長させる結晶成長工程とを含む。
【0031】
融液1の表面酸化層11を除去することにより、融液1への窒素の溶解が促進され、III族窒化物結晶の成長が促進される。ここで、表面酸化層には、融液の酸化物の他に、反応容器の材料に由来するB、Alなどの不純物が取り込まれるため、表面酸化層を除去することにより、さらに良質のIII族窒化物結晶が得られる。融液の表面酸化層を除去する方法には、特に制限はないが、表面酸化層を吸引する方法などが好ましく挙げられる。ここで、融液の表面酸化層の厚さは、特別の酸化防止手段を講じなかった融液の冷却物の断面からの観察によると、厚くても融液の高さに対して10%未満であることから、融液の表面から融液の高さに対して10%以上の表面層を除去することにより、表面酸化層を除去することができる。
【0032】
ここで、上記実施形態2〜実施形態4において、結晶成長工程の際に、実施形態1と同様の融液の温度勾配を設けることにより、融液への窒素の溶解がさらに促進され、III族窒化物結晶の成長がさらに促進される。
【0033】
(実施形態5)
図3に、本発明にかかるさらに他のIII族窒化物結晶の製造方法を示す。この製造方法に用いられる製造装置は、図1および図2に示された製造装置と同様に、少なくとも反応容器21と、反応容器を加熱するヒータ23(低温ヒータ23a、高温ヒータ23b)と、断熱材24が外側容器22に格納されており、反応容器21に窒素含有物3を供給する窒素含有物供給装置31および窒素含有物供給管32が配設されている。
【0034】
しかし、図1および図2に示された製造装置においては、種結晶2を結晶成長させる主面を上に向けて反応容器21の底部に配置し、反応容器21内の融液1の上下方向に温度勾配を設けるように低温ヒータ23aおよび高温ヒータ23bを設置して、種結晶2の上方向にIII族窒化物結晶4を成長させる。これに対し、図3に示された製造装置においては、種結晶2を結晶成長させる主面を横に向けて反応容器21の側面部に配置し、反応容器21内の融液の横方向に温度勾配を設けるように低温ヒータ23aおよび高温ヒータ23bを設置して、種結晶2の横方向にIII族窒化物結晶4を成長させる。
【0035】
本実施形態においても、III族窒化物結晶の成長方向に限定されることなく、実施形態1〜実施形態4と同様に、融液において、窒素含有物との界面から種結晶または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶との界面にかけて温度が低下する温度勾配を設けることにより、種結晶上でのIII族窒化物結晶の成長を促進させることができる。
【0036】
また、本実施形態においても、実施形態2に示すようにヒータ23および断熱材24がグラファイトからなる製造装置を用いること、実施形態3に示すように反応容器を予め加熱処理して水分を除去すること、実施形態4に示すように融液の表面酸化層を除去することにより、種結晶上でのIII族窒化物結晶の成長を促進させることができる。
【0037】
さらに、上記実施形態1〜実施形態5において、融液形成工程の際に、アルゴンガスなどの不活性ガスを外側容器内に流入、流出させて外側容器内の反応容器、ヒータおよび断熱材に付着している酸素および/または水蒸気を除去することが好ましい。ここで、不活性ガスの流量は、外側容器10cm3当たり1cm3/分以上であることが好ましい。また、融液形成工程後であって結晶成長工程前に、水素ガスなどの還元性ガスを流入、流出させて外側容器内の反応容器、ヒータおよび断熱材の表面を還元させることが好ましい。ここで、還元性ガスの流量は、外側容器10cm3当たり1cm3/分以上であることが好ましい。かかる手段を講じることにより反応容器内の融液への酸素および/または水蒸気の溶解をさらに抑制することができ、III族窒化物結晶の成長がさらに促進される。
【0038】
(実施形態6)
図4に、本発明にかかるさらに他のIII族窒化物結晶の製造方法を示す。この製造方法に用いられる製造装置は、図4を参照して、少なくとも反応容器21と、反応容器を加熱するためのヒータ23(低温ヒータ23a、高温ヒータ23b,23c)と、断熱材24が外側容器22に格納される。本実施形態においては、窒素源となる窒素含有物としてNaN3、III族窒化物などの固体状のものを用いる場合に適している。
【0039】
本実施形態においては、融液形成工程において、反応容器21内に、III族元素と触媒剤とを含む融液1を、種結晶2および固体状の窒素含有物3の周りに形成し、結晶成長工程において、窒素含有物3が融液に溶解して種結晶2上にIII族窒化物結晶を成長させる。ここで、反応容器21内に、III族元素と触媒剤とを含む融液1を、種結晶2および固体状の窒素含有物3の周りに形成させる方法としては、特に制限はないが、反応容器21の一方に種結晶2を配し、反応容器21の他方には窒素含有物3を配し、その間にIII族元素と触媒剤を収容した後、これらを加熱することによりIII族元素と触媒剤とを含む融液1を形成することが、作業性の観点から好ましい。
【0040】
本実施形態においては、低温ヒータ23aおよび高温ヒータ23b,23cの温度を調節することによって、融液1の温度を窒素含有物3と融液1との界面13から、種結晶2と融液1との界面12または種結晶上に成長したIII族窒化物結晶4と融液1との界面14にかけて低下するような温度勾配を形成することができる。
【0041】
本実施形態のIII族窒化物結晶の製造方法において、上記窒素含有物として窒素プラズマを、III族元素を含む溶融液の表面に照射して得られるIII族窒化物を用いることが好ましい。通常試薬として販売されているIII族窒化物の粉末は、III族元素またはIII族元素酸化物とアンモニアとの化学反応によって得られたものであり、純度が低く高コストである。かかるIII族窒化物を用いることにより、高い結晶成長速度で高純度のIII族窒化物結晶が得られる。ここで、窒素プラズマは、たとえば窒素ガスにマイクロ波または高周波パルスを作用させて得られる。かかる窒素プラズマを上記溶融液に照射することによって、高純度のIII族窒化物の粉末が低コストで効率よく得られる。
【0042】
ここで、上記の実施形態1〜実施形態6において用いられる種結晶には、特に制限はなく、SiC結晶基板、サファイア結晶基板、サファイア結晶上にIII族窒化物結晶の薄膜を形成した基板、III族窒化物結晶基板などが挙げられる。この中でも、良質のIII族窒化物結晶を速く成長させる観点から、III族窒化物結晶基板が好ましい。さらに、良質のIII族窒化物結晶を速く成長させる観点から、種結晶として用いるIII族窒化物結晶基板の転位密度は5×109個/cm3以下であることがより好ましい。さらに、種結晶としてIII族窒化物結晶基板を用いる場合は、(0001)面(Ga面)に平坦なGaN結晶が高速で成長しやすいため、(0001)面を種結晶の表面とすることがより好ましい。
【0043】
また、実施形態1〜実施形態6において、上記融液にさらにケイ素を加えることにより、III族窒化物結晶中のケイ素の濃度を調節することができる。III族窒化物結晶のドーパントであるケイ素の濃度を調節することにより、目的に応じたIII族窒化物結晶が得られる。たとえば、ケイ素濃度が1×1017個/cm3を超えるIII族窒化物結晶は導電性が増大し、光デバイスの製造に適している。また、ケイ素濃度が1×1017個/cm3以下のIII族窒化物結晶は導電性が減少し、電子デバイスの製造に適している。
【0044】
また、実施形態1〜実施形態6において、上記融液または窒素含有物にさらに酸素含有物を加えることにより、III族窒化物結晶中の酸素の濃度を調節することができる。ここで、酸素含有物としては、III族窒化物結晶中に酸素を供給できるものであれば特に制限はなく、酸素ガス、酸化ナトリウム(Na2O)などが挙げられる。III族窒化物結晶のドーパントである酸素濃度を調節することにより、目的に応じたIII族窒化物結晶が得られる。たとえば、酸素濃度が1×1017個/cm3を超えるIII族窒化物結晶は導電性が増大し、光デバイスの製造に適している。また、酸素濃度が1×1017個/cm3以下のIII族窒化物結晶は導電性が減少し、電子デバイスの製造に適している。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
図1の図1(b)を参照して、反応容器21の冷却材42であるサファイアロッド上に、種結晶2としてGaN結晶基板を設置し、さらに反応容器21にIII族元素としてGaと、触媒剤としてNaとを融液におけるモル%の比が50:50になるように収容して、加熱することによりGaN結晶基板の周囲にGa−Na融液を形成した。このとき、Ga−Na融液が、表面温度(TNに相当)が850℃、Ga−Na融液とGaN結晶基板との界面の温度(TCに相当)が800℃となるような温度勾配を有するように高温ヒータ23bおよび低温ヒータ23aの熱量を調整した。
【0046】
次に、図1(c)を参照して、上記Ga−Na融液に、窒素含有物3として窒素ガスを、窒素ガス圧が1.0MPaとなるように供給した。なお、このとき、Ga−Na融液におけるGaN結晶の析出温度(T0)は830℃となる。上記温度勾配を有するGa−Na融液の表面に窒素ガスを供給することにより、種結晶2であるGaN結晶基板上のみに結晶が成長した。この結晶の結晶成長速度は3.2μm/時間であった。得られた結晶をXRD(X-ray diffraction;X線回折法)で測定したところ、格子定数からGaN結晶であることが確認された。結果を表1にまとめた。
【0047】
(比較例1)
Ga−Na融液の温度勾配を設けずに、Ga−Na融液全体の温度を800℃にした以外は、実施例1と同様にして、GaN結晶を成長させた。GaN結晶は、種結晶であるGaN結晶基板上のみならず、Ga−Na融液表面、Ga−Na融液と反応容器との界面にランダムに成長した。結果を表1および表4にまとめた。
【0048】
(実施例2〜実施例7)
図1を参照して、表1に示すIII族元素、触媒剤、種結晶2および窒素含有物3を用いて、融液1の表面温度(TNに相当)、融液1と種結晶2との界面温度(TC)を表1に示す温度になるようにして種結晶2の周囲に融液1を形成した後、融液1に窒素含有物3として窒素ガスまたはアンモニアガスを、ガス圧が1.0MPaとなるように供給した。実施例2〜実施例7のいずれの場合にも種結晶上のみにIII族窒化物結晶が成長した。結果を表1にまとめた。また、実施例2の結果は表4にも掲載した。
【0049】
(比較例2)
Al−Fe融液の温度勾配を設けずに、Al−Fe融液全体の温度を800℃とした以外は、実施例7と同様にしてAlN結晶を成長させた。結果を表1にまとめた。
【0050】
(実施例8)
図3を参照して、種結晶2を結晶成長させる主面を横に向けて反応容器21の側面部に配置し、反応容器21内の融液の横方向に温度勾配を設けるように低温ヒータ23aおよび高温ヒータ23bを設置して、種結晶2の横方向にIII族窒化物結晶4を成長させた他は、実施例1と同様にしてGaN結晶を成長させた。結果を表1にまとめた。なお、本実施例においては、窒素含有物と融液との界面の温度TNとは、窒素含有物と融液との界面において種結晶から最も遠い領域の温度をいう。
【0051】
【表1】

【0052】
表1からもわかるように、融液にTN>TCの温度勾配のある実施例1〜実施例3および実施例8におけるGaN結晶の結晶成長速度は、融液に温度勾配のない比較例1におけるGaN結晶の結晶成長速度より大きくなった。また、TN−TCが大きくなるにつれて結晶成長速度が大きくなった(実施例1〜実施例3)。また、GaN結晶の成長のみならずAlN結晶の成長についても、融液にTN>TCの温度勾配をもうけることによって、AlN結晶の結晶成長速度が大きくなった(実施例7、比較例2)。
【0053】
(実施例9〜実施例11)
図1を参照して、表2に示すように、III族元素としてGaと、触媒剤としてNaと、ドーパントとしてSiをまたはNa2O(酸化ナトリウム)と、種結晶2としてGaN結晶基板とを反応容器に収容して加熱することにより、ドーパントを含んだ融液1を種結晶2の周りに形成した。このとき、融液1の表面温度(TNに相当)が850℃、融液1と種結晶2との界面温度(TC)が700℃となるようにヒータの熱量を調整した。次に、この融液1に窒素含有物3として窒素ガスをガス圧が1.0MPaとなるように供給した。実施例9〜実施例11のいずれの場合にも、種結晶上のみにケイ素または酸素を含有するGaN結晶が成長した。結果を表2にまとめた。ここで、GaN結晶中のケイ素または酸素の濃度は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry;二次イオン質量分析法)により測定した。
【0054】
(実施例12)
図1を参照して、表2に示すように、III族元素としてGaと、触媒剤としてNaと、種結晶2としてGaNを反応容器に収容して加熱することにより融液1を種結晶2の周りに形成した。このとき、融液1の表面温度(TNに相当)が850℃、融液1と種結晶2との界面温度(TC)が700℃となるようにヒータの熱量を調整した。次に、この融液に、窒素含有物としての窒素ガスと、ドーパントとしての酸素ガスとの混合ガス(混合ガスにおけるN2モル%とO2モル%との比が99.9:0.1)を、混合ガス圧が1.0MPaになるように供給したところ、種結晶上のみに酸素を含有するGaN結晶が成長した。結果を表2にまとめた。
【0055】
【表2】

【0056】
表2からもわかるように、融液または窒素含有物にドーパントを加えることにより、所望のドーパント濃度を有するIII族窒化物結晶が得られた。
【0057】
(実施例13〜実施例15)
図4を参照して、反応容器21の冷却材42であるサファイアロッド上に、種結晶2としてGaN結晶基板を設置し、さらに反応容器21にIII族元素として50モル%のGaと、触媒剤として50モル%のNaと、III族元素に対するモル比が1になるように窒素含有物3としてIII族窒化物の粉末とを収容して加熱することにより種結晶であるGaN結晶基板の周囲にGa−Na融液を形成した。このとき、このとき、Ga−Na融液が、Ga−Na融液とIII族窒化物の粉末との界面(TNに相当)の温度と、Ga−Na融液とGaN結晶基板との界面の温度(TCに相当)とが表3に示すような温度となるように温度勾配を有するように高温ヒータ23b、23Cおよび低温ヒータ23aの熱量を調整した。III族窒化物の粉末の融液への溶解が進行するにつれて、種結晶上にGaN結晶が成長した。なお、実施例13〜実施例15におけるIII族窒化物の粉末は、窒素ガスに周波数2.45GHzで出力250Wのマイクロ波を作用させて得られた窒素プラズマを1000℃のGa溶融液に照射することにより得られたGaN粉末を用いた。結果を表3にまとめた。
【0058】
【表3】

【0059】
表3からもわかるように、融液に窒素を供給する窒素含有物としてIII族窒化物を用いた場合においても、実施例1〜実施例3の場合と同様に、融液にTN>TCの温度勾配を設けることによって、III族窒化物結晶の結晶成長速度が大きくなった。
【0060】
(実施例16)
図1を参照して、図1(a)に示すように反応容器21を予め真空ポンプ33で真空引きして、100Pa、100℃で1時間加熱処理して水分を除去した後、図1(b)に示すように水分が除去された反応容器21内の冷却材42であるサファイアロッド上に、種結晶2としてGaN結晶基板を設置し、さらに反応容器21にIII族元素としてGaと、触媒剤としてNaとを表3に示すモル%で収容して、加熱することによりGaN結晶基板の周囲にGa−Na融液を形成した。このとき、Ga−Na融液が、表面温度(TNに相当)が850℃、Ga−Na融液とGaN結晶基板との界面の温度(TCに相当)が700℃となるような温度勾配を有するように高温ヒータ23bおよび低温ヒータ23aの熱量を調整した。次に、図1(c)に示すようにGa−Na融液に窒素含有物3として窒素ガスを供給して、種結晶2上にGaN結晶を成長させた。結果を表4にまとめた。
【0061】
(実施例17)
図2を参照して、図2(a)に示すように反応容器21内の冷却材42であるサファイアロッド上に、種結晶2としてGaN結晶基板を設置し、さらに反応容器21に、III族元素としてGaと、触媒剤としてNaとを表3に示すモル%で収容して、加熱することによりGaN結晶基板の周囲に実施例16と同様の温度勾配を有するGa−Na融液を形成した。次に、図2(a)から図2(b)に示すように、Ga−Na融液の表面から融液の高さに対して10%までの深さまでの層を吸引により除去することにより、Ga−Na融液の表面酸化層11を除去した。次に、図2(c)に示すように、Ga−Na融液に窒素含有物3として窒素ガスを供給して種結晶2上にGaN結晶を成長させた。結果を表4にまとめた。
【0062】
(実施例18)
反応容器21を予め100℃で1時間加熱処理して水分を除去した後は、実施例17と同様にして、GaN結晶を成長させた。結果を表4にまとめた。
【0063】
【表4】

【0064】
表4において、実施例2と実施例16〜実施例18とを対比すると、融液の酸化防止手段として、融液形成工程前に反応容器を予め加熱して水分を除去すること、または融液形成工程後であって結晶成長工程前に融液の表面酸化層を除去することによって、GaN結晶の結晶成長速度が大きくなることがわかる。また、結晶中の酸素濃度が1×1017個/cm3以下のGaN結晶が得られた。
【0065】
(実施例19〜実施例22)
図1および図2を参照して、表5に示すように、融液形成工程前の反応容器の予備加熱および融液形成工程後結晶成長工程前における融液の表面酸化層の除去から少なくとも一つの融液の酸化防止手段と融液の温度勾配を設け、各種ドーパントを融液または窒素含有物に添加した場合について、GaN結晶の結晶成長を行なった。これらの結果を表5にまとめた。
【0066】
【表5】

【0067】
表5からもわかるように、上記の融液の酸化防止手段と融液の温度勾配を設けた場合でも、融液または窒素含有物にドーパントを加えることにより、所望のドーパント濃度を有するGaN結晶が得られた。
【0068】
なお、上記実施例1〜実施例22および比較例1、比較例2においては、反応容器はパイロティックBN、外側容器はステンレス製、ヒータおよび断熱材はグラファイト製(不純物濃度10ppm以下)のものを用いた。
【0069】
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、結晶成長速度の大きいIII族窒化物結晶およびその製造方法、ならびにIII族窒化物結晶の製造装置に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 融液、2 種結晶、3 窒素含有物、4 III族窒化物結晶、11 表面酸化層、12 種結晶と融液との界面、13 窒素含有物と融液との界面、14 種結晶上に成長したIII族窒化物結晶と融液との界面、21 反応容器、22 外側容器、23 ヒータ、23a 低温ヒータ、23b,23c 高温ヒータ、24 断熱材、31 窒素含有物供給装置、32 窒素含有物供給管、33 真空ポンプ、42 冷却材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器を予め加熱処理して水分を除去する工程と、前記水分が除去された前記反応容器内に、少なくともIII族元素と、触媒剤とを含む融液を種結晶の周りに形成する融液形成工程と、前記融液に窒素含有物を供給して前記種結晶上にIII族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程とを含むIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項2】
前記融液形成工程が、前記反応容器内に、少なくとも前記III族元素と前記触媒剤とを含む前記融液を前記種結晶および前記窒素含有物の周りに形成する融液形成工程であり、前記結晶成長工程が、前記融液に前記窒素含有物が溶解して前記種結晶上に前記III族窒化物結晶を成長させる結晶成長工程である請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項3】
前記窒素含有物が、少なくともIII族元素を含む溶融液の表面に窒素プラズマを照射して得られるIII族窒化物である請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項4】
前記融液にさらにドーパントとしてケイ素を加えることにより、前記III族窒化物結晶中のケイ素濃度を調節することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項5】
前記融液または前記窒素含有物にさらにドーパントとして酸素含有物を加えることにより、前記III族窒化物結晶中の酸素濃度を調節することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項6】
前記種結晶としてIII族窒化物結晶基板を用いる請求項1〜請求項5のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−18518(P2010−18518A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239483(P2009−239483)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【分割の表示】特願2004−195666(P2004−195666)の分割
【原出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】