説明

IL−18BPのプロモーター、その製造および使用

本発明は、インターロイキン−18結合タンパク質(IL−18BP)のプロモーター、その製造および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン−18結合タンパク質(IL−18BP)のプロモーター、その製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質に結合するサイトカイン(可溶性サイトカイン受容体)は、通常、それらそれぞれの細胞表面サイトカイン受容体の細胞外リガンド結合ドメインである。それらは、選択的スプライシングまたは細胞表面受容体のタンパク質分解性切断のいずれかによって産生される。これらの可溶性受容体は、たとえば、IL−6およびIFN−γの可溶性受容体(Novick et al. 1989)、TNFの可溶性受容体(Engelmann et al. 1989 and Engelmann et al. 1990)、IL−1およびIL−4の可溶性受容体(Maliszewski et al. 1990)、ならびにIFN−α/βの可溶性受容体(Novick et al. 1994, Novick et al. 1992) など、これまでに報告されている。オステオプロテゲリン(osteoprotegerin)(OPG、破骨細胞阻害因子OCIFとしても既知である。)と名づけられたTNFR/Fasファミリーの一員である1つのサイトカイン結合タンパク質は、分泌タンパク質としてのみ存在する可溶性受容体の初めての例のようである(Anderson et al. 1997, Simonet et al. 1997, Yasuda et al. 1998)。
【0003】
インターロイキン−18結合タンパク質(IL−18BP)は、IL−18カラムで尿からアフィニティー精製された(Novick et al. 1999)。IL−18BPは、IFN−γのIL−18誘導およびインビトロでのNF−kBのIL−18活性化を廃する(abolishes)。さらに、IL−18BPはLPSを注射したマウスでのIFN−γの誘導を阻害する。IL−18BP遺伝子はヒトの11番目の染色体に位置し、IL−18BP遺伝子を含む8.3kbのゲノム配列中には膜貫通ドメインをコードするエクソンは見出されなかった。選択的mRNAスプライシングにより産生されるIL−18BPの4つのアイソフォームがこれまでにヒトで見つかっている。それらはIL−18BPa、b、cおよびdと名付けられ、すべて共通のN末端を有し、C末端は異なっている(Novick et al 1999)。
【0004】
これらのアイソフォームは、IL−18を結合する能力の点で異なる(Kim et al. 2000)。4つのうち、ヒトIL−18BP(hIL−18BP)アイソフォームaおよびcは、IL−18の中和能力を有することが知られている。もっとも豊富なIL−18BPのアイソフォームであるスプライス変異体アイソフォームaは、急速な吸着速度、遅い離脱速度、および約0.4nMの解離定数(Kd)により、IL−18に対して高い親和性を示す(Kim et al. 2000)。IL−18BPは、本質的には脾臓に発現し(Novick 1999)、そして血漿濃度2.5ng/mlで循環する(Novick et al. 2001)。IL−18BPとIL−18の相互作用に関与する残基は、コンピューターモデリングの使用を通して(Kim et al. 2000)、また同様のタンパク質IL−1βとIL−1RI型との相互作用に基づいて(Vigers et al. 1997)説明されている。IL−18BPに結合するIL−18のモデルにより、IL−18の42位のGlu残基と89位のLys残基が、IL−18BPのLys−130およびGlu−114にそれぞれ結合すると提案されている(Kim et al. 2000)。
【0005】
前述したように、IL−18はIFNγを誘導し、IFNγは順にIL−18BPaのmRNA産生をインビトロで誘導することが近年報告されている(Muhl et al 2000)。したがって、IL−18BPaは、「遮断(shut off)」シグナルとしてはたらき炎症性応答を終わらせる。
【0006】
IL−18BPは、いくつかのポックスウイルスによってコードされるタンパク質のファミリーに顕著な相同性を有する(Novick et al., 1999, Xiang and Moss 1999)。この推定されるウイルス性IL−18BPによるIL−18の阻害は、炎症性抗ウイルスTh1応答を軽減し得る。
【0007】
血清IL−18BPは、敗血症において有意に上昇されることから、インビボでの免疫応答の制御におけるその役割が示唆される(Novick et al. 2001)。実際、IL−18BPは、様々な細胞においてIFNγによって誘導され、IL−18媒介免疫応答の負のフィードバック阻害剤としてはたらくことが示唆される(Mughl et al. 2000)。
【0008】
予備段階の結果は、IL−18BPmRNAが白血球、結腸、小腸、前立腺および特に脾臓細胞で検出されることを示す(Novick et al. 1999)。脾臓の構成細胞は、マクロファージ、リンパ球、および血漿細胞と循環血液由来の付加的な細胞で構成される。
【0009】
転写を制御するエレメント、プロモーターおよびエンハンサーの活性は、細胞の種類でかなり変化する。プロモーターやエンハンサーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用するDNA配列の短い配列からなる(Dynan and Tjian 1985, McKnight and Tjian 1986, Sassone-Corsi and Borreli 1986 and Maniatis et al 1987に概観される)。種々の認識配列の組み合わせと同族転写因子の量とは、所定の遺伝子が特定の細胞型において転写される効率を決定する。多くの真核細胞プロモーターは、2種類の認識配列:TATAボックスおよび上流プロモーターエレメントを含む。TATAボックスは、転写開始部位の25〜30bp上流に位置し、正確な部位でRNA合成が開始されるようにRNAポリメラーゼIIを導くことに関与すると考えられている。対照的に、上流プロモーターエレメントは、転写が開始される比率を決定している。エンハンサーエレメントは、連結した同種または異種プロモーターの1000倍まで転写を刺激することができる。しかしながら、上流プロモーターエレメントとは異なり、エンハンサーは、転写開始部位から下流、またはプロモーターからかなり離れて位置する場合に活性である。細胞遺伝子のエンハンサーの多くは、もっぱら特定の種類の組織または細胞においてのみ作動する(Voss et al. 1986, Maniatis et al. 1987によって概説される)。さらに、いくつかのエンハンサーは、ホルモンまたは金属イオンなどの誘導因子の存在下によって発生される特定の条件下でのみ活性となる(Sassone-Corsi and Borrelli 1986 and Maniatis 1987によって概説される)。細胞エンハンサーの細胞特異性の違いのため、真核細胞発現ベクターに組み込むプロモーターとエンハンサーエレメントとの選択は、組み換え遺伝子を発現させたい細胞種によって決定されるであろう。逆に、特定のプロモーターと細胞エンハンサーを含有する既成のベクターの使用は、発現が得られる細胞の種類を厳しく制限し得る。
【0010】
異なる種類の細胞では有意な定量的相違が観察されるが、ウイルス由来の多くのエンハンサーエレメントは、広い宿主範囲をもち、多様な組織で活性である。たとえば、SV40初期エンハンサーは、多様な哺乳動物種由来の多くの細胞種において無差別に活性であり、その結果、このエンハンサーを組み込んだベクターが使用されている(Dijkema et al. 1985)。広範囲の細胞で活性である他の2つのエンハンサー/プロモーターの組み合わせは、ラウス肉腫ウイルスゲノムの長い反復配列(LTR)(Gorman et al. 1982b)およびヒトサイトメガロウイルスに由来する(Boshart et al. 1985)。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、ヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列(配列番号1)、または配列番号2または3のようなそのフラグメントまたは機能的誘導体であって、該DNA配列またはそのフラグメントの3′末端が配列番号5の5′末端由来の1つ以上のヌクレオチドを含むDNA配列に関する。
【0012】
より詳細には、本発明による誘導体は、配列中のサイレンサーエレメントに存在する1つ以上のAP1部位が変異されている本発明のDNAであり得、さらにDNA配列はIL−18BPプロモーターに作動可能に連結された遺伝子を含み得る。
【0013】
本発明の1つの側面では、遺伝子は、たとえば、IL−18BPまたは、ルシフェラーゼ、インターフェロン−ベータ、TNF、エリスロポエチン、ティッシュプラスミノーゲンアクチベーター、顆粒細胞コロニー刺激因子、超酸化マンガンジスムターゼ、イムノグロブリン、またはそのフラグメント、成長ホルモン、FSH、hCG、IL−18、hsLDLRおよびTNF受容体結合タンパク質などの異種遺伝子をコードし得る。
【0014】
本発明は、ヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列を含有するベクター、該ベクターを含有する宿主細胞(たとえば、CHO、WISH、HepG2、Cos、CV−1、HeLa、およびHakat U937細胞)、および該宿主細胞を培養し、産生された組換えタンパク質を単離することを含む組換えタンパク質の製造方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、ウイルスゲノムの一部分、目的の遺伝子をコードするDNAフラグメントおよびヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列を含むDNAフラグメントを含有する組換えウイルスベクターを提供する。より詳細には、ウイルス部分は、たとえば、アデノ随伴ウイルス、ならびにHIV、HFV、MLV、FIVおよびVSVなどのレトロウイルスであり得る。
【0016】
また、本発明は目的の遺伝子の細胞特異的発現を制御する方法であって、標的哺乳類細胞を、造血幹細胞および単球などの標的細胞において本発明のウイルスベクターで形質転換することを含む方法を提供する。目的の遺伝子は、たとえばHIV感染症に耐性を与えるタンパク質であり得る。目的の遺伝子の細胞特異的発現を制御することは、たとえば、HIV感染症の治療、SCID、慢性肉芽腫症およびサラセミアなどの造血系疾患の治療において使用することができる。
【0017】
本発明はさらに、体組織のIFNγの上昇を示す個体における疾患の治療のための遺伝子治療法であって、本発明の有効量のウイルスベクターの投与および任意には、IL−6および/またはTNF−αおよび/またはIRFおよび/またはC/EBPβ因子の投与を含む遺伝子治療方法を提供する。
【0018】
もう1つの側面では、本発明は、本発明のDNA配列をコードするDNA配列を宿すトランスジェニックマウスに関する。
【0019】
さらに、本発明は、疾患の治療のための医薬の製造におけるヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列(配列番号1)、またはそのフラグメントもしくは機能的誘導体の使用であって、該DNA配列またはそのフラグメントの3′末端が配列番号5の5′末端由来の1つ以上のヌクレオチドを含む、使用を教示する。
【0020】
また、本発明は、治療的有効量のヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列(配列番号1)、またはそのフラグメントもしくは機能的誘導体を含有する医薬組成物であって、該DNA配列またはそのフラグメントの3′末端が配列番号5の5′末端由来の1つ以上のヌクレオチドを含む、医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、ヒトIL−18BPのプロモーターに関する。このプロモーターは、特定の細胞、たとえば単球においてIL−18BPの構造的な発現を促進し、多くの細胞においてIL−18BP発現のIFNγ媒介誘導を促進する。ヒトIL−18BPのプロモーターは、異種タンパク質の構造的およびIFNγ誘導発現を導くことができる。
【0022】
本発明は、IL−18BPプロモーターをコードするDNA配列(配列番号1)、またはそのフラグメントもしくは機能的誘導体であって、該DNA配列またはそのフラグメントの3′末端が配列番号5の5′末端由来の1つ以上のヌクレオチドを含むDNA配列に関する。
【0023】
IL−18BPmRNAは、白血球、結腸、小腸、前立腺および主には脾臓細胞において検出される(Novick et al. 1999)。以下の実施例の1つでは、IL−18タンパク質が本質的に単球において発現することを示した。
【0024】
IL−18BP発現は、単球のみならず多くの種々の細胞においてIFNγによって誘導されることおよびこの誘導はIL−6およびTNFαの添加によりさらに増強されることが見出された。
【0025】
新規のタンパク質合成が、IFNγによるIL−18BP遺伝子活性化に不可欠であることが見出された。
【0026】
ヒトIL−18BPamRNAの転写開始部位は、5′RACEにより決定した。
【0027】
IL−18BP遺伝子の上流に位置するZnフィンガータンパク質の3′端mRNAが見出され、それによりIL−18BPaの潜在的上流調節を塩基1の上流1601塩基に制限していた。
【0028】
6つの調節エレメント(図1)をこの領域内で同定した(転写近位から転写遠位まで):1−塩基−24から−32のガンマ−活性化配列(GAS)、2−塩基−57から−69にかかるIRF−1、2応答エレメント(IRF−E)、3−および4−塩基−309から−322および−621から−634の2つのC/EBPβ応答エレメント、5−残基−625から−1106のサイレンサー、ならびに6−塩基−1106から−1272にかかるエンハンサーエレメント。1601bpフラグメントの5′端での順送り切断(progressive truncation)による一連のルシフェラーゼレポーターベクターを、HepG2細胞(ヒト肝細胞癌株)において調べた。配列番号1に示す1272kb領域は、IFNγによる誘導と同様に、いくつかの組織および細胞種において見られる基礎発現も導く。この領域内の連続した切断DNAフラグメントのプロモーター活性を調べることにより、配列番号3に示される転写開始部位の近位の122bpDNAフラグメントが、最小のプロモーターを含むことが証明された。この最小プロモーターも誘導可能である。しかしながら、この最小プロモーターの上流の他の調節配列は、誘導の程度に寄与している。IRF−1とGASに加えて2つのC/EBPβエレメント(配列番号2に示す)を含有する635bpのDNAフラグメントは、IFNγによるルシフェラーゼ発現の最大誘導を与えることが見出された。
【0029】
IRF−1欠損マウスで行なったインビボ実験により、IL−18BPのIFNγ誘導発現のみならず、基礎発現の媒介物としてのIRF−1の重要性が確認された。
【0030】
IFNγ誘導の際、IRF−1因子の発現が誘導され、その因子は、細胞に本質的に存在するC/EBPβと複合化されるということが見出された。その複合体は、近位のGASプロモーターエレメントとその隣接したIRF−Eプロモーターエレメントに結合する。
【0031】
転写部位の遠位端に存在するエンハンサーは、IRF−1を通して基礎プロモーターと相互作用することが見出された。
【0032】
本発明は、配列番号1のIL−18BPプロモーターまたはそのフラグメントおよび遺伝子発現の調節方法に関する。より詳細には、本発明は、IL−18BP 1272bp(配列番号1)の単離DNA配列または遺伝子発現を導くことができる635bp(配列番号2)および122bp(配列番号3)などのそのフラグメントに関する。
【0033】
このIL−18BPプロモーター領域はクローン化され、配列決定され、IL−18BPの転写開始部位の上流1272bp(配列番号1)におけるヌクレオチドに対応する。
【0034】
本発明は、全IL−18BPプロモーター(配列番号1)、また遺伝子の転写、したがって最終的には遺伝子発現を導くことができるそのフラグメント(配列番号2、3)を含むDNA配列をも包含し、IL−18BPプロモーター領域の他の部分と共に、あるいは遺伝子の転写を制御するための同種プロモーターまたは異種プロモーターエレメントと共に使用できる。このプロモーターまたはそのフラグメントは、IFNγにより誘導できる。そのような誘導は、IRF−1および/またはC/EBPβの過剰発現によりおよび/またはIL−6および/またはTNFαによる処理によりさらに増強することができる。
【0035】
配列番号1に示すプロモーターまたは配列番号2もしくは3に示すそのフラグメントの機能的誘導体は、1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1つのヌクレオチドが別のもので置換されているか、または欠失しており、かつ遺伝子発現とIFNγ誘導を導くことができる変異体である。
【0036】
IL−18BPプロモーター(配列番号1)を含有する本発明のDNA配列、または配列番号2または3のDNA配列などのそのフラグメントは、当技術分野において既知の種々の方法を用いて単離することができる。少なくとも、3つの選択的で主要な方法が用いられ得る。
【0037】
(1)配列を含むゲノムDNAからのDNA配列の単離;(2)DNA配列の化学的合成;および(3)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA配列の合成。
【0038】
1番目のアプローチでは、IL−18BPプロモーターまたはIL−18BPプロモーターエレメントを含むDNA配列を同定するためにヒトゲノムDNAライブラリーをスクリーニングできる。
【0039】
2番目のアプローチでは、IL−18BPプロモーターまたはIL−18BPプロモーターエレメントを含むDNA配列を化学的に合成できる。たとえば、IL−18BPプロモーター領域またはIL−18BPプロモーターを含むDNA配列を、ヌクレオチドの正しい直線配列を形成するようにのちに連続的に連結することができる(適当な末端制限部位を介して)一連の100塩基オリゴヌクレオチドとして合成することができる。
【0040】
3番目のアプローチでは、IL−18BPプロモーター領域またはIL−18BPプロモーターを含むDNA配列はPCRを用いて合成することができる。簡単に言えば、標的DNA配列の反対のストランドにハイブリダイズする少なくとも15塩基長の1対の合成DNAオリゴヌクレオチド(PCRプライマー)が、標的配列上のDNAの介在(intervening)領域を酵素的に増幅するために使用することができる。鋳型の熱変性、プライマーのアニーリング、およびアニーリングしたプライマーの3′末端のDNAポリメラーゼによる伸張の繰り返しサイクルの結果、PCRプライマーの5′末端により規定されたセグメントの増幅がもたらされる。米国特許第4,683,195号および同4,683,202号参照。
【0041】
本発明のIL−18BPプロモーターは、異種遺伝子の基礎発現とIFNγによる誘導発現も与えることができるということが示された。したがって、IL−18BPのプロモーターは、基礎活性および誘導活性の両方を有する。
【0042】
そのプロモーターのヌクレオチド配列は、配列番号1に示され、プロモーター活性を有するそのフラグメントは、本明細書におけるそのような配列に言及されるが、ヌクレオチド誘導体は、プロモーターまたはプロモーターエレメント機能に影響を及ぼさないように作製することができるということが認識される。これらの改変したヌクレオチド配列は、たとえば変異が結果として、当技術分野において既知の種々の方法を用いて1つ以上のヌクレオチドの欠失、置換、挿入、反転または付加という結果になるようにヌクレオチド配列を突然変異させることにより製造され得る。たとえば、Taylor, J. W. et al., Nucl. Acids Res. 13, 8749-8764 (1985)およびKunkel, J. A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 482-492 (1985)に記載された部位指定突然変異の方法が用いられ得る。さらに、部位指定突然変異用キットが商業的供給元から購入可能である。たとえば、部位指定突然変異を行なうためのキットが、アマシャム社(Amersham Corp.)(アーリントンハイツ、Ill)から購入可能である。本発明は、プロモーター活性が保持されるおよび/または増強される場合、配列番号1、配列番号2および配列番号3にそれぞれ少なくとも50%同一、好ましくは75%同一およびより好ましくは90%同一の配列を含むDNAを包含する。そのような誘導体、たとえば配列番号1における誘導体の1つは、サイレンサー領域に存在する3つのAP1部位の1つまたはすべてにおいて変異されているものである。
【0043】
IL−18BPのプロモーターを含むヌクレオチド配列、そのフラグメントおよび/またはその誘導体は、適切な宿主細胞においてその遺伝子を発現するために目的の任意の遺伝子のコーディング領域に作動可能に連結できる。作動可能な連結とは、プロモーターおよびエレメントに対する作動可能な連結を意図する。目的の遺伝子の発現については、配列番号1の全IL−18BPプロモーター、または配列番号2もしくは配列番号3のようなそのフラグメント、またはその誘導体は、目的の遺伝子に作動可能に連結されることが好ましい。以下の実施例に示すように、IL−18BPプロモーター、または配列番号2もしくは配列番号3のようなそのフラグメントは、異種遺伝子の発現を導くことが可能である。本発明のプロモーターによる同種遺伝子の発現も検討される。
【0044】
プロモーターは、さらにイントロン、たとえばIL−18BPの第1イントロンを含有する。
【0045】
「動作可能に連結された」IL−18BPプロモーターまたはプロモーターエレメントは、適切な読み取り枠に結合した核酸分子の転写を導くであろう。異種プロモーターに関しては、本発明のプロモーターおよびエレメントは、それらがそのような異種プロモーターの機能を制御する場合動作可能に連結される。
【0046】
前述したように、本発明のIL−18プロモーター、そのフラグメントおよびその誘導配列は、目的の任意の遺伝子を発現するために利用することができる。典型的には、発現ベクターはこの目的で使用される。したがって、本発明はさらに、遺伝子発現を誘導することができ、IL−18BPプロモーターまたはそのフラグメントもしくはその誘導体を含む単離DNA配列を含有する発現ベクターに関する。発現ベクターは、好ましくはそれぞれ配列番号1、2または3に対応するヌクレオチド配列を有するIL−18BPプロモーター、そのフラグメントまたはその誘導体、またはそのフラグメントおよび/または誘導体を含有する。発現ベクターは、さらに、IL−18BPプロモーター、またはそのフラグメントおよび/またはそのヌクレオチド配列を修飾したその誘導体に作動可能に連結された同種または異種遺伝子を含有することが好ましい。
【0047】
本発明において有効な発現ベクターは、しばしば環状二本鎖DNAを意味する「プラスミド」の形態であり、そのベクターの形態おいて染色体に結合しない。しかしながら、本発明は、等価な機能を提供するその他の形態の発現ベクターおよびそののちここに当技術分野において知られるようになる発現ベクターの形態を含むことを意図する。
【0048】
本発明において有用な発現ベクターは、通常、複製の起源、目的の遺伝子の前(すなわち上流)に位置するIL−18BPプロモーター、転写終結配列および残余ベクターを含有する。発現ベクターは、当技術分野で既知の他のDNA配列、たとえば発現産物の安定性に備える安定リーダー配列、発現産物の分泌に備える第2リーダー配列、調節されるために構造遺伝子の発現を可能にする配列(たとえば、成長培地における栄養素またはほかの誘導因子の存在、不存在によって)、形質転換された宿主細胞において形質選択を提供することができるマーキング配列、および制限エンドヌクレアーゼによる切断に部位を提供する配列も含むことができる。使用される実際の発現ベクターの特徴は、用いられる宿主細胞に適合しなければならない。本発明によって検討される発現ベクターは、少なくともIL−18BPプロモーター領域またはIL−18BPプロモーターまたはその改変されたヌクレオチド配列により指示された目的の遺伝子の転写(好ましくは発現)を導くことができる。好適な複製起源は、たとえばシミアンウイルス40(SV40)のものがあげられる。好適な終結配列は、たとえばシミアンウイルス40(SV40)のものがあげられる。本発明のプロモーターは、たとえば、インターフェロン−ベータ、TNF、エリスロポイエチン、ティッシュプラスミノーゲンアクチベータ、顆粒球コロニー刺激因子、超酸化マンガンジスムターゼ、イムノグロブリン、またはそのフラグメント、成長ホルモン、hsLDLR、FSH、hCG、IL−18、TNF受容体結合タンパク質、およびIL−18結合タンパク質などの治療物質をコードする遺伝子などの任意の目的の遺伝子のほとんどの発現に用いることができる。これらの物質のすべては当技術分野において既知であり、多くは市販されている。
【0049】
所望のコーディングおよび制御配列を含む好適な発現ベクターは、当技術分野で既知の標準的な組換えDNA技術を用いて構築され得る。そのような技術の多くは、Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Habor, N.Y. (1989)に記載されている。
【0050】
本発明は、さらにIL−18BPプロモーター領域またはIL−18BPプロモーターまたはその改変されたヌクレオチド配列を含む遺伝子発現を導くことができる単離DNA配列を含有する発現ベクターを含む宿主細胞に関する。好ましくは、IL−18BPプロモーター領域は、配列番号1に示すIL−18BPの転写開始部位の上流1272bpに対応するヌクレオチド配列、配列番号2に示す転写開始部位の上流635bpに対応するヌクレオチド配列などのそのフラグメント、または配列番号3に示す転写開始部位の上流122bpのヌクレオチド配列などのそのフラグメントを有する。また、IL−18BPプロモーター領域、または配列番号1に示すIL−18BPまたはそのフラグメントに作動可能に連結された同種または異種遺伝子をさらに含有する発現ベクターを含む宿主細胞が好ましい。好適な宿主細胞には、たとえば、ヒトHeLa細胞またはアフリカ緑ザル細胞CV−1およびCOS−1、CHO細胞、HepG2、WISH細胞、Hakat U937などがあげられる。
【0051】
IL−18BPプロモーターの誘導を可能にし、したがって目的の遺伝子の発現を高めるIFNγの受容体を含有する宿主細胞が好ましい。
【0052】
発現ベクターは、当技術分野において既知の種々の方法により宿主細胞に導入され得る。たとえば、宿主細胞の発現ベクターによるトランスフェクションは、リン酸カルシウム沈殿法により行なうことができる。しかしながら、発現ベクターを宿主細胞に導入するための他の方法、たとえば、エレクトロポーレーション、パーティクルガン(biolistic)融合、リポソーム融合、核注入およびウイルスまたはファージ感染も用いることができる。
【0053】
発現ベクターを適切な宿主細胞に導入するとすぐに、宿主細胞を培養し、目的の遺伝子にコードされるポリペプチドを単離することができる。あるいは、発現ベクターを適切な宿主細胞に導入するとすぐに、細胞を培養し、所望の細胞密度に到達したのち、細胞をIFNγで刺激し、目的の遺伝子にコードされるポリペプチドを単離することができる。
【0054】
目的の遺伝子をコードするDNA配列を含有する発現ベクターを含む宿主細胞は、当技術分野で既知の様々な方法を用いて同定することが可能である。たとえば、DNA−DNAハイブリダイゼーション、マーカー遺伝子機能の存在または不存在の評価、宿主細胞における目的の遺伝子のmRNA転写物の産生によって測定されるような転写のレベルの評価、および遺伝子産物の免疫学的検出を用いることができる。
【0055】
本発明の発現ベクター、プラスミドまたはDNA分子のDNA配列は、当技術分野において既知の種々の方法によって決定され得る。たとえば、Sanger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74, 5463-5467 (1977)に記載されたジデオキシ鎖停止反応法(dideoxy chain termination method)、またはProc. Natl. Acad. Sci. USA 74, 560-564 (1977)に記載されたマクサム・ギルバート法などが使用され得る。
【0056】
IL−18BPプロモーター内の特定のヌクレオチドまたは領域は、調節に必要なものとして認定され得るということが理解されるべきである。これらの領域またはヌクレオチドは、エレメントの微細な構造分析により位置付けられ、プロモーターの変異体の機能的能力を分析する実験によって調べることができる。たとえば、プロモーターエレメントの一塩基対変異体または順送り欠失(以下の実施例において使用されたそのもの)は、PCRを使用して作成することができる。このように、多数の変異したプロモーター領域または欠失構築物は増幅され、そののちレポーター構築物中にクローニングで戻され、そしてトランスフェクションおよびルシフェラーゼアッセイ技術で評価される(以下の実施例に示されているように)。これらの増幅されたフラグメントは、IL−18BPプロモーターのコンテクストや、異種プロモーター構築物へもクローニングで戻すことができる。このようにして、遺伝子転写の誘導に重要な正確なヌクレオチド配列が同定される。
【0057】
この分析は、プロモーター機能に影響しないヌクレオチドの変化、またはプロモーター機能を増加させ得るヌクレオチドの変化も同定するであろう。したがって、機能的誘導プロモーターおよびプロモーターエレメントも構築することができる。
【0058】
プロモーター領域またはプロモーターの機能的分析は、フットプリントおよびゲル−シフト研究により容易にすることができる。タンパク質の結合を媒介するのに重要な正確な塩基対の知識は、転写応答を媒介するのに重要な塩基の証拠を提供する。
【0059】
したがって、本発明はさらにDNA−タンパク質相互作用に重要な塩基対を包含する。そのような塩基対を明らかにすることができる。目的の領域を含むゲノムフラグメントは、インビトロフットプリント実験に用いることができる[Galas et al., Nucleic Acids Res. 9, 6505-6525 (1981)]。単離した制限フラグメントは放射線標識され、そののちそのフラグメントに結合するであろうDNA結合タンパク質を含むことが期待される細胞から確立した技術で作成された核抽出物とインキュベートされ得る[たとえば、Dignam et al., Nucleic Acid Res. 11, 1475-1489 (1983)]。標識されたDNAフラグメントは核抽出物とインキュベートされ、DNAseIで消化され、そして変性ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動される。細胞抽出物中のDNA結合タンパク質は、標識された制限フラグメントに含まれるそれらの認識配列に結合し、DNAseによる消化からDNAを保護する。保護領域は結合部位の輪郭を描く。フラグメントのマクサムおよびギルバート配列決定反応は、DNAse消化から保護されるヌクレオチドを定義するマーカーとして使用することができる。
【0060】
本発明はさらに、プロモーターまたはプロモーターエレメントと相互作用するトランス作用(transacting)因子の同定と特徴づけとに引き付けられる。シス作用調節配列は、トランス作用因子(TAF)と呼ばれるタンパク質に対する結合部位としての機能を果たす[Dynan W.S., Tjian T. Nature 316, 774-778 (1985); Maniatis, T. et al., Science 236, 1237-1245 (1987)]。各遺伝子はその各調節配列で1つ以上のタンパク質を結合することが推測され、これらのタンパク質は、互いに相互作用し、転写を制御するようにRNAポリメラーゼIIと相互作用する。
【0061】
TAFsは、シス作用配列DNAフラグメントに結合し、その電気泳動度を遅らせるそれらの能力により、核抽出物において同定されている[Dignam, J.D. et al., Nucleic Acids Res. 11, 1475-1489 (1983); Dynan, W., Cell 58, 1-4 (1989);Fletcher, C. et al., Cell 773-781 (1987); Scheidereit, C. et al., Cell 51, 783-793 (1987)]。
【0062】
シス作用配列は、核抽出物での結合活性を測定するためのゲル遅延アッセイにおいて有用である。ゲルシフトアッセイに関する技術は文献に記載されており、フットプリント実験で使用されるものと同じ試薬が多く含まれる[Fried, M. et al., Nucleic Acids Res. 9, 6505-6525 (1981); Revzin, A., Biotechniques 7, 346-355 (1989); Strauss, F. A. et al., Cell 37, 889-901 (1984)]。32P標識化制限フラグメントまたは相補オリゴのアニール対のいずれかを結合緩衝液中で核抽出物およびポリd(I−C)とインキュベートし、この反応の産物を非変性ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動する。オートラジオグラフィーで決定されるように、DNAフラグメントのゲル上の位置は、タンパク質がDNAに結合している場合に遅延する。遅延の程度は、タンパク質の大きさの相対的関数である。
【0063】
そのように同定された結合タンパク質は、ついで精製し、最終的に既知の技術を用いてクローン化することができる。
【0064】
IL−18BPのプロモーターもトランスジェニック研究における用途を見出す。トランスジェニックマウスは、癌などの多くのヒトの疾患の研究のための強力な遺伝的モデルを提供する。それらは、トランスフェクションレポーター遺伝子(たとえばルシフェラーゼ)実験でなされた観測結果を確認、拡張する遺伝子調節の重要なインビボ研究法も提供する[Palmiter, F.L. et al., Ann. Rev. Genet. 20, 465-499 (1986)]。遺伝子発現のシグナル許容発展的関係を分析するための研究は、細胞培養モデルにおいてほとんど行なうことができず、おそらくトランスジェニックモデルで一番研究される。この種の実験は、ヒト調節シグナルがマウスの転写機構により正しく解明されているように、調節配列の種のあいだの顕著な保存のために可能である。
【0065】
したがって、トランスジェニックマウスにおいて発現される構築物は、IL−18BP遺伝子の調節に関して多くの情報を提供できる。
【0066】
トランスジェニックマウスは、当技術分野において既知の方法により作成できる。トランスジェニック動物を作成する最も広く使用されている方法は、受精卵の雄の前核へのDNA分子の注入を伴う[Brinster et al., Cell 27, 223 (1981); Costantini et al., Nature 294, 982 (1981); Harpers et al., Nature 293, 540 (1981); Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 5016 (1981); Gordon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 73, 1260 (1976)]。
【0067】
DNA分子を受精卵細胞に注入するとすぐに、細胞をレシピエントの雌の子宮内に移植し、動物に発育させる。したがって、えられる動物のすべての細胞は、導入された遺伝子配列を含有する。
【0068】
得られるトランスジェニックマウスまたは創始細胞(founders)は繁殖することができ、子孫は導入遺伝子を発現する創始細胞由来の株を確立するために解析される。トランスジェニック動物において、多様な(multiple)組織を遺伝子発現を観察するためにスクリーニングすることができる。種々のマウス株におけるRNA研究により、導入遺伝子の発現レベルへの統合部位(integration site)の独立性の評価が可能となるであろう。Hogan, B. et al., Manipulating the mouse embryo: a laboratory manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1986)参照。
【0069】
IL−18BPプロモーターおよびプロモーターエレメントは、遺伝子治療を行なうための有効な手段も提供する。「遺伝子治療」は、治療用途のため生細胞の生物学的性質を変えるための遺伝子産物の発現を改変または操作するための遺伝物質の投与である。細胞は同種異系または自系であり得る。細胞は、被検体への次の投与のためにエクソビボで改変されてもよく、または被検体への直接的に投与される遺伝子治療産物によりインビボで変更されてもよい。
【0070】
大部分は、IL−18BPプロモーターまたはそのフラグメントおよび/またはその誘導体を含有する構築物は、IL−18BP遺伝子が正常に発現されるそれらの細胞(たとえば単核細胞)における標的遺伝子の発現のために利用され得る。構築物のヒトなどの動物への導入のために当技術分野において利用できる手段はいずれも使用することができる。これには、ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクター(たとえば、Zweibel et al., Science 243, 220 (1989)およびそこで引用されている参考文献など参照)、ならびに他の方法があげられる。
【0071】
組換えAAVベクターは、肝臓や骨格筋における治療的遺伝子送達に関してかなり前途有望であると示されている(Snyder et al., 1997, Murphy et al., 1997, Song et al., 1998, Snyder et al., 1999, Herzog et al., 1997)。凝固因子IX遺伝子を壊すことにより作出されたマウスは、重篤な出血性障害を示し、B型肝炎患者に見られる表現型に非常に似ている。肝臓特異的エンハンサー/プロモーターの制御下に犬の因子IXのcDNAをコードする組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの単回門脈内注射は、出血性障害の長期の完全な是正をもたらすということが報告されている(Wang et al., 1999)。
【0072】
マウス白血病ウイルス(MVL)などのオンコレトロウイルス由来のレトロウイルスベクターは、ベクターゲノムが標的細胞の染色体に一体化し、結果として導入遺伝子の安定な発現をもたらす(I.M. Verma and N. Somia. Nature 389, 239 (1997))ため、遺伝子移動のために最も広く使用されているベクターであるが、これらのベクターは、分割細胞(dividing cells)に対して特に良好であると証明された。HIVベクターなどのレンチウイルスベクターが、非分割細胞に対して現在使用されている(Mioshi et al., Science 1999 283: 682-686)。レンチウイルスのマクロファージなどの非分割細胞への感染能力により、それらは遺伝子移送ツールとしての使用に対するよい候補である。HIVベクターは、静止ヒト造血幹細胞(HSCs)の形質導入を促進する。
【0073】
ヒト造血幹細胞(HSC)は、完全な造血系を再生する能力を有するので、遺伝性造血障害ならびに他の後天的な障害の遺伝子治療のための魅力的なターゲットである。たとえば、造血幹細胞は、ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)の病原に関与することが知られている単球細胞を再生することができる。
【0074】
造血幹細胞を用いた遺伝子治療の分野における15年より長い研究にもかかわらず、依然として、これらの細胞に効率的にそして安定して遺伝子を挿入できないことが主な障害である。モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)に基づくレトロウイルスベクターは、最も広範囲にわたって使用されているが、多能性ヒトHSCへの比較的低い遺伝子移送とたいてい不充分な遺伝子発現をもたらす。
【0075】
近年、HIV−1の複製を阻害する遺伝子による造血幹細胞の遺伝的改変の試みが、HIV−1感染に耐性な単球の開発を目指している(Kohn et al. 1999)。
【0076】
理論的には、HIV−1への耐性を与えることができる遺伝子の造血幹細胞への挿入は、その遺伝子が子孫の成熟単球および他のHIV−1感受性細胞に存在するようになるという結果をもたらすであろう。したがって、HIV−1遺伝子治療に対しては、IL−18BPのプロモーターまたはそのフラグメントのような単球において活性なプロモーターの使用が有利である。
【0077】
ほとんどの血液遺伝病(たとえば、SCID、慢性肉芽腫症、サラセミアなど)の遺伝子治療は、移植でき、自己再生する(self renewing)HSCへのエクソビボ遺伝子転移、および1つ以上の細胞系統における導入遺伝子発現の調節を必要とする。HSCsの特定の子孫に影響を及ぼす障害(たとえば、異常ヘモグロビン症またはサラセミア、HIV−1感染)の修正は、細胞系統特異的方法での治療遺伝子の限定的発現を必要とする(lotti et al. 2002)。これらのケースでは、転移された遺伝子の転写ターゲッティングが不可欠である。異なる種類の細胞における遺伝子発現は、使用されるプロモーターの相対的強度に依存する。しかしながら、これまで行なわれたほとんどの前臨床的研究は、導入遺伝子発現を導くウイルス性、構造性プロモーターの使用に頼っている。たとえば、HIV−1ベクターでは、内性CMVプロモーターが使用され、マウスCMVプロモーターがマウスレトロウイルスベクターLTRで使用される。レトロウイルスベクターの枠組みでの適切な導入遺伝子調節は、ウイルス性の長い末端反復(LTR)と内性エンハンサー−プロモーターとのあいだの転写干渉ならびに複合体調節配列の遺伝的不安定性のため、難しい課題である。本発明において、単核細胞において転写を導くことが知られているIL−18BPプロモーターは、そのような単核細胞の前駆体であるHSCsにおける導入遺伝子発現を導くために使用される。
【0078】
「抗HIV遺伝子」による造血幹細胞の遺伝的改変は、移植後にHIV感染に耐性なリンパ球および単球の発達をもたらす。HIV−1感染患者のHSCは回収され、CD34+細胞が単離され、インビトロでIL−18BPプロモーター(レトロウイルスベクターの代わり)の制御下でHIV−1阻害タンパク質を運ぶレトロウイルスベクターで形質導入され、そしてこれらの細胞をこれらの患者に再注入することができる(Kohn et al. 1999)。
【0079】
最も一般的に使用されるHSC源は末梢血造血幹細胞(PBSC)であり、自己移植の環境では大部分は骨髄に代わる(Gale et al. 1992 and Kessinger et al. 1991)。PBSCは、G−CSFまたはGM−CSFなどの因子の3〜5日間の投与により骨髄から末梢循環へ移動し、ついで白血球搬出法により回収することができる。いくつかの研究により、骨髄の代わりに末梢血幹細胞を移植するとより速く植え付け(engraftment)が生じることが示されている(Henon et al. 1992 and Chao et al. 1993)。G−CSF集結PBSCに含まれるクローン原性前駆細胞は、レトロウイルス媒介遺伝子移転にかなり敏感であるが、PBSCにおける長期的な再構築幹細胞の形質導入ラットは、骨髄と変わりない(Breni et al. 1992, Cassel et al. 1993, Dunbar et al. 1995)。被検体に感染したHIV−1は、少なくとも疾患の初期のあいだ内因性HIV−1レベルのいかなる増加も伴わずG−CSF集結PBSCの動員や収集に成功することができる(Junker et al. 1997 and Slobod et al. 1996)。
【0080】
造血幹細胞の他の供給源は、レトロウイルス形質導入に敏感であることが示されている臍帯血(UCB)であり、骨髄細胞よりなおさらに可能性を秘めている(Moritz et al. 1993 and Hao et al. 1995)。HSCへのUCB細胞の使用は、特にHIV−1感染新生児に有益であり得る。感染は主に周産期であるので、臍帯血は、HIV−1に感染した子供や大人の骨髄では減少している造血幹細胞の正常な数と機能を含むはずである(Kearns et al. 1997)。
【0081】
アンチセンス、リボザイム、ドミナントネガティブ突然変異体(たとえば、RevM10)、RNAデコイ、ウイルスタンパク質または細胞性共受容体の発現を妨げる細胞内抗体などのHIV−1複製を抑制できる多数の合成遺伝子(「抗−HIV−1遺伝子」)が開発されている(Veres et al. 1996, Zhou et al. 1994, Couture et al 1996, Malim et al. 1989, bahner et al. 1993 and Sullenger et al. 1990, Lee et al. 1994, Marasco et al. 1997 and Chen et al. 1997)。多くの場合、これらの抗−HIV−1遺伝子はモデル系において有意にHIV−1の複製を抑制できることが示されており、いくつかのケースでは、細胞へのウイルスの進入を制限しさえする(36, 39-44)。本質的に100%の患者のHSCおよび得られる単球細胞がHIV−1複製を指示することができなくされ得る場合、ウイルスの負担は減少する結果となるようである。理論的には、感受性細胞の99%におけるHIV−1複製の活性な阻害は、ウイルス容量(load)で3−対数減少(3-log reduction)を実現することが必要とされ、効果は、しばしば高効率の抗レトロウイルス治療によって引き起こされる。しかしながら、高い割合のヒト造血幹細胞を効率的に形質導入する制限された能力により、現在、感受性細胞の大多数を保護することは不可能である。効率的な代替機序は、活性HIV−1複製を支持できないように設計された細胞は、ウイルス誘導細胞変性から保護され、したがって、非保護細胞と比較して選択的な延命効果を有する可能性に基づいている。その場合、適度な数の保護細胞がすべての単球の増加した割合を構成し得、いくぶんかの免疫機能保存につながる。
【0082】
本発明はまた、薬学的に許容し得る担体、および好適な薬物をコードする目的の遺伝子に作動可能に連結されたIL−18BPプロモーター領域またはプロモーターに対応する本発明の配列を含むウイルスを含有する医薬組成物に関する。これらの組成物は、好ましくは薬物をIFNγのレベルが上昇されている組織にターゲッティングするために使用され得る。
【0083】
本発明はここで説明したように、以下の実施例を参考にしてより容易に理解できるであろう。この実施例は、例示的に提供され、また本発明の限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0084】
単球におけるIL−18BPの基礎発現
IL−18BPmRNAは、白血球、結腸、小腸、前立腺および特には脾臓細胞において検出される(Novick et al. 1999)。脾臓細胞は、マクロファージ、リンパ球および血漿細胞、さらに循環(circulation)由来の細胞から構成される。
【0085】
細胞におけるIL−18BPタンパク質の発現を測定するために、特異的ELISA試験を用いた(実施例12)。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、本質的にIL−18BP(0.7〜1.5ng/ml)産生することが見出された。U−937細胞、すなわち組織球性リンパ腫の患者の胸水から得られた悪性腫瘍細胞由来の細胞株は、IL−18BPを少しも発現しなかった。U−937細胞は、ホルボールエステルでの処理により最終単球分化へ誘導され得る。0.07±0.01ng/mlの基礎IL−18BP発現は、TPA(10ng/ml)による刺激によってマクロファージ様細胞への細胞の分化後のみ検出された。これらの結果は、IL−18BPが本質的に単球およびマクロファージにおいて産生されていることを示す。
【実施例2】
【0086】
種々の異なる細胞におけるIL−18BPの誘導
IFNγがIL−18BPmRNAおよびタンパク質を、ケラチノサイト細胞株、結腸癌細胞株、および主には腎臓メサンギウム細胞などの種々の細胞株において誘導されることが以前に報告されている(Muhl et al. 2000)。種々のヒト細胞株および末梢血単核細胞(PBMC)における、IFNγや他のサイトカインによるIL−18BPの誘導を検討した。IFNγは、用量依存的にIL−18BP発現を誘導し(mRNAのモニタリングについては実施例11、ELISAについては実施例12参照)、WISHおよびHepG2細胞において50U/mlのEC50を示した(図2AおよびB)。IL−18BPは、その濃度が24時間と比較して48時間で高かったように(図2A)、明らかにWISH細胞の培養上清に蓄積された。
【0087】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、本質的にIL−18BP(0.7〜1.5ng/ml)を産生し、IFNγ(100U/ml)による処理は、IL−18BPのレベルを24時間および48時間でそれぞれ、1.7±0.1および2.1±0.3倍増加した(p<0.05、n=4)。IL−18BP産生に対する効果は、TPAによるPBMCの前処理の際には見られなかった。
【0088】
IFNγによるIL−18BP誘導をU937細胞株において検討した。IFNγは、未分化細胞U937細胞ではIL−18BPを誘導しなかったが、ホルボールエステル(TPA、10ng/ml)によるマクロファージ様細胞への分化ののち、基礎レベルのIL−18BP(0.07±0.01ng/ml)が得られ、IFNγ(100U/ml、24時間)での誘導の際は、4.6±0.05倍増加し、96時間でさらに増加した(示さない)。
【0089】
IFNα2、IFNβ、IL−1、IL−6、IL−12、IL−18およびTNFαなどの他のサイトカインのIL−18BP発現に対する効果をHepG2細胞において検討した(図2B)。IFNγの存在下または不存在下において種々のサイトカインと共に細胞をインキュベートしたのちに得られた結果(図1PNASウェブ)は、IFNα2、IFNβ、IL−1、IL−6、IL−12、IL−18およびTNFαが単独ではIL−18BPを誘導しないことを示す。しかしながら、HepG2細胞においては、IL−6およびTNFαは、IFNγと相乗的に作用し、統計的に有意なIL−18BPの増加をもたらした。
【0090】
これらの結果は、IL−18BPは、IFNγにより単球および多くの種々の細胞において誘導されることを示唆する。IL−18BPのIFNγによる誘導は、IL−6およびTNFαの添加によりさらに増強される。
【実施例3】
【0091】
IL−18BP遺伝子は、IFNγにより転写が調節され、新規のタンパク質合成を必要とする。
【0092】
IL−18BPmRNAのIFNγによる誘導が、転写レベルであるかどうかを確認するために、HepG2およびWISH細胞に対するインターフェロンの作用を、翻訳阻害剤、すなわちアクチノマイシンDの存在下において測定した(図3A)。IL−18BPmRNAレベルの増加は、HepG2細胞においてはIFNγ処理の3時間後、そしてHakatおよびWISH細胞では5時間後に半定量的RT−PCRにより検出できた。IFNγ刺激より前のHepG2およびWISH細胞のアクチノマイシンDによる前処理は、種々の時点でのIL−18BPmRNAの発現を廃し、IFNγ刺激が新規のmRNA合成を刺激することを示唆した。
【0093】
IL−18BPの蓄積は、明らかにIFNγ処理後24時間、およびそれ以後であったようであり、IFNγによるたとえば転写因子などのタンパク質の前誘導へのIL−18BP発現の依存を支持した。したがって、そのような仮説を確認するために、さらにタンパク質阻害剤、シクロヘキシミドを用いてIL−18BPmRNAのIFNγによる誘導がタンパク質の新規の合成を必要とするかどうか調べた。図3Bにまとめたその結果は、シクロヘキシミドによる細胞の前処理は、IL−18BPmRNAの誘導を廃したことを示す。この結果は、新規のタンパク質合成が、IFNγによるIL−18BP遺伝子活性化に不可欠であることを示唆している。
【実施例4】
【0094】
IL−18BPプロモーターをマッピングするためのIL−18BPaの転写開始部位およびそのプロモーター領域の決定
Il−18BPプロモーター領域を検討するために、まず、転写開始部位を明確に位置付けることが要求される。
【0095】
ヒトIL−18BPamRNAの転写開始部位は、5′RACEにより決定した(RACE、実施例14)。最も豊富なスプライス変異体であるIL−18BPaに相当するただ1つのPCR産物が5′RACEにより得られた。この産物のDNA配列分析により、転写開始部位、およびゲノムIL−18BPDNAの785〜835位に相当するヒトIL−18BPamRNAの5′端で転写開始部位の後ろ50bpの付加的なエクソンを明らかにした(Entrez pubmed ヌクレオチドデータベース、受託番号 AF110798に見られる)。したがって、新しいエクソン−イントロン地図が、ゲノムDNAを新しい5′エクソンが追加されたmRNAと比較することにより作成された(図4参照)。
【0096】
IL−18BPaの転写開始部位(塩基1)を有する、IL−18BPプロモーター領域に相当する塩基1の上流のヒトゲノムDNA(染色体11q クローン:RP11−757C15、受託番号AP000719.4 塩基152,178の上流のヌクレオチドがさらに分析され得た。このDNAのBLASTプログラムによるNCBIの発現配列タグ(EST)データベースとの比較は、Znフィンガータンパク質(受託番号AK001961)をコードする+ストランドでの上流遺伝子を明らかにした。このZnフィンガータンパク質の寄託されたmRNA配列は、ヒトESTsの広範囲のコレクションを細かく調べた「インスタントRACE」プログラム(www.LabOnWeb.com)によりさらに伸張された。そのプログラムは、Znフィンガータンパク質の3′端mRNAを、ゲノムクローンRP11−757C15のヌクレオチド150,517に位置づけ、それにより、IL−18BPaの潜在的な上流調節配列を塩基1の上流1661塩基に制限した。
【実施例5】
【0097】
IL−18BP遺伝子の上流、異種遺伝子の本質的発現を促進することができる最小プロモーターの探求
IL−18BP遺伝子の上流で、ルシフェラーゼレポーター遺伝子などの異種遺伝子の発現を導くことができる最小DNAフラグメントを見つけるために、ルシフェラーゼ遺伝子に融合された、塩基1の上流のDNA配列に相当する1601bpまでを含み、転写開始部位の下流50bp(配列番号5)を含むベクター、ならびにこのDNAの切断型を有するベクター(図5A)を作出した(実施例15)。1601bp上流DNAを含むベクター(pGL3(1601))でトランスフェクトしたヒトHepG2細胞(ヒト肝細胞癌株)におけるルシフェラーゼ活性は、空のpGL3ベクターで得られるものより10.3±0.9倍高かった。そのような活性は、同じDNAを反対の方向で挿入した(pGL3(−1601))場合には観測されなかった。この結果は、塩基1の上流1601bpDNAが基礎プロモーター活性を有するということを証明した。この1601bpDNAフラグメントの配列決定試験により、それはTATAボックスエレメントを含まず、いくつかのGCリッチドメインを転写開始部位近くの塩基−3から−9、−39から−48および−122から−132に有することが明らかになった。プログラムTFSEARCHによる1601bpDNA配列の分析は、塩基−24から−32にガンマ活性化配列(GAS)を同定した(図1)。さらなる分析により、塩基−57から−69にかかるIRF1、2応答エレメント(IRF−E)および塩基−309から−322および−621から−634の2つのC/EBPβ応答エレメント(C/EBP−E)が明らかになった。
【0098】
1601bpフラグメントの5′端での順送り切断による一連のルシフェラーゼレポーターベクターを検討した。図5Aにまとめられた結果は、IRFおよびGASエレメントのみを含有するpGL3(122)を含むすべての構築物が、少なくとも基礎プロモーター活性の支持においてpGL3(1601)と同等に効果的であった。
【0099】
これらの結果より、IRFおよびGASエレメントを含有する122bpフラグメント(配列番号3)は、異種遺伝子の基礎活性を促進するのに充分であるということが明らかになった(図5A)。
【実施例6】
【0100】
IL−18BP遺伝子の上流で異種遺伝子の誘導発現を促進することができる最小プロモーターの探求
IL−18BPプロモーターの上流領域でIFNγ誘導ルシフェラーゼ発現を促進することができる最小DNAフラグメントを同定するために、前述の実施例の切断DNAベクターを、IFNγの存在下でトランスフェクトされたHepG2細胞において検討した(トランスフェクションについては図5B、実施例16参照)。
【0101】
図5Bにまとめられた結果は、24時間後、IFNγは、IRF−EおよびGASエレメントのみを含むベクター(pGL3(122)ベクター)においては、ルシフェラーゼ活性を基礎発現レベルに対して33倍増加したことを示す。この結果は、IRF−E−GASペア単独でIFNγによる異種遺伝子の誘導を媒介できるということを証明している。C/EBP−E1および2エレメント(pGL3(656))の封入体は、IFNγによるルシフェラーゼ活性の誘導を基礎活性の88倍に有意に増加し、これらのエレメントがIFNγによる誘導性に重要であることを証明した。対照的に、付加的な上流DNAのそのような挿入物への封入(pGL3(1106))は、その基礎レベル以上のルシフェラーゼ活性の誘導を廃した。この結果は、サイレンサーエレメントが塩基−656から−1106の範囲(第2C/EBP−E1エレメントの上流)に存在するということを示唆した。3つのAP1応答エレメントはサイレンサー領域に存在すること、およびそこにc−Junが結合し、そのような3つのAP−1応答エレメントのすべてを通してIL−18BP遺伝子のサイレンシングに関与するということを証明した。
【0102】
サイレンサーの上流88塩基によるプロモーターのさらなる伸張(pGL3(1272))は、IFNγへの応答を報告し、エンハンサーエレメントは塩基−1106から−1272に存在し、IFNγによるその活性化は、隣接するサイレンサーの効果を抑制するということを示唆した。配列のさらなる伸張は、基礎活性またはIFNγ誘導活性に影響を及ぼさず、したがって、全上流調節配列は、塩基−1から−1272(配列番号1)の範囲に位置することを示した。
【0103】
試験されたすべての構築物のなかで、pGL3(656)の誘導性が最も高く、このDNAフラグメントがIL−18BPの最適誘導可能プロモーターを含有することを示している。
【0104】
その結果は、最小誘導可能プロモーターは、IRF−EおよびGASエレメントを含有する転写開始部位の上流122bp(配列番号3)に位置し、最大および最適な誘導可能プロモーターは、IRF−EおよびGASエレメントに加えて2つのC/EBPβエレメントを含有する転写開始部位の上流656bp(配列番号2)に位置することを示す。
【実施例7】
【0105】
インビボのIL−18BP発現におけるIRF−1の関与
IL−18BP発現におけるIRF−1の関与、すなわちIL−18BPのプロモーターにおいて見出されたその結合部位を探るために、IRF−1欠損マウスにおけるIL−18BPの発現を検討した。
【0106】
IL−18BPのレベルを、マウスIFNγの投与の前後にIRF−1欠損マウス(ジャクソン ラボラトリーズ、バー・ハーバー、ME)において測定し、コントロールC57B1/6マウスにおけるレベルと比較した(図6)。コントロールC57B1/6マウスにおける基礎血清IL−18BPは、9.1±1.9ng/mlであり、IFNγにより22.4±2.2ng/mlまで増加した。対照的に、IRF−1欠損マウスにおける血清IL−18BPは、検出限界以下であり、IFNγにより、たった0.7±1.15ng/mlまで増加した。この結果は、IL−18BPのIFNγ誘導発現のみならず、基礎発現の媒介物としてもIRF−1が重要であることを確認した。
【実施例8】
【0107】
誘導条件下でIL−18BPプロモーターに結合する転写因子の検出
IL−18BPプロモーター内の様々な応答エレメントのあいだのタンパク質−DNA相互作用を同定するために、電気泳動度シフトアッセイ(EMSA 実施例18)が用いられた。塩基−33から−75(IRF−Eを含有する)および−8から−55(GASを含有する)に対応するラベルされたdsDNAプローブを、コントロール細胞とIFNγ処理細胞の核抽出物と結合させた。IRF−E含有プローブと核タンパク質の複合体は、IFNγとの1時間の細胞のインキュベーションの後に明らかとなり、最大の応答は、3時間で見られた(図7A、レーン1〜5)。予想されたように、IRF−Eの抗体の添加は、「スーパーシフト」を招き、一方、コントロールの転写1の抗シグナル誘導因子および活性化因子(STAT1)抗体は、効果を持たなかった(データは示さない)。IRF−Eとは対照的に、GAS−含有プローブは、本質的にタンパク質と関係付けられ(図7A、レーン6)、この複合体は3から6時間IFNγによる細胞の誘導の際増強された(レーン7、8)。GASは、IFNγ−誘導STAT1二量体に結合することが予想される。にもかかわらず、その複合体は、STAT1の抗体に影響されず(レーン10)、IFNγ−誘導STAT1二量体はこのGASと無関係であることが示唆された。同様の負の結果は、IFNγでたった15分または30分間処理した核抽出物で得られた(データは示さない)。驚くべきことに、この複合体はC/EBPβの抗体により廃止され(レーン9)、IRF−1の抗体でスーパーシフトした(レーン10)。したがって、GAS−含有DNAプローブは合意C/EBPβEの欠如にもかかわらず、C/EBPβと結合すると思われる。
【0108】
EMSAにより得られた結果は、IFNγによる誘導の際、IRF−1はIL−18BPプロモーターにおけるIRF−Eエレメントに結合することを示唆する。さらに、IRF−1およびC/EBPβを含む複合体が形成され、GASエレメントに結合する。
【実施例9】
【0109】
IL−18BP誘導におけるIRF−1−C/EBPβ複合体の役割の探求
IL−18BP遺伝子誘導におけるIRF−1およびC/EBPβの役割をさらに研究するために、発現ベクターのトランスフェクションを用いることによるIRF−1およびC/EBPβの過剰発現ののち、IL−18BPamRNAを半定量的RT−PCRにより測定した(実施例14、図7B)。HepG2細胞における各転写因子または両因子の組合せのいずれの過剰発現もIL−18BPmRNAを誘導しなかった。この結果は、付加的なIFNγ−誘導因子がIL−18BP遺伝子の活性化のために要求されるということを示唆した。IFNγによる誘導ののち、いずれかの1つの発現ベクターによる細胞のトランスフェクションは、IFNγ単独と比較して、実際はIL−18BPmRNAを減じた。対照的に、2つの転写因子の共発現は、IFNγによるIL−18BPmRNAの誘導を増加した。この結果は、IRF−1およびC/EBPβが、特定の比率で存在しなければならず、あるいは転写開始複合体の内部に複合体を形成するということを示唆している。IRF−1とC/EBPβとのあいだの可能な相互作用をさらに研究するために、pGL3(1272)、定量のIRF−1発現ベクターおよび可変量のC/EBPβ発現ベクターでの共トランスフェクト細胞によるルシフェラーゼ活性の滴定を行なった。同様に、C/EBPβベクターが一定に保たれ、IRF−1ベクターが可変量でのルシフェラーゼ活性が測定された。両ケースにおいて、ベル型の用量応答曲線が得られ、最適のIL−18BP誘導が、これらの2つの転写因子のあいだの固定モル比を必要とすることが示唆された(図7C)。
【0110】
免疫沈降試験は、IRF−1とC/EBPβとのあいだの物理的関係を確認するために実施された(実施例19、図7D)。IFNγ処理細胞由来の核および細胞質タンパク質(実施例15)のC/EBPβの抗体による免疫沈降(ip)とそれに続く免疫ブロッティング(ib)は、C/EBPβが本質的にHepG2細胞において発現し、IFNγに応答して核に移行されるということを明らかにした(上段)。IFNγによって誘導されないC/EBPβとは対照的に、IRF−1の抗体による細胞抽出物のipおよびibは、IFNγがIRF−1の発現を誘導することを明らかにした。しかし、C/EBPβと同様に、IFNγ誘導の場合、IRF−1は核に移行する(中段)。C/EBPβの抗体によるipとそれに続くIRF−1の抗体によるibは、核画分における安定なIRF−1−C/EBPβ複合体の存在を明らかにした(下段)。これらの結果は、IFNγ誘導の際のIRF−1−C/EBPβ複合体の形成を確認し、これら2つの転写因子のあいだのそのような複合体の存在の最初の実証である。したがって、IFNγ誘導では、近位のGAS含有配列とそれに隣接したIRF−EがC/EBPβおよびIRF−1の複合体を結び付ける。
【実施例10】
【0111】
IL−18BPプロモーター活性におけるC/EBP−Esの役割の探求
−309から−322位および−621から−634位の2つのC/EBPβ部位は、隣接したIRF−Eをもたない。実際、−309から−322位のC/EBPβ部位に対応するプローブのEMSA(実施例18)は、C/EBPβの抗体によりスーパーシフトされる(空矢印)が、IRF−1の抗体によってはスーパーシフトされない遅延バンド(rentarded band)(塗矢印)を示した(図8A)。したがって、この部位は、C/EBPβに結合し、IRF−1とのその複合体には結合しないと推論された。さらに、このバンドは、本質的にC/EBPβを発現し、IRF−1を欠いた非誘導HepG2細胞の核抽出物で生成された。実際、IFNγは、これらの細胞においてC/EBPβの発現を増加させず(図8D)、その結果、遅延バンドの強度を増加させなかった(図8A)。同様の結果は、より遠位のC/EBPβ部位で得られた(データは示さない)。
【0112】
その結果は、IRF−1とは異なりC/EBP転写因子は本質的に発現され、IFNγによって誘導されないこと、およびIRF−1およびGASへの結合に加えて、それはIL−18BPプロモーターに存在するC/EBPエレメントの両方に結合するということを示す。
【実施例11】
【0113】
IL−18BPの発現におけるエンハンサーの役割の研究
遠位のエンハンサーの調節的役割を、ヌクレオチド−1081から−1272に対応する192bpのDNAプローブでEMSAにより検討した(実施例18)。コントロールHepG2細胞の核抽出物は、このプローブと複合体を形成した(図8B、塗矢印)。IFNγによる細胞の処理では、複合体はより強く、いくぶんより遅延された。IRF−1、C/EBPβおよびcFosに対する抗体によるこの複合体のスーパーシフトが行なわれた。このうち、抗IRF−1のみがスーパーシフトを導き出した(図8B、空矢印)。ヌクレオチド−1083から−1174に対応する非ラベルdsDNAは、放射線ラベルプローブと競合せず、核タンパク質は、残基−1175から−1272に結合することを示した。IRF−Eは近位の領域でのみ同定されたので、この結果は、遠位のエンハンサーは、おそらく近位のIRF−Eと関係付けられるということを示唆する。
【0114】
これらの結果は、遠位のエンハンサーは、IRF−1を通して基礎プロモーターと相互作用するということを示す。
【実施例12】
【0115】
IL−18BPに関するELIZA
ヒトIL−18BPは、記載されたように二重抗体ELISAにより測定した(Novicket al. 2001)。マウスIL−18BPは、マウスIL−18BPに対するウサギ抗原アフィニティー−精製ポリクローナル抗体およびビオチン化抗体(サイトラブ、イスラエルより入手)を用いて二重抗体ELISAにより測定した。
【実施例13】
【0116】
RNA単離と逆転写(RT)−PCR
血清不含培地での処理後、HepG2およびWISH細胞(106)を示した時間で回収し、総RNAはTRI試薬を用いて抽出した。cDNAは、ランダム六量体およびSuperscriptII(インビトロゲン(商標)、リーク(Leek)、オランダ)を用いて、製造業者の使用説明書にしたがって製造した。PCRは、以下のプライマー:ヒトIL−18BP 5′CACGTCGTCACTCTCCTGGおよび5′CGACGTGACGCTGGACAAC;ヒトIRF−1 5′GACCCTGGCTAGAGATGCAGおよび5′GAGCTGCTGAGTCCATCAG;ヒトβアクチン 5′GTGGGGCGCCCCAGGCACCAおよび5′CTCCTTAATGTCACGCACGATTTCを用いて行なった。増幅は、初期変性(92℃、2分)、28サイクルの変性(92℃、45秒)、アニーリング(62℃、1分)および伸張(72℃、1.5分)、ならびに最終伸張(72℃、10分)でなされた。得られたPCR産物をアガロース(1%)ゲル電気泳動で分析した。
【実施例14】
【0117】
5′cDNA末端の急速増幅(5′RACE)
5′RACEは、5′RACEシステム(GIBCO BRL)を用いて製造業者の使用説明書にしたがって行なった。要約すると、IFNγ処理WISH細胞からの総RNAを、IL−18BPamRNA(ジーンバンク、受託番号AF110799)のヌクレオチド89〜70に相補的なプライマーを用いて逆転写し(実施例13)、アンカーDNAで新規に合成された末端をテーリングした。つぎに、アンカーDNAに相補的なフォワードプライマーと、IL−18BPamRNAのヌクレオチド31〜11に相補的なネストされたリバースプライマーによりPCRを行なった。ついで、PCR産物をサブクローニングし、DNA配列分析にかけた。
【実施例15】
【0118】
プラスミドおよびクローニング
1601bpの全推定IL−18BPaプロモーター領域を、KpnI部位を含むセンスプライマー(S4753.pgl)(5′CTATATGGTACCCACCCTTCCTTTTACTTTTTCC)とNheI部位を含むリバースプライマー(RlexA)(5′TATCGCTAGCCAGTCACACAGGGAGGCAGT)とを用いてゲノムDNAのPCRにより得た。PCR産物をpGEM−T Easyベクター(プロメガ、マジソン、WI)にクローニングし、DNA配列分析により確認した。KpnI−NheIフラグメントをpGEM−T Easyクローンから単離し、急速DNAライゲーションキット(ロッシュ)を用いてpGL3−Basicベクター(プロメガ)にライゲートしてpGL3(1601)を得た。一連の5′−切断レポーター(pGL3(1454)、pGL3(1274)、pGL3(1106)、pGL3(656)、pGL3(280)およびpGL3(122))を同様にして、同一のリバースプライマーとそれぞれ以下のセンスプライマーで製造した。
【0119】
334.pgl5′:CTATATGGTACCCATGAACTAGACACCTAGAG;
415.pgl5′:CTATATGGTACCCTACAAGAAGTTTGAGATCA;
501.pgl5′:CTATATGGTACCCAGCCGTTGCACCCTCCCAATCAC;
1exDpgl5′:CTATATGGTACCGTCTTGGAGCTCCTAGAGG;
504.pgl5′:CTATATGGTACCCACCAAAGTCCTGACACTTG;および
139.pgl5′:TTGGTACCCACTGAACTTTGGCTAAAGC
すべてのPCR産物は、コントロールとして役立てるために逆方向でもpGL3−Basicベクターにクローニングした。
【実施例16】
【0120】
一過性トランスフェクションアッセイ
6ウェルプレート(0.5×106/ウェル)においてHepG2またはWISH細胞を、FuGENE6および示したルシフェラーゼレポーターベクター(0.5μg/ウェル)およびpSV40βGAL(0.2μg/ウェル、プロメガ)を用いて製造元の使用説明書にしたがってトランスフェクトした。いくつかのケースでは、共トランスフェクションが、以下の発現ベクター:pcDNA3−IRF−1(0.07〜1.5μg/ウェル、B.Levy博士から提供、テクニオン(Technion)、イスラエル);pcDNA3−C/EBPβ(0.5〜2.5μg/ウェル、D.Zipori博士から提供、ワイズマン インスチチュート オブ サイエンス)16時間後、細胞をIFNγ(100U/ml)、IL−6(150U/ml)、TNFα(10ng/ml)またはそれらの示した組合せのいずれかで、血清不含培地において24時間処理した。ついで細胞を回収し、溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定した。すべての結果は、βガラクトシダーゼ活性に対して標準化した。
【実施例17】
【0121】
核および細胞質抽出物の調製
細胞を氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、液体窒素で速やかに凍結した。細胞ペレットを、4包装細胞容量(four packed cell volume)の細胞質緩衝液(10mM Hepes、pH 7.9、10mM NaCl、0.1mM EDTA、5容量%グリセロール、1.5mM MgCl2、1mM ジチオスレイトール(DTT)、0.5mM PMSF、50mM NaF、0.1mM Na3VO4、2mM EGTA、10mM EDTA、10mM Na2MoO4、ロイペプチン、ペプスタチンおよびアプロチニン 各2μg/ml)に再懸濁した。溶解物を遠心分離(3000×g、10分)し、細胞質タンパク質を含む上清を回収した。ペレットを2.5包装細胞容量の核緩衝液(NaClが0.42Mに増加されている以外は細胞質緩衝液と同一)に再懸濁した。核デブリを遠心分離(1,5000×g、20分、4℃)により除去し、上清の部分標本を液体窒素で凍結し、−80℃で保管した。タンパク質濃度はBCAタンパク質アッセイ試薬キット(ピアス、ロックフィールド、USA)によりウシ血清アルブミンを標準として用いて決定した。
【実施例18】
【0122】
電気泳動度シフトアッセイ
選択された応答エレメント(10pmol)に対応するdsオリゴヌクレオチドをポリヌクレオチドキナーゼ(ニュー イングランド バイオラブ(New England Biolabs))により[32P]3 ATPで標識した。核抽出物(5μgタンパク質)を、20μlのEMSA緩衝液(20mM Hepes、pH 7.5、5mM MgCl2、2mM EDTA、5mM DTTおよび5容量%グリセロール)中でポリ(dI−dC)(アマシャム ファルマシア バイオテクノロジー)と共に前インキュベート(15分、0℃)した。ついで標識したプローブ(3×104cpm)を添加し、インキュベーションを室温でさらに30分継続した。スーパーシフトアッセイのために、試料をプローブの添加前に示した抗体とインキュベートした(4μg、1h、0℃)。200倍過剰の野生型と変異型の競合物を、関連プローブと共に添加した。ついで、反応混合物を5%非変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。ゲルを真空で乾燥し、−80℃で一晩オートラジオグラフにかけた。
【実施例19】
【0123】
免疫沈降(ip)および免疫ブロット(ib)分析
核または細胞質タンパク質抽出物(80μg)を、6μgの示したポリクローナル抗体と共に一晩4℃でインキュベートし、タンパク質Gセファロースビーズ(ファルマシア)で1時間室温で免疫沈降した。次にビーズを、10%DTTを含むSDS−PAGE試料緩衝液で煮沸し、上清を還元条件下でSDS−PAGE(10%アクリルアミド)により分離した。ついでゲルをニトロセルロース膜にブロットし、示した抗体でタンパク質を検出した。免疫複合体は、Super Signal(商標)(ピアス)検出キットにより同定した。
【実施例20】
【0124】
IL−18BPプロモーターを用いるCHOr−hsLDLRの製造
ヒト可溶性LDLRを発現する安定な組換えCHO細胞は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を欠いたCHO−DUKX細胞を2つの発現ベクター:LDLRのN−末端リガンド結合ドメインを含み、アミノ酸残基Asp(+4)で始まりGlu291(+291)までのもの、およびDHFR(DHFRは初期SV40プロモーターによって制御されている)のマウス遺伝子およびIL−18BPプロモーター(配列番号2)によるsLDLR遺伝子およびSV40初期領域の転写末端エレメントを含むpDHFRでの共トランスフェクションにより作出する。トランスフェクションは、リポフェクトアミン(LipofectAmine)(ギブコ BRL)を用いて製造元のプロトコールに従い陽イオンのリポソームにより行なわれた。トランスフェクションの72時間後に、細胞をデオキシおよびリボヌクレオシドを欠き、10%透析FCSを補完した選択培地に移す。DHFR活性を発現する細胞は、トリプシン浸漬ペーパーディスクで細胞をリフティングすることにより単離されるクローンを形成することができる。細胞は増殖し、r−hsLDLR活性に対してスクリーニングした。ついで、トランスフェクトされた細胞をMTXによる遺伝子増幅に付し、そののちサブクローニングし安定な産生クローンを選択する。
【0125】
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【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】5つの調節エレメントを含むIL−18BP遺伝子のプロモーター領域の略図を示す。
【図2】IL−18BP誘導の速度論およびTNFαおよびIL−6との相乗効果を示す。(A)IFNγは、ヒトWISH細胞において用量および時間に依存してIL−18BPを誘導する。細胞は、示した濃度のIFNγで24時間および48時間インキュベートした。(B)TNFα、IL−6とそれらの組み合わせの、IFNγ誘導IL−18BPに対する相乗効果。HepG2細胞は、IFNγ(100U/ml)、TNFα(20ng/ml)およびIL−6(300U/ml)の示した組み合わせでインキュベートした。各組み合わせによるIL−18BPの誘導は、IFNγ単独による誘導より有意に高かった(p<0.05)。データは、平均±SDである(n=3対A、n=4対B)。
【図3】ヒトおよびマウスIL−18BP遺伝子の保存されたエクソン−イントロン構成の略図を示す。ヒトIL−18BPa遺伝子をマウスIL−18BPd遺伝子と比較した。エクソンを示す。転写開始部位、翻訳開始部位(ATG)、終始コドン(Stop)、およびポリアデニル化シグナル(PAS)をヒトIL−18BPa遺伝子について示す。
【図4】IL−18BPのIFNγによる誘導は転写レベルであり、新規の(de novo)タンパク質合成に依存するということを示す。(A)アクチノマイシンD(1μg/ml、30分)で前培養し、洗浄、IFNγ(100U/ml)で示した時間インキュベートしたHepG2細胞由来のIL−18BPmRNAの半定量的RT−PCR。βアクチンmRNAのRT−PCRをコントロールとして示す。(B)シクロヘキシミド(20μg/ml)およびIFNγ(100U/ml)で示した時間前インキュベートしたHepG2細胞由来のIL−18BPmRNAの半定量的RT−PCR。
【図5】ヒトIL−18BPプロモーターを運ぶルシフェラーゼレポーターベクターの基礎活性およびIFNγ誘導活性を示す。転写開始部位(+1)から伸びる挿入サイズは、括弧に記載する。丸数字は、種々の応答エレメント:1.GAS、2.IRF−E、3.C/EBP−E(2部位)、サイレンサー5.遠位エンハンサーを示す。塗四角は特異的応答エレメントにおける変異を表わす。HepG2細胞は、示したレポーターベクターとpSV40βGALとで共トランスフェクトされた。すべてのルシフェラーゼ値は、βガラクトシダーゼ活性で標準化した。(A)pGL3−ベーシックベクターでトランスフェクトされた細胞の活性と相対的な誘導されていない細胞の抽出物におけるルシフェラーゼ活性。(B)選択されたベクターでトランスフェクトされ、IFNγで誘導された細胞におけるルシフェラーゼ活性。誘導倍率は、(A)で与えられている基礎活性に対する。
【図6】IRF−1はマウスにおけるIL−18BP発現に不可欠であるということを示す。マウスIFNγ(53,000u/マウス)を腹腔内に注射したC57B1/6 IRF−1-/-およびコントロールC57 B1/6マウスの血清IL−18BP。マウスを注射前と注射後24時間とに採血した。血清IL−18BPをELISAで測定した。データは、平均±SEである(各群n=6)。コントロールとIRF−欠損マウスとにおける血清IL−18BPの違いは、コントロールマウスにおけるIL−18BPの誘導と同様に統計学的に有意であった(p<0.05)。
【図7】IL−18BP遺伝子におけるIRF−1およびC/EBPβの役割とその関連性を示す。(A)塩基−33〜−75(IRF−E、左パネル)および−8〜−55(GAS、右パネル)に対応するdsDNAプローブの電気泳動度シフトアッセイ(EMSA実施例18)。HepG2細胞をIFNγで示した時間処理し、核抽出物をIRF−EまたはGASプローブと反応させた。シフトしたバンドを塗矢印で示す。GAS複合体も示した抗体でスーパーシフトに付した。スーパーシフトしたバンドは、空矢印で示す。(B)IRF−1またはC/EBPβ発現ベクターの示した組み合わせでトランスフェクトしたHepG2細胞由来のIL−18BPmRNAの半定量的RT−PCR。示した場合には、IFNγを添加し、細胞を5時間後に回収した。値はβアクチンmRNAで標準化した。(C)完全なIL−18BPプロモーターを含有するルシフェラーゼレポーターベクターpGL3(1272)で、示した濃度のpCDNA3−IRF−1(丸)および1μg/106細胞のpCDNA3−C/EBPβと共にトランスフェクトされた細胞におけるルシフェラーゼ活性。あるいは、細胞を示した濃度のpCDNA3−C/EBPβ(四角)と0.1μg/106細胞のpCDNA3−IRF−1でトランスフェクトした。ルシフェラーゼ活性は、βGal活性で標準化した。(D)IFNγ(100U/ml、2時間)で処理した細胞の核および細胞質抽出物(抽出物の調製については実施例17参照)のイムノブロット。抽出物は示した抗体と免疫沈降(IP)し、イムノブロット(IB)した。
【図8】IFNγ誘導の際、IL−18BPのプロモーターに結合する因子を示す。(A)近位のC/EBPβ EおよびTNFγによる処理後の前細胞抽出物。示した場合には、抽出物を示した抗体でスーパーシフトした。(B)遠位のエンハンサーに対応するプローブおよびIFNγによる処理後の全細胞抽出物でのEMSA。示した場合には、抽出物を示した抗体で、プローブの近位の半分に対応するdsDNAとの競合ありまたはなしでスーパーシフトした。シフトしたバンドを塗矢印で示し、スーパーシフトしたバンドを空矢印で示す。
【配列表】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列(配列番号1)、またはそのフラグメントもしくは機能的誘導体であって、該DNA配列またはそのフラグメントの3′末端が配列番号5の5′末端由来の1つ以上のヌクレオチドを含むDNA配列。
【請求項2】
誘導体が配列中のサイレンサーエレメントに存在する1つ以上のAP1部位で変異されている請求項1記載のDNA配列。
【請求項3】
フラグメントが配列番号2を含有する請求項1記載のDNA配列。
【請求項4】
フラグメントが配列番号3を含有する請求項1記載のDNA配列。
【請求項5】
さらにイントロンを含有する請求項1、2、3または4記載のDNA配列。
【請求項6】
イントロンがIL−18BPの第1イントロンからなる請求項5記載のDNA配列。
【請求項7】
さらにIL−18BPプロモーターに作動可能に連結された遺伝子を含む請求項1、2、3、4、5または6記載のDNA配列。
【請求項8】
遺伝子がIL−18BPをコードする請求項7記載のDNA配列。
【請求項9】
遺伝子が異種タンパク質をコードする請求項7記載のDNA配列。
【請求項10】
異種遺伝子がルシフェラーゼ遺伝子をコードする請求項9記載のDNA配列。
【請求項11】
異種遺伝子が、インターフェロン−ベータ、TNF、エリスロポエチン、ティッシュプラスミノーゲンアクチベーター、顆粒細胞コロニー刺激因子、超酸化マンガンジスムターゼ、イムノグロブリン、またはそれらのフラグメント、成長ホルモン、FSH、hCG、IL−18、hsLDLRおよびTNF受容体結合タンパク質から選択されるタンパク質をコードする請求項9記載のDNA配列。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載のDNA配列を含有するベクター。
【請求項13】
請求項12記載のベクターを含有する宿主細胞。
【請求項14】
哺乳類の細胞である請求項13記載の宿主細胞。
【請求項15】
CHO、WISH、HepG2、Cos、CV−1、HeLa、およびHakat U937細胞から選択される請求項14記載の宿主細胞。
【請求項16】
請求項13、14または15記載の宿主細胞を培養し、産生された組み換えタンパク質を単離することを含む組み換えタンパク質の製造方法。
【請求項17】
ウイルスゲノムの一部分、目的の遺伝子をコードするDNAフラグメントおよび目的の遺伝子に作動可能に連結された請求項1、2、3、4、5または6記載のヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列を含むDNAフラグメントを含有する組み換えウイルスベクター。
【請求項18】
目的の遺伝子が、インターフェロン−ベータ、TNF、エリスロポエチン、ティッシュプラスミノーゲンアクチベーター、顆粒細胞コロニー刺激因子、超酸化マンガンジスムターゼ、イムノグロブリン、またはそれらのフラグメント、成長ホルモン、FSH、hCG、IL−18、hsLDLRおよびTNF受容体結合タンパク質から選択される請求項17記載の組み換えウイルスベクター。
【請求項19】
ウイルスゲノムの一部分がアデノ随伴ウイルスに属する請求項17記載の組み換えウイルスベクター。
【請求項20】
ウイルスゲノムの一部分がレトロウイルスに属する請求項17記載の組み換えウイルスベクター。
【請求項21】
レトロウイルスがHIV、HFV、MLV、FIVおよびVSVから選択される請求項20記載の組み換えウイルスベクター。
【請求項22】
目的の遺伝子の細胞特異的発現を制御する方法であって、標的哺乳類細胞を請求項17、18、19、20または21記載のベクターで形質転換すること、および必要とする個体にその細胞を移植すること含む方法。
【請求項23】
標的細胞が造血幹細胞である請求項22記載の方法。
【請求項24】
標的細胞が単球である請求項22記載の方法。
【請求項25】
標的細胞がマクロファージである請求項24記載の方法。
【請求項26】
目的の遺伝子がHIV感染症に耐性を与えるタンパク質をコードする請求項22、23、24または25記載の方法。
【請求項27】
HIV感染症の治療のための請求項26記載の方法。
【請求項28】
造血系疾患の治療のための請求項22、23、24または25記載の方法。
【請求項29】
造血系疾患がSCID、慢性肉芽腫症およびサラセミアから選択される請求項28記載の方法。
【請求項30】
体組織のIFNγの上昇を示す個体における疾患の治療のための遺伝子治療法であって、有効量の請求項17、18、19、20または21記載のベクターを投与することを含む方法。
【請求項31】
さらにIL−6および/またはTNF−αおよび/またはIRFおよび/またはC/EBPβ因子の投与を含む請求項30記載の方法。
【請求項32】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11記載のDNA配列をコードするDNA配列を宿すトランスジェニックマウス。
【請求項33】
疾患の治療のための医薬の製造における、ヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列(配列番号1)、またはそのフラグメントもしくは機能的誘導体の使用であって、該DNA配列またはそのフラグメントの3′末端が配列番号5の5′末端由来の1つ以上のヌクレオチドを含有する使用。
【請求項34】
治療に有効量のヒトIL−18BPプロモーターをコードするDNA配列(配列番号1)、またはそのフラグメントもしくは機能的誘導体を含有する医薬組成物であって、該DNA配列またはそのフラグメントの3′末端が配列番号5の5′末端由来の1つ以上のヌクレオチドを含有する医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−501839(P2006−501839A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542765(P2004−542765)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000815
【国際公開番号】WO2004/033694
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(500018608)イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド (35)
【Fターム(参考)】