説明

LED表示装置

【課題】 電源回路部の小型化及びコストダウン、更には発光輝度の均一化及び低消費電力化を図るなど、従来の相反する問題点を解消するとともに、汎用性及び表示の多様性を高める。
【解決手段】 複数のLED2…と単一の第一スイッチ素子3a,3b,3c…を直列接続し、かつ各LED2…にそれぞれ第二スイッチ素子4…を並列接続した複数のLED回路7a,7b,7c…を電源回路部8に並列接続してなる表示マトリクス回路部9と、各第一スイッチ素子3a…を所定時間(Ts)ONにする制御を順番に行うとともに、表示マトリクス回路部9の各LED回路7a…に跨がる行La,Lb,Lc…を構成する複数の第二スイッチ素子4…を第一スイッチ素子3a…のONに対応してON/OFF制御する制御回路部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列接続された複数のLEDにそれぞれ並列接続したスイッチ素子をON/OFF制御して数字等の表示を行うLED表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のLEDを用いて数字等の表示を行うLED表示装置は知られているが、常時点灯させるなどの用途におけるLED表示装置では、一般的な要求である小型化・低価格化・表示の高品質化等をはじめ、特に、消費電力が少ないこと、低電圧電源により駆動できることなどの性能が要求される。
【0003】
従来、この種のLED表示装置としては、特許文献1〜5が知られている。特許文献1には、定電流源と、この定電流源と直列に接続された複数の、直列に接続された発光素子と、各発光素子に対応して設けられた、対応する発光素子に並列に接続されたバイパス回路とを有し、バイパス回路は、供給される制御信号に応じて、対応する発光素子の両端を、対応する発光素子の抵抗値に比べ十分に小さな抵抗値をもって短絡するようにした表示回路が開示され、特許文献2には、順方向に直列接続された発光素子群と、この発光素子群に定電流を供給する定電流電源と、この発光素子群の各発光素子に対してそれぞれ並列に接続され、外部からの制御信号に基づいて対応する発光素子を点灯又は消灯させるスイッチ素子群とを備えたLED駆動回路が開示され、特許文献3には、多数のLEDを並設してなるLEDアレイ及び各LEDの導通を個別に制御する回路を備えるLEDアレイ装置であって、各LEDを直列接続してなるLEDアレイと、各LEDに並列接続されたスイッチング素子と、LEDアレイに給電する定電流装置とを具備するLEDアレイ装置が開示され、特許文献4には、LEDを複数直列接続した直列要素からなる光源を備えた表示装置であって、直列要素と直列に定電流素子が接続された表示装置が開示され、特許文献5には、複数本の走査電極と複数本の信号電極とをマトリクス状に交差配置し、マトリクスの各交差点で表示素子を走査電極と信号電極との間の電圧によって駆動するドットマトリクス表示装置であって、走査電極と所定の基準電位を与える基準電圧端子との間に整流素子を所定の電極の向きで電気的に接続し、走査電極上の電荷を整流素子を介して基準電圧端子側に放電するドットマトリクス表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開平9−81211号公報
【特許文献2】特開平5−129665号公報
【特許文献3】特開平5−131681号公報
【特許文献4】特開平8−194448号公報
【特許文献5】特開2001−109433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のLED表示装置は、次のような問題点があった。
【0005】
特許文献1,2及び3のタイプは、必要数量のLEDを直列接続するタイプである。したがって、いずれの特許文献1,2及び3もLEDの使用数量に対応して必要とする駆動電圧が高くなり、電源の大型化及びコストアップを招くとともに、駆動電圧を高くできない場合は、LEDの使用数量が制限されたり或いは発光輝度の低下を招く難点がある。なお、LEDを並列接続するタイプでは、発光輝度のバラツキを招くとともに、消費電力が大きくなる問題を生じる。
【0006】
特許文献4及び5のタイプは、必要数量のLEDを直列接続と並列接続の組合わせにより接続したタイプ、即ち、マトリクス配列に接続するタイプである。マトリクス接続した場合、直列接続と並列接続の欠点をある程度排除できる利点はあるものの、並列回路(行)又は直列回路(列)をそれぞれ一グループとして制御するため、各LEDに対する個々の制御ができず、表示用途が制限される難点がある。
【0007】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したLED表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するため、定電流電源を有する電源回路部に、少なくとも、複数のLEDを直列接続するとともに、各LEDにスイッチ素子をそれぞれ並列接続し、制御回路部によりスイッチ素子を選択的にON/OFF制御してLEDにより所定の表示を行うLED表示装置1を構成するに際して、複数のLED2…と単一の第一スイッチ素子3a,3b,3c…を直列接続し、かつ各LED2…にそれぞれ第二スイッチ素子4…を並列接続した複数のLED回路7a,7b,7c…を電源回路部8に並列接続してなる表示マトリクス回路部9と、各第一スイッチ素子3a…を所定時間(Ts)ONにする制御を順番に行うとともに、表示マトリクス回路部9の各LED回路7a…に跨がる行La,Lb,Lc…を構成する複数の第二スイッチ素子4…を第一スイッチ素子3a…のONに対応してON/OFF制御する制御回路部10を備えることを特徴とする。
【0009】
この場合、発明の好適な態様により、LED2…は、少なくとも一又は二以上の数字Na,Nb…のセグメントnaa,nab,nac…,nba,nbb,nbc…を構成することができるとともに、LED回路7a…の一又は二以上は、複数の桁(数字Na,Nb…)に跨がって配するLED2…を備えることができる。また、電源回路部8には、ツェナダイオードDzを用いた定電圧回路11を設けることができるとともに、電源回路部8には、定電流電源8pと表示マトリクス回路部9間に接続した抵抗Rp及びこの抵抗Rpの電流出力側とグランド間に接続したコンデンサCpにより構成する積分回路12を設けることができる。一方、LED表示装置1には、表示マトリクス回路部9の各LED回路7a,7b,7c…に跨がる各行La,Lb,Lc…を構成する複数の第二スイッチ素子4…をそれぞれ同時にON/OFF制御する複数の第三スイッチ素子5a,5b,5c…を備えるとともに、各第三スイッチ素子5a,5b,5c…はそれぞれ電流制限抵抗Ra,Rb,Rc…を介して定電流電源8pに接続することができる。さらに、定電流電源8pとグランド間に第四スイッチ素子6を接続するとともに、制御回路部10には、第四スイッチ素子6を第一スイッチ素子3a,3b…のOFF期間To…を含む所定時間Tm…にわたってON制御する機能を設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
このような構成を有する本発明に係るLED表示装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0011】
(1) LED2…の使用数量が増加しても駆動電圧を低く設定できるため、電源回路部8の小型化及びコストダウンを図れるとともに、LED2…の使用数量が制限されたり或いは発光輝度の低下を招く不具合を回避できる。しかも、発光輝度の均一化を図れるとともに、消費電力を小さくできるなど、特に、従来の相反する問題点を解消できる。
【0012】
(2) 表示マトリクス回路部9を採用する場合であっても、各LED2…に対する個々の制御を行うことができるため、表示用途が制限される不具合を回避でき、汎用性を高めることができるとともに、表示の多様性を高めることができる。
【0013】
(3) 好適な態様により、LED2…により、少なくとも一又は二以上の数字Na,Nb…のセグメントnaa,nab,nac…,nba,nbb,nbc…を構成するようにすれば、このような数字Na,Nb…によるデジタル表示に用いて最適となる。
【0014】
(4) 好適な態様により、LED回路7a…の一又は二以上に、複数の桁(数字Na,Nb…)に跨がって配するLED2…を設ければ、各LED回路7a…に対する制御電圧の均一化を容易に行うことができ、発光輝度の更なる均一化に寄与できる。
【0015】
(5) 好適な態様により、電源回路部8に、ツェナダイオードDzを用いた定電圧回路11を設ければ、第一スイッチ素子3a…のON/OFF時に発生する虞れがある過大な逆電圧に対して第二スイッチ素子4…を保護することができる。
【0016】
(6) 好適な態様により、電源回路部8に、定電流電源8pと表示マトリクス回路部9間に接続した抵抗Rp及びこの抵抗Rpの電流出力側とグランド間に接続したコンデンサCpにより構成する積分回路12を設ければ、定電流電源8pの供給電流を強制的に遅延させることができ、第二スイッチ素子4…のON/OFF制御が不安定になる不具合を回避することができる。
【0017】
(7) 好適な態様により、LED表示装置1に、表示マトリクス回路部9の各LED回路7a,7b,7c…に跨がる各行La,Lb,Lc…を構成する複数の第二スイッチ素子4…をそれぞれ同時にON/OFF制御する複数の第三スイッチ素子5a,5b,5c…を設けるとともに、各第三スイッチ素子5a,5b,5c…を、それぞれ電流制限抵抗Ra,Rb,Rc…を介して定電流電源8pに接続するようにすれば、各LED回路7a…におけるLED2…の数量に左右されることなく、第二スイッチ素子4…を安定(確実)にON/OFF制御することができる。
【0018】
(8) 好適な態様により、定電流電源8pとグランド間に第四スイッチ素子6を接続するとともに、制御回路部10に、第四スイッチ素子6を第一スイッチ素子3a,3b…のOFF期間To…を含む所定時間Tm…にわたってON制御する機能を設ければ、供給電流の大きさを一定(連続)にできるため、第一スイッチ素子3a…のON/OFF制御時に発生するスイッチングノイズを軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係るLED表示装置1を用いて好適な圧力計Mの概要について、図3〜図6を参照して説明する。
【0021】
図3及び図4に圧力計Mの外観を示す。圧力計Mは、図6に示す検出対象物Aに取付ける取付部31と、この取付部31に一体に設けた検出本体部32と、この検出本体部32に取付けた処理本体部33を備える。
【0022】
検出本体部32は、外観を円柱形に形成し、金属ダイアフラム上にPCVDプロセスにより歪ゲージを形成した圧力センサ43(図5)を内蔵する。一方、検出本体部32の上端面には、外観を円柱形に形成した処理本体部33を取付ける。処理本体部33の上端面には、図4に示す表示部35及び操作部36を配設する。表示部35はLED表示パネル35pを使用し、この表示部35が本実施形態に係るLED表示装置1により構成される。また、操作部36は、モードの切換を行うモードキー37と、アップキー38u及びダウンキー38dからなるアップダウンキー38を備える。なお、処理本体部33は、検出本体部32の軸線を支点にして回動変位させることができ、これにより、表示部35の向き(角度)を変えることができる。
【0023】
図5には、圧力計Mに内蔵する電気系回路のブロック回路図を示す。41は各種演算処理等を実行する処理部であり、CPUを含むマイクロコンピュータ(マイコン)を備える。この処理部41には各種データを記憶するメモリ42が付属する。43は検出対象物Aの圧力(付加圧力)Pを検出する圧力センサであり、印加圧力Pに対応した検出信号Siを出力する。この検出信号Siは、入力データ変換部44を介して処理部41に付与される。入力データ変換部44では、アナログ信号である検出信号Siを増幅回路により所定レベルに増幅し、アナログ−デジタル変換(A/D)処理機能により、例えば、10〔ms〕間隔の入力信号(デジタル信号)Diに変換する。
【0024】
一方、処理部41には、本実施形態に係るLED表示装置1を接続する。LED表示装置1は、処理部41に接続した表示ドライバ45と、この表示ドライバ45に接続した表示部35により構成する。処理部41では入力信号Diが付加圧力Pに対応する圧力値に変換される。これにより、表示ドライバ45には、圧力値に対応する処理信号Ddが付与され、表示部35に圧力値が表示される。また、処理部41には前述したモードキー37及びアップダウンキー38を含む操作部36を接続する。
【0025】
さらに、処理部41には出力データ変換部47を接続する。出力データ変換部47には、処理部41から圧力値に対応する10〔ms〕毎の出力信号(デジタル信号)Doが付与される。出力データ変換部47では、出力信号Doがデジタル−アナログ変換(D/A)処理機能によりアナログ信号の出力信号Soに変換される。この出力信号Soは、出力切換部48を介して信号出力部49に付与される。また、出力切換部48には、圧力センサ43から得る検出信号Siも付与される。これにより、信号出力部49には、出力切換部48の切換により、出力信号So又は検出信号Siが選択的に付与可能となる。信号出力部49では、DC4〜20〔mA〕,DC1〜5〔V〕などの出力信号に変換され、後述する接続ケーブル52を介して外部に出力する。このような信号出力部49を設ければ、より多様な信号を外部に出力できる利点がある。なお、出力方法としてはトランジスタやリレー等のスイッチ手段を処理部41によりON/OFF制御(スイッチング制御)し、オープンコレクタや接点出力を用いたデジタル信号として外部に出力することも可能である。
【0026】
図6は、圧力計Mの使用態様の一例を示す。圧力計Mは、例えば、検出対象物Aであるガス或いはオイル等の流体が流通する配管Apに、取付部31を介して取付けることができる。また、圧力計Mは、接続ケーブル52を介してDC電源(直流電源)53とレシーバ54の直列回路に対して二線伝送方式により接続することができる。
【0027】
次に、本実施形態に係るLED表示装置1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0028】
LED表示装置1は、表示部35及びこの表示部35に接続する表示ドライバ45を備える。表示部35は、図4に示すように、LED表示パネル35pを使用し、少なくとも3.5桁の7セグメント数字Na,Nb,Nc,Ndを表示できる。そして、この数字Na,Nb,Nc…のセグメントnaa,nab,nac…,nba,nbb,nbc…,nca…,nda…及びドットda…はLED(発光ダイオード)2…により構成する。したがって、LED表示装置1におけるLED2…を除いた構成部分が表示ドライバ45となる。
【0029】
一方、表示ドライバ45は、図1及び図2に示すように、電源回路部8,表示マトリクス回路部9及び制御回路部10からなる主要構成を備える。図1はこれらの基本構成を示すとともに、図2は図1に対してより具体化した回路を示す。
【0030】
電源回路部8は、図2に示すように、定電流電源8pを備える。定電流電源8pは、直流のホットライン21に接続した定電流ダイオード(定電流素子)22により構成する。また、電源回路部8は、定電流電源8pに接続した積分回路12を備える。積分回路12は、定電流ダイオード22のカソード側と後述する表示マトリクス回路部9間に接続した抵抗Rp及びこの抵抗Rpの電流出力側とグランド間に接続したコンデンサCpにより構成する。また、電源回路部8には、定電流ダイオード22のカソードとグランド間に接続したツェナダイオードDzを用いた定電圧回路11を備える。
【0031】
表示マトリクス回路部9は、図1に示すように、六つのLED回路7a,7b,7c…7fを備え、各LED回路7a,7b,7c…7fを並列接続して構成する。これにより、各LED2…はマトリクス配列となる。表示マトリクス回路部9は、ホットライン接続部を電源回路部8に接続するとともに、グランド接続部はグランドに接続する。LED回路7aは、五個のLED2…と単一の第一スイッチ素子3aを直列接続し、かつ各LED2…にそれぞれ第二スイッチ素子4…を並列接続して構成する。この場合、第一スイッチ素子3aには、n形のFET3aqを使用するとともに、第二スイッチ素子4…には、n形のFET4q…を使用する。図中、23は各FET4q…のゲート−ソース間に接続した双方向性ツェナダイオードを示す。また、LED回路7eを除く他のLED回路7b,7c,7d,7fもLED回路7aと同一に構成するとともに、LED回路7eはLED2…を四個とした点を除いてLED回路7aと同一に構成する。なお、図1において、各LED回路7b,7c,7d…7f中、3b,3c,3d…3fは第一スイッチ素子を示すとともに、第二スイッチ素子4…は略記した。したがって、LED回路7a以外のLED回路7b…における二点鎖線により囲った回路Xsは、LED回路7aにおける二点鎖線により囲った回路Xsと同一である。
【0032】
さらに、LED回路7a…の一又は二以上において、LED2…は、図2に示すように、複数の桁(数字Na,Nb…)に跨がって配置する。例えば、LED回路7bでは、最下位の桁(数字Na)に二つのLED2…を配し、次の桁(数字Nb)に二つのLED2…を配し、最上位の桁(数字Nd)に一つのLED2を配置する。なお、図2において、LED回路7aにおける二点鎖線により囲った回路Xoと略記したブロックXoは同一である。このようなLED2…の配置構成により、各LED回路7a…に対する制御電圧の均一化を容易に行うことができ、発光輝度の更なる均一化に寄与できる利点がある。
【0033】
制御回路部10は、表示マトリクス回路部9における列側の制御を行う列制御回路10vと行側の制御を行う行制御回路10hを備える。一方の列制御回路10vは、表示マトリクス回路部9における第一スイッチ素子3aをON/OFFする機能、即ち、各第一スイッチ素子3a…を所定時間(Ts)ONにする制御を順番に行う機能を備える。したがって、各FET3aq…のゲートは列制御回路10vに接続する。
【0034】
他方、行制御回路10hは、各LED回路7a,7b,7c…7fに跨がる各行La,Lb,Lc…Leを構成する六つの第二スイッチ素子4…をそれぞれ同時にON/OFF制御する機能、即ち、各行La,Lb,Lc…Leを構成する六つの第二スイッチ素子4…を第一スイッチ素子3a…のONに対応してON/OFF制御する機能を備える。このため、行制御回路10hは、図2に示すように、各LED回路7a,7b,7c…7fに跨がる各行La,Lb,Lc…Leを構成する六つの第二スイッチ素子4…をそれぞれ同時にON/OFF制御する五つの第三スイッチ素子5a,5b,5c…5eを有するとともに、各第三スイッチ素子5a,5b…はそれぞれ電流制限抵抗Ra,Rb,Rc…Reを介して定電流電源8p(定電流ダイオード22のカソード側)に接続する。この場合、各第三スイッチ素子5a,5b…5eには、n形のFET5aq,5bq…を使用する。なお、24…は各FET5aq…のゲート−ソース間に接続した双方向性ツェナダイオードを示す。したがって、各FET4q…のゲートは、対応するFET5aq,5bq…のドレインに接続するとともに(図2、回路Xo参照)、FET5aq,5bq…のゲートは行制御回路10hに接続する。
【0035】
このような第三スイッチ素子5a…及び電流制限抵抗Ra…を設ける理由は、次のとおりである。FET4q…(第二スイッチ素子4…)をONさせるためのゲート電圧は、少なくともそのソース電圧よりも1〔V〕程度高くする必要があるとともに、FET4q…のソース電圧は下位に接続したLED2…の点灯数にも依存し、点灯数が多いほど高くなる。したがって、FET4q…をONさせる電圧が非常に高くなるケースも想定され、マイコン(処理部41)の電源電圧よりも高い電圧を出力できない出力ポートでは制御を行うことができない事態を生じる。そこで、FET4q…のゲート電圧を定電流ダイオード22のカソード側からFET5aq,5bq…(第三スイッチ素子5a,5b…)を介して供給するとともに、行制御回路10hによりFET5aq,5bq…をON/OFF制御するようにした。これにより、第三スイッチ素子5a,5b…をFET5aq,5bq…により構成した場合であっても、ソース電圧をグランドレベルにすれば、FET5aq,5bq…のゲート電圧は1〔V〕程度でよいこととなり、マイコン(処理部41)の出力ポートにより、FET5aq…(第三スイッチ素子5a…)に対する低電圧制御及び一定電圧制御が可能になると同時に、FET4q…(第二スイッチ素子4…)の制御も可能になる。また、電流制限抵抗Ra,Rb…Reを接続することにより、定電流ダイオード22からの供給電流Ipが第三スイッチ素子5a…に分流しないようにしている。よって、このような構成により、各LED回路7a…におけるLED2…の数量に左右されることなく、第二スイッチ素子4…を安定(確実)にON/OFF制御することができる。
【0036】
さらに、定電流電源8pとグランド間には、第四スイッチ素子6を接続するとともに、列制御回路10v(制御回路部10)には、第四スイッチ素子6を第一スイッチ素子3a,3b…のOFF期間To…を含む所定時間Tm…にわたってON制御する機能を設ける。第四スイッチ素子6には、n形のFET6qを使用し、ゲートは列制御回路10vに接続する。なお、25…はFET6qのゲート−ソース間に接続した双方向性ツェナダイオードを示す。このような第四スイッチ素子6を接続することにより、各LED回路7a…に対するダミー回路として機能し、供給電流Ipの大きさを一定(連続)にできるため、第一スイッチ素子3a…のON/OFF制御時に発生するスイッチングノイズを軽減することができる利点がある。
【0037】
次に、本実施形態に係るLED表示装置1の動作について、図1,図2及び図7〜図9を参照して説明する。
【0038】
まず、列制御回路10vは、図7に示すように、各第一スイッチ素子3a…を所定時間(Ts)ONにする制御を順番に行う。即ち、ダイナミックドライブ方式による制御を行う。したがって、スキャン周期Tso(スキャン速度)はチラツキを生じない1〔ms〕前後に選定する。ところで、この場合、任意の第一スイッチ素子3a…がOFF後、次の第一スイッチ素子3b…がONするまでにOFF期間Toが発生し、この結果、各第一スイッチ素子3a…のON/OFF制御に伴って定電流ダイオード22に流れる供給電流Ipは断続的になり、スイッチングノイズが発生する。しかし、第四スイッチ素子6を設けたため、図8に示すように、第一スイッチ素子3a,3b…のOFF期間To…を含む所定時間Tm…にわたって第四スイッチ素子6のON制御により供給電流Ipが流れ、供給電流Ipの大きさを一定(連続)にできる。よって、第一スイッチ素子3a…のON/OFF制御時に発生するスイッチングノイズが軽減される。
【0039】
一方、この状態において、行制御回路10hは、表示する数字Na,Nb…に対応して、各LED回路7a,7b,7c…7fに跨がる各行La,Lb,Lc…を構成する複数の第二スイッチ素子4…をそれぞれ同時にON/OFF制御、即ち、第三スイッチ素子5a,5b…を第一スイッチ素子3a,3b…のON期間に対応してON/OFF制御する。この場合、第二スイッチ素子4…及び第三スイッチ素子5a…はFETを使用したため、第三スイッチ素子5a…がONのときは、第二スイッチ素子4…がOFFとなり、LED2…が点灯するとともに、第三スイッチ素子5a…がOFFのときは、第二スイッチ素子4…がONとなり、LED2…が消灯する。よって、第一スイッチ素子3a…がONとなり、かつ第三スイッチ素子5a…がONとなるLED2…が点灯する。LED2…の点灯時には、ホットライン21から定電流ダイオード22及び積分回路12を介してLED回路7a…に供給電流Ipが流れる。
【0040】
この際、積分回路12は次のように機能する。LED回路7a,7b…では、FET4q…(第二スイッチ素子4…)のゲート電圧を定電流ダイオード22のカソード側から供給しているため、LED回路7a,7b…をFET3aq…(第一スイッチ素子3a…)により切換える際には、FET4q…のON/OFFが未確定のまま、LED2…に対する供給電流Ipが流れてしまう虞れがあり、LED2…の点灯/非点灯の制御が不安定になる。そこで、積分回路12により供給電流Ipを強制的に遅延させ、LED2…に流れる供給電流IpよりもFET4q…のON/OFFを先に確定させることにより、FET4q…のON/OFF制御が不安定になる不具合を回避し、LED2…の点灯を安定化させている。なお、抵抗Rpは、FET4q…のゲート電圧がそのソース電圧よりも低くなることを防止、即ち、抵抗Rpにより、FET4q…のゲート−ソース間に電位差を強制的に生じさせ、FET4q…(第二スイッチ素子4…)を確実にONさせる役割も兼ねている。
【0041】
また、FET3aq…(第一スイッチ素子3a…)のON/OFF制御時に、定電流ダイオード22のカソード側が無負荷となった場合には、定電流ダイオード22のカソード側の電圧はホットライン21の電圧まで急激に上昇し、FET4q…(第二スイッチ素子4…)のゲート−ソース間に過大電圧が印加される虞れがあるが、FET4q…は、電源回路部8に設けたツェナダイオードDz(定電圧回路11)によりこの過大電圧から保護される。
【0042】
図9は、このような制御により「1.234」を表示する例を示している。この場合、第一スイッチ素子3aのON時に、第三スイッチ素子5a,5b,5eの三つがON制御され、第一スイッチ素子3bのON時に、第三スイッチ素子5b,5c,5dの三つがON制御され、第一スイッチ素子3cのON時に、第三スイッチ素子5a,5b,5cの三つがON制御され、第一スイッチ素子3dのON時に、第三スイッチ素子5a,5c,5dの三つがON制御され、第一スイッチ素子3eのON時に、第三スイッチ素子5a,5bの二つがON制御され、第一スイッチ素子3fのON時に、第三スイッチ素子5a,5b,5cの三つがON制御される。
【0043】
これにより、第一スイッチ素子3aのON時と第一スイッチ素子3bのON時に、最下位の桁の数字Naとして「4」が表示され、第一スイッチ素子3bのON時と第一スイッチ素子3cのON時に、次の桁の数字Nbとして「3」が表示され、第一スイッチ素子3dのON時と第一スイッチ素子3eのON時により次の桁の数字Ncとして「2」が表示され、第一スイッチ素子3fのON時に、次の桁の数字Ndとして「1」が表示されるとともに、ドットdaによる「.」が表示される。よって、LED表示パネル35pには、「1.234」が表示される。
【0044】
よって、このような本実施形態に係るLED表示装置1によれば、LED2…の使用数量が増加しても駆動電圧を低く設定できるため、電源回路部8の小型化及びコストダウンを図れるとともに、LED2…の使用数量が制限されたり或いは発光輝度の低下を招く不具合を回避できる。しかも、発光輝度の均一化を図れるとともに、消費電力を小さくできるなど、特に、従来の相反する問題点を解消できる。また、表示マトリクス回路部9を採用する場合であっても、各LED2…に対する個々の制御を行うことができるため、表示用途が制限される不具合を回避でき、汎用性を高めることができるとともに、表示の多様性を高めることができる。しかも、LED2…により、少なくとも一又は二以上の数字Na,Nb…のセグメントnaa,nab,nac…,nba,nbb,nbc…を構成するため、このような数字Na,Nb…によるデジタル表示に用いて最適となる。
【0045】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、LED表示装置1は、圧力計Mに用いる場合を示したが、例示の形態の圧力計Mのみならず、他の各種形態の圧力計、更には圧力計以外の各種用途における同様の表示を行うLED表示装置として利用できる。この場合、表示は、数字のみならず文字や画像等の各種表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の最良の実施形態に係るLED表示装置の主要部の基本構成を示す電気回路図、
【図2】同LED表示装置の基本構成を更に具体化した電気回路図、
【図3】同LED表示装置を備える圧力計の外観斜視図、
【図4】同LED表示装置の外観平面図、
【図5】同圧力計に内蔵する電気系回路のブロック回路図、
【図6】同圧力計の使用態様の一例を示す接続系統図、
【図7】同LED表示装置の動作タイミングチャート、
【図8】同LED表示装置の他の動作タイミングチャート、
【図9】同LED表示装置の他の動作タイミングチャート、
【符号の説明】
【0047】
1:LED表示装置,2…:LED,3a…:第一スイッチ素子,4…:第二スイッチ素子,5a…:第三スイッチ素子,6:第四スイッチ素子,7a…:LED回路,8:電源回路部,8p:定電流電源,9:表示マトリクス回路部,10:制御回路部,11:定電圧回路,12:積分回路,Ts:所定時間,To…:OFF期間,Tm…:所定時間,La…:行,Na…:数字,naa…:セグメント,nba…:セグメント,nbc…:セグメント,Dz:ツェナダイオード,Cp:コンデンサ,Rp:抵抗,Ra…:電流制限抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電流電源を有する電源回路部に、少なくとも、複数のLEDを直列接続するとともに、各LEDにスイッチ素子をそれぞれ並列接続し、制御回路部により前記スイッチ素子を選択的にON/OFF制御して前記LEDにより所定の表示を行うLED表示装置において、複数のLEDと単一の第一スイッチ素子を直列接続し、かつ各LEDにそれぞれ第二スイッチ素子を並列接続した複数のLED回路を前記電源回路部に並列接続してなる表示マトリクス回路部と、各第一スイッチ素子を所定時間ONにする制御を順番に行うとともに、前記表示マトリクス回路部の各LED回路に跨がる行を構成する複数の第二スイッチ素子を前記第一スイッチ素子のONに対応してON/OFF制御する制御回路部を備えることを特徴とするLED表示装置。
【請求項2】
前記LEDは、少なくとも一又は二以上の数字のセグメントを構成することを特徴とする請求項1記載のLED表示装置。
【請求項3】
前記LED回路の一又は二以上は、複数の桁(数字)に跨がって配するLEDを有することを特徴とする請求項2記載のLED表示装置。
【請求項4】
前記電源回路部は、ツェナダイオードを用いた定電圧回路を有することを特徴とする請求項1記載のLED表示装置。
【請求項5】
前記電源回路部は、前記定電流電源と前記表示マトリクス回路部間に接続した抵抗及びこの抵抗の電流出力側とグランド間に接続したコンデンサにより構成する積分回路を有することを特徴とする請求項1又は4記載のLED表示装置。
【請求項6】
前記表示マトリクス回路部の各LED回路に跨がる各行を構成する複数の第二スイッチ素子をそれぞれ同時にON/OFF制御する複数の第三スイッチ素子を備えるとともに、各第三スイッチ素子はそれぞれ電流制限抵抗を介して前記定電流電源に接続することを特徴とする請求項1,4又は5記載のLED表示装置。
【請求項7】
前記定電流電源とグランド間に第四スイッチ素子を接続するとともに、前記制御回路部は第四スイッチ素子を第一スイッチ素子のOFF期間を含む所定時間にわたってON制御する機能を備えることを特徴とする請求項1,4,5又は6記載のLED表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−268263(P2008−268263A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106977(P2007−106977)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名 セミコン・ジャパン2006 主催者 有限会社セミ・ジャパン 開催日 平成18年12月6日から12月8日
【出願人】(000150707)長野計器株式会社 (62)
【Fターム(参考)】