III族窒化物電流制御デバイスおよび製造方法
III族窒化物デバイスが、名目上オフ、すなわち、エンハンスメントモードのデバイスを作製するための凹部電極を含む。凹部電極を設けることによって、デバイス中の電流の流れを阻止するために、電極が非能動であるときに2つのIII族窒化物材料の境界面に形成された導電チャネルが中断される。電極はショットキー接点または絶縁金属接点であり得る。名目上オフの特性を有する整流器デバイスを形成するために、2つのオーム接点を設けることができる。電極が形成された凹部は傾斜側面を有することができる。電極は、デバイスの電流運搬電極と組み合わせて幾つもの幾何学配置で形成可能である。電極が凹部でないとき、名目上オンのデバイス、すなわち、ピンチ抵抗が形成される。ダイオードは、絶縁体を貫通してAlGaN層に達する非凹部のオーム接点およびショットキー接点を設けることによっても形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電界効果電流制御デバイスの部類に関し、より詳細にはIII族窒化物材料系の中に構成された整流器および電流制限デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、特許文献1、特許文献2、特許文献3に基づきかつこれらの利益を主張するものであり、ここに、これらの全てに対して優先権を主張しかつこれらの開示を参照により組み込む。
【0003】
2.2MV/cmを上回る大きな絶縁破壊電界を発揮するIII族窒化物半導体が現在知られている。III族窒化物ヘテロ接合構造も極めて高い電流を運搬することが可能であり、それはIII族窒化物材料系の中に製造されたデバイスを電力用途にとって優れたものにする。
【0004】
III族窒化物材料に基づくデバイスの開発は、一般に携帯電話の基地局用のエミッタなどの高電力で高周波数の用途を目的としてきた。これら種類の用途に向けて製造されたデバイスは、高い電子移動度を発揮する一般的なデバイス構造に基づき、ヘテロ接合電界効果型トランジスタ(HFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、または不均一不純物添加電界効果トランジスタ(MODFET)と様々に呼ばれている。これらの種類のデバイスは、典型的に100ボルト域内にあるような高い電圧に耐え、かつ高い周波数、典型的には2〜100GHzの帯域内で動作することが可能である。これらの種類のデバイスは、幾つかの種類の用途向けに改良可能であるが、典型的には、非常に低い抵抗損失で非常に高い電流密度を輸送できる2次元電子ガス(2DEG)を発生させるために、圧電分極電界を使用することによって動作する。2DEGは、これらの従来のIII族窒化物HEMTデバイス中のAlGaN材料とGaN材料との境界面に形成される。AlGaN/GaN境界面の性質およびこの境界面における2DEGの形成によって、III族窒化物材料系中に形成されるデバイスは、名目上オンに(nominally on)、またはデプレッションモード(depletion mode)デバイスになる傾向を持つ。AlGaN/GaN層の境界面における2DEGの高電子移動度は、HEMTデバイスなどのIII族窒化物デバイスがゲート電位の印加なしで導通することを可能にする。これまで製造されたHEMTデバイスの名目上オンである性質は、それらの電力管理への応用可能性を限定してきた。名目上オンである電力デバイスの限定性は、電力がIII族窒化物HEMTデバイスによって安全に制御され得る前に、制御回路に電力を供給して動作させる必要がある点に観られる。したがって、始動および他のモード時に電流導通問題を回避するために名目上オフ(nominally off)であるIII族窒化物HEMTデバイスを創出することが望ましい。
【0005】
低い抵抗損失で高い電流密度を可能にするIII族窒化物HEMTデバイスの欠点は、ひずみAlGaN/GaN系において実現可能な厚みが限定されることである。これらの種類の材料の格子構造における差異が、異なる層を作製するために成長させた薄膜の転位を起こし得るひずみを発生させる。これは、例えば、障壁層からの高水準の漏洩をもたらす。幾つかの従来の設計は、転位発生および漏洩を低減するように緩和点(point of relaxation)が生じる付近までAlGaN層の面内格子定数(in−plane lattice constant)を低減することに集中してきた。しかし、これらの設計は限定的な厚みの問題に対処するものではない。
【0006】
別の解決策は、漏洩問題を防止するために絶縁層を追加するものである。絶縁層を追加すると、障壁層からの漏洩を低減させることが可能であり、このような目的のために使用される典型的な層は、AlGaNと金属ゲート層との間に配置された酸化シリコン、窒化シリコン、サファイア、または他の絶縁体である。この種類のデバイスは、しばしばMISHFETと呼ばれ、絶縁層を持たない従来デバイスに勝る幾つかの利点を有する。
【0007】
追加的な絶縁層はより厚いひずみAlGaN/GaN系の構成を可能にするが、この追加絶縁層によって作製された閉じ込め層が、GaN/絶縁体境界面における電子に対して生じる散乱効果によって電流運搬能力の低下をもたらす。AlGaN層と絶縁体との間の追加的な境界面もデバイスの応答を遅くする境界面トラップ状態を発生させることになる。これら2層間の追加的な境界面に加えて酸化物の追加的な厚みも加わると、デバイスのオンオフ切換え(スイッチ)に、より大きなゲート駆動電圧を使用することになる。
【0008】
窒化物材料を使用して名目上オフのデバイスを実現する従来のデバイス設計は、このように閉じ込め層の役目をする追加的な絶縁体に依存し、上層のAlGaN層を削減または排除し得る。しかし、これらのデバイスは、GaN/絶縁体境界面における散乱によって電流運搬能力が低下するのが典型である。
【0009】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/583941号明細書:2004年1月23日出願Clamped Impedance Field Effect Rectifier
【特許文献2】米国特許仮出願第60/538794号明細書:2004年1月23日出願III-Nitride Pinch Resistor
【特許文献3】米国特許仮出願第60/538864号明細書:2004年1月23日出願III Nitride Piezoelectric Heterojunction Interdigitated Rectifier
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、依然として高電圧に耐えかつ低い抵抗損失で高い電流密度を生成できるより少ない境界面および層を含み、低い漏洩特性を有するヘテロ接合デバイスまたはFETを作製することが望ましい。現在では、プレーナーデバイスが、MOCVD(有機金属化学気相成長法)ばかりでなく、分子線エピタキシ法(MBE)およびハイドライド気相エピタキシ法(HVPE)も含む幾つかの技法によって、GaNおよびAlGaN合金を使って製造されている。
【0011】
窒化ガリウム材料系における材料には、窒化ガリウム(GaN)と、その合金、すなわち、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、およびインジウムアルミニウム窒化ガリウム(InAlGaN)などが含まれ得る。これらの材料は、高エネルギー性電子遷移を生じさせる相対的に広い直接バンドギャップを有する半導体化合物である。窒化ガリウム材料は、炭化シリコン(SiC)、サファイア、およびシリコンを含む幾つかの異なる基板上に形成されてきた。シリコン基板は、入手が容易でかつ相比較的安価であり、シリコン処理技術が十分に開発されている。
【0012】
しかし、半導体デバイスを作製するために窒化ガリウム材料をシリコン基板上に形成することは、格子定数、熱膨張、およびシリコンと窒化ガリウムとの間のバンドギャップにおける差異から生じる難問を提示する。GaNと従来の基板材料との間の格子不整合に伴う問題もGaNおよびGaN合金に関わる材料層構造では一般的である。例えば、GaNおよびAlGaN材料は、層間境界面のひずみを発生させて圧電分極の一因となる程に大幅に異なる格子構造を持つ。これまでの数多くのデバイスでは、デバイスの特性を向上させるために圧電分極によって生じた電界が制御される。AlGaN/GaN層構造におけるアルミニウムの含有量の変化は、導電率または絶縁障壁の向上などの様々なデバイス特性を実現するように材料間の格子不整合を変化させる傾向を持つ。
【0013】
低い順方向抵抗または順電圧降下を有する半導体構造から恩恵を受ける特定の用途は、整流器である。従来では、電力用途における整流器はしばしば同期整流器であり、そこでは、ダイオードが整流器の電圧遮断機能を実行し、ダイオード両端の同期スイッチが、ダイオードのオン抵抗および順電圧降下を回避するために、ダイオードに順方向バイアスが掛けられるときに電流の導通を行う。この種類の構成には、ダイオードが順方向導通モードで動作すべきときにスイッチがオンになるように、スイッチの切換え制御器が必要である。この種類の従来の同期整流器は、電力効率を低下させかつ熱動作問題をまねく恐れもある順電圧降下のような整流器として使用されるダイオードの欠点を回避するために、電力用途でしばしば使用される。しかし、同期整流器を作製するためにダイオードで使用される同期スイッチは典型的には電力開閉器であるので、ゲートドライバを使用して高電力用途におけるスイッチを動作させる。したがって、追加的な制御動作を必要としないで、しかも低い順電圧降下も維持する整流器デバイスを実現することが望ましい。
【0014】
通過して流れる電流量を制限できる別の種類のデバイスは、ピンチ抵抗(pinch resistor)である。このピンチ抵抗は、典型的には2つの異なる種類の導電性材料によって半導体材料の中に製作される。例えば、P型導電性材料がN型領域の中に配置され、N+型領域がP型材料の一部を覆って形成される。ピンチ抵抗の抵抗は、一部を覆うN+型領域下のP型材料の面積抵抗と、一部が覆われたP型材料の寸法とによって決まる。デバイス中の電流は、対向する半導体材料によって「ピンチされる(pinched)」チャネルの中を導通される。これらの種類の設計を通じて、所与の電力域で効果的に電流を制限するために、非常に高い抵抗が非常に狭い面積の中に形成され得る。しかし、この種類のデバイスは、それらの製造時に使用される処理技法のためにしばしば不正確である。幾つかの設計によれば、デバイスを流れる電流は、電流を制限するためにチャネルを制御する役割を果たし得る、デバイス両端の電圧発生機によって効果的に制限される。従来のデバイスでは、ピンチ抵抗の中へ運搬可能な電流値が相対的に低く、したがって電力用途が多少複雑になる嫌いがある。
【0015】
低い順電圧降下を実現しながら、大幅な電圧の遮断が可能であるダイオードまたはピンチ抵抗のような高電流整流器デバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、小さいオン抵抗で大きな電流を導通しかつ高い電圧を遮断できる、III族窒化物材料系において実現した整流器のような電流制御デバイスが提供される。本デバイスは、オーム接点およびショットキーまたは絶縁接点を使用して、2つのIII族窒化物材料間における2DEGを操作するように動作する。
【0017】
本発明の1つの実施形態によれば、整流器には順方向に導通するために小さいターンオン(turn on)電圧が供給される。この整流器は2つのIII族窒化物材料層によって作製され、III族窒化物材料層の一方が他方より大きい面内格子定数を有し、その境界面において2DEGの形成をもたらす。2DEGの高いキャリア移動度は、低い順方向導通電圧によって整流器がオンにされるのを可能にする。デバイスを流れる電流は、ショットキー障壁を避けるように2DEGチャネルを介して分流されてオーム接点から流出する。逆方向の電圧条件下では、ショットキー接点が2DEGを中断して逆バイアス状態で電流が流れるのを阻止するようにチャネルを開路する。
【0018】
本発明の特徴によれば、ショットキー接点が、順電圧が印加されるまでデバイスが非導通状態であるようにIII族窒化物層の凹部の中に形成される。有利には、凹部は、デバイスパラメータの容易な可制御性を可能にするように傾斜壁を有する。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、多オーム接点および多ショットキーまたは絶縁接点によって形成された二方向性デバイスであるピンチ抵抗が、III族窒化物材料系の中に設けられる。ショットキーまたは絶縁接点は、2DEGによって形成されたチャネル中の電流がそれらの接点に印加した電圧にしたがって制御されるように、オーム接点間に配置されかつそれぞれのオーム接点に接続されて2DEGの形成を調整する。デバイスは、両方向で電流制限が可能であるように二方向性である。
【0020】
本発明の別の特徴によれば、このピンチ抵抗デバイスは、整流器と同様の不平衡(unbalanced)電流制限特性ばかりでなく、オン抵抗の変更も実現するように調整可能である。本デバイスは、両方向で高い電流運搬能力を有するようにも調製可能である。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、ショットキー型整流器がIII族窒化物材料系の中に設けられるが、このデバイスは、III族窒化物材料の2つの異なる層の境界面によって形成される2DEGを含むチャネルを介して電流を導通する。本デバイスはショットキー接点およびオーム接点を含み、オーム接点に向かって一方向に導通しかつショットキー接点に向かって他方の方向で電圧を遮断するようになっている。ショットキー接点に印加された電圧は、電流が、2DEGによって形成されたチャネルを介して流れてオーム接点から流出するのを可能にし、他方では、逆方向に印加された電圧が、ショットキー接点下の2DEGを空にして逆バイアス時に電圧を遮断する。GaNがIII族窒化物層の1つとして使用されるとき、GaN層の高度に抵抗性の特質は、デバイスから電流が漏洩するのを防止する。本デバイスは、逆バイアス時に、高いスタンドオフ(standoff)電圧を可能にする低電界を得るために、III族窒化物層を殆どドーピングすることなくまたは一切ドーピングすることなく作製可能である。このような注目すべき特徴が、順バイアス抵抗の増大を犠牲にすることなく得られる。
【0022】
本発明の別の特徴によれば、上に説明したデバイスを製造する方法が提供され、III族窒化物層が絶縁性または高抵抗性の基板上に設けられる。随意選択的には、緩衝層が、基板と、好ましくはGaNから成るIII族窒化物層との間に設けられ得る。AlGaN層が抵抗性GaN層の上に堆積され、次いで、アニール時にAlGaNの表面が分解するのを制限するために保護絶縁層が堆積される。下に位置するAlGaN層に到達するように保護絶縁層の中に窓が開けられる。本デバイスのためのオーム接点を得るために、この窓の中でオーム金属の接点が設けられる。オーム接点をアニールした後に、別の窓が保護絶縁層の中に開けられ、それを貫通してショットキー金属が堆積されてデバイスが完成する。
【0023】
有利なことには、被着および接触層は、能動領域の上方または下方に成長され得る。電極、絶縁層などを構築するための他の知られた方法も本発明に適用可能である。
【0024】
本発明の特徴によれば、電流運搬能力を高めるために、能動層における追加的な絶縁層または構造ではなく、適切なGaN絶縁体境界面が設けられる。追加的な絶縁層を設けなくても、本明細書に説明のヘテロ境界面のエピタキシ性質は、積層されたときに2DEGにおける電子に関して1桁高い移動度をもたらす。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、III族窒化物材料系の中に実現された名目上オフの電流制御デバイスは、2DEGの形成場所となるようにAlGaN/GaN境界面を設ける。AlGaN層中においてショットキー接点を包囲する領域は、エンハンスメントモード(enhancement mode)のデバイスを得るために、2DEGを局所的に排除するようにエッチバック(etched back)される。本発明の特徴によれば、この電流制御デバイスは、対応するオーム接点に隣接して位置決めされた2つのショットキー接点を含み、これらのショットキー接点は、電流運搬デバイスを構成するオーム接点のそれぞれから等距離にある。
【0026】
本発明の特徴によれば、AlGaN層は、エンハンスメントモードのデバイスを形成するためにショットキー接点の周囲領域内でエッチバックされ、そこでは2DEGがAlGaN/GaN層間で局所的に排除される。
【0027】
III族窒化物半導体材料系における大きな絶縁破壊電界は、小サイズのスタンドオフ領域を有する名目上オフの電力デバイスの構築を可能にする。この材料系は、同じような電圧定格の知られたデバイスに較べて、小さい比オン抵抗を有するデバイスの構築も可能にする。本明細書で論じたGaN/AlGaNデバイス場合では、プレーナーデバイスは、垂直幾何学配置の相当物と較べると、約300ボルトの電圧定格でほぼ100倍の比オン抵抗の向上を有する。
【0028】
III族窒化物電流制御ヘテロ接合デバイスは、ウェーハ面積を犠牲にすることなく、両方向で電圧を遮断できる名目上オフのデバイスの製造を可能にするために対称特性を利用することができる。単一方向で電圧を遮断する従来のデバイスに勝るこのような利点のために、1つの二方向性デバイスによって幾つかの単一方向性デバイスを置き換えることができる。
【0029】
本デバイスはまた、接点における低漏洩および障壁層からの高い破壊電界を特徴とする。その結果として、本デバイスは、SiO2およびSiNのような従来の絶縁体に較べて、より大きい誘電定数を与える。GaN材料の高い臨界電界は、薄い層が絶縁破壊することなく大きな電圧に耐えることを可能にする。GaN材料の誘電率は、SiO2よりも2.5倍大きく約10である。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照する本発明の以下の説明から明白になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
GaN材料デバイスの構築では、幾つもの要因がデバイスの機能および能力に影響する役割を果たす。III族窒化物材料における大きな格子不整合とこれらの材料における強い圧電および分極の効果とが、III族窒化物ヘテロ接合デバイスの電気特性にかなりの影響を与える。今日まで報告されたかなりの数のGaN系デバイスは、ひずみを最大化するが転位またはデバイスの長期的な不安定性に繋がることになる緩和限界の超過を避けるように設計される、合金構成物によるひずみGaN/AlGaN接合を使用する。一般に緩和限界内でひずみを最大化するように、これらのデバイスが成長形成される。AlGaNの厚みが増大するか、またはAlGaN中のAl含有量が増大すると、2DEG密度ばかりでなくキャリア移動度の増大に繋がるひずみも増大する。しかし、AlGaN層の厚みが増大しすぎれば、またはAl含有量が増大しすぎれば、層全体が緩和して上記の望ましい特性をすべて喪失する。ヘテロ接合デバイスを構築するための様々な装置およびシステムが、格子不整合およびGaN/AlGaN接合のひずみを制御するために提案されてきた。これらのデバイスは、特に、圧電分極および自発分極の効果を利用して長期的な不安定性を最小化するように設計される。
【0032】
GaN/AlGaNデバイスは、所与のデバイスにおける電力の流れを制御するための1つまたは複数の端子を典型的に有する。端子に印加された電位は、この端子が結合される導電チャネル中の電流を制御する。導電チャネルは、2つの異なる半導体材料間の少なくとも1つのヘテロ境界面によって画成される。
【0033】
AlGaN/GaN材料がヘテロ接合デバイスの半導体材料を構成し、かつAlGaNが障壁層として使用されるとき、AlGaNの自発分極特性から得られる分極電荷ばかりでなく圧電分極電界として知られるひずみ誘発特性が存在する。III族窒化物デバイスを構築する際に、これらの電界の形成を制御すると、どのようにデバイスを特性付けるかに応じて、GaN系デバイスを多様な用途とって適切なものにする様々な特性をもたらす。
【0034】
GaN材料によって形成されたヘテロ接合デバイスは、チャネル中の電子密度を高め、それによってチャネルの導電特性を高める2DEG(2次元電子ガス)を誘発するようにGaN層の上に配置されるAlGaNの障壁層を典型的に含む。AlGaN/GaN層の境界面に形成された2DEGの存在により、例えば、チャネルの存在が電極間に電流を導通させるので、基本的に形成されたIII族窒化物デバイスは名目上オンである。
【0035】
2DEGの電荷を空にすれば、2DEG中の電流をピンチすることができる。本発明によれば、チャネルを通過できる電流の最大量を減少させるためにチャネルの選択領域中の電荷を減少させる。その結果として、電流をある一定の最大水準に「ピンチする」ことができる。この選択領域は、ピンチ状態に達するまでデバイスの全体抵抗が低いままに留まり得るように小さいことが好ましい。
【0036】
図1Aに示すように、計算値は、2DEG密度がAlGaN層(図2Aの16)の厚みに依存し得ることを示す。本発明の1つの様態によれば、デバイスの小領域におけるAlGaN層は、2DEGの密度を局所的に低減するために薄くされ、したがって後段で示すようにピンチ効果を可能にする。AlGaNが薄くなると、ピンチ電流は図1Bで分かるように抑制される。2DEGがゲート下で排除されるまでAlGaNが薄くなれば、デバイスのピンチ電流は0または0近くまで減少する。このような状況下では、ピンチングが一方向のみで行われることになるので、デバイスは事実上の整流器である。
【0037】
図2Aを参照すると、本発明によるヘテロ接合デバイスが、その形成の早期段階においてデバイス10として例示されている。デバイス10は、基板12、絶縁GaN層14、および活性AlGaN層16を含む。オーム接点(ohmic contacts)18および19が、AlGaN層16の上に形成されて、得られるデバイスの接続または端子の役目をする。GaN/AlGaN境界面15は、オーム接点18と19との間における電気の流れを可能にする2DEGによって導電チャネルを形成する。
【0038】
デバイス10のGaN層14は、AlGaN層16よりも大きな面内格子定数を有する。境界面が電流導通のためのチャネル形成を許容する限り、他のIII族窒化物材料を使用してデバイス10を形成できることは明白なはずである。基板12は絶縁基板であるが、それは高度に抵抗性を有し得るか、またはドープn型もしくはp型であり、それは、炭化珪素、シリコン、サファイア、および他のよく知られた基板材料のようなよく知られた材料から典型的に形成される。
【0039】
ここで図2を参照すると、接点18の近傍でAlGaN層16の中へエッチングされた凹部20が示されている。凹部20は傾斜側壁22を含むが、それは何ら特定の形状にしたがって作製される必要はない。傾斜側壁22を有することは、デバイスの抵抗を最小化するために推奨される。さらには、離隔距離Lsおよびゲート長Lgを使用してピンチ電流の水準も制御することができる。凹部20は、接点をAlGaN層16とGaN層14との間の境界面により近接して配置可能にする。しかし、たとえエッチング凹部を設けなくても、デバイスは電流を最大水準にピンチすることに留意すべきである。このようなデバイスも、後段で明らかになるように、ピンチ抵抗であると見なされる。
【0040】
ここで図2Cを参照すると、デバイス56を形成するために処理可能なデバイス60を製造するための技法が例示されている。フォトレジスト層62がIII族窒化物障壁層16上に塗布されており、フォトレジスト層62の中に開口64、65が空けられている。開口64、65は、エッチング工程が傾斜形状をIII族窒化物障壁層16に移転できるように傾斜した側壁を有する。図2Bに例示した傾斜側壁22は、このような技法にしたがって形成可能である。典型的には、III族窒化物障壁層16はAlGaNから構成され、層16中に傾斜側壁を備える凹部を画成するために、フォトレジスト層62および開口64、65に適切なエッチング法が利用される。
【0041】
図3Aを参照すると、デバイス31が、ショットキー金属から構成される接点30を有する。逆バイアス、すなわち、オフ状態では、2DEGによって確立された電流運搬チャネルが接点30の下で遮断されるので、デバイス31はオーム接点18と19との間に電流を導通しない。順バイアスが掛けられるとき(接点18および30が接点19よりも正のとき)、デバイス31は、オーム接点18と19との間で電流を運搬するように動作可能である。これは、接点30下のチャネルの注入(filling)による。
【0042】
接点30は、凹部20中の堆積AlGaN層16およびその上に重なる接点18の頂上にあるショットキー金属から構成され得る。上で留意したように、AlGaN層16は、層16の面内格子定数が層14の面内格子定数よりも小さい限り、または層16のバンドギャップが層14のバンドギャップよりも大きい限り、任意のIII族窒化物材料層によって置換え可能である。
【0043】
デバイス31は、オーム接点18および19ならびに接点30に関する幾つもの様々な幾何学的配置で構築され得る。例えば、接点30は、オーム接点18を包囲するショットキー接点(schottky contact)であり得る。接点30はまた、オーム接点18の一部の回りに形成されて、ギャップまたはエッチング領域が特定の方向にまたはデバイス31上の特定の領域における電流の流れを限定するように形成可能である。オーム接点18およびショットキー接点として形成された接点30はまた、破壊電圧、ピンチ電流、およびオン抵抗パラメータを増大または減少させるために、相互から様々な間隔に離間され得る。
【0044】
ショットキーダイオードとピンチ電流との組合せは、非常に独特なデバイスをもたらす。事実、エッチングはデバイスのためのピンチ電圧を変化させた。ピンチオフ(pinchoff)が生じると、第2の接点における電圧が、デバイスのエッチング領域によってさらに降下する。凹部エッチングによって実現したピンチ電圧の低下の結果として、ショットキー接点は、このピンチ電圧を遮断しさえすればよい。たとえショットキーダイオードの品質が劣っていても、または低いショットキー障壁高さを有するときであっても、非常に低漏洩のデバイスを可能にするエッチングによって、このピンチ電圧を1〜2Vの域まで低下させることができる。
【0045】
本発明によれば、凹部20は2DEG密度の局所的な変化を引き起こす。凹部は、それが好ましいけれども、2DEGの局所密度を低減させ得る唯一の方法ではない。2DEGの密度の変更は、AlGaNを局所的に酸化してAlGaOまたはAlGaONを形成するためにピンチング接点(pinching contact)の下でP型ドーパントを注入もしくは拡散することによって、または境界面の向きを局所的に変更することによって遂行可能である。
【0046】
例えば、図3Bを参照すると、2DEGの密度を局所的に低減させるために、凹部20ではなく、領域20Aを酸化することができる。領域20Aは、最初にAlGaNをSiNまたは別の酸化保護被覆によって覆い、次いで酸化すべき領域上のSiNの中に窓を空け、次に酸化工程を実行することによって形成可能である。このような酸化は、H2O、O2、酸素プラズマ、または他のよく知られた化学的作用に高温で曝すことによって実現可能である。高温でH2および酸素を使用して作業しているとき、適切な注意が払われる場合には、ガスを含有するH2が、この処理に対する触媒作用の助けになり得る。
【0047】
次に図3Cを参照すると、凹部20ではなく、AlGaN中の領域20Bをドープすることができる。したがって、例えば、SiNまたは他の任意適切な保護被覆によってAlGaNを覆うことが可能であり、次いで、望ましい箇所を覆うSiNの中に領域20に達する窓を空けることができる。その後で、高温環境の中で、AlGaNをMg、Fe、またはCr含有ガスに曝す。別法として、AlGaNを覆うSiN層中の窓の底にドーパントの1つを堆積または注入し、アニール工程でその内部に拡散させることができる。厳密な時間および温度は、望ましいドーピング水準およびAlGaN中へのドーパントの拡散率に応じる。
【0048】
ここで図3Dを参照すると、別の変形にしたがって、AlGaN層16ではなく、GaN層14の中にドープ領域20Cを形成することができる。標準的な注入およびアニール工程を使用してAlGaN16を貫通して領域20Cを形成することが可能であるし、または領域20CをGaN層14の中に形成してGaNの別の層によって被覆し、次いでAlGaN層16によって被覆することも可能である。P型ドーパントは、Mg、Fe、Cr、Znでもよい。MgまたはZnが好ましいドーパントである。
【0049】
ここで図4を参照すると、本発明の別法による実施形態が、デバイス41として例示されている。デバイス41は、接点40が絶縁層42上の導電材料から形成されている点を除けば、実質的にデバイス31と同様である。したがって、接点40は、ショットキー接点ではなくて絶縁された接点であり、それはデバイス41を動作させるために任意の種類の金属導体を含み得る。金属導体に加えて、Si、GaN、またはGeなどの他の導電材料も使用可能である。デバイス41の動作は実質的にデバイス31の動作と同じであり、その場合に2DEGが接点40の下で遮断されるかまたは密度が低減される。オーム接点19に印加される電位よりも大きい電位を接点18(したがって接点40に)印加すると、接点40の下に2DEGを形成させ、デバイス41はオーム接点18と19との間に電流を導通することができる。
【0050】
ここで図5を参照すると、本発明による別の実施形態が、デバイス56として例示されている。デバイス56は、2つの電極50、52を有するピンチ抵抗である。デバイス31および41に関する場合のように、電極50および52は、凹部の下の2DEGの密度を低減させるためにAlGaN層16の中に凹部を形成して、デバイスをオフに切り換えることなくピンチ電流を変化させ、それによってデバイス56はピンチ抵抗になり、電流水準を制御するために使用可能になる。しかし、デバイス56は、ピンチ抵抗デバイスが電流制御器として適切に動作する別の構成を例示する。
【0051】
図5によって示したデバイスは、次のように機能する。電圧がオーム接点54、55間に印加されるとき、電子が、AlGaN16およびGaN14によって形成されるチャネルの中のオーム接点54から注入(inject)される。電荷は、チャネルの中を横方向にショットキー接点50の下を流れ、ドリフト領域を横切ってショットキー接点52の下を流れてオーム接点55から外に流れる。これらの領域のそれぞれの中の抵抗によって、電圧は電流が流れるにつれて低下する。その結果として、チャネルの電圧は、デバイスの一端から他端まで横方向に変化する。流れる電流が多ければ多いほど、それだけデバイス両端の電圧降下が大きくなる。特に、ショットキー接点の直下のチャネル中の電圧は、電流の量と共に変化することになる。チャネル中のこのような点とショットキー接点との間の電圧差がVピンチ、またはV閾と呼ばれる特定の値に達するとき、チャネル中の電子密度を空にし、オーム接点55に追加的な電圧を印加してもそれ以上の電流増加は起こらない。
【0052】
図5によるデバイスは、二方向性であるが、第2のショットキー接点52が除去されると一方向性デバイスが作製可能であるように対称的である。この場合には、ピンチング作用は一方向でのみ生じる。以上の説明では、オーム接点54が0バイアスにあり、オーム接点55が接点54に対して正にバイアスされることが想定されていた。ショットキー接点50、52を形成するために、Au、Ni、またはPtを含めて任意の数の材料を使用することができる。ピンチ電流は、ショットキー接点50、52を形成するために選択された金属の仕事関数を変更することによって調整可能であることに留意すべきである。別の変形は、ショットキー金属の代わりにP型GaNを使用することである。ショットキー接点50、52の配置は、デバイスがピンチオフする電流を決定するために重要である。チャネル中の電圧はデバイス全体にわたって変化するので、ショットキー接点の縁部がオーム接点から遠ければ遠くに配置されるほど、それだけピンチ電流は減少する。破壊電圧を増大させるために、フィールドプレート(field plate)を設計の中に含めることもできる。したがって、図5によるデバイスでは、ピンチ電流を決定するのは、このようなショットキー接点50、52の縁部50Aである。
【0053】
一方の接点54、55が他方に対して順方向バイアスが掛けられるとき(例えば、接点54が接点55より高い電位にある場合およびその逆の場合)、電流は、これらの2つの接点の間を流れる。したがって、図5に示したデバイスは二方向性デバイスである。本明細書に説明した先程のデバイス動作原理によれば、電流は、どの方向に電流が流れているかに関わらずピンチされる。したがって、デバイス60は二方向性ピンチ抵抗である。
【0054】
接点50、52の下の電位は電流の導通によって異なるので、ピンチングが行われる。したがって、電流自体が、電位差を確立して導通水準を自己制限する。
【0055】
デバイス56は、名目上の二方向性デバイスであり、それぞれのショットキー接点50、52に対する間隔が均等であるように維持されるとき、電極54、55間の電流の導通を安定させる。すなわち、電極54とショットキー接点50との間における間隔が、電極55とショットキー接点52との間における間隔と同じになるように形成することによって、電流が電極54から電極55に流れていても、またはその逆に流れていても、デバイス56が実質的に同様に動作するように、破壊電圧、オン抵抗、および他のスイッチ特性を安定させることができる。パラメータの数は、オン抵抗、ピンチオフ電流、破壊電圧などのようなデバイス特性を変更するために修正可能であることは明白なはずである。
【0056】
電流がデバイス56のチャネルの中を流れるとき、電圧ポテンシャルが、ショットキー接点50、52およびAlGaN層16に対して上昇する。電流が増大するにつれて電圧が上昇すると、電圧ポテンシャルが、境界面領域15を空にし、2DEG導電チャネルをピンチオフする点に達する。一方のオーム接点から他方のオーム接点までのチャネル中の電流が増大するとき、ショットキー接点の下の2DEGにおける電圧が、ショットキー接点上の電圧に応じて変化することになる。最終的には、ショットキー接点と2DEGとの間の電圧差は、2DEGを空にして電流を飽和値までピンチングする。デバイス56は二方向性デバイスであるので、ピンチオフ特性は、両方向に作用し、層および接点の構成および含有物によって特定の用途に対して調製可能である。例えば、一方の方向よりも他方の方向でより大きなピンチオフ電流を有するデバイスを作製することが望ましい場合があり、それはショットキー接点とオーム接点との間の関係を操作することによって実現可能である。デバイス56の電流制限特性によって、それは、過剰電流状態が電力システム構成要素に損傷を引き起こす恐れがある電力用途において有用な要素になる。
【0057】
デバイス56の動作設計目標は、電流制限作用をもたらすように接点を2つのオーム接点54、55の間に配置することによって実現可能である。したがって、本発明の実施を続行する際に、デバイス56を動作させるために両方のショットキー接点50、52は必要ではない。例えば、図3Aを参照すると、電流制御デバイス31は、単一の接点を2つのオーム接点18、19の間に配置した名目上オフのデバイスとして、図5に説明した本発明の構想が例示されている。単一のショットキー接点を有するピンチ抵抗として作用する名目上オンのデバイスを提供するために、図3Aに例示したデバイスと同様のデバイスが、デバイス56にしたがって構築可能であることは明白なはずである。
【0058】
したがって、本発明の別の変形によるピンチ抵抗は、2つのオーム接点54、55、2つの電流制限接点50、52、ならびに、例えば、図4の接点40の下および図3Aの接点30の下に見られるように、それぞれの電流制限接点50、52の下のエッチング凹部を含み得る。本発明によるデバイスでは、電流がオーム接点54、55の間を流れ、他方で、電流制限接点50、52は、それが接続されるオーム接点の電位に等しい一定値に表面電位を設定するように作用する。本発明によるピンチ抵抗におけるエッチング凹部の機能は、2DEG密度を低減させ得るが、それを排除するものではない。深さ、エッチング凹部の幅、および形状を変更することによって、デバイスを流れる最大許容電流を制御することができる。したがって、本発明によるピンチ抵抗の中に設けられた凹部は、デバイスがピンチオフする電流値を変更することができる。
【0059】
ここで図6を参照すると、本発明によるピンチ抵抗の別の実施形態がデバイス60として例示されている。デバイス60は、図5に例示したショットキー接点50、52ではなく、絶縁された接点61、62を含む。これらの絶縁接点は、デバイスの破壊を伴わずにより高い水準の電圧を遮断できるという追加的な利点を有する。デバイス60は、デバイス56と同様の方式で、すなわち、十分な量の電流が導電チャネルを通って運搬されるとき、境界面15における2DEGによって形成されたチャネルをピンチオフするピンチ抵抗として動作する。しかし、絶縁接点61、62は任意の導電材料から作製可能である。絶縁接点61、62はデバイス60ではオーム接点54、55と電気接触しており、ピンチオフ制御が、オーム接点54、55を通って運搬された電流によって影響を受け、絶縁接点61、62と境界面15における2DEGとの間に電圧差を誘発する。デバイス60は、単一の絶縁接点がデバイス60をピンチ抵抗として動作させるのに十分であり、様々な接点の層材料含有量および構成の変更によってデバイスに関する特定のパラメータ特性を可能にし、かつデバイス60は電流検知デバイスとして機能できるので、デバイス56とは他のすべての点で実質的に同じである。しかし、デバイス60は、絶縁接点61、62がAlGaN層16から絶縁され得るように、絶縁接点61、62を作製する前に形成される絶縁層64も含む。
【0060】
オーム接点54、55は、堆積前のSiまたはGeのようなドーパントの注入、オーム接点堆積前のAlGaN層16上への高度ドープIII族窒化物材料の堆積、オーム接点54、55下におけるIII族窒化物超格子構造の形成、以上の堆積と組み合わせたAlGaN層16のエッチング等々のような幾つもの方法で製造可能である。
【0061】
デバイス60および56は共に二方向性であり、それらはその汎用性を高めて用途の数を増やす。デバイス56および60は、ゲート電極がソース電極に短絡されるHFETによっても作製可能である。オーム接点とショットキー接点との間の離隔距離は、ピンチ電流を増減するために変更可能である。ショットキー接点の幾何学配置は、ショットキー材料がオーム接点を包囲したり、2つのショットキー接点がそれぞれのオーム接点を包囲したり、エッチング領域を有する非包囲ショットキーが電流の流れをデバイス上の特定領域に限定したりすることなど、多様な構成で実現可能である。
【0062】
ここで図7を参照すると、本発明の別の実施形態がデバイス70として例示されている。デバイス70は、サファイア、シリコン、炭化珪素、または他の任意適切な材料などの絶縁性または高抵抗性の材料から構成された基板72を含む。抵抗性のIII族窒化物材料層74が基板72の上に重なり、随意選択的に層74と層72との間に介在する緩衝層73を含む。緩衝層73は、層72と74との間の格子不整合に関連するひずみ力を低減または軽減するために層74と72と間に介在することができる。別のIII族窒化物材料層75が層74の上に重ねられ、層75は層74よりも小さい面内格子定数を有するようになっている。III族窒化物材料の性質にしたがって、層74と75との間には大量の電流を運搬する能力がある2DEGが形成される。
【0063】
デバイス70はまた、接点および電極を形成するためにデバイスをパターン形成する手段となるばかりでなく、下に位置する層も保護する絶縁層76を含む。デバイス70は接点77Bおよび78も含むが、その場合に接点77Bがショットキー接点であり、接点78がオーム接点である。接点77B、78はフィールドプレート設計で配置されているが、そこでは接点の一部が絶縁層76を貫通して層75に接触する。すなわち、ショットキー接点77Bはフィールドプレート部分77Aを含む。得られるデバイスは、層74、75間の境界面における高密度で高移動度の2DEGの形成によって、名目上オンの整流器である。2DEGは、圧電力と自発分極力との組合せによって形成され、極めて薄いけれども高導電性の層および高抵抗性の層をもたらす。層74と75との間の境界面に形成されたチャネルは、厚いドープ領域を使用することなく、非常に大きな電流を運搬することができる。したがって、デバイスが導通している順バイアス方向で、大量の電流がチャネルを通って運搬され得る。逆バイアス状態では、チャネルは移動可能な電荷が空になり、電流がチャネルの中を流れないようになっており、下に位置する層74の高抵抗性質によって、電荷がその層の中を流れることも同様に防止する。層74および75がドープされないので、デバイスの逆バイアス状態は低電界を発生させる。これらの電界は値が低いので、デバイスは、高い電圧に耐え得るが、依然として低い順方向バイアス抵抗を生み出す。高い臨界電界および櫛形電極構造(interdigitation)が所与の破壊電圧に関するRA積を向上させる。デバイス70の別の特徴は、層74の抵抗特性により、層75をエッチングすることによってデバイスを絶縁できることである。すなわち、層75を貫通してエッチングすることによって、2DEGが中断され得る。層75の全部または一部をエッチングすることによって2DEGの連続性が中断されるので、多デバイスを単一基板上に作製可能であるが、しかし相互に電気的に絶縁可能である。図11が、凹部、注入領域、または1つのダイの中に多くの電気絶縁デバイスを作製できるように、選択箇所で2DEGを中断できる他の任意の形状構成であり得る領域200を例示する。これらの特徴および利点によって、かなりの量の複雑性(complexity)を発揮する高電力デバイスが、従来可能であったものよりも小さいスペースの中に形成可能であるように、基板上スペース(real estate)の中で僅かなコストで単一チップ上に幾つものデバイスを集積することが可能になる。
【0064】
ここで図8を参照すると、櫛形電極(interdigitated fingers)を有する整流器の構造図がデバイス80として例示されている。デバイス80に異なる接点用の櫛形電極を設けることによって、デバイス80はRA積の向上を実現する。ショットキー接点ランナ81が、ショットキー接点櫛形電極83用の共通接続になり、他方で、オーム接点ランナ82がオーム接点櫛形電極84用の共通の接点になる。整流器デバイス80では、電流は、順方向バイアス状態の下で非常に低い抵抗および高い電流容量でオーム接点84からショットキー接点83へ流れる。逆バイアスが掛けられるとき、ショットキー接点83上の電位は、2DEG領域を空にして層74、75間の境界面に形成されたチャネルを中断する。ショットキー接点およびオーム接点83、84は櫛形構造であるので、RA積を向上させる幾つもの電流路が設けられる。
【0065】
図7および8によるデバイスは、電圧を横方向に導通しかつ遮断する。さらには、従来技術とは異なり、図7および8によるデバイスは、高密度2DEGを利用するショットキーデバイスである。
【0066】
高水準の櫛形電極構造はスペース利用の効率性も高めることに留意すべきである。
【0067】
好ましい実施形態によるデバイスでは、絶縁層76が非常に薄く(10〜200Å)であり、他方でフィールドプレート77Aの幅は非常に広く(1〜3μm)、それはショットキー接点101のサイズ(3〜10μm)に匹敵する。従来設計によるデバイスでは、接点面積がプレート幅よりもはるかに大きい。通常よりも大きいフィールドプレートを有する理由は、この種のヘテロ接合デバイスにおけるショットキー接点が高電界では非常に漏洩し易いからである。大きなフィールドプレート77Aは、漏洩が生じない絶縁体上に位置するショットキー金属の縁部に電界を移動する。したがって、ショットキー接点は高電界から遮蔽され得る。
【0068】
ここで図9A〜9Eを参照すると、本発明によるデバイス90の製造技法が例示されている。図9Aでは、幾つかの層を基板92上に形成した後のデバイス90が示されている。基板92は、サファイア、シリコン、炭化珪素、または同様物のような絶縁体または高抵抗性材料から構成され得る。GaN層94のような抵抗性のIII族窒化物層が基板92の上に重なり、その間に緩衝層93が介在する。緩衝層93は、基板92と層94との間の格子不整合によって誘発されたひずみの軽減を助けるために設けられる。層94は、デバイス90でAlGaN層として例示した別のIII族窒化物層95によって覆われている。層94は、層95よりも大きな面内格子定数を有し、層94、95の境界面に2DEG97を形成させる。
【0069】
図9Bを参照すると、電極窓(contact window)98が、層95上にオーム接点を形成するために絶縁層96の中に空けられる。図9Cは、2DEG97によって形成されたチャネルの中を運搬される電流のための通路を設けるために、AlGaN層94に対する接続となるオーム接点99の堆積を例示する。
【0070】
ここで図9Dを参照すると、ショットキー電極窓101が、AlGaN層95を露出するために絶縁層96の中に空けられる。図9Eを参照すると、ショットキー接点103が、AlGaN層96の上方にかつ電極窓101を貫通してそれに接触して堆積される。ショットキー接点103は、2DEG97によって形成されたチャネルから供給される電流を運搬することもできる。
【0071】
以上に説明した整流器として作用するデバイス90を作製する際に、絶縁層96が、アニール時のAlGaN層95の分解を制限するために最初に層95上に堆積される。オーム金属接点99が、図9Cで絶縁層96を貫通して堆積され、オーム接点99の形成を完了するためにアニール処理が行われる。アニール処理中に、絶縁層96はAlGaN層94の実質的な分解を防止する。デバイス90を形成する層はどれもドープされる必要がないし、またはドープ半導体材料の形成で使用される典型的な処理に掛けられる必要もないことに留意されたい。ドープ電流運搬層か存在しないこと、および高導電性2DEG97を使用することによって、所与の破壊電圧に関するRA積が大幅に向上する。抵抗性GaN層94も、AlGaN層94をエッチングすることによってデバイス90を絶縁可能にする。このようにデバイス97を絶縁する容易さは、完全な電力システムが集積回路の製造において実現され得るように、数多くのデバイスを単一のチップ上に集積することを可能にする。
【0072】
ショットキー電極窓101は、例えば、本明細書で論じた幾つかの実施形態のデバイスにしたがって傾斜側面が形成可能であることに留意されたい。
【0073】
オーム接点、ショットキー接点、絶縁層、および金属化接点の構築が、知られた技法にしたがって実施可能である。さらには、パシベーション層および被着が本明細書で説明したデバイスに適用可能であるばかりでなく、デバイスを仕上げるために接点を電流運搬電極およびゲートに形成する技法も適用可能である。
【0074】
デバイス31、41、56、60、および70を構築するために使用されたIII族窒化物材料は、従来の材料よりも遙かに適切な遮断特性を典型的に発揮し、デバイスは、動作パラメータ値を維持しながら、従来の材料によって可能であるよりも小さいサイズで構築可能になっている。デバイス31、41、56、60、および70は、匹敵する機能を実行するのに従来のデバイスよりも小さいサイズで実現可能であるので、電力効率の向上を達成するために、オン抵抗の減少を実現することができる。
【0075】
さらには、本明細書で説明した電極は、説明したデバイスの動作特性をさらに向上させる低い抵抗性のオーム接点形成プロセス(ohmic contact process)によって形成可能である。
【0076】
ここで図10を参照すると、図7に示したデバイスのショットキー部分77Bが、P型GaN本体103によって置換え可能である。P型GaN本体103は、開口101の内部に含まれ得るか、またはそれが、例えば、再成長によって創出される場合には絶縁層の上方に張り出し得る。
【0077】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、他に数多くの変型および変更ならびに他の用途が当業者には明らかにとなろう。したがって、本発明は本明細書における特定の開示ではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】AlGaN/GaNヘテロ接合デバイスにおけるAlGaN厚と2DEG密度との間の関係を示すグラフである。
【図1B】本発明によるデバイスにおける電流ピンチング効果を例示するグラフである。
【図2A】本発明にしたがって一部が形成されたIII族窒化物電流制御デバイスを示す断面図である。
【図2B】図2Aのデバイス中のエッチング接点領域を例示する図である。
【図2C】図2Bに示した凹部を形成する方法を例示する図である。
【図3A】第1の実施形態によるデバイスを例示する図である。
【図3B】例えば、図3Aに示した本発明によるデバイスの別の変形の一部を示す図である。
【図3C】例えば、図3Aに示した本発明によるデバイスの別の変形の一部を示す図である。
【図3D】例えば、図3Aに示した本発明によるデバイスの別の変形の一部を示す図である。
【図4】本発明の別の実施形態によるデバイスを示す図である。
【図5】本発明の1つの実施形態にしたがって形成された、ショットキー接点を有するピンチ抵抗を示す断面図である。
【図6】本発明の1つの実施形態にしたがって形成された、絶縁接点を有するピンチ抵抗を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態にしたがって形成された整流器を示す断面図である。
【図8】図7の整流器を示す平面図であり、櫛形電極を例示する。
【図9A】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9B】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9C】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9D】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9E】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図10】図7によるデバイスの別の変形を示す図である。
【図11】本発明によるデバイスの1つの変形を示す上面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電界効果電流制御デバイスの部類に関し、より詳細にはIII族窒化物材料系の中に構成された整流器および電流制限デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、特許文献1、特許文献2、特許文献3に基づきかつこれらの利益を主張するものであり、ここに、これらの全てに対して優先権を主張しかつこれらの開示を参照により組み込む。
【0003】
2.2MV/cmを上回る大きな絶縁破壊電界を発揮するIII族窒化物半導体が現在知られている。III族窒化物ヘテロ接合構造も極めて高い電流を運搬することが可能であり、それはIII族窒化物材料系の中に製造されたデバイスを電力用途にとって優れたものにする。
【0004】
III族窒化物材料に基づくデバイスの開発は、一般に携帯電話の基地局用のエミッタなどの高電力で高周波数の用途を目的としてきた。これら種類の用途に向けて製造されたデバイスは、高い電子移動度を発揮する一般的なデバイス構造に基づき、ヘテロ接合電界効果型トランジスタ(HFET)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、または不均一不純物添加電界効果トランジスタ(MODFET)と様々に呼ばれている。これらの種類のデバイスは、典型的に100ボルト域内にあるような高い電圧に耐え、かつ高い周波数、典型的には2〜100GHzの帯域内で動作することが可能である。これらの種類のデバイスは、幾つかの種類の用途向けに改良可能であるが、典型的には、非常に低い抵抗損失で非常に高い電流密度を輸送できる2次元電子ガス(2DEG)を発生させるために、圧電分極電界を使用することによって動作する。2DEGは、これらの従来のIII族窒化物HEMTデバイス中のAlGaN材料とGaN材料との境界面に形成される。AlGaN/GaN境界面の性質およびこの境界面における2DEGの形成によって、III族窒化物材料系中に形成されるデバイスは、名目上オンに(nominally on)、またはデプレッションモード(depletion mode)デバイスになる傾向を持つ。AlGaN/GaN層の境界面における2DEGの高電子移動度は、HEMTデバイスなどのIII族窒化物デバイスがゲート電位の印加なしで導通することを可能にする。これまで製造されたHEMTデバイスの名目上オンである性質は、それらの電力管理への応用可能性を限定してきた。名目上オンである電力デバイスの限定性は、電力がIII族窒化物HEMTデバイスによって安全に制御され得る前に、制御回路に電力を供給して動作させる必要がある点に観られる。したがって、始動および他のモード時に電流導通問題を回避するために名目上オフ(nominally off)であるIII族窒化物HEMTデバイスを創出することが望ましい。
【0005】
低い抵抗損失で高い電流密度を可能にするIII族窒化物HEMTデバイスの欠点は、ひずみAlGaN/GaN系において実現可能な厚みが限定されることである。これらの種類の材料の格子構造における差異が、異なる層を作製するために成長させた薄膜の転位を起こし得るひずみを発生させる。これは、例えば、障壁層からの高水準の漏洩をもたらす。幾つかの従来の設計は、転位発生および漏洩を低減するように緩和点(point of relaxation)が生じる付近までAlGaN層の面内格子定数(in−plane lattice constant)を低減することに集中してきた。しかし、これらの設計は限定的な厚みの問題に対処するものではない。
【0006】
別の解決策は、漏洩問題を防止するために絶縁層を追加するものである。絶縁層を追加すると、障壁層からの漏洩を低減させることが可能であり、このような目的のために使用される典型的な層は、AlGaNと金属ゲート層との間に配置された酸化シリコン、窒化シリコン、サファイア、または他の絶縁体である。この種類のデバイスは、しばしばMISHFETと呼ばれ、絶縁層を持たない従来デバイスに勝る幾つかの利点を有する。
【0007】
追加的な絶縁層はより厚いひずみAlGaN/GaN系の構成を可能にするが、この追加絶縁層によって作製された閉じ込め層が、GaN/絶縁体境界面における電子に対して生じる散乱効果によって電流運搬能力の低下をもたらす。AlGaN層と絶縁体との間の追加的な境界面もデバイスの応答を遅くする境界面トラップ状態を発生させることになる。これら2層間の追加的な境界面に加えて酸化物の追加的な厚みも加わると、デバイスのオンオフ切換え(スイッチ)に、より大きなゲート駆動電圧を使用することになる。
【0008】
窒化物材料を使用して名目上オフのデバイスを実現する従来のデバイス設計は、このように閉じ込め層の役目をする追加的な絶縁体に依存し、上層のAlGaN層を削減または排除し得る。しかし、これらのデバイスは、GaN/絶縁体境界面における散乱によって電流運搬能力が低下するのが典型である。
【0009】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/583941号明細書:2004年1月23日出願Clamped Impedance Field Effect Rectifier
【特許文献2】米国特許仮出願第60/538794号明細書:2004年1月23日出願III-Nitride Pinch Resistor
【特許文献3】米国特許仮出願第60/538864号明細書:2004年1月23日出願III Nitride Piezoelectric Heterojunction Interdigitated Rectifier
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、依然として高電圧に耐えかつ低い抵抗損失で高い電流密度を生成できるより少ない境界面および層を含み、低い漏洩特性を有するヘテロ接合デバイスまたはFETを作製することが望ましい。現在では、プレーナーデバイスが、MOCVD(有機金属化学気相成長法)ばかりでなく、分子線エピタキシ法(MBE)およびハイドライド気相エピタキシ法(HVPE)も含む幾つかの技法によって、GaNおよびAlGaN合金を使って製造されている。
【0011】
窒化ガリウム材料系における材料には、窒化ガリウム(GaN)と、その合金、すなわち、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、およびインジウムアルミニウム窒化ガリウム(InAlGaN)などが含まれ得る。これらの材料は、高エネルギー性電子遷移を生じさせる相対的に広い直接バンドギャップを有する半導体化合物である。窒化ガリウム材料は、炭化シリコン(SiC)、サファイア、およびシリコンを含む幾つかの異なる基板上に形成されてきた。シリコン基板は、入手が容易でかつ相比較的安価であり、シリコン処理技術が十分に開発されている。
【0012】
しかし、半導体デバイスを作製するために窒化ガリウム材料をシリコン基板上に形成することは、格子定数、熱膨張、およびシリコンと窒化ガリウムとの間のバンドギャップにおける差異から生じる難問を提示する。GaNと従来の基板材料との間の格子不整合に伴う問題もGaNおよびGaN合金に関わる材料層構造では一般的である。例えば、GaNおよびAlGaN材料は、層間境界面のひずみを発生させて圧電分極の一因となる程に大幅に異なる格子構造を持つ。これまでの数多くのデバイスでは、デバイスの特性を向上させるために圧電分極によって生じた電界が制御される。AlGaN/GaN層構造におけるアルミニウムの含有量の変化は、導電率または絶縁障壁の向上などの様々なデバイス特性を実現するように材料間の格子不整合を変化させる傾向を持つ。
【0013】
低い順方向抵抗または順電圧降下を有する半導体構造から恩恵を受ける特定の用途は、整流器である。従来では、電力用途における整流器はしばしば同期整流器であり、そこでは、ダイオードが整流器の電圧遮断機能を実行し、ダイオード両端の同期スイッチが、ダイオードのオン抵抗および順電圧降下を回避するために、ダイオードに順方向バイアスが掛けられるときに電流の導通を行う。この種類の構成には、ダイオードが順方向導通モードで動作すべきときにスイッチがオンになるように、スイッチの切換え制御器が必要である。この種類の従来の同期整流器は、電力効率を低下させかつ熱動作問題をまねく恐れもある順電圧降下のような整流器として使用されるダイオードの欠点を回避するために、電力用途でしばしば使用される。しかし、同期整流器を作製するためにダイオードで使用される同期スイッチは典型的には電力開閉器であるので、ゲートドライバを使用して高電力用途におけるスイッチを動作させる。したがって、追加的な制御動作を必要としないで、しかも低い順電圧降下も維持する整流器デバイスを実現することが望ましい。
【0014】
通過して流れる電流量を制限できる別の種類のデバイスは、ピンチ抵抗(pinch resistor)である。このピンチ抵抗は、典型的には2つの異なる種類の導電性材料によって半導体材料の中に製作される。例えば、P型導電性材料がN型領域の中に配置され、N+型領域がP型材料の一部を覆って形成される。ピンチ抵抗の抵抗は、一部を覆うN+型領域下のP型材料の面積抵抗と、一部が覆われたP型材料の寸法とによって決まる。デバイス中の電流は、対向する半導体材料によって「ピンチされる(pinched)」チャネルの中を導通される。これらの種類の設計を通じて、所与の電力域で効果的に電流を制限するために、非常に高い抵抗が非常に狭い面積の中に形成され得る。しかし、この種類のデバイスは、それらの製造時に使用される処理技法のためにしばしば不正確である。幾つかの設計によれば、デバイスを流れる電流は、電流を制限するためにチャネルを制御する役割を果たし得る、デバイス両端の電圧発生機によって効果的に制限される。従来のデバイスでは、ピンチ抵抗の中へ運搬可能な電流値が相対的に低く、したがって電力用途が多少複雑になる嫌いがある。
【0015】
低い順電圧降下を実現しながら、大幅な電圧の遮断が可能であるダイオードまたはピンチ抵抗のような高電流整流器デバイスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、小さいオン抵抗で大きな電流を導通しかつ高い電圧を遮断できる、III族窒化物材料系において実現した整流器のような電流制御デバイスが提供される。本デバイスは、オーム接点およびショットキーまたは絶縁接点を使用して、2つのIII族窒化物材料間における2DEGを操作するように動作する。
【0017】
本発明の1つの実施形態によれば、整流器には順方向に導通するために小さいターンオン(turn on)電圧が供給される。この整流器は2つのIII族窒化物材料層によって作製され、III族窒化物材料層の一方が他方より大きい面内格子定数を有し、その境界面において2DEGの形成をもたらす。2DEGの高いキャリア移動度は、低い順方向導通電圧によって整流器がオンにされるのを可能にする。デバイスを流れる電流は、ショットキー障壁を避けるように2DEGチャネルを介して分流されてオーム接点から流出する。逆方向の電圧条件下では、ショットキー接点が2DEGを中断して逆バイアス状態で電流が流れるのを阻止するようにチャネルを開路する。
【0018】
本発明の特徴によれば、ショットキー接点が、順電圧が印加されるまでデバイスが非導通状態であるようにIII族窒化物層の凹部の中に形成される。有利には、凹部は、デバイスパラメータの容易な可制御性を可能にするように傾斜壁を有する。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、多オーム接点および多ショットキーまたは絶縁接点によって形成された二方向性デバイスであるピンチ抵抗が、III族窒化物材料系の中に設けられる。ショットキーまたは絶縁接点は、2DEGによって形成されたチャネル中の電流がそれらの接点に印加した電圧にしたがって制御されるように、オーム接点間に配置されかつそれぞれのオーム接点に接続されて2DEGの形成を調整する。デバイスは、両方向で電流制限が可能であるように二方向性である。
【0020】
本発明の別の特徴によれば、このピンチ抵抗デバイスは、整流器と同様の不平衡(unbalanced)電流制限特性ばかりでなく、オン抵抗の変更も実現するように調整可能である。本デバイスは、両方向で高い電流運搬能力を有するようにも調製可能である。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、ショットキー型整流器がIII族窒化物材料系の中に設けられるが、このデバイスは、III族窒化物材料の2つの異なる層の境界面によって形成される2DEGを含むチャネルを介して電流を導通する。本デバイスはショットキー接点およびオーム接点を含み、オーム接点に向かって一方向に導通しかつショットキー接点に向かって他方の方向で電圧を遮断するようになっている。ショットキー接点に印加された電圧は、電流が、2DEGによって形成されたチャネルを介して流れてオーム接点から流出するのを可能にし、他方では、逆方向に印加された電圧が、ショットキー接点下の2DEGを空にして逆バイアス時に電圧を遮断する。GaNがIII族窒化物層の1つとして使用されるとき、GaN層の高度に抵抗性の特質は、デバイスから電流が漏洩するのを防止する。本デバイスは、逆バイアス時に、高いスタンドオフ(standoff)電圧を可能にする低電界を得るために、III族窒化物層を殆どドーピングすることなくまたは一切ドーピングすることなく作製可能である。このような注目すべき特徴が、順バイアス抵抗の増大を犠牲にすることなく得られる。
【0022】
本発明の別の特徴によれば、上に説明したデバイスを製造する方法が提供され、III族窒化物層が絶縁性または高抵抗性の基板上に設けられる。随意選択的には、緩衝層が、基板と、好ましくはGaNから成るIII族窒化物層との間に設けられ得る。AlGaN層が抵抗性GaN層の上に堆積され、次いで、アニール時にAlGaNの表面が分解するのを制限するために保護絶縁層が堆積される。下に位置するAlGaN層に到達するように保護絶縁層の中に窓が開けられる。本デバイスのためのオーム接点を得るために、この窓の中でオーム金属の接点が設けられる。オーム接点をアニールした後に、別の窓が保護絶縁層の中に開けられ、それを貫通してショットキー金属が堆積されてデバイスが完成する。
【0023】
有利なことには、被着および接触層は、能動領域の上方または下方に成長され得る。電極、絶縁層などを構築するための他の知られた方法も本発明に適用可能である。
【0024】
本発明の特徴によれば、電流運搬能力を高めるために、能動層における追加的な絶縁層または構造ではなく、適切なGaN絶縁体境界面が設けられる。追加的な絶縁層を設けなくても、本明細書に説明のヘテロ境界面のエピタキシ性質は、積層されたときに2DEGにおける電子に関して1桁高い移動度をもたらす。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、III族窒化物材料系の中に実現された名目上オフの電流制御デバイスは、2DEGの形成場所となるようにAlGaN/GaN境界面を設ける。AlGaN層中においてショットキー接点を包囲する領域は、エンハンスメントモード(enhancement mode)のデバイスを得るために、2DEGを局所的に排除するようにエッチバック(etched back)される。本発明の特徴によれば、この電流制御デバイスは、対応するオーム接点に隣接して位置決めされた2つのショットキー接点を含み、これらのショットキー接点は、電流運搬デバイスを構成するオーム接点のそれぞれから等距離にある。
【0026】
本発明の特徴によれば、AlGaN層は、エンハンスメントモードのデバイスを形成するためにショットキー接点の周囲領域内でエッチバックされ、そこでは2DEGがAlGaN/GaN層間で局所的に排除される。
【0027】
III族窒化物半導体材料系における大きな絶縁破壊電界は、小サイズのスタンドオフ領域を有する名目上オフの電力デバイスの構築を可能にする。この材料系は、同じような電圧定格の知られたデバイスに較べて、小さい比オン抵抗を有するデバイスの構築も可能にする。本明細書で論じたGaN/AlGaNデバイス場合では、プレーナーデバイスは、垂直幾何学配置の相当物と較べると、約300ボルトの電圧定格でほぼ100倍の比オン抵抗の向上を有する。
【0028】
III族窒化物電流制御ヘテロ接合デバイスは、ウェーハ面積を犠牲にすることなく、両方向で電圧を遮断できる名目上オフのデバイスの製造を可能にするために対称特性を利用することができる。単一方向で電圧を遮断する従来のデバイスに勝るこのような利点のために、1つの二方向性デバイスによって幾つかの単一方向性デバイスを置き換えることができる。
【0029】
本デバイスはまた、接点における低漏洩および障壁層からの高い破壊電界を特徴とする。その結果として、本デバイスは、SiO2およびSiNのような従来の絶縁体に較べて、より大きい誘電定数を与える。GaN材料の高い臨界電界は、薄い層が絶縁破壊することなく大きな電圧に耐えることを可能にする。GaN材料の誘電率は、SiO2よりも2.5倍大きく約10である。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照する本発明の以下の説明から明白になろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
GaN材料デバイスの構築では、幾つもの要因がデバイスの機能および能力に影響する役割を果たす。III族窒化物材料における大きな格子不整合とこれらの材料における強い圧電および分極の効果とが、III族窒化物ヘテロ接合デバイスの電気特性にかなりの影響を与える。今日まで報告されたかなりの数のGaN系デバイスは、ひずみを最大化するが転位またはデバイスの長期的な不安定性に繋がることになる緩和限界の超過を避けるように設計される、合金構成物によるひずみGaN/AlGaN接合を使用する。一般に緩和限界内でひずみを最大化するように、これらのデバイスが成長形成される。AlGaNの厚みが増大するか、またはAlGaN中のAl含有量が増大すると、2DEG密度ばかりでなくキャリア移動度の増大に繋がるひずみも増大する。しかし、AlGaN層の厚みが増大しすぎれば、またはAl含有量が増大しすぎれば、層全体が緩和して上記の望ましい特性をすべて喪失する。ヘテロ接合デバイスを構築するための様々な装置およびシステムが、格子不整合およびGaN/AlGaN接合のひずみを制御するために提案されてきた。これらのデバイスは、特に、圧電分極および自発分極の効果を利用して長期的な不安定性を最小化するように設計される。
【0032】
GaN/AlGaNデバイスは、所与のデバイスにおける電力の流れを制御するための1つまたは複数の端子を典型的に有する。端子に印加された電位は、この端子が結合される導電チャネル中の電流を制御する。導電チャネルは、2つの異なる半導体材料間の少なくとも1つのヘテロ境界面によって画成される。
【0033】
AlGaN/GaN材料がヘテロ接合デバイスの半導体材料を構成し、かつAlGaNが障壁層として使用されるとき、AlGaNの自発分極特性から得られる分極電荷ばかりでなく圧電分極電界として知られるひずみ誘発特性が存在する。III族窒化物デバイスを構築する際に、これらの電界の形成を制御すると、どのようにデバイスを特性付けるかに応じて、GaN系デバイスを多様な用途とって適切なものにする様々な特性をもたらす。
【0034】
GaN材料によって形成されたヘテロ接合デバイスは、チャネル中の電子密度を高め、それによってチャネルの導電特性を高める2DEG(2次元電子ガス)を誘発するようにGaN層の上に配置されるAlGaNの障壁層を典型的に含む。AlGaN/GaN層の境界面に形成された2DEGの存在により、例えば、チャネルの存在が電極間に電流を導通させるので、基本的に形成されたIII族窒化物デバイスは名目上オンである。
【0035】
2DEGの電荷を空にすれば、2DEG中の電流をピンチすることができる。本発明によれば、チャネルを通過できる電流の最大量を減少させるためにチャネルの選択領域中の電荷を減少させる。その結果として、電流をある一定の最大水準に「ピンチする」ことができる。この選択領域は、ピンチ状態に達するまでデバイスの全体抵抗が低いままに留まり得るように小さいことが好ましい。
【0036】
図1Aに示すように、計算値は、2DEG密度がAlGaN層(図2Aの16)の厚みに依存し得ることを示す。本発明の1つの様態によれば、デバイスの小領域におけるAlGaN層は、2DEGの密度を局所的に低減するために薄くされ、したがって後段で示すようにピンチ効果を可能にする。AlGaNが薄くなると、ピンチ電流は図1Bで分かるように抑制される。2DEGがゲート下で排除されるまでAlGaNが薄くなれば、デバイスのピンチ電流は0または0近くまで減少する。このような状況下では、ピンチングが一方向のみで行われることになるので、デバイスは事実上の整流器である。
【0037】
図2Aを参照すると、本発明によるヘテロ接合デバイスが、その形成の早期段階においてデバイス10として例示されている。デバイス10は、基板12、絶縁GaN層14、および活性AlGaN層16を含む。オーム接点(ohmic contacts)18および19が、AlGaN層16の上に形成されて、得られるデバイスの接続または端子の役目をする。GaN/AlGaN境界面15は、オーム接点18と19との間における電気の流れを可能にする2DEGによって導電チャネルを形成する。
【0038】
デバイス10のGaN層14は、AlGaN層16よりも大きな面内格子定数を有する。境界面が電流導通のためのチャネル形成を許容する限り、他のIII族窒化物材料を使用してデバイス10を形成できることは明白なはずである。基板12は絶縁基板であるが、それは高度に抵抗性を有し得るか、またはドープn型もしくはp型であり、それは、炭化珪素、シリコン、サファイア、および他のよく知られた基板材料のようなよく知られた材料から典型的に形成される。
【0039】
ここで図2を参照すると、接点18の近傍でAlGaN層16の中へエッチングされた凹部20が示されている。凹部20は傾斜側壁22を含むが、それは何ら特定の形状にしたがって作製される必要はない。傾斜側壁22を有することは、デバイスの抵抗を最小化するために推奨される。さらには、離隔距離Lsおよびゲート長Lgを使用してピンチ電流の水準も制御することができる。凹部20は、接点をAlGaN層16とGaN層14との間の境界面により近接して配置可能にする。しかし、たとえエッチング凹部を設けなくても、デバイスは電流を最大水準にピンチすることに留意すべきである。このようなデバイスも、後段で明らかになるように、ピンチ抵抗であると見なされる。
【0040】
ここで図2Cを参照すると、デバイス56を形成するために処理可能なデバイス60を製造するための技法が例示されている。フォトレジスト層62がIII族窒化物障壁層16上に塗布されており、フォトレジスト層62の中に開口64、65が空けられている。開口64、65は、エッチング工程が傾斜形状をIII族窒化物障壁層16に移転できるように傾斜した側壁を有する。図2Bに例示した傾斜側壁22は、このような技法にしたがって形成可能である。典型的には、III族窒化物障壁層16はAlGaNから構成され、層16中に傾斜側壁を備える凹部を画成するために、フォトレジスト層62および開口64、65に適切なエッチング法が利用される。
【0041】
図3Aを参照すると、デバイス31が、ショットキー金属から構成される接点30を有する。逆バイアス、すなわち、オフ状態では、2DEGによって確立された電流運搬チャネルが接点30の下で遮断されるので、デバイス31はオーム接点18と19との間に電流を導通しない。順バイアスが掛けられるとき(接点18および30が接点19よりも正のとき)、デバイス31は、オーム接点18と19との間で電流を運搬するように動作可能である。これは、接点30下のチャネルの注入(filling)による。
【0042】
接点30は、凹部20中の堆積AlGaN層16およびその上に重なる接点18の頂上にあるショットキー金属から構成され得る。上で留意したように、AlGaN層16は、層16の面内格子定数が層14の面内格子定数よりも小さい限り、または層16のバンドギャップが層14のバンドギャップよりも大きい限り、任意のIII族窒化物材料層によって置換え可能である。
【0043】
デバイス31は、オーム接点18および19ならびに接点30に関する幾つもの様々な幾何学的配置で構築され得る。例えば、接点30は、オーム接点18を包囲するショットキー接点(schottky contact)であり得る。接点30はまた、オーム接点18の一部の回りに形成されて、ギャップまたはエッチング領域が特定の方向にまたはデバイス31上の特定の領域における電流の流れを限定するように形成可能である。オーム接点18およびショットキー接点として形成された接点30はまた、破壊電圧、ピンチ電流、およびオン抵抗パラメータを増大または減少させるために、相互から様々な間隔に離間され得る。
【0044】
ショットキーダイオードとピンチ電流との組合せは、非常に独特なデバイスをもたらす。事実、エッチングはデバイスのためのピンチ電圧を変化させた。ピンチオフ(pinchoff)が生じると、第2の接点における電圧が、デバイスのエッチング領域によってさらに降下する。凹部エッチングによって実現したピンチ電圧の低下の結果として、ショットキー接点は、このピンチ電圧を遮断しさえすればよい。たとえショットキーダイオードの品質が劣っていても、または低いショットキー障壁高さを有するときであっても、非常に低漏洩のデバイスを可能にするエッチングによって、このピンチ電圧を1〜2Vの域まで低下させることができる。
【0045】
本発明によれば、凹部20は2DEG密度の局所的な変化を引き起こす。凹部は、それが好ましいけれども、2DEGの局所密度を低減させ得る唯一の方法ではない。2DEGの密度の変更は、AlGaNを局所的に酸化してAlGaOまたはAlGaONを形成するためにピンチング接点(pinching contact)の下でP型ドーパントを注入もしくは拡散することによって、または境界面の向きを局所的に変更することによって遂行可能である。
【0046】
例えば、図3Bを参照すると、2DEGの密度を局所的に低減させるために、凹部20ではなく、領域20Aを酸化することができる。領域20Aは、最初にAlGaNをSiNまたは別の酸化保護被覆によって覆い、次いで酸化すべき領域上のSiNの中に窓を空け、次に酸化工程を実行することによって形成可能である。このような酸化は、H2O、O2、酸素プラズマ、または他のよく知られた化学的作用に高温で曝すことによって実現可能である。高温でH2および酸素を使用して作業しているとき、適切な注意が払われる場合には、ガスを含有するH2が、この処理に対する触媒作用の助けになり得る。
【0047】
次に図3Cを参照すると、凹部20ではなく、AlGaN中の領域20Bをドープすることができる。したがって、例えば、SiNまたは他の任意適切な保護被覆によってAlGaNを覆うことが可能であり、次いで、望ましい箇所を覆うSiNの中に領域20に達する窓を空けることができる。その後で、高温環境の中で、AlGaNをMg、Fe、またはCr含有ガスに曝す。別法として、AlGaNを覆うSiN層中の窓の底にドーパントの1つを堆積または注入し、アニール工程でその内部に拡散させることができる。厳密な時間および温度は、望ましいドーピング水準およびAlGaN中へのドーパントの拡散率に応じる。
【0048】
ここで図3Dを参照すると、別の変形にしたがって、AlGaN層16ではなく、GaN層14の中にドープ領域20Cを形成することができる。標準的な注入およびアニール工程を使用してAlGaN16を貫通して領域20Cを形成することが可能であるし、または領域20CをGaN層14の中に形成してGaNの別の層によって被覆し、次いでAlGaN層16によって被覆することも可能である。P型ドーパントは、Mg、Fe、Cr、Znでもよい。MgまたはZnが好ましいドーパントである。
【0049】
ここで図4を参照すると、本発明の別法による実施形態が、デバイス41として例示されている。デバイス41は、接点40が絶縁層42上の導電材料から形成されている点を除けば、実質的にデバイス31と同様である。したがって、接点40は、ショットキー接点ではなくて絶縁された接点であり、それはデバイス41を動作させるために任意の種類の金属導体を含み得る。金属導体に加えて、Si、GaN、またはGeなどの他の導電材料も使用可能である。デバイス41の動作は実質的にデバイス31の動作と同じであり、その場合に2DEGが接点40の下で遮断されるかまたは密度が低減される。オーム接点19に印加される電位よりも大きい電位を接点18(したがって接点40に)印加すると、接点40の下に2DEGを形成させ、デバイス41はオーム接点18と19との間に電流を導通することができる。
【0050】
ここで図5を参照すると、本発明による別の実施形態が、デバイス56として例示されている。デバイス56は、2つの電極50、52を有するピンチ抵抗である。デバイス31および41に関する場合のように、電極50および52は、凹部の下の2DEGの密度を低減させるためにAlGaN層16の中に凹部を形成して、デバイスをオフに切り換えることなくピンチ電流を変化させ、それによってデバイス56はピンチ抵抗になり、電流水準を制御するために使用可能になる。しかし、デバイス56は、ピンチ抵抗デバイスが電流制御器として適切に動作する別の構成を例示する。
【0051】
図5によって示したデバイスは、次のように機能する。電圧がオーム接点54、55間に印加されるとき、電子が、AlGaN16およびGaN14によって形成されるチャネルの中のオーム接点54から注入(inject)される。電荷は、チャネルの中を横方向にショットキー接点50の下を流れ、ドリフト領域を横切ってショットキー接点52の下を流れてオーム接点55から外に流れる。これらの領域のそれぞれの中の抵抗によって、電圧は電流が流れるにつれて低下する。その結果として、チャネルの電圧は、デバイスの一端から他端まで横方向に変化する。流れる電流が多ければ多いほど、それだけデバイス両端の電圧降下が大きくなる。特に、ショットキー接点の直下のチャネル中の電圧は、電流の量と共に変化することになる。チャネル中のこのような点とショットキー接点との間の電圧差がVピンチ、またはV閾と呼ばれる特定の値に達するとき、チャネル中の電子密度を空にし、オーム接点55に追加的な電圧を印加してもそれ以上の電流増加は起こらない。
【0052】
図5によるデバイスは、二方向性であるが、第2のショットキー接点52が除去されると一方向性デバイスが作製可能であるように対称的である。この場合には、ピンチング作用は一方向でのみ生じる。以上の説明では、オーム接点54が0バイアスにあり、オーム接点55が接点54に対して正にバイアスされることが想定されていた。ショットキー接点50、52を形成するために、Au、Ni、またはPtを含めて任意の数の材料を使用することができる。ピンチ電流は、ショットキー接点50、52を形成するために選択された金属の仕事関数を変更することによって調整可能であることに留意すべきである。別の変形は、ショットキー金属の代わりにP型GaNを使用することである。ショットキー接点50、52の配置は、デバイスがピンチオフする電流を決定するために重要である。チャネル中の電圧はデバイス全体にわたって変化するので、ショットキー接点の縁部がオーム接点から遠ければ遠くに配置されるほど、それだけピンチ電流は減少する。破壊電圧を増大させるために、フィールドプレート(field plate)を設計の中に含めることもできる。したがって、図5によるデバイスでは、ピンチ電流を決定するのは、このようなショットキー接点50、52の縁部50Aである。
【0053】
一方の接点54、55が他方に対して順方向バイアスが掛けられるとき(例えば、接点54が接点55より高い電位にある場合およびその逆の場合)、電流は、これらの2つの接点の間を流れる。したがって、図5に示したデバイスは二方向性デバイスである。本明細書に説明した先程のデバイス動作原理によれば、電流は、どの方向に電流が流れているかに関わらずピンチされる。したがって、デバイス60は二方向性ピンチ抵抗である。
【0054】
接点50、52の下の電位は電流の導通によって異なるので、ピンチングが行われる。したがって、電流自体が、電位差を確立して導通水準を自己制限する。
【0055】
デバイス56は、名目上の二方向性デバイスであり、それぞれのショットキー接点50、52に対する間隔が均等であるように維持されるとき、電極54、55間の電流の導通を安定させる。すなわち、電極54とショットキー接点50との間における間隔が、電極55とショットキー接点52との間における間隔と同じになるように形成することによって、電流が電極54から電極55に流れていても、またはその逆に流れていても、デバイス56が実質的に同様に動作するように、破壊電圧、オン抵抗、および他のスイッチ特性を安定させることができる。パラメータの数は、オン抵抗、ピンチオフ電流、破壊電圧などのようなデバイス特性を変更するために修正可能であることは明白なはずである。
【0056】
電流がデバイス56のチャネルの中を流れるとき、電圧ポテンシャルが、ショットキー接点50、52およびAlGaN層16に対して上昇する。電流が増大するにつれて電圧が上昇すると、電圧ポテンシャルが、境界面領域15を空にし、2DEG導電チャネルをピンチオフする点に達する。一方のオーム接点から他方のオーム接点までのチャネル中の電流が増大するとき、ショットキー接点の下の2DEGにおける電圧が、ショットキー接点上の電圧に応じて変化することになる。最終的には、ショットキー接点と2DEGとの間の電圧差は、2DEGを空にして電流を飽和値までピンチングする。デバイス56は二方向性デバイスであるので、ピンチオフ特性は、両方向に作用し、層および接点の構成および含有物によって特定の用途に対して調製可能である。例えば、一方の方向よりも他方の方向でより大きなピンチオフ電流を有するデバイスを作製することが望ましい場合があり、それはショットキー接点とオーム接点との間の関係を操作することによって実現可能である。デバイス56の電流制限特性によって、それは、過剰電流状態が電力システム構成要素に損傷を引き起こす恐れがある電力用途において有用な要素になる。
【0057】
デバイス56の動作設計目標は、電流制限作用をもたらすように接点を2つのオーム接点54、55の間に配置することによって実現可能である。したがって、本発明の実施を続行する際に、デバイス56を動作させるために両方のショットキー接点50、52は必要ではない。例えば、図3Aを参照すると、電流制御デバイス31は、単一の接点を2つのオーム接点18、19の間に配置した名目上オフのデバイスとして、図5に説明した本発明の構想が例示されている。単一のショットキー接点を有するピンチ抵抗として作用する名目上オンのデバイスを提供するために、図3Aに例示したデバイスと同様のデバイスが、デバイス56にしたがって構築可能であることは明白なはずである。
【0058】
したがって、本発明の別の変形によるピンチ抵抗は、2つのオーム接点54、55、2つの電流制限接点50、52、ならびに、例えば、図4の接点40の下および図3Aの接点30の下に見られるように、それぞれの電流制限接点50、52の下のエッチング凹部を含み得る。本発明によるデバイスでは、電流がオーム接点54、55の間を流れ、他方で、電流制限接点50、52は、それが接続されるオーム接点の電位に等しい一定値に表面電位を設定するように作用する。本発明によるピンチ抵抗におけるエッチング凹部の機能は、2DEG密度を低減させ得るが、それを排除するものではない。深さ、エッチング凹部の幅、および形状を変更することによって、デバイスを流れる最大許容電流を制御することができる。したがって、本発明によるピンチ抵抗の中に設けられた凹部は、デバイスがピンチオフする電流値を変更することができる。
【0059】
ここで図6を参照すると、本発明によるピンチ抵抗の別の実施形態がデバイス60として例示されている。デバイス60は、図5に例示したショットキー接点50、52ではなく、絶縁された接点61、62を含む。これらの絶縁接点は、デバイスの破壊を伴わずにより高い水準の電圧を遮断できるという追加的な利点を有する。デバイス60は、デバイス56と同様の方式で、すなわち、十分な量の電流が導電チャネルを通って運搬されるとき、境界面15における2DEGによって形成されたチャネルをピンチオフするピンチ抵抗として動作する。しかし、絶縁接点61、62は任意の導電材料から作製可能である。絶縁接点61、62はデバイス60ではオーム接点54、55と電気接触しており、ピンチオフ制御が、オーム接点54、55を通って運搬された電流によって影響を受け、絶縁接点61、62と境界面15における2DEGとの間に電圧差を誘発する。デバイス60は、単一の絶縁接点がデバイス60をピンチ抵抗として動作させるのに十分であり、様々な接点の層材料含有量および構成の変更によってデバイスに関する特定のパラメータ特性を可能にし、かつデバイス60は電流検知デバイスとして機能できるので、デバイス56とは他のすべての点で実質的に同じである。しかし、デバイス60は、絶縁接点61、62がAlGaN層16から絶縁され得るように、絶縁接点61、62を作製する前に形成される絶縁層64も含む。
【0060】
オーム接点54、55は、堆積前のSiまたはGeのようなドーパントの注入、オーム接点堆積前のAlGaN層16上への高度ドープIII族窒化物材料の堆積、オーム接点54、55下におけるIII族窒化物超格子構造の形成、以上の堆積と組み合わせたAlGaN層16のエッチング等々のような幾つもの方法で製造可能である。
【0061】
デバイス60および56は共に二方向性であり、それらはその汎用性を高めて用途の数を増やす。デバイス56および60は、ゲート電極がソース電極に短絡されるHFETによっても作製可能である。オーム接点とショットキー接点との間の離隔距離は、ピンチ電流を増減するために変更可能である。ショットキー接点の幾何学配置は、ショットキー材料がオーム接点を包囲したり、2つのショットキー接点がそれぞれのオーム接点を包囲したり、エッチング領域を有する非包囲ショットキーが電流の流れをデバイス上の特定領域に限定したりすることなど、多様な構成で実現可能である。
【0062】
ここで図7を参照すると、本発明の別の実施形態がデバイス70として例示されている。デバイス70は、サファイア、シリコン、炭化珪素、または他の任意適切な材料などの絶縁性または高抵抗性の材料から構成された基板72を含む。抵抗性のIII族窒化物材料層74が基板72の上に重なり、随意選択的に層74と層72との間に介在する緩衝層73を含む。緩衝層73は、層72と74との間の格子不整合に関連するひずみ力を低減または軽減するために層74と72と間に介在することができる。別のIII族窒化物材料層75が層74の上に重ねられ、層75は層74よりも小さい面内格子定数を有するようになっている。III族窒化物材料の性質にしたがって、層74と75との間には大量の電流を運搬する能力がある2DEGが形成される。
【0063】
デバイス70はまた、接点および電極を形成するためにデバイスをパターン形成する手段となるばかりでなく、下に位置する層も保護する絶縁層76を含む。デバイス70は接点77Bおよび78も含むが、その場合に接点77Bがショットキー接点であり、接点78がオーム接点である。接点77B、78はフィールドプレート設計で配置されているが、そこでは接点の一部が絶縁層76を貫通して層75に接触する。すなわち、ショットキー接点77Bはフィールドプレート部分77Aを含む。得られるデバイスは、層74、75間の境界面における高密度で高移動度の2DEGの形成によって、名目上オンの整流器である。2DEGは、圧電力と自発分極力との組合せによって形成され、極めて薄いけれども高導電性の層および高抵抗性の層をもたらす。層74と75との間の境界面に形成されたチャネルは、厚いドープ領域を使用することなく、非常に大きな電流を運搬することができる。したがって、デバイスが導通している順バイアス方向で、大量の電流がチャネルを通って運搬され得る。逆バイアス状態では、チャネルは移動可能な電荷が空になり、電流がチャネルの中を流れないようになっており、下に位置する層74の高抵抗性質によって、電荷がその層の中を流れることも同様に防止する。層74および75がドープされないので、デバイスの逆バイアス状態は低電界を発生させる。これらの電界は値が低いので、デバイスは、高い電圧に耐え得るが、依然として低い順方向バイアス抵抗を生み出す。高い臨界電界および櫛形電極構造(interdigitation)が所与の破壊電圧に関するRA積を向上させる。デバイス70の別の特徴は、層74の抵抗特性により、層75をエッチングすることによってデバイスを絶縁できることである。すなわち、層75を貫通してエッチングすることによって、2DEGが中断され得る。層75の全部または一部をエッチングすることによって2DEGの連続性が中断されるので、多デバイスを単一基板上に作製可能であるが、しかし相互に電気的に絶縁可能である。図11が、凹部、注入領域、または1つのダイの中に多くの電気絶縁デバイスを作製できるように、選択箇所で2DEGを中断できる他の任意の形状構成であり得る領域200を例示する。これらの特徴および利点によって、かなりの量の複雑性(complexity)を発揮する高電力デバイスが、従来可能であったものよりも小さいスペースの中に形成可能であるように、基板上スペース(real estate)の中で僅かなコストで単一チップ上に幾つものデバイスを集積することが可能になる。
【0064】
ここで図8を参照すると、櫛形電極(interdigitated fingers)を有する整流器の構造図がデバイス80として例示されている。デバイス80に異なる接点用の櫛形電極を設けることによって、デバイス80はRA積の向上を実現する。ショットキー接点ランナ81が、ショットキー接点櫛形電極83用の共通接続になり、他方で、オーム接点ランナ82がオーム接点櫛形電極84用の共通の接点になる。整流器デバイス80では、電流は、順方向バイアス状態の下で非常に低い抵抗および高い電流容量でオーム接点84からショットキー接点83へ流れる。逆バイアスが掛けられるとき、ショットキー接点83上の電位は、2DEG領域を空にして層74、75間の境界面に形成されたチャネルを中断する。ショットキー接点およびオーム接点83、84は櫛形構造であるので、RA積を向上させる幾つもの電流路が設けられる。
【0065】
図7および8によるデバイスは、電圧を横方向に導通しかつ遮断する。さらには、従来技術とは異なり、図7および8によるデバイスは、高密度2DEGを利用するショットキーデバイスである。
【0066】
高水準の櫛形電極構造はスペース利用の効率性も高めることに留意すべきである。
【0067】
好ましい実施形態によるデバイスでは、絶縁層76が非常に薄く(10〜200Å)であり、他方でフィールドプレート77Aの幅は非常に広く(1〜3μm)、それはショットキー接点101のサイズ(3〜10μm)に匹敵する。従来設計によるデバイスでは、接点面積がプレート幅よりもはるかに大きい。通常よりも大きいフィールドプレートを有する理由は、この種のヘテロ接合デバイスにおけるショットキー接点が高電界では非常に漏洩し易いからである。大きなフィールドプレート77Aは、漏洩が生じない絶縁体上に位置するショットキー金属の縁部に電界を移動する。したがって、ショットキー接点は高電界から遮蔽され得る。
【0068】
ここで図9A〜9Eを参照すると、本発明によるデバイス90の製造技法が例示されている。図9Aでは、幾つかの層を基板92上に形成した後のデバイス90が示されている。基板92は、サファイア、シリコン、炭化珪素、または同様物のような絶縁体または高抵抗性材料から構成され得る。GaN層94のような抵抗性のIII族窒化物層が基板92の上に重なり、その間に緩衝層93が介在する。緩衝層93は、基板92と層94との間の格子不整合によって誘発されたひずみの軽減を助けるために設けられる。層94は、デバイス90でAlGaN層として例示した別のIII族窒化物層95によって覆われている。層94は、層95よりも大きな面内格子定数を有し、層94、95の境界面に2DEG97を形成させる。
【0069】
図9Bを参照すると、電極窓(contact window)98が、層95上にオーム接点を形成するために絶縁層96の中に空けられる。図9Cは、2DEG97によって形成されたチャネルの中を運搬される電流のための通路を設けるために、AlGaN層94に対する接続となるオーム接点99の堆積を例示する。
【0070】
ここで図9Dを参照すると、ショットキー電極窓101が、AlGaN層95を露出するために絶縁層96の中に空けられる。図9Eを参照すると、ショットキー接点103が、AlGaN層96の上方にかつ電極窓101を貫通してそれに接触して堆積される。ショットキー接点103は、2DEG97によって形成されたチャネルから供給される電流を運搬することもできる。
【0071】
以上に説明した整流器として作用するデバイス90を作製する際に、絶縁層96が、アニール時のAlGaN層95の分解を制限するために最初に層95上に堆積される。オーム金属接点99が、図9Cで絶縁層96を貫通して堆積され、オーム接点99の形成を完了するためにアニール処理が行われる。アニール処理中に、絶縁層96はAlGaN層94の実質的な分解を防止する。デバイス90を形成する層はどれもドープされる必要がないし、またはドープ半導体材料の形成で使用される典型的な処理に掛けられる必要もないことに留意されたい。ドープ電流運搬層か存在しないこと、および高導電性2DEG97を使用することによって、所与の破壊電圧に関するRA積が大幅に向上する。抵抗性GaN層94も、AlGaN層94をエッチングすることによってデバイス90を絶縁可能にする。このようにデバイス97を絶縁する容易さは、完全な電力システムが集積回路の製造において実現され得るように、数多くのデバイスを単一のチップ上に集積することを可能にする。
【0072】
ショットキー電極窓101は、例えば、本明細書で論じた幾つかの実施形態のデバイスにしたがって傾斜側面が形成可能であることに留意されたい。
【0073】
オーム接点、ショットキー接点、絶縁層、および金属化接点の構築が、知られた技法にしたがって実施可能である。さらには、パシベーション層および被着が本明細書で説明したデバイスに適用可能であるばかりでなく、デバイスを仕上げるために接点を電流運搬電極およびゲートに形成する技法も適用可能である。
【0074】
デバイス31、41、56、60、および70を構築するために使用されたIII族窒化物材料は、従来の材料よりも遙かに適切な遮断特性を典型的に発揮し、デバイスは、動作パラメータ値を維持しながら、従来の材料によって可能であるよりも小さいサイズで構築可能になっている。デバイス31、41、56、60、および70は、匹敵する機能を実行するのに従来のデバイスよりも小さいサイズで実現可能であるので、電力効率の向上を達成するために、オン抵抗の減少を実現することができる。
【0075】
さらには、本明細書で説明した電極は、説明したデバイスの動作特性をさらに向上させる低い抵抗性のオーム接点形成プロセス(ohmic contact process)によって形成可能である。
【0076】
ここで図10を参照すると、図7に示したデバイスのショットキー部分77Bが、P型GaN本体103によって置換え可能である。P型GaN本体103は、開口101の内部に含まれ得るか、またはそれが、例えば、再成長によって創出される場合には絶縁層の上方に張り出し得る。
【0077】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、他に数多くの変型および変更ならびに他の用途が当業者には明らかにとなろう。したがって、本発明は本明細書における特定の開示ではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】AlGaN/GaNヘテロ接合デバイスにおけるAlGaN厚と2DEG密度との間の関係を示すグラフである。
【図1B】本発明によるデバイスにおける電流ピンチング効果を例示するグラフである。
【図2A】本発明にしたがって一部が形成されたIII族窒化物電流制御デバイスを示す断面図である。
【図2B】図2Aのデバイス中のエッチング接点領域を例示する図である。
【図2C】図2Bに示した凹部を形成する方法を例示する図である。
【図3A】第1の実施形態によるデバイスを例示する図である。
【図3B】例えば、図3Aに示した本発明によるデバイスの別の変形の一部を示す図である。
【図3C】例えば、図3Aに示した本発明によるデバイスの別の変形の一部を示す図である。
【図3D】例えば、図3Aに示した本発明によるデバイスの別の変形の一部を示す図である。
【図4】本発明の別の実施形態によるデバイスを示す図である。
【図5】本発明の1つの実施形態にしたがって形成された、ショットキー接点を有するピンチ抵抗を示す断面図である。
【図6】本発明の1つの実施形態にしたがって形成された、絶縁接点を有するピンチ抵抗を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態にしたがって形成された整流器を示す断面図である。
【図8】図7の整流器を示す平面図であり、櫛形電極を例示する。
【図9A】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9B】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9C】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9D】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図9E】図7のデバイスを作製する際の作業を例示する図である。
【図10】図7によるデバイスの別の変形を示す図である。
【図11】本発明によるデバイスの1つの変形を示す上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる面内格子定数または異なるバンドギャップを有する2つのIII族窒化物材料間の境界面に形成された導電チャネルと、
チャネル電流を運搬するために前記チャネルに結合された第1の電極と、
前記導電チャネル中の電流の導通を制御するために、前記チャネルに結合されて前記導電チャネルに影響を与えるように動作可能な第2の電極と、を備え、
前記第1の電極はオーム接点を含むことを特徴とする電流制御III族窒化物デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極は、整流接点であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の電極は、p型半導体から成ることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の電極は、n型半導体から成ることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記III族窒化物層は、GaNおよびAlGaNからそれぞれ成り、前記電極は前記AlGaN層の上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の電極はショットキー接点をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の電極は、p型半導体をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の電極と前記一方のIII族窒化物層との間に絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の電極と前記AlGaN層との間に絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2の電極は、導電性材料を含むことを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第2の電極は、導電性材料であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の電極は、半導体材料を含むことを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2の電極は、半導体材料であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項14】
前記導電チャネルは2次元電子ガスによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の電極の一部の下で前記III族窒化物層の一方の中に形成された凹部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記凹部は、前記第2の電極の下で電荷キャリアの排除をもたらすことを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記凹部は、前記第2の電極の下で電荷密度の低減をもたらしてピンチ電流の低減をもたらすことを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記凹部は、傾斜側面を有することを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の電極は、前記AlGaN層の上に形成されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第2の電極は、チャネル電流を運搬するために前記チャネルに結合されたオーム接点をさらに含み、電流は前記チャネルを介して前記2つの電極間を流れ得ることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1の電極は、前記チャネル中の電流の導通を制御するために、前記チャネルに結合されて前記導電チャネルに影響を与えるように動作可能であるショットキー接点をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1の電極は、前記チャネル中の電流の導通を制御するために、前記チャネルに結合されて前記導電チャネルに影響を与えるように動作可能であるショットキー接点をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
それぞれのショットキー接点は、それぞれの電極における対応するオーム接点から離間されかつそれに結合されることを特徴とする請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ショットキー接点とそれぞれの電極における前記オーム接点との間の前記間隔は実質的に一定であることを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
絶縁性基板と、
前記基板上の抵抗性InAlGaN積層と、
前記第1のInAlGaN積層上の第2のInAlGaN層と、
前記第1のInAlGaN層と前記第2のInAlGaN層との間の境界面に形成された導電チャネルを中断するために、前記第2のInAlGaN層の中に形成された凹部と、
前記チャネル中の電流の導通を制御するために、前記導電チャネルに影響を与えるように前記凹部の中に形成されたショットキー接点と、
を備えることを特徴とする選択的に電流の流れを許容する半導体デバイス。
【請求項26】
基板を設けるステップと、
第1の面内格子定数を有するIII族窒化物層を前記基板の上に形成するステップと、
前記第1のIII族窒化物層の上に、前記第1の面内格子定数よりも小さい第2の面内格子定数を有する第2のIII族窒化物層を形成するステップと、
前記第2のIII族窒化物層の中に凹部を形成するステップと、
名目上オフのデバイスを得るために導電チャネルがショットキー接点の下で中断されるように、前記凹部の中に前記ショットキー接点を形成するステップと、
を備えることを特徴とするIII族窒化物選択的電流運搬デバイスを製造する方法。
【請求項27】
前記ショットキーがオーム接点と前記導電チャネルとの間の電流の流れを制御するように、前記第2のIII族窒化物層上にあって前記導電チャネルに結合された前記オーム接点を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
凹部の場所を画成するために前記第2のIII族窒化物層の上にマスクを形成するステップをさらに備え、前記マスクは凹部を画成すべき傾斜側面を有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
傾斜側面を有する前記凹部を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
オーム接点に接続された前記ショットキー接点を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記ショットキーを形成する前に、前記凹部の中に絶縁層を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項1】
異なる面内格子定数または異なるバンドギャップを有する2つのIII族窒化物材料間の境界面に形成された導電チャネルと、
チャネル電流を運搬するために前記チャネルに結合された第1の電極と、
前記導電チャネル中の電流の導通を制御するために、前記チャネルに結合されて前記導電チャネルに影響を与えるように動作可能な第2の電極と、を備え、
前記第1の電極はオーム接点を含むことを特徴とする電流制御III族窒化物デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極は、整流接点であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の電極は、p型半導体から成ることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の電極は、n型半導体から成ることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記III族窒化物層は、GaNおよびAlGaNからそれぞれ成り、前記電極は前記AlGaN層の上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の電極はショットキー接点をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の電極は、p型半導体をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の電極と前記一方のIII族窒化物層との間に絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の電極と前記AlGaN層との間に絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第2の電極は、導電性材料を含むことを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第2の電極は、導電性材料であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の電極は、半導体材料を含むことを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2の電極は、半導体材料であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項14】
前記導電チャネルは2次元電子ガスによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の電極の一部の下で前記III族窒化物層の一方の中に形成された凹部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記凹部は、前記第2の電極の下で電荷キャリアの排除をもたらすことを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記凹部は、前記第2の電極の下で電荷密度の低減をもたらしてピンチ電流の低減をもたらすことを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記凹部は、傾斜側面を有することを特徴とする請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の電極は、前記AlGaN層の上に形成されることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第2の電極は、チャネル電流を運搬するために前記チャネルに結合されたオーム接点をさらに含み、電流は前記チャネルを介して前記2つの電極間を流れ得ることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1の電極は、前記チャネル中の電流の導通を制御するために、前記チャネルに結合されて前記導電チャネルに影響を与えるように動作可能であるショットキー接点をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1の電極は、前記チャネル中の電流の導通を制御するために、前記チャネルに結合されて前記導電チャネルに影響を与えるように動作可能であるショットキー接点をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
それぞれのショットキー接点は、それぞれの電極における対応するオーム接点から離間されかつそれに結合されることを特徴とする請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記ショットキー接点とそれぞれの電極における前記オーム接点との間の前記間隔は実質的に一定であることを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
絶縁性基板と、
前記基板上の抵抗性InAlGaN積層と、
前記第1のInAlGaN積層上の第2のInAlGaN層と、
前記第1のInAlGaN層と前記第2のInAlGaN層との間の境界面に形成された導電チャネルを中断するために、前記第2のInAlGaN層の中に形成された凹部と、
前記チャネル中の電流の導通を制御するために、前記導電チャネルに影響を与えるように前記凹部の中に形成されたショットキー接点と、
を備えることを特徴とする選択的に電流の流れを許容する半導体デバイス。
【請求項26】
基板を設けるステップと、
第1の面内格子定数を有するIII族窒化物層を前記基板の上に形成するステップと、
前記第1のIII族窒化物層の上に、前記第1の面内格子定数よりも小さい第2の面内格子定数を有する第2のIII族窒化物層を形成するステップと、
前記第2のIII族窒化物層の中に凹部を形成するステップと、
名目上オフのデバイスを得るために導電チャネルがショットキー接点の下で中断されるように、前記凹部の中に前記ショットキー接点を形成するステップと、
を備えることを特徴とするIII族窒化物選択的電流運搬デバイスを製造する方法。
【請求項27】
前記ショットキーがオーム接点と前記導電チャネルとの間の電流の流れを制御するように、前記第2のIII族窒化物層上にあって前記導電チャネルに結合された前記オーム接点を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
凹部の場所を画成するために前記第2のIII族窒化物層の上にマスクを形成するステップをさらに備え、前記マスクは凹部を画成すべき傾斜側面を有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
傾斜側面を有する前記凹部を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
オーム接点に接続された前記ショットキー接点を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記ショットキーを形成する前に、前記凹部の中に絶縁層を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−520884(P2007−520884A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551388(P2006−551388)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/002265
【国際公開番号】WO2005/070007
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(591074389)インターナショナル・レクチファイヤー・コーポレーション (24)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL RECTIFIER CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/002265
【国際公開番号】WO2005/070007
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(591074389)インターナショナル・レクチファイヤー・コーポレーション (24)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL RECTIFIER CORPORATION
【Fターム(参考)】
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