説明

LEDユニット

【課題】構造が簡単で、かつ防水、防塵性を有するLEDユニットを提供する。
【解決手段】開放型の筐体内にLEDを搭載し被覆電線を接続したプリント基板を収め、このプリント基板の上から前記筐体内に透明の封止樹脂を封入して固化することによってLEDユニットを封止するものにおいて、前記プリント基板の収められた筐体内に封止樹脂を封入する前に、前記被覆電線と前記プリント基板との接続部を接着剤でシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防水、防塵機能を有するLEDユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
防水、防塵機能を有するLEDユニットとしては、収納する筐体(ケース)自身にシール構造を設けて防水、防塵機能を得るものや、特許文献1に示されるように筐体(ケース)内に封止樹脂を封入してLED素子およびこの素子の搭載されたプリント基板を封止樹脂より封止するものがある。
【0003】
前者については、シール部品により物理的に塵や水の混入を防ぐので一定の効果はみられるが、シール部材の構造の複雑さや、シール部品の増加から生産効率の面で問題が残る。
【0004】
後者においては、筐体(ケース)内に封止樹脂を封入し防水、防塵機能を得るものであり、構造が簡単化される点で前者を凌ぐが、プリント基板及び該基板に接続されている被覆電線を含め封止する場合、封止樹脂が熱硬化される過程で電線根元部分から液状化した封止樹脂が毛管現象により被覆電線内へ浸透し這い上がり、樹脂の熱硬化によって被覆電線全体が固化し、可撓性を失うため、被覆電線の配線の取り回しに支障が生じるとともに取り回し中に封止樹脂にクラックが生じ防水、防塵機能が低下する等の問題がある。
【0005】
また、LEDユニットを高温環境下において使用するために、被覆電線に、一般的なビニール電線ではなく、被覆に架橋処理を施した耐熱性の架橋処理電線を用いる場合があるが、架橋処理電線は封止樹脂との密着性が悪いため、LED素子を収めた筐体内に封止樹脂を封入して封止しても電線と封止樹脂との間に隙間が生じ、封止効果が得られない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−171042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に掲げた問題を解消すべく、構造が簡単でかつ防水、防塵性を有するLEDユニットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本願発明のLEDユニットは、開放型の筐体内にLEDを搭載し被覆電線を接続したプリント基板を収め、このプリント基板の上から前記筐体内に透明の封止樹脂を封入して固化することによりLEDユニットを封止するものにおいて、前記プリント基板の収められた筐体内に封止樹脂を封入する前に、前記被覆電線と前記プリント基板との接続部を接着剤でシールするようにしている(請求項1)。
【0009】
請求項1の発明において前記筐体は白色とするのがよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、LEDが搭載され、被覆電線の接続されているプリント基板を上面開放型の筐体(ケース)内に収め、その上から封止樹脂を封入して封止する際に、封止樹脂の封入前にプリント基板と前記被覆電線との接続部を接着剤でシールしてからプリント基板を透明の封止樹脂で封止するので、封止樹脂による十分な封止効果が得られる。そして、被覆電線のプリント基板との接続部が接着剤でシールされているため、封止樹脂で封止する際に被覆電線の根元部分から被覆電線内へ浸透し這い上がることが防止されるので、封止樹脂の熱硬化によるの影響を受けることがないという効果がある。
【0011】
熱硬化の影響を受けることがなくなると被覆電線は、可撓性が維持されるとともに、封止樹脂にクラックが発生することもないので封止効果の高いLEDユニットを得ることができる。
【0012】
また、高温環境下においてLEDユニットを使用するために、架橋処理した耐熱性被覆電線を使用しても、この被覆電線とプリント基板との接続部を接着剤でシールするので、被覆電線との密着性の低い封止樹脂で封止しても封止効果が低下することがなくなる。
【0013】
すなわち、被覆電線と接着剤、接着剤と封止樹脂がそれぞれ接着しあうため、被覆電線と封止樹脂との間に隙間が出来ることなく高温環境下にておいても封止効果の優れたLEDユニットを得られるという効果がある。
【0014】
なお、筐体(ケース)は反射率の高い白色にすることでLEDユニット発光効率をたかめることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のLEDユニットの構成を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】電線接続部を接着剤でシールして、封止樹脂にて封止した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図3に基づいて、この発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明のLEDユニットは、プリント基板3上の所定の箇所に、LED素子2を搭載し、被覆電線1を接続して組立てられる。このLED素子2および被覆電線1を接続したプリント基板3が、上部の開放された樹脂で形成された開放型の筐体4内に、例えば図1及び図2に示したように収められている。
【0018】
前記筐体4は、LEDユニット全体を明るくするために反射率の高い白色にすることが望ましい。
【0019】
筐体4内に収められたプリント基板3と被覆電線1との接続部には、図2に示すように、基板3と被覆電線1の被覆との間に隙間が生じる。この隙間を封止するために、図3に示されるように、前記被覆電線1とプリント基板3との接続部1aにおいて、プリント基板3の表面から被覆電線1の一定の高さまで接着剤5を接着してこの被覆電線1の接続部1aをシールする。
【0020】
接着剤5によってシールする高さは、シール後筐体4内へ封止樹脂6を封入する高さ以上とする。これは封入樹脂6と被覆電線1を接触させないためである。
【0021】
なお、本実施例で使用する接着剤5は、被覆電線1と接着が可能であって、接着剤硬化後も柔軟性を有するもの、例えばセメダイン(登録商標)スーパーX8008(白)などが好ましい。
【0022】
プリント基板3の被覆電線接続部1aを接着剤5によってシールした後、プリント基板3の収められた筐体4内に例えば熱硬化性の透明の封止樹脂6を筐体4内に所定の量封入し熱硬化させる。
【0023】
プリント基板3、LED2及び電線1が筐体4内に封止樹脂6により固定されるとともに気密に封止される。
【0024】
このように構成することで、封止樹脂6による防水効果が得られる。被覆電線1の根元部分とプリント基板3との接続部1aが接着剤5でシールされているため、封入樹脂6で封止する際に、封止樹脂6の接続部1aから被覆電線1内への浸透、這い上がりが防がれるので、被覆電線1は封入した封止樹脂6の熱硬化による影響を受けることなく可撓性を維持し、封止樹脂6がクラックすることなく防水、防塵効果の優れた封止効果を有するLEDユニットを得ることができる。
【0025】
また、本実施例で使用している被覆電線1を被覆を架橋処理した架橋処理電線とすることにより、被覆電線の耐熱性を高めることができるので、高温環境下においてLEDユニットを使用することができる。
【0026】
この場合、架橋処理電線と封止樹脂とは密着性が悪いことから、被覆電線1の接続部1aを接着剤5でシールすることにより、被覆電線1と接着剤5、接着剤5と封止樹脂6の接着性を利用することで相互の密着性を高め、高い封止効果を得ることができる。
【0027】
なお、本実施例では本発明がLEDユニットであるため、主にLEDユニットについての防水、防塵について述べたが、このような効果はLEDユニットに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1 被覆電線
1a 電線接続部
2 LED
3 プリント基板
4 筐体
5 接着剤
6 透明封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放型の筐体内にLEDを搭載し被覆電線を接続したプリント基板を収め、このプリント基板の上から前記筐体内に透明の封止樹脂を封入して固化することによりLEDユニットを封止するものにおいて、前記プリント基板の収められた筐体内に封止樹脂を封入する前に、前記被覆電線と前記プリント基板との接続部を接着剤でシールしたことを特徴とするLEDユニット。
【請求項2】
前記筐体は白色であることを特徴とした請求項1に記載のLEDユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−258423(P2011−258423A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132097(P2010−132097)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【Fターム(参考)】