説明

LED素子のソーティング装置

【課題】検査工程と整列工程を1台の設備で行うことによって工数削減と設備費のコストダウン及び設置スペースの縮小を図ることができるLED素子のソーティング装置を提供すること。
【解決手段】半導体ウエハ2を裁断して得られる複数のLED素子3の各特性をそれぞれ検査するとともに、各LED素子3の位置をそれぞれ検出し、各LED素子3をその特性データと位置データに基づいて各ランク毎に整列させてシート4上に貼付するLED素子3のソーティング装置1を、放射状に延びる複数のアーム11を備えた回転可能且つ上下動可能なインデックスユニット10を設け、該インデックスユニット10の前記各アーム11を回転及び上下動させてその先端に前記LED素子3を吸着しつつ、該LED素子3の位置検出と特性の検査、各ランク毎の整列及びシートへの貼付を順次行うよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各LED素子をその特性データと位置データに基づいて各ランク毎に整列させてシート上に貼付するLED素子のソーティング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のLED素子のソーティング工程を図7に基づいて説明すると、シリコン単結晶を成長させた円板状の半導体ウエハ2が網目状に小さく裁断されることによって複数のLED素子3が得られるが、各LED素子3は、光度、発光波長、順電圧等の特性が検査される。
【0003】
次に、各LED素子3をその特性データと位置データに基づいてシート9上に各ランク毎に整列させ、そのランクに合わせた蛍光体を加えて製品としてのLED(発光ダイオード)5を製造するようにしている。この場合、同じランクに含まれるLED素子3の光度、発光波長、順電圧等の特性のバラツキが大きく、製品であるLED5は例えばA〜Eの5ランクにそれぞれ分かれる。
【0004】
ところで、LED素子の整列(配列)に関して特許文献1には、各LED素子の光度、発光波長、順電圧等の特性を測定して記憶し、必要数のLED素子が揃った時点で隣り合うLED素子の特性値がほぼ同一となるようにLED素子を配列し直す方法及び装置が提案されている。
【0005】
又、特許文献2には、ICチップの性能をICウエハの段階で測定し、その測定データに基づいてICウエハにおけるICチップの位置と性能のランクとを対応づけた分類データを作成し、その分類データに基づいて、ICウエハから分割されたICチップを性能のランク毎に仕分けするICチップの性能分類方法及び装置が提案されている。
【0006】
更に、特許文献3には、半導体ペレットのマウントに関して、整列された半導体ペレットの各特性を測定して得た特性データと、半導体ペレットの一部を位置検出して得られた位置データに基づいて演算によって各々のペレットの位置データとを組み合わせてペレットファイルを作成し、そのベレットファイルから予め推定された特性をもつペレットを選択し、選択したペレットを位置データに基づいてマウントする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−047620号公報
【特許文献2】特開平10−144741号公報
【特許文献3】特開平8−255820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のLED素子のソーティングにおいては、検査工程と整列工程が分かれているために、工数が増えてリードタイムも長いという問題があった。又、各々独立した検査装置と整列装置が必要であるために、設備費が高く、大きな設置スペースが必要であるという問題もあった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、検査工程と整列工程を1台の設備で行うことによって工数削減と設備費のコストダウン及び設置スペースの縮小を図ることができるLED素子のソーティング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、半導体ウエハを裁断して得られる複数のLED素子の各特性をそれぞれ検査するとともに、各LED素子の位置をそれぞれ検出し、各LED素子をその特性データと位置データに基づいて各ランク毎に整列させてシート上に貼付するLED素子のソーティング装置を、放射状に延びる複数のアームを備えた回転可能且つ上下動可能なインデックスユニットを設け、該インデックスユニットの前記各アームを回転及び上下動させてその先端に前記LED素子を吸着しつつ、該LED素子の位置検出と特性の検査、各ランク毎の整列及びシートへの貼付を順次行うものとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インデックスユニットの各アームを回転及び上下動させてその先端にLED素子を吸着しつつ、該LED素子の位置検出と特性の検査、各ランク毎の整列及びシートへの貼付を順次行うようにしたため、検査工程と整列工程を1台の設備で行うことができ、工数の削減と設備費のコストダウン及び設置スペースの縮小を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るソーティング装置によるLED素子のソーティング工程を説明する図である。
【図2】本発明に係るLED素子のソーティング装置の基本構成を示す平面図である。
【図3】本発明に係るLED素子のソーティング装置によるLED素子のソーティング作業をその工程順に示す説明図であって、上段が平面図、下段が側面図である。
【図4】本発明に係るLED素子のソーティング装置によるLED素子のソーティング作業をその工程順に示す説明図であって、上段が平面図、下段が側面図である。
【図5】本発明に係るLED素子のソーティング装置によるLED素子のソーティング作業をその工程順に示す説明図であって、上段が平面図、下段が側面図である。
【図6】本発明に係るLED素子のソーティング装置によるLED素子のソーティング作業をその工程順に示す説明図であって、上段が平面図、下段が側面図である。
【図7】従来のLED素子のソーティング工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係るソーティング装置によるLED素子のソーティング工程を説明する図であり、本発明に係るソーティング装置1においても、薄い円板状の半導体ウエハ2上に裁断によって形成された複数のLED素子3は、検査工程において光度、発光波長、順電圧等の特性が検査される。
【0015】
次に、整列工程において、各LED素子3がその特性データと位置データに基づいて各ランク毎に整列されてシート4上に貼付され、シート4上に貼付されたLED素子3にそのランクに合わせた蛍光体が加えられて単ランクの良品(製品)としてLED(発光ダイオード)5が製造される。尚、従来の整列工程では、LED素子の整列を発光波長が2.5nmの範囲で行っていたため、そのまま蛍光体を供給して生産すると製品の性能のバラツキが大きく、製品が複数のランクに分かれていた。これに対して、本実施の形態では、LED素子3の整列を発光波長が1nmの範囲で行い、それに応じて蛍光体の調整を細かく設定するようにしたため、バラツキの小さい単ランクの製品5を得ることができ、直行歩留まりを従来の75%から95%へと大幅に改善することができた。
【0016】
而して、本発明に係るソーティング装置1は、検査工程と整列工程を1つの設備で行うようにしたことを特徴としており、以下、その概略構成を図2に基づいて説明する。
【0017】
図2は本発明に係るソーティング装置1の基本構成を示す平面図であり、図示のソーティング装置1には、放射状に延びる複数(図示例では、8つ)のアーム11を備えた回転可能且つ上下動可能なインデックスユニット10と、複数(図示例では、5つ)の回転可能な円形のトレイ21を備えた取出テーブル20が設けられている。
【0018】
斯かるソーティング装置1に半導体ウエハ2が供給されると、インデックスユニット10の各アーム11が回転及び上下動され、その先端にLED素子3が吸着され、各アーム11が図示矢印方向(反時計方向)に回転する間に各LED素子3に対する位置検出と特性検査、各ランク毎の整列及びシート4へ貼付が順次連続的になされる。
【0019】
次に、本発明に係るソーティング装置1によるソーティング作業を図3〜図6に基づいて以下に説明する。尚、図3〜図5は本発明に係るソーティング装置1によるLED素子3のソーティング作業をその工程順に示す説明図であって、上段が平面図、下段が側面図である。
【0020】
インデックスユニット10の1つのアーム11(斜線を付したもの)は図3(a)に示すように半導体ウエハ2上の対象とするLED素子3の真上から若干横にずれた位置にあり、LED素子3の真上に設置された位置検出用のカメラ6との干渉を避けている。この状態でLED素子3の半導体ウエハ2上の位置が検出され、その位置は位置データとして不図示のコンピュータのメモリに記憶される。
【0021】
次に、アーム11が図示矢印方向(反時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ回転し、図3(b)に示すように該アーム11の先端に設けた吸着ノズル7がLED素子3の真上に位置する。そして、その状態のまま図3(c)に示すようにアーム11が下降し、その先端の吸着ノズル7がLED素子3を吸着する。その後、図3(d)に示すようにアーム11がLED素子3を吸着したまま上昇する。
【0022】
次に、図3(e)に示すようにアーム11が図示矢印方向(時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ逆転して図3(a)に示す元の位置に戻る。そして、その状態からアーム11が図3(f)に示すように上下動した後、図3(g)に示すようにアーム11が所定角度(本実施の形態では、45°)だけ矢印方向(反時計方向)に回転し、その状態から下降し、その先端の吸着ノズル7に吸着されたLED素子3を第1ステージ30上に載置する。
【0023】
上述のように第1ステージ30にLED素子が載置されると、図4(a)に示すようにアーム11が上昇した後、該アーム11が図4(b)に示すようにカメラ6との干渉を避けるために図示矢印方向(反時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ回転し、その後、アーム11は下降する。そして、この状態で第1ステージ30上のLED素子3の位置がカメラ6によって検出される。
【0024】
次に、アーム11は、図4(c)に示すように上昇しながら図示矢印方向(時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ逆転して図4(b)に示す角度位置に戻り、第1ステージ30上のLED素子3の真上に位置する。その後、アーム11は、図4(d)に示すように下降し、その先端に吸着ノズル7が第1ステージ30上のLED素子3を吸着し、図4(e)に示すように上昇する。
【0025】
次に、アーム11は、図4(f)に示すようにLED素子3を吸着したまま図示矢印方向(反時計方向)に所定角度(本実施の形態では、45°)だけ回転しながら下降してLED素子3を第2ステージ40上に載置し、その後、図4(g)に示すように上昇する。
【0026】
次に、アーム11は、図5(a)に示すように図示矢印方向(反時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ回転して平面視において第2ステージ40上のLED素子3から横に外れ、その後、下降する。そして、この状態で第2ステージ40上のLED素子3に通電して該LED素子3の順電圧を測定するとともに、LED素子3の真上に設置された受光ファイバ8によってLED素子3の光度を発光波長を測定する
上述のように、第2ステージ40上のLED素子3の順電圧と光度及び発光波長が測定されると、アーム11は、図5(b)に示すように上昇しながら図示矢印方向(時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ逆転して図4(g)に示す角度位置に戻り、第2ステージ40上のLED素子3の真上に位置する。その後、アーム11は、図5(c)に示すように下降し、その先端の吸着ノズル7によって第2ステージ40上のLED素子3を吸着し、図5(d)に示すように上昇する。
【0027】
次に、アーム11は、図5(e)に示すように図示矢印方向(反時計方向)に所定角度(本実施の形態では、45°)だけ回転しながら下降し、LED素子3を第3ステージ50上に載置した後、図5(f)に示すように上昇する。その後、アーム11は、図5(g)に示すように第3ステージ50上のLED素子3と平面視において干渉しないように図示矢印方向(反時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ回転して横方向に外れながら下降する。そして、その状態で第3ステージ50上のLED素子3の位置がカメラ6によって検出されてLED素子3の位置が補正される。
【0028】
次に、アーム11は、図6(a)に示すように図示矢印方向(時計方向)に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ逆転して図5(f)に示す角度位置まで戻りながら上昇し、第3ステージ50上のLED素子3の真上に位置する。そして、アーム11は、図6(b)に示すように下降し、その先端の吸着ノズル7によって第3ステージ50上のLED素子3を吸着した後、図6(c)に示すように上昇する。
【0029】
その後、先端にLED素子3を吸着したアーム11は、図6(d)に示すように図示矢印方向(反時計方向)に所定角度(本実施の形態では、45°)だけ回転しながら下降し、その後上昇する。そして、アーム11は、図6(e)に示すように図示矢印方向(反時計方向)に所定の角度(本実施の形態では、11°)だけ回転しながら下降し、図2に示す取出テーブル20のトレイ21にセットされたシート4上にLED素子3を各ランク毎に整列させながら貼付し、その後、アーム11は、図6(f)に示すように図示矢印方向に所定角度(本実施の形態では、11°)だけ回転して図6(d)に示す角度位置に戻り、一連のソーティング作業が終了する。
【0030】
而して、本発明に係るソーティング装置1によれば、インデックスユニット10の各アーム11を回転及び上下動させてその先端にLED素子3を吸着しつつ、該LED素子3の位置検出と特性の検査、各ランク毎の整列及びシート4への貼付を順次行うようにしたため、検査工程と整列工程を1台の設備で行うことができ、工数の削減と設備費のコストダウン及び設置スペースの縮小を図ることができる。尚、本実施の形態では、設備費を約1/4、設備スペースを約1/5、作業エリアのスペースを約1/6にすることができた。
【符号の説明】
【0031】
1 ソーティング装置
2 半導体ウエハ
3 LED素子
4 シート
5 LED(製品)
6 カメラ
7 吸着ノズル
8 受光ファイバ
10 インデックスユニット
11 インデックスユニットのアーム
20 取出テーブル
21 取出テーブルのトレイ
30 第1ステージ
40 第2ステージ
50 第3ステージ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを裁断して得られる複数のLED素子の各特性をそれぞれ検査するとともに、各LED素子の位置をそれぞれ検出し、各LED素子をその特性データと位置データに基づいて各ランク毎に整列させてシート上に貼付する装置であって、
放射状に延びる複数のアームを備えた回転可能且つ上下動可能なインデックスユニットを設け、該インデックスユニットの前記各アームを回転及び上下動させてその先端に前記LED素子を吸着しつつ、該LED素子の位置検出と特性の検査、各ランク毎の整列及びシートへの貼付を順次行うことを特徴とするLED素子のソーティング装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−84683(P2013−84683A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222169(P2011−222169)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】